(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ナトリウム気化器およびナトリウム気化器の使用方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/025 20060101AFI20240924BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20240924BHJP
G01N 27/626 20210101ALI20240924BHJP
【FI】
G21C17/025 100
G01N1/22 Y
G01N27/626 T
(21)【出願番号】P 2022506811
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020042905
(87)【国際公開番号】W WO2021040911
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】レーガン,クリストファー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,ジェイコブ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-182434(JP,U)
【文献】米国特許第04806489(US,A)
【文献】特開2006-047232(JP,A)
【文献】実開昭61-024640(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/02
G01N 1/00-1/44
G01N 27/626
G01N 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたガスの流れを受け取るように構成された外管と、
少なくとも部分的に前記外管内に配置されかつ前記外管から離間した内管であって、前記加熱されたガスの流れが前記外管および前記内管の間の環状空間を通って送られる内管と、
少なくとも部分的に前記内管内に配置されたるつぼであって、前記外管内において前記内管に対して進退可能であり、かつ、前記加熱されたガスの流れに曝される溶融金属の表面エリアが前記内管に対する前記るつぼの位置に基づいて調整可能であるように、前記溶融金属を保持するよう構成されたるつぼと、
前記溶融
金属を気化させるように構成されたヒータであって、前記
溶融金属の蒸気が前記加熱されたガスの流れと混合する、ヒータと、
を備える、気化器。
【請求項2】
前記るつぼが前記内管内に後退したとき、前記溶融金属が前記加熱されたガスの流れに直接曝されない、請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記ヒータが、少なくとも部分的に前記外管を囲むクラムシェルヒータを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項4】
前記外管の下流に、蒸気と加熱されたガスとの混合物中における同伴の小滴またはエアロゾルを除去するように構成された焼結金属フィルタをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項5】
前記内管に対する前記るつぼの位置を制御するように構成された移動機構をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項6】
前記移動機構は、前記溶融金属の温度を測定するように構成された熱電対を含む、請求項5に記載の気化器。
【請求項7】
前記外管の上流に配置され、かつ、前記加熱されたガスの流れの温度を測定するように構成された熱電対を、さらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項8】
入口および出口を有する外部チャンバであって、長軸が前記入口と前記出口との間に定められた外部チャンバと、
少なくとも部分的に前記外部チャンバ内に配置された内部チャンバであって、前記外部チャンバの前記入口に近接して配置された端部を有する内部チャンバと、
少なくとも部分的に前記内部チャンバ内に配置された細長のボートであって、
前記長軸に沿って、前記内部チャンバの前記端部から前進したり前記端部に後退したりするように構成された先端部を有する細長のボートと、
少なくとも部分的に前記細長のボートを取り囲むヒータと、
を備える、気化器。
【請求項9】
前記外部チャンバが、外管を含み、かつ、前記内部チャンバが、内管を含み、
前記内管が、前記外管と同心である、請求項8に記載の気化器。
【請求項10】
前記外部チャンバの前記出口に接続されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタが、少なくとも部分的に前記ヒータ内に配置されている、請求項8または9に記載の気化器。
【請求項11】
前記細長のボートの基端部に接続された移動機構をさらに備える、請求項8~10のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項12】
前記移動機構が、少なくとも部分的に前記内部チャンバの第2の端部を通って伸びている、請求項11に記載の気化器。
【請求項13】
前記内部
チャンバの前記端部が
、エンドキャップにより少なくとも部分的に
閉じられている、請求項8~12のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項14】
