(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】押し込みやすさおよび操縦性が強化されたスコアリングバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240924BHJP
A61B 17/3209 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61M25/10 550
A61B17/3209
(21)【出願番号】P 2022573680
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020037001
(87)【国際公開番号】W WO2021251963
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハファー,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,マーク・ニコラス
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535006(JP,A)
【文献】特開平08-215312(JP,A)
【文献】特開平03-073167(JP,A)
【文献】特開平10-085339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0147001(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61B 17/3209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルであって、
シャフトであり、近位端部分、遠位端部分、および、前記シャフトの前記近位端部分から前記遠位端部分へと延在する支持体を有し、前記支持体の少なくとも一部が、らせん状部分を備える、シャフトと、
前記シャフトの前記近位端部分に装着されたハブと、
前記シャフトの前記遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
シャフト遠位端部と前記膨張可能バルーンの間で前記シャフトに固定された第1の端部、前記シャフトの前記近位端部分に連結された第2の端部、および、前記膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分を有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤと
を備
え、
前記支持体が、ワイヤを含み、
前記ワイヤの前記らせん状部分が、前記ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記支持体が、管を含む、バルーンカテーテル。
【請求項3】
請求項2に記載のバルーンカテーテルであって、
前記管の前記らせん状部分が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項4】
請求項2に記載のバルーンカテーテルであって、
前記管の前記らせん状部分が、前記ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項5】
請求項
1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記ワイヤの前記らせん状部分が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項6】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記スコアリングワイヤの前記第2の端部を前記シャフトの前記近位端部分に連結するためのばねをさらに含む、バルーンカテーテル。
【請求項7】
請求項1に記載のバルーンカテーテルであって、
前記少なくとも1本のスコアリングワイヤが、2本のスコアリングワイヤを備え、前記シャフトが、各スコアリングワイヤのための管腔を含む、バルーンカテーテル。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、
前記シャフトの前記遠位端部分が、前記バルーンに対して遠位にある入口と、前記膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む、バルーンカテーテル。
【請求項9】
請求項
8に記載のバルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ管腔を通って延在し、前記バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【請求項10】
バルーンカテーテルであって、
近位端部分、遠位端部分、および、前記近位端部分から前記遠位端部分へと延在する支持体を有し、前記支持体の少なくとも一部が、らせん状部分を備える、シャフトと、
前記シャフトの前記近位端部分に装着されたハブと、
前記シャフトの前記遠位端部分に装着された膨張可能バルーンであり、前記シャフトの前記遠位端部分が、前記バルーンに対して遠位にある入口、および、前記膨張可能バルーンに対して遠位にある出口を有するガイドワイヤ管腔を含む、膨張可能バルーンと、
シャフト遠位端部と前記膨張可能バルーンの間で前記シャフトに固定された第1の端部、前記シャフトの前記近位端部分に連結された第2の端部、および、前記膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分を有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤと
を備
え、
前記支持体が、ワイヤを含み、
前記ワイヤの前記らせん状部分が、前記ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項11】
請求項
10に記載のバルーンカテーテルであって、
前記少なくとも1本のスコアリングワイヤの前記第2の端部が、前記シャフトの前記近位端部分に運動可能に連結されている、バルーンカテーテル。
【請求項12】
請求項
11に記載のバルーンカテーテルであって、
前記支持体が、管を含む、バルーンカテーテル。
【請求項13】
請求項
12に記載のバルーンカテーテルであって、
前記管の前記らせん状部分が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項14】
請求項
12に記載のバルーンカテーテルであって、
前記管の前記らせん状部分が、前記ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項15】
