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特許7559089口腔洗浄および/または治療のための装置、ならびに装置を設定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】口腔洗浄および/または治療のための装置、ならびに装置を設定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/06 20060101AFI20240924BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61C19/06 A
A46B15/00 M
A46B15/00 L
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572348
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021063406
(87)【国際公開番号】W WO2021239553
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】20176964.3
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウマディ ジョシル ガネシュワル レディ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴッテンボス バート
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523677(JP,A)
【文献】特表2006-500133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209692(US,A1)
【文献】国際公開第2016/051400(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/06
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および2つ以上の突出部材を含む洗浄ユニットであって、前記2つ以上の突出部材はそれぞれ、前記支持体の支持面から外向きに伸び、前記2つ以上の突出部材はそれぞれ、1つ以上の電極を含み、前記突出部材は、互いに離間している、洗浄ユニットと、
駆動方式に従って、前記2つ以上の突出部材の前記電極に、または前記電極間に1つ以上の駆動信号を供給し、前記突出部材の周囲および/または間の領域内に高周波(RF)交流フィールドを誘導することで口腔洗浄機能を提供する、RF発生器であって、前記駆動方式は、個々の電極に供給されるべき駆動信号の情報、すべての電極のセットに供給されるべき駆動信号のパターン、所与の時点で有効な電極のパターン、および前記支持体の異なる地点における異なる電極の駆動信号振幅のうちの少なくとも1つを含む、RF発生器
口腔洗浄および治療のための装置を、少なくとも2つの異なるモード、すなわち、前記口腔洗浄および治療のための装置が第1の空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第1のモード、ならびに前記口腔洗浄および治療のための装置が第2の異なる空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第2のモードに選択的に設定するためのコントローラであって、前記モード間の切り替えは、アクチュエータを使用して前記突出部材の位置もしくは移動パターンの変化を制御すること、および/または前記駆動信号しくは前記駆動方式の特性の変化を制御することを含む、コントローラと、を備える、口腔洗浄および治療のための装置であって、
各モードは、定められた時間窓にわたって異なる時間平均空間強度分布を有するRFフィールドを生成し、
前記第1のモードでは、前記空間強度分布が前記第2のモードにおいてよりも空間的に均一である、口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記突出部材の位置もしくは移動パターンの前記変化を制御するように前記アクチュエータを制御すること、および/または
前記駆動信号もしくは前記駆動方式の特性の前記変化を実施するように前記RF発生器を制御することに基づいて、前記モード間の切り替えを行う、請求項1に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項3】
前記口腔洗浄および治療のための装置はさらに、1つ以上の強度ピークまたはフィールド勾配を含むRFフィールド強度分布を生成し、前記第1のモードでは、前記強度ピークまたはフィールド勾配が、時間の関数として、前記支持面に対して空間的に移動し、前記第2のモードでは、前記強度ピークまたはフィールド勾配の前記支持面に対する移動が減少するか、または移動が無い、請求項またはに記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項4】
前記RF発生器は、前記突出部材の異なるサブセットに供給される駆動信号を独立して制御するように動作可能であり、前記モード間の変更は、前記突出部材の前記異なるサブセットの前記電極を選択的に有効化または無効化することを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項5】
前記突出部材はそれぞれ可撓性であり、前記突出部材の少なくとも遠位端部分が前記突出部材の近位端に対して屈曲または振動することを可能にし、
前記口腔洗浄および治療のための装置はさらに、前記突出部材の少なくとも遠位部分の振動を誘導する振動機構を備え、
前記少なくとも2つのモード間の切り替えは、前記突出部材の前記振動の振動数を調整することに基づく、請求項1からのいずれか一項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項6】
前記振動機構は、前記洗浄ユニットの前記支持面を調整可能な振動数で振動させることによって前記突出部材の前記振動を誘導し、前記モード間の切り替えは、前記支持面の振動数を調整することを含む、請求項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項7】
各突出部材の少なくとも一部分が、前記近位端に関して固有振動数を呈し、前記第1のモードでは、前記支持面の前記振動数は、前記固有振動数と共振する振動数に設定され、前記第2のモードでは、前記支持面の前記振動数は、前記固有振動数と共振しない振動数に設定される、請求項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項8】
前記第2のモードにおいて、前記支持面の前記振動数は、前記突出部材の前記固有振動数に対して反共振である振動数に設定される、請求項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項9】
前記各突出部材は、前記支持面に接続された近位端を有し、前記各突出部材の前記近位端と接する、または前記各突出部材の前記近位端を取り囲む前記支持体の領域は、第1の機械的共振振動数のセットを有し、表面の残りの部分は第2の機械的共振振動数のセットを有し、
前記第1のモードでは、前記支持面は、前記第1および第2の振動数セットの両方の振動数と共振する振動数で振動するように駆動され、前記第2のモードでは、前記第1の振動数セットとは共振せず、前記第2の振動数セットの振動数とは共振する振動数で振動するように駆動される、請求項からのいずれか一項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項10】
磁力または電磁力を各突出部材に作用させる磁力または電磁力印加構成をさらに備え、前記モード間の前記切り替えは、前記磁力印加構成の使用に少なくとも部分的に基づき、前記突出部材の移動パターンを調整することを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項11】
前記支持面が第1の振動数で振動し、あるモードでは、前記磁力印加構成が、前記支持面の前記振動と同期して前記突出部材に反力のパターンを付与し、前記支持面の移動に起因した前記突出部材の移動に対抗するように、またはこれを排除するように制御される、請求項10に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記洗浄ユニットの位置または向きを決定、前記モード間の切り替えは、前記決定された位置または向きに基づいてトリガされる、請求項1から11のいずれか一項に記載の口腔洗浄および治療のための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔洗浄および/または治療のための装置、ならびにその動作設定を設定する方法に関し、特に、洗浄および/または治療機能のために電磁エネルギーを使用する口腔洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)電磁放射を、口腔内の洗浄機能を提供するために使用することができる。特に、口腔洗浄装置は、ユーザの口腔内に挿入されるヘッド部分などの洗浄ユニットを含み得る。洗浄ユニット部分は、RF駆動信号発生器に結合された1つ以上の電極またはコイルを含む。信号発生器は、RF交流フィールドを発生させるRF信号発生器を用いて電極またはコイルを駆動する。
【0003】
RFフィールドが歯および歯茎の表面と相互作用すると、口内の表面の表面特性を変化させることで洗浄機能を提供する。特に、このようにして生成されたRFフィールドは歯垢だけでなく歯石も除去することができる。歯の着色を軽減することもできる。
【0004】
US10201701B2は従来技術の電動歯ブラシを記載している。この歯ブラシはプラテン、RF発生器、2つのRF電極、および2つのRF電極の間に位置する細いシリコン片の形態の誘電バリアを有する。歯ブラシは毛も含む。誘電バリアは、ブラシの毛の遠位端の水準近くまで伸びる高さを有する。バリアは、電極間に生成されるRFフィールドをバリアの頂部まで延ばすことで、使用時に毛が歯や歯茎の表面と噛み合う領域まで届くようにする。このようにして、バリアは、RFフィールドが歯または歯茎の表面に近づくようにRFフィールドを成形すると考えられている。
【0005】
ブラシの毛の遠位端は、通常の機械的方法で歯の表面をこすり、歯をきれいにするが、同時にRF電極が、磨かれている同じ表面において強化された洗浄または組織治療機能を提供するRFフィールドを放射する。
【0006】
一般に、RF口腔洗浄装置の分野における発展が求められている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は独立請求項によって定義される。従属請求項は、好適な実施形態を定義する。
【0008】
発明者らは、既存のRFベースの口腔洗浄装置の欠点の1つとして、装置によって生成されるRFフィールドが均一であり、口腔内のあらゆる場所で実質的に均一なRFフィールド形状および強度を適用することを認識した。しかし、多くの口腔洗浄または治療用途では、局所的に集束した高強度RFフィールド(例えば、局所的フィールド強度勾配が大きいもの)を使用して、局所的な歯石の領域を治療できるように、フィールドの形状を変更できると有用である。そのようなフィールドはミネラルをより良く溶解させ、洗浄効果を向上させる可能性がある。例えば、局所的に高いフィールド勾配は、局所的に変化する表面特性を生じさせ、表面不純物の除去を促進する可能性がある。しかし、集束したフィールドは、一度に非常に局所的な小さい領域しか処理できないため、一般的な歯の洗浄の目的には効率的ではない。
【0009】
本発明の一側面に係る例によれば、口腔洗浄および/または治療装置が提供され、口腔洗浄および/または治療装置は、
支持体および2つ以上の突出部材を含む洗浄ユニットであって、2つ以上の突出部材はそれぞれ、支持体の支持面から外向きに伸び、1つ以上の電極を含み、突出部材は、互いに離間している、洗浄ユニットと、
駆動方式に従って、2つ以上の突出部材の電極に、または電極間に1つ以上の駆動信号を供給し、突出部材の周囲および/または間の領域内に高周波(RF)交流フィールドを誘導することで口腔洗浄機能を提供する、RF発生器と、を備え、
口腔洗浄および/または治療装置は、少なくとも2つの異なるモードに選択的に構成可能であり、各モードは、異なる空間強度分布を有するRFフィールドを生成し、モード間の切り替えは、突出部材の位置または移動パターンの変化を制御すること、または駆動信号または駆動方式の1つ以上の特性の変化を制御することを含む。
【0010】
本発明の実施形態は、調整可能なRFフィールドを有する(例えば、調整可能な強度分布を有する)RFエネルギーベースの口腔洗浄または治療装置を提供することに基づいている。用途に応じて、装置のモードを変更して、装置によって作成されるRFフィールドの形状またはパターンを変更し、装置によって送達されるRFエネルギーの空間分布を変更することができる。これにより、装置の洗浄特性が変化し、装置は例えば、局所的な高強度エネルギー送達と、より分散した低強度エネルギー送達との間で適合することができる。したがって、装置の洗浄機能の柔軟性が向上する。
【0011】
