(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240924BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20240924BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240924BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240924BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240924BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240924BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/892
A61K8/891
A61K8/73
A61K8/46
A61K8/41
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2021576100
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066615
(87)【国際公開番号】W WO2020254318
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521193094
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・マッケン
(72)【発明者】
【氏名】アラシュ・モハジャー・モガダム
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・ムスカット
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジョージ・ライレー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・スタルク
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0071198(US,A1)
【文献】特開2015-027977(JP,A)
【文献】特開2014-076983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0151145(US,A1)
【文献】McBride Research Laboratories, USA,Deep Moisturizing Shampoo,Mintel GNPD [online],2019年05月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#6567877, [検索日:2024.02.06], 全文,全図
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪及び頭皮のための、水性硫酸塩フリーシャンプー組成物であって、
a.予め形成された乳化シリコーン、
b.カチオン性付着ポリマー、
c
.分子量100万ダルトン未満を有するAPTACポリマーである、毛髪直接付着カチオン性コンディショニングポリマー、
d.(i)100%活性度で、全組成物の質量に対して、3wt%~13wt%の一般式(I)
R
1-CH=CH-CH
2-SO
3
-M
+ (I)
(式中、R
1は、11~13個の炭素原子を有す
る直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基及びその混合物から選択され、Mは可溶化カチオンである)
のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤、
(ii)
ココベタインである、一般式(II)
R
2-N
+(CH
3)
2-CH
2-COO
-M
+ (II)
(式中、R
2=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルベタイン、
ラウリルヒドロキシスルタインである、一般式(III)
R
3-N
+(CH
3)
2-CH
2-CH(OH)-CH
2-SO
3
-M
+ (III)
(式中、R
3=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルヒドロキシスルタイン
、
及びその混合物から選択される、1~6質量%の両性又は双性イオンの界面活性剤
で構成される、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び双性イオン界面活性剤の全量、並びに
e.懸濁剤を含み、
(i)の(ii)に対する質量比が、1:1~6:1の範囲であり、組成物のpHが3~6.5であり、
スピンドルRTV5を使用したBrookfield V2粘度計を使用して、30℃で、20rpmで1分間測定される場合、組成物が、3,500~15,000mPa.
sの粘度を有する、水性硫酸塩フリーシャンプー組成物。
【請求項2】
乳化シリコーンの量が、組成物の全質量に対して及び100%活性度で、0.01~10wt%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤の量が、組成物の全質量に対して、且つ100%活性度で、3~12.85質量
%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
一般式(II)
又は(III
)の両性又は双性イオンの界面活性剤の量が、(組成物の全質量及び100%活性度に対して)1~4%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(i)及び(ii)の合わせた量が、(組成物の全質量に対して、質量で)5wt%~15wt%の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤(i)の、前記両性又は双性イオンの界面活性剤(ii)に対する質量比が、1.5:1~4.5:1である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記両性又は双性イオンの界面活性剤(ii)が、(組成物の全質量に対して質量で、及び100%活性度で)1~4%の量の、ココベタインである、一般式(II)のベタイン両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルタインである、一般式(III)の両性界面活性剤、及びその混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記カチオン性付着ポリマーが、0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリ
ドである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのレベルが、組成物の全質量に対して、0.15~0.2質量%の範囲である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記懸濁剤が、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖類ゴム、及び長鎖アシル誘導体から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記懸濁剤が、組成物の全質量に対して、懸濁剤の全質量で、0.1~10wt%のレベルで存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記APTACポリマーが、pH7で、3より高
い電荷密度を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記APTACポリマーが、100,000~950,000ダルトンの分子量を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に規定の組成物を毛髪に塗布し、水を用いて第1のすすぎを行う工程を含む、毛髪を手入れする方法。
【請求項15】
コンディショナー組成物を塗布し、水を用いて第2のすすぎを行う、後続の工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
増粘ポリマーから選択される増粘剤、及び(ii)で規定されない、第2の界面活性剤を含まない、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
無機電解
質を含み、(i)の(ii)に対する質量比が、2:1~4:1である、請求項1から13又は16のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪及び頭皮のための低刺激性硫酸塩フリークレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2012/276210号は、ポリアクリレートマイクロカプセルを含有するシャンプー組成物であって、ポリアクリレートマイクロカプセルが毛髪上の付着を増加させる、シャンプー組成物に関する。
(a)アニオン性荷電のポリアクリレートマイクロカプセル約0.001%~約10%、
(b)カチオン性付着ポリマー約0.01%~約2%、
(c)洗浄性界面活性剤約2%~約25%、及び
(d)キャリヤー
を含むシャンプー組成物が開示される。
【0003】
国際公開第2007/065537号は、シャンプープロセスの様々な段階で、コンディショニングの利点の良好なバランスを得るのは難しいという、カチオン性付着ポリマーの使用に関係した問題に対処し、
(i)1種又は複数のアニオン性クレンジング界面活性剤、
(ii)4マイクロメートル以下の平均液滴径(D3,2)を有する、水不溶性コンディショニング剤の、異なる、分散された液滴、
(iii)pH7で1.0meq毎グラム未満のカチオン電荷密度を有するカチオン変性アクリルアミドポリマー、カチオン変性セルロース、及びその混合物から選択される、1種又は複数のカチオン性ポリマー(A)、並びに
(iv)pH7で1.0meq毎グラムより高いカチオン電荷密度を有するカチオン変性アクリルアミドポリマー、カチオン変性ポリガラクトマンナン、及びその混合物から選択される、1種又は複数のカチオン性ポリマー(B)
を含み、組成物が、カチオン変性アクリルアミドポリマー以外のカチオン性ポリマーを含む、水性シャンプー組成物を開示する。
【0004】
国際公開第2013/122861号では、即時の、且つ持続的な利点をケラチン表面にもたらすコンディショニング組成物添加剤であって、
a)疎水変性ポリ(アクリルアミド-N-プロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリAPTAC)及びb)水を含み、
疎水変性ポリAPTACが、コンディショニング組成物添加剤の全質量の、0.1wt%~20wt%の量で存在し、約1~8meq/gの範囲のカチオン電荷密度を有する、コンディショニング組成物添加剤が開示される。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0076747号では、界面活性剤、カチオン性の水溶性ポリ電解質を含む界面活性剤ベースクレンジング組成物、並びにケラチン基質、繊維物質、及び硬表面基質を処理するための、パーソナルケアの組成物及び家庭内ケアクレンジング組成物の使用が開示される。
【0006】
米国特許出願公開第2018/015009号では、マイクロカプセル及び第1の付着として、硬表面、例えば、皮膚、毛髪、繊維、及び床へのマイクロカプセルの付着を容易にするのを助けるアクリルアミドとアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとのコポリマーが開示される。
【0007】
国際公開第2018/007332号では、(i)クレンジング界面活性剤を含む水性連続相、(ii)皮膚及び/又は毛髪のための、1種又は複数の油性液体コンディショニング剤であって、少なくとも1種の無機電解質及び少なくとも1種のリンカー分子の組み込みを介して、水性連続相中にひも状ミセルで溶解する、油性液体コンディショニング剤、(iii)pH7での平均電荷密度0.2~2meq毎グラムを有するカチオン性ポリガラクトマンナンから選択される、1種又は複数のカチオン性付着ポリマー、並びに(iv)(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーである、毛髪直接付着(hair substantive)カチオン性コンディショニングポリマーを含むパーソナルクレンジング組成物が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2012/276210号
【文献】国際公開第2007/065537号
【文献】国際公開第2013/122861号
【文献】米国特許出願公開第2012/0076747号
【文献】米国特許出願公開第2018/015009号
【文献】国際公開第2018/007332号
【文献】国際公開第96/31188号
