(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】第四級アンモニウム塩系化合物およびその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 211/60 20060101AFI20240924BHJP
C07D 205/04 20060101ALI20240924BHJP
C07D 207/04 20060101ALI20240924BHJP
C07D 223/06 20060101ALI20240924BHJP
C07D 225/02 20060101ALI20240924BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20240924BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240924BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240924BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240924BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240924BHJP
C07D 413/06 20060101ALN20240924BHJP
A61K 31/5377 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
C07D211/60
C07D205/04 CSP
C07D207/04
C07D223/06
C07D225/02
A61K31/397
A61K31/445
A61K31/55
A61P25/02
A61K31/40
C07D413/06
A61K31/5377
(21)【出願番号】P 2021544526
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2020073387
(87)【国際公開番号】W WO2020156359
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】201910102803.0
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516175537
【氏名又は名称】ウェストチャイナホスピタル、スーチョワンユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コー ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ウェンション
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】タン レイ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103601650(CN,A)
【文献】国際公開第2018/121427(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/054916(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/132066(WO,A1)
【文献】特表2002-510669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示す化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物であって、
【化1】
式中、
X、Yがそれぞれ独立してOまたはNR
10から選択され、R
10がH、重水素またはC
1~C
4アルキル基から選択され、
Z
-が薬学的に許容可能なアニオンであり、
R
1がn
1個のR
11置換のアリール基から選択され、
R
2がn
1’個のR
11’置換のアリール基から選択され、
n
1、n
1’がそれぞれ独立して0~5の整数から選択され、R
11、R
11’がそれぞれ独立して重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基から選択され、
式IにおけるR
3とR
4との間の破線が無である場合、R
3が置換のC
1~C
10アルキル基または未置換のC
5~C
10アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
10アルキル基から選択され、前記置換基が重水素、置換または未置換のC
1~C
4アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、C
1~C
6アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
式IにおけるR
3とR
4との間の破線が結合である場合、R
3、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
4アルキレン基から選択され、前記置換基がC
1~C
3アルキル基であり、前記アルキレン基の主鎖に0~4個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、S、NR
12から選択され、前記R
12が水素、重水素、C
1~C
4のアルキル基から選択され、
L
1が置換または未置換のC
1~C
14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0~4個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、S、NR
12から選択され、前記R
12が水素、重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基から選択され、前記置換基が重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲンであり、
式IにおけるL
2の破線は結合であり、L
2は置換または未置換のC
1~C
8のアルキレン基から選択され、前記置換基が重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲンであることを特徴とする、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物であって、
前記化合物が式IIに示すとおりであり、
【化2】
式中、
X、Yがそれぞれ独立してNHまたはNCH
3から選択され、
n
1、n
1’がそれぞれ独立して2~3の整数から選択され、R
11、R
11’がメチル基、プロピル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンであり、
R
3が置換のC
1~C
8アルキル基または未置換のC
5~C
10アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
10アルキル基から選択され、前記アルキル基の置換基が重水素、置換または未置換のC
1~C
3アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C
2~C
3アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
L
1が未置換のC
3~C
14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0、1または2個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
L
2が未置換のC
2~C
6のアルキレン基から選択されることを特徴とする、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物において、前記化合物が式IIIに示すとおりであり、
【化3】
式中、
R
3が置換のC
1~C
5アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
5アルキル基から選択され、前記アルキル基の置換基がヒドロキシ基であり、
L
1が未置換のC
3~C
6のアルキレン基から選択され、
L
2が未置換のC
4のアルキレン基から選択されることを特徴とする、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物において、化合物の構造が以下の化合物の1つであることを特徴とする、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物。
【化4】
【化5】
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学医薬の分野に属し、具体的には第四級アンモニウム塩系化合物およびその製造方法と使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
局所麻酔薬(Local anesthetics)は、投与された局所において感覚神経インパルスの発生と伝達を可逆的に遮断する薬物であり、これらの薬物は、動物またはヒトが意識のある場合に、局所において感覚神経インパルスの生成と信号伝達を可逆的に遮断し、関連する神経が支配する部位に一時的な感覚喪失を出現させることにより、局所組織の痛覚を可逆的に消失させることができる。通常、局所麻酔薬の効果は投与された部位に限られ、薬物が投与部位から拡散するにつれて急速に消失する。局所麻酔薬は、神経細胞と線維膜おける関連のイオンチャネルを直接阻害し、活動電位の発生と神経インパルスの伝達を遮断することにより、局所麻酔作用を生じさせる。現在一般に認められている局所麻酔薬の作用機序は、神経細胞膜の電位依存性Na+チャネルをブロックし、神経インパルスの伝達を遮断することにより、局所麻酔作用を生じさせるというものである。