RF発生器からの駆動信号は交流(AC)駆動信号であってもよい。
【0012】
少なくとも第1のモードでは、RFフィールドは第1の空間強度分布を有し得る。少なくとも第2のモードでは、RFフィールドは第2の空間強度分布を有し得る。
【0013】
モードは所定の、予め定義された、または予めプログラムされたモードであり、各モードが予め定義されたフィールド空間強度分布に対応する。モードは例えば離散的なモードである。
【0014】
装置は、装置のモードを選択的に制御するように適合されたコントローラを備え得る。
【0015】
装置は一部の実施形態ではアクチュエータを有し得、アクチュエータは、突出部材の位置または移動パターンを制御するように動作可能である。アクチュエータはコントローラと動作可能に結合されてもよい。
【0016】
コントローラは一部の実施形態では、アクチュエータの制御に基づいてモードを構成するように適合され得る。追加でまたは代わりに、コントローラは、RF発生器を制御することに基づいてモードを構成するように適合され得る(駆動信号または駆動方式の特性の変更を実施するために)。
【0017】
より具体的には、一部の実施形態では、装置は、モード間の選択的切り替えを可能にするように適合されたコントローラをさらに備えてもよく、コントローラは、突出部材の位置または移動パターンの変化を制御するようにアクチュエータを制御すること、および/または駆動信号もしくは駆動方式の特性の変更を実施するようにRF発生器を制御することに基づいてモード間を切り替えるように適合される。
【0018】
コントローラは、制御ボタンなどのユーザインターフェースからの制御信号に基づいて(例えば、それに応答して)モード間の切り替えを選択的に制御してもよい。したがって、切り替えはユーザが作動する制御信号によってトリガされてもよい。他の例では、切り替えは例えば、内部制御信号、タイミングもしくはスケジューリングモジュールからの信号などの機能信号、またはセンサからの出力に基づいて自動的にトリガされ得る。
【0019】
例として、1つ以上の実施形態によれば、生成されるRFフィールドが各突出部材の領域の周りに局所化された比較的小さい高強度領域を含む、高強度局所的洗浄モードが提供され得る。より広い空間領域にエネルギーが広がる、より低強度のRFフィールドを生成する別のより広範囲の一般的洗浄モードが追加で提供されてもよい。
【0020】
各モードは、定義された時間窓にわたって、異なる時間平均空間強度分布を有するRFフィールドを生成するように構成され得る。
【0021】
したがって、少なくとも第1のモードは、第1の時間平均空間強度分布を生成するように構成され得、少なくとも第2のモードは、第2の時間平均空間強度分布を生成するように構成され得る。
【0022】
1つ以上のモードにおける空間強度分布が時間依存であってもよい(時間の関数として変動する)。したがって、これらの状況では、上記空間強度分布は時間平均空間強度分布であってもよい。空間強度分布は周期的に変動してもよく、時間窓は、この周期的変動の1つの周期またはサイクルの持続時間であり得る。
【0023】
装置の第1のモードでは、空間強度分布は、突出部材を含む領域にわたって、第2のモードにおいてよりも空間的に均一であってもよい。
【0024】
ここでは、第1のモードでは第2のモードにおいてよりもRFエネルギーフィールドが空間的に分散されている。例えば、時間平均空間強度分布は、第2のモードにおいてよりも空間的に均一であり得る。
【0025】
第1のモードにおいてより空間的に均一であるフィールドとは、画定された領域または空間にわたるフィールドの平均勾配またはフィールドの最大勾配が第1のモードにおいてよりも低いことを意味し得る。例えば、支持体の支持面をまたぐ領域にわたる平均または最大フィールド勾配がより低くてもよい。平均または最大フィールド勾配は、一部の例では、突出部材の位置(突出部材の静止位置または振動時の最大たわみ位置)によって定められるまたは画定される境界を有する領域にわたって低くなり得る。
【0026】
装置は、1つ以上の強度ピークまたはフィールド勾配を含むRFフィールド空間強度分布を生成するように構成され得る。第1のモードでは、ピークまたはフィールド勾配が、時間の関数として、支持面に対して空間的に移動するように構成され、第2のモードでは、ピークまたはフィールド勾配の支持面に対する移動が減少するか、または移動が無い。
【0027】
異なるモードのための生成されるRFフィールド強度分布における相違は、様々な形で実現することができる。これらは2つの大きなグループに分類することができ、すなわち、モードを変更するための機械的手段(例えば、突出要素の位置または移動パターンを変化させる)、および電気的手段または信号手段(RF発生器の駆動信号または駆動方式の特性を変更する)である。
【0028】
駆動方式を変更することは、個々の電極に供給される駆動信号を変更することを含み得るが、洗浄ユニット全体に含まれるすべての電極のセットに供給される駆動信号のパターンを変更すること、例えば、所与の時点で有効な電極のパターンを変更すること、または支持体の異なる地点における異なる電極の駆動信号振幅を変動させることも含み得る。
【0029】
まず電気的手段について概略的に説明する。
【0030】
1つ以上の実施形態によれば、RF発生器は、異なる突出部材サブセットに供給される駆動信号を独立して制御するように動作可能であり得る。モード間の変更は、1つ以上の突出部材サブセットの電極を選択的に有効化または無効化することに少なくとも部分的に基づく。したがって、異なるモードでは、異なる突出部材サブセットの電極が(これらの電極に駆動信号を供給するかしないかに基づいて)有効または無効になるように制御される。
【0031】
この実施形態のセットでは、洗浄ユニットの複数の異なる突出部材サブセットへの駆動信号の供給を選択的にオンまたはオフに切り替えることに基づいて、RFフィールド分布を変更することができる。所与の時点で稼働している突出部材電極の空間パターンを適切に制御することによって、得られるRFフィールドの形状(強度分布)を制御することができる。
【0032】
RF発生器に動作可能に結合されたコントローラが含まれてもよい。このコントローラは、例えば、事前に定義された形状または強度分布を有するRFフィールドを生成するようにそれぞれ構成されている1つ以上の事前に保存された有効化駆動方式(有効化パターン)のセットに基づいて、選択的な有効化および無効化を制御または調整するように適合され得る。
【0033】
上述のように、モード変更を実装する手段の第2の大きなグループは機械的手段である。
【0034】
例えば、ある実施形態のグループでは、モード間の変更は、突出部材の移動パターンの変更を制御または作動させることを含む。おおまかに言えば、突出部材が周期的に動く(例えば、振動する)ように駆動される場合、(時間平均)RFフィールド強度分布は、洗浄ユニットの領域にわたってより空間的に分散される(より小さい平均フィールド勾配を有する)。突出部材が静止している場合、または移動振幅が小さい場合、RFフィールド強度分布はより局所的に集中し、例えば、各突出部材の領域の周りでは比較的強度が高いが、この領域外側では強度が低い局所領域を含む。1つの目のケースでは、より分散されたフィールドは、より広範囲にわたる洗浄が望まれる一般的洗浄機能に有用である。2つ目のケースでは、より局所的に集束されたフィールドは、非常に局所的な領域のより強度の高い洗浄に有用である。
【0035】
装置は、例えば調整可能な移動パターンに従って、突出部材の位置または移動を制御するためのアクチュエータを備え得る。アクチュエータは電動アクチュエータであっても手動駆動アクチュエータであってもよい。
【0036】
アクチュエータに動作可能に結合され、突出部材に適用される移動パターンを変更するようにアクチュエータを制御することに基づいてモード間の調整を制御するように適合されたコントローラが設けられてもよい。
【0037】
1つ以上の実施形態によれば、各突出部材が、可撓性であるように適合され得、突出部材の少なくとも遠位端部分が部材の近位端に対して屈曲または振動することを可能にし得る。
【0038】
装置はさらに、突出部材の少なくとも遠位部分の振動を誘導するアクチュエータ、例えば、振動機構の形態のアクチュエータを含み得る。
【0039】
少なくとも2つのモード間の切り替えは、突出部材の振動数を調整することを含み得る。ここで、モード間の変更は、突出部材に適用される駆動振動の特性を変更することに基づく。
【0040】
例えば、少なくとも1つのモードでは、支持面において作動を適用することで、各突出部材の近位端が周期的変位または振動変位させられてもよい。突出部材の可撓性のため、これは突出部材の周期的または振動運動を誘導し、その結果、そのモードでのRFフィールドはより広範囲に広がる。突出部材は、例えば部材の横振動運動が誘導するために、横方向の可撓性を有してもよい。他のモードでは、振動を無効にするか、またはより低いレベルに設定することができ、それによって、例えば局所的な高強度治療動作に適した、より局所的に集中したフィールド強度分布をもたらすことができる。
【0041】
装置は、突出部材がゼロ振動を有する第1のモード、および突出部材が非ゼロ振動を有する少なくとも第2のモードに構成可能であり得る。ゼロ振動モードでは、突出部材は支持面に対して実質的に静止していてもよい。これは、局所的な高強度フィールドを生成するのに役立つ。
【0042】
振動機構が洗浄ユニットの支持面を振動させるように構成される場合、突出部材の振動の変更は、支持面のこの振動の振動数、振幅、または運動パターンの変更することに基づき得る。
【0043】
支持面の振動は、一般に任意の方向、例えば横方向(例えば、突出部材の高さの次元を横切る)または縦方向(例えば、突出部材の高さ軸に平行)であってもよい。横方向の移動は、例えば、支持面の直線的な横方向移動(左右)または回転的な横方向移動を含み得る。縦方向の移動は、作動機構によって支持体に加えられるタッピング運動を含み得る。
【0044】
1つ以上の実施形態によれば、洗浄ユニットは、支持面から外向きに伸びる、歯を洗浄するための複数の洗浄要素または部材、例えば毛または洗浄フィラメントなどをさらに備えてもよい。機械的振動機構による洗浄ユニットの振動は、毛の振動を誘導するように構成されてもよい。言い換えれば、毛の振動を駆動する振動が、突出部材の移動または振動も駆動する。
【0045】
毛および突出部材は、好ましくは同じ表面に結合され、したがって同じ振動作用で両方の振動を駆動することができる。
【0046】
好適な実施形態のセットによれば、各突出部材の少なくとも一部分が、近位端に対して固有振動(例えば、横振動)数を示し、第1のモードでは、支持面の当該振動数は、当該固有振動数と共振する振動数に設定され、第2のモードでは、支持面の当該振動数は、固有振動数と共振しない振動数に設定される。
【0047】
固有振動数と共振する振動数への言及は、例えば、当該固有振動数と調和する振動数、言い換えれば、突出部材の共振振動を引き起こすように構成された振動数を意味する。第2のモードでは、振動数は、突出部材の共振振動を引き起こさないように選択される。
【0048】
したがって、第1のモードでは、突出部材の共振振動が誘導され、電極に近いフィールドの高強度領域がより広範囲にわたってスイープされる。第2のモードでは、振動の振幅が減少することにより、高強度フィールド治療をより小さな領域または空間に拘束することができ、その領域はより大きな時間平均RFエネルギー送達を受ける。
【0049】
好適な例では、第2のモードにおいて、支持面の振動数は、突出部材の固有振動数に対して反共振である振動数に設定される。反共振とは、例えば反調和を意味する。これは、例えば、固有振動数の2つの連続する 高調波の間の振動数に設定されることを意味する。
【0050】
これは、第2のモードでは、振動が突出部材の固有振動数に対して反共振であることを意味し、すなわち、突出部材が理想的に静止したままである(振動の振幅および振動数が実質的にゼロ)。
【0051】
1つ以上の実施形態によれば、各突出部材は、支持面に接続された近位端を有し得、各突出部材の近位端と接する、または各突出部材の近位端を取り囲む支持体の領域は第1の機械的共振振動数のセット(例えば、共振振動数の範囲、または1つ以上の振動数の離散的なセット)を有し得、表面の残りの部分は第2の共振振動数のセットを有し得る。
【0052】
第1のモードでは、支持面は、第1および第2の振動数セットまたは範囲の両方の振動数と共振または調和する振動数で振動するように駆動され得る。第2のモードでは、支持面は、第1の振動数セットまたは範囲のいずれの振動数とも共振せず、第2の振動数セットまたは範囲の振動数と共振または調和する振動数で振動するように駆動され得る。
【0053】
したがって、この実施形態は上述の共振する突出部材の実施形態と同様の概念に従っているが、ここでは、突出部材が結合されている支持構造体の特定の部分が、特定の1つ以上の振動数で共振するように構成されている。
【0054】
好ましくは、第2のモードでは、支持面は、各突出部材につながるか、または各突出部材を取り囲む支持体の領域の共振振動数のセットまたは範囲に対して反共振または反調和である振動数で振動するように駆動され得る。
【0055】