【文献】欧州特許出願公開第0530974号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
毛髪で使用される、多くのクレンジング製品及びコンディショニング製品は、シリコーンを含有する。コンディショニングの利点及び感覚的な利点を与えるために、シリコーンを毛髪上に付着させることが望ましい。典型的な毛髪洗浄プロセスは、初めにシャンプーで毛髪を洗浄し、すすぎ、続いて、コンディショナー製品を塗布し、すすぐ。
【0010】
シリコーンは、シャンプーから毛髪上に付着され得る。
【0011】
しかし、発明者らは典型的な洗浄プロセスの一部として、毛髪が、引き続いてコンディショナーで洗浄される場合、このシリコーンが、大部分一掃されることが分かった。この結論として、毛髪を乾かした場合に明らかになる、コンディショニングの利点をもたらすために、コンディショナーにシリコーンを含める必要性がある。
【0012】
好ましくは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及び(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーから選択されるAPTACポリマーである、コンディショニングポリマーを含むシャンプーは、シャンプーから送達されるシリコーンの付着を高め、コンディショナーで洗浄する間、及び洗浄した後、毛髪にシリコーンを保持するのに役立ち得ることを発明者らは見出した。
【0013】
毛髪を、好ましくは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及び(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーから選択されるAPTACポリマーである、コンディショニングポリマーを含有するシャンプー、次いでシリコーンフリーコンディショナーで洗浄する場合、毛髪は、1%シリコーン含有シャンプー、次いでシリコーンフリーコンディショナーで洗浄された毛髪と比較して、シリコーンの有意により高い配置を有する。
【0014】
乾燥摩擦データにおいて、好ましくは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及び(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーから選択されるAPTACポリマーである、コンディショニングポリマーを含有するシャンプー、次いでシリコーンフリーコンディショナーで洗浄された毛髪は、1%シリコーン含有シャンプー、次いでシリコーンフリーコンディショナーで洗浄された毛髪と比較して、有意により低い乾燥摩擦を有する。
【0015】
シャンプー配合物へのシリコーンの添加は、泡立ち特性、例えば、フラッシュ泡及び泡の高さに悪影響を及ぼすことが知られている。
【0016】
発明者らは、硫酸塩フリーの、主要な界面活性剤としてアルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)を特定した。硫酸塩ベースのシャシーと同様、第2の界面活性剤は、塩を使用して粘度を増大するのを促し、泡を制御し、より低いCMCによって低刺激性の利点をもたらすのを補助する一助となることが要求される。
【0017】
配合物で使用される界面活性剤のレベルを減らすことが望ましい(低刺激性及び環境的な利点のため)。発明者らは、界面活性剤の量を減らす場合、配合物の粘度は、望ましくないことに低下することを見出した。
【0018】
しかし、典型的な第2の界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(CAPB)は、アルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)を主要な界面活性剤として含む、低い全界面活性剤濃度で、粘度を増大することができない。
【0019】
発明者らによれば更に、AOSと、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルタイン、アルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン、又はアルキルアンホアセテートの少なくとも1種との、特定の比での組み合わせは、界面活性剤の、低い全体濃度で、塩の添加により粘度を増大することができると見出された。これは、他の増粘剤、例えば、ポリマー及び他の第2の界面活性剤の必要性を否定する。
【0020】
富化された両性の比での、アニオン性硫酸塩フリー界面活性剤と両性硫酸塩フリー界面活性剤との組み合わせを有するシャンプー組成物における、こうしたAPTACポリマーの使用は、界面活性剤濃度、特定の、主要な硫酸塩フリー界面活性剤レベル、カチオン性コンディショニングポリマー及びシリコーンエマルジョンを低減し、良好な起泡性、絹のような、滑らかな感触及び望ましいレオロジー特質をもたらす乾式潤滑をもたらし、その一方で、皮膚及び毛髪タンパク質への低刺激性を維持し、シリコーン送達及びシリコーン保持を増した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の態様において、本発明は、毛髪及び頭皮のための、水性硫酸塩フリーシャンプーであって、
a.予め形成された乳化シリコーン、
b.カチオン性付着ポリマー、
c.好ましくは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及び(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーから選択される、分子量100万ダルトン未満を有するAPTACポリマーである、毛髪直接付着カチオン性コンディショニングポリマー、
d.(i)100%活性度で、全組成物の質量に対して、3wt%~13wt%の一般式(I)
R1-CH=CH-CH2-SO3
-M+ (I)
(式中、R1は、11~13個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基及びその混合物から選択され、Mは可溶化カチオンである)
のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤、
(ii)一般式(II)
R2-N+(CH3)2-CH2-COO-M+ (II)
(式中、R2=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルベタイン、
一般式(III)
R3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (III)
