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特許7559075光パターンを制御するための方法および自動車両用照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】光パターンを制御するための方法および自動車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/12 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B60Q1/12 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022551394
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021054240
(87)【国際公開番号】W WO2021170509
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】2002002
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
(72)【発明者】
【氏名】アリ、カンジ
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/167250(WO,A1)
【文献】特開2015-155280(JP,A)
【文献】特開平05-260264(JP,A)
【文献】特開2013-054956(JP,A)
【文献】特開2014-004922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(100)の自動車両用照明装置(10)によってもたらされる光パターン(1)を制御するための方法であって、前記光パターン(1)は光ピクセル同士のマトリックス配置を備え、各光ピクセルが光度値によって特徴付けられており、
- 前記自動車両(100)からベンディングライト命令を受けるステップと、
- 前記光パターン(1)を、第1部分(11)と、第2部分(12)と、前記第1部分と前記第2部分との間の中央部分(13)とに分割するステップであって、前記中央部分が複数の列および複数の行を有しており、前記第1部分が、第1中央境界列(3)と、第1中央境界列(3)と反対側にある第1端部列(5)とを有しており、前記第2部分が、第2中央境界列(4)と、第2中央境界列(4)と反対側にある第2端部列(6)とを有しており、前記中央部分(13)は、前記第1部分(11)の前記第1中央境界列(3)と接する第1境界列(7)と、前記第2部分(12)の前記第2中央境界列(4)と接する第2境界列(8)とを備えている、前記ステップと、
前記中央部分(13)の幅および光度値を変更することなく、かつ、前記第1端部列(5)および前記第2端部列(6)の位置および光度値を変更することなく、かつ、前記第1中央境界列(3)および前記第2中央境界列(4)の光度値を変更することなく、前記中央部分(13)を横方向にシフトさせ、このシフト量に応じて前記第1部分(11)および前記第2部分(12)の一方の幅を増加させるとともに他方の幅を減少させるステップと、
前記中央部分(13)のシフトに伴い幅が増加または減少させられた前記第1部分(11)および前記第2部分(12)に属するピクセルの光度値を補間するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記光度値を補間するステップは、前記第1部分(11)の前記第1中央境界列(3)と前記第1端部列(5)との間の元の幅における各光度値を考慮するとともに、前記第2部分(12)の前記第2中央境界列(4)と前記第2端部列(6)との間の元の幅における各光度値を考慮して、前記第1部分(11)および前記第2部分(12)の各々の新たな幅に対しての新たな光度値を補間することによって遂行される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記新たな値の補間は、双線形法または最近傍法によってなされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ベンディングライト命令は、移動させるべき位置の数と、移動方向とを備え、前記中央部分(13)を横方向にシフトさせることは、前記移動方向へのこの移動させるべき位置の数を用いて実行される、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記光パターンはキンク区域(14)を備えたロービームパターンであり、前記中央部分(13)が前記キンク区域(14)を含んでいる、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光パターンは最大光度ピクセル(15)を備えたハイビームパターンであり、前記中央部分(13)が前記最大光度ピクセル(15)を含んでいる、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1部分(11)と右側部分(12)とが同じ光束を有するように前記中央部分(13)の幅が選択される、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 