1つ以上の実施形態によれば、装置は、少なくとも突出部材のサブセットに第2の機械的振動を加えるように構成された二次作動または力印加機構を含み得る。第2の機械的振動は、(上記の)一次振動機構によって支持面に加えられる振動と同じ振動数を有するが、第1の振動とは位相がずれている(逆位相であることが好ましい)。したがって、二次作動機構は、一次装置振動機構(例えば、毛を振動させるためのもの)による力に対抗するために、突出部材に効果的に反力を加え、少なくとも突出部材のサブセットの移動を低減または排除する。
【0056】
1つ以上の実施形態によれば、装置はさらに、磁力または電磁力を各突出部材に作用させるように動作可能な磁力または電磁力印加構成を備え得る。モード間の切り替えは、磁力または電磁力印加構成の使用に部分的に基いて突出部材の移動パターンを調整することに基づく。
【0057】
これは、異なるモードでの突出部材の位置または移動(例えば、振動の振幅および/または振動数)を制御して、例えば異なるモード間で空間強度分布を変更するために、単独で、または上記で概説した他の特徴と組み合わせて使用され得る。
【0058】
例えば、1つ以上の実施形態によれば、支持面は第1の振動数で振動し得る。これは、例えば、洗浄ユニットの毛を振動させるために部分的に使用されてもよい。支持面の振動は、一般に任意の方向、例えば横方向(例えば、突出部材の高さの次元を横切る)または縦方向(例えば、突出部材の高さ軸に平行)であってもよい。横方向の移動は、例えば、支持面の直線的な横方向移動(左右)、回転的な横方向の移動、または偏心した弓状の移動を含み得る。縦方向の移動は、例えば、支持体に加えられるタッピング運動を含み得る。
【0059】
装置のあるモードでは、磁力または電磁力印加構成は、支持面の振動と同期して突出部材に反力のパターンを付与し、支持面の移動に起因した突出部材の移動に対抗するように、またはこれを完全に排除するように制御され得る。
【0060】
磁力印加構成は、この例では、支持面の振動によってさもなければ生じていたであろう各突出部材の移動に対抗するように、支持面と同期して(または反同期して)、力を印加する。
【0061】
少なくとも第2のモードでは、磁力または電磁力印加構成を無効化することができる。第2のモードでは、突出部材は、各々の近位端にある支持面の振動により自由に振動し(例えば、横方向に、ラジアル方向に、縦方向に、またはこれらの任意の組み合わせ)、したがって、フィールド強度分布は、より空間的に分散し、または均一なものになる。
【0062】
任意選択で、フィールドの空間強度分布を変動させることに加えて、生成されるフィールドの他の電気的特性がモード間で異なっていてもよく、例えば、フィールドの周波数組成、および/またはフィールドのパワーもしくは強度レベルが異なっていてもよい。
【0063】
一例として、1つ以上の実施形態によれば、RF発生器はパルスRF駆動信号を電極に供給するように適合され得、少なくとも2つのモード間の切り替えは、パルスRF駆動信号のデューティサイクルの変化を制御することを含む。これは、例えば、上記RFフィールド形状の機械的または電気的修正と組み合わせて行うことができる。
【0064】
デューティサイクルを制御することにより、洗浄または治療の全体的な強度を調整することができる。
【0065】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも2つのモード間の切り替えは、電極に供給される駆動信号の周波数構成を調整することを含み得る。
【0066】
少なくとも1つの実施形態のセットでは、例えば、少なくとも1つのモードにおいて、RF発生器は、周期的に繰り返される周波数のサイクルまたはシーケンスを含む駆動信号を生成するように構成され得る。これは、例えば、周波数の一方向走査またはスイープであってもよい。任意選択で、さらなる(第1の)モードにおいて、駆動信号は、単周波数駆動信号(1つの周波数のみ)であり得る。
【0067】
1つ以上の実施形態によれば、装置は、洗浄ユニットの位置および/または向きを決定するコントローラを備え得、モード間の切り替えは、決定された位置または向き情報に基づいてトリガされる。コントローラは、例えば、口内の特定の1つ以上の場所に対して、またはターゲット治療領域に対して、装置の位置を決定することができる。
【0068】
追加でまたは代わりに、コントローラは、突出部材の移動または位置に関する情報に基づいてモード間の切り替えをトリガするように適合されていてもよい。コントローラは、支持面の移動方向および/または突出部材の移動方向を示す、(支持体を振動させるように構成された)機械的振動機構からの信号に基づいてモード間の切り替えをトリガしてもよい。
【0069】
決定は、コントローラに結合されたセンサ、例えば位置または向きセンサの使用に基づき得る。センサは、例えば加速度計および/または近接センサを含み得る。センサは光学または他の電磁気センサを含み得る。センサはイメージングセンサを含み得る。
【0070】
口腔洗浄および/または治療装置は多様な形態をとることができる。非限定的な例として、装置は、歯ブラシ装置、ブラッシングとフロッシングとを組み合わせた装置、口腔洗浄器、またはブラッシング機能を備えたマウスピースユニットのいずれであってもよい。
【0071】
洗浄ユニットは、例えば、非限定的な例として、歯ブラシ、ブラッシングとフロッシングとを組み合わせた装置、口腔洗浄器、またはブラッシング機能を備えたマウスピースユニットなどの口腔洗浄装置用のヘッドであってもよい。例えば、洗浄装置は歯ブラシ装置であってもよく、洗浄ユニットは歯ブラシヘッドである。
【0072】
装置は、RF発生器を含む制御ユニットを含み得る。装置はさらに、上述のように機械的アクチュエータ(例えば、機械的オシレータ)を含み得る。装置はさらに、RF発生器に動作可能に結合されたコントローラ、および任意選択で、機械的オシレータなどの機械的アクチュエータを含み得る。制御ユニットは洗浄ユニットに電気的および機械的に結合され得るか、または着脱可能に結合可能であり得る。制御ユニットは装置のボディまたはハンドル部分を形成し得る。
【0073】
さらなる態様によれば、制御ユニットは、洗浄ユニットから分離してそれ単体で提供されてもよく、使用時に洗浄ユニットと結合するように、そして結合されたときに装置の動作モードを制御するように動作可能に適合され得る。
【0074】
本発明の他の態様に係る例では、口腔洗浄または治療装置の洗浄または治療モードを構成する方法が提供される。
【0075】
口腔洗浄または治療のための装置は、
2つ以上の突出部材を含む洗浄ユニットであって、2つ以上の突出部材はそれぞれ、支持体の支持面から外向きに伸び、1つ以上の電極を含み、突出部材は、互いに離間している、洗浄ユニットと、
駆動方式に従って、2つ以上の突出部材の電極に、または電極間に1つ以上の駆動信号を供給し、突出部材の周囲および/または間の領域内にRF交流フィールドを誘導することで口腔洗浄機能を提供する、高周波(RF)発生器と、を備え、
方法は、
装置を少なくとも2つのモード、すなわち、装置が第1の空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第1のモードと、装置が第2の異なる空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第2のモードとの間で選択的に調整するステップを含み、
モード間の切り替えは、突出部材の位置または移動パターンの変化を制御すること、および/または駆動信号または駆動方式の特性の変化を制御することを含む。
【0076】
フィールドの空間強度分布とは、フィールド強度の分布、形状、またはパターンを意味し、これは1つ以上のフィールド勾配を有し得る。
【0077】
本発明のさらなる態様は、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品を提供し、コードは、上記で概説した、もしくは後述される任意の例もしくは実施形態に係る方法、または本出願の任意の請求項に係る方法をプロセッサに実行させるように構成されている。
【0078】
本発明の上記および他の側面は、以下に記載される実施形態を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明のより良い理解のために、また、本発明が如何に実施され得るかをより明確に示すために、以下の例示に過ぎない添付図面を参照する。
【0080】
図1図1は、例示的な口腔洗浄および/または治療装置の洗浄ユニットの正面図を示す。
図2図2は、口腔洗浄および/または治療装置の例を示す。
図3図3は、層状突出部材を有する例示的な洗浄ユニットの平面図を示す。
図4図4は、さらなる例示的な洗浄ユニットの平面図を示す。
図5図5は、毛を含むさらなる例示的な洗浄ユニットを示す。
図6図6は、異なる電極サブセットが有効または無効になるように制御される複数の異なるモードにおける洗浄ユニットの例を示す。
図7図7は、可撓性突出部材を有する例示的な洗浄ユニットを示す。
図8図8は、機械的作動ユニットを含む口腔洗浄および/または治療装置の例を示す。
図9図9は、可撓性突出部材のアレイを有する洗浄ユニットのさらなる例を示す。
図10図10は、異なる共振周波数を有する材料部分を含む洗浄ユニットを備える例示的実施形態を概略的に示す。
図11-14】図11図14は、磁力印加構成を含む、洗浄および/または治療装置のさらなる例を示す。
図15図15は、歯ブラシ装置の形態の洗浄および/または治療装置の例を示す。
図16図16は、1つ以上の実施形態に係る例示的な装置の例示的な動作ワークフローのステップをおおまかに示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明について図面を参照しながら説明する。
【0082】
詳細な説明および具体例では装置、システム、および方法の例示的な実施形態を示されているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。本発明の装置、システム、および方法のこれらおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面からよりよく理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、各図面を通して、同じまたは類似の部分を指し示すために同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0083】
本発明は、口腔洗浄機能を提供するためのRFフィールドを生成するための電極を含む口腔洗浄および/または治療のための装置を提供する。装置は、口腔内に入る洗浄ユニットを含み、洗浄ユニットは、基部または支持構造から略同じ方向に突き出た少なくとも第1および第2の突出部材を含む。各突出部材は、RF交流電磁界を生成する1つ以上の電極またはアンテナを含む。装置は、RF信号発生器を用いて電極を駆動することにより、電極間および電極の周囲の空間にRFフィールドを生成する。この装置は、生成されるRFフィールド(例えば、空間フィールド強度または勾配分布)を異なる設定間で変化させるための機械的または電気的手段を含む。装置は、具体的には、少なくとも2つのモードまたは設定に設定可能であり、それぞれが各自の異なるフィールドパターンまたは空間強度分布に関連付けられている。これは、後述されるように、異なる必要な用途に洗浄または治療機能を適合させるのに役立つ。
【0084】
好適な実施形態のグループでは、選択可能なモードは、RF空間強度分布が、低強度領域によって囲まれた、集束および局所化された高強度領域を1つ以上含む少なくとも1つのモードと、RF空間強度が、少なくとも特定の時間窓にわたって測定されるとより均一であり(例えば、時間平均強度分布)、フィールドによって運ばれるRFエネルギーが、電極の周囲および電極間の領域にわたってより広範囲に広がる第2のモードとを含む。
【0085】
例えば、口腔内の特定の場所(例えば、唾液腺や舌側前歯に近い歯)で歯垢や歯石が形成されやすく、結果として虫歯が形成されやすいことがよく知られている。特定の場所では、歯冠周囲炎などの歯肉の炎症がより発生しやすく、例えば、通常の機械的洗浄装置では届きにくい第3大臼歯の後方の場所などが挙げられる。
【0086】
さらなる口腔病理として、唾液管からの分泌の減少によって引き起こされ得る口の慢性的な乾燥が挙げられる。口内の三叉神経終末から発する口腔痛が経験され得る。したがって、これらの状態は両方とも、口腔の特定の領域に局在する問題に関連している。
【0087】
これらの症状は現在知られているが、予防することは難しく、発見された後に能動的な経口治療を必要とする。具体的には、口腔病理の根本的な原因が歯科医によって特定されると、病理学的状態を治すために、口腔内の特定の箇所の局所的治療が必要になる。
【0088】
本発明の実施形態は、様々な局所治療のニーズへの適用を可能にするために、RF治療モードを変更することを提案する。
【0089】
したがって、本発明の実施形態は、口腔の他の領域を過度にRFエネルギーにさらすことなく、RF治療を特定の臨床病理に最適化することを可能にする。
【0090】
以下でより詳細に議論されるように、実施形態は、少なくとも1つのモードにおいて、病理に関連することが知られている口腔内の特定のターゲットゾーンの、ターゲットを定めた高強度治療を可能にすることができる。これらの場所には、例えば以下が含まれ得る。
-歯の詰め物と歯との界面でバイオフィルムが成長する二次カリエス。
-歯冠周囲炎:第3大臼歯(上下両方)の後方の歯肉の炎症。
