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特許7558979自動食器洗浄用組成物と物品を洗浄する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】自動食器洗浄用組成物と物品を洗浄する方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/722 20060101AFI20240924BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/14 20060101ALI20240924BHJP
   C11D 3/39 20060101ALI20240924BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
C11D1/722
C11D3/37
C11D3/10
C11D3/20
C11D3/395
C11D3/386
C11D3/33
C11D3/14
C11D3/39
A47L15/42 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021571967
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020034470
(87)【国際公開番号】W WO2020247199
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】19290034.8
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリュー、セヴェリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ワッサーマン、エリック
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/183011(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/218222(WO,A1)
【文献】特表2011-500878(JP,A)
【文献】特開2005-154716(JP,A)
【文献】特開2016-074833(JP,A)
【文献】米国特許第05126068(US,A)
【文献】米国特許第05279756(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A47L 15/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄用組成物であって、
前記自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.1~2重量%のマレイン酸/ジイソブチレンコポリマーであって、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトンであるマレイン酸/ジイソブチレンコポリマーと、
前記自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、2.5~7.5重量%の分散剤ポリマーであって、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む分散剤ポリマーと、
前記自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、50~70重量%のビルダーであって、炭酸塩、重炭酸塩もしくはセスキ炭酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩及びアルカリ金属クエン酸塩からなる群から選択される1つ以上のビルダーと、
界面活性剤と、を含み、
前記界面活性剤が、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、
【化1】
式中、Rが、ヘキサデシル基及びオクタデシル基からなる群から選択され、Rが、 アルキル基であり、mが2933の平均値を有し、nが4~11の平均値を有し、m+nが3444の平均値を有し、前記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートが、62~64重量%の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、前記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートが、nで除算した前記分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xである比Zを有し、前記比Zが7.5~8.5であ
(ii)前記式Iの脂肪アルコールアルコキシレート:(i)前記マレイン酸/ジイソブチレンコポリマーの重量比が6.5:1~8.5:1である、自動食器洗浄組成物。
【請求項2】
前記分散剤ポリマーがアクリル酸ホモポリマーをさらに含み、前記分散剤ポリマーが、(a)前記アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーのブレンドである、請求項に記載の自動食器洗浄用組成物。
【請求項3】
前記ブレンドが、3:1~1:3の(a)前記アクリル酸ホモポリマー(b)前記アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーのブレンド重量比を有する、請求項に記載の自動食器洗浄用組成物。
【請求項4】
が、ヘキサデシル基とオクタデシル基との混合物からなる群から選択される、請求項に記載の自動食器洗浄用組成物。
【請求項5】
漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、酵素、アミノカルボキシレートキレート剤、充填剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される任意の成分をさらに含み、前記充填剤が、ナトリウムサルフェート、カリウムサルフェート、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群から選択され、前記ビルダーが、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、炭酸アンモニウム、および重炭酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項に記載の自動食器洗浄組成物。
【請求項6】
自動食器洗浄機内で、前記自動食器洗浄機の清浄度を維持しながら物品を洗浄する方法であって、
少なくとも1つの食品汚れ物品を提供することと、
非金属ストレーナーを備えた排水ラインを有する自動食器洗浄機を提供することと、
水を提供することと、
