(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】血管内器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240924BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20240924BHJP
A61F 2/95 20130101ALI20240924BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61F2/966
A61B17/12
A61F2/95
A61M25/098
(21)【出願番号】P 2021574204
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2020035017
(87)【国際公開番号】W WO2020251777
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521545097
【氏名又は名称】ウォルツマン,ダニエル,エズラ
【氏名又は名称原語表記】WALZMAN, Daniel, Ezra
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルツマン,ダニエル,エズラ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-515553(JP,A)
【文献】特表2004-528862(JP,A)
【文献】特表2001-514922(JP,A)
【文献】特表2008-508947(JP,A)
【文献】特表2010-509994(JP,A)
【文献】特表2005-506100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61F 2/95
A61M 25/098
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内器具であって、
(a)近位端と、遠位端と、一定の非真円形状の内腔と、「12時」マーカーが設けられた近位側のハブと、その遠位端に設けられたこれに対応する「12時」マーカーと、を備えるデリバリーカテーテルを有し、該デリバリーカテーテルは以下の操作が可能であり、
(i)対象の病変部に向かって血管内を移動させること
(ii)前記病変部の近傍で停止させること
(iii)前記血管から引き抜くこと
(b)前記デリバリーカテーテルと同じ一定の非真円形状の内腔を有するパッケージングカテーテルと、
近位端および遠位端を有するプッシャーワイヤーと、
前記プッシャーワイヤーの遠位端に取り外し可能に設置された閉塞器具と、を有し、
前記パッケージングカテーテル、前記プッシャーワイヤー、及び前記閉塞器具について、これらの軸線周りの方向を周方向、該周方向におけるこれらの配置角度を回転角度というときに、前記閉塞器具は、前記パッケージングカテーテルに対して前記回転角度が相対的に固定された状態で、予め前記パッケージングカテーテルに装填され、
前記パッケージングカテーテルの外面には前記マーカーに対応するマーカーが設けられており、
(c)前記ハブは、前記パッケージングカテーテルを接続可能な形状の内腔を有し、該ハブは、前記パッケージングカテーテルの遠位端の外面を、その少なくとも2種類の前記回転角度のうちの1つで受け入れ、
前記パッケージングカテーテルの遠位端は、前記プッシャーワイヤーの遠位端を前記デリバリーカテーテルの近位側の内腔に送り出し、
(d)前記プッシャーワイヤーは、前記デリバリーカテーテル及び前記パッケージングカテーテルの内腔形状と同一の外形を有し、
前記プッシャーワイヤーの径は、該プッシャーワイヤーに装着された閉塞器具が、前記デリバリーカテーテルの内腔をスライドして移動できるよう、その内腔よりも僅かに小さく、
前記プッシャーワイヤーの遠位端が前記血管を通って前記病変部である動脈瘤に移動する間、前記プッシャーワイヤーは前記デリバリーカテーテルに対する相対的な前記回転角度を維持し、
(e)前記パッケージングカテーテルを前記ハブに接続する際に、該ハブに対する該パッケージングカテーテルの前記回転角度を調節することで、前記プッシャーワイヤー及び閉塞器具を前記デリバリーカテーテル内に進めたときに前記閉塞器具を想定した前記回転角度にすることができ、
また、前記閉塞器具が前記デリバリーカテーテル内を進んでいる間、及び、前記デリバリーカテーテルが引き抜かれている間、前記閉塞器具のその想定された前記回転角度を保つことができる、
血管内器具。
【請求項2】
前記閉塞器具がステントであることを特徴とする請求項1に記載の血管内器具。
【請求項3】
前記ステントはその気孔率に差があり、前記血管内における、前記ステントの気孔率が大きな部位の位置を、前記パッケージングカテーテルを前記ハブに接続する際の該パッケージングカテーテルの前記回転角度により選択可能であることを特徴とする請求項2に記載の血管内器具。
【請求項4】
前記ステントは少なくとも1つの開窓部を有し、前記血管内における該開窓部の向きを、前記パッケージングカテーテルを前記ハブに接続する際の該パッケージングカテーテルの前記回転角度により選択可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載の血管内器具。
【請求項5】
前記ステントは少なくともその一部が流体不透過性であることを特徴とする請求項4に記載の血管内器具。
【請求項6】
前記閉塞器具は、少なくとも1つの粘着剤(adhered compound)をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項7】
前記閉塞器具は、少なくとも1つの粘着コイルワイヤー(adhered coil wire)を有する非対称形状のディスクであることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の血管内器具。
【請求項8】
前記閉塞器具はメッシュ嚢(mesh sac)であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項9】
前記閉塞器具は、潤滑性表面コーティングさらに有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項10】
前記プッシャーワイヤーはハイポチューブであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項11】
前記粘着剤の少なくとも1つはヒドロゲルであることを特徴とする請求項6に記載の血管内器具。
【請求項12】
前記デリバリーカテーテルは、血管内に挿入される部分に少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを有していることを特徴とする請求項1に記載の血管内器具。
【請求項13】
少なくとも1つの前記放射線不透過性マーカーは、前記デリバリーカテーテルの遠位端にある
12時マーカーであることを特徴とする請求項12に記載の血管内器具。
【請求項14】
前記プッシャーワイヤーに沿って少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを有することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項15】
前記閉塞器具は少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを有することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項16】
前記プッシャーワイヤーは、前記デリバリーカテーテルの内腔と合同の角のある形状であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項17】
前記各内腔および前記プッシャーワイヤーは、角のない非真円形状であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項18】
前記デリバリーカテーテルの内腔は卵形または楕円形であることを特徴とする請求項17に記載の血管内器具。
【請求項19】
前記デリバリーカテーテルの内腔は三角形または四角形であることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の血管内器具。
【請求項20】
前記デリバリーカテーテルは、円筒形状であり、かつ直線構造であることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の血管内器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス)
本願は、2016年11月2日に出願された米国特許出願第15/341,820号「分流カバードステント」(現、米国特許第9,775,730号,2017年10月3日発行)に基づく優先権を主張する一部継続出願であり、2018年12月9日に出願された米国特許出願第16/214,130号「ケープ付きステント」の一部継続出願、2017年11月22日に出願された米国特許出願第15/732,544号、2019年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/921,378号、2016年12月5日に出願された米国仮特許出願第62/497,851号に基づく優先権を主張する一部継続出願である。これらの内容のその全体を参照により援用する。
【0002】