【0003】
目下、臨床で使用されている局所麻酔薬は、いずれも電荷を持たない疎水性化合物である。このような局所麻酔薬は、拡散や浸透により容易に細胞膜を通過して神経細胞に進入し、ナトリウムチャネルのブロック部位に到達してナトリウムチャネルをブロックすることにより、神経細胞の興奮性を遮断する。実際、これらの局所麻酔薬の分子は、拡散により容易に神経細胞に進入して効果を発揮するが、同時に拡散によって投与部位から急速に広がり、神経細胞から遊離するため、局所麻酔作用を長時間持続させることができない。たとえ投与量を増やしても、局所麻酔の時間をある程度延長させることしかできないため、これらの局所麻酔薬物では理想的な長時間の局所麻酔作用を得ることはできない。現在臨床で一般に使用されているほとんどの局所麻酔薬物は、作用時間が4時間未満である。従来の局所麻酔薬は作用の持続時間が比較的短いため、鎮痛用のポンプを用いて神経の遮断を維持しなければならず、脊柱管内や神経根、皮下等の部位にチューブを配置するため、医療コストおよび感染の発生率が大幅に上昇してしまう。
【0004】
一方で、従来の局所麻酔薬物は、神経の遮断に対して特異的な選択性を有していないため、使用中は広く複数種の神経繊維を遮断し、感覚、痛覚、運動および交感神経系などの複数種の神経機能に影響を及ぼしてしまう。この薬理学的特徴は、臨床における局所麻酔薬の広範な使用を妨げている。例えば、膝関節置換の手術後の患者にとって、早期に機能訓練やリハビリを行うことは特に重要であるが、現在使用されている局所麻酔薬には、痛覚を選択的に遮断するものがなく、術後の患者の大多数は、局所麻酔薬の使用によって運動神経が遮断され、運動機能が回復しないことにより、術後のリバビリが制限されてしまっている。そのため、局所麻酔薬の研究においては、新たな研究構想を導入して、選択的に感覚を遮断する機能を有し、運動機能に影響を与えない長時間作用性局所麻酔薬物を開発し、臨床のニーズに応えることが急務である。
【0005】
従来の局所麻酔薬物の化学構造には、通常、少なくとも1つ以上の非アミド第三級N原子が含まれている。このN原子が置換されると、対応する第四級アンモニウム塩化合物が得られる。第四級アンモニウム塩化合物は、1つの正電荷を有する分子構造であるため、細胞膜を通過する能力が著しく低い。例えば、リドカインの第三級アミンN原子に対してエチル基置換を行うと、QX-314と呼ばれる第四級アンモニウム塩化合物が得られる。QX-222も、QX-314と構造が類似する別の第四級アンモニウム塩である。QX-314とQX-222の構造は正電荷を有し、通常の状況では細胞膜を通過できないため、迅速に局所麻酔作用を生じさせることができない。しかし、一旦細胞膜を通過すると、神経細胞内でナトリウムチャネルを著しく阻害することができるため、持続的な局所麻酔作用が生じる(Courtney KR.J Pharmacol Exp Ther.1975,195:225-236)。現在の研究により、QX-314は、カプサイシン(一過性受容体電位チャネルバニロイド1アゴニスト、即ちTRPV1 Agonist)の助けにより、TRPV1チャネルを活性化して、スムーズに神経細胞に進入し、長時間の神経遮断を生じさせることがわかった(Craig R. Ries. Anesthesiology .2009; 111:122-126)。しかし、カプサイシンは強い刺激性を有するため、応用においては有望とはいえない。
【0006】
【0007】
さらに、研究により、QX314と、臨床で使用されているブピバカイン、リドカインなどの局所麻酔薬物とを併用することで、迅速に麻酔作用を生じさせることができ、カプサイシンの刺激性を避けられることがわかっているが、これら薬物を併用しても、やはり理想的な局所麻酔効果を得ることはできない。界面活性剤を加える場合においても、QX314の細胞膜への進入を助けて、8時間を超える局所麻酔作用を生じさせることができる(Daniel S. Kohane,PNAS. 2010;107: 3745-3750)。しかし、現在の研究により、QX314は安全性に問題があり、それは主に局所的な神経損傷として現れ、くも膜下腔内注射で実験動物が死亡するなどの可能性のあることがわかっている。そこで、QX-314をベースに、界面活性剤の構造を有する一連の長鎖化合物の開発が進んだ。これらの化合物によって、ある程度長時間の局所麻酔効果を得ることができる。しかしながら、上記化合物は、界面活性剤に類似する構造を有することである程度長期間持続する効果は得られても、局所注射する部位に重度の筋肉および神経の損傷を生じさせる可能性があり、安全性が低い。同時に、現在報告されている類似の化合物にも、選択性局所麻酔の効果はなく、臨床のニーズを満たせていない。そのため、QX314の単独使用や、QX314とその他の活性薬物との併用、および界面活性剤の構造の特徴を有するQX314長鎖化合物のいずれにおいても、安全性が低く、局所麻酔の選択性が乏しいという欠点が存在する。
【0008】
従って、麻酔効果の発現が早く、時間が長く、使用上の安全性が高く、且つ特異的な選択性を有する局所麻酔薬を研究することには、重要な意義がある。
【発明の概要】
【0009】
上記の課題に対し、本発明は、長時間作用性局所麻酔と選択性局所麻酔の効果を兼ね備え(感覚神経の遮断時間が運動神経の遮断時間よりも長い)、従来のQX314、QX314組成物および界面活性剤の構造の特徴を有する長鎖化合物と比較して、効果の発現が早く、局所麻酔の作用時間が長く、局所麻酔の選択性が良好で、神経損傷がより少なく、安全性が高いという利点を有する新たな第四級アンモニウム塩化合物を提供する。
【0010】
本発明は、式Iに示す化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物、またはその薬物前駆体、またはその代謝産物を提供し、
【0011】
【化3】
式中、
X、Yがそれぞれ独立してOまたはNR
10から選択され、R
10がH、重水素またはC
1~C
4アルキル基から選択され、
Z
-が薬学的に許容可能なアニオンであり、
R
1がn
1個のR
11置換のアリール基から選択され、
R
2がn
1’個のR
11’置換のアリール基から選択され、
n
1、n
1’がそれぞれ独立して0~5の整数から選択され、R
11、R
11’がそれぞれ独立して重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基から選択され、
式IにおけるR
3とR
4との間の破線が無である場合、R
3が置換のC
1~C
10アルキル基または未置換のC
5~C
10アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
10アルキル基から選択され、前記置換基が重水素、置換または未置換のC
1~C
4アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、C
1~C
6アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
式IにおけるR
3とR
4との間の破線が結合である場合、R
3、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
4アルキレン基から選択され、前記置換基がC
1~C
3アルキル基であり、前記アルキレン基の主鎖に0~4個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、S、NR
12から選択され、前記R
12が水素、重水素、C
1~C
4のアルキル基から選択され、
L
1が置換または未置換のC
1~C
14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0~4個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、S、NR
12から選択され、前記R
12が水素、重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基から選択され、前記置換基が重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲンであり、
式IにおけるL
2の破線が結合である場合、L
2が置換または未置換のC
1~C
8のアルキレン基から選択され、前記置換基が重水素、C
1~C
4のアルキル基、C
1~C
4のアルコキシ基、ハロゲンである。
【0012】
さらに、
X、Yがそれぞれ独立してNHまたはNCH3から選択され、
Z-が臭化物イオン、塩化物イオン、スルホン酸イオンであり、
R1がn1個のR11置換のアリール基から選択され、
R2がn1’個のR11’置換のアリール基から選択され、
n1、n1’がそれぞれ独立して0~5の整数から選択され、R11、R11’がそれぞれ独立して重水素、C1~C4のアルキル基、C1~C4のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基から選択され、
式IにおけるR3とR4との間の破線が無である場合、R3が置換のC1~C10アルキル基または未置換のC5~C10アルキル基から選択され、R4が独立して置換または未置換のC1~C10アルキル基から選択され、前記置換基が重水素、置換または未置換のC1~C4アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C2~C5アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