前記外部チャンバの前記入口に接続されたガスマニホールドをさらに備える、請求項8~13のいずれか一項に記載の気化器。
【請求項15】
蒸気出力を生成するためにるつぼ内に保持された溶融金属のチャージを加熱する工程、ここで、前記るつぼが少なくとも部分的に内部チャンバ内に配置されている、
加熱された不活性ガスを外部チャンバの入口内へと流す工程、ここで、前記内部チャンバが少なくとも部分的に前記外部チャンバ内に配置されている、
前記内部チャンバと前記外部チャンバとの間に前記加熱された不活性ガスの流れを送る工程と、
前記溶融金属の表面エリアの上において前記加熱された不活性ガスの流れを通過させる工程、ここで、前記加熱された不活性ガスが前記表面エリアの上を通過すると、前記蒸気出力の少なくとも一部が前記加熱された不活性ガスと混合する、および、
前記加熱された不活性ガスの流れに曝される前記溶融金属の前記表面エリアを調整し、前記溶融
金属の前記蒸気出力を変更できるように、前記内部チャンバに対して前記るつぼを選択的に移動させる工程、
を含む、溶融金属を気化させる方法。
【請求項16】
同伴の小滴またはエアロゾルを除去するために、蒸気出力と加熱された不活性ガスとの混合物をフィルタリングする工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記るつぼ内の溶融金属の前記チャージを加熱する工程は、前記溶融金属内の酸化物を溶解する工程を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶融金属および前記不活性ガスがほぼ等しい温度に加熱される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶融金属はナトリウムを含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記蒸気出力を介してナトリウムイオン化式検出器を較正する工程をさらに含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、PCT国際特許出願として2020年7月21日に出願されたものであり、2019年8月23日に出願された米国仮出願第62/891,244号の優先権および利益を主張するものである。その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[イントロダクション]
ナトリウム冷却型原子炉(Sodium-cooled nuclear reactor)は、安全システムにおいて、漏れを検出し、かつ/または、アルカリ金属蒸気を除去する場合のシステム性能を診断するために、ナトリウムイオン化式検出器(sodium ionization detector)を使用してもよい。上記ナトリウムイオン化式検出器は、不活性ガス中のナトリウム蒸気の濃度に比例した電気信号を生み出す。したがって、ナトリウム蒸気濃度の定量的測定には、信号と濃度との間の関係がわかるように、ナトリウムイオン化式検出器の較正(calibration)が必要とされる。
【0003】
ナトリウムイオン化式検出器を較正するために、加熱された不活性ガスが、ナトリウムを含む気化器(vaporizer)に通される。ナトリウムは加熱され、その結果得られた蒸気は、不活性ガスにて運ばれて検出器を通り、該検出器によってフィラメントとコレクタとの間にイオン電流が生成される。次に、上記蒸気は、検出器の下流においてトラップされ、その内容物が元素分析されて、較正実行中にトラップされたナトリウムの総量を決定する。気化器は、不活性ガス中の時間平均蒸気濃度(time averaged vapor concentration)を低分散(variance)で知見して、対応する平均検出器信号を測定できるように、定常的な蒸気出力を生み出す必要がある。較正曲線(検量線:calibration curve)の一連のデータ点を取得するために、より大きな信号或いはより小さな信号(例えばイオン電流)を生み出すために気化器の温度が増分されて、新たに実行される。
【0004】
蒸気源(vapor source)は、較正実行中に、かつ、或る範囲のナトリウム蒸気濃度レベルにわたって、安定的な蒸気出力を生み出すことが望ましい。この理由は、ガス中の特定の濃度(これは較正実行の持続時間にわたって集められ、かつ、較正実行の持続時間で平均化されたナトリウムの質量に対応している)が、ナトリウムイオン化式検出器における単一の平均信号値と相関するであろうためである。しかしながら、高ナトリウム蒸気濃度レベルおよび低ナトリウム蒸気濃度レベルの両方について、安定的な蒸気の流れを生成することは、困難であり得る。ナトリウムは、その溶融表面上に酸化膜/酸化物層を形成でき、それにより不活性ガス中へのナトリウムの気化(蒸発:vaporization)が抑制される。ナトリウムの温度を上昇させることにより、酸化ナトリウムはゆっくりと(例えば、何時間にもわたって)溶解する(dissolve)一方、その溶解プロセスの間に、不安定的な蒸気出力が生成される。しかしながら、溶融したナトリウムの温度を著しく上昇させる(例えば、250℃~350℃)ことは、酸化物層を急速に溶解し、安定的な蒸気出力をもたらし得る。しかしながら、この安定性は、高ナトリウム蒸気濃度の流れについてのみ生じ、低ナトリウム蒸気濃度の流れは不安定的なままである。この理由は、高蒸気出力濃度が常に高温で生み出されるためであり、検出器は、或る診断動作のために設定された(例えば、一定の)流量(flow rate)において較正される必要があるので、不活性ガスのより高い流量を用いて上記出力を希釈することが困難である。したがって、改良された気化器が望まれている。
