(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】通信システムのための多段階バースト検出
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20240924BHJP
H04L 7/04 20060101ALI20240924BHJP
H04B 7/212 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H04L1/00 A
H04L7/04 200
H04B7/212
(21)【出願番号】P 2022561016
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021026056
(87)【国際公開番号】W WO2021207279
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ、カウシク
(72)【発明者】
【氏名】ポッタ、スリカール
(72)【発明者】
【氏名】ダス、アニルッダ
(72)【発明者】
【氏名】ペトラノヴィッチ、ジェイムズ
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03522392(EP,A1)
【文献】特開2005-348412(JP,A)
【文献】特開2001-292128(JP,A)
【文献】国際公開第2015/157890(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0128744(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04L 7/04
H04B 7/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムの受信器であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成された第1のバースト検出器であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、第1のバースト検出器と、
前記第1のバーストインジケータを受信し、前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号し、バーストの復号が成功したか否かに対応する復号メトリックを生成するように構成された信号デコーダと、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成された第2のバースト検出器であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、第2のバースト検出器と、
を備え
、
前記第2のバースト検出器は、前記第2のバーストインジケータを生成するために、前記受信デジタル信号の総電力推定値を分析することによって、前記復号信号の情報構造を分析する、通信システムの受信器。
【請求項2】
前記信号デコーダは、前記復号信号を生成するために前記受信デジタル信号を反復的に処理することによって、前記受信デジタル信号を復号するように構成されており、反復の回数は、前記第1のバースト検出器によって生成された前記第1のバーストインジケータによって影響を受ける、請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記信号デコーダ及び前記第1のバースト検出器は、少なくとも部分的に並列に動作する、請求項1に記載の受信器。
【請求項4】
前記反復の回数は、前記第1のバーストインジケータが前記受信デジタル信号にバーストが存在しないことを示す場合には最小反復回数に制限され、前記第1のバーストインジケータが前記受信デジタル信号にバーストが存在することを示す場合には最大反復回数に制限され、前記最大反復回数は前記最小反復回数以上である、請求項2に記載の受信器。
【請求項5】
前記反復の回数は、バーストが前記受信デジタル信号において不確実であることを示す前記第1のバーストインジケータに応答して前記最小反復回数と前記最大反復回数との間にある、請求項4に記載の受信器。
【請求項6】
前記第1のバースト検出器は、バーストが前記受信デジタル信号に存在する確率を推定し、前記反復の回数は推定される前記確率の影響を受ける、請求項2に記載の受信器。
【請求項7】
前記第1のバースト検出器は、既知のパイロットシンボルに基づくデータ支援分析を使用して、前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項1に記載の受信器。
【請求項8】
前記既知のパイロットシンボルは、前記受信デジタル信号のアンブルを含む、請求項7に記載の受信器。
【請求項9】
前記第1のバースト検出器は、ネイマン-ピアソン一般化尤度比検定(NP-GLRT)を使用して前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項7に記載の受信器。
【請求項10】
前記第1のバースト検出器は、一定フォールスアラーム率(CFAR)検出器を使用して前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項7に記載の受信器。
【請求項11】
前記一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率比和(CFAR-SOR)検出器を含む、請求項10に記載の受信器。
【請求項12】
前記一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率和比(CFAR-ROS)検出器を含む、請求項10に記載の受信器。
【請求項13】
前記第1のバースト検出器は、信号対ノイズ比推定器を使用して前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項1に記載の受信器。
【請求項14】
前記第1のバースト検出器は、総電力推定器を使用して前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項1に記載の受信器。
【請求項15】
前記第1のバースト検出器は、バーストが前記受信デジタル信号に存在する確率を推定することによって、前記受信デジタル信号の物理構造を分析する、請求項1に記載の受信器。
【請求項16】
前記第1のバーストインジケータは、バーストが前記受信デジタル信号に存在する推定確率に対応する、請求項15に記載の受信器。
【請求項17】
前記信号デコーダの挙動は、前記第1のバーストインジケータによって示される前記推定確率によって影響を受ける、請求項16に記載の受信器。
【請求項18】
前記第1のバーストインジケータは、前記推定確率が第1の値より大きいことに応答して前記受信デジタル信号にバーストが存在することと、前記推定確率が前記第1の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、を示す、請求項16に記載の受信器。
【請求項19】
前記第1の値は、目標フォールスアラーム確率に基づく、請求項18に記載の受信器。
【請求項20】
前記第1のバーストインジケータは、前記推定確率が第1の値より大きいことに応答して前記受信デジタル信号にバーストが存在することと、前記推定確率が第2の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、前記推定確率が前記第1の値と前記第2の値との間にあることに応答してバーストが不確実であることと、を示す、請求項16に記載の受信器。
【請求項21】
前記信号デコーダは、前記復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を反復的に処理することによって前記受信デジタル信号を復号するように構成されており、反復の回数は、バーストが存在しないことを示す前記第1のバーストインジケータに応答して最小反復値に設定され、前記反復の回数は、バーストが存在することを示す前記第1のバーストインジケータに応答して最大反復値に設定され、前記反復の回数は、バーストが不確実であることを示す前記第1の
バーストインジケータに応答して前記最小反復値と前記最大反復値との間の中程度の反復値に設定される、請求項20に記載の受信器。
【請求項22】
通信システムの受信器であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成された第1のバースト検出器であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、第1のバースト検出器と、
前記第1のバーストインジケータを受信し、前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号し、バーストの復号が成功したか否かに対応する復号メトリックを生成するように構成された信号デコーダと、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成された第2のバースト検出器であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、第2のバースト検出器と、
を備え、
前記第2のバースト検出器は、前記第2のバーストインジケータを生成するために、前記受信デジタル信号の信号対ノイズ比を分析することによって、前記復号信号の情報構造を分析する、
通信システムの受信器。
【請求項23】
通信システムの受信器であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成された第1のバースト検出器であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、第1のバースト検出器と、
前記第1のバーストインジケータを受信し、前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号し、バーストの復号が成功したか否かに対応する復号メトリックを生成するように構成された信号デコーダと、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成された第2のバースト検出器であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、第2のバースト検出器と、
を備え、
前記第2のバースト検出器は、前記第2のバーストインジケータを生成するために、前記復号信号のQ
2値又はI
2値を分析することによって、前記復号信号の情報構造を分析する、
通信システムの受信器。
【請求項24】
通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信する工程と、
バーストが受信デジタル信号に存在するかどうか判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバースト検出器を使用して第1のバーストインジケータを生成する工程であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、工程と、
前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号する工程と、
前記受信デジタル信号の復号中に復号メトリックを生成する工程であって、前記復号メトリックは、バーストの復号が成功したか否かに対応する、生成する工程と、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバースト検出器を使用して第2のバーストインジケータを生成する工程であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、工程と、
を含
み、
前記復号信号の情報構造を分析することは、前記第2のバーストインジケータを生成するために前記受信デジタル信号の総電力推定値を分析する、通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法。
【請求項25】
前記受信デジタル信号を復号する工程は、前記復号信号を生成するために前記受信デジタル信号を反復的に処理することを含み、反復の回数は、前記第1のバーストインジケータによって影響を受ける、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記受信デジタル信号を復号すること、および前記第1のバーストインジケータを生成することは、少なくとも部分的に並列に行われる、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
