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特許7558944多価肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】多価肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/64 20170101AFI20240924BHJP
   A61K 39/09 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 39/385 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240924BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240924BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240924BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240924BHJP
   C07K 1/14 20060101ALI20240924BHJP
   C07K 1/20 20060101ALI20240924BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240924BHJP
   C07K 14/31 20060101ALI20240924BHJP
   C07K 14/33 20060101ALI20240924BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K39/09
A61K39/385
A61P37/04
A61P31/04
A61P11/00
A61K47/20
A61K47/10
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K9/10
C12N15/31
C07K1/14
C07K1/20
C07K14/195
C07K14/31
C07K14/33
C12P21/02 C
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021534169
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 IN2019050761
(87)【国際公開番号】W WO2020075201
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】201841038835
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】517176375
【氏名又は名称】バイオロジカル イー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ブルキ,ラジェンダー
(72)【発明者】
【氏名】スリラマン,ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】マトゥール,ラメシュ ベンカト
(72)【発明者】
【氏名】マンテナ,ナレンダー デーブ
(72)【発明者】
【氏名】ダトラ,マヒマ
(72)【発明者】
【氏名】マシラマニ,バラムラリ
(72)【発明者】
【氏名】カンディマラ,ビベーク・バブ
(72)【発明者】
【氏名】サンガレッディ,ベーラパンドゥ
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/064444(WO,A1)
【文献】米国特許第08192746(US,B2)
【文献】米国特許第08808708(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0074922(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0321658(US,A1)
【文献】国際公開第2013/191459(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/092377(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/092378(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/207905(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101590224(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103623401(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103656631(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103656632(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104069488(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、各血清型由来の多糖類が、個別に、PsaA及びCRM197から選択されるキャリヤータンパク質にコンジュゲートしている、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項2】
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類が、CRM197にコンジュゲートされている、請求項1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項3】
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされている、請求項1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項4】
ワクチン組成物が、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であり、少なくとも13種の血清型由来の莢膜多糖類が、CRM197にコンジュゲートされ、残りの血清型由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされている、請求項1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項5】
血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRM197にコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされている、請求項4に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項6】
1種又は複数の肺炎球菌多糖類が、断片化され、各断片化された肺炎球菌多糖類が、天然肺炎球菌多糖類の平均分子量よりも小さい平均分子量を有し、50~1000kDaの範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項7】
肺炎球菌多糖類が、100~1000、200~800、250~600、又は300~400、70~150、又は75~125kDaの分子量を有する、請求項6に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項8】
多糖類-タンパク質コンジュゲートが、下記範囲の分子量:500kDa~5000kDa、1,000kDa~10,000kDa、1,500kDa~15,000kDa、2,000kDa~20,000kDa、2,500kDa~25,000kDa、又は3,000kDa~30,000kDaを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項9】
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 2.2μg、並びに血清型6B由来の多糖類 4.4μgを含む24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の各莢膜多糖類が、CRN197キャリヤータンパク質 25~40μgにコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の各莢膜多糖類が、PsaA 25~40μgにコンジュゲートされている、請求項1に記載の24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項10】
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 2.2~2.4μg、並びに6B由来の莢膜多糖類 4.4μgを含む、24価の肺炎球菌コジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、PsaA 40~80μgにコンジュゲートされている、請求項1に記載の24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項11】
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 2.2~2.4μg、並びに6B由来の莢膜多糖類 4.4μgを含む、24価の肺炎球菌コジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、CRM197 40~80μgにコンジュゲートされている、請求項1に記載の24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項12】
血清型15A由来の莢膜多糖類が、5~18%の範囲のグリセロール含有量を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項13】
血清型35B由来の莢膜多糖類が、2~10%の範囲のグリセロール含有量を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項14】
下記:医薬的に許容できるキャリヤー、医薬的に許容できる希釈剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、アジュバント、及び/又は凍結乾燥用賦形剤の内の1つ又は複数をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項15】
アジュバントが、リン酸アルミニウムである、請求項14に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項16】
侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)等の肺炎連鎖球菌により媒介される疾患を有する対象を予防又は処置するための請求項1~15のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項17】
対象が、ヒトである、請求項16に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項18】
対象に非経口又は粘膜投与される、請求項17に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項19】
ワクチン組成物の各用量が、各肺炎球菌多糖類 0.1μg~50μg、各キャリヤータンパク質 1.5μg~70μgを含む、各キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、各肺炎球菌多糖類 0.1μg~10μg、又は1μg~5μgを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項20】
タンパク質対多糖類(タンパク質/PS)のパーセント比が、0.3~2.0タンパク質/PSである、請求項1~19のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項21】
請求項2に記載の24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を調製する方法であって、
(a)24種の活性化された肺炎球菌多糖類の内の1種又は複数を、CRM197キャリヤータンパク質に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(a)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を製剤化して、24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を調製するステップ
を含む、方法。
【請求項22】
請求項4に記載の24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を調製する方法であって、
(a)24種の活性化された肺炎球菌多糖類の内の1種又は複数を、PsaA及びCRM197を含む群から選択される免疫原性キャリヤータンパク質に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(a)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を製剤化して、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を調製するステップ
を含む、方法。
【請求項23】
ワクチン組成物が、単位用量バイアル、複数回用量バイアル又はプレフィルドシリンジに製剤化される、請求項1~19のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項24】
ワクチン組成物が、4mg/mL~20mg/mLの範囲の量で、チオメルサール、2-フェノキシエタノールから選択される1種又は複数の保存剤をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
【請求項25】
CRM197にそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、4.4μg/0.5mLの6B由来の莢膜多糖類;2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型由来の莢膜多糖類;40~80μg/0.5mLのCRM197;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;1~10mMのコハク酸緩衝液;0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;並びに0.002~0.2%w/vのポリソルベート80を含む、免疫原性組成物。
【請求項26】
CRM197にコンジュゲートした、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の肺炎球菌莢膜多糖類、並びにPsaAにコンジュゲートした、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、4.4μg/0.5mLの6B由来の莢膜多糖類;2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型由来の莢膜多糖類;20~40μg/0.5mLのCRM197;20~40μg/0.5mLのPsaA;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;1~10mMのコハク酸緩衝液;0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;並びに0.002~0.2%w/vのポリソルベート80を含む、免疫原性組成物。
【請求項27】
PsaAにそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、4.4μg/0.5mLの6B由来の莢膜多糖類;2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型由来の莢膜多糖類;40~80μg/0.5mLのPsaA;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;1~10mMのコハク酸緩衝液;0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;並びに0.002~0.2%w/vのポリソルベート80を含む、免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした1種又は複数の肺炎連鎖球菌血清型の肺炎球菌莢膜多糖類を含む多価肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肺炎連鎖球菌(「肺炎球菌」)は、肺炎、菌血症及び髄膜炎等の侵襲性疾患、並びに急性中耳炎(例えば、中耳の細菌叢)等の細菌叢に関連する疾患を引き起こすグラム陽性菌である。これらの肺炎球菌が誘導する疾患は、特に24カ月齢未満及び60歳を超える人において、病的状態及び多数の死者をもたらす。米国における60歳を超える人についての肺炎球菌性肺炎の割合は、100,000人当たり3~8人であると推定される。20%の症例において、肺炎球菌性肺炎は、抗生物質処置にもかかわらず、合わせて30%に近い死亡率を有する菌血症及び髄膜炎を引き起こす。