光パターン(1)をもたらすように企図された、固体光源(2)同士のマトリックス配置と、
- 請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の方法の各ステップを遂行するように構成された制御ユニット(9)と、
を備えた自動車両用照明装置。
【請求項9】
前記マトリックス配置は少なくとも2000個の固体光源(2)を備えている、請求項8に記載の自動車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用照明装置の分野、より特定的にはダイナミックベンディングライト(DBL)機能を用いるときに光パターンが管理されるやり方に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現行の自動車両用照明装置においては、標準的なヘッドライトに対する改良となっていて夜間の運転をより容易で安全にするように設計されたダイナミックベンディングライト(照射方向を動的に屈曲させる照明)が存在を増していっている。
【0003】
そのような照明機能を実施するため、車両がカーブへ進入するときに、その移動方向へ光パターンをもたらすように企図された多くの解決策が存在してきている。
【0004】
機械的な解決策は、直接的にステアリングホイールの回転を用いて光源の転向を引き起こす角運動変換器によって、ステアリングホイールの回転につれて光源を転向させるものである。ホイールがいずれの向きに回転しようともライトが転向することとなり、この可動域によって、急カーブを曲がったり素早く曲がったりする場合であっても道路を光で照らすことが可能となる。
【0005】
この解決策は数多の改良を受けてきた結果、光源の転向がより効果的で、様々な運転環境をも考慮したものとなっている。
【0006】
この問題についての代替的な解決策が考えられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、この問題についての代替的な解決策を、自動車両の自動車両用照明装置によってもたらされる光パターンを制御するための方法であって、光パターンは光ピクセル同士のマトリックス配置を備え、各光ピクセルが光度値によって特徴付けられており、
- 自動車両からベンディングライト命令を受けるステップと、
- 光パターンを少なくとも第1部分と第2部分とに分割するステップであって、各部分が少なくとも、隣りの部分の境界列と接する境界列を備えている、ステップと、
- 境界列の位置を移動させると共に第1および第2部分に属したピクセルの光度値を補間することによって、第1部分の幅と第2部分の幅とを変更するステップであって、移動の前に隣り合っていた境界列同士は移動の後に隣り合ったままである、ステップと、
を備えた方法によってもたらすものである。
【0008】
この方法は、例えばロービームおよび/またはハイビーム機能をもたらす同じ照明装置によって動く部分を伴うことなく与えられるダイナミックベンディングライト機能を含んだ、制御された光パターンをもたらすものである。その光パターンはまた、運転速度や対向車の存在などの他の運転環境への適合を可能ともするものである。
【0009】
当該方法は、照明装置が光パターンを形成する光ピクセル同士のマトリックス配置を投射できることを考慮しているが、それは、当業者の知ることとなるように、多くの異なるやり方でなされ得るものである。当該方法は、それらのいずれにも限定されるものではない。
【0010】
ベンディングライト命令を受けると、光パターンが部分同士へと分割される。少なくとも2つの部分(第1のものと第2のもの)が割り出される。これら2つの部分それぞれが、当該部分の縁部に位置した列を有している。ゆえに、それらの列は次の部分と隣り合っている。これらの列は、境界列と呼ばれる。
【0011】
当該方法は、各境界列を移動させることを備え、かくして各部分の幅の変更を伴っている。この移動動作は、対応する部分の内部にあるピクセル列の「圧し縮め」または「引き延ばし」に繋がるものである。
【0012】
