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特許7559043胎児細胞を単離、検出及び解析する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】胎児細胞を単離、検出及び解析する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240924BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240924BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240924BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20240924BHJP
【FI】
G01N33/53 Y ZNA
G01N33/53 K
G01N33/543 541A
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6827 Z
G01N33/53 D
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2022502390
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 IB2020056632
(87)【国際公開番号】W WO2021009682
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】62/874,306
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522016442
【氏名又は名称】エー. メナリニ バイオマーカーズ シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カスタグノリ,パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ドフィーニ,アナ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ウェン-シャン
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-502805(JP,A)
【文献】特開2018-050559(JP,A)
【文献】特表2005-528616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/6869
C12Q 1/6827
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を、第1の抗体と接触させる工程、
(b)濃縮試料を生成するために、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程、
(c)濃縮試料を、第2の抗体と接触させる工程、及び
(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程を含み、
第1の抗体又は第2の抗体が、
(i)骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する抗体である、又は
(ii)TREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、方法。
【請求項2】
胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
磁性粒子が磁性コロイド粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)が、試料を磁場にさらす工程を含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が、磁性粒子の凝集を誘導するために、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、前記特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の前に更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
凝集阻害剤がキレート剤であり、キレート剤がEDTAである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)の前に更に、単一胎児細胞を単離する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離することにより行う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
標識が蛍光標識である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
単一胎児細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
工程(d)が、配列解析を行う工程を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
更に、胎児細胞を解析する工程を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
胎児細胞の解析が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
第1の抗体が、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する抗体であり、第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、
以下を含む重鎖可変領域(HCVR):
(i)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR相補性決定領域(CDR)1、
(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、及び/又は
以下を含む軽鎖可変領域(LCVR):
(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
TREML2タンパク質に結合する抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を単離する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む磁性試薬と接触させる工程、
(b)試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに
(c)抗TREML2抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定し、それにより胎児細胞を単離する工程
を含む方法。
【請求項30】
妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程であって、胎児細胞が抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合し、それによって胎児細胞試料を調製する方法。
【請求項31】
細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、
(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、
(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程、
(c)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程、及び
(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程であって、報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程
を含む方法。
【請求項32】
妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)数の細胞を含む試料を、骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する第1の抗体(抗TREML2抗体)又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、及び
(b)第1の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその開示の全体が組み込まれている、2019年7月15日に出願した米国仮出願第62/874306号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
過去40年間、研究者等は、出生前診断ツールを開発するために妊婦での胎児細胞の単離を試みた。1970年代初期には羊水穿刺が初めて開発され、1980年代に開発された絨毛採取(CVS)がそれに続いた。羊水穿刺及び絨毛採取(CVS)は、染色体異常、例えば一般的な胎児異数性(染色体の余分なコピー)、例えば、染色体13、18及び(ダウン症候群をもたらす)21のトリソミーを診断するための日常的診療において使用される2つの侵襲的な方法である。
【0003】
妊娠中の母体血液から胎児細胞及び胎児DNAを単離する技量は、非侵襲的出生前検査の改善に向けて目覚ましい機会を切り開いた。最近、非侵襲的出生前検査(NIPT)として知られるセルフリーDNAベースのスクリーニング(cfDNA)が、出生前スクリーニングに導入され、トリソミー21を高度に予測すると認められた。それでも、そのスクリーニングの性能は侵襲的診断ツールの性能よりも低く、確認試験がなおも必要である。更にNIPTは、職能団体によると、コピー数多型(CNV)又は微小欠失/微小重複を予測しない(Practice bulletin n163 Obstet Gynecol. 2016; 127(5) 979~981)。従って、現在のセルフリーNIPTは、亜染色体欠失及び亜染色体重複を、高い特異性、感度及び陽性適中率で検出するにはまだ十分ではない。
【0004】
母体循環からの胎児細胞の直接解析は、母体血液中の胎児細胞がわずかなことからこれまで困難であった。フィルター、密度勾配、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、マイクロ流体工学及び免疫磁気ビーズを含む多数の異なる濃縮方法が試験された。循環胎児細胞は回収可能であるが、それらの方法は一貫性及び再現性を欠く。その理由は、非常に少ない循環胎児細胞数であり(約100万~500万個細胞を含有する母体血液1ml中の0.1~10細胞)、それが、これまでのところ、再現性のあるプロトコールの確立を妨げた。難題は、妊娠第1三半期における非常に少ない循環胎児細胞を失わずに、混在するすべての有核血球を除去することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの限定、並びに羊水穿刺及び絨毛採取(CVS)は流産の関連リスクを伴う手法であるという事実を考慮すると、先天性欠損症及び遺伝性疾患をスクリーニングするためには、妊婦の母体血液から胎児細胞を選択するための新しい細胞ベースNIPD(非侵襲的出生前診断)手法を開発する必要性が存在する。
【0006】
胎児有核赤血球(nRBC)及び栄養膜細胞は、母体循環中に存在することが公知であるが、確実な、細胞遺伝学的な細胞ベース型のNIPTを開発することは困難であった。最近、羊水穿刺及びCVSにより現在獲得し得るのと同様の精度で異常を検出する能力を有する、細胞ベース型のNIPTを開発する可能性が提案された(Amy M. Breman等、Prenatal Diagnosis、2016、36(11):1009~1019)。
【0007】
胎児細胞マーカー及びその胎児細胞マーカーに結合する薬剤が本明細書に開示される。更に、胎児細胞マーカーに基づいて胎児細胞を単離、検出及び解析する組成物、キット及び方法が本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を第1の抗体と接触させる工程、(b)濃縮試料を生成するために第1の抗体に結合した細胞を単離する工程、(c)濃縮試料を第2の抗体と接触させる工程、及び(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程を含み、第1の抗体又は第2の抗体が、(i)骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(Triggering Receptor Expressed on Myeloid Cells Like 2)(TREML2)タンパク質に結合する抗体であるか、又は(ii)TREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む方法が、本明細書に開示される。
【0009】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が栄養膜細胞である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子(ferrofluid magnetic particle)である。いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0011】
いくつかの実施形態では、工程(a)が、磁性粒子の凝集を誘導するために、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、工程(b)が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、工程(b)が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質が、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質が、配列番号2~5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(d)の前に単一胎児細胞を単離する工程を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離することにより行う。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0020】
いくつかの実施形態では、工程(d)が、配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法が更に、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質が、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質が、配列番号2~5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0023】
いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0025】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む磁性試薬と接触させる工程、(b)試料を抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに(c)抗TREML2抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(c)の前に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、第1の抗体に結合した細胞を含む試料を濃縮するために、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法が、工程(a)の最中に、粒子の凝集を増強させるために、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法が更に、試料中の磁性試薬の凝集を反転させるために、その特異的結合対の一員(第3のEAEF)を濃縮試料に添加し、それによって細胞の同定を容易にする工程を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(c)の前に、抗TREML2抗体又は第2の抗体を使用して細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体が、抗サイトケラチン抗体及び抗HLAG抗体から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又は第2の抗体が、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0035】
いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、配列解析を行う工程を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、方法が更に、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が、胎児赤芽球又は胎児栄養膜細胞である。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)CDR1、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0041】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、第1の抗体(抗TREML2抗体)と接触させる工程であって、第1の抗体は骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合するか(抗TREML2抗体)、又はその抗原結合性フラグメントである、工程、及び(b)第1の抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0042】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法が更に、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(b)の前に、磁性粒子の凝集を増強させるために、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法が更に、濃縮試料を生成するために、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法が更に、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、第1のEAEF又は第2のEAEFに結合し得る第3のEAEFを濃縮試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、第3のEAEFが、その特異的結合対の一員である。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(b)の前に、第1の抗体に結合した細胞を、免疫蛍光技術に基づいて単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0052】
いくつかの実施形態では、工程(b)が、配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。いくつかの実施形態では、方法が更に、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0055】
更に、細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程、(c)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程、及び(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程[0]であって、報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0056】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞が胎児細胞である。
【0057】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が、胎児赤芽球である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児栄養膜細胞である。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子を解析する工程が、核型分析を行う工程を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子を解析する工程が、配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝的異常が、トリソミー、性染色体異常及び構造異常から選択される。いくつかの実施形態では、トリソミーが、トリソミー3、トリソミー4、トリソミー6、トリソミー7、トリソミー8、トリソミー9、トリソミー10、トリソミー11、トリソミー12、トリソミー13、トリソミー16、トリソミー17、トリソミー18、トリソミー20、トリソミー21及びトリソミー22から選択される。いくつかの実施形態では、性染色体異常が、モノソミーX、トリプルX症候群及びクラインフェルター症候群から選択される。いくつかの実施形態では、構造異常がコピー数多型(CNV)である。いくつかの実施形態では、構造異常が、CNVの欠失又はCNVの重複である。
【0061】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。
【0062】
いくつかの実施形態では、工程(b)が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体と接触させる工程を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法が更に、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。
【0070】
いくつかの実施形態では、方法が更に、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0071】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0073】
更に、妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体及び(ii)磁性コロイド粒子を含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしている、工程、並びに(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0074】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0076】
いくつかの実施形態では、方法が更に、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを、母体試料に添加する工程を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗TREML2抗体である。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗CD71抗体である。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、EpCAM及びCD105から選択されるタンパク質に結合する。
【0080】
いくつかの実施形態では、胎児細胞試料を調製する工程が更に、母体試料から単離された細胞を、第2の抗体と接触させる工程を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。
【0082】
いくつかの実施形態では、胎児細胞試料を調製する工程が更に、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0084】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、磁性コロイド粒子にコンジュゲートした第1の抗体を含む第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程、(b)試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体に結合した細胞を単離し、それによって濃縮試料を生成する工程、(c)濃縮試料を、胎児細胞の表面上のマーカーに結合する第2の抗体と接触させる工程、及び(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0085】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児栄養膜細胞である。
