(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電気流体または磁気流体を使用する自己回復ベアリングデバイス
(51)【国際特許分類】
F16C 17/04 20060101AFI20240924BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20240924BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20240924BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240924BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20240924BHJP
B03C 1/06 20060101ALI20240924BHJP
B03C 5/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
F16C17/04 Z
F16C33/10 C
F16C32/04 F
F16C17/02 Z
F16C17/02 A
F16C17/04 A
B03C1/00 A
B03C1/00 F
B03C1/06
B03C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022520256
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020077249
(87)【国際公開番号】W WO2021069260
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-06-09
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519411249
【氏名又は名称】ビフロスト・リサーチ・アンド・ディベロップメント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヘオルヘ・エミレ・ランパールト
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・アドリアヌス・ヨハネス・ファン・オスタイェン
(72)【発明者】
【氏名】マールテン・コルネリス・デ・グラーフ
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212657(WO,A1)
【文献】特開2013-145010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/04
F16C 33/10
F16C 32/04
F16C 17/02
B03C 1/00
B03C 1/06
B03C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)であって、前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)は、互いに対して移動可能であり、互いに向かい合っており、前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は、潤滑剤(100)によって充填されるベアリングギャップ(400)によって分離されており、前記潤滑剤は、キャリア流体(110)および粒子(120)を含み、前記粒子(120)は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときに前記キャリア流体の中に懸濁されている、第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)と、
- 前記第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器(500)であって、前記フィールド発生器は、磁界発生器(510)であり、前記磁界発生器(510)は、局所化された空間的に変化する磁界を発生させるように構成されており、前記局所化された空間的に変化する磁界は、フィールドの力(800)を前記粒子に働かせることによって、懸濁液から前記粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体(121)の形態で、前記ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物(122)を形成し、前記局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップを通る前記潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、1つまたは複数のフィールド発生器(500)と
を含む、ベアリングデバイス(10)。
【請求項2】
前記フィールド発生器によって発生させられるフィールドのフィールド強度は、前記ベアリングギャップの方向に変化しており、前記ベアリングギャップの一方の側の前記フィールド強度は、前記ベアリングギャップの中心(410)におけるものよりも少なくとも25パーセント高くなっ
ている、請求項1に記載のベアリングデバイス。
【請求項3】
前記フィールド発生器によって発生させられるフィールドのフィールド強度は、動作の間に前記潤滑剤が流れる方向に沿って変化しており、前記フィールド強度は、動作の間に前記潤滑剤が流れる方向に沿って前記ベアリングギャップ高さ(420)の半分に等しい距離
だけ離間した前記ベアリングギャップ内の少なくとも2つの地点間で少なくとも25パーセントだけ変
化する、請求項1または2に記載のベアリングデバイス。
【請求項4】
- 第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)であって、前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)は、互いに対して移動可能であり、互いに向かい合っており、前記第1のベアリング表面および前記第2のベアリング表面は、潤滑剤(100)によって充填されるベアリングギャップ(400)によって分離されており、前記潤滑剤は、キャリア流体(110)および粒子(120)を含み、前記粒子(120)は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときに前記キャリア流体の中に懸濁されている、第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)と、
- 前記第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器(500)であって、前記フィールド発生器は、電界発生器(520)であり、前記電界発生器(520)は、局所化された電界を発生させるように構成されており、前記局所化された電界は、フィールドの力(800)を前記粒子に働かせることによって、懸濁液から前記粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体(121)の形態で、前記ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物(122)を形成し、前記局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップを通る前記潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、1つまたは複数のフィールド発生器(500)と
を含む、ベアリングデバイス(10)。
【請求項5】
前記1つまたは複数のフィールド発生器は、前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)のうちの少なくとも1つに接触して前記凝集体(121)を位置決めするように構成されており、かつ、前記1つまたは複数のフィールド発生器は、前記凝集体(121)が、前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)のうちの前記1つに対して静止しているように、前記凝集体(121)を位置決めするように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項6】
前記1つまたは複数のフィールド発生器は、前記ベアリングギャップの方向への障害物高さ(123)を有する前記局所的なフロー障害物を形成するように構成されており、前記障害物高さは、前記ベアリングギャップ高さ(420)よりも小さい、請求項1から5のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つのフィールド発生器は、前記ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して平行の方向に細長くなっており、前記少なくとも1つのフィールド発生器に関連付けられる局所的なフロー障害物の前記障害ゾーンは、ベアリング端部を通した前記ベアリングから外への潤滑剤フローを妨害するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項8】
フィールド発生器は、互いに直接的に隣接して設置されておらず
、前記ベアリングデバイスは請求項1に記載された特徴を備えると共に、望ましい磁気特性の材料は、隣接する磁界発生器の間に間置されており、あるいは、前記ベアリングデバイスは請求項4に記載された特徴を備えると共に、望ましい電気特性の材料は、隣接する電界発生器の間に間置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項9】
前記ベアリング表面の相対運動の方向への前記フィールド発生器のピッチ(504)は、前記ベアリングギャップ高さ(420)の20倍よりも小さくなっている、請求項1から8のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項10】
前記フィールド発生器は、前記ベアリングギャップ高さ(420)の80パーセントよりも小さ
い高さを有するオープンチャネルを、前記障害ゾーンが残すように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のベアリングデバイス。
【請求項11】
ベアリングデバイス(10)を使用して2つの表面を互いに対して移動させる方法であって、前記ベアリングデバイス(10)は、
- 互いに向かい合っている第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)と、
- 前記第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器(500)であって、磁界発生器(510)である、1つまたは複数のフィールド発生器(500)と
を含み、
前記方法は、
- ベアリングギャップ(400)によって前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)を分離するステップと、
- 前記ベアリングギャップ(400)を潤滑剤(100)によって充填するステップであって、前記潤滑剤(100)は、キャリア流体(110)および粒子(120)を含み、前記粒子(120)は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときに、前記キャリア流体の中に懸濁されている、ステップと、
- 前記第2のベアリング表面(300)に対して前記第1のベアリング表面(200)を移動させるステップと
を含み、
前記方法は、前記磁界発生器(510)を使用して、局所化された空間的に変化する磁界を発生させ、フィールドの力(800)を前記粒子に働かせることによって、懸濁液から前記粒子を局所的に除去し、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体(121)の形態で、前記ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物(122)を生成させるステップを含み、前記ベアリングギャップの方向への前記局所的なフロー障害物の厚さは、前記ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップ高さ(420)の何分の1かであり、それによって、前記障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップを通る前記潤滑剤のフローを局所的に妨害する、方法。
【請求項12】
ベアリングデバイス(10)を使用して2つの表面の相対的な移動を可能にするための方法であって、前記ベアリングデバイス(10)は、
- 互いに向かい合っている第1のベアリング表面(200)および第2のベアリング表面(300)と、
- 前記第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器(500)であって、電界発生器(520)である、1つまたは複数のフィールド発生器(500)と
を含み、
前記方法は、
- ベアリングギャップ(400)によって前記第1のベアリング表面(200)および前記第2のベアリング表面(300)を分離するステップと、
- 前記ベアリングギャップ(400)を潤滑剤(100)によって充填するステップであって、前記潤滑剤(100)は、キャリア流体(110)および粒子(120)を含み、前記粒子(120)は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときに、前記キャリア流体の中に懸濁されている、ステップと、
- 前記第2のベアリング表面(300)に対して前記第1のベアリング表面(200)を移動させるステップと
を含み、
前記方法は、前記電界発生器(520)を使用して、局所化された電界を発生させ、フィールドの力(800)を前記粒子に働かせることによって、懸濁液から前記粒子を局所的に除去し、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体(121)の形態で、前記ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物(122)を生成させるステップを含み、前記ベアリングギャップの方向への前記局所的なフロー障害物の厚さは、前記ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップ高さ(420)の何分の1かであり、それによって、前記障害ゾーンの中の前記ベアリングギャップを通る前記潤滑剤のフローを局所的に妨害する、方法。
【請求項13】
たとえば、半径方向のまたは軸線方向のベアリング負荷、前記ベアリング表面の相対的な移動の速度、ベアリングパーツの相対的な位置、およびベアリング摩耗などのような、条件に応じて、前記局所的なフロー障害物の前記厚さを変化させるステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