式IにおけるR3とR4との間の破線が結合である場合、R3、R4が独立してC1~C4アルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0~2個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がOから選択され、
L1がC3~C14のアルキレン基から選択され、前記置換基がアルキル基であり、前記アルキレン基の主鎖に0~2個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
式IにおけるL2の破線が結合である場合、L2がC1~C6のアルキレン基から選択される。
【0013】
さらに、
X、Yがそれぞれ独立してNHまたはNCH3から選択され、
Z-が臭化物イオン、塩化物イオン、スルホン酸イオンであり、
R1がn1個のR11置換のアリール基から選択され、
R2がn1’個のR11’置換のアリール基から選択され、
n1、n1’がそれぞれ独立して2~3の整数から選択され、R11、R11’がメチル基、プロピル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンであり、
式IにおけるR3とR4との間の破線が無である場合、R3が置換のC1~C8アルキル基または未置換のC5~C10アルキル基から選択され、R4が独立して置換または未置換のC1~C10アルキル基から選択され、前記置換基が重水素、置換または未置換のC1~C3アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C2~C3アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
式IにおけるR3とR4との間の破線が結合である場合、R3、R4が独立して置換または未置換のC2~C3アルキレン基から選択され、前記置換基がC1アルキル基であり、前記アルキレン基の主鎖に0~1個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がOから選択され、
L1が未置換のC3~C14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0~2個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
式IにおけるL2の破線が結合である場合、L2が未置換のC1~C6のアルキレン基から選択される。
【0014】
さらに、
X、Yがそれぞれ独立してNHから選択され、
Z-が臭化物イオンであり、
R1がn1個のR11置換のアリール基から選択され、
R2がn1’個のR11’置換のアリール基から選択され、
n1、n1’がそれぞれ独立して2~3の整数から選択され、R11、R11’がメチル基であり、
式IにおけるR3とR4との間の破線が無である場合、R3が置換のC1~C8アルキル基または未置換のC5~C10アルキル基から選択され、R4が独立して置換または未置換のC1~C10アルキル基から選択され、前記アルキル基の置換基が重水素、置換または未置換のC1~C3アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C2~C3アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
式IにおけるR3とR4との間の破線が結合である場合、R3、R4が独立して未置換のC2~C3アルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に1個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がOから選択され、
L1が未置換のC3~C14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に1個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
式IにおけるL2の破線が結合である場合、L2が未置換のC2~C6のアルキレン基から選択される。
【0015】
さらに、前記化合物が式IIに示すとおりであり、
【化4】
式中、
X、Yがそれぞれ独立してNHまたはNCH
3から選択され、
n
1、n
1’がそれぞれ独立して2~3の整数から選択され、R
11、R
11’がメチル基、プロピル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンであり、
R
3が置換のC
1~C
8アルキル基または未置換のC
5~C
10アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
10アルキル基から選択され、前記アルキル基の置換基が重水素、置換または未置換のC
1~C
3アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C
2~C
3アルキルチオ基、メルカプト基であり、前記アルコキシ基の置換基がヒドロキシ基であり、
L
1が未置換のC
3~C
14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0、1または2個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
L
2が未置換のC
2~C
6のアルキレン基から選択される。
【0016】
さらに、前記化合物が式IIIに示すとおりであり、
【化5】
式中、
R
3が置換のC
1~C
5アルキル基から選択され、R
4が独立して置換または未置換のC
1~C
5アルキル基から選択され、前記アルキル基の置換基がヒドロキシ基であり、
L
1が未置換のC
3~C
6のアルキレン基から選択され、
L
2が未置換のC
4のアルキレン基から選択される。
【0017】
さらに、前記化合物が式IVに示すとおりであり、
【化6】
式中、
X、Yがそれぞれ独立してNHから選択され、
n
1、n
1’がそれぞれ独立して2~3の整数から選択され、R
11、R
11’がメチル基であり、
R
3、R
4が独立して置換または未置換のC
2~C
3アルキレン基から選択され、前記置換基がC
1アルキル基であり、前記アルキレン基の主鎖に1個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がOから選択され、
L
1が未置換のC
3~C
14のアルキレン基から選択され、前記アルキレン基の主鎖に0または1個のヘテロ原子が含まれ、前記ヘテロ原子がO、Sから選択され、
L
2が未置換のC
2~C
6のアルキレン基から選択される。
【0018】
さらに、化合物の構造が以下の化合物の1つである。
【化7】
【化8】
【化9】
【0019】
本発明はさらに、前記の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物、またはその薬物前駆体、またはその代謝産物と、薬学的に許容可能な担体とで形成された製剤の、局所麻酔の薬物の調製における使用を提供する。
【0020】
さらに、前記局所麻酔の薬物により、感覚神経の遮断時間が運動神経の遮断時間より長くなり、
および/または、前記局所麻酔が、長時間作用性局所麻酔であり、
好ましくは、前記局所麻酔の麻酔時間が24時間を超えることを特徴とする、使用。
【0021】
本発明は、また、前記の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、またはその溶媒和物、またはその薬物前駆体、またはその代謝産物に、薬学的に許容可能な補助材料を加えて調製された製剤である薬物を提供する。
【0022】
本発明が提供する化合物および誘導体は、IUPAC(国際純正・応用化学連合)またはCAS(ケミカル・アブストラクツ・サービス、Columbus, OH)の命名システムによって命名することができる。
【0023】
本発明において使用する用語の定義は以下のとおりである。特に説明がない限り、本文中の基(group、radical)または用語によって提供される最初の定義は、明細書全編にわたって当該の基または用語に適用され、また、本文中で具体的に定義されていない用語については、開示内容および文脈に基づいて、当業者が考え得る意味を表すものとする。
【0024】
「置換」とは、分子に含まれる水素原子が他の異なる原子または分子によって置き換えられることを指す。
【0025】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0026】
「アルキル基」とは、アルカンの分子から水素原子を1個抜くことによって形成される炭化水素基であり、例えば、メチル基-CH3、エチル基-CH3CH2などが挙げられる。C1~C4アルキル基とは、1個から4個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。
【0027】
「アルキレン基」とは、アルカンの分子から水素原子を2個抜くことによって形成される炭化水素基であり、例えば、メチレン基-CH2-、エチレン基-CH2CH2-などが挙げられる。「C1~C4アルキレン基」とは、1個から4個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。
【0028】
「置換または未置換のC1~C12アルキル基」とは、C1~C12アルキル基が置換されていても、置換されていなくても良いことを指す。
