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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】車両処理装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021078844
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2022172721
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2024-02-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年3月12日、山崎製パン株式会社 広島工場にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 治幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大雄
(72)【発明者】
【氏名】丸田 和将
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-295743(JP,A)
【文献】特開2021-041907(JP,A)
【文献】特開平11-348738(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126961(US,A1)
【文献】特開平07-156762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両または前記第1車両よりも小さい第2車両に対して相対的に前後移動するよう敷設面に設けられた本体部と、
前記敷設面より高い位置で、前記本体部に設けられた第1センサ部と、
前記第1センサ部よりも高く、前記第1センサ部よりも前方の位置で、前記本体部に設けられた第2センサ部と、
前記第1センサ部よりも低く、前記第2センサ部よりも後方の位置で、前記本体部に設けられた第3センサ部と、を備え、
前記第1センサ部により前記第1車両の停車位置を検出する機能と、
前記第2センサ部により前記第1車両または前記第2車両の高さを検出する機能と、
前記第3センサ部により前記第2車両の停車位置を検出する機能と、を含む、
ことを特徴とする車両処理装置。
【請求項2】
前記敷設面からの高さ方向の同一直線上に前記第1センサ部および前記第3センサ部が配置されている、
請求項1記載の車両処理装置。
【請求項3】
前記第1センサ部は、高位にある高位光電センサを有し、
前記第3センサ部は、前記高位光電センサよりも低位にある低位光電センサを有し、
前記本体部の前面視において、前記第1車両または前記第2車両へ向かう前記高位光電センサの光軸と前記低位光電センサの光軸とが発光側から漸次離れている、
請求項1または2記載の車両処理装置。
【請求項4】
前記第1センサ部または前記第3センサ部は、前後方向に並んだ前側光電センサおよび後側光電センサを有し、
前記本体部の平面視において、前記第1車両または前記第2車両へ向かう前記前側光電センサの光軸と前記後側光電センサの光軸とが発光側から漸次離れている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両処理装置。
【請求項5】
前記本体部に設けられた回転ブラシを備え、
前記第2車両に対して前記回転ブラシを接触させる負荷を、前記第1車両に対して前記回転ブラシを接触させる負荷よりも小さくしている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両処理装置。
【請求項6】
前記本体部に接離動可能に設けられ、前記本体部側で収容される位置を待機位置とした移動ブラシを備え、
前記第2車両に対して前記待機位置からの移動速度が、前記第1車両に対して前記待機位置からの移動速度よりも速い、
請求項1~5のいずれか一項に記載の車両処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理装置に関し、特に、車両を洗浄する機能を有する洗車装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-41907号公報(以下、「特許文献1」という。)には、箱車、バス、平ボディ、トレーラといった車高の高い車両を洗車する技術が記載されている。また、特開2008-254554号公報(以下、「特許文献2」という。)には、車形センサと連携して自動車が洗車位置に停車していることを検知する自動車検知センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-41907号公報(明細書段落[0009])
【文献】特開2008-254554号公報(明細書段落[0014])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、車両を洗浄する機能を有する洗車装置は、処理対象となる車両の大きさによって使い分けがなされていた。例えば、箱車やバスなどの中型・大型自動車に対しては、特許文献1に記載のような大型車用装置が用いられ、セダンやクーペなどの普通自動車に対しては、特許文献2に記載のような普通車用装置が用いられていた。なお、普通自動車、中型自動車、大型自動車の大きさについては、例えば道路交通法に規定されているが、本願では、中型・大型自動車よりも普通自動車が車高、車幅、車長において小さいものとして説明する。
【0005】
例えば、大型車用装置では、車両大きさ(処理対象面積)に合わせてブラッシング用の回転ブラシや乾燥用の送風ノズルを大型化したり高出力化したりされている。特に、処理対象である中型・大型自動車の車両形状がある程度定まっているために、普通車用装置で備える車形センサ(例えば、多くの光電センサで構成されている)を用いなくとも、停車位置を検出し、車種判定をすることができる。このため、大型車用装置の処理対象としては普通自動車が除かれていた。
【0006】