-典型的には最も多くの歯石が集まる舌側下顎切歯。
-口腔内の三叉神経終末。
-唾液管。
【0091】
図1および図2は、1つ以上の実施形態に係る口腔洗浄および/または治療装置の一例を概略的に示す。装置100は、少なくとも洗浄ユニット10およびRF発生器84を含む。図1は洗浄ユニット10を示す。図2は、洗浄ユニットおよびRF発生器を含む洗浄および/または治療装置100を示す。
【0092】
洗浄ユニット10はプラテンなどの支持体12を含む。支持体は、支持表面13を提供する上面を有し、支持面13からは突出部材14、14bが伸びている。具体的には、洗浄ユニットは、支持体の支持面13から外向きに伸び、1つ以上の第1の電極18aを含む第1の突出部材14aを含む。洗浄ユニットはさらに、支持体の支持面から外向きに伸び、1つ以上の第2の電極18bを含む第2の突出部材14bを含む。第2の突出部材は第1の突出部材から間隔Dだけ離れている。各突出部材14が、支持面13に結合している近位端20、および遠位端22を有する。
【0093】
洗浄装置はさらに、第1の電極18aと第2の電極18bとの間に交流RF駆動信号を供給して、第1の突出部材14aおよび第2の突出部材14bの周囲および間の領域に交流RF電磁界19を誘導するように構成されたRF発生器84を含む。これにより、ヘッドが口腔内に配置されたときに口腔洗浄機能が提供される。RF発生器は2つの電極間に交流電位を印加する。交流電磁界のためのRF周波数の適切な範囲は、例えば、3kHz~300GHzの任意の周波数であり得る。
【0094】
装置はさらに、RF発生器84に動作可能に結合され、RF発生器によって実装される駆動方式および/またはRF発生器によって生成される駆動信号の特性を制御するように動作可能なコントローラ21を含み得る。
【0095】
図1および図2は一対の突出部材14a、14bおよび電極18a、18bのみを示しているが、他の例では、3つ以上の突出部材のペアが設けられてもよい。各部材が電極を含む、互いに離れている複数の突出部材のペアが設けられてもよい。その場合、RF発生器は、各突出部材ペアの電極間にそれぞれの交流駆動信号を供給するように動作可能である。
【0096】
口腔洗浄および/または治療装置100は少なくとも2つの異なるモードで選択的に構成可能であるように適合されている。各モードにおいて、装置は、突出部材14a、14bの周囲および間の領域内に異なる空間強度分布を有するRFフィールドを生成する。
【0097】
装置はモード間の切り替えが可能であるように適合されている。モード間の切り替えの実装は以下を含み得る。
-突出部材の位置または移動パターンの変化を制御すること、および/または
-電極に供給される駆動信号の特性の変化を制御する、もしくは電極セットの駆動方式を変更すること。
【0098】
この事例では、突出部材の電極18a、18bはそれぞれの突出部材のボディ内に組み込まれている。例えば、この事例の各突出部材は、電極が内部に組み込まれた層状(シート状)の突出部材を含み得る。他の例では、電極は突出部材の表面において露出していてもよく、または突出部材自体が導電性材料で形成されていて、電極として作用してもよい。
【0099】
電極は、様々な形状または形態、例えば平面状、線形のワイヤーの形態、またはワイヤーループの形態をとることができる導電要素を含み得る。
【0100】
空間的RFフィールド強度分布を変更するためのモード間の切り替えは様々な形で実現できるが、一般的には2つの大きなグループに分類され得、すなわち、モード間を移行するための機械的手段(例えば、突起要素の位置または移動パターンの変化を制御する)と、電気または信号手段(RF発生器の駆動方式の特性の変化を制御する)とがある。様々な選択肢について以下に詳述する。
【0101】
前述のように、装置は、モード間の切り替えを制御するための、例えば、RF発生器によって生成される駆動信号の信号特性を制御するための、または一部の実施形態では、機械的オシレータもしくは他のアクチュエータなどのアクチュエータによって突出部材の作動を制御することによって制御するためのコントローラ21を含み得る。
【0102】
使用中、モード間の切り替えは様々な形で行うことができる。ボタンなどのユーザ制御要素により、ユーザ入力に基づいて手動でトリガされてもよい。他の例では、例えば、洗浄ユニットが所定の関心領域に隣接していること、または治療されるべき関心領域に対して所定の向きで保持されていることを検出する位置、場所、または向きセンシング機能に基づいて、自動的に実行されてもよい。
【0103】
例えば、1つ以上の実施形態によれば、装置は、口腔内の関心領域に対する洗浄ユニットの少なくとも一部分の位置を検出する、および/または装置もしくは洗浄ユニットの向きを検出するように適合された位置検出手段を含み得る。これは、より高い強度の洗浄が好適であろう口内の所定の箇所に洗浄ユニットが隣接しているときを検出するために使用され得る。洗浄ユニットがそのような場所にあることが検出されると、より高い強度の洗浄モードが自動的に起動され得る。洗浄ユニットが問題のある箇所から遠ざかると、低強度モードが自動的に起動され得る。
【0104】
コントローラ21は、装置の少なくとも洗浄ユニットの位置および/または向きの決定を実行し得る。コントロ-ラ21は、一部の例では、表面に近接していることを検知するための加速度計および/または光学センサなどの位置センサまたは向きセンサと動作可能に結合され得る。
【0105】
追加でまたは代わりに、コントローラは、突出部材の移動または位置に関する情報に基づいてモード間の切り替えをトリガするように適合されていてもよい。コントローラ21は、支持面の移動方向および/または突出部材の移動方向を示す、(支持体を振動させるように構成された)機械的振動機構からの信号に基づいてモード間の切り替えをトリガしてもよい。
【0106】
洗浄ユニット10は、RFエネルギーベースの口腔洗浄または治療装置のためのユニットである。図1および図2の例では、第1の電極18aおよび第2の電極18bのペアは、電極間の交流RF電磁界の生成を引き起こすためにペア間に交流電位を対に印加するのに適している。
【0107】
しかし、より一般的に、電極は、駆動信号を受信してRFエネルギーを生成するのに適した任意の形態の導電要素であり得る。例えば、交流フィールドを誘導生成するためのループの形態で1つ以上の電極が設けられてもよい。駆動信号は図1の例のように電極ペア間に印加されてもよいし、または例えば、駆動電流の形態でコイル電極などの個別の要素に供給されてもよい。
【0108】
洗浄ユニット10は、口腔洗浄および/または治療機能を実行するためにユーザの口腔内に配置されるためのものである。洗浄ユニット10は、例えば、歯ブラシもしくは他の装置などの口腔洗浄装置のヘッドであってもよく、または口内にはめ込まれるマウスピースユニットのブラッシングアーチなど、異なる形態の洗浄ユニットであってもよい。
【0109】
任意選択で、洗浄ユニット10はさらに、第1の突出部材14aと第2の突出部材14bとの間に配置された誘電バリア部材を含み得る。しかし、本発明の実施形態では、フィールド強度分布を能動的に調整でき、(上述のように)フィールドパターンを誘導するための物理的要素が必須ではないことから、これは必須ではない。
【0110】
装置100の各モードは、定義された時間窓にわたって、異なる時間平均空間強度分布を有するRFフィールドを生成するように構成され得る。
【0111】
したがって、第1のモードは、第1の時間平均空間強度分布を生成するように構成され得、少なくとも第2のモードは、第2の時間平均空間強度分布を生成するように構成され得る。1つ以上のモードにおける空間強度分布が時間依存であってもよい(時間の関数として変動する)。したがって、これらの状況では、上記空間強度分布は時間平均空間強度分布であってもよい。空間強度分布は周期的に変動してもよく、時間窓は、この周期的変動の1つの周期またはサイクルの持続時間であり得る。
【0112】
装置100の第1のモードでは、空間強度分布は、突出部材14a、14bを含む領域にわたって、第2のモードにおいてよりも空間的に均一であってもよい。ここでは、第1のモードでは第2のモードにおいてよりもRFエネルギーフィールドが空間的に分散されている。参照される領域は、支持面13の全領域であってもよく、またはより小さな領域、例えば、2つの突出部材14a、14bの間に広がり、両部材によって囲われた領域であってもよい。
【0113】
空間的均一性は、例えばこの領域内での、フィールド強度またはフィールド強さの最高値と、最低フィールド強度またはフィールド強さのとの比率によって測定されてもよい。空間的均一性は、(最大)フィールド勾配、またはフィールド強さに関連する他の統計値(例えば、フィールド強度の四分位範囲)によって測定されてもよい。
【0114】
例えば、時間平均空間強度分布は、第1のモードでは第2のモードにおいてよりも空間的に均一であり得る。すなわち、定義された時間窓にわたって、空間RFエネルギーフィールドが第2のモードにおいてよりも均一に広がっている。換言すれば、時間の関数としての、または時間窓にわたる空間強度分布が第2のモードにおいてよりも空間的に均一である。
【0115】
時間平均RFフィールド内のピーク強度値は、第1のモードでは第2のモードにおいてよりも低い可能性がある。
【0116】
例えば、生成されたRFフィールドが、各突出部材の領域の周りの局所的で比較的小さい高強度領域を含む第2のモードによって、高強度局所的洗浄モードが提供され得る。別のより広範囲の一般的洗浄モードが、より広い空間領域にエネルギーが広がる、より低強度のRFフィールドを生成する第1モードによって提供される。
【0117】
したがって、本発明の特定の実施形態は、所望の用途に応じて、より集束されたRFエネルギーフィールド(より大きなフィールド勾配を有する)と、より集束されておらず、より分散されたフィールド(より小さなフィールド勾配を有する)との間の切り替えを可能にし得る。
【0118】
第1のモードに関して、より分散されたフィールドは、より広範囲にわたる洗浄または治療が望まれる一般的洗浄または治療機能に有用である。第2の事例では、より局所的に集束されたフィールドは、細菌や歯石が蓄積する可能性のある、詰め物と残っている歯との間の空間など、非常に局所的な領域のより強度の高い洗浄に有用であう。これは異なるモードの1つの選択肢に過ぎず、様々な他のモードを実装することもでき、これらについて以下に詳述する。
【0119】
装置100は、1つ以上の強度ピークまたはフィールド勾配を含むRFフィールド空間強度分布を生成するように構成され得る。第1のモードでは、ピークまたはフィールド勾配が、時間の関数として、支持面に対して空間的に移動するように制御され、第2のモードでは、ピークまたはフィールド勾配の支持面に対する移動が減少するか、または移動が無い。
【0120】
フィールド強さまたは強度のピークは、例えば、電極18a、18bの周りの局所的強度ピーク集中に対応し得る。
【0121】
ここでは空間強度分布は時間依存であり、時間の関数として変動する。突出部材14a、14bの間および周囲の領域にわたって、局所的空間ピークを含むフィールドパターンを周期的に移動させることによって、より空間的に分散した、より平均強度が低いフィールド(より小さな平均フィールド勾配を有する)を生成することができる。これは、所与の時間窓にわたり、時間平均空間強度分布がより空間的に均一であり、RFエネルギーがより空間的に分散されていることを意味する。対照的に、例えば局所的な高強度治療が望まれる場合、第2のモードにおいて、局所的空間的ピークが動かないように制御され得る。
【0122】
フィールド強度分布は時間窓にわたって周期的に変化してもよい。
【0123】
この事例でのモード間の切り替えは、例えば、突出部材14a、14bの物理的移動パターン、例えば周期的または振動的な物理的移動パターンを実装することに基づいていてもよく、または例えば、所与の時点において有効なおよび無効な突起部材のアレイの空間的パターンを変動させることに基づき得る。両方の例について、以下に詳しく説明する。
【0124】
上記の例では、少なくとも2つのモード間の切り替えによりフィールドの空間的均一性、すなわち、フィールドの領域または空間全体にわたるRFエネルギーの広がりが変更される。しかし、追加でまたは代わりに、例えばフィールド全体にわたる出力パワーを増加させることによって、フィールドの平均または全体的強度レベルという点で強度分布が異なるモードを装置100が有してもよい。したがって、装置は、高強度治療モード(高パワー出力)から低強度モード(低パワー出力)に切り替えることができる。
【0125】
異なるモードのための生成されるRFフィールド強度分布における相違は、様々な具体的な形で実現することができる。様々な選択肢について以下に詳述する。洗浄ユニット10の構造の様々な選択肢を最初に簡単に説明する。
【0126】
一部の実施形態によれば、各突出部材14a、14bは層状(平らなシート状)部材を含み得る。この例は、例示的な洗浄ユニット10の見下ろし(平面)図を示す図3に示されている。この例における各層状突出部材は平面を画定する。層状部材は、それぞれの平面が平行になるように配置され、部材の主平面が互いに向き合っている。図3の例では、突出部材は平坦であり、まっすぐに延びているが、他の例では、例えば湾曲した層状の形状を有していてもよい。例えば、突出部材は一部の実施形態では、同心円状のリングまたは円弧の形態で提供されてもよい。
