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特許7558807熱的にロバストなレーザプローブアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】熱的にロバストなレーザプローブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240924BHJP
   A61B 18/24 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61F9/008 150
A61B18/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020531726
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059978
(87)【国際公開番号】W WO2019116284
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】62/597,550
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,653
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/622,299
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/630,865
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】チェンコアン テャオ
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ ミルセパッシ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー クック
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】土田 嘉一
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-270043(JP,A)
【文献】特表2016-524992(JP,A)
【文献】特開平9-28715(JP,A)
【文献】特開平9-117407(JP,A)
【文献】米国特許第5638483(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0219202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61B18/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブアセンブリであって、
カニューレであって、それを通して、1つ以上の光ファイバは、レーザ光をレーザ源からターゲット位置に伝送するために少なくとも部分的に延在する、カニューレと、
前記カニューレに収容されたレンズと、
前記カニューレの遠位端における保護構成要素であって、前記保護構成要素は、前記保護構成要素の外面と前記カニューレの内面との間の干渉フィット又は摩擦フィットによって前記カニューレに固定される熱的に安定な材料からなる保護構成要素
を含み、
前記レンズは、前記1つ以上の光ファイバと前記保護構成要素との間に配置され、
前記カニューレの前記遠位端は、ーリング位置のみにおいてシーラントによって前記保護構成要素にシールされ、前記シーリング位置とは、前記保護構成要素の遠位端の干渉フィット又は摩擦フィット外面と前記カニューレの前記遠位端の前記内面との間の寸法許容差及び表面粗さの非互換性及び差異から生じるギャップであり、
前記保護構成要素は、前記カニューレの外側に部分的に延在する、プローブアセンブリ。
【請求項2】
前記シーリング位置は、約500~約5000センチポアズの範囲の粘度を有するシーラントによってシールされる、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項3】
前記シーリング位置は、二重硬化シーラントでシールされる、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【請求項4】