【0003】
肺炎球菌ワクチンは、感染を予防するために投与され得る。現在のワクチンとして、多価肺炎球菌多糖類ワクチン(2種以上の血清型由来の肺炎球菌多糖類を含む)、及び肺炎球菌コンジュゲートワクチンが挙げられる。肺炎球菌多糖類ワクチンの予防効果は、莢膜多糖類に対して産生される抗体の濃度に関連していることが既知である。肺炎球菌細胞は、90種超の異なる肺炎球菌血清型を生じさせる多糖類で被膜化されている。この被膜は、肺炎球菌の主要な病原性決定基であり、これは、細胞溶解を媒介する補体から細胞の内面を保護するだけでなく、これはまた、免疫原性に乏しい。
【0004】
MerckのPneumovax(登録商標)23は、多価肺炎球菌多糖類ワクチンであり、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19F、19A、20、22F、23F、及び33Fを含む23種の肺炎球菌血清型由来の非コンジュゲート莢膜多糖類を含む。Pneumovax(登録商標)23に加えて、認可されている多価肺炎球菌多糖類ワクチンは、今までのところ、成人、特に高齢者及び高リスク者での肺炎球菌疾患の予防で有用であることが証明された。しかしながら、乳児及び幼児は、この非コンジュゲート肺炎球菌多糖類ワクチンに反応しにくい。
【0005】
Prevnar(登録商標)-7は、肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチンであり、7種の最も高い頻度で単離された多糖類血清型(例えば、CRM197にコンジュゲートした4、6B、9V、14、18C、19F、及び23F)を含む。Prevnar(登録商標)-7が2000年に米国で使用され始めてから、子供での侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)は大幅に減少している。世界のある特定の領域では、Prevnar(登録商標)-7による血清型適用範囲に限界があるため、CRM197にコンジュゲートした13種の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fを含む13価のコンジュゲートワクチンPrevenar-13(登録商標)が開発され、承認された。
【0006】
Synflorix(登録商標)は、10種の、プロテイン質D(protein D)(PD)にコンジュゲートした多糖類血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、23F、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートした血清型18C、及びジフテリアトキソイド(DT)にコンジュゲートした血清型19Fを含む、肺炎球菌ワクチンである。血清型多糖類のそれぞれは、制御されたpH下で1-シアノ-4-ジメチルアミノ-ピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を使用して結合されている。
【0007】
米国特許第5,360,897号明細書では、肺炎球菌ワクチンであって、免疫原性コンジュゲートが、少なくとも2つのカルボニル基を有する、細菌病原体である肺炎連鎖球菌のインタクトな莢膜高分子の還元的アミノ化生成物、及び細菌毒素又はトキソイドを含み、前記コンジュゲートが、莢膜高分子及び毒素又はトキソイドの間に直接共有結合が存在する架橋コンジュゲートを含む、肺炎球菌ワクチンが開示されている。
【0008】
米国特許第5,693,326号明細書では、コンジュゲートワクチンを調製する一般化された方法であって、ウイルス、真菌又は細菌多糖類を活性化するために、1-シアノ-4-(ジメチルアミノ)-ピリジニウムテトラフルオロボレート、N-シアノトリエチル-アンモニウムテトラフルオロボレート、及びp-ニトロフェニルシアネートの群から選択される有機シアニル化剤を使用して、活性化された炭水化物を形成し、その後にタンパク質又はキャリヤータンパク質と結合される、方法を提供している。
【0009】
米国特許第5,854,416号明細書では、PsaA(肺炎球菌表面接着A)として既知の肺炎連鎖球菌由来の37kDaのタンパク質のアミノ酸及びDNA配列が開示されている。
【0010】
米国特許第7,862,823号明細書では、少なくとも2種の異なるキャリヤータンパク質、例えばDT及びTTを有する肺炎球菌莢膜多糖類を含む多価コンジュゲートワクチン組成物が開示されている。
【0011】
米国特許第8,192,746号明細書では、CRM197とコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類を有する15価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物が開示されている。
【0012】
米国特許第8,557,250B2号明細書では、複数のシアネートで活性化された免疫原性の別個の多糖類の混合物を少なくとも1種のヒドラジドで活性化されたタンパク質と接触させるステップを含む方法が開示されている。
【0013】
米国特許第8,808,708号明細書及び米国特許第8,603,484号明細書では、血清型が1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、及び23F、並びにキャリヤータンパク質CRM197からなる、多糖類-タンパク質コンジュゲートからなる13価の免疫原性組成物が説明されている。
【0014】
米国特許出願公開第2010/0074922A1号明細書では、10種以上の血清型を含む免疫原性組成物であって、19F莢膜サッカライドが、DTにコンジュゲートされ、血清型18C莢膜サッカライドが、破傷風トキソイドにコンジュゲートされ、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、及び23F莢膜サッカライドが、インフルエンザ菌から単離されたタンパク質Dにコンジュゲートされる、免疫原性組成物が開示されている。
【0015】
米国特許出願公開第2010/0239604号明細書では、血清型19A及び19F由来の多価肺炎連鎖球菌莢膜サッカライドコンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、血清型19Aが、第1の細菌トキソイドにコンジュゲートされ、19Fが、第2の細菌トキソイドにコンジュゲートされ、2~9種の肺炎連鎖球菌莢膜サッカライドが、タンパク質Dにコンジュゲートされる、免疫原性組成物が開示されている。
【0016】
米国特許出願公開第2012/321658A1号明細書では、免疫原性組成物であって、血清型1、3、19A、及び19Fが、還元的アミノ化以外の化学によって直接的又は間接的のいずれかで、タンパク質キャリヤーに連結され、1種又は複数の異なるサッカライドが、還元的アミノ化によりタンパク質キャリヤーに連結される血清型4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、及び23Fからなる第2の群から選択される、免疫原性組成物が開示されている。
【0017】
印国140/DEL/2011号明細書では、DT、ジフテリアトキソイド、CRM197、及び破傷風トキソイドを含む群から選択される少なくとも2種以上のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、血清型由来の(a)7種以上、(b)10種以上の多糖類のいずれかを含む肺炎連鎖球菌ワクチンを提供している。
【0018】
国際公開第2013/191459A1号パンフレットでは、CRM197にコンジュゲートした、莢膜多糖類1、2、3、4、5、6A、6B、7F、9N、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fに由来する異なる血清型の肺炎連鎖球菌を含む、15価の肺炎球菌コンジュゲート組成物が開示されている。
【0019】
国際公開第2014/092377A1号パンフレットでは、12種の血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fから選択され、最後の血清型が、CRM197にコンジュゲートした、2又は9Nのいずれかである、13価の肺炎球菌コンジュゲート組成物が開示されている。
【0020】
国際公開第2014/092378A1号パンフレットでは、12種の血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fから選択され、残りが、CRM197にコンジュゲートした、22F又は33F由来の1種である、免疫原性肺炎球菌コンジュゲート組成物が開示されている。
【0021】
国際公開第2016/207905A2号パンフレットでは、1)CDAPで活性化され、キャリヤータンパク質CRM197にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6B、7F、9N、9V、15B、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33Fから選択される少なくとも12種の莢膜多糖類、並びに2)医薬的に許容できるキャリヤーを含む、多価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV)組成物であって、組成物が、血清型6A由来の莢膜多糖類を含まない、多価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(PCV)組成物が開示されている。
【0022】
本出願人の国際公開第2018/064444A1号パンフレットでは、肺炎球菌ワクチン組成物であって、組成物が、キャリヤータンパク質の肺炎球菌表面接着タンパク質A(PsaA)、又はPsaA及びCRM197の組合せにそれぞれ個別にコンジュゲートした、2種以上の莢膜肺炎球菌多糖類血清型を含む、肺炎球菌ワクチン組成物が説明されている。
【0023】
中国特許出願公開第101590224号明細書では、CRM197にコンジュゲートした、血清型1、2、4、5、6A、6B、7F、9N、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fを含む、14価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチンが説明されている。
【0024】
中国特許出願公開第103623401号明細書では、14価の肺炎球菌莢膜多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物であって、前記14種の異なる血清型が、CRM197にコンジュゲートした、1、3、4、5、6A、6B、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33Fである、14価の肺炎球菌莢膜多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物が開示されている。
【0025】
中国特許出願公開第103656631号明細書では、多価肺炎球菌莢膜多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物及びその調製方法を提供している。そのコンジュゲート組成物は、24種の異なる血清型の肺炎球菌の莢膜多糖類、及びキャリヤータンパク質から共有結合様式で調製され、ここで、24種の異なる血清型は、CRM197にコンジュゲートした、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、及び33Fである。
【0026】
中国特許出願公開第103656632号明細書では、血清型6A、並びにCRM197にコンジュゲートした、1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、及び33Fからなる群から選択される少なくとも1種の追加の血清型を含む、多価肺炎球菌莢膜多糖類組成物が開示されている。
【0027】
中国特許出願公開第104069488号明細書では、14種の異なる血清型及びキャリヤータンパク質の多価肺炎球菌莢膜多糖類ワクチンであって、14種の血清型が、CRM197にコンジュゲートした、1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33Fを含む、多価肺炎球菌莢膜多糖類ワクチンが開示されている。
【0028】
Anderson P et al.,(2003,Vaccine;21(13-14):1554-9)では、各多糖類型6A、14、19F、及び23Fが、破傷風トキソイド若しくはジフテリアCRM197に別々に結合するか、又は半分用量の多糖類型6A、14、19F、及び23Fの混合物が破傷風トキソイド及びジフテリアCRM197に別々に結合した、4価の肺炎球菌コンジュゲートワクチンの比較研究が開示されている。
【0029】
Nurkka et al.,(2004,Ped.Inf.Dis.J.,23:1008-1014) では、11価の肺炎球菌タンパク質Dコンジュゲートワクチンの免疫原性及び安全性の研究が開示され、ここで、そのワクチンの3投与量を受け、続いて同じワクチン又は肺炎球菌多糖類ワクチンのいずれかのブースター用量を受けた乳児において、血清型3についてプライミング効果は観察されなかった。
【0030】
上記で述べた参照文献では、他の組成物、方法等の中で、1種又は複数の血清型由来の多糖類、及びこれらの多糖類のキャリヤータンパク質とのコンジュゲーションを含む、多価肺炎球菌コンジュゲートワクチンが開示されている。様々な地域にわたって広く行き渡っている異なる血清型を考慮して、改善された免疫応答を有する多糖類血清型の新規コンジュゲートを含むさらなる多価肺炎球菌ワクチンに対する必要性、及びその簡単で効率的な製造を開発する必要性が存在する。
【0031】
驚くべきことに、本発明の多価肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物は、天然の多価肺炎球菌ワクチン及び既存の肺炎球菌コンジュゲートワクチンより高い改善された免疫応答を提供する。
【発明の概要】
【0032】
本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした1種又は複数の肺炎連鎖球菌血清型を含む24価の肺炎球菌多糖類タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0034】
さらに別の実施形態では、本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、CRM197、又はCRM197及びPsaAの組合せ、又はCRM197及び破傷風トキソイドの組合せ、又はPsaA及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM197、PsaA、及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM197、PsaA、タンパク質D、ジフテリアトキソイド(toxid)、及び破傷風トキソイドの組合せから選択される、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物も提供する。
【0035】
ある実施形態では、本発明は、キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、CRM197である、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0036】
ある実施形態では、本発明は、キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、PsaAである、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0037】
ある実施形態では、本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、CRM197、PsaA、又はこれらの組合せである、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0038】