【0005】
[ナトリウム気化器および方法]
酸化物を急速に溶解し、安定的な気化出力(蒸発出力:vaporization output)を生み出すのに十分な高温において溶融物質のチャージ(charge)を保持するための気化器および気化方法が、本明細書に記載されている。この蒸気出力は、イオン化式検出器の較正に使用するために、加熱された不活性ガスの流れと混合され得る。不活性ガスに曝される溶融物質の表面エリアが調整可能であり、不活性ガス内における蒸気の濃度を変更可能であるガイド管(guide tube)内の可動のるつぼ(crucible)内に溶融物質が保持されている。したがって、安定的な気化出力が、広範囲の蒸気濃度(例えば、より高い濃度レベルおよびより低い濃度レベルの両方)について、生成される。
【0006】
本明細書に記載の気化器および方法を特徴付ける利点、ならびに、これらの特徴および他のさまざまな特徴は、以下の詳細な説明を読み、関連する図面を検討することによって、明らかになるであろう。追加の特徴は、以下の説明に記載されており、一部はその説明から明らかであろうし、或いは、本技術の実践により知られるかもしれない。本技術の利益および特徴は、本明細書および特許請求の範囲ならびに添付の図面における構造によって、実現され、達成されるであろう。
【0007】
前述のイントロダクションおよび以下の詳細な説明の両方が、例示的かつ説明的なものであって、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することを意図したものである、ということを理解されたい。
【0008】
[図面の簡単な説明]
本出願の一部を構成する以下の図面は、記載された技術を例示するものであり、いかなる様態においても、特許請求された技術的範囲を制限するよう意図するものではない。その技術的範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲に基づくべきものである。
【0009】
【0010】
図2は、
図1に示すシステムの例示的な気化器の分解斜視図である。
【0011】
【0012】
【0013】
図5は、
図1~
図4に示す気化器における例示的な細長のボートの斜視図である。
【0014】
図6は、溶融金属を気化させる例示的な方法を示すフローチャートである。
【0015】
[詳細な説明]
本開示は、気化した物質の可変的な濃度の流れをつくり出すための気化器および方法を説明している。気化器は、溶融物質のチャージを保持するるつぼを含む。該るつぼは、少なくとも一部が内部チャンバ/ガイド管内にスライド可能に配置されており、そこから選択的に進退する(extend and retract)ように構成されている。外部チャンバは、るつぼと内部チャンバとの両方を取り囲み、加熱された不活性ガスの流れを受け取る。不活性ガスは、溶融物質の露出した表面エリアの上を通過し、蒸気と混合する。不活性ガスと気化した物質との混合物は、イオン化式検出器(例えば、ナトリウム高速炉プラントにおけるナトリウムイオン化式検出器)の較正、物理蒸着プロセス、その他所要もしくは所望する任意のプロセス/方法に使用され得る。
【0016】
溶融物質が内部チャンバ内に後退したとき、内部チャンバは、外部チャンバ内を流れる不活性ガスから溶融物質を遮蔽する。外部チャンバ内の溶融物質の表エリアは、不活性ガス内への蒸気出力を制御し、その結果、その濃度を制御するように、選択的に調整され得る。不活性ガス中への溶融物質の蒸気出力を制御できることによって、気化器は、高い蒸気濃度レベル(例えば、溶融物質の表面エリアのより広い面積)と低い蒸気濃度レベル(例えば、溶融物質の表面エリアのより狭い面積)との間の濃度範囲にわたって、安定的な気化出力を生み出すのに適した温度に、溶融物質を加熱し得る。
【0017】
図1は、例示的な気化器システム100の概略図である。気化器システム100は気化器102を含み、該気化器102は、気化のための溶融物質のチャージを保持し、かつ、加熱された不活性ガスが上記チャージの上を通過して蒸気と混合することを可能にするよう構成されている。気化器102には、ガス供給器104が、流通可能に接続されている。ガス供給器104は、気化器102内において生成された蒸気の少なくとも一部を収集するための、アルゴンまたは窒素等の(ただし、これらに限定されない)加熱された不活性ガスの流れ106を生成する。蒸気が加熱された不活性ガスと混合した後、混合物108は、気化器102から較正システム110へと下流側に運ばれる。較正システム110は、アノードとカソードとの間においてイオン電流を生み出し、電流信号を記録するように構成された、検出器112を含む。さらに、較正システム110は、混合物108内の蒸気を収集し分析するように構成された、ガススクラバ/トラップ114を含む。また、較正システム110は、測定されたデータ点に基づき、複数の較正実行(例えば、混合物108の種々の蒸気濃度レベルを有する定常的な流れ)にわたって、較正曲線を生成し得る。
【0018】
気化器102はガスマニホールド116を含み、該ガスマニホールド116は、ガス供給器104に接続し、加熱された不活性ガス106の流れを受け取る。ガスマニホールド116は外部チャンバ118に接続され、該外部チャンバ118は、加熱された不活性ガスを受け取り、その中に溶融物質のチャージを保持する。クラムシェルヒータ120は、少なくとも部分的に外部チャンバ118を囲み、溶融物質が所要または所望のように加熱されることを可能にしている。ヒータ120は、内部の構成要素を見ることができるように、