前記保護構成要素は、前記カニューレの前記遠位端に圧入される、請求項1に記載のプローブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、熱的にロバストなレーザプローブアセンブリを製造するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプローブアセンブリは、多くの種々の処置及び手術中に使用され得る。一例として、レーザプローブアセンブリは、とりわけ、網膜裂傷をシールするために網膜レーザ手術中に使用され得る。レーザ光は、通常、レーザ源から光ファイバケーブルを介して伝送される。光ファイバケーブルは、レーザ源に接続しているレーザコネクタにおいて近位に終端し、外科医が操作するプローブアセンブリにおいて遠位に終端する。本明細書では、構成要素の遠位端とは、患者の身体により近い端部又はレーザ光がレーザプローブから放射される端部を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端とは、患者の体からそむけられている端部又は例えばレーザ源の近くにある端部を指す。
【0003】
プローブアセンブリは、患者の目に部分的に挿入されるカニューレに結合されたハンドピースを含む。光ファイバケーブルは、ハンドピース及びカニューレを通して延在し、レーザ光を患者の網膜上に伝送する。レンズは、性能を向上させるために、光ファイバによって伝播されたレーザビームを患者の網膜上にコリメート及び投影するためにも使用され得る。通常、レンズは、光ファイバの前に配置され、カニューレに取り付けられる。
【0004】
特定の場合、光ファイバケーブルが複数の光ファイバが収容しているため、レーザプローブアセンブリが複数の光凝固ビームを同時に放つことが可能になる。例えば、特定の場合、光ファイバケーブルは、4本の光ファイバ又はマルチコア光ファイバを収容し得る。そのような場合、限られたスペース(例えば、カニューレ内)における高出力スループットにより、血液若しくは他の暗い物質がカニューレ若しくはレンズの先端の前に存在するか、又はその先端に少なくとも部分的にブロック若しくは接触すると、カニューレ及びレンズが過度の熱を経験し得る。特定の場合、光ファイバによって伝播されたレーザビームは、レンズ上、カニューレ上及びレンズとカニューレとの間の接着剤上の血液又は暗い物質によって反射して戻るため、過剰な熱が生成される。この過熱及び熱暴走により、カニューレ及びレンズが溶け、またレンズがカニューレから分離する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、熱的にロバストなレーザプローブアセンブリを製造するための方法及びシステムに関する。
【0006】
本発明の特定の実施形態は、カニューレであって、それを通して、1つ以上の光ファイバは、レーザ光をレーザ源からターゲット位置に伝送するために少なくとも部分的に延在する、カニューレを含むプローブアセンブリを提供する。プローブアセンブリは、カニューレに収容されたレンズと、カニューレの遠位端における保護構成要素とを更に含み、レンズは、1つ以上の光ファイバと保護構成要素との間に配置され、カニューレの遠位端は、プローブアセンブリのシーリング位置においてシールされる。
【0007】
本発明の特定の実施形態は、ワイヤを含むシーラント塗布器を保持するように構成されたマウントを含むステージマシンを含むシーラント塗布システムを提供し、ここで、ステージマシンは、プローブアセンブリのカニューレの遠位端におけるシーリング位置にワイヤを配置するように構成される。シーラント塗布システムはまた、カニューレを保持するための溝を含むカニューレホルダと、ワイヤ上のシーラントがシーリング位置に塗布され得るように、ステージマシンがワイヤをシーリング位置に配置するとカニューレを回転させるように構成されたアクチュエータとを含む。
【0008】
本発明の特定の実施形態は、プローブアセンブリを製造する方法を提供する。方法は、シーラントでコーティングされたワイヤをプローブアセンブリのカニューレの遠位端におけるシーリング位置に配置することを含む。方法は、カニューレを回転させて、シーラントをシーリング位置に塗布することを更に含む。
【0009】
以下の記載及び関連する図面は、1つ以上の実施形態の特定の例示的な特徴を詳細に説明する。
【0010】
添付の図は、本発明の1つ以上の実施形態の特定の態様を示し、したがって本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、本発明の特定の実施形態による、ハンドピース及びカニューレを含むプローブアセンブリを示す。
図1B図1Bは、図1Aのカニューレの先端の断面図を示す。
図2A図2Aは、本発明の特定の実施形態による、カニューレの先端に配置されている保護構成要素の断面図を示す。
