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特許7558993ラジオゾンデ温度測定における太陽放射線の修正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ラジオゾンデ温度測定における太陽放射線の修正
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/08 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
G01W1/08 H
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022002801
(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公開番号】P2022115810
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】21154145.3
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516236724
【氏名又は名称】ヴァイサラ・オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤウヒアイネン,ハンヌ
(72)【発明者】
【氏名】スルヴォ,ペッテリ
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1975545(KR,B1)
【文献】特表2010-530527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0191496(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101720422(CN,A)
【文献】特開平09-236494(JP,A)
【文献】米国特許第05954430(US,A)
【文献】特開平01-006787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正するシステム(1)であって、前記システムは、
-様々な高度で大気温度を決定するように構成した温度センサ(4)を有するラジオゾンデ(2)と、
-少なくとも1つの光検知組立体(5)と
を備え、前記少なくとも1つの光検知組立体(5)は、
光センサ(6)と、
様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成した集光器(7)と
を備え、
前記システム(1)は、各高度に対して、前記光センサ(6)が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成した制御電子機器(8)又は計算デバイス(14)を更に備え
前記少なくとも1つの光検知組立体(5)は、前記集光器(7)から前記光センサ(6)に光を導くように構成した光導体を更に備え、
前記光導体は、前記収集した光を前記光センサ(6)に導くように構成した光ファイバを備える、システム(1)。
【請求項2】
ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正するシステム(1)であって、前記システムは、
-様々な高度で大気温度を決定するように構成した温度センサ(4)を有するラジオゾンデ(2)と、
-少なくとも1つの光検知組立体(5)と
を備え、前記少なくとも1つの光検知組立体(5)は、
光センサ(6)と、
様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成した集光器(7)と
を備え、
前記システム(1)は、各高度に対して、前記光センサ(6)が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成した制御電子機器(8)又は計算デバイス(14)を更に備え
前記少なくとも1つの光検知組立体(5)は、前記集光器(7)から前記光センサ(6)に光を導くように構成した光導体を更に備え、
前記光センサ(6)は、前記ラジオゾンデ(2)の筐体(9)の内側に配置し、前記集光器(7)は、前記ラジオゾンデ(2)の筐体(9)の外側に配置する、システム(1)。
【請求項3】
前記光導体は、前記収集した光を前記光センサ(6)に導くように構成した光ファイバを備える、請求項2に記載のシステム(1)
【請求項4】
前記集光器(7)は、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成し、前記太陽放射線は、前記温度センサ(4)によって同時に受信する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光検知組立体(5)は、入射太陽放射線に対し、前記温度センサ(4)に対する入射可視太陽放射線の感度パターンと同一の感度パターンを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記温度センサ(4)は、正方形断面領域、多角形断面領域を有するか、又は球体若しくは楕円体の形態である、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記光センサ(6)は、光トランジスタ又は光ダイオード等の平坦なセンサである、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正する方法であって、前記方法は、
温度センサ(4)を有するラジオゾンデ(2)によって大気温度を様々な高度で決定することと、
集光器(7)によって様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集することと、
制御電子機器(8)又は計算デバイス(14)によって、各高度に対して、光センサ(6)が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得ることと