【0086】
いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0088】
いくつかの実施形態では、工程(a)が、磁性粒子の凝集を増強させるために、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、工程(b)が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。
【0091】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(d)の前に、単一胎児細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離することにより行う。
【0093】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、単一細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0095】
いくつかの実施形態では、工程(d)が、配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、方法が更に、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞の解析が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0100】
更に、抗TREML2抗体が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される2つ以上のCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される3つ以上のCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される4つ以上のCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される5つ以上のCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)のCDRのすべてを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0104】
(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)抗TREML2抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む抗TREML2抗体コンジュゲートが、本明細書に開示される。
【0105】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約80~200nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、約90~150nmの間である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、磁性粒子がビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される2つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される3つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される4つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される5つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)のCDRのすべてを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0109】
更に、胎児細胞を単離、検出及び/又は解析するキットが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、キットが、(a)骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する抗体(抗TREML2抗体)又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)磁性コロイド粒子を含む磁性試薬を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR) CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、結合型抗体を生成するために、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0113】
いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子の寸法が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体粒子である。
【0114】
いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、抗体又はその抗原結合性フラグメントにコンジュゲートしている。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0117】
いくつかの実施形態では、キットが更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される阻害剤を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、キットが更に、キレート剤を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。
【0118】
いくつかの実施形態では、キットが更に、外因性凝集増強因子(EAEF)を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、EAEFが、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、からなる、又はから本質的になる。
【0119】
更に、(a)胎児細胞の表面上で発現するタンパク質に結合し得る、磁性コロイド粒子に結合した第1の抗体、及び(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むキットが、本明細書に開示される。
【0120】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する。
【0121】
いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体粒子である。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3から選択される1つ以上のCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、キットが更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される阻害剤を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。
【0125】
いくつかの実施形態では、キットが更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、からなる、又はから本質的になる、外因性凝集増強因子(EAEF)を含む、からなる、又はから本質的になる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1図1は、希少細胞を単離、検出及び解析する例示的な方法を示す。
図2図2は、例示的な磁性流体構造を示す。
図3図3は、希少細胞を検出する例示的な方法を示す。
図4図4は、希少細胞を単離及び検出する例示的な方法を示す。
図5図5A~Eは、FACS計器を使用した細胞のゲーティングを示す。
図6図6は、希少細胞を単離、検出及び解析する例示的な方法を示す。
図7図7は、制御凝集(controlled aggregation)による磁性流体凝集の概略図を示す。
図8図8は、胎児細胞濃縮のワークフロー概略図である。妊婦の全血から胎児細胞を濃縮し染色する。全ゲノム増幅及び全ゲノム解析に向けてDEPArray(商標)を使用して、純粋な単一細胞を単離する。
図9図9は、胎児血液試料から単離した赤芽球のゲーティング戦略である。(1)主要細胞集団をゲートするFSC-A/SSC-A (2)Sytox Green陰性生細胞をゲート (3)ダブレット細胞を除外するFSC-H/W (4)二重陽性GPA/Hoechstをゲート (5)CD71陽性/CD45陰性をゲート (6)TLS1/TREML2をゲートし、TREML2陽性細胞の%を決定するためにアイソタイプ対照とオーバーレイする。
図10図10は、骨髄試料から単離した赤芽球のゲーティング戦略である。(1)主要細胞集団をゲートするFSC-A/SSC-A (2)Sytox Green陰性生細胞をゲート (3)ダブレット細胞を除外するFSC-H/W (4)二重陽性GPA/Hoechstをゲート (5)CD71陽性/CD45陰性をゲート (6)TLS1/TREML2をゲートし、TREML2陽性細胞の%を決定するためにアイソタイプ対照とオーバーレイする。
図11図11A~11Jは、様々なクローン由来の様々な胎児血液(FB)試料から単離した胎児赤芽球上でのTLS1/TREML2発現を示す。
図12図12A~12Lは、様々なクローン由来の様々な骨髄(BM)試料から単離した成人赤芽球上でのTLS1/TREML2発現を示す。
図13図13は、スパイキング及びCD105-FF及びEpCAM-FFを用いた濃縮後、DEPArray(商標)により同定したTLS1/TREML-2陽性栄養膜細胞の散布図分析を示す。
図14図14は、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。栄養膜細胞は、TREML-2-PE抗体、CK-APC及び核染色の陽性染色を示す。
図15図15Aは、健康なドナーの血液にスパイキングしてCD71-FFを用いて濃縮したDraq5/Hoechst陽性赤芽球の散布図分析を示す。図15Bは、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。赤芽球細胞は、CD71-PE抗体、Draq5及びHoechst核染色の陽性染色、並びにCD45-FITC抗体に対する陰性染色を示す。
図16図16Aは、健康なドナーの血液にスパイキングしてTLS1/TREML-2-FFを用いて濃縮したDraq5/Hoechst陽性赤芽球の散布図分析を示す。図16Bは、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。赤芽球細胞は、CD71-PE抗体、Draq5及びHoechst核染色の陽性染色、並びにCD45-FITC抗体に対する陰性染色を示す。
図17図17は、母体血液から単離された単一胎児細胞からのSTR解析を示す。
図18図18は、単一胎児細胞のCNV解析の結果を示す。
図19図19は、健康なドナーの単一細胞のCNV解析の結果を示す。
図20図20は、希少細胞を単離及び検出する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0127】
試料中の希少細胞を単離、検出及び/又は解析する、組成物、キット及び方法が本明細書に開示される。概して、本明細書に開示される組成物、キット及び方法は、骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する薬剤を含む(このタンパク質は、本出願を通じてTLS1とも呼ばれる)。代替的又は付加的に、本明細書に開示される組成物、キット及び方法は、抗体コンジュゲートを含む。抗体コンジュゲートは、磁性コロイド粒子にコンジュゲートした抗体を含む。希少細胞は胎児細胞であり得る。試料は、妊娠中の対象からの試料であり得る。
【0128】
希少細胞を単離、検出及び/又はキャラクタライズする方法
希少細胞を単離、検出及び/又はキャラクタライズする方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が栄養膜細胞である。概して、本方法は、細胞を胎児細胞と同定するために、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを使用する工程を含む。代替的又は付加的に、本方法は、胎児細胞を単離するために、磁性コロイド粒子にコンジュゲートした抗体を使用する工程を含む。
【0129】
妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、及び(b)抗TREML2抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0130】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、(b)濃縮試料を生成するために第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程、(c)濃縮試料を第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、及び(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程であって、第1の抗体又は第2の抗体が、骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する抗体である方法が、本明細書に開示される。
【0131】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントにコンジュゲートした磁性粒子を含む磁性試薬と接触させる工程、(b)試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに(c)抗TREML2抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0132】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントにコンジュゲートした磁性コロイド粒子を含む磁性試薬と接触させる工程、(b)試料を、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに(c)第2の抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0133】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、磁性試薬及び第2の外因性凝集増強因子(EAEF)と接触させる工程であって磁性試薬が、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントにコンジュゲートした磁性コロイド粒子を含み、磁性コロイド粒子が第1のEAEFにコンジュゲートしており、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する、工程、(b)試料を、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに(c)第2の抗体に結合した細胞を胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、第1のEAEFが、特異的結合対の第1の一員を含み、第2のEAEFが、その特異的結合対の第2の一員を含み、特異的結合対が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される。
【0134】
更に、妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、(a)複数の細胞を含む試料を、磁性コロイド粒子にコンジュゲートした第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントを含む第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程、(b)試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体に結合した細胞を単離し、それによって濃縮試料を生成する工程、(c)濃縮試料を、胎児細胞の表面上のマーカーに結合する第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、及び(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0135】
更に、妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(ii)磁性コロイド粒子を含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしている、工程、並びに(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0136】
更に、妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲート及び第2の外因性凝集増強因子(EAEF)と接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント、(ii)磁性コロイド粒子及び(iii)第1のEAEFを含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしており、第1のEAEFが磁性コロイド粒子にコンジュゲートしている、工程、並びに(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、第1のEAEFが、特異的結合対の第1の一員を含み、第2のEAEFが、その特異的結合対の第2の一員を含み、特異的結合対が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される。
【0137】
更に、妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント及び(ii)磁性コロイド粒子を含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしており、第1の抗体が抗TREML2抗体である、工程、並びに(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0138】
更に、妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲート及び第2の外因性凝集増強因子(EAEF)と接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント及び(ii)磁性コロイド粒子を含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしており、磁性コロイド粒子が第1のEAEFにコンジュゲートしている、工程、並びに(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、第1のEAEFが、特異的結合対の第1の一員を含み、第2のEAEFが、その特異的結合対の第2の一員を含み、特異的結合対が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が赤芽球である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が栄養膜細胞である。
【0140】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、細胞を同定する前に行う、抗TREML2抗体に又は第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、第1の抗体の使用を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性流体磁性粒子である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、磁性粒子の凝集を誘導するために、その特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、その特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。還元剤が、メルカプトエタンスルホン酸であり得る。凝集阻害剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、第2の抗体を使用する。いくつかの実施形態では、第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、単一胎児細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離することにより行う。
【0149】
いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、単一胎児細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が、胎児細胞から単離された1つ以上の核酸分子に対して配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかが、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上の置換、付加又は欠失を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、試料を磁気分離機中に置く工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、フローサイトメトリーを含む。いくつかの実施形態では、フローサイトメトリーが、蛍光活性化セルソーティング(FACS)である。
【0156】
いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、DEPArrayを行う工程を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、シーケンシング反応を行う工程を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、試料が、抗TREML2抗体と接触させる前に胎児細胞を濃縮した試料である。いくつかの実施形態では、試料を磁性流体試薬と接触させることにより、試料が胎児細胞で濃縮されており、磁性流体は、磁性流体にカップリングした抗体を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗体が、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法が更に、磁性流体にカップリングした抗体が結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞を濃縮した試料を生成する工程を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、配列解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、配列(sequencing)解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、1つ以上の胎児異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞を解析する工程が、遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中での染色体異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、染色体異常が、トリソミー21、トリソミー18又はトリソミー13である。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞に対する遺伝的検査を行う工程が、1つ以上の胎児異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞に対する遺伝的検査を行う工程が、ゲノム解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、胎児細胞に対する遺伝的検査を行う工程が、遺伝的解析を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中での染色体異常の存在又は不存在を検出する工程を含む。いくつかの実施形態では、染色体異常が、トリソミー21、トリソミー18又はトリソミー13である。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞の解析の結果に基づき、治療法の推奨を提供する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、治療法の推奨を提供する工程を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞の解析の結果に基づき、対象に対して療法を行う工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、対象に対して療法を行う工程を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかが更に、胎児細胞の解析の結果に基づき、対象又は胎児の追加モニタリングを推奨する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかが更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、対象又は胎児の追加モニタリングを推奨する工程を含む。
