(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】折りたたみ式シリンジバレル消毒キャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20240924BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61M5/31
A61M5/28 500
(21)【出願番号】P 2021514038
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 US2019050543
(87)【国際公開番号】W WO2020055960
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン エム.ライアン
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ トゥリパーティー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ パーザン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528288(JP,A)
【文献】国際公開第86/005989(WO,A1)
【文献】特開平09-028792(JP,A)
【文献】米国特許第03301293(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0281940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉じた近位端と、遠位壁を含む遠位端と、を含むバレルであって、前記遠位壁が、そこから遠位に伸びる細長い先端を有し、前記細長い先端が、前記チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する、バレル;
前記チャンバ内の事前選択された量の流体;
前記バレルの前記遠位壁から伸び、前記細長い先端を取り囲むカラーであって、前記カラーが、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、前記バレルの前記遠位壁に隣接する近位端と、を有するカラー;
前記バレルの前記波形側壁の外面に配置されたロック要素であって、少なくとも1つの突起および少なくとも1つの対応する空洞を有し、前記少なくとも1つの
突起が前記バレルの前記波形側壁の一方のセグメント上に配置されており、前記少なくとも1つの対応する空洞が、前記バレルの前記波形側壁の反対側のセグメント上に配置されて
おり、前記チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するための触覚的、視覚的、または聴覚的であるフィードバックを提供する、ロック要素;および
前記コンパートメント内に配置された消毒剤または抗菌剤
を含む、フラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項2】
前記流体が、フラッシュ流体である、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項3】
前記フラッシュ流体が、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項4】
前記カラーの前記コンパートメントが、前記細長い先端を取り囲む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項5】
前記カラーの内面が、複数のねじ山を含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のねじ山が、雌ルアーコネクタに接続するように適合されている、請求項5に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項7】
前記雌ルアーコネクタが、無針コネクタ、活栓、または血液透析コネクタから本質的になる群から選択される、請求項6に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項8】
前記カラーの外面が、複数のねじ山を含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項9】
前記複数のねじ山が、雄ルアーコネクタに接続するように適合されている、請求項5に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項10】
前記雄ルアーコネクタが、静脈内チューブ端である、請求項9に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項11】
前記ロック要素が、前記通路における溶液の逆流を最小化する、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項12】
前記ロック要素が、前記流体が前記バレルのチャンバから排出された後、前記突起が前記対応する空洞に係合した後に、ユーザにより手動で作動されるように構成される、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項13】
前記ロック要素が、戻り止めを含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項14】
前記ロック要素が、前記バレルの波形側壁の一方のセグメントを前記バレルの波形側壁の反対側のセグメントに接続するためのスナップフィット要素を含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項15】
前記カラーの前記開いた遠位端上に、取り外し可能なシールをさらに含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項16】
前記取り外し可能なシールが、剥離可能なシールである、請求項
15に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項17】
前記取り外し可能なシールが、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムの剥し上部を有する、請求項
15に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項18】
前記取り外し可能なシールが、前記カラーの開いた遠位端に、ヒートシールまたは誘導シールされている、請求項
15に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項19】
前記カラーのコンパートメント内に配置された吸収性材料をさらに含む、請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項20】
前記消毒剤または抗菌剤が、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジングルコネート、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
19に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項21】
前記消毒剤または抗菌剤が、流体またはゲルである、請求項
19に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項22】
前記吸収性材料が、発泡体またはスポンジである、請求項
19に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項23】
前記発泡体が、ポリウレタン発泡体である、請求項
22に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【請求項24】
前記吸収性材料が、スポンジである、請求項
19に記載のフラッシュシリンジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、シリンジアセンブリ、特に、ロック要素と、バレルの遠位壁から伸び、雄または雌コネクタと接続するための細長い先端を取り囲むカラーとを有する、プレフィルド折りたたみ式シリンジアセンブリに関する。本開示はまた、一般に、シリンジアセンブリ、特に、血管アクセスデバイス(VAD)のフラッシュ手順で用いる、無菌操作への遵守を確実にするための消毒剤または抗菌剤を含む吸収性材料を有する、プレフィルド折りたたみ式シリンジアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセスデバイス(VAD)は、一般的に使用される治療デバイスであり、静脈内(IV)カテーテル、シリンジ、延長セット、活栓、チューブ、高圧延長チューブ、および無針アクセスデバイスを含む。VADの動作は、血栓形成の発生によってしばしば損なわれるか、完全に妨げられる。血栓症は、血管および/または血管アクセスデバイス内における血栓の発生である。適切に維持されていない場合、または非滅菌環境に曝された場合、VADが汚染されたり、血栓で塞がれたり、感染を拡大したりする可能性がある。VADが適切に使用され、塞がれたり感染したりしないようにするために、無菌操作を確実にするプロトコルが開発されている。これらのプロトコルには、VADを滅菌すること、およびフラッシュ液でカテーテルをフラッシュすることが含まれる。カテーテルは、さまざまな流体で満たされたシリンジアセンブリを使用してフラッシュされる。場合により、プロトコルに従って異なる流体が順次注入される。たとえば、生理食塩水とそれに続く抗凝固剤、たとえばヘパリンなどである。静脈(IV)ラインのフラッシュに使用されるシリンジのサイズは、カテーテルのサイズおよび長さを含むさまざまな要因によって異なる。典型的には、1ml、3ml、5mlおよび10mlの容量のシリンジが使用される。VADプロトコルは、通常、カテーテル留置後、輸液前、薬物投与、採血、輸血、非経腸栄養法の前後にフラッシュ手順を実行することを推奨する。これらのフラッシュ手順の目的は、カテーテルの開通性を確認し、薬剤の不適合性を回避し、完全な薬剤投与量の投与を確保し、血栓形成を防ぎ、血流感染のリスクを最小限に抑えることである。
