(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】BTLA融合タンパク質アゴニストおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240924BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240924BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240924BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240924BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240924BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240924BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240924BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240924BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240924BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240924BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240924BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240924BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240924BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240924BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240924BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/705
C07K16/00
A61K38/16
A61K47/68
A61K45/00
A61P35/00
A61P1/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P21/00
A61P25/00
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P37/06
A61P43/00 111
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115473
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2021083133の分割
【原出願日】2016-06-29
【審査請求日】2022-07-20
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517006821
【氏名又は名称】サンフォード バーナム プレビーズ メディカル ディスカバリー インスティテュート
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カール エフ. ウェアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン セディー
(72)【発明者】
【氏名】ティグラン アイバジアン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ ケー. クレリン
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0164306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)タンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質であって、該HVEMタンパク質が
、配列番号2
のアミノ酸残基1~161、39~161、1~184、39~184、1~202、または39~202のアミノ酸配列を含み、
ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAであり、該HVEMタンパク質が、Fcタンパク質に融合している、融合タンパク質。
【請求項2】
前記HVEMタンパク質が
、配列番号2
のアミノ酸残基39~161のアミノ酸配列を含
み、ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記HVEMタンパク質が
、配列番号2
のアミノ酸残基39~184のアミノ酸配列を含
み、ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記HVEMタンパク質が
、配列番号2
のアミノ酸残基39~202のアミノ酸配列を含
み、ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記HVEMタンパク質が、HVEMシグナル配列を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記HVEMタンパク質が、HVEMシグナル配列と
、配列番号2
のアミノ酸残基39~184のアミノ酸配列とからな
り、ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記HVEMタンパク質が、ペプチドリンカー配列を介して前記Fcタンパク質に融合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択されるIgGタンパク質である、請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、請求項9に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
ヒトヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)タンパク質であって、HVEMシグナル配列と
、配列番号2
のアミノ酸39~184のアミノ酸配列とからな
り、ただし、アミノ酸残基58がSの代わりにRであり、アミノ酸残基68がGの代わりにTであり、アミノ酸残基70がLの代わりにWであり、アミノ酸残基90がLの代わりにAである、
ヒトHVEMタンパク質。
【請求項12】
前記融合タンパク質または前記HVEMタンパク質が、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)アゴニストである、請求項1~10のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項11に記載の
ヒトHVEMタンパク質。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項11に記載の
ヒトHVEMタンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項14】
対象におけるBTLA関連障害を処置するための、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記BTLA関連障害が、がんまたは自己免疫性障害である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記BTLA関連障害が、アジソン病、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、クッシング症候群、真性糖尿病1型、移植片対宿主病、グレーブス病、ギランバレー症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、移植拒絶および血管炎からなる群より選択される自己免疫性疾患または障害である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記BTLA関連障害が、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、胸部および尿生殖器管からなる群より選択されるがんである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記対象が、免疫応答モジュレータまたは化学療法剤を投与されている、請求項14~17いずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記免疫応答モジュレータが、エイコサノイド、サイトカイン、プロスタグランジン、インターロイキン、ケモカイン、チェックポイント調節因子、TNFスーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバーおよびインターフェロンからなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記免疫応答モジュレータが、CXCL-8、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL11、CXCL10、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL15、IL17、IL17、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-γ、G-CSF、TNF-α、CTLA4、CD20、PD1、PD1L1、PD1L2、ICOS、CD200、CD52、LTα、LTαβ、LIGHT、CD27L、41BBL、FasL、Ox40L、April、TL1A、CD30L、TRAIL、RANKL、BAFF、TWEAK、CD40L、EDA1、EDA2、APP、NGF、TNFR1、TNFR2、LTβR、HVEM、CD27、4-1BB、Fas、Ox40、AITR、DR3、CD30、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、BAFFR、TACI、BCMA、Fn14、CD40、EDAR XEDAR、DR6、DcR3、NGFR-p75、およびTajからなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記免疫応答モジュレータが、トシリズマブ(Actemra)、CDP870(Cimzia)、エタネルセプト(Enbrel)、アダリムマブ(Humira)、Kineret、アバタセプト(Orencia)、インフリキシマブ(Remicade)、リツキシマブ(Rituxan)、ゴリムマブ(Simponi)、Avonex、Rebif、ReciGen、Plegridy、Betaseron、Copaxone、Novatrone、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)、テリフルノミド(Aubagio)、BG12、Tecfideraおよびアレムツズマブ(Campath、Lemtrada)からなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記化学療法剤が、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パニツママブ、Erbitux(セツキシマブ)、マツズマブ、IMC-IIF8、TheraCIM hR3、デノスマブ、Avastin(ベバシズマブ)、Humira(アダリムマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、リツキシマブ、Synagis(パリビズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブオキソガミシン)、Raptiva(エファリズマブ)、Tysabri(ナタリズマブ)、Zenapax(ダクリキシマブ)、NeutroSpec(テクネチウム(99mTc)ファノレソマブ)、トシリズマブ、ProstaScint(インジウム-III標識カプロマブペンデチド)、Bexxar(トシツモマブ)、Zevalin(イットリウム90にコンジュゲートしたイブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8))、Xolair(オマリズマブ)、MabThera(リツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、MabCampath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、LeukoScan(スレソマブ)、CEA-Scan(アルシツモマブ)、Verluma(ノフェツモマブ)、Panorex(エドレコロマブ)、アレムツズマブ、CDP870およびナタリズマブからなる群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
対象における免疫応答をモジュレートするための、請求項13に記載の組成物。
【請求項24】
前記融合タンパク質の投与前のレベルと比較して、ERK1/2のリン酸化が低減される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記融合タンパク質の投与前のレベルと比較して、ZAP70/Sykのリン酸化が低減される、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記融合タンパク質を投与する前のレベルと比較して、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
細胞におけるBTLAシグナル伝達を増加させるin vitro方法であって、BTLA発現細胞を、請求項1~10のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項11に記載の
ヒトHVEMタンパク質と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2015年6月30日に出願された米国出願第62/187,105号への利益を主張する。この先の出願の開示は、この出願の開示の一部とみなされ、この出願の開示においてその全体が参考として援用される。
【0002】
政府の支援
この発明は、National Institutes of Healthによって付与された助成金第R01CA164679号の下、政府の支援をうけて一部なされた。米国政府は、この発明に一定の権利を有する。
【0003】
配列表の援用
添付の配列表中の材料は、参考としてこの出願に援用される。添付の配列表のテキストファイル(名称 BURN1680_1WO_Sequence_Listing)は、2016年6月29日に作成され、19kbである。このファイルは、Windows(登録商標)OSを使用するコンピュータ上でMicrosoft Word(登録商標)を使用して評価され得る。
【0004】
本発明は、一般的に融合タンパク質に、より具体的にはBTLAアゴニスト融合タンパク質の開発および使用、ならびに免疫応答をモジュレートし、疾患および障害を処置するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0005】
腫瘍壊死因子(TNF)受容体ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM;TNFRSF14)は、ウイルス病原体による操作ならびにがんおよび自己免疫での変異のための焦点である。ヒトでは、HVEMはTNFスーパーファミリーサイトカインLIGHTおよびリンフォトキシンαと、ならびに受容体BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)およびCD160を含有する免疫グロブリン(Ig)ファミリーと相互作用する。膜関連LIGHT、BTLAおよびCD160の全ては受容体係合の後にHVEMの下流のNF-κBシグナル伝達を活性化するが、HVEMは受容体BTLAおよびCD160を活性化して隣接細胞の間で双方向性シグナル伝達をもたらす。HVEMとBTLAまたはCD160を共発現する細胞は、立体的障害のために細胞外リガンドへのこれらの受容体のアクセス性を阻止するこれらのタンパク質の細胞内因性の複合体を形成することもできる。
【0006】
BTLA媒介阻害は、TおよびB細胞で抗原受容体シグナル伝達を含むいくつかの異なる細胞経路を調節することが示されている。T細胞では、BTLAは、SH2-ドメイン含有タンパク質チロシンホスファターゼ(SHP)-1および2の活性化を含む阻害性シグナル伝達経路に従事することが最初に示された。最近、BTLAが樹状細胞でtoll様受容体シグナル伝達を、およびγδT細胞でIL-7シグナル伝達を調節することが示された。しかし、ヒトナチュラルキラー(NK)細胞では、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)への宿主対抗手段として、HVEMはCD160を通して細胞溶解および炎症促進性経路を促進することもできる。さらに、マウスのCD160欠乏を記載する近年の研究は、NK細胞におけるその炎症促進性機能を確証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