ある実施形態では、本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、CRM197、PsaA、破傷風トキソイド、又はこれらの組合せである、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】(A)血清型3、及び(B)血清型6BとPsaAとのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図2】(A)血清型6A-CRM197、及び(B)血清型6AとPsaAとのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図3】(A)血清型8-CRM197、及び(B)血清型8-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図4】(A)血清型10A-CRM197、及び(B)血清型10A-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図5】(A)血清型11A-CRM197、及び(B)血清型11A-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図6】(A)血清型12F-CRM197、及び(B)血清型12F-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図7】(A)血清型15A-CRM197、及び(B)血清型15A-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図8】(A)血清型23A-CRM197、及び(B)血清型23A-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図9】(A)血清型23B-CRM197、及び(B)血清型23B-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図10】(A)血清型24F-CRM197、及び(B)血清型24F-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図11】(A)血清型35B-CRM197、及び(B)血清型35B-PsaAのコンジュゲーション反応速度論を示すSEC-HPLCクロマトグラム。
図12図12A:製剤Iで免疫化されたウサギにおける血清抗体力価。図12B:製剤IIで免疫化されたウサギにおける血清抗体力価。
【発明を実施するための形態】
【0040】
定義
本発明全体を通して、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数の参照対象を含む。同様に、単語「又は」が、2つ以上の項目のリストに関して他の項目を除外する単一の項目のみを意味するように明確に限定されない限り、そのようなリストにおける「又は」の使用は、(a)このリスト中の任意の単一の項目、(b)このリスト中の全ての項目、又は(c)このリスト中の項目の任意の組合せを含むと解釈すべきである。加えて、「含む」という用語、及び同類のものは、本発明全体を通して、同一の特徴の任意のより多くの数、及び/又は1種若しくは複数の追加の種類の特徴が除外されないように、列挙された特徴を少なくとも含むことを意味するために使用される。本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」又は類似の語句への言及は、その実施形態に関連して説明される組成物の特定の特徴、組成物、方法、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。従って、本明細書におけるそのような語又は語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を全て指すわけではない。さらに、様々な特定の特徴、組成物、方法、又は特性を、1つ又は複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせ得る。
【0041】
本発明は、網羅的であることが意図されておらず、本技術を本明細書で開示されている詳細な形態に限定することも意図されていない。本明細書では、説明を目的として具体的な実施形態が開示されているが、関連分野の当業者が認識するように、本技術から逸脱することなく様々な等価の改変が可能である。一部の場合では、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及び機能は示されておらず、及び/又は詳細には説明されてない。本明細書では、方法のステップを特定の順序で示す場合があるが、代替実施形態では、このステップは別の適切な順序を有し得る。同様に、特定の実施形態の文脈で開示されている本技術のある特定の実施形態を、他の実施形態で組み合わせてもよいし、他の実施形態において除外してもよい。さらに、ある特定の実施形態と関連する利点が、この実施形態の文脈で開示され得るが、他の実施形態もそのような利点を示し得、全ての実施形態は、本技術の範囲に含まれるために、本明細書で開示されているそのような利点又は他の利点を示す必要はない。従って、この開示及び関連技術は、本明細書で明示的に示されていない及び/又は説明されていない他の実施形態を包含し得る。
【0042】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本方法が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明されている免疫原性組成物、ワクチン組成物、若しくは方法と類似又は等価な任意の免疫原性組成物、ワクチン組成物、若しくは方法は、本発明の実施形態の実施又は試験においても使用され得るが、代表的な例示的方法及び組成物がここで説明される。
【0043】
値の範囲が記載されている場合には、この範囲の上限と下限との間の各介在値、並びにこの規定の範囲内の任意の他の規定の又は介在する値は、本方法及び本組成物に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、これらのより小さい範囲に含まれ得、この規定の範囲中で任意の特に除外された限界を条件として、本方法及び本組成物にも包含される。この規定の範囲が限界の一方又は両方を含む場合には、これらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、本方法、本組成物、及び本組合せに含まれる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「莢膜多糖類」という用語は、肺炎連鎖球菌血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bの細胞壁の外側でこの細胞壁と連続する多糖類の層を指す。
【0045】
「サイジングされた」又は「サイジング」という用語は、本明細書で使用される場合、様々な方法により天然多糖類のサイズを減少させることを指す。この方法として、均質化等の機械的方法が挙げられ得る。天然多糖類のサイズを減少させること、又は「サイジング」により、下記を含む様々な利点が得られる:(1)天然多糖類と比較して、高い免疫原性を付与する、(2)コンジュゲート中における多糖類対タンパク質の比を変更し得る、(3)サイジングされた多糖類は、組成物により高い安定性を付与し得る。
【0046】
多糖類の「分子量」、又は「分子サイズ」、又は「平均分子サイズ」、又は「平均分子量」という用語は、本明細書で使用される場合、MALLS(多角度レーザー光散乱)で測定した多糖類の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」及び「ワクチン組成物」という用語は、互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「キャリヤータンパク質」という用語は、典型的には免疫系による抗原の検出を強化するか又は促進する目的で、ハプテン(弱い抗原)が結合するか、付着するか、又はコンジュゲートするあらゆるタンパク質又はその断片を指す。キャリヤータンパク質の例として、CRM197、PsaA、破傷風トキソイド、及びこれらの断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
「コンジュゲート」又は「コンジュゲートした」という用語は、本明細書で使用される場合、肺炎連鎖球菌莢膜多糖類がキャリヤータンパク質に共有結合していることを意味するために使用される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、抗原に対して生じる免疫応答の種類及び性質に影響を与えることによって抗原と免疫系との間の接触を促進することによりワクチンの抗原の免疫応答を強化するワクチンの非抗原性成分を指す。アジュバントは、抗原に対する長期の免疫応答を引き起こし、ある特定の抗原の毒性を低下させるか、又はある特定の抗原に対する溶解性を提供する働きもし得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容できるキャリヤー」という用語は、組成物を受けた個体に有害な抗体の産生をそれ自身は誘導せず、過度の毒性なく投与され得る、抗原及び/又はウイルスの投与のためのワクチン製剤に添加され得る1種又は複数の任意選択的な成分を指す。適切なキャリヤーは、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、及び不活性ウイルス粒子等の大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子であり得る。この用語は、1種又は複数の賦形剤、安定剤、希釈剤、緩衝剤、若しくは界面活性剤、凍結乾燥用賦形剤、又はこれらの組合せを含む。医学的に許容できる又は薬理学的に許容されるとは、生物学的又は他の方法で望ましくない材料を意味し、即ち、材料は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、又はそれが含まれる組成物の成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、製剤又は組成物で個体に投与され得る。
本発明の詳細な説明
本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の24種の異なる血清型由来の多糖類を含む24価の肺炎球菌多糖-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0051】
ある実施形態では、本発明は、キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の24種の異なる血清型由来の莢膜多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含み、キャリヤータンパク質が、CRM197、又はCRM197及びPsaAの組合せ、又はCRM197及び破傷風トキソイドの組合せ、又はPsaA及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM197、PsaA、及び破傷風トキソイドの組合せから選択される、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物も提供する。
【0052】
ある実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bから選択される24価の肺炎球菌多糖-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、少なくとも13種の血清型が、CRM197にコンジュゲートされ、残りの血清型が、PsaAにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類を含む24価の肺炎球菌多糖-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRN197キャリヤータンパク質にコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0054】
ある実施形態では、本発明は、CRM197キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bから選択される異なる血清型由来の莢膜多糖類を含む、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0055】
ある実施形態では、本発明は、PsaAキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bから選択される異なる血清型由来の莢膜多糖類を含む、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類を含む24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされ、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRM197及び破傷風トキソイドの組合せにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0057】
ある実施形態では、本発明は、肺炎球菌多糖類を含む肺炎球菌ワクチン組成物であって、1種又は複数の肺炎球菌多糖類が、天然肺炎球菌多糖類である、肺炎球菌ワクチン組成物を提供する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、肺炎球菌多糖類を含む肺炎球菌ワクチン組成物であって、1種又は複数の肺炎球菌多糖類が、断片化され、各断片化された肺炎球菌多糖類が、天然肺炎球菌多糖類の平均分子量よりも小さい平均分子量を有し、50~1000kDaの範囲であり得る、肺炎球菌ワクチン組成物を提供する。
【0059】
さらに別の実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の単離及び精製された莢膜多糖類であって、各多糖類が、約50~1000kDaの分子量を有し、好ましくは100~1000、200~800、250~600、又は300~400、70~150、又は75~125kDaの平均サイズ(Mw)を有する、単離及び精製された莢膜多糖類を提供する。
【0060】
さらに他の実施形態では、本発明は、CRM197、又はCRM197及びPsaAの組合せ、又はCRM197及び破傷風トキソイドの組合せ、又はPsaA及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM197、PsaA、及び破傷風トキソイドの組合せから選択されるキャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の24種の異なる血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の多糖類を含む肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、多糖類-タンパク質コンジュゲートが、約500kDa~約5000kDa;1,000kDa~約10,000kDa;約1,500kDa~約15,000kDa;約2,000kDa~約20,000kDa;約2,500kDa~約25,000kDa;又は約3,000kDa~約30,000kDaの範囲の分子量を有する、肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0061】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2~2.4μg、並びに6B 約4.4μgを含む24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の各莢膜多糖類が、CRM197キャリヤータンパク質 約30~35μgにコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の各莢膜多糖類が、PsaA 約20~30μgにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0062】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2~2.4μg、並びに6B 約4.4μgを含む、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、PsaA 約40~80μgにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0063】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2~2.4μg、並びに6B 約4.4μgを含む、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、CRM197 約40~80μgにコンジュゲートされる、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0064】
さらなる態様では、本開示は、50~1000kDaの平均分子量、及び5~18%の範囲のグリセロール含有量を有する、単離された肺炎連鎖球菌血清型15Aを提供する。