(式中、R3=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルヒドロキシスルタイン、
一般式(IV)
R4-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (IV)
(式中、R4=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン、
一般式(V)
R5-CO-NH-(CH2)2-N(CH2-CH2-OH)(CH2-COO-M+) (V)
(式中、R5=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルアンホアセテート、
及びその混合物から選択される、1~6質量%の両性又は双性イオンの界面活性剤
で構成される、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び双性イオン界面活性剤の全量、並びに
e.懸濁剤を含み、
(i)の(ii)に対する質量比が、1:1~6:1の範囲であり、組成物のpHが3~6.5であり、
スピンドルRTV5を使用したBrookfield V2粘度計を使用して、30℃で、20rpmで1分間測定される場合、組成物が、3,500~15,000mPa.s、好ましくは4,000~12,000mPa.sの粘度を有する、水性硫酸塩フリーシャンプーを提供する。
【0022】
第2の態様において、本発明は、第1の態様の組成物を毛髪に塗布し、水を用いて第1のすすぎを行う工程を含む、毛髪を手入れする方法を提供する。
【0023】
本発明の方法の間に、シリコーンは本発明の組成物から毛髪上に付着する。
【0024】
好ましくは、方法は、コンディショナー組成物を塗布し、水を用いて第2のすすぎを行う、後続の工程を含む。この後続の工程の後、本発明の組成物から毛髪上に付着したシリコーンは、毛髪に残る。
【0025】
シリコーンの一部又は全ては、水を用いたすすぎの後、及び/又はヘアコンディショナーによる手入れ及び第2のすすぎの後、毛髪上に保持される。毛髪上に「保持される」とは、シリコーンが毛髪上に残ることを意味する。
【0026】
乳化シリコーン
本発明の組成物は、予め形成された乳化シリコーンを含む。乳化シリコーンの混合物を使用することができる。
【0027】
好適なシリコーンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、CTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。本発明の組成物での使用にやはり好適なものは、CTFA名称ジメチコノール有する、ヒドロキシ末端基を有するポリジメチルシロキサンである。本発明の組成物での使用にやはり好適なものは、例えば、国際公開第96/31188号に記載されるように、僅かな架橋度を有するシリコーンゴムである。
【0028】
乳化シリコーンそれ自体(エマルジョン又は最終毛髪組成物ではない)の粘度は、典型的には、25℃で少なくとも10,000cstであり、シリコーンそれ自体の粘度は、好ましくは、少なくとも60,000cst、最も好ましくは、少なくとも500,000cst、理想的には、少なくとも1,000,000cstである。好ましくは、粘度は、配合を容易にするために109cstを超えない。
【0029】
本発明の組成物で使用される乳化シリコーンは、典型的には、組成物において、30ミクロン未満、好ましくは20未満、より好ましくは10ミクロン未満、理想的には0.01~1ミクロンである、D90シリコーン液滴サイズを有することになる。0.15ミクロンの平均シリコーン液滴サイズ(D50)を有するシリコーンエマルジョンは、一般に、ミクロエマルジョンと称される。
【0030】
シリコーン粒径は、レーザー光散乱技術によって、例えば、Malvern Instruments社製の2600Dパーティクルサイザーを使用して測定することができる。
【0031】
好適な、予め形成されたエマルジョンの例には、Dow Corning社より利用可能なXiameter MEM 1785及びミクロエマルジョンDC2-1865が挙げられる。これらは、ジメチコノールのエマルジョン/ミクロエマルジョンである。架橋シリコーンゴムは、プレ乳化形態でも利用可能であり、配合を容易にするのに有利である。
【0032】
本発明の組成物に含める、乳化シリコーンの、更に好ましい一分類は、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」は、少なくとも1種の、第一級、第二級、若しくは第三級のアミン基、又は第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。好適なアミノ官能性シリコーンの例には、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。
【0033】
本発明における使用に好適なアミノ官能性シリコーンの特定の例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166、及びDC2-8566(全てDow Corning社より)である。
【0034】
好適な第四級シリコーンポリマーは、欧州特許出願公開第0530974号に記載される。好ましい第四級シリコーンポリマーは、Goldschmidt社からのK3474である。
【0035】
やはり好適なものは、アミノ官能性シリコーン油と、非イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤とのエマルジョンである。
【0036】
アミノ官能性シリコーンのプレ形成エマルジョンもまた、シリコーン油の供給元、例えば、Dow Corning社及びGeneral Electric社から利用可能である。特定の例には、DC939カチオン性エマルジョン及び非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177、及びDC2-8154(全てDow Corning社より)が挙げられる。
【0037】
好ましくは、シリコーンは、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、及びその混合物からなる群から選択される。また好ましいものは、アミノ官能化シリコーンとジメチコンとのブレンドである。
【0038】
本発明の組成物におけるシリコーンの量は、好適には、100%活性度で、組成物の全質量に対して、0.05~10%、好ましくは0.1~8%、より好ましくは0.5~6.5%、最も好ましくは1~3%の範囲であってもよい。
【0039】
カチオン性付着ポリマー