前記反復の回数は、前記第1のバーストインジケータが前記受信デジタル信号にバーストが存在しないことを示す場合には最小反復回数に制限され、前記第1のバーストインジケータが前記受信デジタル信号にバーストが存在することを示す場合には最大反復回数に制限され、前記最大反復回数は前記最小反復回数以上である、請求項
25に記載の方法。
【請求項28】
前記反復の回数は、バーストが前記受信デジタル信号において不確実であることを示す前記第1のバーストインジケータに応答して前記最小反復回数と前記最大反復回数との間にある、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
バーストが前記受信デジタル信号に存在する確率を推定することを更に含み、前記反復の回数は推定される前記確率の影響を受ける、請求項
25に記載の方法。
【請求項30】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、既知のパイロットシンボルに基づくデータ支援分析を使用する、請求項
24に記載の方法。
【請求項31】
前記既知のパイロットシンボルは、前記受信デジタル信号のアンブルを含む、請求項
30に記載の方法。
【請求項32】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、ネイマン-ピアソン一般化尤度比検定(NP-GLRT)を使用する、請求項
30に記載の方法。
【請求項33】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、一定フォールスアラーム率(CFAR)検出器を使用する、請求項
30に記載の方法。
【請求項34】
前記一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率比和(CFAR-SOR)検出器を含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率和比(CFAR-ROS)検出器を含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項36】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、信号対ノイズ比推定器を使用する、請求項
24に記載の方法。
【請求項37】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、総電力推定器を使用する、請求項
24に記載の方法。
【請求項38】
前記受信デジタル信号の物理構造を分析することは、バーストが前記受信デジタル信号に存在する確率を推定する、請求項
24に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のバーストインジケータは、バーストが前記受信デジタル信号に存在する推定確率に対応する、請求項
38に記載の方法。
【請求項40】
前記受信デジタル信号を復号することは、前記第1のバーストインジケータによって示される推定確率によって影響される、請求項
39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のバーストインジケータは、前記推定確率が第1の値より大きいことに応答して前記受信デジタル信号にバーストが存在することと、前記推定確率が前記第1の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、を示す、請求項
39に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の値は、目標フォールスアラーム確率に基づく、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のバーストインジケータは、前記推定確率が第1の値より大きいことに応答して前記受信デジタル信号にバーストが存在することと、前記推定確率が第2の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、前記推定確率が前記第1の値と前記第2の値との間にあることに応答してバーストが不確実であることと、を示す、請求項
39に記載の方法。
【請求項44】
前記受信デジタル信号を復号する工程は、前記復号信号を生成するために前記受信デジタル信号を反復的に処理することを含み、反復の回数は、バーストが存在しないことを示す前記第1のバーストインジケータに応答して最小反復値に設定され、前記反復の回数は、バーストが存在することを示す前記第1のバーストインジケータに応答して最大反復値に設定され、前記反復の回数は、バーストが不確実であることを示す前記第1の
バーストインジケータに応答して前記最小反復値と前記最大反復値との間の中程度の反復値に設定される、請求項
43に記載の方法。
【請求項45】
通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信する工程と、
バーストが受信デジタル信号に存在するかどうか判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバースト検出器を使用して第1のバーストインジケータを生成する工程であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、工程と、
前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号する工程と、
前記受信デジタル信号の復号中に復号メトリックを生成する工程であって、前記復号メトリックは、バーストの復号が成功したか否かに対応する、生成する工程と、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバースト検出器を使用して第2のバーストインジケータを生成する工程であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、工程と、
を含み、
前記復号信号の情報構造を分析することは、前記第2のバーストインジケータを生成するために前記受信デジタル信号の信号対ノイズ比を分析する、
通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法。
【請求項46】
通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法であって、
チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信する工程と、
バーストが受信デジタル信号に存在するかどうか判定するために、前記受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバースト検出器を使用して第1のバーストインジケータを生成する工程であって、前記受信デジタル信号の物理構造は、アンブル及びデータシンボルの特定のパターンを含む、工程と、
前記第1のバーストインジケータに基づいて復号信号を生成するために、前記受信デジタル信号を処理することによって前記受信デジタル信号を復号する工程と、
前記受信デジタル信号の復号中に復号メトリックを生成する工程であって、前記復号メトリックは、バーストの復号が成功したか否かに対応する、生成する工程と、
バーストが前記受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、前記復号メトリックと、前記受信デジタル信号に対応する前記復号信号の情報構造とを分析することによって、第2のバースト検出器を使用して第2のバーストインジケータを生成する工程であって、前記復号信号の情報構造は、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する、バースト内のデータシンボルに関連するものである、工程と、
を含み、
前記復号信号の情報構造を分析することは、前記第2のバーストインジケータを生成するために、前記復号信号のQ
2値又はI
2値を分析する、
通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法。
【請求項47】
前記第2のバースト検出器は、バーストが前記受信デジタル信号に存在しないと判定したことに応答して、前記復号信号を更なる信号処理から取り除くことを示す信号を生成するように更に構成されている、請求項1に記載の受信器。
【請求項48】
前記受信デジタル信号にバーストが存在しないと判定したことに応答して、前記復号信号を更なる信号処理から取り除くことを更に含む、請求項
24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月6日に出願された、「SATELLITECOMMUNICATION SYSTEMBURST DETECTOR」と題する米国仮特許出願第63/005,997号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に、通信システムにおいてユーザ端末からのバーストの有無を検出することに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ネットワーク通信は、コンテンツサーバ及びユーザ端末などのノード間でデータを送受信することを含む。ネットワークを介してユーザデータを送信するために、スケジューラを使用してネットワークリソースをデバイスに割り当て、デバイスの送信スケジュールを作成することができる。次いで、スケジュールに基づいて、個々のデバイスは、割り当てられたリソースを用いてデータを送信することができる。スケジュールに基づいて、ユーザ端末は、最終宛先に転送される通信システムの一部である受信器にデータを送信することができる。
【0004】
本開示は、通信システムの受信器に関する。受信器は、チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成された第1のバースト検出器を含む。受信器は、バーストが受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号に対応する復号信号の情報構造を分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成された第2のバースト検出器を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、受信器は、復号信号を生成するために受信デジタル信号を反復的に処理することによって、受信デジタル信号を復号するように構成された反復デコーダを更に備え、反復の回数は、第1のバースト検出器によって生成された第1のバーストインジケータによって影響を受ける。更なる実施形態では、反復デコーダ及び第1のバースト検出器は、少なくとも部分的に並列に動作する。更なる実施形態では、反復の回数は、第1のバーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在しないことを示す場合には最小反復回数に制限され、バーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在することを示す場合には最大反復回数に制限され、最大反復回数は最小反復回数以上である。更なる実施形態では、反復の回数は、バーストが受信デジタル信号において不確実であることを示す第1のバーストインジケータに応答して最小反復回数と最大反復回数との間にある。更なる実施形態では、第1のバースト検出器は、バーストが受信デジタル信号に存在する確率を推定し、反復の回数は推定確率の影響を受ける。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、既知のパイロットシンボルに基づくデータ支援分析を使用して、受信デジタル信号の物理構造を分析する。更なる実施形態では、既知のパイロットシンボルは、受信デジタル信号のアンブルを含む。更なる実施形態では、第1のバースト検出器は、ネイマン-ピアソン一般化尤度比検定(NP-GLRT)を使用して受信デジタル信号の物理構造を分析する。更なる実施形態では、第1のバースト検出器は、一定フォールスアラーム率(CFAR)検出器を使用して受信デジタル信号の物理構造を分析する。