フッ化水素酸(HF)による多糖類の処理によるグリセロールの放出後のパルスアンペロメトリック検出付きの高性能陰イオン交換クロマトグラフイー(HPAEC-PAD)を使用するグリセロールの測定により、グリセロールリン酸側鎖の存在を決定し得る。
【0065】
さらなる態様では、本開示は、50~1000kDaの平均分子量、及び2~10%、好ましくは2~8%の範囲のアセテート含有量を有する、単離された肺炎連鎖球菌血清型35B莢膜多糖類を提供する。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、肺炎球菌多糖類のそれぞれが、キャリヤータンパク質へのコンジュゲーションの前に、1-シアノ-4-ジメチルアミノ-ピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)で活性化されて、シアン酸エステルを形成する、肺炎球菌多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0067】
別の実施形態では、本発明は、1種又は複数の肺炎球菌多糖類が、キャリヤータンパク質のアミノ基に直接結合されるか、又はスペーサーによってアミノ基に結合される、肺炎球菌多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、肺炎球菌多糖類を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、スペーサーが、シスタミン、システアミン、ヘキサンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、EDAC、又はEDCである、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0069】
本発明に係るPsaAキャリヤータンパク質は、改変されたPsaAであり、野生型疎水性N末端リーダーペプチドを含まない。
本発明は、1種又は複数の血清型の肺炎球菌多糖類及びキャリヤータンパク質を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、PsaAキャリヤータンパク質が、290個のアミノ酸を含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0070】
キャリヤータンパク質にそれぞれ個別にコンジュゲートした莢膜肺炎球菌多糖類血清型を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物は、本明細書で多糖類-タンパク質コンジュゲート及び/又はコンジュゲートと称される。本明細書で説明されている肺炎球菌ワクチン組成物に含まれる場合、多価肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン(本明細書で多価コンジュゲートワクチン、コンジュゲートワクチン、及び/又は多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチンとも称される)である。多価コンジュゲートワクチンに加えて、本発明は、それを調製する方法、及び/又はそれを必要とする対象にそれを投与する方法を提供する。
【0071】
キャリヤータンパク質は、十分な量及び純度で得られる非毒性かつ非反応性のタンパク質である。一部の実施形態では、本発明は、1種又は複数の肺炎連鎖球菌多糖類(本明細書で「肺炎球菌多糖類」とも称される)にコンジュゲートした1種又は複数のキャリヤータンパク質を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。肺炎球菌多糖類をキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせることにより、肺炎球菌多糖類は、コンジュゲートされていない肺炎球菌多糖類より高い増加した免疫原性を有する。
【0072】
本発明の一部の実施形態では、使用されるキャリヤータンパク質の組合せは、PsaA、CRM197、タンパク質D、ジフテリアトキソイド、及び破傷風トキソイド(TT)等の2種以上のキャリヤータンパク質を含む。
【0073】
別の実施形態では、本発明の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物は、下記の内の1つ又は複数:医薬的に許容できるキャリヤー、医薬的に許容できる希釈剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、アジュバント、界面活性剤、溶剤、及び/又は凍結乾燥用賦形剤をさらに含む。適切な緩衝剤として、トリス(トリメタミン(trimethamine))、リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、グリシン、ヒスチジン、及びコハク酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。適切な界面活性剤として、約0.001%~約2%の濃度の、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60(Tween 60)、ポリソルベート-80(Tween 80)、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(B0)のコポリマー、ポロクサマー124、ポロクサマー188、ポロクサマー237、ポロクサマー338、及びポロクサマー407、オクトキシノール、トリオレイン酸ソルビタン(Span 85)、並びにモノラウリン酸ソルビタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の組成物は、5.0~8.0の範囲のpHを有する緩衝生理食塩溶液中で製剤化される。
一部の実施形態では、肺炎球菌多糖類は、従来の方法に従って1種又は複数の微生物(例えば、肺炎連鎖球菌)から抽出され得る。例えば、肺炎球菌多糖類は、既知の手順に従って調製され得る。さらに、肺炎球菌多糖類の精製は、国際公開第2016/174683A1号パンフレットで説明されている手順に従って行われ得る。
【0075】
抽出された肺炎球菌多糖類は、従来の方法に従って精製され得、その天然形態で使用され得る。他の実施形態では、抽出及び精製された肺炎球菌多糖類は、断片化されて、肺炎球菌多糖類の1つ又は複数の部分が得られ得、肺炎球菌多糖類の各部分は、抽出及び精製された肺炎球菌多糖類の平均分子量よりも小さい平均分子量を有する。
【0076】
他の実施形態では、抽出及び精製された肺炎球菌多糖類を、1種又は複数のキャリヤータンパク質へのコンジュゲーション前に活性化し得る。例えば、抽出及び精製された肺炎球菌多糖類を、1種又は複数のキャリヤータンパク質へのコンジュゲーション前に、(例えば化学的に)活性化し得る。各活性化された肺炎球菌多糖類を、多糖類-タンパク質コンジュゲート(例えば糖コンジュゲート)を形成するキャリヤータンパク質に、それぞれ個別にコンジュゲートさせ得る。他の実施形態では、1種又は複数の活性化された肺炎球菌多糖類を、個々のキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせ得る。コンジュゲートは、既知の技術によって調製され得る。
【0077】
一部の実施形態では、既知の技術、例えば、米国特許第4,365,170号明細書、同第4,673,574号明細書、及び同第4,902,506号明細書で説明されている技術に従って、肺炎球菌多糖類を、化学的に活性化してその後にキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせ得る。例えば、炭水化物の1つ又は複数の隣接ヒドロキシル基のランダム酸化開裂による、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、又は過ヨウ素酸)等の酸化剤を使用する末端ヒドロキシル基のアルデヒドへの酸化、及び1つ又は複数の反応性アルデヒド基の形成により、肺炎球菌多糖類を活性化し得る。
【0078】
肺炎球菌多糖類はまた、CDAP(1-シアノ-4-ジメチルアミノ-ピリジニウムテトラフルオロボレート)により活性化し、その後に1種又は複数のキャリヤータンパク質、例えば、PsaA、CRM197、PspA、又はこれらの組合せにコンジュゲートさせ得る。他の実施形態では、CDAPにより活性化されてシアン酸エステルを形成する肺炎球菌多糖類を、1種又は複数のキャリヤータンパク質に直接コンジュゲートさせてもよいし、スペーサー(例えばリンカー)を使用してコンジュゲートさせてもよい。このスペーサーは、キャリヤータンパク質上のアミノ基に結合し得る。一部の実施形態では、このスペーサーは、シスタミン又はシステアミンであり得、これらはチオール化多糖類を生成し、このチオール化多糖類は、マレイミド活性化キャリヤータンパク質へのチオエーテル結合を介して(例えばGMBSを使用する)、又はハロアセチル化キャリヤータンパク質へのチオエーテル結合を介して(例えば、ヨードアセチミド(iodoacetimide)、ヨードアセチミドエチルHCl、SIAB、SIA、SBAP、及び/又はN-スクシンイミジルブロモアセテートを使用する)、キャリヤータンパク質に結合し得る。他の実施形態では、ヘキサンジアミン又はアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を使用してシアン酸エステルを結合させ、カルボジイミド(例えばEDAC又はEDC)化学を使用して、アミノ誘導体化サッカライドを、キャリヤータンパク質上のカルボキシル基を介してキャリヤータンパク質にコンジュゲートさせる。そのようなコンジュゲートは、国際公開第93/15760号パンフレット、同第95/08348号パンフレット、同第96/29094号パンフレット、及びChu et al.,1983,Infect.Immunity 40:245-256で説明されている。
【0079】
本発明の多糖類-タンパク質コンジュゲート及びワクチン組成物での使用に適した他の活性化及び/又は結合技術として、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTU、及び国際公開第98/42721号パンフレットで説明されている他の方法の使用が挙げられる。例えば、コンジュゲーションは、サッカライドの遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethell et al.,1979,J.Biol.Chem.254:2572-4;Hearn et al.,1981,J.Chromatogr.218:509-18)、その後のタンパク質との結合によるカルバメート結合の形成により形成され得るカルボニルリンカーを伴い得る。一部の実施形態では、アノマー末端を第1級ヒドロキシル基へと還元させ、この第1級ヒドロキシル基の任意選択的な保護/脱保護、この第1級ヒドロキシル基とCDIとの、CDIカルバメート中間体を形成する反応、及びCDIカルバメート中間体とタンパク質上のアミノ基との結合を行うことができる。
【0080】
例えば、本発明の多糖類-タンパク質コンジュゲート及びワクチン組成物での使用に適した別の活性化及び/又は結合技術として、下記の方法が挙げられる:サイジングされた肺炎球菌多糖類(例えば、約10mg/mLの濃度での約6mLのサイジングされた多糖類)及びCDAP(例えば、アセトニトリル中に約100mg/mL(w/v))を、(例えば、約1分にわたり撹拌することにより)ガラスバイアル中において約1:約1の比で混合し得る。多糖類溶液のpHを、必要に応じて調整し得る(例えば、約0.2Mのトリエチルアミンで約9.25に調整し、室温にて3分にわたり撹拌し得る)。加えて、活性化された肺炎球菌多糖類に、PsaA(例えば濃度が約15mg/mLである溶液 約4mL)を(例えば約1:約1(Ps:キャリヤータンパク質)の比で)緩やかに添加し得る。この反応物のpHを(例えば、0.2Mのトリメチルアミンを使用して約9.05に)調整し得、この反応を(例えば、室温で5時間にわたり撹拌することにより)継続させ得る。この反応混合物を、(例えば、過剰な濃度のグリシンの添加により)クエンチし得る。
【0081】
一部の実施形態では、この反応混合物を、膜(例えば100 K MWCO膜)を使用して透析ろ過し得、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製し得る。透析ろ過及び精製された画分を、SEC-MALLS及びアントロン法を使用して分析し得る。コンジュゲートを含む分析画分を、プールして(例えば0.2μmフィルターを使用して)無菌ろ過し得る。
【0082】
1種又は複数のキャリヤータンパク質への肺炎球菌多糖類のコンジュゲーション後に、様々な技術により多糖類-タンパク質コンジュゲートを精製し得る(例えば、多糖類-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化させ得る)。これらの技術として、濃縮/透析ろ過操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、及び深層ろ過が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、このコンジュゲートを精製した後、このコンジュゲートを配合して、ワクチンとして使用され得る本発明の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を製剤化し得る。
【0083】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書で説明されている肺炎球菌ワクチン組成物の多糖類-タンパク質コンジュゲートを調製する方法であって、この多糖類-タンパク質コンジュゲートを、アジュバント、賦形剤、及び緩衝剤を含む肺炎球菌ワクチン組成物に製剤化するステップをさらに含む方法を提供する。
【0084】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書で説明されている肺炎球菌ワクチン組成物の多糖類-タンパク質コンジュゲートを調製する方法であって、アジュバントが、リン酸アルミニウムである、方法を提供する。
【0085】
一部の実施形態では、本発明は、予防又は処置が必要な対象を予防又は処置する方法であって、この予防又は処置が必要な対象に、本明細書で説明されている肺炎球菌ワクチン組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0086】
一部の実施形態では、この対象は、肺炎連鎖球菌により媒介される疾患、例えば侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)を有する。
一実施形態では、この対象はヒトであり、例えば、乳児(約1歳未満)、幼児(約12カ月齢~約24カ月齢)、小児(約2歳~約5歳)、年長児(約5歳~約13歳)、青年(約13歳~約18歳)、成人(約18歳~約65歳)、又は高齢者(約65歳超)である。
【0087】
一部の実施形態では、本開示は、免疫反応を誘発する方法であって、対象に、本明細書で説明されている肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物の免疫学的に有効な量を投与するステップを含む方法を提供する。
【0088】
一実施形態では、免疫反応を誘発する方法であって、対象に、本明細書で説明されている肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を全身投与し、皮下投与し、及び/又は粘膜投与するステップを含む方法を提供する。
【0089】
一部の実施形態では、本発明のワクチン組成物の用量中における各コンジュゲートの量は、免疫保護反応、例えば、顕著な副作用を引き起こさない免疫保護反応を誘発するのに十分な量である。各コンジュゲートの量は、肺炎球菌血清型に応じて異なり得るが、ワクチン組成物の各用量は、キャリヤータンパク質 約1.5μg~約5μgを含む各キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、各肺炎球菌多糖類 約0.1μg~約50μg、各肺炎球菌多糖類 約0.1μg~約10μg又は約1μg~約5μgを含み得る。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、肺炎球菌多糖類及びキャリヤータンパク質を含む肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物が、約0.3~約2.0のタンパク質対多糖類(タンパク質/PS)、好ましくは0.5~1.5のタンパク質/PSのパーセント比を有する、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0091】