図2B図2Bは、図2Aの保護構成要素の3次元図を示す。
図2C図2Cは、図2Aに示されるカニューレの先端の正面図を示す。
図2D図2Dは、図2Aに示されるカニューレの先端の3次元図を示す。
図3図3は、カニューレの遠位端の内面と、カニューレによって収容された保護構成要素の遠位端の外面との間の例示的なギャップを示す。
図4A図4Aは、汚染された保護構成要素の一例を示す。
図4B図4Bは、本発明の特定の実施形態による、カニューレのシールされた遠位端の断面図を示す。
図5A図5Aは、本発明の特定の実施形態によるシーラント塗布システムを示す。
図5B図5Bは、本発明の特定の実施形態による、カニューレをU字形溝内に保持するカニューレホルダの正面図を示す。
図6A-D】図6A-Dは、本発明の特定の実施形態によるシーラント塗布手順のステージを示す。
図7図7は、図5のシーラント塗布システムの追加的な構成要素を示す。
図8図8は、本発明の特定の実施形態によるシーラント塗布システムを示す。
図9図9は、本発明の特定の実施形態による、クランプを有するカニューレホルダを示す。
図10図10は、本発明の特定の実施形態による、レーザプローブをシーリングするための例示的な操作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合、図面に共通の同一の要素を示すために同一の参照番号が使用される。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有利に組み込まれ得ると考えられる。
【0013】
本開示の態様は、熱的にロバストなレーザプローブアセンブリを製造するための方法及びシステムを提供する。
【0014】
上述のように、高出力スループットを有するプローブアセンブリは、(例えば、血液がレンズを汚染するか又はレーザビームをブロックすると)カニューレ内のレンズが溶け得るような過熱を経験し得る。溶けたレンズは、カニューレから分離して、プローブアセンブリの誤動作も引き起こし得る。
【0015】
図1Aは、ハンドピース102及びカニューレ104を含むプローブアセンブリ100の一例を示す。外科医は、ハンドピース102を使用して、カニューレ104(例えば、円筒形の中空管)を、患者の目であり得る患者の身体部分に案内する。示されるように、プローブアセンブリ100は、複数の光凝固ビーム106を同時に提供して、複数のレーザスポットを生成する。各レーザスポットのパワーは、複数のレーザスポットを提供することにより、カニューレ104を通過する最小パワーが約1ワット(W)になり得るように約250~約500ミリワット(mW)であり得る。レンズ(例えば、図1Bのレンズ100)は、カニューレを通して延在する光ファイバの前に配置され得、例えば患者の眼の網膜表面上にレーザビームを投影する。
【0016】
図1Bは、カニューレ104の先端の断面図を示し、ここで、レンズ110は、カニューレ104を通して延在する複数の光ファイバ108によって伝搬されたビーム106をコリメート及び投影するために配置される。本発明の特定の実施形態では、光ファイバ108は、光ファイバアレイ又はマルチコア光ファイバであり得る。カニューレ104がトロカールカニューレなどを通して患者の身体部分に配置されると、血液若しくは他の暗い物質がカニューレ104の先端の前に存在するか、又はレンズ110を部分的にブロック若しくは接触する場合など、ビーム106が反射してカニューレ104内に戻され得る。レーザビームがカニューレ104内に戻る反射は、カニューレ104内ですでに生成されている熱量に付加される。この過熱により、カニューレ104及びレンズ110を溶かし得、またレンズ110をカニューレ104から分離させ得る。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、レンズ110を保護するために、保護構成要素がプローブアセンブリのカニューレの遠位端に取り付けられ、且つ/又はその中に挿入される。保護構成要素(例えば、保護窓)は、それ自体が1つ以上の光ファイバの前に配置されるレンズの遠位端の前に配置される。保護構成要素は、カニューレに沿ったレンズの動作を制限することにより、且つ/又はレンズがカニューレから分離することを防ぐことにもよりレンズを保護する。
【0018】
図2Aは、カニューレ104の先端に配置された例示的な保護構成要素212の断面図を示す。示されるように、保護構成要素212は、カニューレ104の遠位端205に配置される一方、カニューレ104の近位端207は、ハンドピース(例えば、図1Aに示されるハンドピース102)に接続される。上述のように、カニューレ104の遠位端205は、患者の身体部分に挿入される端部であるか、又はレーザ光がプローブアセンブリ100から放射されるように構成された場所である。特定の実施形態では、カニューレ104は、ステンレス鋼、ニチノール(NiTi)又はプラチナ-イリジウム合金(Pt-Ir)などの材料を含む。