前記ラジオゾンデ(2)の筐体(9)の外側に配置した前記集光器(7)から収集した前記光を、光導体を介して前記ラジオゾンデ(2)の筐体(9)の内側に配置した前記光センサ(6)に導くこと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記方法は、前記集光器(7)によって、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集することを更に含み、前記太陽放射線は、前記温度センサ(4)によって同時に受信する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
修正した大気温度示度を様々な高度で得るための、請求項1~のいずれか一項に記載のシステムの使用法。
【請求項11】
コンピュータ実施可能命令セットを中に記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実施可能命令により、請求項1~のいずれか一項に記載のシステムに関連して、プロセッサが、
前記光センサ(6)から信号を受信し、
前記光センサ(6)が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、修正した温度示度を得る
ことができる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正するシステムに関する。
【0002】
更に、本発明は、ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正する方法に関する。
【0003】
更に、本発明は、修正した大気温度示度を様々な高度で得るための、システムの使用法に関する。
【0004】
更に、本発明は、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0005】
ラジオゾンデは、気球に取り付けられる気象観測デバイスであり、大気のパラメータを測定し、測定情報を典型的には地上局に送信する。測定又は計算されるパラメータは、典型的には、様々な高度における大気温度、圧力及び湿度、並びに風速、風向を含む。
【0006】
ラジオゾンデは、気球によって大気を通って上方に運ばれ、これにより、測定すべき大気、及び更には測定装置の環境条件は、動的に変化する。本発明のいくつかの実施形態は、投下ゾンデにも適している。投下ゾンデは、ラジオゾンデのような気象観測デバイスであるが、気球によって飛揚させるのではなく、航空システム、典型的には航空機、無人航空システム(UAS)又は漂流バルーンから投下される。
【0007】
気象測定は、ラジオゾンデのセンサによって実施される。ラジオゾンデによって得られる大気のプロファイルは、数値気象予報モデル及び気候研究の入力として特に重要である。例えば気象予報及び弾道準備のための軍用ラジオゾンデの利用もある。
【0008】
例えば、文献DE202013104586U1は、少なくとも1つのセンサを含む測定ブームを備えるラジオゾンデを記載している。このラジオゾンデは、気球を結合し得る更なるアームを更に備える。測定ブームは、前記アームに対してある角度で傾斜させることができる。
【0009】
全てのラジオゾンデ温度センサは、太陽放射線に関し誤差が生じやすい。受信される太陽放射線に対する温度センサの感度パターンが完全に全方向的ではない場合、太陽放射線の誤差は角度に依存する。
【0010】
例えば、ラジオゾンデ温度センサの形状は、正方形断面を有する比較的長い棒であることがある。太陽からの放射線が長手方向のセンサ軸に平行に到着すると、加熱効果は最小である。太陽からの放射線が温度センサの2つの辺の間の辺の隅に到着すると、加熱効果は最大である。言い換えれば、放射線の誤差は、太陽放射線の角度及びセンサ・ブームの角度に依存する。
【0011】
文献KR101975545B1は、ラジオゾンデを開示している。このラジオゾンデは、入射光量が、温度センサへの入射光量に対応するように温度センサに隣接して設けられ、入射光により電圧を生成するソーラー・パネルと、ソーラー・パネルから受信した電圧測定情報に基づき温度測定情報を修正する制御部品と、通信部品を備える本体とを備える。本体部品は、内側ケースと、内側ケースを収容する外側容器とを含み、断熱被覆層は、外側容器の外面上に形成される。KR101975545B1は、太陽電池によって光の強度を測定する方法、及び温度センサの太陽放射線を修正するデータの使用法を記載している。
【0012】
しかし、KR101975545B1に記載のラジオゾンデは、正確なラジオゾンデの向きに依存しない、太陽放射線を修正する方法を教示していない。というのは、2つの提示される平坦なセンサ装置は、入射光測定に対して明確な最大放射線角度及び最小放射線角度を有するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】DE202013104586U1
【文献】KR101975545B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記に鑑みて、ラジオゾンデの温度測定において太陽放射線を修正する、改善されたシステム及び方法を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、独立請求項の特徴によって規定される。いくつかの特定の実施形態は、従属請求項において規定される。
【0016】
本発明の第1の様態によれば、ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正するシステムが提供され、システムは、様々な高度で大気温度を決定するように構成した温度センサを有するラジオゾンデと、光センサを備える少なくとも1つの光検知組立体と、様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成した集光器とを備え、システムは、各高度に対し、光センサが受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成した制御電子機器又は計算デバイスを更に備える。
【0017】
第1の態様の様々な実施形態は、以下の箇条書きのリストから少なくとも1つの特徴を含むことができる:
