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特許7559084画像データを管理するための方法及び車両照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像データを管理するための方法及び車両照明システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20240924BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
B60Q1/14 H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022562896
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021060606
(87)【国際公開番号】W WO2021214260
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】2004087
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ヤセール、アルメイオ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
(72)【発明者】
【氏名】マチュー、ドルゼー
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-522594(JP,A)
【文献】特開2019-156122(JP,A)
【文献】特開2007-214769(JP,A)
【文献】特開2008-078809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0084854(US,A1)
【文献】特開2005-184395(JP,A)
【文献】特開2004-104529(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用照明システム(SYS)において画像データを管理する方法であって、前記照明システムは、
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール(MOD)と、
- 前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に、圧縮された画像データを送るための多重化バス(CAN)と、
を備え、
- 少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)を動作させる指示を受信し、前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)は、L行を含む照明パターンに対応する圧縮された画像データから、前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)によって生成されるよう構成され、Lは整数である、ステップと、
- 前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)の照明パターンの画像データの中から、前記照明パターンのL行からX行の画像データを選択することによって、圧縮される画像データを決定し、XはLより小さい整数である、ステップと、
- 圧縮される必要があると決定された前記画像データを圧縮するステップと、
- 前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)が生成されて投射されるために、前記圧縮された画像データを、前記多重化バス(CAN)を介して前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に送るステップと、
- 少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)の前記生成のために、前記多重化バス(CAN)にわたって前記L行の全てに関して圧縮された画像データを送るのに必要とされるビットレートレベル(NvDbReq)を決定するステップと、
- 前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)を、前記多重化バス(CAN)のビットレート閾値(NvDb0)と比較するステップと、
を含み、
前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)が前記ビットレート閾値(NvDb0)よりも大きい場合、前記X行の前記画像データを決定する前記ステップ、前記X行の前記画像データを圧縮する前記ステップ及び前記X行の前記画像データを送る前記ステップは実行され、
前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)が前記ビットレート閾値(NvDb0)以下の場合、前記L行の全てに関する画像データは圧縮されて前記多重化バス(CAN)を介して前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に送られる、
方法。
【請求項2】
前記決定するステップにおいて、選択される前記X行は、前記L行のうち、N行毎に、所与の反復に応じて選択され、NはLより小さい整数であり、XはLをNで割ったものに等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Nは2に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Nは3に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