操作における移動は、受けるベンディングライト命令に応じて当該列を右方ないし左方へ動かすことと理解されたい。1行における元のパターンが、例えば0-0-0-0-1-1-0であって、この行が2つの部分0-0-0-0-1および1-0へと分割されるとすれば、左方への1列移動後には、第1部分の幅が縮小されるので0-0-0-1へと至ることとなり、第2部分の幅は拡大されるので1-0-0へと至ることとなる。残りの各ピクセルの光度値は、しかるべく補間されることとなる。
【0013】
幾つかの特定の実施形態においては、
- 第1および第2部分のそれぞれが、対応する境界列とは反対の側にあって移動させるステップの間に移動されない端部列を備え、
- 光度値を補間するステップは、対応する端部列と、対応する境界列との間の元の幅における各光度値を考慮して、各部分の新たな幅に対しての新たな値を補間することによって遂行される。
【0014】
これらの特定の実施形態には、そのような補間の特定の例が含まれる。その特定の例は、より複雑な例で明らかとなるであろう。光パターンが0-10-25-40-80-80-70-60-50-40-20-0で与えられ、2つの部分0-10-25-40-80および80-70-60-50-40-20-0へと分割されるとすれば、第1部分は80の境界値(境界ピクセルの値)と0の端部値(境界ピクセルとは反対の側の端部ピクセルの値)とを有することとなり、第2部分は80の境界値(境界ピクセルの値)と0の端部値(境界ピクセルとは反対の側の端部ピクセルの値)を有することとなる。
【0015】
移動させるステップが、例えば右方へ2ピクセルを備える場合、第1部分における結果は0-x-x-x-x-x-80であることとなる(端部値と境界値とは自らの光度値を保つが、この場合は当該部分が2つ多いピクセルを含むからである)。また、第2部分における結果は80-x-x-x-0であることとなる(端部値と境界値とは自らの光度値を保つが、この場合は当該部分が2つ少ないピクセルしか含まないからである)。
【0016】
幾つかの特定の実施形態において、新たな値の補間は、双線形法または最近傍法によってなされる。
【0017】
双線形法は、最初の幅での最初の値の組と、この値の組が変換されるべき対象であるところの最後の幅とを考慮するものである。最初の幅は、最初のピクセルの数(N1)によって定められ、最後の幅は、最後のピクセルの数(N2)によって定められる。その最後のピクセルの数は、最初のピクセルの数よりも多いか、または少ない数であり得る。仮想的な横座標セグメント[0,1]が、最初のピクセル数に応じてN1-1個の間隔へと分割される。横座標の各値に対しての縦座標の各値が、最初の値の組となっている。それらは離散的な値であるから、交点同士の間での線形補間が与えられる。そして、前述の仮想的な間隔が、N2-1個の間隔へと分割される。かくして、異なる横座標値がもたらされるが、それらの値の全てもまた0から1の間に包含されている。最初の値の組が(交点同士の間の間での線形補間によって)連続関数を定めていたことから、最後の横座標値は、当該連続関数での対応した値に達することとなる。これらの値が、最後のデータの組であることとなる。例えば、最初の値の組が(1 3 4 8 10)であれば、5つの値があるから最初の幅は5である。最後の幅は9である。仮想的なセグメント[0,1]は、N1-1=4個の間隔へと、0,0.25,0.5,0.75,1の値で分割される。次の横座標-縦座標の対で定義される交点同士によって、ある1つの関数が定められる:(0,1)、(0.25,3)、(0.5,4)、(0.75,8)、(1,10)。各交点同士の間で線形補間が打ち立てられる。次に、最後の値の組については、当該間隔がN2-1=8個の間隔へと、0,0.125,0.25,0.375,0.5,0.625,0.75,0.875,1の値で分割される。これらの横座標値に対しての関数値が突き止められて、(1 1.5 3 3.5 4 6 8 9 10)であることとなり、そして、これらの値が最後のデータの組であることとなる。
【0018】
最近傍法は、最初の幅と最後の幅とを考慮して、最初の幅と最後の幅との間の比率を見い出すものである。そして、算出された比率で最後の幅の数を割ることによって、正規化された値の組が得られる。最後に、正規化された値の組における、それぞれの正規化された値について、値以上の最小整数(例えば、天井関数)が計算され、かくして指標値の組が得られる。これらは、補間に繋がる最初のベクトルにおける指標値である。例えば:最初のベクトルが[10 2 9]であって、6の幅のベクトルへと補間されるべき場合。比率は6/3=2である。正規化された値の組は、(1/2,2/2,3/2,4/2,5/2,6/2=0.5,1,1.5,2,2.5,3)であることとなる。天井関数を実行することで、指標値の組ceil[(0.5,1,1.5,2,2.5,3)]=1,1,2,2,3,3)が得られる。そして、補間されたベクトルは、[first_vector(1) first_vector(1) first_vector(2) first_vector(2) first_vector(3) first_vector(3)]で表されて[10 10 2 2 9 9]となるであろう。