【0167】
図1は、希少細胞を単離、検出及び/又は解析する例示的な方法を示す。本明細書に開示される方法は、図1に示される1つ以上の工程を含み得る、からなり得る、又はから本質的になり得る。いくつかの実施形態では、方法が、(a)複数の細胞を含む試料を対象から得る工程(101)、及び(b)希少細胞を単離する工程(110)を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、方法が、(a)複数の細胞を含む試料を対象から得る工程(101)、(b)希少細胞を単離する工程(110)、及び(c)希少細胞を解析する工程(120)を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、方法が、(a)複数の細胞を含む試料を対象から得る工程(101)、(b)希少細胞を単離する工程(110)、(c)希少細胞を解析する工程(120)、及び(d)希少細胞の解析に基づく1つ以上の報告を作成する工程(106)を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0168】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、方法が、(a)複数の細胞を含む試料を対象から得る工程(101);(b)(i)試料から非希少細胞を枯渇させて濃縮希少細胞試料を生成する工程(102)、及び(ii)濃縮希少細胞試料から希少細胞を単離する工程(103)により、希少細胞を単離する工程(110);(c)(i)希少細胞から核酸分子を精製する工程(104)、及び(ii)1つ以上の核酸分子をシーケンシングする工程(105)により、希少細胞を解析する工程(120);及び(f)1つ以上の報告を作成する工程(106)を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、希少細胞の濃縮(102)が、試料を、磁性粒子にカップリングした、希少細胞上のマーカーに結合する抗体を含む磁性流体と接触させる工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞上のマーカーが、本明細書に開示されるマーカーのいずれかである。いくつかの実施形態では、希少細胞上のマーカーが、TREML2タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗体が、本明細書に開示される抗体のいずれかである。いくつかの実施形態では、抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、抗体が、本明細書に開示される抗TREML2抗体のいずれかである。いくつかの実施形態では、磁性流体が、図2に示す磁性流体構造を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞の濃縮(102)が更に、磁性流体に結合していない細胞を除去するために、試料に対して外部勾配磁気分離機を適用する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、方法が更に、希少細胞を、標識にコンジュゲートした1つ以上の更なる抗体と接触させる工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、希少細胞を単離する工程(103)の前に、希少細胞を、1つ以上の更なる抗体と接触させる。いくつかの実施形態では、希少細胞を単離する工程(103)が、希少細胞上のマーカーに結合する抗体が結合した単一細胞を選択する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、本明細書に開示される抗TREML2抗体のいずれかである。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3を含む。いくつかの実施形態では、希少細胞を単離する工程(103)が、濃縮細胞試料から希少細胞をソーティングする工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞を単離する工程(103)が、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を行う工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞を単離する工程(103)が、DEPArrayを行う工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞から核酸分子を精製する工程(104)が、核酸増幅を行う工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞から核酸分子を精製する工程(104)が、核酸ライブラリーを生成する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0169】
図3は、希少細胞(例えば胎児細胞)を検出する例示的な方法を示す。いくつかの実施形態では、方法が、(a)複数の細胞(302、303)を含む試料(301)を、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント(304)と接触させる工程、及び(b)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント(304)が結合した細胞(303)を胎児細胞と同定する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、第1の抗体(304)が、TREML2タンパク質に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、抗原結合性フラグメント(304)が、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、本明細書に開示される抗TREML2抗体のいずれか1つを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3を含む、からなる、又はから本質的になる。第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントは、磁性粒子にカップリングしていてもよい。例えば、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントは、磁性流体の形態であってもよい。代替的に、第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートし得る。標識は、本明細書に開示される標識のいずれかであり得る。例えば、第1の抗体又は抗原結合性フラグメントは、蛍光標識にコンジュゲートし得る。細胞は、本明細書に開示される任意の同定技術により同定され得る。いくつかの実施形態では、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を同定する工程が、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を含む。細胞を単離する工程は、本明細書に開示される任意の細胞単離技術を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞を単離する工程が、磁気分離を含む。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、顕微鏡の使用を含み得る。細胞を同定する工程は、蛍光顕微鏡検査を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、FACSを含むか、又はFACSに基づく。代替的又は付加的に、細胞を同定する工程が、DEPArrayを含むか、又はDEPArrayに基づく。
【0170】
図4は、希少細胞を単離及び検出する例示的な方法を示す。いくつかの実施形態では、希少細胞を検出する方法が、(a)複数の細胞(402、403)を含む試料(401)を、磁性粒子(405)にカップリングした第1の抗体又は抗原結合性フラグメント(404)を含む抗体コンジュゲート(406)と接触させる工程、(b)試料を磁場(407)にさらし、抗体コンジュゲートに結合していない細胞(402)を除去することにより希少細胞(403)を濃縮し、それによって濃縮希少細胞試料(411)を生成する工程、(c)濃縮希少細胞試料(411)を、標識(409)にコンジュゲートした第2の抗体又は抗原結合性フラグメント(408)を含む抗体コンジュゲート(410)と接触させる工程、及び(d)抗体コンジュゲートに結合した細胞を希少細胞(403)と同定する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、濃縮希少細胞試料(411)が、磁性粒子(405)にコンジュゲートした第1の抗体(404)又はその抗原結合性フラグメント(404)を含む抗体コンジュゲート(406)に結合した希少細胞(403)を含む。代替的又は付加的に、抗体コンジュゲート(406)から希少細胞(403)を引き離すために、濃縮希少細胞試料(411)を更に処理する。いくつかの実施形態では、第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗体又は抗原結合性フラグメント及び第2の抗体又は抗原結合性フラグメントの両方が、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体若しくは抗原結合性フラグメント、又は(b)第2の抗体若しくは抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがEpCAMに結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがCD105に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがCD71に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体又は抗原結合性フラグメントが、本明細書に開示される任意の抗TREML2抗体又は抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、第2の抗体が、第1の抗体に結合する抗体である。例えば、第1の抗体がヤギIgG抗体である場合、第2の抗体は、マウス抗ヤギIgG抗体であり得る。いくつかの実施形態では、標識が、本明細書に開示される標識のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、磁性粒子が更に、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(A)の最中に、試料(401)を、第1のEAEFに結合可能である第2のEAEFと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、第2のEAEFの添加が、抗体コンジュゲート(406)の凝集を誘導する。いくつかの実施形態では、方法が更に、第1又は第2の外因性凝集増強因子に結合可能である第3のEAEFを添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、第3のEAEFの添加が、第1のEAEFの凝集を反転させる。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(a)の前に、凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。細胞は、本明細書に開示される任意の同定技術により同定され得る。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、顕微鏡の使用を含み得る。細胞を同定する工程は、蛍光顕微鏡検査を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、FACSを含むか、又はFACSに基づく。代替的又は付加的に、細胞を同定する工程が、DEPArrayを含むか、又はDEPArrayに基づく。
【0171】
図20は、希少細胞を単離及び検出する別の例示的な方法を示す。図20が示すように、いくつかの実施形態では、希少細胞を検出する方法が、工程(A1):複数の細胞(2002、2003)を含む試料(2001)を、第1の抗体コンジュゲート(2006)及び第2の外因性凝集増強因子(EAEF)(2011)と接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲート(2006)が磁性粒子(2005)にカップリングした第1の抗体又は抗原結合性フラグメント(2004)を含み、磁性粒子(2005)は更に、第1のEAEF(2012)にコンジュゲートしている、工程、並びに工程(B1):試料を磁場(2007)にさらし、抗体コンジュゲート(2006)-第2のEAEF(2011)複合体に結合していない細胞(2002)を除去することにより、希少細胞(2003)を濃縮し、それによって濃縮希少細胞試料(2011)を生成する工程を含む、からなる、又はから本質的になる。工程(A2)に示すように、第2のEAEF(2011)の添加が、第1の抗体コンジュゲート(2006)の凝集を誘導する。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(B2) 第3のEAEF(2013)を、濃縮希少細胞試料(2011)に添加する工程を含む。工程(B3)に示すように、第3のEAEF(2013)の添加が、第1の抗体コンジュゲート(2006)の凝集を反転させる。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(C) 濃縮希少細胞試料(2011)を、標識(2009)にコンジュゲートした第2の抗体又は抗原結合性フラグメント(2008)を含む第2の抗体コンジュゲート(2010)と接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(D) 第1の抗体コンジュゲート(2006)に結合した細胞を、希少細胞(2003)と同定する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(D) 第2の抗体コンジュゲート(2010)に結合した細胞を、希少細胞(2003)と同定する工程を含む。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、濃縮希少細胞試料(2011)が、磁性粒子(2005)にコンジュゲートした第1の抗体(2004)又はその抗原結合性フラグメント(2004)を含む第1の抗体コンジュゲート(2006)に結合した希少細胞(2003)を含み、磁性粒子(2005)は更に、第1のEAEF(2012)にコンジュゲートしている。代替的又は付加的に、抗体コンジュゲート(2006)から希少細胞(2003)を引き離すために、濃縮希少細胞試料(2011)を更に処理する。いくつかの実施形態では、第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗体又は抗原結合性フラグメント及び第2の抗体又は抗原結合性フラグメントの両方が、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体若しくは抗原結合性フラグメント、又は(b)第2の抗体若しくは抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがEpCAMに結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがCD105に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、(a)第1の抗体又は抗原結合性フラグメントがCD71に結合し、(b)第2の抗体又は抗原結合性フラグメントが、TREML2タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、TREML2タンパク質に結合する抗体又は抗原結合性フラグメントが、本明細書に開示される任意の抗TREML2抗体又は抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、第2の抗体が、第1の抗体に結合する抗体である。例えば、第1の抗体がヤギIgG抗体である場合、第2の抗体は、マウス抗ヤギIgG抗体であり得る。いくつかの実施形態では、標識が、本明細書に開示される標識のいずれか1つである。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である。いくつかの実施形態では、方法が更に、工程(A1)の前に、凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1のEAEF(2012)がデスチオビオチンである。いくつかの実施形態では、第2のEAEF(2011)がストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、第3のEAEF(2013)がビオチンである。細胞は、本明細書に開示される任意の同定技術により同定され得る。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、顕微鏡の使用を含み得る。細胞を同定する工程は、蛍光顕微鏡検査を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、FACSを含むか、又はFACSに基づく。代替的又は付加的に、細胞を同定する工程が、DEPArrayを含むか、又はDEPArrayに基づく。いくつかの実施形態では、細胞を同定する工程が、免疫ベースアッセイを含むか、又は免疫ベースアッセイに基づく。
【0172】
本明細書に開示される方法は、抗TREML2抗体若しくはその抗原結合性フラグメント、又は抗TREML2抗体を含む抗体コンジュゲートの使用を列挙し得るが、それらの任意の方法は、TREML2タンパク質に結合し得る任意の薬剤、又はTREML2タンパク質に結合し得る薬剤を含むコンジュゲートを使用して行ってもよい。従って、本明細書に開示される方法は、抗TREML2抗体若しくはその抗原結合性フラグメント、又は抗TREML2抗体を含む抗体コンジュゲートの使用に限定されない。
【0173】
細胞ベースの胎児遺伝的検査方法
新規胎児細胞マーカー、例えばTREML2の同定は、胎児細胞の単離及び/又は検出、並びにそのような細胞のその後の解析を可能にする。従って、細胞ベースの胎児遺伝的検査方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、方法が、(a)妊娠中の対象由来の試料から胎児細胞を単離するために抗TREML2抗体を使用する工程、及び(b)胎児が1つ以上の遺伝的異常を有する可能性を判定するために、胎児細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程を含む。代替的に、方法は、本明細書に開示される、胎児細胞を単離又は検出する任意の方法を使用して胎児細胞を単離する工程、及び胎児が1つ以上の遺伝的異常を有する可能性を判定するために、単離又は検出された胎児細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法が、本明細書に開示される任意の方法により単離及び/又は検出される胎児細胞を解析する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法が、本明細書に開示される任意の方法により調製される胎児細胞を解析する工程を含む。
【0174】
細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程;(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程;(c)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程;及び(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程であって、報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0175】
細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、磁性コロイド粒子にコンジュゲートしており、且つ胎児細胞上のマーカーに結合する第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程;(b)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程;(c)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程;及び(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程であって、報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0176】
細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、第1の抗体又はその抗原結合性フラグメント及び第2の外因性凝集増強因子(EAEF)と接触させる工程であって、第1の抗体又は抗原結合性フラグメントが、第1のEAEFにコンジュゲートした磁性コロイド粒子にコンジュゲートしており、且つ胎児細胞上のマーカーに結合する、工程、(b)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程、(c)第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程、及び(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程であって報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程を含む方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、第1のEAEFが、特異的結合対の第1の一員を含み、第2のEAEFが、その特異的結合対の第2の一員を含み、特異的結合対が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される。
【0177】
いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗CD71抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗EpCAM抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗CD105抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗体が抗ECAM抗体又は抗CD105抗体である場合、方法が更に、単離された細胞を、胎児細胞上のマーカーに結合する第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体が抗TREML2抗体である。いくつかの実施形態では、第2の抗体が抗CD71抗体である。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、方法が更に、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法が更に、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの核酸分子を解析する工程を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児赤芽球である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である。いくつかの実施形態では、胎児細胞が胎児栄養膜細胞である。
