(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】側部接触体およびアバットメント体を有する工作機械
(51)【国際特許分類】
B23D 47/04 20060101AFI20240924BHJP
B23D 45/04 20060101ALI20240924BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B23D47/04 F
B23D45/04 A
B23D45/16
(21)【出願番号】P 2021554742
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2020058607
(87)【国際公開番号】W WO2020207818
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】カパッチオーリ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルダーレ、リュディガー
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-126059(JP,A)
【文献】特開2009-255273(JP,A)
【文献】特開2009-072983(JP,A)
【文献】特開2003-062801(JP,A)
【文献】特開平08-039508(JP,A)
【文献】実開昭62-072020(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0125726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0032382(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0235797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0071306(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0247177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00-65/04
B23Q 7/00-7/18
B27B 1/00-23/00
B27B 25/00-33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工工具(36)を使用して、ワークピース(W)を機械加工するための、工作機械(10
)であって、
前記工作機械(10)は、
前記工作機械を支持するための機械ベース(11)と、駆動モータ(32)および前記加工工具(36)のための駆動モータ(32)によって駆動可能な工具受け(31)とともにその上に配置された駆動アセンブリ(30)とを備え、
前記機械ベース(11)は、前記ワークピース(W)を支持するための支持面(14、17)を備え、前記支持面(14、17)に対してある角度をなす側部接触面(42)とともに少なくとも1つの側部接触体(40、41)を備え、長手方向軸(L)に沿って伸長し、
前記工作機械(10)は、アバットメント面(79)を有する少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を備え、前記アバットメント面(79)は、前記工作機械(10)上の保持装置(60)によって、前記側部接触体(40、41)を介して前記支持面(14、17)に対向するように固定されることができ、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)上に移動可能に搭載され、前記加工工具(36)によって機械加工するためにワークピース(W)は、前記支持面(14、17)と前記アバットメント面(79)との間の前記側部接触面(42)に隣接して支持され、前記アバットメント体(70、170)は、前記長手方向軸(L)に対して少なくとも2つの異なる長手方向位置(L1、L2)に前記保持装置(60)を使用して、前記機械ベース(11)上に開放可能に固定されることができ、
前記アバットメント体(70、170)の前記アバットメント面(79)は、長手方向軸(L)に対して平行な方向に延びる細長い表面であ
り、
前記アバットメント体(70、170)が、リニアガイド(86)を備えたリニア軸受(85)によって、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)にスライド可能に取り付けられており、前記リニアガイド(86)が、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)に形成されたガイドレセプタクル(87)と、前記アバットメント体(70、170)に設けられた少なくとも1つのガイド突起(88)とを備えており、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)に設けられた少なくとも1つのガイド突起(88)は、前記アバットメント体(70、170)を、前記少なくとも1つの側部接触体に対して調節軸(V)に沿って軸方向に直線的に調節するために、前記側部接触面(42)に形成された前記ガイドレセプタクル(87)に係合し、前記調節軸(V)は、前記長手方向軸(L)に対して角度をなしていることを特徴とする、工作機械。
【請求項2】
前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体を前記機械ベース(11)上に保持するための保持装置(60)であるかまたはそれを含み、前記アバットメント体(70、170)は、前記側部接触体の調節によって前記長手方向軸(L)に対して前記少なくとも2つの長手方向位置(L1、L2)において前記機械ベース(11)上に解放可能に固定可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記保持装置(60)はベース側部接触面(59)を備え、前記ベース側部接触面(59)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)が前記保持装置(60)に搭載されるとき、前記側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)と面一になることを特徴とする、請求項
1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)を前記機械ベース(11)に対してクランプするためのクランプ手段(61)、および/または前記機械ベース(11)に対して、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)を確実に保持するための確かな係合輪郭を備えることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)の前記長手方向軸(L)に沿った直線状の調節のためのリニアガイド(55)を備えることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)は、支持セクション(44)と工具セクション(43)とを備え、前記側部接触面(42)は、前記工具セクション(43)の領域よりも前記支持セクション(44)の領域において前記支持面(14、17)の前記長手方向軸(L)に直交する方向にさらに突出し、前記工具セクション(43)は、前記加工工具のために利用可能なより大きなクリアランスを形成するために設けられることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、前記支持セクション(44)の領域に配置されるか、または配置可能であり、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)は、前記機械ベース(11)に対して、および/または前記長手方向軸(L)に対して、前記工具セクション(43)が前記支持セクション(44)よりも前記加工工具(36)の近くに配置される第1の動作位置と、前記支持セクション(44)が前記工具セクション(43)よりも前記加工工具(36)の近くに配置される第2の動作位置との間で調節可能であることを特徴とする、請求項
6に記載の工作機械。
【請求項8】
前記加工工具(36)の互いに反対側に配置された少なくとも2つの側部接触体(40、41)を備えることを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項9】
各側部接触体(40、41)はそれぞれ、前記長手方向軸(L)に対して少なくとも2つの長手方向位置(L1、L2)において、保持装置(60)によって機械ベース(11)に解放可能に固定可能であることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)の前記アバットメント面(79)または前記アバットメント体(70、170)全体は、前記工作機械の固定装置(80)によって、前記支持面(14、17)に対して固定可能であり、前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つの側部接触体が前記保持装置に解放可能に固定されたとき、前記支持面(14、17)に対して静止し、少なくとも1つの垂直距離で固定可能であり、前記垂直距離は、前記支持面(14、17)を横断して、伸長する
前記調節軸(V)に沿って伸長することを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項11】
前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記工作機械(10)にクランプするためのクランプ手段(80A)、および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記工作機械(10)上に確実に保持するための係合輪郭を備えることを特徴とする、請求項
10に記載の工作機械。
【請求項12】
前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を少なくとも2つの垂直距離の間で調節軸(V)に沿って調節するための軸受(85)を備え、これらの垂直距離において、前記アバットメント面(79)は、前記ワークピース(W)のための前記支持面(14、17)に対して異なる距離を有することを特徴とする請求項