図1において透明に図示されている。外部チャンバ118の下流には焼結金属フィルタ122が存在し、該フィルタ122は、較正システム110に入る前の蒸気混合物108中の同伴の(entrained)小滴またはエアロゾルを除去するように構成されている。フィルタ122は、少なくとも部分的にヒータ120内に配置され得る。ガス熱電対124は、加熱された不活性ガス106の流れの温度を測定するように、ガスマニホールド116に接続されている。熱電対124は、較正プロセスのために加熱されたガスの温度データを提供するように、較正システム110と通信可能に接続され得る。加えて、溶融物質熱電対126は、溶融物質の温度を測定するように、溶融物質のチャージに接続されている。熱電対126は、較正プロセスのために溶融物質の温度データを提供するように、較正システム110と通信可能に接続され得る。例えば、ガスの温度が溶融物質の温度に実質的に一致させることができ、エアロゾルの形成が低減または防止されるように、熱電対124、126が使用される。
【0019】
この例では、ヒータ120は、外部チャンバ118およびフィルタ122を取り囲む一方、ガスマニホールド116を取り囲まない、クラムシェルヒータである。この構成は、ヒータ120が、溶融物質を所要または所望の温度まで加熱し、フィルタ122を同様の温度に保って、検出器の較正にとって好ましくないエアロゾルの発生を低減または防止し、定常的な蒸気出力を生み出すことを可能にする。他の例では、ヒータ120は、気化器102が本明細書に記載される通り機能することを可能にする、他の任意のヒータを含み得る。例えば、ヒータ120は、ガスマニホールド116等の他の構成要素を部分的に取り囲むように伸びてもよい。この構成は、ヒータ120が、溶融物質および他の気化器構成要素の温度を均一に維持して、エアロゾルの発生を低減または防止し、フィルタ122の必要性を低減することを可能にする。
【0020】
追加的または代替的に、ヒータ120は、気化器102が1または複数の加熱ゾーンを有し得るように、複数のヒータを含んでもよい。一態様において、ヒータ120は、外部チャンバ118を取り囲む第1のヒータ(例えば、クラムシェルヒータ)と、ガスマニホールド116を加熱するように構成された第2のヒータ(図示せず)と、を有し得る。この例では、第2のヒータは、ガスマニホールド116内に配置された溶融物質を、第1のヒータ120の温度とほぼ等しい温度まで加熱し得る。他の例では、第2のヒータは、第1のヒータ120の温度よりも高い温度、または第1のヒータ120の温度よりも低い温度に、溶融物質を加熱し得る。少なくとも部分的にガスマニホールド116が加熱されることによって、その中に配置された溶融物質の冷却が防止されるだろう。これにより、気化器102の機械的調整が蒸気出力の調整を可能にする。他の例では、種々の加熱ゾーンにおいて溶融物質が加熱されることによって、蒸気出力は、機械的調整に加えて、或いは機械的調整の代替として、熱的に調整され得る。
【0021】
また、気化器102は、外部チャンバ118内における溶融物質のチャージの位置を制御するように構成された、移動機構128を含む。移動機構128は、直線移動Mを生成するように構成されたアクチュエータ129に接続されている。アクチュエータ129は、本明細書に記載のように直線移動を生成する、任意の種類のシステムまたは装置を含み得る。例えば、電子モータ、ソレノイド、手動等である。移動機構128は、溶融物質の表面エリアが選択的に制御され、本明細書に記載のような種々の蒸気濃度レベルを有する混合物108の定常的な流れを引き起こすことを可能にする。
【0022】
図2は、(
図1に示す)気化器システム100における気化器102の分解斜視図である。
図1を参照して上述したように、気化器102は、ガスマニホールド116と、外部チャンバ118と、ヒータ120と、フィルタ122と、熱電対124、126と、移動機構128と、を含む。さらに、気化器102は、外部チャンバ118内に少なくとも部分的に配置され、外部チャンバ118から離間した、内部チャンバ130を含む。この例では、外部チャンバ118および内部チャンバ130の両方は、実質的に管形状の構成要素であり、したがって、外管118は、内管130の直径よりも大きな直径を有し、両方の管は、互いに実質的に同心である。
【0023】
細長のボート132は、少なくとも部分的に内部チャンバ130内に配置されている。当該細長のボート132は、溶融物質のチャージを保持し、加熱された不活性ガスが溶融物質の表面上を通過することを可能にするよう、構成されている。この例では、ボート132は開いた容器であり、いくつかの例では、所要または所望に応じて、るつぼであり得る。この例では、ヒータ120は、溶融物質の気化を引き起こすように、少なくとも部分的にボート132を取り囲んでいる。ボート132が外部チャンバ118内に収容されたまま、内部チャンバ130に対して進退し得るように、ボート132は移動機構128に接続されている。内部チャンバ130は、気化器102内のボート132のためのガイド管およびカバーとして働く。
【0024】
この例では、ガスマニホールド116は、ユニオンクロス継手等の四方コネクタであり得る。開口部の1つは、マニホールド116が(