【0179】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子を解析する工程が、核型分析を行う工程を含む。核型分析は、当技術分野で公知の任意の技術を使用して行い得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子を解析する工程が、配列解析を行う工程を含む。配列解析は、当技術分野で公知の任意の技術を使用して行い得る。いくつかの実施形態では、配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸分子を解析する工程が、1つ以上の増幅反応を行う工程を含む。核酸増幅は、当技術分野で公知の任意の技術により行い得る。いくつかの実施形態では、核酸増幅を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により行う。
【0182】
いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝的異常が、トリソミー、性染色体異常及び構造異常から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝的異常がトリソミーである。いくつかの実施形態では、トリソミーが、トリソミー3、トリソミー4、トリソミー6、トリソミー7、トリソミー8、トリソミー9、トリソミー10、トリソミー11、トリソミー12、トリソミー13、トリソミー16、トリソミー17、トリソミー18、トリソミー20、トリソミー21及びトリソミー22から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝的異常が性染色体異常である。いくつかの実施形態では、性染色体異常が、モノソミーX、トリプルX症候群及びクラインフェルター症候群から選択される。いくつかの実施形態では、遺伝的異常が構造異常である。いくつかの実施形態では、構造異常がコピー数多型(CNV)である。いくつかの実施形態では、構造異常が、CNVの欠失又はCNVの重複である。
【0183】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。
【0184】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法が更に、試料を抗TREML2抗体と接触させる前に、試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体と接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法が更に、試料を抗TREML2抗体と接触させる前に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗体が磁性粒子にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、磁性粒子が磁性コロイド粒子である。いくつかの実施形態では、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法が更に、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体が、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態では、第2の抗体が標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が蛍光標識である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法が更に、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う。
【0188】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877_P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される。代替的又は付加的に、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、2つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、治療法の推奨を提供する工程を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、対象に対して療法を行う工程を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の方法が更に、胎児細胞に対する遺伝的検査の結果に基づき、対象又は胎児の追加モニタリングを推奨する工程を含む。
【0192】
本明細書に開示される方法は、抗TREML2抗体若しくはその抗原結合性フラグメント、又は抗TREML2抗体を含む抗体コンジュゲートの使用を列挙し得るが、それらの方法のいずれかは、TREML2タンパク質に結合し得る任意の薬剤、又はTREML2タンパク質に結合し得る薬剤を含むコンジュゲートを使用して行ってもよい。従って、本明細書に開示される方法は、抗TREML2抗体若しくはその抗原結合性フラグメント、又は抗TREML2抗体を含む抗体コンジュゲートの使用に限定されない。
【0193】
希少細胞マーカーに結合する薬剤
希少細胞マーカーに結合する薬剤が本明細書に開示される。本明細書で使用する「希少細胞マーカー」は、希少細胞(例えば胎児細胞)上のマーカー(例えば細胞表面タンパク質)である。希少細胞マーカーは、試料中の別の細胞型よりも希少細胞上においてより高いレベルで発現する細胞表面タンパク質であり得る。希少細胞マーカーは、骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質であり得る。希少細胞マーカーは、ヒトTREML2タンパク質であり得る。ヒトTREML2タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を有し得る。代替的に、希少細胞マーカーはCD71であり得る。いくつかの実施形態では、希少細胞マーカーがCD71ではない。
【0194】
本明細書で使用する用語「TREML2」及び「TLS1」は、同じタンパク質を指し、交換可能に使用する。TLS1及びTREML2は、配列番号1のアミノ酸配列に相当する同一配列を有し、配列番号2~5のアミノ酸配列を有するドメイン及びフラグメントを含む、同じマーカーを指す。
【0195】
本明細書で使用する「希少細胞」は、対象からの試料中に、総細胞集団の10%未満の濃度で存在する細胞を指し、ここで、その試料は非精製試料又は非濃縮試料である。いくつかの実施形態では、希少細胞が、試料中に、総細胞集団の9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、希少細胞が、試料中に、総細胞集団の1%未満の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞であり、試料が妊娠中の対象からである。
【0196】
本明細書で使用する用語「非精製試料」又は「非濃縮試料」は、交換可能に使用でき、且つ、対象から得られ、試料から細胞を除去又は単離するようには処理されていない試料を指す。代替的又は付加的に、非精製試料又は非濃縮試料は、対象から得られる、1つ以上の細胞が枯渇していない試料を指す。代替的又は付加的に、非精製試料又は非濃縮試料は、対象から得られる、複数の異なる細胞型を含有する試料を指す。
【0197】
いくつかの実施形態では、希少細胞マーカーに結合する薬剤が、抗体、抗体フラグメント、受容体及びリガンドから選択される。いくつかの実施形態では、抗体フラグメントが、抗体の抗原結合性ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体フラグメントが、一価抗原結合性フラグメント(Fab又はFab')、二価抗原結合性フラグメント((Fab)2又は(Fab')2)、可変フラグメント(Fv)、一本鎖可変フラグメント(scFv)、二価ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び二重特異性scFv(bis-scFv)から選択される。
【0198】
概して、一価のFabフラグメントは、1つの抗原結合部位を有するが、二価の(Fab)2フラグメントは、ジスルフィド結合で連結された2つの抗原結合領域を有する。Fabフラグメントは、抗体の重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域並びに重鎖1定常(CH 1)領域及び軽鎖1 (CL 1)定常領域からなる。Fvフラグメントは、重鎖可変(VH)領域と軽鎖可変(VL)領域とで構成された抗原結合部位を有するが、Fabの定常領域(CH1及びCL)領域を欠く。VHとVLとは、非共有相互作用により、Fvフラグメント中で結び付いている。Fabは、二量体(Fab2)又は三量体(Fab3)であり得て、それぞれ、2つ又は3つの異なる抗原の結合を可能にする。
【0199】
Vドメインの向き及びリンカー長は、異なる型のFv分子を創生するために変更可能である。概して、リンカーが少なくとも12残基長である場合、scFvフラグメントは主に単量体である。3~11残基長のリンカーは、機能性Fvドメインへの折りたたみが不可能であるscFv分子をもたらす。それらの分子は、第2のscFv分子と会合して、二価ダイアボディを創生する。トリアボディ又はテトラボディは、リンカー長が3残基未満の場合に形成され得る。ミニボディは、二価二量体へとアセンブルするscFv-CH3融合タンパク質である。Bis-scFvフラグメントは、2つの異なる可変ドメインを有するscFvフラグメントからなり、同時に2つの異なるエピトープに結合できる。
【0200】
抗体は、ポリクローナル抗体であり得る。代替的又は付加的に、抗体は、モノクローナル抗体であり得る。抗体は、免疫グロブリンガンマ(IgG)抗体であり得る。IgG抗体は、IgG1抗体であり得る。IgG抗体は、IgG2抗体であり得る。IgG抗体は、IgG3抗体であり得る。IgG抗体は、IgG4抗体であり得る。抗体は、免疫グロブリンミュー(IgM)抗体であり得る。抗体は、免疫グロブリンイプシロン(IgE)抗体であり得る。抗体は、免疫グロブリンデルタ(IgD)抗体であり得る。抗体は、免疫グロブリンアルファ(IgA)抗体であり得る。IgGA抗体は、IgGA1抗体であり得る。代替的に、IgG抗体は、IgGA2抗体であり得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、薬剤が、TREML2タンパク質に結合する抗体又は抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体又は抗体フラグメントが、TREML2タンパク質の細胞外ドメインに結合する。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列を有する。代替的に、抗体又は抗体フラグメントが、TREML2の細胞外ドメインの断片に結合してもよい。細胞外ドメインの断片は、配列番号3~4のアミノ酸配列を有する。抗体又は抗体フラグメントが、TREML2タンパク質のN末端ドメインに結合してもよい。
【0202】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体がポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、sc-109096(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)、ARP49877_P050(Aviva Systems Biology)、OACA04996(Aviva Systems Biology)、AF3259(R&D Systems)、PA5-47471(Thermo Fisher)、ABIN634968(Antibodies-online.com)、ABIN928294(Antibodies-online.com)、30-552(ProSci)、ABIN2463297(antibodies-online.com)、ABIN749888(antibodies-online.com)、bs-2737r(Bioss)、ABIN1999045(antibodies-online.com)、11655-rp02(Sino Biological)、ABIN293207(antibodies-online.com)、ABIN2387613(antibodies-online.com)、t8282-40(USBio)、ABIN4249314(antibodies-online.com)、及びnbp1-70737-20ul(Novus Biologicals)から選択される抗TREML2抗体から選択され得る。
【0203】
抗TREML2抗体は、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、MA5-30973(Thermo Fisher)、ABIN19999041(antibodies-online.com)、11655-r001(Sino Biological)及びBD563661(Fisher Scientific)から選択され得る。
【0204】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0205】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0206】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(c)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3から選択される1つ、2つ又は3つのCDRを含む、からなる、又はから本質的になる。
【0207】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、(b)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR2、(c)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるHCVR CDR3、(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、(e)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR2、及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるLCVR CDR3を含む、からなる、又はから本質的になる。
【0208】
いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号6が、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号7が、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号8が、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号9が、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号10が、1つのアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。いくつかの実施形態では、配列番号11が、1つ、2つ又は3つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗TREML2抗体が、結合型抗体を生成するために、標識にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が、蛍光標識、放射性核種、酵素標識、化学発光標識及びハプテンから選択される。いくつかの実施形態では、検出可能標識がハプテンである。いくつかの実施形態では、ハプテンが、DCC、ビオチン、ニトロピラゾール、チアゾールスルホンアミド、ベンゾフラザン及び2-ヒドロキシキノキサリンから選択される。いくつかの実施形態では、検出可能標識がビオチンである。いくつかの実施形態では、標識が、蛍光分子である。いくつかの実施形態では、蛍光分子が、フルオロフォア、シアニン色素及び近赤外(NIR)色素から選択される。いくつかの実施形態では、蛍光分子がフルオロセインである。いくつかの実施形態では、蛍光分子がフルオレセインイソチオシアネート(FITC)である。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。いくつかの実施形態では、結合型抗体が、ABIN6070559(antibodies-online.com)、abx307664(Abbexa、ポリクローナル)、ABIN6070561(antibodies-online.com)、abx307665(Abbexa、ポリクローナル)、ABIN2662892(antibodies-online.com)、bld-351203(BioLegend)、ABIN2662891(antibodies-online.com)、bld-351204(BioLegend)、ABIN2662890(antibodies-online.com、モノクローナル)及びbld-351104(BioLegend)から選択される。
【0210】
磁性粒子
本明細書に開示される方法、組成物及びキットは、磁性粒子を含み得るか、又は使用し得る。例えば、本明細書に開示される任意の抗体(又はより一般的には希少細胞マーカーに結合する任意の薬剤)が、磁性粒子にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、希少細胞マーカー(例えばTREML2)に結合する薬剤が、磁性粒子にコンジュゲートしている。磁性粒子は、磁性コロイド粒子であり得る。磁性コロイド粒子は、磁性流体であり得る。
【0211】
本明細書で使用する用語「磁性粒子」は、磁場を使用して操作可能である粒子を指す。磁性粒子は金属を含む。金属の例は、鉄、ニッケル、コバルト及び銅を含むが、それらに限定されない。
【0212】
本明細書で使用する用語「磁性コロイド粒子」は、非磁性体でコートされた磁性粒子を指す。非磁性粒子の一例は、ウシ血清アルブミン(BSA)である。
【0213】
本明細書で使用する用語「磁性流体磁性粒子」は、鉄を含有する磁性コロイド粒子を指す。
【0214】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、そのサブミクロン粒子サイズによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、粒子の直径が概して、約300ナノメートル(nm)、275nm、250nm、225nm、200nm、190nm、180nm、170nm、160nm、150nm、140nm、130nm、120nm、110nm又は100nm未満である。いくつかの実施形態では、粒子の直径が概して、少なくとも10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm又は120nm以上である。いくつかの実施形態では、粒子の直径が、約40nm~250nm、40nm~200nm、50nm~200nm、50nm~190nm 50nm~180nm、50nm~170nm、60nm~200nm、70nm~200nm、80nm~200nm、90nm~200nm、90nm~175nm、又は90nm~150nmの間である。
【0215】
いくつかの実施形態では、粒子が、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は97%以上の磁気質量(magnetic mass)を有する。いくつかの実施形態では、粒子が、約40%~95%、45%~95%、50%~90%、55%~90%、60%~90%、又は70%~90%の間の磁気質量を有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、90~150nmの範囲内であり、70~90%の間の磁気質量を有する
粒子を使用し得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、粒子が、溶液からの重力分離に対するそれらの抵抗性によって特徴付けられる。粒子は、長時間にわたり重力分離に対して抵抗性であり得る。粒子は、少なくとも1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、75分、90分、105分又は120分以上にわたり重力分離に対して抵抗性であり得る。粒子は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、55時間、60時間、75時間、90時間、105時間又は120時間以上にわたり重力分離に対して抵抗性であり得る。粒子は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日、60日、75日、90日、105日又は120日以上にわたり重力分離に対して抵抗性であり得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、磁性粒子が、例えば、物理吸着又は共有結合で磁性コアに結合して、安定化させるコロイド性を与えるコーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアから構成される。コーティング材は、試料中に見出される生体高分子と磁性コアとの間の非特異的相互作用を妨げるために効果的な量で適用し得る。そのような生体高分子は、非標的細胞の表面上のシアル酸残基、レクチン、糖タンパク質、及び別の膜成分を含み得る。更に、コーティング材は、できるだけ高い磁気質量/ナノ粒子比を含有し得る。コアを含む磁性結晶の寸法は、完全磁区(complete magnetic domain)を含有しないように十分に小さい。ナノ粒子の寸法は、そのブラウン動力(Brownian energy)がその磁気モーメントに勝るような寸法である。従って、それらの磁性コロイド粒子のN極・S極アライメントとそれに続く相互引力/反発は、適度に強力な磁場中であってさえも発生しないらしく、その溶液安定性に寄与する。
【0219】
磁性粒子は、外部高勾配磁気分離機(high magnetic gradient external field separator)中で分離され得る。その特性が、試料の操作を容易にし、強磁性ビーズ又はスチールウールをロードしたより複雑な内部勾配カラムに勝る経済的な利点を提供する。
【0220】
磁性粒子は、参照によりその全体が組み込まれている、EP0842042に記載される基材の修飾により調製され得る。
【0221】
磁性粒子は、実施例1で同定される上位候補に相当する差次的に発現するタンパク質を認識できるAb(又はより一般的には任意の薬剤)でコートされ得る。いくつかの実施形態では、磁性粒子が、希少細胞マーカー(例えばTREML2)に結合する薬剤でコートされ得る。磁性粒子は、本明細書に開示される任意の抗体又は薬剤でコートされ得る。
【0222】
磁性粒子のコーティングは、当技術分野で公知の任意の方法により行い得る。例えば、磁性粒子は、参照によりその全体が組み込まれている、US6,365,362B1に記載される抗体によりコートされ得る。
【0223】
図2は、例示的な磁性流体磁性粒子構造を示す。本明細書に開示される磁性流体磁性粒子は、図2に示す磁性流体磁性粒子構造を含み得る、からなり得る、又はから本質的になり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される磁性流体磁性粒子が、図2に示す磁性流体磁性粒子構造を有する。図2に示すように、例示的な磁性流体磁性粒子構造は、ウシ血清アルブミン(BSA)で囲まれた鉄原子を含む、からなる、又はから本質的になる。BSAは、ビオチン(BT)に付着(attach)したストレプトアビジン(SA)に付着している。BTは、外因性凝集増強因子(例えばデスチオビオチン(Dt-BT))に付着した別のBSAに付着していてもよい。BTは、希少細胞上のマーカーに結合する抗体(Y)にも付着していてもよい。いくつかの実施形態では、希少細胞が胎児細胞である。いくつかの実施形態では、マーカーがTREML2である。代替的に、マーカーはEpCAM、CD105又はCD71である。
【0224】
図7は、制御凝集による磁性粒子凝集の概略図を示す。図7に示すように、磁性粒子、例えば、図2の磁性流体磁性粒子は、外因性凝集増強因子(EAEF、例えばデスチオビオチン(Dt-BT))にカップリングしている。第1のEAEFに結合可能な第2のEAEF(例えばストレプトアビジン(SA))の添加は、抗体-磁性粒子コンジュゲートの凝集を促進する。いくつかの実施形態では、抗体-磁性粒子コンジュゲートの凝集が、第1又は第2のEAEFに結合できる第3のEAEFの添加により反転する。いくつかの実施形態では、第3のEAEFが、第1のEAEFと同一である。代替的に、第3のEAEFは、第2のEAEFと同一である。別の実施形態では、第3のEAEFが、第1のEAEF又は第2のEAEFの結合相手(例えばビオチン)である。
【0225】
組成物及びキット