【0019】
幾つかの特定の実施形態において、ベンディングライト命令は、移動させるべき位置の数と、移動方向とを備え、境界列の位置を移動させるステップは、移動方向へのこの移動させるべき位置の数を用いて実行される。
【0020】
固体光源のマトリックスは、多くの異なる角解像度を有し得る。これらの光源の数や配置に応じて、解像度は光源毎に0.01°から光源毎に0.5°まで変化し得るのである。従って、ステアリングホイールの角度位置は、これらの光源のアレイ配置における密度に応じて、光アレイの列の異なる数へと変換され得る。
【0021】
幾つかの特定の実施形態においては、光パターンが2つの部分に分割され、当該分割は、光の列の半分が第1部分に属し、もう半分が第2部分に属するように遂行される。
【0022】
これは、2つの部分同士が境界列に関して対称である対称な光パターンにおいて特に有利なものである。
【0023】
別の特定の実施形態においては、光パターンが、少なくとも第1部分と第2部分と中央部分とに分割され、
- 中央部分は、第1部分の境界列と隣り合う第1境界列と、第2部分の境界と隣り合う第2境界列とを備え、
- 第1および第2部分の幅を変更するステップは、第1および第2部分の境界列と同じように中央部分を移動させるが中央部分の幅も各光度値も変更しないことをも伴っている。
幾つかの場合には、光の要求(強度やカットオフ部分の形状)のために、中央部分が圧し縮められたり引き延ばされたりすることなく保たれねばならない。この中央部分は、第1部分と第2部分との間に位置しているので、第1部分と隣り合う第1境界列と、第2部分と隣り合う第2境界列とを有することとなる。他の部分とは違って、移動させるステップは中央部分の幅には影響せず、各光度値は移動されるだけで変化はしないのである。
【0024】
幾つかの特定の実施形態において、光パターンはキンク区域を備えたロービームパターンであり、中央部分がキンク区域を含んでいる。
【0025】
カットオフないしはキンクは、ロービームパターンにおける斜めの線であり、その形状は自動車両の規制において重要なものである。このキンクが中央部分に属しているという事実は、車両が曲がるときには、このキンクが移動されるということを意味する。移動後のパターンも当該規制を満たさねばならないので、このことが有利なのである。
【0026】
幾つかの特定の実施形態において、光パターンは最大光度ピクセルを備えたハイビームパターンであり、中央部分が最大光度ピクセルを含んでいる。
【0027】
最大光度の区域もまた、中央区域において保護されるべき有利な区域なのである。
【0028】
幾つかの特定の実施形態においては、第1部分と右側部分とが同じ光束を有するように中央部分の幅が選択される。
【0029】
中央部分の幅は、保護されるべき特定の区域から切り離して選択されてもよい。その中央部分が、第1部分と第2部分との間の光束の差を埋め合わせるよう、より左方や右方へ広がっていてもよいのである。これは、移動させるステップの後に最終的な光束が一定のままであることとなるのを意味する。
【0030】
更なる発明態様において、本発明は、
- 光パターンをもたらすように企図された、固体光源同士のマトリックス配置と、
- 最初の発明態様による方法の各ステップを遂行するように構成された制御ユニットと、
を備えた自動車両用照明装置を提供するものである。
【0031】
この自動車両用照明装置は、動く部分を伴うことなく、既に利用可能な諸要素を用いるが、新たな設定でダイナミックベンディングライト機能をもたらすように構成されている。
【0032】
用語「固体(solid state)」は、電力を光へと変換するために半導体を用いる固体電界発光によって放出される光を表す。白熱照明に比べて、固体照明は、熱の発生を減少させ、より少ないエネルギー消散で可視光を作り出す。固体電子照明装置の概して小さな嵩は、もろいガラス管/球や長細いフィラメント線に比べて、衝撃や振動に対してより強い耐性を与えるものである。それらはまた、フィラメントの蒸発を排除して、発光装置の寿命を増大させる可能性を有している。これらの型式の照明における幾つかの例は、光源として、電気フィラメント、プラズマ、またはガスよりも寧ろ、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)を備えている。