Nは4以上である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮された画像データを展開するステップを更に含み、投射される前記照明パターンは、送られる前記圧縮された画像データから再構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記展開するステップは、送られる前記X行の前記画像データ間の線形化による照明パターンの再構成に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記展開ステップは、送られる前記X行の前記画像データ間の補間による照明パターンの再構成に基づく、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記L行は、前記照明パターンの水平ラインに対応し、前記L行の各行は、照明パターン画素の少なくとも1つのラインを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記L行は前記照明パターンの垂直列に対応し、前記L行の各行は照明パターン画素の少なくとも1つの列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両用照明システム(SYS)において画像データを管理する方法であって、前記照明システムは、
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール(MOD)と、
- 前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に、圧縮された画像データを送るための多重化バス(CAN)と、
を備え、
- 少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)を動作させる指示を受信し、前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)は、L行を含む照明パターンに対応する圧縮された画像データから、前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)によって生成されるよう構成され、Lは整数である、ステップと、
- 前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)の照明パターンの画像データの中から、前記照明パターンのL行からX行の画像データを選択することによって、圧縮される画像データを決定し、XはLより小さい整数である、ステップと、
- 圧縮される必要があると決定された前記画像データを圧縮するステップと、
- 前記少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)が生成されて投射されるために、前記圧縮された画像データを、前記多重化バス(CAN)を介して前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に送るステップと、
を含み、
前記指示受信ステップにおいて、少なくとも第1照明機能(ADB)及び第2照明機能(RW)が動作されることになっており、
前記第1照明機能(ADB)は、前記照明パターンの前記L行のうちの第1部分(P1)に適用されるように構成され、
前記第2照明機能(RW)は、前記照明パターンの前記L行のうちの前記第1部分(P1)とは異なる第2部分(P2)に適用されるように構成され、
前記X行の前記画像データを決定するステップ、前記X行の前記画像データを圧縮するステップ、及び前記X行の前記画像データを送るステップは、前記照明パターンの前記L行のうちの前記第1部分(P1)内で実行され、
前記照明パターンの前記L行のうちの前記第2部分(P2)に関連する前記画像データは、全体として、圧縮され、前記多重化バス(CAN)を介して前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に送られる、
方法。
【請求項12】
前記画像データを圧縮する前記ステップに続いて、
- 少なくとも1つの照明機能(HB、ADB、RW)の生成のために、前記多重化バス(CAN)にわたって前記圧縮された画像データを送るのに必要なビットレートレベル(NvDbReq)を決定するステップと、
- 前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)を、前記多重化バス(CAN)の前記ビットレート閾値(NvDb0)と比較するステップと、
- 前記多重化バス(CAN)を介して、前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に:
・ 前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)が前記ビットレート閾値(NvDb0)以下の場合、圧縮された画像データを送り、
・ 前記決定されたビットレートレベル(NvDbReq)が前記ビットレート閾値(NvDb0)よりも大きい場合、前記多重化バス(CAN)を介して送られる最後の画像の画像データを送るステップと、
を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール(MOD)と、
- 圧縮された画像データを、前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)に送るための多重化バス(CAN)と、
- 請求項1~12のいずれか一項に記載の画像データを管理するための方法を実施するように構成される制御システム(SC)と、
を備える車両照明システム(SYS)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの照明モジュール(MOD)は、複数の半導体光源(PLED)を備える、請求項13に記載の車両照明システム(SYS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両照明システムの分野に関し、より詳細には、車両の光源を制御するために画像データを管理することに関する。
【発明の概要】
【0002】
現在の照明システムは、特に、高精細光線を投射することを今や可能にする光源を備える。高精細光の所望の投射は、それらを表示してそれによって所与の光線を投射するために、光源を経由して、その源が受信する複数の画像又は複数の画像パターンから得られることができる。これらの画像又は画像パターンは、特に使用される光源の解像度に依存して、今や非常に高い解像度を達成できる。例えば、光源は少なくとも4000~30000画素を持つことができ、それによってこのレベルの解像度を持つ画像から光線を生成することが可能である。
【0003】
そのような高精細光線を発生することを成功させるために、複数の光源が使用される又は組み合わされることができ、そのことは、十分に制御され、多様であり、適応性のある照明機能を提供するために、それらを制御してこれらの源を細かく同期させることを要する。
【0004】