【0029】
「L1が置換または未置換のC1~12のアルキレン基から選択され、アルキレン基の主鎖に0~4個のヘテロ原子が含まれ」とは、1個から12個の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を指し、該炭化水素鎖が置換されていても、置換されていなくても良く、該炭化水素鎖の主鎖にヘテロ原子が含まれ、とは、主鎖上の炭素原子がヘテロ原子に置換されていて、ヘテロ原子はO、S、または置換のNであることを指す。
【0030】
「アリール基」とは、共役のπ電子系を有する全炭素単環または縮合多環(即ち、隣接する炭素原子対を共有する環)基を指し、例えば、フェニル基およびナフチル基が挙げられる。前記アリール基の環は、他の環状基に縮合してもよいが(飽和および不飽和の環を含む)、窒素、酸素、または硫黄のようなヘテロ原子を含有できず、同時に、母体と結合する点は、共役のπ電子系を有する環における炭素原子上になければならない。アリール基は置換または未置換であって良く、即ち、0~4個の重水素、C1~C4のアルキル基、C1~C4のアルコキシ基、C1~C4のアルキルチオ基ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などの置換基によって置換されて良い。
【0031】
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物と薬学的に許容可能な無機酸および有機酸により形成される塩を指し、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に適し、不快な副作用を引き起こさない塩である。好ましい無機酸には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸が含まれる(これらに限定されない)。好ましい有機酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン二酸、ナフタレンジスルホン酸(1,5)、アシアチン酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ペンタン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ピメリン酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、およびアミノ酸が含まれる(これらに限定されない)。
【0032】
用語「溶媒和物」とは、本発明の化合物と薬学的に許容可能な溶媒により形成される溶媒和物を指し、前記薬学的に許容可能な溶媒には、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンが含まれる(これらに限定されない)。
【0033】
用語「立体異性体」とは、本発明の化合物に関するキラル炭素原子が、R立体配置であってよく、S立体配置、またはそれらの組み合わせであっても良いことを指す。
【0034】
本発明は、新規な構造を有する第四級アンモニウム塩系化合物およびその製造方法と使用を提供し、該化合物は効果の発現が早く、単回投与後に長時間の局所麻酔(24時間を超え、且つほとんどの化合物の局所麻酔時間は40時間を超える)効果を生じさせ、神経遮断の選択性を有し(感覚神経の遮断時間が運動神経の遮断時間よりも長く、且つ5時間以上の時間差があり、さらにほとんどの化合物は10時間を超える時間差がある)、長時間作用性局所麻酔と選択性局所麻酔の効果を兼ね備え、QX314、QX314組成物、および界面活性剤の構造の特徴を持つ第四級アンモニウム塩系化合物の副作用を著しく低下させ、より良好な安全性を有する。即ち、本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は、安全で、長時間の局所麻酔と選択性局所麻酔の効果を有する薬物の調製に使用することができ、局所麻酔の作用時間が長く、神経の選択性が良好で、神経損傷がより少なく、安全性が高い、という利点がある。
【0035】
当然ながら、本発明の上記内容に基づき、当分野の一般的な技術的知識や慣用的手段に照らし、本発明の上記基本的な技術的思想を逸脱しないという前提において、他の様々な形態の修正、置換または変更を行うことができる。
【0036】
以下、実施例という形の具体的な実施形態によって、本発明の上記内容をさらに詳細に説明する。但し、これをもって、本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解してはならない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に属する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の具体的な実施形態に使用される原料、機器はすべて従来の製品であり、市販の製品を購入したものである。
【0038】
実施例1 本発明の化合物の製造
【0039】
【化10】
化合物1a(5.0g、45.39mmol)を15mLの1,3-ジブロモプロパンに溶解させ、75℃に加熱して40h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加えて、粘稠なシロップ状の物質を生成し、上清液を注ぎ出し、残った粗生成物6gを30mLのメタノールで溶解させた後、シリカゲルと混ぜ合わせ、乾式充填の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して粗生成物3gを得た。酢酸エチルとジクロロメタンにより再結晶させ、2.5gの類白色の固体粉末(1b)を調製した。収率:31.6%。これを次の反応に使用した。
【0040】
上記調製により得た中間体1b(2.00g、3.66mmol)、N-(2,6ジメチルフェニル)-2-ピペリジンカルボキサミド(0.934g、4.03mmol、CAS:15883-20-2)を20mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.94g、1.21mL、7.32mmol)を加え、80℃に昇温し、40時間加熱し、溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(1)1.2gを得た。収率:48.9%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.35(s,1H),7.84(s,1H),7.11-7.01(m,6H),4.89(s,2H),3.80-3.45(m,7H),2.71-2.57(m,4H),2.28-2.17(m,12H),1.90-1.63(m,8H),1.60-1.27(m,12H),1.02-0.87(m,6H).HRMS:[C37H59N4O2]+,591.9048。
【0041】
実施例2 本発明の化合物の製造
【0042】
【化11】
化合物2a(2.0g、40.32mmol)を5mLのビス(2-ブロモエチル)エーテルに溶解させ、75℃に加熱して24h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加え、反応液の固化により白色の固体が生成され、濾過により3gの白色の固体である粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=20:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(2b)5.9gを得た。収率:31.5%。これを次の反応に使用した。
【0043】
上記調製により得た中間体2b(1.0g,2.16mmol)、N-(2,6ジメチルフェニル)-2-ピペリジンカルボキサミド(0.55g、2.37mmol、CAS:15883-20-2)を15mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.53g、0.68ml、4.12mol)を加え、30℃で10日間反応させ、溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の粉末状の固体(2)995mgを得た。収率:75.1%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.79(s,1H),7.60(s,1H),7.02-6.90(m,6H),4.33(s,2H),3.63-3.41(m,3H),3.25-3.01(m,6H),2.87-2.68(m,6H),2.08(s,6H),2.07(s,6H),1.89-1.74(m,6H),1.60-1.40(m,4H),1.40-1.20(m,28H),1.05-0.88(m,6H).HRMS:[C48H81N4O3]+,763.2013。
【0044】
実施例3 本発明の化合物の製造
【0045】
【化12】
化合物3a(500mg、1.2mmol)、1,14-ジブロモテトラデカン(2g、6.0mmol)を5mLのアセトニトリルに溶解させ、70℃に加熱して24h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=20:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加え、反応液の固化により白色の固体が生成され、濾過により白色の固体である粗生成物0.9gを得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=20:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の粉末状の固体(3b)500mgを得た。収率:54.1%。これを次の反応に使用した。
