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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240924BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20240924BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240924BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240924BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21V5/02 100
F21V5/02 300
F21V5/00 530
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021019581
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122389
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-181772(JP,A)
【文献】特開2011-014520(JP,A)
【文献】特開2009-076374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/02
F21V 5/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導光板の、第1の側面に第1の方向に沿って複数の第1のLEDが配置し、第2の導光板の、第2の側面に前記第1の方向に沿って複数の第2のLEDが配置し、前記第1の導光板と前記第2の導光板が重ねて配置された照明装置であって、
前記第1の導光板は前記第1の方向と直角方向である第2の方向に延在する第1の領域と、前記第2の方向に延在し、前記第1の領域と隣接する第3の領域を有し、
前記第1の領域の下面には、第1のプリズムアレイが形成され、
前記第3の領域の下面には、プリズムアレイは形成されておらず、
前記第2の導光板は前記第2の方向に延在する第2の領域と、前記第2の方向に延在し、前記第2の領域と隣接する第4の領域を有し、
前記第2の領域の下面には、第2のプリズムアレイが形成され、
前記第4の領域の下面には、プリズムアレイは形成されておらず、
平面で視て、前記第1の領域と前記第4の領域が重なっており、前記第2の領域と前記第3の領域が重なっており、
前記第2の領域のプリズムアレイのプリズムの高さは前記第1の領域のプリズムアレイのプリズムの高さよりも大きいことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の導光板は前記第2の導光板の上に配置していることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第2のプリズムアレイのプリズムのピッチは、前記第1のプリズムアレイのプリズムのピッチよりも大きいことを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2のプリズムアレイのプリズムの頂角は、前記第1のプリズムアレイのプリズムの頂角よりも小さいことを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であり、
前記第2のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の領域から出射する光の方向は、前記第1の導光板の主面の法線方向であり、
前記第2の領域から出射する光の方向は、前記第2の導光板の主面の法線方向と角度を有していることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1の領域から出射する光の方向は、前記第1の導光板の主面の法線方向と第1の角度を有しており、
前記第2の領域から出射する光の方向は、前記第2の導光板の主面の法線方向と第2の角度を有しており、