本明細書に開示される任意の抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを含む、組成物及びキットが、本明細書に開示される。組成物又はキットは更に、磁性試薬、1つ以上の更なる抗体又は抗体コンジュゲート、凝集阻害剤、及び凝集因子から選択される1つ以上の構成成分を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、キットが、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)磁性試薬を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、キットが、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)磁性コロイド粒子を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、キットが、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)1つ以上の更なる抗体又はその抗原結合性フラグメントを含む。
【0229】
更に、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)胎児有核赤血球(fnRBC)の表面上で発現するタンパク質に結合する第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むキットが、本明細書に開示される。
【0230】
更に、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)標識とコンジュゲートした第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むキットが、本明細書に開示される。
【0231】
更に、(a)磁性粒子にコンジュゲートした、第1の抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)標識にコンジュゲートした第2の抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むキットが、本明細書に開示される。
【0232】
いくつかの実施形態では、組成物又はキットが、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを含み、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが(a)(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になる相補性決定領域(CDR)1、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるCDR2、及び(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるCDR3を含む、からなる、又はから本質的になる重鎖可変領域(HCVR)、並びに(b)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるCDR1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるCDR2、及び(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含む、からなる、又はから本質的になるCDR3を含む、からなる、又はから本質的になる軽鎖可変領域(LCVR)を含む。いくつかの実施形態では、配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、キットが、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)凝集阻害剤を含む緩衝液を含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、キットが、(a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)外因性凝集増強因子を含む。
【0235】
本明細書に開示される組成物、キット又は方法のいずれかは、1つ以上の磁性試薬を含み得る。磁性試薬は、1つ以上の磁性粒子を含み得る。磁性試薬は、強磁性粒子、超常磁性粒子(supraparamagnetic particle)を含み得る。磁性試薬は、磁性流体試薬を含み得る。
【0236】
本明細書で使用する用語「強磁性粒子」は、永久磁化性(permanently magnetizable)である粒子を指す。
【0237】
磁性試薬は、超常磁性粒子を含み得る。本明細書で使用する用語「超常磁性粒子」は、磁気応答粒子である粒子を指し得る。超常磁性粒子は、磁場にさらされた場合にのみ磁気挙動を示す粒子である。いくつかの実施形態では、磁性コロイド粒子が、超常磁性粒子である。
【0238】
いくつかの実施形態では、磁性試薬が磁性粒子を含む。いくつかの実施形態では、磁性粒子の寸法が、約1.5~約50ミクロン、0.7~1.5ミクロン、又は200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性粒子の寸法が200nm未満である。いくつかの実施形態では、磁性試薬が、抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む。いくつかの実施形態では、そのような、磁性粒子にコンジュゲートした抗体が、上皮細胞接着分子(EpCAM)及びエンドグリン(CD105)から選択されるタンパク質に結合する抗体である。代替的に、そのような、磁性粒子にコンジュゲートした抗体は、CD147に結合する。更なる一実施形態では、そのような、磁性粒子にコンジュゲートした抗体が、CD45に結合する。別の実施形態では、そのような、磁性粒子にコンジュゲートした抗体が、胎児細胞の表面上で発現するタンパク質に結合する。
【0239】
いくつかの実施形態では、磁性試薬が、磁性流体試薬を含む。本明細書で使用する用語「磁性流体試薬」は、磁性粒子を含む液体懸濁物を指す。いくつかの実施形態では、磁性流体試薬が、抗TREML2抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。代替的に、磁性流体試薬は、本明細書に開示される1つ以上の抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。いくつかの実施形態では、磁性流体試薬が、抗EPCAM抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。いくつかの実施形態では、磁性流体試薬が、抗CD105抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。いくつかの実施形態では、磁性流体試薬が、胎児細胞の表面上で発現するタンパク質に結合する抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。いくつかの実施形態では、磁性流体試薬が、抗CD147抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む液体懸濁物を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、キットが更に、1つ以上の染色試薬を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の染色試薬が、1つ以上の抗体コンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗体コンジュゲートにおける抗体コンジュゲートが、標識にコンジュゲートした抗体である。いくつかの実施形態では、抗体が、CD71、グリコホリンA(GPA)及びCD45から選択されるタンパク質に結合する。
【0241】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体のいずれか(例えば、抗TREML2抗体又は1つ以上の更なる抗体)が更に標識を含む。いくつかの実施形態では、標識が抗体にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される。
【0242】
本明細書に開示される任意のキットは、1つ以上の抗体又はそのフラグメントを含み得る。1つ以上の抗体は、胎児細胞の表面上で発現するタンパク質に結合し得る。代替的又は付加的に、1つ以上の抗体は、母体細胞の表面上で発現するタンパク質に結合し得る。1つ以上の抗体は、EpCAM、CD105、CD147、CD15、CD71、GPA及びCD45から選択されるタンパク質に結合し得る。1つ以上の抗体は、CD15、CD71、GPA及びCD45から選択されるタンパク質に結合し得る。
【0243】
本明細書に開示されるキットのいずれかは、胎児有核赤血球(fnRBC)又は栄養膜細胞の表面上で発現するタンパク質に結合する1つ以上の抗体又はそのフラグメントを含み得る。抗体は、EpCAM、CD105、CD71及びCD147から選択されるタンパク質に結合し得る。
【0244】
本明細書に開示されるキットのいずれかは、1つ以上の凝集阻害剤を含み得る。本明細書に開示されるキットは、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の凝集阻害剤を含み得る。凝集阻害剤は、内因性の磁性流体凝集因子を阻害し得る。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤が、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンから選択される。還元剤は、メルカプトエタンスルホン酸であり得る。凝集阻害剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)であり得る。キレート剤は、EDTAであり得る。
【0245】
凝集阻害剤は、抗TREML2抗体と同じアイソタイプである抗体又はそのフラグメントを含み得る。抗体は、非特異的抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体が、マウス抗体である。
【0246】
本明細書に開示されるキットのいずれかは、磁性流体にカップリングしていてもよい抗TREML2抗体を含み得る。本明細書に開示される任意のキットは、磁性粒子にコンジュゲートした抗TREML2抗体を含み得る。磁性粒子は、磁性コロイド粒子であり得る。磁性粒子は、磁性流体磁性粒子であり得る。
【0247】
本明細書に開示される任意のキットは、外因性凝集増強因子(EAEF)を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットが、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上のEAEFを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される磁性粒子が、1つ以上のEAEFにカップリングしている。いくつかの実施形態では、EAEFが、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットが、2つ以上のEAEFを含む。いくつかの実施形態では、第1のEAEFが、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含み、第2のEAEFが、その特異的結合対の他方の一員を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットが更に、第3のEAEFを含む。いくつかの実施形態では、第3のEAEFが、第1のEAEFと同一である。代替的に、第3のEAEFは、第2のEAEFと同一である。いくつかの実施形態では、第3のEAEFが、第1のEAEFと相互作用可能である。別の実施形態では、第3のEAEFが、第2のEAEFと相互作用可能である。第1若しくは第2のEAEFと同一であるか、又は第1若しくは第2のEAEFと相互作用可能である第3のEAEFを有する場合、第3のEAEFの添加が、磁性粒子の凝集の反転をもたらす。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットが更に、1つ以上の凝集阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤が、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、凝集阻害剤がキレート剤である。いくつかの実施形態では、キレート剤がEDTAである。還元剤は、メルカプトエタンスルホン酸であり得る。凝集阻害剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)であり得る。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[1]妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を、第1の抗体と接触させる工程、
(b)濃縮試料を生成するために、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程、
(c)濃縮試料を、第2の抗体と接触させる工程、及び
(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程を含み、
第1の抗体又は第2の抗体が、
(i)骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する抗体である、又は
(ii)TREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、方法。
[2]胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である、[1]に記載の方法。
[3]第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[3]に記載の方法。
[5]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[4]に記載の方法。
[6]工程(b)が、試料を磁場にさらす工程を含む、[3]から[5]のいずれかに記載の方法。
[7]磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[6]に記載の方法。
[8]工程(a)が、磁性粒子の凝集を誘導するために、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、[7]に記載の方法。
[9]工程(b)が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、前記特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む、[8]に記載の方法。
[10]工程(a)の前に更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む、[1]から[9]のいずれかに記載の方法。
[11]凝集阻害剤が、EDTAであるキレート剤である、[10]に記載の方法。
[12]第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、[1]から[11]のいずれかに記載の方法。
[13]工程(d)の前に更に、単一胎児細胞を単離する工程を含む、[12]に記載の方法。
[14]単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離することにより行う、[13]に記載の方法。
[15]第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、[14]に記載の方法。
[16]標識が蛍光標識である、[15]に記載の方法。
[17]単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[16]に記載の方法。
[18]単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[17]に記載の方法。
[19]単一胎児細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[17]に記載の方法。
[20]工程(d)が、配列解析を行う工程を含む、[1]から[19]のいずれかに記載の方法。
[21]配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、[20]に記載の方法。
[22]更に、胎児細胞を解析する工程を含む、[1]から[21]のいずれかに記載の方法。
[23]胎児細胞の解析が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む、[22]に記載の方法。
[24]遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む、[23]に記載の方法。
[25]第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、[1]から[24]のいずれかに記載の方法。
[26]TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、
(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、
(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、
(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[1]から[25]のいずれかに記載の方法。
[27]妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む磁性試薬と接触させる工程、
(b)試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、並びに
(c)抗TREML2抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程
を含む方法。
[28]工程(c)の前に更に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む、[27]に記載の方法。
[29]細胞を単離する工程が、第1の抗体に結合した細胞を含む試料を濃縮するために、試料を磁場にさらす工程を含む、[28]に記載の方法。
[30]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[27]から[29]のいずれかに記載の方法。
[31]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[30]に記載の方法。
[32]磁性粒子が更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[27]から[31]のいずれかに記載の方法。
[33]工程(a)の最中に、粒子の凝集を誘導するために、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、[32]に記載の方法。
[34]濃縮試料の凝集を反転させるために更に、特異的結合対の一員を前記試料に添加し、それによって細胞の同定を容易にする工程を含む、[33]に記載の方法。
[35]工程(a)の前に更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む、[27]から[34]のいずれかに記載の方法。
[36]凝集阻害剤がキレート剤である、[35]に記載の方法。
[37]キレート剤がEDTAである、[36]に記載の方法。
[38]工程(c)の前に更に、抗TREML2抗体又は第2の抗体を使用して細胞を単離する工程を含む、[27]から[37]のいずれかに記載の方法。
[39]第2の抗体が、抗サイトケラチン抗体及び抗HLAG抗体から選択される、[38]に記載の方法。
[40]抗TREML2抗体又は第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、[38]又は[39]に記載の方法。
[41]標識が蛍光標識である、[40]に記載の方法。
[42]細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[41]に記載の方法。
[43]細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[42]に記載の方法。
[44]細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[41]に記載の方法。
[45]細胞を同定する工程が、配列解析を行う工程を含む、[27]から[44]のいずれかに記載の方法。
[46]配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、[45]に記載の方法。
[47]更に、胎児細胞を解析する工程を含む、[27]から[46]のいずれかに記載の方法。
[48]胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む、[47]に記載の方法。
[49]遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む、[48]に記載の方法。
[50]胎児細胞が、胎児赤芽球又は胎児栄養膜細胞である、[27]から[49]のいずれかに記載の方法。
[51]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)CDR1、
(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、
(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、[27]から[50]のいずれかに記載の方法。
[52]配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[51]に記載の方法。
[53]抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[27]から[50]のいずれかに記載の方法。
[54](a)骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合する抗体(抗TREML2抗体)又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)磁性コロイド粒子を含む磁性試薬を含むキット。
[55]抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[54]に記載のキット。
[56]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む、[54]に記載のキット。
[57]配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[56]に記載のキット。
[58]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、結合型抗体を生成するために、標識にコンジュゲートしている、[54]から[57]のいずれかに記載のキット。
[59]標識が、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、及びビオチンから選択される、[58]に記載のキット。
[60]磁性コロイド粒子の寸法が200nm未満である、[54]から[59]のいずれかに記載のキット。
[61]磁性コロイド粒子が磁性流体粒子である、[54]から[60]に記載のキット。
[62]磁性コロイド粒子が、抗体又はその抗原結合性フラグメントにコンジュゲートしている、[54]から[61]のいずれかに記載のキット。
[63]抗体が抗TREML2抗体である、[62]に記載のキット。
[64]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[63]に記載のキット。
[65]配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[65]に記載のキット。
[66]更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される阻害剤を含む、[54]から[65]のいずれかに記載のキット。
[67]キレート剤がEDTAである、[66]に記載のキット。
[68]更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、外因性凝集増強因子(EAEF)を含む、[54]から[67]のいずれかに記載のキット。
[69](a)胎児細胞の表面上で発現するタンパク質に結合し得る、磁性コロイド粒子に結合した第1の抗体、及び(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントを含むキット。
[70]第1の抗体が、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する、[65]に記載のキット。