更なる実施形態では、一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率比和(CFAR-SOR)検出器を含む。更なる実施形態では、一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率和比(CFAR-ROS)検出器を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、信号対ノイズ比推定器を使用して受信デジタル信号の物理構造を分析する。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、総電力推定器を使用して受信デジタル信号の物理構造を分析する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、バーストが受信デジタル信号に存在する確率を推定することによって、受信デジタル信号の物理構造を分析する。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、バーストが受信デジタル信号に存在する推定確率に対応する。更なる実施形態では、受信器は復号信号を生成するために受信デジタル信号を反復的に処理することによって、受信デジタル信号を復号するように構成された反復デコーダを更に備え、反復デコーダの挙動は第1のバーストインジケータによって影響を受ける。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、推定確率が第1の値より大きいことに応答して受信デジタル信号にバーストが存在することと、推定確率が第1の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、を示す。更なる実施形態では、第1の値は、目標フォールスアラーム確率に基づく。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、推定確率が第1の値より大きいことに応答して受信デジタル信号にバーストが存在することと、推定確率が第2の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、推定確率が第1の値と第2の値との間にあることに応答してバーストが不確実であることと、を示す。更なる実施形態では、受信器は復号信号を生成するために、受信デジタル信号を反復的に処理することによって受信デジタル信号を復号するように構成された反復デコーダを更に備え、反復の回数は、バーストが存在しないことを示す第1のインジケータに応答して最小反復値に設定され、反復の回数は、バーストが存在することを示す第1のインジケータに応答して最大反復値に設定され、反復の回数は、バーストが不確実であることを示す第1のインジケータに応答して最小反復値と最大反復値との間の中程度の反復値に設定される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器は、第2のバーストインジケータを生成するために、受信デジタル信号の総電力推定値を分析することによって、復号信号の情報構造を分析する。いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器は、第2のバーストインジケータを生成するために、受信デジタル信号の信号対ノイズ比を分析することによって、復号信号の情報構造を分析する。いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器は、第2のバーストインジケータを生成するために、復号信号のQ2値又はI2値を分析することによって、復号信号の情報構造を分析する。いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器は、第2のバーストインジケータを生成するために、復号信号に関連するデコーダエラーパラメータを分析することによって復号信号の情報構造を分析する。
【0010】
本開示は、通信システムにおいてバーストの存在を判定するための方法に関する。この方法は、チャネル上で送信されたデジタル信号を受信することを含む。本方法は、バーストが受信デジタル信号に存在するかどうか判定するために、受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバースト検出器を使用して第1のバーストインジケータを生成することを含む。本方法は、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうか判定するために、受信デジタル信号に対応する復号信号の情報構造を分析することによって、第2のバースト検出器を使用して第2のバーストインジケータを生成することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法は、復号信号を生成するために受信デジタル信号を反復的に処理することによって、受信デジタル信号を復号することを更に含み、反復の回数は、第1のバーストインジケータによって影響を受ける。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータを復号すること及び生成することは、少なくとも部分的に並列に行われる。更なる実施形態では、反復の回数は、第1のバーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在しないことを示す場合には最小反復回数に制限され、バーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在することを示す場合には最大反復回数に制限され、最大反復回数は最小反復回数以上である。更なる実施形態では、反復の回数は、バーストが受信デジタル信号において不確実であることを示す第1のバーストインジケータに応答して最小反復回数と最大反復回数との間にある。更なる実施形態では、本方法は、バーストが受信デジタル信号に存在する確率を推定することを更に含み、反復回数は推定確率の影響を受ける。
【0012】
いくつかの実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、既知のパイロットシンボルに基づくデータ支援分析を使用する。更なる実施形態では、既知のパイロットシンボルは、受信デジタル信号のアンブルを含む。更なる実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、ネイマン-ピアソン一般化尤度比検定(NP-GLRT)を使用する。更なる実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、一定フォールスアラーム率(CFAR)検出器を使用する。更なる実施形態では、一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率比和(CFAR-SOR)検出器を含む。更なる実施形態では、一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率和比(CFAR-ROS)検出器を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、信号対ノイズ比推定器を使用する。更なる実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、総電力推定器を使用する。
【0014】
いくつかの実施形態では、受信デジタル信号の物理構造を分析することは、バーストが受信デジタル信号に存在する確率を推定する。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、バーストが受信デジタル信号に存在する推定確率に対応する。更なる実施形態では、復号信号を生成するために受信デジタル信号を反復的に処理することによって、受信デジタル信号を復号することを更に含み、復号することは、第1のバーストインジケータによって影響を受ける。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、推定確率が第1の値より大きいことに応答して受信デジタル信号にバーストが存在することと、推定確率が第1の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、を示す。更なる実施形態では、第1の値は、目標フォールスアラーム確率に基づく。更なる実施形態では、第1のバーストインジケータは、推定確率が第1の値より大きいことに応答して受信デジタル信号にバーストが存在することと、推定確率が第2の値より小さいことに応答してバーストが存在しないことと、推定確率が第1の値と第2の値との間にあることに応答してバーストが不確実であることと、を示す。更なる実施形態では、復号信号を生成するために、受信デジタル信号を反復的に処理することによって受信デジタル信号を復号することを更に含み、反復回数は、バーストが存在しないことを示す第1のインジケータに応答して最小反復値に設定され、反復回数は、バーストが存在することを示す第1のインジケータに応答して最大反復値に設定され、反復回数は、バーストが不確実であることを示す第1のインジケータに応答して最小反復値と最大反復値との間の中程度の反復値に設定される。
【0015】
いくつかの実施形態では、復号信号の情報構造を分析することは、第2のバーストインジケータを生成するために受信デジタル信号の総電力推定値を分析する。いくつかの実施形態では、復号信号の情報構造を分析することは、第2のバーストインジケータを生成するために受信デジタル信号の信号対ノイズ比を分析する。いくつかの実施形態では、復号信号の情報構造を分析することは、第2のバーストインジケータを生成するために、復号信号のQ2値又はI2値を分析する。いくつかの実施形態では、復号信号の情報構造を分析することは、第2のバーストインジケータを生成するために、復号信号に関連するデコーダエラーパラメータを分析する。
【0016】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されている。そのような利点の全てが、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成される可能性があるわけではないことを理解されたい。したがって、開示される実施形態は、本明細書で教示されるような利点又は利点の群を、本明細書で教示又は示唆される場合がある他の利点を必ずしも達成することなく、達成又は最適化する形態で実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
様々な実施形態が、例示を目的として添付の図面に示されており、決して本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、開示された異なる実施形態の様々な特徴を組み合わせて、本開示の一部である追加の実施形態を形成することができる。
【
図1】
図1は、例示的な衛星通信ネットワークの図を示す。
【
図2A】
図2Aは、
図1の衛星通信ネットワークにおいて割り当てられたリソーススケジュールに従ってバーストをスケジュール及び送信する例を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図1の衛星通信ネットワークにおいて割り当てられたリソーススケジュールに従ってバーストをスケジュール及び送信する例を示す。
【
図2C】
図2Cは、
図1の衛星通信ネットワークにおいて割り当てられたリソーススケジュールに従ってバーストをスケジュール及び送信する例を示す。
【
図3】
図3は、ユーザ端末からの送信にバーストがいつ存在しないか、及びバーストがいつ存在するかを判定するように構成された受信器を有する例示的な通信システムを示す。
【
図4】
図4は、データバーストと、データの選択的非送信とを区別するように構成された例示的な受信器を示す。
【
図6】
図6は、データバーストと、データの選択的非送信とを区別するように構成された別の例示的な受信器を示す。
【
図7】
図7は、通信ネットワークにおいて送信された信号におけるバーストを検出するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図8】
図8は、2ステージバースト検出器を使用して伝送チャネル内のバーストを検出するように構成された例示的な受信器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で提供する見出しは、提供する場合でも単に便宜上のものであり、特許請求された主題の範囲又は意味に必ずしも影響を与えるものではない。