本発明は、不健康な血管内の動脈瘤や瘻孔の治療に使用される医療用具に関し、特に、頭蓋内等の曲がりくねった血管系に用いられる、分流型、カバード、ケープ付、開窓型、分枝型、その他の気孔率が一定でないステントを含む血管内器具に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の技術では、動脈瘤の治療には多数の器具が使用される。そのうちの一つは気孔率に差のある(differentially porous)ステントであり、非対称の編組やコイルを備えることで血流の少ない部分や多い部分を任意に作り出すことを可能にしている。開窓型や分枝型の器具は、大動脈やその分枝血管、その他の太く蛇行の少ない血管に有効である。先行技術は、頭蓋内やその他の曲がりくねった血管系や遠位の血管系への理論上の適用については開示しているが、これらの器具の径方向の向きを任意の向きに確実に配置する器具や方法については説明していない。頭蓋内やその他の曲がりくねった血管系の制約により、これまでこれら器具をこれら領域で使用することは困難であった。米国特許第9,775,730号(Walzman)に開示されるカバードステント器具は、曲がりくねった血管系に安全かつ効率的に搬送及び配置することができ、血流を動脈瘤や瘻孔、破裂血管から効果的にそらす一方、治療対象の部位より遠位の健常組織に血液を送り、動脈瘤内や瘻孔内に鬱血や塞栓を生じさせる。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0151072号(Walzman)は、重ね合わせることができる自由端と一つの取付点を有するカバーを備え、既存のカバードステントよりも対象の血管に良好に適合するケープ付ステントが開示されている。
【0005】
米国特許第8,398,701号(Berezら)には、マイクロカテーテルに装着可能な血管閉塞器具が開示されている。この閉塞器具には、周囲の組織への血流を維持しつつ血管内の血流を修正するための、非対称の編組または密度に差のある格子、及び、対応する/反対の可変密度の気孔率を有するものもある。Berezは、この器具の柔軟性は脳内の動脈瘤の治療に特に適していると述べている。Berezは、同じセグメントのシリンダーの長さ方向における一方のカバー率が他方よりも低いものを含む実施形態を説明している。例えば、気孔率の低い(すなわちカバー率の高い)範囲は、動脈瘤内の淀みとその後の血栓症のため動脈瘤を覆うように配置すべきである。この器具のより気孔率の高い他方の側は、十分な血流を維持し、分枝や遠位の組織への血流を妨げないよう、血管の一方の側に配置されるか、又は分枝を覆うべきである。しかし、Berezらはこのような器具の径方向の向きを任意の最適な向きにして安定的にかつ確実に配置する方法については考慮しておらず、またそのような器具は存在しない。
【0006】
極端に言えば、血管内器具に開窓を備えることで気孔率を高め、分枝血管の分岐点の血流を一切妨げないようにしてもよい。これは、反対側の側面やその近くを完全に覆うカバーと組み合わせて、対象の動脈瘤や瘻孔への血流を完全に遮断してもよい。
【0007】
一般的な血管の難点は、エンドグラフトに外在する動脈瘤嚢内の血流が持続することである。実際、これはステントグラフトを用いた血管内動脈瘤修復(EVAR)後の最も一般的な合併症である。このようなエンドリークは種々の方法で改善することができる。例えば、Walzmanの米国特許出願第15/732,147号および15/732,365号には、エンドリークを防ぐためにハイドロゲルを用いることが示されている。
【0008】
先行技術では、一部の嚢状動脈瘤に血液が流れ込むのを防ぐために行われる低侵襲技術として、血管内コイルリングが紹介されている。この治療法によれば、コイルが動脈瘤の塞栓(凝固)を誘発することで動脈瘤に血液が流れ込むことが阻害され、その結果、破裂とこれに続くクモ膜下出血が防止される。しかし、血管内コイリングは、血栓塞栓症、脳塞栓症、動脈瘤穿孔、親動脈閉塞、コイルの移動、動脈解離などの術後合併症を引き起こすおそれがある。先行技術には、ステントアシストコイリングも開示されている。このステントアシストコイリングにはステント留置に関する同じ欠点もあり、親動脈にステントを留置するには、ステント内の血栓による狭窄のリスクを低減するために、抗血小板薬を長期にわたって使用する必要がある。
【0009】
動脈瘤や瘻孔には、カバードステントによる治療が理想的なものがある。カバードステントは、瘻孔の穴や動脈瘤の頸部を最も直接的に覆って血管壁を再建することができ、血流を親血管の正常な経路に直ちに誘導する。しかし、現在米国において使用可能なカバー付きニューロステントは存在しない。米国食品医薬品局(FDA)は、このようなカバー付きニューロステントを試験・検査したが、「FDA承認」を得たものはない。これはFDAが、既存の治療法の選択肢に対する利点が、この器具が使用されたときの潜在的なリスクを上回っていないと判断していることを意味している。また、脾動脈瘤や肺動静脈瘻など、身体の他の部位の極度に曲がりくねった構造の組織に有効なカバードステントは今のところ存在しない。
【0010】
カバー付きニューロステントの重要な用途として、瘻孔の治療、特に海綿静脈洞と頸動脈系の間の連絡異常である頚動脈海綿洞瘻(CCF)の治療が考えられる。
【0011】
動脈瘤の他の治療法としては、動脈瘤の頸部にクリップを装着する頭蓋内動脈瘤の外科的クリッピングがある。この治療法には、開放手術と脳の物理的な処置が必要になる等の欠点がある。時には外科的なバイパス手術も検討されるが、一般的にはさらに高い重症化率と死亡率を伴う。
【0012】
さらに、先行技術には、親動脈に沿って動脈瘤の頸部にメッシュ状のステント又はステントに似た構造体を配置することにより、動脈瘤から血流をそらす分流器具の使用例が開示されている。これらの器具を用いることで、動脈瘤の内部に血栓を形成することができる。しかし、分流器具の設置により増加した技術的合併症が発生するおそれがある。
【0013】
また、これらは血流を完全には遮断しないため、瘻孔や血管破裂の治療には有効ではない。同様に、頭蓋内動脈の医原性破裂に対する有効な血管温存療法は今のところ存在しない。現在の治療法では、出血を止めるためにコイルや液体塞栓剤で破裂した動脈を塞ぐ必要があるが、通常はその動脈領域の虚血性傷害により重大な病状を伴う。さらに、これらの器具で動脈瘤を治療した場合、動脈瘤は時間の経過(ラグ期間)とともに血栓化し、すぐには治らない。これはラグ期間中に動脈瘤が破裂するリスクを患者に与える。これは短期間中の再破裂率が高い動脈瘤を治療する際に特に問題となる。さらに、現行の分流ステント(flow-diverting stents)を使用した場合、多数の分枝血管が器具と交差することがあり、その結果、これら分枝血管の分岐点で狭窄が生じたり、時には閉塞や損傷を引き起こしたりすることもある。
【0014】
選択された血管内動脈瘤や瘻孔を直ちに治癒させるために血管インターベンションが可能な血管内器具が必要とされているが、現行技術が有する難点や欠点を改善しなければならない。より具体的には、曲がりくねった構造の組織内の急なカーブでもキンクすることなく、自由に動き、曲がることができるカバードステントが必要とされている。
【0015】
カバードステントの多くは、合金などの半剛性材料でステントの「骨格」や「フレーム」のシリンダーを作り、そのフレームに不浸透性の「カバー」を取り付けている。従来の技術では、このような装着物は、前述のカバーとフレームに一定間隔で、ステントのカバー全体に拡散して配置されており、結果的に器具の柔軟性を著しく制限していた。
【0016】
現行の全ての分流ステントは、カバー率と気孔率のパターンが全体として比較的均一である。しかし、円周方向の位置によって気孔率に差のある器具をうまく配置するための信頼できる手段は開発されていない。
【0017】
脳神経血管処置(及びその他の曲がりくねった構造の組織)において任意の位置のカバー率および気孔率の理想的な比率を実現し、所望の位置へ血液を流すために、このような気孔率に差のある器具を正確に位置決めすることを可能にする器具や方法は知られていない。大きな血管(例えば大動脈)とは異なり、頭蓋内やその他の曲がりくねった循環組織に挿入された器具は、ハブ側の端部を手で回転させても頭蓋側の端部を回転させる効果に乏しい。
【0018】
そのため、高密度のカバーとこれに応じた低い気孔率(極端な例では完全な不透水性、又は別の極端な例では開窓)の領域が任意の側に配置される一方で、低密度のカバーとこれに応じた高い気孔率(及び/又は極端な例では全くカバーのない開窓)が任意の側に配置されるように、適切な向きで再現可能に配置/到達させることができる器具が求められている。また、遠位の曲がりくねった血管には、分枝したカバー付分流器具が必要とされている。現在、このような器具は脳神経血管処置には使用できず、その他の曲がりくねった血管構造にも同様に使用できない。なぜなら、このような器具を任意の向きで確実かつ正確に配置する装置、システム、及び方法が存在しないからである。
【0019】
同様に、心臓、末梢、及びその他の血管では、様々なステント治療の際に側枝の閉塞を最小限に抑えるための、より効果的な分岐型ステント構造が必要とされている。現在のシステムでは、より効果的に分岐部にステントを配置しつつ、分枝部を閉塞するリスクを最小限に抑えるため、種々のステント構造の開窓部を正確に配置することができる。これらの構造は、動脈硬化性狭窄、動脈瘤性疾患、解離、瘻孔、その他の病理を効果的に治療することができる。
【0020】
したがって、このような装置を配置した場合、配置時の最終的な向きはランダムになる。例えば、先ほどのケースでは、理想とは全く逆のことが起こり得る。すなわち、開窓部分が最終的に動脈瘤に重なり、病変部への血流が増加する一方で、高密度の被覆部分が結果的に正常な分枝血管の分岐点に重なることで当該分岐点への血流が不足し、その後の虚血性傷害を引き起こすおそれがある。その装置は、近距離の直線的な構造の組織において、カテーテルをその近位のハブから全長にわたって容易かつ正確に回転させることができる。
