(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240924BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240924BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/74 A
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2021028219
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋一
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/246516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0056593(US,A1)
【文献】特開2010-033026(JP,A)
【文献】特開2014-063173(JP,A)
【文献】特開2018-028703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
H04N 5/74
H04N 5/64
H04N 9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を照射する第1画像照射部と、
前記第1光が入射される第1光入射部と、前記第1光の一部を全反射しながら導波光として導波する光導波部と、前記導波光の一部を視点方向に出射する第1光出射部を有する導光板部と、
前記第1光入射部に設けられた回折格子部を備え、
前記第1光出射部は、前記光導波部内に設けられたビームスプリッターと、前記光導波部の端部に設けられた再帰反射部を備え
、
前記導光板部は、前記回折格子部で分岐された光の一つを透過して前記視点方向とは異なる外部スクリーン方向に出射する第2光出射部を備えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像投影装置であって、
前記視点方向と前記外部スクリーン方向とは、略平行であることを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の画像投影装置であって、
光の透過と遮断を切り替える光シャッター部が、前記第1光出射部または前記第2光出射部に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項
1から3の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記第1光の波長を変換する波長変換部が、前記第1光出射部または前記第2光出射部に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項
1から4の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記再帰反射部は、光を正反射する正反射領域と再帰反射する再帰反射領域が混在して形成されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項
1から4の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記導波光の一部を反射して残りを透過する部分反射部が、前記ビームスプリッターと前記再帰反射部の間に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項7】
請求項
1から6の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
第2光を前記回折格子
部に対して照射する第2画像照射部を備え、
前記回折格子部に対する前記第1光と前記第2光の入射角度が異なっており、
前記光導波部は、前記第2光の一部を全反射しながら導波光として導波することを特徴とする画像投影装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の画像投影装置であって、
前記第1光の波長を反射し前記第2光の波長を透過する選択反射部が、前記ビームスプリッターと前記再帰反射部の間に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項9】
請求項
7または8に記載の画像投影装置であって、
前記第1光の波長または前記第2光の波長を選択的に遮断する光フィルターが、前記第2光出射部に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項10】
請求項
1から9の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
二つの前記導光板部を備え、
前記導光板部のそれぞれの前記第1光入射部に、一つの前記回折格子部が共通に設けられていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項11】
請求項
1から10の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記光導波部が曲面形状を有することを特徴とする画像投影装置。
【請求項12】
請求項
1から11の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記第1画像照射部は、液晶表示素子またはデジタルミラーデバイスを備え、前記第1光に含まれる第1画像の内容を経時的に変化させることを特徴とする画像投影装置。
【請求項13】
請求項
1から12の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記回折格子部は、光入射面を構成する平板状部分と、前記平板状部分と一体に構成された凹凸部分を備え、前記導光板部とは別体に形成されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項14】
請求項
1から12の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記回折格子部は、少なくとも二つの方向に光を回折するホログラフィックグレーティングを有することを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関し、特に回折格子を用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラスより下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があるため好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、運転者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようなHUDでは、フロントガラスの広い範囲に画像を投影するための光学装置が必要であり、光学装置の小型化および軽量化が望まれている。
【0004】
一方で、小型の光学装置を用いて光を投影する画像表示装置としては、導光板の一端から光を入射させて他端側で視点方向に光を取り出すウェアラブル型のHUDが知られている(例えば、特許文献2を参照)。ウェアラブル型のHUDでは、光源から照射された光を視聴者の眼に直接照射して、視聴者の網膜に画像を投影している。このようなウェアラブル型のHUDでは、光源から視聴者に光を照射する際に回折格子やハーフミラーを用いている。ウェアラブル型のHUDは、頭部に装着することで利用者個人の視点に対して画像を投影するため、没入感の高い仮想現実(VR:Virtual Reality)や拡張現実(AR: Augmented Reality)等に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-119262号公報
