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  • 特許-バイパス機能が具備されたバルブ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】バイパス機能が具備されたバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 43/00 20060101AFI20240924BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
F16K43/00
F16K5/06 E
F16K5/06 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022174130
(22)【出願日】2022-10-31
(65)【公開番号】P2024065322
(43)【公開日】2024-05-15
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】591059515
【氏名又は名称】株式会社ヨシタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】新庄 毅
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-023960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 43/00
F16K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン流路及びバイパス流路が形成された弁箱と、前記メイン流路における被バイパス部位に形成された第1弁室内に回転可能に組み込まれた球状の主弁と、前記バイパス流路における被バイパス部位との平行部位に形成された第2弁室内に回転可能に組み込まれた球状のバイパス弁とを有し、主弁及びバイパス弁は同期回転可能として、どちらか一方を開弁すると他方が閉弁可能となし、前記弁箱における前記第1弁室と前記第2弁室との間に第1軸孔が形成され、該第1軸孔に挿入された同期ステムの両端部が前記主弁及び前記バイパス弁に連結され、前記弁箱における前記同期軸孔の延長線上に、前記弁箱の外側面で開口させる第2軸孔が形成され、該第2軸孔に挿入された操作ステムの外端部が前記弁箱の外側面より突出し、内端部が前記主弁又は前記バイパス弁のどちらか一方に連結され、前記弁箱の側面における前記主弁の側方部位に、前記メイン流路まで貫通させた点検口を開閉可能に設け、前記主弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設されると共に、前記バイパス弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設され、前記バイパス弁の通孔は前記主弁の通孔に対し90度変位させて形成し、前記主弁の通孔内に弁本体を着脱可能に収容し、前記主弁は第1弁室内における前記主弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態とすると共に、前記バイパス弁は第2弁室内における前記バイパス弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態としたことを特徴とするバイパス機能を具備させたバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路に定流量弁などのバルブを組み込む際にバイパス配管を不要とするバイパス機能が具備されたバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路に定流量弁などのバルブを組み込む場合、バイパス配管を設置するのが一般的で、図11に示す様に、バルブaを組み込むメイン管路pにバイパス配管dを接続し、
メイン管路pにおける被バイパス部位paにバルブaを組み込むと共に、被バイパス部位paにおけるバルブaの上下流側に止弁b1、b2を組み込み、バイパス配管dにバイパス弁cが組み込まれている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
こうすることで、バルブaを交換・修理・調整などのメンテナンス作業を行なう場合、開弁状態の止弁b1、b2を閉弁し、閉弁状態のバイパス弁cを開弁することで、バイパス配管dに迂回させ運転を継続させつつバルブaのメンテナンス作業を行なうことを可能とし、作業後に止弁b1、b2を開弁し、バイパス弁cを閉弁することで通常運転に切換可能としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】SG Web “バイパス弁”,[online],2021年12月5日,特許学会,[令和4年9月23日検索],インターネット <URL:https://sgwebdigital.com/ja/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%91%E3%82%B9%E5%BC%81/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、設置スペースが必要になることから、パイプシャフトや地下ピットの様な狭い空間に設置し難く、設置後のメンテナンス作業も煩雑となるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、バイパス配管では設置スペースが必要で、メンテナンス作業も煩雑となる課題に鑑み、メイン流路及びバイパス流路が形成された弁箱と、前記メイン流路における被バイパス部位に形成された第1弁室内に回転可能に組み込まれた球状の主弁と、前記バイパス流路における被バイパス部位との平行部位に形成された第2弁室内に回転可能に組み込まれた球状のバイパス弁とを有し、主弁及びバイパス弁は同期回転可能として、どちらか一方を開弁すると他方が閉弁可能となし、前記弁箱における前記第1弁室と前記第2弁室との間に第1軸孔が形成され、該第1軸孔に挿入された同期ステムの両端部が前記主弁及び前記バイパス弁に連結され、前記弁箱における前記同期軸孔の延長線上に、前記弁箱の外側面で開口させる第2軸孔が形成され、該第2軸孔に挿入された操作ステムの外端部が前記弁箱の外側面より突出し、内端部が前記主弁又は前記バイパス弁のどちらか一方に連結され、前記弁箱の側面における前記主弁の側方部位に、前記メイン流路まで貫通させた点検口を開閉可能に設け、前記主弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設されると共に、前記バイパス弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設され、前記バイパス弁の通孔は前記主弁の通孔に対し90度変位させて形成し、前記主弁の通孔内に弁本体を着脱可能に収容し、前記主弁は第1弁室内における前記主弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態とすると共に、前記バイパス弁は第2弁室内における前記バイパス弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態とすることによって、バイパス流路が組み込まれたバルブを管路に組み込むだけで配管作業を完了可能とし、且つ同期回転する主弁及びバイパス弁に対する1回の操作だけでメイン流路又はバイパス流路へ切換え可能として、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、メイン流路及びバイパス流路が形成された弁箱と、前記メイン流路における被バイパス部位に形成された第1弁室内に回転可能に組み込まれた球状の主弁と、前記バイパス流路における被バイパス部位との平行部位に形成された第2弁室内に回転可能に組み込まれた球状のバイパス弁とを有し、主弁及びバイパス弁は同期回転可能として、どちらか一方を開弁すると他方が閉弁可能となるので、通常のバルブより多少大きい程度にすることが出来るため、設置スペースを限りなく狭小化することが出来、組み付け作業は管路をメイン流路の出入口に接続するだけとなり、メイン流路又はバイパス流路への切換は1回の操作だけとなるため、狭小スペースであっても簡単に作業することが出来る。
【0008】
前記弁箱における前記第1弁室と前記第2弁室との間に第1軸孔が形成され、該第1軸孔に挿入された同期ステムの両端部が前記主弁及び前記バイパス弁に連結され、前記弁箱における前記同期軸孔の延長線上に、前記弁箱の外側面で開口させる第2軸孔が形成され、該第2軸孔に挿入された操作ステムの外端部が前記弁箱の外側面より突出し、内端部が前記主弁又は前記バイパス弁のどちらか一方に連結されたので、簡単な構成で主弁及びバイパス弁を同期回転させることが出来る。
【0009】
前記弁箱の側面における前記主弁の側方部位に、前記メイン流路まで貫通させた点検口を開閉可能に設け、前記主弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設されると共に、前記バイパス弁は回転軸に対し直交する通孔が貫設され、前記バイパス弁の通孔は前記主弁の通孔に対し90度変位させて形成し、前記主弁の通孔内に弁本体を着脱可能に収容し、前記主弁は第1弁室内における前記主弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態とすると共に、前記バイパス弁は第2弁室内における前記バイパス弁の上下流側に装入された一対のボールシートに対し水密状態としたので、点検口を開けるだけで内部に隠れた主弁を目視可能で、工具なども差込み可能なため、主弁のメンテナンス作業を簡単に行うことが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るバイパス機能が具備されたバルブのバイパス流路が遮断された状態を示す正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5図1のC-C断面端面図である。
図6】弁箱の断面端面図である。
図7図2のD-D断面端面図である。
図8図1のE-E断面端面図である。
図9】メイン流路が遮断された図1のバルブの幅方向の断面端面図である。
図10】メイン流路が遮断された図1のバルブの奥行き方向の断面端面図である。
図11】従来のバイパス配管工法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るバイパス機能が具備されたバルブにあっては、基本的に、メイン流路1及びバイパス流路2が形成された弁箱3と、メイン流路1における被バイパス部位1aに形成された第1弁室4内に回転可能に組み込まれた球状の主弁5と、メイン流路1の上流部位1bで分岐すると共にメイン流路1の下流部位1cで合流するバイパス流路2における被バイパス部位1aとの平行部位に形成された第2弁室6内に回転可能に組み込まれた球状のバイパス弁7とを有し、主弁5及びバイパス弁7は同期回転可能として、どちらか一方を開弁すると他方が閉弁可能となっている。
【実施例1】
【0012】