そのため、車両はますます多くの数の光源を搭載し、当該光源は、ますます重い高精細画像データを使用し、当該高精細画像データは、車両制御ユニットによって管理される必要があり且つ制御ユニットと1つ以上の光源との間で送信手段を介して通信される必要がある多量のデータを必要とする。これを行うには、例えば、CANプロトコルデータバスがしばしば用いられて、そのようなデータが制御ユニットと光源との間で伝えられる。しかしながら、これらのデータ送信手段は、例えば2~5Mbpsのビットレートを超えることが一般には許されない限定された帯域幅を有するという欠点を持つ。そのため、前記高精細画像に必要な大量データを、これらの限られたネットワークを介して送信することが困難である。更に、これらのネットワークは他の車両データの通信にも使用され、それは、高精細画像データのために利用できる帯域が更に小さくなり、例えばデータ送信ネットワーク上で可能な最大ビットレートの70~90%の範囲に制限されうることを、意味する。
【0005】
例えば、20000画素の解像度を有する照明機能の投射のための高精細画像データを通信するために、CAN-FD送信ネットワークにおいて必要なビットレートは一般的に10~12Mbpsとなるであろう。しかしながら、そのようなCAN-FDネットワークは、現在において実際には5Mbps(或いは殆どの場合で2Mbps)までが限界である。したがって、これらのネットワークを介して送信されるデータを最適化する必要があり、特に、この同じネットワークのビットレート及び帯域幅制約を守りながら、1つ以上の関連する照明機能を確保するのに十分な高精細画像データのストリームを送信するために、通信されるデータを圧縮する必要がある。
【0006】
この問題を克服するために、既知の圧縮方法が検討されてきた。しかしながら、それらは全てハイビーム特異性に関して不十分であることが判明し、それによって車両メーカーによって求められるような帯域幅の十分な低減を妨げる。
【0007】
これを実現するために、所望の帯域幅を満たすまで、データ圧縮の繰り返し又は複数のレベルが実行されることができるようにしうる。更に、そのようなアプローチは、圧縮を行うたびに表示品質が影響される;それが低減されるため、投射される照明機能の表示品質における非常に大きな影響を有する。
【0008】
しかしながら、例えばアダプティブドライビングビーム(adaptive driving beams:ADBs)及びロードライティング(road writing :RW)など、ある照明機能に関し、表示品質を過度に落とすことはできず、さもなければ、光線によって投射される光情報が不明瞭、不十分、或いは判読不能にさえなり、ユーザー認識が著しく低下してしまう。
【0009】
したがって、これらの問題に対する解決策が、上述の欠点を克服するために、求められている。
【0010】
発明の第1態様によれば、発明は、車両照明システムにおいて画像データを管理するための方法によって、述べられた問題に対する解決策を提供し、その照明システムは、
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュールと、
- 前記少なくとも1つの照明モジュールに圧縮画像データを送信するための多重化バスと、
を備え、
前記方法は、以下のステップ:
- 少なくとも1つの照明機能を動作させる指示を受信し、前記少なくとも1つの照明機能は、L行を含む照明パターンに対応する圧縮画像データから少なくとも1つの照明モジュールによって生成されるように構成され、Lは整数であること、
- 照明パターンのL行からX行の画像データを選択することによって、少なくとも1つの照明機能の照明パターンの画像データの中から、圧縮される画像データを決定し、XはLより小さい整数であること、
- 圧縮されることが必要であるとして判断された画像データを圧縮すること;
- 少なくとも1つの照明機能を生成して投射するために、前記圧縮された画像データを、前記多重化バスを介して前記少なくとも1つの照明モジュールに送信すること
を含む。
【0011】
したがってこの方法は、多重化バスを介して送信されるべきこれらのパターンに関する圧縮能力を向上させるために、照明パターン画像データの一部のみを圧縮することを目的とする。圧縮されて送信されるべき画像データの行数を減らすことで、以下のことが可能である:
- 多重化バスを介して通信される画像データの量を減らすこと、
- 多重化バスによって許容される最大帯域幅を守りながら、画像データ圧縮のレベルを増大させること、
- 良好な画質を維持して、例えば、多重化バスの最大ビットレートを守るために、既に圧縮されている画像データを更に圧縮することでそれを大幅に劣化させる必要がないこと、
- 多重化バスを介した高精細画像データの送信を保証し、そこから展開ステップにおいて完全な照明パターンを再構成することを可能にすること。
【0012】
有利な一実施形態によれば、決定ステップにおいて、選択されるX行は、L行のうちのN行毎の所与の反復(recurrence)に従って選択され、NはLより小さい整数であり、XはLをNで割ったものに等しい。
【0013】
この実施形態は、選択された反復に応じて画像データの選択を行うことが可能である。この反復は、圧縮のための選択を順序付けることを可能にし、特に、画像データを展開するステップにおいて、圧縮されておらず送信されていないパターンのうちのL行の中からの行の再構成の精度を向上させるために考慮されうる。
【0014】
特に、Nは2に等しい。
【0015】
この実施形態は、(圧縮前の照明パターンの初期品質と比較して)投射される照明パターンの品質の小さな損失とともに照明機能を生成することを可能にする。そのような実施形態は、それが高精細パターン(例えば4000~30000画素の解像度を有する)又は低精細パターン(例えば2500画素)又は標準照明機能パターン(ロービームやハイビームなどの高精細ではない)に関するものであっても、任意のタイプの照明機能に適用されることが可能である。
【0016】
或いはNは3に等しい。
【0017】
この実施形態は、生成される照明パターンの品質のレベルであって、例えばアダプティブドライビングビームなどのある高精細照明機能とロービームやハイビームなどの標準照明機能とに関して依然として十分である品質のレベルを維持したまま、パターンの画像データを更に圧縮することを可能にする。
【0018】
或いはまた、Nは4以上である。
【0019】