【0033】
幾つかの特定の実施形態において、マトリックス配置は少なくとも2000個の固体光源を備えている。
【0034】
この発明は、照明用のマトリックス/アレイ型の技術の、数千個の光源しか伴わない最も単純なものから、数十万個の光源を伴うより進んだものまでの多くの型式にとって有用であり得る。
【0035】
別様に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的、科学的用語を含む)は、当該技術において通例であるように解釈されるべきものである。さらに、一般的な語法による用語類も、やはり関連技術において通例であるように解釈されるべきであって、本明細書で明確にそう定義されない限り、理想化されたり過度に形式的であったりする意味に解釈されるべきではない。
【0036】
この本文において、用語「備える/含む(comprises)」や、その派生語(例えば「備えている/含んでいる(comprising)」など)は、排他的な意味に理解されるべきではない。即ち、これらの用語は、説明されたり定義されたりするものが更なる要素やステップなどを含み得るという可能性を排除するように解釈されるべきではないのである。
【0037】
本明細書を完全なものとするよう、また本発明のより深い理解に備えるために、一連の図面が提供される。当該図面は、本明細書の不可欠な部分を成し、本発明の実施形態を示しているが、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に本発明を如何にして実施することができるかの例示として解釈されるべきである。図面は、以下の各図を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による自動車両用照明装置を備えた自動車両の全体斜視図。
図2】この照明装置によって投射される光パターンの例を示す図。このパターンは、ロービーム機能に対応するものである。
図3】そのようなパターンについての光度値を代表するものではない例を示す図。
図4a】本発明による方法の特定の実施形態に従った、2列左方へのベンディングライト命令の効果を示す図。
図4b】本発明による方法の特定の実施形態に従った、2列左方へのベンディングライト命令の効果を示す図。
図5】本発明による方法の移動させるステップを経ている光パターンの例を示す図。
図6a】本発明による方法の異なる例を示す図。
図6b】本発明による方法の異なる例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
例示の諸実施形態における各要素には、適切な場合には図面および明細書を通じて常に同じ参照符号が付されている。
【0040】
1 光パターン
2 LED
3 第1部分の境界列
4 第2部分の境界列
5 第1部分の端部列
6 第2部分の端部列
7 中央部分の第1境界列
8 中央部分の第2境界列
9 制御ユニット
10 自動車両用照明装置
11 第1部分
12 第2部分
13 中央部分
14 キンク区域
15 最大光度ピクセル
16 ステアリングシステム
100 自動車両
【発明を実施するための形態】
【0041】
当業者が本明細書に記載されたシステムやプロセスを具現化して実施するのを可能とするに足るほど詳細に例示の諸実施形態が説明される。各実施形態は、多くの代替形態で提供することができ、本明細書に記載された例に限定して解釈されるべきではない、ということを理解するのが重要である。
【0042】
従って、実施形態は種々のやり方で改変することができ、種々の代替形態をとることができるが、それらのうちの特定の諸実施形態を例として図面に示すと共に、以下で詳細に説明する。開示された特定の形態に限定する意図はない。それどころか、添付の特許請求の範囲内に入っている全ての改変、均等物、および代替物が包含されるべきである。例示の諸実施形態における各要素には、適切な場合には図面および明細書を通じて常に同じ参照符号が付されている。
【0043】
図1は、本発明による自動車両用照明装置10を備えた自動車両100の全体斜視図を示している。
【0044】
この自動車両100は、ステアリングシステム(操舵系)16と照明装置10とを備えている。照明装置10は、LED2のマトリックス配置と、これらのLED群の動作を制御するように構成された制御センター9とを備えている。
【0045】
制御センター9は、車両のステアリングホイールが発動されたときに各LED2の設定を変更するように構成されている。
【0046】
このマトリックス構成は、2000ピクセルを超える解像度を有した、高解像度モジュールである。ただし、投射モジュールを製造するために用いられる技術に制限があると考えられるものではない。
【0047】