一部の実施形態では、コンジュゲーション前の精製された多糖類は、10kDa~2,000kDaの分子量を有する。他のそのような実施形態では、多糖類は、50kDa~2,000kDa;50kDa~2,000kDa;50kDa~1,750kDa;50kDa~1,500kDa;50kDa~1,250kDa;50kDa~1,000kDa;50kDa~750kDa;50kDa~500kDa;100kDa~2,000kDa;100kDa~2,000kDa;100kDa~1,750kDa;100kDa~1,500kDa;100kDa~1,250kDa;100kDa~1,000kDa;100kDa~750kDa;100kDa~500kDaの分子量を有する。
【0092】
他の実施形態では、本発明は、約1,000kDa~約10,000kDa、約1,500kDa~約15,000kDa、約2,000kDa~約20,000kDa、約2,500kDa~約25,000kDa、又は約3,000kDa~約30,000kDaの範囲の分子量を有する1種又は複数の多糖類-タンパク質コンジュゲートを含む肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を提供する。
【0093】
本発明の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物は、既知の方法を使用して製造し得る。例えば、肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物を、医薬的に許容できる希釈剤又はビヒクル、例えば、水又は生理食塩水により製剤化し得る。加えて、肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物は、下記の内の1つ又は複数をさらに含み得る:緩衝剤、保存剤若しくは安定剤、ポリソルベート、アジュバント、例えばアルミニウム化合物(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、若しくはヒドロキシリン酸アルミニウム)、及び/又は凍結乾燥用賦形剤。本発明の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物中での上記化合物のいずれか1つの含有は、それを必要とする対象への投与様式及び投与経路の作用として選択することができ、さらには標準的な医薬慣習に基づくことができる。
【0094】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、CRM197にそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、組成物が、4~7のpHを有し、6B 約4.4μg/0.5mL;全ての他の多糖類 約2.2~4μg/0.5mL;CRM197 約40~80μg/0.5mL;リン酸アルミニウム 0.2~2mg/0.5mL;約1~10mMのコハク酸緩衝液;約0.5~25%の塩化ナトリウム;0.002~0.2%のポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、24価の免疫原性組成物を提供する。
【0095】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、CRM197キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の肺炎球菌莢膜多糖類、並びにPsaAにコンジュゲートした、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、組成物が、4~7のpHを有し、6B 約4.4μg/0.5mL;全ての他の多糖類 約2.2~4μg/0.5mL;CRM197 約20~40μg/0.5mL;PsaA 20~40μg/0.5mL;リン酸アルミニウム 0.2~2mg/0.5mL;約1~10mMのナトリウム緩衝液;約0.5~25%の塩化ナトリウム;0.002~0.2%のポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、24価の免疫原性組成物を提供する。
【0096】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、PsaAにそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、組成物が、4~7のpHを有し、6B 約4.4μg/0.5mL;全ての他の多糖類 約2.2~4μg/0.5mL;PsaA 約40~80μg/0.5mL;リン酸アルミニウム 0.2~2mg/0.5mL;約1~10mMのコハク酸緩衝液;約0.5~25%の塩化ナトリウム;0.002~0.2%のポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、24価の免疫原性組成物を提供する。
【0097】
一部の実施形態では、本発明は、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35Bから選択される莢膜多糖類を含む、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法であって、キャリヤータンパク質が、CRM197である、方法を提供する。24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法は、
(a)24種の活性化された肺炎球菌多糖類のそれぞれをCRM197キャリヤータンパク質に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(c)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を製剤化して、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製するステップ
を含む。
【0098】
一部の実施形態では、本発明は、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bから選択される肺炎球菌多糖類を含む24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法であって、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされ、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRM197にコンジュゲートされる、方法を提供する。24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法は、
(a)血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の多糖類をPsaAに、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類をCRM197に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(a)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物に製剤化するステップ
を含む。
【0099】
一部の実施形態では、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物をろ過し得る(例えば、無菌で)。
一実施形態では、肺炎球菌多糖類は、CDAPを使用して活性化される。別の実施形態では、使用されるアジュバントは、リン酸アルミニウムである。
【0100】
24価の各コンジュゲートは、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩上の混合物、又は水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム両方の混合物として、別々又は一緒に吸着され得る。吸着剤は、インサイチュで調製され得るか、又は製造プロセスの間に添加され得る。24価のコンジュゲートの調製は、各コンジュゲートを容器(vessel)又は容器(container)に連続して添加することによって、又はCRM197コンジュゲート(部分1)及びPsaAコンジュゲート(部分2)を含む別々の溶液を調製し、部分1を部分2に添加するか、若しくはその逆によって、実行され得る。
【0101】
本発明の組成物は、単位用量、例えば単位用量バイアル、複数回用量、例えば複数回用量バイアル、又はプレフィルドシリンジに製剤化され得る。本発明の組成物は、約4mg/mL~約20mg/mLの範囲であり得る量で、チオメルサール、2-フェノキシエタノール等から選択される1つ又は複数の保存剤をさらに含み得る。
【0102】
一部の実施形態では、本発明は、少なくとも以下:2種以上の肺炎球菌多糖類血清型 約2.2~4.4μg、PsaA 血清型当たり約1μg~約10μg、CRM197 各血清型について約2μg~約5μg、アジュバント(例えば、リン酸アルミニウム) 約0.2mg~約1mg、及び1つ又は複数の賦形剤(例えば、塩化ナトリウム及び/又は緩衝剤)を含有するように製剤化された約0.5mLの単回用量として投与される、肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物等の免疫原性組成物(例えば、ワクチン)も提供する。
【0103】
本発明の組成物は、ワクチンの分野で使用される任意の数の従来の経路によって、それを必要とする対象に投与され得る。例えば、本発明の組成物は、全身に、例えば非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内及び/又は静脈内)、又は粘膜(例えば、経口及び/又は経鼻)投与され得る。
【0104】
一部の実施形態では、本発明は、1種又は複数のキャリヤータンパク質にコンジュゲートした1種又は複数の肺炎連鎖球菌莢膜多糖類に対するそれを必要とする対象における免疫応答を誘発する方法も提供する。免疫応答を誘発する方法は、本明細書で説明されている組成物の免疫学的に有効な量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0105】
本発明の方法によれば、本明細書で説明されている組成物の対象はヒトであり、例えば、乳児(約1歳未満)、幼児(約12カ月齢~約24カ月齢)、小児(約2歳~約5歳)、年長児(約5歳~約13歳)、青年(約13歳~約18歳)、成人(約18歳~約65歳)、又は高齢者(約65歳超)である。
【0106】
本明細書で使用される場合、本開示で説明されている組成物の「有効な量」は、組成物が投与される対象における免疫応答を引き出すために必要な量を指す。免疫応答は、その後の負荷の間に肺炎連鎖球菌の感染の可能性又は重症度を顕著に低下させる、宿主中の1つ又は複数の肺炎連鎖球菌抗原特異的抗体の存在によって特徴付けられる。
【実施例
【0107】
下記の実施例は、本発明を説明するために記載されており、単に説明目的のみにすぎず、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
実施例1:肺炎球菌莢膜多糖類-CRM197コンジュゲートの調製
肺炎球菌血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33Fに関する肺炎球菌莢膜多糖類-CRM197コンジュゲートを、国際公開第2016/207905号パンフレットで説明されている手順により調製した。
【0108】
肺炎球菌血清型6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35Bに関する多糖類CRM197コンジュゲートを、下記に示す手順により調製した。
a)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型6AとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型6A 1000mg(14.6mg/mL濃度 68.5mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))5.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 8.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.7mL)を、1.0:1.0(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0109】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.0mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図2A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0110】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
b)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型8とCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型8 1000mg(5.0mg/mL濃度 200.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))4.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.4(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 7.7mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 800mg(15.0mg/mL濃度 53.33mL)を、1.0:0.8(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0111】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.5mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図3A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0112】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
c)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型10AとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型10A 1000mg(7.0mg/mL濃度 142.8mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))8.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.8(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 13.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 900mg(15.0mg/mL濃度 60.0mL)を、1.0:0.9(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0113】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 2.5mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図4A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0114】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
d)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型11AとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型11A 1000mg(8.0mg/mL濃度 125.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))5.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 10.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.7mL)を、1.0:1.0(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0115】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 2.5mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図5A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0116】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
