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  • 特許-画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B65H1/26 312E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021021829
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124205
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】田村 紅葉
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 未沙樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 肇
(72)【発明者】
【氏名】神成 勲
(72)【発明者】
【氏名】田岡 桂太朗
(72)【発明者】
【氏名】中川 弘之
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148829(JP,A)
【文献】特開2020-117327(JP,A)
【文献】特開2019-174745(JP,A)
【文献】特開2019-131359(JP,A)
【文献】特開2007-112558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00
-3/68
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16
-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に装着される装着位置と前記装置本体から引き出される引出位置との間で移動可能であって、用紙を収納する樹脂製の給紙カセットと、
前記装置本体に設けられ、前記給紙カセットを前記装着位置と前記引出位置との間で移動可能に案内する案内部材と、
前記装着位置にある前記給紙カセットから給送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記案内部材に取り付けられ前記給紙カセットを支持する支持部材と
前記給紙カセットの所定位置に取り付けられた金属製の補強部材と、を有し、
前記補強部材と前記給紙カセットはそれぞれ、前記給紙カセットが前記装着位置と前記引出位置との間を移動する際に前記支持部材と摺動する摺動面を有しており、
前記給紙カセットが前記装着位置にある状態で前記支持部材は前記補強部材の摺動面に接触し、前記給紙カセットが前記引出位置にある状態で前記支持部材は前記補強部材の摺動面に接触せず前記給紙カセットの摺動面に接触することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持部材は、略円板状でその中心軸まわりに回転可能な回転体であって
前記給紙カセットを前記装着位置と前記引出位置との間で移動させた際に前記給紙カセットに当接することによって前記回転体が回転することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙カセットと前記補強部材は、前記給紙カセットが前記装着位置と前記引出位置との間で移動する際に、一体となって移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持部材は、摺動グレード樹脂で成型された非回転部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能等の多くの機能を備えた、複合機(MFP)と呼ばれる画像形成装置が普及している。このような画像形成装置では、用紙(記録材)を収納する収納装置として、多数の用紙を積み重ねて収納する用紙トレイを備えた給紙カセットが、画像形成装置本体から引き出し可能に設けられた構成を採用するものが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像形成装置本体に設けられたコロの上を用紙トレイが滑ってスライドすることで、スムーズに給紙カセットを画像形成装置本体から引き出すことが可能な画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-134334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置の需要が新興国で増大している。これらの国々での画像形成装置の陸路輸送では、未舗装道路を利用する必要があることも多く、輸送時に画像形成装置に振動や衝撃がかかりやすい。そのため、輸送時に画像形成装置にかかる振動や衝撃によって部品に変形や破損が生じないようにする必要がある。
【0006】
ここで、画像形成装置が備える給紙カセットに着目すると、上記特許文献1に記載された技術では、用紙トレイを摺動性の高いコロと接触させて本体側レール部材で支えることによって、給紙カセットの引き出し時の摺動負荷を低減させている。
【0007】