【文献】特開2020-144190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のウェアラブル型のHUDでは、回折格子やハーフミラーで導光板から画像を視点方向に投影するため、視点からの距離が同じである平面内に全ての画像が表示される。そのため、複数の画像を異なる視点からの距離に表示して重ね合わせることが困難であった。また、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影するには、投影位置に対応した画像投影部と光学系部材を設計して個別に配置する必要があるため、部品点数が増加して装置の小型化と軽量化が困難になるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影し、さらに小型化と軽量化を図ることが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、第1光を照射する第1画像照射部と、前記第1光が入射される第1光入射部と、前記第1光の一部を全反射しながら導波光として導波する光導波部と、前記導波光の一部を視点方向に出射する第1光出射部を有する導光板部と、前記第1光入射部に設けられた回折格子部を備え、前記第1光出射部は、前記光導波部内に設けられたビームスプリッターと、前記光導波部の端部に設けられた再帰反射部を備え、前記導光板部は、前記回折格子部で分岐された光の一つを透過して前記視点方向とは異なる外部スクリーン方向に出射する第2光出射部を備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の画像投影装置では、ビームスプリッターで第1光を分岐してスクリーンに画像を投影するとともに、光導波部の端部で再帰反射部によって第1光を再帰反射し、ビームスプリッターで視点方向に投影してエアリアルイメージを結像することができる。これにより、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影し、さらに小型化と軽量化を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記視点方向と前記外部スクリーン方向とは、略平行である。
【0012】
また、本発明の一態様では、光の透過と遮断を切り替える光シャッター部が、前記第1光出射部または前記第2光出射部に設けられている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1光の波長を変換する波長変換部が、前記第1光出射部または前記第2光出射部に設けられている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記再帰反射部は、光を正反射する正反射領域と再帰反射する再帰反射領域が混在して形成されている。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記導波光の一部を反射して残りを透過する部分反射部が、前記ビームスプリッターと前記再帰反射部の間に設けられている。
【0016】
また、本発明の一態様では、第2光を前記回折格子に対して照射する第2画像照射部を備え、前記回折格子部に対する前記第1光と前記第2光の入射角度が異なっており、前記光導波部は、前記第2光の一部を全反射しながら導波光として導波する。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記第1光の波長を反射し前記第2光の波長を透過する選択反射部が、前記ビームスプリッターと前記再帰反射部の間に設けられている。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記第1光の波長または前記第2光の波長を選択的に遮断する光フィルターが、前記第2光出射部に設けられている。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記光導波部が曲面形状を有する。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記第1画像照射部は、液晶表示素子またはデジタルミラーデバイスを備え、前記第1光に含まれる第1画像の内容を経時的に変化させる。
【0021】
また、本発明の一態様では、二つの前記導光板部を備え、前記導光板部のそれぞれの前記第1光入射部に、一つの前記回折格子部が共通に設けられている。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記回折格子部は、光入射面を構成する平板状部分と、前記平板状部分と一体に構成された凹凸部分を備え、前記導光板部とは別体に形成されている。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記回折格子部は、少なくとも二つの方向に光を回折するホログラフィックグレーティングを有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影し、さらに小型化と軽量化を図ることが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態における回折格子部10の構造を示す模式断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。
【
図4】視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXと空中に結像したエアリアルイメージA1を撮像した写真であり、
図4(a)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあて、
図4(b)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあてたものである。
【
図5】第2実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。
【
図6】視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXおよび画像V1と、空中に結像したエアリアルイメージA1を撮像した写真であり、
図6(a)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあて、
図6(b)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあてたものである。
【
図7】第3実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図8】第3実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。
【
図9】視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXおよび画像V1と、空中に結像したエアリアルイメージA1、A2を撮像した写真であり、
図9(a)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあて、
図9(b)はエアリアルイメージA2の結像位置にカメラの焦点をあて、
図9(c)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあてたものである。
【
図10】エアリアルイメージA1,A2のビームプロファイルを示す図であり、
図10(a)は視点60位置から焦点を合わせた写真であり、
図10(b)(c)は結像位置での三次元輝度プロファイルを示し、
図10(d)はx方向での輝度プロファイルであり、
図10(e)はy方向での輝度プロファイルである。
【
図11】第4実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図12】第4実施形態の変形例に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図13】第5実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図14】第5実施形態の変形例に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【