【0003】
従来のフラッシュシリンジは、ルアーチップを一端に備えたバレルを有しており、それは、ひとたびシリンジチップがパッケージから取り外されると非滅菌環境に曝されるため、望ましくない汚染の機会をもたらす。
【0004】
無菌的なIVラインのメンテナンスとIVドラッグデリバリーための現在の「推奨される方法(recommended practice)」では、「SASH」と呼ばれる段階的なプロセスを遵守する必要がある。プロセスの最初のステップで、臨床医はVADコネクタを(通常はアルコールスワブで)洗浄/消毒する。第2に、生理食塩水が入っているシリンジを使用してIVラインまたはカテーテルをフラッシュし(Saline flush:生食フラッシュ)、次にVADコネクタを再度消毒する。第3に、輸液または薬物療法がIVラインまたはカテーテルを通して投与され(Administer therapy:投与療法)、VADコネクタが三度目の消毒をされ、その後2回目の生食フラッシュ(Saline flush)ステップが続く。最後のステップは、患者のニーズと施設の方針によるが、VADコネクタの最後の消毒と、それに続くヘパリンロック(Heparin lock)ステップであり、血栓または血塊の形成を防ぐためにIVラインまたはカテーテルに少量のヘパリンが注入される。VADのハブの滅菌に別個の消毒キャップを使用してもよく、滅菌が行われた後、消毒キャップは廃棄される。この面倒な段階的なプロセスの最後に、VADコネクタの注入口は環境に露出したままとなる。この「推奨される方法」では、毎回のアクセス後にVADコネクタを消毒する必要があり、IVラインのメンテナンスを非常に煩わしく時間のかかるプロセスにする。プロセスが非常に煩雑であるため、臨床医がこの「推奨される方法」を完全に実施することはほとんどなく、したがって、患者はCRBSIにかかるリスクにさらされている。微生物は露出したコネクタの入口表面に生息し、「推奨される方法」が遵守されていない場合、微生物はフラッシュ中にIVラインに入り得る。さらに、IVラインまたはカテーテルへ血液が逆流することにより、ラインの内部に血栓が形成され、コネクタの入口表面からの微生物がライン内部の血栓にコロニーを形成し、フラッシュ中に患者に感染する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、現在実際に使用されている別個のフラッシュおよび消毒装置の数を減らしながら、追加の拭き取りおよび消毒ステップを排除することにより、無菌操作への遵守を促進するフラッシュシリンジアセンブリに対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉じた近位端と、遠位壁を含む遠位端と、を有するバレルを含む、フラッシュシリンジアセンブリに関し、遠位壁は、そこから遠位に伸びる細長い先端を有し、細長い先端は、チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する。フラッシュシリンジアセンブリはまた、チャンバ内の事前選択された量の流体、バレルの遠位壁から伸び、細長い先端を取り囲むカラー、およびバレルの波形の側壁の外面に配置されたロック要素を含む。カラーは、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、バレルの遠位壁に隣接する近位端と、を含む。
【0007】
1つまたは複数の実施形態において、流体はフラッシュ流体であり、フラッシュ流体は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0008】
1つまたは複数の実施形態において、カラーのコンパートメントは、細長い先端を取り囲む。
【0009】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの内面は複数のねじ山を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山は、雌ルアーコネクタに接続するように適合されている。雌ルアーコネクタは、無針コネクタ、活栓、または血液透析コネクタでもよい。
【0010】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの外面は複数のねじ山を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山は、雄ルアーコネクタに接続するように適合されている。雄ルアーコネクタは、静脈内チューブ端でもよい。
【0011】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、通路における溶液の逆流を最小化する。
【0012】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、少なくとも1つの突起および少なくとも1つの対応する空洞を有する。少なくとも1つの突起は、バレルの波形側壁の一方のセグメント上に配置されてもよく、少なくとも1つの対応する空洞は、バレルの波形側壁の反対側のセグメント上に配置されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、流体がバレルのチャンバから排出された後、突起が対応する空洞に係合した後に、ユーザにより手動で作動されるように構成される。
【0013】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は戻り止めを有する。さらに別の実施形態において、ロック要素は、バレルの波形側壁の一方のセグメントを、バレルの波形側壁の反対側のセグメントに接続するためのスナップフィット要素でもよい。
【0014】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的でもよい。
【0015】
1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールが、カラーの開いた遠位端上に配置される。取り外し可能なシールは、剥離可能なシールでもよい。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムの剥し上部(peel back top)である。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、カラーの開いた遠位端にヒートシールまたは誘導シールされ、カラーのコンパートメント内に吸収性材料を保持する。
【0016】
本開示のまた別の態様は、チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉鎖した近位端と、遠位壁を含む遠位端と、有するバレルを含む、フラッシュシリンジアセンブリに関し、遠位壁は、そこから遠位に延びる細長い先端を有し、細長い先端は、チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する。フラッシュシリンジアセンブリはまた、チャンバ内の事前選択された量の流体、バレルの遠位壁から伸び、細長い先端を囲むカラー、カラーのコンパートメント内に配置された吸収性材料、消毒剤または抗菌剤、およびバレルの波形側壁の外面に配置されたロック要素を含む。カラーは、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、バレルの遠位壁に隣接する近位端と、を含む。
【0017】
1つまたは複数の実施形態において、流体は、フラッシュ流体であり、フラッシュ流体は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0018】
1つまたは複数の実施形態において、カラーのコンパートメントは、細長い先端を取り囲む。
【0019】
1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジングルコネート、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物からなる群から選択される。消毒剤または抗菌剤は、流体またはゲルでもよい。
【0020】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの内面は複数のねじ山を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山は、雌ルアーコネクタに接続するように適合されている。雌ルアーコネクタは、無針コネクタ、活栓、または血液透析コネクタでもよい。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの外面は複数のねじ山を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山は、雄ルアーコネクタに接続するように適合されている。雄ルアーコネクタは、静脈内チューブ端であってもよい。