10または11に記載の工作機械。
【請求項13】
前記固定装置(80)は、軸受の軸受凹部(78A)を貫通するボルト本体(81)を備えることを特徴とする、請求項
10から12のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項14】
前記固定装置(80)は、前記アバットメント体(70、170)をクランプするためのクランプ手段(80A)の一部を形成するボルト本体(81)を備えることを特徴とする、請求項
10から13のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項15】
前記リニアガイド(86)は、前記支持面(14、17)に対して前記アバットメント面(79)を回転不能に保持するための確実に係合してインターロックする回転防止輪郭(89)を備えることを特徴とする、請求項
10から14のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項16】
前記ワークピース(W)を支持するための前記アバットメント面(79)が前記側部接触面(42)に隣接して配置され、前記側部接触面(42)の前方に突出する使用位置と、前記アバットメント面(79)が前記側部接触面(42)から離れるように移動される非使用位置との間で前記少なくとも1つのアバットメント体(270)を調節するための調節装置(90)を備えることを特徴とする、請求項1から
15のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項17】
前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、プレート状であることを特徴とする、請求項1から
16のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項18】
前記機械ベース(11)は旋回ベース(12)を備え、前記加工工具(36)のための前記工具受け(31)と、ワークピース(W)を取り付けるために設けられた前記側部接触面(42)との相対位置を変更するために、前記旋回ベース(12)上に旋回部材(15)が旋回軸の周りに旋回可能に搭載され、
前記旋回部材(15)および/または前記旋回ベース(12)は、前記支持面(14、17)を提供し、および/もしくは前記駆動アセンブリ(30)のための支持ベースを提供し、ならびに/または、前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40,41)のための前記旋回ベース(12)に対して静止しているか、前記旋回ベース(12)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から
17のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項19】
前記駆動アセンブリ(30)は、前記加工工具(36)で長手方向の切断を行うためのリニアガイド(33)上で前記機械ベース(11)に対して直線的に搭載され、ならびに/または前記機械ベース(11)に対して傾斜旋回軸(SA)の周りに旋回可能に搭載され、ならびに/または前記ワークピース(W)を支持するために設けられた前記支持面(14、17)に向かっておよびそれから離れて旋回するように、深さ旋回軸受(35)またはマイター旋回軸受によって搭載されることを特徴とする、請求項1から
18のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項20】
加工工具(36)を使用して、ワークピース(W)を機械加工する工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作機械を支持するための機械ベース(11)と、駆動モータ(32)および前記加工工具(36)のための駆動モータ(32)によって駆動可能な工具受け(31)とともにその上に配置された駆動アセンブリ(30)とを備え、前記機械ベース(11)は、
前記ワークピース(W)を支持するための支持面(14、17)と、
前記支持面(14、17)に固定された保持装置(60)と、
前記保持装置(60)にスライド可能に取り付けられた少なくとも1つの側部接触体(40、41)であって、少なくとも1つの側部接触体(40、41)が、長手方向軸線(L)に沿った少なくとも2つの異なる長手方向位置(L1、L2)の間で前記保持装置に対してスライド可能に移動可能であり、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)が、前記長手方向軸線(L)に沿って延びる側部接触面(42)と、前記長手方向軸線(L)に対してある角をなす側部接触面(42)に形成されたガイド溝(85)とを有する、少なくとも1つの側部接触体(40、41)と、
前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に移動可能に支持された少なくとも1つのアバットメント体(70、170)であって、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、
前記支持面(14、17)との間に前記加工工具(36)による加工のためにワークピース(W)を、前記側部接触面(42)に隣接して支持するためのアバットメント面(79)であって、前記アバットメント体(70、170)の前記アバットメント面(79)は、長手方向軸(L)に平行な方向に延びる細長い表面である、アバットメント面(79)と、
前記少なくとも1つの前記アバットメント体(70、170)を前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に解放可能に固定するための固定装置(80)、および
前記アバットメント体(70、170)を前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に対して調節軸(V)に沿って軸方向に直線的に調節するために、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)に形成されたガイド溝に係合する少なくとも1つのガイド突起(88)であって、前記調節軸(V)が長手方向軸(L)に対して角度を有している、少なくとも1つのガイド突起(88)と、
を備え、
前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)の前記少なくとも1つのガイド突起(88)と、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)に形成された前記ガイド溝とが、前記支持面(14、17)に対して前記アバットメント面(79)を回転不能に保持するための確実に係合するインターロック回転防止輪郭(89)を備えることを特徴とする、工作機械。
【請求項21】
前記固定装置(80)は、前記支持面(14、17)に対して横方向に配置された調節軸に沿って延びる少なくとも2つの垂直距離の間で、少なくとも1つのアバットメント本体を前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に解放可能に固定し、前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)の側に配置された第1のコンポーネントと、少なくとも1つのアバットメント体(70、170)に配置された第2のコンポーネントとを有し、前記第1のコンポーネントは、前記第2のコンポーネントと協働することを特徴とする、請求項20に記載の工作機械。
【請求項22】
加工工具(36)を使用して、ワークピース(W)を機械加工する工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記工作機械を支持するための機械ベース(11)と、駆動モータ(32)および前記加工工具(36)のための駆動モータ(32)によって駆動可能な工具受け(31)とともにその上に配置された駆動アセンブリ(30)とを備え、前記機械ベース(11)は、
前記ワークピース(W)を支持するための支持面(14、17)と、
前記支持面(14、17)に固定された保持装置(60)と、
前記保持装置(60)にスライド可能に取り付けられた少なくとも1つの側部接触体(40、41)であって、少なくとも1つの側部接触体(40、41)が、長手方向軸線(L)に沿った少なくとも2つの異なる長手方向位置(L1、L2)の間で前記保持装置に対してスライド可能に移動可能であり、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)が、前記長手方向軸線(L)に沿って延びる側部接触面(42)と、前記長手方向軸線(L)に対してある角をなす側部接触面(42)に形成されたガイド溝とを有する、少なくとも1つの側部接触体(40、41)と、
前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に移動可能に支持された少なくとも1つのアバットメント体(70、170)であって、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、前記支持面(14、17)との間に前記加工工具(36)による加工のためにワークピース(W)を、前記側部接触面(42)に隣接して支持するためのアバットメント面(79)を有し、前記アバットメント体(70、170)の前記アバットメント面(79)は、長手方向軸(L)に平行な方向に延びる細長い表面であり、
前記支持面(14、17)に対して横方向に延びる少なくとも2つの垂直距離の間で少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に解放可能に固定するための固定装置(80)であって、前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)の側に配置された第1のコンポーネントと、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)に配置された第2のコンポーネントとを有し、前記第1のコンポーネントは前記第2のコンポーネントと協働することを特徴とする、工作機械。