移植片対宿主病または自己免疫性疾患などの免疫媒介病理を患っている患者でリンパ球活性を阻害するように設計された新規療法に対する、満たされていない大きな必要性がある。多くのタイプのこれらの疾患では、限定的な群の承認処置があるか、または、一部の個体は利用可能な処置に応答することができない。新規療法のための魅力的な標的は、自己免疫性疾患の原因である病原性リンパ球によって発現される阻害性受容体のアゴニスト活性化である。ヒト阻害性受容体を活性化するように設計された抗体ベース療法を開発する試みは、動物モデルでの有望な結果にもかかわらずほとんど失敗に終わっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、BTLAアゴニスト融合タンパク質が免疫応答をモジュレートするという有力な発見に基づく。具体的には、本発明は、BTLAシグナル伝達を強化するBTLAに結合する融合タンパク質を提供する。本発明は、がんならびに免疫性および炎症性疾患および障害を本明細書に記載されるBTLAアゴニスト融合タンパク質で処置する方法をさらに提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質を提供し、ここで融合タンパク質はHVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。
【0010】
追加の実施形態では、本発明は、融合タンパク質、例えば天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。
【0011】
一実施形態では、本発明は、BTLA関連障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質を投与し、それによってBTLA関連障害を処置することを含む方法を提供する。一態様では、BTLA関連障害は、がんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である。追加の態様では、自己免疫性疾患または障害は、アジソン病、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、クッシング症候群、真性糖尿病1型、移植片対宿主病、グレーブス病、ギランバレー症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、移植拒絶または血管炎である。別の態様では、がんは、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、胸部または尿生殖器管である。さらなる態様では、BTLAシグナル伝達が増加する。別の態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。
【0012】
一態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。追加の態様では、融合タンパク質は配列番号2のアミノ酸残基39~161およびFcタンパク質を含む。さらなる態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。ある特定の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異は、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。
【0013】
一態様では、本方法は、免疫応答モジュレータまたは化学療法剤を投与することも含む。別の態様では、免疫応答モジュレータは、エイコサノイド、サイトカイン、プロスタグランジン、インターロイキン、ケモカイン、チェックポイント調節因子、TNFスーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバーおよび/またはインターフェロンである。追加の態様では、免疫応答モジュレータは、CXCL-8、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL11、CXCL10、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL15、IL17、IL17、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-γ、G-CSF、TNF-α、CTLA4、CD20、PD1、PD1L1、PD1L2、ICOS、CD200、CD52、LTα、LTαβ、LIGHT、CD27L、41BBL、FasL、Ox40L、April、TL1A、CD30L、TRAIL、RANKL、BAFF、TWEAK、CD40L、EDA1、EDA2、APP、NGF、TNFR1、TNFR2、LTβR、HVEM、CD27、4-1BB、Fas、Ox40、AITR、DR3、CD30、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、BAFFR、TACI、BCMA、Fn14、CD40、EDAR XEDAR、DR6、DcR3、NGFR-p75、および/またはTajである。ある特定の態様では、免疫応答モジュレータは、トシリズマブ(Actemra)、CDP870(Cimzia)、エンテラセプト(Enbrel)、アダリムマブ(Humira)、Kineret、アバタセプト(Orencia)、インフリキシマブ(Remicade)、リツキシマブ(Rituxan)、ゴリムマブ(Simponi)、Avonex、Rebif、ReciGen、Plegridy、Betaseron、Copaxone、Novatrone、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)、テリフルノミド(Aubagio)、BG12、Tecfideraおよび/またはアレムツズマブ(Campath、Lemtrada)である。
【0014】
さらなる態様では、化学療法剤は、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パニツママブ、Erbitux(セツキシマブ)、マツズマブ、IMC-IIF8、TheraCIM hR3、デノスマブ、Avastin(ベバシズマブ)、Humira(アダリムマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、リツキシマブ、Synagis(パリビズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブオキソガミシン)、Raptiva(エファリズマブ)、Tysabri(ナタリズマブ)、Zenapax(ダクリキシマブ)、NeutroSpec(テクネチウム(99mTc)ファノレソマブ(fanolesomab))、トシリズマブ、ProstaScint(インジウム-III標識カプロマブペンデチド)、Bexxar(トシツモマブ)、Zevalin(イットリウム90にコンジュゲートしたイブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8))、Xolair(オマリズマブ)、MabThera(リツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、MabCampath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、LeukoScan(スレソマブ(sulesomab))、CEA-Scan(アルシツモマブ)、Verluma(ノフェツモマブ(nofetumomab))、Panorex(エドレコロマブ)、アレムツズマブ、CDP870および/またはナタリズマブである。一態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。別の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。
【0015】
さらなる実施形態では、本発明は、対象における免疫応答をモジュレートする方法であって、対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質を投与し、それによって免疫応答をモジュレートすることを含む方法を提供する。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、BTLAシグナル伝達は増加する。別の態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。追加の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。さらなる態様では、対象はBTLA関連疾患または障害を有する。ある特定の態様では、BTLA関連疾患は、がんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である。
【0016】
一実施形態では、本発明は、細胞におけるBTLAシグナル伝達をモジュレートする方法であって、BTLA発現細胞を天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質と接触させ、それによってBTLAシグナル伝達をモジュレートすることを含む方法を提供する。1つでは、BTLAシグナル伝達は増加する。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58R、L70DおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。別の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質であって、前記HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよび前記Fcタンパク質を含む融合タンパク質。
(項目2)
BTLAアゴニストである、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目3)
前記HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目4)
前記変異が、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される、項目3に記載の融合タンパク質。
(項目5)
前記HVEMタンパク質に、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの変異をさらに含む、項目4に記載の融合タンパク質。
(項目6)
前記HVEMタンパク質に、
a) S58R;
b) S58K;
c) S58Q;
d) L70D;
e) L70E;
f) L70N;
g) L90A;
h) S58RおよびL90A;
i) S58RおよびG86T;
j) S58RおよびL70W;
k) S58R、L70DおよびL90A;
l) S58R、G68TおよびL90A;
m) S58R、L70WおよびL90A;
n) S58R、G68T、L70DおよびL90A;ならびに
o) S58R、G68T、L70WおよびL90A
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目7)
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目8)
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、項目7に記載の融合タンパク質。
(項目9)
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、項目7に記載の融合タンパク質。
(項目10)
天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目11)
前記融合タンパク質がBTLAアゴニストである、項目10に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む、項目10に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む、項目10に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記変異が、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される、項目13に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの変異をさらに含む、項目14に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、
a) S58R;
b) S58K;
c) S58Q;
d) L70D;
e) L70E;
f) L70N;
g) L90A;
h) S58RおよびL90A;
i) S58RおよびG86T;
j) S58RおよびL70W;
k) S58R、L70DおよびL90A;
l) S58R、G68TおよびL90A;
m) S58R、L70WおよびL90A;
n) S58R、G68T、L70DおよびL90A;ならびに
o) S58R、G68T、L70WおよびL90A
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、項目10に記載の医薬組成物。(項目17)
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、項目10に記載の医薬組成物。
(項目18)
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、項目17に記載の医薬組成物。
(項目19)
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、項目17に記載の医薬組成物。
(項目20)
BTLA関連障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質を投与し、それによって前記BTLA関連障害を処置することを含む、方法。
(項目21)
前記BTLA関連障害ががんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記自己免疫性疾患または障害が、アジソン病、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、クッシング症候群、真性糖尿病1型、移植片対宿主病、グレーブス病、ギランバレー症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、移植拒絶および血管炎からなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記がんが、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、胸部および尿生殖器管からなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目24)
BTLAシグナル伝達が増加する、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記融合タンパク質がBTLAアゴニストである、項目20に記載の方法。
(項目26)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む、項目20に記載の方法。
(項目27)
前記融合タンパク質が配列番号2のアミノ酸残基39~161およびFcタンパク質を含む、項目20に記載の方法。
(項目28)
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、項目26または27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む、項目20に記載の方法。
(項目32)
前記変異が、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される、項目31に記載の方法。(項目33)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの変異をさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、
a) S58R;
b) S58K;
c) S58Q;
d) L70D;
e) L70E;
f) L70N;
g) L90A;
h) S58RおよびL90A;
i) S58RおよびG86T;
j) S58RおよびL70W;
k) S58R、L70DおよびL90A;
l) S58R、G68TおよびL90A;
m) S58R、L70WおよびL90A;
n) S58R、G68T、L70DおよびL90A;ならびに
o) S58R、G68T、L70WおよびL90A
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、項目20に記載の方法。
(項目35)
免疫応答モジュレータまたは化学療法剤を投与することをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目36)