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料は、発泡体またはスポンジである。発泡体はポリウレタン発泡体でもよい。
【0023】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、通路における溶液の逆流を最小化する。
【0024】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、少なくとも1つの突起および少なくとも1つの対応する空洞を有する。少なくとも1つの突起は、バレルの波形側壁の一方のセグメント上に配置されてもよく、少なくとも1つの対応する空洞は、バレルの波形側壁の反対側のセグメント上に配置されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、流体がバレルのチャンバから排出された後、突起が対応する空洞に係合した後に、ユーザにより手動で作動されるように構成される。
【0025】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は戻り止めを有する。さらに別の実施形態において、ロック要素は、バレルの波形側壁の一方のセグメントを、バレルの波形側壁の反対側のセグメントに接続するためのスナップフィット要素でもよい。
【0026】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素は、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的でもよい。
【0027】
1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールが、カラーの開いた遠位端上に配置される。取り外し可能なシールは、剥離可能なシールでもよい。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムの剥し上部である。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、カラーの開いた遠位端にヒートシールまたは誘導シールされ、カラーのコンパートメント内に吸収性材料を保持する。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、フラッシュ、消毒、および流体を血管アクセスデバイスに投与する方法に関し、フラッシュシリンジアセンブリを提供するステップであって、チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉じた近位端と、遠位壁を含む遠位端と、を含むバレルであって、前記遠位壁は、そこから遠位に伸びる細長い先端を有し、細長い先端は、前記チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する、バレル;チャンバ内の事前選択された量の流体;バレルの遠位壁から伸び、細長い先端を取り囲むカラーであって、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、バレルの遠位壁に隣接する近位端と、を含むカラー;カラーのコンパートメント内に配置された吸収性材料;消毒剤または抗菌剤;およびバレルの波形側壁の外面上に配置されたロック要素、を有するフラッシュシリンジアセンブリを提供するステップ;近位端、遠位端、およびその中を通る通路を有する血管アクセスデバイスを提供するステップであって、近位端は、通路と流体連通するルアーチップを有する、ステップ;血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管内に配置するステップ;フラッシュシリンジアセンブリのカラーを血管アクセスデバイスのルアーチップと係合させて、吸収性材料を圧縮し、消毒剤または抗菌剤が血管アクセスデバイスに接触できるようにするステップ;フラッシュシリンジアセンブリに力を加えて、バレルの波形側壁を変形させて折りたたみ、チャンバ内の流体が通路を通って血管アクセスデバイスに流れるようにするステップ;ロック要素が係合するまで、バレルの近位端に力を加え続けるステップ;並びにフラッシュシリンジアセンブリを血管アクセスデバイスに保持させるステップ、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、折りたたみ式シリンジの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、最初に述べた折りたたみ式シリンジの断面側面図を示す。
【
図3】
図3は、折りたたまれ、ロックされた状態の、
図2の折りたたみ式フラッシュシリンジの断面側面図を示す。
【
図4】
図4は、本開示の1つまたは複数の代替的実施形態による、カラーを有する折りたたみ式フラッシュシリンジの斜視図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の1つまたは複数の代替的実施形態による、最初に述べた、カラーおよび消毒剤が充填されたスワブを有する折りたたみ式フラッシュシリンジの断面側面図を示す。
【
図6】
図6は、折りたたまれ、ロックされた状態の、
図5の折りたたみ式フラッシュシリンジの断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に示される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態であることができ、様々な方法で実施または実行することができる。
【0031】
本開示で使用される用語に関して、以下の定義が提供される。
【0032】
「フラッシュシリンジアセンブリ」への言及は、VADのフラッシュにおける使用が示唆されているシリンジを含む。フラッシュの実践により、カテーテルの開通性が保証および維持され、並びに配合禁忌の医薬の混合を防ぐことができる。
【0033】
本開示において、装置の遠位端は患者に最も近い端部であり、装置の近位端は患者から離れて施術者に最も近い端部であるという慣例に従っている。
【0034】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の使用は、単数形および複数形を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「カテーテル関連血流感染」または「CRBSI」という用語は、カテーテルまたはIVラインの存在に起因するあらゆる感染を指す。
【0036】
本明細書で使用する場合、「微生物(microorganism)」という用語は、単細胞であるか、または細胞生物のコロニーに生息する微生物(microbe)または生物を指す。微生物(microorganism)は非常に多様であり、これらに限定されるものではないが、細菌、真菌、古細菌、および原生動物を含む。微生物は、しばしばCRBSIの原因となる。CRBSIに関連する最も一般的な微生物は、これらに限定されるものではないが、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカーリス、大腸菌、緑膿菌、並びにカンジタ・アルビカンスを含む。
【0037】
本明細書で使用する場合、「抗菌剤(antimicrobial agent)」または「抗菌剤(antimicrobial)」という用語は、細菌、真菌、古細菌、または原生動物などの微生物を殺すか、またはその成長を阻害する物質を指す。抗菌剤は微生物を殺すか、または微生物の増殖を防ぐ。
【0038】
本明細書で使用される場合、「消毒剤」という用語は、非生物物体上または体の外側、例えば皮膚上で使用される抗菌性物質を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「吸収性材料」という用語は、別の物質を吸収または吸い上げる能力または傾向を有する材料を指す。1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料は、消毒剤または抗菌剤を吸収する傾向を有する。吸収性材料は、スポンジ、脱脂綿を含み得る。
【0040】
「変形可能」という用語は、手で押し下げた状態で、内部チャンバに少なくとも部分的に折りたたまれるのに十分な柔軟性を有するように構造化された壁または容器を指す。変形の形状および程度は、内部チャンバおよび変形可能なバレルのさまざまな構成により異なる。
【0041】
本明細書で使用する場合、「ルアーコネクタ」という用語は、シリンジ、カテーテル、ハブ付き針、IVチューブなどを互いに取り付ける標準的な手段である、接続カラーを指す。ルアーコネクタは、雄および雌インターロックチューブからなり、単純な押圧/ねじり嵌合(twist fit)のみでもしっかりと結合するように、わずかにテーパーが付けられている。ルアーコネクタは、任意選択的に、さらにねじの外側リムを含んでもよく、ルアーコネクタがよりしっかりと固定されることを可能にする。ルアーコネクタのオス型端部は、通常、フラッシュシリンジに伴い、VADにある雌型端部に連結および接続できる。ルアーコネクタは、遠位端と、近位端と、不規則な形状の外壁と、シリンジのバレルのチャンバからVADのハブへの流体連通のために輪郭形成された中央通路と、を含む。ルアーコネクタは、また、ルアーコネクタをVADのハブに取り外し可能に取り付ける遠位端チャネル、およびルアーコネクタをシリンジのバレルに取り外し可能に取り付ける近位端チャネルを有する。