図1で示される)ガス供給器104と流通可能に接続され得るように、径違い継手134を含み得る。また、その反対側の開口部は、ガス熱電対124を支持し、マニホールド116を通って流れる加熱された不活性ガスの温度を熱電対124が測定することを可能にするように構成された、径違い継手136を含み得る。外部チャンバ118の一方の端部は、加熱されたガスの流れが外部チャンバ118内へ送られ得るように、別の開口部138に接続され得る。その反対側の開口部は、マニホールド116を通って伸びる内部チャンバ130を支持するために用いられる管継手140を含み得る。例えば、管継手140は、内部チャンバ130が通ってスライドすることを可能にする、ボアスルー継手(bore-through fitting)であり得る。加えて、移動機構128は径違いユニオン継手152を含み、該径違いユニオン継手152は、内部チャンバ130の後端上のナットに接続して、移動機構128に対しスエージ加工(swage)を行っている。継手152は、ボート132が内部チャンバ130内から完全に除去されることを可能にするために、使用され得る。マニホールド116の構成要素の他の適応およびレイアウトが所要または所望に応じて使用され得る、ということを理解されたい。
【0025】
図3は、前進位置(extended position)における気化器102の断面図である。特定の構成要素は、上述されているため、必ずしもさらなる説明がされるわけではない。加えて、(
図1および
図2に示される)ヒータ120は、明瞭化のために図示されていない。外部チャンバ118は、入口142と、反対側の出口144と、を有し、それらの間には、長軸146が定められている。入口142は、ガスマニホールド116の開口部138に対して、加熱された不活性ガスがそれを通って流れ得るように、接続されている。
【0026】
内部チャンバ130は、第1の端部148および反対側の第2の端部150を有し、長軸146に沿って伸びている。内部チャンバ130の第1の端部148は、ガスマニホールド116の開口部138の反対側にある継手140であって、外部チャンバ118を受け入れる継手140に近接する1または複数の場所において支持されている。したがって、内部チャンバ130は、継手140を介してガスマニホールド116を通って片持ち梁のように突き出ており、部分的に外部チャンバ118内へと伸びて、片持ち梁のように突き出た第2の端部150が形成される。さらに、この例では、径違い継手152は、継手140に隣接して、内部チャンバ130の第1の端部148に配置されている。内部チャンバ130の第2の端部150は、外部チャンバ118内において、入口142のより近くに配置されている。径違い継手152は、気化器100の内部に対するシールを形成している。径違い継手152は、移動機構128が内部チャンバ130内に伸びて、細長のボート132に接続することを可能にする。例えば、径違い継手152はテフロン(登録商標)のフェルールを含み、これにより、移動機構128がテフロン(登録商標)のフェルールに対してスライドすることを可能にする。また、継手140は、ガスマニホールド116において内部チャンバ130の周りのシールを形成し、その結果、内部チャンバ130が外側に伸び得る。
【0027】
細長のボート132は、内部チャンバ130内に、第2の端部150に近接して、スライド可能に配置されている。ボート132は、移動機構128に接続する基端部154と、内部チャンバ130の第2の端部150に対して長軸146に沿って進退するように構成された反対側の先端部156と、を有する。
図3に示すように、ボート132は、完全に前進した位置にある。前進位置では、ボート132は、依然として完全に外部チャンバ118内に配置され、先端部156は、内部チャンバ130の第2の端部150から距離Dだけ伸びている。先端部156の完全に前進した位置が
図3において示されているが、先端部156は、所要または所望に応じて、移動機構128を介して、完全に前進した位置よりも短い任意の位置まで伸び得る、ということを理解されたい。
【0028】
動作中、加熱された不活性ガス106の流れは、ガスマニホールド116から出口144に向かって、外部チャンバ118内へと送られる。より詳細には、不活性ガス106は、外部チャンバ118の入口142において、内部チャンバ130と外部チャンバ118との間の環状空間内へと送られる。次いで、不活性ガス106は、内部チャンバ130の第2の端部150まで、この環状空間を通って移動でき、このとき、ガスは、ボート132およびその中に配置された溶融物質の上を通過できる。不活性ガスの流れは、溶融物質から放出された蒸気と混合して混合物108を生成し、この混合物108は、外部チャンバ118の出口144から排出されて、較正測定に使用される。
【0029】
この例では、ボート132が内部チャンバ130から伸びる距離Dは、不活性ガスが通過するときに不活性ガスと混合する蒸気を生み出す、溶融物質の表面エリアを定める。このように、溶融物質の表面エリアは、気化器102内で容易に調整可能であり、その結果、放出された混合物108内の蒸気濃度は、容易に制御可能である。さらに、ボート132のこの移動は、安定的な気化(例えば、酸化物層が物質上に形成されることの低減)を生み出す溶融物質の温度をヒータが維持することを可能にする一方、混合物108内の蒸気濃度が所要または所望の通りに制御することをさらに可能にする。
【0030】
図4は、後退位置(retracted position)における気化器102の断面図である。特定の構成要素は、上述されているため、必ずしもさらなる説明がされるわけではない。加えて、(
図1および