前記免疫応答モジュレータが、エイコサノイド、サイトカイン、プロスタグランジン、インターロイキン、ケモカイン、チェックポイント調節因子、TNFスーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバーおよびインターフェロンからなる群より選択される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記免疫応答モジュレータが、CXCL-8、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL11、CXCL10、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL15、IL17、IL17、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-γ、G-CSF、TNF-α、CTLA4、CD20、PD1、PD1L1、PD1L2、ICOS、CD200、CD52、LTα、LTαβ、LIGHT、CD27L、41BBL、FasL、Ox40L、April、TL1A、CD30L、TRAIL、RANKL、BAFF、TWEAK、CD40L、EDA1、EDA2、APP、NGF、TNFR1、TNFR2、LTβR、HVEM、CD27、4-1BB、Fas、Ox40、AITR、DR3、CD30、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、BAFFR、TACI、BCMA、Fn14、CD40、EDAR XEDAR、DR6、DcR3、NGFR-p75、およびTajからなる群より選択される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記免疫応答モジュレータが、トシリズマブ(Actemra)、CDP870(Cimzia)、エンテラセプト(Enbrel)、アダリムマブ(Humira)、Kineret、アバタセプト(Orencia)、インフリキシマブ(Remicade)、リツキシマブ(Rituxan)、ゴリムマブ(Simponi)、Avonex、Rebif、ReciGen、Plegridy、Betaseron、Copaxone、Novatrone、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)、テリフルノミド(Aubagio)、BG12、Tecfideraおよびアレムツズマブ(Campath、Lemtrada)からなる群より選択される、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記化学療法剤が、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パニツママブ、Erbitux(セツキシマブ)、マツズマブ、IMC-IIF8、TheraCIM hR3、デノスマブ、Avastin(ベバシズマブ)、Humira(アダリムマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、リツキシマブ、Synagis(パリビズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブオキソガミシン)、Raptiva(エファリズマブ)、Tysabri(ナタリズマブ)、Zenapax(ダクリキシマブ)、NeutroSpec(テクネチウム(99mTc)ファノレソマブ)、トシリズマブ、ProstaScint(インジウム-III標識カプロマブペンデチド)、Bexxar(トシツモマブ)、Zevalin(イットリウム90にコンジュゲートしたイブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8))、Xolair(オマリズマブ)、MabThera(リツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、MabCampath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、LeukoScan(スレソマブ)、CEA-Scan(アルシツモマブ)、Verluma(ノフェツモマブ)、Panorex(エドレコロマブ)、アレムツズマブ、CDP870およびナタリズマブからなる群より選択される、項目35に記載の方法。
(項目40)
ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される、項目20に記載の方法。
(項目41)
全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される、項目20に記載の方法。(項目42)
対象における免疫応答をモジュレートする方法であって、前記対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質を投与し、それによって前記免疫応答をモジュレートすることを含む、方法。
(項目43)
前記融合タンパク質がBTLAアゴニストである、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記変異が、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される、項目45に記載の方法。(項目47)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの変異をさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、
a) S58R;
b) S58K;
c) S58Q;
d) L70D;
e) L70E;
f) L70N;
g) L90A;
h) S58RおよびL90A;
i) S58RおよびG86T;
j) S58RおよびL70W;
k) S58R、L70DおよびL90A;
l) S58R、G68TおよびL90A;
m) S58R、L70WおよびL90A;
n) S58R、G68T、L70DおよびL90A;ならびに
o) S58R、G68T、L70WおよびL90A
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、項目42に記載の方法。
(項目49)
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、項目42に記載の方法。
(項目50)
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、項目49に記載の方法。
(項目52)
BTLAシグナル伝達が増加する、項目42に記載の方法。
(項目53)
ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される、項目42に記載の方法。
(項目54)
全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される、項目42に記載の方法。(項目55)
前記対象がBTLA関連疾患または障害を有する、項目42に記載の方法。
(項目56)
前記BTLA関連疾患ががんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である、項目54に記載の方法。
(項目57)
細胞におけるBTLAシグナル伝達をモジュレートする方法であって、BTLA発現細胞を天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質と接触させ、それによってBTLAシグナル伝達をモジュレートすることを含む、方法。
(項目58)
前記BTLAシグナル伝達が増加する、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む、項目57に記載の方法。
(項目60)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記変異が、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される、項目60に記載の方法。(項目62)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aおよびそれらの組合せから選択される少なくとも1つの変異をさらに含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記融合タンパク質が前記HVEMタンパク質に、
a) S58R;
b) S58K;
c) S58Q;
d) L70D;
e) L70E;
f) L70N;
g) L90A;
h) S58RおよびL90A;
i) S58RおよびG86T;
j) S58RおよびL70W;
k) S58R、L70DおよびL90A;
l) S58R、G68TおよびL90A;
m) S58R、L70WおよびL90A;
n) S58R、G68T、L70DおよびL90A;ならびに
o) S58R、G68T、L70WおよびL90A
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、項目57に記載の方法。
(項目64)
前記Fcタンパク質が、IgA、IgG、IgD、IgEおよびIgMからなる群より選択される、項目57に記載の方法。
(項目65)
前記Fcタンパク質が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群より選択される、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記IgG Fcタンパク質がヒトのものである、項目64に記載の方法。
(項目67)
ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される、項目57に記載の方法。
(項目68)
全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される、項目57に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1A~Cは、UL144のBTLA結合表面の同定を示す。
図1Aは、変異した表面残基を示すヒトCMV UL144の画像を示す。
図1Bは、示したUL144変異体の結合曲線を示す。
図1Cは、UL144タンパク質へのBTLA-Fc結合のK
dを示す。
【0018】
【
図2】
図2A~Hは、ヒトリンパ腫でのHVEM-リガンド結合変異体の同定を示す。
図2Aは、変異した表面残基を示すヒトHVEMの画像を示す。
図2Bは、LIGHTで形質導入された細胞におけるHVEM結合を示す。
図2Cは、BTLA-Fcで形質導入された細胞におけるHVEM結合を示す。
図2Dは、CD160-Fcで形質導入された細胞におけるHVEM結合を示す。
図2Eは、HVEM変異体タンパク質へのLIGHT結合のK
dを示す。
図2Fは、HVEM変異体タンパク質へのBTLA-Fc結合のK
dを示す。
図2Gは、HVEM変異体タンパク質へのCD160-Fc結合のK
dを示す。
図2Hは、多数の個々のDLBCL生検を示し、各欄は1つのDLBCL試料を表す。
【0019】
【
図3】
図3A~Eは、HVEMおよびUL144がBTLAの同じ表面に結合することを示す。
図3Aは、BTLAの2つの画像を示す。
図3Bは、ヒトHVEM-Fcの注射の後の代表的トレースを示す。
図3Cは、ヒトCMV UL144-Fcの注射の後の代表的トレースを示す。
図3Dは、BTLAで形質導入したBJAB細胞を抗BTLAとインキュベートし、次にHVEM-Fcで染色したことを示す。
図3Eは、BTLAで形質導入し、抗BTLAとインキュベートし、次にヒトCMV UL144-Fcで染色したBJAB細胞を示す。
【0020】
【
図4】
図4A~Cは、CD160がBTLAのHVEM活性化を制限することを示す。
図4A~Cは、示したHVEMリガンドで形質導入し、Fcタンパク質のあるなしで抗CD3にカップリングしたマイクロスフェアと培養したJTAg細胞を示す。
図4Aは、ホスホ-ERK1/2(T202/Y204)について染色した細胞を示す。
図4Bは、ホスホ-ZAP70/Syk(Y319/Y352)について染色した細胞を示す。
図4Cは、ホスホ-チロシンについて染色した細胞を示す。
【0021】
【
図5】
図5A~Bは、選択的BTLAアゴニストがIL-2シグナル伝達を阻害することを示す。
図5Aは、ホスホ-JAK1、ホスホ-STAT5およびアクチンの全細胞抽出物のウェスタンブロットを示す。
図5Bは、アクチンに正規化したバンド強度の定量化を示すグラフである。
【0022】
【
図6】
図6A~Cは、新規の変異体HVEMがZAP70/Syk活性化を阻害することを示す。
図6A~Cは、HVEMリガンドで形質導入し、Fcタンパク質のあるなしで抗CD3にカップリングしたマイクロスフェアと培養したJTAg細胞を示す。
図6Aは、ホスホ-ERK1/2(T202/Y204)についての染色を示す。
図6Bは、ホスホ-ZAP70/Syk(Y319/Y352)についての染色を示す。
図6Cは、ホスホ-SHP2(Y542)についての染色を示す。
【0023】
【
図7】
図7A~Eは、BTLAへのUL144結合を生じる変異を示す。
図7Aは、ヒトHVEMおよびヒトCMV UL144の細胞外ドメインを示す。
図7Bは、抗UL144(2F11)で染色した野生型または変異したヒトCMV UL144で形質導入した293T細胞のヒストグラムを示す。
図7Cは、LIGHTで染色した野生型もしくは変異したヒトCMV UL144またはHVEMで形質導入した293T細胞を示す。
図7Dは、BTLA-Fcで染色した野生型もしくは変異したヒトCMV UL144またはHVEMで形質導入した293T細胞を示す。
図7Eは、CD160-Fcで染色した野生型もしくは変異したヒトCMV UL144またはHVEMで形質導入した293T細胞を示す。
【0024】
【
図8】
図8A~Bは、ヒトリンパ腫でのHVEM-リガンド結合変異体の同定を示す。
図8Aは、ヒトFLおよびDLBCL生検で観察されたTNFRSF14変異(ドット)の要約を示す。
図8Bは、抗HVEMで染色した野生型または変異したヒトHVEMで形質導入した293T細胞を示す。
【0025】
【
図9】
図9A~Fは、HVEMおよびUL144がBTLAの同じ表面に結合することを示す。
図9Aは、抗BTLAによる6F4、J168またはMIH26の比MFI染色を示す。
図9Bは、HVEM-FcまたはUL144-Fcによる比MFI染色を示す。
図9Cは、HVEM-Fcで染色した、BTLA単独を、またはHVEMもしくはヒトCMV UL144と一緒にトランスフェクトした293T細胞を示す。
図9Dは、CMV UL144-Fcで染色した、BTLA単独を、またはHVEMもしくはヒトCMV UL144と一緒にトランスフェクトした293T細胞を示す。
図9Eは、BTLA-Fcで染色した、HVEMをトランスフェクトした293T細胞を示す。
図9Fは、BTLA-Fcで染色した、HVEMヒトCMV UL144をトランスフェクトした293T細胞を示す。
【0026】
【
図10】
図10A~Bは、CD160がBTLAのHVEM活性化を制限することを示す。
図10Aは、抗ヒトBTLA(上)、抗ヒトCD160(中央)またはHVEM-Fcで、続いて種特異的二次(下)で染色した、示したHVEMリガンドまたは対照ベクターで形質導入したJTAg細胞を示す。
図10Bは、細胞内染色の前に、滴定されたFcタンパク質のあるなしで抗IgMにカップリングしたマイクロスフェアと培養したBJAB細胞を示す。
【0027】
【
図11】
図11A~Cは、選択的BTLAアゴニストがIL-2シグナル伝達を阻害することを示す。
図11Aは、示したFcタンパク質で前処置した、PBMC中のCD19+B細胞、CD4+およびCD8+T細胞、CD3+CD56+細胞、CD56dimおよびCD56bright NK細胞におけるCD69発現のパーセントを示すグラフである。
図11Bは、滴定されたIL-2で刺激されたNK92細胞のウェスタンブロットを示す。
図11Cは、滴定されたIFN-βで刺激したNK92細胞のウェスタンブロットを示す。
【0028】
【
図12】
図12A~Bは、新規の変異体HVEMがZAP70/Syk活性化を阻害することを示す。
図12A~Bは、示したHVEMリガンドで形質導入したJTAg細胞を、Fcタンパク質のあるなしで抗CD3にカップリングしたマイクロスフェアと培養したことを示す。
図12Aは、ホスホ-NF-κBについての染色を示す。
図12Bは、ホスホ-チロシンについての染色を示す。
【0029】
【
図13】
図13A~Gは、多様な病原体関連のおよび新規の生体工学的に操作したHVEM変異タンパク質BTLAアゴニストが、T細胞シグナル伝達を阻害することを示す。示したHVEMリガンドで形質導入したJTAg細胞を、Fcタンパク質のあるなしで抗CD3にカップリングしたマイクロスフェアと培養した。
図13A~Bは、ホスホ-ERK1/2(T202/Y204)についての染色を示す。
図13Cは、ホスホ-NF-κB p65(S529)についての染色を示す。
図13Dは、ホスホ-BTK/ITK(Y551/Y511)についての染色を示す。
図13Eは、ホスホ-PLCγ1(Y783)についての染色を示す。
図13Fは、ホスホ-ZAP70/Syk(Y319/Y352)についての染色を示す。
図13Gは、ホスホ-チロシンについての染色を示す。
【0030】
【
図14】
図14A~Bは、BTLAアゴニストがB細胞シグナル伝達を阻害することを示す。BJAB細胞を、滴定されたFcタンパク質のあるなしで抗IgMにカップリングしたマイクロスフェアと培養した。
図14Aは、10分間の培養を示す。
図14Bは、60分間の培養を示す。
【0031】
【
図15】
図15A~Dは、BTLAアゴニストがB細胞のインターフェロン活性化を阻害することを示す。対照免疫グロブリンまたはBTLAアゴニスト融合タンパク質にカップリングしたマイクロスフェアの存在下で、インターフェロン-βで刺激したヒトB細胞。
図15Aは、HVEM-Fcカップリング型のマイクロスフェアを示す。
図15Bは、UL144 Fcカップリング型のマイクロスフェアを示す。
図15Cは、HVEM
R109w Fcカップリング型のマイクロスフェアを示す。
図15Dは、HVEM
RTWA Fcカップリング型のマイクロスフェアを示す。
【0032】
【
図16】