【0021】
また、開窓器具の極端な例を使用して、開窓器具をその開窓部が分枝の分岐点に重なるように配置し、その開窓から他の器具を分枝内に配置することで、生体内で分枝器具を構築することもできる。2つ目の器具は、最初の遠位の分枝/血管を覆わずに開窓部分にわずかに重なるように、近位の直径をわずかに大きくしてもよい。同様に、すべての開窓部が実際の分枝に対して適切な相対距離と向きにあることを条件に、複数の開窓部を通る複数の分枝を含む器具を構築してもよい。
【0022】
このコンセプトは、Ruizによって米国特許第6,261,273号「分枝血管用のアクセスシステム(及び)使用方法」において明確に説明されている。しかしRuizは、生体内における指向性のシースやカテーテルの作り方については開示しているが、移植については開示していない。Ruizの装置は、残念ながらBerezの装置と同様に、カテーテルをその近位のハブから全長にわたって容易かつ正確に回転させることができる近距離の直線的な構造の組織において容易に機能させることができるものである。
【0023】
カテーテルが期待通りに反応しない曲がりくねった及び/又は長い血管構造における位置決めにおいて回転は有効ではない。これは、一般に搬送のために圧着されたステント器具が、典型的にはデリバリーワイヤー及び/又はハイポチューブを使用して、特定の配置でデリバリーカテーテル内を進むときに困難をもたらす。そのステントは、予測できない配置や向きでデリバリーカテーテルから出てくる。
【0024】
さらに、頭蓋骨やその他の曲がりくねった血管系の分枝部にY字型のステントを配置したり組み立てたりすることは、これまで現実的ではなかった。このような構造の組織において有効に配置または組み立てることのできる、Y字型、分岐型、及びその他の分枝型ステント器具が求められている。さらに、そのような分枝を安全かつ正確に展開し、開窓部をわずかにかつ確実に重ねるためには、そのようなステント器具の近位端をより正確に到達させる新規の装置および方法が必要である。
【0025】
このように、頭蓋内や脳外の曲がりくねった構造の組織に使用することができ、その器具の高気孔率および低気孔率の領域を、1又は複数の分枝血管および少なくとも一つの動脈瘤または瘻孔に対してそれぞれ意図した通りに配置することができる、カバー付き又は部分的なカバー付きのニューロステントが求められている。また、同様のカバー付き又は部分的なカバー付きの分枝器具も求められている。本発明は、これら未達成のニーズを満たすものである。
【0026】
また、あらゆる構造の組織において、器具の円周方向における開窓部や低気孔率の部位を正確に配置することができる、開窓型、可変カバー率および可変気孔率のステントが求められている。このようなステントは、血管内への用途のみならず、血管内視鏡や非血管内視鏡への用途にも応用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、血流を多く又は少なくしたい範囲に対して(例えば、分岐血管と動脈瘤のそれぞれに対して)、気孔率に差のあるステント等の頭蓋内閉塞器具を正しく配向する方法および装置に関する。本発明は、特に、頭蓋内やその他の曲がりくねった血管系における動脈瘤および瘻孔、並びに血管狭窄、その他の病理の治療に好適に用いることができる。
【0028】
本発明は、前述の治療が、搬送後の器具を他の器具に対して正しい向きに正確に向けることを必要とする治療に使用することができる。本発明は、目的とする位置に到達するまで長くねじれた管を通って移動した器具の再配向に特に有用と考えられる。また、本発明は、前述の治療が、搬送後の器具を他の構造体に対して正しい向きに正確に向けることを必要とする治療に使用することができる。例えば、本発明は、動脈瘤頸部の非対称形状のディスクの向き合わせや消化管/胆管(例えば、血管、内視鏡、その他)のステントの向き合わせに特に有用と考えられる。
【0029】
いくつかの要因により、そのような所望の向きを実現することには困難性がある。デリバリーカテーテルのルーメン(そこからステントが展開され得る)は、典型的には円形である。同様に、ほとんどのバルーン拡張型ステントを搬送するワイヤーの外径/表面は、搬送バルーンカテーテルの内径表面と同じである。ステントそれ自体は通常、設置中に前述のルーメン内で予測不能に回転する。また、カテーテルが曲がりくねった構造の組織内を進むにつれ、カテーテル自体がねじれて予測不能に回転することがある。そのため、望んだ径方向の向きで配置できるかどうかは時の運であり、期待とは反対の否定的な結果を招くこともある。以下の装置および手順はこの困難性を克服するために開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
気孔率に差のあるステントや、又はそのような編組型、メッシュ型、又は織物型の治療器具は、所望の流れ又は閉塞の程度に合わせて向きが決められる。Walzman(16/214,130-「ケープ付ステント」)は、自由に浮動するカバーをオプションとして備えるステントをいくつか紹介している。この浮動カバーの設計は、曲がりくねった構造の組織への挿入に最適化されている。その独創的な構造要素の中には、一端にある単一の周方向取付点(1nmの小ささ)、重なり合う周方向板部、及び、重なり合う幾何学的板部がある。
【0031】
開示された器具は、これをアンシースのまま、血流が位置決めに影響を与える可能性を最小限に抑えるべく、薬理的手段により、又は一時的にバルーンを膨らませたバルーンガイドカテーテルを通した搬送、その他の手段により、血流停止下において設置されてもよい。
【0032】
さらに他の実施形態では、前記カバーは、前記フレームの所定部分を完全には包囲しなくてもよく、したがって、ステントは周方向に沿ってその一部にカバーされた部分または低気孔率の部分を有し、その部位の周方向における異なる側にはカバーされていない部分または高気孔率の部分を有してもよい。これは、例えば親血管の病変部と同じ部分から分岐する分枝血管など、瘻孔や動脈瘤径部の反対側の分枝血管の分岐点を保全できる場合がある。本発明はさらに、ステントの近位端をより正確に配置する装置および方法を開示しており、これにより、第1のステントの開窓部が分岐点に配置されたときに、第2のステントを、その近位端が第1のステントの開窓部の周囲とわずかに重なるように正確に配置することで、2つのステント間の漏れを防ぐとともに、第2ステントの近位端による主血管の不要な閉塞を防ぐことができる。
【0033】
ステントの近位端のより正確な「配置」は、本明細書に記載された独自の装置および方法によって達成することができる。本明細書では、インナー「アンシース」ハイポチューブ又はワイヤーについて説明しているが、このハイポチューブ又はワイヤーは、その遠位端に、ステント上に折り返される逆円錐形の「ウィング(wings)」を有する。ステントは、アウターハイポチューブの遠位端に取り付けることができる。インナーハイポチューブは、アウターハイポチューブの内部を通り、そのウィングはアウターハイポチューブの遠位端とそこに取り付けられたステントの上に折り返されるように延び、ステントを拘束するが、その変形例では自己拡張型とすることもある。ステントが所望の位置に配置されると、アウターハイポチューブはその位置が保持され、インナーハイポチューブが前進する。インナーハイポチューブが前進すると、そのウィングも前進し、近位から遠位に向かってステントの拘束を解除する。これにより、近位のステントが最初に拘束から解放され、配置のために展開される。近位部の配置が最適でない場合は、インナーハイポチューブを再び引き戻すことにより、再シースすることができる。これによりステントの位置が変更され、配置を再開することができる。
【0034】
本発明では、頂部がぴったりと合う非円形のカテーテルとワイヤーを使用する。装置によっては、カテーテルが最初に設置され、対応する形状のワイヤーによりステントがその中を搬送される。このワイヤーの形状はステントデリバリーカテーテルの内径と相関している。構成によっては、ワイヤーが先に病変部に設置され、ステントが取り付けられたカテーテルがこれに沿って搬送されることもある。これらはすべて「ラピッド・エクスチェンジ型」又は「オーバー・ザ・ワイヤー型」搬送システムである。他の構成では、特定の非円形の内径を持つ円周方向の形状を持つカテーテルを、任意のワイヤー上で病変部位に最初に送り出し、最初のワイヤーを除去した後、対応する形状の外径ワイヤーに取り付けられたステントを、前記カテーテルを通して病変部位に送り出すことができる。前者の構成はバルーンステントに多く、後者の構成は自己拡張型ステントに多く見られる。
【0035】
すべてのワイヤーとカテーテルの組み合わせが、両者の間にワイヤーの一部を覆うステントがあったとしても、ワイヤーがカテーテルに対して回転できないようぴったりと合っており、その一方で、スムーズにカテーテルをワイヤー上で搬送できるよう、又はカテーテルにワイヤーを通せるよう、動きに十分な自由度をもっていることが重要である。
【0036】
分枝ステント術のいくつかの態様では、ワイヤーがまず両方の分枝に配置され、一つ目の分枝のワイヤーはデリバリーカテーテルの遠位端の孔を通して配置され、カテーテルはステント側の開窓部の場所に側孔を有し、2つ目の分枝のワイヤーはその側孔にバックロードされ、これにより側枝の分岐点に側孔を適切に配置することができ、また、ワイヤーのその側枝へのアクセスを保つことができる。
【0037】