本発明の一目的は、種々の大きさの車両に対して処理を行うことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一解決手段に係る車両処理装置は、第1車両または前記第1車両よりも小さい第2車両に対して相対的に前後移動するよう敷設面に設けられた本体部と、前記敷設面より高い位置で、前記本体部に設けられた第1センサ部と、前記第1センサ部よりも高く、前記第1センサ部よりも前方の位置で、前記本体部に設けられた第2センサ部と、前記第1センサ部よりも低く、前記第2センサ部よりも後方の位置で、前記本体部に設けられた第3センサ部と、を備える。
前記車両処理装置は、前記第1センサ部により前記第1車両の停車位置を検出する機能を含むことが好ましい。また、前記車両処理装置は、前記第2センサ部により前記第1車両または前記第2車両の高さを検出する機能を含むことが好ましい。また、前記車両処理装置は、前記第3センサ部により前記第2車両の停車位置を検出する機能を含むことが好ましい。
前記車両処理装置は、前記敷設面からの高さ方向の同一直線上に前記第1センサ部および前記第3センサ部が配置されていることが好ましい。
前記第1センサ部は、高位にある高位光電センサを有することが好ましい。前記第3センサ部は、前記高位光電センサよりも低位にある低位光電センサを有することが好ましい。前記本体部の前面視において、前記第1車両または前記第2車両へ向かう前記高位光電センサの光軸と前記低位光電センサの光軸とが発光側から漸次離れていることが好ましい。
前記第1センサ部または前記第3センサ部は、前後方向に並んだ前側光電センサおよび後側光電センサを有することが好ましい。前記本体部の平面視において、前記第1車両または前記第2車両へ向かう前記前側光電センサの光軸と前記後側光電センサの光軸とが発光側から漸次離れていることが好ましい。
前記車両処理装置は、前記本体部に設けられた回転ブラシを備えることが好ましい。前記第2車両に対して前記回転ブラシを接触させる負荷を、前記第1車両に対して前記回転ブラシを接触させる負荷よりも小さくしていることが好ましい。
前記車両処理装置は、前記敷設面からの高さ方向において移動するよう前記本体部に設けられ、前記第2センサ部よりも高い位置を待機位置としたトップ回転ブラシを備えることが好ましい。前記車両処理装置は、前記第1車両に対して前記待機位置から前記第2センサ部に至るまでに前記トップ回転ブラシの回転を開始させる機能を含むのが好ましい。また、前記第2車両に対して前記待機位置から前記第2センサ部に至ってから前記トップ回転ブラシの回転を開始させる機能を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一解決手段によれば、種々の大きさの車両に対して処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車両処理装置を説明する正面図である。
図2図1に示す車両処理装置を説明する側面図である。
図3図1に示す車両処理装置のトップブラシを説明する構成図である。
図4図1に示す車両処理装置のサイドブラシを説明する構成図である。
図5図1に示す車両処理装置の制御系を説明するブロック図である。
図6図1に示す車両処理装置の停車車両の大きさ判定手段のフロー図である。
図7図1に示す車両処理装置の一異常判定手段のフロー図である。
図8図1に示す車両処理装置の他の異常判定手段のフロー図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る車両処理装置の停車位置検出を説明する正面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る車両処理装置の停車位置検出を説明する平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0011】
本発明の実施形態に係る車両処理装置の一例として、処理対象となる車両を洗浄する機能を有する洗車装置について図面を参照して説明する。図1および図2に、それぞれ前面視(正面視)および左側面視の洗車装置50を示す。洗車装置50は、例えば、箱車やバスなどの中型・大型自動車といった車両51L、または、これよりも小さいセダンやクーペなどの普通自動車といった車両51Sに対して処理を行うことができる。なお、以下では、車両51Lや車両51Sを区別せずに「車両51」と記す場合もある。
【0012】
洗車装置50は、本体部1(本体機)を備えている。本体部1は、車両51に対して前後移動するよう敷設面となる地面Gに設けられている。本体部1は、車両51を跨ぐよう門型状(左右の脚部および天側の梁部から構成される)に形成された筐体を有し、地面Gに起立して設けられている。本体部1の門型開口は、例えば、車幅2500mm×車高4100mmまでの車両51を処理できる大きさである。本体部1は、正転逆転可能な走行モータ4、4により、車輪2、2を回転駆動してレール3、3に沿って前後移動(往復走行)する。ここで、本体部1の起立方向は、地面Gからの高さ方向(鉛直方向)であり、車両51の車高方向とする。また、本体部1の前後方向および本体部1の左右方向は、レール3、3に平行に入車してくる状態では、それぞれ車両51の車長方向および車幅方向となる。
【0013】
また、洗車装置50は、走行限界スイッチ7を備えている(図1図2)。走行限界スイッチ7は、本体部1の一方の脚部下端に設けられ、レール3の前端および後端付近に設置したドッグ3a、3bの接触によりスイッチングして本体部1の前進および後進の限界位置を検出することができる。走行限界スイッチ7がドッグ3aに接触すると走行後端位置を検出し、ドッグ3bに接触すると走行前端位置を検出することができる。
【0014】
また、洗車装置50は、回転ブラシであるトップブラシ5と、トップブラシ5の駆動機構とを備えている。トップブラシ5は、図1、2に示すように、本体部1の起立方向において移動するよう本体部1に設けられている。トップブラシ5は、上下に移動(昇降)しながら回転し、主に車両51の上面をブラッシングすることができる。
【0015】