【0019】
保護構成要素212は、近位端215及び遠位端213を含む。特定の実施形態では、保護構成要素212は、光学的にクリア又は透明な材料を含む。好適な透明材料の例には、サファイア、溶融シリカ又は高転移温度を有する他のガラス若しくはセラミック材料が含まれる。
【0020】
特定の実施形態では、保護構成要素212は、構成要素212をカニューレ104に圧入することによってカニューレ104に取り付けられる。圧入は、干渉フィッティング又は摩擦フィッティングとしても知られる、保護構成要素212をカニューレ104に固定するための技術であり、その固定は、保護構成要素212がカニューレ104内に押し込まれた後、保護構成要素212とカニューレ104との間の摩擦によって達成される。特定の実施形態では、保護構成要素212は、ろう付け技術を使用してカニューレ104に取り付けられ得る。
【0021】
図2Bは、保護構成要素212の3次元図を示す。特定の実施形態では、保護構成要素212は、カニューレ104の遠位端の円筒形開口部内に配置される円筒形構成要素である。図2A図2Bに示される保護構成要素212は、平坦な端部を有する円筒形構成要素であるが、特定の実施形態では、保護構成要素212は、異なる形状を有し得る。例えば、特定の実施形態では、保護構成要素212の近位端は、球形又は非球形であり得る。
【0022】
図2Cは、保護構成要素212を収容するカニューレ104の先端の正面図を示す。
【0023】
図2Dは、カニューレ104の先端の3次元図を示す。示されるように、保護構成要素212は、カニューレ104の外側に部分的に延在する。
【0024】
特定の場合、保護構成要素212及びカニューレ104は、寸法公差が一致しない。寸法公差は、製造目的で許容できるビルドの境界として、保護構成要素212及びカニューレ104などの部品に割り当てられている。保護構成要素212及びカニューレ104の許容差が一致しない状況では、カニューレ104の内径は、特定の領域で保護構成要素212の外径よりも大きくなり得、その結果、ギャップが生じ得る。また、いくつかの状況では、保護構成要素212及びカニューレ104は、表面が異なる程度の粗さを有し得る。そのような非互換性及び寸法許容差と表面粗さとの違いとにより、プローブが漏れやすくなり得る。例えば、平衡塩類溶液(BSS)、パーフルオロオクタン(PFO)、血液などの流体がカニューレ内に漏れ、レンズ及びファイバ(例えば、図2Aのレンズ210及びファイバ108)間の内部に到達して、レンズ210、したがってプローブアセンブリ100に誤動作を引き起こさせ得る。一例として、カニューレ104内に漏れた流体は、反射防止コーティングされた表面と接触する場合があり、その結果、レーザビーム透過率が低下し、プローブ先端が過熱し、熱暴走し得る。
【0025】
図3は、本発明の特定の実施形態による、保護構成要素212を収容するカニューレ104の例示的な正面図を示す。図3の例では、カニューレ104の内径330は、保護構成要素212の外径332よりも大きく、その結果、ギャップ334が生じる。上述のように、このギャップは、保護構成要素212とカニューレ104との間の寸法許容差及び表面粗さの非互換性及び差異から生じ得る。ギャップ334のサイズ及び形状は、例示的であり、また例示目的のために誇張されていることに留意されたい。実際の用途では、ギャップ334は、例えば、マイクロメータよりもはるかに小さい場合がある。しかしながら、非常に小さいギャップでさえ、プローブアセンブリ110を漏れやすくさせ得る。
【0026】
したがって、本明細書で説明される特定の実施形態は、カニューレの遠位端の内径と、カニューレの遠位端に取り付けられた保護構成要素の外径との間の内部の開口部又はギャップをシーリングするためのシーラント塗布技術に関する。
【0027】
保護構成要素及びカニューレの先端は、ミニチュアサイズであるため、カニューレ及び保護構成要素に非常に少量のシーラント(例えば、接着剤)を正確に塗布することは、以下に説明するシーリング位置では困難であり得る。十分に制御されたシーラント塗布技術がなければ、保護構成要素がシーラントによって汚染され、その結果、レーザビームがブロックされ、プローブアセンブリが故障する可能性があり得る。また、カニューレの遠位端の外面に過剰なシーラントが塗布される場合があり、カニューレの遠位端の外径が拡大する結果となり、それにより、外科医が、プローブアセンブリのカニューレを、患者の身体の一部に挿入されているトロカールカニューレ内に挿入したり、トロカールカニューレから除去したりすることを困難にする。
