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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】既設管路の補修部材および排水設備
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
E03F7/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021026053
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127847
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】佐野 陽和
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-336786(JP,A)
【文献】実開昭60-107184(JP,U)
【文献】実開昭57-091880(JP,U)
【文献】特開2002-294846(JP,A)
【文献】特許第6120681(JP,B2)
【文献】特開2001-193147(JP,A)
【文献】特開2005-325659(JP,A)
【文献】特開2002-266417(JP,A)
【文献】特開2014-234584(JP,A)
【文献】特開2017-002516(JP,A)
【文献】特開2006-161329(JP,A)
【文献】実開平01-136794(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03741920(EP,A1)
【文献】特開2015-075169(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204911(JP,U)
【文献】特開2018-204245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
E02D 29/00-29/14
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管路を補修するために前記既設管路内に挿入される補修部材であって、
前記既設管路は、
上方に開口し、上下に延びた直筒部と、
前記直筒部に接続され、流入口および流出口が形成された有底筒状の本体部と、
を有するますであり、
上下に延びた筒体と、
前記筒体から径方向の外方に突出したシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記本体部によって下方から支持されないように構成され、かつ、前記流入口および前記流出口よりも上方に配置され、
前記シール部材の先端部分は、前記ます内に挿入されたとき、前記直筒部の内周面に接触するように構成され、
前記筒体は、
前記シール部材よりも上方に配置され、外径が第1の外径である大径部と、
前記シール部材よりも上方、かつ、前記大径部よりも下方に配置され、外径が前記第1の外径よりも小さい第2の外径である小径部と、
前記大径部と前記小径部とを繋ぐ連結部と、
を有し、
前記連結部は、水平方向よりも下方を向いて配置されており、
前記連結部の外周面は、前記大径部から前記小径部に向かって傾斜している傾斜面を有し、
前記ます内に挿入されたとき、前記シール部材の上方において、前記直筒部と前記筒体との間には、充填された後に固められ、硬化性の材料である充填材が充填されている、既設管路の補修部材。
【請求項2】
前記筒体は、前記大径部よりも上方に配置され、上下に延びた縦筒部を有し、
前記小径部は、前記筒体の下端部を構成し、
前記小径部の内径は、前記縦筒部の内径よりも大きい、請求項1に記載された既設管路の補修部材。
【請求項3】
少なくとも前記連結部の外周面には、梨地加工が施されている、請求項1または2に記載された既設管路の補修部材。
【請求項4】
前記シール部材の端面は、第1の色で形成されており、
前記端面以外の前記シール部材の表面は、前記第1の色とは異なる第2の色で形成されている、請求項1からまでの何れか1つに記載された既設管路の補修部材。
【請求項5】
前記ますと、
請求項1からまでの何れか1つに記載された既設管路の補修部材と、
を備え、
前記補修部材は、前記筒体の外周面が前記直筒部の内周面から離間するように前記直筒部内に挿入された、排水設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管路の補修部材および排水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、既設管路を補修する補修部材が開示されている。既設管路とは、例えば、ますの上方に開口した開口部に接続された立ち上り管である。補修部材は、上下に延びた筒体と、筒体の下端から径方向の外方に延びたシール部材とを備えている。ますの底部には、上方に盛り上がった隆起部が形成されている。
【0003】