請求項
10に記載のバルーンカテーテルであって、
前記ワイヤの前記らせん状部分が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項16】
請求項
10に記載のバルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ管腔を通って延在し、前記バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【請求項17】
バルーンカテーテルであって、
近位端部分、遠位端部分、および、前記近位端部分から前記遠位端部分へと延在する支持体ワイヤを有し、前記支持体ワイヤの少なくとも一部が、らせん状部分を備える、シャフトと、
前記シャフトの前記近位端部分に装着されたハブと、
前記シャフトの前記遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと
を備
え、
前記支持体ワイヤの前記らせん状部分が、前記ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項18】
請求項
17に記載のバルーンカテーテルであって、
シャフト遠位端部と前記膨張可能バルーンの間で前記シャフトに固定された第1の端部と、前記シャフトの前記近位端部分に連結された第2の端部と、前記膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分とを有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【請求項19】
請求項
18に記載のバルーンカテーテルであって、
前記第2の端部が、前記シャフトの前記近位端部分に運動可能に連結されている、バルーンカテーテル。
【請求項20】
請求項
19に記載のバルーンカテーテルであって、
前記スコアリングワイヤの前記第2の端部を前記シャフトの前記近位端部分に連結するためのばねをさらに含む、バルーンカテーテル。
【請求項21】
請求項
18に記載のバルーンカテーテルであって、
前記少なくとも1本のスコアリングワイヤが、2本のスコアリングワイヤを備え、前記シャフトが、各スコアリングワイヤのための管腔を含む、バルーンカテーテル。
【請求項22】
請求項
17に記載のバルーンカテーテルであって、
前記支持体ワイヤの前記らせん状部分が、前記シャフトの前記遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【請求項23】
請求項
17に記載のバルーンカテーテルであって、
前記シャフトの前記遠位端部分が、前記膨張可能バルーンに対して遠位にある入口と、前記膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む、バルーンカテーテル。
【請求項24】
請求項
23に記載のバルーンカテーテルであって、
前記ガイドワイヤ管腔を通って延在し、前記バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公報および特許出願は、それぞれの個々の公報または特許出願が参照によって組み込まれることを具体的にかつ個々に示されていた場合と同じ程度で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
バルーン拡張カテーテルは、血管内の病変を治療するために使用される。しかし、曲がりくねった生体構造を通り抜け、非常に狭い病変を安全に横断する際に困難に直面する。さらに、一部の病変はバルーンのみを使用して拡張することが難しく、病変を安全な膨張圧力で拡張するために集中的な力を必要とする。
【0003】
Solarらの米国特許第6,394,995号には、病変を治療するために、強化された力をもたらすために使用されるシステムが記載されている。このシステムは、ガイドワイヤ上で摺動可能な追跡部材を備えた柔軟な前進部材と、追跡部材に取り付けられた遠位端部を有するバルーンとを有する。このタイプのシステムは集中的な力に限界があり、押し込みやすさ(たとえばねじれ抵抗性)および操縦性が強化されていないことに苦慮する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、内部ガイドワイヤを省き、1つもしくは複数のらせん状カット部分または1つもしくは複数のばね状部分を有するワイヤまたは管などの支持体を含めることにより、押し込みやすさおよび操縦性が強化されたバルーンカテーテルが提供される。
【0005】
一態様では、本開示は、近位端部分と、遠位端部分と、シャフトの近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体とを備えるシャフトを有する、バルーンカテーテルに関する。支持体の少なくとも一部は、らせん状カット部分を備える。ハブは、シャフトの近位端部分に装着され、膨張可能バルーンは、シャフトの遠位端部分に装着される。少なくとも1本のスコアリングワイヤも提供され、少なくとも1本のスコアリングワイヤは、シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部と、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部と、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分とを有する。
【0006】
一実施形態では、支持体は、管を含む。管のらせん状カット部分は、シャフトの遠位端部分内に位置付けられてもよく、ハブ内に位置付けられてもよく、その両方に位置付けられてもよい。別法として、支持体は、ワイヤを含んでもよく、これも、シャフトの遠位端部分内、ハブ内、またはその両方に位置付けられてもよい。
【0007】