磁界または電界の空間的な勾配を変化させるステップを含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記磁界または電界の前記空間的な勾配を変化させることによって、前記凝集体のサイズを変化させるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部磁界または電界に応答する粒子を含む潤滑剤を有するベアリングデバイスに関する。ベアリングデバイスは、1つまたは複数の磁界または電界を生成させるための1つまたは複数の磁界発生器または電界発生器を含む。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤を伴う多くの異なるベアリングデバイスが存在する。これらのベアリングデバイスは、船舶、発電プラント、およびビークル(たとえば、自動車)、ならびに、他の機械を含む、機械の中で広く使用されている。ベアリングデバイスは、デバイスの2つのパーツの間の相対的な移動を可能にする。
【0003】
ベアリングデバイスは、静圧、動圧、またはハイブリッドとして分類され得る。これらのそれぞれは、特定の利点および欠点を有する。本文献の文脈における「ベアリングデバイス」という用語は、ボールベアリングなどのようなローラーエレメントを備えないベアリングデバイスに限定されることを意図しているということが留意される。換言すれば、ベアリングデバイスの静止パーツとベアリングデバイスの可動パーツとの間の負荷は、潤滑剤によって伝達される。
【0004】
静圧ベアリングは、通常は、リストリクター、凹部、およびランドエリアを含む。高圧潤滑剤は、リストリクターを介して凹部に供給され、結果的に、ランドエリアを通ってベアリングから外へ流れる。潤滑剤の圧力は、凹部エリアではほぼ一定であり、ランドエリアの上で減少する。静圧ベアリングデバイスの利点は、使用時に、可動パーツが移動しているかどうかにかかわらず、静止パーツと可動パーツとの間の接触が決して存在しないこととなるということである。静圧ベアリングデバイスの欠点は、静圧ベアリングデバイスが外部加圧供給源による潤滑剤の連続的な供給を必要とするということである。供給源が正常に機能しない場合には、ベアリングの中の潤滑剤の圧力が失われる。パーツ同士が接触する可能性があり、結果として、ベアリングは、損傷されることになるかまたは摩耗を受けることになる可能性がある。
【0005】
静圧ベアリングデバイスのさらなる欠点は、高負荷容量のために、大きい凹部エリアおよび小さいランドエリアを有することが望まれるということである。これは、ベアリングが低い動剛性および低いスクイーズフィルムダンピングを有するという欠点を有する。パッドおよび凹部は、一般的に、いわゆる「表面テクスチャリング」によって生成され、幾何学的な表面変化は、局所的な潤滑剤フィルム厚さ変化を結果として生じさせる。この表面テクスチャリングは、非常に精密な機械加工を必要とし、所望の表面仕上げを実現する。そのうえ、非常に精密な機械加工およびテクスチャーの非常に小さい厚さを必要とすることに起因して、表面テクスチャリングは、可動パーツおよび静止パーツが互いに接触する場合に、摩滅も受けやすくなる。
【0006】
動圧ベアリングデバイスの利点は、最適な動作のために、それが表面テクスチャリングを必要としないということである。静止パーツおよび可動パーツの表面は、完全に滑らかであることが可能であり、それは、より製造しやすい。さらなる利点は、動圧ベアリングデバイスが潤滑剤の加圧供給を必要としないということである。これは、故障のリスクを低減させる。
【0007】
動圧ベアリングの欠点は、作動が動圧の形成に依存するということである。この圧力は、移動可能パーツが静止パーツに対して移動するときにのみ形成される。移動可能パーツが移動しないかまたはあまりに遅く移動するときには、移動可能パーツと静止パーツとの間に物理的な接触が起こり、パーツの摩滅を結果として生じさせる。これは、とりわけ、パーツの相対的な速度が低いときに、マシンの起動または減速の間に起こる。換言すれば、動圧ベアリングは、機能するために十分な速度を有する必要がある。
【0008】
動圧ベアリングデバイスは、一般的に、ベアリングデバイスが空になることを防止するために、潤滑剤の供給源も有するということが留意される。しかし、動圧ベアリングデバイスに関して、潤滑剤がベアリングの中へ進入する圧力は非常に低く、動圧ベアリングの負荷負担容量にそれほど寄与しない。その代わりに、負荷負担容量は、回転パーツの相対的なスライドによって生成される動圧によって形成される。
【0009】
静圧ベアリングおよび動圧ベアリングの利点のいくつかを組み合わせるハイブリッドベアリングが存在する。しかし、ハイブリッドベアリングの性能は制限される。ハイブリッドベアリングは、一般的に、制限された表面テクスチャリングを有している。その理由は、静圧ベアリングに必要とされる表面テクスチャリングが、動圧ベアリングの性能を制限するからである。表面テクスチャリングが制限されるだけであるので、動的な作動レジームにおける性能は妥当である。他方では、この同じ理由に起因して、静的な作動レジームにおける性能も制限される。したがって、ハイブリッドベアリングは、静圧ベアリングと動圧ベアリングとの間の妥協点を表す。また、静圧作動レジームは、故障に敏感なポンプを必要とする。
【0010】
また、ベアリングデバイスは、それらの形状およびそれらが許容する移動に従って分類され得る。ジャーナルベアリングは、典型的に、回転シャフトを取り囲み、半径方向への支持を提供する。ジャーナルベアリングは、ラジアルベアリングと称され得る。また、スラストベアリングは、回転シャフトを取り囲むが、シャフトの軸線方向への支持を提供する。スラストベアリングは、アキシャルベアリングと称され得る。フラットベアリングは、フラットベアリング表面を有しており、フラットベアリング表面に直交する方向への支持を提供する。スラストベアリングは、フラットベアリングの例である。コニカルベアリングも存在する。コニカルベアリングは、ジャーナルベアリングとスラストベアリングとの間のハイブリッドを形成し、軸線方向の負荷および半径方向の負荷の両方を伝達することが可能である。多くの場合、コニカルベアリングは、ペアで提供されており、第1および第2のコニカルベアリングが、反対方向にテーパー付きになっている。
【0011】
ベアリングデバイスのさまざまなパーツの摩滅を低減させるために、ベアリング潤滑を改善することが長年の目標である。過去には、電気粘性特性または磁気粘性特性を有する潤滑剤を使用するベアリングデバイスが開示されている。電気粘性潤滑剤(ERL)は、液体の中に懸濁されている電気的に分極可能な粒子を含む潤滑剤である。磁気粘性潤滑剤(MRL)は、液体の中に懸濁されている磁気的に分極可能な粒子を含む潤滑剤である。
【0012】
これらのベアリングデバイスは、ベアリングデバイスの潤滑を改善するために、潤滑剤の粘度を増加させるためのアクティベーターを含む。
【0013】
本文献と同じ出願人によって提出された特許文献1は、磁気粘性流体または電気粘性流体が潤滑剤として使用されるベアリングデバイスを開示している。潤滑剤粘度の局所的な制御を使用することによって、潤滑剤が、特定の領域に閉じ込められる。使用される1つの方法は、アクティベーターによってベアリングギャップ潤滑剤供給部を囲み、それによって、そのように形成された囲い込みから外への潤滑剤フローを抑制し、前記囲い込みの全体にわたる圧力を増加させることである。これは、比較的に少ないアクティベーターを使用しながら、および、表面テクスチャリングの使用を回避しながら、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0014】
ベアリングデバイスの中の電気粘性流体の使用の別の開示は、特許文献2にある。ここでは、アクティベーターが使用され、増加した粘度のゾーンを誘導し、潤滑剤フローを抑制し、圧力を局所的に増加させ、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0015】
粘度がアクティベーターによって制御され得る潤滑剤(たとえば、磁気粘性流体または電気粘性流体など)を使用するベアリングデバイスの欠点は、潤滑剤の選択肢が、そのような特性を有する流体に制限されることであるということが本発明において認識された。
【0016】
これは、たとえば、潤滑性能、寿命、環境的な影響、および/またはコストに関して、準最適な特性を有する潤滑剤を使用することを強要する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2018/212657号パンフレット
【文献】米国特許第7980765号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、静圧ベアリングデバイスおよび動圧ベアリングデバイスの複数の利点を、WO2018212657A1に開示されているようなベアリングデバイスの利点と組み合わせるが、潤滑剤の粘度が制御されるべきであるという要件を伴わないベアリングデバイスを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、比較的に少ない漏出を伴い、物理的なランドおよびパッドを伴わず、高品質の潤滑剤の使用を可能にし、比較的に少ない摩滅を結果として生じさせる、改善された静圧ベアリングを提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、テクスチャリングなしに動圧が生成され、比較的に少ない漏出を有し、高品質の潤滑剤の使用を可能にし、比較的に少ない摩滅を結果として生じさせる、改善された動圧ベアリングを提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、最適な潤滑剤をより自由に選ぶことを可能にし、したがって、潤滑特性を最適化しながら、潤滑剤の粘度が局所的に制御され得るベアリングデバイスと比較したときに同様の利益を提供するベアリングデバイスを提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、大きいクリアランスを伴うジャーナルベアリングの容易な装着およびミスアライメントに関する裕度を、小さいクリアランスを伴うジャーナルベアリングの高い性能と組み合わせる、ジャーナルベアリングデバイスを提供することである。
【0023】
本発明のさらなる目的は、負荷、速度、温度、および圧力などのような、変化する条件の下で、効率的に動作可能なベアリングデバイスを提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、先行技術に対して代替的なベアリングデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
目的のうちの少なくとも1つを実現するために、本発明は、
- 第1のベアリング表面および第2のベアリング表面であって、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、互いに対して移動可能であり、互いに向かい合っており、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、潤滑剤によって充填されるベアリングギャップによって分離されており、潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときにキャリア流体の中に懸濁されている、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器(field generator)であって、フィールド発生器は、磁界発生器であり、磁界発生器は、局所化された空間的に変化する磁界を発生させるように構成されており、局所化された空間的に変化する磁界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、1つまたは複数のフィールド発生器と
を含む、ベアリングデバイスに関する。
【0026】
また、別個の独立した実施形態において、本発明は、
- 第1のベアリング表面および第2のベアリング表面であって、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、互いに対して移動可能であり、互いに向かい合っており、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、潤滑剤によって充填されるベアリングギャップによって分離されており、潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときにキャリア流体の中に懸濁されている、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器であって、フィールド発生器は、電界発生器であり、電界発生器は、局所化された電界を発生させるように構成されており、局所化された電界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、1つまたは複数のフィールド発生器と
を含む、ベアリングデバイスに関する。
【0027】
磁界の場合とは異なり、電界が使用されるときには、空間的に均質なフィールドが、正味の(net)電界力を粒子に働かせることが可能である。これは、磁気的な単極子は存在しないが、電気的な単極子は存在するという事実に起因している。
【0028】
磁界発生器のケースでは、フィールドの力は、磁力であることとなり、電界発生器のケースでは、フィールドの力は、電気力であることとなるということを当業者は理解することとなる。
【0029】
一方では先行技術から知られている磁気粘性ベアリングデバイスおよび電気粘性ベアリングデバイスと、本発明によるベアリングデバイスとの間の重要な違いは、潤滑剤の中に起こる物理的な効果が異なるということである。
【0030】
磁気粘性ベアリングデバイスおよび電気粘性ベアリングデバイスは、双極性粒子を備えた潤滑剤を含み、双極性粒子は、双極性粒子が磁気双極子を含むかまたは電気双極子を含むかに応じて、磁界または電界にさらされるときに、粒子の鎖を形成する。これらの鎖は、フィールドの力線と整合する。鎖は、磁界または電界が存在しているエリアにおいて、潤滑剤の粘度を増加させる。より強力なフィールドにおいて、鎖は、より強力になり、より高い粘度を結果として生じさせることとなる。
【0031】
本発明によるベアリングデバイスでは、磁界または電界によって懸濁液から除去され得る粒子を含む潤滑剤が使用されている。これらのベアリングデバイスでは、粒子が、懸濁液からフィールド発生器に向けてまたはフィールド発生器から離れるように引っ張られ、ベアリング表面の上に凝集体を形成する。これが起こるようにするために、正味の磁界力または電界力が、粒子に印加されなければならない。これは、磁気粘性ベアリングデバイスおよび電気粘性ベアリングデバイス(そこでは、粒子に対する正味のフィールドの力が、フィールドによって印加される必要がない)とは著しく異なっている。フィールドは、粒子を整合させるだけであるが、粒子は、互いに引き付け合い、鎖を形成する。
【0032】
正味のフィールドの力が、本発明によるベアリングデバイスの中の粒子に印加されることとなるので、磁気双極子または電気双極子を含む粒子が使用されるときには、十分な大きさの空間的なフィールド勾配が必要とされる。その理由は、空間的に均質なフィールドが、正味のフィールドの力を双極子に働かせないからである。電気的な単極子を含む粒子を使用するときには、均質な電界が使用され得る。磁気的な単極子が存在しないかまたは少なくとも未だ見つけられていないので、均質な磁界を使用することは可能でない。
【0033】