【0127】
突出部材14a、14bの構成または配置には様々な選択肢がある。洗浄ユニット10は、一対の電極(アノードおよびカソードのペア)として作用し得る単一の第1および第2の突出部材を含み得る。例えば、一対の電極間に交流駆動信号を印加することができる。
【0128】
他の例では、複数の第1の突出部材および複数の第2の突出部材が設けられてもよく、各第1の突出部材が少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、各第2の突出部材が少なくとも1つのそれぞれの電極を含む。したがって、複数の電極ペアが設けられ得る。
【0129】
例示的な洗浄ユニットの見下ろし(平面)図が示す図4に例が示されている。ここでは、洗浄ユニット10は、第1の空間グループ15a内に配置された複数の第1の突出部材14aと、第2の空間グループ内に配置された複数の第2の突出部材14bとを含み、第1の空間グループおよび第2の空間グループは互いから離れて向かい合うように配置されている。この例では、各空間グループは線形空間グループの形態、具体的には線の形態をとる。しかし、これは必須ではなく、各空間グループが異なる形状のクラスタを含むなど、他の構成も可能である。
【0130】
用途に応じて、口腔洗浄ユニット10の形態には様々な選択肢が存在する。
【0131】
ある実施形態のセットでは、洗浄ユニットは、歯を洗浄するための毛などの複数の機械的洗浄要素を含む。図5に例が示されている。
【0132】
洗浄ユニット10は、洗浄ユニットの支持面13から外向きに延びる、例えば束または房として配置された複数の毛42を含む。洗浄ユニットは支持体を提供するプラテン12を含み得、プラテンの面が支持面を形成する。
【0133】
この実施形態のセットは、例えば、洗浄ユニット10が歯ブラシ装置のヘッド、例えば、歯ブラシ装置のボディ部分に結合(例えば、取り外し可能結合)するように適合されたヘッドである場合に適している可能性がある。しかし、他のタイプの口腔洗浄装、例えば、RFエネルギー放射要素と組み合わせた、口内にはめ込まれるブラッシングマウスピースユニットのブラッシングアーチ、または、流体放出ノズルを備えた複合型ブラッシングおよびフロッシング装置などが毛42を含んでもよい。
【0134】
図5の例では、各突出部材14a、14bの両側が毛42で囲われている。毛は一部の例では支持面の実質的に全領域を覆ってもよく、場合によっては表面の外周領域を除外してもよい。しかし、これは必須ではない。毛は突出部材の片側だけに設けられてもよく、例えば、部材間の空間には毛が存在しなくてもよい。
【0135】
好ましくは、突出部材14a、14bは、毛42の遠位高さよりも短い遠位高さまで伸び得る。
【0136】
上述したように、異なるモードのための生成されるRFフィールド強度分布における相違は様々な形で実現することができる。これらは2つの大きなグループに分類することができ、すなわち、モードを変更するための機械的手段(例えば、突出要素14a、14bの位置または移動パターンを変化させる)、および電気的手段または信号手段(RF発生器84の駆動方式の特性を変更する)である。
【0137】
まず電気的手段について概略的に説明する。
【0138】
1つ以上の実施形態によれば、RF発生器は、異なる突出部材サブセットに供給される駆動信号を独立して制御するように動作可能であり得る。モード間の変更は、1つ以上の突出部材サブセットの電極への駆動信号を選択的に有効化または無効化することに少なくとも部分的に基づく。
【0139】
この実施形態のセットでは、洗浄ユニットの複数の異なる突出部材サブセットへの駆動信号の供給を選択的にオンまたはオフに切り替えることに基づいて、RFフィールド分布を変更することができる。所与の時点で稼働している突出部材電極の空間パターンを適切に制御することによって、得られるRFフィールドの形状(強度分布)を制御することができる。
【0140】
上記したように、RF発生器に動作可能に結合されたコントローラが含まれ得る。これは、例えば、事前に定義された形状または強度分布を有するRFフィールドを生成するようにそれぞれ構成されている1つ以上の事前に保存された有効化駆動方式(有効化パターン)のセットに基づいて、選択的な有効化および無効化を制御または調整するように適合され得る。
【0141】
図6はこの実施形態を概略的に示している。図6aは、装置が第1のモードにある洗浄ユニット10を示す。図6bは、装置が第2のモードにある洗浄ユニットを示す。図6cは、装置が第3のモードにある洗浄ユニットを示す。
【0142】
各モードにおいて、コントローラは、有効または無効であるべき突出部材14a、14b電極の異なる選択を制御するために、複数の突出部材に異なる有効化駆動方式またはアドレス指定方式を適用するように適合されている。有効な部材は影付きで示されており、無効な部材は影無しで示されている。
【0143】
図6aの第1のモードでは、突出部材14a、14bの第1のサブセット52aに、それぞれの電極を駆動してRFフィールド19を生成するための駆動信号が供給される。同時に、突出部材の第2のサブセット52bには駆動信号が供給されず、これらの突出部材のそれぞれの電極は無効であり、部材間にフィールドは生成されない。結果として、突出部材の第1のサブセット52aがカバーする空間領域内にピーク強度を有する第1のモードのRFフィールドが生成される。この例では、各サブセットが、能動的に駆動されるか、または無効である電極を含む第1の突出部材14aおよび第2の突出部材14bの複数のペアを含む。
【0144】
図6bの第2のモードでは、突出部材14の第1のサブセット52aおよび突出部材の第3のサブセット52cの電極は無効である一方、第1と第2との間の第2のサブセット52bにはRF発生器によって駆動信号を供給され、有効である。したがって、電極の第2のサブセット52bがカバーする中間領域内にピーク強度を有するRFフィールド19が生成される。この例では、各サブセットが、能動的に駆動されるか、または無効である第1および第2の電極の複数のペアを含む。
【0145】
図6cの第3モードでは、突出部材の第1のサブセット52aおよび第3のサブセット52cの電極にはRF発生器から駆動信号が供給される一方、第2のサブセット52bおよび第4のサブセット52dの電極には供給されない。したがって、複数の突出部材14は、交互の有効部材および無効部材のサブセットを含む。したがって、交互の高フィールド強度領域および低フィールド強度領域を有するRFフィールド19が生成され、ピークは、突出部材の第2のサブセット52bおよび第4のセブセット52dがカバーする領域内に存在する。この例では、各サブセットが、能動的に駆動されるか、または無効である第1および第2の電極の複数のペア(第1の突出部材14aおよび第2の突出部材14bに含まれている)を含む。
【0146】
図6に示される異なる有効化駆動方式は説明のための例に過ぎず、他の例では、有効な突出部材電極および無効な突出部材電極の任意の所望のパターンによって異なるモードが特徴付けられ得る。
【0147】
1つ以上の実施形態によれば、モード間の変更は、突出部材電極の異なるサブセットに供給される駆動信号の駆動方式またはデューティサイクルを調整することを含み得る。例えば、異なる突出部材サブセットの電極に、異なる周波数もしくは異なる振幅、または異なるパルスデューティサイクルを有する駆動信号を供給することで、得られるフィールドのフィールド形状、パターン、または強度分布を構成されてもよい。
【0148】
任意選択で、生成されるフィールドの他の電気的特性がモード間で異なっていてもよく、例えば、フィールドの周波数組成、および/またはフィールド全体のパワーもしくは強度レベルが異なっていてもよい。
【0149】
一例として、1つ以上の実施形態によれば、RF発生器84はパルスRF駆動信号を供給するように適合され得、少なくとも2つのモード間の切り替えは、パルスRF駆動信号のデューティサイクル(周波数)の変化を制御することを含む。これは、例えば、RFフィールド形状の機械的および/または電気的修正と組み合わせて行うことができる。
【0150】
デューティサイクルを制御することにより、例えば通常の洗浄のための低強度と、局所的な問題のある箇所を治療するための高強度との間で全体的な洗浄の強度を調整することができる。したがって、高強度パルスは、ターゲット領域または場所において高強度洗浄を提供することができる。
【0151】
適合可能なデューティサイクルを用いたRFパルス方式は多くの臨床用途で有用である。例えば、RFパルス治療を用いて口腔内の神経を刺激し、それによって神経痛を和らげることができる。パルス治療は、唾液管を刺激することによって慢性的な口の乾燥を和らげるためにも使用できる。
【0152】
デューティサイクルの調整により、治療の強度を調整できる。これによって、口腔組織の過度のシミュレーションを回避できる。高いデューティサイクル周波数と低いデューティサイクル周波数とを交互にすることで、装置100の過熱を防ぐこともできる。
【0153】
パルスデューティサイクルの変更は、モードを切り替えるときに単独で使用されてもよく、または他の可能な実装オプション(以下で説明)と組み合わせて使用されてもよい。
【0154】
デューティサイクルの実装および調整は、RF発生器84自体によって制御されてもよく、または、RF発生器と動作可能に結合され、異なる選択可能なモード間のデューティサイクルを制御するように適合されたコントローラが含まれてもよい。
【0155】
例として、生成されたフィールドの総出力パワーは、有利な実施形態によれば、0.1W~15W、例えば0.1W~10Wの範囲内であり得る。これらの範囲はユーザの口内での使用に安全であり、かつ上記の治療効果を提供するのに十分である。
【0156】
1つ以上の実施形態によれば、少なくとも2つのモード間の切り替えは、電極に供給される駆動信号の周波数構成を調整することを含み得る。
【0157】
少なくとも1つの実施形態のセットでは、例えば、少なくとも1つのモードにおいて、RF発生器84は、周期的に繰り返されるRF周波数のサイクルまたはシーケンスを含む駆動信号を生成するように構成され得る。これは、例えば、周波数のスイープであってもよい。
【0158】
好ましくは、少なくとも1つの他のモードにおいて、駆動信号は、単周波数駆動信号(1つの周波数のみ)であり得る。
【0159】
追加でまたは代わりに、少なくとも2つのモード間の切り替えは、時間サイクルまたはスイープに含まれる周波数を調整することを含み得る。
【0160】
周波数のサイクルまたはシーケンスは周波数のスイープ(例えば、周波数の連続スイープ)を含み得る。代わりに、一連の刻まれる離散周波数のシーケンスを含んでもよい。
【0161】
このよう周波数スイープまたはシーケンスの使用は多くの臨床用途にとって有用である。例えば、腔内の神経を刺激し、それによって神経痛を和らげるために有用であり得る。また、唾液管を刺激することによって慢性的な口の乾燥を和らげるのにも有用であり得る。
【0162】
上述のように、モード変更を実装する手段の第2の大きなグループは機械的手段である。
【0163】
具体的には、ある実施形態のグループでは、モード間の変更は突出部材14a、14bの移動パターンの変更に基づく。
【0164】
突出部材の位置または移動パターンを制御するように適合されたアクチュエータが設けられ得る。これは、例えばコントローラに動作可能に結合される可能性があり、コントローラは、アクチュエータの制御に基づいてモード変更を制御するように適合され得る。
【0165】
少なくとも1つの実施形態のセットによれば、移動を実装するために、複数の突出部材のそれぞれが、可撓性であるように適合され得、突出部材の少なくとも遠位端部分が部材の近位端20に対して屈曲または振動することを可能にし得る。これにより、例えば、可撓性が横方向(すなわち、突出部材の高さ軸に垂直な方向)である場合、突出部材の遠位端22の横方向移動スイープが可能になり得る。
【0166】
この可撓性(例えば、弾性体の変形によって受動的に、または遠位端22の局所的な硬直または硬化などの作動によって能動的に)を促進するために、部材自体が可撓性材料で形成されてもよく、または、例えば横方向または軸方向に、支持面に対して突出部材の弾性変位を可能にする接続要素を介して支持面に接続され得る。これは、可撓性または弾性接続部材であってもよいし、スイベルジョイント、または部材の近位端に付勢を加えることで中立位置に向かって付勢するように適合された他の接続要素であり得る。
【0167】
装置100はさらに、突出部材に移動、例えば振動などの周期的な移動を加えるためのアクチュエータを含み得る。アクチュエータは、突出部材の少なくとも遠位部分の振動を引き起こすように構成された振動機構82であってもよい。
【0168】
少なくとも2つのモード間の切り替えは、突出部材の振動数を調整することに基づき得る。
【0169】
図7および図8に例が示されている。図7は口腔洗浄ユニット10を示し、図8は、機械的振動機構82(例えばバイブレータ、ドライブトレイン)の形態のアクチュエータを含む、口腔洗浄または治療装置の構成要素を示す。図8の例における振動機構は、支持体12に横方向の振動を加えるように適合されている。しかし、他の例では、振動機構は、一部の例では垂直方向の振動(例えば、タッピング運動)、または回転方向(ラジアル方向)の振動を加えるように適合され得る。
【0170】