【請求項23】
前記固定装置(80)が、前記支持面(14、17)に対して前記アバットメント面(79)を回転不能に保持するための、確実に係合するインターロック回転防止輪郭(89)を備えていることを特徴とする、請求項22に記載の工作機械。
【請求項24】
前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)が、前記アバットメント体(70、170)を前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)に対して調節軸(V)に沿って軸方向に直線的に調節するための、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)に形成されたガイド溝に係合する少なくとも1つのガイド突起(88)を備え、前記調節軸(V)は、前記長手方向軸に対して角度をなしており、
前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)の前記少なくとも1つのガイド突起(88)と、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の側部接触面(42)に形成された前記ガイド溝とが、前記支持面(
14、17)に対して前記アバットメント面(79)を回転不能に保持するための、確実に係合するインターロック回転防止輪郭(89)を備えることを特徴とする、請求項22に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工工具、特に分離工具または鋸工具を使用して、ワークピースを機械加工するための、工作機械、特に、半据置または可搬型工作機械および/または鋸盤に関し、工作機械は、地面上に設置するための機械ベースと、加工工具のための、特に分離工具のための駆動モータによって駆動可能な駆動モータおよび工具受けとともにその上に配置された駆動アセンブリとを備え、機械ベースは、ワークピースを支持するための支持面を備え、特に垂直に、支持面に対してある角度をなす側部接触面とともに少なくとも1つの側部接触体を備え、長手方向軸に沿って伸長し、工作機械は、アバットメント面(abutment surface)とともに少なくとも1つのアバットメント体(abutment body)を備え、これは、工作機械上の保持装置によって支持面の反対側に固定されることができ、加工工具によって機械加工するために、特にクラウンモールディングカット(crown-moulding cut)の製作のためにワークピースは、例えば、支持面とアバットメント面との間に挟まれた側部接触面に隣接して支持される。
【背景技術】
【0002】
マイターソーの形態のそのような工作機械は、例えばUS8,020,477B2、またはUS8,122,803B2において説明されている。アバットメント体は、機械ベースの支持面の上方の支持位置に配置され、機械加工されるワークピースを支持面の反対側で支持する。したがって、例えば、場所内の内側コーナーに搭載するために設けられたプロファイルストリップは、側部接触面に置かれ、側部接触面および支持面に対して斜めの位置で所定位置に保持されて、いわゆるクラウンモールディングカットを行う。
【0003】
US8,020,477B2に記載されたアバットメント体は、例えば側部停止体または側部接触体上の長手方向ガイド内でガイドされ、機械加工されるワークピースをほぼ点状に支持する。ワークピースを最適に支持することができるように、長手方向軸に対して長手方向空間中に2つのアバットメント体が設けられる。
【0004】
US8,122,803B2では、側部接触体ごとに1つのアバットメント体しか設けられていないが、US8,020,477B2に記載された技術に対して、アバットメント面が長手方向軸に沿ってある程度伸長するという利点を有し、機械加工されるワークピースは、US8,020,477B2によるアバットメント体のケースよりも、アバットメント体上で長手方向軸に対してより長い長さにわたって支持される。
【0005】
しかしながら、機械加工されるワークピースのアバットメント体またはその支持体の取り扱いは、議論された2つの概念において最適ではない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、言及したタイプの工作機械におけるワークピースの改善された支持を提供することである。
【0007】
この問題を解決するために、言及したタイプの工作機械では、保持装置を使用して、長手方向軸に対して少なくとも2つの互いに異なる長手方向位置で、アバットメント体を機械ベースに解放可能に固定することができることが提供される。
【0008】
したがって、本発明による概念は、少なくとも1つのアバットメント体または任意選択で複数のアバットメント体も、側部接触面の長手方向軸に対して静止して配置されず、調節可能であることを提供する。したがって、アバットメント体をワークピースおよび/または加工工具に対して最適な位置にもたらすことができる。したがって、アバットメント体は、例えば、鋸刃の平坦面、または直線軸に沿って鋸刃から離れた平坦面に向かって調節されることができる。特に、より長いまたはより短いワークピースが側部接触面に隣接するとき、アバットメント体の位置は、長手方向軸に対して最適に調節されることができる。少なくとも1つのアバットメント体に対して、長手方向軸に対する2つ以上の長手方向位置、例えば、固定された第1の長手方向位置および固定された第2の長手方向位置を設けることができるが、さらなる長手方向位置も設けることができる。さらに、複数のアバットメント体、例えば2つのアバットメント体を設けることが可能である。各ケースにおいて、1つのアバットメント体が1つの側部停止面に割り当てられるか、または複数のアバットメント体、したがっていくつかの、例えば2つのアバットメント面が1つの側部停止面に割り当てられることが可能である。
【0009】
アバットメント体を、いわば機械加工すべきワークピースを支持面に対して押し下げる締め具装置または締め具装置体と呼ぶことも可能である。アバットメント体は、アバットメント停止体と呼ぶこともできる。少なくとも1つの側部接触体を側部停止体として指定することも可能である。
【0010】
工作機械は移動性工作機械であることが好都合であるが、固定して使用することもできる。特に、工作機械が実際に輸送可能である、すなわち60から80kg未満の重量を有するが、ワークピースの鋸盤または他の機械加工のために地面上に置くことができる場合に有利である。ワークピースは、加工工具による機械加工のために支持面上に支持されることができ、少なくとも1つの側部接触面上に配置されることができる一方で、分離切断または鋸切断または他のワークピース機械加工、例えば穿孔またはフライス加工動作が実行される。同時に、アバットメント体の少なくとも1つのアバットメント面は、接触面に向かう力方向でワークピースを支持する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、工作機械がテーブルソー、マイターソー、スライドソー、またはスライド複合マイターソーであることを提供する。特に、工作機械が半据置運転用の鋸盤である場合、すなわち、例えば建設現場に持ち込んでそこで動作できる場合に有利である。
【0012】
原則として、少なくとも1つのアバットメント体は、例えば、機械ベースまたは支持面上に固定されるか、固定可能であるか、または直接搭載することが可能である。したがって、アバットメント体は、例えば、側部接触体とは独立して長手方向軸に対して調節可能であることができる。
【0013】
しかしながら、好ましい概念は、アバットメント体が少なくとも1つの側部接触体上に配置されるかまたは配置されることができることを提供する。
【0014】
したがって、例えば、アバットメント面は、側部接触面に対して最適に配置される。
【0015】
さらに、アバットメント体は、例えば側部接触体と共に、長手方向軸に沿った長手方向位置の間で調節可能であることがある。したがって、側部接触体が長手方向軸に沿って異なる長手方向位置で機械ベースに固定されるとき、アバットメント体の長手方向位置は同時に変化し、機械ベースまたは支持面に対して特に有利に位置付けられる。
【0016】
アバットメント体は、側部接触体上に静止して配置されてもよい。例えば、アバットメント体を形成するアバットメント突起を側部接触体に配置することができる。
【0017】
少なくとも1つのアバットメント体が、固定装置によってそれぞれの側部接触体に解放可能に固定され、および/または移動可能に搭載する場合が好ましい。したがって、アバットメント体は、例えば側部接触体から取り外すことができ、または側部接触体上に搭載することができる。
【0018】
保持装置は、アバットメント体を機械ベースに固定するために専用であってもよく、すなわち、機械ベースに対してアバットメント体のみを解放可能に固定または支持する。
【0019】
しかしながら、保持装置が、少なくとも1つの側部停止体を機械ベース上に保持するための保持装置であるかまたは保持装置を含み、アバットメント体が、側部停止体を調節することによって長手方向軸に対して少なくとも2つの長手方向位置において機械ベース上に解放可能に固定可能である場合が好ましい。アバットメント体は、側部停止体と共に長手方向位置間で調節可能であることが可能である。これは、特に容易な取り扱いを可能にする。しかしながら、側部接触体がそれぞれの長手方向位置のうちの1つをとったときに、側部接触体が、アバットメント体が搭載さていない長手方向位置の間で調節可能であり、アバットメント体が側部接触体に固定されることも可能である。両方のシナリオにおいて、いわば、長手方向軸に沿って機械ベースに対して側部停止体を調節することによって、アバットメント体の位置も長手方向軸に対して可変であることが可能である。したがって、例えば、より長いワークピースが機械加工される場合、側部停止体は、より短いワークピースに対してよりも、長手方向軸に対して機械ベース上の加工工具からより大きな距離に設定されてもよい。同時に、アバットメント体の長手方向位置は、長手方向軸に対して可変であり、アバットメント体は、より短いワークピースおよびより長いワークピースに対して長手方向軸に関して最適に位置付けられ、それぞれがワークピースを最適に支持することができる。