この実施形態では、圧縮のレベルが更に増す。この場合、そのような実施形態は、それがロービームやハイビームなどのある非重要な照明機能の表示品質を低下させることを意味するとしても、多重化バスでの高帯域幅に関する特定のニーズを満たすことを可能にすることができる。
【0020】
有利には、その方法は、圧縮された画像データを展開するステップを更に備え、投射されるべき照明パターンが、送信される圧縮された画像データから再構成される。
【0021】
そこで、この展開ステップは、送信された圧縮された画像データを用いて、決定ステップ及び圧縮ステップの時点でL行の照明パターンの中から選択されていない行の画像データを再構成することを目的としている。
【0022】
特に、展開ステップは、送信されるX行の画像データ間の線形化による照明パターンの再構成に基づいている。
【0023】
代替的に又は組み合わせにおいて、展開ステップは、送信されるX行の画像データ間の補間による照明パターンの再構成に基づいている。
【0024】
有利な一実施形態によれば、L行は照明パターンの水平ラインに対応し、L行の各行は照明パターン画素の少なくとも1つのラインを含む。
【0025】
一代替によれば、L行は照明パターンの垂直列に対応し、L行の各行は照明パターン画素の少なくとも1つの列を含む。
【0026】
有利な一実施形態によれば、その方法は、以下のステップを更に含む:
- 少なくとも1つの照明機能を生成するために、前記多重化バスを介してL行の全てに関して圧縮された画像データを送るために必要なビットレートレベルを決定する、
- 決定されたビットレートレベルと多重化バスのビットレート閾値とを比較する、
前記決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値よりも大きい場合に、X行の画像データを決定するステップ、圧縮するステップ及び送るステップは実行され、
前記決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値以下の場合に、L行の全てに関する画像データが圧縮されて前記多重化バスを介して前記少なくとも1つの照明モジュールに送信される。
【0027】
この実施形態において、照明パターンのX行の画像データを決定するステップ及び圧縮するステップは、多重化バスにわたるビットレートが、圧縮された画像データの全てが多重化バスを通ることを許容するのには不十分な場合(ビットレート閾値より高い決定されたビットレートレベル)のみ、実施される。それ以外の場合は、多重化バスにわたって利用可能なビットレートがそれを許す(ビットレート閾値以下の決定されたビットレート)場合に、L行の全てに関する画像データが送られる。このように、多重化バスにわたって利用可能なビットレートに応じて、画像データの圧縮をダイナミックに行うことが可能である。
【0028】
有利な実施形態によれば、指示受信ステップにおいて、少なくとも第1照明機能及び第2照明機能が動作されることになっており、第1照明機能は、照明パターンのL行のうちの第1部分に適用されるように構成され、第2照明機能は、照明パターンのL行のうちの第1部分とは異なる第2部分に適用されるように構成され、X行の画像データを決定、圧縮、及び送信するステップは、照明パターンのL行の第1部分内で実行され、照明パターンのL行の第2部分に関連する画像データは、全体として、圧縮されて前記多重化バスを介して前記少なくとも1つの照明モジュールに送信される。
【0029】
この実施形態において、投射される照明パターンの画像データの一部のみを選択して圧縮することを目的とした決定ステップ及び圧縮ステップは、パターンの一部に関してのみ実行される。これは、特に以下のことを可能にする:
- 例えばロービーム機能、ハイビーム機能、アダプティブドライビングビーム機能など、関連する照明機能が圧縮されたX行のみを効果的に有することができるパターンの部分をターゲットとする、
- この部分を、例えばロードライティング機能など、関連する照明機能が表示品質を落とすことが許されないパターンの別の部分から区別する。
【0030】
有利には、画像データを圧縮するステップに続いて、その方法は、以下のステップを更に含む:
- 少なくとも1つの照明機能を生成するために、前記多重化バスにわたって圧縮された画像データを送るために必要なビットレートレベルを決定する、
- 決定されたビットレートレベルを多重化バスのビットレート閾値と比較する、
- 前記多重化バスを介して前記少なくとも1つの照明モジュールに以下を送信する:
・ 決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値以下である場合、圧縮された画像データ、及び
・ 決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値より大きい場合、前記多重化バスを介して送られる最後の画像の画像データ。
【0031】
この実施形態において、多重化バスにわたるビットレートが、圧縮された画像データを通過させることを許容するのに不十分な場合、ドライバーの及び他の道路利用者の安全のために、光源が照明機能を維持することを保証するように、最後に表示される画像に関する画像データを送信することを継続するようになっている。
【0032】
発明の第2態様によれば、発明は、以下を備える照明装置にも関する:
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール、
- 圧縮された画像データを前記少なくとも1つの照明モジュールに送るための多重化バス、及び
- 上述ように画像データを管理するための方法を実行するように構成される制御システム。
【0033】
別の有利な実施形態によれば、制御システムは、以下を備える:
- プロセッサユニットが設けられ、以下のように構成される第1制御ユニット:
・ 少なくとも1つの照明機能を生成するための第1周波数及び第2周波数のうちの1つに応じて、画像データを圧縮する、
・ 前記多重化バスを介して前記少なくとも1つの照明モジュールに、圧縮された画像データを送信する、
- プロセッサユニットが設けられ、以下のように構成される第2制御ユニット:
・ 前記多重化バスを介して送信される圧縮された画像データを受信する、
・ 受信された画像データを展開する、
・ 受信されて展開された画像データから、第1周波数及び第2周波数の一方に応じた少なくとも1つの照明機能を生成する。
【0034】
別の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの照明モジュールは、LEDなどの少なくとも1つの半導体光源を備え、特に画素化されたLED源を備える。