図2に示される)ヒータ120は、明瞭化のために図示されていない。完全に後退した位置では、加熱された不活性ガス106の流れは依然として、上述したように気化器102を通って送られ得る。しかしながら、先端部156が内部チャンバ130の第2の端部150に隣接して位置し、溶融物質が内部チャンバ130内に完全に配置されるように、ボート132は後退している。ボート132のこの位置は、加熱された不活性ガス106から溶融物質を遮蔽し、その結果、不活性ガスはもはや、直接、溶融物質の上を通過せず、蒸気は、ガスとの混合が低減または防止される。
【0031】
ボート132の完全に前進した位置(
図3)および完全に後退した位置(
図4)が図示され、説明されている、ということを理解されたい。ボート132は、所要または所望に応じて、任意の中間位置に配置し得る。中間位置は、加熱された不活性ガス106の流れと直接の接触状態にある溶融物質の表面エリアが調整されることを可能にし、不活性ガスと混合する蒸気出力を制御することを可能にする。なぜなら、ガスは内部チャンバ130内に後退した溶融物質の上を直接通過しないからである。
【0032】
移動機構128は、内部チャンバ130に対するボート132の位置を決めるために、使用され得る。移動機構128は、径違い継手152を介して内部チャンバ130の第1の端部148を通って伸びているリンク装置(linkage)158を含み得る。リンク装置158の一方の端部は、(
図3に示す)所望または所要の距離Dまでボート132の運動を駆動するように、ボート132の基端部154に接続している。リンク装置158の他方の端部は、(
図1で示される)アクチュエータ129にリンク装置158が取り付けられ得るように、連結器160に接続され、該アクチュエータ129は長軸146に沿った直線運動Mを駆動する。このように、移動機構128の位置が、ボート132の位置を決定する。また、連結器160は、溶融物質熱電対126の取り付けを可能にする。この例では、リンク装置158は、チャンバ118、130の両方と同心の細長い管であり、その結果、熱電対126の接合部をボート132まで伸ばし得る。
【0033】
図5は、(
図1~
図4に示す)気化器102の細長のボート132の斜視図である。内部チャンバ130は、部分的にその中に配置されたボート132を示すため、
図5において透明に示されている。
図5に示すように、ボート132は、部分的に前進した(または部分的に後退した)位置にある。その位置において、ボート132の先端部156は、内部チャンバ130の第2の端部150から距離Dに位置する。その結果、ボート132内に配置された溶融物質の一部は、内部チャンバ130内において遮蔽される。
【0034】
この例では、ボート132は、気化器内において溶融物質を保持し、かつ、加熱された不活性ガスに曝される表面エリアを形成し得るように、断面形状において実質的に半円形である。内部チャンバ130の第2の端部150は、加熱された不活性ガスの流れから内部チャンバ130内にある溶融物質をいっそう遮蔽するように、エンドキャップ162により部分的に囲まれている。内部チャンバ130およびボート132の構造は、内部チャンバ130内からの蒸気が内部チャンバ130の外部の不活性ガスと混合するのを制限する一方、エンドキャップ162は、内部チャンバ130の第2の端部150を完全には密閉せず、不活性ガスおよび/または蒸気の少なくとも一部は、第2の端部150を通過し得る。この例では、エンドキャップ162は半円形状であり、そのため、エンドキャップ162は、動作の間、長軸の周り(例えば、エンドキャップ162と係合するボート132の側壁)をボート132が回転することを防止するために、使用され得る。加えて、熱電対126の接合部は、内部に含まれる溶融物質を測定できるように、ボート132の基端部154を通って伸びている。熱電対126は、ボート132の底部に配置されており、動作の間、溶融物質によって覆われ得る。そのため、熱電対の配線および接合部が液体金属から保護されるように、シース式熱電対(sheathed thermocouple)126が使用され得る。
【0035】
さらに、内部チャンバ130は、その中に規定された少なくとも1つの孔164を有する。孔164は、内部チャンバ130の端部間に規定されている。一例では、孔164は、気化器が組み立てられるときに孔164が(
図2で示される)ガスマニホールド116上の継手140に近接して位置するように、内部チャンバ130上に形成されている。この位置は、加熱された不活性ガスの一部が内部チャンバ130を通って流れ、第2の端部150から排出されることを可能にする。内部チャンバ130を通るガスの流れは、外部チャンバを通るガスの流れよりも少なく、内部チャンバ130を通るガスの流れは、(
図3で示す)内部チャンバ130の第1の端部148において溶融物質からの蒸気が液化することを低減または防止するために、使用される。内部チャンバ130の第1の端部は、(
図1で示される)ヒータ120内に配置されないことがあり得る。いくつかの例では、ボート132が(
図4で示す)完全に後退した位置にあるとき、ボート132の少なくとも一部は、内部チャンバ130を通る加熱された不活性ガスの流れを低減するように、孔164を覆い得る。
【0036】
この例では、ボート132がガスマニホールドに向かって、少なくとも部分的にヒータの外へ後退するので、ボート132が後退位置にあるときに溶融物質の温度が低下するかもしれない。溶融物質のこの温度変化は、エアロゾルの形成を増大させるかもしれない。しかしながら、較正曲線は依然として決定でき、生成される任意のエアロゾルはフィルタにおいて除去できる。他の例では、(例えば、ヒータがガスマニホールドの少なくとも一部を取り囲んでいるときもまた)ヒータは、ボート132の任意の位置において溶融物質の温度を維持し、これにより蒸気出力が一定温度において制御され、エアロゾルの形成が低減または防止されるように、構成されてもよい。