本発明の組成物は、pH7で、0.2~2meq毎グラムの平均電荷密度を有するカチオン性ポリガラクトマンナンから選択することができるカチオン性付着ポリマーを含む。こうしたポリマーは、消費者が使用する間、組成物から肌及び/又は毛髪表面への、コンディショニング剤の送達を高めることを促し、それによって、得られるコンディショニングの利点を向上させることができる。カチオン性付着ポリマーの混合物を用いてもよい。
【0040】
本発明の文脈において、用語「電荷密度」は、ポリマーを構成するモノマー単位の正の電荷の数の、モノマー単位の分子量に対する比を指す。電荷密度掛けるポリマー分子量は、所与のポリマー鎖の正電荷部位の数を決定する。
【0041】
ポリガラクトマンナンは、主として、ガラクトース単位及びマンノース単位で構成される多糖類であり、通常、マメ科の種子、例えば、グアー、イナゴマメ、アメリカサイカチ、ゴウシュウアオギリ等の胚乳において見出される。グアーフラワー(Guar flour)は、基本的に、一体になったガラクトース分枝を有する直鎖マンナンであるガラクトマンナンで主に構成される。マンノース単位は、1-4-β-グルコシド連結において連結され、ガラクトース分枝が、交互のマンノース単位での1-6連結によって生じる。したがって、グアーポリマーにおける、ガラクトースの、マンノースに対する比は、1対2である。
【0042】
本発明で使用される、好適なカチオン性ポリガラクトマンナンは、ポリガラクトマンナン、例えば、グアー、及び1種又は複数の誘導体化剤を用いた化学反応によって、カチオン変性されたポリガラクトマンナン誘導体、例えば、ヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアー又はヒドロキシプロピルグアー)が挙げられる。
【0043】
誘導体化剤は、典型的には、反応性官能基、例えば、エポキシ基、ハロゲン化基、エステル基、無水物基、又はエチレン性不飽和基、及び少なくとも1種のカチオン性基、例えば、カチオン性窒素基、より典型的には、第四級アンモニウム基を含有する。誘導体化反応は、典型的には、全般的に、酸素原子が、反応したポリガラクトマンナン骨格のヒドロキシ基に対応する、エーテル結合によって連結された側方のカチオン性基をポリガラクトマンナン骨格に導入する。
【0044】
本発明で使用するのに好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンには、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0045】
本発明で使用されるグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、全般的に、エーテル連結の2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド基で官能化された非イオン性グアーガム骨格で構成され、典型的には、グアーガムとN-(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドとの反応によって調製される。
【0046】
本発明で使用されるカチオン性ポリガラクトマンナン(好ましくは、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)は、全般的に、500,000~3百万g/モル、より好ましくは800,000~2.5百万g/モルの範囲の平均分子量(サイズ排除クロマトグラフィーによって決定される質量平均分子量(Mw))を有する。
【0047】
本発明で使用されるカチオン性ポリガラクトマンナンは、全般的に、0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有する。
【0048】
好ましくは、カチオン性ポリガラクトマンナンは、0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(及びその混合物)から選択される。
【0049】
ポリマーのカチオン電荷密度は、好適には、窒素定量法用の化学試験の下、US薬局方に記載のKjeldahl法によって測定される。
【0050】
好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンの特定の例は、カチオン電荷密度0.5~1.1meq/gを有する、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0051】
やはり好適なものは、カチオン電荷密度0.5~1.1meq/gを有するカチオン性ポリガラクトマンナンと、カチオン電荷密度1.1~1.8meq毎グラムを有するカチオン性ポリガラクトマンナンとの混合物である。
【0052】
カチオン性ポリガラクトマンナンの好ましい混合物の特定の例は、カチオン電荷密度0.5~1.1meq/gを有するグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドと、カチオン電荷密度1.1~1.8meq毎グラムを有するグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとの混合物である。
【0053】
本発明で使用されるカチオン性ポリガラクトマンナンは、JAGUAR(登録商標)C13S、JAGUAR(登録商標)C14、及びJAGUAR(登録商標)C17としてSolvay社より市販されている。Lamberti社よりEsaflor 0X 14Bも市販されている。
【0054】
本発明による好ましい一組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンは、組成物の全質量に対して、0.15~0.2質量%の範囲のレベルで、0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(及びその混合物)から選択される。
【0055】
カチオン性付着ポリマーは、好ましくは、組成物の全質量に対して、0.05~1wt%、好ましくは0.1~0.5wt%、最も好ましくは0.15~0.2wt%の量で存在する。
【0056】
毛髪直接付着カチオン性コンディショニングポリマー
本発明の組成物は、好ましくは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドのホモポリマー及び(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーから選択される、分子量100万ダルトン未満を有するAPTACポリマーである、毛髪直接付着カチオン性コンディショニングポリマーを含む。
【0057】
