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特許7558983乳分析装置の制御ユニットおよび乳分析装置に挿入可能なカセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】乳分析装置の制御ユニットおよび乳分析装置に挿入可能なカセット
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240924BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240924BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N35/02 A
G01N33/48 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021573566
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 SE2020050583
(87)【国際公開番号】W WO2020251457
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】1950716-9
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダレラップ ラスムッセン、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】スラービー、ジョン
【審査官】寺田 祥子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236272(WO,A1)
【文献】特開2017-041261(JP,A)
【文献】特表2006-517652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0260939(US,A1)
【文献】特開2002-214240(JP,A)
【文献】特開2001-083161(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00ー35/10
G01N 33/48
A01J 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット(130)に含まれる第2の無線通信デバイス(220)を介して前記カセット(130)のメモリデバイス(230)と通信するための、第1の無線通信デバイス(210)を備える乳分析装置(120)の制御ユニット(240)であって、前記カセット(130)が、前記乳分析装置(120)に挿入可能であり、また、一度使用するための所定の数の乳分析ユニット(260a、260b、260c)を含み、前記制御ユニット(240)は、
乳分析セッション中に消費された乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を決定することと、
前記乳分析セッション中に乳分析ユニット(260a、260b、260c)の消費された数に関連する情報を、前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)に記憶するために、前記第1の無線通信デバイス(210)を介して前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)に送信することと
前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)から、前記カセット(130)の残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を取得することと、
前記残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を第1のトリガーレベルと比較することと、
前記第1のトリガーレベルよりも少ない乳分析ユニット(260a、260b、260c)が残っているときに、前記乳分析装置(120)の試験方式を変えることと、を行うように構成されている、制御ユニット(240)。
【請求項2】
乳分析ユニット(260a、260b、260c)の残りの数の計算が、
試験セッションを実施する前に、前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)から、前記カセット(130)の残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を取得することと、
残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の前記取得された数および前記乳分析セッション中に前記消費された乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数に基づいて、前記カセット(130)上の乳分析ユニット(260a、260b、260c)の残りの数を推定することと、を含み、
前記送信される情報は、乳分析ユニット(260a、260b、260c)の前記推定された残りの数に関する、請求項1に記載の制御ユニット(240)。
【請求項3】
前記残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を前記第1のトリガーレベルよりも小さい第2のトリガーレベルと比較することと、
前記乳分析ユニット(260a、260b、260c)の残りの量が前記第2のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者に前記カセット(130)を取り替えるように促す警告を出力することと、を行うように構成されている、請求項1または2に記載の制御ユニット(240)。
【請求項4】
前記乳分析ユニット(260a、260b、260c)が、前記カセット(130)のテープ(250)上に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項5】
前記試験セッションを実施する前に、前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)から、前記カセット(130)の機能不全の乳分析ユニット(260a、260b、260c)に関する情報を取得することと、
前記テープ(250)上の後続の乳分析ユニット(260a、260b、260c)が機能不全であることを検出することと、
前記テープ(250)上の次の機能不全でない乳分析ユニット(260a、260b、260c)に対して乳分析動作を行うために前記テープ(250)を所定の位置に前進させることと、を行うように構成されている、請求項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項6】
前記カセット(130)が初めて使用されたときを検出することと、
前記カセット(130)の最初の使用が検出された時点を決定することと、
前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)に記憶するために、前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記決定された時点を前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)に送信することと、を行うように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項7】
現在の時点を決定することと、
前記カセット(130)の前記最初の使用に関連する、前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)の記憶された時点と、前記現在の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認することと、
前記所定の期限を超えたときに、前記カセット(130)の使用を中止することと