請求項1に記載の自動食器洗浄用組成物を選択することであって、前記自動食器洗浄用組成物が、前記自動食器洗浄機の使用中に、前記食品汚れ物品を洗浄すること、および前記非金属ストレーナー上の食品汚れの蓄積を低減することによって前記非金属ストレーナーの前記清浄度を維持することという両方のために特に選択される、選択することと、
水および前記自動食器洗浄用組成物を前記少なくとも1つの食品汚れ物品に適用して、洗浄品および食品汚水を形成することと、
前記非金属ストレーナーを通して前記食品汚水を排出することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄用組成物に関する。特に本発明は、マレイン酸/オレフィンコポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む分散剤ポリマーと、ビルダーと、式Iの界面活性剤と、を含む自動食器洗浄用組成物に関し、式中、Rは直鎖または分枝鎖の飽和C8~24アルキル基であり、Rは直鎖飽和C2~8アルキル基であり、mは26~42であり、nは4~12であり、m+nは30~54であり、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xが45重量%を超え、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xをnで割ったものに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満である。本発明はまた、自動食器洗浄機の清浄度を維持しながら、自動食器洗浄機で物品を洗浄する方法に関する。
【0002】
自動食器洗浄用組成物は、概して、布洗浄または水処理のために使用されるものとは異なる洗剤組成物の分類として認識されている。洗浄サイクルの完了後、自動食器洗浄用組成物が、洗浄された物品上にしみおよび膜がない外観を生じさせることを、使用者は期待している。
【0003】
縞状汚染のない水性硬質表面洗浄組成物に使用するためのアルコールエトキシレートのファミリーは、Burkeらによる米国特許第5,126,068号に開示されている。Burkeらは、とりわけ、下記式のアルコールエトキシレートを含有する洗浄組成物を開示しており、
【化1】
式中、Rは長さが8~15個の炭素原子を有するアルキル鎖であり、xは約4~15の数であり、yは約0~15の数であり、zは約0~5の数である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、ホスフェート不含組成物がますます望ましくなってきている。ホスフェート不含組成物は、カルシウムおよびマグネシウムを硬水から封鎖し、それらが乾燥後、食器上に不溶解性可視堆積物を残さないようにするために、例えば、シトレート、カルボネート、バイカルボネート、アミノカルボキシレートおよび他の塩などの非ホスフェートビルダーに依存する。しかし、ホスフェート不含組成物は、ガラス食器および他の表面上にしみを残す傾向がより強い。
【0005】
自動食器洗浄において改善された特性を呈し、かつリン酸塩を含まない組成物が、本業界において進歩的であるであろう。したがって、抗しみ形成特性を有する新しい界面活性剤が、依然として必要とされている。具体的には、ホスフェート不含、ならびに抗しみ形成および洗浄機の衛生面へも配慮した自動食器洗浄用配合物を容易にする、抗しみ形成特性を有する新しい界面活性剤がなおも必要とされている。
【0006】
本発明は、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトンのマレイン酸/オレフィンコポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む分散剤ポリマーと、ビルダーと、界面活性剤と、を含み、界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、
【化2】
式中、Rは、直鎖または分枝鎖の飽和C8~24アルキル基であり、Rは直鎖飽和C2~8アルキル基であり、mは26~42の平均値を有し、nは4~12の平均値を有し、m+nは30~54の平均値を有し、前記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは45重量%超の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、前記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算した前記分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xに等しい比Zを有し、前記比Zは9.5未満である、自動食器洗浄組成物を提供する。
【0007】
本発明は、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトンのマレイン酸/オレフィンコポリマーと、(a)アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーのブレンドを含み、ブレンドが3:1~1:3の(a)アクリル酸ホモポリマー対(b)コポリマーのブレンド重量比を有する、分散剤ポリマーと、ビルダーと、界面活性剤と、を含み、前記界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、式中、Rは直鎖または分枝鎖の飽和C8~24アルキル基であり、Rは直鎖飽和C2~8アルキル基であり、mは26~42の平均値を有し、nは4~12の平均値を有し、m+nは30~54の平均値であり、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、45重量%超の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算した分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満である、自動食器洗浄用組成物を提供する。
【0008】
本発明は、少なくとも1つの食品汚れ物品を提供することと、非金属ストレーナーを備えた排水ラインを有する自動食器洗浄機を提供することと、水を提供することと、本発明による自動食器洗浄用組成物を選択することであって、自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄機使用中に、食品汚れ物品を洗浄すること、および非金属ストレーナー上の食品汚れの蓄積を低減することによって非金属ストレーナーの清浄度を維持することという両方の目的のために特に選択される、選択することと、水および自動食器洗浄用組成物を少なくとも1つの食品汚れ物品に適用して、洗浄品および食品汚水を形成することと、非金属ストレーナーを通して食品汚水を排出することと、を含む、自動食器洗浄機の清浄度を同時に維持しつつ、自動食器洗浄機で物品を洗浄する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