前記第2の角度は前記第1の角度よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1の側面と前記第2の側面は、平面で視て対向する方向に配置していることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1の側面と前記第2の側面は、平面で視て同じ方向に配置していることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1の領域と前記第3の領域の境界には、前記第2の方向に延在する第1の切り込みが形成され、前記第2の領域と前記第4の領域の境界には、前記第2の方向に延在する第2の切り込みが形成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出射方向を容易に変換することが出来る、あるいは、複数の方向にコリメート光を出射することが出来る薄型の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機や電車の各座席にコリメートされた光を投射する需要がある。また、自動車等で、目的によって別な角度で光を放射したい場合がある。一方、光源から異なる角度で光を放射したい場合がある。このような場合、例えば、光源の角度を変える、光源からの出射光に対して反射板を配置して出射角度を変える、光源からの出射光に対してレンズを配置して出射角度を変える等の手段がある。
【0003】
特許文献1には、1個の光源から出射する光の角度を変化させる構成が記載されている。特許文献1には、直下型の光源の上に出射光の角度を変えるための屈折手段を載置した構成が記載されている。これらの屈折手段として、レンズ、プリズム、液体レンズ、液晶レンズ等を用いることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、液晶レンズを用いて、光ビーム形状を制御する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-069409
【文献】US2019/0025657 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飛行機や電車の各座席にコリメートされた光を投射する場合、あるいは、自動車等で、機能によって別な角度で光を放射したい場合、例えば、飛行機等の各座席毎に照明装置を配置してもよいが、この場合、照明器具の数が多くなり、重量やスペースが問題になる。
【0007】
1個の光源から出射する光の方向を変えるために、光源を回転させて出射角度を変えることもできるが、この場合、機械的な駆動装置が必要になり、照明装置が大型化してしまう。また、光源の出射側に光の屈折手段を配置する方法は、屈折手段を配置することによる装置の大型化が問題となり、さらに、屈折手段を駆動する手段も必要となる。
【0008】
本発明の課題は、薄型で、スペースをとらず、かつ、光の出射角度を容易に変えることが出来る照明装置を実現することである。また、本発明の他の課題は、薄型で、スペースをとらず、かつ、複数の方向に、コリメートされた出射光を放出することが出来る照明装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)第1の方向に延在する第1の側面と前記第1の側面と対向して前記第1の方向に延在する第2の側面を有する導光板を有し、前記第1の側面または前記第2の側面にLEDを有する照明装置であって、前記導光板は、前記第1の方向と直角方向である第2方向に延在する第1の領域と、前記第2の方向に延在し、前記第1の領域と隣接する第2の領域を有し、前記第1の領域の前記第1の側面または前記第2の側面には少なくとも1個の前記LEDが配置し、前記第2の領域の前記第1の側面または前記第2の側面には少なくとも1個の前記LEDが配置し、前記第1の領域の下面には、第1のプリズムアレイが形成され、前記第2の領域の下面には第2のプリズムアレイが形成され、前記第2のプリズムアレイのプリズムの高さは、前記第1のプリズムアレイのプリズムの高さよりも大きいことを特徴とする照明装置。
【0011】
(2)前記第2のプリズムアレイのプリズムのピッチは、前記第1のプリズムアレイのプリズムのピッチよりも大きいことを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0012】
(3)前記第2のプリズムアレイのプリズムの頂角は、前記第1のプリズムアレイのプリズムの頂角よりも小さいことを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0013】
(4)前記第1のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であり、前記第2のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であることを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0014】
(5)前記第1の領域から出射する光の方向は、前記導光板の主面の法線方向であり、前記第2の領域から出射する光の方向は、前記導光板の主面の法線方向と角度を有していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【0015】