e)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型12FとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型12F 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))5.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 10.6mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 800mg(15.0mg/mL濃度 53.3mL)を、1.0:0.8(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0117】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.0mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図6A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0118】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
f)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型15AとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型15A 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.7mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))10.0mLを、ガラス瓶中において1.0:1.0(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 18.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 1000mg(15.0mg/mL濃度 53.3mL)を、1.0:0.8(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0119】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.0mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図7A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0120】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
g)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型23AとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型23A 1000mg(15.0mg/mL濃度 83.3mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))10.0mLを、ガラス瓶中において1.0:1.0(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 14.9mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 800mg(15.0mg/mL濃度 53.3mL)を、1.0:0.8(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0121】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.7mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図8A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0122】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
h)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型23BとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型23B 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))2.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.2(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 3.5mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.7mL)を、1.0:1.0(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0123】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 2.2mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図9A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0124】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
i)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型24FとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型24F 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))5.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 10.6mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 800mg(15.0mg/mL濃度 53.3mL)を、1.0:0.8(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0125】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.0mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図10A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0126】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
j)CDAP化学を使用する肺炎球菌多糖類血清型35BとCRM197タンパク質との活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型35B 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))5.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 5.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、CRM197 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.7mL)を、1.0:1.0(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0127】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.6mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図11A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0128】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0129】
実施例2:肺炎球菌莢膜多糖類-PsaAコンジュゲートの調製
A)PsaAの調製:
PsaA遺伝子を、疎水性リーダーペプチド配列を使用することなく、肺炎連鎖球菌血清型4からPCR増幅させた。この遺伝子配列を検証し、高発現用にインハウスで構築したベクター(pBE66)を使用して大腸菌(Escherichia coli)にクローニングした。
【0130】
PSaA遺伝子をコードするグリセロールストック培養物を、150mLの三角フラスコ中において、グリセロールストック 1mLを含むLB培地 20mLで回復させた。この培養物を、200rpm下で37℃にて約6時間にわたり3.5ODの最終OD600nmまでインキュベートした。この回復培養物を、5Lの三角フラスコ中の播種培養物1Lに移した。この培養物を、200rpm下で37℃にて約10時間にわたり3の最終OD600nmまで増殖させた。この播種培養物を、下記の培養成分が入った20Lの発酵槽に無菌的に移した:HyPeptone 6g/L、酵母抽出物 12/L、オルトリン酸水素二カリウム 13.5g/L、リン酸アンモニウム二塩基性 4g/L、クエン酸 1.7g/L、MgSO.7HO 1.2g/L、グルコース 4g/L、チアミン HCL 10mg/L、及び1mL/Lの微量元素(例えば、100mL組成物の場合の微量元素、FeCl 2.7g、ZnCl 0.2g、CoCl.6HO 0.2g、NaMoO.2HO 0.2g、CuSO 5HO 0.1g、ホウ酸 0.05g、CaCl 2HO 0.1g、濃HCL 10mL)。最初の発酵を、OD600nm 0.2ODで開始した。20%のオルトリン酸及び12.5%の水酸化アンモニウムを使用して、この発酵全体を通してpHを7±0.2で維持した。グルコースレベルが0.5g/Lを下回ると、3~4g/L/時間の安定した速度で供給バッチを開始し、酸素富化により、この発酵全体を通してDO%を>20%に維持した。発酵槽中で細胞を増殖させ、遠心分離により細胞ペレットを回収した。細胞を、細胞破壊装置(Panda)を使用して溶解させた。溶解物を10000gで遠心分離し、清澄な上清を精製に供した。
【0131】
PsaAの精製を、Larentis et al,2011(Protein expression and Purification 78(2011)38)で説明されている手順と同様に実施した。DEAE後に混合モードクロマトグラフィー(Ceramic Hydroxyapatite Type-II)を使用することにより精製をさらに最適化して、PsaAのより高い純度を達成した。
【0132】
陰イオン交換クロマトグラフィー:DEAEセファロース(GE)樹脂 30mLを、XK16/20カラムに充填した。この樹脂を、5カラム体積の無菌蒸留水で洗浄し、続いて10カラム体積の20mMのTris、1mMのEDTA、pH8.0(平衡緩衝液)で洗浄した。上清 30mLを平衡緩衝液で100mLまで希釈し、カラムにローディングし、フロースルーを回収した。このカラムを、5体積の平衡緩衝液で洗浄した。(0~100%B)の12体積の直線勾配でPsaAを溶出させた。(20mMのTris、1mMのEDTA pH8.0を含む緩衝液A;20mMのTris、1mMのEDTA、250mMのNaCl pH8.0を含む緩衝液B)。この後、20mMのTris、1mMのEDTA、1MのNaCl、pH8.0でカラムを洗浄した。
【0133】
混合モードクロマトグラフィー:Ceramic Hydroxyapatite Type II(CHT-II) 25mlを、カラムに充填した。この樹脂を、所定体積の無菌蒸留水で洗浄し、続いて10体積の20mMのTris pH6.8で洗浄した。SDS PAGEでPsaAの約37KDの良好な濃度の主要な可視バンドを明確に示す、DEAE樹脂からの溶出画分を、プールし、CHT-II樹脂にローディングした。フロースルーを回収し、このカラムを、5カラム体積の平衡緩衝液で洗浄した。(15%B、20%B、50%B、及び100%B)の5カラム体積の段階勾配でタンパク質を溶出させた。緩衝液Aは、20mMのTris pH6.8を含み、緩衝液Bは、250mMのリン酸緩衝液pH6.8を含む。
【0134】
PsaAの予想されるサイズで明確なバンドを示す溶出画分を全てプールし、10kDa MWCOカセットで濃縮し、20mMのリン酸緩衝液pH7.5で透析ろ過した。精製されたタンパク質をSDS-PAGEゲルにローディングして、純度を評価した。
【0135】
B)肺炎球菌多糖類血清型3とPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
サイズが減少した血清型3の多糖類(5mg/mL濃度)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))1.5mLを、ガラス瓶中において1:0.5(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 3.5mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 210mg(15.0mg/mL濃度 14.0mL)を、1:0.7(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0136】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 0.7mLで約9.01に調整し、この反応を、室温での5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図1A)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0137】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
【0138】
C)肺炎球菌多糖類血清型6AとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
サイズが減少した多糖類型6A(14.6mg/mL濃度)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))400μLを、ガラス瓶中において1:1(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 800μLで9.5に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 40mg(11.0mg/mL濃度 3.78mL)を、1:1(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0139】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 0.7mLで約9.01に調整し、この反応を、室温での5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図2B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0140】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2μmフィルターで無菌ろ過した。
【0141】
D)肺炎球菌多糖類血清型6BとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
サイズが減少した多糖類型6B(14.97mg/mL濃度)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))4.0mLを、ガラス瓶中において1:2(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 8.0mLで9.1に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 340mg(15.0mg/mL濃度 22.66mL)を、1:1.7(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0142】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 0.7mLで約9.01に調整し、この反応を、室温での5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図1B)を、この反応の各時間でSECHPLCを使用してモニタリングした。