バルーンカテーテルは、スコアリングワイヤの第2の端部をシャフトの近位端部分に連結するためのばねを含むことができる。少なくとも1本のスコアリングワイヤは、2本のスコアリングワイヤを備えてもよく、シャフトは、各スコアリングワイヤのための管腔を含んでもよい。シャフトの遠位端部分は、バルーンに対して遠位にある入口と、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、バルーンカテーテルは、近位端部分と、遠位端部分と、近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体とを有するシャフトを含み、支持体の少なくとも一部は、らせん状カット部分を備える。ハブが、シャフトの近位端部分に装着され、膨張可能バルーンが、シャフトの遠位端部分に装着され、シャフトの遠位端部分は、バルーンに対して遠位にある入口と、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む。少なくとも1本のスコアリングワイヤが、シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部と、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部と、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分とを含む。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1本のスコアリングワイヤの第2の端部は、シャフトの近位端部分に運動可能に連結される。支持体は、管を含むことができ、管のらせん状カット部分は、シャフトの遠位端部分内に、もしくはハブ内に(またはその両方に)位置付けられる。別法として、支持体は、ワイヤを含んでもよく、これも同様に位置付けられ得る。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、近位端部分と、遠位端部分と、近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体ワイヤとを有するシャフトを備える、バルーンカテーテルに関し、支持体ワイヤの少なくとも一部は、らせん状カット部分を備える。ハブは、シャフトの近位端部分に装着され、膨張可能バルーンは、シャフトの遠位端部分に装着される。
【0011】
一実施形態では、バルーンカテーテルは、シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部と、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部と、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分とを有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤを含む。第2の端部は、シャフトの近位端部分に運動可能に連結される。スコアリングワイヤの第2の端部をシャフトの近位端部分に連結するためのばねも、提供され得る。少なくとも1本のスコアリングワイヤは、2本のスコアリングワイヤを備えてもよく、シャフトは、各スコアリングワイヤのための管腔を含んでもよい。
【0012】
一実施形態では、支持体ワイヤのらせん状カット部分は、シャフトの遠位端部分内に位置付けられる。別の実施形態では、支持体ワイヤのらせん状カット部分は、ハブ内に位置付けられる。シャフトの遠位端部分は、膨張可能バルーンに対して遠位にある入口と、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含むことができる。
【0013】
本発明の上記の利点およびさらなる利点は、添付図面を併用して以下の説明を参照することによってより良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1はスコアリングバルーンカテーテルの一例の正面図である。
図1Aは
図1に示された部分の拡大図である。
図1Bは
図1に示された部分の拡大図である。
【
図3】本開示の一態様によるスコアリングバルーンカテーテルの遠位端部の拡大図である。
【
図4】
図4はカテーテル用の支持体の図である。
図4Aは支持体の第1の断面図である。
【
図5】
図5Aは断面BBでの
図1の実施形態を示す端面図である。
図5Bは、本発明の別の実施形態において断面を見た、
図5A同様の図である。
【
図6】
図6Aは、
図1の断面AA同様の断面に沿って切り取られた、装置の一実施形態を示す断面図である。
図6Bは、本発明の別の実施形態において断面AAを見た、
図6A同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
いくつかの要素の寸法が、明確にするために他の要素より誇張される場合もあり、またはいくつかの物理的構成要素が、1つの機能ブロックもしくは要素内に含まれる場合もある。さらに、対応する要素または類似の要素を示すために、場合によっては、参照番号が図面の中で繰り返されてもよい。さらに、図面に示されるブロックのうちのいくつかが、単一の機能になるように組み合わせられてもよい。
【0016】
以下の詳細な説明では、本発明の完璧な理解を提供するために、数多くの特有の詳細が記載される。開示されている実施形態は、これらの特有の詳細を有さずに実践されてもよい。他の場合、よく知られた方法、手順、構成要素または構造は、本発明をあいまいにしないために詳細には説明されない場合がある。
【0017】
本開示は、血管を治療するためのシステムおよび方法を対象とする。本発明のシステムおよび方法の原理および動作は、図面および添付の説明を参照してより良好に理解され得る。
【0018】
本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示されている構造の詳細および構成要素の構成に限定されない。本発明は他の実施形態が可能であり、または種々のやり方で実践もしくは実行することができる。また、本明細書で利用される表現法および用語は説明のためのものであり、限定的なものであるとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0019】
説明を明瞭にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のいくつかの特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。その反対に、説明を簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明された本発明の種々の特徴が、別々に、または任意の適した副次的な組合せで提供されてもよい。
【0020】
本発明の実施形態に移ると、