(6)第1の導光板の、第1の方向に延在する第1の側面に第1のLEDが配置し、第2の導光板の、前記第1の方向に延在する第2の側面に第2のLEDが配置し、前記第1の導光板と前記第2の導光板が重ねて配置された照明装置であって、前記第1の導光板は前記第1の方向と直角方向に延在する第1の領域と、前記第2の方向に延在し、前記第1の領域と隣接する第3の領域を有し、前記第1の領域の下面には、第1のプリズムアレイが形成され、前記第3の領域の下面には、プリズムアレイは形成されておらず、前記第2の導光板は前記第2の方向に延在する第2の領域と、前記第2の方向に延在し、前記第2の領域と隣接する第4の領域を有し、前記第2の領域の下面には、第2のプリズムアレイが形成され、前記第4の領域の下面には、プリズムアレイは形成されておらず、平面で視て、前記第1の領域と前記第4の領域が重なっており、前記第2の領域と前記第3の領域が重なっており、前記第2の領域のプリズムアレイのプリズムの高さは前記第1の領域のプリズムアレイのプリズムの高さよりも大きいことを特徴とする照明装置。
【0016】
(7)前記第1の導光板は前記第2の導光板の上に配置していることを特徴とする(6)に記載の照明装置。
【0017】
(8)前記第2のプリズムアレイのプリズムのピッチは、前記第1のプリズムアレイのプリズムのピッチよりも大きいことを特徴とする(6)に記載の照明装置。
【0018】
(9)前記第2のプリズムアレイのプリズムの頂角は、前記第1のプリズムアレイのプリズムの頂角よりも小さいことを特徴とする(6)に記載の照明装置。
【0019】
(10)前記第1のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であり、
前記第2のプリズムアレイの延在方向は前記第1の方向であることを特徴とする(6)に記載の照明装置。
【0020】
(11)前記第1の領域から出射する光の方向は、前記第1の導光板の主面の法線方向であり、前記第2の領域から出射する光の方向は、前記第2の導光板の主面の法線方向と角度を有していることを特徴とする(6)に記載の照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の照明装置の斜視図である。
図2図1のA部詳細図である。
図3】プリズムシートの平面図及び断面図である。
図4】実施例1の作用を示す斜視図である。
図5】実施例1の作用を示す斜視図である。
図6図5のA-A断面図である。
図7】実施例1の作用を示す斜視図である。
図8図7のB-B断面図である。
図9】実施例2の斜視図である。
図10図9をC方向から見た側面図である。
図11図9をD方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に実施例によって本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明による照明装置の基本的な構成を示す分解斜視図である。図1に示すように、本発明の特徴は、導光板10の第1の側面にLED40を配置した、サイドライト方式である。導光板10はY方向(第1の方向)に延在する第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、第1の側面と第2の側面とに直交しX方向(第2の方向)に延在する第3の側面及び第4の側面と、第1の側面乃至第4の側面と直交する前面と、前面とZ方向(第3の方向)に対向する裏面を備える。
【0024】
サイドライト方式は、照明装置を薄くすることが出来る。図1において、導光板10の第1の側面に対向してLED40を配置し、LED40はY方向に等間隔で配置している。後で説明するように、各LED40に対応して導光板10の下面に形成されているプリズムの形状が異なっており、対応する領域毎に導光板から出射する光の角度が異なっている。
【0025】
導光板10の下面に反射シート20が配置している。反射シート20は、導光板10から下方に向かう光を反射して出射面側である上側に向ける。反射シート20は、例えば、銀蒸着フィルムや3M製のESR(Enhanced Specular Reflector)を用いることが出来る。厚さは例えば70μm程度である。
【0026】
図1において、反射シート20の上に導光板10が配置している。導光板10の厚さは2mm程度である。導光板10は、側面から入射したLED40からの光を出射面である上方向に向ける役割を有する。導光板10の下面方向に向かう光は、反射シート20によって、出射面である、上方向に反射される。
【0027】