【0020】
保持装置は、側部接触体が保持装置に搭載されたときに側部接触体の側部接触面と位置合わせされるベース側部接触面を有することが好都合である。したがって、例えば、ベース側部接触面は、支持面の前で静止している。ベース側部接触面は、動作時に支持面から離れて伸長する軸、例えば垂直軸に対して、いわば側部接触体の側部接触面だけ伸長する。
【0021】
有利には、保持装置は、少なくとも1つの側部接触体または少なくとも1つのアバットメント体を機械ベースに対してクランプするためのクランプ手段、および/または少なくとも1つの側部接触体または少なくとも1つのアバットメント体を機械ベースに対して確実に保持するための確かな係合輪郭を備えることが提供される。
【0022】
クランプ装置は、例えば、長手方向軸に対する幾つかの長手方向位置におけるアバットメント体または側部接触体の取り付け、特に、長手方向軸に対するアバットメント体の連続的な調節を可能にする。確かな係合輪郭は、例えば、互いに締結されるコンポーネント上の、例えば側部接触体および機械ベース上の、またはアバットメント体および機械ベース上の、インターロック後方係合輪郭、溝および溝突起、フックレセプタクルを含む。
【0023】
それぞれの側部接触体またはアバットメント体が支持面に対して静止して固定される固定位置と、側部接触体またはアバットメント体が支持面に対して移動可能であり、特に支持面から取り外し可能である解放位置との間の作動のために、保持装置は、好ましくは作動手段、特にねじ留め手段、1つ以上のレバー、およびこれらに類するものを備える。
【0024】
保持装置は、好適には、少なくとも1つの側部接触体および/または少なくとも1つのアバットメント体の長手方向軸に沿ったリニア調節のためのリニアガイドを有する。リニアガイドは、例えば、ガイド突起が係合するガイド溝を備える。ガイド溝および/またはガイド突起は、例えば長手方向軸に平行に伸長する。少なくとも2つのガイド突起および/または少なくとも2つのガイド溝が設けられ、これらは、長手方向軸に平行に進むガイド軸に沿って進み、ガイド軸に対して長手方向の間隔を有することが提供されることができる。したがって、ガイド軸に対して連続的なガイド突起および/またはガイド溝が可能であるが、例えばセグメント化されたガイド突起またはガイド溝も可能である。
【0025】
少なくとも1つの側部接触体の側部接触面は、長手方向軸に対して角度が付けられている垂直軸に対して長手方向軸に沿った同一の垂直伸長部を備えることができる。したがって、側部接触面は、長手方向軸に沿った側部接触体の全長にわたって同じ高さであることができる。
【0026】
しかしながら、好ましい概念は、加工工具のより近くに配置された側部接触体のセクション(以下、工具セクションと称する)上の加工工具のためのより大きなクリアランスを提供する。したがって、例えば、加工工具は、特に斜めの切断を行うために、側部接触面の長手方向軸を横切る軸において斜めに傾斜させることができる。したがって、好ましくは、少なくとも1つの側部接触体の側部接触面は、支持セクションおよび工具セクションを有し、側部接触面は、工具セクションの領域よりも支持セクションの領域において支持面の前方にさらに突出し、これは、加工工具のために利用可能なより大きいクリアランスを形成するために設けられる。以上の説明は、側部接触体が機械ベースに固定された状態を指す。例えば、側部接触体は、長手方向軸に対して角度が付けられている垂直軸に関して、長手方向軸に対して互いに反対側の長手方向端部領域上に異なる垂直伸長部を有する。側部接触体は、例えば、長手方向軸に対してその長手方向端部の間に段差を備えること、および/または支持面から離れて面する側または支持面の反対側、特に狭い側に斜めの勾配を備えることが可能である。
【0027】
有利には、少なくとも1つのアバットメント体は支持セクションの領域に配置されるか、または配置可能であり、少なくとも1つの側部接触体は、機械ベースに対して、および/または長手方向軸に対して、工具セクションが支持セクションよりも加工工具の近くに配置される第1の動作位置と、支持セクションが工具セクションよりも加工工具の近くに配置される第2の動作位置との間で調節可能であることが提供される。第1の動作位置は、例えば、工作機械が少なくとも1つのアバットメント体なしで動作する動作位置であってもよい一方で、第2の動作位置は、アバットメント体が工作機械に配置される動作位置である。
【0028】
例えば、工作機械が、加工工具の反対側に配置されたまたは配置可能な少なくとも2つの側部接触体を有する場合に有利である。2つの側部接触体が工作機械、特にその機械ベースに解放可能に接続され得る場合、オペレータは、側部接触体を第1の動作位置と第2の動作位置との間で調節することができ、長手方向軸に対して最初に加工工具の左隣に配置された側部接触体と、長手方向軸に対して最初に加工工具の右隣に配置された側部接触体とは、第1の動作位置および第2の動作位置を取るために交換可能である。
【0029】
好ましい概念は、各側部接触体がそれぞれ、長手方向軸に対して少なくとも2つの長手方向位置において、保持装置によって機械ベース上に解放可能に固定可能であることを提供する。したがって、側部接触体のそれぞれを用いて、側部接触体に関連付けられた少なくとも1つのアバットメント体の調節が長手方向軸に沿って実現可能である。
【0030】
少なくとも1つのアバットメント体は、その関係する保持装置によって、長手方向軸に沿った少なくとも2つの長手方向位置の間で支持面に対して調節することができる。支持面に対して長手方向軸に沿った少なくとも2つの長手方向位置の間での少なくとも1つのアバットメント体のさらなる調節可能性は、有利には、固定装置からもたらされ、固定装置によって、少なくとも1つのアバットメント体は、それぞれの側部接触体に解放可能に締結され、および/または移動可能に搭載される。したがって、少なくとも1つのアバットメント体は、支持面に対して保持装置および/または固定装置を用いて、長手方向軸に沿って2つ以上の長手方向位置に調節可能であることがある。
【0031】
有利には、工作機械が少なくとも2つの側部接触体を有することが提供される。側部接触体は、有利には、加工工具の反対側に配置されるか、または配置されることができる。有利には、両方の側部接触体が機械ベースに対して調節可能であり、側部接触体のうちの1つが、例えば支持面に対して静止して配置されることが可能である。各側部接触体が加工工具に向かってまたは加工工具から離れるように調節可能であることが好ましい。
【0032】
有利には、少なくとも1つのアバットメント体のアバットメント面またはアバットメント体全体が、支持面に、特に少なくとも1つの側部接触体に対して静止した工作機械のコンポーネントに固定された固定装置によって、支持面に対して固定可能であり、それは少なくとも1つの垂直距離、好ましくは少なくとも2つの互いに異なる垂直距離で固定可能であり、垂直距離は、支持面に対して横方向に、特に垂直に延びる垂直軸に沿って延びる。しかしながら、アバットメント体が、固定装置によって、側部接触体以外の工作機械の別のコンポーネント、例えば機械ベースに着脱可能に接続されるかまたは接続可能であることも容易に可能である。したがって、例えば、アバットメント面と支持面との間の距離または垂直距離の調節が、2つの面の間にワークピースを挟むために可能である。
【0033】
固定装置は、例えば、アバットメント体を工作機械の固定コンポーネントにクランプするためのクランプ手段、静止コンポーネントとねじ留めするための、またはアバットメント体を静止コンポーネント上にねじ留めするためのねじ留め手段、またはこれらに類するものを含む。また、固定装置が、静止コンポーネントに対してアバットメント体を確実に保持するための確かな係合輪郭、例えば、互いに係合する少なくとも1つの確かなロック突起および少なくとも1つの確かなロックレセプタクルを有する場合も有利である。
【0034】
有利な概念は、固定装置が、少なくとも2つの垂直距離の間で、特にアバットメント面を横断する、特に垂直な調節軸に沿って、少なくとも1つのアバットメント体を調節するための軸受、特にリニア軸受および/またはリニアガイドを有し、これらの垂直距離において、アバットメント面がワークピースのための支持面に対して異なる距離を有することを提供する。軸受は、例えば滑り軸受またはリニア軸受であってもよいが、旋回軸受または回転軸受であってもよい。滑り軸受と回転軸受の組合せは容易に可能である。しかしながら、アバットメント体の直線的な搭載、したがってそのアバットメント面が好ましい。
【0035】
有利には、例えば、2つのリニア軸受および/または2つのリニアガイドが設けられ、まず、長手方向軸に対するリニアガイドおよび調節軸に沿ったリニアガイドがあり、アバットメント面が、側部接触面の長手方向軸に沿った長手方向位置に対して、ならびに調節軸に対して、すなわちアバットメント面と機械ベースの支持面との間の距離に対して最適に調節可能である。
【0036】
上述の軸受、特にリニア軸受またはリニアガイドのケースだけでなく、旋回軸受のケースにも、固定装置が、軸受の、軸受凹部、特に長手方向凹部を貫通するボルト体を備える場合、有利である。ボルト体は、例えば同時に、以下に説明するクランプ手段の一部であってもよい。ボルト体は、例えば旋回軸受の軸受軸を形成することができる。しかしながら、ボルト体は、アバットメント体がガイドされる、例えば直線的にガイドされるガイド体を形成することもできる。
【0037】
好ましくは、固定装置は、アバットメント体を工作機械のコンポーネントにクランプするためのクランプ手段の一部を形成するボルト体を有する。
【0038】
ボルト体上には、例えば、オペレータがボルト体を回転させることができるように、オペレータによる把持のための制御要素、特にハンドホイールが配置される。ボルト体は、例えば、それぞれのアバットメント体上に捕捉的に保持される。有利には、ボルト体は、アバットメント体の回転軸受レセプタクルに回転可能に搭載され、アバットメント体の壁は、制御要素、特にハンドホイールと捕捉固定デバイスとの間に挟まれて係合する。
【0039】
ボルト体は、好ましくは、支持面に対して静止されたコンポーネントのねじ受けに、例えば側部停止体の一方または両方のねじに、ねじ込まれるか、またはねじ込まれることができる。