このマトリックス構成の第1例は、モノリシック光源を備えている。このモノリシック光源は、数列×数行に配置されたモノリシックなエレクトロルミネセント(電界発光)素子のマトリックスを備えている。モノリシックマトリックスにおいて、各エレクトロルミネセント素子は、共通基板から成長させることができ、個別にか、或いはエレクトロルミネセント素子同士のサブセット(小集団)毎にかのいずれかで選択的に作動可能となるよう、電気的に接続されている。基板は、主として半導体材料で作られていてよい。基板は、1つないし複数の他の材料、例えば非半導体材料(金属や絶縁体)を含んで成っていてもよい。かくして、各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の各グループが、光ピクセルを形成することができ、従って、そ(れら)の素子の材料へ電力が供給されたときに光を放出することができるのである。そのようなモノリシックマトリックスの構成によって、プリント回路基板上に半田付けされるよう企図された従来の発光ダイオード群と比べて、選択的に点灯可能なピクセル同士を互いにかなり近接させて配置することが可能となる。モノリシックマトリックスは、共通基板に対して垂直に測定した高さの主寸法が略1マイクロメートルであるエレクトロルミネセント素子を備えていてよい。
【0048】
モノリシックマトリックスは、マトリックス配置6によるピクセル化された光ビームの生成および/または投射を制御するように制御センターに結合されている。かくして制御センターは、マトリックス配置の各ピクセルの発光を個別に制御することができる。
【0049】
上記で提示したものに代えて、マトリックス配置6は、ミラー(反射鏡)のマトリックスに結合された主光源を備えていてもよい。かくして、光を放出する少なくとも1つの発光ダイオードで形成された少なくとも1つの主光源と、主光源からの光線を反射によって投射光学素子へ差し向ける光電素子のアレイとの組立体によって、ピクセル化された光源が形成される。その光電素子のアレイは、例えば「Digital Micro-mirror Device(デジタルマイクロミラーデバイス)」の頭字語DMDによっても知られるマイクロミラーのマトリックスである。適切な場合には補助光学素子が、少なくとも1つの光源の光線を集中させてマイクロミラーアレイの表面の方へ差し向けるように、それらの光線同士を集めることができる。
【0050】
各マイクロミラーは、2つの決められた位置、各光線が投射光学素子の方へ反射される第1位置と、各光線が投射光学素子とは異なる方向へ反射される第2位置との間を回動することができる。2つの決められた位置は、全てのマイクロミラーについて同様の向きにされ、マイクロミラーのマトリックスを支持する基準面に対して当該マイクロミラーのマトリックスの仕様で定められた特有の角度を成している。そのような角度は、一般的には20°未満であり、通常は約12°であってよい。かくして、マイクロミラーのマトリックス上に入射する光ビームの一部を反射する各マイクロミラーが、ピクセル化された光源の基本発光体を成す。この基本発光体を、基本光ビームを放出したりしなかったりするよう選択的に作動させるための、各ミラーの位置変更の作動および制御は、制御センターによって制御される。
【0051】
異なる実施形態において、マトリックス配置は、次のような走査素子に向かってレーザー光源がレーザービームを放出する走査レーザーシステムを備えていてもよい。即ち、レーザービームで波長変換器の表面を探査するように構成された走査素子である。この表面の像が、投射光学素子によって捕捉される。
【0052】
走査素子の探査は、人間の目が投射像の如何なる変位も知覚せぬに足るほど高い速度で実行され得る。
【0053】
レーザー光源の点灯とビームの走査運動との同期制御によって、選択的に点灯させることのできる基本発光体のマトリックスを波長変換素子の表面に生成することが可能となる。走査手段は、レーザービームの反射によって波長変換素子の表面を走査するための可動式マイクロミラーであってよい。走査手段として挙げられるマイクロミラーは、例えば、「Micro-Electro-Mechanical Systems(微小電気機械システム)」を表すMEMS型のものである。但し、本発明は、そのような走査手段に限定されるものではなく、他の種類の走査手段(例えば、回転要素上に配置された一連のミラーであって、当該要素の回転がレーザービームによる伝達面の走査を生じさせるものなど)を用いることができる。
【0054】
別の変形例では、光源が複雑なものであって、光素子(発光ダイオードなど)の少なくとも1つのセグメントと、モノリシック光源の表面部分との両者を含んでいてもよい。
【0055】