図16A~Bは、選択的BTLAアゴニストがNK細胞でIL-2シグナル伝達を制限することを示す。
図16Aは、ホスホ-JAK1、ホスホ-STAT5およびアクチンの全細胞抽出物のウェスタンブロットを示す。
図16Bは、アクチンに正規化したバンド強度の定量化のグラフを示す。
【0033】
【
図17】
図17A~Cは、マウスHVEMにおけるリガンド選択性の同定を示す。LIGHT(BTLA/CD160-sp)またはBTLAおよびCD160の両方(LIGHT-sp)への結合をブロックした改変体を含むHVEM-Fc変異タンパク質を、293T細胞に滴定した。
図17Aは、CD160をトランスフェクトした細胞を示す。
図17Bは、マウスBTLAをトランスフェクトした細胞を示す。
図17Cは、マウスLIGHTをトランスフェクトした細胞を示す。
【0034】
【
図18】
図18A~Cは、選択的HVEM-Fcが皮膚炎症をin vivoで阻害することを示す。皮膚炎症のモデルとしてのイミキモド処置動物に、マウスHVEM-Fc変異タンパク質を腹腔内に注射した。
図18Aは、組織学的分析を示す。
図18B~Cは、表皮の肥厚を示す。
【0035】
【
図19】
図19A~Bは、ヒトHVEMの核酸およびアミノ酸配列を示す。
図19Aは、ヒトHVEMの核酸配列を示す。
図19Bは、ヒトHVEMのアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、BTLAアゴニスト融合タンパク質が免疫応答をモジュレートするという有力な発見に基づく。具体的には、本発明は、BTLAシグナル伝達を強化するBTLAに結合する融合タンパク質を提供する。本発明は、がんならびに免疫性および炎症性疾患および障害を本明細書に記載されるBTLAアゴニスト融合タンパク質で処置する方法をさらに提供する。
【0037】
本組成物および方法を記載する前に、記載される特定の組成物、方法および実験条件は変更することができるので、この発明はそのような組成物、方法および条件に限定されないことを理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲だけにおいて限定されるので、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することだけのためであり、限定するものではないことも理解すべきである。
【0038】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する分野の技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるそれらに類似するまたは同等であるいかなる方法および材料も本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料をこれから記載する。下に示す定義は、本開示の理解のためであるが、当業者が抱く用語の理解に代わるものであると考えてはならない。
【0039】
この明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈が明らかに別に指示しない限り、複数形が含まれる。したがって、例えば「方法」への言及には、この開示その他を読むことによって当業者に明らかになる、本明細書に記載されるタイプの1つまたは複数の方法および/またはステップが含まれる。
【0040】
抗体は、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構成される、通常約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で異なる。各重鎖および軽鎖は、規則的に間隔のあいた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、1つの末端に可変ドメイン(VH)と、続くいくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、1つの末端に可変ドメイン(VL)を、およびその他方の末端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインに整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインに整列する。軽鎖と重鎖の可変ドメインの間で、特定のアミノ酸残基が界面を形成すると考えられている。各可変領域は、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントを含み、可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。重鎖および軽鎖の可変ドメインは4つのFR領域を各々含み、その多くはβシート構成を採用し、3つのCDRによって接続され、それらは、βシート構造を接続し、場合によってはその一部を形成するループを形成する。各鎖のCDRはFRによって非常に近接して一緒に保持され、他方の鎖のCDRと一緒に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常ドメインは抗体を抗原に結合することに直接的に関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性への抗体の関与を示す。
【0041】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に従い、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかはサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γおよびμとそれぞれ呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は、周知である。
【0042】
抗体のFc領域は、細胞表面受容体および補体系の一部のタンパク質と相互作用する、抗体のテール領域である。この特性は、抗体が免疫系を活性化することを可能にする。IgG、IgAおよびIgD抗体のアイソタイプでは、Fc領域は、抗体の2つの重鎖の第2および第3の定常ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片で構成される。IgMおよびIgEのFc領域は、各ポリペプチド鎖に3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含有する。IgGのFc領域は、高度に保存されたN-グリコシル化部位を有する。Fc断片のグリコシル化は、Fc受容体媒介活性のために必須である。この部位に付着するN-グリカンは、主に複合タイプのコアフコシル化二分岐(diantennary)構造である。さらに、少量のこれらのN-グリカンは、二分するGlcNAcおよびα-2,6連結シアル酸残基も有する。
【0043】
本明細書で使用する用語「抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、および、それらが所望の生物活性を示す限り、抗体断片を指す。
【0044】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合性または可変性の領域を含む。抗体断片の例には、Fc、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディ(diabody)、トリボディ(tribody)など;線状抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異的抗体が含まれる。
【0045】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量存在するかもしれない可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。さらに、各モノクローナル抗体は、抗原の上の単一の決定因子に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらがハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンによって汚染されないという点で有利である。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって、組換えDNA方法によって作製するか、またはファージ抗体ライブラリから単離することができる
【0046】
用語「融合分子」および「融合タンパク質」は互換的に使用され、さらなるエフェクター分子、通常組換え、化学的または他の適する方法によって共有結合的に連結した(すなわち、融合した)タンパク質またはペプチド配列のあるなしの生物学的に活性なポリペプチド、例えばHVEMまたは抗体もしくはその断片(例えば、Fc領域)を指すものである。所望により、融合分子は、ペプチドリンカー配列を通して1つまたはいくつかの部位で融合させることができる。あるいは、ペプチドリンカーは、融合分子の構築を支援するために使用することができる。具体的には、好ましい融合分子は融合タンパク質である。一般的に、融合分子は、コンジュゲート分子を含むこともできる。
【0047】
Fc融合タンパク質(Fcキメラ融合タンパク質、Fc-Ig、Igをベースとしたキメラ融合タンパク質およびFc-タグタンパク質としても公知である)は、目的のペプチドまたはタンパク質に遺伝子的に連結されたIgGのFcドメインで構成される。Fc融合タンパク質は、in vivoおよびin vitro研究のための価値ある試薬になっている。
【0048】
Fc融合結合パートナーは、単一のペプチドから、細胞表面受容体との結合後に活性化するリガンド、シグナル伝達分子、二量体化の後に活性化される、またはタンパク質マイクロアレイにおける結合パートナーを同定するために使用されるベイトタンパク質としての受容体の細胞外ドメインと様々であってよい。
【0049】
Fcドメインのin vivoで最も価値ある特徴の1つは、それが目的のタンパク質の血漿中半減期を劇的に延長することができることであり、そのことは生物治療薬のために、改善された治療的効能をもたらし;それは、Fc融合タンパク質を魅力的な生物治療剤にしている属性である。
【0050】
Fc融合タンパク質は、Fc融合タンパク質および薬学的に許容される担体賦形剤または担体を含む医薬組成物の一部であってよい。薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤は当技術分野で周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences、16版、Osol, A.編(1980年))。許容される担体、賦形剤または安定剤は、用いられる投与量および濃度においてレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、ホスフェート、シトレートおよび他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン;単糖、二糖および他の炭水化物(グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む);EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONIC(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。
【0051】
本明細書で使用するように、用語「免疫応答をモジュレートする」は、免疫応答を強化または阻害することを指す。一部の態様では、本発明の融合タンパク質は、免疫応答を阻害または低減する。
【0052】
本明細書で使用するように、用語「BTLAシグナル伝達をモジュレートする」は、BTLAシグナル伝達を増加または減少させることを指す。一部の態様では、本発明の融合タンパク質は、BTLAシグナル伝達を増加する。
【0053】
本明細書で使用するように、用語「処置する」または「処置」または「軽減」は、治療的処置、予防措置的および/または予防的手段を指し、ここで、目的は標的化病的状態または障害を予防または遅くする(少なくする)ことである。処置を必要とする者には、障害を既に有する者だけでなく、障害を起こしやすい者または障害を予防すべき者が含まれる。
【0054】
本明細書で使用するように用語「治療剤」は、患者または対象に投与されるときに所望の治療効果を誘導することが可能な化合物または組成物を含む。本発明の治療剤の一例は、BTLAアゴニスト融合タンパク質である。
【0055】
本明細書で使用するように、疾患を処置するために使用される薬物の「有効量」または「治療有効量」という用語は、疾患の重症度を低減すること、疾患もしくはその処置に関連した1つもしくは複数の症状の重症度を低減すること、または、処置した状態の後に多少の頻度で起こることがあるより重篤な症状もしくはより重篤な疾患の開始を遅延させることができる量である。明記された目的に関して、「有効量」は経験的に、および慣例的な方法で決定することができる。
【0056】
治療剤は、対象を処置するために、局所、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、静脈内および/または病変内投与を含む任意の適する手段によって投与することができる。しかし、例示的な実施形態では、治療剤は局所適用のために、例えば液体、クリーム、ゲル、軟膏、フォームスプレーなどの形で製剤化される。
【0057】
本明細書で使用するように、用語「BTLA関連障害」または「BTLA関連疾患」は、BTLAアゴニスト融合タンパク質による処置が有益であろう任意の状態を指す。BTLAアゴニスト融合タンパク質処置が有益であろう疾患および障害の例には、がん、免疫性、自己免疫性および炎症性疾患および障害が含まれる。
【0058】
免疫性疾患または障害は、免疫系の機能不全である。これらの障害は、いくつかの異なる方法で特徴付けることができる:影響を受ける免疫系の構成要素(複数可)によって;免疫系が過敏性であるかまたは不活発であるかによって、および状態が先天性であるかまたは後天性であるかによって。自己免疫性疾患は、体に通常存在する物質および組織に対する体の異常な免疫応答(自己免疫)から生じる。自己免疫性疾患の基礎をなす病態生理の主要な理解は、自己免疫性疾患の間の遺伝子共有の著しい程度を同定したゲノムワイド関連スキャンの適用であった。
【0059】
自己免疫性障害には、限定されずに、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛、筋萎縮性側索硬化症(別名ルーゲーリック病)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗シンテターゼ症候群、アトピー性アレルギー、アトピー皮膚炎、自己免疫性無形成性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性膵臓炎、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性ポリエンドクリン症候群(polyendocrine syndrome)、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病/バロー同心円硬化症、ベーチェット病、バージャー病、ビッカースタッフ脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、がん、キャッスルマン病、セリアック病、シャガス病、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー、慢性閉塞性肺疾患、慢性再発性多病巣性骨髄炎、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素疾患、補体成分2欠乏、接触性皮膚炎、頭蓋動脈炎、CREST症候群、クローン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、ドゴー病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、真性糖尿病1型、散在性皮膚全身性硬化症、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、薬物性ループス、湿疹、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性肺炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、胎児赤芽球症、本態性混合型寒冷グロブリン血、エバンズ症候群、進行性骨化性線維形成異常症、線維化性肺胞炎(または、特発性肺線維症)、胃炎、胃腸類天疱瘡、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹、別名、妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、ヒューズ-ストービン症候群、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性の血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋肉炎、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、別名、若年性関節リウマチ、川崎病、ランバート-イートン筋無力症症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA疾患、ルポイド肝炎、別名、自己免疫肝炎、エリテマトーデス、マジード症候群、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、ミラー-フィッシャー症候群、混合型結合組織病、限局性強皮症、ムハ-ハーバーマン病、別名、急性痘瘡状苔癬状ひこう疹、多発性硬化症、重症筋無力症、筋肉炎、メニエール病、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、神経ミオトニー、眼の瘢痕性類天疱瘡、眼球クローヌス筋クローヌス症候群、オードの甲状腺炎(Ord’s thyroiditis)、回帰性リウマチ、PANDAS(連鎖球菌に関連した小児自己免疫性神経精神障害)、腫瘍随伴小脳変性、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリー・ロンバーグ症候群、扁平部炎、パーソナージ-ターナー症候群、尋常天疱瘡、静脈周囲の脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多筋痛、多発筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性の炎症性神経障害、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、ラスムセン脳炎、レイノー現象、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、不穏下肢症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、統合失調症、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、血清病、シェーグレン症候群、脊椎関節症、全身硬直症候群、スチル病、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、スイート症候群、シドナム舞踏病、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎、血小板減少、トロサ-ハント症候群、横断脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化脊椎関節症、蕁麻疹様血管炎、血管炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症が含まれる。