[71]磁性コロイド粒子が磁性流体粒子である、[69]又は[27]に記載のキット。
[72]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[69]から[71]のいずれかに記載のキット。
[73]配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[72]に記載のキット。
[74]更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、ジアミノブタンからなる群から選択される阻害剤を含む、[69]から[73]のいずれかに記載のキット。
[75]キレート剤がEDTAである、[74]に記載のキット。
[76]更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、外因性凝集増強因子(EAEF)を含む、[69]から[75]のいずれかに記載のキット。
[77]細胞ベースの胎児遺伝的検査方法であって、
(a)妊娠中の対象から得られた、複数の細胞を含む試料を、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程、
(b)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程、
(c)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞からの1つ以上の核酸分子を解析する工程、及び
(d)1つ以上の核酸分子の解析に基づいて報告を作成する工程であって、報告が1つ以上の遺伝的異常を有する胎児の可能性を提供する、工程
を含む方法。
[78]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞が胎児細胞である、[77]に記載の方法。
[79]胎児細胞が胎児赤芽球である、[78]に記載の方法。
[80]胎児細胞が胎児栄養膜細胞である、[78]に記載の方法。
[81]1つ以上の核酸分子を解析する工程が、核型分析を行う工程を含む、[77]から[80]のいずれかに記載の方法。
[82]1つ以上の核酸分子を解析する工程が、配列解析を行う工程を含む、[77]から[80]のいずれかに記載の方法。
[83]配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、[82]に記載の方法。
[84]1つ以上の遺伝的異常が、トリソミー、性染色体異常及び構造異常から選択される、[77]から[83]のいずれかに記載の方法。
[85]トリソミーが、トリソミー3、トリソミー4、トリソミー6、トリソミー7、トリソミー8、トリソミー9、トリソミー10、トリソミー11、トリソミー12、トリソミー13、トリソミー16、トリソミー17、トリソミー18、トリソミー20、トリソミー21及びトリソミー22から選択される、[84]に記載の方法。
[86]性染色体異常が、モノソミーX、トリプルX症候群及びクラインフェルター症候群から選択される、[85]に記載の方法。
[87]構造異常がコピー数多型(CNV)である、[86]に記載の方法。
[88]構造異常が、CNVの欠失又はCNVの重複である、[87]に記載の方法。
[89]抗TREML2抗体が磁性粒子にコンジュゲートしている、[77]から[88]のいずれかに記載の方法。
[90]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[89]に記載の方法。
[91]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[90]に記載の方法。
[92]工程(b)が、試料を磁場にさらす工程を含む、[89]から[91]のいずれかに記載の方法。
[93]工程(a)の前に更に、試料を、EpCAM、CD105及びCD71から選択されるタンパク質に結合する第1の抗体と接触させる工程を含む、[77]から[88]のいずれかに記載の方法。
[94]工程(a)の前に更に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む、[93]に記載の方法。
[95]第1の抗体が磁性粒子にコンジュゲートしている、[93]又は[94]に記載の方法。
[96]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[95]に記載の方法。
[97]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[96]に記載の方法。
[98]第1の抗体に結合した細胞を単離する工程が、試料を磁場にさらす工程を含む、[95]から[97]のいずれかに記載の方法。
[99]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、標識にコンジュゲートしている、[77]から[88]及び請求項93から98のいずれか一項に記載の方法。
[100]標識が蛍光標識である、[99]に記載の方法。
[101]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[100]に記載の方法。
[102]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[101]に記載の方法。
[103]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[101]に記載の方法。
[104]更に、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントと接触させる工程を含む、[77]から[92]のいずれかに記載の方法。
[105]第2の抗体が、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントである、[104]に記載の方法。
[106]第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、[104]又は[105]に記載の方法。
[107]標識が蛍光標識である、[106]に記載の方法。
[108]更に、第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を含む、[107]に記載の方法。
[109]第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[108]に記載の方法。
[110]第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[109]に記載の方法。
[111]第2の抗体又はその抗原結合性フラグメントに結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[109]に記載の方法。
[112]抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[77]から[111]のいずれかに記載の方法。
[113]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[77]から[111]のいずれかに記載の方法。
[114]配列番号6~11のいずれか1つが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[113]に記載の方法。
[115]妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を第1の抗体と接触させる工程であって、第1の抗体は骨髄細胞上で発現するトリガー受容体様2(TREML2)タンパク質に結合するか(抗TREML2抗体)、又はその抗原結合性フラグメントである、工程、及び
(b)第1の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程
を含む方法。
[116]胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である、[115]に記載の方法。
[117]第1の抗体が、1つ以上の磁性粒子にコンジュゲートしている、[115]又は[116]に記載の方法。
[118]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[117]に記載の方法。
[119]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[118]に記載の方法。
[120]更に、試料を磁場にさらす工程を含む、[117]から[119]のいずれかに記載の方法。
[121]磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[117]から[120]のいずれかに記載の方法。
[122]工程(b)の前に更に、磁性粒子の凝集を誘導するために、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、[121]に記載の方法。
[123]濃縮試料を生成するために、更に、第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む、[122]に記載の方法。
[124]濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、更に、第1のEAEF又は第2のEAEFに結合し得る第3のEAEFを濃縮試料に添加する工程を含む、[123]に記載の方法。
[125]第3のEAEFが、前記特異的結合対の一員である、[124]に記載の方法。
[126]工程(a)の前に更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む、[115]から[125]のいずれかに記載の方法。
[127]凝集阻害剤がキレート剤である、[126]に記載の方法。
[128]キレート剤がEDTAである、[127]に記載の方法。
[129]第1の抗体が標識にコンジュゲートしている、[115]又は[116]に記載の方法。
[130]標識が蛍光標識である、[129]に記載の方法。
[131]工程(b)の前に更に、第1の抗体に結合した細胞を、免疫蛍光技術に基づいて単離する工程を含む、[130]に記載の方法。
[132]第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[131]に記載の方法。
[133]第1の抗体に結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[131]に記載の方法。
[134]工程(b)が、配列解析を行う工程を含む、[115]から[133]のいずれかに記載の方法。
[135]配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、[134]に記載の方法。
[136]更に、胎児細胞を解析する工程を含む、[115]から[135]のいずれかに記載の方法。
[137]胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む、[136]に記載の方法。
[138]遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む、[137]に記載の方法。
[139]第1の抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[115]から[138]のいずれかに記載の方法。
[140]配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[139]に記載の方法。
[141]第1の抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[115]から[138]のいずれかに記載の方法。
[142](a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント。
[143]配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[142]に記載の抗TREML2抗体。
[144]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される2つ以上のCDRを含む、[142]又は[143]に記載の抗TREML2抗体。
[145]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される3つ以上のCDRを含む、[142]又は[143]に記載の抗TREML2抗体。
[146]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される4つ以上のCDRを含む、[142]又は[143]に記載の抗TREML2抗体。
[147]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される5つ以上のCDRを含む、[142]又は[143]に記載の抗TREML2抗体。
[148]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)のCDRのすべてを含む、[142]又は[143]に記載の抗TREML2抗体。
[149]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが標識にコンジュゲートしている、[142]から[148]のいずれかに記載の抗TREML2抗体。
[150]標識が蛍光標識である、[149]に記載の抗TREML2抗体。
[151]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、磁性粒子にコンジュゲートしている、[142]から[148]のいずれかに記載の抗TREML2抗体。
[152]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[151]に記載の抗TREML2抗体。
[153]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[152]に記載の抗TREML2抗体。
[154]磁性コロイド粒子が200nm未満である、[152]又は[153]に記載の抗TREML2抗体。
[155]磁性コロイド粒子が約80~200nmの間である、[152]又は[153]に記載の抗TREML2抗体。
[156]磁性コロイド粒子が約90~150nmの間である、[152]又は[153]に記載の抗TREML2抗体。
[157]磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する、[152]から[156]のいずれかに記載の抗TREML2抗体。
[158]磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する、[157]に記載の抗TREML2抗体。
[159]磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する、[157]に記載の抗TREML2抗体。
[160]磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む、[152]から[159]のいずれかに記載の抗TREML2抗体。
[161]磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[151]から[160]のいずれかに記載の抗TREML2抗体。
[162](a)抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメント、及び(b)抗TREML2抗体にコンジュゲートした磁性粒子を含む抗TREML2抗体コンジュゲート。
[163]磁性粒子が磁性コロイド粒子である、[155]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[164]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[156]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[165]磁性コロイド粒子が200nm未満である、[163]又は[164]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[166]磁性コロイド粒子が約80~200nmの間である、[163]又は[164]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[167]磁性コロイド粒子が約90~150nmの間である、[163]又は[164]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[168]磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する、[163]から[167]のいずれかに記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[169]磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する、[168]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[170]磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する、[169]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[171]磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む、[163]から[170]のいずれかに記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[172]磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[162]から[171]のいずれかに記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[173]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、
(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCVR CDR1、
(b)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(c)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCVR CDR1、
(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[162]から[171]のいずれかに記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[174]配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[173]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[175]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される2つ以上のCDRを含む、[173]又は[174]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[176]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される3つ以上のCDRを含む、[173]又は[174]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[177]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される4つ以上のCDRを含む、[173]又は[174]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[178]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)から選択される5つ以上のCDRを含む、[173]又は[174]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[179]抗TREML2抗体又はその抗原結合性フラグメントが、(a)~(f)のCDRのすべてを含む、[173]又は[174]に記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[180]抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[162]から[171]のいずれかに記載の抗TREML2抗体コンジュゲート。
[181]妊娠中の対象から得られた母体試料から胎児細胞試料を調製する方法であって、
(a)胎児細胞及び母体細胞を含む母体試料を、第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程であって、第1の抗体コンジュゲートが(i)第1の抗体及び(ii)磁性コロイド粒子を含み、第1の抗体が磁性コロイド粒子にコンジュゲートしている、工程、並びに
(b)母体試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体コンジュゲートに結合した細胞を単離し、それによって胎児細胞試料を調製する工程
を含む方法。
[182]磁性コロイド粒子が200nm未満である、[181]に記載の方法。
[183]磁性コロイド粒子が約80~200nmの間である、[181]に記載の方法
[184]磁性コロイド粒子が約90~150nmの間である、[181]に記載の方法。
[185]磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する、[181]から[184]のいずれかに記載の方法。
[186]磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する、[185]に記載の方法。
[187]磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する、[185]に記載の方法。
[188]磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む、[181]から[187]のいずれかに記載の方法。
[189]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[181]から[188]のいずれかに記載の方法。
[190]磁性コロイド粒子が更に、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にコンジュゲートしている、[181]から[189]のいずれかに記載の方法。
[191]更に、母体試料に、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、[190]に記載の方法。
[192]第1の抗体が抗TREML2抗体である、[181]から[191]のいずれかに記載の方法。
[193]第1の抗体が抗CD71抗体である、[181]から[191]のいずれかに記載の方法。
[194]第1の抗体が、EpCAM及びCD105から選択されるタンパク質に結合する、[181]から[191]のいずれかに記載の方法。
[195]胎児細胞試料を調製する工程が更に、母体試料から単離された細胞を、第2の抗体と接触させる工程を含む、[194]に記載の方法。
[196]第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、[195]に記載の方法。
[197]標識が蛍光標識である、[196]に記載の方法。
[198]胎児細胞試料を調製する工程が更に、第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を含む、[197]に記載の方法。
[199]第2の抗体に結合した細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[198]に記載の方法。
[200]第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[199]に記載の方法。
[201]第2の抗体に結合した細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[199]に記載の方法。
[202]TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む、[26]に記載の方法。
[203]配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[26]に記載の方法。