分枝ステントの他の態様では、最初に配置される初期ワイヤー/カテーテルは、病変部位の「12時マーカー」に対する、ワイヤーの根元またはカテーテルのハブからの、及びこれらの対応する「12時マーカー」からの回転量の記録に基づいて、後続のステント又はワイヤーが搬送される経路をそれぞれ示している。これらの形態では、ステントはデュアルルーメンのデリバリーカテーテルを有してもよい。この場合、デリバリーカテーテルの一次ルーメンは遠位端の孔の先に延びるが、二次ルーメンはステントの開窓部の場所の側孔までの長さとされる。これによりステントを、一つ目の分枝の病変部を横切るように、交差した側枝に対して適切な向きで配置することができる。そして、最初のステントが展開される前に、側孔までの長さのルーメンに二つ目のワイヤーを送出し、側孔を通してこれを側枝に進入させることができる。そして、最初のステントが展開された後、少なくとも側枝のワイヤーを残したまま、ステントデリバリーカテーテルを引き抜くことができる。その後、2つ目のステントを独立したステントデリバリーカテーテルを介して側枝内へ搬送する。そして、これを側枝のみに設置するか、又は必要に応じて側枝と最初の分枝にも延ばし、その近位部分を最初のステントに重ねてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1Aは、カテーテル内腔の断面形状を示す三角形の管腔991を有する円筒形状のデリバリーカテーテル330の透視図である。このシステムは、ステントを搬送するカテーテル間を横断するワイヤーの観点から(方式によっては、ステントはワイヤーに装着され、予め設置されたカテーテル内をワイヤーに沿って搬送される)。他の実施形態では、ワイヤーが先に挿入され、ステントはこれに対応するカテーテルに取り付けられて搬送される。多くの場合、ステントは、そのカテーテルに取り付けられたバルーンの外側に取り付けられる。器具を適切な位置に配置するためのポイントは、ワイヤーとステントとが、又はカテーテルとステントとがぴったりと合っており、互いの周方向の向きが一定に維持されることである。一方で、これらは一方が他方に沿って前後にスライドするための隙間も必要である。
【0039】
幾何学的に非円形のワイヤー又は幾何学的に非円形の内腔のカテーテルが適切に配置されたら、対応するワイヤー又はカテーテルのそのハブに対する先端の向きをイメージングにより確認することができる。ハブは「12時」マーカーを有し、上記先端部はこれに対応する放射線不透過性のマーカーを有する。その後のX線、3D X線、CT画像、心エコー、超音波、IVUS、その他の理学療法によるイメージングにより、対象の病変部付近における上記先端部のハブに対する相対的な回転を確認することができる。インナーワイヤーに装着されたステント、又はアウターカテーテルに装着されたステントは、カテーテルの近位側ハブに差し込まれる前に、又は近位ワイヤーに装着される前に、それぞれ、すでに挿入されたカテーテルやワイヤーの回転量の記録を考慮し、これに対応する量だけ回転させられる。これによりその後の搬送や配置における向きの正確性が確保される。基本的に、やや曲がりくねった構造の組織では、ほとんどのカテーテル、ワイヤー、ステントは、近位側ハブから、目的の場所において正確な向きに回転することはない。しかし、本発明では、最初のワイヤー又はカテーテルの最初の挿入時におけるランダムな回転を固定量として正確に記録し、これを考慮することで、器具の搬送時および配置時における正確な向き決めを可能としている。場合によっては、回収可能な試験的なステント器具、またはこれと同様の器具を使用して、病変部におけるワイヤーまたはカテーテルの向きを決定または確認することもできる。
【0040】
図1Aは、概して丸い断面の外径形状91と非円形の内腔991とを有するデリバリーカテーテル330の実施形態を示す。本形態における内腔991は三角形である。また、
図1Aには、上記デリバリーカテーテルの近位端9991も描かれている。
【0041】
図1Bは、近位端1及び遠位端2を有し、円筒形状のシースなし(不図示)のデリバリーカテーテルルーメン3の実施形態を示しており、上記近位端1は、デリバリーカテーテルの近位端9991と同じ幾何学的な平面内にあり、遠位端の孔2が対象の動脈瘤2000の近くに配置されるように血管1000を通っている。
【0042】
図1Cはデリバリーカテーテルルーメン3の断面図である。デリバリーカテーテルルーメン3は、頂点AA,BB,CCと内角A-B-Cとを有する三角形のルーメンを有し、そこにはプッシャーワイヤー300が挿入される。名称を定義するため、仮にその頂部にAとラベル付けされた頂点をもつ三角形のルーメンがあり、これが反時計回りに120°回転させられた場合、その頂点Aは三角形のルーメンの左下側に位置することになる。
図1Cの左側は、頂点AA,BB,CC及び内角A-B-Cの初期の相対的な向きと、そこに挿入されるプッシャーワイヤー300を示している。
図1Cの右側は同じルーメン3と同じプッシャーワイヤー300を示しており、頂点AA,BB,CCとその内角A-B-Cに対して反時計回りに120°の向きに配置されている。プッシャーワイヤー300がその中に挿通されているが、気孔率に差がある閉塞器具(不図示)を反時計回りに120°回転させた向きで搬送するため、角がC-A-Bにずれている。要するに、デリバリーカテーテルは、目標とする血管位置への搬送を行う際に、その血管位置に対する相対的な配置が固定される。デリバリーカテーテルに通されるプッシャーワイヤーは、患者の体外の近位側ハブとデリバリーカテーテルの遠位端との間の曲がりくねった構造の組織を介した搬送におけるランダムな回転を経て、その血管位置にデリバリーカテーテルと同じ向きでアイテム(多孔性閉塞器具など)を搬送する。このように、上記閉塞器具等が12時の位置で搬送されたときに、遠位端が所望の向きにあることが視覚化された場合には、パッケージングカテーテルの遠位端がデリバリーカテーテルの近位側ハブに差し込まれたときに、閉塞器具をパッケージングカテーテルからデリバリーカテーテルに回転させることなく差し込んでよい。しかし、12時マーカーが対象の病変部に対して回転していることが記録されたときには、その回転の量を記録し、これに対応する回転量パッケージングカテーテルを回転させることで、デリバリーカテーテルを通して閉塞器具を対象の病変部へ搬送する際に、これを所望の位置に回転させることができる。
図1Cの場合、多孔性閉塞器具は、デリバリーカテーテルの頂点AA,BB,CCの向きに対して反時計回りに120°の向きで目標の血管位置に搬送される。
【0043】
【
図2】
図2には、ステントパッケージングカテーテル30(患者の体外)の近位端10及び遠位端20と、デリバリーカテーテルルーメン3に取り付けられたハブ700(患者の体外)と、内部に挿通されるプッシャーワイヤー300が表示された、パッケージングカテーテルのハブポート701と、さらに、プッシャーワイヤー300(デリバリーカテーテルルーメン3に沿ってこれを通るように続く破線)が示されており、プッシャーワイヤー300は、その遠位端303が、対象の動脈瘤2000近傍のステント301に着脱可能に取り付けられており(好ましい一形態では、301は、事前に装着され、ワイヤーの三角形の外面に圧着されたステントとともにデリバリーカテーテルの全体を通ることに注意)、また、ハブポート701内に配置されたステントパッケージングカテーテル30の遠位端20と、ハブポート701内の近位端の三角形の孔に向けられ、
図2のステントパッケージングカテーテル30の実質的にほぼ同じ形状の遠位端20と並べられ、対象の動脈瘤2000近傍にある遠位端の三角形の孔2を有する、デリバリーカテーテルルーメン3と、血管壁1000内に設置されたデリバリーカテーテルルーメン3と、が示されている。
【0044】
【
図3】
図3には、デリバリーカテーテルルーメン3(
図2参照)が抜去された後の血管壁1000内の、プッシャーワイヤー300と、プッシャーワイヤーの遠位側303に配置されたステント301と、が示されている(ほとんどの実施形態においては、ワイヤーはステントを僅かに超える位置まで延びていた方がよいことに留意すべきである。必須ではないが、ワイヤーは少なくともステントの遠位端までは延びている必要がある。すなわち、ステント内まで延びている必要がある。したがって303はワイヤーの遠位端ではなく、遠位側にはあるが、ほとんどの実施形態では端ではない)。
【0045】
【
図4】
図4は三角形のデリバリーカテーテルルーメン3の内観図である。デリバリーカテーテルルーメン3の内側は、遠位辺44(44の背後にある斜辺の遠位辺55及び66は
図5に示されている)に対応する近位辺4,5,6により構成されている。面444は、近位辺4から始まり遠位辺44で終わるカテーテル側の全長を示している。他の実施形態(不図示)では、長方形、五角形、正方形、卵形、楕円形、星形などの他の規則的な非円形の形状を採用してもよい。
【0046】
【
図5】
図5には、
図4(又は時計回りに120°回転させた
図4)のデリバリーカテーテルの内側の隣接面555が示されている。面555は、近位辺5から始まり、遠位辺55で終わる(55の背後にある斜辺の遠位辺44及び66は破線で示されている)。面555はさらに放射線不透過性の向き決め補助マーカー5550を含む。三角形のステントを使用することは可能であるが、このような三角形のインプラントを使用することは好ましい実施形態ではないことに留意しなければならない。なぜならほとんどの血管の断面形状は円形だからである。2つの好ましい実施形態は、1.「三角形の」内腔を持つカテーテルをまず病変部に進め、それから「三角形の」ワイヤーに事前に装着されたステントをそのカテーテルを通して進める形態、そして、2.「三角形の」ワイヤーを病変部に進め、それから「三角形の」内腔を有するカテーテル(ほとんどの場合はカテーテル上のバルーン)に装着されたステントをこれに沿って進める形態である。いずれの場合も、円筒形状のステントは、ワイヤー(前者の場合)又はカテーテルのバルーン(後者の場合)に事前に装着および圧着されなければならない。ほとんどの場合、この装着と圧着は製造時および梱包時に行われ、医師は事前に装着された器具を受け取る。上述のように三角形のステントにワイヤーを通すのはごく稀なケースである。