前記所定の期限を超えたときに、前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)に記憶するために、前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記カセット(130)のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを送信することと、を行うように構成されている、請求項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項8】
前記所定の期限をその期間だけ超えたときに、出力デバイスを介して農業管理者に前記カセット(130)を変えるように促す警告を出力するように構成されている、請求項に記載の制御ユニット(240)。
【請求項9】
前記カセット(130)の前記乳分析ユニット(260a、260b、260c)との前記試験セッションの開始に関連して、前記第1の無線通信デバイス(210)を起動すること、および/または
前記乳分析ユニット(260a、260b、260c)の残りの数に関する前記情報が送信されたときに、前記第1の無線通信デバイス(210)の動作を停止すること、を行うように構成されている、請求項2または5に記載の制御ユニット(240)。
【請求項10】
システム(10)であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の制御ユニット(240)と、
一度使用するための所定の数の乳分析ユニット(260a、260b、260c)、メモリデバイス(230)、および第2の無線通信デバイス(220)を備えるカセット(130)と、
前記カセット(130)に含まれる前記第2の無線通信デバイス(220)を介して前記カセット(130)の前記メモリデバイス(230)及び前記制御ユニット(240)と通信するための、第1の無線通信デバイス(210)を備える乳分析装置(120)と、
前記乳分析装置(120)と連動して動作する乳抽出構成装置(110)と、を備え
前記カセット(130)は、前記カセット(130)が前記乳分析装置(120)に挿入されたときに、前記乳分析装置(120)の前記第1の無線通信デバイス(210)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)と情報交換するために前記乳分析装置(120)に挿入可能であり、前記メモリデバイス(230)は、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)から、乳分析ユニット(260a、260b、260c)の残りの数に関する情報を受信することと、
前記受信した情報を記憶することと、を行うように構成されている、システム(10)。
【請求項11】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記カセット(130)の残りの乳分析ユニット(260a、260b、260c)の数を前記制御ユニット(240)に提供するように構成されている、請求項10に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記メモリデバイス(230)が、
前記カセット(130)の機能不全の乳分析ユニット(260a、260b、260c)に関する情報を記憶することと、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記機能不全の乳分析ユニット(260a、260b、260c)に関する前記情報を前記制御ユニット(240)に提供することと、を行うように構成されている、請求項10または11に記載のシステム(10)。
【請求項13】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)から、前記カセット(130)の最初の使用の時点に関する情報を受信することと、
前記受信した情報を記憶することと、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記カセット(130)の前記最初の使用の前記時点に関する記憶された情報を前記制御ユニット(240)に提供するように構成されている、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記メモリデバイス(230)が、
前記第2の無線通信デバイス(220)を介して、前記乳分析装置(120)の前記制御ユニット(240)から、前記カセット(130)のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信することと、
前記受信した情報を記憶することと、を行うように構成されている、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項15】
前記乳分析ユニット(260a、260b、260c)が、前記カセット(130)のテープ(250)上に配置されている、請求項10~14のいずれか一項に記載のカセット(130)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、乳分析装置に挿入可能なカセットと、乳分析装置の制御ユニットと、を開示する。より詳細には、本明細書では、カセットに含まれる第2の無線通信デバイスを介してカセットのメモリデバイスと通信するための、第1の無線通信デバイスを備える乳分析装置の制御ユニットが提示される。
【背景技術】
【0002】
動物農場では、乳/肉の生産を増強するため、ならびに/または例えば動物が発情および/もしくは妊娠するときを監視するために、動物を健康に保つことが重要である。動物を首尾よく受精させるためには、最適な時期に動物に受精することが重要である。動物が首尾よく受精されない場合、乳生産が影響を受ける。
【0003】
例えばプロゲステロン、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)、BHB(ベータ-ヒドロキシ酪酸)、および尿素のレベルを測定するなど、いくつかのバイオマーカー測定を動物に行い得る。それにより、例えば個々の動物の発情検出および/または妊娠に関する重要な情報が、(測定されたプロゲステロンレベルに基づいて)作られ得、(LDHに基づく)乳房炎および(BHBに基づく)ケトーシスも同様である。また、(尿素に基づいて)動物のエネルギーバランスも推定し得る。
【0004】
それにより、農家/操作者に、各個々の動物の状態に関する重要な情報が提供される。しかしながら、例えば準備されたドライスティック上に乳サンプルを適用することによって、農場で個々の動物すべてのバイオマーカー測定を実施および分析して、これらのサンプルを分析することは、他の様々な重要な問題に対処しなければならないであろう農家にとって、時間がかかる。また、様々な動物からのバイオマーカーの測定値を区別すること、個々の動物ごとにバイオマーカー測定を繰り返すべきとき、およびバイオマーカー測定ユニットを変えるべきときについて経過を追うことの農家の管理スキル、バイオマーカー試験装置のメンテナンスに高度の要求が課され、第1の動物のバイオマーカー測定を別の動物の生物学的物質によって汚染させないための清浄度にも高度の要求が課される。
【0005】
例えば搾乳セッション時にまたはその前後に、動物の乳サンプルを定期的に分析するために、乳分析装置が、乳抽出構成装置と協働するように構成され得る。乳分析装置は、乳サンプルを抽出し、それを、ドライスティック/横方向流動スティック/横方向流動試験ストリップ、または類似物などの乳分析ユニットに提供し得る。乳は、典型的には、希釈剤で希釈され、希釈剤は、試験セッションの合間にチューブ類を濯ぐためにも使用され得る。希釈剤は、液体容器内に提供され得る。
【0006】
乳分析ユニットは、カセット内に、例えばカセット内のテープ上に維持されている。それにより、乳分析ユニットは、一度に1つの乳分析ユニットを前進させることにより、農場で容易に投与され得る。典型的には、各試験サンプルに対して1つの乳分析ユニットが使用される。カセットは、多量の乳分析ユニットを含み得るが、それでも、乳分析ユニットを有するカセットは、すべての乳分析ユニットが消費されたら、新しいものと交換される必要がある。
【0007】