図15】第6実施形態における再帰反射部24の構造例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態における回折格子部10の構造を示す模式断面図である。
図1に示すように回折格子部10は、平板状部分11と、凸部12と凹部13を備えている。ここで凸部12および凹部13は、回折格子部10において面内方向において周期的な屈折率の繰り返しを構成する部分であり、本発明における凹凸部分に相当している。平板状部分11と凸部12は同一の材料で一体に形成されている。なお
図1は、回折格子部10の構造を模式的に示したものであり、図中の寸法や角度は回折格子部10における実寸を示すものではない。
【0027】
図1に示した例では、回折格子部10の凸部12と凹部は、それぞれ紙面の奥行方向にストライプ状に延伸して形成されている。凸部12は、平板状部分11の主面に対して所定の角度φだけ傾斜して形成されており、スランテッドグレーティングを構成している。また、凸部12および凹部13上は、平板状部分11とは屈折率が異なる材料で構成される被覆部により覆われている。回折格子部10を構成する材料は限定されないが、一例としては、平板状部分11および凸部12を構成する材料としてTiO
2を主成分とする屈折率2.5程度の誘電体が挙げられ、凸部12および凹部13を覆う被覆部としてSiO
2を主成分とするガラスやポリマーが挙げられる。
【0028】
回折格子部10の凹凸部分は公知の方法で形成することができ、例えばフォトリソグラフィー技術やナノインプリント技術、EBL(Electron Beam Lithography)技術等を用いることができる。また、被覆部を傾斜させた状態で保持し、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法等を用いることで、角度φだけ傾斜して凸部12および凹部13を形成することができる。このとき、凸部12および凹部13の傾斜角度φとは、凸部12の上端と下端における中央を結んだ線が、回折格子部10の主面との間でなす角度である。
図1では回折格子部10の凹凸部分として、凸部12および凹部13が傾斜したスランテッドグレーティングを示したが、主面に垂直なピラードグレーティングであってもよい。
【0029】
次に
図1を用いて、回折格子部10における光路について説明する。なお
図1は、矢印を用いて回折格子部10における光の進行を模式的に示しているが、正確な光の入射位置や進行経路、出射位置を反映したものではない。図示しない光源部からは、回折格子部10に向けてレーザ光が照射される。ここでレーザ光は位相が揃ったコヒーレントな光であり、コリメートレンズ等によってコリメート光として照射される。光源部から照射された入射光は、回折格子部10の界面から所定の傾斜角度で平板状部分11の内部に入射する。
【0030】
ここで、入射光の偏光方向は、凸部12のストライプとは平行な方向とされている。
図1では、入射光の傾斜角度と、回折格子部10における凸部12および凹部13の傾斜方向φとが同じ方向である例を示しているが、逆方向であってもよい。回折格子部10内に入射した光は、凸部12と凹部13との周期的な屈折率差により一部が回折光として所定角度で外部方向に進行し、一部は伝搬光として平板状部分11の面内を漏れ伝搬光として伝搬する。平板状部分11内を伝搬する漏れ伝搬光は、空気との界面において反射されて再度凹凸部分に到達し、凸部12および凹部13によって回折される。
【0031】
図1に示した例では、回折格子部10により回折された光のうち、0次光T1は被覆部を透過して外部に照射される。また、凸部12が傾斜した方向に回折された一次光(-1次光T2)も被覆部を透過して外部に照射される。これは、0次光T1と-1次光T2は、回折格子部10主面に対して垂直に近い角度で回折されるため、被覆部と空気層との界面における全反射条件を満たさないためである。
【0032】
また、凸部12の傾斜と反対方向に回折された一次光(+1次光I1)は、被覆部と空気層の界面により全反射して被覆部内を伝搬する。同様に、凸部12の傾斜した方向に回折された二次光(-2次光I2)も、被覆部と空気層の界面により全反射して被覆部内を伝搬する。被覆部と空気層の界面での全反射条件は、被覆部を構成する材料の屈折率で決まる。被覆部内を全反射して伝搬した+1次光I1と-2次光I2は、被覆部の端部から外部に照射される。このとき、0次光T1、-1次光T2、+1次光I1および-2次光I2は、凸部12および凹部13によって回折された光であるため、僅かに光径が拡がりながら進行する。
【0033】
図2は、本実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
図2に示すように画像投影装置は、回折格子部10と、導光板部20と、外部スクリーン30と、画像照射部40,50とを備えている。画像投影装置を装着する視聴者は、視点60の位置から導光板部20および外部スクリーン30方向を視認する。回折格子部10は、
図1に示したように平板状部分11と、凸部12と凹部13と被覆部を備えた光学素子であり、導光板部20とは別体に形成されている。導光板部20は、透光性の材料で構成された板状の部材であり、光導波部21と、光入射部22と、ビームスプリッター23と、再帰反射部24を備えている。
【0034】
光導波部21は、透光性材料からなる平板状の部材であり、空気との界面で光が全反射を繰り返すことで、一端側から他端側に光を導波する。また、光導波部21は一方の面側から他方の面側に光が透過するため、視点60から光導波部21を介して外部スクリーン30方向を視認することが可能である。光導波部21の一端側は主面に対して傾斜した面である光入射部22が形成されており、回折格子部10が配置されている。光導波部21の他端側には、端面が形成されるとともに再帰反射部24が設けられている。
図1では光導波部21として平板状のものを示しているが、内部で光を全反射により伝搬させることができれば曲面形状であってもよい。
【0035】
光入射部22は、光導波部21の一端に形成された傾斜面であり、回折格子部10が隣接して配置され、本発明における第1光入射部に相当する部分である。光入射部22には、回折格子部10との光結合率を高めるために、反射防止膜や屈折率調整部を設けるとしてもよい。
【0036】
ビームスプリッター23は、一方の面から入射した光の一部を反射し残りを透過する光学要素であり、
図1に示した例では光導波部21の内部において、主面に対して傾斜した平面として形成されている。ビームスプリッター23の具体的な構成は限定されず、公知の構造と設計方法を用いることができる。
【0037】
再帰反射部24は、入射した光を入射方向に対して集光性を保ったまま反射させる光学部材であり、反射膜の表面側に微小なガラスビーズを敷き詰めた構造やプリズムを用いた構造の再帰反射部を用いることができる。再帰反射部24では、光導波部21内を伝搬してきた光が入射すると、光の入射してきた方向に光を反射するため、光径が拡大して進行する光は、光径が縮小する光として反射される。
【0038】
後述するように、光導波部21においてビームスプリッター23が設けられた領域から再帰反射部24が設けられた端部までの間は、光導波部21内を伝搬してきた光を外部に照射する領域とされており、本発明における第1光出射部を構成している。
【0039】
外部スクリーン30は、後述するように導光板部20から照射された光が投影されて画像を表示する部分である。外部スクリーン30を構成する材料は限定されず、光を透過する透光性材料を用いるとしてもよく、光を遮って反射する白色材料を用いるとしてもよい。透光性材料を用いた場合には、画像投影装置の外部環境を背景として画像の重ね合わせ投影をすることができる。
図1に示した例では、外部スクリーン30とアーム部分を一体に形成して、アーム部分を導光板部20に固定することで、外部スクリーン30と導光板部20の相対的な位置関係を保つ例を示しているが、外部スクリーン30を画像投影装置とは別体に設けるとしてもよい。
【0040】
画像照射部40は、第1画像を投影するための第1光を回折格子部10に対して照射する装置であり、本発明における第1画像照射部に相当している。画像照射部40の具体的構成は限定されないが、