【0035】
白熱照明と比較して、半導体照明は、より小さい熱生成及びより少ないエネルギー散逸とともに、可視光を発生させる。半導体電子照明デバイスの一般的に小さい重量は、脆いガラス管/電球や細長いフィラメント線よりも、衝撃及び振動に対するより大きな抵抗をもたらす余裕がある。またそれらはフィラメント蒸発がなく、そのことは照明デバイスの寿命を増大させうる。これらのタイプの照明のいくつかの例は、電気フィラメント、プラズマ又はガスの代わりに、固体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLEDs)、又は高分子発光ダイオード(PLEDs)を、光源として備える。高精細照明機能は、LED源又は複数のLEDのセットによって又は画素化されたLED源によって投射される1つ又は複数の光線を投射することにより、提供されてもよい。
【0036】
定めがない限り、この文章で使用される全ての用語(技術用語や科学用語を含む)は、専門家の標準的な慣行にしたがって解釈されるべきである。また、一般的に使用されている用語は、ここでそのように明示的に定められていない限り、関連技術における慣習として解釈され、理想化された意味又は過度に形式的な意味ではないことが理解される。
【0037】
この文章において、用語「備える(comprise)」及びその派生語(「備えている(comprising)」など)は排他的な意味で理解されるべきではなく、すなわちこれらの用語は、説明され及び定義されているものが他の要素、ステップなどを含んでもよい可能性を排除すると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
説明を補足するために及び発明をよりよく理解できるようにするために、図面のセットが提供される。これらの図面は、明細書の不可欠な部分を形成し、発明の一実施形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に発明がどのように実施されうるかの例として解釈されるべきである。図面は以下の図を含む:
図1図1は、発明による照明システムの第1実施形態を示す。
図2図2は、この照明システムの第2実施形態を示す。
図3図3は、この照明システムの第3実施形態を示す。
図4A図4A図4B及び図4Cは、照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンのいくつかの例を示す。
図4B図4A図4B及び図4Cは、照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンのいくつかの例を示す。
図4C図4A図4B及び図4Cは、照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンのいくつかの例を示す。
図5A図5A図5B及び図5Cは、他の照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンの他の例を示す。
図5B図5A図5B及び図5Cは、他の照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンの他の例を示す。
図5C図5A図5B及び図5Cは、他の照明機能を提供するように照明システムによって投射される照明パターンの他の例を示す。
図6図6は、他の実施形態による図5Bの照明パターンの例を示す。
図7図7は、発明による画像データを管理するための方法のステップの第1の描写を示す。
図8図8は、図7の第1の描写に対する追加のステップを含む、画像データを管理するための方法のステップの第2の描写を示す。
図9図9は、発明による方法が使用される場合に、圧縮されるべき画像データの選択によって得られる圧縮率に関する結果を示す。
図10図10は、発明による照明システムの少なくとも一部を備える車両照明デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの図面において、以下の参照が用いられている:
LB ロービーム照明機能
HB ハイビーム照明機能
ADB アダプティブドライビングビーム照明機能
RW ロードライティング照明機能
SYS 照明システム
SC 制御システム
PCM 照明機能ドライバーモジュール
CAN 多重化されたデータ送信バス
MOD 照明モジュール
PLED、PLED1、PLED2、PLED3、PLED4 半導体光源
UC1 第1制御ユニット
UC2 第2制御ユニット
PROC1 第1プロセッサユニット
PROC2 第2プロセッサユニット
MOD1 第1照明モジュール
MOD2 第2照明モジュール
REC 指示受信ステップ
DET 決定ステップ
COMP 比較ステップ
COMPR 画像データを圧縮するステップ
TRANS 圧縮された画像データを送信するステップ
COMPR 圧縮された画像データを展開するステップ
DEB 画像データを送信するのに必要なビットレートを比較するステップ
ME 照明パターン
X 選択される行
L 照明パターン行
P1 L行の第1部分
P2 L行の第2部分
DIS 車両間照明デバイス
OPT 照明光学系
【0040】
例示的な実施形態は、この技術分野において通常のスキルを有する者がここに記載されたシステム及び方法を実行及び実装できるように、十分詳細に説明されている。これらの実施形態は、複数の代替形態において提供される可能性があり、ここに示された例に限定されると解釈されるべきではないことを理解することが重要である。
【0041】
その結果、実施形態は様々な方法で変更されうるものであり且つ様々な代替形態をとりうるが、例示としてその特定の実施形態が図面に示されて以下に詳細に説明される。開示された特定の例への限定は意図されていない。むしろ、添付の特許請求の範囲内にある全ての変更、均等物及び代替物が含まれることになる。
【0042】
まず発明による照明システムSYSの第1実施形態を示す[図1]を参照する。照明システムSYSは、特に:
- 圧縮された画像データに基づいて照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュールMODと、
- 圧縮された画像データを照明モジュールMODに送信するための多重化バスCANと、
- 所与の照明機能を生成するために、提案された画像データを管理するための方法を実行するように構成された制御システムSCと、
を備える。
【0043】