【0037】
気化器の動作中、内部チャンバ130に対するボート132の位置は、加熱された不活性ガスの流れに曝される溶融物質の表面エリアを定め、その結果、気化器の蒸気出力を定める。そのため、溶融物質の表面エリアを減少させると、気化器の蒸気出力が低下する一方、溶融物質の表面エリアを増加させると、気化器の蒸気出力が上昇する。本明細書に記載の例では、内部チャンバ130に対して移動するのはボート132である。他の実施例では、ボート132は静止したままである一方、内部チャンバ130は、ボート132に対して移動でき、加熱された不活性ガスの流れに曝される溶融物質の表面エリアを調整できる。
【0038】
本明細書に記載の気化器は、所要または所望に応じて、任意の種類の溶融物質を気化させるために、使用され得る。一態様において、溶融物質は、ナトリウム等のアルカリ金属であってもよい。他の例では、気化器内に配置され得る、セシウム、或いは、ナトリウムとセシウムとの混合物等の他のアルカリ金属である。別の態様では、カリウムまたはルビジウムが気化されてもよい。
【0039】
図6は、溶融金属(molten metal)を気化させるための例示的な方法200を示すフローチャートである。方法200は、るつぼ内に保持された溶融金属のチャージが蒸気出力を生成するために加熱されることから始まる(動作202)。るつぼは、少なくとも部分的に内部チャンバ内に配置されている。さらに、加熱された不活性ガスは、外部チャンバの入口内へ流される(動作204)。入口チャンバは、少なくとも部分的に外部チャンバ内に配置されている。次に、加熱された不活性ガスの流れは、内部チャンバと外部チャンバとの間に送られる(動作206)。内部チャンバの下流では、加熱された不活性ガスの流れが、るつぼ内に収容された溶融金属の表面エリアの上を通過させられる(動作208)。加熱された不活性ガスが溶融金属の表面エリアの上を通過するとき、蒸気出力の少なくとも一部が加熱された不活性ガスと混合し、さらに下流に運ばれる。るつぼは、加熱された不活性ガスの流れに曝される溶融金属の表面エリアを調整し、溶融金属の蒸気出力を変更できるように、内部チャンバに対して選択的に移動され得る(動作210)。
【0040】
いくつかの例では、方法200は、同伴の小滴またはエアロゾルを除去するために、蒸気出力と加熱された不活性ガスとの混合物をフィルタリングする工程(動作212)をさらに含んでもよい。加熱動作(動作202)は、溶融金属内の酸化物が溶解するように、溶融金属を仕向ける工程(動作214)をさらに含んでもよい。また、溶融金属および不活性ガスは、エアロゾルの形成を低減するように、ほぼ等しい温度に加熱され得る。一態様において、方法200における溶融金属は、ナトリウムであってもよい。方法200はさらに、蒸気出力を介してナトリウムイオン化式検出器を較正する工程を含み得る(動作216)。
【0041】
一態様において、溶融金属を気化させる前に、るつぼが能動的に濡らされ(wetted)てもよい。さもなければ、溶融金属は、濡れていない部分において玉のようになって留まる傾向を有し、その結果、溶融金属がるつぼ内において均等に広がらないかもしれない。るつぼを濡らすために、金属(例えば、ナトリウム)のストリップが、るつぼ内に配置され加熱されてもよい。次に、溶融金属は、るつぼがすべての場所において濡れているように、機械により撹拌され得る。いくつかの例では、この最初の濡れのために生み出される熱は、クラムシェルヒータからでもよい。他の例では、別個の局在ヒータが最初の濡れのために使用されてもよく、それから、るつぼが気化器内へと配置される。
【0042】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、また、上述の例に加えて、さらなる例が、以下の付番された項目に開示される:
1.加熱されたガスの流れを受け取るように構成された外管と、
少なくとも部分的に前記外管内に配置されかつ前記外管から離間した内管であって、前記加熱されたガスの流れが前記外管および前記内管の間の環状空間を通って送られる内管と、
少なくとも部分的に前記内管内に配置されたるつぼであって、前記外管内において前記内管に対して進退可能であり、かつ、前記加熱されたガスの流れに曝される溶融金属の表面エリアが前記内管に対する前記るつぼの位置に基づいて調整可能であるように、前記溶融金属を保持するよう構成されたるつぼと、
前記溶融物質を気化させるように構成されたヒータであって、前記蒸気が前記加熱されたガスの流れと混合する、ヒータと、
を備える、気化器。
【0043】
2.前記るつぼが前記内管内に後退したとき、前記溶融金属が前記加熱されたガスの流れに直接曝されない、項目1に記載の気化器。
【0044】
3.前記ヒータが、少なくとも部分的に前記外管を囲むクラムシェルヒータを含む、任意の先行する項目に記載の気化器。
【0045】
4.前記外管の下流に、蒸気と加熱されたガスとの混合物中における同伴の小滴またはエアロゾルを除去するように構成された焼結金属フィルタをさらに備える、任意の先行する項目に記載の気化器。
【0046】
5.前記内管に対する前記るつぼの位置を制御するように構成された移動機構をさらに備える、任意の先行する項目に記載の気化器。
【0047】
6.前記移動機構が、前記溶融金属の温度を測定するように構成された熱電対を含む、項目5に記載の気化器。