ますに接続された立ち上り管を補修する際、まず、ますの隆起部に補修部材が当接するまで、立ち上り管内に補修部材を挿入する。このとき、補修部材は、隆起部によって支持された状態になる。シール部材の先端部分は、立ち上り管の内周面に接触し、補修部材の軸方向に撓んだ状態になる。このようにして補修部材が挿入された後、シール部材よりも上方における、補修部材の筒体と立ち上り管の内周面との間の空間に、モルタルを充填する。そして、モルタルが固まることで、補修部材による立ち上り管の補修が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6120681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ますの種類によっては、ますの底部に隆起部がないものがあり得る。このように、隆起部がないますに接続された立ち上り管を補修する際、補修部材は、ますの底部から上方に離間した状態で、立ち上り管に挿入される。このとき、補修部材は、シール部材が立ち上り管の内周面に接触しているため、立ち上り管の内周面によって支持されている状態になる。このような状態で、補修部材の筒体と立ち上り管の内周面との間に、モルタルを充填して固める。このとき、シール部材と立ち上り管との接触部分のみでは、補修部材を支えることができずに、補修部材が立ち上り管に対して落ち込む、すなわち下方へ移動することがあり得る。この補修部材の落ち込みは、小さい方が好ましく、当該落ち込みを小さくすることで、より補修の作業が容易になる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、補修部材を使用して補修対象の既設管路の補修を行い易い、既設管路の補修部材および排水設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る既設管路の補修部材は、既設管路を補修するために前記既設管路内に挿入される補修部材である。前記補修部材は、上下に延びた筒体と、前記筒体から径方向の外方に突出したシール部材と、を備えている。前記筒体は、大径部と、小径部と、連結部とを有している。前記大径部は、前記シール部材よりも上方に配置され、外径が第1の外径である。前記小径部は、前記シール部材よりも上方、かつ、前記大径部よりも下方に配置され、外径が前記第1の外径よりも小さい第2の外径である。前記連結部は、前記大径部と前記小径部とを繋ぐ。
【0008】
上記の既設管路の補修部材によれば、補修対象の既設管路を補修する際、シール部材の先端部分を既設管路の内周面に接触させた状態で、補修部材を既設管路に挿入する。補修部材を挿入したとき、筒体と既設管路の内周面との間に空間が形成され、当該空間に充填材が充填される。このとき、補修部材の大径部と小径部との間の連結部の周囲にも充填材が充填される。ここで、充填材が固まることで、充填材が連結部に噛み合う。連結部は、大径部と、大径部よりも下方に配置された小径部とを繋いでおり、水平方向よりも下方を向いて配置される。そのため、連結部の下方に配置され、かつ、連結部と噛み合った充填材は、連結部を支持する。このように、補修部材の連結部が、固まった充填材で支持されるため、補修部材が既設管路に対して落ち込み難くすることができる。よって、補修部材の落ち込みを抑制することができるため、補修部材を使用して、既設管路の補修を行い易い。
【0009】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記筒体は、前記大径部よりも上方に配置され、上下に延びた縦筒部を有している。前記小径部は、前記筒体の下端部を構成している。前記小径部の内径は、前記縦筒部の内径よりも大きい。
【0010】
補修後の既設管路内を作業者が点検することがあり得る。補修後の既設管路内を点検する際、例えば棒状の点検器具を補修部材の筒体内に挿入する。上記態様によれば、筒体の下端部を構成する小径部の内径が大きいため、点検器具を筒体よりも下方に挿入する際、挿入し易い。
【0011】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記連結部の外周面は、前記大径部から前記小径部に向かって傾斜している傾斜面を有する。
【0012】
上記態様によれば、補修部材の筒体と既設管路の内周面との間の空間に充填材を充填する際、充填材は、連結部の傾斜面に沿って傾斜面よりも下方に流れる。よって、充填材を傾斜面に沿って下方に流し易い。また、連結部の外周面が傾斜面であることにより、連結部の外周面の表面積を大きくすることができる。したがって、より多くの充填材で連結部の傾斜面を支持することができるため、補修部材の荷重が分散される。その結果、補修部材が既設管路に対してより落ち込み難くすることができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、少なくとも前記連結部の外周面には、梨地加工が施されている。
【0014】
上記態様によれば、梨地加工が施されることで、連結部の外周面を荒くすることができる。よって、連結部の外周面に充填材を強固に噛み合わせることができる。したがって、連結部が、固まった充填材に対してずれ難くすることができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記シール部材の端面には、前記端面であることを作業者が確認する目視確認手段が設けられている。
【0016】