図1には、本発明の装置の実施形態が示してある。この本発明の実施形態では、スコアリングバルーンカテーテル100が正面図で示され、選択された部分が拡大図で示されている。カテーテル100はシャフト105を備え、シャフト近位部分106はシャフト中央部分107に連結され、シャフト中央部分107はシャフト遠位部分108に連結されている。シャフト先細部分111により、シャフト近位部分106がシャフト中央部分107に接合される。シャフト105はシャフト壁109も備え、このシャフト壁により、シャフト105が硬すぎも柔らかすぎもしない血管または曲がりくねった血管内を追跡するのに適するように、ある程度の硬度がシャフト105にもたらされる。シャフト105は、Pebaxなどのポリマー材料を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、シャフト先細部分111は、シャフト中央部分107に固定される。いくつかの実施形態では、シャフト壁109は、シャフト遠位端部または先端110が終端する前に終端する。シャフト遠位端部110は、患者に最初に入るシャフト105の端部であり、ガイドワイヤGを受けるように構成された管腔を備える先端110を備えることができる。これにより、いわゆる「ショートラピッドエクスチェンジ」または「SRX」構成が作り出され、これは、ガイドワイヤGがカテーテル100の外側を通り、したがってガイドワイヤを内側に延在させる必要性、およびそこから生じ得る関連する複雑性が回避される構成である。
【0022】
カテーテル100は、膨張可能バルーン115をさらに備える。膨張可能バルーン115は、シャフト遠位部分108に沿ってシャフト105に装着される。いくつかの実施形態では、膨張可能バルーン115はシャフト遠位端部110に向かって終端する。これらの実施形態または他の実施形態では、膨張可能バルーン115はシャフト105に固定される。
【0023】
膨張可能バルーン115は、膨張可能バルーン近位端部130および膨張可能バルーン遠位端部131を備える。通常の実施形態は、膨張可能バルーン115として機能し、外側表面132を有する、柔軟なポリマーフィルムを有する。本開示において、膨張可能バルーン近位端部130は、膨張可能バルーン115のうち、膨張可能バルーン115の近位端部をシャフト105に取り付けるかまたは固定する部分である。膨張可能バルーン近位端部130は、膨張可能バルーン115が膨張した後にシャフト105と接触し続ける、膨張可能バルーン115の近位部分として定義される。
【0024】
本開示において、膨張可能バルーン遠位端部131は、膨張可能バルーン115のうち、膨張可能バルーン115を遠位方向にシャフト105に取り付けるかまたは固定する部分である。膨張可能バルーン遠位端部131は、膨張可能バルーン115が膨張した後にシャフト105と接触し続ける、膨張可能バルーン115の遠位部分として定義される。膨張管腔133は膨張可能バルーン115と流体連通しており、それにより、膨張管腔133を通る流体によって膨張可能バルーン115を膨張させることが可能になる。
【0025】
カテーテル100は、ハブ140をさらに備える。ハブ140は、シャフト近位部分106のシャフト105の内側に存在する。ハブ140は、支持体119が通過するための通路141を備える。ハブ140は、1つまたは複数のハブ管腔145をさらに備える。
【0026】
カテーテル100は支持体119をさらに備え、支持体119は、中実のワイヤまたは(たとえばハイポチューブなどの)中空の管の形をとることができ、(たとえばステンレス鋼、金、銀、白金、チタン、または任意の他の生体適合性金属もしくは同様の材料などの)金属で作製され得る。支持体119は、ハブ140の内部からなど、少なくともシャフト近位端部112から、シャフト遠位端部または先端110に隣接するところまで長手方向に延在してもよい。ハブ140内に位置付けられた部分など、支持体119の少なくとも一部は、柔軟性を強化するように機能的に修正されてもよい。これは、
図1Aに示されているように、支持体119のこの部分にらせん状
カット部分119Aを提供することによって実現されてもよい。このらせん状
カット部分119Aは、たとえばレーザカットによって実現することができ、支持体119のばね状部分を本質的に作り出す。このことは、内部ガイドワイヤがないことを考慮してシャフト105に十分な剛性を提供する助けとなり、したがって、高い押し込みやすさを維持しながらカテーテル100の追跡可能性を向上させる。拡張性が提供される結果として、この特徴は、特にバルーンが膨張し、その結果シャフト105の直径が拡大したときに、ねじれを回避する助けにもなる。
【0027】
カテーテル100は、1本または複数本のスコアリングワイヤ135をさらに備えることができ、バルーン115の傍らを通るこうしたワイヤの1本のみが
図1、
図1A、および
図1Bの実施形態に示されている(ガイドワイヤGもバルーンの傍らに延在して、スコアリング機能を提供する)。このスコアリングワイヤ135は、固定端部136と、バルーンの傍らに延在する部分137と、可動端部138とを有することができる。固定端部136は、膨張可能バルーン遠位端部131に対して遠位にある、シャフト遠位部分108内に連結される。いくつかの実施形態では、固定端部136は、シャフト壁109の外面に取り付けられる。固定端部136は、当業者に知られている任意の方法を使用して取り付けられてもよい。この構成により、膨張可能バルーン115の傍らに力集中要素(スコアリングワイヤ135)が提供される。
【0028】
スコアリングワイヤ135と外側表面132との間の距離は、当業者によって有用であると認識される任意の値であることができる。スコアリングワイヤ135は、膨張可能バルーン115を通過すると、シャフト壁109の下に延在し、シャフト105の内側を近位方向に延在することができる。可動端部138は、シャフト近位部分106内のシャフト105の内側に位置する。いくつかの実施形態では、スコアリングワイヤ135は管腔1139の少なくとも一部を占有する(
図6Aおよび
図6Bを参照)。
【0029】
図1、
図1A、および
図1Bには、2本のスコアリングワイヤを有するカテーテル100が示してあり、2本のスコアリングワイヤの一方は並進可能なスコアリングワイヤ135であり、他方はガイドワイヤGである。いくつかの実施形態では、カテーテル100は1~15本、3~10本、または2~5本のスコアリングワイヤを有する。いくつかの実施形態では、スコアリングワイヤ135の直径は、0.076mm(0.003インチ)から1.016mm(0.040インチ)の間、または0.127mm(0.005インチ)から0.381mm(0.015インチ)の間、0.203mm(0.008インチ)から0.305mm(0.012インチ)の間である。いくつかの実施形態では、スコアリングワイヤ135は2.54mm(0.10インチ)である。スコアリングワイヤ135は均一な直径を有する必要はなく、遠位端部では近位端部と比較して大きい直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、スコアリングワイヤ135は、金属、金属合金、ポリマー、および金属ベースまたはポリマーベースの形状記憶材料を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、相互作用は、可動スコアリングワイヤ端部138がハブ管腔145内に、またはハブ管腔145に連結されることを包含する。