【0046】
上記調製により得た中間体3b(500mg、0.65mmol)と、3c(0.18g、0.71mmol)を、30mlのエタノールと5mlのメタノールとの混合溶媒に溶解させ、DIPEA(0.17g、0.21mL、1.3mmol)を加え、30℃で10日間反応させた。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の粉末状の固体生成物(3)400mgを得た。収率:39.6%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.24(s,1H),8.39(s,1H),7.05-6.87(m,5H),4.38(s,2H),3.60-3.50(m,4H),3.30-3.05(m,3H),2.45-2.32(m,4H),2.26(s,3H),2.17-2.14(m,12H),2.05-1.83(m,8H),1.55-1.23(m,48H),1.02-0.83(m,6H).HRMS:[C56H97N4O2]+,858.4177。
【0047】
実施例4 本発明の化合物の製造
【0048】
【化13】
化合物4a(1g、2.7mmol)を3mLのブロモ-トリポリエチレングリコールに溶解させ、75℃に加熱して40h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1)。適量の酢酸エチルを加え、粘稠なシロップ状の物質を生成し、上清液を注ぎ出し、残った固体を溶解させて混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して粗生成物1.6gを得た。酢酸エチルとジクロロメタンにより再結晶させ、1.2gの類白色の固体粉末(4b)を調製して、直接次の反応に使用した。
【0049】
上記調製により得た中間体4b(1.00g、1.54mmol)と、4c(420mg、1.7mmol)を、10mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.88mL、5.3mmol)を加え、80℃に昇温し、40時間加熱した。溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(4)500mgを得た。収率:39.7%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.50(s,1H),9.19(s,1H),8.13(s,1H),7.11-7.01(m,4H),4.73(s,2H),3.81-3.73(m,6H),3.56-3.23(s,13H),2.53-2.40(m,3H),2.27(s,6H),2.23(s,6H),2.95-1.78(m,8H),1.42-1.29(s,14H),0.99-0.88(m,6H).HRMS:[C43H71N4O6]+,740.0623。
【0050】
実施例5 本発明の化合物の製造
【0051】
【化14】
化合物5a(5.0g、13.7mmol)を10mLの1,8-ジブロモオクタンに溶解させ、70℃に加熱して反応させ、TLCで反応をモニターした(DCM:MeOH=10:1)。反応終了後、溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=20:1として、溶離液を収集し、濃縮して暗褐色の化合物5g(5b)を得た。収率:57.5%。次の反応に進んだ。
【0052】
上記調製により得た中間体5b(1g、1.58mmol)と、5c(0.40g、1.74mmol)を、15mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.52ml、3.15mmol)を加え、30℃で13日間反応させて、TLCで反応をモニターした(DCM:MeOH=10:1)。反応終了後、溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(5)600mgを得た。収率:48.8%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.81(s,1H),8.69(s,1H),7.06-6.90(m,5H),4.64(s,2H),3.81-3.76(m,4H),3.41-3.22(m,11H),3.07-2.95(m,1H),2.65-2.42(m,4H),2.15-1.95(m,12H),1.80-1.60(m,10H),1.60-1.12(m,14H),1.01-0.88(m,6H).HRMS:[C43H71N4O4]+,708.0641。
【0053】
実施例6 本発明の化合物の製造
【0054】
【化15】
化合物6a(2.0g、5.28mmol)を8mLの1,6-ジブロモヘキサンに溶解させ、75℃に加熱して30h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加えて、粘稠なシロップ状の物質を生成し、上清液を注ぎ出し、残った粗生成物3gを30mLのメタノールで溶解させた後、シリカゲルと混ぜ合わせ、乾式充填の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して粗生成物1.5gを得た。酢酸エチルとジクロロメタンにより再結晶させ、1.2gの類白色の固体粉末(6b)を調製した。収率:36.6%。これを次の反応に使用した。
【0055】
上記調製により得た中間体6b(1.00g、1.61mmol)と、6c(0.44g、1.77mmol)を、10mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.42g、0.53mL、3.22mmol)を加え、80℃に昇温し、50時間加熱した。溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(6)400mgを得た。収率:31.6%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.35(s,1H),9.89(s,1H),7.84(m,3H),7.11-7.01(m,2H),4.77(s,2H),3.51-3.45(m,3H),3.28-3.19(m,6H),2.71-2.57(m,4H),2.28-2.07(m,15H),2.02(m,1H),1.90-1.63(m,12H),1.60-1.27(m,13H),0.95-0.88(m,3H).HRMS:[C41H66N5O5]+,709.0084。
【0056】
実施例7 本発明の化合物の製造
【0057】
【化16】
化合物7a(2.0g、5.11mmol)を10mLの1,5-ジブロモペンタンに溶解させ、75℃に加熱して50h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1)。適量の酢酸エチルを加え、粘稠なシロップ状の物質を生成し、上清液を注ぎ出し、残った固体を溶解させて混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して粗生成物2.0gを得た。酢酸エチルとジクロロメタンにより再結晶させ、1.4gの類白色の固体粉末(7b)を調製して、直接次の反応に使用した。
【0058】
上記調製により得た中間体7b(1.00g、1.58mmol)と、7c(431mg、1.74mmol)を、10mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.52mL、3.16mmol)を加え、80℃に昇温し、40時間加熱した。溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(7)450mgを得た。収率:37.0%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.58(s,1H),8.13(s,1H),7.11-7.01(m,4H),4.85(s,2H),3.77(s,3H),3.65-3.42(s,5H),3.31-3.24(m,4H),2.86-2.79(m,2H),2.43-2.18(m,9H),2.15-2.08(m,9H),2.17-1.96(m,4H),1.76(s,8H),1.60-1.42(m,12H).HRMS:[C41H64N5O4S]+,723.0535。
【0059】
実施例8 本発明の化合物の製造
【0060】
【化17】
化合物8a(2.0g、4.85mmol)を4mLの1,7-ジブロモヘプタンに溶解させ、70℃に加熱して48h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=20:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加え、反応液の固化により白色の固体が生成され、濾過により3.0gの白色の固体である粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=20:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の粉末状の固体(8b)1.6gを得た。収率:49.3%。これを次の反応に使用した。
【0061】