図1に示した例では画像照射部40は、光源部41と、半波長板42と、偏光子43,44を備えている。画像照射部40はミラー45,46,47、バンドパスフィルター48を介して光を回折格子部10に照射する。光源部41はレーザ光源を用いることが好ましく、光源部41から照射されるレーザ光を図示しない画像形成部に照射して、第1画像を第1光に含ませる。画像形成部は液晶表示素子やデジタルミラーデバイス等の公知のものを用いることができ、画像照射部40の内部に設けるとしてもよく、回折格子部10までの光路上に配置するとしてもよい。画像照射部40に画像形成部である液晶表示素子またはデジタルミラーデバイスを備えることで、第1光に含まれる第1画像の内容を経時的に変化させて、動画を投影することも可能である。
【0041】
画像照射部50は、第2画像を投影するための第2光を回折格子部10に対して照射する装置であり、本発明における第2画像照射部に相当している。画像照射部50は画像照射部40とは別に設けられており、回折格子部10に対する第2光の入射角度は、画像照射部40が照射する第1光の入射角度とは異なっている。画像照射部50の具体的構成は限定されず、画像照射部40と同様な構成を用いることができるが、第1光と第2光の波長は異なっている。
【0042】
次に
図2および
図3を用いて本実施形態の画像投影装置における画像投影について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。図中に示した実線矢印および破線矢印は、光の経路を模式的に示すものである。
【0043】
画像照射部40から照射された第1光は、ミラー45,46,47で反射されてバンドパスフィルター48を介して回折格子部10に到達する。回折格子部10では、第1光の入射角度に応じて0次光T1と+1次光I1が回折光として取り出され、光入射部22に入射する。回折格子部10から光入射部22に入射した第1光は、光導波部21内を全反射して導波光として伝搬する。ここで、回折格子部10から光入射部22に入射する第1光は、回折条件によって光入射部22への入射角度が決まるため、0次光T1、-1次光T2、+1次光I1および-2次光I2の何れか一つが光導波部21の両面での全反射条件を満たすように光入射部22の傾斜角度を設定しておく。
【0044】
光導波部21内を全反射しながら導波光として伝搬した第1光は、一部がビームスプリッター23の一方の面で反射され、残りがビームスプリッター23を透過する。ビームスプリッター23で反射された導波光は照射光LEとして外部スクリーン30方向に取り出され、外部スクリーン30上に画像EXが投影される。ここで、ビームスプリッター23の一方の面での反射率を低く設計することで、照射光LEの強度を抑制して画像EXを視認できないようにすることも可能である。
【0045】
また、ビームスプリッター23を透過した導波光は、光導波部21で再度全反射されて再帰反射部24に到達して再帰反射される。再帰反射部24で再帰反射された導波光は、光導波部21内を逆方向に進行して、全反射された後にビームスプリッター23に到達して反射され、結像光L1として視点60方向に取り出される。このとき、光導波部21を伝搬してきた導波光は光径が拡大しているが、再帰反射部24で反射された導波光は光径が縮小して進行することになる。また、
図2,3に示した例では再帰反射部24の反射面を凹面形状としているため、光径はさらに縮小されながらビームスプリッター23まで到達する。
【0046】
したがって、ビームスプリッター23で反射されて視点60方向に進行する結像光L1は、所定位置が焦点となり空中でエアリアルイメージA1が結像される。ここで再起反射部24を平坦面で形成した場合には、回折格子部10から再起反射部24までの光路長と、再起反射部24からエアリアルイメージA1までの光路長は同じとなる。エアリアルイメージA1を結像した後に、結像光L1は光径が拡大しながら視点60に入射する。これにより、視聴者は視点60から光導波部21および外部スクリーン30方向を見ることで、空中に結像されたエアリアルイメージA1と外部スクリーン30上に投影された画像EXを同時に視認することができる。
【0047】
図2,
図3では、光導波部21の他端を凸形状に形成して、再帰反射部24を凹面形状としたものを示しているが、他端を平板形状や凹形状に形成して再帰反射部24を平板状や凸面形状としてもよい。再帰反射部24の形状と曲率を適切に設計することで、再帰反射部24で再帰反射された後の光径の縮小率を調整することができ、ビームスプリッター23で反射されてエアリアルイメージA1が結像される位置を微調整することができる。
【0048】
また、光導波部21内を伝搬する導波光が、ビームスプリッター23から再帰反射部24に到達するまでに、少なくとも一度は空気との界面で全反射することが必要である。光学設計に応じて、界面での全反射回数を偶数回か奇数回のどちらかに選択することが好ましい。ビームスプリッター23と再帰反射部24の間で光が全反射される程度に両者の距離を確保することで、視点60からビームスプリッター23を介して外部スクリーン30方向を視認した際に、視界の中心近傍に再帰反射部24が位置することを防止できる。加えて、再帰反射部24は光を透過せず視認可能なため、視界の中心に再帰反射部24が位置するとエアリアルイメージA1の視認性が低下するため好ましくない。
【0049】
また、回折格子部10で回折されて分岐された第1光のうち、光導波部21の両面での全反射条件を満たさないものは、光導波部21の外部スクリーン30側の面から外部に照射光LVとして取り出される。ここで、光導波部21のうち照射光LVが取り出される領域は、本発明における第2光出射部に相当している。第2光出射部から取り出された照射光LVは外部スクリーン30に到達して画像V1(図示省略)を投影する。
【0050】
図2に示した例では、結像光L1の進行方向である視点方向と、照射光LVの進行方向である外部スクリーン方向が略平行とされている。これにより、外部スクリーン30と光導波部21との距離を変更しても、外部スクリーン30上での画像V1の投影位置が変化しない。したがって、視聴者が視点60から外部スクリーン30方向を視認した際に、エアリアルイメージA1が結像される位置と画像V1が投影される位置が重ならず、同一の視界内でエアリアルイメージA1と画像V1を並べて視認することが可能となる。ここでは視点方向と外部スクリーン方向を平行とした例を示したが、両者が所定の角度で交差する方向であってもよい。外部スクリーン30と光導波部21の距離を適切に設定することで、外部スクリーン30上での画像V1の投影位置を調整することができるため、エアリアルイメージA1と画像V1の位置関係を調整して視点60で視認することが可能となる。
【0051】
画像照射部50から照射された第2光も、回折格子部10で回折された光の一部が光導波部21での全反射条件を満たすことで、第1光と同様に画像EXの投影とエアリアルイメージA1の結像を行うことができる。また、回折格子部10で回折された第2光のうち光導波部21での全反射条件を満たさないもので、画像V1の投影を行うこともできる。また、回折格子部10で回折された第2光が全て光導波部21での全反射条件を満たさないようにして、第2光では外部スクリーン30への画像V1の投影のみを行うとしてもよい。また、画像照射部50から照射された第2光を回折格子部10に入射させず、光導波部21の視点60に対向する面から入射させて外部スクリーン30に画像V1を直接投影するとしてもよい。この場合、画像V1を投影する照射光LVが透過する領域が、光導波部21における第2光出射部に相当する。
【0052】
図4は、視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXと空中に結像したエアリアルイメージA1を撮像した写真であり、
図4(a)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあて、
図4(b)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあてたものである。