【0040】
支持面に対してアバットメント面を回転不能に保持するために、固定装置が、互いに確かな係合でインターロックする回転防止輪郭を有すると有利である。
【0041】
好ましい変形は、回転防止輪郭は、リニアガイドの少なくとも1つのガイド突起を備えるか、またはそれによって形成され、ガイド突起は、調節軸に沿って伸長し、リニアガイドのガイドレセプタクルに係合し、ガイドレセプタクルは、調節軸に沿って伸長する。例えば、ガイド溝と、ガイド溝に係合するガイド突起とが、それぞれのアバットメント体が配置される側部接触体と、アバットメント体とに配置される。ガイド溝が側部接触体の側部停止面に配置されることが好ましい。
【0042】
好適には、ガイド溝の底部には、ボルト体のためのねじ受けが設けられている。
【0043】
一般に、固定装置の少なくとも1つのコンポーネントは、側部接触体の側部接触面上に有利に配置される一方で、これと関連して動作する固定装置の他の1つの他のコンポーネントは、側部接触体上に配置されるアバットメント体上に配置されることに留意されたい。
【0044】
固定装置の側部接触体に配置されたコンポーネントは、側部接触体の側部接触面の前方にないことが好ましい。
【0045】
工作機械が、少なくとも1つのアバットメント体を、ワークピースを支持するアバットメント面が側部接触面に隣接して配置され側部接触面の前方に突出する使用位置と、側部接触面のアバットメント面が離れる非使用位置との間で調節するための調節装置を有し、特に側部接触面がその垂直伸長部全体にわたってワークピースを取り付ける準備ができている場合にさらに好都合である。
【0046】
非使用位置では、側部接触体の側部接触面全体が、ワークピースを取り付けるために自由であることが好ましい。例えば、調節装置は、アバットメント体のためのガイドを備え、ガイドは、側部接触体の側部接触面からその上側まで、または側部接触面から離れて面する後側まで伸長する。さらに、調節装置は、例えば旋回軸受も備えてもよく、旋回軸受によって、アバットメント体は、使用位置では側部接触面に向かって調節可能であり、非使用位置では側部接触面から離れるように調節可能である。旋回軸受は、例えば、側部接触面の長手方向軸に平行に進む旋回軸を含む。アバットメント体は、調節装置によって、例えば側部接触面から離れるように、静止位置の方向に使用位置から離れるように旋回および/または調節することができる。
【0047】
有利には、機械ベースが旋回ベースを有しており、旋回ベースに加工工具、例えば分離工具のための工具受けの相対位置を変更するために旋回軸の周りに旋回部材が旋回可能に搭載され、側部接触面がワークピースを取り付けるために設けられている。ワークピースは、例えば横方向にまたはその下側で接触面に取り付けることができる。
【0048】
少なくとも1つの側部接触体および少なくとも1つのアバットメント体の両方のケースにおいて、例えばプレート状に設計されるか、またはプレートによって形成される場合に有利である。側部接触体は有利には金属、例えばアルミニウムで作られるが、アバットメント体は好ましくはプラスチックで作られる。アバットメント体および/または側部接触体は、リブ構造によって補強されてもよい。
【0049】
特に、旋回部材および/または旋回ベースがワークピースのための支持面または接触面を提供する場合に有利である。旋回部材または旋回ベースまたはその両方はまた、駆動アセンブリのための支持ベースを提供してもよい。例えば、駆動アセンブリは、工作機械の使用中に支持面または接触面の前で上方に突出するキャリア上に配置または保持される。
【0050】
駆動モータは好適には電気駆動モータである。
【0051】
有利には、駆動モータは、工具受け、したがって分離工具を回転駆動するために設けられている。駆動モータと工具受けとの間の伝動装置が、例えば、スピードをおよび/もしくは角歯車の形態で変化させるために、ならびに/または分離工具の振動運動を発生させるために設けられていることも可能である。
【0052】
有利には、工具受け、特に全体としての駆動アセンブリは、深さ旋回軸受(depth pivot bearing)によって、またはマイター旋回軸受(mitre pivot bearing)によって、マイター旋回軸(mitre pivot axis)の周りを、ワークピースのための支持面に向かって、および支持面から離れて旋回可能である。深さまたはマイター旋回軸は、工作機械を使用するときに水平であることが好ましい。工作機械は、例えば、マイターソーとすることができる。
【0053】
有利な概念は、特にスライドソーまたはスライド複合マイターソーとしての工作機械の実施形態において、分離工具を用いて長手方向の切断を実行するために、駆動アセンブリがリニアガイド上で旋回ベースに対して長手方向軸に沿って直線的に搭載されることを提供する。リニアガイドは、例えば、長手方向軸に沿って伸長する少なくとも1つの細長いガイド体、特にガイドバーまたはガイド棒を含む。少なくとも1つの細長いガイド体、特にガイドバーまたはガイド棒は、工作機械の機械ベースに対して移動可能とすることができる。例えば、少なくとも1つの細長いガイド体のための軸受レセプタクルが、タワー状のキャリア上に設けられる。細長いガイド体が機械ベース上に静止して配置されることも可能である。
【0054】
特に、駆動アセンブリが、機械ベースに対してキャリッジの方法で、特に機械ベースの前方で上方に突出するキャリア上に直線的に移動可能であるように搭載される場合が好ましい。深さ旋回軸受またはマイター旋回軸受は、キャリッジに設けられることが好都合である。
【0055】
駆動アセンブリが、機械ベースに対して垂直な傾斜旋回軸の周りに、傾斜旋回軸受によって機械ベースに対して旋回可能に搭載されることが好ましい。したがって、例えば、ワークピースにマイター切断または斜め切断を行うことができる。
【0056】
上述した2つの組み合わせは、駆動アセンブリが、一方では直線的に移動可能であり、他方では機械ベースに対して斜めに旋回可能であるように搭載されることを提供する。駆動アセンブリ用のキャリアが傾斜軸受によって機械ベースに対して傾斜旋回軸の周りに旋回可能であり、駆動アセンブリ用のリニアガイドがキャリアに設けられていることが有利である。例えば、少なくとも1つの細長いまたは棒状のガイド体は、キャリアの前方に突出し、特にワークピースの支持面の上方に伸長する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
以下において、図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において、
【
図1】
図1は、工作機械の斜視斜位図を示している。
【
図3】
図3は、先行する図面にしたがった工作機械の側面図を示している。
【
図4】
図4は、切断線A-Aにほぼ沿った、
図1による工作機械の細部D2を通る断面を示している。
【
図5】
図5は、細部D2を示すが、
図1の切断線B-Bに沿っている。
【
図6】
図6は、上記の図による工作機械の変形例の斜視斜位図を示している。
【
図8】
図8は、
図7の切断線C-Cにほぼ沿った、
図7における細部D3を通る断面を示している。
【
図9】
図9は、
図5から
図8による工作機械の側部停止体の斜視斜位図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0058】
工作機械10は、地面上に配置可能な機械ベース11を備える。工作機械10は、例えば、半据置式の鋸盤であり、すなわち、特定の使用ロケーションに運ぶことができる。そこで、工作機械10を地面に下ろして使用することができる。
【0059】
機械ベース11上には、工具受け31の回転駆動のための駆動モータ32を備えた駆動アセンブリ30が配置されている。駆動モータ32は、工具受け31を直接または伝動装置を介して駆動する。工具受け31上に加工工具36、例えば分離工具または鋸刃が保持されているので、ワークピースWを工作機械10で機械加工、例えば切断することができる。
【0060】
機械ベース11は旋回ベース12を有し、旋回部材15が、典型的には使用中に垂直である旋回軸GSの周りに旋回可能に搭載される。旋回ベース12は、地面に置くための脚部13と、支持セクション23とを有し、支持セクション23から脚部13が突出し、支持セクション23は、動作位置において上側である加工工具36または駆動アセンブリ30に面する側にワークピースWを配置するための支持面14を備える。支持セクション23の間には、旋回部材15、特に旋回部材基体16のための収容空間が設けられており、旋回部材基体16は、この収容空間内で旋回軸GSの周りに回転可能である、または旋回可能に搭載される。
【0061】
旋回部材15は、ワークピースWを配置するための支持面17を有し、ワークピースWは、作動位置においてワークピースWの上側である加工工具36または駆動アセンブリ30に面する側で支持面14と位置合わせされる。これにより、ワークピースWを支持面14,17上に配置することができ、加工工具36による機械加工のためにこれらによって支持される。
【0062】
旋回部材基体16から、オペレータが把持するための作動アーム18が突出し、作動アーム18は、旋回部材15を旋回ベース12に対して旋回可能に作動させるための操作ハンドルを形成する。作動アーム18および支持面17にはスロット19が伸長しており、このスロット19内に加工工具36が突入することができる。
【0063】
さらに、旋回部材15と旋回ベース12との間には、旋回軸GSに対する1つ以上の予め規定された旋回位置において旋回部材15を旋回ベース12に対して固定するための旋回固定装置20が設けられている。旋回固定装置20は、旋回部材15が旋回ベース12に対して固定または解放される固定位置と解放位置との間で、作動要素21によって作動させることができる。それぞれの旋回位置を示すために、例えばスケール22が旋回ベース12に設けられている。
【0064】
キャリア25は機械ベース11から突出し、使用位置では支持面14、17の前で上方に突出する。
【0065】
ワークピースWを機械加工するために、支持面14、17に対して、したがってその上に位置付けられたワークピースWに対して加工工具36を位置付けるために、キャリア25上に、駆動アセンブリ30、特に工具受け31、したがって加工工具36が、特に軸受装置24によって多軸旋回可能に搭載され、および/または直線的に調節可能に搭載される。