図3にトップブラシ5の駆動機構の一例を示す。トップブラシ5は、本体部1の左右方向に延在するブラシ軸12(回転軸)を備えている。トップブラシ5の駆動機構は、キャリア13L、13Rと、昇降レール14L、14Rと、ブラシ用モータ15と、昇降装置とを備えている。トップブラシ5は、ブラシ軸12の両端にキャリア13L、13Rが直結され、一方のキャリア13Rに固定されたブラシ用モータ15により正逆転駆動される。また、キャリア13L、13Rは、本体部1の脚部内に垂設した昇降レール14L、14R上を昇降装置により昇降される。
【0016】
このトップブラシ5の昇降装置は、チェーン16と、スプロケット17U、17Dと、回転軸18と、昇降モータ19とを備え、キャリア13L、13Rを介してトップブラシ5を昇降させることができる。無端状のチェーン16が上端および下端でスプロケット17U、17Dに掛けられている。左右の上スプロケット17Uが回転軸18によって連結されている。昇降モータ19が左右一方の下スプロケット17Dに直結されている。よって、トップブラシ5は、昇降モータ19の正逆転駆動により本体部1の起立方向に昇降移動することができる。
【0017】
また、トップブラシ5の駆動機構は、昇降限界スイッチ20、21を備えている。昇降限界スイッチ20、21は、キャリア13Lの接触によりスイッチングして上昇限界および下降限界を与えることができる。このように、トップブラシ5は移動ブラシとして本体部1の梁部から接離動可能であり、その待機位置は、例えば、上昇限界を与える昇降限界スイッチ20でスイッチングされた位置(本体部1の梁部側で収容される位置)である。
【0018】
また、洗浄装置50は、回転ブラシであるサイドブラシ6、6と、サイドブラシ6、6の駆動機構とを備えている。サイドブラシ6、6は、対をなし、図1、2に示すように、本体部1の左右方向において移動するよう本体部1に設けられている。サイドブラシ6、6は、左右に移動(開閉)しながら回転し、主に車両51の前後面及び側面をブラッシングすることができる。洗車装置50では、サイドブラシ6、6が互いに近づく方向の動作を閉動作、離れる方向の動作を開動作としている。このように、サイドブラシ6、6は移動ブラシとして本体部1の脚部から接離動可能であり、その待機位置は、例えば、互いに最も離れた位置(本体部1の脚部側で収容された位置)である。
【0019】
図4にサイドブラシ6、6の駆動機構の一例を示す。サイドブラシ6、6は、本体部1の起立方向に延在するブラシ軸22(回転軸)を有している。サイドブラシ6、6の駆動機構は、キャリア23L、23Rと、開閉レール24と、ブラシ用モータ25、25と、開閉装置とを備えている。サイドブラシ6、6は、ブラシ軸22、22の上端にキャリア23L、23Rが直結され、キャリア23L、23Rに固定されたブラシ用モータ25、25により正逆転駆動される。また、キャリア23L、23Rは、本体部1の梁部内に水平に横架された開閉レール24上を開閉装置により開閉される。
【0020】
このサイドブラシ6、6の開閉装置は、チェーン26、26と、スプロケット27L、27Rと、開閉モータ28、28とを備え、キャリア23L、23Rを介してサイドブラシ6、6を開閉させることができる。無端状のチェーン26が左端および右端でスプロケット27L、27Rに掛けられている。左側のサイドブラシ6の開閉モータ28が左スプロケット27Lに直結されている。右側のサイドブラシ6の開閉モータ28が右スプロケット27Rに直結されている。よって、サイドブラシ6、6は、開閉モータ28、28の正逆転駆動により本体部1の左右方向に開閉移動することができる。
【0021】
また、洗車装置50は、電装ボックス8a、8bを備えている。電装ボックス8a、8bは、図1に示すように、本体部1の門型脚部の前面に左右一対で設けられている。また、電装ボックス8a側の前面には、洗車受付を行う操作パネル9が設けられている。操作パネル9には、「水洗車」「洗剤洗車」「ワックス洗車」といった洗車コース(洗車プログラム)が選択できる洗車コースキー、洗車スタートキー、洗車ストップキーが備えられ、ユーザの希望に添った洗車形態を設定できるようになっている。ユーザにより操作パネル9で任意の洗車コースが選択された後にスタートボタンが押されると、本体部1が前進し、各散布ノズル(図示せず)から水などの洗浄液を散布しながらトップブラシ5、サイドブラシ6、6により、車両51に対してブラッシング洗浄が行われる。なお、操作パネル9で処理対象の車両51が、普通自動車の車両51Sであることや、中型・大型自動車の車両51Lであることを選択させることもできる。
【0022】
また、洗車装置50は、第1センサ部52を備えている。第1センサ部52は、図1図2に示すように、地面Gよりも高い位置で、本体部1の前部側に設けられている。洗車装置50は、この第1センサ部52を用いて車両51L(例えば中型・大型自動車)の停車位置を検出する機能を有している。第1センサ部52は、透過型の光電センサ10、11を備えてユニット構成されている。2つの光電センサ10、11は、本体部1の前後方向に沿って所定距離離れた位置に並んで設けられている。光電センサ10(前側光電センサ)の発光部および光電センサ11(後側光電センサ)の発光部は、電装ボックス8b側に設けられている。また、光電センサ10の受光部および光電センサ11の受光部は、電装ボックス8a側に設けられている。
【0023】
光電センサ10、11はそれぞれ、受光部を発光部よりも高い位置に配置することで上向きに傾斜した光軸B1、B1を形成し、この傾斜光軸B1、B1の通光/遮光によって、例えば中型・大型自動車の車両51Lの有無を検出することができる。光電センサ10、11の発光部と受光部の地上高さは、それぞれ例えば950mmおよび1350mmである。傾斜光軸B1を形成する光電センサ10、11を備える第1センサ部52によれば、車両51Lとして例えば種々の中型・大型自動車であってもその前部を検出することができる。
【0024】
車両51Lの停車位置を検出する第1センサ部52は、本体部1の平面視において前側光電センサ10の光軸B1と後側光電センサ11の光軸B1が互いに平行になる(図1では重ねて示している)ように構成されている。光電センサ10、11が共に通光状態では車両51Lは処理が行われる位置にまで進んでいないと判定される。また、光電センサ10が遮光状態で光電センサ11が通光状態では車両51Lは処理が行われる位置に到達していると判定される。また、光電センサ10、11が共に遮光状態では車両51Lが進みすぎていると判定される。本実施形態では、光電センサ10、11の光軸B1、B1が平行であるため、光電センサ10、11の間の距離を狭めることで、車両51Lの前部を検出する精度、すなわち車両51Lの停車位置を検出する精度を向上させることができる。