【0019】
概要
図1は、例示的な衛星通信ネットワーク100の図を示す。衛星通信ネットワーク100は、複数のユーザ端末110a、110b及びゲートウェイルーティングデバイス150を互いに、及びネットワーク(インターネット160など)に通信可能に接続する衛星ネットワーク140を含む。衛星通信ネットワーク100は、ユーザ端末110a、110bにリソース割り当てを許可するように構成されたスケジューラ170を含む。衛星通信ネットワーク100は、衛星105を介して信号を送受信するように構成された衛星送受信器130を含む。衛星通信ネットワーク100は、衛星送受信器130を介してユーザ端末110a、110bから受信された変調信号を処理及び復号するように構成された受信器180を含む。本明細書で説明するように、受信器180は、バーストがユーザ端末に存在するか又は存在しないかを識別するために受信信号に対して動作する2つのバースト検出器を含み、第1のバースト検出器は受信信号の物理構造を分析するように構成され、第2のバースト検出器は受信信号の情報構造を分析するように構成される。本明細書で使用される場合、「バースト」という用語は、ユーザ端末によって送信された受信信号のデータパケットのグループ、及び/又は変調データ信号の1つ以上のデータパケットを指すために使用され得る。
【0020】
衛星通信ネットワーク100では、戻りリンクでの送信電力の使用を改善又は最適化することが有利である。これは、衛星通信ネットワーク100などの高スループットブロードバンド衛星システムに特に関係する。そのような衛星通信ネットワーク100では、戻りリンクトランスポンダ利得は可変であり得、厳密に制御することが困難であり得る。加えて、戻りリンクダウンリンク電力は、戻りリンク容量に対する主な寄与因子である。戻りリンク電力プロファイルは、ユーザ端末(UT)による複数の協調していない独立した送信の集約表現である。戻りリンク上のリソースグラント割り当ては、通常、複数のユーザ端末の総需要に基づいてスケジューラによって事前に決定される。しかしながら、ユーザ端末は、瞬間的なバッファ状態に依存して、割り当てられたグラントを十分に利用しない場合があり、全体的な戻りリンク電力プロファイルにおける変動を生じさせる。例えば、適応ビームフォーミングを伴うMF-TDMAシステムでは、戻りリンクパケットは、それらの送信器を分離する距離にかかわらず、同じ時間周波数リソースで送信される他のパケットと干渉する可能性がある。したがって、ユーザ端末からの不要な送信を低減又は排除することが有益であろう。これにより、ネットワークリソース利用が改善され、電力使用が改善される。
【0021】
例えば、ユーザ端末は、32バイトなどの特定のサイズの割り当てグラントを受信し得る。ユーザ端末が20バイトだけ送信する場合、ユーザ端末は、パディングバイトと呼ばれる場合がある12バイトのフィラーと共に20バイトを送信する。したがって、この場合のバーストは部分的に満たされる。一方、ユーザ端末に送信すべきデータがない場合、ユーザ端末は、所定のデータフォーマットを含むダミーバーストを送信することができる。ダミーバーストは、0xFで満たされた残りの24バイトを有する8バイトの汎用MACヘッダを含み得る。したがって、この場合のバーストは、ダミーバーストと呼ばれる実際のデータが空である。本開示ではスケジューラ及び割り当てグラントが論じられているが、端末が受信器にバーストを送信する任意の実施形態において、開示されたシステム及び方法を受信器によって使用して、バーストの有無を判定することができることを理解されたい。
【0022】
ダミーバーストは、衛星通信ネットワーク100などのいくつかの通信システムにおいて特に問題となり得る。例えば、少なくとも部分的には、衛星ネットワークと地上ネットワークとの間の比較的大きい伝搬遅延に起因して、スケジューラ170は、現在のバッファ状態に基づいて、ユーザ端末によって要求されているものよりも多くのグラントを割り当て得る。これは、現在のバッファ状態が将来のトラフィック需要を反映しない可能性があるためである。全てのグラント要求が少なくとも一対の地上-衛星ホップの横断を必要とし、スケジューラ170からユーザ端末110a、110bへの応答も逆向きの同じ経路横断を必要とするため、衛星通信ネットワーク100内の比較的高いレイテンシに対抗するためにリソースを過剰にプロビジョニングする誘因がある。ユーザ端末がこれらの追加のグラント中に送信するものがない場合、ユーザ端末は通常、ダミーバーストを送信する。更に、ダミーバーストは、競合の使用を排除することがある。例えば、競合は、複数の端末がバーストを送信することを可能にし、複数の端末が同じリソースでバーストを送信する場合、衝突があり、端末は再送信しなければならない。送信の確率が低いシステム(例えば、低速度センサネットワーク)では、再送信は実行可能なオプションである。しかしながら、端末がダミーバーストを繰り返し送信する場合、バーストが衝突し続ける可能性がより高い。
【0023】
衛星通信システム100などの通信システムにおいてユーザ端末によって送信されるダミーバーストを排除することが有益であろう。ダミーバーストは戻りリンク上の送信電力を浪費するので、ダミーバーストの排除又は低減は有益であろう。更に、受信器180は、正規のバーストと共にダミーバーストを処理するように構成される。したがって、受信器の性能を改善するためにダミーバーストの数を排除又は低減することが有利であろう。しかしながら、典型的な通信システムでは、ユーザ端末がバーストを送信する機会を有する場合、バーストを送信する必要がある。ユーザ端末は、送信すべきデータがない場合、代わりにダミーバーストを送信する。
【0024】
したがって、本明細書では、ユーザ端末が送信するダミーバーストの数を排除又は低減することを可能にするシステム及び方法について説明する。システム及び方法は、バーストが存在しないときを識別するために信号の異なる態様で動作する2つのバースト検出器を使用する。第1のバースト検出器は、信号の物理構造を分析して、バーストの有無を示す第1のバーストインジケータを生成する。第2のバースト検出器は、信号の情報構造を分析して、バーストの有無を示す第2のバーストインジケータを生成する。第1のバーストインジケータは、受信信号を復号する信号デコーダの動作を制御するために使用することができる。第2のバースト検出器は、信号デコーダからの出力を分析して第2のバーストインジケータを決定する。言い換えれば、第1のバースト検出器は、バーストの有無に関する第1の推定値を提供するために、受信信号を復号する前に実施することができる。これを使用して、信号デコーダによって実行される処理量を制限することができる。信号にバーストが存在しない場合、これは、そうでなければ(例えば、バーストが存在しない場合)無駄な復号ノイズであった可能性がある処理サイクルを低減又は排除することができる。
【0025】
本明細書に記載されるように、開示されたシステム及び方法は、ユーザ端末からのダミーバーストの排除又は低減を可能にする。ダミーバーストは、典型的には識別が容易であるが、ダミーバーストを廃棄する前に処理及び復号を必要とする。一方、バーストが存在しないことを識別することは困難であり得る。したがって、本明細書では、ユーザ端末からの選択的非送信(バーストが存在しない)と送信エラー(バーストが存在するが正常に復号できなかった)とを有益に区別するシステム及び方法について説明する。この機能により、通信システムは、送信すべきデータがない場合に、ユーザ端末にダミーバーストの送信を要求するのではなく、データを送信しないようにユーザ端末を構成することができる。これは、ユーザ端末がデータを有するときにのみ送信するように構成することができ、通信システムの平均電力プロファイルを低下させる可能性があるため、通信システムの効率を改善する。別の利点は、開示されたバーストデコーダが、予想される全てのバーストで実行される必要がないことである。むしろ、開示されたバースト検出器は、存在するバーストに対して実行することができ、それによって必要な計算リソースを削減する。別の利点は、隣接ビーム上の他の戻りリンク送信に対する干渉の低減であり得る。
【0026】
図1に戻ると、衛星通信ネットワーク100は、宇宙セグメント及び地上セグメントを含む様々なネットワークアーキテクチャを利用することができる。例えば、宇宙セグメントは、1つ以上の衛星を含むことができ、地上セグメントは、1つ以上の衛星ユーザ端末、ゲートウェイ端末、ネットワークオペレーションセンター(NOC)、衛星及びゲートウェイ端末コマンドセンターなどを含むことができる。これらの要素のいくつかは、明確にするために図には示されていない。衛星ネットワーク140は、静止地球軌道(GEO)衛星(複数可)、中地球軌道(MEO)衛星(複数可)、及び/又は低地球軌道(LEO)衛星(複数可)を含むことができる。
【0027】
ユーザ端末110a、110bは、ルータを含むことができ、任意のタイプの消費者宅内機器(例えば、電話、モデム、ルータ、コンピュータ、セットトップボックスなど)を含む衛星通信ネットワーク100を介してルーティングされるデータを受信するように構成することができる。
【0028】
ユーザ端末110a、110bは、(それぞれの顧客衛星送受信器120a、120bを介して)衛星ネットワーク140にデータをルーティングするように構成される。衛星ネットワーク140は、ゲートウェイルーティングデバイス150からユーザ端末110a、110bに情報を送信するための順方向リンクと、ユーザ端末110a、110bからゲートウェイルーティングデバイス150に情報を送信するための戻りリンクとを含む。順方向リンクは、ゲートウェイルーティングデバイス150からゲートウェイ衛星送受信器130を通って、衛星アップリンクチャネルを介して衛星105を通って、衛星ダウンリンクチャネルを介して顧客衛星送受信器120a、120bに、そしてユーザ端末110a、110bに至る伝送路を含む。戻りリンクは、顧客衛星送受信器120a、120bから衛星アップリンクチャネルを介して衛星105に、衛星ダウンリンクチャネルを介してゲートウェイ衛星送受信器130に、そしてゲートウェイルーティングデバイス150に至る伝送路を含む。各伝送チャネルは、複数の衛星及び送受信器を利用することができる。
【0029】
図2A、
図2B及び
図2Cは、
図1の衛星通信ネットワーク100における割り当てられたリソーススケジュールに従ってバーストをスケジュール及び送信する例を示す。
図2Aは、ユーザ端末110a、110bの各々が、ゲートウェイルーティングデバイス150を介してスケジューラ170から衛星ネットワーク上の戻りリンクグラント112a、112bを要求することを示す。ユーザ端末110a、110bは、バッファサイズ、QoSパラメータ、及び他のフローパラメータに基づいて、スケジューラ170から戻りリンクのリソースを要求する。
【0030】
図2Bは、スケジューラ170が、ユーザ端末110a、110bからの帯域幅要求にサービス提供するために、スロット220にリソースブロック230(時間周波数リソース)を割り当てることを示す。これらの割り当ては、ユーザ端末110a、110bからの要求に基づく。この割り当ては、ゲートウェイルーティングデバイス150を介してブロードキャストメッセージ、マルチキャストメッセージ、又はユニキャストメッセージを介してテーブル(例えば、RL-MAP)としてユーザ端末110a、110bに転送することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、スケジューラ170は、デマンド割り当て多元接続(DAMA)スケジューリングモデル、拡張移動衛星サービス(EMSS)スケジューリングモデル、及び/又は他のスケジューリング技法を利用することができる。ユーザ端末110a、110bから帯域幅割り当ての要求を受信することに応答して、スケジューラ170は、要求、ネットワーク状態、ネットワーク輻輳、以前の要求、類似の要求などを分析して、戻りリンク帯域幅のスケジュールを決定する。いくつかの実施形態では、スケジューラ170は、要求を達成するために必要な実際の帯域幅の予測又は推定に基づいてスケジュールを生成するように構成される。
【0032】