【0066】
キャリア25上には、傾斜旋回軸受26が設けられ、それによって駆動アセンブリ30が傾斜旋回軸SAの周りに旋回可能に搭載される。例えば、駆動アセンブリ30の支持アーム27は、傾斜旋回軸SAの周りに旋回軸受26上に旋回可能に搭載される。
【0067】
支持アーム27はキャリア25の前方に突出し、機械ベース11から間隔を空けて離れた端部28にリニアガイド33を収容している。リニアガイド33は、例えば、棒状のガイド体34を備え、その上にキャリッジ33が調節軸Xに沿って変位可能に搭載される。棒状ガイド体34の間に加工工具36が配置される。加工工具36は、リニアガイド33によって調節軸Xに沿って前後に変位させることができる。スロット19は調節軸Xに平行に延びている。
【0068】
調節軸Xは、傾斜旋回軸SAと平行である。調節軸Xおよび傾斜旋回軸SAは、典型的には、工作機械10が使用されているときに水平に伸長する。
【0069】
調節軸Xおよび傾斜旋回軸SAは、旋回軸GSに対して垂直に延びている。
【0070】
駆動モータ32と工具受け31とを含む駆動部37は、キャリッジ29上に静止して配置することができ、加工工具36は、支持面14、17に対して直線運動のみを行うことができる。
【0071】
しかしながら、駆動部材37は、マイター旋回軸受または深さ旋回軸受35を使用して深さ調節軸TSの周りに旋回可能に搭載され、加工工具36は、それに応じてワークピースWに突入するために、
図3に破線で示される、支持面14、17に対して異なる深さ位置を占めることができる。例えば、加工工具36はまた、スロット19内に突入することができる。
【0072】
深さ調節軸TSは、傾斜旋回軸SAに対して垂直に、および/または調節軸Xに対して垂直に、および旋回軸GSに対して垂直に進む。
【0073】
したがって、軸受装置24を用いて、様々な向きでワークピースWに分離切断を導入することが可能であるが、工作機械10上でのワークピースWのしっかりとした保持またはしっかりとした支持が必要である。一方では、ワークピースWは、いわば中央支持面17上で支持されることができるが、支持面17が伸長する支持面14上でも支持されることができ、ワークピースWは、いわば下から最適に支持される。他方では、以下に説明されるさらなる接触面または停止面が設けられる。
【0074】
工作機械10は、支持面14、17に向かって角度が付けられている、ここのケースでは垂直な側部接触面42を有し、側部接触面42は側部接触体40、41に設けられている。側部接触体40、41の間に加工工具26が配置される。側部接触面42は互いに位置合わせされ、長手方向軸Lに沿って伸長する。
【0075】
側部接触体40、41は、例えば接触プレートもしくは側部停止プレートであるか、またはそれらを含む。
【0076】
側部接触面42は、ツールセクション43と支持セクション44とを有し、ツールセクション43は、垂直方向または垂直軸Hに対して、支持セクション44よりも支持面14、17の前方に少し離れて伸長する。したがって、支持セクション44は、支持面14,17上に載置された状態のとき、これらの接触面よりもさらに前方に突出するワークピースWも最適に支持する。
【0077】
これに対して工具セクション43は、例えば斜めの旋回軸SAの周りを図示の中心位置から旋回させられたときに、加工工具36のためのクリアランスを提供し、例えば中心位置に対して45°まで、またはそれ以上の傾斜を有している。中心位置において、例えば、加工工具36の切断面は、支持面14、17に直交し、側部接触面42に直交する。
【0078】
したがって、側部接触体40、42は、加工工具36の互いに反対側に配置されるか、または配置されることができ、図面には示されていない通常の鋸で切る位置では、工具セクション43は、支持セクション44よりも加工工具36に近く、加工工具36から離れた、または加工工具36までの距離が大きいワークピースWの支持が最適である。したがって、垂直軸Hに関して、側部接触体40、41のそれぞれは、長手方向軸Lに関する長手方向端部領域45において、支持セクション44が設けられている反対側の長手方向端部領域46よりも低い。
【0079】
側部接触体40、41は、長手方向端部領域45において、それらの上側47とそれらの下側50との間で、長手方向端部領域46におけるよりも短い伸長部を有する。長手方向端部領域45から長手方向端部領域46まで、上側47は、例えば、上昇傾斜セクション48を有し、すなわち、それぞれの側部接触体41、42の高さは、長手方向端部領域45から支持セクション44の方向に、特に連続的に増加する。支持セクション44の領域において、上側47と下側50との間の距離は、例えば同じままであり、すなわち、下側50および上側47上の側部接触体40、41の狭い側部は、例えば互いに平行に延びる。
【0080】
しかしながら、工具セクション43と支持セクション44との間に段差48Aを設けることもできる。
【0081】
保持装置60は、接触面14、16および/または機械ベース11に対して側部接触体40、41を搭載する役割を果たす。保持装置60は、例えば支持面14の上方で機械ベース11の旋回ベース12に固定されている。
【0082】
保持装置60は保持体38、例えばプロファイル体を有している。保持体38は、ねじ39または同様の取り付け手段によって機械ベース11に固定されるが、機械ベース11と一体であってもよい。
【0083】
保持体38は、旋回ベース12の支持面40から旋回部材15の方向に伸長し、保持体38の長手方向端部領域は、支持面17を越えてスロット19の方向に伸長する。保持体38は、側部接触体40、41が保持体38上に配置されたときに側部接触体40、41の側部接触面42と位置合わせされるベース側部接触面59を有する。
【0084】
側部接触体40、41の下側には、一方では下側部接触面51が設けられ、下側部接触面51は、支持面14、17から離れて面するそれらの側で保持体38上に支持され、使用位置ではそれらの上側である。突出部57の間には、保持装置60の一部を構成するリニアガイド55のガイド溝56が実現される。
【0085】
側部接触体40、41の下側支持面51の前方には、ガイド突起52、53が互いに整列して突出しており、リニアガイド55を実現するためにガイド溝56とガイド係合することができる。ガイド突起52,53の前方には、その長手方向軸に対して横方向に後方係合突起54が突出しており、後方係合突起54は、ガイド溝56に向かって突出する突起57と後方係合することができる。したがって、これらの突起57は、側部接触体40、41の後方係合突起54による後方係合のための後方係合輪郭58を形成する。ガイド突起52、53および横方向または側方に突出する後方係合突起54は、例えば、正面図でT字形構造を形成する。
【0086】
リニアガイド55を使用して、側部接触体40、41を長手方向軸Lに沿って調節することができ、例えば、機械ベース11のさらに前方に突出するワークピースWを、加工工具36の加工平面からより大きな距離で側部接触面42上に支持することができる。例えば、側部接触体40、41は、長手方向位置L1とL2との間で、さらなる長手方向位置(図示せず)とともに、リニアガイド55に沿って、特に連続的に調節することができる。
【0087】
それぞれの長手方向位置において、保持装置60の固定は、クランプ手段61を使用して実現することができる。クランプ手段61はクランプ体62を備え、クランプ体62は、テンション棒63または他の作動部材を使用して、作動レバー64の助けを借りて、クランプ位置と解放位置との間、または固定位置と解放位置との間で調節可能である。クランプ体62はガイド溝56中に収容される。クランプ体62は好ましくはプレート状である。クランプ体62は、ガイド突起52、53と位置合わせされる。例えば、クランプ体62は、後方係合突起54がテンション棒63の前方で横方向にほぼ整列するように突出する。
【0088】
クランプ位置または固定位置において、例えば摺動ブロックの方法で設計されたクランプ体62は、
図8にみられるように、ガイド溝56の突出部57に対してクランプ嵌合で位置付けられる。しかしながら、解放位置では、クランプ嵌合はロック解除され、すなわち、例えばクランプ体62は突起57から距離を置いて配置され、それぞれの側部接触体40、41はリニアガイド55によって長手方向軸Lに沿って変位可能である。
【0089】
作動レバー64は、軸要素65によって旋回軸BHの周りに旋回可能にそれぞれの側部接触体40、41に搭載されている。作動レバー64は、軸要素65の周りに伸長する軸受セクションを有し、それぞれの側部接触体40、41に対して静止位置で支持面67上に支持されることができる軸受面66を有する。
【0090】
作動レバー64は、作動レバー64が例えば
図7に実線で示された位置を占めるクランプ位置から、軸受面66がより小さい力で支持面67を押圧するかまたはこれから持ち上げられる、
図7に破線で示された位置へクランプ手段61を調節するために調節されることができ、テンション棒63は、突起57から離れる移動のためにクランプ体62を解放することができ、または突起57から能動的に離れることができる。(
図7に破線で示す)クランプ位置に関係する位置では、作動レバー64は好ましくはオーバーセンター位置をとる。
【0091】
しかしながら、それぞれの側部接触体40または41の代わりに、幾分変更された側部接触体、例えば、側部接触体41の代わりに例として示される側部接触体141を使用することも可能である。保持装置60に関して、側部接触体141は側部接触体41および42に対応する。さらに、側部接触体141は、例として理解されるべきであり、すなわち、側部接触体40の代わりに、左側で使用可能である、対応して幾何学的に適合された側部接触体が、側部接触体141の方法で提供されることができるが、それは、支持セクション44および工具セクション43に対して側部支持アバットメント体141と鏡面対称である。
【0092】
いずれにしても、側部接触体40、41、141は、図面に示されるように、加工工具36のより近くに配置された支持セクション44を有するか、または、例えば、以下に説明されるアバットメント体70、170が必要とされないときに、加工工具36のより近くに配置された工具セクション43を有することが可能である。