いくつかの実施形態では、可動スコアリングワイヤ端部138はハブ管腔145に固定される。他の実施形態では、相互作用は、可動スコアリングワイヤ端部138がハブ管腔145の内側に摺動可能に係合されることを包含する。いくつかの実施形態ではハブ140は、金属、金属合金、ポリマーなどの任意の生体適合性材料を含む。いくつかの実施形態ではハブ140はナイロン、Pebax、または任意の他の適した材料を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ハブ140はシャフト近位部分106の内側に実質的に固定され、可動スコアリングワイヤ端部138は、ハブ管腔145内に摺動可能に係合または配設される。いくつかの実施形態では、ハブ140は長手方向に運動可能であるかまたは弾性であり、ハブ140を遠位方向に引くことにより、ハブ140を動かすことにより、またはハブ140の材料を伸張させることにより、可動スコアリングワイヤ端部138を長手方向に動かすことが可能になる。たとえば、いくつかの実施形態では、ハブ140は弾性である。可動スコアリングワイヤ端部138が、それを遠位方向に動かす遠位方向に向いた力を受け、かつ可動スコアリングワイヤ端部138がハブ管腔145に固定されるかまたはハブ管腔145内にあるとき、この運動により、ハブ140が伸張する。遠位方向に向いた力が取り除かれたとき、復元力またはこの遠位方向の伸張に対抗する力(対抗力)により、可動スコアリングワイヤ端部138は実質的に定位置へと戻るように動く傾向がある。
【0032】
スコアリングワイヤカテーテル100は、ハンドル組立体150をさらに備えることができる。ハンドル組立体150は、シャフト近位端部112に関連付けられる。ハンドル組立体150は、段下げ部分156を含む移行副組立体152を備えることができ、段下げ部分156では、全体的な外側寸法は段階的に移行して、シャフト近位端部112と係合するようにサイズ設定されたより小さい直径へと縮小する。いくつかの実施形態では、移行副組立体152は段下げ部分156を有しない。
【0033】
シャフト105は、シャフト近位端部112および段下げ部分156を介してハンドル組立体150と結びつく。いくつかの実施形態では、シャフト105はハンドル組立体150に連結する。たとえば、シャフト近位端部112は段下げ部分156の上を摺動することができ、構成要素は、溶接、融着、のり付けなどによって固定され得る。シャフト近位端部112と移行副組立体152との間の摩擦嵌合が、構成要素を互いに固定するのに十分な強さであってもよい。段下げ部分156のないいくつかの実施形態では、シャフト近位端部112は、シャフト近位端部112と移行副組立体152との間の突き合わせ継手を介してハンドル組立体150に連結することができる。
【0034】
ハンドル組立体150はポート154を備えることができる。このポート154は、管腔120を介してガスもしくは膨張流体を膨張可能バルーン115内に運び、それを膨張させるか、またはガスもしくは膨張流体を膨張可能バルーン115から運び出してそれを収縮させる。
【0035】
動作的には、
図1の実施形態によって教示された装置では、たとえば医師は、石灰化病変を治療するために、適切にサイズ設定された血管が露出するまで患者の組織を切開する。この血管は、カテーテル100がたどることができる経路をたどって病変部位へと通じていなければならない。いくつかの実施形態では、病変部位の場所により、より高い柔軟性またはより低い柔軟性のシャフト105またはカテーテル100が選択されてもよい。
【0036】
医師は血管を切開し、ガイドワイヤを血管内に挿入し、超音波、磁気共鳴、蛍光透視、または何らかの他のタイプの案内の下、ガイドワイヤを患者の血管内に通して前進させる。医師がガイドワイヤGを好ましい部位に配置した後、医師はガイドワイヤの近位端部を先端110に関連付けられた遠位ガイドワイヤ管腔にねじ込み、この管腔への出入りは、バルーン115に対して遠位側である。ガイドワイヤGが定位置に配置され、カテーテル100に連結された状態で、医師は、膨張可能バルーン115が病変部位の近くの所望の位置に到達するまで、ガイドワイヤGに沿ってカテーテル100を移動させる。通常、この位置では、少なくとも1本のスコアリングワイヤ135が病変に効果的に係合することが可能となる。その後、医師は、スコアリングワイヤ135が病変にしっかりと押し込まれるかまたは亀裂を入れるまで膨張可能バルーン115を膨張させる。カテーテル100を用いた病変の治療が完了した後、医師は膨張可能バルーン115を収縮させ、これにより、スコアリングワイヤ135が弛緩して病変および血管壁から離れることが可能になる。
【0037】
スコアリングワイヤ135は、膨張可能バルーン115が膨張したままである限り病変と接触する。膨張時間は、スコアリングワイヤ135を病変に接触させるために医師が選択する時間に対応する。膨張時間は、5秒から5分の範囲でもよい。病変の性質により、適当な膨張時間および膨張速度が決定されてもよい。
【0038】
膨張可能バルーン115が膨張するにつれて、スコアリングワイヤ(またはワイヤ)135は外方向に広がり、スコアリングワイヤ135は長手方向の張力下に置かれる。この長手方向の張力によって引き起こされた力ベクトルの成分は、固定端部136から近位方向を指し、可動端部138から遠位方向を指す。したがって、スコアリングワイヤ135のあらゆる運動が可動端部138において生じる。ハブ140は可動端部138の運動を制限して、それが長手方向に運動することを可能にする。この運動により、膨張可能バルーン115上のひずみが軽減して、その工学的形状を維持する助けとなり、いかなるねじれも回避する助けとなる。
【0039】
医師がバルーン115を収縮させると、これまでスコアリングワイヤ135を広げていた力は消えて、スコアリングワイヤ135(および可動端部138)が弛緩することが可能になる。ハブ140により、可動端部138の弛緩が制限される。具体的には、可動端部138はハブ140により、バルーンが膨張する前の可動端部138の初期配置とほぼ同じ配置へと案内される。ハブ140の動作は膨張および収縮ステップを制御する助けとなり、これらの予測可能性を向上させる。
【0040】
図1Aは、シャフト近位部分106の拡大図である。シャフト105はシャフト近位端部112で終端し、遠位端部155の一部であるかまたは一部でないハブ140を受ける。ハブ140は1つまたは複数のハブ管腔145を有することができ、