しかしながら、このような構成では、給紙カセットが画像形成装置の本体部に格納された状態で、用紙トレイにはコロと接触している一部分に外力(応力)が集中してかかってしまう。ここで、用紙トレイは、PS樹脂やABS樹脂等の材料で一般的に成型されるため、運搬時(輸送時)にかかる外力による破損リスクの低減が望まれる。
【0008】
本発明は、輸送時における用紙トレイの破損を抑制することが可能な給紙カセットを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に装着される装着位置と前記装置本体から引き出される引出位置との間で移動可能であって、用紙を収納する樹脂製の給紙カセットと、前記装置本体に設けられ、前記給紙カセットを前記装着位置と前記引出位置との間で移動可能に案内する案内部材と、前記装着位置にある前記給紙カセットから給送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記案内部材に取り付けられ前記給紙カセットを支持する支持部材と前記給紙カセットの所定位置に取り付けられた金属製の補強部材と、を有し、前記補強部材と前記給紙カセットはそれぞれ、前記給紙カセットが前記装着位置と前記引出位置との間を移動する際に前記支持部材と摺動する摺動面を有しており、前記給紙カセットが前記装着位置にある状態で前記支持部材は前記補強部材の摺動面に接触し、前記給紙カセットが前記引出位置にある状態で前記支持部材は前記補強部材の摺動面に接触せず前記給紙カセットの摺動面に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙トレイの破損を抑制することが可能な給紙カセットを備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2】画像形成装置から給紙カセットを引き出した状態を示す斜視図である。
図3】給紙カセット格納時のレール部材近傍の構造を示す第1の斜視図である。
図4】給紙カセット格納時のレール部材近傍の構造を示す第2の斜視図である。
図5】レール部材とコロの位置関係を示す側面図と、コロと補強部材及び用紙トレイの位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、給紙カセット101,102、給紙部111,112、搬送ローラ対121,122,123,124、画像形成部141、排出ローラ131及び排出トレイ142を有する。
【0013】
給紙カセット101,102はそれぞれ、用紙P(シート(記録材))を複数収納する。給紙カセット101に収納されている用紙Pは、給紙部111により搬送ローラ対122へ給送され、そこから搬送ローラ対123へ給送される。また、給紙カセット102に収納されている用紙Pは、給紙部112により搬送ローラ対121へ給送され、そこから搬送ローラ対122を経て搬送ローラ対123へ給送される。
【0014】
搬送ローラ対123へ給送された用紙Pは、そこから更に搬送ローラ対124へ搬送された後、画像形成部141へ搬送される。画像形成部141は、給送された用紙Pに画像を形成する。画像が形成された用紙Pは、画像形成部141から排出ローラ131へ送られ、排出ローラ131によって排出トレイ142へ排出される。
【0015】
なお、画像形成装置100は、2段の給紙カセットを備えているが、給紙カセットの数は2段に限らず、1段であってもよいし3段以上であってもよい。画像形成部141での用紙Pに対する画像形成方法には、公知の技術を用いることができる。画像形成部141は本発明の要部ではないため、詳細な説明は省略する。
【0016】
また、画像形成装置100は、原稿を光学的に読み取る読み取り部(スキャナ)や、ネットワークや公衆通信回線を通じて外部装置とデータの送受信を行う通信部を備えていてもよい。つまり、画像形成装置100は、印刷機能のみを有するプリンタであってもよいし、コピー機や複合機(MFP)等であってもよい。
【0017】
次に、給紙カセット101,102について説明する。2つの給紙カセット101,102の構造は同等であるため、以下では給紙カセット101について説明する。
【0018】
図2は、画像形成装置100の本体部100Aから給紙カセット101が引き出された状態を示す斜視図である。図2及び後に参照する図3乃至図5には、以下に説明する画像形成装置100の各部の構造と対応を明らかにするために3次元の直交座標系が設定して示されている。Z方向は画像形成装置100の前後方向、X方向は画像形成装置100の幅方向、Y方向は画像形成装置100の高さ方向であるとする。
【0019】
給紙カセット101,102は、本体部100Aに格納された装着位置と、本体部100Aの手前側(+Z側)へ引き出された引出位置との間で移動可能に、本体部100Aに保持されている。図2には2つの給紙カセット101,102が同様に引き出された状態が示されているが、給紙カセット101,102は個別に引き出すことが可能となっている。
【0020】