【0093】
側部接触体40、41、141上に、アバットメント体70、170を、例えば固定装置80によって解放可能に固定することができる。アバットメント体70、170が側部アバットメント体40、41、141に固定された状態にあるときに、側部接触体70、170は、支持面14、17の反対側に位置するアバットメント面79を有し、ワークピースWは、例えば
図3による傾斜位置においてアバットメント面79と支持面14、17との間に挟まれて保持される。
【0094】
この傾斜位置は、いわゆるクラウン成形鋸切断を行うのに特に適している。ワークピースWは、その狭い側部WSがアバットメント面79上で最適に支持され、側部接触面42上でも支持されることができる。
【0095】
アバットメント体70、170はプレート体71、171を有する。プレート体71は平面図で矩形であるが、アバットメント体170のプレート体171はそのアバットメント面79の領域でより幅広であり、ワークピースWのより長いまたはより豊富な支持がアバットメント体70よりも可能である。アバットメント面79のエリアにおいて、アバットメント体170は、例えば、より幅広の支持脚またはより幅広の脚部のようなものを有する。
【0096】
プレート体70、170は、より短い狭い側壁73、74、174の間に延びるより長い狭い側壁72を有する。アバットメント面79は、プレート体71、171の狭い側壁74、174上に配置される。
【0097】
アバットメント体170のケースでは、そのアバットメント面79の領域に凹部179Aが設けられる。
【0098】
プレート体71、171は、リブ構造77によって補強されたベース壁76を有し、これらはそれぞれの狭い側壁72、73、74、174の間に伸長する。ベース壁76から離れて面する狭い側壁72、73、74、174の端面、有利にはリブ構造77のリブの端面もまた、側部接触面42上で支持するための支持面75を提供する。したがって、結果として、それぞれのアバットメント体70、170は、支持面75の領域において側部接触面42によって平面的に支持されることができる。
【0099】
ベース壁76には通路開口78が設けられており、このケースでは長手方向スロットであり、これは、固定装置80のボルト体81によって貫通されている。
【0100】
ボルト体81には、オペレータによって回転されるハンドグリップ82が設けられている。アバットメント体70のケースでは、ハンドグリップ82はベース壁76の前方に突出しているが、アバットメント体170のケースでは、ハンドグリップ82は凹部177に突入しており、ベース壁76の前方に突出していない。
【0101】
ボルト体81は、ディスク本体、ナット、またはこれらに類するもののような固定装置83によって、アバットメント体70、170上に捕捉的に保持される。
【0102】
アバットメント体70、171を側部接触体40、41、141でクランプするために、ボルト体81をそれぞれの側部接触体40、41、141上のねじ受け84にねじ込むことができる。したがって、固定装置80はクランプ装置として設計され、またはボルト体81は、ベース壁76上に支持されたハンドグリップ82と共に、アバットメント体70、171を側部接触体40、41、141でクランプするためのクランプ手段80Aを形成する。
【0103】
ボルトまたはボルト体81が解放されるとき、すなわち、クランプ手段80Aが解放位置を占めるとき、それぞれのアバットメント体70、171は、アバットメント面79をワークピースW、特にその狭い側WSと接触させるために、調節移動VHの状況で垂直軸Hに沿って調節されることができる。したがって、アバットメント面79は、垂直軸Hに対する直線調節移動VHでワークピースWに対して調節することができる。クランプ手段61が解放されることによって、横方向に、すなわち長手方向軸Lの方向に、調節移動VLが可能である。したがって、アバットメント面79は、長手方向軸Lおよび垂直軸Hの両方に関してワークピースWに対して最適に位置付けられることができる。
【0104】
アバットメント体70、170と側部接触体40、41、141との間には、軸受85、例えばリニア軸受または滑り軸受および/または旋回軸受が設けられる。
【0105】
アバットメント体70のケースでは、軸受85は、例えば、アバットメント体70が軸受凹部78を形成するスロットに沿って変位可能であることによって、例えばリニア軸受として使用され、軸受凹部78は、通路開口部78を通して実現される。加えて、軸受85は、旋回軸受としても使用することができ、例えば、より短い狭い側壁73または74をアバットメント面79として使用するだけでなく、より長い狭い側壁72を使用することもできる。具体的には、アバットメント体70は、クランプ手段80Aが解放されるときに、ボルト体81の軸回りに回転可能である。
【0106】
アバットメント体171のケースでは、軸受85は、リニアガイド86を有するリニア軸受として実現される。リニアガイド86は、側部接触体141上にガイドレセプタクル87、例えば、少なくとも1つのガイド突起88、このケースでは2つのガイド突起88が係合するガイド溝を備え、アバットメント体171は、側部接触体141に対して調節軸Vに沿って垂直軸Hに平行な軸方向に直線的に調節可能である。ガイド突起88は、例えばスロット形状の通路開口78に平行に伸長する。
【0107】
特に好ましいリニアガイドは、この構造において見ることができ、すなわち、アバットメント体171のアバットメント面79は、リニアガイド55、86を使用して、長手方向軸Lに正確に平行に、かつ垂直軸Hに正確に平行にガイドされる。
【0108】
同時に、ガイドレセプタクル87およびガイド突起88は、アバットメント体171が側部接触体141に対して回転することを防止する回転防止輪郭89を形成する。
【0109】
別の実施形態は、アバットメント体、例えばアバットメント体270が、側部接触体上に移動可能に保持されるが、捕捉的に保持されることを提供できる。例えば、
図6による例示的な実施形態では、アバットメント体270は、調節軸Vに沿って側部接触体に搭載されて配置され、すなわち側部接触面42の平面内で変位可能である。アバットメント体270は、例えば、側部接触体40上の軸受85の軸受開口に組み込まれ、調節軸Vに沿って変位可能な支持体を備える。
【0110】
アバットメント体270は、側部接触面42の前方に突出する実線で示される使用位置と、側部接触面42から離れて、例えばその後方に調節され、したがって使用されていないときに邪魔にならない破線で示される非使用位置との間で調節可能であることが可能である。したがって、例えば、軸受85は同時に、非使用位置と使用位置との間でアバットメント体20を調節するための調節装置90を形成する。
【0111】
アバットメント体270は、例えば、側部接触体40上の静止位置において、調節軸Vに沿った1つ以上の長手方向位置に対して、例えばクランプねじまたはこれに類するものなどによるクランプ、ラッチを使用して固定可能であってもよい。
【0112】
アバットメント体270を側部接触面42上に、例えば実線で示される位置に静止して配置することも容易に可能である。
【0113】
側部接触体上にアバットメント体をクランプまたは保持するために、例えばクランプ手段61を使用してクランプを行うこともできる。したがって、例えば、アバットメント体上に移動可能に搭載されたクランプ体を設けることができ、このクランプ体は、摺動ブロックまたは溝付き軌道の方法で、例えば側部接触体上に組み込まれた内側に突出する突起57を有するガイド溝56の方法で、収容溝内に収容される。クランプ体は、作動機構、例えばねじ、作動レバー64の形態の作動レバー、またはこれらに類するものなどによってクランプ位置または解放位置に移動させることができ、クランプ位置では、収容溝の背後に係合し、これらを側部接触体上のクランプ嵌合状態でアバットメント体にクランプして、突起を保持し、または解放位置では、クランプ体が収容溝に対して移動可能であり、従って、アバットメント体も側部アバットメント体に対して移動可能である。
【0114】
このような収容溝は、例えば側部接触面に設けることができる。そこで、クランプ体は、支持面のアバットメント面が機械ベースに対向する使用位置に位置付けられる。
【0115】
収容溝は、例えば、上側47上に、好都合には上側47を越えてそれぞれの側部接触体の後側まで延びることもでき、クランプ体は収容溝内にガイドされ、アバットメント体は、側部接触面から側部接触体の頂部および/または後部まで収容溝の経路に沿ってガイドされることができ、その場合、アバットメント体は、非使用位置を占める。クランプ体は、例えば、横断ボルトまたは棒形状のクランプ体として設計され、これはまた、湾曲セクションまたは弧状セクションまたは角セクションを介して収容溝の経路を辿ることができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 加工工具(36)、特に分離工具または鋸工具を使用して、ワークピース(W)を機械加工するための、工作機械、特に、半据置または可搬型工作機械(10)および/または鋸盤であって、
前記工作機械(10)は、地面上に設置するための機械ベース(11)と、前記加工工具(36)のための、特に分離工具のための駆動モータ(32)によって駆動可能な駆動モータ(32)および工具受け(31)とともにその上に配置された駆動アセンブリ(30)とを備え、
前記機械ベース(11)は、前記ワークピース(W)を支持するための支持面(14、17)を備え、特に垂直に、前記支持面(14、17)に対してある角度をなす側部接触面(42)とともに少なくとも1つの側部接触体(40、41)を備え、長手方向軸(L)に沿って伸長し、
前記工作機械(10)は、アバットメント面(79)とともに少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を備え、これは、前記工作機械(10)上の保持装置(60)によって前記支持面(14、17)の反対側に固定されることができ、前記加工工具(36)によって機械加工するために、特にクラウンモールディングカットの製作のためにワークピース(W)は、前記支持面(14、17)と前記アバットメント面(79)との間の前記側部接触面(42)に隣接して支持され、前記アバットメント体(70、170)は、前記長手方向軸(L)に対して少なくとも2つの異なる長手方向位置(L1、L2)に前記保持装置(60)を使用して、前記機械ベース(11)上に開放可能に固定されることができることを特徴とする、工作機械。