農家が、異なる乳分析装置で、農場にある乳分析ユニットを有するカセットの使用状況の経過を追うのを支援するための解決策を見出し、また、乳分析ユニットがないために乳試験ができないことを回避するために、農家が適時にカセットを変えるのを支援することが望ましい。また、不要な資源の浪費になるため、すべての乳分析ユニットが消費される前にカセットを早く変えないことが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記の問題のうちの少なくともいくつかを解決し、農家が動物の乳サンプルのバイオマーカー値を測定することを容易にすることである。
【0009】
バイオマーカー、または生物学的マーカーは、一般に、動物の何らかの生物学的状態または様態の測定可能なインジケータを指す。バイオマーカー値の測定は、動物の妊娠/生殖、動物の健康、および/または動物の乳の品質に関連付けられ得る。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、農業環境において、乳分析装置の制御ユニットによって達成される。乳分析装置は、カセットに含まれる第2の無線通信デバイスを介してカセットのメモリデバイスと通信するための、第1の無線通信デバイスを備える。カセットは、乳分析装置に挿入可能であり、また、一度使用するための所定の数の乳分析ユニットを含む。制御ユニットは、乳分析セッション中に消費された乳分析ユニットの数を決定するように構成されている。さらに、制御ユニットは、乳分析セッション中に乳分析ユニットの消費された数に関連する情報を、カセットのメモリデバイスに記憶するために、第1の無線通信デバイスを介してカセットのメモリデバイスに送信するように構成されている。
【0011】
第1の態様による制御ユニットの第1の可能な実装形態では、乳分析ユニットの残りの数の計算は、試験セッションを実施する前に、カセットのメモリデバイスから、カセットの残りの乳分析ユニットの数を取得することを含む。計算はまた、残りの乳分析ユニットの取得された数および乳分析セッション中に消費された乳分析ユニットの数に基づいて、カセット上の乳分析ユニットの残りの数を推定することを含む。送信される情報は、乳分析ユニットの推定された残りの数に関するものである。
【0012】
第1の態様による、またはその第1の実装形態による制御ユニットの第2の可能な実装形態では、制御ユニットは、カセットのメモリデバイスから、カセットの残りの乳分析ユニットの数を取得するように構成され得る。また、制御ユニットは、残りの乳分析ユニットの数を第1のトリガーレベルと比較するように構成され得る。さらに、制御ユニットはまた、第1のトリガーレベルよりも少ない乳分析ユニットが残っているときに、乳分析装置の試験方式を変えるように構成され得る。
【0013】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第3の可能な実装形態では、制御ユニットは、残りの乳分析ユニットの数を第1のトリガーレベルよりも小さい第2のトリガーレベルと比較するように構成され得る。加えて、制御ユニットはまた、乳分析ユニットの残りの量が第2のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者にカセットを取り替えるように促す警告を出力するように構成され得る。
【0014】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態よる制御ユニットの第4の可能な実装形態では、乳分析ユニットは、カセットのテープ上に配置される。
【0015】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第5の可能な実装形態では、制御ユニットは、試験セッションを実施する前に、カセットのメモリデバイスから、カセットの機能不全の乳分析ユニットに関する情報を取得するように構成され得る。また、制御ユニットは、テープ上の後続の乳分析ユニットが機能不全であることを検出するように構成され得る。さらに加えて、制御ユニットは、テープ上の次の機能不全でない乳分析ユニットで乳分析動作を行うために、テープを所定の位置に前進させるように構成され得る。
【0016】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第6の可能な実装形態では、制御ユニットは、カセットが初めて使用されるときを検出するように構成され得る。また、制御ユニットは、カセットの最初の使用が検出された時点を決定するように構成され得る。制御ユニットはさらに、カセットのメモリデバイスに記憶するために、第1の無線通信デバイスを介して、決定された時点をカセットのメモリデバイスに送信するように構成され得る。
【0017】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第7の可能な実装形態では、制御ユニットは、現在の時点を決定するように構成され得る。さらに、制御ユニットは、カセットの最初の使用に関連する、カセットのメモリデバイスの記憶された時点と、現在の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認するように構成され得る。加えて、制御ユニットは、所定の期限を超えたときにカセットの使用を中止するように構成され得る。
【0018】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第8の可能な実装形態では、制御ユニットは、所定の期限を超えたときに、カセットのメモリデバイスに記憶するために、第1の無線通信デバイスを介して、カセットのさらなる使用を禁止するブロッキングサインを送信するように構成され得る。
【0019】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第9の可能な実装形態では、制御ユニットは、所定の期限をその期間だけ超えたときに、出力デバイスを介して農業管理者にカセットを交換するように促す警告を出力するように構成され得る。
【0020】
第1の態様による、または以前に開示されたその任意の実装形態による制御ユニットの第10の可能な実装形態では、制御ユニットは、カセットの乳分析ユニットとの試験セッションの開始に関連して、第1の無線通信デバイスを起動するように構成され得る。制御ユニットは、乳分析ユニットの残りの数に関する情報が送信されたときに、第1の無線通信デバイスの動作を停止するように構成され得る。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、一度使用するための所定の数の乳分析ユニットを含むカセットによって達成される。また、カセットは、メモリデバイスおよび第2の無線通信デバイスを備える。カセットは、乳分析装置に挿入可能である。カセットは、カセットが乳分析装置に挿入されるときに、乳分析装置の第1の無線通信デバイスを介して乳分析装置の制御ユニットと情報交換するように構成されている。カセットのメモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置の制御ユニットから乳分析ユニットの残りの数に関する情報を受信するように構成されている。メモリデバイスは、受信した情報を記憶するようにさらに構成されている。
【0022】
第2の態様によるカセットの第1の可能な実装形態では、メモリデバイスはまた、第2の無線通信デバイスを介して、カセットの残りの乳分析ユニットの数を制御ユニットに提供するように構成され得る。
【0023】
第2の態様によるカセットの第2の可能な実装形態、またはその可能な実装形態のいずれかでは、メモリデバイスは、カセットの機能不全の乳分析ユニットに関する情報を記憶するように構成され得る。メモリデバイスはまた、第2の無線通信デバイスを介して、機能不全の乳分析ユニットに関する情報を制御ユニットに提供するように構成されている。
【0024】
第2の態様によるカセットの第3の可能な実装形態、またはその可能な実装形態のいずれかでは、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置の制御ユニットから、カセットの最初の使用の時点に関する情報を受信するように構成され得る。メモリデバイスは、受信した情報を記憶するようにさらに構成され得る。
【0025】