磁気粘性ベアリングデバイスまたは電気粘性ベアリングデバイスにおいて、フィールド強度は、潤滑剤の中の粒子に働かされるトルクを決定する。このトルクが高いほど、鎖が強力になり、潤滑剤の粘度が高くなることとなる。本発明によるベアリングデバイスでは、フィールドによって粒子に働かされる正味のフィールドの力は、凝集体のサイズを決定する。より大きい正味のフィールドの力によって、凝集する粒子と、凝集体を通過して流れる潤滑剤によって洗い流される粒子との間の平衡は、より大きい凝集体に向けてシフトする。流れる潤滑剤の抗力に対抗して粒子を適切な場所に保持するために、フィールドによって粒子に働かされる正味のフィールドの力は、特定の閾値を上回っていなければならない。正味のフィールドの力のこの閾値は、少なくともベアリングデバイスのrpmおよび潤滑剤の粘度に依存するということが理解されることとなる。ベアリングデバイスがより速く回転する場合には、潤滑剤がより速く流れることとなり、また、ストークスの法則に従って、より高い抗力を静止した粒子に働かせることとなる。したがって、より高いrpmで凝集体を形成するために、フィールドによってそれぞれの粒子に働かされる正味のフィールドの力は、より高くなっているべきである。同じことが、潤滑剤のより高い粘度にも当てはまる。
【0034】
ある実施形態において、凝集体は、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面のうちの1つに接触して位置決めされており、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面の前記1つに対して静止している。
【0035】
ある実施形態において、1つまたは複数のフィールド発生器は、ベアリングギャップの方向への障害物高さを有する局所的なフロー障害物を形成するように構成されており、前記障害物高さは、ベアリングギャップ高さよりも小さい。これは、潤滑剤がフロー障害物の上を流れることを可能にする。
【0036】
ある実施形態において、フィールド強度は、ベアリングギャップの方向に変化しており、ベアリングギャップの一方の側のフィールド強度は、ベアリングギャップの中心におけるものよりも少なくとも25パーセント高くなっており、好ましくは、それよりも50パーセント高くなっており、より好ましくは、その2倍高くなっており、さらにより好ましくは、その5倍高くなっており、さらにより好ましくは、その10倍高くなっている。
【0037】
フィールド発生器が磁界発生器であり、磁界に応答する粒子が使用されるときには、磁界のこの空間的な勾配は、ベアリングギャップの方向に(すなわち、この勾配に沿って)粒子に磁力を与えることを可能にする。この力は、懸濁液から粒子を除去し、凝集体を形成することが可能である。粒子は、永久磁気双極子モーメントまたは誘起磁気双極子モーメントを含むことが可能である。
【0038】
フィールド発生器が電界発生器であり、電界に応答する粒子が使用されるときには、フィールドのこの空間的な勾配は、正味電荷を保持しないが永久電気双極子モーメントまたは誘起電気双極子モーメントを有する粒子が使用されることを可能にし、同様に、正味電荷を保持する粒子が使用されることも可能にする。
【0039】
WO2018212657A1では、磁気粘性潤滑剤が使用されている。この文献では、潤滑剤の粘性特性は、磁界の大きさによって制御されるということが説明されている。したがって、空間的な勾配の必要性は存在していない。実際に、空間的に均質な磁界は、その適用に関して機能することとなる。本発明によるベアリングデバイスでは、空間的に均質な磁界は、機能しないこととなる。その理由は、正味の磁力を粒子に適用するために、磁界の空間的な勾配が必要とされるからである。
【0040】
ある実施形態において、フィールド強度は、動作の間に潤滑剤が流れる方向に沿って変化しており、フィールド強度は、動作の間に潤滑剤が流れる方向に沿ってベアリングギャップ高さの半分に等しい距離において、少なくとも25パーセントだけ変化し、好ましくは、50パーセントだけ変化し、より好ましくは、2倍変化し、さらにより好ましくは、5倍変化し、さらにより好ましくは、10倍変化する。
【0041】
フィールド発生器が磁界発生器であり、磁界に応答する粒子が使用されるときには、磁界のこの空間的な勾配は、ベアリングの動作の間に潤滑剤が流れる方向に(すなわち、この勾配に沿って)粒子に磁力の成分を与えることを可能にする。この力は、ベアリングの動作の間の流体抗力に対抗して粒子を適切な場所に維持することが可能である。粒子は、永久磁気双極子モーメントまたは誘起磁気双極子モーメントを含むことが可能である。
【0042】
フィールド発生器が電界発生器であり、電界に応答する粒子が使用されるときには、フィールドのこの空間的な勾配は、ベアリングの動作の間に潤滑剤が流れる方向に(すなわち、この勾配に沿って)、正味電荷を保持しないが永久電気双極子モーメントまたは誘起電気双極子モーメントを有する粒子、および、正味電荷を保持する粒子に、電気力の成分を提供する。
【0043】
ある実施形態において、少なくとも1つのフィールド発生器は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して平行の方向に細長くなっており、前記少なくとも1つのフィールド発生器に関連付けられる局所的なフロー障害物の障害ゾーンは、ベアリング端部を通したベアリングから外への潤滑剤フローを妨害するように構成されている。これは、ベアリングからの潤滑剤の漏出を制限し、なかでも、環境的な影響、コスト、およびベアリング摩耗を低減させる。また、これは、ベアリング表面同士の間に潤滑剤のより高い圧力を維持することを支援し、ベアリングの負荷支持能力を増加させることが可能である。
【0044】
ある実施形態において、少なくとも1つのフィールド発生器は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して垂直の方向に、および、ベアリング表面に対して垂直の方向に対して垂直の方向に細長くなっており、前記少なくとも1つのフィールド発生器に関連付けられる障害ゾーンは、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動する方向への潤滑剤フローを妨害するように構成されており、それによって、圧力の局所的な増加を生成させ、それは、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0045】
磁界を使用する実施形態において、潤滑剤は、永久磁気双極子である粒子を含む。代替的な実施形態において、潤滑剤は、粒子を含み、粒子の中の磁気双極子モーメントは、外部磁界によって誘導可能である。また、潤滑剤は、両方のタイプの粒子を含むことが可能である。
【0046】
ある実施形態において、磁界発生器は、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されている。これは、プラスの磁化率の粒子および/または永久磁気双極子モーメントを備えた粒子を使用することによって実現され得る。次いで、すべての粒子は、磁界発生器によって引き付けられることとなる。
【0047】
別の代替的な実施形態において、磁界発生器は、ベアリングギャップの両方の側に配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの両方の側に配置されている。これは、プラスの磁化率の粒子および/または永久磁気双極子モーメントを備えた粒子を使用することによって実現され得る。次いで、すべての粒子は、磁界発生器によって引き付けられることとなる。
【0048】
電界を使用する実施形態において、潤滑剤は、帯電された粒子、たとえば、大きいイオンなどを含む。代替的な実施形態において、潤滑剤は、粒子を含み、粒子は、永久電気双極子モーメント、たとえば、大きい極性分子などを有している。別の代替的な実施形態において、潤滑剤は、粒子を含み、粒子の中の電気双極子モーメントは、外部電界によって誘導可能であり、粒子は、たとえば、金属などのような導電性の材料を含む粒子である。また、潤滑剤は、3つのタイプの粒子のうちの2つ以上を含むことが可能である。
【0049】
ある実施形態において、電界発生器は、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されている。これは、荷電された粒子、永久電気双極子モーメントを備えた粒子、または、電気双極子モーメントが外部電界によって誘導可能である粒子を使用することによって実現され得る。次いで、すべての電界発生器が同じ符号のキャリア流体に対する電位を保持する場合には、すべての粒子が電界発生器によって引き付けられることとなるか、または、すべての粒子が電界発生器によって反発されることとなるかのいずれかである。したがって、すべての障害ゾーンは、ベアリングギャップの、電界発生器と同じ側、または、他方の側のいずれかに配置されることとなる。
【0050】
ある実施形態において、電界発生器は、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの両方の側に配置されている。これは、プラスにおよびマイナスに荷電された粒子の混合物、および/または、反対の符号の電位を保持するように構成されている電界発生器を使用することによって実現され得、混合物は、また、永久電気双極子モーメントを有する粒子、および/または、電気双極子モーメントが外部電界によって誘導され得る粒子を含むことが可能である。電界発生器は、永久電気双極子または誘起電気双極子を含む粒子を引き付ける。プラスに荷電された粒子を引き付ける電界発生器は、マイナスに荷電された粒子を反発することとなり、その逆もまた同様である。
【0051】
ある実施形態において、電界発生器は、ベアリングギャップの両方の側に配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの一方の側のみに配置されている。これは、たとえば、プラスまたはマイナスのいずれかの電荷の粒子を使用することによって実現され得、一方では、ベアリングギャップの一方の側のすべての電界発生器は、同じ符号の電位を保持しており、ベアリングギャップの他方の側のすべての電界発生器は、反対の符号の電位を保持している。
【0052】
ある実施形態において、電界発生器は、ベアリングギャップの両方の側に配置されており、障害ゾーンは、ベアリングギャップの両方の側に配置されている。これは、たとえば、ベアリングギャップの両方の側において、キャリア流体に対して同じ符号の電位を保持する電界発生器を使用することによって、および、反対の符号の電荷を保持する粒子を使用することによって実現され得る。代替例として、プラスに荷電された粒子およびマイナスに荷電された粒子の両方の混合物が、ベアリングギャップの反対側において、反対の符号の電位を保持する電界発生器と組み合わせて使用され得る。
【0053】
ある実施形態において、1つまたは複数の磁界発生器は、電磁石である。電磁石を使用することは、ベアリングデバイスの中に永久磁石を組み込む必要性をなくし、電磁石のコイルの中の電流を制御することによって、磁界を制御することを可能にすることができる。
【0054】
ある実施形態において、1つまたは複数の磁界発生器は、永久磁石である。
【0055】
ある実施形態において、磁界発生器は、同じような磁極を備えてベアリングギャップに面している。代替的な実施形態において、磁界発生器は、すべて同じような磁極を備えてベアリングギャップに面しているわけではない。
【0056】
ある実施形態において、複数の磁界発生器は、互いに直接的に隣接して設置されている。代替的な実施形態において、磁界発生器は、互いに直接的に隣接して設置されていはいない。さらなる実施形態において、望ましい磁気特性の材料が、隣接する磁界発生器の間に間置されている。この材料は、強磁性材料であることが可能である。そのような材料を使用して、磁界の空間的な形状が最適化され得る。
【0057】
さらなる実施形態において、磁界発生器は、隣接する磁界発生器とは異なる磁極を備えてベアリングギャップに面している。
【0058】
ある実施形態において、電界発生器は、電極である。
【0059】
ある実施形態において、電界発生器は、同じような電極を備えてベアリングギャップに面している。代替的な実施形態において、電界発生器は、すべて同じような電極を備えてベアリングギャップに面しているわけではない。
【0060】
ある実施形態において、複数の電界発生器は、互いに直接的に隣接して設置されている。代替的な実施形態において、電界発生器は、互いに直接的に隣接して設置されていはいない。さらなる実施形態において、望ましい電気特性の材料が、隣接する電界発生器の間に間置されている。この材料は、導電性の材料であることが可能である。代替的に、この材料は、電気絶縁材料であることが可能である。そのような材料を使用して、電界の空間的な形状が最適化され得る。
【0061】
ある実施形態において、電界発生器は、隣接する電界発生器とは異なる電極を備えてベアリングギャップに面している。
【0062】
ある実施形態において、フィールド発生器は、ベアリング表面の相対運動の方向に幅を有しており、幅は、ベアリングギャップ高さの20倍よりも小さくなっており、好ましくは、ベアリングギャップ高さの10倍よりも小さくなっている。
【0063】
ある実施形態において、フィールド発生器は、ベアリングギャップの方向に深さを有しており、深さは、ベアリングギャップ高さの20倍よりも小さくなっており、好ましくは、ベアリングギャップ高さの10倍よりも小さくなっている。
【0064】
ある実施形態において、ベアリング表面の相対運動の方向へのフィールド発生器のピッチは、ベアリングギャップ高さの20倍よりも小さくなっている。
【0065】
ある実施形態において、フィールド発生器は、ベアリングギャップ高さの80パーセントよりも小さい、とりわけ、40パーセントよりも小さい、とりわけ、20パーセントよりも小さい高さを有するオープンチャネルを、障害ゾーンが残すように構成されている。小さいオープンチャネルのみを残すことは、障害ゾーンの直ぐ上流に、より大きい圧力増加を生み出し、ベアリングの負荷負担容量を増加させる。しかし、これは、また、ベアリング表面の相対的な移動に対するベアリングの抵抗を増加させる。
【0066】
別個の独立した態様において、本発明は、ベアリングデバイスを使用して2つの表面を互いに対して移動させる方法であって、ベアリングデバイスは、
- 互いに向かい合っている第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器であって、磁界発生器である、1つまたは複数のフィールド発生器と
を含み、
方法は、
- ベアリングギャップによって第1のベアリング表面および第2のベアリング表面を分離するステップと、
- ベアリングギャップを潤滑剤によって充填するステップであって、潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されている、ステップと、
- 第2のベアリング表面に対して第1のベアリング表面を移動させるステップと
を含み、
方法は、磁界発生器を使用して、局所化された空間的に変化する磁界を発生させ、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去し、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で局所的なフロー障害物を生成させるステップを含み、ベアリングギャップの方向への局所的なフロー障害物の厚さは、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップ高さの何分の1かであり、それによって、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害する、方法に関する。