図2は、この照明装置によって投射される光パターン1の例を示している。このパターンは、ロービーム機能に対応するものである。
【0056】
図3は、そのようなパターンについての光度値を代表するものではない例を示している。元のパターンが何千ものピクセルを有しているため、それらの全てを表すのは有益ではないこととなり、明瞭性の目的のために、少しか表わさないことが選択されているのである。
【0057】
更に、普通の用途では(標準的なグレースケールで)0から255の光度値となるであろうが、例示をできるだけ単純に保つよう、この例では0から9の数だけが用いられることとなる。
【0058】
この光パターンは3つの部分:第1部分11、第2部分12、および中央部分13へと分割される。第1部分は、中央部分13の第1境界列7と隣り合う境界列3と、その反対側の端部列5とを有している。第2部分が今度は、中央部分13の第2境界列8と隣り合う境界列4と、その反対側の端部列6とを有している。中央部分13は、第1境界列7と第2境界列8とを有している。
【0059】
図4aおよび図4bは、本発明による方法の特定の実施形態に従った、2列左方へのベンディングライト命令の効果を示している。
【0060】
図4aは、第1サブステップ:各境界列が左方へ移動されることを示している。中央部分が同じままである(但し、移動はされる)のに対して、第1および第2部分においては、各境界列および各端部列のみが自らの値を保っている。
【0061】
図4bは、第1および第2部分の各値における残りの部分の補間を示している。これは、線形補間に従って光度パターンを「引き延ばし」たり「圧し縮め」たりすることによって各値を元の値に適合させて、行毎に成される。
【0062】
例えば中央の行を選択すると、元のパターンでは、この行が0-0-1-2-4-6-7-7-7-7-8-8-8-8-8-8-8-8-8-8-6-4-2-1-0-0-0-0-0の値を有していた。この行は、分割によって、第1部分0-0-1-2-4-6-7-7-7-7-8-8、第2部分8-6-4-2-1-0-0-0-0-0、および中央部分8-8-8-8-8-8-8を有することとなる。
【0063】
ベンディング命令が2列左方へを含んでいることから、図4aに示すように、第1部分が次のパターン:0-x-x-x-x-x-x-x-x-8を有することとなり、第2部分が0-x-x-x-x-x-x-x-x-x-x-8であることとなり、中央部分は8-8-8-8-8-8-8ではあるが2つの位置だけ左方へ移動されることとなる。
【0064】
第1部分の各値xは、元の第1部分によって与えられるデータ:8%での値は0、17%での値は1、25%での値は2、33%での値は4、42%での値は6、50%での値は7、58%での値は7、67%での値は7、75%での値は7、83%での値は8、100%での値は8、に対して計算されることとなる。
【0065】
これにより、ある1つの曲線が与えられ、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%での各値が、第1部分の新たな幅について計算されることとなる。元の第1部分の12ピクセルに対して、この圧し縮められた第1部分は10ピクセルしか含んでいないからである。従って、この間隔に対する新たな各値は、0-0.4-1.5-3.3-5.6-6.9-7-7-7.6-8であることとなる。
【0066】
第2部分で同様のことが行われることとなるが、元の第2部分では:10%での値は8、20%での値は6、30%での値は4、40%での値は2、50%での値は1、60から100%での値は0である。新たな第2部分については、8%、17%、25%、33%、42%、50%、58%、67%、75%、83%、および100%での各値が計算されることとなる。従って、この間隔に対する新たな各値は、8-6.5-4.8-3.2-1.8-0.9-0.1-0-0-0-0-0であることとなる。
【0067】
図5は、この移動させるステップを経ている光パターンの例を示している。左側と右側の部分が圧し縮められたり引き延ばされたりしているのに対して、中央部分は変化していないままではあるが左方へ移動されている。
【0068】
図6aおよび図6bは、本発明による方法の異なる例を示している。
【0069】
図6aは、これもまた3つの部分へと分割されるハイビーム光パターンを示している。左方へ20ピクセル移動のベンディングライト命令を受けた場合、最大光度値を備える中央部分は、移動はされるが如何なる幅の変化も伴わない。
【0070】
図6bは、この変更の効果を示している。先に説明したアルゴリズムに従って、第1部分は圧し縮められ、第2部分は引き延ばされている。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b