(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】高靭性熱間圧延鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20240924BHJP
C22C 38/38 20060101ALI20240924BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
C22C38/00 301W
C22C38/38
C21D9/46 T
(21)【出願番号】P 2022530235
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 IB2020062111
(87)【国際公開番号】W WO2021124199
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/061095
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルラド,アストリッド
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,カンイン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,コラリ
(72)【発明者】
【氏名】ケーゲル,フレデリク
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/138503(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/123240(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/220598(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/132968(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/133636(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/141265(WO,A1)
【文献】特開2005-271033(JP,A)
【文献】特開2014-180698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00 - 38/60
C21D 8/00 - 8/04
C21D 9/46 - 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延鋼板であって、重量パーセントで以下の組成:
C:0.10~0.25%
Mn:3.5~5.0%
Si:0.80~1.60%
B:0.0003~0.004%
S≦0.010%
P≦0.020%
N≦0.008%
0.01≦Ti≦0.04%
0.20≦Mo≦0.3%
0.10≦Al≦0.90%
を含み、及び
任意に、重量パーセントで以下の元素:
Nb≦0.05%
Cr≦0.80%
の1つ以上を含み、
前記組成の残部は、鉄及び製錬から生じる不可避的不純物であるもの、
を有する鋼からできており、
前記鋼板が、表面分率で
- 50%~80%の、3以上のアスペクト比を有するラスベイナイト、
- 30%未満の、3未満のアスペクト比を有する粒状ベイナイト、
- それらの合計が15%~35%である、マルテンサイト、2以下のアスペクト比を有する島状マルテンサイト-オーステナイトM-A、及びオーステナイトフィルムである残部、
-並びに、1μm
2より大きい粒子の最大長L
maxと粒子の最大幅W
maxとの積を有する、20%未満の前記マルテンサイト及び前記島状M-A
を含むミクロ組織を有する、熱間圧延鋼板。
【請求項2】
前記マンガン含有量が3.5%~4.5%の間である、請求項1に記載の熱間圧延鋼板。
【請求項3】
前記ケイ素含有量が1.00%~1.60%の間である、請求項1及び2のいずれか一項に記載の熱間圧延鋼板。
【請求項4】
前記熱間圧延鋼板が、20℃で0.50J/mm
2より厳密に高いシャルピー衝撃エネルギーを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱間圧延鋼板。
【請求項5】
前記熱間圧延鋼板が1450MPa以上の引張強度TSを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱間圧延鋼板。
【請求項6】
前記熱間圧延鋼板が5%以上の一様伸びUEを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱間圧延鋼板。
【請求項7】
請求項1に記載の熱間圧延鋼板の製造方法であって、以下の連続する工程:
- 鋼を鋳造して半製品を得る工程であって、前記半製品が請求項1に記載の組成を有する、工程、
- 前記半製品を1150℃~1300℃の間に含まれる温度T
reheatで再加熱する工程、