【0067】
別個の独立した態様において、本発明は、ベアリングデバイスを使用して2つの表面を互いに対して移動させる方法であって、ベアリングデバイスは、
- 互いに向かい合っている第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている1つまたは複数のフィールド発生器であって、電界発生器である、1つまたは複数のフィールド発生器と
を含み、
方法は、
- ベアリングギャップによって第1のベアリング表面および第2のベアリング表面を分離するステップと、
- ベアリングギャップを潤滑剤によって充填するステップであって、潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されている、ステップと、
- 第2のベアリング表面に対して第1のベアリング表面を移動させるステップと
を含み、
方法は、電界発生器を使用して、局所化された電界を発生させ、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去し、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で局所的なフロー障害物を生成させるステップを含み、ベアリングギャップの方向への局所的なフロー障害物の厚さは、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップ高さの何分の1かであり、それによって、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害する、方法に関する。
【0068】
方法の実施形態において、フィールド発生器によって発生させられるフィールドは、フィールドの力を粒子に働かせ、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面の相対的な移動は、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面に対するキャリア流体のフローを生成させ、キャリア流体の前記フローは、粒子に抗力を働かせ、フィールドの力および抗力から結果として生じる有効な力は、粒子が、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面のうちの一方の上に、以前に懸濁された粒子の凝集体を形成することを局所的に引き起こし、前記凝集体は、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面のうちの前記一方に対して静止している。
【0069】
方法の実施形態において、方法は、1つまたは複数のフィールド発生器を使用し、ベアリングギャップの方向への障害物高さを有する局所的なフロー障害物を形成するステップを含み、前記障害物高さは、ベアリングギャップ高さよりも小さい。
【0070】
方法の実施形態において、局所的なフロー障害物の少なくとも1つの障害ゾーンは、ベアリング端部を通したベアリングから外への潤滑剤フローを妨害する。
【0071】
方法の実施形態において、局所的なフロー障害物の少なくとも1つの障害ゾーンは、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動する方向への潤滑剤フローを妨害し、それによって、圧力の局所的な増加を生成させ、それは、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0072】
方法の実施形態において、方法は、ベアリングギャップの一方の側のみに障害ゾーンを配置するステップを含む。
【0073】
方法の実施形態において、方法は、ベアリングギャップの両方の側に障害ゾーンを配置するステップを含む。
【0074】
方法の実施形態において、方法は、たとえば、半径方向のまたは軸線方向のベアリング負荷、ベアリング表面の相対的な移動の速度、ベアリングパーツの相対的な位置、ベアリング摩耗、および障害ゾーン条件などのような、条件に応じて、ベアリングに給送される潤滑剤の組成を変化させるステップを含む。
【0075】
方法の実施形態において、方法は、ベアリングの第1の動作局面において、キャリア流体およびその中に懸濁された粒子を含む潤滑剤をベアリングに給送するステップと、ベアリングの第2の動作局面において、潤滑流体を含むが懸濁された粒子を含まない潤滑剤を給送するステップとを含む。
【0076】
方法の実施形態において、方法は、ベアリングの第1の動作局面において、キャリア流体およびその中に懸濁された粒子を含む潤滑剤をベアリングに給送するステップと、ベアリングの第2の動作局面において、前記キャリア流体とは異なる潤滑流体を含むが懸濁された粒子を含まない潤滑剤を給送するステップとを含む。
【0077】
方法の実施形態において、方法は、粒子を含有する流体をベアリングに定期的に給送するステップを含み、ベアリングに給送される潤滑剤は、懸濁された粒子を含まない。
【0078】
方法の実施形態において、方法は、潤滑剤がそれを通して供給される潤滑剤供給入口部に応じて、ベアリングに供給される潤滑剤の組成を変化させるステップを含む。
【0079】
方法の実施形態において、方法は、たとえば、半径方向のまたは軸線方向のベアリング負荷、ベアリング表面の相対的な移動の速度、ベアリングパーツの相対的な位置、およびベアリング摩耗などのような、条件に応じて、局所的なフロー障害物の厚さを変化させるステップを含む。
【0080】
方法の実施形態において、方法は、磁界または電界の空間的な勾配を変化させるステップを含む。
【0081】
方法の実施形態において、方法は、磁界または電界の空間的な勾配を変化させることによって、凝集体のサイズを変化させるステップを含む。
【0082】
フィールド発生器の独立制御
さらなる有利な効果を実現するために、上記に説明されているようなベアリングデバイスのフィールド発生器および方法は、互いから独立して制御され得る。フィールド発生器を独立して制御する態様は、磁気粘性ベアリングおよび電気粘性ベアリング、ならびに、潤滑剤温度を局所的に制御することによって潤滑剤の粘度が局所的に制御されるベアリング、または、潤滑剤の滑り速度が局所的に制御されるベアリングにも適用され得るということを当業者は認識することとなる。したがって、フィールド発生器の独立制御は、ベアリングの中の以前に懸濁された粒子の凝集体の形態の局所的なフロー障害物を形成する概念から独立して見られ得る態様である。この態様において、本発明は、アクティベーターによって制御可能な潤滑剤を有するベアリングデバイスに関し、ベアリングデバイスは、複数のアクティベーターを含む。
【0083】
チャネルの中のフローは、滑り境界条件を使用してモデル化され得る。この滑り境界条件は、ゼロ滑り境界条件から完全な滑り条件へ変化することが可能である(たとえば、Encyclopedia of Microfluidics and Nanofluidics 2008 Edition / Editors: Dongqing Liを参照)。滑り境界条件におけるこの変化を説明するために使用され得るメカニズムのうちの1つは、見かけの滑り境界条件であり、そこでは、壁部に隣接するいくつかの分子厚さの薄い境界領域が、前記壁部からの抗力を経験し、一方では、バルクフローの中の分子は、隣接する流体分子のみからの抗力を経験する。壁部に直接的に隣接する分子は、壁部に対して静止している。境界領域は、一般的に、チャネル厚さと比較して非常に薄くなっており、フローをモデル化することが、境界層厚さを無視することによって、および、バルクフローのみをモデル化することによって簡単化され得るようになっている。このアプローチが選ばれるときには、境界層の中の速度勾配は、滑り速度をモデルの中へ組み込むことによって考慮され得、それは、境界層にわたる速度差である。この滑り速度は、制御され得る。滑り境界条件のこの変化を説明する別の方法は、真の滑り境界条件であり、表面に直接的に隣接する流体分子は、滑り速度に等しい速度差によって、実際に表面の上をスライドする。
【0084】
どのように滑り速度が制御され得るかの例は、疎水性のベアリング表面を備えたベアリングデバイスの中にあり、そこでは、潤滑剤は、双極分子、または、疎水性側および親水性側を含む粒子を含む。外部フィールドが印加され、疎水性側がベアリング表面に向けて配向されるように分子または粒子を配向させるときには、分子または粒子が、ベアリング表面に付着する傾向がある。これは、ベアリング表面の近くのフロー抵抗を増加させ、滑り速度を減少させる。その代わりに反対の外部フィールドが印加されるときには、分子または粒子は、親水性側がベアリング表面に向けて配向されるように配向される。次いで、分子または粒子は、ベアリング表面によって拒絶され、ベアリング表面の近くのフロー抵抗を減少させる。これは、滑り速度を増加させる。疎水性の代わりに、ベアリング表面は、親水性であることも可能である。ベアリング表面の疎水性のエリアおよび親水性のエリアの組み合わせも可能である。
【0085】
フィールドは、電界または磁界であることが可能である。配向される代わりに、または、配向されることに加えて、分子または粒子は、また、フィールドの力によって、ベアリング表面に引き寄せられるかまたはベアリング表面から拒絶さ得る。
【0086】
したがって、本発明は、さらに、
- 第1のベアリング表面および第2のベアリング表面であって、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、互いに対して移動可能であり、互いに向かい合っており、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面は、潤滑剤によって充填されたベアリングギャップによって分離されている、第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている複数のアクティベーターであって、
〇 潤滑剤は、磁気粘性液体であり、アクティベーターは、磁界発生器であり、磁界発生器は、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、電気粘性液体であり、アクティベーターは、電界発生器であり、電界発生器は、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、温度依存粘度を有しており、アクティベーターは、加熱エレメントおよび/または冷却エレメントであり、加熱エレメントおよび/または冷却エレメントは、潤滑剤を局所的に加熱および/または冷却し、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、制御可能な滑り速度を有しており、アクティベーターは、潤滑剤の滑り速度を局所的に制御するように構成されているか、または、
〇 潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されており、アクティベーターは、磁界発生器であり、磁界発生器は、局所化された空間的に変化する磁界を発生させるように構成されており、局所化された空間的に変化する磁界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されているか、または、
〇 潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されており、アクティベーターは、電界発生器であり、電界発生器は、局所化された電界を発生させるように構成されており、局所化された電界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、複数のアクティベーターと
を含み、
- 少なくとも1つのアクティベーターは、少なくとも1つの他のアクティベーターから独立して制御可能である、ベアリングデバイスに関する。
【0087】
ある実施形態において、アクティベーターは、活性化させられるアクティベーターの複数の異なるパターンをベアリング表面の上に形成するように制御可能であり、複数の異なるパターンは、第1の形状を有する第1のパターンと、第1の形状とは異なる第2の形状を有する第2のパターンとを含む。
【0088】
ある実施形態において、アクティベーターは、複数のアクティベーターグループに分割されており、アクティベーターグループは、少なくとも第1のアクティベーターグループおよび第2のアクティベーターグループを含み、アクティベーターグループのアクティベーターは、別のアクティベーターグループのアクティベーターから独立して制御可能であり、第1のアクティベーターグループのアクティベーターは、活性化させられるアクティベーターの第1のパターンを形成するように制御可能であり、第2のアクティベーターグループのアクティベーターは、活性化させられるアクティベーターの第2のパターンを形成するように制御可能である。
【0089】
ある実施形態において、第1の形状は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して平行の方向に細長くなっており、第1のアクティベーターグループのアクティベーターの少なくとも1つの第1の障害ゾーンは、ベアリング端部を通したベアリングから外への潤滑剤フローを妨害するように構成されている。
【0090】
ある実施形態において、第2の形状は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して垂直の方向に、および、ベアリング表面に対して垂直の方向に対して垂直の方向に細長くなっており、第2のアクティベーターグループのアクティベーターの少なくとも1つの第2の障害ゾーンは、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動する方向への潤滑剤フローを妨害するように構成されており、それによって、圧力の局所的な増加を生成させ、それは、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0091】
ある実施形態において、第1の形状は、第1の形状方向に向けられているトップを画定しており、第1のアクティベーターグループのアクティベーターに関連付けられる障害ゾーンは、潤滑剤が第1の形状方向に障害ゾーンを通って流れるように、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動するときに、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップの直ぐ上流に位置付けされているピークゾーンの中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすように構成されており、第2の形状は、第2の形状方向に向けられているトップを画定しており、第2のアクティベーターグループのアクティベーターに関連付けられる障害ゾーンは、潤滑剤が第2の形状方向に障害ゾーンを通って流れるように、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動するときに、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップの直ぐ上流に位置付けされているピークゾーンの中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすように構成されている。