・集光器は、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成され、この太陽放射線は、温度センサによって同時に受信される
・少なくとも1つの光検知組立体は、入射太陽放射線に対し、温度センサに対する入射可視太陽放射線の感度パターンと同一の感度パターンを有する
・温度センサは、正方形断面領域、多角形断面領域を有するか、又は球体若しくは楕円体の形態である
・少なくとも1つの光検知組立体は、ラジオゾンデの筐体の外側に配置される
・光検知組立体は、ラジオゾンデの測定ブームが備える
・少なくとも1つの光検知組立体は、集光器から光センサに光を導くように構成した光導体を更に備える
・光導体は、収集した光を光センサに導くように構成した光ファイバを備える
・光センサは、ラジオゾンデの筐体の内側に配置し、集光器は、ラジオゾンデの筐体の外側に配置する
・光センサは、光トランジスタ又は光ダイオード等の平坦なセンサである
・システムは、2つ以上の光検知組立体を備える
・システムは、地上局を備える
・ラジオゾンデは、光センサのデータ、及び様々な高度で決定した大気の温度データを地上局にワイヤレスに送信する送信器を備える
・地上局は、光センサのデータ、及び様々な高度で決定した大気の温度データをラジオゾンデからワイヤレスに受信する受信器を備える
・計算デバイスは、データをクラウドベースのサーバにワイヤレスに送信する送信器を備える。
【0018】
本発明の第2の様態によれば、ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正する方法が提供され、方法は、温度センサを有するラジオゾンデによって様々な高度で大気温度を決定することと、集光器によって様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集することと、制御電子機器又は計算デバイスによって、各高度に対し、光センサが受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得ることとを含む。
【0019】
第2の態様の様々な実施形態は、以下の箇条書きのリストから少なくとも1つの特徴を含むことができる:
・方法は、集光器によって、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集することを更に含み、太陽放射線は、温度センサによって同時に受信する
・方法は、ラジオゾンデの筐体の外側に集光器及び光センサを配置すること、並びに/又は
・集光器及び光センサをラジオゾンデの測定ブームに取り付けることをまた更に含む
・方法は、光センサをラジオゾンデの筐体の内側に配置することと、集光器をラジオゾンデの筐体の外側に配置することと、集光器から収集した光を、光導体を介して光センサに導くこととをまた更に含む
・方法は、収集した光を光ファイバによって光センサに導くことをまた更に含む。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、修正した大気温度示度を様々な高度で得るための、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステムの使用法を提供する。
【0021】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータ実施可能命令セットを中に記憶した非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ実施可能命令セットにより、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステムに関連して、プロセッサが、光センサから信号を受信し、光センサが受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、修正した温度示度を得ることができる。
【0022】
本発明の特定の実施形態により、著しい利点が得られる。ラジオゾンデ温度測定において太陽放射線を修正するシステム及び方法が提供される。集光器は、様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成される。太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成され、この太陽放射線は、温度センサによって同時に受信される。次に、光センサが受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得る。したがって、本発明は、太陽放射線角度を考慮するものであり、正確なラジオゾンデの向きに依存しない放射線の修正が提供される。
【0023】
特定の実施形態によれば、光センサ及び集光器は、筐体の外側に配置され、単純で小型の光検知組立体を提供する。特定の実施形態によれば、そのような光検知組立体の2つ以上は、筐体の外側、例えば、筐体の両側に設けられる。別の特定の実施形態によれば、光センサ、例えば、シリコン光検出器は、ラジオゾンデの筐体内、即ち、温度制御された環境内に配置し得る。次に、集光器が収集した光は、光導体を介して光センサに導かれる。したがって、シリコン光検出器の温度依存を考慮する必要がないか、又は少なくとも影響を限定する。
【0024】
温度示度の修正に加えて、機構は、可視波長における合計放射線に関する測定データをもたらす。データは、例えば、研究又は数値気象予報(NWP)モデルの目的で利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステムの概略図である。
図2】本発明の少なくともいくつかの実施形態による別のシステムの概略図である。
図3】本発明の少なくともいくつかの実施形態による更なるシステムの概略図である。
図4】本発明の少なくともいくつかの実施形態によるまた更なるシステムの概略図である。
図5】本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステム放射線パターンの図である。