図1Aにはハブ管腔145が示してある。この実施形態では、ハブ管腔145は長手方向にハブ140内へと延在する。カテーテル100は、正しく機能するのに長手方向のハブ管腔145を必要としない。ハブ管腔145は、可動端部138を摺動可能かつ可逆的に受けるように機能するだけでよい。
図1Aには、ハブ140の長さの約4分の3だけハブ140内に延在するハブ管腔145が示してあるが、これは重要なことではない。いくつかの実施形態では、ハブ管腔145はハブ140を全体的に通って延在する。ハブ管腔145は、可動端部138がハブ管腔145へと延在するところまで、またはそれより長く、ハブ140内に延在する。
【0041】
図1Aには、スコアリングワイヤ135および可動端部138も示してある。この実施形態では、スコアリングワイヤ135は、管腔1139から近位方向に出て行った後、先細りになるかまたは外方向に広がる。可動端部138はハブ管腔145の一部を占有する。この実施形態では、2本以上のスコアリングワイヤが存在する場合、カテーテル100は1つの可動端部138に対して1つのハブ管腔145を備える。ハブ管腔が2つ以上の可動端部138と相互作用することができる他の実施形態が存在する。
【0042】
図1Bには、スコアリングワイヤ135が管腔1139から遠位方向に出て行く領域の拡大図が示してある。スコアリングワイヤ135は、カテーテル100の一部を通る経路を有する。管腔1139は、シャフト中央部分107の一部または全部に沿ってスコアリングワイヤ135を受ける管腔である。出て行った後、スコアリングワイヤ135は遠位方向に進むにつれて外方向に広がり、ワイヤがバルーン遠位端部131を通過するまで実質的に長手方向に延在する。この地点で、スコアリングワイヤ135はシャフト遠位部分108に到達するまで内方向に向く。スコアリングワイヤ固定端部136は、膨張可能バルーン115に対して遠位方向に、またはバルーン遠位端部131がカテーテル100に取り付けられている箇所で、もしくはその近くで、カテーテル100に取り付けられる。スコアリングワイヤ135のうち、部分137内にある部分は、膨張可能バルーン115に沿った長手方向の領域を有する。
【0043】
図1の装置によって表された実施形態の群の動作では、医師は上述のように膨張可能バルーン115を配置する。医師は、管腔ポート154を介して膨張可能バルーン115を膨張させる。バルーンの膨張により、最初にスコアリングワイヤ135およびガイドワイヤGに外方向の圧力が印加され、それらを病変に係合させる。動作のいかなる特定の理論にも縛られることを望まないが、可動端部138は可動式に連結されているので、スコアリングワイヤ135はバルーン、または膨張もしくは過膨張によって生じるバルーンの変形に寄与しないと考えられる。このワイヤ135およびガイドワイヤGは外方向に動くことができるので、これらの存在はバルーンを著しく束縛することはなく、これにより、バルーン115がワイヤを越えて拡張することが防止される。膨張が続く場合、バルーン115の一部の他の部分が、膨張流体によって及ぼされる圧力から変形することになる。場合によっては、バルーンの変形により、後でバルーンを収縮させる際に問題が生じる。そうではなく、スコアリングワイヤ135にかかる外方向に向いた膨張圧力により可動端部138が遠位方向に動き、これにより、スコアリングワイヤ135が膨張可能バルーン115に及ぼす対抗力が低下する。可動端部138が遠位方向に動くにつれて、可動端部138はハブ管腔145から後退する。いくつかの実施形態では、膨張圧力により、可動端部138がハブ管腔145から引き抜かれる。他の実施形態では、可動端部138はハブ管腔145の内側にとどまる。
【0044】
医師は、膨張可能バルーン115内の圧力を、スコアリングワイヤ135が所望の効果を得るのに十分な長さの間維持する。その後、医師は圧力を解放し、膨張可能バルーン115は収縮し、可動端部138はハブ管腔145内に再び延在する。
【0045】
図2、
図2A、および
図2Bには、スコアリングバルーンカテーテル100の別の実施形態が示してあり、主な違いは、ハブおよび近位スコアリングワイヤの幾何形状である。
図2Bには、ハブ遠位部分241およびハブ近位部分242を有するハブ140が示してある。段下げ部分156を通るハブ近位部分242は、シャフト105をハンドル組立体150に連結するように機能する。さらに、ハブ近位部分242は、ばね200のためのストッパとして機能する。ばね200はばねワイヤ201を備え、ばねワイヤ201により、スコアリングワイヤ135の機構に復元力が加えられる。
【0046】
ハブ遠位部分241は、ばね200の遠位端部に隣り合って位置する。ハブ遠位部分241は可動端部138に連結する(取り付けられる)。いくつかの実施形態では、ハブ遠位部分241は可動端部138に固定される。他の実施形態では、ハブ遠位部分241はハブ管腔145を備え、ハブ管腔145は可動端部138に固定され得る。可動端部138は、ハブ遠位部分241に到達すると外方向に広がる。ガイドワイヤGも、先端110においてガイドワイヤ管腔を通って延在し、先端110はバルーン遠位端部131に対して遠位方向である。
【0047】
上の実施形態の場合のように、膨張可能バルーン115が膨張するとき、そうでなければスコアリングワイヤ135が印加するはずの対抗力は、可動端部138によって抑えられる。可動端部138は上述のように遠位方向に動くが、ハブ遠位部分241も遠位方向に動く。ハブ遠位部分241、ばね200、およびハブ近位部分242の構成により、ハブ遠位部分241を介して可動端部138に力が与えられる。この力は、可動端部138を近位方向に付勢する傾向がある。また、上述のように医師がバルーンを収縮させたとき、可動端部138は、ばね200の力によって助けられて近位方向に動き、実質的にその初期位置へと戻る。
【0048】
図3には、カテーテル100の遠位部分の一実施形態が開示してある。図に示すように、支持体119は、カテーテル100の先端110まで、バルーン115の長さ全体に延在することができる。この図には、支持体119のバルーン115に沿って延在する部分が、らせん状にカットされたワイヤまたは管で形成することなどにより、上に言及したように機能的に修正されてもよく、それによってばね状部分が作り出されることがさらに示してある。やはり、このことは、内部ガイドワイヤがないことを考慮してシャフト105に十分な剛性を提供する助けとなり、したがって、高い押し込みやすさを維持しながらカテーテル100の追跡可能性を向上させる。
【0049】
図4には、支持体119がらせん状
カット部分119Aを有する細長いワイヤを含んでもよいことが示してある。遠位端部に示されているが、それは近位端部などの他の場所に位置付けられてもよいことが理解され得る。部分119Bなどの2つ以上のらせん状