第2の態様によるカセットの第4の可能な実装形態、またはその可能な実装形態のいずれかでは、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、カセットの最初の使用の時点に関する記憶された情報を制御ユニットに提供するように構成され得る。
【0026】
第2の態様によるカセットの第5の可能な実装形態、またはその可能な実装形態のいずれかでは、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して、乳分析装置の制御ユニットから、カセットのさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信するように構成され得る。メモリデバイスは、受信した情報を記憶するようにさらに構成され得る。
【0027】
第2の態様によるカセットの第6の可能な実装形態、またはその可能な実装形成のいずれかでは、メモリデバイスは、第2の無線通信デバイスを介して制御ユニットから、カセットのさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信するように構成され得る。メモリデバイスは、受信したブロッキングサインを記憶するようにさらに構成され得、それにより、カセットのさらなる使用を禁止する。
【0028】
第2の態様によるカセットの第7の可能な実装形態、またはその可能な実装形態のいずれかでは、乳分析ユニットは、カセットのテープ上に配置される。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、これ目的は、農業環境におけるシステムによって達成される。システムは、第1の態様による制御ユニット、またはその可能な実装形態のうちのいずれかを備える。さらに、システムはまた、第2の態様によるカセット、またはその可能な実装形態のうちのいずれかも備える。加えて、システムは、カセットに含まれる第2の無線通信デバイスを介してカセットのメモリデバイスと通信するための、第1の無線通信デバイスを備える乳分析装置を備える。システムは、乳分析装置と連動して動作する乳抽出構成装置を備える。
【0030】
それにより、液体抽出セッション中にカセット上の乳分析ユニットの消費を記録し、この情報をカセットのメモリデバイスに繰り返し記憶することにより、カセットを変える、および/または試験方式を変える、および/または取り替え用カセットを自動的に注文する場合/とき、また、注入モジュールが別の乳分析装置に挿入される場合を推定することができる。
【0031】
これにより、カセットの適時の取り替えが確認される。また、カセットの履歴、すなわち、カセットを初めて使用したときを追跡することも可能になり得、これにより、乳分析装置の故障または再生利用の場合のトラブル対応が容易になる。カセットの不正な再利用も回避される。
【0032】
これにより、液体抽出セッションが、十分な数の残りの乳分析ユニットが不足している、および/または劣化した乳分析ユニットを含むカセットで開始されることが回避される。さらに、新しいカセットが時間内に注文され、また、カセットが適切なタイミングで取り替えられることを確認するための措置を講じて、乳分析装置の計画された乳サンプル試験を妨げずに、資源、すなわちカセットの不必要な浪費を回避することができる。
【0033】
これにより、乳分析装置の管理に関連する農家のコスト、メンテナンス、および作業強度が、最小限に抑えられるか、または少なくとも低減される。
【0034】
他の利点および追加の新規機能が、後続の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
ここで、発明の実施形態を、添付の図を参照してさらに詳細に説明する。
図1】動物の乳サンプルのバイオマーカー値を測定するための構成装置の一例を示す。
図2A】一実施形態による、乳分析装置に挿入されたカセットを示す。
図2B】一実施形態による、ドライスティックを含むテープのセクションを示す。
図3A】一実施形態による、カセット、液体容器、および乳分析装置を示す。
図3B】側面から見たカセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書に記載の発明の実施形態は、制御ユニットおよびカセットとして定義され、これらは、以下に記載される実施形態において実施され得る。しかしながら、これらの実施形態は、多くの異なる形態で例示および実現され得、本明細書に記載の実施例に限定され得ず、むしろ、これらの例示的な実施形態の例は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供される。
【0037】
さらに他の目的および特徴が、添付の図面と併せて検討される以下の詳細な説明から明らかとなり得る。しかしながら、図面は、例示のみを目的として策定されており、本明細書に開示される実施形態の限度の定義としては策定されておらず、それについては、添付の特許請求の範囲が参照されることを理解されたい。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、別様に示されない限り、それらは単に、本明細書に記載の構造および手順を概念的に示すことを意図されている。
【0038】
図1は、酪農場における乳畜の群れに含まれ得る動物100の乳を分析するためのシステム10を用いたシナリオを示す。
【0039】
「動物」は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、霊長類、酪農用バッファロー、ロバ、ヤク、その他などの任意の種類の家畜化された雌の乳生産および/または肉生産哺乳動物であり得る。
【0040】
動物100の乳は、例えば搾乳ロボットまたは他の搾乳構成装置などの乳抽出構成装置、または搾乳器具110によって抽出され、乳分析装置120に提供され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、乳分析装置120は、乳抽出構成装置110に関連付けられ、場合によっては、乳抽出構成装置110に解放可能に挿入可能でさえあり得る。したがって、乳、および場合によっては電気を、乳抽出構成装置110を介して乳分析装置120に提供するために、インターフェースが乳抽出構成装置110と乳分析装置120との間に存在し得る。
【0042】
乳分析装置120は、カメラ、1つまたはいくつかのポンプ、乳抽出構成装置110へのインターフェースに取り付けるためのチューブ要素、モータ、通信ユニット、その他などの様々な電子機器および器具を備える。
【0043】
カセット130が、乳分析装置120に取り外し可能に挿入され得る。カセット130は、ドライスティック/横方向流動スティック/横方向流動試験ストリップまたは類似物など、乳分析ユニットを有するテープまたは類似の対応する構成装置を含み得る。乳分析ユニットは、乳サンプルが乳分析ユニットに適用されたときに、動物100の乳サンプルのバイオマーカー値を示すように、例えば横方向流動試験によって乳サンプル中のプロゲステロンを示すように構成されている。
【0044】
カセット130は、いくつかの実施形態では、乳分析装置120に取り外し可能に挿入され、スナップロック、磁石、ねじ、その他などの締結手段によって所定の位置に保持され得、また、乳分析装置120のドアが、カセット130を乳分析装置120内に封入するために閉じられ得、それにより、カセット130はその位置にさらに固定される。それにより、すべての乳分析ユニットが消費されたときに、農家がカセット130を交換するのは容易であり、しかもカセット130は、農業環境における過酷な周辺状況から十分に保護されている。
【0045】
また、液体容器135が、乳分析装置120に挿入可能であるか、または乳分析装置120に関連付けられ(すなわち、物理的に接続され)得る。液体容器135は、抽出された乳を希釈するために、また、または代替的に、乳分析装置120のチューブ類、ニードル、ポンプ、その他を濯ぐために使用され得る希釈剤を含み得る。
【0046】
チューブ類、ニードル、ポンプ、その他は、注入モジュール内に保管され得る。それにより、チューブ類、ニードル、およびポンプは、1回の取り替えで、すべて同時に交換され得る。
【0047】
