特許 7558998 止水機構に挟設する隙間縮小装具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-09-20

(45)【発行日】2024-10-01

(54)【発明の名称】止水機構に挟設する隙間縮小装具

(51)【国際特許分類】

   E04H 9/14 20060101AFI20240924BHJP

【ＦＩ】

E04H9/14 Z

【請求項の数】 1

(21)【出願番号】P 2022047969

(22)【出願日】2022-03-24

(65)【公開番号】P2023001017

(43)【公開日】2023-01-04

【審査請求日】2023-07-19

(31)【優先権主張番号】P 2021101066

(32)【優先日】2021-06-17

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用 令和３年４月５日にフジ鋼業株式会社のウェブサイトにて発表

(73)【特許権者】

【識別番号】519448625

【氏名又は名称】フジ鋼業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100149836

【弁理士】

【氏名又は名称】森定 勇二

(72)【発明者】

【氏名】藤井 健吾

【審査官】須永 聡

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１９－０３９２５３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－１０５０５８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２１－０８５２８０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－１９０５９９（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０４Ｈ ９／００－９／１６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

所定の止水機構に装着をする隙間縮小装具であって、
前記止水機構の第１の面上に設ける第１係留機構と、
前記止水機構の第２の面上に設ける第２係留機構と、
前記第１の面と前記第２の面との間に挟設する伸縮自在な棒状体と、
で構成し、
前記止水機構の第１の面が側面であり、前記第２の面が底面であり、かつ、前記第１係留機構を、前記止水機構の側面上に着固可能な第１係留体とし、
前記棒状体の一方側端部を前記第１係留機構と接続するとともに他方側端部を前記第２係留機構にかけとめる又は接続する隙間縮小装具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本願発明は、止水機構に挟設する隙間縮小装具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

台風や大雨の予報を受けて車庫や倉庫等への水の侵入を防止あるいは抑制するために設置する組立可能な止水機構が存在する（例えば、特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】意匠登録第１６８１８５２号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

前述の組立可能な止水機構は、常設ではないため現実に設置をした際に当該止水機構と設置個所との間に隙間が生じる場合もあった。

【0005】

止水機構と設置個所との間に隙間が存在すると、当該隙間から浸水するだけでなく、組立設置をした当該止水機構を分離させ破壊する起点ともなり得るため、当該隙間をなくす方策が望まれていた。

【0006】

そこで、組立可能な止水機構を設置する際に生じる隙間を無くすあるいは縮小するために、当該止水機構に挟設する隙間縮小装具を提供することを課題とした。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本願発明は、上述の課題を解決するために、所定の止水機構に装着をする隙間縮小装具であって、前記止水機構の第１の面上に設ける第１係留機構と、前記止水機構の第２の面上に設ける第２係留機構と、前記第１の面と前記第２の面との間に挟設する伸縮自在な棒状体と、で構成し、前記止水機構の第１の面が側面であり、前記第２の面が底面であり、かつ、前記第１係留機構を、前記止水機構の側面上に着固可能な第１係留体とし、前記棒状体の一方側端部を前記第１係留機構と接続するとともに他方側端部を前記第２係留機構にかけとめる又は接続する隙間縮小装具を提供する。

【発明の効果】

【0008】

本願発明の隙間縮小装具は、所定の止水機構に装着をする隙間縮小装具であって、前記止水機構の第１の面上に設ける第１係留機構と、前記止水機構の第２の面上に設ける第２係留機構と、前記第１の面と前記第２の面との間に挟設する伸縮自在な棒状体と、で構成し、前記止水機構の第１の面が側面であり、前記第２の面が底面であり、かつ、前記第１係留機構を、前記止水機構の側面上に着固可能な第１係留体とし、前記棒状体の一方側端部を前記第１係留機構と接続するとともに他方側端部を前記第２係留機構にかけとめる又は接続するため、止水機構設置の際の側面側及び底面側に生じる隙間をなくすあるいは縮小させることが可能となる。さらに前記第１の係留機構を、前記止水機構の側面（第１の面）上に着固可能な第１係留体としたため、前記第１係留機構の設置及び前記棒状体の挟設を容易にする。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】図１は実施例１の隙間縮小装具の全体構成を示す図である。