【0092】
ある実施形態において、それぞれの障害ゾーンは、左セクションおよび右セクションを含み、左セクションおよび右セクションは、ピークゾーンに向けて潤滑剤を方向付ける。
【0093】
ある実施形態において、第1の形状は、第1の形状方向を指している1つまたは複数の第1の矢印頭部を含み、第2の形状は、第2の形状方向を指している1つまたは複数の第2の矢印頭部を含み、第2の形状方向は、第1の形状方向の反対方向である。
【0094】
ある実施形態において、アクティベーターのそれぞれは、個別に制御可能である。
【0095】
ある実施形態において、ベアリングデバイスは、アクティベーターを制御するためのコントローラーを含み、コントローラーは、活性化させられるフィールド発生器の少なくとも2つの異なる構成を生成させるように構成されている。
【0096】
アクティベーターまたはフィールド発生器の独立制御は、変化する条件(たとえば、ベアリング負荷、ベアリング摩耗条件、ベアリング速度、ベアリング移動方向、およびベアリングギャップ厚さなど)を考慮するために使用され得る。ベアリング負荷は、コントローラーに接続されている負荷センサーによって測定され得、制御ユニットは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御するときに、負荷センサーからの信号を考慮に入れる。ベアリング速度は、コントローラーに接続されているベアリング速度センサーによって測定され得る。ベアリング移動方向は、コントローラーに接続されているベアリング移動方向センサーによって測定され得る。ベアリングギャップ厚さは、コントローラーに接続されている1つまたは複数のギャップセンサーによって測定され得る。ベアリング摩耗条件は、コントローラーに接続されている回転カウンター、コントローラーに接続されているベアリング負荷センサー、および/または、コントローラーに接続されているベアリング速度センサーを使用して推定され得、ベアリングの摩耗条件は、負荷センサー、回転カウンター、および/またはベアリング速度センサーの履歴データに基づいて決定される。
【0097】
たとえば、負荷センサーを含むベアリングでは、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、低負荷シナリオにおいてベアリングの低い抵抗を提供することが可能であり、一方では、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、高負荷シナリオにおいて高負荷負担容量を提供することが可能である。
【0098】
ギャップセンサーを含むベアリングでは、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、ベアリングギャップ高さを所定の値に維持することが可能である。回転ベアリングの周りのさまざまな場所においてギャップセンサーを使用して、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、内側ベアリングコンポーネントを外側ベアリングコンポーネントの中に中心を合わせて維持することが可能である。
【0099】
ベアリング移動方向センサーを含むベアリングでは、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、測定されたベアリング移動方向に対して、活性化させられたアクティベーターまたはフィールド発生器の最適化されたパターンを提供することが可能である。
【0100】
ベアリング摩耗条件センサーを含むベアリングでは、コントローラーは、アクティベーターまたはフィールド発生器を制御し、測定された摩耗条件に対して、活性化させられたアクティベーターまたはフィールド発生器の最適化されたパターンを提供することが可能である。
【0101】
また、アクティベーターまたはフィールド発生器は、他の入力によって、たとえば、ユーザーまたは別のデバイスが、低抵抗プログラム、低摩耗プログラム、低漏出プログラム、または高負荷プログラムを選択することによって、活性化および非活性化させられ得る。
【0102】
少なくとも1つのアクティベーターが少なくとも1つの他のアクティベーターから独立して制御可能なベアリングデバイスの任意の実施形態の特徴は、フィールド発生器が局所化された空間的に変化する磁界を発生させるように構成されている磁界発生器であるベアリングデバイスの任意の実施形態の特徴と組み合わせられ得、また、フィールド発生器が局所化された電界を発生させるように構成されている電界発生器であるベアリングデバイスの任意の実施形態と組み合わせられ得るということを当業者は認識することとなる。
【0103】
別個の独立した態様において、本発明は、ベアリングデバイスを使用して2つの表面を互いに対して移動させる方法であって、ベアリングデバイスは、
- 互いに向かい合っている第1のベアリング表面および第2のベアリング表面と、
- 第1または第2のベアリング表面の中に埋め込まれている複数のアクティベーターと
を含み、
方法は、
- ベアリングギャップによって第1のベアリング表面および第2のベアリング表面を分離するステップと、
- 第2のベアリング表面に対して第1のベアリング表面を移動させるステップと、
- ベアリングギャップを潤滑剤によって充填するステップであって、
〇 潤滑剤は、磁気粘性液体であり、アクティベーターは、磁界発生器であり、磁界発生器は、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、電気粘性液体であり、アクティベーターは、電界発生器であり、電界発生器は、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、温度依存粘度を有しており、アクティベーターは、加熱エレメントおよび/または冷却エレメントであり、加熱エレメントおよび/または冷却エレメントは、潤滑剤を局所的に加熱および/または冷却し、ベアリングギャップの中の少なくとも1つの障害ゾーンの中の潤滑剤の粘度を局所的に増加させるように構成されており、それによって、前記少なくとも1つの障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するか、または、
〇 潤滑剤は、制御可能な滑り速度を有しており、アクティベーターは、潤滑剤の滑り速度を局所的に制御するように構成されているか、または、
〇 潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、磁界に応答し、前記粒子は、磁界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されており、アクティベーターは、磁界発生器であり、磁界発生器は、局所化された空間的に変化する磁界を発生させるように構成されており、局所化された空間的に変化する磁界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されているか、または、
〇 潤滑剤は、キャリア流体および粒子を含み、粒子は、電界に応答し、前記粒子は、電界がないときに、キャリア流体の中に懸濁されており、アクティベーターは、電界発生器であり、電界発生器は、局所化された電界を発生させるように構成されており、局所化された電界は、フィールドの力を粒子に働かせることによって、懸濁液から粒子を局所的に除去するように構成されており、それによって、以前に懸濁された粒子の凝集体の形態で、ベアリング表面のうちの少なくとも1つの上に局所的なフロー障害物を形成し、局所的なフロー障害物は、障害ゾーンの中のベアリングギャップを通る潤滑剤のフローを局所的に妨害するように構成されている、ステップと、
- 少なくとも1つの他のアクティベーターから独立して少なくとも1つのアクティベーターを制御するステップと
を含む、方法に関する。
【0104】
ある実施形態において、方法は、アクティベーターを制御し、活性化させられるアクティベーターの複数の異なるパターンをベアリング表面の上に形成するステップを含み、複数の異なるパターンは、第1の形状を有する第1のパターンと、第1の形状とは異なる第2の形状を有する第2のパターンとを含む。
【0105】
ある実施形態において、方法は、
- アクティベーターを複数のアクティベーターグループに分割するステップであって、アクティベーターグループは、少なくとも第1のアクティベーターグループおよび第2のアクティベーターグループを含み、アクティベーターグループのアクティベーターは、別のアクティベーターグループのアクティベーターから独立して制御される、ステップと、
- 活性化させられるアクティベーターの第1のパターンを形成するように、第1のアクティベーターグループのアクティベーターを制御し、活性化させられるアクティベーターの第2のパターンを形成するように、第2のアクティベーターグループのアクティベーターを制御するステップと
を含む。
【0106】
ある実施形態において、第1の形状は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して平行の方向に細長くなっており、第1のアクティベーターグループのアクティベーターの少なくとも1つの第1の障害ゾーンは、ベアリング端部を通したベアリングから外への潤滑剤フローを妨害する。
【0107】
ある実施形態において、第2の形状は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して垂直の方向に、および、ベアリング表面に対して垂直の方向に対して垂直の方向に細長くなっており、第2のアクティベーターグループのアクティベーターの少なくとも1つの第2の障害ゾーンは、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動する方向への潤滑剤フローを妨害し、それによって、圧力の局所的な増加を生成させ、それは、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0108】
ある実施形態において、第1の形状は、第1の形状方向に向けられているトップを画定しており、第1のアクティベーターグループのアクティベーターに関連付けられる障害ゾーンは、潤滑剤が第1の形状方向に障害ゾーンを通って流れるように、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動するときに、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップの直ぐ上流に位置付けされているピークゾーンの中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こし、第2の形状は、第2の形状方向に向けられているトップを画定しており、第2のアクティベーターグループのアクティベーターに関連付けられる障害ゾーンは、潤滑剤が第2の形状方向に障害ゾーンを通って流れるように、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動するときに、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップの直ぐ上流に位置付けされているピークゾーンの中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こす。
【0109】
ある実施形態において、それぞれの障害ゾーンは、左セクションおよび右セクションを含み、左セクションおよび右セクションは、ピークゾーンに向けて潤滑剤を方向付ける。
【0110】
ある実施形態において、第1の形状は、第1の形状方向を指している1つまたは複数の第1の矢印頭部を含み、第2の形状は、第2の形状方向を指している1つまたは複数の第2の矢印頭部を含み、第2の形状方向は、第1の形状方向の反対方向である。
【0111】
ある実施形態において、方法は、アクティベーターのそれぞれを個別に制御するステップを含む。
【0112】
ある実施形態において、方法は、コントローラーを使用してアクティベーターを制御するステップを含む。
【0113】
少なくとも1つのアクティベーターが少なくとも1つの他のアクティベーターから独立して制御される方法の任意の実施形態の特徴は、局所化された空間的に変化する磁界が発生させられる方法、または、局所化された電界が発生させられる方法の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせられ得るということを当業者は認識することとなる。
【0114】
上記では、磁界または電界のいずれかを使用する実施形態が説明されている。電界および磁界の両方を使用し、電界に応答する粒子および磁界に応答する粒子の両方を結果的に使用するベアリングデバイスも可能であるということが当業者に明らかになることとなる。磁界および電界の両方に応答する粒子を使用することも可能である。そのような実施形態も、本開示の範囲の中に入る。
【0115】
磁気粘性液体もしくは電気粘性液体、温度依存粘度を有する潤滑剤、または、制御可能な滑り速度を有する潤滑剤との組み合わせも、本開示の中に入る。
【0116】
これらのおよび本発明の他の態様は、より容易に認識されることとなる。その理由は、それが、以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解され、添付の図面に関連して考慮されるからである。図面において、同様の参照符号は、同様のパーツを指定している。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1A】磁界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図1B】磁界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図1C】磁界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図1D】磁界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図2A】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2B】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2C】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2D】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2E】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2F】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2G】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2H】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2I】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2J】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2K】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図2L】本発明による実施形態に関する、磁界発生器のレイアウトおよび形成された凝集体の側面図の概略図である。