それにより、動物100の乳サンプルは、乳抽出構成装置110によって動物100から抽出され、乳分析装置120を介して、カセット130のテープ上の乳分析ユニットのうちの1つに提供され得る。乳分析ユニットは、例えば色または色の強度を変えることによって、1つまたはいくつかのバイオマーカーの存在および/または量に反応し得る。乳分析装置120内のカメラは、カセット130の開口部を通して画像を獲得し得る。次いで、獲得された乳分析ユニットの画像は、制御ユニットによって分析され得、かつ色の強度に基づいて、乳サンプル中のバイオマーカーの存在および/または量が、それによって決定され得る。
【0048】
異なる実施形態において、測定されたバイオマーカーは、例えばプロゲステロン、糖タンパク質、エストロゲンおよび/もしくはゴナダトロピン放出ホルモン、または動物100の生殖または健康に関連付けられる他の任意の同様のバイオマーカーであり得る。
【0049】
プロゲステロンは、動物100のいくつかの生理的機能を調節するホルモンである。プロゲステロンは、妊娠のために子宮を準備し、受精が起こった場合に妊娠を維持し、妊娠中に動物100が発情存続の兆候を示したり、排卵したりするのを阻害し得る。プロゲステロンレベルは、例えば、妊娠の初めに上昇し、動物100の妊娠中ずっと高レベルに保たれ得る。乳サンプル中のプロゲステロンレベルを使用して、妊娠、発情周期(発情検出)、および/または産後の卵巣活動を監視し得る。これらの理由で、農場における動物100のプロゲステロンレベルは、農家が検出して記録するのに興味深い。
【0050】
しかしながら、測定されるバイオマーカーは、いくつかの実施形態では、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)、BHB(ベータ-ヒドロキシ酪酸)、尿素、および/もしくは体細胞数、または動物100の状態に関連する他のバイオマーカーを含み得る。いくつかの実施形態では、上記に列挙された複数のバイオマーカーが測定され得る。代替的に、いくつかの実施形態では、農家は、農家によって選択されたような、バイオマーカーもしくはバイオマーカーのセットを測定するように構成された特定の乳分析ユニットを含むカセット130、および/または例えば一年の異なる時期に異なるバイオマーカーもしくはバイオマーカーのセットを測定するように構成されたテープ上に、乳分析ユニットを含む異なるカセット130を定期購入し得る。
【0051】
したがって、乳分析装置120は、カセット130、注入モジュール、および/または液体容器135などのいくつかのモジュールを含み、これらは、異なるモジュールに対して異なる時点で発生し得る特定の時間間隔で、それぞれの新しいモジュールに変えられるか、または代替的に、互いに同期される。
【0052】
乳分析ユニットを有するカセット130は、乳分析ユニットが消費されたときに交換される。しかしながら、使用される乳分析ユニットの数は、どのくらいの頻度でサンプリングが行われるか、各動物100に対していくつの乳分析ユニットが使用されるか、および/またはカセット130内にいくつの不良乳分析ユニットが存在するかに依存するであろう。例えば、農家が主に動物100の受精のタイミングに関心がある場合、特定の動物100が発情していると予測される時点の前後または直前にのみ、その動物100のサンプルが採取され得る。経産雌ウシおよび未産雌ウシなどの動物100は、典型的には17~24日(平均21日)ごとに発情する、つまり発情期に入り、そのため、最後の発情の時点の知識に基づいて次の発情を大まかに予測することができる。
【0053】
別の農家は、例えば特定の動物100の健康状態を調査するために、搾乳イベントごとに乳サンプルを採取したいかもしれない。また、異なるカセット130は、場合によっては、異なる数の乳分析ユニットを含み得る。それにより、異なる乳分析装置120に対して、カセット130、注入モジュール、および/または液体容器135の交換の合間の期間は、異なり得る。
【0054】
注入モジュールは、ホースポンプなどの1つまたはいくつかのポンプと、乳抽出構成装置110に取り付けるためのチューブ要素と、を備える。1つまたはいくつかのポンプは、乳抽出構成装置110からチューブ要素を通ってニードルまで乳サンプルを進めるためにチューブ要素に作用するように構成され得る。次いで、乳サンプルは、液体容器135からの希釈剤を用いて、ニードルの混合チャンバ内で希釈され得(または場合によっては、別個の混合チャンバ内で希釈され、次いでニードルに提供され得)、その後、希釈された乳サンプルは、ニードルからカセット130の乳分析ユニットに適用され得る。
【0055】
様々なモジュール、すなわち注入モジュール、液体容器135、および/またはカセット130は、それぞれのモジュールを乳分析装置120に取り付けるように構成された、例えばスナップフィット構成、磁気、ねじ継手、その他の形態の締結手段を含み得る。
【0056】
提供される解決策のモジュール構造は、いくつかの利点を有する。構成装置を、農場の乳抽出構成装置110に取り付け得る注入モジュール、液体容器135、およびカセット130の形態のモジュールに保つことにより、農家のコスト、メンテナンス、および作業強度が、最小限に抑えられるか、または少なくとも低減され得る。また、カセット130の乳分析ユニット/測定スティックなどの消耗材を、注入モジュールのポンプのような摩耗にさらされる要素と、乳分析装置の電子機器および器具とから分離することによって、カセット130は、例えば宅配サービスまたは郵便局の定期購入を介して注文された、別の取り替え用カセットと絶えず取り替えられ得る。
【0057】
乳分析装置120は、他方で、故障時に、乳抽出構成装置110および注入モジュール/液体容器135/カセット130から取り外され、トラブル対応、修理、メンテナンス、その他のために作業工場に送られ得る。
【0058】
その間、古い注入モジュール/液体容器135/カセット130を適用することができる、同一の取り替え用乳分析装置120が農場に提供され得、乳分析装置120の器具が故障しているときにも、農場での継続的なバイオマーカー測定を可能にする。
【0059】
さらに、記載された構成は、特別に訓練された技術者が農場に来訪する必要なしに、農家によって操作され得る。代わりに、農家は、故障したモジュールを作業工場に送ってもよいし、または単にそれを取り替えてもよい。
【0060】
希釈剤、乳分析ユニット、およびチューブ類をそれぞれ別個のモジュールに維持することにより、それらは、考えられるいかなる農場の環境の影響からも保護される。
【0061】
しかしながら、農家がどのモジュールをどの時点で変えるかという経過を追うことが問題になり得るという問題が出てくる。それぞれのモジュール、またはモジュールのうちの少なくとも1つの特定のモジュールを変えるときを農家に思い出させるためのツールを見出し、かつ/またはカセット130内に未使用の乳分析ユニットがもはや存在しないときに乳分析装置120を動作させることを不可能にすることが望ましい。
【0062】
図1および図2Aは、読者が大まかな概要を理解するために、提供される解決策による乳分析装置120、カセット130、液体容器135、および注入モジュールが動作するよう意図されている環境の全体的概要を、過度に詳細に立ち入らずに示す。優れたテープの詳細の例が、図2Bで検討され得る。図3Aは、提供された解決策の特定の態様、および乳分析装置120、具体的にはカセット130の様々なモジュール間の相互作用を示し、一方、図3Bは、カセット130の別の図を示している。
【0063】
図2Aおよび図2Bは、一実施形態による、互いにかつ乳抽出構成装置110と相互作用する乳分析装置120、カセット130、液体容器135、および注入モジュールを示すシナリオを示す。
【0064】
乳分析装置120は、動物100から受け取った乳サンプルの生体測定値を決定するために使用される、例えばカメラ、乳抽出構成装置110に取り付けるためのチューブ要素、モータ、通信ユニット、その他などの電子機器および器具を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたはいくつかのポンプおよびチューブ類が、注入モジュール内に含まれる。ポンプ(複数可)は、乳サンプルを乳抽出構成装置110からチューブ要素を通して進ませてニードルまたはニードルの混合チャンバに到達させるために、チューブ要素に作用するように構成されている。代替的に、混合チャンバは、ニードルの外部にあってもよい。チューブ要素は、動物100の乳サンプルを乳抽出構成装置110を介して受け取り、乳サンプルをニードル、すなわち注入モジュールに含まれるニードルに提供するように構成されている。