図4(a)(b)において、左側の写真は室内灯を点灯した明るい状態での見え方を示しており、右側の写真は室内灯を消灯した暗い状態での見え方を示している。写真中に白線の楕円で示した位置にそれぞれ画像EXおよびエアリアルイメージA1が写っている。
図4(a)に示したように、画像EXは明るい環境では視認が困難であり暗い環境では視認可能となっている。また
図4(b)に示したように、エアリアルイメージA1は明るい環境でも暗い環境でも視認可能となっている。また、エアリアルイメージA1と画像EXは同一視界において近接して視認可能であり、視聴者が視覚の焦点距離を調整するだけで視認する対象を選択することができる。
【0053】
上述したように、本実施形態の画像投影装置では、ビームスプリッター23で第1光を分岐して外部スクリーン30に画像EXを投影するとともに、光導波部21の端部で再帰反射部24によって第1光を再帰反射し、ビームスプリッター23で視点方向に第1光を反射してエアリアルイメージA1を結像することができる。これにより、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影し、視認させることが可能となる。また、導光板部20の光入射部22に回折格子部10を設け、ビームスプリッター23と再帰反射部24を設けて第1光出射部を構成するため、複雑な光学設計や部品点数の増加が不要であり、小型化と軽量化を図ることが可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図5、
図6を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図5は、本実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。図中に示した実線矢印および破線矢印は、光の経路を模式的に示すものである。また、図中に斜線でハッチングを施した領域は照射光LVが照射される領域を示している。本実施形態の画像投影装置は、画像V1の投影位置のみが第1実施形態と異なっており、他の構成は第1実施形態で
図1を用いて説明したものと同様である。本実施形態では、画像照射部50から照射される第2光を照射光LVとして、照射光LVの進行方向である外部スクリーン方向を視点方向と交差させて、画像EXと画像V1とを同じ領域に投影するものである。
【0055】
図5に示すように、光導波部21の内部を全反射して伝搬する光は、ビームスプリッター23で分岐されて照射光LEとして画像EXを外部スクリーン30上に投影する。また、ビームスプリッター23を透過した光は光導波部21で再度全反射されて再帰反射部24に到達し、再帰反射された後にビームスプリッター23で反射された結像光L1としてエアリアルイメージA1を結像する。
【0056】
また、第2光出射部から外部スクリーン30に投影される照射光LVの進行方向は、結像光L1の進行方向である視点方向とは交差する方向である。
図5に示した例では、画像照射部50から照射された第2光は、回折格子部10に入射されず光導波部21を介して外部スクリーン30に照射光LVとして直接照射されており、画像V1が外部スクリーン30上に投影されている。
【0057】
図6は、視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXおよび画像V1と、空中に結像したエアリアルイメージA1を撮像した写真であり、
図6(a)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあて、
図6(b)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあてたものである。写真中に白線の楕円で示した位置にそれぞれ画像EXおよびエアリアルイメージA1が写っており、画像EXよりも大きな範囲に画像V1が写っている。
図6(a)に示したように、画像EXは画像V1に重ね合わせて表示されており、同時に両者を視認することが可能である。また、視聴者は視覚の焦点距離を調整するだけで視認する対象を選択することができる。
【0058】
本実施形態では、第2光を照射光LVとして外部スクリーン30の広い範囲に画像V1を投影しているため、画像V1を背景画像としてエアリアルイメージA1と重ね合わせた画像投影を行うことができる。また、外部スクリーン30上に画像EXを投影することで、背景画像である画像V1と画像EXの投影位置は視点60からの距離が同じになり、視聴者は同時に異なる2つの画像V1,A1と画像EXを視認することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図7から
図10を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。本実施形態では、第1光出射部を構成するビームスプリッター23と再帰反射部24の間に、所定の反射率で導波光の一部を反射して残りを透過する部分反射部を設けた点が第1実施形態と異なっている。
図7は、本実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
【0060】
図7に示すように、画像投影装置は回折格子部10と、導光板部20と、外部スクリーン30と、画像照射部40,50とを備えている。画像投影装置を装着する視聴者は、視点60の位置から導光板部20および外部スクリーン30方向を視認する。回折格子部10は、
図1に示したように平板状部分11と、凸部12と凹部13と被覆部を備えた光学素子であり、導光板部20とは別体に形成されている。導光板部20は、透光性の材料で構成された板状の部材であり、光導波部21と、光入射部22と、ビームスプリッター23と、再帰反射部24と、部分反射部25を備えている。
【0061】
部分反射部25は、光の一部を所定の反射率で反射するとともに残りの光を透過する光学要素であり、ビームスプリッター23と再帰反射部24の間の光路上に設けられている。
図7に示した例では、光導波部21の端部と再帰反射部24の間に部分反射部25を形成している。また
図7では光導波部21の端部と再帰反射部24および部分反射部25を平坦形状とした例を示しているが、第1実施形態と同様に凸形状と凹面鏡としてもよく、凹形状と凸面鏡としてもよい。また、3次元形状のパラボラ凹凸形状の組み合わせとしてもよい。
【0062】
図8は、本実施形態に係る画像投影装置の第1光出射部を拡大して示す模式断面図である。図中に示した実線矢印および破線矢印は、光の経路を模式的に示すものである。また、図中に斜線でハッチングを施した領域は照射光LVが照射される領域を示している。第1実施形態と同様に、画像照射部40から照射された第1光または画像照射部50から照射された第2光は、光入射部22から光導波部21に入射して導波光として光導波部21で全反射されながら導波される。ビームスプリッター23で反射された導波光は、外部スクリーン30に対して照射光LEとして取り出され、外部スクリーン30上に画像EXを投影する。
【0063】
ビームスプリッター23を透過した導波光は、部分反射部25および再帰反射部24で反射された後にビームスプリッター23に再入射して反射され、結像光L1,L2として視点60方向に取り出される。このとき、部分反射部25で反射された光は正反射であるため、光導波部21内で光径が拡大しながら伝搬してきた導波光は、ビームスプリッター23で反射されて視点60に到達するまで光径が拡大しながら進行する。これにより、視点60では、光導波部21と外部スクリーン30との間の空間にエアリアルイメージA2が結像されているように視認される。
【0064】
また、部分反射部25を透過した光は再帰反射部24に入射し、再帰反射部24では導波光が再帰反射され、ビームスプリッター23で反射されて視点60に到達するまで光径が縮小しながら進行する。これにより、視点60では、光導波部21と視点60との間の空間にエアリアルイメージA1が結像されているように視認される。また、第2光出射部から外部スクリーン30に投影される照射光LVの進行方向は、結像光L1、L2の進行方向である視点方向とは交差する方向であり、画像V1が外部スクリーン30上に投影されている。