【0025】
また、洗車装置50は、第2センサ部53を備えている。第2センサ部53は、図1図2に示すように、第1センサ部52よりも高く、第1センサ部52よりも前方の位置で、本体部1の前部側に設けられている。洗車装置50は、この第2センサ部53を用いて車両51L(例えば中型・大型自動車)または車両51S(例えば普通自動車)の高さを検出する機能を有している。第2センサ部53は、透過型の光電センサ54、55、56、57を備えてユニット構成されている。これら光電センサ54~57は、本体部1の起立方向に沿って並んで設けられている。光電センサ54~57の発光部は、電装ボックス8b側に設けられている。また、光電センサ54~57の受光部は、電装ボックス8a側に設けられている。
【0026】
光電センサ54~57は、それぞれ発光部と受光部とを地面Gから同じ高さとして対向配置されることで水平な4つの光軸B2を形成し、これら4つの水平光軸B2の通光/遮光によって、車両51の有無を検出することができる。光電センサ57は、光電センサ56よりも高い位置にある。光電センサ56は、光電センサ55よりも高い位置にある。光電センサ55は、光電センサ54よりも高い位置にある。すなわち、光電センサ54、55、56、57がこの順で地面G側から設けられている。光電センサ54、55、56、57の地上高は、例えば、1750mm、2250mm、2750mm、3250mmである。水平光軸B2を形成する光電センサ54~57を備える第2センサ部53によれば、車両51の高さを検出することができる。
【0027】
車両51の高さを検出する第2センサ部53は、図1に示すように、本体部1の前面視において光電センサ54~57の光軸B2が互いに平行になるよう構成されている。このため、光電センサ54~57が共に通光状態では車両51が光電センサ54の高さに達しない車高のものであると判定される。また、光電センサ54が遮光状態で光電センサ55~57が通光状態では車両51が光電センサ54と光電センサ55との間の高さにある車高のものであると判定される。また、光電センサ54、55が遮光状態で光電センサ56、57が通光状態では車両51が光電センサ55と光電センサ56との間の高さにある車高のものであると判定される。また、光電センサ54、55、56が遮光状態で光電センサ57が通光状態では車両51が光電センサ56と光電センサ57との間の高さにある車高のものであると判定される。また、光電センサ54、55、56、57が遮光状態では車両51が光電センサ57の高さより高い車高のものであると判定される。
【0028】
また、第2センサ部53は、第1センサ部52よりも前方の位置(図2に距離xとして示す。距離xは例えば55mm)となるように、本体部1に設けられている。より具体的には、第1センサ部52の後側光電センサ11から例えば355mm前方に第2センサ部53が設けられている。そして、第2センサ部53は、所定の高さにおいて本体部1の筐体から支持部60(アーム部)を介して前方に離れて設けられている。トップブラシ5、サイドブラシ6、6が本体部1に設けられているが、これよりも前方に第2センサ部53を設けることで、車両5をトップブラシ5、サイドブラシ6、6でブラッシングする前に、車両51の特徴を判定することができる。
【0029】
このように本体部1の筐体側には洗浄に用いられるトップブラシ5やサイドブラシ6、6が設けられているが、洗浄時に筐体のパネルに水などの洗浄液が跳ね返り飛沫となる。この飛沫による影響を抑制するために、洗車装置50では、第2センサ部53を本体部1の筐体から離して設けている。これにより、第2センサ部53の不良状態を回避し、車両51の特徴を精度よく判定することができる。また、第2センサ部53は、ユニットとして支持部60を介して本体部1の筐体に容易に取り付けられるため、メンテナンス性にも優れている。
【0030】
また、洗車装置50は、第3センサ部80を備えている。第3センサ部80は、図1図2に示すように、第1センサ部52よりも低く、第2センサ部53よりも後方の位置で、本体部1に設けられている。洗浄装置50は、この第3センサ部80を用いて車両51S(例えば普通自動車)の停車位置を検出する機能を有している。第3センサ部80は、透過型の光電センサ81、82を備えてユニット構成されている。2つの光電センサ81、82は、本体部1の前後方向に沿って所定距離離れた位置に並んで設けられている。光電センサ81(前側光電センサ)の発光部および光電センサ82(後側光電センサ)の発光部は、電装ボックス8b側に設けられている。また、光電センサ81の受光部および光電センサ82の受光部は、電装ボックス8a側に設けられている。
【0031】
光電センサ81、82は、それぞれ発光部と受光部とを地面Gから同じ高さ(例えば620mm)として対向配置されることで水平な光軸B3、B3を形成し、この水平光軸B3、B3の通光/遮光によって、例えば普通自動車の車両51Sの有無を検出することができる。水平光軸B3を形成する光電センサ81、82を備える第3センサ部80によれば、車両51Sとして例えば種々の普通自動車であってもその前部を検出することができる。なお、中型・大型自動車の車両51Lの形状によっては第3センサ部80によって車両51Lも検出される場合がある。
【0032】
車両51Sの停車位置を検出する第3センサ部80は、本体部1の平面視において前側光電センサ81の光軸B3と後側光電センサ82の光軸B3が互いに平行になるように構成されている。光電センサ81、82が共に通光状態では車両51Sは処理が行われる位置にまで進んでいないと判定される。また、光電センサ81が遮光状態で光電センサ82が通光状態では車両51Sは処理が行われる位置に到達していると判定される。また、光電センサ81、82が共に遮光状態では車両51Sが進みすぎていると判定される。本実施形態では、光電センサ81、82の光軸B3、B3が平行であるため、光電センサ81、82の間の距離を狭めることで、車両51Sの前部を検出する精度、すなわち車両51Sの停車位置を検出する精度を向上させることができる。