【0048】
7.前記外管の上流に配置され、かつ、前記加熱されたガスの流れの温度を測定するように構成された熱電対を、さらに備える、任意の先行する項目に記載の気化器。
【0049】
8.入口および出口を有する外部チャンバであって、長軸が前記入口と前記出口との間に定められた外部チャンバと、
少なくとも部分的に前記外部チャンバ内に配置された内部チャンバであって、前記外部チャンバの前記入口に近接して配置された端部を有する内部チャンバと、
少なくとも部分的に前記内部チャンバ内に配置された細長のボートであって、前記内部チャンバの前記端部に対して前記長軸に沿って進退するように構成された遠位端を有する細長のボートと、
少なくとも部分的に前記細長のボートを取り囲むヒータと、
を備える、気化器。
【0050】
9.前記外部チャンバが、外管を含み、かつ、前記内部チャンバが、内管を含み、
前記内管が、前記外管と同心である、項目8に記載の気化器。
【0051】
10.前記外部チャンバの前記出口に接続されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタが、少なくとも部分的に前記ヒータ内に配置されている、項目8または9に記載の気化器。
【0052】
11.前記細長のボートの基端部に接続された移動機構をさらに備える、項目8~10のいずれかに記載の気化器。
【0053】
12.前記移動機構が、少なくとも部分的に前記内部チャンバの第2の端部を通って伸びている、項目11に記載の気化器。
【0054】
13.前記内部チャネルの前記端部が少なくとも部分的に囲まれている、項目8~12のいずれかに記載の気化器。
【0055】
14.前記外部チャンバの前記入口に接続されたガスマニホールドをさらに備える、項目8~13のいずれかに記載の気化器。
【0056】
15.蒸気出力を生成するためにるつぼ内に保持された溶融金属のチャージを加熱する工程、ここで、前記るつぼが少なくとも部分的に内部チャンバ内に配置されている、
加熱された不活性ガスを外部チャンバの入口内へと流す工程、ここで、前記内部チャンバが少なくとも部分的に前記外部チャンバ内に配置されている、
前記内部チャンバと前記外部チャンバとの間に前記加熱された不活性ガスの流れを送る工程と、
前記溶融金属の表面エリアの上において前記加熱された不活性ガスの流れを通過させる工程、ここで、前記加熱された不活性ガスが前記表面エリアの上を通過すると、前記蒸気出力の少なくとも一部が前記加熱された不活性ガスと混合する、および、
前記加熱された不活性ガスの流れに曝される前記溶融金属の前記表面エリアを調整し、前記溶融物質の前記蒸気出力を変更できるように、前記内部チャンバに対して前記るつぼを選択的に移動させる工程、
を含む、溶融金属を気化させる方法。
【0057】
16.同伴の小滴またはエアロゾルを除去するために、蒸気出力と加熱された不活性ガスとの混合物をフィルタリングする工程をさらに含む、項目15に記載の方法。
【0058】
17.前記るつぼ内の溶融金属の前記チャージを加熱する工程が、前記溶融金属内の酸化物を溶解する工程を含む、項目15または16に記載の方法。
【0059】
18.前記溶融金属および前記不活性ガスがほぼ等しい温度まで加熱される、項目15~17のいずれかに記載の方法。
【0060】
19.前記溶融金属がナトリウムを含む、項目15~18のいずれかに記載の方法。
【0061】
20.前記蒸気出力を介してナトリウムイオン化式検出器を較正する工程をさらに含む、項目15~19のいずれかに記載の方法。
【0062】
本開示は、本明細書に開示された特定の構造、処理工程または物質に限定されるものではなく、当業者ならば認識するであろうように、その均等物にまで拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の例を説明する目的のためにのみ使用されるものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。本明細書において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈において明らかな別段の定めのない限り、複数の指示対象を含むものであることに留意されたい。
【0063】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、言及された目的および利点、ならびに、その中に固有のものを達成するよう、十分に適合されていることが明らかであろう。当業者であれば、本明細書内の方法およびシステムは、多くの様態において実施されてもよく、それゆえ、前述の例示された例および実施例によって限定されるものではない、ということを認識するであろう。この点に関して、本明細書に記載された種々の例の任意の数の特徴は、或る単一の例に組み合わされてもよく、本明細書に記載された特徴の全てよりも少ない特徴か、或いはそれよりも多くの特徴を有する代替例が可能である。
【0064】
本開示の目的のためにさまざまな例が説明されてきたが、本開示によって意図される範囲内において、さまざまな変更および修正がなされてもよい。当業者にとって容易に示唆され、本開示の精神に包含される、多数の他の変更がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図2】
図1に示すシステムの例示的な気化器の分解斜視図である。
【
図5】
図1~
図4に示す気化器における例示的な細長のボートの斜視図である。
【
図6】溶融金属を気化させる例示的な方法を示すフローチャートである。