上記態様によれば、例えば補修部材を既設管路に挿入したとき、シール部材は、既設管路の内周面に接触する。このとき、シール部材の端面は、補修部材の挿入方向とは逆側に向いた状態になる。作業者は、補修部材の挿入方向から既設管路内を目視したときに、目視確認手段の位置を確認することで、シール部材の端面の向きを確認し易い。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記シール部材の端面は、第1の色で形成されている。前記端面以外の前記シール部材の表面は、前記第1の色とは異なる第2の色で形成されている。
【0018】
上記態様によれば、作業者は、第1の色の位置を確認するという簡単な方法で、シール部材の端面の向きを容易に確認することができる。
【0019】
本発明に係る排水設備は、ますと、上記の何れかの既設管路の補修部材とを備えている。前記ますは、上方に開口し、上下に延びた直筒部と、前記直筒部に接続され、流入口および流出口が形成された有底筒状の本体部と、を有している。前記補修部材は、前記筒体の外周面が前記直筒部の内周面から離間するように前記直筒部内に挿入されている。前記シール部材は、前記直筒部の内周面に接触している。前記直筒部と前記筒体との間の空間には、充填材が充填されている。
【0020】
上記の排水設備によれば、ますの直筒部が劣化または破損した場合、本発明の補修部材を使用して、直筒部の補修を行い易い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、補修部材を使用して補修対象の既設管路の補修を行い易い、既設管路の補修部材および排水設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態において、補修部材を用いて補修された後のますを備えた排水設備の断面図である。
図2】第1実施形態に係る補修部材の正面図である。
図3】第1実施形態に係る補修部材の断面図である。
図4図1のIV-IV断面における断面図である。
図5】補修部材を使用して、ますを補修する手順を示す図であり、図1相当図である。
図6】補修部材を使用して、ますを補修する手順を示す図であり、図1相当図である。
図7】補修部材を使用して、ますを補修する手順を示す図であり、図1相当図である。
図8】補修部材を使用して、ますを補修する手順を示す図であり、図1相当図である。
図9】補修部材を使用して、ますを補修する手順を示す図であり、図1相当図である。
図10】第2実施形態に係る補修部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態において、既設管路の補修部材10を用いて補修された後の排水設備100の断面図である。まず、第1実施形態に係る既設管路の補修部材(以下、単に補修部材という。)10について説明する。補修部材10は、劣化または破損した既設管路を補修するために、既設管路内に挿入される部材である。
【0025】
ここで、「既設管路」とは、既に設置された管路のことをいい、水(例えば排水)が流れる管路として既に使用されている管路のことをいう。既設管路は、地中に埋設されているものであってもよいし、地上に配置されているものであってもよい。本実施形態では、既設管路として、排水設備100が備える、ます50を一例として挙げる。以下、排水設備100について説明する。
【0026】
本実施形態では、図1に示すように、排水設備100は、地中に埋設されており、排水が流れる設備である。「排水」とは、排出された水を意味する。排水には、いわゆる汚水および雨水が含まれる。排水は、例えばトイレ、風呂、台所の流し台などの設備から排出される生活用水である。
【0027】
排水設備100が備える、ます50は、例えば公共ますである。ただし、ます50の種類は、公共ますに限定されるものではない。ます50は、直筒部51と、本体部52とを備えている。
【0028】
直筒部51は、上下に延びており、上方に向かって開口している筒状のものである。直筒部51の上端は、地面と面一である。本実施形態では、ます50の補修前において、直筒部51の上端には、蓋53(図5参照)が着脱可能に設けられている。
【0029】
本体部52は、有底筒状のものであり、直筒部51に接続されている。ここでは、本体部52は、直筒部51の下方に配置されており、直筒部51と内部で連通している。本体部52には、流入口55および流出口56が形成されている。流入口55および流出口56は、側方に向かって開口している。流入口55には、例えば排水を排出するトイレなどの設備(図示せず)に繋がる流入管路61が接続されている。流出口56には、例えば排水が排出される下水本管(図示せず)に繋がる流出管路62が接続されている。
【0030】
本実施形態では、流入口55と流出口56とは向かい合う位置に形成されている。なお、本体部52における流入口55および流出口56の位置は、特に限定されない。例えば流出口56は、本体部52の底部に形成されており、下方に向かって開口していてもよい。本実施形態では、流入口55の数、および、流出口56の数は、それぞれ1つであるが、特に限定されない。また、流入口55は、流出口56よりも小さいが、流入口55および流出口56の大きさも特に限定されない。
【0031】