【0060】
本明細書で使用するように用語「免疫モジュレータ」は、免疫系をモジュレートする任意の治療剤を指す。免疫モジュレータの例には、エイコサノイド、サイトカイン、プロスタグランジン、インターロイキン、ケモカイン、チェックポイント調節因子、TNFスーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバーおよびインターフェロンが含まれる。免疫モジュレータの具体例には、PGI2、PGE2、PGF2、CCL14、CCL19、CCL20、CCL21、CCL25、CCL27、CXCL12、CXCL13、CXCL-8、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL11、CXCL10、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL15、IL17、IL17、INF-α、INF-β、INF-ε、INF-γ、G-CSF、TNF-α、CTLA、CD20、PD1、PD1L1、PD1L2、ICOS、CD200、CD52、LTα、LTαβ、LIGHT、CD27L、41BBL、FasL、Ox40L、April、TL1A、CD30L、TRAIL、RANKL、BAFF、TWEAK、CD40L、EDA1、EDA2、APP、NGF、TNFR1、TNFR2、LTβR、HVEM、CD27、4-1BB、Fas、Ox40、AITR、DR3、CD30、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、BAFFR、TACI、BCMA、Fn14、CD40、EDAR XEDAR、DR6、DcR3、NGFR-p75、およびTajが含まれる。免疫モジュレータの他の例には、トシリズマブ(Actemra)、CDP870(Cimzia)、エンテラセプト(enteracept)(Enbrel)、アダリムマブ(Humira)、Kineret、アバタセプト(Orencia)、インフリキシマブ(Remicade)、リツキシマブ(rituzimab)(Rituxan)、ゴリムマブ(Simponi)、Avonex、Rebif、ReciGen、Plegridy、Betaseron、Copaxone、Novatrone、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)、テリフルノミド(Aubagio)、BG12、Tecfideraおよびアレムツズマブ(Campath、Lemtrada)が含まれる。
【0061】
がんは、体の他の部分に侵入または拡散する潜在性を有する、異常な細胞増殖を含む一群の疾患である。国立がん研究所によって記載される例示的ながんには、以下のものが含まれる:急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児;AIDS関連リンパ腫;AIDS関連悪性疾患;肛門がん;星状細胞腫、小児小脳;星状細胞腫、小児脳;胆管がん、肝臓外;膀胱がん;膀胱がん、小児;骨がん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児;脳腫瘍、小脳星状細胞腫、小児;脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、小児;脳腫瘍、上衣細胞腫、小児;脳腫瘍、髄芽細胞腫、小児;脳腫瘍、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、小児;脳腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫、小児;脳腫瘍、小児(他);乳がん;乳がんおよび妊娠;乳がん、小児;乳がん、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児:カルチノイド腫瘍、小児;カルチノイド腫瘍、胃腸;癌腫、副腎皮質;癌腫、島細胞;未知原発性の癌腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星状細胞腫、小児;脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、小児;子宮頸がん;小児がん;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性疾患;腱鞘の明細胞肉腫;結腸がん;結腸直腸がん、小児;皮膚T細胞リンパ腫;子宮体がん;上衣細胞腫、小児;上皮がん、卵巣;食道がん;食道がん、小児;腫瘍のユーイングファミリー;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;肝臓外胆管がん;目のがん、眼内メラノーマ;目のがん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃部(gastric)(胃(stomach))がん;胃部(胃)がん、小児;胃腸カルチノイド腫瘍;胚細胞腫瘍、頭蓋外、小児;胚細胞腫瘍、性腺外;胚細胞腫瘍、卵巣;妊娠期栄養膜腫瘍;神経膠腫。小児期脳幹;神経膠腫。小児期視覚路および視床下部;毛様細胞白血病;頭頸部がん;肝細胞(肝臓)がん、成人(原発性);肝細胞(肝臓)がん、小児(原発性);ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児;妊娠中のホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視床下部および視覚路神経膠腫、小児;眼内メラノーマ;島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓がん;喉頭がん;喉頭がん、小児;白血病、急性リンパ芽球、成人;白血病、急性リンパ芽球、小児;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、毛様細胞;唇および口腔がん;肝がん、成人(原発性);肝がん、小児(原発性);肺がん、非小細胞;肺がん、小細胞;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児急性;リンパ球性白血病、慢性;リンパ腫、AIDS関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞;リンパ腫、ホジキン、成人;リンパ腫、ホジキン;小児;リンパ腫、ホジキン、妊娠中;リンパ腫、非ホジキン、成人;リンパ腫、非ホジキン、小児;リンパ腫、非ホジキン、妊娠中;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性乳がん;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児;悪性胸腺腫;髄芽細胞腫、小児;メラノーマ;メラノーマ、眼内;メルケル細胞癌;中皮腫、悪性;不顕性原発性の転移性扁平上皮頸部がん;多発性内分泌腫瘍症候群、小児;多発性骨髄腫/形質細胞新生物;菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性疾患、慢性;鼻腔および副鼻腔がん;鼻咽頭がん;鼻咽頭がん、小児;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺がん;口のがん、小児;口腔および口唇がん;口腔咽頭がん;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣がん、小児;卵巣上皮がん;卵巣の胚細胞腫瘍;境界悪性卵巣腫瘍;膵臓がん;膵臓がん、小児、膵臓がん、島細胞;副鼻腔および鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;褐色細胞腫;松果体およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、小児;下垂体腫瘍;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽細胞腫;妊娠および乳房のがん;妊娠およびホジキンリンパ腫;妊娠および非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝がん、成人;原発性肝がん、小児;前立腺がん;直腸がん;腎臓細胞(腎臓)がん;腎臓細胞がん、小児;腎盤および尿管、移行細胞がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺がん;唾液腺がん、小児;肉腫、腫瘍のユーイングファミリー;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児;セザリー症候群;皮膚がん;皮膚がん、小児;皮膚がん(メラノーマ);皮膚癌、メルケル細胞;小細胞肺がん;小腸がん;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児;不顕性原発性の扁平上皮頸部がん、転移性;胃(胃部)がん;胃(胃部)がん、小児;テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、小児;T細胞リンパ腫、皮膚;精巣がん;胸腺腫、小児;胸腺腫、悪性;甲状腺がん;甲状腺がん、小児;腎盤および尿管の移行細胞がん;栄養膜腫瘍、妊娠期;未知の原発部位、がんの、小児;小児期の稀ながん;尿管および腎盤、移行細胞がん;尿道がん;子宮肉腫;膣がん;視覚路および視床下部神経膠腫、小児;外陰部がん;ワルデンストレームマクログロブリン血症;ならびにウィルムス腫瘍。
【0062】
本明細書で使用するように用語「化学療法剤」は、がんを処置するために使用される任意の治療剤を指す。化学療法剤の例には、限定されずに以下のものが含まれる:アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パニツママブ、Erbitux(セツキシマブ)、マツズマブ、IMC-IIF8、TheraCIM hR3、デノスマブ、Avastin(ベバシズマブ)、Humira(アダリムマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、リツキシマブ、Synagis(パリビズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブオキソガミシン)、Raptiva(エファリズマブ)、Tysabri(ナタリズマブ)、Zenapax(ダクリキシマブ)、NeutroSpec(テクネチウム(99mTc)ファノレソマブ)、トシリズマブ、ProstaScint(インジウム-III標識カプロマブペンデチド)、Bexxar(トシツモマブ)、Zevalin(イットリウム90にコンジュゲートしたイブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8))、Xolair(オマリズマブ)、MabThera(リツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、MabCampath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、LeukoScan(スレソマブ)、CEA-Scan(アルシツモマブ)、Verluma(ノフェツモマブ)、Panorex(エドレコロマブ)、アレムツズマブ、CDP870およびナタリズマブである。
【0063】
本発明の融合タンパク質は、例えば、免疫モジュレータまたは化学療法剤と併用することができる。本発明の融合タンパク質による処置は、例えば、免疫モジュレータまたは化学療法剤などの他の処置の前、後、またはそれと実質的に同時を含む。
【0064】
免疫系は、疾患から保護する、生体内の生物学的構造および過程の系である。この系は、体を病原体および他の外来物質から保護し、感染したおよび悪性の細胞を破壊し、細胞残渣を取り除く、相互作用する細胞、細胞生成物および細胞形成組織の散在性の複雑なネットワークである。系は、胸腺、脾臓、リンパ節およびリンパ組織、幹細胞、白血球、抗体ならびにリンホカインを含む。B細胞またはBリンパ球は、適応性免疫系の体液性免疫におけるリンパ球のタイプであり、免疫監視機構にとって重要である。T細胞またはTリンパ球は、細胞媒介性免疫で中心的役割を演ずるリンパ球のタイプである。T細胞の2つの主要なサブタイプがある:キラーT細胞およびヘルパーT細胞。さらに、免疫応答をモジュレートする役割を有するサプレッサーT細胞がある。キラーT細胞は、MHCクラスI分子にカップリングした抗原だけを認識し、ヘルパーT細胞はMHCクラスII分子にカップリングした抗原だけを認識する。抗原提示のこれらの2つの機構は、2つのタイプのT細胞の異なる役割を反映する。第3のマイナーなサブタイプは、MHC受容体に結合していないインタクトな抗原を認識するγδT細胞である。対照的に、B細胞抗原特異的受容体は、B細胞表面の抗体分子であり、抗原プロセシングを必要とせずに完全な病原体を認識する。B細胞の各系統は異なる抗体を発現し、したがってB細胞抗原受容体の完全なセットは、体が製造することができる全ての抗体を表す。
【0065】
BおよびT細胞アテニュエータ(BTLAまたはCD272)は、免疫系の不可欠の部分である。BTLA発現はT細胞の活性化の間に誘導され、BTLAはTh1細胞の上で発現されたままであるがTh2細胞ではそうでない。プログラム細胞死1(PD1)および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)のように、BTLAは阻害経路を活性化し、T細胞活性化を調節する。しかし、PD-1およびCTLA-4と異なり、BTLAは細胞表面受容体のB7ファミリーでなく腫瘍壊死ファミリー受容体(TNF-R)との相互作用を通してT細胞阻害を提示する。BTLAは、ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)としても公知の腫瘍壊死因子(受容体)スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)のリガンドである。BTLA-HVEM複合体は、T細胞免疫応答を負に調節する。
【0066】
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー(TNFRSF)ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)(TNFRSF14)は、正規のTNF関連リガンド、リンフォトキシン-α(LT-α)およびLIGHTに結合する。しかし、HVEMの際立った特徴は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)ならびにCD160の関与である。異なる構成の複数のリガンドと相互作用するHVEMの能力は、固有で双方向性のシグナル伝達経路の機能的に多様なセットを形成する。これらの異なるリガンドに結合する能力は、HVEMの細胞外ドメイン中の2つの異なる組織分布的領域(topographical region)に存在する。これらの異なる部位は、炎症促進性および阻害性経路の両方を活性化するHVEMの能力を付与する。HVEMはいくつかのシグナル伝達経路と関連しているので、それがT細胞同時刺激、樹状細胞(DC)ホメオスタシスの調節、自己免疫媒介炎症応答ならびに病原体に対する宿主防御などの免疫系で重要な役割を演ずることは意外でない。HVEMは免疫系の外でも、感覚ニューロン発生および脂肪細胞代謝の調節において有意な役割を演ずることができる。ヒトHVEMタンパク質は、283アミノ酸(配列番号2)を有する。細胞外ドメインは、164アミノ酸残基、例えばアミノ酸39~202を含む。本発明の融合タンパク質は、HVEMタンパク質(配列番号2)の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190またはそれを超える残基を含む。本発明の融合タンパク質は、例えば、HVEMタンパク質(配列番号2)のアミノ酸残基1~283、1~202、1~184、1~161、39~202または39~161を含むことができる。