【0042】
臨床的に最良の手順では、各フラッシュ、薬剤、およびシリンジのロックの前に臨床医が無針コネクタをアルコールスワブ、消毒キャップなどで消毒する必要があり、そのため、臨床医は、カテーテルラインにアクセスするたびに消毒プロセスを複数回実行する必要がある。実際には、この消毒プロトコルに対する遵守率は低い(40~45%)。本開示の実施形態は、無針コネクタを消毒およびフラッシュする必要への遵守を高め、強化するという利点を提供し、最終的には、院内感染および合併症の可能性を低減する。本開示で開示されるシリンジアセンブリの実施形態の使用は、臨床医がパッケージを開く必要性をより少なくし、臨床医にアルコールスワブを運ぶことを要求しない。さらに、本開示に開示されるシリンジアセンブリの実施形態の使用は、2つの既存のステップ(消毒およびフラッシュ)の組み合わせを1つのステップにすることをもたらし、したがって、臨床医のワークフローを単純化する。本開示の実施形態は、消毒剤または抗菌剤に浸した一体型吸収性材料を備えたプレフィルドフラッシュまたはロックシリンジに関し、これはハブの消毒およびVADのフラッシュの2つのステップを1つに組み合わせ、したがって最良な手順への遵守を大幅に改善する。
【0043】
閉じた近位端および遠位先端を有する折りたたみ式バレルと、遠位シリンジ先端を取り囲み、シリンジバレルの遠位壁から伸びてコンパートメントを形成するカラーと、ロック要素と、一体型消毒キャップ無針コネクタ先端とを含む、プレフィルドシリンジアセンブリが提供される。カラーはまた、シリンジとカテーテルハブまたは無針コネクタとの位置合わせを容易にするだけでなく、シリンジ先端と周囲の非滅菌環境との接触を防ぐことによりシリンジの汚染を減らす。
【0044】
また、閉じた近位端および遠位先端を有する折りたたみ可能なバレルと、遠位シリンジ先端を取り囲み、シリンジバレルの遠位壁から伸びて消毒剤充填スワブを収容するためのコンパートメントを形成するカラーと、ロック要素と、一体型消毒キャップ無針コネクタ先端とを含む、プレフィルドシリンジアセンブリも提供される。カラーはまた、シリンジとカテーテルハブまたは無針コネクタとの位置合わせを容易にするだけでなく、シリンジ先端と周囲の非滅菌環境との接触を防ぐことによりシリンジの汚染を減らす。
【0045】
本発明は、雄または雌ルアーコネクタの間に位置するデッドスペースだけでなく、VADの他の部分から、血液残留物および他の残屑を効果的に擦り落とす、VAD送達のための単回使用プレフィルドフラッシュシリンジアセンブリを提供することにより、既知のフラッシュ技術およびフラッシュデバイスに関する問題を克服する。本開示のデバイスは、定期的なIVカテーテルの開通メンテナンスのためのIVフラッシュおよび消毒などの医療用途で使用することができる。本開示の単回使用プレフィルドフラッシュシリンジアセンブリは、手動でシリンジにバイアルからの溶液を充填することによる汚染に関連するリスクを低減することにより、従来技術で見出された問題を克服する。従来技術に対する本開示のプレフィルドフラッシュシリンジアセンブリの他の利点は、以下を含む:a)シリンジを取り外し、別個の消毒キャップをコネクタに適用するステップを排除することにより、定期的なIVカテーテルの開通メンテナンスを実施する際に臨床医が取らなければならないステップを低減する; b)本開示のフラッシュシリンジアセンブリは、受け入れる無針血管アクセスコネクタとのしっかりとした接続を生じることができる;c)本開示のフラッシュシリンジアセンブリは、成形同時充填プロセスを使用して作製することができ、これにより、無菌かつ保護されたルアーコネクタの作製が可能になる;d)本開示のフラッシュシリンジアセンブリの使いやすさ;e)本開示のフラッシュシリンジアセンブリは、1つのデバイスを使用して消毒およびフラッシュの別個の機能を1ステップに組み合わせるため、部品数が少ない;f)部品の複雑さが低い;g)比較的コンパクトなデザイン。
【0046】
図1~3は、本開示による例示的なフラッシュシリンジアセンブリ10を示す。
図1~3を参照すると、本開示によるシリンジアセンブリ10は、概して、流体を保持するためのチャンバ24を画定する内面23を有する波形側壁22と、閉じた近位端26と、遠位壁29を含む遠位端28とを有する、手動で変形可能なバレル20を含み、遠位壁29は、そこから遠位に延びる細長い先端30を有し、細長い先端30は、チャンバ24と流体連通し、その中を通る通路40を有する。1つまたは複数の実施形態において、カラー50は、バレル20の遠位壁29から遠位に延びる細長い先端30を取り囲む。細長い先端30は、チャンバ24と流体連通し、その中を通る通路40を有し、カラーは、バレルの遠位壁29から延びて細長い先端30を取り囲む。さらなる実施形態において、カラー50は、血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合された細長い先端を取り囲み、ここで先端30はルアーチップである。先端30は、ルアースリップ接続部またはロックルアー型のカラーを、先端を同心円状に囲んで、または先端内に含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、デバイスは、ISO594-2型の接続部品と共に使用することができる。本発明のルアー接続部の寸法は、ISO規格594などの適用可能な規格および/または規制に準拠するように作製することができる。
【0047】
1つまたは複数の実施形態において、波形側壁22は、ベローズの形状の、もしくは波形またはアコーディオン型の壁を有する、折り曲げ可能な壁を含む。本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「ベローズ」という用語は、伝統的にベローズまたはアコーディオン型の壁と呼ばれるものが有する構造を説明するために使用される。「ベローズ」という用語はまた、本体の周囲または外周に延びる繰り返しのひだまたは屈曲によって達成される変形可能な構造を含む。「ベローズ」という用語はまた、ダイヤフラム装置およびばねなどのように、流体を保持し、ポンプとして機能し得る他の変形可能な容器、もしくは可撓性または半可撓性の流体の格納装置または容器を含む。1つまたは複数の実施形態において、手動で変形可能なバレル20は、エラストマー材料から形成された波形側壁22を含み、波形壁の拡張および圧縮を可能にするばね定数を有する。
【0048】
図1に示されるように、波形バレルはまた、閉じた近位端26に親指押圧部を含んでもよい。親指押圧部の形状は、フラッシュシリンジアセンブリの所望の用途に応じて変化し得る。親指押圧部の形状は、円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、五角形、六角形、および十字形とすることができる。
【0049】
フラッシュシリンジアセンブリ10はまた、チャンバ内に事前選択された量の流体を含む。シリンジアセンブリ10は、既知の方法を使用してフラッシュ溶液で満たされてもよい。さらに、シリンジアセンブリ10は、製造業者または供給業者から事前充填されて提供されてもよい。フラッシュ溶液は、VADをフラッシュし、または動作を維持することを目的とした任意の溶液でもよい。1つまたは複数の実施形態において、フラッシュ溶液は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせである。フラッシュ溶液は、生理食塩水フラッシュ溶液およびヘパリンロックフラッシュ溶液からなる群から選択されることが好ましい。これらの溶液は、当技術分野で既知であり、容易に入手可能である。生理食塩水フラッシュ溶液の例としては、これに限定されるものではないが、注射用の0.9%塩化ナトリウムUSPが含まれる。ヘパリンロックフラッシュ溶液の例としては、これに限定されるものではないが、1mLあたり100USP単位のヘパリンナトリウムまたは1mLあたり10USP単位のヘパリンナトリウムを有する0.9%塩化ナトリウムが含まれる。
【0050】
カラー50は、バレル20の遠位端28に配置され、バレル20の遠位壁29から伸びて、細長い先端30を取り囲むコンパートメント52を形成する。カラー50は、コンパートメント52を画定する内面53を有する少なくとも1つの側壁51と、開いた遠位端54と、変形可能なバレル20の遠位壁29に隣接する近位端56とを含む。
【0051】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの内面は、雄または雌コネクタのねじ部と係合するサイズおよびピッチを有するねじ山を有する。そのようなコネクタは、概しておよび一般に、医療用途におけるカテーテルおよび他の液密保護コネクタとして使用される。1つまたは複数の実施形態において、カラー50の内面53は複数のねじ山80を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山80は、雌ルアーコネクタに接続するように適合されている。雌ルアーコネクタは、無針コネクタ、活栓、または血液透析コネクタでもよい。カラー50の開いた遠位端54は、対応するVADに取り付けるために、内面に複数のねじ山80を含み得る。細長い先端30は血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合されていてもよい。代替的実施形態(図示せず)において、カラー50は、血管アクセスデバイスへの接続のために、カラーの外面55に複数のねじ山80を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山80は、雄ルアーコネクタに接続するように適合されている。雄ルアーコネクタは、静脈内チューブ端でもよい。