本体部52の底部には、流入口55と流出口56とを繋ぐインバート57が形成されている。流入口55から本体部52に流入した排水は、インバート57を通じて流出口56に向かって流れる。
【0032】
本実施形態では、ます50はコンクリート製である。すなわち、直筒部51および本体部52は、コンクリート製である。ただし、ます50を形成する材料は、コンクリートに限定されるものではない。直筒部51と本体部52とは、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材が組み付けられて形成されたものであってもよい。例えば直筒部51は、筒状の複数の部材が上下に重ねられたものであってもよい。
【0033】
また、ます50の形状は特に限定されない。本実施形態では、例えばます50の直筒部51および本体部52の外周形状および内周形状は、平面視において円形状である。しかしながら、直筒部51および本体部52の外周形状および内周形状は、平面視において角形状であってもよい。すなわち、ます50は角型のますであってもよい。
【0034】
ところで、例えばます50の直筒部51の一部が劣化または破損(以下、単に破損という。)している場合、破損した部分から内部の排水が漏れることがあり得る。そこで、本実施形態では、補修部材10を使用して、既設管路の一例であるます50の補修を行う。補修部材10は、ます50を補修するために、ます50内に挿入されるものである。ここで、「補修」とは、破損したます50の管路としての機能を復元することである。補修部材10による補修によって、ます50内を流れる排水が外部へ漏れることが防止されると共に、ます50の外部の水が破損した部分から侵入することが防止される。
【0035】
図2図3は、それぞれ補修部材10の正面図、断面図である。図4は、図1のIV-IV断面における断面図である。なお、図4では、流入管路61および流出管路62の図示は省略されている。図2に示すように、本実施形態に係る補修部材10は、筒体11と、シール部材30と、支持部材40とを備えている。筒体11は、上下に延びた円筒形状である。筒体11の材料は特に限定されないが、本実施形態では、筒体11は、樹脂製である。筒体11は、縦筒部12と、大径部13と、小径部14と、上連結部15と、下連結部16とを有している。ここでは、筒体11の上から下に向かって、縦筒部12、上連結部15、大径部13、下連結部16および小径部14の順に並んで配置されている。
【0036】
縦筒部12は、上下に延びた筒状のものであり、大径部13よりも上方に配置されている。小径部14は、筒体11の下端部を構成しており、大径部13よりも下方に配置されている。上連結部15は、縦筒部12と大径部13との間に配置され、縦筒部12と大径部13とを繋ぐものである。上連結部15は、本発明の他の連結部の一例である。下連結部16は、大径部13と小径部14との間に配置され、大径部13と小径部14とを繋ぐものである。下連結部16は、本発明の連結部の一例である。
【0037】
本実施形態では、縦筒部12の外径は、大径部13の外径よりも小さく、かつ、小径部14の外径よりも小さい。大径部13の外径は、小径部14の外径よりも大きい。ここでは、大径部13の外径は、第1の外径D11である。小径部14の外径は、第2の外径D12である。第2の外径D12は、第1の外径D11よりも小さい。縦筒部12の外径は、第3の外径D13である。第3の外径D13は、第1の外径D11よりも小さく、かつ、第2の外径D12よりも小さい。ただし、第3の外径D13は、第1の外径D11と同じであってもよいし、第2の外径D12と同じであってもよい。また、第3の外径D13は、第1の外径D11よりも大きくてもよいし、第2の外径D12よりも大きくてもよい。本実施形態では、大径部13が、筒体11の中で外径が最も大きい部位である。
【0038】
本実施形態では、図3に示すように、筒体11における内径の関係は、上記の外径の関係と同じである。すなわち縦筒部12の内径は、大径部13の内径よりも小さく、かつ、小径部14の内径よりも小さい。大径部13の内径は、小径部14の内径よりも大きい。ここでは、大径部13の内径は、第1の内径D21である。小径部14の内径は、第2の内径D22である。第2の内径D22は、第1の内径D21よりも小さい。縦筒部12の内径は、第3の内径D23である。第3の内径D23は、第1の内径D21よりも小さく、かつ、第2の内径D22よりも小さい。ただし、第1の内径D21と、第2の内径D22と、第3の内径D23との関係は、上記に限定されるものではない。例えば第1の内径D21と、第2の内径D22と、第3の内径D23とは、同じであってもよい。第3の内径D23は、第2の内径D22よりも大きくてもよい。
【0039】
本実施形態では、上連結部15の外周面は、縦筒部12から大径部13に向かって傾斜している上傾斜面17を有している。上傾斜面17は、縦筒部12から大径部13に向かうに従って、筒体11の径方向の外方に向かって傾斜している。下連結部16の外周面は、大径部13から小径部14に向かって傾斜している下傾斜面18を有している。下傾斜面18は、大径部13から小径部14に向かうにしたがって、筒体11の径方向の内方に向かって傾斜している。
【0040】