国際公開第2013/122861号には、ラジカル重合反応を使用して、様々な分子量の(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)ホモポリマーの合成が記載される。記載された方法によれば、APTACモノマーは、アゾ又は過硫酸塩のラジカル開始剤を使用した不連続断熱法によって、水性媒体中で重合される。こうして得られたAPTACホモポリマーは、約100,000g/モル~約1,000,000g/モルの範囲の分子量を有する。分子量は、標準の分析測定、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用することによって決定され得る。
【0058】
本発明の使用に好適なポリマーは、Ashland, Inc.社からN-DurHance(商標)A-1000コンディショニングポリマー(a.i.ポリマーの20%水溶液として供給される)として市販されている。好適なコポリマーである(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーは、Ashland社からN-DurHance AA2000として利用可能である。
【0059】
本発明で使用されるAPTACポリマーは、好ましくは、pH7で、3より高い、好ましくは4~6の電荷密度を有する。
【0060】
本発明で使用されるAPTACポリマーは、100万ダルトン未満、より好ましくは100,000~950,000ダルトン、最も好ましくは200,000~900,000ダルトンの分子量を有する。
【0061】
好ましい一実施形態において、APTACポリマーは、pH7での電荷密度4~6及び分子量100,000~950,000ダルトンを有する。
【0062】
電荷密度及び分子量を測定する、好適な方法は上記に示される。
【0063】
本発明による、典型的な組成物において、ポリマー(それ自体、活性成分として)のレベルは、全般的に、(組成物の全質量に対して、質量で)0.05~5%、より好ましくは0.1~2%、最も好ましくは0.15~1%の範囲である。
【0064】
好ましくは、組成物は、等方性界面活性剤相を含み、そこで、希釈した状態で、等方性ミセルは、空気/水界面へのモノマーのより高い利用可能性をもたらし、その一方で、異方性は、より遅い速度で拡散することができ、その結果、より低いフラッシュ泡特性をもたらす。したがって、等方性相は、製品外観、透明度、及び良好なフラッシュ泡特性に有利である。
【0065】
界面活性剤
本明細書で示される、全ての量は、別段の指示がなければ、100%活性度(又は「活性」)に基づく。100%活性度(又は「活性」)は、材料が希釈されず、100%v/v又は100%wt/wtであることを意味する。パーソナルケア配合物で使用される、多くの材料は、様々な活性濃度で、例えば、70%活性又は60%活性で市販されている。例えば、70%活性界面活性剤100mlは、100%活性界面活性剤の70mlと同量の活性材料を提供する。したがって、材料の活性度の変化をもたらすために、全ての量は、100%活性材料に基づく。
【0066】
組成物は、以下の(i)及び(ii)で構成される、アニオン性、両性、及び双性イオンの界面活性剤の全量を含む。すなわち、本発明の組成物中に、さらなるアニオン性、両性、及び双性イオンの界面活性剤は存在しない。好ましくは、他の界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物に存在しない。
【0067】
(i)アルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤
本発明の組成物は、(i)一般式(I)
R1-CH=CH-CH2-SO3
-M+ (I)
(式中、R1は、11~13個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基及びその混合物から選択され、Mは可溶化カチオンである)
の、1種又は複数のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤を含む。
【0068】
好ましくは、一般式(I)のR1は、C14又はC16の直鎖状アルキル基である。
【0069】
好ましくは、一般式(I)のMは、アルカリ金属カチオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)、アンモニウムカチオン及び置換アンモニウムカチオン(例えば、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、又はグルカンモニウム)から選択される。
【0070】
商業的に製造される、一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤は、天然ガスに由来するC14~16オレフィンを硫酸化することによって造ることができる。方法は、同族体の混合物及び低レベルの未反応オレフィンを生じることもある。
【0071】
特に好ましいものは、平均で、14~16個の炭素を有するアルファオレフィンスルホン酸塩である。こうした材料の好適な一例は、Bioterge AS40(Stepan社より)である。
【0072】
一般式(I)の、100%活性度のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤の量は、(組成物の全質量に対して、質量で)3~13%、例えば、3~12.85%、好ましくは3.5~12%、より好ましくは3~10%、更により好ましくは3~9%、最も好ましくは3.25~8%の範囲である。
【0073】
(ii)一般式(II)、(III)、(IV)、又は(V)の、両性又は双性イオンの界面活性剤
本発明の組成物は、(ii)
一般式(II)
R2-N+(CH3)2-CH2-COO-M+ (II)
(式中、R2=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルベタイン、
一般式(III)
R3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (III)
(式中、R3=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルヒドロキシスルタイン、
一般式(IV)
R4-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (IV)
(式中、R4=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン、
一般式(V)