【0143】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0144】
E)肺炎球菌多糖類血清型8とPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型8 1000mg(5.0mg/mL濃度 200.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))4.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.4(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 8.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 800mg(15.0mg/mL濃度 53.33mL)を、1.0:0.8(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0145】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 0.1mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図3B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0146】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0147】
F)肺炎球菌多糖類血清型10AとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型10A 1000mg(7.0mg/mL濃度 142.8mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))6.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.6(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 8.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 800mg(15.0mg/mL濃度 53.33mL)を、1.0:0.8(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0148】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.3mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図4B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0149】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0150】
G)肺炎球菌多糖類血清型11AとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型11A 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))8.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.8(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 14.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 800mg(15.0mg/mL濃度 53.3mL)を、1.0:0.8(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0151】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.1mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図5B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0152】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0153】
H)肺炎球菌多糖類血清型12FとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型12F 1000mg(7.0mg/mL濃度 142.8mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))4.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.4(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 9.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 700mg(15.0mg/mL濃度 46.6mL)を、1.0:0.7(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0154】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.7mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図6B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0155】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0156】
I)肺炎球菌多糖類血清型15AとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型15A 1000mg(14.0mg/mL濃度 71.4mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))10.0mLを、ガラス瓶中において1.0:1.0(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 20.5mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.6mL)を、1.0:1.0(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0157】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 0.9mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図7B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0158】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
J)肺炎球菌多糖類血清型23AとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型23A 1000mg(12.0mg/mL濃度 83.3mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))10.0mLを、ガラス瓶中において1.0:1.0(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 20.3mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 600mg(15.0mg/mL濃度 40.0mL)を、1.0:0.6(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0159】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 1.1mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図8B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0160】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
K)肺炎球菌多糖類血清型23BとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型23B 1000mg(10.0mg/mL濃度 100.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))2.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.2(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 3.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.6mL)を、1.0:1.0(PnP:CRM)の比で緩やかに添加した。
【0161】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 2.4mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図9B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0162】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
L)肺炎球菌多糖類血清型24FとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型24F 1000mg(8.0mg/mL濃度 125.0mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))3.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.3(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 10.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 600mg(15.0mg/mL濃度 40.0mL)を、1.0:0.6(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0163】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 3.5mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図10B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0164】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
M)肺炎球菌多糖類血清型35BとPsaAとの活性化及びコンジュゲーション
機械的にサイズが減少した多糖類血清型35B 1000mg(7.0mg/mL濃度 142.8mL)、及びCDAP(アセトニトリル中に100mg/mL(w/v))6.0mLを、ガラス瓶中において1.0:0.6(PS:CDAP)の比で混合し、1分にわたり撹拌した。この多糖類溶液のpHを0.2Mのトリエチルアミン 7.0mLで9.0に調整し、室温(RT)で1分にわたり撹拌した。この活性化された多糖類に、PsaA 1000mg(15.0mg/mL濃度 66.6mL)を、1.0:1.0(PnP:PsaA)の比で緩やかに添加した。
【0165】
この反応物のpHを0.2Mのトリエチルアミン 2.2mLで9.0に調整し、この反応を、室温での3~5時間にわたる撹拌下で継続させ、続いて、過剰な濃度のグリシン(100mM)を添加することにより、この反応をクエンチした。反応のコンジュゲーション反応速度論(図11B)を、この反応の各時間でSEC-HPLCを使用してモニタリングした。
【0166】
反応混合物を透析ろ過し、100kDa MWCO TFF膜を使用して濃縮した。濃縮液を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。画分を、SEC-MALLS、アントロン法により分析し、コンジュゲートを含む画分をプールして、0.2pmフィルターで無菌ろ過した。
【0167】
実施例3:24価の肺炎球菌莢膜多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物(製剤I)
CRM197 約35μgにコンジュゲートした、血清型1、4、5、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の各肺炎球菌多糖類 2.2μg、並びに血清型6B 4.4μg;並びにPsaA 約25μgにコンジュゲートした、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の各肺炎球菌多糖類 2.2μgを含む24価のコンジュゲートワクチン(0.5mL)を、5mMのコハク酸及び約0.07%w/vのポリソルベート20中、ブレンド容器に各コンジュゲートを連続して添加することにより調製した。このブレンド溶液に、0.5mLの用量当たり0.5mg Al3+に等しいリン酸アルミニウムゲルを添加した。製剤のpHを、1Nの塩酸を使用して、一定撹拌下、6.0に調整した。ブレンドの2時間後、製剤化されたブレンドを、1つのバイアル当たり0.58mLの充填量で3mLの無菌非シリコン処理バイアルに無菌的に充填し、無菌の13mmゴム栓で閉じ、13mmの無菌のピンク色のフリップオフアルミニウムシールで密閉し、続いて光学的に検査し、充填されたバイアルにラベルを貼った。このロットから、いくつかのバイアルを無作為にピックアップし、外観、pH、重量オスモル濃度、全多糖類(poly)及びタンパク質含有量(μg/SHD)、吸着%、アルミニウム含有量(mg/SHD)(単回ヒト用量)を分析するために送った。
【0168】
【表1】
【0169】
実施例4:24価の肺炎球菌莢膜多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物(製剤II)
CRM197 60μgにコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各肺炎球菌多糖類 2.2μg、並びに6B 4.4μgを含む24価のコンジュゲートワクチン(0.5mL)を、5mMのコハク酸及び約0.07%w/vのポリソルベート20中、ブレンド容器に各コンジュゲートを連続して添加することにより調製した。このブレンド溶液に、0.5mLの用量当たり0.5mg Al3+に等しいリン酸アルミニウムゲルを添加した。製剤のpHを、1Nの塩酸を使用して、一定撹拌下、6.0に調整した。ブレンドの2時間後、製剤化されたブレンドを、1つのバイアル当たり0.58mLの充填量で3mLの無菌非シリコン処理バイアルに無菌的に充填し、無菌の13mmゴム栓で閉じ、13mmの無菌のピンク色のフリップオフアルミニウムシールで密閉し、続いて光学的に検査し、充填されたバイアルにラベルを貼った。このロットから、いくつかのバイアルを無作為にピックアップし、外観、pH、重量オスモル濃度、全多糖類(poly)及びタンパク質含有量(μg/SHD)、吸着%、アルミニウム含有量(mg/SHD)(単回ヒト用量)を分析するために送った。
【0170】
【表2】
【0171】
実施例5:異なるキャリヤータンパク質を有する2種のコンジュゲートワクチンで免疫化されたウサギにおける免疫応答
免疫原性を評価するために、ウサギを製剤I及びIIで免疫化した。この研究デザインは、それぞれ7匹のウサギの2つの群からなった。動物を、各製剤の3回の投与量で免疫化した。群の詳細と一緒に放血及び免疫化スケジュールを下記の表に示す。
【0172】
【表3】
【0173】
この免疫化ウサギからの血清を、指定の間隔で採取した。血清型特異的IgG力価レベルをELISAで推定し、このELISAは、ヒト血清中での血清抗体価を評価するために、WHO推奨ELISAから適合されている。抗体価を、カットオフ限界を超えるOD450nm値が得られる血清の最大希釈として推定した。ワクチン接種前の動物のIgG力価値を使用して、血清IgG力価の幾何平均倍数上昇(GMFR)を算出した。GMFR力価値を、グラフにプロットした(図12A及び12B)。
【0174】
力価を、カットオフ値(免疫前血清で観察されるOD450nmの2倍;約0.1のOD値)を超えるELISA OD450nm(450nmの波長での光学密度)を生じた最大血清希釈として推定する。各血清型に関する幾何平均倍数上昇(GMFR)をプロットした。3回の投与量の免疫化後(用量3の後)に得られた血清を使用して、免疫原性を評価した。黒一色の棒は、CRM197にコンジュゲートした肺炎球菌多糖類を示し、色付きの棒は、PsaAにコンジュゲートした肺炎球菌多糖類を示す。