驚くべきことに、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトンのマレイン酸/オレフィンコポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む分散剤ポリマーと、ビルダーと、界面活性剤と、を含み、界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであって、式中、Rは直鎖または分枝鎖の飽和C8~24アルキル基であり、Rは直鎖飽和C2~8アルキル基であり、mは26~42の平均値を有し、nは4~12の平均値を有し、m+nは30~54の平均値を有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、45重量%超の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算した分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満である界面活性剤と、を含む、本発明の自動食器洗浄組成物が、自動食器洗浄機の排水ライン中の非金属ストレーナーに収集された食品残渣の量を低減することにより、自動食器洗浄機の清浄度を維持しつつ、同時に好ましい物品清浄性能を提供することが発見された。ほとんどの消費者は、自動食器洗浄機からの排水ラインにある非金属ストレーナーからの食品残渣の洗浄に煩わされる必要がない方が良く、非金属ストレーナーの清浄度を維持できないと、非金属ストレーナーに溜まった食品残渣の腐敗から生じる悪臭が発生する可能性があることを考えると、本発明の自動食器洗浄組成物は、(a)ガラス製品、食器およびカトラリーの洗浄と、(b)非金属ストレーナーに溜まる食品残渣の量を減らすことにより、非金属ストレーナーの清浄度を維持すること、の両方を容易にすることが望ましい。
【0010】
別途示されない限り、比、百分率、部などは、重量によるものである。組成物中の重量百分率(または重量%)は、乾燥重量の百分率であり、すなわち、組成物中に存在し得る一切の水を排除した百分率である。ポリマー中のモノマー単位の百分率は、固形重量、すなわち、ポリマー乳剤中に存在する一切の水を排除した百分率である。
【0011】
特段の記述がない限り、本明細書で用いられる用語「分子量」および「Mw」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)およびポリエチレングリコール標準物などの従来の標準物を使用した従来の方法で測定された場合の重量平均分子量を指すために互換的に使用される。GPC技術は、Modem Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979、およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84で詳細に述べられている。分子量は、本明細書ではダルトンの単位で報告される。
【0012】
用語「エチレン性不飽和」は、分子または部分を重合性にする1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分子または部分を記載するために使用される。用語「エチレン性不飽和」は、モノエチレン性不飽和(1つの炭素-炭素二重結合を有する)および多エチレン性不飽和(2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)を含む。本明細書で用いられる用語「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを指す。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「エチレンオキシ」および「EO」という用語は、-CH-CH-O-基を指す。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「ホスフェート不含」は、0.5重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは検出限界値未満)のホスフェート(リン元素として測定)を含有する組成物を意味する。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる「構造単位」という用語は、示されたモノマーの残部を指し、したがって、アクリル酸の構造単位は、以下で示され、
【化3】
式中、点線は、ポリマー骨格への結合点を表す。
【0016】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトン(好ましくは5,000~18,000ダルトン、より好ましくは7,500~15,000ダルトン、最も好ましくは9,000ダルトン~13,000ダルトン)のマレイン酸/オレフィンコポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む分散剤ポリマーと、ビルダーと、界面活性剤と、を含み、界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、
【化4】
式中、Rは、直鎖または分枝の飽和C8~24アルキル基(好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、およびエイコシル基からなる群から選択され、最も好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ヘキサデシル基、オクタデシル基、からなる群から選択される)であり、Rは、直鎖飽和C2~8アルキル基(好ましくは、直鎖飽和C2~6アルキル基、より好ましくは、直鎖飽和C2~4アルキル基、最も好ましくはCアルキル基)であり、mは26~42(好ましくは29~33、より好ましくは30~32、最も好ましくは30.5~31.5)の平均値を有し、nは4~12(好ましくは5~11、より好ましくは6~9、最も好ましくは7~8)の平均値を有し、m+nは30~54(好ましくは34~44、より好ましくは36~41、最も好ましくは37.5~39.5)の平均値を有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、45重量%超(好ましくは、60重量%以上、より好ましくは50~64.5重量%、最も好ましくは62~64重量%)の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算したXに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満(好ましくは4~9.4、より好ましくは5~9.2、最も好ましくは7.5~8.5)である。界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレート化合物の混合物であり得、ここで、界面活性剤は、炭素数は異なるが、上述された範囲と一致する平均炭素数を有するアルキル基RおよびRの範囲を含有する混合物である。