[2] 前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)上に配置されるか、または配置可能であり、特に固定装置(80)によって固定的に配置されるか、解放可能に固定されるか、および/または移動可能に搭載されることを特徴とする、[1]に記載の工作機械。
[3] 前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部停止体を前記機械ベース(11)上に保持するための保持装置(60)であるかまたはそれを含み、前記アバットメント体(70、170)は、前記側部停止体の調節によって前記長手方向軸(L)に対して前記少なくとも2つの長手方向位置(L1、L2)において前記機械ベース(11)上に解放可能に固定可能であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の工作機械。
[4] 前記保持装置(60)はベース側部接触面(59)を備え、前記ベース側部接触面(59)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)が前記保持装置(60)に搭載されるとき、前記側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)と位置合わせされることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか一項に記載の工作機械。
[5] 前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)もしくは前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記機械ベース(11)に対してクランプするためのクランプ手段(61)、および/または前記機械ベース(11)に対して、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)もしくは前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を確実に保持するための確かな係合輪郭を備えることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか一項に記載の工作機械。
[6] 前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)の前記長手方向軸(L)に沿ったリニア調節のためのリニアガイド(55)を備えることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか一項に記載の工作機械。
[7] 前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)の前記側部接触面(42)は、支持セクション(44)と工具セクション(43)とを備え、前記側部接触面(42)は、前記工具セクション(43)の領域よりも前記支持セクション(44)の領域において前記支持面(14、17)の前方にさらに突出し、前記工具セクション(43)は、前記加工工具のために利用可能なより大きなクリアランスを形成するために設けられることを特徴とする、[1]から[6]のいずれか一項に記載の工作機械。
[8] 前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、前記支持セクション(44)の領域に配置されるか、または配置可能であり、前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)は、前記機械ベース(11)に対して、および/または前記長手方向軸(L)に対して、前記工具セクション(43)が前記支持セクション(44)よりも前記加工工具(36)の近くに配置される第1の動作位置と、前記支持セクション(44)が前記工具セクション(43)よりも前記加工工具(36)の近くに配置される第2の動作位置との間で調節可能であることを特徴とする、[7]に記載の工作機械。
[9] 前記加工工具(36)の反対側に配置された少なくとも2つの側部接触体(40、41)を備えることを特徴とする[1]から[8]のいずれか一項に記載の工作機械。
[10] 各側部接触体(40、41)はそれぞれ、前記長手方向軸(L)に対して少なくとも2つの長手方向位置(L1、L2)において、保持装置(60)によって機械ベース(11)に解放可能に固定可能であることを特徴とする、[1]から[9]のいずれか一項に記載の工作機械。
[11] 前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)または前記アバットメント体(70、170)全体の前記アバットメント面(79)は、前記支持面(14、17)に対して固定された前記工作機械のコンポーネントに静止している固定装置(80)によって、前記支持面(14、17)に対して固定可能であり、前記コンポーネントは、前記支持面(14、17)に、特に少なくとも1つの側部接触面(40、41)に対して静止し、少なくとも1つの垂直距離、好ましくは少なくとも2つの互いに異なる垂直距離で固定可能であり、前記垂直距離は、前記支持面(14、17)を横断して、特に垂直に伸長する垂直軸(H)に沿って伸長することを特徴とする、[1]から[10]のいずれか一項に記載の工作機械。
[12] 前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記工作機械(10)の静止コンポーネントにクランプするためのクランプ手段(80A)、および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を前記静止コンポーネント上に確実に、特に回転せずに保持するための確かな係合輪郭を備えることを特徴とする、[11]に記載の工作機械。
[13] 前記固定装置(80)は、前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を少なくとも2つの垂直距離の間で、特に前記アバットメント面(79)を横断する、特に垂直な調節軸(V)に沿って調節するための軸受(85)、特にリニア軸受および/またはリニアガイド(86)を備え、これらの垂直距離において、前記アバットメント面(79)は、前記ワークピース(W)のための前記支持面(14、17)に対して異なる距離を有することを特徴とする[11]または[12]に記載の工作機械。
[14] 前記固定装置(80)は、軸受の軸受凹部(78A)、特に長手方向凹部を貫通するボルト本体(81)を備えることを特徴とする、[11]から[13]のいずれか一項に記載の工作機械。
[15] 前記固定装置(80)は、前記支持面(14、17)に対して静止している前記工作機械(10)のコンポーネントに前記アバットメント体(70、170)をクランプするためのクランプ手段(80A)の一部を形成するボルト本体(81)を備えることを特徴とする、[11]から[14]のいずれか一項に記載の工作機械。
[16] 前記固定装置(80)は、前記支持面(14、17)に対して前記アバットメント面(79)を回転不能に保持するための確実に係合するインターロック回転防止輪郭(89)を備えることを特徴とする、[11]から[15]のいずれか一項に記載の工作機械。
[17] 前記回転防止輪郭(89)は、
前記調節軸(V)に沿って伸長する前記リニアガイド(86)の少なくとも1つのガイド突起(88)によって形成され、これは、前記調節軸(V)に沿って伸長する前記リニアガイド(86)のガイドレセプタクル(87)に係合することを特徴とする、[16]に記載の工作機械。
[18] 前記ワークピース(W)を支持するための前記アバットメント面(79)が前記側部接触面(42)に隣接して配置され、前記側部接触面(42)の前方に突出する使用位置と、前記アバットメント面(79)が前記側部接触面(42)から離れるように移動され、特に前記側部接触面(42)がその垂直伸長部全体にわたって前記ワークピース(W)を取り付ける準備ができている非使用位置との間で前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)を調節するための調節装置(90)を備えることを特徴とする、[1]から[17]のいずれか一項に記載の工作機械。
[19] 前記少なくとも1つの側部接触体(40、41)および/または前記少なくとも1つのアバットメント体(70、170)は、プレート状であるか、またはプレートによって形成されることを特徴とする、[1]から[18]のいずれか一項に記載の工作機械。
[20] 前記機械ベース(11)は旋回ベース(12)を備え、前記加工工具(36)、特に前記分離工具のための前記工具受け(31)と、ワークピース(W)を取り付けるために設けられた前記側部接触面(42)との相対位置を変更するために、前記旋回ベース(12)上に旋回部材(15)が旋回軸の周りに旋回可能に搭載され、
前記旋回部材(15)および/または前記旋回ベース(12)は、有利には、前記ワークピース(W)のための前記支持面(14、17)を提供し、および/もしくは前記駆動アセンブリ(30)のための支持ベースを提供し、ならびに/または、好都合には、前記保持装置(60)は、前記少なくとも1つの側部接触体(40,41)のための前記旋回ベース(12)に対して静止しているか、前記旋回ベース(12)上に配置されていることを特徴とする、[1]から[19]のいずれか一項に記載の工作機械。
[21] 前記駆動アセンブリ(30)は、前記加工工具(36)、特に前記分離工具で長手方向の切断を行うためのリニアガイド(33)上で前記機械ベース(11)に対して直線的に搭載され、ならびに/または前記機械ベース(11)に対して傾斜旋回軸(SA)の周りに旋回可能に搭載され、ならびに/または前記ワークピース(W)を支持するために設けられた前記ワークピース支持面(14、17)に向かっておよびそれから離れて旋回するように、深さ旋回軸受(35)またはマイター旋回軸受によって搭載されることを特徴とする、[1]から[20]のいずれか一項に記載の工作機械。