【0052】
1つまたは複数の実施形態において、カラー50の形状は変化し得る。カラー50は、これらに限定されるものではないが、凸状内面(例えば放物面)、凹状内面、直線プロファイル(すなわち、半円錐形状)を含む形状を有するか、または台形のプリズムの形状を有し得る。シリンジの本体からのこの延長の長さ、および外形の開口度/直線性の程度(シリンジバレルから最も遠い端部でカラーがどの程度の幅であるか)は変化し得る。
【0053】
図2に示されるように、カラー50は、血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合された細長い先端30を取り囲む。1つまたは複数の実施形態において、細長い先端30はルアーチップである。
【0054】
1つまたは複数の実施形態において、カラー50は、少なくとも1つの側壁51の内面に接着されたアルミニウムの内張りを含んでもよい。アルミニウムの内張りは、無菌状態への遵守を確実にするための機構を提供し得る。
【0055】
必要に応じて、キャップまたはシールをカラー50の遠位端から取り外し、先端30を露出させる。シリンジアセンブリ10のハブへの接続が完了すると、シリンジのバレル20から血管アクセス装置への流体連通が生じ得る。流体は、バレル20からハブを通る通路40を通り、IVまたはカテーテルに引き込まれる。
【0056】
バレル20の波形側壁22の外面21に配置されたロック要素70は、フラッシュ手順の終了時に折りたたまれた位置でバレル20が固定されるようになっている。
【0057】
変形可能なバレル20、カラー50およびロック要素70は、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたは他の射出成形可能な樹脂または成形可能な樹脂、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性材料、または他の容易に使い捨ておよび/またはリサイクル可能な材料、並びにそれらの組み合わせでできていてもよい。熱可塑性エラストマーには、これらに限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが含まれる。材料は、使用される溶液、薬剤、および製造プロセスに適合するように選択すべきである。1つまたは複数の実施形態において、本開示のシリンジアセンブリは、デバイスのリサイクルを容易にするために単一の材料で作られ得ることが想定される。
【0058】
1つまたは複数の実施形態において、流体はフラッシュ流体である。1つまたは複数の実施形態において、フラッシュ流体は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせでもよい。
【0059】
1つまたは複数の実施形態において、カラーのコンパートメントは、細長い先端を取り囲む。
【0060】
本開示のロック要素70は、デバイスの再利用を最小化、制限、または防止する。1つまたは複数の実施形態において、本開示のロック要素は、通路における溶液の逆流を最小化、制限、または防止する。ロック要素はまた、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供することにより、ユーザに溶液送達の確認を提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的でもよい。1つまたは複数の実施形態において、
図2に示されるように、ロック要素70は、少なくとも1つの突起72および少なくとも1つの対応する空洞74を含む。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つの突起72は、バレルの波形側壁22の一方のセグメント上に配置され、少なくとも1つの対応する空洞74は、バレルの波形側壁22の反対側のセグメント上に配置される。1つまたは複数の実施形態において、ロック要素70は、バレル20のチャンバ24から流体が排出された後、突起72が対応する空洞74に係合した後に、ユーザによって手動で作動されるように構成される。
【0061】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素70は戻り止めを有する。さらに別の代替的実施形態において、ロック要素70は、バレルの波形側壁22の一方のセグメントを、バレルの波形側壁の反対側のセグメントに接続するためのスナップフィット要素でもよい。チャンバ24の内容物全てが排出されたとき、突起72が空洞74と接触および係合し、バレルの近位端をバレルの遠位端に固定する。
【0062】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素70は、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的でもよい。
【0063】
1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールまたは保護先端キャップが、カラー50の開いた遠位端54に配置されてもよい。取り外し可能なシールは、剥離可能シールでもよい。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムの剥し上部(peel back top)でもよい。シールは、プラスチックで密封されたアルミニウムとすることができ、耐薬品性、遮光性、非透過性、または滅菌性とすることができる。取り外し可能なシールは、事前充填されたフラッシュ溶液がバレルのチャンバから出ることを防ぐ。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、カラーの開いた遠位端にヒートシールまたは誘導シールされる。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、防湿障壁(moisture barrier)を含む。
【0064】
1つまたは複数の実施形態において、シリンジアセンブリ10はまた、シリンジアセンブリの遠位端に解放可能に接続された成形先端キャップを含んでもよい。成形先端キャップは手動で解放することができ、取り外しのために手で容易に掴めるように構成される。
【0065】
本開示のシリンジアセンブリ10は、血管アクセスデバイスと共に使用されてもよい。本発明のまた別の態様は、フラッシュ、消毒、および流体を血管アクセスデバイスに投与する方法に関し、ユーザは本開示のフラッシュシリンジアセンブリ10を係合させ、ここでフラッシュシリンジアセンブリ10は、チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉じた近位端と、遠位壁を含む遠位端とを有するバレルであって、遠位壁はそこから遠位に伸びる細長い先端を有し、細長い先端は、チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する、バレル;チャンバ内の事前選択された量の流体;バレルの遠位壁から伸び、細長い先端を取り囲むカラーであって、カラーは、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、バレルの遠位端に隣接する近位端とを含む、カラー;およびバレルの波形側壁の外面に配置されたロック要素を有する。ユーザは、近位端、遠位端、およびそこを通る通路を有し、近位端は通路と流体連通するルアーチップを有する、血管アクセスデバイスを入手する。ユーザは、血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置する。次に、ユーザは、フラッシュシリンジアセンブリのカラーを、前記血管アクセスデバイスのルアーチップと係合させる。次に、ユーザは、フラッシュシリンジアセンブリ10に力を加えて、バレルの波形側壁22を変形および折りたたみ、チャンバ内の流体が通路40を通って血管アクセスデバイスに流れるようにする。ユーザは、ロック要素70が、フラッシュシリンジアセンブリを血管アクセスデバイスに係合させて保持させるまで、バレルの近位端に力を加え続ける。シリンジアセンブリ10のVADへの接続が完了すると、シリンジのバレル20から血管アクセスデバイスへの流体連通が生じ得る。流体は、バレル20から一体型通路40を通ってIVまたはカテーテルに引き込まれる。フラッシュの終了時に、柔軟で折りたたみ可能なシリンジバレルが終了位置で固定され、キャップとして機能する。次に、シリンジアセンブリ10は、IVラインの微生物感染を防ぐために、IVコネクタ上に残される。したがって、本開示のデバイスは、定期的なIVカテーテルの開通メンテナンスを実施するときに臨床医が取らなければならないステップを減らすという点で、従来技術に対する改良である。このデバイスはまた、フラッシュシリンジのフラッシュ機能をキャップの機能と組み合わせることにより、施術者がフラッシュを実施し、無菌状態を維持するために必要な機器/部品の数を減らすことを可能にする。
【0066】