【
図3A】本発明による実施形態に関する、ベアリング表面に沿った磁界発生器のレイアウトおよび形成された堆積物の概略図である。
【
図3B】本発明による実施形態に関する、ベアリング表面に沿った磁界発生器のレイアウトおよび形成された堆積物の概略図である。
【
図3C】本発明による実施形態に関する、ベアリング表面に沿った磁界発生器のレイアウトおよび形成された堆積物の概略図である。
【
図4A】本発明による実施形態のベアリング表面の上面図である。
【
図4B】本発明による実施形態のベアリング表面の上面図である。
【
図5A】電界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図5B】電界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図5C】電界発生器を含むベアリングの中での、キャリア流体および粒子を含む潤滑剤の挙動の概略図である。
【
図6A】本発明による動圧ジャーナルベアリングの外側ベアリングパーツを示す図である。
【
図6B】本発明による動圧ジャーナルベアリングの外側ベアリングパーツを示す図である。
【
図7】本発明によるジャーナルベアリングの内側ベアリングパーツを示す図である。
【
図8A】本発明によるベアリングパーツを示す図である。
【
図8B】本発明によるベアリングパーツを示す図である。
【
図8C】本発明によるベアリングパーツを示す図である。
【
図8D】本発明によるベアリングパーツを示す図である。
【
図9A】本発明によるベアリングの軸線方向の断面を示す図である。
【
図9B】本発明によるベアリングの軸線方向の断面を示す図である。
【
図10A】本発明による静圧スラストベアリングを示す図である。
【
図10B】本発明による静圧スラストベアリングを示す図である。
【
図11A】本発明によるベアリングデバイスを示す図である。
【
図11B】本発明によるベアリングデバイスを示す図である。
【
図12A】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図12B】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図12C】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図12D】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図13A】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図13B】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図13C】本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示す図である。
【
図14A】本発明によるジャーナルベアリングの外側ベアリングパーツを示す図である。
【
図14B】本発明によるジャーナルベアリングの外側ベアリングパーツを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図1A~
図1Dは、自己回復ベアリング10の作動原理の概略図を示している。ベアリングは、2つのベアリング表面200、300を含み、2つのベアリング表面200、300は、互いに移動可能であり、それらは、互いに向かい合っている。キャリア流体110と、その中に懸濁された粒子120とを含む潤滑剤100が、ベアリングギャップ高さ420を有するベアリングギャップ400の中に、ベアリング表面200とベアリング表面300との間に配設されている。ベアリングギャップ中心410は、ベアリング表面200とベアリング表面300との間の中間にあるエリアにあり、すなわち、両方のベアリング表面200、300から等距離にあるエリアにある。
【0119】
ベアリング表面のうちの少なくとも1つは、フィールド発生器500を含み、フィールド発生器500は、電界もしくは磁界を発生させるか、または、電界もしくは磁界を発生させるように構成可能である。フィールド発生器500は、互いに直接的に隣接して設置されていてもよく、または、そうでなくてもよい。好ましくは、ベアリング表面200、300の相対運動の方向へのフィールド発生器のピッチ503は、ベアリングギャップ高さ420の20倍よりも小さい。
図1A~
図1Dは、フィールド発生器500が互いに直接的に隣接して設置されていない実施形態を示している。磁界または電界は、潤滑剤100の中の懸濁液から粒子120を局所的に除去し、ベアリング表面の上に凝集体121を形成することが可能である。これらの凝集体121は、フロー障害物122を形成することが可能である。
【0120】
潤滑剤がフロー障害物122を通過して流れるときに、圧力増加は、フロー障害物122から直ぐ上流に生成される。これは、ベアリング表面200、300に対して垂直の負荷がベアリング10に印加されるときに、ベアリング表面200とベアリング表面300との間の接触を防止することによって、ベアリング10の負荷容量を増加させることが可能である。追加的にまたは代替的に、フロー障害物122は、ベアリング端部に沿って位置決めされ得、ベアリングからの潤滑剤流出が抑制されるようになっている。これは、潤滑剤100の漏出を減少させ、ベアリング10の内側の潤滑剤100のより高い圧力を維持することを支援し、ベアリングの負荷容量を増加させることが可能である。
【0121】
図1Aは、電界または磁界がないときにベアリング表面200、300が互いに対して静止している状況を示している。粒子120は、潤滑剤100の中に均質に分配されている。
【0122】
図1Bは、フィールド発生器500によって発生させられる電界または磁界が存在しているときに、ベアリング表面200、300が互いに対して静止している状況を示している。粒子120は、フィールド発生器によって引き付けられ、それらの周りに群がり、潤滑剤100の中のそれらの分配の均質性を破壊する。
【0123】
図1Cは、電界または磁界(フィールド発生器500によって発生させられる)が存在するときに、第1のベアリング表面200が第2のベアリング表面300に対して左側に速度uで移動する状況を示している。ベアリング表面の相対的な移動、および、ベアリング表面における滑りなしの境界条件は、潤滑剤100の中の速度分配を生じさせ、速度は、ベアリングギャップにわたって変化する。潤滑剤100は、右側から左側へ流れることとなる。粒子120は、フィールド発生器500に向けてそれらを引き付けるフィールドの力800を経験し、同様に、潤滑剤フローから結果として生じる抗力810を経験する。これらの力の間の相互作用は、有効な力820を生み出し、
図1Cに示されている挙動を結果として生じさせ、局所化された粒子120の凝集体121が、ベアリング表面200、300のうちの1つの上に形成されており、それは、障害ゾーンの中にフロー障害物122を形成している。有効な力820は、反力830によって対抗され、反力830は、ベアリング表面200、300および他の粒子120によって粒子に働かされる。粒子120に働かされる有効な力820および反力830の総計は、ゼロであり、粒子が凝集体121の中に静止したままになるようになっている。たとえば、衝突する粒子120または別の摂動によって、このバランスが破壊される場合には、粒子120は、凝集体121を離れることとなる。次いで、この粒子120は、潤滑剤ストリームによって同伴され得、別の凝集体121と衝突し、および/または、それに接合することが可能であり、凝集体121の自己回復効果が実現されるようになっている。
【0124】
フィールドによって粒子120に働かされるフィールドの力800は、流れている潤滑剤100の抗力810に対抗して粒子120を適切な場所に保持するために、特定の閾値を上回っていなければならない。フィールドの力800のこの閾値は、少なくともベアリングデバイス10のrpmおよび潤滑剤100の粘度に依存するということが理解されることとなる。ベアリングデバイス10がより速く回転する場合には、潤滑剤100は、より速く流れることとなり、ストークスの法則に従って、より高い抗力810を静止した粒子120に働かせることとなる。したがって、より高いrpmにおいて凝集体121を形成するために、フィールドによってそれぞれの粒子810に働かされるフィールドの力800はより高くなっているべきである。同じことが、潤滑剤100のより高い粘度にも当てはまる。
【0125】
凝集体121は、それらがその上に形成されているベアリング表面に対して静止している。粒子120は、潤滑剤フローによって、凝集体121に連続的に供給され、凝集体121から除去される。
図1Dは、
図1Cの拡大図を示しており、フィールドの力800、抗力810、および有効な力820をさらに示している。
【0126】
凝集体121は、フロー障害物122を生成させ、フロー障害物122は、障害物高さ123を有しており、障害物高さ123は、ベアリングギャップ400の高さ420の何分の1かであり、潤滑剤100がフロー障害物122の上を流れることを可能にする。ベアリング表面200、300の所与の相対速度および所与のベアリングギャップ高さ420に関して、より大きい障害物高さ123は、潤滑剤フローの方向に、障害物にわたってより大きい圧力差を誘導し、また、障害物122の上を通過する潤滑剤100のより大きい速度を誘導する。そして、これは、障害物122を構成する粒子120の上により大きい抗力を引き起こし、障害物高さ123をさらに大きく成長させることが、増加された抗力810に対抗するために、さらにより大きいフィールドの力800を必要とするようになっている。他方では、所与のベアリングギャップ高さ420に関して、ベアリング表面200、300のより大きい相対速度は、障害物122の上を通過する潤滑剤100のより大きい速度をもたらす。そして、これは、障害物122を構成する粒子120の上により大きい抗力を引き起こし、それは、より低い障害物高さ123を結果として生じさせる。ベアリング表面200とベアリング表面300との間の潤滑剤100のフローは、ベアリング表面200、300の相対速度、および、これらのベアリング表面の間の距離(ベアリングギャップ高さ420)に依存するということを見ると、このメカニズムは、ベアリング表面200、300の相対速度およびベアリングギャップ高さ420に依存するフロー障害物122の平衡高さ123をもたらすことが可能である。
【0127】
凝集体のサイズを変化させるために、フィールドの力800が変化させられ得る。これを実現するために、磁界または電界の空間的な勾配が変化させられ得る。電界のケースでは、帯電された粒子が使用されるときに、電界強度が同様に変化させられ得る。凝集体のサイズを変化させることによって、ベアリングデバイスは、異なるシナリオおよび/またはユーザー要求(たとえば、低い抵抗、高負荷負担容量、および/または、ベアリングから外への潤滑剤の低い漏出など)に調節され得る。
【0128】
フロー障害物122は、ベアリングギャップ400を通るオープンチャネルを残すことが可能であり、それは、ベアリングギャップ高さの80%よりも小さい。また、このチャネルは、ベアリングギャップ高さに対してより小さくなっていることが可能であるが、このチャネルの高さは、ベアリングの動作条件に依存する可能性がある。フロー障害物122の直ぐ上流の圧力増加は、ベアリング10の能力の増加を結果として生じさせ、ベアリング表面200とベアリング表面300との間で伝達される負荷を担持する。
【0129】
ベアリング10に給送される潤滑剤100の中の粒子120の濃度は、フロー障害物高さ123を制御する目標を伴って変化させられ得る。一般的に、磁気粘性ベアリングデバイスまたは電気粘性ベアリングデバイスのときよりも低い粒子濃度が必要とされる。これは、粒子が潤滑剤の体積全体を通して分散されるのではなく、凝集体を形成するためにのみ必要とされるという事実に起因する。フロー障害物高さ123は、半径方向のまたは軸線方向のベアリング負荷、ベアリング表面の相対的な移動の速度、ベアリングパーツの相対的な位置、およびベアリング摩耗などのような、条件に応じて変化させられ得る。たとえば、高い濃度の粒子120を有する潤滑剤100が、初期の段階でベアリング10に給送され得るが、フロー障害物122がベアリング10の中に確立されると、より低い濃度またはさらにはゼロの濃度の粒子120を有する潤滑剤100がベアリング10に給送される。また、高い濃度の粒子120を有する潤滑剤100は、定期的にまたは偶発的にベアリング10に給送され得るが、粒子120を備えないかまたは粒子120を実質的に備えない潤滑剤100が、粒子給送のこれらの瞬間同士の間にベアリング10に給送される。これらの瞬間同士の間の時間、および、これらの瞬間の間にベアリング10に給送される粒子120の数は、たとえば、ベアリング10の測定値(たとえば、ベアリング負荷、ベアリング表面の相対的な速度、ベアリングギャップ高さ420、ベアリングの動作時間に基づく所定のスケジュール、または、これらの要因の組み合わせなど)に依存する可能性がある。
【0130】
また、キャリア流体110自体は、たとえば、懸濁液の中に多くの粒子120を保持することができないがより良好な潤滑特性を有する流体に変更され得る。また、粒子濃度およびキャリア流体タイプは、ベアリング10の動作条件(たとえば、ベアリング負荷、ベアリング表面200、300の相対的な移動速度、ベアリングパーツの相対的な位置、ベアリングギャップ高さ420、ベアリング摩耗、および障害ゾーン条件など)に基づいて制御され得る。このように、障害物高さ123は、ベアリングの動作条件に適合され、低負荷シナリオの下でのベアリング抵抗を最小化し、高負荷シナリオの下でのベアリング摩耗を最小化することが可能である。
【0131】
フィールド発生器500は、磁界発生器510もしくは電界発生器520、または、その両方の組み合わせであることが可能であるが、粒子120が、これらのフィールドに応答する。磁界発生器のケースでは、フィールドの力は、磁力であることとなり、電界発生器のケースでは、フィールドの力は、電気力であることとなるということを当業者は理解することとなる。
【0132】
磁気的な単極子は存在しないが電気的な単極子は存在するので、および、双極子は空間的に均質なフィールドの中で正味のフィールドの力を経験しないので、磁界発生器510は、空間的に変化する磁界がベアリングギャップ400の中に発生させられるように構成されているが、電界発生器520は、空間的に均質な電界または空間的に変化する電界のいずれかをベアリングギャップ400の中に生成させるように構成され得る。粒子120は、たとえば、永久磁気双極子モーメントもしくは電気双極子モーメントを有することが可能であり、または、磁気双極子もしくは電気双極子は、外部フィールドによって誘導可能であり得る。また、粒子120は、電荷を保持することが可能である。磁化可能な粒子120のケースでは(そこでは、磁気双極子モーメントが誘導可能である)、粒子120は、プラスの磁化率を有することが可能である。また、上記に説明されているような粒子120の組み合わせも可能である。
【0133】