導光板10は、サイドから入射した光を効率よく、主面から出射させて面光源とするために、上面及び下面にプリズムアレイが形成されている。導光板10の上面及び下面に形成されたプリズムアレイは、プリズムシート30に形成されたプリズムアレイ、表示装置等に使用されている導光板に形成されることがあるプリズムアレイとは非常に異なっている。
【0028】
特に、導光板10の下面に形成されるプリズムは導光板からの出射角を規定するものであり、出射角に対応する領域毎に異なっており、本発明の特徴となっている。導光板10、LED40、反射シート20、プリズムシート30等は外枠100内に収容される。図1の照明装置は、サイドライト方式なので、厚さを小さくすることが出来る。
【0029】
図2は、図1の丸で囲った領域Aの詳細斜視図である。図2では、外枠100は省略されている。導光板10の上面にはx方向に延在するプリズムアレイが形成されている。このプリズムアレイの突起はx方向に延在し、y方向に配列している。突起の高さhtは例えば、0.1μm、ピッチpyは例えば0.2μmである。プリズムの頂角θtは、例えば90度である。
【0030】
図2において、LED基板41に搭載されたLED40が導光板10の側面に対向して配置されている。導光板10には、サイドに配置されるLED40に対応してx方向に延在する領域11とx方向に延在する領域12がy方向に繰り返し形成されている。そして、領域11、12毎に導光板10から出射する光の向きが異なる。これは、導光板10の下面に形成されたプリズムアレイを各領域11、12で異ならせることによっておこなわれている。
【0031】
図2では、領域11と領域12の境界が点線で示されているが、実際には、点線のような仕切りがあるわけではない。ただし、領域11と領域12の間の干渉を防ぐために、切り込み等の仕切りを形成することはあり得る。導光板10の下面にはy方向に延在するプリズムアレイが形成されているが、このy方向に延在するプリズムアレイは、領域11、12毎に異なっている。導光板10の下面のプリズムアレイはy方向に延在し、x方向に配列している。プリズムアレイの突起の高さhb、ピッチpx、プリズムの頂角θbは、領域11、12で大きく異なる。
【0032】
例えば、領域11が導光板からの出射光が導光板上面から垂直方向に向かう領域である場合、プリズムアレイの突起の高さhbは例えば、0.002μm、ピッチpxは例えば0.1μmである。プリズムの頂角は、例えば90度である。一方、領域12が導光板からの出射光が導光板上面の法線方向に対して角度θpを持った方向に向かう領域である場合、領域12のプリズムアレイの突起の高さhb、ピッチpxは、領域11より大きい。プリズムの頂角は、必要な偏向角となるように選択する。
【0033】
なお、導光板10の上面及び下面に形成されるプリズムアレイは、突起ではなく、導光板10の表面にV溝を形成することによって形成することも出来る。また、図2では、導光板10の上面に配置している光学シートはプリズムシート30のみであるが、必要に応じて、プリズムアレイがプリズムシートのアレイと直角方向に延在するもう一枚のプリズムシートを重ねて配置してもよい。さらに、出射光を均一にするために、導光板の上に拡散シートを配置してもよい。
【0034】
図3は、プリズムシート30にプリズムアレイをV溝によって形成した場合のプリズムシートの図である。図3のプリズムシートはいわゆる逆プリズムシートである。図3において、プリズムアレイはy方向に延在し、x方向に配列している。プリズムシート30の寸法例は次のとおりである。プリズムシート30の厚さtpは例えば0.125mm、V溝の深さVdは例えば0,075mm、頂角θpは例えば66度、ピッチppは、例えば0.1mmである。図9のプリズムシート30は、x方向に広がろうとする光を出射面方向、すなわち、z方向に集める作用をする。
【0035】
図4は、実施例1の特徴を説明するために導光板10とLED40のみを取り出した斜視図である。図4において、導光板10の側面に所定のピッチでLED40が配置している。導光板10には、各LED40に対応して領域11及び領域12が形成されている。領域11と領域12の光の出射面はX方向に長辺を有し、Y方向に短辺を有する矩形状である。領域11と領域12の境界線は、便宜的に記載したものであり、実際の製品には、このような線は必ずしも必要はない。
【0036】
領域11では、導光板10の上面からの出射光は導光板上面の法線方向であり、領域12では、導光板10の上面からの出射光は導光板上面の法線方向に対して所定の角度を有している。したがって、角度の異なる2方向に光を出射することが出来る。
【0037】
領域11と領域12の差は、導光板10の下面に形成されたy方向に延在し、x方向に配列したプリズムアレイである。領域11においては、側面から入射するLED40からの光の入射角、あるいは、反射シート20からの光に対して、導光板10の上面の法線方向に向けるようなプリズムアレイが選ばれる。具体的には、図2で説明したような、プリズム高さもプリズムピッチも非常に小さなプリズムアレイが選ばれる。