図7および図8において、各突出部材は横方向34に可撓性を有するように適合され、横方向の次元は、部材の高さの次元32(H)に垂直であり、突出部材の少なくとも遠位端部分が部材の近位端20に対して横方向に屈曲または振動することを可能にする。各突出部材の高さ軸は、近位端20から遠位端22に伸びる。
【0171】
モード間の変更は、突出部材14a、14bの近位端20に加えられる駆動振動の特性を変更することに基づくことができる。支持体12自体に振動を加えることで、突出部材が接続された支持面13を振動させてもよい。
【0172】
例えば、少なくとも1つのモードでは、支持面13において適切な作動または振動を加えることで、各突出部材の近位端20が振動変位させられてもよい。突出部材の横方向の可撓性のため、これは、突出部材14の遠位部分の横方向の振動運動を誘発する。結果として、RFフィールドはそのモードではより広い領域にわたり広がり、RFフィールドの高強度領域の位置に振動変動を引き起こす。したがって、これを使用することでより広範囲の分散洗浄モードを実装できる。他のモードでは、振動を無効にするか、またはより低いレベルに設定することができ、それによって、例えば局所的な高強度洗浄動作に適した、より局所的に集中したフィールド強度分布をもたらすことができる。
【0173】
一部のモードでは振動数をゼロにすることができ、突出部材14は振動せず、静止状態に保たれる。
【0174】
各突出部材の遠位端22は、近位端の横振動に応答して、近位端20に対して横方向に屈曲または振動するように適合され得る。
【0175】
例として、各突出部材は、少なくとも±5°の最大横方向たわみ角度で屈曲可能であるように適合され得る。非限定的な例として、各突出部材は、例えば±5°~±45°の最大横方向たわみ角度を有することができる。
【0176】
上述のように、各突出部材14、14bは層状部材の形態を有し得る。洗浄ユニット10を斜視図で示す図8に例が示されている。
【0177】
図示のように、層状突出部材14a、14bはそれぞれ支持面13上の線から伸び、したがって、支持面上に細長い線形フットプリントを画定する。この例では2つの突出部材が互いに向き合って配置される。
【0178】
この例における各層状突出部材14a、14bの平面は横方向次元34に垂直に延在しているので、各突出部材は、各突出部材が画定する平面に垂直な方向において屈曲可能であるように適合される。突出部材のたわみの方向が図8において弓形の矢印で示されている。
【0179】
部材の曲げ剛性が層状平面に垂直な方向において減少するので、突出部材14の層状形状は可撓性を高める。これは、部材の横方向の可撓性の方向、すなわち層状部材の平面に垂直な次元を拘束または画定するのにも有用である。
【0180】
他の例示的な洗浄ユニット10が図9に示されている。
【0181】
ここでは、洗浄ユニット10は、第1の列に配置された複数の第1の突出部材14aと、第2の列に配置された複数の第2の突出部材14bとを含み、第1の列および第2の列は互いから離れて向かい合うように配置されている。
【0182】
突出部材14を複数のより小さい突出部材に分割することは、部材の所望の振動特性を微調整するのを助け得る。より小さな部材は、例えば、それらのより小さな質量のために、より小さなたわみの振幅を呈し得る。部材は異なる横方向固有振動数を有してもよく、これは、電極の共振振動数を微調整するのに有用であり得る。これについて以下に詳述する。
【0183】
可撓性を可能にするために、突出部材14a、14bはそれぞれ可撓性材料を含み得る。この例では、各部材が可撓性材料によって少なくとも部分的に形成される。各部材は、例えば、全体が可撓性材料で構成されていてもよいし、一部分のみが可撓性材料で形成されていてもよい。
【0184】
1つの可能な例として、各突出部材はナイロン材料を含むことができ、またはゴムなどのエラストマー材料を含んでもよい。
【0185】
他の例では、可撓性は、例えば、突出部材の近位端と支持面との間に接続された可撓性ピボットまたは接合部材を用いるなど、異なる方法で実現され得る。
【0186】
ある実施形態のセットによれば、突出部材はそれぞれ、可撓性ポリマーで少なくとも部分的にコーティングされた1つ以上の導電性電極要素を備え得る。これは、導電性電極コアがポリマーによってその側面の周囲で絶縁され、安全性を高め、かつ/または他の突出部材との短絡のリスクを低減するので、有利である。
【0187】
しかし、他の例では、突出部材14は、電極を提供するために導電性外層でコーティングされた可撓性ポリマーコアを備えてもよい。他の例には、金属およびポリマーの積層体から形成された層状突出部材が含まれる。
【0188】
他の例では、突出部材14は導電性ポリマー材料から形成され得る。このような材料は通常、金属に比べて大きな弾性特性を有するため、RFエネルギー送信のための導電特性と、必要な弾性特性との両方を提供できる。各部材を2つの材料ではなく単一の材料のみから形成できるため、製造が単純化される。
【0189】
しかし、他の選択肢は、突出部材14が層状金属要素で形成されることも含み、平坦な層状形状が必要な横方向の可撓性を提供し、金属材料が必要な導電特性を提供する。任意の適切な導電性金属を使用することができる。好ましい例はステンレス鋼であり得る。
【0190】
装置100は、突出部材14a、14bがゼロ振動を有する第1のモード、および突出部材が非ゼロ振動を有する少なくとも第2のモードに構成可能であり得る。ゼロ振動モードでは、突出部材14a、14bは支持面13に対して実質的に静止している。これは、局所的な高強度フィールドを生成するのに役立つ。
【0191】
上述のように、作動または振動機構82は、洗浄ユニット10の支持面13を調整可能な振動数で振動させ、それによって突出部材14a、14bの振動を引き起こすように構成されてもよく、モード間の切り替えは、支持面の振動数を調整することを含む。
【0192】
これは、支持体12(例えばプラテン)に振動を加え、それによって支持面13の振動を引き起こすように構成された作動または振動機構82を示す図8に示されている。
【0193】
作動または振動機構82は、振動運動を生成するためのモータまたはアクチュエータと、振動運動を洗浄ユニット10に機械的に結合するように構成された機械的結合要素83、例えば駆動シャフトまたは他の機械的コネクタとを含み得る。これらの構成要素は装置のドライブトレインを形成し得る。
【0194】
装置はさらに、機械的オシレータと動作可能に結合され、振動機構82のモータによって洗浄ユニットの振動数を制御するように適合されたコントローラ21を備えてもよい。コントローラは、機械振動子の制御に基づいて異なるモード間の切り替えを制御することができる。
【0195】
口腔洗浄ユニット10は、作動または振動機構82の結合要素83(例えば、駆動シャフト)を受け入れるように成形され、作動または振動機構の作動または振動を支持面13に結合するように構成された機械的結合部分(図示せず)、例えば連結スロットまたは溝を備え得る。
【0196】
機械的作動または振動機構82は、具体的には、洗浄ユニット支持面13の横振動を誘導するように構成され得る。例えば、振動は、突出部材14の少なくとも遠位先端を横方向に振動させるように構成され得る。先端とは突出部材の終点を意味する。
【0197】
なお、機械的作動または振動機構82の使用が、突出部材の移動を誘導するための唯一の手段ではないことに留意されたい。例えば、代わりに、突出部材に付勢または推進力を直接加えて移動を誘導するように構成された専用のアクチュエータまたはドライバを設けられてもよい。これにより、振動運動、または異なる運動パターンが誘導され得る。生成されるRFフィールドパターンを再構成するための、突出要素の単純な位置変更であってもよい。
【0198】
洗浄ユニット10はさらに、複数の洗浄要素42、例えば洗浄ユニットの表面から外向きに伸びる、歯を洗浄するための毛を備えることができる。機械的作動または振動機構82による洗浄ユニットの振動は、毛42の振動を誘導するように構成されてもよい。言い換えれば、毛の振動を駆動する振動が、突出部材14a、14bの移動または振動も駆動する。
【0199】
毛42および突出部材14a、14bは、好ましくは同じ表面13に結合され、したがって同じ振動作用で両方の振動を駆動することができる。
【0200】
好適な実施形態のセットによれば、各突出部材の少なくとも一部分が、部材の近位端20に対して固有振動(例えば、横振動)数を示し得、第1のモードでは、支持面13の上記振動数は、上記固有振動数と共振する振動数に設定され、第2のモードでは、支持面の上記振動数は、固有振動数と共振しない振動数に設定される。
【0201】
固有振動数と共振する振動数への言及は、例えば、当該固有振動数と一致するか、またはそれと調和する振動数、言い換えれば、突出部材14の共振振動を引き起こすまたは誘導するように、すなわち、突出部材が共振するように構成された振動数を意味する。第2のモードでは、振動数は、突出部材の共振振動を引き起こさないように選択される。
【0202】
したがって、第1のモードでは、突出部材14a、14bの共振振動が誘導され、電極18a、18bに近いフィールドの高強度領域がより広範囲にわたってスイープされる。したがって、第1のモードでは突出部材(例えば、その遠位先端)の振動の振幅(図8に弓形の矢印で示される)が最大化され、さらに、洗浄ユニットの支持面13に加えられる振動の振幅よりも大きくなり得る。第2のモードでは、振動の振幅が減少することにより、高強度フィールド治療をより小さな領域に拘束することができ、その領域はより大きな時間平均強度の放射線を受ける。
【0203】
したがって、第2のモードは、局所的でターゲットを定めた高強度RF治療に有用であり、第1のモードはより一般的またはより広範囲の治療に有用である。
【0204】
上述のように、洗浄ユニット10はさらに、洗浄ユニット10の表面13から外向きに伸びる、歯を洗浄するための複数の毛42を備えてもよく、機械的振動機構による洗浄ユニットの振動は、毛の振動を引き起こすように構成され得る。
【0205】
したがって、上記実施形態は、送達されるRF治療モードを、毛42の振動作用から完全に切り離すまたは分離することを可能にする。具体的には、装置100によって送達されるRFエネルギーフィールドの形状および強度分布は、支持体12の振動数の変動を介して、そしてこれを突出部材14の機械的共振振動数に従って調整することで、毛の運動作用とは独立して制御することができる。
【0206】
各突出部材14a、14bの共振振動数(固有振動数)は突出部材の材料特性、およびその寸法(高さ、幅、厚さ)に依存する。したがって、各部材14の横振動の固有振動数は、製造時にこれらのパラメータを調整することに基づいて微調整することができる。
【0207】
固有振幅を上昇させるために、突出部材14a、14bの遠位先端22は、部材の残りの部分より大きな質量密度を有するように設計され得る。これにより、部材は先端に向かって重くなる(重心が部材の近位端20よりも遠位端22に近い)。
【0208】
突出部材14の固有振動数は幅にも依存する。したがって、例えば上記の図9の例に示すように、複数の幅の狭い突出部材を設けることによって、より高い固有振動数を実現することができる。
【0209】
非限定的な例として、振動機構82によって支持体に加えられる振動は50~500Hzの範囲内であり得る。突出部材の固有共振振動数は、この振動数範囲の部分範囲になるように適合され得る。
【0210】
好適な例では、第2のモードにおいて、支持面13の振動数は、突出部材14a、14bの固有振動数に対して反共振である振動数に設定され得る。
【0211】
反共振とは、例えば反調和を意味する。これは、例えば、固有振動数の高調波の間、例えば第1高調波と第2高調波との間の振動数に設定されることを意味する。
【0212】
つまり、第2のモードにおいて、振動は突出部材14a、14bの固有振動数に対して反共振であり、これは、突出部材の移動の振幅が減少し、部材が理想的には静止したままであることを意味する。
【0213】
他の実施形態のセットによれば、各突出部材14a、14bは、支持面13に接続された近位端20を有し得る。各突出部材の近位端と接する、または各突出部材の近位端を取り囲む支持体12の領域42は第1の機械的共振振動数のセットを有し、表面の残りの部分44は第2の共振振動数のセットを有する。
【0214】
第1のモードでは、支持面13は、両方の領域が共振する振動数で振動するように駆動され得る。第2のモードでは、支持面は、第1の領域と共振せず、第2の領域と共振する振動数で振動するように駆動され得る。したがって、この実施形態は上述の共振する突出部材の実施形態と同様の概念に従っているが、ここでは、突出部材14a、14bが結合されている支持構造体12が異なる振動数で共振できるように構成されている。具体的には、支持構造体12は、異なる共振振動数またはスペクトルを有する異なる材料領域を有する。
【0215】
この概念は、1つの突出部材14aと、この突出部材が接続されている支持面13の領域42とを示す図10に示されている。この領域は支持面のユニットセルと呼ばれ得る。第1および第2の振動数(振動数1および振動数2)のそれぞれで振動するときの支持面の一部分が図10に概略的に示されている。表面領域42は、第1の突出部材14aおよび第2の突出部材14bの近位端が接続される支持面13の領域またはユニットセルを表す。表面領域44は、支持表面の残りの部分の領域またはユニットセルを示す。第1のモード(「モード1」)では、支持面13は振動数1で振動する。第2のモード(「モード2」)では、支持面13は振動数2で振動する。