図6】本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステムの更なる適用の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1では、本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステム1の概略図を示す。システム1は、測定ブーム3を備えるラジオゾンデ2を備える。測定ブーム3は、温度センサ4を備える。温度センサ4は、様々な高度で大気温度を決定するように構成される。温度センサは、例えば、正方形断面を有する比較的長い棒の形態とすることができる。
【0027】
更に、システム1は、光検知組立体5を備える。光検知組立体5は、ラジオゾンデ2の筐体9の外側で測定ブーム3に結合されている。光検知組立体5は、光センサ6と集光器7とを備える。光センサ6は、例えば、平坦なシリコン光検出器とし得る。集光器7は、大気の様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成される。太陽放射線角度は、典型的には、ラジオゾンデが大気中で上昇する間に経時的に変化する。特に、ラジオゾンデがバルーンの下で揺動すると、太陽放射線角度が温度センサ4の表面に対して変化することになる。したがって、太陽放射線角度は、様々な高度で変化し得る、即ち、太陽放射線角度は、高度に依存する。各高度に対し、1つの太陽放射線角度で光を収集することができる。太陽放射線により生じる加熱の影響は、太陽放射線が温度センサ4の2つの辺の間の辺の隅に到着した際に最大である。加熱の影響は、太陽放射線が温度センサ4の長手方向軸に平行に到着した際に最小である。集光器7は、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成され、この太陽放射線は、温度センサ4によって同時に受信される。
【0028】
システム1は、制御電子機器8を更に備える。制御電子機器は、例えば、マイクロコントローラとメモリとを備えることができる。制御電子機器8は、ラジオゾンデ2の筐体9内に配置される。制御電子機器8は、各高度に対して、光センサ6が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成することができる。言い換えれば、光センサ6によって得られるデータは、温度センサの太陽放射線を修正するために使用される。次に、修正した温度示度は、例えば、地上局に送信し得る。しかし、典型的には、各高度に対し、太陽放射線の修正は、計算デバイス14によって計算され、計算デバイス14は、図2に関して説明する地上局11が備える。
【0029】
特定の実施形態によれば、2つ以上の光検知組立体5は、ラジオゾンデ2の筐体9の外側、例えば、ラジオゾンデ2の両側に設けられる。光検知組立体5は、ラジオゾンデ2の筐体9に直接取り付けることもできる。
【0030】
特定の他の実施形態によれば、温度センサは、あらゆる他の形状を有することもでき、例えば、センサは、球体又は楕円形状とすることができる。本発明の一般的な原理は、太陽放射線に対する指向性感度を伴う全ての温度センサの設計に適用される。センサ要素に加えて、指向性感度は、使用されるセンサの機械的支持体の種類に少なくとも部分的に依存することもある。
【0031】
図2では、本発明の少なくともいくつかの実施形態による別のシステム1の概略図を示す。図示するシステム1は、図1に関して上記で説明したように動作する。更に、ラジオゾンデ2は、光センサのデータ及び様々な高度で決定した大気温度のデータを地上局11にワイヤレスに送信するように構成した送信器10を備える。地上局11は、光センサのデータ及び様々な高度で決定した大気温度のデータをラジオゾンデ2からワイヤレスに受信するように構成した受信器12を備える。地上局11は、各高度に対して、光センサ6が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成した計算デバイス14を備える。
【0032】
図3では、本発明の少なくともいくつかの実施形態による更なるシステム1の概略図を示す。システム1は、測定ブーム3を備えるラジオゾンデ2を備える。測定ブーム3は、温度センサ4を備える。温度センサ4は、様々な高度で大気温度を決定するように構成される。温度センサ4は、例えば、正方形断面を有する比較的長い棒の形態とし得る。
【0033】
更に、システム1は、光検知組立体5を備える。光検知組立体5は、集光器7と、光センサ6と、光導体とを備える。光導体は、ラジオゾンデ2の筐体9の外側に部分的に配置され、筐体9の内側に部分的に配置される。光センサ6は、例えば、平坦なシリコン光検出器とし得る。光導体は、例えば光ファイバ15を備える。集光器7は、ラジオゾンデ2の筐体9の外側に配置され、収集された光は、光ファイバ15を介して、ラジオゾンデの筐体9内に配置した光センサ6に導くことができる。集光器7は、測定ブーム4、又はラジオゾンデ2の別の部品に取り付けることができる。集光器7は、大気の様々な高度で様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成される。太陽放射線角度は、典型的には、ラジオゾンデが大気中で上昇する間に経時的に変化する。特に、ラジオゾンデがバルーンの下で揺動すると、太陽放射線角度が温度センサ4の表面に対して変化することになる。太陽放射線により生じる加熱の影響は、太陽放射線が温度センサ4の2つの辺の間の辺の隅に到着した際に最大である。加熱の影響は、太陽放射線が温度センサ4の長手方向軸に平行に到着した際に最小である。集光器7は、太陽放射線に比例する様々な太陽放射線角度から光を収集するように構成され、この太陽放射線は、温度センサ4によって同時に受信される。
【0034】
システム1は、制御電子機器8を更に備える。制御電子機器は、例えば、マイクロコントローラとメモリとを備えることができる。制御電子機器8は、ラジオゾンデ2の筐体9内に配置される。制御電子機器8は、各高度に対して、光センサ6が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成することができる。言い換えれば、光センサ6によって得られるデータは、温度センサの太陽放射線を修正するために使用される。次に、修正した温度示度は、例えば、地上局に送信し得る。しかし、典型的には、各高度に対し、太陽放射線の修正は、計算デバイス14によって計算され、計算デバイス14は、図4に関して説明する地上局11が備える。