【0033】
第3センサ部80が、第1センサ部52よりも低く、第2センサ部53よりも後方の位置(第1センサ部52とは本体部1の起立方向の直線上にある)に設けられている。このため、中型・大型自動車の車両51Lに限らず、これよりも小さい普通自動車の車両51Sも検出され、それぞれに処理を行うことができる。すなわち、第1センサ部52、第2センサ部53および第3センサ部80を備えることで車両判定装置が構成されている。
【0034】
例えば、第1センサ部52および第2センサ部53が車両非検出で、第3センサ部80が車両検出であれば、セダンやクーペなどの普通自動車の車両51Sと判定することができる。例えば、セダンやクーペなどの普通自動車に対しては、第3センサ部80が前部バンパーを検出することができるが、そのときの第1センサ部52、第2センサ部53は、検出領域がボンネット上の空間にあるため車両非検出となる。他方、例えば、第1センサ部52、第2センサ部53および第3センサ部80が車両検出であれば、箱車やバスなどの中型・大型自動車の車両51Lと判定することができる。
【0035】
本実施形態では、本体部1の平面視において、第1センサ部52の前側光電センサ10と、第3センサ部80の前側光電センサ81とが重なっている。この点、図2によれば、本体部1の起立方向の同一直線上に、高位の光電センサ10および低位の光電センサ81が配置されている。また、本体部1の平面視において、第1センサ部52の後側光電センサ11と、第3センサ部80の後側光電センサ82とが重なっている。この点、図2によれば、本体部1の起立方向の同一直線上に、高位の光電センサ11および低位の光電センサ82が配置されている。
【0036】
このように本体部1の起立方向の同一直線上に第1センサ部52および第3センサ部80があることにより、大きさが異なる中型・大型自動車や普通自動車の車両51であってもその前部が所定位置にくるよう停車させることができる。
【0037】
より具体的には、本体部1の前後方向における、前側光電センサ10と後側光電センサ11との間による第1センサ部52の検出範囲と、前側光電センサ81と後側光電センサ82との間による第3センサ部80の検出範囲が一致している。このため、例えばブラッシングなどの処理を開始するにあたって、大きさが異なる中型・大型自動車や普通自動車であっても車両51の停車位置が定まっているので、車両51に対して安全に処理を行うことができる。
【0038】
また、図1に示すように、本体部1の前面視において、車両51へ向かう第1センサ部52の前側光電センサ10の光軸B1と第3センサ部80の前側光電センサ81の光軸B3とが発光側から漸次離れている。また、本体部1の前面視において、車両51へ向かう第1センサ部52の後側光電センサ11の光軸B1と第3センサ部80の後側光電センサ82の光軸B3とが発光側から漸次離れている。
【0039】
光電センサ10、11、81、82は例えばLEDから構成され、指向角を有している。例えば、本体部1の起立方向の同一直線上にある光電センサ10の発光部と光電センサ81の発光部との距離より、本体部1の起立方向の同一直線上にある光電センサ10の受光部と光電センサ81の受光部との距離を離すことで誤検出を防止することができる。また、光電センサ11と光電センサ82とについても同様で誤検出を防止することができる。このように誤検出を防止することで、種々の大きさの車両51L、51Sに対して処理を行うことができる。
【0040】
また、洗車装置50は、種々の機能(手段)を発揮させるための制御部30を備えている。図5に、洗車装置50の制御系の構成を示す。制御部30は、回路基板に搭載されるCPU(中央処理装置)や各種データなどを記憶する記憶部41を備えている。この制御部30には、種々の装置が電気的に接続されている。制御部30は、洗車装置50の機能として、各プログラムを実行し、これら装置を駆動させる。なお、図5では、説明を容易にするために、制御部30が実行するプログラムを機能部(ブロック)として示している。
【0041】
図5に示すように、制御部30は、操作パネル9と電気的に接続されている。また、制御部30は、本体部1に対して、走行させる走行モータ4と電気的に接続されている。また、制御部30は、トップブラシ5を回転させるブラシ用モータ15および昇降させる昇降モータ19と電気的に接続されている。また、制御部30は、サイドブラシ6を回転させるブラシ用モータ25および開閉させる開閉モータ28と電気的に接続されている。
【0042】
そして、制御部30は、位置検出部36を含んでいる。この位置検出部36は、走行モータ4のデータを基に本体部1の走行位置を検出する。また、制御部30は、トップブラシ5の駆動に関し、電流検出部37と、昇降制御部38とを含んでいる。電流検出部37は、トップブラシモータ15の負荷電流値を検出する。また、昇降制御部38は、昇降モータ19を制御する。また、制御部30は、サイドブラシ6の駆動に関し、電流検出部39と、開閉制御部40とを含んでいる。電流検出部39は、サイドブラシモータ25の負荷電流値を検出する。また、開閉制御部40は、開閉モータ28を制御する。
【0043】
より具体的には、走行位置検出部36は、走行モータ4の駆動時間をカウントし、走行限界スイッチ7で検出される走行限界位置からの本体部1の移動位置を推定して昇降制御部38および開閉制御部40に指令を出力する機能を有している。電流検出部37は、トップブラシモータ15の負荷電流値を検出し、トップブラシ5と車両51との接触状態を判断して昇降制御部38に指令を出力する。昇降制御部38は、走行位置検出部36および電流検出部37からの指令を受けてトップブラシ5を昇降する。電流検出部39は、サイドブラシモータ25の電流値を検出し、サイドブラシ6と車両51との接触状態を判断して開閉制御部40に指令を出力する。開閉制御部40は、走行位置検出部36および電流検出部39からの指令を受けてサイドブラシ6を開閉する。
【0044】