上記調製により得た中間体8b(1.5g、2.24mmol)と、8c(0.61g、2.47mmol)を、30mlのエタノールと5mlのメタノールとの混合溶媒に溶解させ、DIPEA(0.58g、0.74ml、4.48mmol)を加え、30℃で12日間反応させた。反応終了後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の粉末状の固体生成物600mgを得た。収率:32.1%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.02(s,1H),9.89(s,1H),7.23-6.87(m,5H),4.48(s,2H),3.60-3.50(m,3H),3.45-3.33(m,6H),2.63-2.40(m,6H),2.17-2.14(m,12H),1.93-1.75(m,11H),1.49-1.31(m,22H),0.92-0.83(m,3H).HRMS:[C44H72ClN4O2S]+,756.5955。
【0062】
実施例9 本発明の化合物の製造
【0063】
【化18】
化合物9a(3.0g、6.2mmol)、9b(8g、31mmol)を75℃に加熱して40h反応させ、TLCでモニタリングを行った(DCM:MeOH=10:1、R
f=0.3)。適量の酢酸エチルを加えて、粘稠なシロップ状の物質を生成し、上清液を注ぎ出し、残った粗生成物4.5gを30mLのメタノールで溶解させた後、シリカゲルと混ぜ合わせ、乾式充填の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH
2Cl
2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して粗生成物2.5gを得た。酢酸エチルとジクロロメタンにより再結晶させ、2.0gの類白色の固体粉末(9c)を調製した。収率:43.4%。これを次の反応に使用した。
【0064】
上記調製により得た中間体9c(1.00g、1.35mmol)と、9d(0.344g、1.48mmol)を、10mLのエタノールに溶解させ、DIPEA(0.35g、0.45mL、2.70mmol)を加え、80℃に昇温し、40時間加熱した。溶媒を蒸発乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した。溶離剤をCH2Cl2:MeOH=10:1として、溶離液を収集し、濃縮して白色の固体(9)400mgを得た。収率:33.2%。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.05(s,1H),7.84(s,1H),7.11-7.01(m,5H),4.15(s,2H),3.60-3.35(m,7H),3.25-3.18(s,8H),2.45-2.21(m,8H),2.14-2.03(m,12H),1.91-1.56(m,12H),1.46-1.23(m,14H).HRMS:[C44H70BrN4O6]+,830.9697。
【0065】
実施例10 本発明の化合物の製造
【0066】
【化19】
実施例1の生成物200mgをジクロロメタン10mLに溶解させ、氷浴下で等物質量濃度の0.1mol/Lの塩酸-メタノール溶液を滴下し、乾燥するまで減圧濃縮した。真空乾燥し、淡黄色の固体(10)を得た。収率:97.5%。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ(ppm):10.33(s,1H),8.68(s,1H),7.19-7.11(m,6H),4.93(s,2H),3.76-3.38(m,7H),2.70-2.59(m,4H),2.27-2.18(m,12H),1.91-1.61(m,8H),1.64-1.27(m,12H),1.10-0.88(m,6H).HRMS:[C
37H
59N
4O
2]
+,591.9047。
【0067】
実施例11 本発明の化合物の製造
【0068】
【化20】
実施例9の生成物200mgをジクロロメタン10mLに溶解させ、1eqのp-トルエンスルホン酸を加え、乾燥するまで減圧濃縮した。真空乾燥し、淡黄色の固体(11)を得た。収率:92.5%。
【0069】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.03(s,1H),8.92(s,1H),7.13-7.02(m,5H),4.19(s,2H),3.62-3.37(m,7H),3.27-3.19(s,8H),2.48-2.23(m,8H),2.17-2.06(m,12H),1.94-1.58(m,12H),1.46-1.24(m,14H).HRMS:[C44H70BrN4O6]+,830.9699。
【0070】
実施例12 本発明の化合物の製造
【0071】
【化21】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:35.2%。
【0072】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.30(s,1H),9.89(s,1H),7.33(m,6H),4.72(s,1H),4.25(s,2H),3.67(t,2H),3.45(t,1H),3.26-3.18(m,6H),2.51-2.37(m,4H),2.13(s,12H),2.02(m,2H),1.90-1.63(m,6H),1.60-1.27(m,18H),0.95-0.88(m,3H).HRMS:[C40H65N4O3]+,649.9843。
【0073】
実施例13 本発明の化合物の製造
【0074】
【化22】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:37.0%。
【0075】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.28(s,1H),9.99(s,1H),7.30(m,6H),4.31(s,1H),4.24(s,2H),3.95(m,2H),3.40-3.46(m,3H),3.24-3.16(m,4H),2.47-2.41(m,4H),2.12(s,12H),1.90-1.63(m,6H),1.57-1.28(m,14H),0.88(t,3H).HRMS:[C37H59N4O3]+,607.9031。
【0076】
実施例14 本発明の化合物の製造
【0077】
【化23】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:38.9%。
【0078】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.07(s,1H),9.73(s,1H),7.11(m,6H),4.38(s,1H),4.18(s,2H),3.42-3.52(m,3H),3.26-3.14(m,6H),2.47-2.41(m,4H),2.15(s,12H),1.93-1.68(m,8H),1.55-1.27(m,14H),0.86(t,3H).HRMS:[C38H61N4O3]+,621.9341。
【0079】
実施例15 本発明の化合物の製造
【0080】
【化24】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:33.2%。
【0081】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.28(s,1H),9.98(s,1H),7.32(m,6H),5.47(s,2H),4.23(s,2H),4.12(s,1H),3.40-3.44(t,1H),3.24-3.17(m,4H),2.43-2.38(m,4H),2.12(s,12H),1.90-1.63(m,6H),1.57-1.28(m,14H),0.88(t,3H).HRMS:[C36H57N4O3]+,593.8762。
【0082】
実施例16 本発明の化合物の製造
【0083】
【化25】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:40.2%。
【0084】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.08(s,1H),9.89(s,1H),7.06(m,6H),4.18(s,2H),4.12(s,1H),3.52-3.45(m,3H),3.26-3.18(m,6H),2.53-2.39(m,4H),2.16(s,12H),2.05(m,2H),1.90-1.72(m,6H),1.61-1.28(m,16H),0.92-0.87(m,3H).HRMS:[C39H63N4O3]+,635.9577。
【0085】
実施例17 本発明の化合物の製造
【0086】
【化26】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:36.1%。
【0087】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.11(s,1H),9.88(s,1H),7.05(m,6H),4.28(s,2H),4.15(s,2H),3.97-3.84(m,4H),3.51-3.42(m,5H),3.26-3.11(m,2H),2.47-2.32(m,4H),2.16(s,12H),1.92-1.72(m,4H),1.63-1.28(m,10H).HRMS:[C34H53N4O4]+,581.8216。
【0088】
実施例18 本発明の化合物の製造
【0089】
【化27】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:36.1%。