【0065】
図示の実施形態では、注入モジュールは、カセット130の開口部を通して、カセット130内のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cに乳サンプルを適用するためのニードルを含み得る。また、乳分析ユニット260a、260b、260cは、ドライスティック、横方向流動スティック、急速な横方向流動試験ストリップ、その他と呼ばれる場合もある。次に、一実施形態では、カメラは、ニードルをカセット130のテープ250上の乳分析ユニット260a、260b、260cと位置合わせする。乳分析ユニット260a、260b、260cは、必ずしもテープ250上に保たれていなくてもよく、乳分析ユニット260a、260b、260cが別の同様の基板上に維持され得る他の同様の解決策が適用され得る。
【0066】
カセット130は、例えば400、または500、その他などの既知の数の乳分析ユニット260a、260b、260c、および/または2週間、1か月、その他などの特定の期間中に試験を供給するのに十分な数の乳分析ユニット260a、260b、260cを含み得る。
【0067】
乳分析ユニット260a、260b、260cは、例えば、個別に密封された横方向流動スティックを含み得る。横方向流動スティックは、横方向流動試験が実施されるときに動物100の乳サンプル中のバイオマーカーを示すように構成され得る。横方向流動スティックは、抗体処理された金粒子を有するサンプルパッドであって、金粒子は、サンプルパッドに適用されたときの乳サンプル中に分散される、サンプルパッドと、サンプルパッドから乳サンプルの毛細管流を受け取るための吸収パッドとを含み得る。次いで、吸収パッドは、バイオマーカー基準で処理された試験ラインであって、バイオマーカー基準は、限界閾値よりも低いバイオマーカーレベルを含む乳に曝露されたときに、乳サンプルの抗体処理された金粒子に結合し、それにより、試験ラインの色を変化させる、試験ラインを含み得る。吸収パッドはまた、抗体基準で処理された制御ラインであって、抗体基準は、抗体処理された金粒子を含む乳に曝露されたときに、乳中のプロゲステロンレベルに関係なく、乳サンプルの抗体処理された金粒子に結合し、それにより、制御ラインの色を変える、制御ラインを含み得る。
【0068】
注入モジュールはまた、ニードルによって出された液体を収集し得る液体吸引器または排液器を含み得る。液体は、乳だけを含むとき、いくつかの実施形態では、乳ライン/乳抽出構成装置110に戻してもよい。他の実施形態では、乳が希釈剤と混合されているとき、カセット130上のテープ250の他の未使用の乳分析ユニット260a、260b、260cを濡らすか、または汚染しないように、液体を、カセット130から離れるように運び得る。
【0069】
カメラは、開口部を通して担体テープ250の乳分析ユニット260a、260b、260cの画像を獲得し得、これらの画像に基づいて、カセット外部モータが、新しい試験が行われる新しい乳分析ユニット260a、260b、260cをニードルに関して位置付けるために、テープ250を調整し得る。
【0070】
乳分析装置120はまた、農家の出力ユニット、データベース、通信デバイス、その他と、有線または無線の通信インターフェースを介して通信し得る通信デバイスを備え得る。
【0071】
制御ユニットは、カメラによって獲得された画像の分析に基づいて、動物100の乳サンプルのバイオマーカー値を決定するように構成され得る。制御ユニットは、いくつかの実施形態では乳分析装置120に含まれてもよく、または乳分析装置120の外部にあってもよい。
【0072】
データベースが、動物100の識別参照および/または測定のタイムスタンプに関連付けられた、動物100の測定された生体測定値を記憶し得る。例えば乳流量計によって測定される乳量、活動、品種、経産回数、反芻、泌乳、休息、飼料摂取量、エネルギーバランス、搾乳日数、乳生産、年齢、および場合によっては、他の同様の動物の状態に関するパラメーターなど、動物100に関連する他の測定値および/またはデータもまた、データベースに記憶され得る。
【0073】
バイオマーカー測定の結果と、対応する基準値との間に第1の限界閾値を超える偏差が検出されると、農家または他の責任者に警告が出力され得る。警告は、例えば視覚情報、音声メッセージ、触覚信号、またはそれらの組み合わせを含み得、農家が結果において検出された偏差の理由をさらに調査することを奨励する。複数の人々が群れと働いている場合、いくつかの実施形態では、複数の農家およびそれらのそれぞれの関連出力ユニットに、放送が行われ得る。
【0074】
乳分析装置120は、第1の無線通信デバイス210を備える。第1の無線通信デバイス210は、カセット130に含まれる第2の無線通信デバイス220と無線通信するように構成されている。デバイス210、220間の無線通信は、例えば、近距離無線通信(NFC)通信、Bluetooth(登録商標)、無線認識(RFID)または他の同様の短距離無線通信によって行われ得る。
【0075】
乳分析装置120はまた、制御ユニット240を備えるか、または制御ユニット240と関連付けられ得、一方、カセット130は、データを記憶するためのメモリデバイス230を備え得る。制御ユニット240は、任意選択的に、乳分析装置120の外に配置され得るが、それでも第1の無線通信デバイス210と通信連絡している。
【0076】
それにより、乳分析装置120の制御ユニット240は、カセット130のメモリデバイス230に記憶されている、カセット130から情報を取得し、かつ/またはカセット130のメモリデバイス230に情報を提供して、そこに記憶することができる。
【0077】
図3Aは、乳分析装置120、カセット130、液体容器135、および/または注入モジュールの間の相互作用を示している。
【0078】
カセット130は、乳分析装置120に挿入可能であり、一度使用するための所定の数の乳分析ユニット260a、260b、260cを含む。乳分析ユニット260a、260b、260cは、例えばカセット130のテープ250上に配置され得る。
【0079】
乳分析装置120の制御ユニット240は、乳分析セッション中にカセット130の消費された乳分析ユニット260a、260b、260cの数を決定するように構成されている。消費された乳分析ユニット260a、260b、260cの数は、実施される乳分析の種類に応じて、および/または迂回される不良乳分析ユニット260a、260b、260cの数に応じて、例えば、1、2、3、…その他であり得る。
【0080】
制御ユニット240はまた、乳分析セッション中に乳分析ユニット260a、260b、260cの消費された数に関連する情報を、カセット130のメモリデバイス230に記憶するために、第1の無線通信デバイス210を介して、カセット130のメモリデバイス230に送信するように構成されている。
【0081】
乳分析ユニット260a、260b、260cの消費された数に関連する情報は、いくつかの実施形態では、例えば消費された乳分析ユニット260a、260b、260cの数であり得る。他の実施形態では、情報は、カセット130上の残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの計算した数を含み得る。
【0082】
これにより、カセット130のメモリデバイス230は、カセット130上の消費された乳分析ユニット260a、260b、260cの数に関する同時情報を用いて継続的に更新される。この数をカセット130に記憶することにより、カセット130が別の乳分析装置120に交換されたときにも、後で乳分析装置120の制御ユニット240にカセット130を提供することができる。次に、制御ユニット240は、カセット130上に残っている乳分析ユニット260a、260b、260cの数を決定し、それに基づいて適切な測定を行うことができ、例えば、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数が閾値制限よりも少ないときは農家に警告し、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数が別の閾値制限よりも少ないときは取り替え用カセット130を自動的に注文し、および/または、例えば10~30個の乳分析ユニット260a、260b、260cなど、トリガーレベルよりも少ない乳分析ユニット260a、260b、260cがカセット130上に残っているときは乳分析装置120の試験方式を変える。