【0216】
突出部材14a、14bのそれぞれに隣接するか、またはそれぞれを取り囲む材料領域42は、第1の振動数セット内で共振するように構成されており、残りの領域44(例えば、毛が突出している領域)は、第2の重複する振動数セットで共振するように構成されている。
【0217】
分散された広範囲RF洗浄モードが望まれる場合、支持構造体12は、支持構造体領域の両方のセットの共振振動数セット内(2つの領域セットの共振振動数間の重複範囲内)の振動数(振動数1)を有する振動を用いてモード1で駆動され得る。結果として、支持面42、44のユニットセルのすべてが共振するように誘導される(図10の各セルの波線によって示されている)。結果として、領域42の振動により、突出部材14a、14bの近位端に振動が誘導される。したがって、突出部材が振動するように誘導され、空間的に分散されたRF強度分布がもたらされる。
【0218】
対照的に、局所的な高強度洗浄モードが望まれる場合(「モード2」)、支持構造体12は、突出部材14a、14bに隣接する領域42の共振振動数のセットから外れた振動数であって、支持構造体12の残りの領域44の共振振動数である振動数を用いて駆動され得る。このモードでは、(セル42bの白塗りによって概略的に示されているように)突出部材が結合されている支持面13のユニット42が共振しないため、突出部材は大きな振幅で振動するようには誘導されないが、毛が結合されている表面の領域44は共振しているので、毛は依然として高振幅で振動することができる。
【0219】
好ましくは、第2のモードでは、支持面は、各突出部材14a、14bにつながるか、または各突出部材を取り囲む支持体の領域42の共振振動数の範囲に対して反共振または反調和である振動数で振動するように駆動され得る。
【0220】
突出部材14a、14bはそれぞれ、突出部材14a、14bが接続される支持面13の領域42の上記第1の機械的共振振動数のセットに含まれる固有または共振振動数を有し得る。一部の例では、同じ機械的共振振動数のセットを有し得る。
【0221】
支持面の異なる領域42、44の異なる共振振動数範囲は、1つ以上の実施形態によれば、音響メタマテリアルを使用することによって実現され得る。
【0222】
メタマテリアルは新興技術であり、材料組成ではなく構造(1つ以上の材料の幾何学的配置)によって特徴付けられる人工材料に関連する。メタマテリアルは、例えば負の屈折率など、自然発生する材料では得られない新しい物理的特性および特徴の実現を可能にする。
【0223】
負またはほぼゼロのダイナミック密度および/または弾性率を示す音響メタマテリアルが形成され得る。音響メタマテリアルは、例えば周期的な配置の複数のサブ波長ユニットセルから構成され得る。音響メタマテリアルは、波がその材料を通って伝播できない機械的(音響的)振動数帯域を呈することによって特徴付けられる。これらの非伝播振動数帯域は、材料のバンドギャップと呼ばれる。材料の異なるユニットは異なるバンドギャップを有し得る。これらは、エネルギーを操作する従来とは異なる方法を可能にする。
【0224】
本発明の実施形態では、音響メタマテリアルは、上述の異なる材料領域42、44(ユニットセル)を有する支持体12(例えば、プラテン)の提供を可能にする。突出部材14が接続された単位セル42が第1のバンドギャップ(音響振動が発生し得ない振動数範囲)を有し、残りの単位セル44がこのバンドを有さない、または異なるバンドギャップを有するメタマテリアル支持体12が提供され得る。第1のモードでは、支持体は、すべての材料領域42、44のバンドギャップから外れた第1の振動数で振動することができる。これにより、突出部材の基部の領域を含む支持体のすべての領域が振動する。したがって、突出部材が振動し、空間的に分散したRFフィールドが生成される。第2のモードでは、支持体は、突出部材が接続される領域42の(第1の)バンドギャップ内であるが、残りの領域44のバンドギャップ内ではない第2の振動数で振動することができる。これにより、突出部材の基部の領域を除く支持面13のすべての領域が振動する。よって、突出部材は振動しない。
【0225】
一部の実施形態では、バンドギャップを呈する1つ以上の材料ゾーンを含む音響メタマテリアル支持体12を提供することができる。複数の突出部材14のサブセットはこれらの領域内で支持面13に接続される。また、さらなるサブセットがこれらの領域外で支持面13に接続される。これにより、特定の振動数での振動が発生しない空間ゾーンが画定された洗浄ユニットが得られ、したがって、これらのゾーンに配置された突出部材のサブセットは、支持体がバンドギャップ内の振動数で振動するときは振動しない。したがって、支持体がこれらの振動数で振動するとき、突出部材のゾーンは実質的に静止したままであり、これらのゾーンで局所的により高い強度のRFフィールドが生じる。
【0226】
バンドギャップを有するこれらのメタマテリアルゾーンは、洗浄ユニットが口内に収容されたときに口内の構造の特定の解剖学的特徴または構造体と一致するように設計された、洗浄ユニットの支持面13上の位置に配置され得る。例えば、装置はマウスピース装置であってもよく、バンドギャップゾーンはマウスピースの表面の特定の領域に形成されてもよい。
【0227】
好適な実施形態のセットによれば、装置は、生成されたRFフィールドの空間強度分布をさらに調整するために、異なる突出部材サブセットの振動特性の選択的調整を可能にする手段を含み得る。これは、いくつかの異なる形で実現することができる。
【0228】
ある実施形態のセットでは、各突出部材の近位端に能動的機械的減衰要素が設けられてもよく、各部材の近位端に調整可能な機械的減衰を適用するように適合され得る。このようにすることで、機械的作動または振動機構82によって加えられる振動に応答した異なる突出部材サブセットの振動の振幅を選択的に調整することができる。例えば、高レベルの減衰を第1の突出部材サブセットに適用し、低レベルまたはゼロの減衰を第2のサブセットに適用することで、第2のサブセットと比較して、第1のサブセットが支持面に対して減少した振幅を示すようにすることができる。減衰される具体的な部材サブセットおよび減衰されないサブセットは、得られるRFフィールドの空間強度分布を異なるモード間で調整するために、(例えば、コントローラ21によって)異なるモード間で調整されてもよい。
【0229】
減衰要素は、例えば、各突出部材の基部の周りに延在し、調整可能な機械的抵抗を加えるために、突出部材に調整可能なラジアル方向内向きの力を及ぼすように動作可能なリング要素を備え得る。
【0230】
追加でまたは代わりに、1つ以上の実施形態によれば、異なる突出部材サブセットが異なる固有振動数を示す突出部材を設けることに基づいて、異なる突出部材サブセットの振動特性が異なるモードで調整されてもよい。このようにすることで、異なるモードで部材(例えば、支持面)に加えられる機械的振動の振動数を選択的に調整することに基づいて、異なるサブセットを異なるモードでより大きな振幅またはより小さな振幅で振動させることができる。
【0231】
追加でまたは代わりに、他の実施形態のセットによれば、少なくとも1つ以上の突出部材サブセットに二次作動または力印加を提供するように構成された二次作動または強制構成を設けることができる。これは、例えば、毛を振動させるために支持面に加えられる一次振動に選択的に対抗するために使用され得る。
【0232】
1つ以上の実施形態によれば、口腔洗浄または口腔治療装置100はさらに、磁力または電磁力を各突出部材に作用させるように動作可能な磁力または電磁力印加構成を備え得る。モード間の切り替えは、磁力または電磁力印加構成の使用に部分的に基いて突出部材の移動パターンを調整することを含む。力印加構成は能動的であっても受動的であってもよい。
【0233】
簡潔にするために、この構成は本明細書では単に磁気力印加構成と呼ばれる。
【0234】
図11に例が概略的に示されている。これは、磁力印加構成と一対の突出部材14a、14bとを備える例示的な洗浄ユニット10を示す。洗浄ユニットはさらに、図11に概略的に示されている複数の毛束42を備える。この例では、力印加構成は能動的な力印加構成である。
【0235】
この例では、磁力印加構成は、第1の突出部材と第2の突出部材との間に配置されたさらなる(中央)突出部材92を備える。これは一部の例では、RFフィールドをさらに成形するための誘電バリア部材であってもよい。
【0236】
第1の突出部材14aおよびさらなる突出部材92の一方は永久磁石94を含み、他方は永久磁石の磁界内に配置されたソレノイド88aを含む。ソレノイドは、例えばワイヤコイルまたはループを含み得る。
【0237】
同様に、第2の突出部材14bおよびさらなる突出部材の一方は永久磁石94を含み、他方は永久磁石の磁界内に配置されたソレノイド88bを含む。ソレノイドは、例えばワイヤコイルまたはループを含み得る。この例では、第1の突出部材14a内の第1のソレノイド88aと第2の突出部材14b内の第2ソレノイド88bとを磁気的に結合するために、単一の永久磁石が中央突出部材92内に設けられている。
【0238】
各突出部材14a、14bに作用する生成された磁力は、それぞれのソレノイド88a、88bに供給される電流を制御することに基づいて制御可能である。ソレノイドへの電流の供給を制御するためにコントローラがさらに設けられ得る。
【0239】
これは、異なるモードでの突出部材14a、14bの位置または移動を制御して、異なるモード間で空間RF電界強度分布を変更するために、単独で、または上記で概説した他の特徴と組み合わせて使用され得る。
【0240】
例えば、1つ以上の実施形態によれば、支持面13は第1の振動数で振動し得る。これは、例えば、洗浄ユニットの毛42を振動させるために部分的に使用されてもよい。装置のあるモードでは、磁力印加構成は、支持面の振動と同期して突出部材14a、14bに(磁気または電磁気)反力のパターンを付与し、支持面13の移動に起因した突出部材14a、14bの移動に対抗するように制御され得る。
【0241】
支持面13の振動は、洗浄ユニット10に含まれ、支持面13から伸びる毛42を振動させるためのものであり得る。この振動により、反力がない場合、突出部材も振動させられる。局所的により集束した強度モードの場合、突出部材が実質的に静止しているか、または突出部材の振動が最小限に抑えられていることが望ましい。磁力印加構成は、支持面の振動によってさもなければ生じていたであろう各突出部材の移動に対抗するように、支持面の振動と同期して(または反同期して)、生成された電磁力を印加する。
【0242】
これは、突出部材14a、14bが支持面13に対して実質的に静止していることが望ましい高強度洗浄モードにおける磁力印加構成の動作を示す図12に概略的に示されている。図12の例では、支持体12は横振動で駆動され、磁力印加構成は、突出部材の横振動に対抗する反力を印加するように構成されている。しかし、振動および対応する反力は他の例では他の方向を有し得、例えばラジアル(回転)振動および反力、または垂直もしくは軸方向(上下)振動および反力であり得る。
【0243】
図12は、横振動で駆動されている支持面を示す。図12aは第1の方向における支持体12の振動のフェーズを示し、図12bは第2の反対方向における振動のフェーズを示す。各フェーズにおける表面13のこの移動(黒い矢印で示される)は、対応する横方向の力(白い矢印で示される)を各突出部材に及ぼす。第1のフェーズ(図12a)では、ループ、コイル、または平面ソレノイド88a、88bが第1の方向の電流で駆動され、それによって、第1の突出部材14aを中央突出部材92に向かって引っ張り、第2の突出部材14bを中央部材92から遠ざける磁界誘導反力を生成する(陰付き矢印によって示されている)。第2のフェーズ(図12b)では、ループ、コイル、または平面ソレノイド88a、88bが反対方向の電流で駆動され、それによって、第1の突出部材14aを中央突出部材92から遠ざけ、第2の突出部材14bを中央部材92に向かって引っ張る力を有する磁界を生成する(影付きの矢印で示されている)。したがって、生成された磁力は、振動する支持面によって引き起こされる突出部材の移動に対抗するように制御される。好ましくは、反力は振動力と正確に一致し、突出部材を静止させる(振動させない)。
【0244】
少なくとも第2のモードでは、磁力機構を無効化することができる。その場合、第2のモードは広範囲洗浄モードであってもよい。したがって、第2のモードでは、突出部材14a、14bは、各々の近位端20にある支持面13の振動により自由に振動し、したがって、フィールド強度分布はより空間的に分散したまたは均一なものになる。
【0245】
他の実施形態では、機械的振動機構82による振動を用いずに、突出部材14a、14bの特定の振動運動パターンを誘導するために、磁力印加構成が単独で使用されてもよい。
【0246】
ソレノイド88a、88bおよび例示的なソレノイド駆動回路が図13に概略的に示されている。説明を簡略化するために、ソレノイドコイルはページから飛び出す方向に向いているように示されている。しかし、実際にはコイルはそれぞれ、永久磁石を含む中央突出部材92に面するように配置される(すなわち、図13に示される向きに対して90度で)。