本実施形態では、下連結部16の上下の寸法D31は、上連結部15の上下の寸法D32よりも大きい。縦筒部12の上下の寸法D33は、下連結部16の寸法D31よりも大きく、かつ、上連結部15の寸法D32よりも大きい。ただし、寸法D31、D32、D33の関係は、上記に限定されるものではない。
【0041】
本実施形態では、図2に示すように、筒体11の外周面には、梨地加工20が施されている。梨地加工20は、筒体11の外周面を荒くする加工、言い換えると当該外周面に凹凸を付ける加工のことである。梨地加工20には、例えば砂付け加工が含まれる。砂付け加工は、砂が含まれた接着剤を筒体11の外周面に塗布することで実現される。なお、梨地加工20は、筒体11の外周面の一部にのみ施されてもよい。ここでは、梨地加工20は、縦筒部12の下部、上連結部15、大径部13、下連結部16および小径部14のそれぞれの外周面、すなわち筒体11の下部の外周面に施されている。ただし、梨地加工20の位置は、特に限定されない。例えば梨地加工20は、筒体11の上部の外周面に施されてもよいし、筒体11の上下の中央部分の外周面に施されてもよい。また、梨地加工20は、筒体11の左半分の外周面に施されてもよいし、筒体11の右半分の外周面に施されてもよい。もちろん、梨地加工20は、筒体11の外周面の全体に施されてもよい。このように、梨地加工20が施されていることによって、後述する充填材60(図1参照)を、ます50と筒体11との間の空間に充填して固めたとき、充填材60と梨地加工20の部分とが噛み合い易くなり、充填材60が上記空間から抜け難くすることができる。
【0042】
図2に示すように、シール部材30は、筒体11の外周面の周囲に沿って配置されており、筒体11から径方向の外方に突出している。本実施形態では、シール部材30は、筒体11の下端部、ここでは小径部14に取り付けられている。ここでは、筒体11の縦筒部12、上連結部15、大径部13、下連結部16および小径部14は、シール部材30よりも上方に配置されている。なお、シール部材30は、筒体11の下端部以外の部分に取り付けられてもよい。図4に示すように、シール部材30は環状であり、筒体11の外周面の全周に亘って形成されている。ここでは、シール部材30の外周形状は、ます50の直筒部51の内周形状に対応している。本実施形態のように、直筒部51の内周形状が平面視において円形状の場合、シール部材30の外周形状も平面視において円形状である。例えば直筒部51の内周形状が平面視において角形状の場合、シール部材30の外周形状も平面視において角形状である。本実施形態では、シール部材30の外径は、筒体11の最外径よりも大きい。ここでは、筒体11の最外径は、大径部13の外径である。そのため、シール部材30の外径は、筒体11の大径部13の外径、すなわち第1の外径D11よりも大きい。
【0043】
なお、シール部材30の材料は特に限定されない。本実施形態では、シール部材30は、可撓性を有する材料によって形成されている。シール部材30の材料の一例として、ゴム、発泡ゴムなどが挙げられるが、その中でもエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)であることが好ましい。例えばシール部材30は、ます50の直筒部51の内周面との間をシールすることができれば、硬質の材料によって形成されてもよい。また、シール部材30を筒体11に取り付ける方法も特に限定されないが、本実施形態では、シール部材30は、接着剤によって筒体11に取り付けられている。
【0044】
本実施形態では、シール部材30の端面31には、端面31であることを作業者が確認する目視確認手段32が設けられている。ここで、シール部材30の端面31とは、シール部材30が撓んでいない状態において、筒体11の径方向の外方に向いている面のことをいう。端面31とは、シール部材30の外周面のことである。目視確認手段32は、当該端面31の全周に亘って設けられている。
【0045】
なお、目視確認手段32を実現する具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、目視確認手段32は、シール部材30の端面31の色を、端面31以外のシール部材30の表面の色と異ならせることで実現されている。ここでは、シール部材30の端面31は、第1の色CL1で形成されている。シール部材30の端面31以外の表面は、第2の色CL2で形成されている。第2の色CL2は、第1の色CL1と異なる色であり、例えば黒色である。第2の色CL2は、例えばシール部材30の材料の色(ここではゴムの色)である。本実施形態では、補修部材10をます50内に挿入したとき、ます50内は暗い状態である。そのため、第1の色CL1は、暗い中で識別し易い色であることが好ましい。例えば第1の色CL1は、蛍光色または黄色である。第1の色CL1は、例えばシール部材30の端面31に塗料を塗布することで実現されてもよいし、シール材を貼り付けることで実現されてもよい。
【0046】
ここでは、図1に示すように、補修部材10がます50内に挿入されると、シール部材30は、筒体11の軸方向の上向きに撓み、シール部材30の端面31は、上を向いた状態になる。ここで、作業者が、ます50の直筒部51の開口から補修部材10を目視したときに、図4に示すように、目視確認手段32が設けられた当該端面31が、筒体11の外周面の全周に亘っていることを確認することで、シール部材30によって適切にシールされていることを確認することができる。