【0028】
図4Aは、保護構成要素212を汚染し、またカニューレ104の遠位端の外面上にオーバーフローしている、シーラント402の一例を示す。本明細書に記載されているシーラント塗布技術は、保護構成要素212を汚染するか又はカニューレ104の外面上にオーバーフローすることなく、少量のシーラントを塗布してプローブをシールするという課題を克服する。
【0029】
図4Bは、本明細書に記載されるシーラント塗布技術を使用してシールされている、カニューレ104の遠位端の例示的な断面図を示す。示されるように、シーラント406は、カニューレ104の遠位端の内面と、保護構成要素212の遠位端の外面との間の、任意の開口部又はギャップ(例えば、図3のギャップ334)を指すシーリング位置430にのみ塗布される。したがって、示されるように、シーラント406は、保護構成要素212を汚染していないか、又はカニューレ104の遠位端の外面に塗布されていない。本発明の特定の実施形態では、シーラントは、二重硬化シーラントである。また、シーラントは、約500~約5000センチポアズ(cP)の範囲の粘度を有し得る。
【0030】
図5Aは、本明細書に記載されるシーラント塗布技術を使用してカニューレ104の遠位端をシーリングするための例示的なシーラント塗布システム500を示す。示されるように、システム500は、カニューレ104がカニューレ104自体に平行な回転軸(例えば、図5Bの回転軸505)に沿って配置及び回転できる、U字形溝(例えば、図5Bの溝540)を有するカニューレホルダ520を含む。図5Bは、カニューレ104をU字形溝540に保持するカニューレホルダ520の正面図を示す。示されるように、U字形溝540は、カニューレ104の一部がカニューレホルダ520の停止面の上方に留まるように構成されている。図5Bは、その周りをカニューレ104及び保護構成要素212がカニューレホルダ520に対して回転するように構成された回転軸505も示す。
【0031】
図5Aを再度参照すると、システム500は、その上にシーラント塗布器530を取り付けることができるXYZステージマシン(図示せず)も含む。XYZステージマシンは、示されるように、X、Y、Z平面に沿った移動を提供できる。示されるように、シーラント塗布器530は、剛性管535を有するハンドピース534と、剛性管535から延在して出ているワイヤ532とを含む。ユーザは、ハンドピース534を使用して、ワイヤ532をシーリングプロセス中に使用されるシーラントに浸す。次いで、ユーザは、シーラント塗布器530をXYZステージマシン上に配置し、シーラント塗布器530の位置を調整する。特定の実施形態では、ワイヤ532は、約20~約40ミクロン(μm)の範囲の直径を有する非常に細いワイヤである。例えば、ワイヤ532は、約40μmの直径を有し得る。ワイヤ532の直径が非常に小さいことにより、ワイヤ532がシーラントに浸されたとき、非常に小さく且つ制御された量のシーラントのみがワイヤ532によってピックアップされることを確実にする。加えて、特定の実施形態では、ワイヤ532は、可撓性であり、ワイヤがシーリング位置(例えば、図4Bのシーリング位置430)に配置されているとき、可撓性ワイヤ532が保護構成要素212に対して押し上げられるか又は押し下げられることに応じて撓むことが可能であり得るため、有利である。可撓性ワイヤ532は、シーリング位置へのシーラントの均一且つ滑らかな塗布も容易にし得る。一例として、ワイヤ532は、ニチノールで作成され得る。
【0032】
XYZステージマシンを使用することにより、ワイヤ532は、シーリング位置においてシーラントが保護構成要素212及びカニューレ104の両方と接触するように、シーリング位置に正確に配置され得る。ワイヤ532がシーリング位置に配置されると、カニューレ104は、シーリング位置においてシーラントが保護構成要素212の周囲全体に均一に分配及び塗布できるように回転され得る。
【0033】
同時に、図6Cに示されるように、シーラント塗布器530は、移動されて、(例えば、ワイヤ532の他の領域上の追加的なシーラントをシーリング位置に塗布するために)十分なシーラントがシーリング位置に塗布されることも確実にし得る。細いワイヤ532を使用することにより、シーラントがシーリング位置にのみ塗布され、保護構成要素の表面の任意の追加領域に塗布されないことを確実にする。換言すれば、細いワイヤ532を使用することにより、シーラントのより正確な塗布を可能にする。本発明の特定の実施形態による、シーラント塗布手順の例示的なステージは、図6A図6Dに示されている。