図2Cは、スケジューラ170によって割り当てられた時間周波数リソースに従って、ユーザ端末110a、110bがバッファからデータ114a、114bを送信することを示す。ユーザ端末110a、110bは、戻りリンクを介して衛星ネットワーク140を介してゲートウェイルーティングデバイス150にデータを送信する。ユーザ端末110a、110bは、割り当てられたリソースの全て又は部分ブロックを使用することができ、又はユーザ端末が割り当てられた時間周波数リソースに対して送信するデータを有さない場合、ユーザ端末はバーストを送信しないことを選択することができる。受信器180は、ユーザ端末110a、110bによって送信されたデータを分析するように構成される。本明細書で開示されるように、受信器180は、データの選択的非送信(例えば、割り当てられたリソースグラントに対応してバーストが存在しない)と、送信エラー(例えば、割り当てられたリソースグラントのためにバーストが送信されたが、バーストには問題がある)を含み得る送信データ(例えば、割り当てられたリソースグラントを満たすか、又は部分的に満たすバースト)とを区別するように構成されたバースト検出器を含む。
【0033】
ゲートウェイルーティングデバイス150に到達した後、データをインターネット160に向けることができる。インターネット160からのデータは、衛星ネットワーク140の順方向リンクを介してゲートウェイルーティングデバイス150によってユーザ端末110a、110bに送信することができる。いくつかの実施形態では、ゲートウェイルーティングデバイス150、受信器180、及び/又はスケジューラ170の一部又は全部は、パブリック又はプライベートコンピューティングクラウドに存在する仮想デバイス内に、及び/又は分散コンピューティング環境の一部として配置することができる。
【0034】
図3は、ユーザ端末からの送信にバーストがいつ存在しないか、及びバーストがいつ存在するかを判定するように構成された受信器380を有する例示的な通信システム300を示す。通信システム300は、複数のユーザ端末310を受信器380及びインターネット360(又は他の適切なネットワーク)に通信可能に結合するように構成されたネットワーク340を含む。通信システム300は、
図1のゲートウェイルーティングデバイス150と同様のゲートウェイルーティングデバイス350を含む。通信システム300は、
図1のスケジューラ170と同様のスケジューラ370を含む。
【0035】
通信システム300の受信器380は、ネットワーク340を介してユーザ端末310から送信バーストを受信するように構成される。ネットワーク340は、地上波ネットワーク、衛星ネットワーク、又は地上波ネットワークと衛星ネットワークとの組み合わせとすることができる。受信器380は、本明細書でより詳細に説明するように、割り当てられたリソースグラントに対応する信号にバーストが存在するかどうかを判定するように構成された相補型バースト検出器を含む。本明細書で説明するように、ユーザ端末310は、送信するデータを持たない対応するユーザ端末の特定のリソースグラント割り当てのためのデータを送信しないことを選択するように構成することができる。それに応答して、受信器380は、特定のリソースグラント割り当てに対応して受信された信号にバーストが存在しないことを識別するように構成することができことができる。加えて、ユーザ端末がリソースグラント割り当てのために完全に又は部分的に満たされたバーストを送信する場合、受信器380は、バーストが存在すると判定するように構成される。受信器380によって受信された信号に問題がある場合、受信器380は、バーストが存在しないか、又はバーストが存在するが問題があるかを判定するように構成される。
【0036】
2ステージバースト検出器を備えた受信器の例
図4は、データバーストとデータの選択的非送信とを区別するように構成された例示的な受信器480を示す。受信器480は、
図1の衛星通信システム100及び/又は
図3の通信システム300に実装することができる。受信器480は、第1のバースト検出器482と、反復デコーダ484と、第2のバースト検出器486と、データ集約部488とを含む。データ集約部488は、復号されたバーストを蓄積し、正しい順序でそれらを配置する。例えば、複数のバーストを異なるユーザ端末に割り当てることができ、各戻りリンクバーストは、MF-TDMAシステムにおける周波数チャネルのタイムスロット内の特定の時間間隔を占有することができる。正しい順序付けは、時間順序付け、MACパケット化、ユーザ及びサービスフローへのマッピングなどを含むことができる。
【0037】
受信器480は、通信チャネルを介してデジタル信号を受信し、2段階バースト検出器を実装するように構成され、2段階バースト検出器は、第1のバースト検出器482及び第2のバースト検出器486を含む。2ステージバースト検出器は、通信システムの物理層上で動作する。2ステージバースト検出器は、信号の物理構造及び信号の情報構造を分析する。第1のバースト検出器482及び第2のバースト検出器486は、直列又は並列に動作することができる。第1のバースト検出器482及び反復デコーダ484は直列又は並列に動作することができる。いくつかの実施形態では、通信チャネルは、衛星通信システムにおける戻りリンクチャネルである。
【0038】
第1のバースト検出器482は、通信チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、本明細書で説明するように、バーストの存在を判定するために信号検出アルゴリズムを実装する。第1のバースト検出器482は、物理構造の分析結果に対応する第1のバーストインジケータを生成することができる。いくつかの実施形態では、第1のバーストインジケータは、バーストが存在するか、又は存在しないことを示す、バイナリ結果である。特定の実施形態では、第1のバーストインジケータは、複数の離散値又は結果を有する。例えば、第1のバーストインジケータは、バーストが存在する、バーストが存在しない、又はバーストが不確実であることを示すことができる。別の例として、第1のバーストインジケータは、バーストの存在に関する信頼性のレベルを示すことができる(例えば、0はバーストが存在しないことに対応し、1はバーストが存在することに対応し、間の離散値はバーストの存在に関する様々な信頼性レベルを示す)。様々な実施形態では、第1のバーストインジケータは、任意の適切な値であり得、連続的であり得る。例えば、第1のバーストインジケータは、デジタル信号にバーストが存在する推定確率に対応することができる。別の例として、第1のバーストインジケータは、信号対ノイズ比の推定など、信号の物理構造の分析から導出された値に対応することができる。
【0039】
第1のバースト検出器482は、受信器で受信された全てのデジタル信号を分析するように構成されている。対照的に、いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器486は、第1のバースト検出器482によってバーストの存在を有すると判定された信号を分析するように構成されている。そのような実施形態では、第2のバースト検出器486は、第1のバースト検出器482によってバーストの存在を有さないと判定された信号を分析しないように構成することができる。
【0040】
第1のバースト検出器482は、信号のタイミング取得後(及びシステム内に存在する場合には逆拡散後)、シンボルバーストごとに1つのサンプルに対して作業するように構成される。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、信号内のバーストの有無を判定するためにシングルショット推定器を使用し、その例は本明細書に記載されている。いくつかの実装では、記載されたシングルショット推定器は、本明細書に記載されるように、各バーストの既知のアンブルのみに機能する。特定の実施形態では、第1のバースト検出器482は、反復アルゴリズムを使用して、信号におけるバーストの有無を判定する。記載された反復アルゴリズムは、バーストの全ての記号、例えば、既知のアンブル及び未知のデータシンボルの両方で機能する。いくつかの実施形態では、反復アルゴリズムは、信号対ノイズ推定器及び/又は信号電力推定器などの関連する信号パラメータを決定することを含み得る。
【0041】
一例として、第1のバースト検出器482は、I/Q(同位相/直交)サンプルで動作することができる。第1のバースト検出器482は、IQサンプルを分析して、信号の物理構造に少なくとも部分的に基づいて信号の特性を決定する。IQサンプルは、実際の信号の表現を提供し、第1のバースト検出器482が信号及びノイズ(例えば、複素空間における経時的な信号の振幅及びノイズ)を見ることを可能にする。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、受信信号のデジタル化された時間ドメインサンプルを分析する。
【0042】
信号の物理構造は、物理チャネル(例えば、衛星リンク又は一般的な任意の伝送チャネル)を介して送信器から受信器480に符号化情報ビットを搬送する変調波形を指す。いくつかの実装形態では、物理波形は、特定の構造を有する多周波数時分割多元接続(MF-TDMA)「バースト」を構成する。この構造は、事前に指定された数のシンボルを有するアンブル及びデータシンボルの特定のパターンとすることができ、アンブルの事前の位置及び内容は、受信器に知られている。データシンボルは、有限の選択肢の既知のセット(例えば、2位相偏移変調(BPSK)、4位相偏移変調(QPSK)などのようなデジタルコンスタレーション)から到来するが、受信器480は、どの特定のシンボルが送信されたのかを事前に知らない。第1のバースト検出器482は、既知のバースト構造を有する受信信号を分析するように構成されているが、未知のデータシンボルについては知らない。したがって、第1のバースト検出器482は、データシンボル(例えば、データシンボルの内容)の分析を必要とせずに信号の物理構造を分析するように構成されている。
【0043】
第1のバースト検出器482は、バースト持続時間にまたがるサンプルを取り込むタイミングの知識でプログラムされる。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、タイミング、周波数、及び電力を推定するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、信号のシンボルレートで受信信号のデジタルサンプルを受信するように構成されている。
【0044】
第1のバースト検出器482は、既知のパイロットシンボルに基づくデータ支援分析を用いて受信信号を分析するように構成されている。いくつかの実施形態では、既知のパイロットシンボルは、受信デジタル信号のアンブルを含む。
【0045】
受信信号の構造をより良く例示するために、
図5Aは、プリアンブル512及び複数のコードワード514a~514nを備える例示的なバースト500aを示す。各コードワード514は、データ522及びアンブル524の周期的な繰り返しパターンを含む。各データ522は、いくつかのシンボル(N
bシンボル)を含み、各アンブル524は、別の数のシンボル(N
aシンボル)を含む。したがって、バーストの基本構造はプリアンブルであり、その後にデータシンボル及びアンブルのシーケンスが繰り返され、データシンボルの各ブロックは同じ長さであり、アンブルの各ブロックは同じ長さである。
【0046】
受信バースト500は、未知の位相をもたらす何らかの小さな周波数エラーを有すると予想される。アンブルセグメント524は、各アンブルにおける位相が一定であり、隣接するアンブルにおける位相とは無関係であるように分離される。周波数エラーは、各アンブルにわたって位相が一定であると仮定されるほど十分に小さい。小さな周波数エラーは、時間的に増加する位相エラーをもたらす可能性がある。十分に小さい周波数エラーの場合、隣接するアンブルにわたる位相エラーは同じであり、時間的に著しく分離されたアンブルのグループにわたる位相エラーは独立していると仮定することができる。加えて、チャネル利得の大きさはバーストにわたって一定であると仮定される。
【0047】
第mのアンブルセットの第nのサンプルは、以下のように表すことができる:
【0048】
【数1】
アンブル524の場合、x
m,nは既知であり、ノイズw
m,nは未知であるが、加法性白色ガウスノイズ(AWGN)であると仮定される。各アンブルのチャネルの大きさ及び位相は未知であると仮定される。第1のバースト検出器482は、変調を取り除くために信号処理手順の後にサンプルに作用するように構成されている。
【0049】
【0050】
信号は、
図5Bに示すように、より一般的な構造を有することができ、これは、プリアンブル512及び複数のコードワード514a~514nを含む例示的なバースト500bを示す。各コードワード514は、データ522a~522k及びアンブル524a~524kの繰り返しパターンを含む。各データ522a~522kは、いくつかのシンボル(N