【0047】
図2に示すように、支持部材40は、シール部材30が筒体11の軸方向に撓むときに、シール部材30を支える部材である。支持部材40は、筒体11とは別体で形成されており、筒体11に取り付けられている。ただし、支持部材40は、筒体11と一体的に形成されていてもよい。支持部材40は、筒体11から径方向の外方に突出している。支持部材40は環状であり、筒体11の外周面の全周に亘って形成されている。
【0048】
本実施形態では、支持部材40は、シール部材30の上方に位置しており、シール部材30と接触している。ここでは、支持部材40は、接着剤によってシール部材30と接着固定されている。支持部材40の厚みは、シール部材30の厚みよりも薄い。支持部材40は、シール部材30よりも硬い材料で形成されているとよい。ここでは、支持部材40は、樹脂製である。本実施形態では、支持部材40の筒体11からの径方向の突出寸法は、シール部材30の筒体11からの径方向の突出寸法よりも小さい。すなわち、シール部材30は支持部材40よりも径方向の外方に突出している。また、支持部材40の外径は、筒体11の最外径、ここでは大径部13の外径である第1の径D11よりも大きい。
【0049】
図1に示すように、補修部材10のシール部材30は、ます50内に挿入されたとき、ます50の内周面に接触している。詳しくは、シール部材30の先端部分は、ます50の直筒部51の内周面に接触している。本実施形態では、シール部材30の上方において、ます50の直筒部51と補修部材10の筒体11との間には、空間が形成されている。この空間には、充填材60が充填されている。ここでは、充填材60としてモルタルが使用されている。しかしながら、充填材60の種類は特に限定されない。例えば充填材60として液状の硬化性注入材を使用してもよい。この硬化性注入材として、安価かつ密着性に優れた常温硬化性のエキポシ樹脂、アクリル樹脂、または、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0050】
次に、補修部材10を使用して、ます50を補修する手順について説明する。図5図9は、補修部材10を使用して補修する手順を示す図である。ここでは、図5に示すように、ます50の直筒部51の部分Aが破損した場合について説明する。
【0051】
まず、ます50の直筒部51の上端に設けられている蓋53を取り外す。その後、図6に示すように、直筒部51の上端から補修部材10を挿入する。補修部材10は、筒体11の外周面が直筒部51の内周面から離間するように、直筒部51の中心部に挿入される。このとき、補修部材10の中心軸と、直筒部51の中心軸とが重なるように挿入されるとよい。ところで、シール部材30の一部は、支持部材40から外方に突出しているため、補修部材10を直筒部51に挿入する際、シール部材30の先端部分は、直筒部51の内周面に接触し、筒体11の軸方向であって挿入方向の逆の方(ここでは上方)に向かって撓む。このように、シール部材30が筒体11の軸方向に撓みながら、補修部材10は挿入される。
【0052】
シール部材30が撓んだとき、シール部材30の端面31は、上を向いた状態になる。そこで、作業者は、直筒部51の上端から直筒部51内を目視したときに、目視確認手段32によってシール部材30の端面31の位置を確認する。このとき、図4に示すように、シール部材30の端面31の形状が環状であることを確認することで、補修部材10が直筒部51に適切に挿入されたことを確認することができる。
【0053】
本実施形態では、図6に示すように、補修部材10は、ます50の流入口55および流出口56よりも上方の位置まで挿入される。そのため、ます50内において、補修部材10は、本体部52の底部(言い換えると、インバート57)から離間した位置に配置されている。
【0054】
本実施形態では、補修部材10の筒体11の一部は地面から突出する。そこで、筒体11の地面から突出した位置に固定バンド72を装着して、補修部材10を仮固定する。固定バンド72は、地面に接しているため、補修部材10は、上下に動き難くなる。なお、固定バンド72を筒体11に装着することは、省略されてもよい。
【0055】
このように、ます50内に補修部材10が挿入された後、図7に示すように、補修部材10の筒体11と、ます50の直筒部51との間の空間に充填材60を充填する。このとき、充填材60の充填量は、特に限定されないが、例えば筒体11を切断する位置よりも多少低い位置まで充填材60が充填されるとよい。充填材60を充填する際、まず少量の充填材60を充填して固めた後に、残りの充填材60を充填してもよい。このことによって、補修部材10がずれ難く、適切な位置で固定され易くなる。
【0056】
その後、図8に示すように、固定バンド72を補修部材10から取り外し、筒体11のうち地面から突出した部分を切断する。このとき、筒体11の上端に装着する蓋25(図9参照)の厚さを考慮して、筒体11の地面から突出した長さと、蓋25の厚さとの合計の長さ分、筒体11を切断するとよい。
【0057】