- 前記半製品を750℃~900℃の間の仕上げ熱間圧延温度で熱間圧延して熱間圧延鋼板を得る工程、
- 前記熱間圧延鋼板を冷却する工程、
- 前記熱間圧延鋼板を(Ms-100℃)~550℃の間に含まれる巻取り温度T
coilで巻き取り、巻取り鋼板を得る工程
を含む、製造方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の熱間圧延鋼板又は請求項7に記載の方法により得られた熱間圧延鋼板の2つの鋼部品の抵抗スポット溶接部であって、前記抵抗スポット溶接部が、少なくとも50daN/mm
2のα値及び少なくとも80%のプラグ率を有する、抵抗スポット溶接部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高靭性及び良好な溶接性を有する高強度鋼板及びそのような鋼板を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の車体構造部材及び車体パネルの部品などの様々なアイテムを製造するために、DP(二相)鋼又はTRIP(変態誘起塑性)鋼から製造された鋼板を使用することが知られている。
【0003】
自動車産業における主要な課題の1つは、安全要件を無視することなく、地球環境保全の観点から車両の燃料効率を改善するために車両の重量を減少させることである。これらの要件を満たすために、新しい高強度鋼が、改善された降伏強度及び引張強度、並びに良好な延性及び成形性を備えた鋼板を有するように、製鋼産業によって継続的に開発されている。
【0004】
機械的特性を改善するためになされた開発の1つは、鋼中のマンガン含有量を増加させることである。マンガンの存在は、オーステナイトの安定化により鋼の延性を高めるのに役立つ。しかし、これらの中マンガン鋼は脆性の弱点を示す。
【0005】
公報WO2007101921は、特に1%~3%の間に含まれるマンガン含有量を有する「多相」の熱間圧延鋼板を得るための方法を記載している。このミクロ組織は、少なくとも75%のベイナイト、5%以上の量の残留オーステナイト、及び2%以上のマルテンサイトからなる。28J(0.52J/mm2に相当)を超えるシャルピーVノッチ破壊エネルギー及び目標とするミクロ組織を得るために、熱間圧延鋼板の冷却を制御しなければならない。所望の特性を得るためには2つの冷却段階が実際に必要であり、これは製造工程を複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述の課題を解決し、20℃で0.50J/mm2より高いシャルピー衝撃エネルギー、1450MPa以上の引張強度TS、5%以上の高い一様伸びを有し、従来のプロセスルートで容易に加工可能な高い靭性を有する鋼板を提供することである。本発明の別の目的は、良好な溶接性を有する鋼板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1に記載の鋼板を提供することによって達成される。鋼板はまた、請求項2~6のいずれか一項に記載の特徴を含むことができる。別の目的は、請求項7に記載の方法を提供することによって達成される。本発明の他の目的は、請求項8に記載の特徴を含む鋼板を提供することによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本発明を詳細に説明し、制限を導入することなく実施例によって例示する。
【0010】
以下、Msは、マルテンサイト変態開始温度、すなわち、オーステナイトが冷却時にマルテンサイトに変態し始める温度を示す。この温度は、対応する元素の重量パーセントに基づいて、以下の式から計算することができる。
【0011】
Ms=560-(30*%Mn+13*%Si-15*%Al+12*%Mo)-600*(1-exp(-0,96*%C))
【0012】
次に、本発明による鋼の組成を説明し、含有量を重量パーセントで表す。
【0013】
炭素含有量は0.10%~0.25%の間に含まれる。炭素含有量が多すぎる場合、鋼板の溶接性が不十分になる。炭素含有量が0.10%未満である場合、オーステナイト部分は、目標とする特性を得るのに十分に安定化されない。本発明の好ましい実施形態では、炭素含有量は0.15%~0.20%の間である。
【0014】
マンガン含有量は3.5%~5.0%の間に含まれる。添加量が5.0%を超えると、中心偏析のリスクが増大し、靭性が損なわれる。3.5%未満では、最終組織は、所望の特性を得るには不十分な残留オーステナイト分率を含む。本発明の好ましい実施形態では、マンガン含有量は3.5%~4.5%の間である。
【0015】
本発明によれば、ケイ素含有量は0.80%~1.60%の間に含まれる。少なくとも0.80%のケイ素添加量は、十分な量の残留オーステナイトを安定化させるのに役立つ。1.60%を超えると、ケイ素は靭性に有害である。さらに、酸化ケイ素が表面に形成され、鋼の被覆性が損なわれる。本発明の好ましい実施形態では、ケイ素含有量は1.00%~1.60%の間である。
【0016】