このため、制御システムSCは、車両制御ユニット(図面に示さず)からの指示を受けて、各照明機能を互いに独立して発生させたり、逆に、組み合わせて発生させたりしてもよい。例えば、照明機能はお互いにペアで組み合わされてもよい。別の例によれば、3つ又は4つの照明機能、或いは可能な照明機能の全てでさえもが、互いに組み合わされてもよい。
【0044】
車両制御ユニットは、ドライバーによって与えられる照明コマンドから照明機能を生成するための指示を生成してもよいし、或いはカメラや光検出器などの検知ユニットによって検出される照明コマンドから照明機能を生成するための指示を生成してもよい。
【0045】
制御システムSCによって受信される指示は、特に、以下の照明機能に対応する光線を生成するための指示であってもよい:
- ロービームLB、
- ハイビームHB、
- アダプティブドライビングビームADB、又は
- ロードライティングRW。
【0046】
アダプティブドライビングビームADBによって意味されるものは、照明ビームを、車両交通状況に合わせてそれを適応させるために、ダイナミックに変化させることを可能にする任意の照明機能である。例えば、これは、他の道路利用者に眩しさを与えることを避けつつ、ハイビーム型測光で照明が投射される機能に関する。変形例として又は追加で、その機能は、以下に関連してもよい:
- 動的指向性照明、すなわち動力車両のハンドルの回転角度に応じたLB又はHB測光の最大強度の水平方向変位を可能にする測光(ダイナミックな曲げ照明に関してDBLとしても知られている);
- 動力車両からの光線の投射の結果として道路標識からのグレア(glare)を回避することを可能にする照明(道路標識アンチグレアに関してTSAGとしても知られている);
- 特に動力車両が通行する道路の一部を区切ったり或いは障害物回避策を提示したりするために、道路上にラインタイプパターンの投射を可能にする照明(ラインアシストに関してLAとしても知られる)。
【0047】
ロードライティングRWによって意味されるものは、ドライバー及び/又は道路利用者に見えるパターン、特に運転補助、標識記号、又はナビゲーションのための他の指標、の道路上における投射を可能にする任意の照明機能である。
【0048】
制御システムSCは車両の光源を駆動するためのドライバーモジュールPCMを更に備えてもよく、それは照明機能を生成するための指示を受信することができ、要求された照明機能に関して所望の光線を生成するように車両の光源を制御することができる。これを行うために、制御モジュールPCMは、特に、所望の照明機能を投射するために多重化バスCANと相互に作用して必要な画像データを照明モジュールMODに送信してもよい。
【0049】
多重化バスは、車両分野で知られている任意のデータ送信バス、特にCAN又はCAN-FDプロトコルのデータバス、から選択されうる。
【0050】
動作させられる照明機能に関連する光線を生成するために、照明モジュールMODは、少なくとも1つの光源を備え、特にLEDなどの半導体光源PLEDを備え、特に画素化されたLED源を備える。
【0051】
このように、照明システムSYSは、多重化バスCANを介して受信される圧縮された画像データに基づいて光源PLEDにより投射される光線をもたらすことができる。更に、照明システムSYSは、画像データを管理するための提案された方法の実施及び所望の照明機能に応じて、制御システムSCを介して、例えばドライバーモジュールPCMのレベルで、画像データを圧縮することを目的としている。
【0052】
次に、照明システムSYSの第2実施形態を示す[図2]が参照され、制御システムSCは更に以下を備える:
- 以下のように構成されるプロセッサユニットPROC1を具備する(例えばドライバーモジュールPCMに統合される)第1制御ユニットUC1:
・ 照明機能LB、HB、ADB、RWのため画像データを圧縮する、
・ 圧縮された画像データを多重化バスCANを介して照明モジュールMODに送信する、
- 以下のように構成されるプロセッサユニットPROC2を具備する(例えば照明モジュールMODに統合される)第2制御ユニットUC2:
・ 前記多重化バスCANを介して送信される圧縮された画像データを受信する、
・ 受信された画像データを展開する、
・ 受信されて展開された画像データに基づいて少なくとも1つの照明機能HB、ADB、RWを生成する。
【0053】
次に照明システムSYSの第3実施形態を示す[図3]が参照され、当該照明システムSYSにおいて制御システムSCは第1照明モジュールMOD1及び第2照明モジュールMOD2を備え、当該第1照明モジュールMOD1及び第2照明モジュールMOD2は以下のように構成されうる:
- 例えば第1モジュールMOD1が車両の右側ヘッドランプに組み込まれ且つ第2モジュールMOD2が車両の左側ヘッドランプに組み込まれるなど、各々が車両の異なるヘッドランプに統合される;
- 車両の1つの同じヘッドランプに統合される。
【0054】
更に、各モジュールMOD1及びMOD2は、所望の照明機能LB、HB、ADB、RWの光線が生成されることを可能にするように、複数の光源PLED1、PLED2、PLED3、PLED4を備えてもよい。光源PLED1、PLED2、PLED3、PLED4は、特に、LEDなどの半導体光源PLEDであってもよく、特に、例えば2500、4000又は20000画素の解像度を有する、画素化されたLED光源であってもよい。
【0055】
画像データを圧縮するために、所望の圧縮率は、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上である。これは、少なくとも75%の圧縮率は、1つの高精細照明特徴又は複数の高精細照明特徴の組み合わせのための画像データが、多重化バスCANなどの帯域制限のある車両間送信バスを通過できることを可能にする圧縮率だからである。
【0056】
次に、照明機能、ここではハイビーム機能HB、を提供するために照明システムSYSによって投射される照明パターンMEのいくつかの例を示す[図4A]、[図4B]、[図4C]が参照される。
【0057】
示される照明パターンMEは、L行に分割されており、Lは整数である。
【0058】
図4B]に示された一実施形態によれば、L行のうちの各行は、少なくとも1つのラインの照明パターン画素を含む。1つの可能な実施形態によれば、各行は、パターンの画素の単一ラインに対応する。1つの可能な変形によれば、各行は、パターンの画素の複数ラインのグループに対応する。そしてL行は、例えば、例えば画素の2~10ラインのグループに対応してもよい。