b1、N
b2、...N
bkシンボル)を含み、各アンブル524は、別の数のシンボル(N
a1、N
a2、...N
akシンボル)を含む。各セグメントは、異なる数のシンボルを有することができる。パターン又は構造は一般的であり得、検出器に知られているため、信号構造を分析することができる。
【0051】
したがって、第1のバースト検出器482は信号の物理構造を分析するように構成されている。第1のバースト検出器482は、この特定の目的のために適合された周知のアルゴリズムの変形を使用することができる。第1のバースト検出器482は、プリアンブルが特定の位置にあること、及び受信信号の構造の周期性に少なくとも部分的に起因して、この分析を実行することができる。
【0052】
第1のバースト検出器482は信号検出理論の要素を実装してバーストの有無を判定し、第1のバーストインジケータを生成することができる。第1のバースト検出器は、2つの仮説、すなわち、バーストが受信されなかったというH0(帰無仮説)と、バーストが受信されたというH1(対立仮説)との間で判定するように構成される。検出理論では、検出器は、典型的には、2つのタイプのエラー、すなわち、Pmd又は検出漏れの確率(タイプIエラー又は特異性と呼ばれることもある)及びPfa又はフォールスアラームの確率(タイプIIエラー又は感度と呼ばれることもある)を有する。受信器480は、正規のバーストを見逃すことを回避することが望ましく、それによって、検出ミスの確率(Pmd)を可能な限り低くするように試みることが有利になる。しかしながら、これはフォールスアラーム(Pfa)が増加する確率をもたらす。Pfaが増加すると、復号のために反復デコーダ484により多くの誤ったバーストが渡される。有利には、第2のバースト検出器486は、フォールス信号(又は実際のバーストを含まない信号)の数を減らすように構成される。これは、信号の情報構造の相補的分析を追加することによってこれを行い、したがって、第2のバースト検出器486の後のデータパイプラインからの誤ったバーストを低減又は排除する。
【0053】
有効なバーストの検出を逃すことは望ましくないので、Pmdを可能な限り低く設定することが有利である。いくつかの実施形態では、Pmdは、約1e-4以下又は約1e-5以下に設定される。その結果、Pfaはより高くなる。いくつかの実施形態において、Pfaは、約0.01又は約1e-3である。結果として、フォールスバーストの約1%が処理のためにデコーダ484に渡され、これは、時間ノイズの約1%が処理のためにデコーダ484に転送されることを意味する。そのような場合、デコーダ484は故障し、バーストエラーインジケータを出力することがある。これは、信号にバーストが存在しないことを判定するために第2のバースト検出器486によって使用され得る。バーストエラーは、(a)実際にはバーストがあったがSNRが悪く、デコーダ484が失敗したため、又は(b)バーストはなかったが、第1のバースト検出器482はバーストがあることを示した(例えば、フォールスアラーム)ために発生し得る。Pfaが比較的高いので、受信器480は、デコーダエラー統計を改善するために、又は実際にバーストが存在しない場合にバーストが存在すると示された信号を識別するために、第2のバースト検出器486を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、受信デジタル信号にバーストが存在する確率を推定するように構成される。様々な実施形態において、反復デコーダ484の反復回数は、推定確率の影響を受ける。特定の実装態様では、第1のバーストインジケータは、受信デジタル信号にバーストが存在する推定確率に対応する。様々な実施態様において、第1のバースト検出器482は推定確率と比較した閾値を利用する。高確率より上では、第1のバーストインジケータはバーストが存在することを示し、低確率より下では、第1のバーストインジケータはバーストが存在しないことを示し、高確率と低確率との間では、第1のバーストインジケータはバーストが存在するかどうかが不確実であることを示す。バーストが存在することを示す閾値は、目標フォールスアラーム確率に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、デコーダ484が復号するために使用する反復回数は、第1のバーストインジケータの影響を受ける。第1のバーストインジケータが信号パラメータ(例えば、SNR又は総電力)の推定値、又はバーストが存在する確率の推定値を含む場合などの特定の実施態様では、反復回数は、第1のバーストインジケータと共にスケーリングするか、そうでなければ第1のバーストインジケータに対応することができる。これは、バーストを含まない、又はバーストを含む可能性が低い信号に費やされる処理サイクルを制限するのに有利であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器は、尤度比検定(LRT)を使用して、受信信号内のバーストの存在を判定することができる。特に、信号の検出確率を最大化することに相当するPmdを最小化するために、Neyman-Pearsonの定理として知られている定理を使用することができる。この定理では、所与のPfaに対して、以下の場合にH1を決定する:
【0056】
【数3】
式中、zは検出器によって使用されるサンプル数であり、γはPfaに依存する閾値である。この手法は、尤度比検定(LRT)として知られており、所与のPfaに対するPmdを最小化するという点で確かに最適である。
【0057】
しかしながら、先験的に未知であるいくつかのパラメータに応じて、第1のバースト検出器482によって使用されるサンプルzに少なくとも部分的に起因して困難が生じ得る。そのようなパラメータの例には、例えば、周波数オフセット、位相オフセット、チャネル利得、ノイズ分散、シンボル値などが含まれる。有利には、一般化されたLRT(GLRT)手法は、未知のパラメータをそれらのパラメータの最大尤度(ML)推定値で置き換えることを除いて、LRTと同じ技術を使用する。
【0058】
したがって、第1のバースト検出器482はNP-GLRT手法を使用することができる。この手法は、上記のLRT式から開始し、それを分析のために決定された特定の値に適用することを含む(例えば、第1の定数c1未満のPmd、及び第2の定数c2未満のPfaであり、c2>c1である):
【0059】
【数4】
LRT式では、未知のパラメータ(例えば、σ
2、|h|、θ
m)が存在するため、これらのパラメータのML推定値を決定し、LRT式中のこれらの欠落要素を置き換えるために使用することができる。次に、閾値γの様々な値に対してPfa及びPmdを決定することができる。パラメータのML推定値は、閉じた形式の数式とすることができ、実装が比較的簡単であり、既知のバーストのアンブルのみを使用することができる。
【0060】
【0061】
一定フォールスアラーム率(CFAR)は、第1のバースト検出器482によって使用され得る別の検出技術である。CFAR及びNP-GLTは、各バーストの既知のアンブルで動作するように構成される。CFAR技術には、CFAR比和(CFAR-SOR)が含まれる。
【0062】
【数6】
及びCFAR和比(CFAR -ROS):
【0063】
【数7】
それらのいずれかは、第1のバースト検出器482に実装され得る。したがって、第1のバースト検出器482は、ネイマン-ピアソン一般化尤度比検定(NP-GLRT)を用いて受信デジタル信号の物理構造を分析するように構成されており、第1のバースト検出器は、一定フォールスアラーム率(CFAR)検出器を用いて受信デジタル信号の物理構造を分析するように構成されており、一定フォールスアラーム率検出器は、一定フォールスアラーム率比和(CFAR-SOR)検出器又は一定フォールスアラーム率比和(CFAR-ROS)検出器を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、信号対ノイズ比推定器及び/又は総電力推定器を使用するように構成されている。特定の実施態様では、第1のバースト検出器482は、反復方法を使用してこれらのパラメータを決定する。例えば、第1のバースト検出器482はEM(Expectation-Step and Maximization-Step)SNR推定器を用いる。これらの技法は、非データ支援反復推定器を表す。上述したシングルショット推定器技術(例えば、NP-GLRT及びCFAR)は、既知のパイロットシンボル(例えば、アンブル)の使用に依存するため、データ支援技術であると考えることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は多段階決定領域を提供する。例えば、分析の出力(例えば、推定SNR)に基づいて、第1のバースト検出器482は閾値に基づく第1のバーストインジケータを生成する。閾値は、目標フォールスアラーム及び/又は誤検出確率に基づくことができる。そのような例では、推定された信号対ノイズ比(SNR)が高閾値以上である場合、第1のバーストインジケータはバーストが存在することを示し、それに応答して、反復デコーダ484は信号を復号するために最大反復回数を実行することができる(例えば、100回の反復)。推定SNRが低閾値以下である場合、第1のバーストインジケータはバーストが存在しないことを示し、それに応答して反復デコーダ484は最小反復回数を実行して信号を復号できる(例えば、1回の反復)。推定SNRが高閾値と低閾値との間にある場合、第1のバーストインジケータは、バーストが不確実であることを示し、これに応答して、反復デコーダ484は、信号を復号するために最小数と最大数との間の反復回数を実行することができる(例えば、40回の反復)。第1のバースト検出器482によって決定されるバーストが不確実である場合、第2のバースト検出器486は、結果を改善するか、又はバーストの存在の判定が1に近い確率を高めることができる第2のバーストインジケータを有利に提供する。
【0066】
第2のバースト検出器486は、バーストが受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号に対応する復号信号の情報構造を分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成される。信号の情報構造は、バースト内のデータシンボルに関連し得る。バースト内のデータシンボルは、符号化されて送信器から送信される情報を搬送する。受信器480のデコーダ484は、符号化ビットを反復的に復号することによって情報内容を決定する。このプロセスは、時間がかかり、計算が複雑であり得る。第1のバースト検出器482はこの情報内容を認識していないが、第2のバースト検出器486はデコーダ484によって認識することができる。例えば、デコーダ484は、(a)硬判定(例えば、バーストの復号が成功したか否か)、又は(b)軟判定(例えば、対数尤度比)に関するメトリックを送信することができ、これにより、復号動作前には利用できなかったバーストに関する追加情報を第2のバースト検出器486に提供することができる。
【0067】
信号の情報構造は、総電力推定値、SNR推定値、復号信号のQ2値、復号信号のI2値、デコーダエラーパラメータなどを含むことができる。第2のバースト検出器486は、デコーダ484の出力を用いて第2のバーストインジケータを決定する。これらの出力は、総電力、SNR、I2、Q2などの推定器を含むことができる。これにより、バーストの存在に関する判定が改善される。したがって、第2のバースト検出器486は、真のバーストエラーとフォールスアラームバーストエラーとを区別するように構成することができる。第2のバースト検出器486は、反復デコーダの出力インジケータに作用し、信号の情報内容及びそれが有効信号とどのように一致するかを調べるように構成される。
【0068】