矢印Eで示す方向(-Z方向)に画像形成装置100を見て、本体部100Aにおいて給紙カセット101の左右端近傍には、装着位置と引出位置との間での給紙カセット101の移動を案内する案内部材としてのレール部材200,210が設けられている。給紙カセット101の前面に設けられた取っ手220に手を掛けて手前に(矢印Eの反対向きに)引き出すと、給紙カセット101はレール部材200,210に案内されて本体部100Aから引き出される。
【0021】
続いて、レール部材200,210の構成について説明する。レール部材200とレール部材210はX方向において対称な構造を有するため、ここでは、レール部材200について説明する。
【0022】
図3は、給紙カセット101が本体部100Aに格納された状態でのレール部材200及びその近傍の構造を示す第1の斜視図である。図4は、給紙カセット101が本体部100Aに格納された状態でのレール部材200及びその近傍の構造を示す第2の斜視図である。なお、図3の第1の斜視図と図4の第2の斜視図は、図3及び図4に示す座標軸から明らかなように、レール部材200を見る方向が異なっている。また、図3及び図4では、本発明の特徴的な構成を明らかにするために、本発明とは直接の関係のない一部の部品の図示を省略している。
【0023】
レール部材200の前側(+Z側)の先端には、給紙カセット101をZ方向に移動可能に支持する支持部材の一例として、所定の厚みを有するコロ301(略円板状(車輪状)の部材)が、回転中心軸であるコロ軸310を中心に回転可能に取り付けられている。給紙カセット101は、用紙トレイ320(用紙収納部)と補強部材321を有する。用紙トレイ320は樹脂材料で成型されており、補強部材321は金属材料で形成されている。
【0024】
本実施形態では、用紙トレイ320の底面の所定位置に2箇所の位置決め突起401を設ける共に、補強部材321の対応する位置に2箇所の位置決め突起401を挿通させる穴402を設けて、用紙トレイ320に対して補強部材321を位置決めしている。また、ねじ403を用いて補強部材321を用紙トレイ320に固定しているが、補強部材321の用紙トレイ320に対する固定方法はこの限りではない。
【0025】
用紙トレイ320に用いられる樹脂材料には、例えば、画像形成装置の給紙カセットでは従前より広く用いられているPS樹脂等が挙げられる。補強部材321に用いられる金属材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金、マグネシウム合金が挙げられる。図4に示されるように、用紙トレイ320は-Y側にコロ301と摺動する摺動面320aを有し、また、補強部材321は-Y側にコロ301と摺動面321aを有する。
【0026】
図5(a)はレール部材200とコロ301の位置関係を示す側面図であり、図5(b)はコロ301と補強部材321及び用紙トレイ320の位置関係を示す側面図である。なお、図5(a),(b)はそれぞれ、給紙カセット101が本体部100Aに格納された状態で簡易的に表されている。
【0027】
画像形成装置100の本体部100Aから給紙カセット101を+Z側へ引き出す際には、補強部材321の摺動面321aと用紙トレイ320の摺動面320aがコロ301を回転させながらコロ301の外周面上を滑る。これにより、給紙カセット101を本体部100Aから滑らかに引き出すことが可能となっている。
【0028】
コロ301はレール部材200の下面200aよりも上方(+Y側)に突出するように配置されており、給紙カセット101の引き出し操作及び押し込み操作では、補強部材321の摺動面321a及び用紙トレイ320の摺動面320aがコロ301に当接する。また、給紙カセット101が本体部100Aに格納されている状態では、給紙カセット101は補強部材321の摺動面321aでのみコロ301と接触する。そして、画像形成装置100の輸送は、給紙カセット101が本体部100Aに格納されている状態で行われる。よって、画像形成装置100の輸送時に振動や衝撃等の外力が画像形成装置100に作用しても、その外力を機械的強度の高い金属製の補強部材321で受けるため、輸送時の破損リスクを低減させることができる。
【0029】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。例えば、上記実施形態では、レール部材200に設けられたコロ301が回転しながら給紙カセット101に対して摺動する構成を採用している。これに限らず、コロ301の代わりに摺動グレード樹脂で成型された板部材等の非回転部材を給紙カセット101(補強部材321の摺動面321a及び用紙トレイ320の摺動面320a)と摺動させる構成を採用してもよい。
【0030】
また、補強部材321には金属材料が用いられると説明したが、破損回避の効果が得られる限りにおいて、補強部材321には他の材料を用いることが可能である。例えば、補強部材321には、繊維強化プラスチック(FRP)、エンジニアリングプラスチック、エンジニアリングセラミックス等の機械的強度の大きい材料を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0031】
100 画像形成装置
101,102 給紙カセット
200,210 レール部材
301 コロ
320 用紙トレイ
320a 摺動面
321 補強部材
321a 摺動面
図1
図2
図3
図4
図5