【0065】
図9は、視点60位置にカメラを設置して、外部スクリーン30上に投影した画像EXおよび画像V1と、空中に結像したエアリアルイメージA1、A2を撮像した写真であり、
図9(a)はエアリアルイメージA1の結像位置にカメラの焦点をあて、
図9(b)はエアリアルイメージA2の結像位置にカメラの焦点をあて、
図9(c)は外部スクリーン30にカメラの焦点をあてたものである。写真中に白線の楕円で示した位置にそれぞれエアリアルイメージA1、A2および画像EXが写っており、画像EXよりも大きな範囲に画像V1が写っている。
【0066】
図9(a)に示すように、光導波部21よりも視点60側に焦点をあてることで、エアリアルイメージA1を鮮明に写すことができる。また、
図9(b)に示すように、光導波部21と外部スクリーン30の間に焦点をあてることで、エアリアルイメージA2を鮮明に写すことができる。また、
図9(c)に示すように、外部スクリーン30に焦点をあてると、画像EXおよび画像V1を鮮明に写すことができる。また、エアリアルイメージA1、A2と画像EXおよび画像V1は同一視界において近接して視認可能であり、視聴者が視覚の焦点距離を調整するだけで視認する対象を選択することができる。
【0067】
図10は、エアリアルイメージA1,A2のビームプロファイルを示す図であり、
図10(a)は視点60位置から焦点を合わせた写真であり、
図10(b)(c)は結像位置での三次元輝度プロファイルを示し、
図10(d)はx方向での輝度プロファイルであり、
図10(e)はy方向での輝度プロファイルである。
図10(a)(b)は、それぞれ
図9(a)(b)において白線で囲んだ領域を拡大して示している。
図10(c)~
図10(e)は、それぞれエアリアルイメージA1,A2の結像位置における輝度の測定結果を示している。
図10中に示された「x direction」と「y direction」は、
図9(c)中に示されたx軸方向とy軸方向を示している。
【0068】
図10(a)~
図10(c)に示したように、エアリアルイメージA1はx軸方向に長い楕円形状として結像され、エアリアルイメージA2はy軸方向に長い楕円形状として結像されている。また、
図10(d)(e)に示したように、エアリアルイメージA1のx軸方向での半値幅は31ピクセル程度であり、y軸方向での半値幅は10ピクセル程度であった。また、エアリアルイメージA2のx軸方向での半値幅は20ピクセル程度であり、y軸方向での半値幅は25ピクセル程度であった。したがって、エアリアルイメージA1とA2は異なる形状に結像されており、視聴者が視覚の焦点距離を変更した際に視認される形状は、エアリアルイメージA1とA2で変化することになる。
【0069】
上述したように、本実施形態の画像投影装置では、光導波部21の端部において部分反射部25で正反射した導波光でエアリアルイメージA2を結像し、再帰反射部24によって再帰反射した導波光でエアリアルイメージA1を結像する。また、外部スクリーン30上には画像EXと画像V1を投影する。これにより、視点からの距離が異なる位置に複数の画像を投影し、視認させることが可能となる。また、導光板部20の光入射部22に回折格子部10を設け、ビームスプリッター23と部分反射部25と再帰反射部24を設けて第1光出射部を構成するため、複雑な光学設計や部品点数の増加が不要であり、小型化と軽量化を図ることが可能となる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図11を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。本実施形態では、導光板部20を二つ備えて、それぞれの導光板部20に設けられた光入射部22に対向して共通の回折格子部10が配置されている。
【0071】
図11に示すように、画像投影装置は一つの回折格子部10と、二つの導光板部20と、外部スクリーン30と、画像照射部40,50とを備えている。画像投影装置を装着する視聴者は、二つの視点60の位置から両眼で導光板部20および外部スクリーン30方向を視認する。回折格子部10は、
図1に示したように平板状部分11と、凸部12と凹部13と被覆部を備えた光学素子であり、導光板部20とは別体に形成されている。導光板部20は、透光性の材料で構成された板状の部材であり、それぞれ光導波部21と、光入射部22と、ビームスプリッター23と、再帰反射部24を備えている。
【0072】
二つの導光板部20は、互いの光入射部22が隣接して配置されており、共通の回折格子部10が二つの光入射部22に跨って対向して配置されている。また、一つの画像照射部40から回折格子部10に第1光が入射され、回折格子部10で回折された第1光がそれぞれの導光板部20における光入射部22から光導波部21内に入射する。二つの導光板部20はそれぞれ平板状であり、V字形状に配置されている。
【0073】
図1で示したように回折格子部10では、凸部12と凹部13で構成された凹凸部によって第1光が回折され、0次光T1と+1次光I1が図中右方向に進行し、-1次光T2と-2次光I2が図中左方向に進行する。したがって、回折格子部10の右半分に対向して配置された光導波部21には0次光T1と+1次光I1が入射し、回折格子部10の左半分に対向して配置された光導波部21には-1次光T2と-2次光I2が入射する。
【0074】
図11に示した例では、+1次光I1が右側に配置された光導波部21の全反射条件を満たすように光入射部22の傾斜角度および光導波部21の形状を設計することで、+1次光I1が導波光として導波される。同様に、-2次光I2が左側に配置された光導波部21の全反射条件を満たすように光入射部22の傾斜角度および光導波部21の形状を設計することで、-2次光I2が導波光として導波される。
【0075】
二つの導光板部20内を導波された第1光(導波光)は、それぞれ他端側に設けられたビームスプリッター23と再帰反射部24で反射されて視点60方向に取り出されて、エアリアルイメージA1を結像する。
図11では図示を省略したが、第3実施形態と同様に再帰反射部24とビームスプリッター23の間に部分反射部25を設けた場合には、光導波部21と外部スクリーン30との間にエアリアルイメージA2を結像することもできる。
【0076】
画像照射部50からは、導光板部20を介して外部スクリーン30に対して照射光LVを直接照射し、外部スクリーン30上の広い領域にわたって画像V1を投影することができる。
図11では画像照射部50から照射される照射光LVが外部スクリーン30の左半分に投影された状態を示しているが、別途レンズ等の光学部材を用いることで、外部スクリーン30の全域に照射光LVを照射して、画像V1を外部スクリーン30全域に視界全体を覆うように投影することもできる。
【0077】
上述したように本実施形態の画像投影装置では、二つの導光板部20に共通の回折格子部10を設けることで、視聴者の両眼に対してエアリアルイメージA1,A2の結像を視認させることができる。また、画像照射部50が照射する照射光LVで外部スクリーン30上に背景画像である画像V1を投影することで、画像V1にエアリアルイメージA1,A2を重ね合わせて投影することができる。また、本実施形態の画像投影装置でも、複雑な光学設計や部品点数の増加が不要であり、小型化と軽量化を図ることが可能となる。
【0078】
(第4実施形態の変形例)
次に、本発明の第4実施形態の変形例について
図12を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図12は、第4実施形態の変形例に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。本変形例では、導光板部20が曲面形状を有している点が第4実施形態と異なっている。
【0079】
図12に示した例では、0次光T1が右側に配置された光導波部21の全反射条件を満たすように光入射部22の傾斜角度および光導波部21の形状を設計することで、0次光T1が導波光として導波される。同様に、-1次光T2が左側に配置された光導波部21の全反射条件を満たすように光入射部22の傾斜角度および光導波部21の形状を設計することで、-1次光T2が導波光として導波される。本変形例でも、第4実施形態と同様に、二つの視点60位置から空中に結像されたエアリアルイメージA1,A2と、外部スクリーン30上に投影された画像V1を視認することができる。