カット部分が提供される場合もある。支持体119は長さLを有することができ、長さLは、
図1に示されているように、少なくとも、カテーテルの遠位先端110からハブ140の近位端部までの距離Dと同じくらいの長さでよいことも、
図4から理解することができる。
図4Aには、ワイヤの形をとるとき、支持体119はらせん状
カット部分119Aを除いて中実の断面区域を有するということも示してあるが、上に言及したように、支持体は中空の管を含むこともできる。いずれの場合でも、提唱されているようにらせん状にカットされた結果、結果として生じる部分119A、119Bはばね状で柔軟である。
【0050】
図5Aには、
図1の断面BBが示してある。これには、スコアリングワイヤ135、ガイドワイヤG、膨張可能バルーン115、膨張管腔133、および支持体119が示してある。理解され得るように、断面BBはシャフト遠位部分108においてカテーテル100を切り開いている。また、この平面は膨張可能バルーン115を切り開き、バルーン部分137においてスコアリングワイヤ135を切り開いて、断面505を示す。
図5Bには同様の実施形態が示してあるが、2本のスコアリングワイヤ135と、やはりスコアリング機能を提供することができるガイドワイヤGとが存在する。
【0051】
図6Aには、
図1の断面AAが示してある。これには、2本のスコアリングワイヤが存在する場合にスコアリングワイヤ(図示せず)を受けるための、隣り合って位置するシャフト105内の2つの管腔1139が示してある。これには、膨張管腔133、および支持体119(ワイヤまたはロッド)を受けるための管腔120も示してある。管腔1139は、この図に示されているように隣り合った構成を採用しなくてもよく、シャフト105の外辺部の周りに分布した構成を採用してもよい。単一の管腔1139が提供される場合もある。
【0052】
図6Bには、2つの管腔1139を備えた別の実施形態が示してあり、そのそれぞれは、シャフト105内で互いに向かい合って分布したスコアリングワイヤ(図示せず)を受けるためのものである。この分布は対称である必要はなく、ただ1本のスコアリングワイヤが存在してもよく、この場合、1つのみのこうした管腔が必要とされることになる。また、この図では、支持体用の管腔120はシャフト105内に位置し、二重の膨張管腔133と同軸である。
【0053】
上に記載した実施形態のいずれにおいても、膨張可能バルーン115は1.25~40mm、または2.0~8.0mmの範囲の種々の直径のうちの任意の直径を有することができる。上に記載した実施形態のいずれにおいても、膨張可能バルーン115は10~300mm、または20~300mmなどの種々の長さのうちの任意の長さを有することができる。長いバルーンは、罹患部分が長いことが多い末梢病変を治療するのに特に有用な場合がある。
【0054】
スコアリングワイヤを含むことが好ましいが、病変を切開する、または病変に亀裂を入れることなしに血管形成術を行うことなどにより、カテーテル100はスコアリングワイヤなしで有用である場合もあることも理解され得る。こうした実施形態では、管の形をとろうとワイヤの形をとろうと、1つまたは複数のらせん状カット部分119Aを備えた支持体119は、カテーテル100の近位端部分からバルーン115を含めた遠位端部分までなど、シャフト105の長さ全体に延在することができる。
【0055】
要約すると、本開示は以下の項目に関連すると考えることができる。
1.バルーンカテーテルであって、
シャフトであり、近位端部分、遠位端部分、および、シャフトの近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体を有し、支持体の少なくとも一部が、らせん状カット部分および/またはばね状部分を備える、シャフトと、
シャフトの近位端部分に装着されたハブと、
シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと、
シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部、および、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分を有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤと
を備える、バルーンカテーテル。
【0056】
2.項目1に記載のバルーンカテーテルであって、支持体が、管を含む、バルーンカテーテル。
3.項目2に記載のバルーンカテーテルであって、管のらせん状カット部分および/またはばね状部分が、シャフトの遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0057】
4.項目2に記載のバルーンカテーテルであって、管のらせん状カット部分および/またはばね状部分が、ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
5.項目1に記載のバルーンカテーテルであって、支持体が、ワイヤを含む、バルーンカテーテル。
【0058】
6.項目5に記載のバルーンカテーテルであって、ワイヤのらせん状カット部分および/またはばね状部分が、シャフトの遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0059】
7.項目5に記載のバルーンカテーテルであって、ワイヤのらせん状カット部分および/またはばね状部分が、ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
8.項目1から7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、スコアリングワイヤの第2の端部をシャフトの近位端部分に連結するためのばねをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0060】
9.項目1から8のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、少なくとも1本のスコアリングワイヤが、2本のスコアリングワイヤを備え、任意選択で、シャフトが、各スコアリングワイヤのための管腔を含む、バルーンカテーテル。
【0061】
10.項目1から9のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、シャフトの遠位端部分が、バルーンに対して遠位にある入口と、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む、バルーンカテーテル。