本開示のシリンジアセンブリの1つの利点は、シリンジアセンブリが最小のデッドスペースを有する構成に折りたたまれ、ロック要素70を使用して固定されることである。本発明のまた別の利点は、変形可能なバレル20により、ユーザが流体経路の抵抗を感知できることであり、抵抗の増加により、実施者は、シリンジアセンブリまたは血管アクセスデバイスの構成要素内の抵抗を検出できる。
【0067】
図4~6は、本開示による例示的なフラッシュシリンジアセンブリ100を示す。
図4~6を参照すると、本開示によるシリンジアセンブリ100は、概して、流体を保持するためのチャンバ124を画定する内面123を有する波形側壁122と、閉じた近位端126と、遠位壁129を含む遠位端128とを有する、手動で変形可能なバレル120を含み、遠位壁129は、そこから遠位に延びる細長い先端130を有し、細長い先端130は、チャンバ124と流体連通し、その中を通る通路140を有する。1つまたは複数の実施形態において、カラー150は、バレル120の遠位壁129から遠位に延びる細長い先端130を取り囲む。細長い先端130は、チャンバ124と流体連通し、その中を通る通路140を有し、カラーは、バレルの遠位壁129から延びて細長い先端130を取り囲む。さらなる実施形態において、カラー150は、血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合された細長い先端を取り囲み、ここで先端130はルアーチップである。先端130は、ルアースリップ接続部またはロックルアー型のカラーを、先端を同心円状に囲んで、または先端内に含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、デバイスは、ISO594-2型の接続部品と共に使用することができる。本発明のルアー接続部の寸法は、ISO規格594などの適用可能な規格および/または規制に準拠するように作製することができる。
【0068】
1つまたは複数の実施形態において、波形側壁122は、ベローズの形状の、もしくは波形またはアコーディオン型の壁を有する、折り曲げ可能な壁を含む。本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「ベローズ」という用語は、伝統的にベローズまたはアコーディオン型の壁と呼ばれるものが有する構造を説明するために使用される。「ベローズ」という用語はまた、本体の周囲または外周に延びる繰り返しのひだまたは屈曲によって達成される変形可能な構造を含む。「ベローズ」という用語はまた、ダイヤフラム装置、ばねなどのように、流体を保持し、ポンプとして機能し得る他の変形可能な容器、もしくは可撓性または半可撓性の流体の格納装置または容器を含む。1つまたは複数の実施形態において、手動で変形可能なバレル120は、エラストマー材料から形成された波形側壁122を含み、波形壁の拡張および圧縮を可能にするばね定数を有する。
【0069】
図4に示されるように、波形バレルはまた、閉じた近位端126に親指押圧部を含んでもよい。親指押圧部の形状は、フラッシュシリンジアセンブリの所望の用途に応じて変化し得る。親指押圧部の形状は、円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、五角形、六角形、および十字形とすることができる。
【0070】
フラッシュシリンジアセンブリ100はまた、チャンバ内に事前選択された量の流体を含む。シリンジアセンブリ100は、既知の方法を使用してフラッシュ溶液で満たされてもよい。さらに、シリンジアセンブリ100は、製造業者または供給業者から事前充填されて提供されてもよい。フラッシュ溶液は、VADをフラッシュし、または動作を維持することを目的とした任意の溶液でもよい。1つまたは複数の実施形態において、フラッシュ溶液は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせである。フラッシュ溶液は、生理食塩水フラッシュ溶液およびヘパリンロックフラッシュ溶液からなる群から選択されることが好ましい。これらの溶液は、当技術分野で既知であり、容易に入手可能である。生理食塩水フラッシュ溶液の例としては、これに限定されるものではないが、注射用の0.9%塩化ナトリウムUSPが含まれる。ヘパリンロックフラッシュ溶液の例としては、これらに限定されるものではないが、1mLあたり100USP単位のヘパリンナトリウムまたは1mLあたり10USP単位のヘパリンナトリウムを有する0.9%塩化ナトリウムが含まれる。
【0071】
カラー150は、バレル120の遠位端128に配置され、バレル120の遠位壁129から伸びて、細長い先端130を取り囲むコンパートメント152を形成する。カラー150は、コンパートメント152を画定する内面153を有する少なくとも1つの側壁151と、開いた遠位端154と、変形可能なバレル120の遠位壁129に隣接する近位端156とを含む。
【0072】
1つまたは複数の実施形態において、カラーの内面は、雄または雌コネクタのねじ部と係合するサイズおよびピッチを有するねじ山を有する。そのようなコネクタは、概しておよび一般に、医療用途におけるカテーテルおよび他の液密保護コネクタとして使用される。1つまたは複数の実施形態において、カラー150の内面153は複数のねじ山180を有する。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山180は、雌ルアーコネクタに接続するように適合されている。雌ルアーコネクタは、無針コネクタ、活栓、または血液透析コネクタでもよい。カラー150の開いた遠位端154は、対応するVADに取り付けるために、内面に複数のねじ山180を含み得る。細長い先端130は血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合されていてもよい。代替的実施形態(図示せず)において、カラー150は、血管アクセスデバイスへの接続のために、カラーの外面155に複数のねじ山180を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態において、複数のねじ山180は、雄ルアーコネクタに接続するように適合されている。雄ルアーコネクタは、静脈内チューブ端でもよい。
【0073】
1つまたは複数の実施形態において、カラー150の形状は変化し得る。カラー150は、これらに限定されるものではないが、凸状内面(例えば放物面)、直線の輪郭を有する凹状内面(すなわち、半円錐形状)を含む形状を有するか、または台形角柱の形状を有し得る。シリンジの本体からのこの延長の長さ、および外形の開口度/直線性の程度(シリンジバレルから最も遠い端部でカラーがどの程度の幅であるか)は変化し得る。
【0074】
図5に示されるように、カラー150は、血管アクセスデバイスのハブに接続するように適合された細長い先端130を取り囲む。1つまたは複数の実施形態において、細長い先端130はルアーチップである。
【0075】
吸収性材料160は、カラー150のコンパートメント152に配置され、収容される。吸収性材料160は、カラー150のコンパートメント152内に収容されている消毒剤または抗菌剤を吸収する。本開示の1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160は、横方向の支持なしにシリンジ先端の上に置かれることができる。
【0076】
1つまたは複数の実施形態において、カラー150はまた、少なくとも1つの側壁151の内面153に接着されたアルミニウムの内張りを含んでもよい。アルミニウムの内張りは、消毒剤または抗菌剤の劣化を防ぎ、無菌状態への遵守を確保するための機構も提供することができる。
【0077】
1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160は、不織布材料、発泡体、またはスポンジである。特定の実施形態において、発泡体はポリウレタン発泡体である。1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160は、雄ルアーコネクタ、雌ルアーコネクタ、または血液透析コネクタを受け入れるようにサイズ設定および適合された1つまたは複数の溝を含み得る。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の溝は、吸収性材料160の側壁に配置され、カラー150の内面153に配置された対応するねじ山180を受け入れるようにサイズ設定および適合される。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の溝は、消毒剤または抗菌剤を有する吸収性材料に切り込まれた1つまたは複数の同心円筒状の溝を含む。1つまたは複数の実施形態において、同心円筒状の溝は、活栓の端面に対応する。
【0078】
1つまたは複数の実施形態において、同心円筒状の溝は、活栓の内腔を収容して、活栓の内腔の洗浄を強化する。特定の実施形態において、活栓がカラーのねじ山180にねじ込まれると、吸収性材料の同心円筒状の溝が活栓の内腔に挿入されて、活栓の内面を滅菌する。1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160は、1つまたは複数のスリットを含む。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のスリットは、雄ルアーコネクタ、雌ルアーコネクタ、または血液透析コネクタを受け入れるようにサイズ設定および適合されている。特定の実施形態において、吸収性材料160は、発泡体の栓の形態である。1つまたは複数の実施形態において、カラー150のコンパートメント152内に吸収性材料を保持するために、吸収性材料160は、内側のねじ山180による半径方向の圧縮下にある。1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料は、内側のねじ山180による半径方向の圧縮なしに、カラー150のコンパートメント152内に保持される。