【0080】
また、
図12に示した例では、二つの導光板部20は視点60方向に沿った曲面形状を有しているが、回折格子部10から光入射部22への第1光の入射角度は回折条件によって決まるため、曲面に沿って全反射を繰り返すように導光板部20を設計することは可能である。また、
図12では左右の導光板部20が線対象に近い形状で描かれているが、回折格子部10で回折された第1光のうち、どの光を導波光とするかで光入射部22の傾斜角度等を左右で異ならせるとしてもよい。
【0081】
本変形例では、光導波部21が曲面形状を有していることで、画像投影装置の設計自由度が向上し、意匠性向上や装着時の快適性向上を図ることができる。
【0082】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について
図13、
図14を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
図13に示すように、画像投影装置は回折格子部10と、導光板部20と、外部スクリーン30と、画像照射部40,50とを備えている。画像投影装置を装着する視聴者は、視点60の位置から導光板部20および外部スクリーン30方向を視認する。
【0083】
回折格子部10は、
図1に示したように平板状部分11と、凸部12と凹部13と被覆部を備えた光学素子であり、導光板部20とは別体に形成されている。導光板部20は、透光性の材料で構成された板状の部材であり、光導波部21と、光入射部22と、ビームスプリッター23と、再帰反射部24と、部分反射部25と、光フィルター26を備えている。また、画像照射部50からの第2光が取り出される第2光出射部には、光フィルター61と光シャッター部62と投影レンズ63が設けられている。
【0084】
光フィルター26、61は、所定波長範囲の光を透過しその他の波長の光を遮る光学部材である。本実施形態では、光フィルター26として第2光の波長を遮り第1光の波長を透過するバンドパスフィルターあるいはそれに相当する光フィルターを用い、光フィルター61として第1光の波長を遮り第2光の波長を透過するバンドパスフィルターあるいはそれに相当する光フィルターを用いる。一例としては、画像照射部40が照射する第1光は赤色光であり、画像照射部50が照射する第2光は緑色光である。したがって、光フィルター26はロングパスフィルターを用い、光フィルター61はショートパスフィルターを用いるとしてもよい。
【0085】
光シャッター部62は、制御部(図示省略)によって駆動制御され、光の透過と遮断を切り替える光学部材である。光シャッター部62の具体的構成は限定されず、公知の液晶シャッター等を用いることができる。投影レンズ63は第2光出射部から取り出された照射光LVの光径を拡大して、外部スクリーン30に対して投影するための光学部材である。
図13では投影レンズ63として一つのレンズを示しているが、複数のレンズを組み合わせて投影レンズ63を構成するとしてもよい。
【0086】
画像照射部40から照射された第1光は、回折格子部10で回折された光の一部が光入射部22から入射し、光導波部21内を全反射して導波光として導波される。第1光の導波光は全反射しながらビームスプリッター23まで到達し、一部が反射されて外部スクリーン30に画像EXが投影される。第1光の導波光のうちビームスプリッター23を透過した光は再度全反射されて光導波部21の端部にまで到達する。
【0087】
光導波部21の端部にまで到達した第1光の導波光は、光フィルター26を透過して部分反射部25に入射し、一部が正反射されて残りは透過して再帰反射部24に到達する。再帰反射部24では導波光が再帰反射される。再帰反射部24で再帰反射された第1光は、第1実施形態で述べたように視点60と光導波部21の間の空中にエアリアルイメージA1として結像される。また、部分反射部25で正反射された光は光導波部21と外部スクリーン30の間の空中にエアリアルイメージA2として結像される。
【0088】
第1光のうち光導波部21での全反射条件を満たさない光は、第2光出射部から外部スクリーン30方向に取り出されるが、第2光出射部には光フィルター61が設けられているため、第1光は光フィルター61で遮られて外部スクリーン30には投影されない。
【0089】
画像照射部50から照射された第2光は、回折格子部10で回折された光の一部が光入射部22から入射し、光導波部21内を全反射して導波光として導波される。このとき、第2光の回折格子部10に対する入射角度を第1光の入射角度とは異ならせて、適切な回折条件となる入射角度を選択することで、第1光と第2光の光導波部21への入射角度を同じに設定することができる。また、第1光と第2光の回折格子部10への入射位置も同じとすると、光導波部21内を全反射して導波する第1光と第2光の経路を同じにすることができる。
【0090】
第2光の導波光も全反射しながらビームスプリッター23まで到達し、一部が反射されて外部スクリーン30に画像EXが投影される。第2光の導波光のうちビームスプリッター23を透過した光は再度全反射されて光導波部21の端部にまで到達する。光導波部21の端部にまで到達した第2光の導波光は、光フィルター26によって遮られ、部分反射部25および再帰反射部24には到達しない。したがって、ビームスプリッター23にまで反射して戻る第2光が無くなり、第2光によってはエアリアルイメージA1,A2は結像されない。
【0091】
第2光のうち光導波部21での全反射条件を満たさない光は、第2光出射部から外部スクリーン30方向に取り出され、光シャッター部62が透過状態の場合には、投影レンズ63を介して外部スクリーン30に照射光LVが照射されて画像V1が投影される。光シャッター部62が遮断状態の場合には、第2光の照射光LVが遮られて画像V1は投影されない。
【0092】
上述したように本実施形態では、光フィルター26をビームスプリッター23と再帰反射部24の間に設けていることで、第1光のみでエアリアルイメージA1,A2を結像させることができる。また、光フィルター61を第2光出射部に設けていることで、第2光のみで外部スクリーン30に画像V1を投影することができる。したがって、画像照射部40から照射された第1光で結像されるエアリアルイメージA1,A2の内容と、画像照射部50から照射された第2光で投影される画像V1の内容を異ならせることで、多彩な画像投影を実現することができる。
【0093】
また、画像照射部40に焦点距離を可変としたレンズ光学部を含ませて、回折格子部10に入射する第1光の拡がり角を調整することで、エアリアルイメージA1,A2の結像効率を変化させることもできる。
【0094】
(第5実施形態の変形例)
次に、本発明の第5実施形態の変形例について
図14を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図14は、第5実施形態の変形例に係る画像投影装置の構造を示す模式図である。
図14に示すように、画像投影装置は回折格子部10と、導光板部20と、外部スクリーン30と、画像照射部40a,40b,50とを備えている。
【0095】
本変形例では、画像照射部40aからは第1画像を含んだ第1波長の第1光が照射され、画像照射部40bからは第2画像を含んだ第2波長の第2光が照射され、画像照射部50からは第3画像を含んだ第3波長の第3光が照射される。一例としては、第1波長は赤色光であり、第2波長は青色光であり、第3波長は緑色光である。また本変形例では、光フィルター26として第3波長を遮り第1波長と第2波長を透過するノッチフィルターを用い、光フィルター61として第1波長と第2波長を遮り第3波長を透過するバンドパスフィルターを用いる。また本変形例では、部分反射部25として第1波長を反射し第2波長を透過するダイクロイックミラー(選択反射部)を用いる。
【0096】