【0035】
光センサ6、例えばシリコン光検出器は、ラジオゾンデ2の筐体9の中、即ち、温度が制御された環境内に配置することが有利である。というのは、光センサ6の温度依存を考慮する必要がない、又は少なくとも影響を制限するためである。
【0036】
特定の実施形態によれば、光センサ6と、集光器7と、光導体とを備える2つ以上の光検知組立体5は、例えば、ラジオゾンデ2の両側に設けられる。
【0037】
図4では、本発明の少なくともいくつかの実施形態によるまた更なるシステム1の概略図を示す。図示するシステム1は、図3に関して上記で説明したように動作する。更に、ラジオゾンデ2は、光センサのデータ及び様々な高度で決定した大気温度のデータを地上局11にワイヤレスに送信するように構成した送信器10を備える。地上局11は、光センサのデータ及び様々な高度で決定した大気温度のデータをラジオゾンデ2からワイヤレスに受信するように構成した受信器12を備える。地上局11は、各高度に対して、光センサ6が受信した信号に基づき太陽放射線の修正を計算し、各高度に対して修正した温度示度を得るように構成した計算デバイス14を備える。
【0038】
図5では、本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステムの放射線パターンを示す。各高度で、入射する太陽放射線が生じさせる、温度センサに対する放射線パターンは、光検知組立体5を用いて得られる可視放射線に対する放射線パターンとXY平面及びXY平面の両方で一致する。方向X、Y、Zは、図2及び図4に示すように規定される。図示のように、光センサ6が測定する入射太陽放射線に対する感度パターン(下の画像)は、温度センサ4に対する入射太陽放射線(上の画像)と同一である。別の高度では、放射線パターンは変化することがあるが、光センサ6が測定する入射太陽放射線の感度パターンは、温度センサ4に対する入射太陽放射線と依然として同一である。光センサ6によって得られるデータは、各高度に対する温度示度を修正するために使用される。
【0039】
図6では、本発明の少なくともいくつかの実施形態によるシステムの更なる適用を示す。光検知組立体5は、下方放射線及び上方放射線の量を測定するために使用することができる。
【0040】
開示する本発明の実施形態は、当業者に了解されるように、本明細書で開示する特定の構造、工程ステップ又は材料に限定されるものではなく、これらの同等物にまで拡張されることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的で使用するにすぎず、限定を意図しないことも理解されたい。
【0041】
本明細書全体を通じた1つの実施形態又は一実施形態に対する言及は、当該実施形態に関して説明する特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な場所で出現する「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という句は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。例えば、約又は概ね等の用語を使用して数値に言及する場合、厳密な数値も開示される。
【0042】
本明細書で使用する複数の項目、構造要素、組成要素及び/又は材料は、便宜上、共通のリスト内に提示し得る。しかし、これらのリストは、リストの各部材が、まるで個別で固有の部材として個々に識別されるかのように解釈すべきである。したがって、そのようなリストの個々の部材は、別段に示さない限り、もっぱら共通群内の表示に基づき、同じリストのあらゆる他の部材に対する事実上の同等物として解釈すべきである。更に、本明細書では、本発明の様々な実施形態及び例は、様々な構成要素の代替形態と共に言及し得る。そのような実施形態、例及び代替形態は、互いの事実上の同等物として解釈すべきではなく、本発明の個別で自律的な表現であると解釈すべきであることを理解されたい。
【0043】
更に、記載する特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態においてあらゆる適切な様式で組み合わせることができる。本明細書において、長さ、幅、形状等の例等の多数の具体的な詳細は、本発明の実施形態に対する完全な理解をもたらすように与えられる。しかし、当業者は、具体的な詳細の1つ又は複数を伴わず、他の方法、構成要素、材料等を伴って本発明を実行し得ることを了解するであろう。他の例では、周知の構造、材料又は動作は、本発明の態様を不明瞭にしないように詳細に図示又は説明しない。
【0044】
上記の例は、1つ又は複数の特定の適用例における本発明の原理を示すが、発明的才能の行使を伴わずに、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、実装形態の形態、使用法及び詳細に対する多数の修正形態を行い得ることは当業者には明らかであろう。したがって、以下に示す特許請求の範囲によって限定されることを除いて、本発明を限定することを意図しない。
【0045】
動詞「備える」及び「含む」は、本文書では、オープンな限定として使用し、列挙しない特徴の行使を除外も、必要ともしない。従属請求項内で列挙される特徴は、別段に明示的に述べない限り、相互に自由に組合せ可能である。更に、「1つ(a又はan)」の使用、即ち、単数形は、本文書全体を通じて、複数形を除外するものではないことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の少なくともいくつかの実施形態には、ラジオゾンデ、特に温度測定において産業上の利用が見い出せる。
【符号の説明】
【0047】
1 システム
2 ラジオゾンデ
3 測定ブーム
4 温度センサ
5 光検知組立体
6 光センサ
7 集光器
8 制御電子機器
9 筐体
10 送信器
11 地上局
12 受信器
13 太陽放射線
14 計算デバイス
15 光ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6