【0017】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、重量平均分子量が2,500~20,000ダルトン(好ましくは5,000~18,000ダルトン、より好ましくは7,500~15,000ダルトン、最も好ましくは9,000ダルトン~13,000ダルトン)のマレイン酸/オレフィンコポリマーと、(a)アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーのブレンドを含む分散剤ポリマーであって、ブレンドが3:1~1:3(好ましくは、2.5:1~1:2.5、より好ましくは、2:1~1:2、最も好ましくは、1.5:1~1:1.5)の(a)アクリル酸ホモポリマー対(b)コポリマーのブレンド重量比を有する、分散剤ポリマーと、ビルダーと、界面活性剤であって、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートである界面活性剤とを含み、式中、Rは、直鎖または分枝の飽和C8~24アルキル基(好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、およびエイコシル基からなる群から選択され、最も好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ヘキサデシル基、オクタデシル基、からなる群から選択される)であり、Rは、直鎖飽和C2~8アルキル基(好ましくは、直鎖飽和C2~6アルキル基、より好ましくは、直鎖飽和C2~4アルキル基、最も好ましくはCアルキル基)であり、mは26~42(好ましくは29~33、より好ましくは30~32、最も好ましくは30.5~31.5)の平均値を有し、nは4~12(好ましくは5~11、より好ましくは6~9、最も好ましくは7~8)の平均値を有し、m+nは30~54(好ましくは34~44、より好ましくは36~41、最も好ましくは37.5~39.5)の平均値を有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、45重量%超(好ましくは、60重量%以上、より好ましくは50~64.5重量%、最も好ましくは62~64重量%)の1分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算したXに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満(好ましくは4~9.4、より好ましくは5~9.2、最も好ましくは7.5~8.5)である。界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレート化合物の混合物であり得、ここで、界面活性剤は、炭素数は異なるが、上述された範囲と一致する平均炭素数を有するアルキル基RおよびRの範囲を含有する混合物である。
【0018】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、(i)マレイン酸/オレフィンコポリマーおよび(ii)界面活性剤を含み、ここで、界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、(i)マレイン酸/オレフィンコポリマーと(ii)式Iの脂肪アルコールアルコキシレートの重量比は、10:1以下(好ましくは、1:1~10:1、より好ましくは3:1~9:1、最も好ましくは6.5:1~8.5:1)である。
【0019】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、マレイン酸/オレフィンコポリマー含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.1~2重量%(好ましくは0.2~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%、最も好ましくは0.4~0.6重量%)のマレイン酸/オレフィンコポリマーを含む。さらに好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.1~2重量%(好ましくは0.2~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%、最も好ましくは0.4~0.6重量%)のマレイン酸/オレフィンコポリマーを含み、マレイン酸/オレフィンコポリマーは、マレイン酸とジイソブチレンとのコポリマーである。最も好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.1~2重量%(好ましくは0.2~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%、最も好ましくは0.4~0.6重量%)のマレイン酸/オレフィンコポリマーを含み、マレイン酸/オレフィンコポリマーは、マレイン酸とジイソブチレンとのコポリマーであって、マレイン酸/オレフィンコポリマーの重量平均分子量Mwは、2,500~20,000ダルトン(好ましくは、5,000~18,000ダルトン、より好ましくは、7,500~15,000ダルトン、最も好ましくは9,000~13,000ダルトン)である。
【0020】
マレイン酸/オレフィンコポリマーは、水溶性溶液ポリマー、スラリー、乾燥粉末、または顆粒の形態もしくは他の固形形態であり得る。
【0021】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、分散剤ポリマーを含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーを含む。さらに好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーを含み、分散剤ポリマーはアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーを含む。最も好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーを含み、分散剤ポリマーは(a)アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーのブレンドであり、ブレンドは、3:1~1:3(好ましくは、2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは1.5:1~1:1.5)の(a)アクリル酸ホモポリマー対(b)コポリマーのブレンド重量比を有する。