R5-CO-NH-(CH2)2-N(CH2-CH2-OH)(CH2-COO-M+) (V)
(式中、R5=C12(ラウリル)又はココ誘導物)
のアルキルアンホアセテート、
及びその混合物から選択される、両性又は双性イオンの界面活性剤を含む。
【0074】
好ましい界面活性剤(ii)は、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテート、及びその混合物から選択され、最も好ましくは、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びその混合物から選択される。
【0075】
一般式(II)、(III)、(IV)、若しくは(V)の、両性若しくは双性イオンの界面活性剤、又はその混合物の量は、(組成物の全質量に対して及び100%活性度で)好ましくは1~6%、より好ましくは1~5%、最も好ましくは1.2~4%の範囲である。
【0076】
本発明による好ましい一組成物において、両性又は双性イオンの界面活性剤(ii)は、(組成物の全質量に対して質量で、及び100%活性度で)1~4%の範囲の量の、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテート、及びその混合物から選択される。
【0077】
より好ましい組成物において、両性又は双性イオンの界面活性剤(ii)は、(組成物の全質量に対して質量で、及び100%活性度で)1~4%の量の、ココベタインである、一般式(II)のベタイン両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルタインである、一般式(III)の両性界面活性剤、及びその混合物から選択される。
【0078】
本発明による、とりわけ好ましい組成物は、(i)(組成物の全質量及び100%活性度材料に対して、質量で)3.25~8%の範囲の量のアルファオレフィンスルホン酸塩、及び(ii)(組成物の全質量及び100%活性度材料に対して、質量で)1~4%の範囲の量の、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテート、又はその混合物から選択される、両性又は双性イオンの界面活性剤を含む。
【0079】
(i)と(ii)を合わせた量は、(組成物の全質量に対して及び100%活性度で)4~19wt%、好ましくは5~15wt%、最も好ましくは5~11wt%の範囲である。
【0080】
アルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤(i)の、両性界面活性剤(ii)に対する質量比は、1:1~6:1、好ましくは1.5:1~4.5:1、最も好ましくは2:1~4:1の範囲である。
【0081】
本発明の組成物のpHは、3~6.5、好ましくは3.5~5.1、より好ましくは4~5の範囲である。
【0082】
プロトン化剤を使用して、低いpHを実現することができる。好適なプロトン化剤は酸である。本明細書で有用な、好適な酸には、塩酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、及びその混合物が挙げられる。好ましくは、酸は、クエン酸、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸、及びその混合物からなる群から選択される。
【0083】
懸濁剤
本発明の組成物は、1種又は複数の懸濁剤を含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖類ゴム、及び長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、及びその混合物から選択される。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488、又はCarbopol 493として市販されている。多官能性剤と架橋したアクリル酸のポリマーも使用することができる。それらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941、及びCarbopol 980として市販されている。好適な、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマーの一例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrich社から利用可能である。
【0084】
好適な、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋ポリマーは、Pemulen TR1又はPemulen TR2である。好適なヘテロ多糖類ゴムは、例えば、Kelzan mu社から利用可能なキサンタンガムである。
【0085】
上記の懸濁剤の任意の混合物を使用することができる。好ましいものは、アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体との混合物である。
【0086】
懸濁剤は、全般的に、本発明で使用されるシャンプー組成物において、組成物の全質量に対して、懸濁剤の全質量で、0.1~10%、好ましくは0.15~6%、より好ましくは0.2~4%のレベルで存在することになる。
【0087】
水
本発明の水性組成物は、好ましくは、水を(組成物の全質量に対して、質量で)約50~約90%、好ましくは約55~約85%、より好ましくは約60~約85%、最も好ましくは約65~約83%含む。
【0088】
無機電解質
発明者らは、意外なことに、本発明の組成物は、粘度を極めて良好に増大するのに適していることが見出した。したがって、富化された界面活性剤比で、より低い濃度で、粘度を増大することが可能である。これは、本発明のさらなる利点である。
【0089】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種の無機電解質を含む。無機電解質は、組成物に粘度をもたらす。
【0090】
組成物の粘度は、30℃でBrookfield V2粘度計(スピンドルRTV5、1分、20rpm)を使用して測定される場合、2,500~25,000mPa.s、好ましくは3,000~20,000mPa.s、より好ましくは3,500~15,000mPa.s、最も好ましくは4,000~12,000mPa.sの範囲である。
【0091】
これらの範囲で、本発明の製品は、注入可能であるが、消費者の、濃厚な組成物への欲求を満たすのに十分なほど濃厚である。
【0092】