【0062】
11.項目10に記載のバルーンカテーテルであって、ガイドワイヤ管腔を通って延在し、バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0063】
12.バルーンカテーテルであって、
近位端部分、遠位端部分、および、近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体を有し、支持体の少なくとも一部が、らせん状カット部分および/またはばね状部分を備える、シャフトと、
シャフトの近位端部分に装着されたハブと、
シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンであり、シャフトの遠位端部分が、バルーンに対して遠位にある入口、および、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口を有するガイドワイヤ管腔を含む、膨張可能バルーンと、
シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部、および、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分を有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤと
を備える、バルーンカテーテル。
【0064】
13.項目12に記載のバルーンカテーテルであって、少なくとも1本のスコアリングワイヤの第2の端部が、シャフトの近位端部分に運動可能に連結されている、バルーンカテーテル。
【0065】
14.項目12または項目13に記載のバルーンカテーテルであって、支持体が、管を含む、バルーンカテーテル。
15.項目14に記載のバルーンカテーテルであって、管のらせん状カット部分が、シャフトの遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0066】
16.項目14に記載のバルーンカテーテルであって、管のらせん状カット部分が、ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
17.項目12または項目13に記載のバルーンカテーテルであって、支持体が、ワイヤを含む、バルーンカテーテル。
【0067】
18.項目17に記載のバルーンカテーテルであって、ワイヤのらせん状カット部分が、シャフトの遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
19.項目17に記載のバルーンカテーテルであって、ワイヤのらせん状カット部分が、ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0068】
20.項目12から19のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、ガイドワイヤ管腔を通って延在し、バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0069】
21.バルーンカテーテルであって、
近位端部分、遠位端部分、および、近位端部分から遠位端部分へと延在する支持体ワイヤを有し、支持体ワイヤの少なくとも一部が、らせん状カット部分および/またはばね状部分を備える、シャフトと、
シャフトの近位端部分に装着されたハブと、
シャフトの遠位端部分に装着された膨張可能バルーンと
を備える、バルーンカテーテル。
【0070】
22.項目21に記載のバルーンカテーテルであって、シャフト遠位端部と膨張可能バルーンの間でシャフトに固定された第1の端部と、シャフトの近位端部分に連結された第2の端部と、膨張可能バルーンの傍らを通る中間部分とを有する、少なくとも1本のスコアリングワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0071】
23.項目21に記載のバルーンカテーテルであって、第2の端部が、シャフトの近位端部分に運動可能に連結されている、バルーンカテーテル。
24.項目21または項目22に記載のバルーンカテーテルであって、スコアリングワイヤの第2の端部をシャフトの近位端部分に連結するためのばねをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0072】
25.項目21から24のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、少なくとも1本のスコアリングワイヤが、2本のスコアリングワイヤを備え、任意選択で、シャフトが、各スコアリングワイヤのための管腔を含む、バルーンカテーテル。
【0073】
26.項目21から25のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、支持体ワイヤのらせん状カット部分および/またはばね状部分が、シャフトの遠位端部分内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0074】
27.項目21から25のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、支持体ワイヤのらせん状カット部分および/またはばね状部分が、ハブ内に位置付けられている、バルーンカテーテル。
【0075】
28.項目21から27のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルであって、シャフトの遠位端部分が、膨張可能バルーンに対して遠位にある入口と、膨張可能バルーンに対して遠位にある出口とを有するガイドワイヤ管腔を含む、バルーンカテーテル。
【0076】
29.項目28に記載のバルーンカテーテルであって、ガイドワイヤ管腔を通って延在し、バルーンの傍らを通る部分を含む、ガイドワイヤをさらに含む、バルーンカテーテル。
【0077】
特定の実施形態を併用して本発明について説明してきたが、多くの代替手段、修正形態および変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲に含まれるすべてのこうした代替手段、修正形態および変形形態を包含する。本明細書において言及されたすべての公報、特許および特許出願は、それぞれの個々の公報、特許または特許出願が参照によって本明細書に組み込まれることを具体的にかつ個々に示されていた場合と同じ程度で、参照により、本明細書に全体として組み込まれる。加えて、本出願における任意の参照の引用または特定は、こうした参照が従来技術として本発明に利用可能であるという承認として解釈されるべきではない。