【0175】
PCV24(製剤I)又はPCV24(製剤II)のいずれかでワクチン接種されたウサギにおける血清IgG力価が非常に小さいことが見出された。製剤Iにおける血清型23A及び23Bを除いて、免疫された群は、製剤IIと比較した場合に、わずかに低いGMFR応答を有していた。最も重要なことには、1種のキャリヤータンパク質(CRM197;製剤II)又は2種のキャリヤータンパク質(CRM197+PsaA;製剤I)を含むポリソルベートのいずれかで免疫された全てのウサギは、GMFRの4倍を超える上昇を示した。抗体濃度の4倍の上昇は、肺炎球菌ワクチンに関するWHOにより定められた承認基準である。そのため、この研究は、ワクチン製剤における別のキャリヤータンパク質の存在中で免疫応答における負の影響がないことを示す。
【0176】
本発明の態様には、下記も含まれる。
態様1
キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、肺炎連鎖球菌の血清型由来の莢膜多糖類を含む24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型が、1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35Bを含む、肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様2
キャリヤータンパク質が、CRM 197 、又はCRM 197 及びPsaAの組合せ、又はCRM 197 及び破傷風トキソイドの組合せ、又はPsaA及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM 197 、PsaA、及び破傷風トキソイドの組合せから選択される、態様1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様3
キャリヤータンパク質が、CRM 197 、PsaA、又はそれらの組合せである、態様1又は2に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様4
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類が、CRM 197 にコンジュゲートされている、態様1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様5
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされている、態様1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様6
ワクチン組成物が、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲートワクチン組成物であり、少なくとも13種の血清型が、CRM 197 にコンジュゲートされ、残りの血清型が、PsaAにコンジュゲートされている、態様1に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様7
血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRM 197 にコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされている、態様6に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様8
血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類が、PsaAにコンジュゲートされ、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の莢膜多糖類が、CRM 197 及び破傷風トキソイドの組合せ、又はCRM 197 、PsaA、及び破傷風トキソイドの組合せにコンジュゲートされている、態様1又は2に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様9
1種又は複数の肺炎球菌多糖類が、断片化され、各断片化された肺炎球菌多糖類が、天然肺炎球菌多糖類の平均分子量よりも小さい平均分子量を有し、50~1000kDaの範囲である、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌ワクチン組成物。
態様10
肺炎球菌多糖類が、約50~1000kDaの分子量を有し、好ましくは100~1000、200~800、250~600、又は300~400、70~150、又は75~125kDaの平均サイズ(Mw)を有する、態様9に記載の肺炎球菌ワクチン組成物。
態様11
多糖類-タンパク質コンジュゲートが、下記範囲の分子量:500kDa~5000kDa、1,000kDa~10,000kDa、1,500kDa~15,000kDa、2,000kDa~20,000kDa、2,500kDa~25,000kDa、又は3,000kDa~30,000kDaを有する、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌ワクチン組成物。
態様12
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2μg、並びに血清型6B由来の多糖類 約4.4μgを含む24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物であって、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の各莢膜多糖類が、CRN 197 キャリヤータンパク質 約25~40μgにコンジュゲートされ、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の各莢膜多糖類が、PsaA 約25~40μgにコンジュゲートされている、24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様13
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2~2.4μg、並びに6B 約4.4μgを含む、24価の肺炎球菌コジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、PsaA 約40~80μgにコンジュゲートされている、24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様14
肺炎連鎖球菌の血清型1、3、4、5、6A、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15A、18C、19A、19F、22F、23A、23B、23F、24F、33F、及び35B由来の各莢膜多糖類 約2.2~2.4μg、並びに6B 約4.4μgを含む、24価の肺炎球菌コジュゲートワクチン組成物であって、各莢膜多糖類が、CRM 197 約40~80μgにコンジュゲートされている、24価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様15
血清型15Aが、5~18%の範囲のグリセロール含有量を有する、態様12~14のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様16
血清型35Bが、2~10%、好ましくは2~8%の範囲のグリセロール含有量を有する、態様12~14のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様17
下記:医薬的に許容できるキャリヤー、医薬的に許容できる希釈剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、アジュバント、及び/又は凍結乾燥用賦形剤の内の1つ又は複数をさらに含む、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様18
アジュバントが、リン酸アルミニウムである、態様17に記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様19
予防又は処置が必要な対象を予防又は処置する方法であって、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌ワクチン組成物を投与するステップを含み、対象が、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)等の肺炎連鎖球菌により媒介される疾患を有する、方法。
態様20
対象が、ヒトであり、例えば、乳児(約1歳未満)、幼児(約12カ月齢~約24カ月齢)、小児(約2歳~約5歳)、年長児(約5歳~約13歳)、青年(約13歳~約18歳)、成人(約18歳~約65歳)、又は高齢者(約65歳超)である、態様19に記載の対象を予防又は処置する方法。
態様21
肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物を対象に非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内及び/又は静脈内)又は粘膜(例えば、経口及び/又は経鼻)投与するステップを含む、態様20に記載の対象を予防又は処置する方法。
態様22
ワクチン組成物の各用量が、各肺炎球菌多糖類 0.1μg~50μg、各キャリヤータンパク質 1.5μg~約70μgを含む、より好ましくは各キャリヤータンパク質 1.5μg~約5μgを含む各キャリヤータンパク質にコンジュゲートした、各肺炎球菌多糖類 0.1μg~10μg、又は1μg~5μを含む、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様23
タンパク質対多糖類(タンパク質/PS)のパーセント比が、0.3~2.0タンパク質/PS、好ましくは0.5~1.5タンパク質/PSである、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様24
態様4に記載の24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法であって、
(a)24種の活性化された肺炎球菌多糖類の内の1種又は複数を、CRM 197 キャリヤータンパク質に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(a)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を製剤化して、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製するステップ
を含む、方法。
態様25
態様5に記載の24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製する方法であって、
(a)24種の活性化された肺炎球菌多糖類の内の1種又は複数を、PsaA及びCRM 197 を含む群から選択される免疫原性キャリヤータンパク質に個別にコンジュゲートさせるステップ、
(b)サイズ排除クロマトグラフィーを使用してコンジュゲートを透析ろ過及び精製するステップ、
(c)精製された画分を、SEC-MALLSを使用して分析し、24種のコンジュゲートのそれぞれを含む画分をプールし、1価コンジュゲート画分をろ過滅菌するステップ、並びに
(d)ステップ(a)において得られた24種のコンジュゲート、アジュバント、1種又は複数の賦形剤、及び緩衝剤を製剤化して、24価の肺炎球菌多糖類-タンパク質コンジュゲート組成物を調製するステップ
を含む、方法。
態様26
ワクチンが、単位用量バイアル、複数回用量バイアル又はプレフィルドシリンジに製剤化される、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様27
ワクチンが、約4mg/mL~約20mg/mLの範囲の量で、チオメルサール、2-フェノキシエタノールから選択される1種又は複数の保存剤をさらに含む、前記態様のいずれかに記載の肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物。
態様28
CRM 197 にそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、約4.4μg/0.5mLの6B;約2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型;約40~80μg/0.5mLのCRM 197 ;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;約1~10mMのコハク酸緩衝液;約0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;0.002~0.2%w/vのポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、免疫原性組成物。
態様29
CRM 197 にコンジュゲートした、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F、及び33F由来の肺炎球菌莢膜多糖類、並びにPsaAにコンジュゲートした、血清型3、6A、8、10A、11A、12F、15A、23A、23B、24F、及び35B由来の莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、約4.4μg/0.5mLの6B;約2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型;20~40μg/0.5mLのCRM 197 ;20~40μg/0.5mLのPsaA;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;約1~10mMのコハク酸緩衝液;約0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;0.002~0.2%w/vのポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、免疫原性組成物。
態様30
PsaAにそれぞれ個別にコンジュゲートした、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、14、18C、19A、19F、23F、11A、12F、15A、22F、23A、23B、24F、33F、及び35B由来の肺炎球菌莢膜多糖類を含む24価の免疫原性組成物であって、前記組成物が、4~7のpHを有し、約4.4μg/0.5mLの6B;約2.2~4μg/0.5mLの全ての他の血清型;約40~80μg/0.5mLのPsaA;0.2~2mg/0.5mLのリン酸アルミニウム;約1~10mMのコハク酸緩衝液;約0.5~2.5%w/vの塩化ナトリウム;0.002~0.2%w/vのポリソルベート80;並びに2-フェノキシエタノール 4mg/mL及び10mg/0.5mLを含む、免疫原性組成物。
本発明は、網羅的であることが意図されておらず、本技術を本明細書で開示されている詳細な形態に限定することも意図されていない。本明細書では、説明を目的として具体的な実施形態が開示されているが、関連分野の当業者が認識するように、本技術から逸脱することなく様々な等価の改変が可能である。一部の場合では、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及び機能は示されておらず、及び/又は詳細には説明されてない。本明細書では、方法のステップを特定の順序で示す場合があるが、代替実施形態では、このステップは別の適切な順序を有し得る。同様に、特定の実施形態の文脈で開示されている本技術のある特定の実施形態を、他の実施形態で組み合わせてもよいし、他の実施形態において除外してもよい。さらに、ある特定の実施形態と関連する利点が、この実施形態の文脈で開示され得るが、他の実施形態もそのような利点を示し得、全ての実施形態は、本技術の範囲に含まれるために、本明細書で開示されているそのような利点又は他の利点を示す必要はない。従って、この開示及び関連技術は、本明細書で明示的に示されていない及び/又は説明されていない他の実施形態を包含し得る。
【0177】
上述から、本発明の具体的な実施形態は説明を目的として本明細書で説明されているが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な改変を行うことができることが理解されるだろう。
【0178】
本発明の多価肺炎球菌コンジュゲートワクチン組成物は、天然の多価肺炎球菌ワクチン及び既存の肺炎球菌コンジュゲートワクチンより高い改善された免疫応答を提供する。
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