【0038】
一方、領域12においては、プリズムアレイによって光の向きを積極的に所定の方向に変更する必要があるので、プリズムの作用をより強くする必要がある。したがって、プリズムの高さhbをより大きくし、それに対応してプリズムアレイのピッチpxもより大きくする必要がある。プリズムの頂角θbは光の進行方向を変化させるために選定されるが、領域12における頂角θbは領域11における頂角θbよりも小さい場合が多い。
【0039】
図5乃至図8は、図4と同じ構成で、出射光の向きを変化させる場合の例である。図5は、出射光を導光板10の上面に対して鉛直方向に出射させる場合である。図5の構成は図4の構成と同じであるが、図4と異なる点は、図5においては、領域11に対応するLED40のみを点灯し、領域12に対応するLED40は点灯しない。したがって、出射光は、導光板10の上面に対して鉛直方向の光のみである。
【0040】
図6図5のA-A断面図である。図6の基本的な構成は、図2で説明したのと同様である。図6の下の図は、導光板10の拡大図である。導光板10の上面のプリズムアレイは省略されている。図6は導光板10の下面のプリズムアレイに特徴がある。図6は領域11の断面図であるから、導光板10からの光は導光板10の上面の法線方向に出射される。図6におけるプリズムアレイの下面のプリズム111の高さhbは例えば、0.02μm、ピッチpxは例えば0.1μmであり、プリズムの頂角θbは136度である。ただし、これは例であり、出射光が導光板10の上面の法線方向にコリメートされるようプリズムアレイの形状を形成すればよい。
【0041】
図7は、出射光を導光板10の上面の法線方向と所定の角度を有する向きに出射させる場合である。図7の構成は図4の構成と同じであるが、図4と異なる点は、図7においては、領域12に対応するLED40のみを点灯し、領域11に対応するLED40は点灯しない。したがって、出射光は、導光板10の上面の法線方向と所定の角度を有する光のみが出射する。
【0042】
図8図7のB-B断面図である。図8の基本的な構成は、図2で説明したのと同様である。図8の下の図は、導光板10の拡大図である。導光板10の上面のプリズムアレイは省略されている。図8は導光板10の下面のプリズムアレイに特徴がある。図8は領域12の断面図であるから、導光板10からの光は導光板10の上面の法線方向に対して所定の角度を有して出射される。したがって、導光板10の下面に形成されるプリズムアレイは、領域11に対応する図6によるプリズムアレイよりも光をより大きく偏向させる必要がある。したがって、図8におけるプリズムアレイのプリズム121の高さhb及びピッチpxは図6の場合よりも大きい。
【0043】
図8の例では、プリズムの頂角θbは60度であり、図6におけるプリズムの頂角θbよりも小さくなっている。また、プリズムとプリズムの間に平坦な部分fxが存在している。プリズムアレイのプリズム121の高さhb、ピッチpx、プリズムの頂角θb、フラット部分の幅fx等は、導光板10からの出射角をどの程度大きくするかによって選定する。
【0044】
ところで、領域11と領域12との間に仕切りが存在しないと、双方の領域の光が互いに干渉しあい、所定の方向に十分にコリメートされた光が放射されない場合がある。これを防止するには、領域11と領域12の間に相互の干渉を防ぐための仕切りを形成すればよい。つまり、図2の導光板10の側面に記載された破線で示すような仕切りである。
【0045】
この仕切りは、導光板10に形成されるLEDが配列する方向(例えば図5のy方向)と直角方向(例えば図5のx方向)に延在するので、LEDからの光が導光板10に入射するための妨げになることはない。このような仕切りは、例えば、導光板10に切り込みを形成すればよい。導光板10に形成された切り込みは屈折率の違いから反射面になり、領域11と領域12の間の光の干渉を防止することが出来る。
【0046】
このような切り込みは導光板10を完全に分離するような切り込みではなく、例えば、導光板10の厚さの1/2の深さ、あるいは、導光板の厚さの2/3の深さでよい。導光板を領域11、12毎に完全に分離するほうが干渉を防ぐ上では有利ではあるが、この場合は、例えば反射シート20に導光板10の領域11、12を並列に配置すればよい。
【0047】
なお、図4図5図7では、LED40は、領域11または領域12に各1個、側面に配置しているが、これに限らず、導光板10の相対する側面に配置してもよい。例えば、領域11用のLEDは、図4等の右側の側面に配置し、領域12用のLEDは図4等の左側の側面に配置する等の構成とすることも出来る。
【実施例2】
【0048】