【0059】
図4C]に示された一実施形態によれば、L行のうちの各行は、少なくとも1つの列の照明パターン画素を含む。1つの可能な実施形態によれば、各行は、パターンの画素の単一の列に対応する。1つの可能な変形によれば、各行は、パターンの画素の複数列のグループに対応する。
【0060】
照明パターンMEのL行の中から、画像データを管理するための方法は、画像データの圧縮のためにL行の一部のみを選択することを可能にし、このケースではL行の中からのX行であり、XはLよりも小さい整数である。
【0061】
照明機能投射の別の可能な例によれば、[図5A]、[図5B]及び[図5C]は、アダプティブドライビングビームADB及びロードライティングRWなどの照明機能の組み合わせの投射を提供するように照明パターンMEのL行の中から選ばれたX行を示す。
【0062】
次に照明パターンMEのL行のうちの第1部分P1が第1照明機能(ADB機能など)の投射のために提供され、L行のうちの第2部分P2が第2照明機能(RW機能など)の投射のために提供される一実施形態を示す[図6]が参照される。圧縮される画像データのX行の選択は、L行のうちの第1部分P1及び第2部分P2のうちの一方のみ又は他方から行われてもよいし、或いは第1部分P1と第2部分P2の両方から行われてもよい。
【0063】
次に発明による画像データを管理するための方法のステップの描写を示す[図7]が参照される。その方法は、特に、以下のステップを含む:
- 少なくとも1つの照明機能HB、ADB、RWを作動させる指示を受け(RECステップ)、その照明機能は、L行を含む照明パターンMEに対応する圧縮された画像データから照明モジュールMODによって生成されるよう構成され、Lは整数である、
- 照明機能HB、ADB、RWの照明パターンMEの画像データの中から、照明パターンのL行からX行の画像データを選択することによって、圧縮される画像データを決定し(DETステップ)、XはLより小さい整数である、
- 圧縮される必要があると決定された画像データを圧縮する(COMPRステップ)、
- 照明機能HB、ADB、RWが生成されて投射されるために、圧縮された画像データを、多重化バスCANを介して照明モジュールMODに送る(TRANSステップ)。
【0064】
このように、L行の中からのX行の選択によって、圧縮されて送信されるデータの量が削減される。
【0065】
特に、決定ステップDETにおいて、選択されるX行は、L行のうちの所与の反復に従って選択されてもよい。この所与の反復はN行毎に定められてもよく、NはLより小さい整数であり、XはLをNで割った値に等しい。
【0066】
図4B]又は[図5B]に示されるように、選択された反復はN=2に等しくてもよく、それは、L行の中から2つのうちの1つの行のデータだけが圧縮のために選択されることを意味する。この実施形態は、(圧縮前の照明パターンの初期品質と比較して)投射される照明パターンにおける質のわずかな損失で、照明機能を生成することを可能にする。
【0067】
図4C]又は[図5C]に示すように、選択された反復はN=3に等しくてもよく、それはL行の中から3つのうちの1つの行のデータのみが圧縮のために選択されることを意味する。この実施形態は、生成される照明パターンであって、例えばアダプティブドライビングビームなどのある高精細照明機能と、ロービームやハイビームなどの標準照明機能とに十分である照明パターンの品質のレベルを維持したまま、パターンの画像データを更に圧縮することを可能にする。
【0068】
また、Nは4以上になるように選択されてもよい。この実施形態において、圧縮のレベルが更に高まる。このケースにおいて、そのような実施形態は、それがロービームやハイビームなどのある非重要照明機能の表示品質を低下させることを意味しても、多重化バスにわたる高帯域幅に関する特定のニーズを満たすことを可能にすることができる。
【0069】
その方法は、更に展開ステップ(DECOMPステップ)を含み、当該展開ステップ(DECOMPステップ)において、TRANSステップで送信される圧縮された画像データから、投射される照明パターンが再構成される。この展開ステップは、送信される圧縮された画像データを用いて、決定ステップ及び圧縮ステップの時点で照明パターンのL行の中から選択されていない行の画像データを再構成することを目的としている。
【0070】
この再構成は、様々な技術、特に送られるX行の画像データ間の画像データ値の補間や線形化、を使って実行されうる。選択ステップに続いて保持されなかった又は送信されなかった画像データを再構成するために、例えば以下のような、他の技術が想定されてもよい:
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジ(sub-ranges)の線形補間、
- 送信されるX行の画像データ間の多項式補間。
【0071】
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのベジェ法を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのパラメータ適応法(parameter-adaptation method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジの最小二乗法を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジの指数モデリング法(exponential modeling method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのフーリエ級数法を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのガウシアンモデリング法(Gaussian modeling method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのべき級数法(power series method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのサインモデルの総和法(sum of sine models method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのワイブル分布法(Weibull distribution method)を使う補間、