信号の物理構造の分析は一般的なシステム設計によって制限されるが、情報構造は特定の送信信号に依存し、したがってより多くの情報を提供することができる。しかしながら、信号の情報構造を決定するためには、より多くの処理が必要である(例えば、デコーダ484は、信号を復号するように動作しなければならない)。したがって、受信器480は2段階検出器を含み、第1のバーストインジケータ482は信号の物理構造と協働し、これは比較的不正確な結果をもたらし得るが、一般に、バーストが存在しない多数の信号を排除することによってかなりの量の不要な処理を排除する。次いで、第2のバースト検出器486は、信号内のバーストの存在の判定を改善するために、より計算が複雑で要求の厳しい技術に依存することができる。したがって、第1の段階は計算の複雑さを軽減し、第2の段階は、決定を精緻化し、性能メトリック及び診断を正確に管理するのに役立つ。例えば、第1のバースト検出器482は、受信サンプルを考慮して、バーストが存在するかどうかを判定し、第2のバースト検出器486は、(例えば)総電力推定値 及びデコーダがバーストエラーを示したという事実を考慮して、バーストが存在するかどうかを判定する。
【0069】
第2のバースト検出器486は、その反復(これは、本明細書で説明されるように、第1のバースト検出器482の出力によって影響を受け得る。)を完了し、バーストに関するハード/ソフト決定を提供するためにデコーダ484に依存する。第2のバースト検出器486はサンプルでは動作せず、むしろデコーダ484の出力である総電力測定値推定値及びデコーダ484の出力であるバーストエラーメトリックなどのデータに対して動作する。デコーダ484が失敗した場合、バーストが故障したという信号を送信し、第2のバースト検出器486への力として機能する。したがって、第2のバースト検出器は、NP-GLRT検出器(第1のバースト検出器)のフォールスアラーム率又は使用されるアルゴリズム(例えば、NP-GLRT)から生じる第1のバースト検出器のフォールスアラーム率に起因するバーストエラーをクリーンアップするために使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、例として、第2のバースト検出器486は、ノイズ電力測定値を監視するように構成される。ノイズ電力測定値は、戻りキャリアグループ内の同様のキャリアの信号を含む、同様の特性を有する信号又はユーザ端末について監視することができる。ノイズ電力を経時的に測定して、同様の特性を有する信号又はユーザ端末のノイズ電力の推定値を決定することができる。第2のバースト検出器486は、総電力測定値又は信号の推定値を比較し、それをノイズ電力測定値と比較することができる。総電力測定値がノイズ電力測定値を超える閾値量である場合、第2のバースト検出器486はバーストが存在すると判定することができ、そうでない場合、第2のバースト検出器486はバーストが存在しないと判定することができる。
【0071】
反復デコーダ484は、復号信号を生成するために受信デジタル信号を反復的に処理することによって、受信デジタル信号を復号するように構成され、反復回数は、第1のバースト検出器によって生成された第1のバーストインジケータによって影響を受ける。反復デコーダ484は、第1のバースト検出器482と直列又は並列に動作するように構成されている。
【0072】
いくつかの実施形態では、反復回数は、第1のバーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在しないことを示す場合には最小反復回数に制限され、バーストインジケータが受信デジタル信号にバーストが存在することを示す場合には最大反復回数に制限され、最大反復回数は最小反復回数より大きい。いくつかの実施形態では、反復回数は、バーストが受信デジタル信号において不確実であることを示す第1のバーストインジケータに応答して最小反復回数と最大反復回数との間にある。いくつかの実施形態では、第1のバースト検出器482は、バーストが受信デジタル信号に存在する確率を推定し、反復回数は推定確率の影響を受ける。いくつかの実施形態では、デコーダ484は、バーストが受信されなかったという信号を第2のバースト検出器486に送信するように構成されている(これは第1のバーストインジケータに基づき得る)。いくつかの実施形態では、デコーダ484の反復回数は、第1のバースト検出器482の出力に基づく。特定の実施態様では、反復回数は、第1のバーストインジケータに関連する段階的な領域(例えば、ビン又は決定領域)であってもよく、又は単一の領域(例えば、バーストが不確実である場合、40回反復する)であってもよく、又は第1のバースト検出器482の連続出力(例えば、第1のバーストインジケータは、0と1との間の値であってもよく、反復回数はこの値でスケーリングされる)でスケーリングする値であってもよい。
【0073】
図6は、データバーストとデータの選択的非送信とを区別するように構成された別の例示的な受信器680を示す。受信器680は、第1のバースト検出器682及び第2のバースト検出器686を含む2段階バースト検出器として実装される。第1のバースト検出器682は、
図4に関して本明細書で説明した第1のバースト検出器482と同様である。例えば、第1のバースト検出器682は、チャネルを介して送信されたデジタル信号を受信し、受信デジタル信号にバーストが存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号の物理構造を分析することによって、第1のバーストインジケータを生成するように構成される。また、第2のバースト検出器686は、
図4に関して本明細書で説明した第2のバースト検出器486と同様である。例えば、第2のバースト検出器686は、バーストが受信デジタル信号に存在するかどうかを判定するために、受信デジタル信号に対応する復号信号の情報構造を分析することによって、第2のバーストインジケータを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、受信器680は、受信器680とは別個の信号デコーダと対話するように構成することができる。これにより、受信器680を、本明細書に記載の反復信号デコーダのいずれかなどの任意の適切な信号デコーダで実装することが可能になる。いくつかの実施形態では、デコーダは受信器680と統合される。
【0074】
受信器680は、例えばI/Qサンプルを含み得るデジタル信号を受信するように構成される。第1のバースト検出器682は、信号の物理構造を含むデジタル信号を分析し、第1のバーストインジケータを生成する。デジタル信号及び第1のバーストインジケータは、信号を復号するためにデコーダに渡される。デコーダは、受信器680の一部であってもよく、又は受信器680とは別個であってもよい。受信器680は、第2のバースト検出器686内のデコーダからデータを受信するように構成されている。第2のバースト検出器686は、デジタル信号の情報構造を含むデコーダ出力を分析し、第2のバーストインジケータを生成する。第2のバーストインジケータは、他のシステムに送信され得るか、又は受信器680の他の構成要素によって使用され得る。
【0075】
2ステージバースト検出器でバーストを検出する例示的な方法
図7は、通信ネットワークにおいて送信された信号におけるバーストを検出するための例示的な方法700のフローチャートを示す。方法700は、
図1~
図4及び
図6を参照して本明細書に記載された受信器のいずれかで実行することができる。説明を容易にするために、方法700は、受信器によって実行されるものとして説明する。これは、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。むしろ、方法700の全ての工程又は部分は、本明細書に記載した通信ネットワークの任意の構成要素又は構成要素の組み合わせによって実行され得る。
【0076】
ブロック705において、受信器はデジタル信号を受信する。デジタル信号はIQサンプルを含むことができる。デジタル信号は、戻りリンクチャネルを含むことができる伝送チャネルを介して受信することができる。
【0077】
ブロック710において、受信器は、第1のバーストインジケータを生成するためにデジタル信号の物理構造を分析する。物理構造の分析は、NP-GLRT又はCFARなどのシングルショット推定器に基づくことができ、又はEMベースのSNR推定器などの反復推定器に基づくことができる。信号の物理構造は、アンブルなどの既知のパイロット信号を含むことができる。信号の物理構造は、プリアンブルが先行するコードワード内のデータ及びアンブルの周期構造を含むことができる。第1のバーストインジケータは、デジタル信号におけるバーストの有無を示すことができる。いくつかの実施形態では、第1のバーストインジケータは、バーストがデジタル信号に存在することの有無、又は確実性に対応する2つ以上の値を有する離散値を示す。いくつかの実施形態では、第1のバーストインジケータは、バーストが存在する確率に対応する。様々な実施形態において、第1のバーストインジケータは、デジタル信号の推定特性(例えば、SNR、総電力など)に対応する。
【0078】
ブロック715において、受信器は、デジタル信号を反復的に復号する。反復回数は、ブロック710における分析の結果によって影響され得る。受信器は、反復復号プロセスに基づいて出力を生成することができる。出力は、総信号電力、SNR、I^2及び/又はQ^2値、バーストエラーインジケータなどを含むことができる。
【0079】
ブロック720において、受信器は、デジタル信号の情報構造を分析して第2のバーストインジケータを生成する。情報構造は、ブロック715で提供される出力を含むことができる。デジタル化され復号された信号の情報構造は、総電力推定値、SNR推定値などを含むことができる。情報構造の分析は、ブロック710で実行された分析の結果を改善することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法700のステップのいくつかは、必ずしも連続的ではなく、並行して又は同時に実行されてもよい。例えば、ブロック710及び715の処理は、順次又は並列のいずれかで行うことができる。特定の実施形態では、第1のバースト検出器は物理構造の分析を完了し(ブロック710)、デコーダ反復回数を決定することができ、次いでブロック715の処理を開始することができる。これにより、デコーダにおける計算の複雑さを有利に低減することができる。様々な実施形態において、デコーダは、第1のバースト検出器もまた信号を分析している間にその反復を開始することができる。第1のバースト検出器は、バーストが存在しないと判定した場合、処理を停止するためにデコーダに割り込みを送信することができる。これにより、システムの全体的なレイテンシを有利に低減することができる。
【0081】
追加の実施形態
図8は、2ステージバースト検出器を使用して伝送チャネル内のバーストを検出するように構成された例示的な受信器880のブロック図である。受信器880は、バーストが存在するか否かを判定するために、信号の物理構造及び信号の情報構造を分析するように構成される。受信器880は、
図1~
図4及び
図6を参照して本明細書で説明される受信器と同様であり、本明細書に記載の通信システムのいずれかに実装することができる。受信器880は、
図7を参照して本明細書に記載された例示的な方法700のような、送信信号におけるバーストを検出及び識別するための本明細書に記載された任意の方法を使用することができる。
【0082】
受信器880は、バーストを検出し、デジタル信号を復号するためのハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア構成要素を含むことができる。受信器880は、データストア881と、1つ以上のプロセッサ883と、1以上のネットワークインターフェース885と、第1のバースト検出器モジュール882と、デコーダモジュール884と、第2のバースト検出器モジュール886とを含む。受信器880の構成要素は、通信バス889を使用して互いに、外部システムと、及びネットワークの他の構成要素と通信することができる。受信器880は、1つ以上のコンピューティングデバイスを使用して実装することができる。例えば、受信器880は、単一のコンピューティングデバイス、多数のコンピューティングデバイス、分散コンピューティング環境を使用して実現することができ、又は、パブリックコンピューティングクラウド若しくはプライベートコンピューティングクラウドに存在する仮想デバイス内に配置することができる。分散コンピューティング環境では、1つ以上のコンピューティングデバイスは、モジュール882、884、886を提供し、記載の機能を提供するように構成することができる。
【0083】