図9は実施例2の特徴的な構成を示す分解斜視図である。図2の構成は、導光板51と52の2枚の導光板を重ねて使用することに特徴がある。実施例2におけるその他の構成は、図2で説明したのと同様である。すなわち、上側の導光板51の上にプリズムシート30が配置し、下側の導光板52の下に反射シート20を配置させる。
【0049】
図9において、上側の導光板51は領域11と領域13に分かれている。領域11に対応してLED40が配置している。領域13に対しては、LED40は配置されていない。領域11において、導光板51の下面には、図6で説明したようなプリズムアレイが形成されている。領域11の上面には、図2で説明したようなプリズムアレイが形成されている。このような構成によって側面に配置したLED40から入射した光を導光板51の上面の法線方向に出射することが出来る。
【0050】
領域13は、導光板51の上面にも下面にもプリズムアレイは形成されていない。領域13は、下側の導光板52から法線方向に対して角度を有して出射した光を、角度を変えずそのまま通過させる役割を有しているので、導光板51の上面、下面とも、プリズムアレイは形成されていないほうがよい。但し、光の進行方向に影響ない程度のプリズムアレイは形成してもよい。
【0051】
図9において、下側の導光板52は領域12と領域13に分かれている。領域12に対応してLED40が配置している。領域13に対しては、LED40は配置されていない。領域12において、導光板52の下面には、図8で説明したようなプリズムアレイが形成されている。領域12の上面には、図2で説明したようなプリズムアレイが形成されている。このような構成によって側面に配置したLED40から入射した光を、導光板52の上面の法線方向に対して角度をもって出射することが出来る。
【0052】
領域13は、導光板51の上面にも下面にもプリズムアレイは形成されていない。導光板52における領域13は、下側の反射シート20からの光をそのまま、上側の導光板51の領域11に導く役割を有しているので、領域13では、導光板52の上面、下面とも、プリズムアレイは形成されていないほうがよい。但し、光の進行方向に影響ない程度のプリズムアレイは形成してもよい。
【0053】
図10は、図9の構成を図9における矢印Cの方向から見た場合の側面図である。なお、図10では、反射シート20及びプリズムシート30が図9に対して追加されている。図10において、反射シート20及びプリズムシート30の間に、下から順に導光板52及び導光板51が配置している。下側の導光板52の領域12において、導光板52の上面及び下面には、図8で説明したようなプリズムアレイが形成されている。
【0054】
領域12においては、導光板52の上面の法線方向に対して角度を持った光が出射される。図10における矢印は光の出射方向を指すが、図9のC方向から見ると、導光板52からの出射光も上側に向かうように見える。導光板52の紙面と反対側の側面に、領域12に対応して、LED40が配置されているので、図10では、LED40は点線で示されている。
【0055】
導光板52の、点線で囲んだ領域13では、導光板52の上面、下面には、プリズムアレイは形成されていない。領域13は、反射シートからの光を、進行方向を変えることなく上側の導光板に導くので、プリズムアレイは不要である。ただし、光の進行方向を変えない程度のプリズムアレイは形成してもよい。
【0056】
上側の導光板51の領域11において、導光板51の上面及び下面には、図6で説明したようなプリズムアレイが形成されている。領域11においては、導光板51の上面の法線方向に光が出射される。導光板51において、領域11に対応した側面に、LED40が配置されている。
【0057】
導光板51の領域13では、導光板51の上面、下面には、プリズムアレイは形成されていない。領域13は、導光板52の領域12からの光を、進行方向を変えることなく導光板51から出射させるので、プリズムアレイは不要である。ただし、光の進行方向を変えない程度のプリズムアレイは形成してもよい。
【0058】
図11は、図9の構成を図9における矢印Dの方向から見た場合の側面図である。図11において、反射シート20及びプリズムシート30の間に、下から順に導光板52及び51が配置している。下側の導光板52は領域12の側面が見えている。導光板52の上面及び下面には、図8で説明したようなプリズムアレイが形成されている。導光板52の側面にはLED40が配置している。
【0059】
導光板52の上に配置された導光板51は、領域13の側面が見えている。領域13には、上面にも下面にもプリズムアレイは形成されていない。図11において、上側導光板51に見えるプリズムアレイは、上側導光板51の領域11の上面及び下面に形成されたプリズムアレイである。上側導光板51の左側面にLED40が配置しているが、このLED40は、領域13ではなく、領域11の側面に配置されたLEDである。