【図2】図２は実施例１の止水機構を倉庫または車庫の入口に設置をした直後の使用状態側面図である。

【図3】図３は第１係留体をネジ止めした後の使用状態側面図である。

【図4】図４は隙間縮小装具を挟設した状態の使用状態側面図である。

【図5】図５は倉庫や車庫の入口に設置した止水機構に隙間縮小装具を挟設した状態を示す使用状態斜視図である。

【図6】図６は実施例２の隙間縮小装具の全体構成を示す図である。

【図7】図７は側面ガードを左側に付加した止水機構を車庫の入口に横方向に並べて設置をした状態の使用状態側面図である。

【図8】図８は隙間縮小装具を挟設した状態の使用状態側面図である。

【図9】図９は側面ガードを付加した止水機構（実施例３）を段差部に並べて設置をした状態の使用状態側面図である。

【図10】図１０は低段部止水機構に隙間縮小装具を挟設した状態の使用状態側面図である。

【図11】図１１は高段部止水機構に隙間縮小装具を挟設した状態の使用状態側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

組立可能な止水機構に挟設する隙間縮小装具として実施する。

【実施例1】

【0011】

まずは、隙間縮小装具の構成について、図１に従い説明する。

【0012】

隙間縮小装具（１）は、止水機構（４０）の背面（４１）に着固可能な第１係留体（１０）と、前記第１係留体に一方端を接続する伸縮可能な棒状体（２０）と、前記棒状体の他方端を固定する第２係留機構（３０）とで、構成する（図１）。

【0013】

前記第１係留体（１０）に関して、着固可能とは、前記第１係留体を前記止水機構（４０）に固着及び除去することが容易であることを指すものである。

【0014】

前記第１係留体（１０）を前記止水機構の背面（４１）に固着する手段について、本実施例ではネジ止めとしているが、隙間縮小装具として機能する程度の耐久性や強度を備えている手段であればその他の固着手段を採用することも許容し得る。

【0015】

前記棒状体（２０）について、伸縮可能であることを要する。

【0016】

前記棒状体（２０）の伸縮作動及びその伸長力に関して、当該棒状体の伸長力で当該止水機構の所定の面を押圧し、当該面を弾性変形させて隙間をなくす又は縮小させることが可能であれば良い。

【0017】

なお、前記棒状体（２０）の材質について、本実施例では金属を使用しているが、隙間縮小装具として機能する程度の耐久性や強度を備えていればその他の材質でも良いものとする。

【0018】

前記第２係留機構（３０）について、本実施例では前記棒状体（２０）の他方端がずれることなく固定ができるように前記止水機構（４０）の底面（４２）にあらかじめ設けられた凹凸面としているが、前記第１係留体のような当該面に固着可能な係留体とすることも可能とする（図１）。

【0019】

次に、止水体ベースのみで構成する止水機構を倉庫や車庫の入口に設置した場合を例に、図２から図５に従い説明する。

【0020】

止水機構（４０）を地面（５０）に置き、背面（４１）を倉庫または車庫（５１）の入口支柱（５２）に押し当てて設置する（図２）。

【0021】

前記入口支柱（５２）と前記止水機構の背面（４１）との間（図２で示す止水機構の上方側）に隙間が存在している場合は、当該隙間からの浸水を防止又は抑制するために、本願の隙間縮小装具の装着を開始する。

【0022】

隙間縮小装具の装着について、まずは、前記止水機構の背面（４１）に第１係留体（１０）をネジ止め固定する（図３）。

【0023】

次に、棒状体（２０）を前記止水機構の背面（４１）と底面（４２）との間に挟設する（図４）。

【0024】

前記棒状体（２０）の挟設について、具体的には、前記第１係留体（１０）に、前記棒状体（２０）の一方端（図４で示す左側端部）を接続し、前記棒状体を縮めながら他方端（図４で示す右側端部）を第２係留機構（３０）にずれないようにかけとめる（図４）。

【0025】

前記棒状体（２０）の伸長力により、前記止水機構の背面（４１）は押圧され、前記入口支柱（５１）との間の隙間がなくなる（図４の状態）。

【0026】

前記倉庫や車庫の入口（５１）の幅に応じて、前記止水機構を連結設置していく（図５）。

【実施例2】

【0027】

実施例２は、側面ガードを付加した止水機構を倉庫や車庫の入口に横向きに設置した事例であり、実施例１と異なる部分について図６から図８に従い説明する。

【0028】

隙間縮小装具（１）は、側面ガードを付加した止水機構（４０）の側面（４３）に着固可能な第１係留体（１０）と、前記第１係留体に一方端を接続する伸縮可能な棒状体（２０）と、前記棒状体の他方端を固定する第２係留機構（３０）とで、構成する（図６）。