本発明によれば、ホウ素含有量は0.0003%~0.004%の間に含まれる。ホウ素の存在は、より低い温度までベイナイト変態を遅延させ、低温で形成されたベイナイトは、靭性を高めるラス形態を有する。さらに、ホウ素は鋼板の溶接性を改善する。0.004%を超えると、旧オーステナイト粒界でのホウ炭化物の形成が促進され、鋼がより脆くなる。0.0003%未満では、旧オーステナイト粒界に偏析して鋼の靭性を高める十分な濃度の遊離Bが存在しない。本発明の好ましい実施形態では、ホウ素含有量は0.001%~0.003%の間である。
【0017】
任意に、いくつかの元素を本発明による鋼の組成に添加することができる。
【0018】
チタンは、析出強化をもたらすために、任意に、最大で0.04%添加することができる。好ましくは、BNの形成からホウ素を保護するために、ホウ素に加えて最低0.01%のチタンが添加される。
【0019】
ニオブは、熱間圧延中にオーステナイト粒を微細化し、析出強化をもたらすために、最大で0.05%添加することができる。好ましくは、添加されるニオブの最小量は0.0010%である。
【0020】
モリブデンは、任意に、最大0.3%の制限で添加することができる。モリブデンはオーステナイトを安定化させ、鋼の靭性を高める。さらに、モリブデンは鋼板の溶接性を改善する。0.3%を超えると、モリブデンの添加は費用がかかり、必要とされる特性を考慮すると非効果的である。
【0021】
アルミニウムは、精錬中に液相中の鋼を脱酸するための非常に有効な元素であるため、任意に最大で0.90%添加することができる。さらに、アルミニウムは鋼板の溶接性を改善する。アルミニウム含有量は、介在物の発生を回避し、酸化の問題を回避するために0.90%未満である。好ましくは、アルミニウム含有量は0.10%~0.90%の間に含まれる。より好ましくは、アルミニウム含有量は0.20%~0.90%の間に含まれる。より好ましくは、アルミニウム含有量は0.30%~0.90%、さらには0.40%~0.90%の間に含まれる。
【0022】
本発明によれば、最大0.80%のクロムが許容される。それを超えると、飽和効果が顕著となり、クロムの添加は役に立たず、費用もかかる。
【0023】
鋼の組成の残部は、鉄及び製錬から生じる不純物である。この点で、少なくともP、S及びNは、不可避的不純物である残留元素とみなされる。それらの含有量は、Sについては0.010%未満、Pについては0.020%未満、Nについては0.008%未満である。
【0024】
特に、リンは粒界に偏析し、0.020%を超えるリン含有量では、鋼の靭性が低下する。
【0025】
次に、本発明による熱間圧延鋼板のミクロ組織について説明する。以下、アスペクト比とは、粒子の最大長Lmax対前記最大長の90°で測定した粒子の最大幅Wmaxの比である。
【0026】
熱間圧延鋼板は、表面分率で、50%~80%の間のラスベイナイト、30%未満の粒状ベイナイト、並びにそれらの合計が15%~35%に含まれる、マルテンサイト、島状マルテンサイト-オーステナイト(M-A)及びオーステナイトフィルムである残部からなるミクロ組織を有する。さらに、20%未満のマルテンサイト及び島状M-Aは、1μm2より大きい粒子の最大長Lmaxと粒子の最大幅Wmaxとの積を有する。
【0027】
ラスベイナイト形態は、ベイナイト変態を遅延させるホウ素の存在及び低温巻取りにより得られる。本発明によれば、ラスベイナイトは、3以上のアスペクト比を有するベイナイトである。50%~80%の間のラスベイナイトの存在は、熱間圧延鋼の靭性に有益である。粒状ベイナイトは、3未満のアスペクト比を示す。
【0028】
ミクロ組織の残部は、マルテンサイト、島状M-A及びオーステナイトフィルムを含み、それらの合計は、5%を超える一様伸びを確保するために、15%~35%に含まれる。マルテンサイト、島状M-A及びオーステナイトフィルムの合計が35%を超えると、島状M-A及びオーステナイトフィルム中のオーステナイトが不安定になり、マルテンサイトに変態し、伸びの低下につながる。
【0029】
20%未満のマルテンサイト及び島状M-Aの部分は、1μm2より大きいLmaxとWmaxとの積を有する。20%を超えると、島状M-Aがフレッシュマルテンサイトに変態し、伸びの低下をもたらす。
【0030】
島状マルテンサイト-オーステナイト(M-A)は、2以下のアスペクト比を有する。これらの島状M-Aは、巻取り中に発生する。オーステナイトの一部は、上記のようにラスベイナイト中で変態する。オーステナイトの一部がマルテンサイトに変態し、巻取り中に島状M-Aを生成する。オーステナイトの最後の部分は、最終ミクロ組織中に残る。オーステナイトフィルムは、2以上のアスペクト比を有するベイナイトラス間のオーステナイトである。島状M-A及びオーステナイトフィルムの両方が、熱間圧延鋼板の靭性に有益である。
【0031】
本発明による熱間圧延鋼板は、規格ISO 148-1:2006(F)及びISO 148-1:2017(F)に従って測定して、20℃で0.50J/mm2より厳密に高いシャルピー衝撃エネルギーを有する。本発明による熱間圧延鋼板は、1450MPa以上の引張強度TS、及び5%以上の一様伸びUEを有する。好ましくは、本発明による熱間圧延鋼板は、厳密に7%より高い全伸びTEを有する。TS、UE及びTEは、ISO規格ISO 6892-1に従って測定される。