【0022】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、1重量%以上(より好ましくは、2重量%以上、より好ましくは、3重量%以上、より好ましくは、4重量%以上)の分散剤ポリマーを含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、10重量%以下(より好ましくは、8重量%以下、より好ましくは、6重量%以下、より好ましくは、5重量%以下)の分散剤ポリマーを含む。6
【0023】
好ましくは、分散剤ポリマーは、(a)アクリル酸のコポリマーおよび(b)スルホン化モノマーのブレンドであり、ブレンドは、重量に基づいて、3:1~1:3(好ましくは、2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは、1.5:1~1:1.5)の(a)アクリル酸ホモポリマー対(b)コポリマーの重量比を有する。
【0024】
好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーの重量平均分子量Mは、2,000~100,000ダルトン(好ましくは、5,000~60,000ダルトン、より好ましくは、8,000~25,000ダルトン、さらに好ましくは、10,000~20,000ダルトン、最も好ましくは、12,500~17,500ダルトン)である。
【0025】
好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、少なくとも1つのスルホン化モノマーの構造単位を含む。より好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、4-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-アリルオキシスルホン酸、2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(HAPS)、2-スルホエチル(メタ)アクリル酸、2-スルホプロピル(メタ)アクリル酸、3-スルホプロピル(メタ)アクリル酸、4-スルホブチル(メタ)アクリル酸、およびそれらの塩からなる群から選択される、少なくとも1つのスルホン化モノマーの構造単位を含む。
【0026】
好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、5~65重量%(より好ましくは、15~40重量%、最も好ましくは、20~35重量%)のアクリル酸構造単位を含む。
【0027】
好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、50~95重量%(好ましくは、70~93重量%)のアクリル酸構造単位と、5~50重量%(好ましくは、7~30重量%)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の構造単位を含む。より好ましくは、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、50~95重量%(好ましくは、70~93重量%)のアクリル酸構造単位と、5~50重量%(好ましくは、7~30重量%)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の構造単位を含み、コポリマーの重量平均分子量Mwは、2,000~100,000ダルトン(より好ましくは、10,000~20,000ダルトン、最も好ましくは、12,500~17,500ダルトン)である。
【0028】
好ましくは、アクリル酸ホモポリマーの重量平均分子量Mは、1,000~20,000ダルトン(好ましくは、1,000~15,000ダルトン、より好ましくは、1,000~10,000ダルトン、さらに好ましくは、1,500~4,000ダルトン、最も好ましくは、1,750~3,000ダルトン)である。
【0029】
本発明の自動食器洗浄組成物中で使用される分散剤ポリマーとして含まれるポリマーは、様々な供給元から市販されており、かつ/またはそれらは、文献の技法を使用して調製され得る。例えば、低分子量分散剤ポリマーは、フリーラジカル重合により調製され得る。これらのポリマーを調製するための好ましい方法は、溶媒中での均一重合による。溶媒は、水、または2-プロパノールもしくは1,2-プロパンジオールなどのアルコール溶媒であり得る。フリーラジカル重合は、過硫酸アルカリ、または有機過酸および有機パーエステルなどの前駆体化合物の分解により開始される。前駆体の活性化は、高反応温度のみの作用(熱活性化)、または鉄(II)サルフェートとアスコルビン酸との組み合わせなどのレドックス作用物質の混和剤(レドックス活性化)による場合もある。これらの場合、連鎖移動剤は通常、ポリマー分子量を調整するために使用される。溶液重合において使用される好ましい連鎖移動剤の1つの分類は、アルカリまたは亜硫酸水素アンモニウムである。具体的には、二亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0030】
本発明の自動食器洗浄用組成物に使用される分散剤ポリマーとして含まれるポリマーは、水溶性溶液ポリマー、スラリー、乾燥粉末、または顆粒の形態もしくは他の固体形態で提供される。
【0031】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、ビルダーを含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、10~99.2重量%(好ましくは25~90重量%、より好ましくは40~80重量%、最も好ましくは50~70重量%)のビルダーを含む。カルボネートまたはシトレートの重量パーセントは、金属イオンを含む塩の実際の重量に基づく。
【0032】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物中で使用されるビルダーは、1つ以上の炭酸塩またはクエン酸塩を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「炭酸塩(複数可)」という用語は、炭酸塩、重炭酸塩、および/またはセスキ炭酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩を指す。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「クエン酸塩」という用語は、アルカリ金属クエン酸塩を指す。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物中で使用されるビルダーは、1つ以上の炭酸塩またはクエン酸塩を含み、ここで、炭酸塩およびクエン酸塩は、ナトリウム、カリウム、およびリチウム(より好ましくは、ナトリウムまたはカリウム、最も好ましくは、ナトリウム塩)の炭酸塩およびクエン酸塩からなる群から選択される。