【0060】
なお、図9乃至図11は、上側の導光板51用LED40と下側の導光板52用LED40を同時に点灯した場合である。これに対して、上側の導光板51用LED40のみを点灯すれば、上側の導光板51の上面の法線方向に向かう光のみ出射することが出来る。また下側の導光板52用LED40のみを点灯すれば、上側の導光板51の上面の法線方向と所定の角度をなす光のみを出射することが出来る。
【0061】
ところで、導光板51の領域11と領域13との間、あるいは、導光板52の領域12と領域13の間に仕切りが存在しないと、双方の領域の光が互いに干渉しあい、所定の方向に十分にコリメートされた光が放射されない場合がある。これを防止するには、実施例1で説明したのと同様、領域11と領域13の間、あるいは、領域12と領域13の間に相互の干渉を防ぐための仕切りを形成すればよい。このような仕切りは、例えば、導光板に切り込みを形成すればよい。導光板に形成された切り込みは屈折率の違いから反射面になり、領域11と領域13の間、あるいは領域12と領域13の間の光の干渉を防止することが出来る。
【0062】
以上のように、実施例2においても、進行方向の異なる光を切り替えて出光できる照明装置を実現することが出来る。あるいは、進行方向の異なる2つの光を同時に出光できる照明装置を実現することが出来る。なお、実施例2では、実施例1に比べて導光板が1枚増えた分、照明装置の厚さが大きくなるが、導光板の厚さは、せいぜい2mm程度なので、照明装置全体としてみた場合は大きな影響はない。
【0063】
図9乃至図11に示す構成は、出射光を導光板51の上面の法線方向に向ける導光板51を、出射光を導光板51の上面の法線方向と角度を持った方向に向ける導光板52の上に配置した構成である。逆に導光板52を導光板51の上側に配置する構成であっても同様な作用を得ることが出来る。
【0064】
実施例1及び実施例2において、領域11、領域12から放射される光は、分布を有している。領域11、領域12から出射される、導光板の上面の法線に対する角度は、各光の分布において、もっとも強度が大きい部分の角度として定義すればよい。
【0065】
実施例1及び実施例2では、領域11から出射する光は、導光板上面の法線方向である。しかし、これに限らず、領域11の代わりに、例えば領域14を形成して、出射光を導光板の上面の法線方向と角度を有し、かつ、この角度を領域12から出射する光の角度とも異ならせることが出来る。この角度は、例えば導光板の領域14に下面に形成するプリズムアレイを、領域11あるいは領域12のいずれとも異ならせることで実現することが出来る。
【0066】
導光板から法線方向に出射する第1の出射光と、法線方向とは異なる方向に出射する第2の出射光の強度を変化させたい場合、領域11と領域12の数を変えればよい。あるいは、領域11と領域12に配置するLEDの数を変えればよい。
【0067】
実施例1及び実施例2では、領域12からの出射方向は、方位角がx方向における極角を変えるものである。照明装置からの角度を持った光をx方向以外に向けたい場合は、あらかじめ照明装置をその向きに回転して設置しておけばよい。設置した後は、照明方向を切り替える場合も照明装置自体を回転させる必要はない。
【0068】
実施例1及び実施例2では、領域12からの出射方向は、方位角がx方向における極角を変えるものである。領域12からの出射方向を、方位角がy方向における極角を変えるものとしたい場合、領域11、領域12、及び領域13の延在方向を実施例1及び2の場合と直角方向とし、かつ、LEDを配置する導光板の側面を実施例1あるいは実施例2の側面と直角方向の側面とすればよい。
【0069】
実施例1及び実施例2では、領域11及び領域12には、LED40が1個対応しているが、照明装置の照度をさらに強くしたい場合は、領域11及び領域12にLEDを複数配置することも出来る。
【0070】
実施例1及び2では、光を2方向に切り替えて使用する、あるいは、2方向に同時に出射する構成を説明した。しかし、各出射光を十分にコリメートすることが出来れば、3以上の複数の方向に切り替えて使用、あるいは、3以上の複数の方向に同時に出射することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…導光板、 11…導光板の領域、 12…導光板の領域、 13…導光板の領域、 20…反射シート、 30…プリズムシート、 40…LED、 41…LED基板、 51…導光板、52…導光板、100…外枠、 111…プリズム、 121…プリズム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11