[204]磁性コロイド粒子が200nm未満である、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[205]磁性コロイド粒子が約80~200nmの間である、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[206]磁性コロイド粒子が約90~150nmの間である、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[207]磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[208]磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[209]磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[210]磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む、[4]、[5]、[30]、[31]、[90]、[91]、[96]、[97]、[118]及び[119]のいずれかに記載の方法。
[211]抗TREML2抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、[1]から[25]のいずれかに記載の方法。
[212]妊娠中の対象からの試料中の胎児細胞を検出する方法であって、
(a)複数の細胞を含む試料を、磁性コロイド粒子に結合した第1の抗体を含む第1の抗体コンジュゲートと接触させる工程、
(b)試料を磁場にさらすことにより、第1の抗体に結合した細胞を単離し、それによって濃縮試料を生成する工程、
(c)濃縮試料を、胎児細胞の表面上のマーカーに結合する第2の抗体と接触させる工程、及び
(d)第2の抗体に結合した細胞を、胎児細胞と同定する工程
を含む方法。
[213]胎児細胞が胎児有核赤血球(fnRBC)である、[212]に記載の方法。
[214]磁性コロイド粒子が磁性流体磁性粒子である、[212]又は[213]に記載の方法。
[215]磁性コロイド粒子が200nm未満である、[212]から[214]のいずれかに記載の方法。
[216]磁性コロイド粒子が約80~200nmの間である、[212]から[214]のいずれかに記載の方法。
[217]磁性コロイド粒子が約90~150nmの間である、[212]から[214]のいずれかに記載の方法。
[218]磁性コロイド粒子が、少なくとも50%の磁気質量を有する、[212]から[217]のいずれかに記載の方法。
[219]磁性コロイド粒子が、少なくとも60%の磁気質量を有する、[212]から[217]のいずれかに記載の方法。
[220]磁性コロイド粒子が、70%~90%の間の磁気質量を有する、[212]から[217]のいずれかに記載の方法。
[221]磁性コロイド粒子が、コーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアを含む、[212]から[220]のいずれかに記載の方法。
[222]磁性粒子が、ビオチン-ストレプトアビジン、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、プロテインA-抗体Fc、並びにアビジン-ビオチン、ビオチン類似体-アビジン、デスチオビオチン-ストレプトアビジン、デスチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-ストレプトアビジン、及びイミノビオチン-アビジンを含む群から選択される特異的結合対の一員を1つ含む、第1の外因性凝集増強因子(EAEF)にカップリングしている、[212]から[221]のいずれかに記載の方法。
[223]工程(a)が、磁性粒子の凝集を誘導するために、前記特異的結合対の他方の一員を含む第2のEAEFを添加する工程を含む、[222]に記載の方法。
[224]工程(b)が、濃縮試料中での磁性粒子の凝集を反転させるために、前記特異的結合対の一員を濃縮試料に添加する工程を含む、[223]に記載の方法。
[225]工程(a)の前に更に、還元剤、免疫複合体、キレート剤、及びジアミノブタンからなる群から選択される少なくとも1つの凝集阻害剤を試料に添加する工程を含む、[212]から[224]のいずれかに記載の方法。
[226]凝集阻害剤がキレート剤である、[225]に記載の方法。
[227]キレート剤がEDTAである、[226]に記載の方法。
[228]第2の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、[212]から[227]のいずれかに記載の方法。
[229]工程(d)の前に更に、単一胎児細胞を単離する工程を含む、[228]に記載の方法。
[230]単一胎児細胞を単離する工程を、第2の抗体に結合した単一胎児細胞を単離する工程により行う、[229]に記載の方法。
[231]第2の抗体が標識にコンジュゲートしている、[230]に記載の方法。
[232]標識が蛍光標識である、[231]に記載の方法。
[233]単一胎児細胞を単離する工程が、免疫蛍光技術に基づく、[232]に記載の方法。
[234]単一胎児細胞を単離する工程を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により行う、[233]に記載の方法。
[235]単一胎児細胞を単離する工程を、DEPArrayにより行う、[233]に記載の方法。
[236]工程(d)が、配列解析を行う工程を含む、[212]から[233]のいずれかに記載の方法。
[237]配列解析が、ショートタンデムリピート(STR)解析を含む、[236]に記載の方法。
[238]更に、胎児細胞を解析する工程を含む、[212]から[237]のいずれかに記載の方法。
[239]胎児細胞を解析する工程が、ゲノム解析又は遺伝的解析を行う工程を含む、[238]に記載の方法。
[240]遺伝的解析を行う工程が、胎児細胞中の1つ以上の遺伝的異常の存在又は不存在を検出する工程を含む、[239]に記載の方法。
[241]第1の抗体が、TREML2タンパク質に結合する抗体であるか、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントを含む、[212]から[240]のいずれかに記載の方法。
[242]TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、
(i)配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)相補性決定領域(CDR)1、
(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCVR CDR2、
(iii)配列番号8のアミノ酸配列を含むHCVR CDR3、
(iv)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)CDR1、
(v)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCVR CDR2、及び
(vi)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCVR CDR3
から選択される1つ以上のCDRを含む、[228]から[235]及び請求項241のいずれか一項に記載の方法。
[243]TREML2タンパク質に結合する抗体、又はTREML2タンパク質に結合する抗原結合性フラグメントが、(i)~(vi)から選択されるCDRの2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む、[242]に記載の方法。
[244]配列番号6~11のいずれかが独立に、1つ以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を含む、[242]又は[243]に記載の方法。
[245]TREML2タンパク質に結合する抗体が、sc-109096、ARP49877#P050、OACA04996、AF3259、MA5-30973、PA5-47471、ABIN634968、ABIN928294、30-552、ABIN2463297、ABIN19999041、11655-r001、ABIN749888、bs-2737r、ABIN1999045、11655-rp02、ABIN293207、ABIN2387613、t8282-40、ABIN4249314、nbp1-70737-20ul及びBD563661から選択される、請求228から235及び[241]のいずれかに記載の方法。
【0251】
[実施例]
[実施例1]
胎児細胞用の新規マーカーの同定
この実施例は、胎児細胞用の新規マーカーの同定を記載する。
【0252】
有核赤血球(nRBC)の調製
超音波ガイド手法により、胎児全血(n=5)を、外科的妊娠中絶が予定された妊婦(妊娠10+0 15+6週)から得た。
【0253】
末梢血20mLを、妊婦から、分娩時(n=2)又は外科的妊娠中絶前(n=1)に採取した。
【0254】
採取後、胎児血液及び母体血液を、等体積のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、パーコール勾配上にゆっくりと重ねた。試料を、1800rpmで10分間、室温で遠心分離した。胎児赤芽球又は成人赤芽球を含有する界面の層を回収し、PBSで2回洗浄した。
【0255】
母体血液に関しては、抗CD45マイクロビーズ及び抗CD15マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)で細胞を標識することにより、LDカラム(Miltenyi Biotec)を使用してCD45/CD15陽性細胞の枯渇工程を行った。
【0256】
母体血液に関しては、RBC混入細胞を除去し成人赤芽球を濃縮するために、マイクロ流体デバイスも使用した。
【0257】
フローサイトメトリーによる濃縮及びセルソーティング
FACSソーティング用の試料を調製するために、胎児血液及び母体血液からの濃縮細胞を、抗CD71抗体(Miltenyi Biotec)、抗GPA抗体(BD Bioscience)、抗CD45抗体(Miltenyi Biotec)、Hoechst(核染色)、及びSytox Green色素(生細胞/死細胞)により、室温で30分間染色した。
【0258】
FACSソーティング
図5A~5Eに示すように、赤芽球細胞をゲートしソーティングした。図5B:FSC-H/Wゲートでダブレット細胞を除外。図5C:Sytox Green陰性生細胞をゲート。図5D:二重陽性GPA/Hoechstをゲート。図5E:CD71陽性/CD45陰性細胞をゲート。
【0259】
胎児血液試料に関しては、200,000個未満の標的赤芽球をソートした。
【0260】
母体血液試料に関しては、母体赤芽球数は1,000個を超えることはなかった。
【0261】
ソートした集団を用いたRNA抽出
処理、ソートした細胞を、全RNA抽出に使用した。
【0262】
Picopure RNA単離キット(Applied Biosystems)を使用して、ソートした細胞から全RNAを抽出し、Quant-iT RiboGreen RNAアッセイキット(Thermo Fisher)により定量し、品質管理のために、RNA 6000 Picoキットを使用してAgilent 2100バイオアナライザで解析した。
【0263】
RNAseq調製及びライブラリー調製
イルミナシーケンシングに基づいてcDNAライブラリーを調製した(付録A;RNA-seqプロトコール)。シーケンシングは、HiSeq 2000を用いて2000万リード/試料で行った。
【0264】
シーケンシング
次世代シーケンシング(Illumina)から得られたリードをまず、FastQCプロトコールを使用して標準手順により品質検査してから、基準ゲノムに対してマッピングし、続いてSTARソフトウェアバージョン2.5を使用して定量した。生成したリードカウントマトリクス(即ち、各試料中で検出されたすべての特徴-コードRNA又は非コードRNA(coding or on coding)-に対するリードカウントの表)の次元を、データ削減工程により削減し、単一試料中に少なくとも1つの単一カウントを有する遺伝子のみを維持する。
【0265】
バイオインフォマティクスツールによるデータ解析
比較する2種類の試料間でその発現が著しく高い又は低い遺伝子を見出すために、得られたデータを更に、差次的発現用のDESeq2 R/Bioconductorパッケージを用いて処理した。
【0266】
以下の工程からなるDESeq2差次的発現デフォルト解析を行った:各試料に対する、「比率中央値法(median ratio method)」(Anders及びHuber、2010)を使用した寸法係数の推定;各遺伝子に対して、負の二項分布データの分散を最適化するフィッティング法を用いて見出された分散を推定する;最後に、得られた寸法係数及び分散推定を、フィットさせた分布の係数の有意性の検定(test for significance of coefficient of the fitted distribution)に使用した。
【0267】
最終的に、DESeq2解析からの結果表を抽出して、非ゼロの総リードカウントを有する20205個の特徴(遺伝子)に関して、試料全体にわたるベース平均値(base mean)、log2倍率変化、標準誤差、検定統計量、p値及び調整済みp値を得た。差次的発現遺伝子を、調整済みp値(Benjamini-Hochberg/FDR法)カットオフ0.01及び発現2倍変化のカットオフに従ってフィルタリングした。これらのパラメーターにより、3233個の遺伝子を差次的発現として選択し、それらの大部分(2961個)は、胎児血液中で(倍率変化カットオフとはかかわりなく)アップレギュレートされた。
【0268】
得られた遺伝子表に、Ensemblデータベースから抽出したアノテーション及び機能説明を与えた。遺伝子オントロジータームGO:0005886に従うアノテーション「原形質膜」と関連する遺伝子にはフラグを付け、更にUniprotデータベースからデータを得て「膜貫通型」とタグを付けた。それらのうち、366個の原形質膜遺伝子は差次的発現し、それらの大部分(336個)は、胎児細胞中で(倍率変化カットオフとはかかわりなく)アップレギュレートされた。
【0269】
差次的発現解析に並行して、リードカウントを正規化し、より厳しい発現基準を用いて選択を行うために、DESeq2を使用して変換した。第1の選択は、胎児試料中でのみ発現する遺伝子、即ち、3つの母体試料すべてにおいてゼロリードの遺伝子のリスト(12187遺伝子、リスト「全データ(ALL DATA)」)を起点に、以下の基準に従って行った。1)すべての胎児試料中で検出された(即ち発現した)遺伝子の選択、2)発現の平均値/標準偏差比が1超である遺伝子の選択、3)原形質膜GOタグに関連し、Uniportデータベースにより「予測される膜貫通型」とタグ付けされた遺伝子の選択。以下の選択スキームを参照。得られた77個の遺伝子を、次いで胎児平均発現の低下に従ってランク付けした(リスト「ランク付け(RANKED)」)。マニュアルキュレーションによる最終選択は、公知の生物学的機能、試料全体にわたる発現レベルの安定性、絶対的発現レベルの粗推定 (遺伝子長と比べたリード)、抗体入手性、及び他の生物学的考察を考慮に入れて行った(16個の遺伝子、リスト「選択済み(Selected)」)。
【0270】
選択スキーム
以下が、胎児細胞用の潜在的な新規マーカーの同定に使用した選択スキームである。
1)いずれの母体試料中でも発現しない遺伝子:12187個
2)すべての胎児試料中に限り発現する遺伝子:2079個
2.1)GO原形質膜タームと関連するとアノテーションされた遺伝子:213個
2.2)UniProtにより膜貫通型と予想された遺伝子:305個
3)GO原形質膜と関連し膜貫通型と予想された遺伝子:89個
4)平均値/標準偏差比が1超である遺伝子:77個
【0271】
遺伝子リストからの差次的発現遺伝子のランク付け
更なる、マニュアルキュレーションによる最終選択及びランク付け法は、転写物長、リード数、及び別の生物学的関連基準(biologically relevant criteria)を考慮して行い、得られた上位候補は以下であった。
【0272】
【表1】
【0273】
選択された標的分子に対して特異的な抗体の同定
FACS解析による、赤芽球に対するAb候補の試験
RNAレベルでの差次的発現が、それぞれのタンパク質のレベルにおいて反映されるかを判定するために、フローサイトメトリー及びDEPArray解析用の市販入手可能な抗体(n=13)を用いて免疫染色を行った。
【0274】
陰性対照として、その市販抗体と同じ蛍光色素をコンジュゲートしたアイソタイプ一致Abを、同濃度で使用した。
【0275】
表2に示す13個の抗体すべてをまず、凍結胎児血液に対して試験した。
【0276】
胎児赤芽球上で明確に発現した抗体のみを、凍結母体血液試料に対して試験した。
【0277】
試験する特異的抗体又はアイソタイプ対照に加えて、染色に使用した抗体は、赤芽球の同定用にCD71 Ab(Miltenyi Biotec)、GPA Ab(BD Bioscience)、CD45 Ab(Miltenyi Biotec)、Hoechstを含む。簡単に言うと、細胞(2.5~5×105)を、FcRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)の存在下、室温で30分間、Abとインキュベートした。未結合Abを洗い落とした後、細胞ペレットを、Sytox Green色素を含むAutoMACS泳動用緩衝液(Miltenyi)で再懸濁した。
【0278】
【表2】
【0279】
Ab1であるTLT2は、TREML2に対して使用した(本明細書では以後、TLS-1とも呼ばれる)
【0280】
[実施例2]
細胞の捕捉及び選択用の磁性流体技術
この実施例では、胎児細胞で排他的に発現される選択した抗体を、磁性流体コンジュゲーションに使用した。TREML2-FF(TLS1-FFとも呼ばれる)は、TLS1遺伝子が発現するタンパク質に結合できる、磁性流体に結合した抗体に関する。
【0281】
FF-Abの寸法は、NanoBrook Zeta Plus粒子サイズアナライザーを使用して調べ、濃度は分光光度計を用いて調べた。
【0282】
【0283】
制御された濃縮
内因性の磁性流体凝集因子を阻害するために、血液試料は、磁性流体を血液に添加する前に、1つ以上の阻害剤を含有する緩衝液とプレインキュベートする(参照によりその全体が組み込まれている、EP1311820に記載される)。阻害剤の1つは、細胞の標識に使用されるリガンドに影響を与えることなくIgM誘発性凝集を不可能にする還元剤、例えば、100mMのメルカプトエタンスルホン酸であり得る。還元剤は、単一試薬として血液に添加され得る。第2の阻害剤は、緩衝液中に10mg/mlで含まれ得る、任意のHABAAを中和するウシ血清アルブミンであり得る。第3の阻害剤は、非特異的マウス抗体、特に、磁性流体上の抗体に一致する適切なアイソタイプであり得る。その第3の阻害剤は、緩衝液中に0.5~5mg/mlの濃度で含まれ得て、最も厄介なHAMAでさえも中和する。第4の阻害剤は、血漿中に存在する任意の抗ストレプトアビジン抗体を中和するために、必要であれば緩衝液中に含まれ得るストレプトアビジンであり得る。上記の緩衝液及び還元剤による血液の前処理は、すべての内因性凝集因子を中和するために、15~30分であり得る。すべての内因性凝集因子を中和した後、外因性磁性流体凝集因子を試料に添加してから磁性流体を添加する。磁性流体は、標的に特異的な抗体にカップリングしていると同様に、外因性凝集因子に特異的な別のリガンドにカップリングしている。磁性流体を用いて標的細胞を最適に標識し、外因性凝集因子により磁性流体の凝集を誘導した後、標的を濃縮するために試料を磁気分離にかける。
【0284】
試料を、磁気分離機(Immuniconカタログ番号QS-012)中に10分間置く。試料を磁石から取り出してボルテックスにより混合し、磁気標識された細胞を捕集するために、磁気分離機中に戻し10分間置く。非捕集試料を吸引し、磁気捕集細胞は、洗浄希釈緩衝液0.75ml中に再懸濁し、磁気分離機中で10分間再分離する。非捕集試料を捨てて、捕集細胞は、磁気分離機からチューブを取り出した後に再懸濁した。すべての非標的を除去した後、磁気標識された標的及び遊離の磁性流体を緩衝液中に再懸濁する。いくつかの場合、外因性の(exogenous mediated)磁性流体凝集を反転させるべきである。それは、外因性凝集因子に結合する脱凝集因子を含有する緩衝液中に最終試料を再懸濁することで達成される。脱凝集因子は、すべての磁性流体凝集体を脱凝集させ、細胞を更なる解析用に扱い易いようにする。
【0285】
[実施例3]
胎児細胞の検出及び解析
この実施例は、単一胎児細胞の単離及び解析を記載する。DEPArrayは、参照によりその全体が組み込まれている、EP2152859に記載されるように行い得る。
【0286】
妊婦及び健康なボランティア
末梢血試料を、14人の妊娠12週~17+2週の妊婦から、静脈穿刺により、10mLのCellSave保存チューブ(Menarini Silicon Biosystems、ハンティンドンバレー、PA、米国)に採取した。スパイキング実験(spiking experiment)には、健康なドナーから末梢血を採取した。全ドナーは、書面による同意書を提供し、研究プロトコールは、サンヘラルド病院、モンツァ(イタリア)の医学倫理委員会によって承認された。全試料は、1~4日後に処理した。
【0287】
混入細胞から胎児栄養膜細胞を濃縮するために、磁性流体にカップリングした、上皮細胞接着抗原(EpCAM)、血管内皮マーカー(CD105)及び/又はTREML2に対する各抗体を使用した。濃縮細胞を、フィコエリトリン(PE)標識抗TREML2モノクローナル抗体(mAb)で標識した。白血球を認識するために、濃縮細胞をまた、アロフィコシアニン(APC)標識抗サイトケラチンmAb C11、APC標識抗HLA-G mAb、及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗CD45 mAbで蛍光標識した。
【0288】
標的細胞(例えば栄養膜細胞)のこの濃縮手順が必要である。なぜなら、母体血液中での前記細胞の頻度は非常に低く、全血(10億個超の細胞を含有)1ml中にたった1~10個細胞であることが知られているからである。
【0289】
スパイキング用のCVS及び臍帯血
健康なボランティアからの全血に、絨毛採取(CVS)由来の胎児栄養膜細胞、又は臍帯血由来の胎児赤芽球細胞をスパイキングした。
【0290】
CVS培養を、そのCD105/EpCAM発現用に選択した。細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)及びL-グルタミン(Gibco)を補充したRPMI 1640(Gibco)中、37℃及び5% CO2において増殖させた。スパイキング前に、細胞をフラスコから剥離し、PBS(Gibco)10ml中に再懸濁し、CellSave保存チューブ中に、少なくとも1日間置いた。
【0291】
サンヘラルド病院から入手した臍帯血試料を、CellSave保存チューブに捕集した。
【0292】
スパイキング実験は、胎児細胞を捕捉するために磁性流体結合型抗体を使用する場合の選択手順の特異性を示すために行った。
【0293】
胎児血液試料及び骨髄試料
超音波ガイド手法により、胎児全血(n=3)を、外科的妊娠中絶が予定された妊婦(妊娠10+0 15+6週)から得た。
【0294】
全ドナーは、書面による同意書を提供し、研究プロトコールは、KK母子医療センター(シンガポール)の医学倫理委員会によって承認された。
【0295】
採取後、胎児血液を、等体積のPBSで希釈し、パーコール勾配上にゆっくりと重ねた。試料を、1800rpmで10分間、室温で遠心分離した。胎児赤芽球を含有する界面の層を回収し、PBSで2回洗浄した。
【0296】
成人赤芽球を含有する凍結保存された骨髄単核細胞を購入した(Lonza、カタログ2M-125C)。製造業者の説明書のように、細胞を解凍し、DNaseI処理し、洗浄した。次いで細胞を、10% FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミンを補充したRPMI培地中、37度で1時間休ませ、陰性対照として使用した(3人の異なるドナーを試験した)。
【0297】
フローサイトメトリーを使用して、市販入手可能なTREML2抗体の4つのクローンを試料中で試験した。
【0298】
市販TREML2 Abと同じ蛍光色素をコンジュゲートしたアイソタイプ一致Abを、同濃度で使用した。TREML2 Ab又はアイソタイプ対照に加えて、染色に使用したAbは、CD71 Ab(Miltenyi Biotec)、GPA Ab(BD Bioscience)、CD45 Ab(Miltenyi Biotec)、Hoechstを含む。簡単に言うと、細胞(2.5~5×105)を、FcRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec)の存在下、室温で30分間、Abとインキュベートした。未結合Abを洗い落とした後、FACS解析で生細胞をゲートするために、細胞ペレットを、Sytox Green色素を含む泳動用緩衝液で再懸濁した。
【0299】
制御凝集用のデスチオビオチン磁性流体抗体の調製
いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用する磁性流体が、コロイドのように挙動する粒子である。そのような粒子は、概して200ナノメートル(nm)未満であるサブミクロンの粒子サイズ、及び溶液からの重力分離に対する長時間にわたる抵抗性によって特徴付けられる。90~150nmの範囲内であり70~90%の間の磁気質量を有する粒子を使用する。適切な磁性粒子は、例えば、物理吸着又は共有結合で磁性コアに結合して、安定化させるコロイド性を与えるコーティング分子で囲まれた、超常磁性体の結晶コアからなる。好ましくは、コーティング材を、試料中に見出される生体高分子と磁性コアとの間の非特異的相互作用を妨げるために効果的な量で適用する。そのような生体高分子は、非標的細胞の表面上のシアル酸残基、レクチン、糖タンパク質、及び他の膜成分を含み得る。更に、コーティング材は、できるだけ高い磁気質量/ナノ粒子比を含有する。コアを含む磁性結晶の寸法は、完全磁区を含有しないように十分に小さい。ナノ粒子の寸法は、そのブラウン動力がその磁気モーメントに勝るような寸法である。従って、それらの磁性コロイド粒子のN極・S極アライメントとそれに続く相互引力/反発とは、やや強力な磁場中であってさえも発生しないらしく、その溶液の安定性に寄与する。最後に、磁性粒子は、外部高勾配磁気分離機中で分離され得る。その特性が、試料の操作を容易にし、強磁性ビーズ又はスチールウールをロードしたより複雑な内部勾配カラムに勝る経済的な利点を提供する。上記の特性を有する磁性粒子は、EP0842042に記載される基材の修飾により調製され得る。本発明の好ましい実施形態では、抗CD105抗体でコートされた磁性粒子を、参照によりその全体が組み込まれているUS6,365,362 B1に記載されるように調製する。
【0300】
CD105抗原に対する組換えヒト抗体は、ハイブリドーマ番号166707(R&D Systems)から入手し、米国特許出願第09/248,388号に記載される標準的カップリング化学により、基材にコンジュゲートした。次いで、N-ヒドロキシスクシンイミド-DL-デスチオビオチン(NHS-デスチオビオチン)(Sigma、カタログ番号H-2134)を使用してデスチオビオチンにコンジュゲートするために、CD105 Ab磁性流体を20mM HEPES、pH7.5に再懸濁した。NHSデスチオビオチンのストック溶液は、DMSO中の1mg/mlで作製した。NHS-デスチオビオチン(5mg)を、CD105 Ab磁性流体1mgに添加して、室温で2時間インキュベートした。未反応のNHS-デスチオビオチンは、1mg/mlのBSA、0.05% Proclin 300を含有する20mM HEPES、pH7.5での3回の洗浄により、高勾配磁石を使用して除去した。最終洗浄後、デスチオビオチン/CD105 Ab磁性流体を、水/BSA/Proclin 300中に再懸濁し、0.2umシリンジフィルターを通してろ過した。CD105 Ab磁性流体の鉄濃度は、分光光度アッセイを使用して測定し、0.22mg/mlに調整した。粒子サイズ測定は、粒子サイズアナライザーNanoBrook 90Plus(Brookhaven Instruments Corporation)を使用して行った。
【0301】
抗CD71抗体、抗TREML2抗体、及び抗EpCAM抗体は、同じ方法を使用して、磁性流体にコンジュゲートした。
【0302】
血液の処理
血液の一定分量(aliquot)7.5mlを、希釈バッファ(Menarini Silicon Biosystems)6.5mlで希釈した。
【0303】
内因性の磁性流体凝集因子を阻害するために、血液試料(一定分量7.5ml)は、磁性流体を血液に添加する前に、1つ以上の阻害剤を含有する希釈緩衝液(Menarini Silicon Biosystems)6.5mlとプレインキュベートする(参照によりその全体が組み込まれているEP1311820に記載される)。阻害剤の1つは、細胞の標識に使用されるリガンドに影響を与えることなくIgM誘発性凝集を不可能にする還元剤、例えば、100mMのメルカプトエタンスルホン酸であり得る。還元剤は、単一試薬として血液に添加され得る。第2の阻害剤は、緩衝液中に10mg/mlで含まれ得て任意のHABAAを中和するウシ血清アルブミンであり得る。第3の阻害剤は、非特異的マウス抗体、特に、磁性流体上の抗体に一致する適切なアイソタイプであり得る。その第3の阻害剤は、緩衝液中に0.5~5mg/mlの濃度で含まれ得て、最も厄介なHAMAでさえも中和する。第4の阻害剤は、血漿中に存在する任意の抗ストレプトアビジン抗体を中和するために、必要であれば緩衝液中に含まれ得るストレプトアビジンであり得る。上記の緩衝液及び還元剤による血液の前処理は、すべての内因性凝集因子を中和するために、15~30分であり得る。このインキュベーション時間中、希釈血液は、血漿を除去するために、ブレーキなしの800gで10分間、室温で遠心分離した。
【0304】
すべての内因性凝集因子を中和した後、外因性磁性流体凝集因子(ストレプトアビジン)を試料に添加してから磁性流体を添加する。磁性流体は、標的に特異的な抗体にカップリングしていると共に、外因性凝集因子に特異的な別のリガンド、例えばデスチオビオチンにカップリングしている(結合対デスチオビオチン-ストレプトアビジン)。
【0305】
胎児栄養膜細胞の濃縮には、抗CD105磁性流体、抗EpCAM磁性流体及び/又は抗TREML2磁性流体を使用した。胎児赤芽球の濃縮には、抗CD71磁性流体及び/又は抗TREML2磁性流体を使用した。磁性流体を用いて標的細胞を最適に標識し、外因性凝集因子により磁性流体の凝集を誘導した後、標的を濃縮するために試料を磁気分離にかける。
【0306】
試料を、磁気分離機(Immuniconカタログ番号QS-012)中に10分間置いた。試料を磁石から取り出してボルテックスにより混合し、磁気分離機中に戻し更に10分間置いた。試料を磁石から取り出してもう一度混合し、磁気標識された細胞を捕集するために、磁気分離機中に戻し更に20分間置いた。非捕集試料を吸引し、磁気捕集細胞は、洗浄希釈緩衝液3ml中に再懸濁し、磁気分離機中で10分間再分離した。非捕集試料を捨てて、捕集細胞は、磁気分離機からチューブを取り出した後に再懸濁した。すべての非標的を除去した後、磁気標識された標的及び遊離の磁性流体を緩衝液中に再懸濁する。いくつかの場合、外因性の磁性流体凝集を反転させる。凝集の反転は、外因性凝集因子に結合する脱凝集因子を含有する緩衝液中に最終試料を再懸濁することで達成される(結合対がデスチオビオチン-ストレプトアビジンの場合、凝集を破棄する外因性薬剤はビオチンであり得る)。理論に拘束されることは望まないが、脱凝集因子は、すべての磁性流体凝集体を脱凝集させ、細胞を更なる解析用にする。
【0307】
栄養膜細胞に関しては、濃縮細胞を、フィコエリトリン(PE)標識抗TREML2モノクローナル抗体(mAb)で蛍光標識した。栄養膜細胞に関しては、濃縮細胞を更に、DNA染色用に核酸色素(Hoechst 33342)で蛍光標識し、白血球を認識するために、アロフィコシアニン(APC)標識抗サイトケラチンmAb C11、APC標識抗HLA-G mAb、及び/又はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗CD45 mAbで蛍光標識した。
【0308】
赤芽球に関しては、濃縮細胞を、フィコエリトリン(PE)標識抗TREML2モノクローナル抗体で(mAb)で蛍光標識した。赤芽球に関しては、濃縮細胞を更に、DNA染色用に核酸色素(Hoechst 33342)で蛍光標識し、フィコエリトリン(PE)標識抗CD71モノクローナル抗体(mAb)、及び/又はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗CD45 mAbで蛍光標識した。
【0309】
染色した細胞を、2%パラホルムアルデヒド(PFA)により室温で20分間固定し、次いで洗浄し、DEPArray(商標)NxTシステム(Menarini Silicon Biosystems)又はFACS解析用の適切な緩衝液(及びその体積)中に再懸濁した。
【0310】
DEPArray解析
DEPArray(商標)NxTは、純粋な単一細胞を正確に単離するための半導体ベースの技術である。DEPArray(商標)NxTは、DEPArray(商標)制御ユニットと使い捨てカートリッジとから構成され、最新式マイクロ流体技術及びシリコンバイオチップ技術を組み合わせて、濃縮試料中の各単一標的細胞を優しく操作する。
【0311】
細胞をチップ内部で操作可能にする現象は「誘電泳動」と呼ばれ、液体懸濁媒体内の粒子を、電場の作用を介して分極化させる能力に基づく。分極化は、個々の各粒子を一列のポテンシャルウェル(potential well)中にトラップするために使用され得る力場(field of force)を創生し、従って粒子の位置を制御可能にする。各ポテンシャルウェルは、1つ以上の粒子をその初期位置から最終目的地へと、回収に向けて移動させるために、チップのプログラミングの変更により制御可能である。
【0312】
DEPArray(商標)は、希少細胞の選択及び単離を、非常に高い分離度(単一細胞に至る)及び非常に高い純度で可能にする。細胞は、明視野画像又は蛍光画像の処理により得られた蛍光シグナル及び形態的特性のマルチパラメーター解析を介して選択される。
【0313】
この技術はすでに、腫瘍患者の血液中での単一循環腫瘍細胞の単離及び選択に使用されている(参照によりその全体が組み込まれているEP1311820に記載される)。
【0314】
健康なボランティアからの全血試料に、トリソミー21を有する胎児栄養膜細胞を含有する絨毛培養をスパイキングした。試料は、前述のように濃縮し染色した。
【0315】
栄養膜細胞は、DEPArray(商標)NxTシステムで解析した。栄養膜細胞は、TREML2の陽性染色を示した。更に、汎サイトケラチン(CK)の陽性染色、検出不可能なCD45標識及び陽性核染色を示す細胞を、胎児栄養膜細胞と分類し、単一細胞として単離した。
【0316】
健康なボランティアからの全血試料に、Draq5核色素で前標識した胎児赤芽球細胞を含有する臍帯血をスパイキングした。試料は、前述のように、CD71-Ab磁性流体及びTREML2-Ab磁性流体を用いて濃縮し、染色した。赤芽球濃縮細胞を、DEPArray(商標)NxTシステムで解析した。CD71の陽性染色、検出不可能なCD45標識、及びHoechst/Draq5の陽性核染色を示す細胞を、胎児赤芽球細胞と分類した。
【0317】
ショートタンデムリピート(STR)解析による胎児細胞起源の実証
DEPArray(商標)LysePrepキット(MSB、イタリア)を使用して、製造業者の説明書に従って単離細胞を溶解した。
【0318】
単一細胞からのDNAを、ヒトゲノムにわたる27遺伝子座を標的とするマルチプレックスプライマーセットからなるPowerPlex Fusion 6cヒトDNA増幅キット(Promega TMD045)を使用してPCR増幅した。
【0319】
ゲノムDNAも、QIAgen DSP Bloodミニキット(QIAgen)を使用して母体全血200ulから単離し、対照として利用した。入手可能である場合、直接のCVS組織若しくは培養CVS組織、又は羊水のいずれかから獲得した胎児ゲノムDNAも解析した。
【0320】
STRを製造業者の推奨に従って行い、フラグメント解析は、ThermoFisher Scientifc 3500遺伝的解析装置(POP-4及び36cm毛管アレイ)を使用して行った。続くソフトウェア解析は、GeneMapper(登録商標)ID-X v1.4を使用して行った。次いで、単離した単一細胞のアリルパターンを、胎児ゲノムDNAパターン及び親ゲノムDNAパターンと比較して、アリルドロップアウト及び見込まれる遺伝パターンを評価した。
【0321】
POC:20人の妊娠第1三半期の妊婦の臨床研究
末梢血試料20mlを、妊娠12週~17+2週の14人の妊婦から、静脈穿刺により、10mLのCellSave保存チューブ(Menarini Silicon Biosystems、ハンティンドンバレー、PA、米国)に採取した。全試料は、1~4日後に処理した。14人の妊婦からの胎児栄養膜細胞の単離に成功した(表X)。14人の妊娠陽性女性(positive pregnant women)から、平均1.4個の胎児栄養膜細胞を単離した。
【0322】
コピー数多型解析(CNV)
健康なボランティアからの全血試料に、胎児栄養膜細胞を含有する絨毛培養をスパイキングした。試料は、前述のように濃縮し染色した。
【0323】
DEPArray(商標)NxTから回収した胎児単一栄養膜細胞を用いて、全ゲノム増幅(Ampli1 WGA、Menarini Silicon Biosystems)を行った。
【0324】
Ampli1(商標)WGA産物5μlは、1.8×SPRIselectビーズ(Beckman Coulter)を用いて、製造業者の説明書に従って精製し、ライブラリー調製用に、Ampl1(商標)Low passキット(Menarini Silicon Biosystems)を使用してTE緩衝液12.5μlに溶出した。
【0325】
13個のAmpli1(商標)LowPassライブラリーからのFASTQファイルは、BWAを使用してhg19基準ゲノム上にアライメントした。コピー数プロファイルは、Control-FREECを使用して、対照試料は伴わずGC正規化して計算した。コピー数プロットは、カスタムPythonスクリプトを使用して得た。
【0326】
結果
図8は、胎児細胞濃縮に関するワークフローの概略図を示す。図8に示すように、ワークフローは、3つの別工程からなる: 1.試料採取、及び標的細胞を特異的に選択する磁性流体結合型抗体を使用した、標的細胞の捕捉。2.標的細胞を、選択した抗体で標識し、スクリーニング及び選択するためにDEPArrayカートリッジにロードする。次いで、選択された単一細胞を、DEPArray計器を使用してソートする。3.その胎児細胞起源を実証するために、ソートされた単一細胞を、STR(ショートタンデムリピート)技術により解析する。
【0327】
この実施例では、胎児細胞を、妊婦の全血から濃縮し染色した。全ゲノム増幅及び全ゲノム解析に向けて、純粋な単一細胞を、DEPArray(商標)を使用して単離する。
【0328】
図9~10は、胎児血液試料(FB)(図9)及び骨髄試料(BM)(図10)から単離した赤芽球上でのTREML2(即ちTLS)発現のフローサイトメトリー解析が示すように、新規TREML2抗体の特異性を示す。図9~10が示すように、胎児血液試料又は骨髄試料から単離した赤芽球を以下のようにゲートした:(1)主要細胞集団をゲートするFSC-A/SSC-A、(2)Sytox Green陰性生細胞をゲート、(3)ダブレット細胞を除外するFSC-H/W、(4)二重陽性GPA/Hoechstをゲート、(5)CD71陽性/CD45陰性をゲート、及び(6)TLSをゲートし、TREML2陽性細胞の%を判定するためにアイソタイプ対照とオーバーレイする。
【0329】
図11A~11Jは、様々なクローン由来の、様々な胎児血液(FB)試料から単離した赤芽球上でのTLS発現を示す。図12A~12Lは、様々なクローン由来の、様々な骨髄(BM)試料から単離した赤芽球上でのTLS発現を示す。図11A~11Jが示すように、胎児血液からの胎児赤芽球は、TREML2抗体に対する陽性染色を示したが、骨髄から単離した成人赤芽球では発現は検出できない(図12A~12L)。
【0330】
【表3】
【0331】
【表4】
【0332】
CD105-FF及びEpCAM-FFの捕捉及び濃縮の特異性を実証するために、CVS培養由来の栄養膜細胞を使用した。
【0333】
図13は、スパイキング及びCD105-FF及びEpCAM-FFを用いた濃縮後、DEPArray(商標)により同定したTREML2陽性栄養膜細胞の散布図分析を示す。図14は、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。栄養膜細胞は、TREML-2-PE抗体、CK-APC及び核染色の陽性染色を示す。
【0334】
CD71又はTREML-2の捕捉及び濃縮の特異性を実証するために、臍帯血由来の赤芽球を使用した。
【0335】
図15Aは、健康なドナーの血液に添加してCD71-FFを用いて濃縮したDraq5/Hoechst陽性赤芽球の散布図分析を示す。図15Bは、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。赤芽球細胞は、CD71-PE抗体、Draq5及びHoechst核染色の陽性染色、並びにCD45-FITC抗体に対する陰性染色を示す。
【0336】
図16Aは、健康なドナーの血液に添加してTREML-2-FFを用いて濃縮したDraq5/Hoechst陽性赤芽球の散布図分析を示す。図16Bは、CellBrowser(登録商標)画像ギャラリーを示す。赤芽球細胞は、CD71-PE抗体、Draq5及びHoechst核染色の陽性染色、並びにCD45-FITC抗体に対する陰性染色を示す。
【0337】
ソートされた単一細胞を、その胎児細胞起源を実証するために、STR(ショートタンデムリピート)技術により解析した(母体DNA及び羊水穿刺手法由来の胎児DNA解析との比較による)。同じ遺伝子座プロファイルが検出された。図17は、単一胎児細胞からのSTR解析を示す。
【0338】
臨床予備実験では、様々な妊娠週数の14人の妊婦を登録した。STR解析が示すように、妊婦由来の血液試料から得られた胎児細胞が明確に(positively)検出された。
【0339】
【表5】
【0340】
絨毛採取由来の胎児細胞の単一細胞回収からchr21のトリソミーのサンプリングを検出できることを実証するために(VK)、本発明者らはコピー数多型(CNV)解析を行った。
【0341】
図18は、胎児細胞のCNV解析の結果を示す。図18が示すように、DEPArrayからの単一細胞回収(例えば、回収1(R1)、回収3(R3)及び回収6(R6)から)は、絨毛サンプリングからのライブラリー上にchr21のトリソミーが存在することを確証する(VK)。
【0342】
図19は、健康なドナーのCNV解析の結果を示す。図19が示すように、健康なドナー(HD)は、平坦なコピー数プロファイルを示し、DEPArrayから単離されたPBMC単一細胞により得られるプロファイルに類似する。
【0343】
[実施例4]
母体血液からnRBCを選択するためのワークフロー順序
この実施例は、妊娠中の対象由来の血液試料から有核赤血球(nRBC)を選択する一方法を記載する。図6が示すように、血液試料を、妊娠中の対象から採取する(601)。血液試料を、CellSaveチューブに採取する(601)。nRBCは、磁気分離により濃縮できる(602、例えば磁性流体濃縮)。代替的又は付加的に、試料は、CELLTRACKS(登録商標)AUTOPREP(登録商標)システムを使用して処理し得る(603)。単一細胞は、DEPArray(商標)NxT制御ユニット画像ベース技術を使用して可視化及び単離し得る。細胞を単離したら、単離細胞から核酸を精製する(605)。ゲノム解析及び/又は遺伝的解析を行う(606)。例えば、染色体異常を検出するために、核酸分子をシーケンシングする。
【0344】
[実施例5]
RNAシーケンシングプロトコール
核酸分子、例えばRNAは、希少細胞(例えば胎児細胞)から単離し得る。この実施例は、胎児細胞からのRNAをシーケンシングする例示的な一方法を提供する。
【0345】
SMART-Seq V2
RT-PCRには、Smartseqバージョン2をいくつかの改変により適合させた。
【0346】
胎児赤芽球(EB)に関しては、全RNAインプット2ngを逆転写反応に使用した。母体EBに関しては、ソート可能な母体EBの数が限られていることから、全RNAを濃縮して逆転写反応に使用した。
【0347】
(1)逆転写
オリゴdT 30VNプライマー1μl(10uM)及びdNTPミックス1ul(各10mM)を、サンプルチューブに添加する。
【0348】
試料を、72℃で3分間インキュベートし、直ちに氷上に置く。
【0349】
逆転写ミックスを、氷上で以下のように調製し、5.7ulを各試料に添加する。
【0350】
【0351】
反応を、以下のようにサーマルサイクル中でインキュベートする。
【0352】
【0353】
(2)PCR前増幅
PCRミックスを、氷上で以下のように調製し、15ulを各試料に添加する。
【0354】
【0355】
試料をサーモサイクラーに入れて以下のプログラムを行う。
【0356】
【0357】
PCRサイクル数は細胞型に依存し、増やしても(RNA含有量が低い細胞)減らしてもよい(より多量のRNAを含む細胞)。
【0358】
(3)PCR精製
0.5×反応体積のAMPure XPビーズ(Beckman Coulter)を使用して、増幅cDNA産物を2回精製する。精製cDNAは、高感度DNAキットを使用して、Agilent 2100バイオアナライザで定量する。
【0359】
(4)Illumina Nextera XT DNA試料調製
ライブラリーを調製するために、Illumina NEXTERA XT DNAキットを、変更して使用する(cDNA試料、試薬の体積及び反応体積を、製造業者の説明書の体積の1/4へと最適化した)。
【0360】
300pgを得るために、cDNAを適宜に希釈する。
【0361】
cDNA 1.25ul(300pg)を、0.2 PCRチューブに分取する。
【0362】
タグメントDNA緩衝液2.5ul及びアンプリコンタグメントミックス1.25ulを添加する。
【0363】
タグメント化反応を、サーモサイクラーで、55度で5分間インキュベートする。
【0364】
直ちにNT 1.25ulを添加して、室温で5分間インキュベートする。
【0365】
Index1 1.25ul、Index2 1.25ul及びNextera PCRマスターミックス(NPM)3.75ulをタグメント化DNAに添加する。
【0366】
以下のプログラムを使用して増幅を行う。
【0367】
【0368】
(5)ライブラリーDNAクリーンアップ(精製):
AMPure XPビーズ(反応体積の0.6×)を、ライブラリーDNAに添加する。
【0369】
ビーズを破棄し、上清は第1のクリーンアップ用に取っておく。
【0370】
第2のクリーンアップにおいて、AMPure XPビーズ(反応体積の0.7×)を添加する。
【0371】
ビーズを取っておき、DNA断片を溶出する。
【0372】
成功したライブラリー(平均400bp)は、高感度DNAキットを使用して、Agilent 2100バイオアナライザで定量する。
【0373】
ライブラリーをプールするためには、ライブラリー試料の各々を10nMに調整し、容量でプールする。
【0374】
(6)ライブラリーDNAシーケンシング:
ライブラリーをシーケンシング設備に付託し、IlluminaHiSeq(商標)ハイアウトプットv3システムにより、ペアエンドシーケンシングした(2×101bp)。
【0375】
[実施例6]
栄養膜細胞の検出
この実施例は、栄養膜細胞を検出する一方法を記載する。この実施例では、細胞の捕捉及び選択にはFerroFluid技術を使用し、細胞のソーティングにはDEPArray技術を使用する。
【0376】
栄養膜細胞を、FerroFluid技術及び制御凝集により捕捉する。妊娠中の対象からの血液試料を、抗EpCAM抗体にコンジュゲートした磁性コロイド粒子を含む磁性流体(EpCAM-FF)又は抗CD105抗体にコンジュゲートした磁性コロイド粒子を含む磁性流体(CD105-FF)と接触させる。血液試料は、複数の細胞(胎児細胞及び母体細胞)を含有する。第1の外因性凝集増強因子、例えばデスチオビオチンは、磁性コロイド粒子にコンジュゲートしている。第2の外因性凝集増強因子、例えばストレプトアビジンを、試料に添加する。理論に拘束されることは望まないが、第2の外因性凝集増強因子の添加は、磁性コロイド粒子の凝集を誘導することにより、胎児細胞の単離をより容易にし、非胎児細胞の混入を低減する。試料を磁気分離機にかけ、EpCAM-FF又はCD105-FFが結合した細胞を単離する。
【0377】
EpCAM-FF又はCD105-FFが結合した細胞の更なる解析を容易にするために、第3の外因性凝集増強因子、例えばビオチンを、単離細胞に添加する。理論に拘束されることは望まないが、第3の外因性凝集増強因子の添加は、磁性コロイド粒子の凝集を反転させ、単一細胞の解析をより容易にする。
【0378】
細胞ソーティング用のDEPArray技術: TLS1(即ちTREML2)を、栄養膜細胞を染色する候補として使用する。単離細胞を、蛍光標識抗TLS抗体(即ち抗TREML2抗体)、抗HLA-G抗体、及びサイトケラチンで染色する。単離して染色した細胞を、DEPArrayカートリッジにかけ、DEPArray計器を使用して解析する。TLS、HLA-G及びサイトケラチン染色に対して陽性に染色された場合、細胞を栄養膜細胞と同定する。
【0379】
[実施例7]
胎児異常の診断
本明細書に開示される方法のいずれかにより単離又は同定した胎児細胞を、胎児異常を診断するために更に解析する。染色体異常を検出するために、胎児細胞の核型試験を行う。染色体異常が検出された場合、対応する障害と胎児を診断する。例えば、21番染色体の3コピーが検出された場合、胎児をダウン症候群と診断する。別の実施例では、18番染色体の3コピーが検出された場合、胎児をエドワーズ症候群と診断する。
【0380】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
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