【0047】
【
図6】
図6には、円筒形状のシースを除いた(図示しない)ステント301が示されている。ステント301はプッシャーワイヤー300に装着されており、矢印は、プッシャーワイヤー300(プッシャーワイヤー300は三角形である)がデリバリールーメン555の近位端303と遠位端3010に挿通されることを示している。デリバリールーメン555は、三角形のプッシャーワイヤー300と、これに三角形に圧着されたステント301の進入と通過とを可能にする構造の内腔を有している。内腔は、デリバリールーメン555の遠位端3010と、端面303の三角形の辺、すなわち辺部334,355,366を有している。この実質的に非回転の例では、三角形の辺部355は、長さが辺部3550で終端する平面を構成する。その平面上には放射線不透過性のマーカー55500が設けられている。遠位カテーテルの位置を確認しやすいよう、複数の放射線不透過性マーカーが設けられていてもよい。好ましい実施形態では、遠位端にも別の12時マーカーがあり、患者の体外にある近位側ハブには直接視覚化できる12時マーカーがある。ステントは、ワイヤー又はカテーテル(本例ではワイヤー)に取り付けられる必要があるため、ほとんどの実施形態においては、ワイヤーは少なくともステントの遠位端まで、通常はそれよりもわずかに長く延びていることに留意すべきである。
【0048】
【
図7】
図7Aは、デリバリーカテーテルルーメン3が正方形8881、五角形8882、矢印型8883、又は星型8884の内腔を有してもよいことを示している。内腔は、円形ではない任意の形状であってもよい。
【0049】
図7Bは、三角形の内腔を有し、近位端の12時の位置にマーカー8081があり、遠位端の12時の位置に放射線不透過性マーカー8082があり、遠位端の6時の位置に別の放射線不透過性マーカー8083があるデリバリーカテーテルルーメン3の例を示している。
【0050】
【0051】
【
図9】
図9は、三角形の内腔30(破線)を有するパッキングカテーテル3を示す。
【0052】
【
図10】
図10は、遠位端にテーパー9091を有するプッシャーワイヤー300の実施形態を示す。尚、
図10はプッシャーワイヤー300の一例にすぎず、これには限定されない、遠位端の先端は丸みを帯びた形状や、尖った形状、又は他の形状であってもよい。
【0053】
【
図11】
図11は、三角形の内腔、近位端ハブ上の12時の位置に設けられたマーカー8081、及びこれに対応する放射線不透過性の遠位端の12時マーカー8082を有し、12時マーカー8082が10時の位置に回転している、ねじれたデリバリーカテーテル3を示している。
【0054】
【
図12】
図12には、プッシャーワイヤー300と、近位端ハブ上の12時の位置にマーカー8081が設けられたデリバリーカテーテルルーメン3とが示されている。
【0055】
【
図13】
図13は、逆アンシースステントを示しており、より具体的には、アウタープッシャーハイポチューブ9091に装着されたステント9090を示している。アウタープッシャーハイポチューブ9091は、回転が必要でない場合に限り、図のように丸くてもよいことに留意すべきである。回転が必要な場合は非円形の外面の方が好ましい。
【0056】
【
図14】
図14は、ウィング9093とワイヤールーメン9094とを有するインナーアンシースハイポチューブ9092を示す。ウィング9093は後方に延び、アウタープッシャーシース/アウターハイポチューブ9091に装着されたステント9090を覆っている。アンシースハイポチューブは、インナーハイポチューブ及びステント9090の外部にあるウィング9093を除き、アウターハイポチューブの内側にあることに留意すべきである。インナーハイポチューブ9092及びアウターハイポチューブ9091は、任意に「オーバー・ザ・ワイヤー型」及び/又は「ラピッド・エクスチェンジ型」の構成としてよい。このように、インナーハイポチューブ9092を前進させ、アウターハイポチューブ9091の位置を保つことにより、カバーステント9090は近位端から先にアンシースされる。
【0057】
【
図15】
図15は、ワイヤー553を示しており、より具体的には、三角形のデリバリーワイヤーの外観を示している。かかるデリバリーワイヤーは、近位端の辺554,555,556を有し、これらはそれぞれ、側面と遠位端に対応している(例えば、近位端の辺554は、側面55444と遠位端の辺5544に対応している)。
図15の側面55444は、近位側の辺554から始まり遠位側の辺5544で終わるワイヤーの側面の全長を表わしている。この例では、ワイヤーの近位端と遠位端との間に大きな回転はない。他の実施形態(不図示)では、長方形、五角形、正方形、楕円形、星型など、他の非円形の形状を採用することができる。551は、ワイヤーの近位端であり、552はワイヤの遠位端である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の装置の実施形態およびその変形例について上記図面を参照して説明する。
【0059】
図1Aには、三角形状のルーメン1を有する円筒形状のデリバリーカテーテル330の透視図が示されている。本発明は、三角形、正方形、その他長方形、星形、六角形などの直線的なルーメンを有する円筒形状のデリバリーカテーテルを開示する。その他、ルーメンは楕円形や長円形など明らかに非真円の形状であってもよい。この直線状のルーメンは、ルーメン1に対して異なる固定相対角度で挿入されるように形成された、同形状のプッシャーワイヤーを送り出せるよう設計されている。
【0060】
図1Bには、円筒形状のシースを除く(図示しない)デリバリーカテーテルルーメン3の実施形態が示されている。デリバリーカテーテルルーメン3は、近位端1と遠位端2とを有し、遠位端の孔2が対象の動脈瘤2000の近くに位置するよう血管1000を通っている。デリバリーカテーテルルーメン3は、遠位端2が対象の動脈瘤2000に接近して停止するまで血管1000内に挿入される。ルーメン1の直線構造により、デリバリーカテーテルルーメン3は、対象の動脈瘤2000に最も近い一辺を有することに関して、設定された向きを有する。
【0061】
図1Cには、角A-B-Cを有する三角形の管腔を備えるデリバリーカテーテルルーメン3の断面図が示されている。プッシャーワイヤー300はそこに角がC-A-Bとなるように角度をずらして挿入される。これは、気孔率に差のある閉塞器具(図示せず)又は開窓付器具を、時計回りに240°回転させた所望の向きで搬送するためである。同様の設定は他の器具の搬送にも用いられている。例えば過去にWalzman(米国特許第10,543,015号)に記載された、非対称形状の動脈瘤頸部を覆う非対称形状のカバーを有する動脈瘤頸部キャップやその他の器具を、所望の最適な向きで搬送するためにも用いられる。どのような閉塞器具が使用される場合でも、補助的な追加の閉塞器具を任意に使用することができる。本発明は、デリバリーカテーテルルーメン3に対するプッシャーワイヤーの相対的な向きを固定することにより、患者の体外でプッシャーワイヤーの向きを固定できることを教示している。対象の動脈瘤2000に対するデリバリーカテーテルルーメン3の向きを、プッシャーワイヤー300の挿入前にイメージングにより確定させることにより、本発明の器具の実施者は、プッシャーワイヤー300を患者の体内で回転させることなく、プッシャーワイヤー300が動脈瘤2000に対して適切な向きになるようにこれを挿入することができる。
【0062】
次に、
図2を参照する。
図2には、ステントパッケージングカテーテル30(患者の体外)の近位端10及び遠位端20と、デリバリーカテーテルルーメン3に取り付けられたハブ700(患者の体外)と、内部に挿通されるプッシャーワイヤー300が表示された、パッケージングカテーテルのハブポート701と、さらに、プッシャーワイヤー300(デリバリーカテーテルルーメン3に沿ってこれを通るように続く破線)が示されており、プッシャーワイヤー300は、その遠位端303が、対象の動脈瘤2000近傍のステントに着脱可能に取り付けられており(注:301は、ステントがデリバリールーメンの遠位端に位置することを示すために描かれたものである。ステントは本発明の他の構造体に覆われているため
図2には示されていない)、また、ハブポート701内に配置されたステントパッケージングカテーテル30の遠位端20と、ハブポート701内の近位端の三角形の孔、及び対象の動脈瘤2000の近傍にある遠位端の三角形の孔2を有するデリバリーカテーテルルーメン3(その向きについて三角形の頂点A,B,Cの指定を参照)と、血管壁1000内に設置されたデリバリーカテーテルルーメン3と、が示されている。また、本発明は、ハブ700上に設けられた一つの「12時」マーカー8083と、カテーテルの遠位端に設けられた一つの放射線不透過性の「12時」マーカー8081と、を開示している。より具体的には、
図2は、三角形の内腔を有するデリバリーカテーテルルーメン3と、その遠位端の12時の位置に設けられた放射線不透過性マーカー8081と、デリバリーカテーテルのハブの近位端701の12時の位置にあるマーカー8083と、を示している。また、パッケージングカテーテルもマーカーを必要とするが、その遠位端にのみ8084として示されている。
【0063】