画像照射部40a,40b,50から回折格子部10に照射される第1光、第2光、第3光の入射角は、適切な回折条件を満たすように選択されており、回折格子部10から光導波部21に入射する光は同じ経路で全反射して光導波部21内を伝搬する。
【0097】
画像照射部40a,40bから照射された第1光と第2光は、回折格子部10で回折された光の一部が光入射部22から入射し、光導波部21内を全反射して導波光として導波される。第1光および第2光の導波光は、全反射しながらビームスプリッター23まで到達し、一部が反射されて外部スクリーン30に画像EXが投影される。第1光および第2光の導波光のうちビームスプリッター23を透過した光は、再度全反射されて光導波部21の端部にまで到達する。
【0098】
光導波部21の端部にまで到達した第1光の導波光は、光フィルター26を透過して部分反射部25に入射して正反射される。部分反射部25で正反射された第1光は、光導波部21と外部スクリーン30の間の空中にエアリアルイメージA2として結像される。また、光導波部21の端部にまで到達した第2光の導波光は、光フィルター26と部分反射部25を透過して再帰反射部24に入射して再帰反射される。再帰反射部24で再帰反射された第2光は、第1実施形態で述べたように視点60と光導波部21の間の空中にエアリアルイメージA1として結像される。
【0099】
第1光および第2光のうち光導波部21での全反射条件を満たさない光は、第2光出射部から外部スクリーン30方向に取り出されるが、第2光出射部には光フィルター61が設けられているため、第1光および第2光は光フィルター61で遮られて外部スクリーン30には投影されない。
【0100】
画像照射部50から照射された第3光は、回折格子部10で回折された光の一部が光入射部22から入射し、光導波部21内を全反射して導波光として導波される。第3光の導波光も全反射しながらビームスプリッター23まで到達し、一部が反射されて外部スクリーン30に画像EXが投影される。第3光の導波光のうちビームスプリッター23を透過した光は再度全反射されて光導波部21の端部にまで到達する。
【0101】
光導波部21の端部にまで到達した第3光の導波光は、光フィルター26によって遮られ、部分反射部25および再帰反射部24には到達しない。したがって、ビームスプリッター23にまで反射して戻る第3光が無くなり、第3光によってはエアリアルイメージA1,A2は結像されない。
【0102】
第3光のうち光導波部21での全反射条件を満たさない光は、第2光出射部から外部スクリーン30方向に取り出され、光シャッター部62が透過状態の場合には、投影レンズ63を介して外部スクリーン30に照射光LVが照射されて画像V1が投影される。光シャッター部62が遮断状態の場合には、第2光の照射光LVが遮られて画像V1は投影されない。
【0103】
上述したように本実施形態では、光フィルター26をビームスプリッター23と再帰反射部24の間に設けていることで、第1光と第2光それぞれでエアリアルイメージA1,A2を結像させることができる。また、光フィルター61を第2光出射部に設けていることで、第3光のみで外部スクリーン30に画像V1を投影することができる。したがって、画像照射部40から照射された第1光と第2光で結像されるエアリアルイメージA1,A2の内容と、画像照射部50から照射された第3光で投影される画像V1の内容を異ならせることで、多彩な画像投影を実現することができる。
【0104】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について
図15を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図15は、本実施形態における再帰反射部24の構造例を示す模式図である。
図15に示すように、再帰反射部24は、シート部24a上に選択的にマイクロビーズが形成されており、マイクロビーズが形成された再帰反射領域24bと、シート部24aが露出した正反射領域24cが混在して形成されている。
【0105】
シート部24aは、表面が反射面として形成された薄板状の部材である。シート部24aは可撓性を有していることが好ましく、可撓性を有することで
図15(a)に示した平板状や
図15(b)に示した凹面鏡、
図15(c)に示した凸面鏡の形状をとることができる。
【0106】
再帰反射領域24bは、シート部24a表面にマイクロビーズが形成された領域であり、再帰反射領域24bに入射した光はマイクロビーズ内で反射されることで入射してきた方向に再帰反射される。正反射領域24cにはマイクロビーズが形成されておらず、シート部24aの反射面が露出しているため、正反射領域24cに入射した光はシート部24aの反射面で正反射される。
【0107】
本実施例の再帰反射部24は、フォトリソグラフィー技術を用いてシート部24aの正反射領域24c上にマスクを形成し、マスクが形成されていない領域にマイクロビーズを堆積させることで再帰反射領域24bを形成する方法等で形成することができる。マイクロビーズの堆積後にはマスク層を除去して正反射領域24cでシート部24aの反射面を露出させる。
【0108】
図15(a)~
図15(c)に示したように、光径が拡大しながら再帰反射部24に入射した光の一部は、再帰反射領域24bで光が結像光L1として再帰反射され、光径が縮小して反射される。また、正反射領域24cでは光が結像光L2として再帰反射され、光径が拡大して反射される。ここで、
図15(a)~
図15(c)に示したように再帰反射部24が平板状であるか、凹面鏡であるか、凸面鏡であるかによって、結像光L1,L2の光径の拡大率と縮小率を調整することが可能である。
【0109】
本実施形態の再帰反射部24を用いることで、光導波部21の端部にまで到達した導波光を部分的に再反射し残りを正反射して、第3実施形態において
図8に示したものと同様にエアリアルイメージA1,A2を結像することができる。第3実施形態との違いは、先に記載したようにシート部24aが薄板状の部材であり可撓性を有する点である。それに加えて、シート部24a表面でのマイクロビーズの配列や純度などを調整することで、再起反射効率を設計することもできる。また、シート部24aの表面に金属薄膜を蒸着することで、反射と再帰反射を混在させた反射再帰反射素子あるいは再帰反射型光フィルターを構成することもできる。シート部24aにこれらの構造を用いることで、光学設計の自由度向上や意匠性の向上を図ることができる。
【0110】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態から第6実施形態までは、画像照射部40から照射された第1光をそのままの波長で画像EX、画像V1の投影およびエアリアルイメージA1,A2の結像に用いていた。しかし、第1光出射部または第2光出射部に第1光の波長を変換する波長変換部材を設けることで、画像照射部40から照射された光と異なる色で画像EX、画像V1の投影およびエアリアルイメージA1,A2の結像を行うとしてもよい。
【0111】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態から第7実施形態までは、回折格子部10として周期的な凹凸部を備えたグレーティングを用いていた。しかし、回折格子部10の凹凸部が周期構造である必要はなく、少なくとも二つの方向に光を回折することができれば、ホログラフィックグレーティング構造であってもよい。また、回折格子部10を導光板部20と別体に形成した例を示したが、光導波部21内部や光入射部22の表面に回折格子部10を形成するとしてもよい。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10…回折格子部
20…導光板部
30…外部スクリーン
40,40a,40b,50…画像照射部
60…視点
11…平板状部分
12…凸部
13…凹部
21…光導波部
22…光入射部
23…ビームスプリッター
24…再帰反射部
24a…シート部
24b…再帰反射領域
24c…正反射領域
25…部分反射部
26…光フィルター
41…光源部
42…半波長板
43…偏光子
45,46,47…ミラー
48…バンドパスフィルター
61…光フィルター
62…光シャッター部
63…投影レンズ
A1,A2…エアリアルイメージ
V1,EX…画像