筒体11の切断後、図9に示すように、筒体11の上端に蓋25を装着し、筒体11と直筒部51の内周面との間の残りの空間に充填材60を充填する。充填材60が固まることで、ます50の補修が完了する。
【0058】
以上、本実施形態に係る排水設備100は、図1に示すように、ます50と、補修部材10とを備えている。ます50は、上方に開口し、上下に延びた直筒部51と、直筒部51に接続され、流入口55および流出口56が形成された有底筒状の本体部52と、を有している。補修部材10は、既設管路の一例のます50を補修するために、ます50内に挿入される部材である。図2に示すように、補修部材10は、上下に延びた筒体11と、筒体11から径方向の外方に突出したシール部材30と、を備えている。筒体11は、大径部13と、小径部14と、下連結部16とを有している。大径部13は、シール部材30よりも上方に配置され、外径が第1の外径D11である。小径部14は、シール部材30よりも上方、かつ、大径部13よりも下方に配置され、外径が第1の外径D11よりも小さい第2の外径D12である。下連結部16は、大径部13と小径部14とを繋ぐものである。
【0059】
本実施形態では、図1に示すように、ます50の直筒部51を補修する際、補修部材10は、筒体11の外周面が直筒部51の内周面から離間するように直筒部51内に挿入される。このとき、シール部材30は、直筒部51の内周面に撓んで接触する。補修部材10を挿入したとき、筒体11と直筒部51の内周面との間に空間が形成され、当該空間に充填材60が充填される。このとき、補修部材10の大径部13と小径部14との間の下連結部16の周囲にも充填材60が充填される。ここで、充填材60が固まることで、充填材60が下連結部16に噛み合う。下連結部16は、大径部13と、大径部13よりも下方に配置された小径部14とを繋いでおり、水平方向よりも下方を向いて配置される。そのため、下連結部16の下方に配置され、かつ、下連結部16と噛み合った充填材60は、下連結部16を支持する。このように、補修部材10の下連結部16が、固まった充填材60で支持されるため、補修部材10が、ます50の直筒部51に対して落ち込み難くすることができる。よって、補修部材10の落ち込みを抑制することができるため、補修部材10を使用して、直筒部51の補修を行い易い。
【0060】
本実施形態では、大径部13は、筒体11の縦筒部12よりも筒体11の外方に突出している。そのため、筒体11における大径部13が縦筒部12よりも突出している部分には、充填材60を充填しなくてもよい。よって、大径部13が縦筒部12よりも突出している部分の大きさ分、充填材60の充填量を少なくすることができる。
【0061】
本実施形態では、図2に示すように、筒体11は、大径部13よりも上方に配置され、上下に延びた縦筒部12と、縦筒部12と大径部13とを繋ぐ上連結部15と、を有している。縦筒部12の外径は、第1の外径D11よりも小さい第3の外径D13である。このように、上連結部15は、大径部13と、大径部13よりも上方に配置され、かつ、外径が小さい縦筒部12とを繋いでいるため、水平方向よりも上方を向いて配置されている。そのため、上連結部15と噛み合った充填材60は、上連結部15を吊り下げ支持している状態になる。よって、補修部材10が直筒部51に対して落ち込み難くすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、補修部材10の筒体11と、ます50の直筒部51との間に充填材60を充填する際、充填材60は、上連結部15に沿って上連結部15よりも下方(例えば下連結部16)に向かって流れる。よって、上連結部15によって充填材60を下連結部16などに向かって流し易い。また、上連結部15は、縦筒部12よりも外方に突出しているため、上連結部15の突出している部分の大きさ分、充填材60の充填量を少なくすることができる。
【0063】
本実施形態では、図3に示すように、下連結部16の上下の寸法D31は、上連結部15の上下の寸法D32よりも大きい。このことによって、固まった充填材60と噛み合う下連結部16の表面積を大きくすることができる。よって、より多くの充填材60で下連結部16を支持することができる。したがって、補修部材10が直筒部51に対してより落ち込み難くすることができる。
【0064】
本実施形態では、例えばます50の直筒部51を補修した後、ます50内を作業者が点検することがあり得る。補修後のます50を点検する際、例えば棒状の点検器具(図示せず)を補修部材10の筒体11内に挿入する。特に、例えばます50の流入口55に接続された流入管路61や、流出口56に接続された流出管路62の内部を点検する際、流入口55や流出口56に向かって、上記点検器具を筒体11に対して斜めに挿入する。本実施形態では、図3に示すように、小径部14は、筒体11の下端部を構成している。小径部14の内径D22は、縦筒部12の内径D23よりも大きい。このように、筒体11の下端部を構成する小径部14の内径が大きいため、上記点検器具を筒体11よりも下方に挿入する際(例えば、流入口55や流出口56に向かって筒体11に対して斜めに挿入する際)、挿入し易い。
【0065】