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物中で使用されるビルダーは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、界面活性剤を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.2~10重量%(好ましくは2.0~5重量%、より好ましくは3~4重量%、より好ましくは3.25~3.75重量%)の界面活性剤を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づいて、0.2~10重量%(好ましくは2.0~5重量%、より好ましくは3~4重量%、より好ましくは3.25~3.75重量%)の界面活性剤を含み、界面活性剤は式Iの脂肪アルコールアルコキシレートであり、式中、各Rは、直鎖または分枝の飽和C8~24アルキル基(好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、およびエイコシル基からなる群から選択され、最も好ましくは、直鎖または分枝鎖の飽和C12~20アルキル基が、ヘキサデシル基、オクタデシル基、からなる群から選択される)であり、Rは、直鎖飽和C2~8アルキル基(好ましくは、直鎖飽和C2~6アルキル基、より好ましくは、直鎖飽和C2~4アルキル基、最も好ましくはCアルキル基)であり、mは26~42(好ましくは29~33、より好ましくは30~32、最も好ましくは30.5~31.5)の平均値を有し、nは4~12(好ましくは5~11、より好ましくは6~9、最も好ましくは7~8)の平均値を有し、m+nは30~54(好ましくは34~44、より好ましくは36~41、最も好ましくは37.5~39.5)の平均値を有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、45重量%超(好ましくは、60重量%以上、より好ましくは50~64.5重量%、最も好ましくは62~64重量%)の分子当たりの平均エチレンオキシ単位濃度Xを有し、式Iの脂肪アルコールアルコキシレートは、nで除算したXに等しい比Zを有し、比Zは9.5未満(好ましくは4~9.4、より好ましくは5~9.2、最も好ましくは7.5~8.5)である。好ましくは、界面活性剤は、式Iの脂肪アルコールアルコキシレート化合物の混合物であり得、ここで、界面活性剤は、炭素数は異なるが、上述された範囲と一致する平均炭素数を有するアルキル基RおよびRの範囲を含有する混合物である。好ましくは、界面活性剤は式Iの脂肪アルコールアルコキシレート化合物の混合物であり、界面活性剤は2つの異なるアルキル基Rを含む混合物である。より好ましくは、界面活性剤は式Iの脂肪アルコールアルコキシレート化合物の混合物であり、界面活性剤は2つの異なるアルキル基Rを含む混合物であり、式中2つの異なるアルキル基Rは、ヘキサデシル基およびオクタデシル基である。
【0034】
本発明の自動食器洗浄組成物中の式Iの界面活性剤脂肪アルコールアルコキシレートは、既知の合成手順を用いて容易に調製することができる。例えば、本化合物を調製する通常の手順は以下のとおりである。式ROH(式中Rは、直鎖または分枝鎖の飽和C8~24アルキル基である)と一致するアルコールを反応器に添加し、塩基(例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシドまたは水酸化カリウム)の存在下で加熱する。混合物は、相対的に水を含んでいないはずである。次に、この混合物に、加圧下で所望の量のエチレンオキシドEOを添加する。EOが消費された後(反応器の気圧の大幅な低下により示されるように)、得られたエトキシル化アルコールは、塩基条件下で、エトキシル化アルコール:アルキレンオキシドが1:4~1:12のモル比で、アルキレンオキシド(アルキレンオキシドは、4~10個の炭素原子を含む)と反応することができる。触媒対エトキシル化アルコールのモル比は、0.01:1~1:1(好ましくは、0.02:1~0.5:1)であることができる。エトキシル化アルコールを形成するための反応およびアルキレンオキシドとのさらなる反応は、典型的には溶媒の非存在下で、25~200℃(好ましくは80~160℃)の温度で行われる。
【0035】
本発明の自動食器洗浄組成物は任意に、添加剤をさらに含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は任意に、アルカリ源;漂白剤(例えば、ナトリウムペルカルボネート、ナトリウムペルボレート);漂白活性化剤(例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED));漂白触媒(例えば、マンガンアセテート(II)、または塩化コバルト(II));酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、またはセルラーゼ);アミノカルボキシレートキレート剤(例えば、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDSA)、1,2-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、これらの塩、およびこれらの混合物);ホスホネート(例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP));発泡抑制剤;染料;芳香剤;シリケート;追加のビルダー;抗菌剤;充填剤(例えば、ナトリウムサルフェート);およびこれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む。錠剤または粉末形態で提供される自動食器洗浄組成物に使用される充填剤は、不活性水溶性物質、典型的にはナトリウムまたはカリウム塩(例えば、ナトリウムサルフェート、カリウムサルフェート、塩化ナトリウム、塩化カリウム)を含み、典型的には自動食器洗浄組成物の最大75重量%の範囲の量で提供される。ゲル形態で提供される自動食器洗浄組成物に使用される充填剤には、錠剤および粉末自動食器洗浄組成物で使用するために上述したものに加えて、水が含まれる。自動食器洗浄組成物に使用される香料、染料、発泡抑制剤、酵素および抗菌剤は、典型的には、自動食器洗浄組成物の10重量%以下(好ましくは5重量%以下)を占める。
【0036】
本発明の自動食器洗浄組成物は任意に、アルカリ源をさらに含む。最適なアルカリ源は、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水酸化物(例えば、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、および水酸化カリウム)およびこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。炭酸ナトリウムが好ましい。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づき、1~80重量%(好ましくは、20~60重量%)のアルカリ源(好ましくは、アルカリ源は炭酸ナトリウムである)を含む。