【0083】
制御ユニット240は、試験セッションを実施する前に、カセット130のメモリデバイス230から、カセット130の残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの数を取得することにより、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数を計算するように構成され得る。また、残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの取得された数および乳分析セッション中に消費された乳分析ユニット260a、260b、260cの数に基づいて、カセット130上の乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数を推定することができる。次いで、送信される情報は、乳分析ユニット260a、260b、260cの推定された残りの数に関し得る。
【0084】
乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数を計算することによって、制御ユニット240は、カセット130を変える前に実施することができる乳分析セッションの数に気付くようになる。いくつかの実施形態では、比較は、閾値制限を用いて行われ、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数に応じて異なる動作を実施し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、制御ユニット240は、カセット130のメモリデバイス230から、カセット130の残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの数を取得し、また、残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの数を第1のトリガーレベルと比較するように構成され得る。制御ユニット240はまた、第1のトリガーレベルよりも少ない乳分析ユニット260a、260b、260cが残っているときに、乳分析装置120の試験方式を変えるように構成され得る。
【0086】
カセット130内に限られた量の乳分析ユニット260a、260b、260cしか残っていないとき、最も重要な試験セッションのみを実施することができる。乳分析装置120を訪れるすべての動物100のすべての乳セッションですべてのバイオマーカーを試験する代わりに、特定のバイオマーカー(または単一のバイオマーカー)のみを試験する、および/または特定の動物100を試験する、および/または、例えば2回に1回の搾乳セッション、3回に1回の搾乳セッション、その他などの特定の搾乳セッション中に試験をする。これにより、乳分析装置120が乳分析ユニット260a、260b、260cを使い果たそうとしている状況でも、(農家が事前に設定または定義した)最も重要な試験を実施することができる。
【0087】
制御ユニット240は、残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの数を第1のトリガーレベルよりも小さい第2のトリガーレベルと比較するように構成され得る。制御ユニット240はまた、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの量が第2のトリガーレベル以下であるときに、農業管理者にカセット130を取り替えるように促す警告を出力するように構成され得る。警告には、農業管理者/農家が、取り替えるカセット130を含む乳分析装置120を識別できるようにする情報を含み得る。
【0088】
それにより、農業管理者/農家は、カセット130を取り替える必要性に関して警告され、乳分析装置120の1つにあるカセット130上の乳分析ユニット260a、260b、260cを使い果たすリスクを排除または少なくとも低減する。
【0089】
さらにいくつかの実施形態では、制御ユニット240は、農場に配達されるように、提供者から取り替え用カセット130を自動的に注文するように構成され得る。それにより、農業管理者/農家の作業は、さらに容易になる。
【0090】
制御ユニット240は加えて、試験セッションを実施する前に、カセット130のメモリデバイス230から、カセット130の機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cに関する情報を取得するように構成され得る。情報は、例えばテープ250上の機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cの連番、機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cの識別参照、その他を含み得、制御ユニット240がそれらを検出することができる。制御ユニット240は加えて、例えば取得された情報に基づいて、テープ250上の後続の乳分析ユニット260a、260b、260cが機能不全であることを検出するように構成され得る。さらに、制御ユニット240は、機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cの検出時に、テープ250上の次の機能不全でない乳分析ユニット260a、260b、260cに対して乳分析動作を行うためにテープ250を所定の位置に前進させるように構成され得る。
【0091】
乳分析ユニット260a、260b、260cが生産され、テープ250上に配置されたとき、乳分析ユニット260a、260b、260cの装着は、様々な欠陥により失敗することがある。故障した乳分析ユニット260a、260b、260cをテープ250上に接着またはテーピングすることによって装着したとき、テープ250を破壊せずにテープ250から除去することはできないため、すでに装着された乳分析ユニット260a、260b、260cを有するテープ250全体を無駄にしなければならないことになる。生産プロセス中に故障した乳分析ユニット260a、260b、260cを代わりに検出し、その情報をメモリデバイス230に記憶することにより、1つまたはいくつかの乳分析ユニット260a、260b、260cが機能不全であるにもかかわらずテープ250を使用することができ、資源が節約されて生産プロセスが簡素化され得る。
【0092】
加えて、制御ユニット240は、カセット130が初めて使用されるときを検出するように構成され得る。また、制御ユニット240は、カセット130の最初の使用が検出された時点を決定するように構成され得る。制御ユニット240はまた、カセット130のメモリデバイス230に記憶するために、第1の無線通信デバイス210を介して、決定された時点をカセット130のメモリデバイス230に送信するように構成され得る。
【0093】
次いで、制御ユニット240は、いくつかの実施形態では、例えば時間/カレンダー機能、時間提供サービス、または同様の手段によって、現在の時点を決定するように構成され得る。また、カセット130の最初の使用に関連する、カセット130のメモリデバイス230の記憶された時点と、現在の時点との間の時間差が所定の期限を超えているかどうかを確認する。所定の期限は、カセット130上の乳分析ユニット260a、260b、260cの機能が危険にさらされるほど古くないことを保証するように設定され得る。これは、例えばカセット130が最初に使用されたが、その後、例えば故障した乳分析装置120により、または任意の他の理由のために、非活発な時間のずれを有する場合に発生し得る。乳分析装置120に挿入されたときのカセット130の許容寿命は、例えば1~2か月と推定され得る。
【0094】
制御ユニット240は、所定の期限を超えたときにカセット130の使用を中止するようにさらに構成され得る。この決定された最初の使用の時点を乳分析装置120ではなくカセット130のメモリデバイス230に記憶することにより、カセット130の最初の使用は、任意の乳分析装置120で決定され得る。