パッケージングカテーテル30は、対応する12時マーカーをその遠位端20に有しており、施術者により、12時マーカー8083を有するハブ700のポート701に接続される。このとき、パッケージングカテーテル30は、非円形のワイヤーとインナーカテーテルのルーメンとの組み合わせである本発明を気孔率に差のある分流ステント器具の搬送に使用するときに、ステント301とプッシャーワイヤー300が所望の向きに配置されるよう、つまりステント301の最小気孔率の面が対象の動脈瘤2000側に十分に向けられるように接続される。極端な例では、ステントの最小気孔率の部位は、流体および血液に対して完全に不透過性であってもよい。また、極端な例では、ステントの最大気孔率の部位は、支柱が一切なく、器具の開窓や孔であってもよい。
【0064】
次に
図3を参照する。
図3には、デリバリーカテーテルルーメン3(
図2参照)が除かれた後の血管壁1000内の、プッシャーワイヤー300と、プッシャーワイヤー303の遠位側に配置されたステント301とが示されている。ステント301が動脈瘤2000に隣接配置されると、ステント301が作動し、又はステント301が外部からの拘束から解放され、ステント301がその通気性のない面を動脈瘤2000に接するように展開される。一方、円筒形状に延びるステント301の他方の面は多孔質であり、その交わる側枝への血流を促す。展開されたステントは通常、円筒形状である。ステントは、ワイヤーやカテーテル、バルーンに装着されるときに、一時的に別の形状に圧着される。ステントがバルーンに装着されるときは、バルーンも通常は円形/円筒形状である。しかし、ステントが装着されるカテーテル又はワイヤーは、ほとんどの場合バルーン部分についても、ステントの近位側、及び通常は遠位側を適切な形状とする必要がある。これによりステントが適切な進路を取り、適切な向きを維持する。そのため、反復の中では、しぼんだバルーンもまた、連続的に適切な形状とされたカテーテルに圧着され、膨張するまでその形状を維持する。この例において丸いバルーンに圧着される場合、収縮したバルーンと膨張していない形状とが同じ形状に圧着されるように(必要に応じて、圧着工程に同じ形状の外部クリンパが使用されることもある)、バルーンは折り畳まれて収縮し、適当な形状のカテーテルに取り付けられる。しかし、バルーンが膨張したとき、及び/又はステントが展開されたときは、大抵の実施形態では、バルーン及び/又はステントは円筒形状を形成する。
【0065】
次に
図4を参照する。
図4は三角形のデリバリーカテーテルルーメン3の内観図である。デリバリーカテーテルルーメン3の内側は、遠位辺44(44の背後にある斜辺の遠位辺55及び66は
図5に示されている)に対応する近位辺4,5,6により構成されている。面444は、近位辺4から始まり遠位辺44で終わるカテーテルの側面の全長を示している。この例では、近位側の端部と遠位側の端部との間に大きな回転はない。
【0066】
デリバリーカテーテルルーメン3の管腔の向きは、明確に識別可能とすべきである。
図4は、近位端に辺4,5,6、側面444の遠位端に辺44を有する三角形の形状を示している。他の実施形態(図示せず)では、長方形や星形など他の非円形の形状を採用してもよい。
【0067】
次に
図5を参照する。
図5には、
図4(又は時計回りに120°回転させた
図4)のデリバリーカテーテルの内側の隣接面555が示されている。隣接面555は、近位辺5から始まり、遠位辺55で終わる(55の背後にある斜辺の遠位辺44及び66は破線で示されている)。隣接面555はさらに放射線不透過性の向き決め補助マーカー5550を含む。いくつかの好ましい実施形態では、病変部や側枝、又は他の構造に対するカテーテルの遠位側の回転位置を決めるために、遠位端の12時の位置に放射線不透過性のマーカーを有することもある。
図5は、
図4の回転後のイメージであり、近位端の辺5と遠位端の辺55で終端する隣接面555を示している。隣接面555上の放射線不透過性マーカー5550により、ユーザーは、デリバリーカテーテルルーメン3の一辺の相対的な向きを把握することができる。この情報により、パッケージングカテーテル30は、プッシャーワイヤー300及びステント301が動脈瘤2000の近傍に至ったときに、これらが所望の構成で適切な向きに並べられるよう、ハブポート701において適切な向きに設定される。
【0068】
次に
図6を参照する。
図6には、プッシャーワイヤー300の遠位端に取り付けられ、デリバリールーメン5555の近位端に並べられたステント301を示している(注:301は、本発明の他の構成によりカバーされ得るステントの位置を示している)。ステント301は、拘束から解かれて完全に展開されたときにはほぼ円筒形状となる。しかしステント301の導入時には、三角形のワイヤー上に、デリバリールーメン555の遠位端および近位端303の平面上の三角形の辺部、具体的には辺部334,355,366を有する三角形の形状に締め込まれる。デリバリールーメン301の遠位端3010には三角形の辺部3550が示されており、点線は三角形の他の2つの辺部3440及び3660を示している。この実質的に非回転の例では、三角形の辺部355は、長さが辺部3550で終端する平面を構成する。その平面上には放射線不透過性のマーカー55500が設けられている。
【0069】
(第1の方法)
【0070】
カテーテルの近位側ハブに「12時」マーカーがあり、管腔の内周形状が一定の非円形で連続するデリバリーカテーテルを使用する。12時マーカーは、ハブとデリバリーカテーテルの先端に設けられてもよい(例えばカテーテル先端の放射線不透過性マーカー)。ユーザーは、プッシャーワイヤーに取り付けられた気孔率に差のあるステント又は閉塞器具を有するステントパッケージングカテーテルをその中に挿入する。ハブと先端部の間の回転の程度を決定するためのテストの後、ユーザーは、器具がデリバリーカテーテルの遠位端にある対象部位に到達したときに所望の位置に向けられるよう、ハブにおいてパッケージングカテーテルを所望の目盛りに回転させる。
【0071】
目盛りはハブ上の任意の方向を指すようにハブのどこに表示されてもよいが、これを12時目盛り又は12時マーカーと呼ぶことは、アナログ時計の文字盤に慣れている者にマーカーに対する相対的な位置を説明するのに便利である。例えば、ハブを「3時」、「6時」、「9時」に回転させるようユーザーに指示すれば、それぞれ直感的に1/4回転、1/2回転、3/4回転とイメージさせることができ、その他の「時」によりこれら90°の基準間のおおよその位置(例えば、2時、5時、11時)をイメージさせることができる。同様の効果は、「北」マーカーを基準として、東、南、西などの用語(または東南東や北西などの中間位置)を利用することでも得られるが、「12時」が好ましい基準である。重要なのは用語ではなく、デリバリーカテーテルに対する相対的な向きを360°の範囲において手動で回転させることができることである。
【0072】
遠位マーカーを有するパッケージングカテーテルを使用し、テストステント、最終ステント、又は他の指向性器具を、デリバリーカテーテルの12時マーカーに対して特定の向きで前進させる。ステント(又はその他のマーク付き血管内器具)は、最後は通常ほぼ同じ向きに配置される。ハブの12時の配置で導入された場合、遠位端の12時のマーカーがどのような向きであっても、そのまま搬送される。器具の配置を変えたいときは、これを所望の配置とするために、エンドマーカーを基準として対応する角度および方向に器具を回転させる必要がある。このような回転は、最終の器具をデリバリーカテーテルに導入する前に、デリバリーカテーテルを、最終の器具を終端部の12時マーカーに対して回転させるべき所望の方向へ、所望の量回転させ、その向きで最終の器具に導入することにより実現される三角形のルーメンとワイヤーを使用する場合、パッケージングカテーテルはデリバリーカテーテルに対してその円周方向の3つの位置にしか回転できない。回転位置の選択肢を増やすには、ステント又は他の器具をデリバリーパッケージングに装着するときに、事前にこれを12時マーカーに対して様々な角度で装着すればよい。これは多くの場合、製造業者が配送前に包装するときに行われる。この器具および/またはその包装には、パッケージングカテーテルの遠位端の12時マーカーに対するこの器具の配置を識別するための、適当なラベルが付けられる。デリバリーカテーテルとパッケージングカテーテルのマーカーの位置が一貫して並べられることを確認するためにこの工程を繰り返してもよい。次に、デリバリーカテーテル先端のマーカーに対するテストステント/器具のマーカーをイメージングし、搬送先での所望の向きを実現するために、デリバリーカテーテルにステントをどの向き(例えば「時計」の何「時」か)に装着するかを決定する。
【0073】
必要であれば、テスト器具を取り除いて恒久的な器具を挿入および展開する前に、追加のテストステント/器具を予想された向きに一時的に挿入してイメージングし、向きを確認してもよい。
【0074】
例えば、テストの結果、開窓部が「7時」方向に配置されたことが示しされており、これは対象の分枝血管に対して時計回りに90°ずれているとする。この場合、開窓部が対象の分枝血管の近傍に正しく向けられるよう、ステントパッケージングカテーテルを「4時」の方向に再配置する。
【0075】
カテーテルの先端の向きをイメージングしたら、同様に配置されたハブマーカーに対して適切な向きに装填されたステントを展開する。繰り返すが、必要であれば、放射線不透過性マーカーが追加された「テスト」器具/ステントを回収可能に配置して向きを確認することができる。
【0076】
(第2の方法)
【0077】
上述の第1の方法の工程およびマーカーを用い、さらに、独特の幾何学的断面形状の管腔がその全体に渡って形成されたデリバリーカテーテルを使用する第2の方法を開示する。一般的な実施形態では、デリバリーカテーテルの外面は、循環血管内を進みやすくするため、慣習的に円筒形状であり十分に丸みを帯びている。丸みを帯びていない内腔は、ステントパッケージングカテーテルやワイヤー、又はその組み合わせを配置するときの回転を最小限に抑え、向きの予測可能性を高める。