本実施形態では、下連結部16の外周面は、大径部13から小径部14に向かって傾斜している下傾斜面18を有する。このことによって、補修部材10の筒体11と、ます50の直筒部51の内周面との間の空間に充填材60を充填する際、充填材60は、下傾斜面18に沿って下傾斜面18よりも下方に流れる。よって、充填材60を下傾斜面18に沿って下方に流し易い。また、下連結部16の外周面が下傾斜面18であることにより、下連結部16の外周面の表面積を大きくすることができる。したがって、より多くの充填材60で下連結部16の下傾斜面18を支持することができるため、補修部材10の荷重が分散される。その結果、補修部材10が、ます50に対してより落ち込み難くすることができる。
【0066】
本実施形態では、図2に示すように、少なくとも下連結部16の外周面(ここでは下傾斜面18)には、梨地加工20が施されている。ここでは、梨地加工20として、砂付け加工が施されている。このように、梨地加工20が施されることで、下連結部16の下傾斜面18を荒くすることができる。よって、下傾斜面18に充填材60を強固に噛み合わせることができる。したがって、下連結部16が、固まった充填材60に対してずれ難くすることができる。
【0067】
本実施形態では、シール部材30の端面31には、端面31であることを作業者が確認する目視確認手段32が設けられている。例えば図1に示すように、補修部材10を、ます50の直筒部51に挿入したとき、シール部材30は、筒体11の軸方向に撓みながら、直筒部51の内周面に接触する。このとき、シール部材30の端面31は、補修部材10の挿入方向とは逆側(ここでは、上方)に向いた状態になる。作業者は、補修部材10の挿入方向から直筒部51内を目視したときに、目視確認手段32の位置を確認することで、シール部材30の端面31の向きを確認し易い。
【0068】
本実施形態では、図2に示すように、シール部材30の端面31は、第1の色CL1で形成されている。端面31以外のシール部材30の表面は、第1の色CL1とは異なる第2の色CL2で形成されている。このことによって、作業者は、第1の色CL1の位置を確認するという簡単な方法で、シール部材30の端面31の向きを容易に確認することができる。
【0069】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る既設管路の補修部材について説明する。図10は、第2実施形態に係る補修部材10Aの正面図である。
【0070】
図10に示すように、本実施形態に係る補修部材10Aの筒体11Aは、縦筒部12と、大径部13Aと、小径部14Aと、上連結部15Aと、下連結部16Aとを備えている。大径部13Aは、縦筒部12の下方に配置され、上下に延びた筒状のものである。小径部14Aは、大径部13Aよりも下方に配置され、上下に延びた筒状のものである。ここでは、小径部14Aの上下の寸法D41は、大径部13Aの上下の寸法D42よりも小さいが、寸法D42と同じであってもよいし、寸法D42よりも大きくてもよい。
【0071】
本実施形態では、上連結部15Aおよび下連結部16Aは、傾斜しておらず、筒体11Aの径方向に延びている。上連結部15Aは、縦筒部12の下端と、大径部13Aの上端とを連結している。上連結部15Aは、縦筒部12の下端から大径部13Aの上端に向かって、筒体11Aの径方向の外方に延びている。ここでは、縦筒部12と、上連結部15Aと、大径部13Aとによって、段差が形成されている。
【0072】
下連結部16Aは、大径部13Aの下端と、小径部14Aの上端とを連結している。下連結部16Aは、大径部13Aの下端から小径部14Aの上端に向かって、筒体11Aの径方向の内方に延びている。ここでは、大径部13Aと、下連結部16Aと、小径部14Aとによって、段差が形成されている。
【0073】
本実施形態であっても、下連結部16Aは、大径部13Aと、大径部13Aよりも下方に配置された小径部14Aとを繋いでおり、水平方向よりも下方を向いて配置されている。そのため、充填材60が固まることで、充填材60が下連結部16Aに噛み合い、下連結部16Aと噛み合った充填材60は、下連結部16Aを支持している状態になる。よって、補修部材10Aが、ます50の直筒部51に対して落ち込み難くすることができる。したがって、補修部材10Aの落ち込みを抑制することができるため、補修部材10Aを使用して、直筒部51の補修を行い易い。
【0074】
上記各実施形態では、小径部14、14Aは、筒体11、11Aの下端部を構成していた。しかしながら、小径部14、14Aは、筒体11、11Aの上下の中央部分を構成していてもよいし、筒体11、11Aの上部を構成していてもよい。大径部13、13Aは、筒体11、11Aの上部を構成していてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 補修部材(既設管路の補修部材)
11 筒体
12 縦筒部
13 大径部
14 小径部
15 上連結部(他の連結部)
16 下連結部(連結部)
17 上傾斜面
18 下傾斜面(傾斜面)
20 梨地加工(砂付け加工)
30 シール部材
32 目視確認手段
50 ます(既設管路)
51 直筒部
52 本体部
55 流入口
56 流出口
100 排水設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10