【0037】
本発明の自動食器洗浄組成物は、任意選択的に漂白剤をさらに含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄用組成物の乾燥重量に基づき、1~30重量%(好ましくは、8~20重量%)の漂白剤を含む。
【0038】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、漂白剤(好ましくは、漂白剤は過炭酸ナトリウムである)、漂白活性化剤(好ましくは漂白活性化剤はTAEDである)、界面活性剤(界面活性剤は上記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートである)、酵素(好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、およびこれらの混合物からなる群から選択される)、マレイン酸/オレフィンコポリマー、分散剤ポリマー(分散剤ポリマーは、(a)アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とAMPS(またはAMPSの塩)とのコポリマーのブレンドである)、ホスホネート(好ましくはホスホネートはHEDPである)、および任意に充填剤(好ましくは充填剤は硫酸ナトリウムである)を含む。
【0039】
好ましくは本発明の自動食器洗浄組成物は、10~50重量%(好ましくは15~30重量%、より好ましくは15~25重量%)の炭酸ナトリウム、5~50重量%(好ましくは10~40重量%、より好ましくは25~35重量%)のクエン酸ナトリウム、5~25重量%(好ましくは10~20重量%)の漂白剤(好ましくは漂白剤は過炭酸ナトリウムである)、1~6重量%(好ましくは2~5重量%)の漂白活性化剤(好ましくは漂白活性化剤はTAEDである)、0.2~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは2~7.5重量%)の界面活性剤(界面活性剤は上記式Iの脂肪アルコールアルコキシレートである)、0.1~2重量%(好ましくは0.2~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%、最も好ましくは0.4~0.6重量%)のマレイン酸/オレフィンコポリマー、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマー(分散剤ポリマーは(a)アクリル酸ホモポリマーおよび(b)アクリル酸とAMPS(またはAMPSの塩)とのコポリマーのブレンドである)、1~6重量%(好ましくは2~4重量%)の酵素(好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、およびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、酵素はプロテアーゼとアミラーゼとの混合物である)、1~10重量%(好ましくは2~7.5重量%)の充填剤(好ましくは充填剤は硫酸ナトリウムである)を含み、各重量%は自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づく。
【0040】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物のpHは、(蒸留水中1重量%で)少なくとも9(好ましくは、10以上)である。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、13以下のpH(蒸留水中の1重量%における)を有する。
【0041】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、任意の典型的な形態、例えば、錠剤、粉末、塊、一回量、小袋、ペースト、液体、またはゲルで配合されることができる。本発明の自動食器洗浄用組成物は、食器および調理器具、皿などの用品を自動食器洗浄機内で洗浄するのに有用である。
【0042】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、通常の操作条件下で使用される。例えば、自動食器洗浄機で使用されるとき、洗浄プロセス中の典型的な水温は、好ましくは20℃~85℃、好ましくは30℃~70℃である。自動食器洗浄組成物の典型的な濃度は、食器洗浄機内の合計液体の百分率として、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.2~0.7重量%である。適切な製品形態および添加時間の選択により、本発明の自動食器洗浄用組成物は、予備洗浄、主洗浄、最後から2番目のすすぎ、最終的なすすぎ、またはこれらのサイクルの任意の組み合わせにおいて存在し得る。
【0043】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、0.5重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは検出限界値未満)のホスフェート(リン元素として測定)を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄用組成物は、ホスフェート不含である。
【0044】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、合計で0.5重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは検出限界値未満)のアミノカルボキシレートキレート剤を含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、合計で0.5重量%未満(好ましくは、0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは検出限界地未満)の、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N、N-二酢酸(GLDA)、イミノ二コハク酸(IDSA)、1,2-エチレンジアミンニコハク酸(EDDS)およびアスパラギン酸二酢酸(ASDA)を含むアミノカルボキシレートキレート剤を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、0.5重量%未満(好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは検出限界値未満)のメチルグリシン二酢酸(MGDA)を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、アミノカルボキシレートキレート剤不含である。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)不含である。