【0032】
本発明による鋼板は、任意の適切な製造方法によって製造することができ、当業者はその方法を定義することができる。しかしながら、以下の工程を含む本発明による方法を使用することが好ましい。
【0033】
さらに熱間圧延が可能な半製品には、上記の鋼組成が提供される。半製品は、熱間圧延を容易にすることができるように1150℃~1300℃の間に含まれる温度まで加熱され、最終熱間圧延温度FRTは750℃~900℃に含まれる。好ましくは、FRTは800℃~900℃の間に含まれる。FRTが900℃より高い場合、ベイナイト変態速度は巻取り中に著しく低下し、最終ミクロ組織中に高分率のマルテンサイト、島状M-A及びオーステナイトの形成をもたらす。さらに、1μm2より大きいLmax*Wmaxを有する大きな分率のマルテンサイト及び島状M-Aの存在は、伸びの低下につながる。
【0034】
次いで、熱間圧延鋼を冷却し、(Ms-100℃)~550℃の間に含まれる温度Tcoilで巻き取る。
【0035】
次いで、熱間圧延鋼板は、室温に冷却される。
【0036】
巻き取り後、鋼板を酸洗して、酸化を除去することができる。
【0037】
本発明の他の目的は、良好な溶接性を有する鋼板を提供することである。
【0038】
溶接アセンブリは、2枚の熱間圧延鋼板を製造し、2つの鋼部品を抵抗スポット溶接することによって製造される。
【0039】
規格ISO 18278-2条件でのスポット溶接は、熱間圧延鋼板に対して行われている。
【0040】
使用した試験では、試料は、2枚の鋼板で構成され、同等の十字溶接された形態である。溶接点を破断するように力が加えられる。この力は、十字引張強度(CTS)として知られており、daNで表される。それは、溶接点の直径及び金属の厚さ、すなわち鋼及び金属コーティングの厚さに依存する。それは、溶接点の直径と基材の厚さとを乗じた積に対するCTSの値の比である係数αを計算することを可能にする。この係数はdaN/mm2で表される。
【0041】
プラグ率は、プラグ直径を溶融領域直径で割ったものに等しい。
【0042】
第1の鋼板を第2の鋼板に接合する抵抗スポット溶接部は、少なくとも50daN/mm2のα値及び少なくとも80%のプラグ率によって定義される、十字引張試験における高い抵抗を特徴とする。
【0043】
次に、本発明を以下の実施例によって例示するが、これらは決して限定的なものではない。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
表1に組成をまとめた4つのグレードを半製品に鋳造し、鋼板に加工した。
【0045】
<表1-組成>
試験した組成を次の表にまとめ、元素含有量を重量パーセントで表す。
【0046】
【0047】
<表2-処理パラメータ>
鋳放しの鋼半製品を1200℃で再加熱し、熱間圧延し、巻き取った。次の特定の条件を適用した。
【0048】
【0049】
次に、熱間圧延鋼板を分析し、対応するミクロ組織要素、機械的特性及び溶接特性をそれぞれ表3、4及び5にまとめた。
【0050】
<表3-熱間圧延鋼板のミクロ組織>
得られた熱間圧延鋼板のミクロ組織の相の割合を決定した。
【0051】
【0052】
ミクロ組織中の相の表面分率は、以下の方法を通じて決定される。試験片を熱間圧延したものから切り出し、研磨し、それ自体が既知の試薬でエッチングして、ミクロ組織を暴露する。その後、切片を、走査型電子顕微鏡、例えば、電界放射型電子銃を備えた走査型電子顕微鏡(「FEG-SEM」)を通じて、5000倍を超える倍率で、二次電子モードで検査する。
【0053】
オーステナイトフィルム及び島状M-Aの表面分率の決定は、Nital又はPicral/Nital試薬エッチング後のSEM観察により実施する。
【0054】
本発明によれば、ラスベイナイトは、3以上のアスペクト比を有するベイナイトである。本発明によれば、島状M-Aは、2以下のアスペクト比を有する。
【0055】
<表4-熱間圧延鋼板の機械的特性>
試験した試料の機械的特性を決定し、次の表にまとめた。
【0056】
【0057】
<表5-熱間圧延鋼板の溶接特性>
いくつかの試料の溶接特性を決定し、次の表にまとめた。
【0058】
【0059】
これらの実施例は、本発明による鋼板、すなわち実施例1~3が、それらの特定の組成及びミクロ組織により、すべての目標とする特性を示す唯一のものであることを示している。
【0060】
試験4では、鋼板を910℃のFRTで熱間圧延し、高い分率のマルテンサイト及び島状M-Aを得た。これにより、5%未満の一様伸びが得られる。
【0061】
試験5及び6では、鋼C及びDにホウ素が存在しないと低いレベルのシャルピー衝撃エネルギーにつながり、30%を超える粒状ベイナイトの形成により鋼の破壊靭性が低下する。溶接性パラメータに関しては、ホウ素、モリブデン及びアルミニウムの不存在が、α及びプラグ率に有害である。