【0034】
図6Aは、シーラントに浸されたワイヤ532及び保護構成要素212を収容するカニューレ104を示す。上述のように、XYZステージマシンを使用して、ワイヤ532をシーリング位置430に正確に配置し得る。
【0035】
図6Bは、シーリング位置430に配置されているワイヤ532の先端を示す。図示されていないが、ワイヤ532がシーリング位置430に配置されると、カニューレ104を(例えば、図5の回転軸505に沿って)回転させることができ、それによりシーリング位置430における保護構成要素212の全周にシーラントを均一に塗布することができる。しかしながら、特定の回転数後、ワイヤ532の先端上に十分なシーラントが残っていない場合がある。その結果、図6Cに示すように、ワイヤ532の下部上のシーラントをシーリングに使用することができるように、ワイヤ532を水平方向に前方に移動させ得る。
【0036】
図6Cは、ワイヤ532の下部上のシーラントをシーリング位置430に塗布するために、(例えば、XYZステージマシン(図示せず)によって)水平方向に前方に押されているワイヤ532を示す。別の例では、ワイヤ532の下部上のシーラントを最初に使用する場合、ワイヤ532の上部上のシーラントを使用するためにワイヤ532を後方に引き得る。
【0037】
図6Dは、上述のシーラント塗布技術を使用して完全にシールされた例示的なシーリング位置430を示す。
【0038】
図7は、図5A及び図5Bに関連して説明されたシーラント塗布システム500の追加的な構成要素を示す。例えば、図7は、シーラント塗布器530が取り付けられているXYZステージマウント740を示す。XYZステージ740マウントは、XYZステージマウント740をX、Y及びZ平面に沿って移動させることができるXYZステージマシン(図示せず)に結合することができる。示されるように、この機構を使用して、ワイヤ532は、シーリング位置(例えば、図4Bのシーリング位置430)に正確に配置でき、シーラント塗布プロセス中に調整する(例えば、前方又は後方に押す)ことができる。図7は、カニューレホルダ520のU字形溝(例えば、図5Bの溝540)に配置されたカニューレ104を回転させるためのアクチュエータ(図示せず)に結合されているステージ750の正面図も提供する。特定の実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータをオン及びオフにすることができるユーザによって操作される。アクチュエータがオンにされると、アクチュエータは、カニューレ104に平行な回転軸(例えば、図5Bの回転軸505)の周りでカニューレ104を回転させる。
【0039】
特定の実施形態では、カニューレ104を回転させる持続時間及びカニューレ104を回転させる速度は、ユーザが制御及び調整できるパラメータである。特定の他の実施形態では、アクチュエータは、制御モジュールによって制御及び操作される。そのような実施形態では、制御モジュールは、特定の速度で特定の回転数(又は例えば特定の時間量)にわたってアクチュエータを動作させる。制御モジュールは、ユーザ定義の回転数が実行された後、アクチュエータの動作を終了するようにも構成され得る。
【0040】
特定の実施形態では、クランプを使用して、カニューレ104を更に固定し、シーラント塗布プロセス中のいかなる望ましくない動作も防ぎ得る。クランプを使用することは、カニューレ104が直線でないときに特に有利である。例えば、いくつかの場合、カニューレの遠位端は、図1Aに示されるように湾曲している。そのような場合、ニチノールなどの弾性材料で作成され得る湾曲したカニューレを一時的に直線にして、カニューレホルダのU字形の溝内に配置することができる。次いで、カニューレをクランプして、シーラント塗布手順中にカニューレの先端が回転したとき、カニューレの先端がぐらつくことを防ぎ得る。
【0041】
図8は、湾曲した先端を有するカニューレをシールするための例示的なシーラント塗布システム800を示す。しかし、システム800は、直線のカニューレを同様にシーリングするためにも使用され得ることに留意されたい。シーラント塗布システム800は、固定ハウジング840と、カニューレホルダ820に結合された回転可能ホイール830とを含む回転ステージ850を含む。回転可能ホイール830は、クランプ860によってクランプされているカニューレ104(例えば、湾曲したカニューレ)と共にカニューレホルダ820を回転させるように構成されている。換言すれば、シーラント塗布手順中にカニューレ104のみが回転する図7と異なり、図8に示す実施形態では、カニューレ104は、カニューレホルダ820及び回転可能ホイール830と共に、カニューレ104に平行な(例えば、示されるようにX軸に平行な)回転軸の周りで全てが一緒に回転される。特定の実施形態では、回転可能ホイール830は、回転可能ホイール830を回転させるように構成されたアクチュエータに結合され得る。