【0045】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄機の清浄度を同時に維持しつつ、自動食器洗浄機で物品を洗浄する方法は、少なくとも1つの食品汚れ物品(例えば、ガラスタンブラー、ワイングラス、ステンレス鋼プレート、ポリエチレン容器)を提供することと、非金属ストレーナー(好ましくはプラスチックストレーナー)を備えた排水ラインを有する自動食器洗浄機を提供することと、水を提供することと、本発明による自動食器洗浄用組成物を選択することであって、自動食器洗浄用組成物は、自動食器洗浄機使用中に、食品汚れ物品を洗浄すること、および非金属ストレーナー上の食品汚れの蓄積を低減することによって非金属ストレーナーの清浄度を維持することという両方の目的のために特に選択される、自動食器洗浄用組成物を選択することと、水および自動食器洗浄用組成物を少なくとも1つの食品汚れ物品に適用して、洗浄品および食品汚水を形成することと、非金属ストレーナーを通して食品汚水を排出することと、を含む。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態をこれより以下の実施例において詳細に説明する。
【0047】
比較例C1および実施例1:アルコキシル化界面活性剤
1/4hpの磁気駆動撹拌機、1500ワット(115V)のCalrod電気加熱器、1/4インチの水が充填された冷却コイル、1/16インチの試料抽出するための浸漬管、内部サーモウェル、1024psigに設定された1/4インチの破裂板、900psigに設定された1/4インチの放出弁、液体レベルより下に沈められた酸化物添加ライン、および2インチの直径ピッチの翼撹拌機が備え付けられた2Lの316ステンレス鋼の円錐形状底部(最小撹拌容量は20mL)のParr反応器(モデル4530)内でアルコキシル化反応を行った。撹拌機シャフトの底部は、反応器の輪郭の形を呈する特注製作されたステンレス鋼パドルを有し、非常に小さい初期容量での撹拌を可能にした。酸化物添加システムは、1リットルのステンレス鋼添加シリンダーから構成され、それは、装填、秤量、および酸化物投入ラインに取り付けられた。反応器システムをSiemens SIMATIC PCS7プロセス制御システムによって制御した。Type Kの熱電対を用いて反応温度を測定し、Ashcroftの圧力変換装置を用いて圧力を測定し、ボール弁をSwagelokの空圧式弁駆動装置を用いて操作し、ASCOの電気弁を用いて冷却水流を制御し、Brooks Quantim(登録商標)Coriolis質量流量制御装置(モデル、QMBC3L1B2A1A1A1DH1C7A1DA)、および質量流量制御装置全体に100psigの圧力差を維持して、安定した流量を提供するTESCOM逆圧調節装置(モデル、44-1163-24-109A)からなる質量流量制御システムによって酸化物添加速度を制御した。
【0048】
比較例C1および実施例1のそれぞれにおいて、アルコキシル化反応は、2Lの316ステンレス鋼円錐底部(最小撹拌容量20mL)Parr反応器中で行われ、Parr反応器は、エチレンオキシド(EO)を添加する前に、ある量の開始剤を表1に記載した濃度の塩基性アルコキシル化触媒と共に充填し、窒素で1時間パージし、120~130℃に加熱した。次いで、Parr反応器にエチレンオキシド(EO)を0.5~3g/分の速度で充填し、表1に記載の開始剤に対するEOのモル比を得た。Parr反応器内の圧力を安定化した後、プロピレンオキシド(PO)(存在する場合)およびブチレンオキシド(BO)(存在する場合)をParr反応器に0.5~2g/分の速度で充填し、表1に記載の開始剤に対するPOのモル比および開始剤に対するBOのモル比を得た。次いで、Parr反応器を120~130℃で一晩保持した後、50℃に冷却して、下記の自動食器洗浄試験で使用するための生成物界面活性剤を回収した。
【表1】
【0049】
食品汚れを調製するための手順
表2に記載の食べ物汚れ配合物は、水を70℃に加熱し、次いでジャガイモデンプン、クォーク粉末、安息香酸およびマーガリンを添加することによって調製した。マーガリンが確実に溶解するまで撹拌した。次に、牛乳を添加し、よく撹拌する。得られた混合物を冷却させる。次いで、温度が45℃未満になったら、卵黄、ケチャップ、およびマスタードを添加する。十分に混合し、次に、自動食器洗浄試験に使用するために、50gの分量で得られた食べ物汚れを凍結する。
【表2】
【0050】
比較例CF1~CF6および実施例F1~F6:食器洗浄用配合物
表3のうちの1つで同定された成分配合物を用いて、市販の界面活性剤、上記比較例C1および実施例1にしたがって調製された界面活性剤を含有する食器洗浄組成物を得た。成分配合物の各々に使用されたプロテアーゼは、Novozymesから入手可能なSavinase(登録商標)12Tプロテアーゼであった。成分配合物の各々に使用されたアミラーゼは、Novozymesから入手可能なStainzyme(登録商標)12Tアミラーゼであった。
【表3】
【0051】
食器洗浄試験条件
洗浄1回当たり20g投入された比較例CF1~CF4および実施例F1~F2の食器洗浄用配合物を使用した食器洗浄試験条件は、以下のとおりである。機械:Miele SS-ADW、モデルG1223SC L2。プログラム:V4、8分間にわたる加熱洗浄、ファジィ論理離脱加熱乾燥を伴う50℃での洗浄サイクル。水:硬度380ppm(EDTA滴定によりCaCOとして定量)、Ca:Mg=3:1、炭酸ナトリウム250ppm。食べ物汚れ:カップ内で凍結した表2に記載の組成物50gをt=0で導入した。
【0052】
洗浄1回当たり20g投入された比較例CF5~CF7および実施例F3~F5の食器洗浄用配合物を使用した食器洗浄試験条件は、以下のとおりである。機械:Miele SS-ADW、モデルG1222SC Labor。プログラム:V4、8分間にわたる加熱洗浄、ファジィ論理離脱加熱乾燥を伴う50℃での洗浄サイクル。水:硬度390ppm(EDTA滴定によりCaCOとして定量)、Ca:Mg=3:1、炭酸ナトリウム250ppm。食べ物汚れ:カップ内で凍結した表2に記載の組成物50gをt=0で導入した。
【0053】
膜形成およびしみ形成の評価
外気で乾燥させた後、訓練を受けた評価者によって、下からの制御された照明を有する発光ボックス内でガラスタンブラーを観察することにより、膜形成およびしみ形成の評価を判定した。ガラスタンブラー、ワイングラス、ステンレス鋼プレート、ポリエチレン容器を、ASTM法にしたがって、1(膜/しみなし)~5(重度の膜形成/しみ形成)の範囲で、膜形成および斑点形成を評価した。ガラスタンブラー、ワイングラス、ステンレス鋼プレート、およびポリエチレン容器について、それぞれ10回の洗浄サイクル後の膜形成およびしみ形成に対する平均値1~5を、表4にて報告する。食器洗浄機からの排水ライン内の非金属ストレーナーを、各食器洗浄組成物の1回目の洗浄サイクル前および10回目の洗浄サイクル後に秤量して、ストレーナーで収集した残渣の量を決定した。結果を表5に示す。
【表4】
【表5】