好ましくは、磁界強度は、ベアリングギャップの方向に変化し、ベアリングギャップの一方の側の磁界強度は、ベアリングギャップの中心410におけるものよりも少なくとも25パーセント高くなっており、好ましくは、それよりも50パーセント高くなっており、より好ましくは、その2倍高くなっており、さらにより好ましくは、その5倍高くなっており、さらにより好ましくは、10倍高くなっている。この変化は、ベアリングギャップの方向に、磁気粒子120に結果として生じる磁力を提供し、懸濁液から粒子を局所的に引っ張る。電界強度は、同様の方式で変化することが可能である。これは、電気的に中性の粒子に必要とされるが、それは、帯電された粒子に望ましい場合もある。この望ましさの理由は、そのような変化が、荷電された粒子がベアリング表面の近くでより大きい電気力を経験するということを伴うということである。これは、それらの粒子によって形成される凝集体121が、それらがよりベアリングギャップ中心410に向かうよりも、ベアリング縁部の近くにおいて、より強力に一緒に保持されるということ意味している。これは、フロー障害物の平衡高さ123とベアリング表面200、300の相対速度およびベアリングギャップ高さとの間に好ましい関係をもたらすことが可能である。
【0134】
好ましくは、磁界強度は、また、ベアリングの動作時に潤滑剤が流れる方向に変化しており、磁界強度は、動作の間に潤滑剤が流れる方向に沿って、ベアリングギャップ高さ420の半分に等しい距離において、少なくとも25パーセントだけ変化し、好ましくは、50パーセントだけ変化し、より好ましくは、2倍変化し、さらにより好ましくは、5倍変化し、さらにより好ましくは、10倍変化する。この変化は、流体フローの方向に平行な力の成分を有する磁気粒子を提供する。この力の成分は、流体抗力からの影響に対抗するために使用され得る。電界は、同様の方式で変化することが可能である。電気的に中性の粒子、または、正味電荷および双極子モーメント(永久双極子モーメントまたは誘起双極子モーメントのいずれか)の両方を備えた粒子が、使用されているときには、これは、ベアリング10の動作の間に潤滑剤100が流れる方向に、力の成分を粒子に印加するのに十分である。しかし、双極子モーメント(永久双極子モーメントまたは誘起双極子モーメントのいずれか)を備えない粒子に関して、電界自体が、また、ベアリング10の動作の間に潤滑剤100が流れる方向に成分を有し、この方向に電気力の成分を働かせるようになっていなければならない。
【0135】
図2A~
図2Lは、本発明によるさまざまな実施形態のベアリング表面のセクションの中に埋め込まれている磁界発生器510のレイアウトの側面図の概略図を示している。磁界発生器510は、ベアリングギャップ400の一方の側に位置決めされており、
図2A、
図2C、
図2E、
図2G、
図2H、および
図2Kでは、ベアリングギャップの一方の側のみに障害ゾーンを生成させており、一方では、磁界発生器510は、
図2B、
図2D、
図2F、
図2I、
図2J、および
図2Lでは、両方の側に位置決めされている。磁界発生器510の代わりに電界発生器520を使用する実施形態に関して、
図2A~
図2Lに示されているような同様のレイアウトが、電界発生器520のために使用され得る。
図2A~
図2Cでは、磁界発生器510は、ベアリング表面200、300の相対運動の方向に沿って長さ501を有しており、それは、ベアリングギャップ高さ420の10倍よりも小さい。また、この長さ501は、より長くなっていることも可能であるが、好ましくは、ベアリングギャップ高さ420の20倍よりも小さくなっている。
図2A~
図2Cにおける磁界発生器510は、ベアリングギャップ400の方向に沿って深さ503を有しており、それは、ベアリングギャップ高さ420の10倍よりも小さい。また、この深さ503は、より大きくなっていることも可能であるが、好ましくは、ベアリングギャップ高さ420の20倍よりも小さくなっている。
【0136】
図2C、
図2D、
図2E、
図2F、
図2K、および
図2Lでは、強磁性材料600が、磁界発生器510の周りに位置決めされ、磁界の形状を制御する。磁界発生器は、永久磁石または電磁石であることが可能である。強磁性材料は、ほとんどの材料よりも高い透磁率を有しているので、磁界発生器510の近くに強磁性材料600を設置することは、磁界発生器510の近くであるが強磁性材料600の外側において、より小さい磁界および高い磁界の空間的な勾配を生み出す。電界発生器が使用されるときには、好ましい電気特性の材料が、電界発生器520同士の間に位置決めされ、同様の効果を仕分けることが可能である。好ましい磁気特性は、高いまたは低い透磁率である可能性がある。同様に、好ましい電気特性は、高いまたは低い誘電率である可能性がある。これらの材料を含むことは、それぞれ、磁界または電界の最適な形状を可能にすることができる。たとえば、局所的な空間的な勾配の大きさは、そのような材料を組み込むことによって最大化され得る。勾配の方向は、同様に制御され得る。
【0137】
磁界発生器510の中の矢印は、磁界発生器510の分極を示している。
図2Kおよび
図2Lは、磁界発生器510がすべて同じような磁極を備えてベアリングギャップ400に面している実施形態を示しており、一方では、
図2A~
図2Jは、磁界発生器510がすべて同じような磁極を備えてベアリングギャップ400に面しているわけではない実施形態を示している。示されている実施形態では、粒子120は、磁界発生器510に向けて引き付けられている。これらの粒子は、永久磁気双極子であるか、または、プラスの磁化率を有する材料であることが可能である。
【0138】
図3A~
図3Cは、本発明によるさまざまな実施形態のベアリング表面のセクションの中に埋め込まれている磁界発生器510のレイアウトの概略図を示している。磁界発生器510の中の円形は、磁気分極ベクトルが図の平面から外を指していることを示しており、一方では、磁界発生器510の中の十字は、磁気分極ベクトルが図の平面の中を指していることを示している。隣接する磁界発生器510が等しくないかまたはさらには反対の磁気分極のものになっているレイアウトは、等しくない方向に磁化ベクトルを有する磁界発生器が極めて近接していることに起因して、磁界発生器510の近くに磁界の大きい空間的な勾配を生み出す。
【0139】
図4Aおよび
図4Bは、本発明によるスラストベアリング10のベアリング表面の上面図を示している。
図4Aでは、磁界発生器510は、半径方向に位置決めされているが、
図4Bでは、それらは、半径方向の線から所定の角度オフセットで位置決めされている。
図4Bに示されている実施形態では、障害ゾーンの中に形成される凝集体121は、フロー障害物122を形成し、それは、ベアリング10の負荷容量を増加させる以外に、ベアリング表面の相対的な回転運動のときに潤滑剤100を内向きに押し込むことによって、ベアリング10からの潤滑剤100の半径方向外向きの漏出を低減させることを支援する。この効果は、潤滑剤フローの方向に対する障害ゾーンの配向が垂直になっていないという事実によって引き起こされる。湾曲した矢印によって示されているように、
図4Bに示されているベアリング表面300に対して潤滑剤が反時計回りに流れるときに、その効果が見られる。
【0140】
図5A~
図5Cは、本発明による3つの異なる実施形態に関して、ベアリングギャップ400のセクションの側面図の概略図面を示しており、そこでは、フィールド発生器500は、電界アクティベーター520であり、その電位は、電位供給源525によって制御される。すべての図において、キャリア流体110は、非導電性であり、ゼロ電圧に維持される。好ましくは、粒子120は、非導電性であるかまたは非導電性の外側層によってコーティングされており、粒子の鎖を通る電流を防止する。
【0141】
図5Aでは、電界発生器520が、ベアリングギャップ400の一方の側のみに位置決めされており、ベアリングギャップ400の一方の側のみに粒子120の凝集体121を含有する障害ゾーンを生成させる。この実施形態において使用される粒子120は、マイナスに荷電された粒子であるか、永久電気双極子であるか、電気双極子モーメントが外部電界によって誘導され得る粒子であるか、または、それらの組み合わせであることが可能である。永久双極子モーメントまたは誘起電気双極子モーメントを備えた粒子が、空間的に変化する電界の中で正味の電気力を経験する。帯電された粒子は、同様に、空間的に均質な電界の中で正味の電気力を経験する。
【0142】
図5Bでは、ベアリングギャップ400の反対側にある2つの電界発生器520が、符号が等しい電圧を保持している。電圧の符号は、示されている実施形態ではプラスであるか、マイナスであることも可能である。この実施形態では、粒子120の凝集体121を含有する障害ゾーンが、ベアリングギャップ400の両方の側において誘導される。電界発生器520同士の間のフィールドは、無限電界発生器であっても空間的に均質でない。その理由は、電界発生器が同じ符号の電圧を保持するからである。したがって、永久双極子モーメントを備えた粒子120、双極子モーメントがその中で誘導可能である粒子、荷電された粒子、または、これらの粒子の組み合わせが使用され得る。荷電された粒子は、潤滑流体に関して、フィールド発生器520の電圧とは反対の符号を有する電荷を保持するべきであり、これらの電界発生器520に向けて引き付けられるようになっている。
図5Bに示されている実施形態では、荷電された粒子は、マイナスの電荷を保持することとなる。
【0143】
図5Cでは、反対の符号の電圧を保持する2つの電界発生器520が、ベアリングギャップ400の反対側に位置決めされている。使用される粒子120は、帯電されている。すべての粒子が同じ符号の電荷を保持しているときには、粒子120の凝集体121を含有する障害ゾーンが、ベアリングギャップ400の一方の側に生成されることとなる。プラスおよびマイナスの両方の電荷の粒子が使用されるときには、障害ゾーンが、図に示されているように、ベアリングギャップ400の両方の側に生成されることとなる。2つのフィールド発生器520が、ベアリングの動作の間に潤滑剤100が流れる方向に互いに対して変位させられている場合には、ベアリング10の動作の間に潤滑剤100が流れる方向への電界の成分が得られることとなる。
【0144】
図6A~
図6Bは、本発明によるジャーナルベアリング10の外側パーツを示している。これらのベアリングは、ベアリング軸線11の周りに回転する。
図6Aでは、フィールド発生器500は、軸線方向のベアリング端部12に設置されている。したがって、フロー障害物122は、軸線方向のベアリング端部12の近くに生成され、ベアリングから外への潤滑剤漏出を制限し、ベアリングギャップの内側の潤滑剤の圧力を増加させ、ベアリングデバイス10の負荷容量を強化する。
図6Bは、矢印頭部のように形状決めされたフィールド発生器500を示している。ベアリングデバイス10は、好適な回転方向が存在するように構成されており、潤滑剤は、フィールド発生器500の矢印頭部が指している方向に流れる。フロー障害物122がフィールド発生器500に沿って形成されるので、フロー障害物に対して垂直の潤滑剤フローが妨害される。
【0145】
したがって、ベアリング表面200、300の相対的な回転移動のときに、潤滑剤は、矢印頭部の先端に向けて、軸線方向に内向きに押し込まれる。これは、ベアリングギャップの軸線方向の中心において圧力の増加を生成させ、ベアリングの負荷容量を増加させ、軸線方向のベアリング端部12から外への潤滑剤100の漏出を減少させる。また、たとえば、球体セクション、双曲線、放物線、または、ベアリングが好適な方向に回転させられるときに、潤滑剤が軸線方向のベアリング端部12から離れるように押し込まれる他の形状など、同じ効果を提供するフィールド発生器500の他の設計も可能であるということが当業者に明らかになることとなる。同様に、そのようなフィールド発生器の形状は、たとえば、
図6Bに示されているフィールド発生器レイアウトを
図6Aのフィールド発生器500と組み合わせることによって、他のフィールド発生器の形状と組み合わせられ、軸線方向のベアリング端部12から外への潤滑剤100の漏出をさらに制限することが可能である。
【0146】
図面6~11は、互いからいくらかの距離に設置されているフィールド発生器500を示している。また、フィールド発生器500は、互いに直接的に隣接してまたは互いの近くに設置され得る。望ましい磁気特性の材料(たとえば、強磁性材料600など)、または、望ましい誘電特性の材料(たとえば、導体など)が、磁界発生器510同士の間におよび電界発生器520同士の間にそれぞれ設置され得る。
図3A~
図3Cは、そのようなレイアウトの例を示している。また、フィールド発生器500は、ベアリング表面200の平面の中の両方の寸法において、ベアリング表面の相対的な移動の方向に沿った方向、および、ベアリング表面の相対的な移動の方向に対して垂直の方向の両方において、
図6~
図11に示されているものよりも小さくなっていることが可能である。
【0147】
図7は、本発明による静圧ベアリングデバイス10の内側パーツを示している。潤滑剤100は、潤滑剤供給入口部105を通してベアリングギャップ400に供給される。潤滑剤供給入口部105は、フィールド発生器500によって囲まれており、潤滑剤供給入口部105の周りにフロー障害物122を生成させる。これは、潤滑剤囲い込み領域124から外への潤滑剤フローを制限し、潤滑剤囲い込み領域の中の圧力を増加させる。この圧力の増加は、ベアリングデバイス10の負荷容量を増加させる。
【0148】
図8A~
図8Dは、本発明によるベアリングデバイス10のベアリング表面200の上のフィールド発生器500の異なるレイアウトを示している。
図8Aは、
図6Bに示されているジャーナルベアリングデバイスと同様のフィールド発生器500のレイアウトを使用するリニアベアリングデバイスの一部を示している。
図8Bは、フィールド発生器500のそのようなレイアウトを使用するスラストベアリングを示している。
図8Cおよび
図8Dは、本発明による静圧スラストベアリングの一部を示している。
【0149】
図8Cでは、フィールド発生器は、半径方向のベアリング端部13として位置決めされている。
図6Aに示されているデバイスと同様に、このレイアウトは、ベアリング端部から外への潤滑剤100の漏出を低減させ、ベアリングギャップ400の中の潤滑剤100のより高い圧力を生み出す。このレイアウトが、示されているように静圧ベアリングにおいて使用されるときには、半径方向のベアリング端部13を通した潤滑剤100の漏出がほとんどない状態で、潤滑剤供給入口部105を通した潤滑剤100の大きい圧力供給が可能である。これは、ベアリング10の負荷容量を増加させる。
【0150】
図8Dは、
図8Cに示されているものと同様のベアリングデバイス10を示しており、それは、ベアリング表面の平面の中の流体フローの方向に対して平行な漏出妨害セクション540以外に、主流を妨害するフィールド発生器セクション530をさらに含み、主流を妨害するフィールド発生器セクション530は、ベアリング表面200の平面の中の流体フローの方向に対して垂直になっている。フィールド発生器500(ひいては、フロー障害物122)が潤滑剤供給入口部105を完全に囲んでいるので、潤滑剤囲い込み領域124から外への潤滑剤フローが抑制される。主流を妨害するセクション530は、それがそれらを通って流れるときに、潤滑剤圧力を局所的に増加させ、ベアリングの負荷容量を増加させる。漏出妨害セクション540は、半径方向のベアリング端部から外への潤滑剤100のフローを抑制し、潤滑剤漏出を低減させ、ベアリングギャップ400の中の潤滑剤圧力を増加させ、ベアリングの負荷容量をさらに増加させる。
【0151】
図9A~