【0078】
添付の図面は、例として三角形の管腔を示している。この代わりに、正方形、六角形、八角形、五角形、「家」のシルエット、卵形、楕円形、星形などの非円形の形状も使用できる。星形は、例えば6つの頂点の「ダビデの星」など、どのような形でもよいが、管腔全体を通して一つの形状を使用する。
【0079】
さらなる実施形態では、パッケージングカテーテルの内腔は、デリバリーカテーテルの管腔の形状に応じて形成されてもよい。この対応関係は、例えば、添付の
図1A及び1Bに示されている。この実施形態では、パッケージングカテーテルとデリバリーワイヤー又はハイポチューブとがぴったりと合う形状を有することで互いに回転できないようになっているが、互いに前後への移動ができる程度には隙間が設けられている。この実施形態では、デリバリーカテーテルの向きとこれに挿通されたステント/器具の向きとが同じになるように維持することで、予測可能かつ正確に所望の適切な向きへの配置を実現している。
【0080】
ここでも、同じ向きを示す「12時」マーカーをハブとカテーテルの先端とに配置することができる(カテーテル先端のマーカーは放射線不透過性である)。そのため、カテーテル先端の向きをイメージングし、同様に配置されたハブマーカーに対して適切な向きに装着されたステントを使用することができる。通常、ステントは、カテーテルの内側の形状に適合する類似の外形を有するデリバリーワイヤーに装着される。繰り返すが、必要であれば、追加の放射線不透過性のマーカーを有する「テスト」器具/ステントを回収可能に配置して向きを確認してもよい。
【0081】
別の例では、近位部が実質的に非円形で、対象区間までの全長を連続的に又はほぼ連続的に延びるワイヤーを、標準的な血管内治療法によって挿入する。このワイヤーの終端、又はこのワイヤー上の非円形部分の終端に相当する部分には、その円周上の「12時」の位置に、生体内で有効にイメージングできる放射線不透過性のマーカーやその他のマーカーが配置され、患者の体外にあるこのワイヤーの近位端にもこれと同じ「12時」のマーカーが配置される。多くの場合、このワイヤー(前出の例ではカテーテル)の先端には、異なる放射線密度、形状、又は向き等の、複数の異なる放射線不透過性マーカーも設けられる。これにより、病変部および/または分岐オリフィスに対する12時マーカーの相対的な位置を、その回転量に基づいて決定することができる。エンドマーカーとその相対的な回転量が可視化したら、適切な向きに向けられたステントを上記ワイヤーの後部に装着する。ステントは、上記ワイヤーの外面と相似形の内腔を有するカテーテルに装着され、任意のバルーン(ステントはバルーンにマウントされてもよい)とともにほぼ同じ形に圧着される。前述のように、ステント又は他の器具は、近位側の12時マーカーを基準として所望の回転角度で前述のワイヤーに装着され、対象部位に搬送され、そこで展開され、移植される。繰り返すが、必要であれば、最初にテスト器具を設置して画像を再取得し、対象の病変部位における回転方向の配置を確認してもよい。これら相似形の非円形ワイヤーと管腔の構成は、オーバー・ザ・ワイヤー型およびラピッド・エクスチェンジ型の両方に使用することができる。さらに別の例では、ステントは、上記ワイヤーの形状に適合する相似形の内腔を有するカテーテル内に装着される。ステントはそのカテーテル内に事前に装着され、内部で同様の形状に圧着され、その後、搬送される。これは、自己拡張型ステントでより一般的に使用される。ワイヤーファースト法を用いる自己拡張型ステントの多くは、適切な内部形状のインナーハイポチューブ又はカテーテル、これらの外側に装着されるステントと、ステントに重ねられる第2のカテーテル又はハイポチューブの両方を有する。このインナーハイポチューブ又はカテーテルはワイヤーに取り付けられる。ステントが目的の位置に到達したら、ステントに対する外部からの拘束を解いてこれを展開させるため、アウターハイポチューブが引き抜かれる。
【0082】
多くの分岐部病変に最適化された別の例では、デリバリーカテーテルは複数のルーメンを有する。分岐部狭窄の治療の一例では、まず、非円形のワイヤーが、狭窄部の周縁を横切って、1つ目の分枝に導入される。次に、第1ステントを、バルーンがマウントされた適切な第1カテーテルに予め取り付ける。第1ステントは2つ目の分枝の分岐点に正しく配置される開窓部を有している。終端の孔から延びる第1ルーメンは、遠位端の孔から近位端の孔までの全長にわたる長さを有するルーメンとすることもできるし、一次ワイヤールーメンが終端の孔から近位側の側孔まで延びる「ラピッド・エクスチェンジ型」の構成とすることもできる。他の二次ルーメンは、一次カテーテルのバルーンを膨らませたりしぼませたりするためだけのものである。そのバルーンには開窓型ステントが取り付けられている。ここで説明されている実施形態における一次カテーテル、ステント、及びバルーンはすべて、重なり合う同じ側面および部位に、開窓部/遠位側孔を有していなければならない。上記遠位側孔は、上記バルーン膨張用ルーメンの血管内経路の全体に沿って近位側に延び、上記バルーン膨張用ルーメンから患者の体外において近位側に分岐し、他の三次ルーメンの終端の孔として機能する。オーバー・ザ・ワイヤー型の構成では、体外に第3の分枝、すなわち一次ルーメンの近位側への延長部を有する。本実施形態の好ましい例では、一次ルーメンが終端の孔から近位側孔までラピッド・エクスチェンジ型の構成を有している。二次ワイヤーを、遠位側孔を経由して側枝へ、その近位端の孔を経由して近位側の三次ルーメンへ進めることができるので、円形のルーメンと円形のワイヤーを用いる場合でも、比較的まっすぐで蛇行のない構造の組織においては本実施形態を用いることができる。直線的な構造の組織において、ワイヤーを、このルーメンを通して遠位側孔の外へ、そして側枝の中へ進めることは、通常、全体の構成と、予めマウントされた一次ステントとを、側枝のオリフィスにある開窓部とともに適切な構成に整えることができる。しかし、ほとんどの曲がりくねった構造の組織では、非円形のワイヤーと一次ルーメンの内腔は、一次ルーメンに所望の構成で予め適切に取り付けるために必要となるので、開窓部は、側枝のオリフィスに面する。複数の側枝オリフィスのための複数の開窓部もまた可能である。追加の放射線不透過性マーカーにより、ステントの近位端および遠位端、並びにあらゆる開窓部の近位端および遠位端を示すことができる。この好ましい、単一の開窓部、ラピッド・エクスチェンジ型、非円形のワイヤー、及び一次ルーメンの構成では、一次バルーンが膨張して一次ステントが展開される前に、三次ルーメンを通して二次ワイヤーを側枝に進めることができる。その後、側枝の所定の位置に二次ワイヤーを残しつつ、デリバリーカテーテルにマウントされた一次バルーンを必要に応じて取り除くことができる。一次ワイヤーは、そのままにしておいても、取り除いてもよい。次に、二次カテーテルにマウントされた二次ステントを、二次ワイヤーに沿って分岐オリフィスに進め、そこで展開することができる。2次ステントがかなり大きな隙間をもち、血流を著しく阻害しない場合には、典型的な丸いワイヤーと第2のステントカテーテルシステムを用いて、分岐部に「Y」字構成のステントシステムを展開および配置することができる。しかし、一次遠位側分枝の分岐点を覆う第2のステントに追加的な開窓部を必要とするときは、第2の開窓型ステント器具の開窓部を適切に配置するため、第2のワイヤーも非円形のワイヤーとすべきであり、対応する非円形のルーメンを有する第2のカテーテルを用いるべきである。
【0083】
(共通の方法)
【0084】
上記の器具および方法のいずれかを用いて、分岐血管の分岐点に開窓部を正確に配置することができる。その後、その開窓部を通してワイヤーを分枝血管に進め、以下のいずれかを行う。
(a)バルーンを膨張させることができる器具/ステントをワイヤーに沿って搬送し、その近位端が最初のステント/器具の開窓部に最小限度重なるように配置する。さらに、必要に応じて、分枝部分には、分枝血管内に延びる部分に対して開窓部側がやや大きくなるようなテーパーが設けられてもよい。
(b)第2のデリバリーカテーテル(又は最初のデリバリーカテーテルを再使用してもよい)を分枝血管に搬送し(ワイヤーは任意に取り外してよい)、そのデリバリーカテーテルを通して追加のステントを搬送する。繰り返すが、分枝部分には、分枝血管内に延びる部分に対して開窓部側がやや大きくなるようなテーパーが設けられてもよい。
オプション(b)は、現在、この種の器具にとって最も一般的で好ましい搬送方法である。
【0085】
搬送方法(b)は、しかしながら、近位側ステントを正確に設置することが難しい。特に、「織られた」又は「編まれた」ステントは、その設置時に、著しく、また予測不能に(デリバリーカテーテルに圧着されたときの長さと比較して)短縮する。
【0086】
別の選択肢は、そのようなステントのための新しい搬送器具である。この実施形態においてそれは、フィルターチップTAVR(transcatheter aortic valve replacement)カテーテルの「ウィング付きインナーカテーテル」に似た器具/カテーテルに装着される。「ウィング」は、事前に装着された自己拡張型ステントを外部から拘束する。「ウィング」が取り付けられたインナーハイポチューブは適当な非円形の内腔しており、所望の向きに配置された類似形状のワイヤーに沿って延びている。ステントは、好ましくは同じ非円形の構成のアウターハイポチューブに装着される。ステントを近位側から遠位側に向かって設置するため、ステントのインナーハイポチューブとこれに取り付けられた「ウィング」を前進させつつ、アウターハイポチューブとその上のステントを所定の位置に維持する。このようにして、自己拡張型ステントの近位側の部分を最初に解放する。この部分的に展開されたステントは、動作を逆にすることにより、再シースすることもできる。本明細書に記載されたワイヤーファースト構成の発明を用いる場合は、ワイヤーの直径が大きいほど、デリバリーカテーテルの角があるルーメン1に案内されてカテーテルが搬送される際の望まない回転が減る。その他の実施形態として、ワイヤーの端部に追加のアンカーを有してもよい。このようなアンカーの例としては、コイル、バネ、複数に別れたワイヤーの端部、回収可能なステントなどが考えられる。