本明細書で説明するように、受信器880は、受信デジタル信号の物理構造を分析して、信号がバーストを含むかどうかを判定するための第1のバースト検出器モジュール882を含む。本明細書で説明するように、受信器880は、受信デジタル信号の情報構造を分析して、復号信号がバーストを含むかどうかを判定するための第2のバースト検出器モジュール886を含む。受信器880は、本明細書で説明されるように、受信デジタル信号を復号するためのデコーダモジュール884を含む。いくつかの実施形態では、デコーダモジュール884は、受信デジタル信号を反復的に処理して復号する。いくつかの実施形態では、デコーダモジュール884は、第1のバースト検出器モジュール882の出力の影響を受ける。いくつかの実施形態では、第2のバースト検出器モジュール886は、デコーダモジュール884によって抽出又は決定された情報を使用して、受信デジタル信号におけるバーストの有無を決定する。
【0084】
受信器880は、モジュール882、884、886及びデータストア881の動作を制御するように構成された1つ以上のプロセッサ883を含む。1つ以上のプロセッサ883は、送信信号のバーストを検出し、送信信号を復号するように構成されたソフトウェアモジュール、ハードウェア構成要素、及び/又はファームウェア要素を実装して利用する。1つ以上のプロセッサ883は、任意の好適なコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の好適なマイクロプロセッサを含み得る。1つ以上のプロセッサ883は、受信器880の様々なモジュール及びデータストアとインターフェースするように構成された他のコンピューティング構成要素を含み得る。
【0085】
受信器880は、構成データ、分析パラメータ、制御コマンド、データベース、アルゴリズム、実行可能命令(例えば、1つ以上のプロセッサ883のための命令)などを記憶するように構成されたデータストア881を含む。データストア881は、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、ソリッドステートディスク、ハードドライブ、フラッシュドライブ、バブルメモリなどが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適なデータ記憶デバイス又はデバイスの組み合わせであり得る。
【0086】
本開示は、様々な特徴を説明するものであり、そのうちのいずれか1つが、本明細書に記載した利益に単独で関与するわけではない。当業者には明らかであるように、本明細書に記載した様々な特徴は、組み合わされ得る、修正され得る、又は省略され得ることが理解されるであろう。本明細書に具体的に記載した以外の他の組み合わせ及び副組み合わせは、当業者には明らかであり、本開示の一部を形成することが意図される。本明細書では、様々なフローチャートの工程及び/又は段階に関連して様々な方法を記載した。多くの場合、特定の工程及び/又は段階は、フローチャートに示した多数の工程及び/又は段階が単一の工程及び/又は段階として実行され得るように組み合わせてよいことが理解されるであろう。また、特定の工程及び/又は段階は、別個に実行される追加の副構成要素に分割され得る。場合によっては、工程及び/又は段階の順序は再編成され得、特定の工程及び/又は段階は完全に省略されてよい。また、本明細書に記載した方法は、本明細書に示し、記載した方法に対する追加の工程及び/又は段階も実行され得るように変更可能であると理解されたい。
【0087】
本明細書に記載したシステム及び方法のいくつかの態様は、有利には、例えば、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はコンピュータソフトウェア、ハードウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせを使用して実行され得る。コンピュータソフトウェアは、実行されると、本明細書に記載した機能を実行する、コンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されたコンピュータ実行可能コードを含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能コードは、1つ以上の汎用コンピュータプロセッサによって実行される。当業者であれば、本開示に照らして、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェアを使用して実行され得る任意の特徴又は機能はまた、ハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアの異なる組み合わせを使用して実行され得ることを理解するであろう。例えば、かかるモジュールは、集積回路の組み合わせを使用してハードウェアで完全に実行され得る。代替的に又は追加的に、かかる特徴又は機能は、汎用コンピュータによってではなく本明細書に記載した特定機能を実行するように設計された専用コンピュータを使用して、完全に又は部分的に実行され得る。
【0088】
複数の分散型コンピューティングデバイスは、本明細書に記載した任意の単一のコンピューティングデバイスに置き換えられ得る。かかる分散型の実施形態では、1つのコンピューティングデバイスの機能は、分散型コンピューティングデバイスのそれぞれでいくつかの機能が実行されるように、(例えば、ネットワーク上に)分散される。
【0089】
いくつかの実施形態は、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャート図を参照して記載されてよい。これらの方法は、1つ以上のコンピュータで実行可能なコンピュータプログラム命令を使用して実行されてよい。これらの方法はまた、コンピュータプログラム製品として、別々に、又は装置若しくはシステムの構成要素としてのいずれかで実行されてよい。この点に関して、各式、アルゴリズム、ブロック、又はフローチャートの工程、及びこれらの組み合わせは、コンピュータ可読プログラムコード論理で具現化された1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実行されてよい。理解されるように、任意のかかるコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ若しくは専用コンピュータ、又は他のプログラム可能な処理装置を含むが、これらに限定されない、1つ以上のコンピュータにロードされてマシンをなしてよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能な処理デバイスで実行するコンピュータプログラム命令は、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャートにおいて指定された機能を実行する。各式、アルゴリズム、及び/又はフローチャート図のブロック、並びにこれらの組み合わせは、特定の機能若しくは工程、又は専用ハードウェア及びコンピュータ可読プログラムコード論理手段の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実行されてよいことも理解されたい。
【0090】
更に、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能な処理デバイスを特定の方法で機能するように命令することができる、コンピュータ可読プログラムコード論理で具現化されるなどのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリ(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されてよく、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、フローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行する。コンピュータプログラム命令はまた、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能なコンピューティングデバイスにロードされて、1つ以上のコンピュータ又は他のプログラム可能なコンピューティングデバイスで一連の動作工程を実行させて、コンピュータ又は他のプログラム可能な処理装置で実行する命令が、式、アルゴリズム、及び/又はフローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行するための工程をもたらすように、コンピュータ実施プロセスを生じさせてよい。
【0091】
本明細書に記載した方法及びタスクの一部又は全ては、コンピュータシステムによって実行され、完全に自動化されてよい。場合によっては、コンピュータシステムは、ネットワークを介して通信し、相互運用して記載した機能を実行する多数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイなど)を含んでよい。かかるコンピューティングデバイスのそれぞれは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体若しくはデバイスに記憶されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は多数のプロセッサ)を含む。本明細書に開示した様々な機能は、かかるプログラム命令で具現化されてよいが、開示した機能の一部又は全ては、代替的に、コンピュータシステムの特定用途向け回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実行されてよい。コンピュータシステムが多数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一の場所に配置されてよいが、必ずしもそうである必要はない。開示した方法及びタスクの結果は、ソリッドステートメモリチップ及び/又は磁気ディスクなど物理記憶装置を異なる状態に変換することによって永続的に記憶されてよい。
【0092】
文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び請求項の全体を通して、単語「備える、含む(comprise)」、「備える、含む(comprising)」などは、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。「結合された(coupled)」という語は、本明細書で一般に使用される場合、直接接続されてもよいか、又は1つ以上の中間要素によって接続されてもよい、2つ以上の要素を指す。加えて、「本明細書において(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」、及び同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定部分を言及しないものとする。文脈上許される限り、単数又は複数を使用する上記の「発明を実施するための形態」における単語はまた、それぞれ、複数又は単数を含んでよい。単語「又は」は、2つ以上の項目のリストを参照する場合、単語の以下の解釈の全てを包含する。すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、を包含する。「例示的」という単語は、本明細書において排他的に使用されて、「例、実例、又は説明として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載した全ての実施例は、必ずしも他の実施例よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0093】
本開示は、本明細書に示した実施例に限定されることを意図するものではない。本開示に記載した実施例に対する様々な修正が、当業者にとって容易に明らかであってよく、本明細書に定義した包括的な原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実施例に適用されてよい。本明細書において提供した本発明の教示は、他の方法及びシステムに適用され得、上記の方法及びシステムに限定されるものではなく、上記の様々な実施形態の要素及び作用を組み合わせて更なる実施形態が提供され得る。したがって、本明細書に記載した新たな方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてよく、更には、本明細書に記載される方法及びシステムの形態の様々な省略、置換、及び変更が、本開示の趣旨から逸脱することなく行われてもよい。添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び趣旨に含まれるような、そのような形態又は修正を網羅することを意図している。