【0042】
図8に示すように、カニューレホルダ820は、開口部870を有して、いくらかのハンドルームを提供し、それにより、ユーザがカニューレ104を操作し、その配置などを調整することを可能にする。図8では、カニューレホルダ820は、ネジ862a及び862bでクランプ860に結合されているように示されている。しかし、他の実施形態では、ネジ以外の要素を使用して、クランプ860をカニューレホルダ820に結合し得る。
【0043】
図9は、カニューレ104をクランプするためのクランプ860に結合されたカニューレホルダ820の別の図を示す。クランプ860は、カニューレ104の上部に圧力を加えることにより、カニューレ104を固定することができる。特定の実施形態では、クランプ860は、クランプカニューレ104がカニューレ104を損傷しないように可撓性材料で作成される。上述のように、カニューレ104が湾曲している場合、カニューレ104の遠位端の先端(例えば、先端980として示されている)は、回転中にカニューレ104がぐらつくことを防ぐためにU字形溝から外され得ることに留意されたい。
【0044】
図10は、本発明の特定の実施形態による、レーザプローブをシーリングするための方法におけるステップを表すフローチャート1000を示す。いくつかの実施形態では、フローチャート1000のステップは、シーラント塗布システム(例えば、シーラント塗布システム500)を使用して実行される。特定の実施形態では、ユーザは、ステップ1002~1012の実行に関与し、他の実施形態では、シーラント塗布システム500は、ステップ1002~1012の少なくともいくつかを自動的に実行するように構成され得る。
【0045】
ステップ1002において、プローブアセンブリのカニューレ(例えば、カニューレ104)は、ユーザなどにより、カニューレホルダのU字形溝内に配置される。図2Aに関して説明したように、保護構成要素は、カニューレの遠位端に配置される。その近位端において、カニューレは、カニューレを回転させるためのアクチュエータに結合されている。
【0046】
ステップ1004において、シーラント塗布器のワイヤがシーラント内に浸される。
【0047】
ステップ1006において、シーラント塗布器がXYZステージマシンのXYZステージマウントに配置される。
【0048】
ステップ1008において、シーラント塗布器のワイヤがレーザプローブのシーリング位置に配置されるように、シーラント塗布器の位置が調整される。ワイヤをシーリング位置に配置することにより、ワイヤ上のシーラントが少なくともシーリング位置(例えば、図4のシーリング位置430)の領域に塗布される。
【0049】
ステップ1010において、カニューレを回転させるためのアクチュエータの動作が開始される。カニューレを回転させることにより、ワイヤ上のシーラントをシーリング位置の全ての領域に塗布することを可能にする。
【0050】
ステップ1012において、任意選択的に、XYZステージマシンは、ワイヤの他の領域(例えば、より下部の領域)のシーラントをシーリング位置に塗布するためにワイヤを前方に移動させる。アクチュエータは、シーリング位置が完全にシールされるまでカニューレを回転させ続ける。
【0051】
フローチャート1000のステップ1002~1010(及び任意選択的に1012)を実行することにより、プローブ内に漏れ得る流体の量を防止又は少なくとも低減する、シールされた遠位端を有する熱的にロバストなレーザプローブアセンブリが得られる。特定の実施形態では、シーリング位置がシールされた後、プローブは、二重硬化(紫外線(UV)+接着剤の熱硬化)され得る。
【0052】
前述の説明は、本明細書に記載された様々な実施形態を当業者が実施することを可能にするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な変更形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲が与えられるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10