【0067】
本明細書で使用するように、用語「天然に存在しないHVEMタンパク質」は、少なくとも1つまたは複数の変異を含有するHVEMタンパク質(配列番号2、
図19B)を指す。本発明の融合タンパク質は、少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せを含む。本発明の融合タンパク質は、HVEMタンパク質に少なくとも1つの追加の変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せを含む。本発明の融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはそれらの組合せを含むことができる。本発明の融合タンパク質は、HVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;G68T;L70D;L70E;L70N;L70W;L90A;S58RおよびL90A;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。
【0068】
BTLAは、HVEMと相互作用するために異なる表面を使用する。BTLA/HVEM経路は、免疫寛容の維持および自己免疫性疾患の予防において重要な役割を演ずる。BTLA欠損マウスは、関節リウマチ、リンパ球浸潤、自己免疫性肝炎(AIH)様疾患およびEAEを起こす。HVEM欠損マウスは、MOGペプチド誘導EAEへの感受性の増加、ならびに増加したT細胞増殖およびサイトカイン生成を示す。アンタゴニストHVEM-Igは、DBA1バックグラウンドマウスでコラーゲン誘導関節炎において自己免疫を悪化させる。したがって、活性化T細胞でのBTLAの強制的発現は、自己免疫性疾患の処置のための有望な戦略になるだろう。
【0069】
腫瘍免疫に関して、腫瘍抗原特異的CD8+T細胞は、BTLAを持続的に発現するようである。CpGワクチン接種は腫瘍抗原特異的CD8+T細胞でBTLAの発現を部分的に下方制御し、BTLA/HVEM媒介阻害シグナルをブロックすると報告されている。BTLA/HVEM経路をブロックすることはエフェクターT細胞機能を強化する手段として妥当であるようであるが、HVEM相互作用分子の複雑性に注意深く注目すべきである。IgSF阻害性受容体のCD160も、HVEMに結合する。さらに、TNFファミリーメンバーLIGHTは、HVEMとの係合の際に共刺激シグナルを送達する。これらの複数の経路は、悪性疾患のために新規の治療的介入を確立することを困難にする。
【0070】
BTLA/HVEM経路の操作は、感染症患者を処置するための有望な戦略になることができる。BTLAは、マウスでP.berghei ANKA感染の間に誘導され、抗BTLAアンタゴニストmAbは、原生動物によって引き起こされる大脳マラリアの発病率を有意に低減する。したがって、BTLA/HVEM経路を混乱させる病原体は、抗BTLA mAb免疫療法の理想的な標的となることができる。
【0071】
阻害性受容体シグナル伝達の成功裏の活性化は、活性化受容体-リガンド構成と類似する、活性化状態の阻害性受容体の構成に係合する受容体アゴニストの能力に依存する。抗体の形の受容体アゴニストは、この活性化構成を促進して強化されたBTLAシグナル伝達をもたらすことができるBおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)などの、阻害性受容体の特定のエピトープに係合する。これらの抗体のエピトープは、BTLA受容体ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)の結合部位と重ならない。これらの抗体は、BTLA細胞質ドメインのリン酸化、ならびに、SHP1および2、活性化マーカーとしてBTLAの細胞質ドメインに動員される他のシグナル伝達タンパク質を含む関連タンパク質の動員およびリン酸化を活性化することによってシグナル伝達を強化するよう機能する。BTLAの下流での阻害性シグナル伝達の活性化は、T細胞でのT細胞受容体およびB細胞でのB細胞受容体の下流で正常なシグナルトランスダクション経路を負に調節すると予測される。さらに、BTLA阻害性シグナル伝達は、γδT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞などの生得的細胞において、IL-7およびI型インターフェロンサイトカインシグナル伝達を負に調節する。
【0072】
β-ヘルペスウイルスサイトメガロウイルス(CMV)は、そのゲノムの多くを宿主免疫応答の回避に充て、これらの遺伝子の多くは、潜伏感染の確立に向けてウイルスが進行するに従って使用される。CMVは、BTLAに結合してT細胞増殖をHVEMより大きな程度で阻害する、HVEM(ORF UL144)の模倣物を発現する。UL144はHVEM受容体CD160に結合せず、NK細胞活性化を回避することが最近示された。細胞溶解性細胞の活性化はがんに対する免疫応答でも重大であり、免疫認識経路に変異を有する腫瘍はより攻撃的な腫瘍増生および死亡率と関連する。ヒト濾胞性リンパ腫(FL)では、最も一般的な二次性変異はTNFRSF14で起こり、散在性の大B細胞リンパ腫(DLBCL)でもTNFRSF14が頻繁に変異を起こし、遺伝子欠失または発現の喪失をもたらす。しかし、リンパ腫のサブセットでは、いくつかの変異がHVEMリガンド結合に影響を与えると予測された。これらの変異または変更されたリガンド相互作用が腫瘍微小環境の中でリンパ腫適応度にどのように影響することができるかは依然として不明である。
【0073】
ウイルスのUL144タンパク質と類似して、いくつかのリンパ腫HVEM変異体は、CD160結合なしでBTLAへのリガンド選択を示す。CD160の発現は、BTLAとの野生型HVEMの係合およびT細胞受容体シグナル伝達の阻害を阻止する。対照的に、ウイルスおよび変異体HVEMで誘発されるBTLA活性化は、CD160発現によって妨害されない。最後に、BTLA活性化が、CD160発現NK細胞で転写のサイトカイン誘導シグナルトランスデューサおよび活性化因子(STAT)リン酸化を阻害すること、ならびにウイルスのUL144タンパク質が野生型HVEMより強力にサイトカインシグナル伝達を阻害することが判明した。したがって、リガンド競合はHVEMが阻害性シグナルに均一に係合することを妨げ、リガンド選択性はウイルスおよび変異体HVEMが阻害機能を固有に駆動することを可能にし、BTLA選択的アゴニストの発生に向けての経路を示す。まとめると、これらのデータは、感染症およびがんで阻害性および制限性炎症性シグナル伝達を促進する、CMVでのUL144の進化への、ならびにリンパ腫での体細胞性TNFRSF14変異の獲得のための潜在的選択圧を示す。
【0074】
一実施形態では、本発明は、天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質を含む融合タンパク質を提供し、ここで融合タンパク質はHVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。
【0075】
追加の実施形態では、本発明は、融合タンパク質、例えば天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。
【0076】
一実施形態では、本発明は、BTLA関連障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質を投与し、それによってBTLA関連障害を処置することを含む方法を提供する。一態様では、BTLA関連障害は、がんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である。追加の態様では、自己免疫性疾患または障害は、アジソン病、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、クッシング症候群、真性糖尿病1型、移植片対宿主病、グレーブス病、ギランバレー症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、移植拒絶または血管炎である。別の態様では、がんは、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、目、頭頸部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟部組織、脾臓、胸部または尿生殖器管である。さらなる態様では、BTLAシグナル伝達が増加する。別の態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。
【0077】
一態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。追加の態様では、融合タンパク質は配列番号2のアミノ酸残基39~161およびFcタンパク質を含む。さらなる態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。ある特定の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異は、S58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。一態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。
【0078】
一態様では、本方法は、免疫応答モジュレータまたは化学療法剤を投与することも含む。別の態様では、免疫応答モジュレータは、エイコサノイド、サイトカイン、プロスタグランジン、インターロイキン、ケモカイン、チェックポイント調節因子、TNFスーパーファミリーメンバー、TNF受容体スーパーファミリーメンバーおよび/またはインターフェロンである。追加の態様では、免疫応答モジュレータは、CXCL-8、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL11、CXCL10、IL1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12、IL13、IL15、IL17、IL17、IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-γ、G-CSF、TNF-α、CTLA4、CD20、PD1、PD1L1、PD1L2、ICOS、CD200、CD52、LTα、LTαβ、LIGHT、CD27L、41BBL、FasL、Ox40L、April、TL1A、CD30L、TRAIL、RANKL、BAFF、TWEAK、CD40L、EDA1、EDA2、APP、NGF、TNFR1、TNFR2、LTβR、HVEM、CD27、4-1BB、Fas、Ox40、AITR、DR3、CD30、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、BAFFR、TACI、BCMA、Fn14、CD40、EDAR XEDAR、DR6、DcR3、NGFR-p75、および/またはTajである。ある特定の態様では、免疫応答モジュレータは、トシリズマブ(Actemra)、CDP870(Cimzia)、エンテラセプト(Enbrel)、アダリムマブ(Humira)、Kineret、アバタセプト(Orencia)、インフリキシマブ(Remicade)、リツキシマブ(Rituxan)、ゴリムマブ(Simponi)、Avonex、Rebif、ReciGen、Plegridy、Betaseron、Copaxone、Novatrone、ナタリズマブ(Tysabri)、フィンゴリモド(Gilenya)、テリフルノミド(Aubagio)、BG12、Tecfideraおよび/またはアレムツズマブ(Campath、Lemtrada)である。
【0079】
さらなる態様では、化学療法剤は、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パニツママブ、Erbitux(セツキシマブ)、マツズマブ、IMC-IIF8、TheraCIM hR3、デノスマブ、Avastin(ベバシズマブ)、Humira(アダリムマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Remicade(インフリキシマブ)、リツキシマブ、Synagis(パリビズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブオキソガミシン)、Raptiva(エファリズマブ)、Tysabri(ナタリズマブ)、Zenapax(ダクリキシマブ)、NeutroSpec(テクネチウム(99mTc)ファノレソマブ)、トシリズマブ、ProstaScint(インジウム-III標識カプロマブペンデチド)、Bexxar(トシツモマブ)、Zevalin(イットリウム90にコンジュゲートしたイブリツモマブチウキセタン(IDEC-Y2B8))、Xolair(オマリズマブ)、MabThera(リツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、MabCampath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、LeukoScan(スレソマブ)、CEA-Scan(アルシツモマブ)、Verluma(ノフェツモマブ)、Panorex(エドレコロマブ)、アレムツズマブ、CDP870および/またはナタリズマブである。一態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。別の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。
【0080】
さらなる実施形態では、本発明は、対象で免疫応答をモジュレートする方法であって、対象に天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質を投与し、それによって免疫応答をモジュレートすることを含む方法を提供する。一態様では、融合タンパク質はBTLAアゴニストである。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、BTLAシグナル伝達は増加する。別の態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。追加の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。さらなる態様では、対象はBTLA関連疾患または障害を有する。ある特定の態様では、BTLA関連疾患は、がんまたは自己免疫性疾患もしくは障害である。
【0081】
一実施形態では、本発明は、細胞でBTLAシグナル伝達をモジュレートする方法であって、BTLA発現細胞を天然に存在しないHVEMタンパク質およびFcタンパク質などの融合タンパク質と接触させ、それによってBTLAシグナル伝達をモジュレートすることを含む方法を提供する。1つでは、BTLAシグナル伝達は増加する。別の態様では、融合タンパク質は、HVEMタンパク質の細胞外ドメインおよびFcタンパク質を含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異を含む。追加の態様では、変異はS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せである。追加の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せをさらに含む。別の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える変異、例えばS58R、S58K、S58Q、G68T、L70D、L70E、L70N、L70W、L90Aまたはその組合せを含む。ある特定の態様では、融合タンパク質はHVEMタンパク質に少なくとも1つの変異、例えばS58R;S58K;S58Q;L70D;L70E;L70N;L90A;S58RおよびL90A;S58RおよびG68T;S58RおよびL70W;S58R、L70DおよびL90A;S58R、G68TおよびL90A;S58R、L70WおよびL90A;S58R、G68T、L70DおよびL90A;またはS58R、G68T、L70WおよびL90Aを含む。一態様では、Fcタンパク質は、IgA、IgG、IgD、IgEまたはIgMである。別の態様では、Fcタンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。具体的な態様では、IgG Fcタンパク質はヒトのものである。一態様では、ERK1/2および/またはZAP70/Sykのリン酸化が低減される。別の態様では、全体の細胞リン酸化およびSHP2のリン酸化が誘導される。
【0082】
本発明は、全てのその態様において、以下の実施例でさらに例示される。しかし、実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
HVEMに相同性のUL144残基は、BTLAへの結合のために必要とされる