【0095】
制御ユニット240はまた、所定の期限を超えたときに、カセット130のメモリデバイス230に記憶するために、第1の無線通信デバイス210を介して、カセット130のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを送信するように構成され得る。
【0096】
カセット130のメモリデバイス230にブロッキングサインを記憶することにより、カセット130が別の乳分析装置120に挿入されたときにも、カセット130が古すぎるとき(最初の使用以降)には使用できないことが確認される。
【0097】
制御ユニット240は、所定の期限をその期間だけ超えたときに携帯電話、コンピューティングデバイス、拡張現実デバイス、農家のスマートウォッチ、その他などの出力デバイスを介して農業管理者にカセット130を変えるように促す警告を出力するように構成され得る。
【0098】
農業管理者/農家に警告することにより、彼/彼女は、カセット130の状況に気付くようになり、また、特定の乳分析装置120のカセット130を交換することを思い出させ、それにより、彼/彼女は農場における異なる乳分析装置120のカセット130のそれぞれの状態を継続的に監視するという面倒な作業から解放される。
【0099】
さらにいくつかの実施形態では、制御ユニット240は、カセット130の乳分析ユニット260a、260b、260cとの試験セッションの開始に関連して、第1の無線通信デバイス210を起動するように構成され得る。また、または代替的に、制御ユニット240は、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数に関する情報が送信されたときに、第1の無線通信デバイス210の動作を停止するように構成され得る。
【0100】
それにより、無線通信デバイス210、220を可能な限り短時間、作動状態に保つことが可能になる。それにより、近くにある他の無線通信デバイスへの伝送妨害が回避されるか、または少なくとも低減される。また、エネルギーが節約される。
【0101】
図3Bは、テープ250上に乳分析ユニット260a、260b、260cを含むテープ250を有するカセット130を示している。
【0102】
カセット130は、一度使用するための所定の数の乳分析ユニット260a、260b、260c、メモリデバイス230、および第2の無線通信デバイス220を含み、このカセット130は、カセット130が乳分析装置120に挿入されたときに、乳分析装置120の第1の無線通信デバイス210を介して、乳分析装置120の制御ユニット240と情報交換するために乳分析装置120に挿入可能である。
【0103】
メモリデバイス230は、第2の無線通信デバイス220を介して、乳分析装置120の制御ユニット240から、乳分析ユニット260a、260b、260cの残りの数に関する情報を受信するように構成されている。メモリデバイス230はまた、受信した情報を記憶するように構成されている。
【0104】
カセット130のメモリデバイス230は、第2の無線通信デバイス220を介して、カセット130の残りの乳分析ユニット260a、260b、260cの数を制御ユニット240に提供するように構成され得る。
【0105】
メモリデバイス230は、いくつかの実施形態では、カセット130の機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cに関する情報を記憶するように構成され得る。また、メモリデバイス230は、第2の無線通信デバイス220を介して、機能不全の乳分析ユニット260a、260b、260cに関する情報を制御ユニット240に提供するように構成され得る。
【0106】
メモリデバイス230はさらに、第2の無線通信デバイス220を介して、乳分析装置120の制御ユニット240から、カセット130の最初の使用の時点に関する情報を受信するように構成され得る。メモリデバイス230は、受信した情報を記憶するようにさらに構成され得る。
【0107】
また、メモリデバイス230は、第2の無線通信デバイス220を介して、カセット130の最初の使用の時点に関する記憶された情報を制御ユニット240に提供するように構成され得る。
【0108】
これにより、非活発な期間がカセット130の乳分析ユニット260a、260b、260cの劣化を引き起こした可能性があるため、長すぎる時間(すなわち、所定の期限を超える期間)非活発であったカセット130を挿入して乳分析装置120に使用することが回避される。
【0109】
メモリデバイス230はさらに、第2の無線通信デバイス220を介して、乳分析装置120の制御ユニット240から、カセット130のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信するように構成され得る。メモリデバイス230はまた、受信した情報を記憶するように構成され得る。
【0110】
メモリデバイス230は、いくつかの実施形態では、第2の無線通信デバイス220を介して、制御ユニット240から、カセット130のさらなる使用を禁止するブロッキングサインを受信するように構成され得る。また、メモリデバイス230は、受信したブロッキングサインを記憶するように構成され得、それにより、カセット130のさらなる使用を禁止する。
【0111】
いくつかの実施形態では、カセット130のメモリデバイス230は、バッチ番号および/または生産日付などの生産情報を記憶するように構成され得る。これにより、その後の乳分析装置120のエラーのトラブル対応が容易になり得る。また、誤りのあるバッチのカセット130が検出され、取り替えのために選別され得る。
【0112】
図1図2A図2B図3A、および/または図3Bに示された実施形態またはそれらの一部は、さらなる利益を達成するために、有利に、互いに組み合わせることができる。
【0113】
添付の図面に示された実施形態の説明で使用された用語は、説明された制御ユニット240、注入モジュール、液体容器135、カセット130、乳分析装置120、および/またはシステム10を限定することを意図するものではない。様々な変更、置換、および/または変更を、添付の特許請求の範囲によって定義されるような発明の実施形態から逸脱することなく、行い得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けて列挙されたアイテムのうちの1つ以上の任意かつすべての組み合わせを含む。本明細書で使用される「または」という用語は、特に明記されていない限り、数学的排他的OR(XOR)としてではなく、数学的OR、すなわち、包含的論理和として解釈されるべきである。加えて、単数形「a」、「an」、および「the」は、「少なくとも1つ」として解釈されるべきであり、したがって場合によっては、特に明記しない限り、同じ種類の複数の実体を含む。「含む(includes)」、「備える(comprises)」、「含む(including)」および/または「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴、動作、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、動作、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。例えばプロセッサなどの単一ユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段または特徴が、相互に異なる従属請求項に記載されている、異なる図に示されている、または異なる実施形態と併せて議論されているという単なる事実は、これらの手段または特徴の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムが、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体または固体媒体などの好適な媒体に記憶/配布され得るが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。
図1
図2A-2B】
図3A
図3B