好適な無機電解質には、金属塩化物(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化鉄、及び塩化アルミニウム)並びに金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウム)が挙げられる。
【0093】
無機電解質は、本発明の原材料中に存在し得る、任意の無機電解質から分離されることが意図される。
【0094】
本発明で使用される、好ましい無機電解質の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、及びその混合物が挙げられる。
【0095】
上述された材料の任意の混合物もまた好適であり得る。
【0096】
本発明の組成物中の無機電解質の量は、好ましくは、(組成物の全質量に対して、質量で)0.5~10%、より好ましくは0.75~7%、更により好ましくは1~5%、最も好ましくは1~3%の範囲である。
【0097】
本発明の好ましい組成物は、(i)一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤の、(ii)一般式(II)、(III)、(IV)、(V)、又はその混合物の、両性又は双性イオンの界面活性剤に対する質量比2:1~4:1を有し、組成物の全質量に対して、1~3wt%の無機電解質の量を含む。
【0098】
更に好ましい、本発明の組成物は、(i)一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸塩アニオン性界面活性剤の、(ii)一般式(II)、(III)、(IV)、(V)、又はその混合物の、両性又は双性イオンの界面活性剤に対する質量比4:1より高く6:1まで、好ましくは5:1~6:1を有し、組成物の全質量に対して、1~5wt%、好ましくは3wt%より多く5wt%まで、より好ましくは4~5wt%の無機電解質の量を含む。
【0099】
好ましくは、本発明の組成物は、増粘ポリマーから選択される増粘剤、及び(ii)に挙げられない、第2の界面活性剤を含まない。本発明の文脈において、含まないとは、全組成物の質量に対して、増粘剤を、0.4質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更により好ましくは0.05質量%未満、また更により好ましくは0.001質量%未満、更に好ましくは0.0001質量%未満、最も好ましくは0質量%有することを意味する。明確にするために、本発明のカチオン性ポリマー(iii)が増粘ポリマーであるとは意図されない。
【0100】
保存剤
本発明の組成物は、好ましくは、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1,2-アルカンジオール、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(IPBC)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、又はその混合物から選択される、1種又は複数の保存剤を含む。好ましくは、保存剤は有機酸であり、最も好ましくは、保存剤は安息香酸ナトリウムである。
【0101】
好ましい組成物は、pH3~5.8、好ましくはpH4~5を有し、安息香酸ナトリウムである保存剤を含む。
【0102】
他の成分
好ましくは、本発明の組成物は、分散された有益な物質の懸濁を助け、相安定性をもたらす、1種又は複数の構造化剤(structurant)を更に含む。好適な構造化剤には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、メタクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとメタクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、メタクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖類ゴム、及び結晶性長鎖アシル誘導体が挙げられる。
【0103】
好ましい構造化剤は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマー、及びその混合物から選択される。
【0104】
上記構造化剤の任意の混合物を使用することができる。
【0105】
含められる場合、構造化剤の全量は、全般的に、(組成物の全質量に対して、質量で)0.1~10%、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.2~2%、最も好ましくは0.3~0.9%である。
【0106】
好ましい組成物は、(組成物の全質量に対して、質量で)0.1~10%、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.2~2%、最も好ましくは0.3~0.9%の量の、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマー、及びその混合物から選択される構造化剤を含む。
【0107】
本発明の組成物は、性能及び/又は消費者受容性を高める、更なる随意の成分を含有することができる。こうした成分の例には、フラグレンス、染料、及び顔料が挙げられる。これらの成分の各々は、その目的を実現するのに有効な量で存在することになる。全般的に、これらの随意の成分は、個別に、(組成物の全質量に対して、質量で)5%までの量で含められる。
【0108】
本発明の組成物は、主に、毛髪及び頭皮への局所塗布を意図するものである。
【0109】
最も好ましくは、本発明の組成物を、毛髪に局所的に塗布し、次いで、毛髪及び頭皮へなじませる。次いで、組成物は、毛髪を乾燥させる前に、毛髪及び頭皮から水で洗い流される。
【0110】
本発明は、以下の、非限定的な実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0111】
(実施例1)
本発明による組成物1~2の調製
以下のTable 1(表1)に示された成分を有する、洗い流せる、水性ヘアクレンジングシャンプー配合物を調製することができる。
【0112】
シャンプーは、好適には、以下の方法を使用して調製することができる。
1.容器に水を入れた。界面活性剤及び任意の構造化剤を撹拌しながら添加した。
2.混合物を30℃まで加熱し、完全に均一になるまで混合した。
3.次いで、シリコーンエマルジョンを添加し、十分に混合した。
4.次いで、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマーを添加し、十分に混合した。
5.pHを、クエン酸を使用してpH4.5に調節した。
【0113】