ヒトCMVにコードされたUL144は、BTLAに選択的に結合するがCD160には結合せず、HVEMタンパク質より高い程度でT細胞受容体シグナル伝達によって活性化されるT細胞増殖を阻害する。UL144によるBTLAへの選択がこれらの2つのタンパク質の表面の間での固有の相互作用からもたらされたかどうか決定するために、UL144のBTLA接触面の構造を、以前に解かれたHVEM-BTLA共結晶上でモデル化した(
図1A)。次に、潜在的BTLA結合表面をスクリーニングするアラニンおよび相同性走査変異誘発によってHVEMから発散していた、UL144表面残基を標的化した(
図1)。いくつかのUL144残基の変異が、HVEMのBTLA結合表面と類似のCRD1領域の1つの面に中心をおいた表面を画定するBTLAの結合を破壊または低減することが観察された。表面に発現されることが実証された最も重大な変異は、Gly41およびTyr42で起こり、HVEMでのGly60およびTyr61に相同的である(
図7)。UL144での相同性走査変異のいずれも、CD160またはTNFSFリガンドLIGHTへのさらなるリガンド結合を明らかにしなかったが、G46KおよびN61A変異体はBTLAへの結合を強化した(
図1B、Cおよび
図7)。したがって、いかなる単一の変異もUL144タンパク質へのCD160結合を回復せず、おそらくCMVが複数の遺伝子改変を通してBTLA結合を選択するようにUL144を進化させたことを示す。特異的残基がBTLA結合に影響を与える:Glu
27、Gln
33、Pro
36、Gly
41、Tyr
42、Thr
52、Leu
68が、必要とされるようである;Arg
43、Thr
45は結合を低減した;Asn
32、Gln
47、Gly
49、Gln
50は、影響がないようである;Gly
46、Asn
61は結合を増加させる。
【0084】
細胞および表面タンパク質発現:EL4および293T細胞を、10%熱不活化FBS、抗生物質、L-グルタミンおよび50μM 2-MEを含むDMEMで維持した。NK92細胞は、100U/ml IL-2を追加した8%熱不活化FBS、8%ウマ血清、抗生物質、L-グルタミンおよび50μM 2-MEを含むRPMIで維持した。BJABおよびJurkat TAg(JTAg)細胞は、10%熱不活化FBS、抗生物質、L-グルタミンおよび50μM 2-MEを含むRPMIで維持した。BTLA発現細胞の頻度を増加させるために、野生型および変異体ヒトBTLAを含有するレトロウイルスで形質導入したEL4細胞およびBJAB細胞(Watanabeら(2003年);Nat Immunol4巻:670頁)をGFP発現について選別した。以前に記載されるように(Sedyら(2005年)、Nat Immunol6巻:90頁)、レトロウイルスプラスミド、pCG VSVgエンベロープタンパク質およびHit60 gag-polの同時トランスフェクションによって、偽型化した単一の感染レトロウイルスを生成した。UL144およびBTLA変異体は、round-the-worldのPCR変異誘発によって生成した。変異体または野生型UL144を含有するpNDベクターによるリン酸カルシウムトランスフェクションによって形質導入した293T細胞を、Fc結合研究のために使用した。PCR増幅および部位特異的変異誘発のために使用された全てのオリゴヌクレオチドは、表1に掲載する。JTAgでのHVEMリガンドの一時的発現のために、T820矩形波エレクトロポレータを使用して230Vで65msの間、細胞を、対照ベクターを含む示したDNA構築物の10μgでエレクトロポレーションした。
【0085】
抗体およびFc融合タンパク質:抗ヒトHVEMは、BD Biosciencesからのものであった。抗ヒトBTLA抗体クローンMIH26およびJ168は、eBioscienceおよびBD Biosciencesから得られた。抗ヒトBTLAクローン6F4および抗UL144クローン2F11は、以前に記載されるように生成した(Cheungら(2005年)、Proc Natl Acad Sci102巻:11318頁;Cheungら(2009年a)、J Immunol183巻:7286頁)。ロバ抗ヒトFcγおよび抗FcμF(ab’)2は、Jackson Immunoresearchからのものであった。ヒトPBMC集団を同定する抗体には、CD19 FITC、CD56 PE-Cy7、CD8 PE、CD3 PE610、CD4 eFluor450およびCD69 PerCP-Cy5.5が含まれる。ホスホ特異的抗体には、ホスホ-チロシンPE、ホスホ-Akt(S473)PE、およびホスホ-SHP-2(Y542)Alexa647、ホスホ-ERK1/2(pT202/pY204)PerCP-e710およびホスホ-NF-κB p65(S529)PEが含まれる。Fc融合タンパク質は、以下の通りに設計し、生成した:ヒトHVEMの天然のシグナル配列を含む外部ドメイン(残基1~184)を、ヒトIgG Fc配列に3’末端で融合した。ヒトBTLAおよびCMV UL144のために、残基26~150および19~132を、ヒトIgシグナル配列に5’末端でおよびヒトIgG Fc領域に3’末端でそれぞれ融合した。CellGro Free無血清培地で増殖させたトランスフェクトした293T細胞でFc融合タンパク質を生成し、プロテインAカラムの上で親和性クロマトグラフィーによって精製した。対照ヒトIgG1タンパク質は、Sigma-Aldrichからのものであった。以下の通りに3回の変異誘発を通して、BTLA選択的HVEM変異体タンパク質を新規に工学的に操作した:先ず、リガンド結合性ホットスポットを同定するための表面曝露残基のアラニン変異誘発;第2に、リガンド結合の標的化を最適化するためのホットスポットでの飽和変異誘発;第3に、BTLA選択性を達成して親和性を強化するためのコンビナトリアル変異誘発。
【0086】
結合アッセイ:以前に記載されるように(Sedyら、2013年)、フローサイトメトリー結合アッセイを実行した。簡潔には、細胞を緩衝液(2%FBSを含むPBS)中の氷上で30分間Fcリガンドとインキュベートし、2回洗浄し、緩衝液中の氷上で15分間抗Fc二次とインキュベートし、2回洗浄し、分析した。実験の細胞性MFIを対照の細胞性MFIから引き算することによって、比平均蛍光強度(MFI)を計算した。
【0087】
表面プラズモン共鳴動態親和性測定:アミンカップリングを使用して、ヒトBTLA-Fcリガンドを150応答単位までCM5センサーチップの上に固定化した。流速30μl/分、25℃でセンサグラムを収集した。リガンドチャネルからの対照の減算によって、特異的結合を決定した。示した濃度の分析物を、7℃に冷却したバイアルから注射した。データ収集は、3分間の90μl分析物と、続く15分間の解離を含む。各サイクルの後の再生は、15μlの10mMグリシンpH2.5の30秒間のパルス投与(pulse)によるものであった。分析物注射および解離に続く最初の10秒間は、LangmuirおよびBIAevaluationソフトウェア(バージョン4.1)動態解析モジュールの二価フィットモデルの両方による親和性測定のために適用された。
【0088】
マイクロスフェア活性化細胞のPhosphoflow分析:以前に記載されるように(Sperlingら(1998年)、J immunol161巻:6459頁)、アルデヒド/スルフェートラテックスマイクロスフェア(5μm)を、100μg/mlの抗FcμF(ab’)2に単独で、または示した濃度のヒトIgG1、HVEM-FcもしくはUL144-Fcと一緒に共有結合によりカップリングさせた。簡潔には、マイクロスフェアをPBSで洗浄し、示したタンパク質と37℃で90分間インキュベートし、緩衝液(1%BSAおよび0.1%グリシンを含むPBS)でブロックし、2回洗浄し、培地に再懸濁させ、数えた。JTAgおよびBJAB細胞を刺激するために、マイクロスフェアを3:1の比で使用した。96ウェル平底プレートにマイクロスフェアを先ず加え、続いて細胞をPBSで洗浄し、細胞数1.5×106/mlの濃度に再懸濁させた。プレートを短時間遠心回転させ、37℃で示した時間インキュベートし、続いてPBS中の2%パラホルムアルデヒドで固定し、37℃で10分間さらにインキュベートした。細胞を緩衝液(2%FBSを含むPBS)で洗浄し、氷上で30分間Perm III緩衝液(BD Bioscience)で透過処理し、2回洗浄し、氷上で30分間ホスホ特異的抗体とインキュベートし、2回洗浄し、分析した。
【0089】
ウェスタンブロッティング:示した濃度のIL-2またはインターフェロン-βを使用して、IL-2依存性NK92モデル細胞系を活性化した。IL-2応答を試験する実験では、基底シグナル伝達を再確立するために、NK92細胞をIL-2なしで一晩培養した。融合タンパク質および抗体を使用する実験では、活性化の前に、NK92細胞を、対照ヒトIgG1、HVEM-Fc、またはUL144-Fcまたは対照マウスIgG2aまたは抗BTLAにより氷上で少なくとも15分間コーティングした。NK92細胞を100μlに各条件あたり細胞数2×106でアリコートに分け、示した時間37℃で活性化し、氷冷PBSでクエンチし、4℃のRIPA緩衝液で20分間溶解し、続いて4℃において14,000rpmで遠心分離した。1%β-メルカプトエタノールを含有するSDSローディング緩衝液で抽出物を5分間煮沸させ、10%ビス-トリスゲルの上でSDS-PAGEによって分解した。タンク方法を使用してタンパク質をPVDF膜に移し、TBS-T緩衝液中の1%オボアルブミンでブロックし、ホスホ-JAK1、ホスホ-STAT5、ホスホ-STAT1、ホスホ-Akt(S473)および全アクチンに対する抗体でブロットし、続いて抗ウサギHRPまたは抗マウスHRPでブロットし、強化した化学発光によって可視化した。
【0090】
ヒトPBMCのサイトカイン活性化:以前に記載されるように(Sedyら、2013年)、新鮮なヒト血液を健康なドナーから収集し、調製した。簡潔には、Ficoll勾配バフィーコートから単離されたPBMCを、氷上で15分間示したFcタンパク質と細胞数106/mlでインキュベートし、続いて5μg/mlの抗ヒトFcγF(ab’)2で6時間架橋させた後、フローサイトメトリー分析にかけた。
【0091】
(実施例2)
リンパ腫標的リガンド結合における体細胞性TNFRSF14変異
FLおよびDLBCLで獲得された体細胞性TNFRSF14変異が、そのリガンドとの保存されたHVEM相互作用および以降の機能を妨害する可能性を有する点に注目された(
図8)。HVEM構造を破壊するとは予測されないリンパ腫関連の変異を選択し、BTLA、CD160およびLIGHTへの変異体受容体結合を評価した。表面発現されると実証されたHVEM変異体は、リガンド結合へのそれらの効果に従って3つの群に分類することができた(
図8)。P59S、A102PまたはR109Wを含有する変異は、CD160単独との相互作用を破壊した。Y61CおよびG72D変異は、BTLAおよびCD160の両方との相互作用を抑止したが、LIGHT結合にはあまり影響しなかった。最後に、変異体G60DおよびT82P、またはSer91とLys92の間へのIleの挿入は、全てのリガンド相互作用を破壊した(
図2)。BTLAおよびCD160の両方の結合のために、HVEM Tyr61が重大であると同定された。全体として、これらの体細胞性変異は、CD160およびBTLAとの相互作用、ならびにLIGHTとの損なわれていないかまたは影響を受けてもいる相互作用の優先的喪失によるリガンド結合の階層を規定する。TNFSF14での遺伝子変更がDLBCLのさらなるコホートでさらに確認され、BTLAまたはTNFSF14に欠失を有するさらなる腫瘍を同定した(
図2H)。ヒトFLおよびDLBCLの中のHVEMネットワークでの複数の遺伝的病変の存在は、これらの経路が腫瘍微小環境の中での細胞選択に顕著に寄与することができることを示す。特異的残基が、リガンド結合にとって重要である:Pro
59、Ala
102、Arg
109-CD160と結合しない;Tyr
61およびGly
72 BTLAともCD160とも結合しない;Gly
60、Thr
82およびins91I(Ser
91およびLys
92に示す)-LIGHTともBTLAともCD160とも結合しない(
図2C~H)。
【0092】
(実施例3)
HVEMおよびUL144はBTLAの重複表面に結合する
ウイルスのUL144または変異体HVEMによる変更されたBTLA活性が異なる表面の係合によるものかどうか決定するために、これらのアゴニストのための接触面におけるBTLA残基を比較した。アゴニスト活性を有することが以前に示された抗BTLA mAb(クローンMIH26)の結合はGlu57またはPro59での変異によって破壊されるが、競合的抗BTLA mAb(クローンJ168)の結合はArg42での変異によって破壊されることが判明した(
図3Aおよび
図9A)。注目すべきことに、MIH26結合性残基Glu57はマウスBTLAのGln63に相同的であり、それは、アゴニスト抗BTLA mAb(クローン6A6)のエピトープの中に含有される。比較において、HVEM-FcおよびUL144-Fcの両方のGln37、Arg42、Pro59およびHis127への結合のために類似の要件が観察され、ヒトおよびマウスBTLAでの以前の研究と矛盾しない。HVEMまたはUL144へのBTLAの類似の親和性が表面プラズモン共鳴を使用して確認された(
図3B、C)。BTLAへのUL144-Fcのアビディティ(KD、1:1の結合モデル)(295nM)は、HVEM-Fc(177nM)よりわずかに小さかった(表2)。HVEMとUL144の間でかすかなアビディティおよび結合の差が観察されたが、全体として、ヒトCMV UL144はBTLAへのHVEM結合を緊密に模倣する。
図9A~Bは、野生型または変異体ヒトBTLAで形質導入したEL4細胞が、抗ヒトBTLAポリクローナルもしくはモノクローナル抗体で、またはHVEM-FcもしくはヒトCMV UL144-Fcで、続いて種特異的二次で染色されたことを示す。上から下にかけて、グラフは、GFP発現についてゲート制御した細胞での、6F4、J168もしくはMIH26抗BTLA(A)の比MFI染色、またはHVEM-FcもしくはUL144-Fc(B)染色を示す。
【0093】
リンパ球でのHVEMおよびBTLA共発現は、トランスの外因性リガンドによる活性化を競合的にブロックする細胞表面にシスで位置する内在性の複合体の形成につながる。BTLAと共発現されるUL144がシスで複合体を形成してトランスでリガンドアクセスを予防するかどうか、または、トランスでのBTLAのUL144ライゲーションがHVEMによるBTLAアクセスの立体的障害を回避するかどうかについて決定した。BTLAと共発現されるHVEMおよびUL144の両方は、HVEM-FcおよびUL144-Fcの両方への結合をブロックし、HVEMおよびUL144がシスでBTLAと類似の複合体を形成すること、ならびにUL144が細胞表面で予め形成されたBTLAシス複合体を凌ぐことができないことを示した(
図9C、D)。しかし、BTLA R42D変異体の共発現はシス発現HVEMがトランスでBTLA-Fcに結合することを阻止したがUL144は阻止せず、単一の変異がBTLA-UL144シス複合体を破壊するのに十分でないかもしれないことを示した(
図9E、F)。
【0094】
mAb J168およびMIH26によって認識される抗体エピトープは、四量体非対称単位のHVEM分子によって塞がれるBTLAの表面と重複し、BTLAへのHVEM結合をブロックすることが予測された(
図3A)。これらの抗BTLAクローンの両方の滴定はBTLAへのHVEM-FcおよびUL144-Fcの結合を妨害したが、第3の抗BTLA mAb(クローン6F4)はBTLAへのHVEM-Fcの結合を強化したが、UL144-Fcの結合に影響しなかった(
図3D、E)。そのエピトープはこれらのBTLA変異体を使用して同定されず、このクローンはHVEMへのいかなる反応性も示さない。全体として、これらのデータは、BTLAの同じ表面はHVEMおよびUL144に結合するために使用されるようであるが、リガンド結合に寄与するさらなる構造的エレメントがあるかもしれないことを示す。さらに、BTLA抗体のエピトープマッピングは、アゴニスト活性がヒトBTLA(クローンMIH26のために)の上のGlu57またはPro59およびマウスBTLA(クローン6A6のために)の上のGln63に連結していることを示す。
図3では、左の画像の特異的残基は、抗体結合のための要件を示す:Glu45、Glu57、Pro59はMIH26結合のために必要とされ、Arg42はJ168結合のために必要とされる。
図3では、右の画像の特異的残基は、HVEM/UL144結合エピトープを示す:Gln37、Arg42、Pro59、His127はHVEM/UL144結合のために必要とされるようであり、Glu45、Glu57、Phe119、Ser121はHVEM/UL144結合のために必要とされないようである。
【0095】
(実施例4)
CD160は、HVEMに関する競合を通してBTLA媒介阻害を制限する
多様なリンパ球サブセットでのCD160およびLIGHTの発現は、BTLA阻害性シグナル伝達に関与するウイルスおよびがん変異体のHVEMの能力に影響を与えることができる。HVEMリガンドの発現を変更することがBTLAアゴニズムに影響するかどうかについて評価するために、異所性BTLAまたはCD160アイソフォームを発現するJurkat T細胞を活性化させた(
図4および
図10A)。固定化抗CD3で活性化した対照細胞は、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)1/2、ゼータ鎖関連プロテインキナーゼ70kD(ZAP70)/Sykおよび全細胞性チロシンのリン酸化を誘導したが、共固定化抗CD3およびHVEMまたはUL144-Fcで活性化した細胞ではERK1/2リン酸化が低減された(約50~70%の低減)。異所性BTLA発現はERK1/2リン酸化をバックグラウンドレベルまで阻害するHVEMおよびUL144の能力を強化し、有意に低減されたZAP70/Sykリン酸化(約15~25%)と相関した(