図1~8は、本発明に係るバイパス機能が具備されたバルブのバイパス流路が遮断された状態を示す正面図、図1の左側面図、図1のA-A断面図、図1のB-B断面図、図1のC-C断面図、弁箱の断面図、図2のD-D断面図、図1のE-E断面図であり、かかるバルブには、メイン流路1及びバイパス流路2が形成された弁箱3、主弁5及びバイパス弁7を有している。
【0013】
弁箱3は、鋳造一体成形されたもので、図6に示す様に、一方の端面、即ち設置状態における上流側の端面で開口された2つの孔8、9を有し、一方の孔8は他方の端面、即ち設置状態における下流側の端面で開口されたメイン流路1であり、他方の孔9は先端側を90度曲げて一方の孔8と合流させ、基端側開口部をキャップ10で閉鎖し、2つの孔8、9の基端側部位の間に連通孔11を形成することで、該連通孔11及び基端側開口部をキャップ10で閉鎖された他方の孔9でバイパス流路2を形成している。
【0014】
一方の孔8は、先端側を小径とした段付き孔で、大径部位6a内の中間部且つ段差部8c寄りの位置にリング状の第1リテイナー12を配置して、大径部位6a内における段差部8cと第1リテイナー12間を第1弁室4とし、該第1弁室4内に主弁5が収容され、小径部位8bが他方の端面、即ち設置状態における下流側の端面で開口している。
【0015】
主弁5は、第1リテイナー12との間及び段差部8cとの間に装入されたボールシート13、13a に対し水密状態となっており、該ボールシート13、13a は第1リテイナー12及び段差部8cに形成された座繰り14、14a に嵌め込まれている。
【0016】
大径部位8aの周面における第1弁室4迄の部位にネジ溝15が刻設され、第1リテイナー12の外周面にネジ溝15に噛合するネジ山16が形成されている。
【0017】
他方の孔9は、先端側を小径とした段付き孔で、一方の孔8における大径部位8aに対し平行な大径部位9a内の中間部且つ段差部9c寄りの位置にリング状の第2リテイナー17を配置して、大径部位9a内における段差部9cと第2リテイナー17間を第2弁室6とし、該第2弁室6内にバイパス弁7が収容され、小径部位9bが90度曲げられて一方の孔8の小径部位8bに合流させている。
【0018】
大径部位9aの周面における第2弁室6迄の部位にネジ溝18が刻設され、第2リテイナー17の外周面にネジ溝18に噛合するネジ山19が形成されている。
【0019】
バイパス弁7は、第2リテイナー17との間及び段差部9cとの間に装入されたボールシート20、20a に対し水密状態となっており、該ボールシート20、20a は第2リテイナー17及び段差部9cに形成された座繰り21、21a に嵌め込まれている。
【0020】
弁箱3おける第1弁室4と第2弁室6との間に第1軸孔22が形成され、該第1軸孔22に挿入された同期ステム23の両端部が主弁5及びバイパス弁6に連結されている。
【0021】
弁箱3における第1軸孔22の延長線上に、弁箱3の外側面で開口させる第2軸孔24が形成され、該第2軸孔24に挿入された操作ステム25の外端部が弁箱3の外側面より突出し、この突端部にハンドル26を取り付け、内端部が主弁5に連結されている。
【0022】
弁箱3におけるメイン流路1の出入口には、管路Pへの接続部位27、27a が設けられ、
入口側の接続部位27はメイン流路1の入口に装着され、出口側の接続部位27a は弁箱3におけメイン流路1の出口側部位に一体形成されている。
【0023】
主弁5は、回転軸に対し直交する通孔28を貫設し、該通孔28は大径部位28a を上流側、小径部位28b を下流側とした段付孔とし、大径部位28a 内に弁本体29を着脱可能に収容すると共に、大径部位28a 内における弁本体29より開口側部位に止め輪30を取り付けている。
【0024】
バイパス弁7は、回転軸に対し直交する通孔31を貫設し、該通孔31は主弁5の通孔28に対し90度変位させて形成することで、主弁5又はバイパス弁7のどちらか一方が開弁すると他方を閉弁させることを可能としている。
【0025】
弁箱3の側面における主弁5の側方部位に点検口32を、メイン流路1まで貫通させて形成し、弁箱3の外側面における点検口32の周縁部に円周壁33を突設すると共に、該円周壁33の開口部に着脱可能なキャップ34で点検口32を開閉可能としている。
【0026】
そして、通常は、図7、8に示す様に、主弁5は開弁状態としてメイン流路1を通過させると共に、バイパス弁7は閉弁状態としてバイパス流路2を遮断する。
【0027】
メンテナンス時は、図9、10に示す様に、ハンドル26を90度ひねり、主弁5及びバイパス弁7を90度回転させて、主弁5は閉弁状態となってメイン流路1を遮断すると共に、バイパス弁7は開弁状態となってバイパス流路2に迂回通過させた状態とすることで、メイン流路1における被バイパス部位1aに位置する主弁5のメンテナンスが可能となり、具体的にはキャップ34を外し点検口32を開口させることで、主弁5の弁本体29を外から調整、清掃、交換などの作業が行なえる。
【0028】
尚、図面上、主弁5は、弁本体29をゴムオリフィスとした定流量弁であるが、要するに球状で通孔に弁本体を組込み可能であり、望ましくは点検口32から交換・調整可能な弁であれば良い。
【符号の説明】
【0029】
1 メイン流路
2 バイパス流路
3 弁箱
1a 被バイパス部位
4 第1弁室
5 主弁
6 第2弁室
7 バイパス弁
13、13a ボールシート
20、20a ボールシート
22 第1軸孔
23 同期ステム
24 第2軸孔
25 操作ステム
28 通孔
29 弁本体
31 通孔
32 点検口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11