【0087】
ステントに取り付けられた単一または複数の外部ワイヤーを有し、好ましい実施形態において理想的にはこれらはステントの近位端および遠位端に取り付けられ(これは「オーバー・ザ・ワイヤー型」であってもよいが、「ラピッド・エクスチェンジ型」とする方が望ましい)、最初のものが開窓部を通って分枝血管に入り、第2のステント/器具がワイヤーに沿って所望の位置へと進む。ステントが取り付けられたワイヤー(又はその代わりのアウターカテーテル)は、「ウィング付きインナーカテーテル」が前進する間、所定の位置に保持され、近位端側からステントを露出/アンシースする。
【0088】
本発明はまた、分岐型ステントのためのアンシース装置を開示する。より具体的には、本発明は、近位側から先にアンシースする装置を開示する。上述の例では、ステントがワイヤーによって取り付けられている場合、ワイヤーはステントを膨張させることができる。ステントがアウターカテーテル(これはインナーカテーテルの外側にあるが、ステントの内側にある。ウィングはステントの外側にある)の遠位側に取り付けられている場合、ステントの近位端を切り離す前にその全体がアンシースされるのを待つ必要がある。しかし、自己拡張型の非付着型(non-attached)ステントでは、インナーカテーテルと、ステントに重なるようにこれを覆う「ウィング」とが前進し、ステントが「ウィング」の拘束から徐々に解放されていくことで、ステントは自動的に近位側から遠位側に向かって展開され、切り離される。あるいは、ステントの近位側の円周がアウターカテーテルに取り付けられており、さらに、ステントの遠位部分に少なくとも1つの追加ワイヤーが取り付けられているか、又は、アウターカテーテルのそのステントの遠位部分に追加のアタッチメントを有する場合は、ステントの近位部分をアンシースするときに近位側を切り離し、開窓部が重なる適切な向きと位置を確保しつつ、主血管を大きく覆わないようにして、ステントの全体が展開された後にステントの遠位側を切り離すことができる。
【0089】
ステントは、「アウターカテーテル」の遠位にのみ取り付けることが適当である。このシステムを前進させるには、アウターカテーテルを押してこれに取り付けられたステントを引っ張り、インナーカテーテルのウィング部分を押す(これによりインナーカテーテルの全体が一体として押される)。そして、ステントが適切な位置に配置されたら、アウターカテーテル(及びこれに取り付けられたステント)の位置を保ったまま、インナーカテーテルとその「ウィング」を前進させることで、第2のステントをアンシースすることができる。これには自己拡張型ステントを用いてまずステントの近位側をアンシースする。ステントの近位側はアンシースされるにつれて自動的に展開される。ステントを遠位側に向かって部分的に又は完全に切り離し可能な形態では、位置がずれた場合、インナーカテーテルを引き戻してステントの近位側を再シースすることができる。そしてステントを再度アンシースする前にこれを再配置することができる。
【0090】
別の実施形態では、非円形の一次ワイヤーを前進させたら、ワイヤーの配置角度を固定するため、まず四次カテーテルを前進させる。四次カテーテルは、一次ワイヤーの形状に対応する非円形の内腔と、同様の形状の外面とを有し、近位および遠位の「12時」マーカーを有する一方、ハブは備えていない。その後、一次ワイヤーとこの四次カテーテルをワイヤー/レールとして使用し、一次ステントの搬送/展開中に望まない回転が生じる可能性を抑え、一次カテーテルを所望の構成で送出する。
【0091】
また、「編まれた」又は「織られた」ステントを使用する場合、これらは完全に展開されるまでに時間がかかり、その予測も困難であるため、ステントの近位端に(及び他の部分にも任意に)1つ又は複数のニチノール・ワイヤー・リングを設け、ステントの最大直径または血管直径までのより迅速な展開/自己拡張を促し、ステントと血管壁との密着度を最大化してもよい。また、必要であれば、スムーズな再シースを可能にするために、同様の長手方向のワイヤーを取り付けてもよい。
【0092】
好ましい方法を以下の工程を通してより具体的に説明する。以下の工程では、プッシャーワイヤーの形状が、デリバリーカテーテルの角のある形状のルーメンと合同の形状(例えば三角形のプッシャーワイヤーと三角形のルーメン)である装置の実施形態を用いる。
(a)デリバリーカテーテルを体内に挿入し、
(b)デリバリーカテーテルの遠位端が対象の動脈瘤の近傍に至るまで、デリバリーカテーテルの近位端を任意の一次ワイヤーに沿って押し込み、
(c)一次ワイヤーを引き抜き、
(d)対象の動脈瘤に対するステントの向きを設定するため、パッケージングカテーテルの内形と同形状のプッシャーワイヤー及び事前に装着されたステントを有するパッケージングカテーテルの、ハブのポートに対する向きを設定し、
(e)パッケージングカテーテルをハブのポートに挿入し、
(f)ハブをデリバリーカテーテルの近位端に取り付け、
(g)ステントが対象の動脈瘤の近位に至るまで、ステントとともにプッシャーワイヤーをパッケージングカテーテルからデリバリーカテーテル内に押し込み、
(h)ステントが完全に露出するまで、プッシャーワイヤーを保持または前進させながら、デリバリーカテーテルを部分的に引き抜き、
(i)気孔率に差のある閉塞器具を設置し、
(j)プッシャーワイヤーを引き抜き、
(k)デリバリーカテーテルを引き抜く。
【0093】
分岐型またはY字型ステント-前述の手順を用いて、マーカーを参照しながら、2つのステントから「Y字型」のステントを体内で組み立てることができる。段落0091の例では、第1の開窓型閉塞器具が展開されると、第2のデリバリーカテーテルを、又は第1のデリバリーカテーテルを再使用し、これを任意のワイヤーに沿って、近位側ステントを通し、開窓部を通して、側枝に進めることができる。その後、別の第2のステント閉塞器具を展開することができる。第2のステント閉塞器具は、開窓部を持たず、設置された第2のステント閉塞器具の近位端が第1のステント閉塞器具の開窓部の縁にわずかに重なるように配置してもよく、又は、第2の開窓型器具を、「Y字形」の構造を構築するために、上述の(第2のステントの)二次開窓部を一次分枝血管のオリフィスに正しく重ねる方法とともに、第1の開窓型器具と同様の方法で設置してもよい。
【0094】
本発明では、自己拡張型の部品を採用してもよい。
【0095】
本発明では、バルーン拡張部材を採用してもよい。
【0096】
本発明は、任意に放射線不透過性の部品および/または放射線不透過性のマーカーを含んでもよい。これらは、ステントの端部や、カバー又は低気孔率の範囲の端部、若しくは開窓部を見定めるのに特に有意である。放射線不透過性材料およびマーカーは、より多くの場所に、時には全体に渡って設けられてもよい。
【0097】
本発明は、分岐したステント要素を有することができる。
【0098】
本発明のステント要素は、その全体を再シース可能であってもよい。
【0099】
本発明のステント要素は、部分的に再シース可能であってもよい。
【0100】
本発明のすべてのステント要素は、取り外し可能であってもよい。
【0101】
前述の内容は、様々な内視鏡手術にも適用することができる。また、好ましい実施形態においては、ステントは、三角形(又は他の形状)に圧着され、完全に展開されたときには円筒形状となるが、実施形態によってはステント自体が三角形(又は他の形状)の場合もあり得る、しかしほとんどの血管は円筒形状であることに留意すべきである。
【0102】
本発明は、アウトパウチングを埋めるために輪郭を合わせたメッシュ嚢(contoured mesh sacs)などの他の器具を、その好ましい方向に導入するために用いることができる。このようなアウトパウチングの多くの例の1つは、血管動脈瘤である。実施形態によっては、これにより特定の病変の形状に輪郭を合わせたあつらえのインプラントを作ることができるとともに、この器具の正確な向きでの搬送および配置が可能となる。
【0103】
本発明の仕組みは、コーティングされた器具を搬送するためにも使用することができる。使用可能なコーティングには、潤滑性化合物、粘着性化合物、ヒドロゲル、医薬品、化学療法剤、細胞、タンパク質、これらコーティングの組み合わせ、及びその他のものが含まれる。コーティングは、内面、外面、間隙、及びこれらの組み合わせに対して施されてもよい。
【0104】
また、本発明の仕組みは、過去にWalzman(米国特許第2020/10,543,015号)に記載された複数の円周バルーンカテーテルとさらに組み合わせてもよい。これにより、上述のデリバリーカテーテルの先端を、血管、動脈瘤、又は動脈瘤頸部に対して所望の径方向の向きにより正確に位置決めすることができ、器具搬送の安全性と正確性が最大化される。
【0105】
当業者には、上記各実施形態はあくまで例として記載されていることが理解されるものと考える。ここに開示された原理および特徴は、特許請求する本開示の範囲および思想から逸脱することなく、多様かつ数多の実施形態に採用され得る。上述の実施形態は、本開示の範囲を例証するものであるが、本開示の範囲を制限するものではない。