図4A、B)。チロシンリン酸化はHVEMまたはUL144による刺激の後に増加し、BTLAおよび関連シグナル伝達タンパク質の活性化を反映した(
図4C)。重要なことに、異所性CD160(グリコホスホイノシチドまたは膜貫通アイソフォーム)を発現する細胞では、BTLAがさらに存在しない限り、HVEMはERK1/2リン酸化を阻害することができなかった。対照的に、UL144は、CD160アイソフォーム発現に関係なく、ERK1/2リン酸化を阻害した。HVEMおよびUL144のアゴニスト活性は、他のHVEMリガンドの不在下で高レベルのヒトBTLAを発現し、IgM刺激に応答してSyk依存性ERKおよびAktリン酸化を活性化する、ヒト非ホジキンリンパ腫BJABで確認された(
図10B)。具体的には、共固定化抗IgMおよび滴定されたHVEMまたはUL144-Fcで活性化された細胞では、対照細胞と比較して、ERK、Aktおよび細胞性ホスホチロシンのリン酸化の概ね50%の低減が観察された。全体として、これらの結果は、BTLAシグナル伝達を活性化するHVEMの能力が、BTLA対CD160の相対比に依存すること、およびウイルス模倣物による受容体選択性が妨害されないBTLAアゴニズムをもたらすことを例示する。
【0096】
(実施例5)
BTLAのアゴニスト活性化は炎症促進性サイトカイン刺激を阻害する
サイトカインまたはCMV感染線維芽細胞とin vitroで培養されたPBMCでは、可溶性HVEM-FcがCD160発現NK細胞の活性化を固有に共刺激したが、UL144-Fcはそうではないことが以前に示された。並行研究では、多様なPBMCサブセットでのHVEMおよびUL144-FcによるIL-2誘導CD69発現の阻害が観察され、それはBTLAの発現と相関していた(
図11A)。CD160の存在下でIL-2シグナル伝達を阻害する細胞およびウイルスのHVEMの能力を、さらに調べた(
図5)。ヒトNK細胞系NK92は、STAT5、AktおよびERK経路の活性化につながるキナーゼJAK1のリン酸化により、IL-2に滴定可能な様式で応答する。IL-2で処理した細胞では、HVEM-FcではなくUL144-Fcまたは抗BTLA mAb(クローンMIH26)によるBTLAの活性化の後に、JAK1、STAT5およびAktタンパク質のリン酸化の減少が観察され、BTLAのUL144標的化が過剰なCD160の存在によって妨害されなかったことを示した(
図5A、5Bおよび
図11B)。この経路はSHP-1阻害によっても調節されるので、BTLAがI型インターフェロンシグナル伝達を調節するかどうかについてさらに調べた。抗BTLA mAb(クローンMIH26)は初期および後期のSTAT1リン酸化の大きさを低減し、SHP-1感受性のサイトカインシグナル伝達経路では、BTLAが広い阻害性機能を示すことを実証した(
図11C)。さらに、CD160はHVEMがBTLAに結合して活性化することを制限したが、そのウイルス模倣物を制限しなかった。
図11は、細胞性サブセットの中でのCD69発現についての染色の前に、示したFcタンパク質で前処理し、IL-2の示した濃度で6時間刺激したPBMCを示す。グラフは、CD19+B細胞、CD4+およびCD8+T細胞、CD3+CD56+細胞、CD56dimおよびCD56bright NK細胞におけるCD69発現のパーセントを示す。B.~C.抗BTLA(MIH26)または対照Igで前処理した後の示した時間に、NK92細胞を滴定されたIL-2(B.)およびIFN-β(C.)で刺激した。ウェスタンブロットは、IL-2シグナル伝達をモニタリングするためにホスホ-JAK1、STAT5およびAkt(S473)の、またはIFN-βシグナル伝達をモニタリングするためにホスホ-STAT1の、ならびに全タンパク質レベルを制御するためのアクチンの全細胞抽出物を示す。
【0097】
(実施例6)
生体工学的に操作したHVEMはBTLAシグナル伝達を選択的に活性化する
UL144のリガンド結合選択性およびリンパ腫変異は、HVEMの新規工学操作がBTLA特異的アゴニストを与えるはずであることを示唆した。変異体HVEM-Fcタンパク質は、アラニン走査、飽和およびコンビナトリアル変異誘発を通して工学的に操作した。S58RおよびL90Aに変異を含有するHVEM変異タンパク質(HVEM-RA)はBTLAへの選択性を付与するが、G68TおよびL70Wのさらなる変異はBTLA親和性を10倍強化することが判明した(HVEM-RTWA)。注目すべきことに、RAおよびRTWA変異体の両方は対照細胞で親のHVEM-Fcタンパク質より高い程度で抗CD3誘導ホスホ-ERK1/2を阻害し、全てのHVEM-Fcタンパク質は、BTLAを異所的に発現する細胞でERK1/2リン酸化をバックグラウンドレベルまで低減した(
図6A)。高親和性HVEM-RTWA変異体だけが、全ての細胞でZAP-70/Sykリン酸化をバックグラウンドレベルまで有意に低減した(
図6B)。異所性BTLAを発現する細胞では、HVEM-RAおよびHVEM-RTWA変異体の阻害活性は、ホスホ-SHP2シグナルならびに全細胞ホスホ-チロシンの劇的な誘導と相関した(
図6Cおよび
図12B)。したがって、生体工学的に操作したHVEM-Fcは、ウイルスおよび変異体のHVEMの選択的かつ妨害されていないアゴニズムを再現する。
【0098】
(実施例7)
多様な病原体関連のおよび新規の生体工学的に操作したHVEM変異タンパク質BTLAアゴニストはT細胞シグナル伝達を阻害する
HVEM変異タンパク質BTLAアゴニストは、T細胞シグナル伝達を阻害することが示された。活性化の前にJTAg細胞をエレクトロポレーションによって対照BTLA、CD160-GPI、CD160-TM、BTLA CD160-GPIおよびBTLACD160-TM HVEMリガンドで形質導入して48時間静置するか、または示したHVEMリガンドを発現するレトロウイルスにより安定して形質導入した。JTAg細胞を活性化するために、アルデヒドスルフェートマイクロスフェアを、37℃で90分間、PBS中の1μMの示したHVEMまたはUL144 Fcタンパク質のあるなしで100μg/mlの抗CD3とカップリングさせた。マイクロスフェアを2回洗浄し、4:1のマイクロスフェア対細胞比でJTAg細胞と5分間インキュベートした。2%パラホルムアルデヒドで細胞を直ちに固定し、90%メタノールで透過処理し、示したホスホ特異的抗体で染色した。次に、細胞をホスホ-ERK1/2(T202/Y204)(
図13A.、B.)、ホスホ-NF-κB p65(S529)(
図13C.)、ホスホ-BTK/ITK(Y551/Y511)(
図13D.)、ホスホ-PLCγ1(Y783)(
図13E.)、ホスホ-ZAP70/Syk(Y319/Y352)(
図13F.)およびホスホ-チロシン(
図13G.)の細胞内染色について調べた。
図13Aは、染色細胞のMFIのグラフを示す。
図13A.~G.は、染色細胞のパーセント陽性を示す。(3件の実験を代表する平均±SEM)。
*、p<0.05;
**、p<0.01;
***、p<0.001;
****、p<0.0001。
【0099】
(実施例8)
BTLAアゴニストはB細胞シグナル伝達を阻害する
BTLAアゴニストは、B細胞シグナル伝達を阻害することが示された。BJAB細胞を活性化するために、アルデヒドスルフェートマイクロスフェアを、37℃で90分間、PBS中の1μMの示したHVEMまたはUL144 Fcタンパク質のあるなしで100μg/mlの抗IgMとカップリングさせた。マイクロスフェアを2回洗浄し、4:1のマイクロスフェア対細胞比でBJAB細胞と10または60分間インキュベートした。2%パラホルムアルデヒドで細胞を直ちに固定し、90%メタノールで透過処理し、示したホスホ特異的抗体で染色した。次に、BJAB細胞を、ホスホ-ERK1/2(pT202/pY204)、ホスホ-Akt(S473)またはホスホ-チロシンの細胞内染色について調べた(
図14A~B)。
図14A~Bは、ホスホ-ERK1/2(pT202/pY204)、ホスホ-Akt(S473)またはホスホ-チロシンに陽性の細胞のパーセントを示す。
【0100】
BTLAアゴニストはB細胞のインターフェロン活性化を阻害する。ヒトB細胞を活性化するために、アルデヒドスルフェートマイクロスフェアを、37℃で90分間、PBS中の1μMの示したHVEMまたはUL144 Fcタンパク質とカップリングさせた。マイクロスフェアを2回洗浄し、4:1のマイクロスフェア対細胞比で、正常なヒトドナー血液PBMCから精製されたヒトB細胞とインキュベートし、溶解およびRNA単離の前に10U/mlのインターフェロン-βで6時間刺激した。
図15は、細胞を対照と比較してBTLAアゴニスト(HVEM、UL144 Fc、HVEM
R109W FcおよびHVEM
RTWA Fc)の各々で処理したときの、示したインターフェロン刺激遺伝子の各々のレベルの低減倍率を示す。(平均±SEM、2つの実験からのプールされたデータ)。
*、p<0.05;
**、p<0.01。
【0101】
BTLAアゴニストは、NK細胞でIL-2シグナル伝達を制限することが見出された。NK92細胞を血清なしで少なくとも4時間培養し、次に、2μg/mlの示したFcおよび抗体により氷上で15分間前処理してから0、1、5、15、30および60分後に、20U/mlのヒトIL-2で刺激した(
図16)。活性化後、細胞をRIPA緩衝液で溶解し、タンパク質リン酸化をウェスタンブロットによって分析した。
図16Aは、、ホスホ-JAK1、ホスホ-STAT5および全タンパク質レベルを制御するためのアクチンの全細胞抽出物のウェスタンブロットを示す。
図16Bは、アクチンに正規化したバンド強度の定量化を示すグラフを示す。
【0102】
(実施例9)
マウスHVEMにおけるリガンド選択性の同定
リガンドの選択性を、マウスHVEMで決定した。野生型HVEM、およびヒトHVEMとの相同性に基づいてLIGHT(BTLA/CD160-sp)またはBTLAとCD160の両方(LIGHT-sp)への結合をブロックすると予測された単一のアミノ酸変化を含有する2つの改変体を含む、一群のマウスHVEM-Fc変異タンパク質を、293T細胞への一時的トランスフェクションによって生成した(
図17)。マウスCD160(
図17A)、マウスBTLA(
図17B)およびマウスLIGHTのいずれかを一時的にトランスフェクトした293T細胞の上でHVEM-Fcタンパク質を滴定し、抗ヒトFcを使用して結合を検出した。特異的結合は、フローサイトメトリー分析で測定した(
図17C)。グラフは、リガンド発現細胞でのHVEM-Fcタンパク質の染色のMFIを示す。
【0103】
(実施例10)
選択的HVEM-Fcは皮膚炎症をin vivoで阻害する
HVEM-Fcは、in vivoで皮膚炎症を阻害することが示された。皮膚炎症のイミキモド処置動物モデルに、マウスHVEM-Fc変異タンパク質を腹腔内に注射した。処置の各日に各動物の剃られた背中への50mgのイミキモド(Aldara製剤)の3回塗布の後に皮膚組織を収集し、組織学的分析のために切片にした。表皮厚は、各組織の長さにわたって10部位のH&E染色皮膚切片において定量化した。代表的画像は、HVEM変異タンパク質で処置した異なる動物群における表皮の肥厚を示す(
図18A)。
図18Bは、表皮厚の定量化を示す。
*、p<0.05;
**、p<0.01;
***、p<0.001;
****、p<0.0001。
【0104】
(実施例11)
要約
本明細書に提示されるデータは、BTLA選択的アゴニストのウイルスおよびがん細胞発現が、HVEMシグナル伝達ネットワークを標的化する一般的な戦略であることを示す。CD160結合を回避するHVEMにおけるウイルスの進化および変異は、病原体およびがん細胞のために選択有利性を提供するようである。CMVでのウイルスのHVEM模倣物の活性がHVEMと比較してCD160発現細胞において妨害されず、リンパ球での抗原受容体刺激の後にZAP70/Sykおよび下流ERK1/2経路の活性化を直接的に阻害することが示される。さらに、CD160発現NK細胞では、ウイルスのHVEM模倣物によるBTLAの活性化は、炎症性サイトカインシグナル伝達を直接的に制限する。全体として、これらのデータは、阻害性受容体により炎症性シグナル伝達を制限する潜在性がどのようにウイルスおよび腫瘍などの多様な細胞内病原体のための選択圧を提供することができるかを例示する。ウイルスおよび腫瘍変異のこの基礎知識は、BTLAへの選択性および高親和性を達成するためのHVEMの生物工学を促したが、それは炎症性および増殖性プロセスの変更で有用性を示すことができる。
【0105】
UL144タンパク質は、当初、一部それらの相同性のためにHVEMの解かれた構造を使用してモデル化された(
図1A)。しかし、UL144とHVEMの間には、ある特定のBTLA変異体、6F4抗体に結合したBTLA、およびシスでのBTLAへの結合にわずかな差があり、同一でない相互作用を示した(
図3、4)。UL144は個々の点変異を通してCD160結合性タンパク質に戻すことができず、おそらく、ウイルス-宿主進化の間に生じた複数の特異性変化を反映する。その結果、菌株にわたるBTLA結合の保持にもかかわらず、UL144タンパク質は高度に抗原性である。対照的に、腫瘍関連のHVEMは、全てのCD160結合を単独で無効にすることができない1つの変異だけを各々含有する。例えばNGFRp75とLongo1のように、Igドメインと相互作用するTNF受容体の他の例がある。注目すべきことに、HVEMそれ自体は、当初、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質DのIgドメインとのその相互作用を通して同定された。CMVは別のタンパク質ORF UL141を発現するが、それはTNF関連アポトーシスを誘導するリガンド受容体(TRAIL-R)に結合する。これらの2つのタンパク質の共複合体は最近解かれ、UL141がIgドメインとして折り畳まれることを示したが、これらのタンパク質の間の接触は、リガンドTRAILがTRAIL-Rと係合する表面で起こり、BTLAまたはCD160とのHVEM相互作用とは異なる。いくつかのタンパク種のリガンドを採択することにおいてHVEMは固有で有り得、TNFRタンパク質のN末端のシステインリッチドメイン1(CRD1)とIgドメインの間の複合体は、真核生物の間の好まれるタイプのタンパク質間相互作用のようではない。多様なウイルスによるこれらの非従来型の相互作用のより頻繁な使用に注目することは興味深く、免疫受容体をモジュレートすることが病原体の生存を強化することができるという魅力的な示唆につながる。
【0106】
BTLAがヒトNK細胞でIL-2およびI型インターフェロンシグナル伝達を阻害することが判明し、TおよびB細胞の受容体シグナル伝達を調節する免疫チェックポイント阻害剤としてのBTLAの役割を確認した。BTLAの下流の阻害性シグナル伝達の機構は、SHP-1または2の活性化を含むと考えられ、さらなる経路がおそらく関与する。ZAP70/Sykリン酸化に対する、生体工学的に操作したHVEM-RTWAの阻害効果は、CD3ζおよびSykがTおよびB細胞でのBTLA活性の直接的標的であることを実証した以前の研究と矛盾しない。JAK/STATシグナル伝達は、SHP-1の活性化ならびにJAKキナーゼおよびSTATタンパク質を含む標的タンパク質の脱リン酸によって一部調節される。BTLAアゴニストは、SHP-1動員を通して、または未知の阻害性経路の関与を通してサイトカインシグナル伝達を直接的に標的化することができる。
【0107】
選択的ウイルスおよび変異体BTLAアゴニストと対照的に、HVEMは活性化T細胞でBTLA、LIGHTおよびCD160と相互作用するが、NK細胞では、CD160の豊富な発現はHVEMを隔離し、炎症促進性シグナル伝達を潜在的に活性化する。リンパ腫との関連で、変異したTNFRSF14は非機能的対立遺伝子としばしば対になり、より悪い予後をもたらす。上記の実験は、CD160結合から離れたHVEM変異が細胞溶解性細胞の活性化を阻止するが、BTLA結合の保持は近隣細胞で阻害性シグナル伝達を活性化すると予測する。ともにトランスでHVEMシグナル伝達を活性化することができるLIGHTおよびBTLAでのDLBCL欠失の同定は、主要な選択因子が腫瘍浸潤リンパ球の活性化であるとの仮説をさらに支持する。さらに、腫瘍自体は、LIGHTおよびBTLAに応答してHVEMの下流の生存シグナルを活性化することができる。注目すべきことに、濾胞性ヘルパーT細胞はBTLAおよびLIGHTを顕著に発現し、リンパ腫の中でHVEM機能性の維持に寄与することができる。継続調査は、HVEMがリガンド選択を通して腫瘍微小環境内でリンパ腫適応度にどのように寄与するかについて決定することが確実である。BTLA、LIGHTおよびCD160の発現は、異なる細胞型、活性化および分化状態の間で大いに異なる。したがって、HVEMリガンドの動的調節は、細胞状況による活性化および阻害性シグナルの制御のための機構を提供する。受容体およびリガンド発現を調節する因子の決定は、免疫応答におけるこれらのタンパク質の役割、ならびにこれらの経路を治療的介入のためにどのように操作することができるかについてのより優れた理解を可能にする。BTLAまたは他の阻害性受容体への標的化アゴニストの開発は、炎症性疾患のための処置のレパートリーを増加させる役目をすることができる。
【0108】
本発明を上記の実施例を参照して記載したが、修正変更が本発明の精神および範囲の中に包含されることが理解されよう。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲だけによって限定される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表2】
【配列表】