- 送信されるX行の画像データ間のサブレンジのパーソナライズドモデル法(personalized models method)を使う補間。
【0072】
次に[図7]の第1の描写に対する追加のステップを含む、画像データを管理するための方法のステップの第2の描写を示す[図8]が参照される。
【0073】
この実施形態において、その方法は、更に以下のステップを含む:
- 照明機能HB、ADB、RWの生成のために、L行の全てに関して圧縮された画像データを多重化バスCANで送るために必要なビットレートレベルNvDbReqを決定する(DEBステップ)、
- 決定されたビットレートレベルNvDbReqを多重化バスCANのビットレート閾値NvDb0と比較する(COMPステップ)、
- 前記決定されたビットレートレベルNvDbReqが前記ビットレート閾値NvDb0よりも大きい場合に、X行の画像データを決定するステップ、圧縮するステップ及び送るステップが、実行される、
- 前記決定されたビットレートレベルNvDbReqが前記ビットレート閾値NvDb0以下の場合に、L行の全てに関する画像データは圧縮されて前記多重化バスCANを介して前記少なくとも1つの照明モジュールMODに送られる。
【0074】
この例において、照明パターンのX行の画像データを決定するステップ及び圧縮するステップは、多重化バスにわたるビットレートが、圧縮された画像データの全てが多重化バスを通過することを許容するには不十分な場合(ビットレート閾値より高い決定されたビットレートレベル)のみに、実行される。それ以外の場合、多重化バスにわたって利用可能なビットレートがそれを許す(ビットレート閾値以下の決定されたビットレートレベル)場合、L行の全てに関する画像データが送られる。これにより、多重化バスにわたって利用可能なビットレートに応じて、画像データの圧縮をダイナミックに行うことが可能である。
【0075】
更に、[図6]の例示的な実施形態によれば、指示受信ステップは、第1照明機能ADBが、照明パターンのL行の第1部分P1に適用されるように構成されてもよく、第2照明機能RWが、照明パターンのL行の第1部分P1とは異なる第2部分P2に適用されるように構成される。X行に関する画像データを決定するステップ、圧縮するステップ、送るステップは、照明パターンのL行の第1部分P1内で行われ、照明パターンのL行の第2部分P2に関連する画像データは、全体として、圧縮されて、前記多重化バスCANを介して前記少なくとも1つの照明モジュールMODに送られる。
【0076】
この実施形態において、投射される照明パターンの画像データの一部のみを選択して圧縮することを目的とした決定ステップ及び圧縮ステップは、パターンの一部に関してのみ実行される。これは、特に以下のことを可能にする:
- 例えばロービーム機能、ハイビーム機能、アダプティブドライビングビーム機能など、関連する照明機能が圧縮されたX行のみを効果的に有することができるパターンの部分をターゲットとする、
- この部分を、例えばロードライティング機能など、関連する照明機能が表示品質を落とすことが許されないパターンの別の部分から区別する。
【0077】
一実施形態(図示せず)によれば、画像データを圧縮するステップに続いて、その方法は、以下のステップを更に含む:
- 少なくとも1つの照明機能を生成するために、前記多重化バスCANにわたって圧縮された画像データを送るために必要なビットレートレベルを決定する、
- 決定されたビットレートレベルを多重化バスCANのビットレート閾値と比較する、
- 前記多重化バスCANを介して前記少なくとも1つの照明モジュールMODに以下を送信する:
・ 決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値以下である場合、圧縮された画像データ、及び
・ 決定されたビットレートレベルが前記ビットレート閾値より大きい場合、前記多重化バスCANを介して送られる最後の画像の画像データ。
【0078】
この実施形態において、多重化バスにわたるビットレートが、圧縮された画像データを通過させることを許容するのに不十分な場合、ドライバーの及び他の道路利用者の安全のために、光源が照明機能を維持することを保証するように、最後に表示される画像に関する画像データを送信することを継続するようになっている。
【0079】
次に発明による方法が使用される場合に得られる圧縮率に関する結果を示す[図9]が参照される。L行の中からX行を選択することで、圧縮される画像データの量が削減される。このように、照明機能を圧縮するために必要な圧縮率COMPR1は、改善されてもよく、初期値COMPR1から、COMPR1より高い値を持つ改善された圧縮率値COMPR2になってもよい。
【0080】
その方法によって、以下のことが可能である:
- 多重化バスを介して通信される画像データの量を減らす、
- 多重化バスが許容する最大帯域幅を守りながら、画像データ圧縮のレベルを増大する、
- 例えば、多重化バスの最大ビットレートを守ることを成功させるために、既に圧縮されている画像データを更に圧縮することによって画質を大きく劣化させることなく、良好な画質を維持する、
- 多重化バスにわたる高精細画像データの送信を保証し、展開ステップにおいてそこから完全な照明パターンを再構成することが可能である。
【0081】
次に、フロントヘッドランプ車両照明デバイスDISを示す[図10]が参照され、この照明デバイスDISは、以下を備える:
- 少なくとも1つの光源PLEDを含む照明モジュールMOD、
- 光源PLEDに関連し、所望の照明機能のための光線を生成する光学系OPT、
- 圧縮された画像データを受信するステップと、圧縮された画像データを展開するステップとを実行する制御ユニットUC2。
【0082】
発明は、特定の実施形態を参照して説明されたが、それらは限定的なものではない。もちろん、本発明は、例として説明された実施形態に限定されるものではなく、それは他の代替的な実施形態にも及ぶものである。
【0083】
例えば、発明は、ダイナミックな表示周波数に応じて画像データを圧縮する技術によって、発明を使うことで提案され且つ得られる利点からの恩恵を受けながら、それに関連する照明機能を生成する観点から、少なくとも1つの車両テールライト及び/又は1つの車両信号灯及び/又は1つの車両室内照明モジュールを含む照明システムにも適用しうる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10