記憶部41には、トップブラシ5やサイドブラシ6を車両51に接触させたときの負荷電流上昇量から接触状態を判断するための上下限の負荷電流閾値と、部位毎の負荷電流変化特性を示す係数とが記憶されている。例えば、車種(例えば、箱車、バス、平ボディ、トレーラといった中型・大型自動車や、セダン、クーペといった普通自動車)や洗浄部位(例えば、前面、上面、後面、側面)に対してテーブル化されて記憶されている。すなわち、ブラシを車両51に接触させたときに上昇する負荷電流値がデータ記憶部41に記憶された上下限の負荷電流閾値の間になるように、トップブラシ5を昇降、サイドブラシ6を開閉してブラッシングが行われている。
【0045】
本実施形態では、上下限の負荷電流閾値の範囲について、中型・大型自動車の車両51Lよりも普通車自動車の車両51Sを狭くしている。これにより、例えば、トップブラシ5を回転させながら下降させていくと車両51への接触により負荷電流値が上昇するが、ある値となったとき、車両51Lの場合はそのまま下降が継続されるが、車両51Sの場合は下降を停止してブラッシングすることになる。すなわち、車両51Sに対してトップブラシ5を接触させる負荷を、車両51Lに対してトップブラシ5を接触させる負荷よりも小さくしている。したがって、中型・大型自動車の車両51Lの大きさに対応させて大きなトップブラシ5やサイドブラシ6を用いたとしても、普通自動車の車両51Sへ強くブラッシングされ、ダメージとなるのを防止することができる。
【0046】
次に、洗車装置50の処理手段(車両処理方法の工程)について説明する。洗車装置50は、種々の機能(これを発揮させるためのプログラム)を備えており、制御部30によって実行される。例えば、洗車装置50は、入車してきた車両51の停車を確認し、大きさを判定し、その車両51の大きさに対応してトップブラシ5やサイドブラシ6、6を用いて洗浄などの処理を行うことができる。処理対象としては、例えば、箱車、バス、平ボディ、トレーラなどの中型・大型自動車の車両51Lや、車両51Lよりも小さいセダンやクーペなどの普通自動車の車両51Sがある。なお、洗車装置50は箱車、バス、平ボディ、トレーラといったより細かい車種まで判定することができるが、特許文献1に記載されているため、本実施形態ではその説明を省略する。
【0047】
停車を確認する場合、本体部1は、待機位置(ここでは図2に示すように走行限界スイッチ7がドッグ3aに接触する位置とする)で待機している状態である。この状態で本体部1の前方から一対のレール3、3の間を通ってきた車両51(車両51L、車両51S)を、第1センサ部52や第3センサ部80で検出することができる。
【0048】
図6に停車車両の大きさ判定手段のフローを示す。まず、第1センサ部52による車両51の停車を確認する(ステップS10)。より具体的には、洗車装置50は、第1センサ部52の後側光電センサ11が通光状態のまま、前側光電センサ10が所定時間遮光状態であれば、車両51が所望の位置に停車していると判定する。後側光電センサ11も遮光状態の場合、所望の位置より前進して停車していると判定し、ユーザーに後進を促すこともできる。なお、車両51が乗り入れられて前側光電センサ10により車両51が遮光(検出)されたところで停止されるような場合には、後側光電センサ11を設けなくともよい。
【0049】
第1センサ部52で車両51の停車が確認された場合(ステップS10のYes)、車両51Lが停車したと判定する(ステップS12)。このとき、車両51Lの前部(図2に示す点A周囲)が前側光電センサ10と後側光電センサ11との間に位置している。そして、ユーザーに所定の停車位置であることを報せるため「いらっしゃいませ」などの第1音声案内を行う(ステップS14)。図2に示すように、箱車などの車両51LのミラーMは、通常キャビン前方に位置しているが、キャビン側へたたむこともできる。この点、ユーザーの利便性を考慮し、洗車装置50ではミラーMをたたまなくとも車両51Lの前面を洗車できるよう構成されていれば「ミラーをたたまないで下さい」と案内することもできる。
【0050】
第1センサ部52で車両51の停車が確認されない場合(ステップS10のNo)、第3センサ部80による車両51の停車を確認する(ステップS16)。より具体的には、洗車装置50は、第3センサ部80の後側光電センサ82が通光状態のまま、前側光電センサ81が所定時間遮光状態であれば、車両51が所望の位置に停車していると判定する。なお、後側光電センサ82が遮光状態であれば、所望の位置より前進して停車していると判定し、ユーザーに後進を促すこともできる。なお、車両51が乗り入れられて前側光電センサ81により車両51が遮光(検出)されたところで停止されるような場合には、後側光電センサ82を設けなくともよい。
【0051】
第1センサ部52よりも低い位置にある第3センサ部80で車両51の停車が確認された場合(ステップS16のYes)、車両51Lよりも小さい車両51Sが停車したと判定する(ステップS18)。このとき、車両51Sの前部(図2に示す点B周囲)が前側光電センサ81と後側光電センサ82との間に位置している。そして、ユーザーに所定の停車位置であることを報せるため「いらっしゃいませ」などの音声案内を行う(ステップS20)。他方、第3センサ部80で車両51の停車が確認されない場合(ステップS16のNo)、第1センサ部52による車両51の停車の確認(ステップS10)が繰り返し行われる。
【0052】
このように、車両51Lまたは車両51Sが所望の位置で停車された場合は、操作パネル9での洗車受付を許可する。ユーザーによって、各キーにて選択動作が行われた後、洗車開始キー(ボタン)が入力されると、本体部1が待機位置から前方へ移動し始め、本体部1の移動に伴って洗浄から乾燥までの一連の洗車処理が行われる。選択動作の際に、車両51が中型・大型自動車の車両51Lであるか普通自動車の車両51Sであるかキー入力されてもよく、選択されたものと、第1センサ部52や第3センサ部80を用いて判定されたものとが相違する場合は、異常停止させることもできる。
【0053】