【0079】
フラッシュシリンジアセンブリ100は、カラー150のコンパートメント152に消毒剤または抗菌剤を組み込むことにより、ルアーコネクタ上で使用される際に消毒を達成することができる。消毒剤または抗菌剤は、カラー150のコンパートメント152に直接含まれてもよく、もしくは消毒剤または抗菌剤は、カラーのコンパートメントを満たす吸収性材料160に吸収されてもよい。フラッシュシリンジアセンブリ100は、様々な消毒剤との相互作用に対応できるように設計される。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジングルコネート、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物から本質的になる群から選択される。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、様々なアルコールまたはクロルヘキシジンを含んでもよい。特定の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、クロルヘキシジングルコネートおよびクロルヘキシジンジアセテートの少なくとも1つを含む。1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、流体またはゲルである。
【0080】
1つまたは複数の実施形態において、カラー150のコンパートメント152内の吸収性材料160は、雄または雌ルアーコネクタに接続すると圧縮されて、雄または雌ルアーコネクタを消毒する。
【0081】
シリンジアセンブリ100は、先端130を取り囲むカラー150および吸収性材料160を有し、先端は、コンパートメント152内に収容されている消毒剤または抗菌剤を吸収する吸収性材料160により囲まれているために、抗菌性にされる。すぐに、抗菌性の先端130を、血管アクセスデバイスに接続することができる。必要に応じて、キャップまたはシールをカラー150の遠位端から取り外し、先端130を露出させる。シリンジアセンブリ100が血管アクセスデバイスのハブに接続されると、消毒剤が充填された吸収性材料160が圧縮されて摩擦を生じる。吸収性材料によって吸収されている、コンパートメント152に配置された吸収性材料160内に含まれる消毒剤または抗菌剤の消毒特性は、血管アクセスデバイスのハブ60を消毒し、したがって無菌技術への遵守を確実にする。消毒剤が充填された吸収性材料160の圧縮により生じる摩擦が、VADのハブの消毒を提供するために必要である。シリンジアセンブリ100のハブ60への接続が完了すると、ハブは適切に消毒され、シリンジのバレル120から血管アクセスデバイスへの流体連通が生じ得る。流体は、バレル120からハブを通る通路140を通り、IVまたはカテーテルに引き込まれる。カラー150および消毒剤が充填された吸収性材料160が存在するため、血管アクセスデバイスを介する患者への流体連通は、臨床医の側でのあらゆる追加の拭き取りステップおよび労苦なしに無菌条件下で行われる。
【0082】
1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160は、無針コネクタが通り抜けて細長い先端130に接続できるようにするために、上面に1つまたは複数の開口部またはスリットを含んでもよい。吸収性材料160は、無針コネクタ表面を消毒するために、VADコネクタと吸収性材料160との間に十分な摩擦および擦りを作り出し、圧縮される際に消毒剤を放出するように変形する。シリンジアセンブリ100とVADコネクタとの完全な係合に続いて、バレル120のチャンバ124内の流体を投与することができる。
【0083】
吸収性材料160は、ほぼ円筒形または六角形の外面を有することができる。バレル120とカラー150とを組み合わせた六角形の形状の目的は、シリンジアセンブリ100がVADコネクタ上にねじ込まれるときに、バレル120と吸収性材料160との間に強力なグリップを提供し、消毒剤を充填した吸収性材料160が回転することを防ぐことである。カラー150の内面は、吸収性材料160とバレル120との間の摩擦を増加させるために、円筒形、六角形、または他の任意の形状とすることができる。吸収性材料160の上部の開口部は、単一のスリット、または2つ以上のスリットとすることができる。1つまたは複数の実施形態において、吸収性材料160の厚さは、十分な量の消毒剤の吸収を可能にするように調節することができる。さらに、吸収性材料160の内面は、消毒剤を充填した吸収性材料160がそれ自身にはめ込まれ、折りたたまれ、無針コネクタの貫通を可能にするために、様々な形状の切り欠きを有してもよい。代替的実施形態において、吸収性材料160は、スリーブのように無針コネクタの側面で完全に巻き上がる。吸収性材料160の多孔性は、消毒剤が充填された吸収性材料160全体にわたって異なるものとすることができ(例えば、放射方向または軸方向勾配など)、消毒剤の吸収および放出を制御することができる。さらに、上面は、擦りを改善するためのさらなる表面機能を保持してもよい。様々な消毒剤(IPA、エタノール、クロルヘキシジンなど)をいろいろな濃度でスワブに充填することができる。
【0084】
バレル120の波形側壁122の外面121に配置されたロック要素170は、フラッシュ手順の終了時に折りたたまれた位置でバレル120がロックするようになっている。
【0085】
変形可能なバレル120、カラー150およびロック要素170は、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたは他の射出成形可能または成形可能な樹脂、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性材料、または他の容易に使い捨ておよび/またはリサイクル可能な材料、ならびにそれらの組み合わせで作られてもよい。熱可塑性エラストマーには、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが含まれるが、これらに限定されない。材料は、使用される溶液、薬剤、および製造プロセスに適合するように選択すべきである。1つまたは複数の実施形態において、本開示のシリンジアセンブリは、デバイスのリサイクルを容易にするために単一の材料で作られてもよいことが想定される。
【0086】
1つまたは複数の実施形態において、流体はフラッシュ流体である。1つまたは複数の実施形態において、フラッシュ流体は、生理食塩水、ヘパリン、水、またはそれらの組み合わせでもよい。
【0087】
1つまたは複数の実施形態において、カラーのコンパートメントは、細長い先端を取り囲む。
【0088】
1つまたは複数の実施形態において、消毒剤または抗菌剤は、イソプロピルアルコール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン、t-ブチルヒドロキノン、クロロキシレノール、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジングルコネート、ポビドンヨード、アルコール、ジクロロベンジルアルコール、デヒドロ酢酸、ヘキセチジン、トリクロサン、過酸化水素、コロイド銀、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、オクテニジン、抗生物質、およびそれらの混合物からなる群から選択される。消毒剤または抗菌剤は、液体またはゲルとすることができる。
【0089】
本開示のロック要素170は、デバイスの再利用を最小化、制限、または防止する。1つまたは複数の実施形態において、本開示のロック要素は、通路における溶液の逆流を最小化、制限、または防止する。ロック要素はまた、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供することにより、ユーザに溶液送達の確認を提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的であってもよい。1つまたは複数の実施形態において、
図5に示されるように、ロック要素170は、少なくとも1つの突起172および少なくとも1つの対応する空洞174を含む。1つまたは複数の実施形態において、少なくとも1つの突起172は、バレルの波形側壁122の一方のセグメント上に配置され、少なくとも1つの対応する空洞174は、バレルの波形側壁122の反対側のセグメント上に配置される。1つまたは複数の実施形態において、ロック要素170は、バレル120のチャンバ124から流体が排出された後、突起172が対応する空洞174に係合した後に、ユーザによって手動で作動されるように構成される。
【0090】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素170は戻り止めを有する。さらに別の代替的実施形態において、ロック要素170は、バレルの波形側壁122の一方のセグメントを、バレルの波形側壁の反対側のセグメントに接続するためのスナップフィット要素でもよい。チャンバ124の内容物全てが排出されたとき、突起172が空洞174と接触して係合し、バレルの近位端をバレルの遠位端に固定する。