【0090】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.96(s,1H),9.72(s,1H),7.02(m,6H),4.28(s,1H),4.18(m,2H),4.14(s,1H),3.51-3.42(m,5H),3.21-3.11(m,6H),2.47-2.30(m,4H),2.15(s,12H),1.97-1.71(m,8H),1.66-1.26(m,12H).HRMS:[C37H59N4O4]+,623.9029。
【0091】
実施例19 本発明の化合物の製造
【0092】
【化28】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:42.2%。
【0093】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.02(s,1H),9.87(s,1H),7.03(m,6H),5.48(s,2H),4.18(s,2H),4.15(s,2H),3.52-3.45(m,3H),3.26-3.18(m,4H),2.47-2.39(m,4H),2.16(s,12H),1.92-1.73(m,6H),1.57-1.28(m,12H).HRMS:[C35H55N4O4]+,675.7533。
【0094】
実施例20 本発明の化合物の製造
【0095】
【化29】
実施例5の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:33.6%。
【0096】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.01(s,1H),9.88(s,1H),7.08-6.98(m,6H),4.25(s,2H),3.81(t,2H),3.51-3.28(m,5H),3.21-2.99(m,4H),2.52-2.41(m,4H),2.13-1.98(m,12H),1.85-1.65(m,6H),1.53-1.14(m,14H),1.04(t,3H),0.87(t,3H).HRMS:[C39H63N4O3]+,635.9579。
【0097】
実施例21 本発明の化合物の製造
【0098】
【化30】
実施例5の方法を参照して、白色の固体粉末を得た。収率:28.5%。
【0099】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.08(s,1H),9.75(s,1H),7.06-6.93(m,6H),4.53(s,2H),3.84-3.78(m,4H),3.42-3.28(m,5H),3.05-2.96(m,8H),2.72-2.49(m,4H),2.16-1.90(m,12H),1.80-1.63(m,4H),1.53-1.12(m,10H).HRMS:[C36H57N4O4]+,689.7804。
【0100】
実施例22 本発明の化合物の製造
【0101】
【化31】
実施例5の方法を参照して、白色の固体粉末を得た。収率:30.2%。
【0102】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.92(s,1H),8.76(s,1H),7.06-6.90(m,6H),4.53(s,2H),3.41-3.22(m,9H),3.07-2.95(m,6H),2.66-2.42(m,4H),2.16-1.92(m,12H),1.80-1.63(m,8H),1.53-1.12(m,10H),1.05-0.89(m,6H).HRMS:[C40H65N4O4]+,665.9831。
【0103】
実施例23 本発明の化合物の製造
【0104】
【化32】
実施例5の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:35.2%。
【0105】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.02(s,1H),9.65(s,1H),7.08-6.98(m,6H),4.25(s,2H),3.50-3.33(m,3H),3.26-3,08(m,9H),2.48-2.36(m,4H),2.16-2.05(m,12H),1.85-1.65(m,8H),1.52-1.17(m,14H),0.88(t,3H).HRMS:[C39H63N4O3]+,635.9571。
【0106】
実施例24 本発明の化合物の製造
【0107】
【化33】
実施例3の方法を参照して、白色の固体粉末を得た。収率:43.2%。
【0108】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.04(s,1H),9.39(s,1H),7.05-6.88(m,5H),4.38(s,2H),3.65-3.54(m,4H),3.33-3.09(m,3H),2.45-2.32(m,4H),2.29(s,3H),2.18-2.15(m,12H),2.05-1.83(m,8H),1.48-1.20(m,44H),1.01-0.83(m,6H).HRMS:[C54H93N4O2]+,830.3031。
【0109】
実施例25 本発明の化合物の製造
【0110】
【化34】
実施例5の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:30.1%。
【0111】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.01(s,1H),9.88(s,1H),7.08-6.98(m,6H),4.25(s,2H),3.81(t,2H),3.65(t,1H),3.51-3.42(m,4H),3.31-3.13(m,4H),2.52-2.21(m,4H),2.14-2.02(m,12H),1.85-1.49(m,6H),1.43-1.14(m,22H),1.05(t,3H),0.88(t,3H).HRMS:[C43H71N4O3]+,692.0656。
【0112】
実施例26 本発明の化合物の製造
【0113】
【化35】
実施例6の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:38.2%。
【0114】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.75(s,1H),7.98(s,1H),7.05(m,6H),4.21(s,2H),4.12(s,1H),3.63(t,1H),3.52-3.45(m,2H),3.26-3.18(m,6H),2.53-2.39(m,4H),2.16(s,12H),1.90-1.72(m,10H),1.61-1.28(m,18H),0.92-0.87(m,3H).HRMS:[C41H67N4O3]+,664.0112。
【0115】
実施例27 本発明の化合物の製造
【0116】
【化36】
実施例7の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:35.8%。
【0117】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.76(s,1H),8.29(s,1H),7.18-7.01(m,6H),4.85(s,2H),3.61(t,2H),3.45(t,1H),3.31-3.24(m,4H),2.86(t,2H),2.43-2.18(m,6H),2.15-2.10(m,12H),2.05-1.76(m,8H),1.60-1.22(m,10H),1.15(t,3H),0.86(t,3H).HRMS:[C38H61N4O2S]+,637.9918。
【0118】
実施例28 本発明の化合物の製造
【0119】
【化37】
実施例8の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:35.8%。
収率:32.1%。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ(ppm):10.02(s,1H),9.89(s,1H),7.23-6.87(m,6H),4.33-4.14(m,4H),3.60-3.49(m,4H),3.33-3.28(m,6H),2.63-2.39(m,6H),2.15-2.11(m,12H),1.93-1.75(m,6H),1.49-1.31(m,4H),1.30-1.15(m,7H).HRMS:[C
36H
57ClN
4O
3S]
+,625.9327。
【0120】
実施例29 本発明の化合物の製造
【0121】
【化38】
実施例2の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:35.8%。
【0122】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):11.88(s,1H),9.79(s,1H),8.78(s,1H),7.09-6.98(m,6H),4.25(s,2H),3.52-3.40(m,5H),3.27-3.21(m,4H),2.54-2.36(m,8H),2.22-2.07(s,16H),1.89-1.74(m,6H),1.60-1.40(m,10H),1.40-1.20(m,6H),0.98(t,3H).HRMS:[C43H69N4O5]+,754.1078。
【0123】
実施例30 本発明の化合物の製造
【0124】
【化39】
実施例1の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:36.3%。
【0125】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.35(s,1H),9.70(s,1H),7.11-7.02(m,6H),4.26(s,2H),3.88-3.67(m,4H),3.68-3.45(m,5H),2.71-2.57(m,6H),2.28-2.17(m,12H),1.90-1.63(m,4H),1.60-1.27(m,6H).HRMS:[C32H47N4O3]+,535.7521。