【0247】
各ソレノイド88a、88bは、例えば、各突出部材14a、14b上にエングレービングまたはインプリントされ得る導電コイルを備える。コイルは平坦な平面コイルであってもよいし、管状であってもよい。コイルは単一のループコイルであってもよいし、多重巻きコイルであってもよい。コイルがエングレービングされている場合、RF電極18との干渉を防ぐためにコイルを覆う電気絶縁層が設けられてもよい。図示されるように、この例では、第1のソレノイド88aおよび第2のソレノイド88bは互いに電気的に並列に結合され、回路のレールが振動ドライバ86に接続されている。従って、ソレノイドの駆動はこの例では同期している(ただし、別の例では非同期駆動も可能である)。
【0248】
好適な例では、磁力印加構成の駆動、および機械的振動機構82、例えば(支持構造体12を振動させる)ドライブトレインの駆動は、共有振動ドライバまたは信号発生器を使用して両方を制御することによって同期状態に維持される。この振動ドライバは機械的振動機構自体によって含まれてもよく、その場合、磁力印加構成は振動機構のドライバによって駆動される。例えば、電動歯ブラシでは、共有ドライバは電動歯ブラシのドライブトレインであってもよい。
【0249】
図14には、この構成の例が概略的に示されている。
【0250】
図示のように、機械的オシレータ82は、支持体を振動させるために機械的オシレータのモータを駆動する電流を生成する電気的振動信号発生器86を備える。この信号発生器はさらに、磁力印加構成の駆動回路に結合される。したがって、両者が互いに同期して駆動されることで、ソレノイド88a、88bによって生成される磁力が横振動の力として常に同時に生成され、互いに反し合うまたは打ち消し合うことができる。
【0251】
上述の磁力印加構成の例は能動的な磁力印加構成の例に関する。しかし、受動的な選択肢も可能である。
【0252】
例えば、構成は、図12図14の例における各ソレノイド88の代わりに設けられた導電性プレートまたはシートを含むことができ、平面が永久磁石に面するように配置されている。そのような導電性シートが永久磁石に対して第1の方向に移動すると、シート内で渦電流が誘導され、これらの渦電流は、導電性シートの移動方向とは反対の磁力を誘導する二次磁場を誘導する。したがって、この構成は、(機械オシレータ82による)支持面の振動によって引き起こされる突出部材の移動に磁気的に抵抗する受動的渦電流ダンパーを提供する。
【0253】
装置の異なるモード間の変更が、突出部材の位置または移動パターンの変更を制御することを含む機械的手段によって実現される多くの実施形態を説明してきた。これは、生成されるRFフィールドの空間強度分布に変化をもたらす。
【0254】
1つ以上の実施形態によれば、上記機械的手法のうちの任意のものが、RFフィールド強度分布を制御するための電気的手段と組み合わせられ得る。例えば、異なる突出部材電極サブセットを選択的に電気的に有効化または無効化することができる。例えば、コントローラは、振動している突出部材のサブセットの電極に駆動信号を選択的に供給し、一方、(例えば、反力によって)振動しないように制御されている電極のサブセットへの駆動信号は無効化されるように構成されてもよく、その逆も当てはまる。
【0255】
口腔洗浄および/または治療装置100は、洗浄ユニットに機械的かつ電気的に結合された制御ユニットまたはボディ部分92をさらに備えてもよい。機械的振動機構82は、この例ではボディ部分に収容されてもよい。RF発生器84もボディ部分(図14には図示せず)に収容されてもよい。さらに、振動機構およびRF発生器84の両方に動作可能に結合され、装置のモードの構成を制御するように適合されたコントローラ21がボディ部分(図示せず)内に設けられてもよい。
【0256】
上記例では、異なるモード間の変更は突出部材の移動パターンの変更に基づいているが、これがRF電界強度分布を機械的に変更する唯一の方法ではないことに留意されたい。他の例としては、単純に突出部材の位置を変更することによって生成されるフィールド分布を変更すること、例えば、RFフィールドを広げるために突出部材を引き離すこと、またはより局所的に集束したフィールドを実現するために突出部材を互いに近づけることが挙げられる。これは例えば、適切なアクチュエータを使用して実現されてもよい。適切なアクチュエータの例としては、圧電アクチュエータ要素、強誘電性ポリマーアクチュエータ、CMUTアクチュエータ要素、EAP(electroactive polymer)作動要素、電磁レオロジーアクチュエータ、または任意の他の適切な例が挙げられ得る。
【0257】
上述したように、口腔洗浄および/または治療装置は異なる形態をとることができる。一例では、装置100は歯ブラシ装置である。図15に例が概略的に示されている。この例の清掃ユニット10は歯ブラシ用のブラシヘッドである。
【0258】
装置はさらに、RF発生器84を収容するボディ部分92と、洗浄ユニット10に機械的かつ電気的に結合されたボディ部分とを備える。図15に示される例では、ボディ部分はさらに、1つが含まれる機械的振動機構82を収容する。ボディ部分はさらに、RF発生器および機械的振動機構に動作可能に結合され、異なるモード間の切り替えを制御するように適合されたコントローラ21を収容してもよい。
【0259】
ボディ部分92は洗浄ユニット10部分に電気的かつ機械的に結合されている。図15は、オシレータ機構82を洗浄ユニット支持体12と機械的に結合する機械的コネクタ要素83(例えば、駆動シャフト)を概略的に示す。ボディ部分92は装置のハンドルを形成する。ヘッドとボディ部分との間にも電気接続が設けられる。
【0260】
任意選択で、洗浄ユニット10は、洗浄ユニットをボディ部分から取り外しできるように、ボディ部分92に着脱可能に結合可能であるように構成されてもよい。
【0261】
結合されたハンドルまたはボディ部分を含まない可能性があるブラッシングマウスピース装置など、他のタイプの口腔洗浄および/または治療装置が代わりに提供されてもよい。
【0262】
非限定的な例として、本発明の実施形態に従って提供され得る口腔洗浄または治療装置の例には以下が含まれる。
-歯ブラシ装置(電動歯ブラシなど)、
-口腔洗浄器、
-フロス装置、
-ブラッシングとフロスとを組み合わせた装置、例えば、電動ブラッシングを提供すると同時に流体を流すまたは噴射するように適合された装置、および
-ブラッシングマウスピース装置などのマウスピース装置。
【0263】
本発明の他の態様に係る例では、口腔洗浄装置の治療モードを構成する方法が提供される。
【0264】
口腔洗浄のための装置は、
支持体および少なくとも2つの突出部材を含む洗浄ユニットであって、少なくとも2つの突出部材は支持体の支持面から外向きに伸び、それぞれ1つ以上の電極を含み、突出部材は互いに離間している、洗浄ユニットと、
第1の電極および第2の電極に駆動信号を供給するように構成されたRF発生器であって、第1および第2の突出部材の周囲および間の領域内にRFフィールドを誘導することで、口腔洗浄ユニットが口腔内に配置されているときに口腔洗浄機能を提供する、RF発生器と、を備える。
方法は、
装置を少なくとも2つの治療モード、すなわち、装置が第1の空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第1のモードと、装置が第2の異なる空間強度分布を有するRFフィールドを生成する第2のモードとの間で選択的に調整することを含み、
モード間の切り替えは、突出部材の位置または移動パターンの変化を制御すること、および/またはRF発生器の駆動信号または駆動方式の特性の変化を制御することを含む。
【0265】
本発明の原理をさらに説明するために、図16は、1つ以上の好適な実施形態のセットに係る例示的なワークフローを概略的に表している。このワークフローは、例えば、1つ以上の実施形態に係る装置のコントローラによって実施される制御方法であってもよい。
【0266】
この例に係る洗浄または治療装置は、標準洗浄モードを表す少なくとも第1のモード(「モード1」)、および治療モードを表す少なくとも第2のモード(「モード2」)で動作可能である。治療モードは、口の特定の局所領域を治療するために、例えば、より強力なRF洗浄または異なるRF治療パターンもしくはタイプのために、その領域内に適合された(適合されたフィールド形状を有する)RFフィールドを適用し得る。
【0267】
デフォルトでは、装置は第1の洗浄モード202で起動する。
【0268】
コントローラは、補助的なRF治療を必要とすることが知られている所定の関心領域、例えば問題のある箇所の近くに装置の洗浄ユニットがあるときを検出するように適合される。これは、位置および/または向きセンサの使用に基づき得る。洗浄ユニットが関心領域に近いことの検出に応答して、コントローラは、第2のモード(「モード2」)への移行をトリガする206。あるいは、ボタンなどのユーザ入力要素からのユーザ入力コマンドに基づいて第2のモードへの移行が手動でトリガされてもよい。
【0269】
第2のモードでは、生成されたRFフィールドの空間強度分布が第1のモードと比較して変更される。RFフィールド分布の修正は、上述のように様々な形で実現することができる。フィールド分布の変更は、突出部材の位置または移動パターンの変更に基づいて機械的に実現することができる208。追加でまたは代わりに、フィールド分布の変更は、突出部材の選択された異なるサブセットの電極を選択的に有効化または無効化することに基づいて電気的に実現することができる。後者の手法は、所望のフィールド分布を有するRFフィールドを作成することができるように、特定の空間的な電極パターンに駆動信号を供給してRFフィールドエネルギーを生成することを可能にする。
【0270】
フィールド分布への機械的適合208もしくは電子的適合210、または両方に続いて、RFフィールドの1つ以上のさらなる電気的特性を変更することを含む任意選択のさらなるステップ212が実施されてもよい。このステップは、
RF周波数の周期的スイープを実施すること、
RFフィールドの周波数を変更すること、および
パルスRFフィールドを実現し、RFパルスのデューティサイクルを調整することのうちの1つ以上を含み得る。
【0271】
変更されたRFフィールドを有する治療モード(「モード2」)は、所定の終了トリガに達する214まで継続される。例えば、第1のモードに戻る変更は、所定の時間が経過した後、または所定の量のRFエネルギーが送達されたとき、例えば所定の数のRFパルスが送達されるとき、または洗浄ユニットが所定の関心領域(例えば、問題のある箇所)から離れたことをコントローラが検出したときにトリガされ得る。
【0272】
上述のように、特定の実施形態はコントローラを利用する。要求される様々な機能を実行するために、コントローラは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを用いて多様に実装され得る。プロセッサはコントローラの一例であり、要求される機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを使用する。しかし、コントローラを実装するのにプロセッサが採用されても採用されなくてもよく、また、一部の機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサおよび付随する回路)との組み合わせとして実装されてもよい。
【0273】
本開示の様々な実施形態において採用され得る制御コンポーネントの例は、限定はされないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0274】
様々な実装形態において、プロセッサまたはコントローラは、RAM、PROM、EPROM、およびEEPROMなどの揮発性および不揮発性コンピュータメモリなどの1つ以上の記憶媒体に関連付けられ得る。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサおよび/またはコントローラ上で実行されると、要求される機能を実行する1つ以上のプログラムを用いてエンコードされてもよい。様々な記憶媒体がプロセッサまたはコントローラ内に固定されてもよいし、または、移動可能で、記憶媒体上に記憶された1つ以上のプログラムがプロセッサまたはコントローラにロードされてもよい。
【0275】
図面、開示、および添付の特許請求の範囲に基づき、クレームされる発明を実施するにあたり、開示の実施形態の変形例が当業者によって理解および実施され得る。特許請求の範囲において、「備える」や「含む」という用語は他の要素またはステップを排除するものではなく、単数形は複数を除外しない。
【0276】
単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に記載される複数のアイテムの機能を果たし得る。
【0277】
複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせを好適に使用することができないとは限らない。
【0278】
特許請求の範囲または明細書において「適合させられた」との表現が使用されている場合、「適合させられた」との表現は「構成された」という表現と同等であると理解されたい。
【0279】
特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16