【0091】
1つまたは複数の実施形態において、ロック要素170は、チャンバから所望の量の流体が送達されたことを確認するためのフィードバックをユーザに提供する。フィードバックは、触覚的、視覚的、または聴覚的でもよい。
【0092】
1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールまたは保護先端キャップが、カラー150の開いた遠位端154に配置されてもよい。取り外し可能なシールは、剥離可能なシールでもよい。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、アルミニウムまたは多層ポリマーフィルムの剥し上部でもよい。シールは、プラスチックで密封されたアルミニウムとすることができ、耐薬品性、遮光性、非透過性、または滅菌性とすることができる。取り外し可能なシールは、消毒剤または抗菌剤がカラーのコンパートメントから出ことを防ぎ、事前充填されたフラッシュ溶液がバレルのチャンバから出ることを防ぐ。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、カラーの開口した遠位端にヒートシールまたは誘導シールされ、カラーのコンパートメント内に吸収性材料を保持する。シールは、シールが取り外され、シリンジアセンブリ100が血管アクセスデバイスに接続されるまで、チャンバ内に消毒剤または抗菌剤を含むであろう。吸収性材料160は、消毒剤または抗菌剤を吸収し、接続時に血管アクセスデバイスのハブを消毒するであろう。1つまたは複数の実施形態において、取り外し可能なシールは、防湿障壁を含む。
【0093】
1つまたは複数の実施形態において、シリンジアセンブリ100はまた、シリンジアセンブリの遠位端に解放可能に接続された成形先端キャップを含んでもよい。成形先端キャップは手動で解放することができ、取り外しのために手で容易に掴めるように構成される。
【0094】
本開示のシリンジアセンブリ100は、血管アクセスデバイスと共に使用されてもよい。本発明の別の態様は、フラッシュ、消毒、および流体を血管アクセスデバイスに投与する方法に関し、ユーザは本開示のフラッシュシリンジアセンブリ100を係合させ、フラッシュシリンジアセンブリ100は、チャンバを画定する内面を有する波形側壁と、閉じた近位端と、遠位壁を含む遠位端とを有するバレルであって、遠位壁はそこから遠位に伸びる細長い先端を有し、細長い先端は、チャンバと流体連通し、その中を通る通路を有する、バレル;チャンバ内の事前選択された量の流体;バレルの遠位壁から伸び、細長い先端を取り囲むカラーであって、カラーは、コンパートメントを画定する内面を有する少なくとも1つの側壁と、開いた遠位端と、バレルの遠位壁に隣接する近位端とを含む、カラー;およびバレルの波形側壁の外面に配置されたロック要素を有する。ユーザは、近位端、遠位端、およびそれを通る通路を有し、近位端は、前記通路と流体連通するルアーチップを有する血管アクセスデバイスを入手する。ユーザは、血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置する。次に、ユーザは、フラッシュシリンジアセンブリのカラーを、前記血管アクセスデバイスのルアーチップと係合させて、吸収性材料を圧縮し、消毒剤または抗菌剤が血管アクセスデバイスに接触できるようにする。次に、ユーザは、フラッシュシリンジアセンブリ100に力を加えて、バレルの波形側壁122を変形および折りたたみ、チャンバ内の流体が通路140を通って血管アクセスデバイスに流れるようにする。ユーザは、ロック要素170が、フラッシュシリンジアセンブリを血管アクセスデバイスに係合させて保持させるまで、バレルの近位端に力を加え続ける。シリンジアセンブリ100のVADへの接続が完了すると、シリンジのバレル120から血管アクセスデバイスへの流体連通が生じ得る。流体は、バレル120から一体型通路140を通ってIVまたはカテーテルに引き込まれる。カラー150内に吸収性材料160が存在するため、血管アクセスデバイスを介する患者への流体連通は、臨床医の側でのいかなる追加の拭き取りステップおよび労苦なしに無菌条件下で行われる。フラッシュの終了時に、柔軟で折りたたみ可能なシリンジバレルが終了位置で固定され、消毒キャップとして機能する。次に、シリンジアセンブリ100は、IVラインの微生物感染を防ぐために、IVコネクタ上に残される。カラーのコンパートメントは、IVコネクタの消毒された状態を維持することができる消毒液を有する。したがって、本開示のデバイスは、定期的なIVカテーテルの開通メンテナンスを実施するときに臨床医が取らなければならないステップを減らすという点で、従来技術に対する改良である。具体的には、シリンジを取り外し、コネクタに別個の消毒キャップを適用する手順が不要となる。このデバイスはまた、フラッシュシリンジのフラッシュ機能を消毒キャップの消毒機能と組み合わせることにより、施術者が、フラッシュおよび消毒を実施するために必要な機器/部品の数を病院のskwカウント(skw count)まで減らすことを可能にする。
【0095】
本開示のシリンジアセンブリの1つの利点は、シリンジアセンブリが最小のデッドスペースを有する構成に折りたたまれ、ロック要素(70、170)を使用して固定されることである。本発明のまた別の利点は、変形可能なバレル(20、120)により、ユーザが流体経路の抵抗を感知できることであり、抵抗の増加により、実施者は、シリンジアセンブリまたは血管アクセスデバイスの構成要素内の抵抗を検出できる。
【0096】
成形同時充填技術(blow,fill,seal technology)は当技術分野で周知であり、無菌または無菌条件下の連続プロセスで、形成、流体の充填、および密閉された容器を作り出すことからなる。本開示の1つまたは複数の実施形態において、シリンジアセンブリ(10,100)は、成形同時充填プロセスを使用して製造されてもよく、このプロセスでは、送達デバイスが単一の製造ステップで作成される。シリンジアセンブリ(10,100)は、当業者によく理解されている性質の成形同時充填技術により製造されてもよい。成形同時充填プロセスのコンセプトは、機械内側の無菌の、密閉された領域に人間が介入することなく、単一の容器として連続的な方法で、容器が形成、充填、および密封されることである。成形同時充填製造は、単一のステップで、金型内にパリソンを押し出して成形し、容器を充填し、容器を密封することにより、密閉容器を形成する。この製造プロセスにより、デバイスを単一のプロセスで製造することができる。たとえば、医薬品グレードの樹脂がチューブに押し出され、次にそれがバレルに成形される。マンドレルが新しく成形されたバレルに挿入され、充填される。次に、バレルは内側がすべて無菌のシュラウド付きチャンバに密封される。次に、シリンジアセンブリ(10,100)は、包装および流通のために非滅菌領域に出される。この成形同時充填技術は、パリソンの長さの押出機ヘッドを介して、2つの協働する第1のまたは本体の金型半分の間かつそれを通る中空管の形態で、連続的に押し出すことを含む。この方法は、押出機ヘッドの下かつ本体金型半分の上にあるパリソンを切断して開口部を作成するステップを含み、これにより、成形および充填ノズルアセンブリをパリソンの開口部に下向きに移動させて成形し、その後成形容器を充填することができる。容器アセンブリのバレル部分が所望の量の流体で満たされると、成形および充填ノズルアセンブリは、パリソンの開口部から引っ込められる。次に、別個の一対の協働する第2または上部密閉金型の半分が、パリソンの露出した部分の周りで一緒に動かされて、バレルの上部を成形および密封する。次に、完全に形成され、充填され、単一構造として密封された、完成したシリンジアセンブリが成形装置から運び出される。
【0097】
1つまたは複数の実施形態において、細長い先端(30,130)およびカラー(50,150)は、成形同時充填プロセス中にバレル(20,120)に挿入される成形部品である。また別の実施形態において、細長い先端(30,130)およびカラー(50,150)は、成形同時充填プロセスを使用してバレル20に直接成形される。
【0098】
本明細書を通して言及される「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」は、実施形態と関連して記載される特定の外観、構造、材料、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたるさまざまな箇所での「1つまたは複数の実施形態において」、「ある特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」または「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特色は、1つまたは複数の実施形態において任意の適当な様式で組み合わされてもよい。
【0099】
本開示は特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び応用の例示に過ぎないことが理解されるべきである。したがって、例示的な実施形態に多くの修正を加えることができ、開示される本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の構成を考案することができることを理解されたい。