図9Bは、軸線方向の潤滑剤供給入口部105を備えた、本発明によるスラストベアリング10の軸線方向の断面を示している。リング形状のフィールド発生器500は、ベアリング表面200と同心円状になっており、それは、ベアリング表面200の中に埋め込まれており、ベアリングギャップ高さ420と同様の、ベアリングギャップの方向への深さ503を有している。フィールド発生器のこの寸法が、ベアリングギャップに対して大きくなっているときには、より均質なフィールドが、ベアリングギャップの中に生成される。これは、潤滑剤100の中の粒子120が磁気的であるかもしくは磁化可能であるときには、または、それらが永久電気双極子モーメントもしくは誘起電気双極子モーメントを含むときには、望ましくない。その理由は、これらの粒子に対するそれぞれの磁気力または電気力が、それぞれの磁界または電界の勾配に依存するからである。したがって、永久双極子モーメントまたは誘起双極子モーメントを備えた粒子120が使用されるときには、フィールド発生器500は、最適な結果のために実用的に実現可能な限り小さく作製されるべきである。実際には、これは、等しくない分極の小さいフィールド発生器500を互いに隣接して適用することが良好な結果を生み出すということを必然的に伴う。たとえば、
図2G~
図2Jおよび
図3A~
図3Cを参照されたい。結果的に、等しくない分極の複数の小さいリング形状のフィールド発生器500が、
図9A~
図9Bに示されているベアリングデバイス10の中に同心円状に設置され得る。
【0152】
図10A~
図10Bは、本発明による静圧スラストベアリングデバイス10を示しており、そこでは、フィールド発生器500が埋め込まれているベアリング表面200を見るために、ベアリングパーツのうちの1つが半透明になっている。フィールド発生器500(ひいては、フロー障害物122)が潤滑剤供給入口部105を完全に囲んでいるので、潤滑剤囲い込み領域124から外への潤滑剤フローが抑制される。これは、潤滑剤囲い込み領域124の中のベアリングギャップ400の中の圧力を増加させ、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0153】
図11A~
図11Bは、本発明による組み合わせられたベアリングデバイス10を示しており、そこでは、スラストベアリングが、ジャーナルベアリングと組み合わせられている。
図11Bは、スラストベアリングの軸線方向の断面を示している。このスラストベアリングは、両方の方向への軸線方向の負荷に抵抗する。ジャーナルベアリングおよびスラストベアリングの両方が、潤滑剤供給入口部105を含む。
【0154】
図6~
図11は、WO2018212657A1に開示されている図と同様のように見える。重要な違いは、フィールド発生器500のサイズおよび形状にある。WO2018212657A1では、ベアリングデバイス10は、ベアリングギャップの中の磁界の強度が特定の値を有するように設計されている。本発明において、関連のある量は、磁界強度ではなく、磁界の空間的な勾配である。これは、フィールド発生器500に関する異なる設計を必要とする。WO2018212657A1の図が本開示の図と比較されるときに見られ得るように、
図6~
図11のフィールド発生器は、ベアリングギャップの方向により薄くなっている。
【0155】
図12A~
図12Dは、本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示している。そのベアリングパーツは、複数のフィールド発生器500を含み、それらは、
図12Aに示されているように、第1のベアリング表面200の上に、グリッドのようなピクセルで並べられている。
【0156】
フィールド発生器500は、
図12B、
図12C、および
図12Dに示されているように、第1のベアリング表面200の上に、3つの異なるパターンの活性化させられたフィールド発生器を形成するように制御可能である。特定の形状でフィールド発生器500を活性化させることは、その同じ形状で障害ゾーンを生み出す。
図12C、
図12B、および
図12Dでは、活性化させられたフィールド発生器のみが示されている。
【0157】
フィールド発生器500の代わりに、アクティベーター20が、適切な潤滑剤100と組み合わせて使用され得る。これらは、たとえば、温度依存粘度を有する潤滑剤と組み合わせられた加熱エレメントおよび/もしくは冷却エレメント、または、制御可能な滑り速度を有する潤滑剤と組み合わせられた滑り速度制御アクティベーター20であることが可能である。そのうえ、磁気粘性潤滑剤または電気粘性潤滑剤が、フィールド発生器500と組み合わせて使用され、それは、感知できるほどの空間的な勾配を伴わないフィールドを生成させる。
【0158】
図12Bは、
図12Aのベアリングパーツを示しており、そこでは、フィールド発生器500が、ファンのような形状を形成するように制御されている。使用時に、これは、ファンのような形状で局所的なフロー障害物を生み出し、それは、半径方向のベアリング端部13を通る潤滑剤100の漏出を減少させ、潤滑剤圧力を局所的に増加させることによってベアリングの負荷容量を増加させる。
【0159】
図12Cは、
図12Aのベアリングパーツを示しており、そこでは、フィールド発生器500が、半径方向のベアリング端部13に円形を形成するように制御されている。使用時に、これは、円形形状で局所的なフロー障害物を生み出し、それは、半径方向のベアリング端部13から外への潤滑剤100の漏出を減少させる。
【0160】
図12Dは、
図12Cのベアリングパーツを示しており、そこでは、追加的なフィールド発生器500が、星のような形状を形成するように制御されている。使用時に、これは、星のような形状で局所的なフロー障害物を生み出し、それは、潤滑剤圧力を局所的に増加させることによって、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0161】
図12A~
図12Dの実施形態では、フィールド発生器500のそれぞれが、コントローラー900によって個別に制御可能である。このように、さまざまな条件(たとえば、ベアリング負荷、速度、および摩耗条件など)に応じて、さまざまな形状の障害ゾーンが生成され得る。代替的に、フィールド発生器500は、複数のフィールド発生器グループに分割され得、フィールド発生器グループは、少なくとも第1のフィールド発生器グループ505および第2のフィールド発生器グループ506を含む。フィールド発生器グループのフィールド発生器500は、コントローラー900によって、別のフィールド発生器グループのフィールド発生器500から独立して制御可能であり、第1のフィールド発生器グループ505のフィールド発生器500は、活性化させられるフィールド発生器の第1のパターン700を形成するように制御可能であり、第2のフィールド発生器グループ506のフィールド発生器500は、活性化させられるフィールド発生器の第2のパターン702を形成するように制御可能である。これは、それぞれのフィールド発生器500を個別に制御するよりも小さいフレキシビリティーを提供するが、(特に、コントローラー900の)ベアリングデバイス10の簡単化された構築および制御を可能にすることができる。コントローラーは、センサー入力またはユーザー入力に基づいて、ベアリングデバイス10を制御することが可能である。
【0162】
そのようなベアリングデバイス10は、
図13A~
図13Cに示されており、そこでは、本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツが示されている。
図13Aは、本発明によるスラストベアリングのベアリングパーツを示しており、すべてのフィールド発生器500が示されている。
図13Bは、
図13Aのベアリングパーツを示しており、第1のフィールド発生器グループ505のフィールド発生器500のみが示されている。
図13Cは、
図13Aのベアリングパーツを示しており、第2のフィールド発生器グループ506のフィールド発生器500のみが示されている。
【0163】
第1の形状701は、第1の形状方向705に向けられているトップ36を画定している。第1のアクティベーターグループのフィールド発生器500に関連付けられる障害ゾーンは、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップ36の直ぐ上流に位置付けされているピークゾーン38の中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすように構成されている。第2の形状703は、第2の形状方向707に向けられているトップ36を画定している。第2のフィールド発生器グループのフィールド発生器に関連付けられる障害ゾーンは、それぞれの障害ゾーンの上流に位置付けされている非障害ゾーンの中で、および、とりわけ、それぞれのトップ36の直ぐ上流に位置付けされているピークゾーン38の中で、ベアリングギャップの中の潤滑剤の圧力の局所的な上昇を引き起こすように構成されている。それぞれの障害ゾーンは、左セクション42および右セクション40を含み、左セクションおよび右セクションは、ピークゾーン38に向けて潤滑剤を方向付ける。
【0164】
第1の形状701は、第1の形状方向705を指している1つまたは複数の第1の矢印頭部704を含み、一方では、第2の形状703は、第2の形状方向707を指している1つまたは複数の第2の矢印頭部706を含む。第2の形状方向707は、第1の形状方向705の反対方向である。第1のフィールド発生器グループ505と第2のフィールド発生器グループ506との間で切り替えることは、スラストベアリングの2つの回転方向に関して調整することを可能にし、矢印頭部704、706は、好ましくは、潤滑剤フローの方向を指している。これは、半径方向のベアリング端部13を通る潤滑剤100の漏出を減少させ、潤滑剤圧力を局所的に増加させることによってベアリングの負荷容量を増加させる。矢印頭部以外の形状も可能であるということを当業者は理解することとなる。
【0165】
図14Aは、本発明によるジャーナルベアリングの外側ベアリングパーツを示しており、そこでは、フィールド発生器500が、2つのグループに分割されている。第1のフィールド発生器グループ505のフィールド発生器500のみが示されている。第1の形状701は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して平行の方向に細長くなっており、閉じたリングが、軸線方向のベアリング端部12の両方に形成されるようになっている。第1のフィールド発生器グループ505のフィールド発生器500は、少なくとも1つの局所的なフロー障害物を生成させるように構成されており、前記少なくとも1つの局所的なフロー障害物の障害ゾーンは、ベアリング端部(このケースでは、軸線方向のベアリング端部12)を通るベアリングから外への潤滑剤フローを妨害するように構成されている。
【0166】
図14Bは、
図14Aの外側ベアリングパーツを示しており、追加的に、第2のフィールド発生器グループ506のフィールド発生器500が示されている。第2の形状703は、ベアリング表面同士の間の相対的な移動の方向に対して垂直の方向に、および、ベアリング表面に対して垂直の方向に対して垂直の方向に細長くなっている。第2の形状703は、ベアリング回転軸線11に対して平行な複数の線を含む。第2のフィールド発生器グループ506のフィールド発生器500は、少なくとも1つの局所的なフロー障害物を生成させるように構成されており、前記少なくとも1つの局所的なフロー障害物の障害ゾーンは、第1および第2のベアリング表面が互いに対して移動する方向への潤滑剤フローを妨害するように構成されており、それによって、圧力の局所的な増加を生成させ、それは、ベアリングの負荷容量を増加させる。
【0167】
上記に議論されている
図12~
図14は、潤滑剤100を使用する実施形態を示しており、そこでは、潤滑剤が、キャリア流体110および粒子120を含み、粒子120は、磁界または電界に応答する。また、フィールド発生器の制御に関するこれらの図を参照して議論されているメカニズムは、潤滑剤が磁気粘性流体、電気粘性流体、温度依存粘度を有する流体、または、制御可能な滑り速度を有する流体を含む実施形態にも適用可能であるということを当業者は理解することとなる。温度依存粘度を有する流体または制御可能な滑り速度を有する流体を含む潤滑剤を使用する実施形態では、フィールド発生器(500)は、アクティベーター(20)によって交換され、アクティベーター(20)は、それぞれ、潤滑剤を加熱および/もしくは冷却するか、または、潤滑剤の滑り速度を制御する。
【0168】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が、本明細書で開示されている。しかし、開示されている実施形態は、単に本発明の例示的なものに過ぎず、それは、さまざまな形態で具現化され得るということが理解されるべきである。したがって、本明細書で開示されている特定の構造的なおよび機能的な詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単なる特許請求の範囲のための基礎として、および、事実上任意の適当に詳細な構造体の中で本発明をさまざまに用いるように当業者に教示するための代表的な基礎として、解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および語句は、限定するものであることを意図しているのではなく、むしろ、本発明の理解可能な説明を提供することを意図している。
【0169】
本明細書で使用されているように、「a」または「an」という用語は、1つまたは2つ以上として定義される。本明細書で使用されているように、「別の」という用語は、少なくとも第2のまたはそれ以上として定義される。本明細書で使用されているように、「含む(including)」および/または「有する(having)」という用語は、「含む(comprising)」(すなわち、開放型言語(他のエレメントまたはステップを除外しない))として定義される。特許請求の範囲の中の任意の参照記号は、特許請求の範囲または本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0170】
特定の対策が相互に異なる従属請求項の中に記載されているという単なる事実だけでは、これらの対策の組み合わせが有利に使用され得ないということを示していない。
【符号の説明】
【0171】
10 ベアリング
11 ベアリング軸線
12 軸線方向のベアリング端部
13 半径方向のベアリング端部
20 アクティベーター
36 トップ
38 ピークゾーン
40 右セクション
42 左セクション
100 潤滑剤
105 潤滑剤供給入口部
110 キャリア流体
120 粒子
121 凝集体
122 フロー障害物
123 障害物高さ
124 潤滑剤囲い込み領域
200 第1のベアリング表面
300 第2のベアリング表面
400 ベアリングギャップ
410 ベアリングギャップ中心
420 ベアリングギャップ高さ
500 フィールド発生器
501 長さ
503 ピッチ
504 ピッチ
505 第1のフィールド発生器グループ
510 磁界発生器
520 電界発生器
525 電位供給源
530 主流を妨害するフィールド発生器セクション
540 漏出妨害セクション
600 強磁性材料
700 第1のパターン
701 第1の形状
702 第2のパターン
703 第2の形状
704 第1の矢印頭部
705 第1の形状方向
706 第2の矢印頭部
707 第2の形状方向
800 フィールドの力
810 抗力
820 有効な力
830 反力
900 コントローラー
u 速度