【0126】
実施例31 本発明の化合物の製造
【0127】
【化40】
実施例1の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:34.2%。
【0128】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.72(s,1H),8.60(s,1H),7.07-7.02(m,6H),4.18(s,2H),4.02(m,2H),3.54-3.33(m,7H),2.52-2.38(m,4H),2.18-2.06(m,12H),1.90-1.63(m,4H),1.60-1.27(m,18H),1.12-1.03(m,6H).HRMS:[C40H63N4O3]+,647.9683。
【0129】
実施例32 本発明の化合物の製造
【0130】
【化41】
実施例2の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:28.5%。
【0131】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.02(s,1H),9.35(s,1H),7.11-7.01(m,6H),4.20(s,2H),4.03(m,2H),3.51-3.35(m,11H),2.45-2.39(m,4H),2.15-2.11(m,12H),1.99-1.72(m,4H),1.57-1.41(m,6H),1.18-1.13(m,6H).HRMS:[C36H55N4O4]+,607.8599。
【0132】
実施例33 本発明の化合物の製造
【0133】
【化42】
実施例3の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:39.1%。
【0134】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):11.87(s,1H),10.02(s,1H),9.69(s,1H),7.04(s,3H),6.91-6.85(m,2H),4.27(s,2H),3.51-3.29(m,7H),2.66-2.45(m,6H),2.31-2.18(m,2H),2.12(d,12H),1.98-1.63(m,12H),1.60-1.27(m,21H).HRMS:[C44H70FN4O4S]+,770.1255。
【0135】
実施例34 本発明の化合物の製造
【0136】
【化43】
実施例5の方法を参照して、類白色の固体粉末を得た。収率:33.4%。
【0137】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):10.06(s,1H),9.77(s,1H),7.18-7.01(m,3H),6.85-6.74(m,2H),4.24(s,1H),3.97(t,2H),3.81(t,2H),3.58-3.16(m,11H),2.43-2.18(m,4H),2.15-2.10(m,12H),2.05-1.76(m,4H),1.61-1.29(m,10H),1.05(t,3H).HRMS:[C37H56F3N4O4]+,677.8732。
【0138】
上記実施例の製造方法に従って、さらに以下の化合物35~76を製造した(実施例35~実施例76に対応)。
【0139】
【0140】
以下、本発明の化合物の有益な効果を、具体的な試験例によって証明する。
【0141】
試験例1 本発明の化合物の局所麻酔効果
実施例で製造した化合物1~76、リドカイン(陽性対照群)、レボブピバカイン(陽性対照群)を選択して、それぞれを、完全に実験環境に適応した体重250~300グラムのSDラット(オスとメスが半数ずつ)に与え、各群は8匹ずつとした。
【0142】
投与量:リドカイン群は、リドカインを蒸留水で濃度2%(74mmol/L)の溶液に調製し、レボブピバカイン群は、レボブピバカインを蒸留水で濃度0.75%(22mmol/L)の溶液に調製し、本発明の化合物は、蒸留水で濃度20mmol/Lの溶液に調製した。
【0143】
注射による各ラットへの投与体積を0.5mlとし、神経ロケータによって位置決めして、ラットの坐骨神経近傍に注射した。Von Frey刺激装置で、薬物が注射された側の足裏を刺激し、局所麻酔の効果を観察した。同時に、姿勢性伸筋突伸反応(Postural Extensor Thrust、PET)によって、ラットの運動機能の状況を評価した。ラットを垂直に持ち上げ、注射した側の後肢を電子天秤のテーブル面に立たせた。脚で踏んでいる天秤が示す数値がラットの後肢筋力を表している。脚が完全に麻痺している場合、読み取り数値は脚自体の重さであり、約20gとなる。測定値が基準ラインと脚の重量との差の半分を超えると、運動機能が回復したと見なし、半分以下であれば、運動機能が消失していると見なした。
【0144】
【0145】
実験結果からわかるように、本発明の化合物は、24時間を超える局所麻酔作用を生じさせることができるとともに、感覚神経の遮断時間が運動神経の遮断時間よりも有意に長く、且つ5時間以上の時間差があり、ほとんどの化合物は10時間以上の時間差があった。
【0146】
試験例2 本発明の化合物の皮下浸潤による局所麻酔効果
体重が250~300gのSDラット(オスとメスが半数ずつ)の背部を剃毛して消毒した後、露出した背部側に直径約1.5cmの円を描き、その円を6等分した。中心の皮膚に、薬物を含む溶液0.5mLを皮下注射した。生理食塩水を溶媒とし、0.75%ブピバカイン塩酸塩(22mol/L)、2%リドカイン塩酸塩(74mmol/L)、本発明の化合物1~76の濃度を6mmol/Lとし、ラットは各群10匹とした。Von Freyフィラメントの100g力度のフィラメントを針に結びつけ、皮膚を局所的に刺激した。薬物を注射して1min後、上記方法を用いて、6つの区画の範囲内で刺激を与え、同一の等分範囲内で、連続3回刺激を与えても背部の皮膚に収縮がなければ、薬効は陽性であると見なし、背部の皮膚に収縮が発生すれば、局所麻酔の効果が消失したと見なした。6つの等分範囲のうち、4つ以上のエリアで局所麻酔が陽性であると示されれば、薬物の局所麻酔は効果ありと見なし、6つの等分範囲のうち、4つ未満のエリアで陽性が示されれば、局所麻酔は効果なしと見なした。各化合物にラット10匹を用いて実験を行った。
【0147】
【0148】
実験結果からわかるように、これらの薬物は、ラットの皮下浸潤モデルにおいて、24時間を超える局所麻酔作用を生じさせることができ、大部分の化合物は40時間を超える局所麻酔作用を生じさせることができた。
【0149】
試験例3 本発明の化合物による神経の病理学的損傷の評価
実施例で製造した化合物1~76、リドカイン(陽性対照群)、レボブピバカイン(陽性対照群)を選択して、それぞれを、完全に実験環境に適応した体重250~300グラムの被験SDラット(オスとメスが半数ずつ)に与え、各群は8匹ずつとした。
【0150】
投与量:リドカイン群は、リドカインを蒸留水で濃度2%(74mmol/L)の溶液に調製し、レボブピバカイン群は、レボブピバカインを蒸留水で濃度0.75%(22mmol/L)の溶液に調製し、本発明の化合物は、蒸留水で濃度20mmol/Lの溶液に調製した。
【0151】
注射による各ラットへの投与体積を0.5mlとして、ラットの坐骨神経近傍に注射した。坐骨神経に注射した後の7日目と14日目に、実験ラットをイソフルラン麻酔下で心臓にブピバカインを注射し、安楽死させた。注射部位の坐骨神経を約1.5cm採取し、10%のホルムアルデヒド溶液に48h保存し、HE染色して、厚さ5μmの切片を切り取った。
【0152】
投与量:リドカイン群は、リドカインを蒸留水で濃度が2%(74mmol/L)の溶液に調製し、レボブピバカイン群は、レボブピバカインを蒸留水で濃度0.75%(22mmol/L)の溶液に調製し、本発明の化合物は、蒸留水で濃度6mmol/Lの溶液に調製した。
【0153】
注射による各ラットへの投与体積を0.5mlとして、ラットの背部の皮下に注射した。皮下注射後の7日目と14日目に、実験ラットをイソフルラン麻酔下で心臓にブピバカインを注射し、安楽死させた。注射部位の皮膚組織を採取し、10%のホルムアルデヒド溶液に48h保存し、HE染色して、厚さ5μmの切片を切り取った。
【0154】
神経の病理学的損傷に対する評価から、実施例の化合物は、リドカイン陽性対照群、レボブピバカイン陽性対照群と比較して、神経損傷、血管増殖、脱髄の程度、筋肉の炎症、結合組織の炎症の程度において、有意な差はなく、良好な安全性を有していることがわかった。
【0155】
以上のように、本発明は、新規な構造を有する第四級アンモニウム塩系化合物およびその製造方法と使用を提供し、該化合物は効果の発現が早く、単回投与後に長時間の局所麻酔(24時間を超え、且つほとんどの化合物の局所麻酔時間は40時間を超える)効果を生じさせ、神経遮断の選択性を有し(感覚神経の遮断時間が運動神経の遮断時間よりも長く、且つ5時間以上の時間差があり、さらにほとんどの化合物は10時間を超える時間差がある)、長時間作用性局所麻酔と選択性局所麻酔の効果を兼ね備え、QX314、QX314組成物、および界面活性剤の構造の特徴を持つ第四級アンモニウム塩系化合物の副作用を著しく低下させ、より良好な安全性を有する。即ち、本発明の化合物およびその薬学的に許容可能な塩は、安全で、長時間の局所麻酔と選択性局所麻酔の効果を有する薬物の調製に使用することができ、局所麻酔の作用時間が長く、神経の選択性が良好で、神経損傷がより少なく、安全性が高い、という利点を有する。