図7に、処理対象の車両51が中型・大型自動車の車両51Lとして処理を進める場合の異常停止手段のフローを示す。まず、本体部1が待機位置から所定距離だけ前進したか確認する(ステップS30)。より具体的には、走行モータ4を駆動させて位置検出部36により本体部1の位置を確認しながら、所定位置に到達するまで判定を繰り返す(ステップS30のNo)。本体部1が所定位置に到達したと判定された場合(ステップS30のYes)、第2センサ部53の光電センサ54、55、56、57のうち少なくとも最下位の光電センサ54が遮光されているか判定を行う(ステップS32)。少なくとも光電センサ54が遮光している場合は、第2センサ部53により車両51が検出されていることになる。
【0054】
第2センサ部52で車両51が検出された場合(ステップS32のYes)、処理対象の前提としての中型・大型自動車の車両51Lであるとして判定を終了する。他方、第2センサ部52で車両51が検出されない場合(ステップS32のNo)、中型・大型自動車の車両51Lでなかったとして異常停止し(ステップS34)、判定を終了する。
【0055】
図8に、処理対象の車両51が普通自動車の車両51Sとして処理を進める場合の異常停止手段のフローを示す。まず、本体部1の移動が所定の範囲内であるか確認する(ステップS40)。より具体的には、走行モータ4を駆動させて位置検出部36により本体部1の位置を確認し、所定の範囲外にあれば(ステップS40のNo)、処理対象の前提としての普通自動車の車両51Sであるとして判定を終了する。他方、所定の範囲内にあれば、第2センサ部53の最上位にある光電センサ57またはその下の光電センサ56が遮光されているか判定を行う(ステップS42)。なお、第2センサ部53の最下位にある光電センサ54を判定に用いていないのは、車高の高い普通自動車の車両51Sであると、光電センサ54で検出されるおそれがあるからである。
【0056】
光電センサ56、57が遮光されない場合(ステップS42のNo)、再度本体部1の移動が所定の範囲内であるか確認する(ステップS40)。他方、光電センサ56、57が遮光された場合(ステップS42のYes)、普通自動車の車両51Sでなかったとして異常停止し(ステップS44)、判定を終了する。
【0057】
このように、洗車装置50は、本体部1へ入車してきた車両51の停車を確認し、それが車両51Lか、車両51Lよりも小さい車両51Sであるか、第3センサ部80を設けることで判定している。仮に、第3センサ部80を設けない場合、車両51Sを誤検出してしまうおそれがある。具体的には、第1センサ部52により、車両51Sの前部から離れた箇所(例えば図2に示すボンネットの長さ分離れた点C周囲)で車両51Sが検出されてしまう。この場合、洗車装置50では、車両51Sの前部(点A周囲)から離れた箇所(点C周囲)までの部位がないものとして処理されてしまう。これにより、例えば、車両51Sをブラッシングするトップブラシ5やサイドブラシ6が車両51Sに強く接触してダメージを負わせてしまうおそれが生じる。
【0058】
そこで、洗車装置50では、第1センサ部52や第2センサ部53の他に、第3センサ部80を設けることで、中型・大型自動車の車両51Lの他にセダンやクーペなどの普通自動車の車両51Sも適切に検出することができる。また、本体部1の起立方向の同一直線上に第1センサ部52および第3センサ部80があることにより、種々の大きさの車両51であっても前部の位置が所定の範囲内にあるので、例えばブラッシングの開始など車両51に対して処理を行い易くすることができる。
【0059】
ブラッシングの開始前には、トップブラシ5およびサイドブラシ6、6を空転させて空転電流値を検出している。車両一台への洗車の度に空転電流値を検出することで、ブラシモータ15、25の電流特性がブラシ5、6の劣化摩耗・気温・電源電圧の状態等の環境要因によって変化することを許容するためである。その後は洗車開始時のブラシ空転電流値を基準に、車両51に接触して上昇する負荷電流上昇値を、各閾値の範囲内に収まるようにトップブラシ5の昇降、サイドブラシ6の開閉が制御されることとなる。トップブラシ5により車両51の主に上面がブラッシングされ、サイドブラシ6により車両51の主に前面、側面、後面がブラッシングされる。
【0060】
ところで、車両51Lの場合、トップブラシ5は、地上高の異なる光電センサ54、55、56、57を備える第2センサ部53の検出結果から、車両51Lのない位置、例えば、光電センサ57の上位置まで下降される。その後、トップブラシ5を回転させながらトップブラシ5を下降させ、ブラシモータ15の負荷電流値でトップブラシ5が車両51Lの上面に接触したことを検出する。車両51Lの上面のブラッシングでは、本体部1を前進させながら、ブラシモータ15の負荷電流値が上下限の閾値の範囲内になるよう制御が行われる。
【0061】
他方、車両51Sの場合、トップブラシ5は、地上高の異なる光電センサ54、55、56、57を備える第2センサ部53の検出結果から、車両51Sのない位置、例えば、光電センサ56の上位置まで下降される。その後、トップブラシ5を回転させながらトップブラシ5を下降させ、ブラシモータ15の電流値でトップブラシ5が車両51Sの上面に接触したことを検出する。車両51Sの上面のブラッシングでは、本体部1を前進させながら、ブラシモータ15の負荷電流値が上下限の閾値の範囲内になるよう制御が行われる。
【0062】
ここで、普通自動車の車両51Sの場合、サイドブラシ6、6で前面をブラッシングしている間に、待機位置から車体がない位置までトップブラシ5を車両51Lよりも速く移動させることで、トップブラシ5を降下させる時間を短縮させることができる。また、サイドブラシ6による側面ブラッシング開始時に待機位置から車体がないとされる所定位置までサイドブラシ6、6を車両51Lよりも速く移動させることで、サイドブラシ6、6を閉じる時間を短縮させることができる。すなわち、車両51Sと判定することで、明らかに車体がない区間でブラシ移動を予めしておいたり、速くしたりすることで、洗車時間を短縮することができる。
【0063】
(第2実施形態)
第1実施形態では、第3センサ部80の光電センサ81、82が前面視で水平光軸B3を形成する場合について説明した。これに対し、本実施形態では、第3センサ部80Aの光電センサ81A、82Aが前面視で傾斜光軸B4、B4を形成する点が相違するので、この相違点を中心に説明する。図9に本実施形態に係る前面視の洗車装置50Aを示す。
【0064】