【0029】

なお、前記側面ガードを付加する位置について、本実施例では当該止水体ベース（止水機構）の左側としているが、右側に付加する構成もあり得る。

【0030】

前記第１係留体（１０）を前記止水機構の側面（４３）に固着する手段について、実施例１と同様にネジ止めとしているが、隙間縮小装具として機能する程度の耐久性や強度を備えている手段であればその他の固着手段を採用することも許容し得る。

【0031】

なお、前記第２係留機構（３０）については、実施例１と同様とする。

【0032】

図７で示す様に、前記止水機構（４０）を倉庫や車庫の入口に対して横向きにして地面（５０）に置き、側面（４３）を入口支柱（５２）に押し当てて設置する（図７）。

【0033】

前記入口支柱（５２）と前記止水機構の側面（４３）との間（図７で示す止水機構の側面上方側）に隙間が存在している場合は、当該隙間からの浸水を防止又は抑制するために、本願の隙間縮小装具の装着を開始する。

【0034】

隙間縮小装具の装着について、まずは、前記止水機構の側面（４３）に第１係留体（１０）をネジ止め固定する（図７）。

【0035】

次に、棒状体（２０）を前記止水機構の側面（４３）と底面（４２）との間に挟設する（図８）。

【0036】

前記棒状体（２０）の挟設について、具体的には、前記第１係留体（１０）に、前記棒状体（２０）の一方端（図８で示す左側上端部）を接続し、前記棒状体を縮めながら他方端（図８で示す右側下端部）を第２係留機構（３０）にずれないようにかけとめる（図８）。

【0037】

前記棒状体（２０）の伸長力により、前記止水機構の側面（４３）は押圧され、前記入口支柱（５２）と前記止水機構の側面との隙間がなくなる（図８の状態）。

【実施例3】

【0038】

実施例３は、階段の様に地面の低い部分と高い部分が存在する場所へ所定の止水機構を横向きに設置した事例であり、実施例１又は実施例２と異なる部分について図９から図１１に従い説明する。

【0039】

図９で示す様に、階段の低い段の側（５３）に一方の止水機構（４０）（以下、「低段部止水機構」と呼ぶ。）を設置し、階段の高い段の側（５４）に他方の止水機構（以下、「高段部止水機構」と呼ぶ。）を、設置する（図９）。

【0040】

なお、前記低段部止水機構（４０）の右側及び前記後段部止水機構の左側には、それぞれ側面ガードを付加している（図９）。

【0041】

前記低段部止水機構（４０）及び前記高段部止水機構の側面（４３）相互間で隙間が存在している場合は、当該隙間からの浸水を防止又は抑制するために、本願の隙間縮小装具の装着を開始する。

【0042】

隙間縮小装具の装着について、まずは、前記低段部止水機構（４０）の側面（４３）及び前記高段部止水機構の側面に第１係留体（１０）をネジ止め固定する（図９）。

【0043】

次に、前記低段部止水機構（４０）の側面（４３）と底面（４２）との間に棒状体（２０）を挟設する（図１０）。

【0044】

同様に、前記高段部止水機構（４０）の側面（４３）と底面（４２）との間に棒状体（２０）を挟設する（図１１）。

【0045】

前記前記低段部止水機構（４０）及び前記高段部止水機構への前記棒状体（２０）の挟設について、実施例２と同様である。

【0046】

前記棒状体（２０）の伸長力により、前記低段部止水機構及び前記高段部止水機構の側面（４３）は相互に押圧され、前記止水機構の側面相互間の隙間がなくなる（図１１の状態）。

【産業上の利用可能性】

【0047】

本願発明は、止水機構を設置した際の隙間をなくすあるいは縮小する優れた面圧具であるので産業上の利用可能性を有する。

【符号の説明】

【0048】

１ 隙間縮小装具
１０ 第１係留体（第１係留機構）
２０ 棒状体
３０ 第２係留体（第２係留機構）
４０ 止水機構（低段部止水機構又は高段部止水機構を含む。）
４１ 止水機構の背面
４２ 止水機構の底面
４３ 側面ガードを付加した止水機構の側面
５０ 地面
５１ 倉庫または車庫
５２ 入口支柱
５３ 階段の低い段の側
５４ 階段の高い段の側

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】