洗車装置50Aは、第3センサ部80Aを備えている。第3センサ部80Aは、第3センサ部80と同様に、第1センサ部52よりも低く、第2センサ部53よりも後方の位置で、本体部1に設けられている。洗浄装置50Aは、この第3センサ部80Aを用いて車両51S(例えば普通自動車)の停車位置を検出する機能を有している。第3センサ部80Aは、透過型の光電センサ81A、82Aを備えてユニット構成されている。2つの光電センサ81A、82Aは、本体部1の前後方向に沿って所定距離離れた位置に並んで設けられている。光電センサ81(前側光電センサ)の発光部および光電センサ82(後側光電センサ)の発光部は、電装ボックス8b側に設けられている。また、光電センサ81の受光部および光電センサ82の受光部は、電装ボックス8a側に設けられている。
【0065】
光電センサ81A、82Aはそれぞれ、受光部を発光部よりも低い位置に配置することで下向きに傾斜した光軸B4、B4を形成し、この傾斜光軸B4、B4の通光/遮光によって、例えば普通自動車の車両51Sの有無を検出することができる。光電センサ81A、82Aの発光部と受光部の地上高さは、それぞれ例えば790mmおよび450mmである。傾斜光軸B4を形成する光電センサ81A、82Aを備える第3センサ部80Aによれば、車両51Sとして例えば種々の普通自動車であってもその前部を検出することができる。
【0066】
車両51Sの停車位置を検出する第3センサ部80Aは、本体部1の平面視において前側光電センサ81Aの光軸B4と後側光電センサ82Aの光軸B4が互いに平行になる(図9では重ねて示している)ように構成されている。光電センサ81A、82Aが共に通光状態では車両51Sは処理が行われる位置にまで進んでいないと判定される。また、光電センサ81Aが遮光状態で光電センサ82Aが通光状態では車両51Sは処理が行われる位置に到達していると判定される。また、光電センサ81A、82Aが共に遮光状態では車両51Sが進みすぎていると判定される。本実施形態では、光電センサ81A、82Aの光軸B4、B4が平行であるため、光電センサ81A、82Aの間の距離を狭めることで、車両51Sの前部を検出する精度、すなわち車両51Sの停車位置を検出する精度を向上させることができる。
【0067】
また、図9に示すように、本体部1の前面視において、車両51へ向かう第1センサ部52の前側光電センサ10の上向き傾斜光軸B1と第3センサ部80Aの前側光電センサ81Aの下向き傾斜光軸B4とが発光側から漸次離れている。また、本体部1の前面視において、車両51へ向かう第1センサ部52の後側光電センサ11の上向き傾斜光軸B1と第3センサ部80Aの後側光電センサ82Aの下向き傾斜光軸B4とが発光側から漸次離れている。
【0068】
光電センサ10、11、81A、82Aは例えばLEDから構成され、指向角を有している。例えば、本体部1の起立方向の同一直線上にある光電センサ10の発光部と光電センサ81Aの発光部との距離より、本体部1の起立方向の同一直線上にある光電センサ10の受光部と光電センサ81Aの受光部との距離を離すことで誤検出を防止することができる。また、光電センサ11と光電センサ82Aとについても同様で誤検出を防止することができる。このように誤検出を防止することで、種々の大きさの車両51L、51Sに対して処理を行うことができる。
【0069】
(第3実施形態)
第1実施形態では、第1センサ部52の光電センサ10、11が平面視で水平光軸B1を形成する場合について説明した。これに対し、本実施形態では、第1センサ部52Bの光電センサ10Bが平面視で傾斜光軸B5を形成する点が相違するので、この相違点を中心に説明する。図10に本実施形態に係る平面視の洗車装置50Bの要部を示す。
【0070】
第1センサ部52Bは、前後方向に並んだ前側光電センサ10Bおよび後側光電センサ11を有している。本体部1の平面視において、車両51へ向かう前側光電センサ10Bの光軸B5と後側光電センサ11の光軸B1とが発光側から漸次離れている。具体的には、図10に示すように、前側光電センサ10Bは、前側光電センサ10に対して、受光部は同じ位置であるが、発光部が後側へずれている。このため、前側光電センサ10Bの光軸B5が本体部1の左右方向に対して傾斜し、後側光電センサ11の光軸B1が本体部1の左右方向に沿って水平であるため、発光側から漸次離れることとなる。
【0071】
光電センサ10B、11は例えばLEDから構成され、指向角を有している。例えば、本体部1の前後方向の同一直線上にある光電センサ10Bの発光部と光電センサ11の発光部との距離より、本体部1の前後方向の同一直線上にある光電センサ10Bの受光部と光電センサ11の受光部との距離を離すことで誤検出を防止することができる。また、第3センサ部80の前側光電センサ81と後側光電センサ82とについても同様にすることで誤検出を防止することができる。このように誤検出を防止することで、種々の大きさの車両51L、51Sに対して処理を行うことができる。
【0072】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0073】
前記実施形態では、地面に停車した車両に対して本体部が前後移動する場合について説明した。これに限らず、例えば、車両の車長方向に移動可能なキャリアに車両を搭乗させて、本体部に対して車両が移動する装置や、車両および本体部が共に移動する装置に適用する場合であってもよい。このように、本発明には、車両と本体部とは相対的に移動する関係が含まれる。
【0074】
また、前記実施形態では、第1センサ部や第2センサ部の検出素子として透過型の光電センサ(ビームセンサ)を適用する場合について説明した。これに限らず、反射型の光電センサや、ビームセンサ以外の赤外線や超音波を用いたセンサを適用する場合であってもよい。
【0075】
また、前記実施形態では、第2センサ部が4つの光電センサを備える場合について説明した。これに限らず、光電センサの数は、2つであっても、5つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 本体部
50 洗車装置
52 第1センサ部
53 第2センサ部
80 第3センサ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10