(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ガスエンジン代替装置のためのモータ制御
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
H02P27/06
(21)【出願番号】P 2022576105
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021037189
(87)【国際公開番号】W WO2021257433
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-01-10
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー、アレクサンダー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン、ミー、ユエン
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-079510(JP,A)
【文献】特開2008-259338(JP,A)
【文献】特開2016-208633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルを含むハウジングと、
前記ハウジング内に位置するモータと、
前記モータからトルクを受け取り、前記ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、
前記バッテリパックから前記モータに電力を可変に供給するよう構成される電力スイッチングネットワークと、
前記電力スイッチングネットワークに接続される電子プロセッサと、を含み、
前記電子プロセッサは、
前記モータに関連する電流測定値を受け取り、
前記電流測定値に基づいて、フリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って前記電力スイッチングネットワークを制御する、ように構成され、
前記フリーホイールモードにおける制御は、前記電流測定値がモード閾値よりも小さいことに応答し、
前記同期整流モードにおける制御は、前記電流測定値が前記モード閾値
を超えることに応答し、
前記モード閾値は、
前記モータにとって不連続な伝導が生じる電流範囲を上回るように選択され、動作中の前記モータの動作パラメータに基づいて動的に更新され
、前記動作パラメータは、デューティサイクル、スイッチング周波数、及び電流のうちの少なくとも1つを含む、
ガスエンジン代替装置。
【請求項2】
前記モータは、第1の巻線を含み、
前記電力スイッチングネットワークは、
前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第2の端子に結合された第1のローサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第1の端子に結合された第2のローサイドスイッチと、を含み、
前記同期整流モードで作動している間に、前記電子プロセッサは、前記第1のハイサイドスイッチ及び前記第1のローサイドスイッチを有効化し、前記第1のローサイドスイッチ及び前記第1のハイサイドスイッチのうちの1つを周期的に有効化及び無効化し、前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のハイサイドスイッチ、及び前記第1のハイサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のローサイドスイッチのうちの1つを有効化する、
請求項1に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項3】
前記電子プロセッサは、
前記第1のローサイドスイッチのオフ時間の関数としての電流を示す整流モード曲線を受け取ることと、
前記第1のローサイドスイッチに印加されるパルス幅変調信号のパラメータに基づいて前記電流測定値に関連するオフ時間を決定することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より上にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記フリーホイールモードで制御することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より下にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記同期整流モードで制御することと、によって、
前記フリーホイールモード又は前記同期整流モードのうちの1つに従って前記モード閾値を更新し且つ前記電力スイッチングネットワークを制御するように構成されている、
請求項2に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項4】
前記モータは、第1の巻線を含み、
前記電力スイッチングネットワークは、
前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチであって、ボディダイオードを有する、第2のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第2の端子に結合された第1のローサイドスイッチと、を含み
前記フリーホイールモードで動作している間、前記電子プロセッサは、前記第1のハイサイドスイッチを有効化し、前記第1のローサイドスイッチを周期的に有効化及び無効化するように構成され、前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中、前記第1の巻線における電流が前記第2のハイサイドスイッチの前記ボディダイオードを通って流れる、
請求項1に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項5】
前記電流測定値は、前記モータを流れる電流を表す、請求項1に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項6】
前記電流測定値は、前記バッテリパックにより供給される電流を表す、請求項1に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項7】
前記電子プロセッサは、前記フリーホイールモードから前記同期整流モードに及び前記同期整流モードから前記フリーホイールモードに変化させるためのモード閾値にヒステリシスバンドを適用するように構成されている、請求項1に記載のガスエンジン代替装置。
【請求項8】
モータと、
前記モータに電力を可変に供給するよう構成される電力スイッチングネットワークと、
前記電力スイッチングネットワークに結合される電子プロセッサと、を含み、
前記電子プロセッサは、
前記モータに関連する電流測定値を受け取り、
前記電流測定値に基づいて、フリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って前記電力スイッチングネットワークを制御する、ように構成され、
前記フリーホイールモードにおける制御は、前記電流測定値がモード閾値よりも小さいことに応答し、
前記同期整流モードにおける制御は、前記電流測定値が前記モード閾値
を超えることに応答し、
前記モード閾値は、
前記モータにとって不連続な伝導が生じる電流範囲を上回るように選択され、動作中の前記モータの動作パラメータに基づいて動的に更新され
、前記動作パラメータは、デューティサイクル、スイッチング周波数、及び電流のうちの少なくとも1つを含む、
装置。
【請求項9】
前記モータは、第1の巻線を含み、
前記電力スイッチングネットワークは、
前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第2の端子に結合された第1のローサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第1の端子に結合された第2のローサイドスイッチと、を含み
前記同期整流モードで作動している間に、前記電子プロセッサは、前記第1のハイサイドスイッチ及び前記第1のローサイドスイッチを有効化し、前記第1のローサイドスイッチ及び前記第1のハイサイドスイッチのうちの1つを周期的に有効化及び無効化し、前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のハイサイドスイッチ、及び前記第1のハイサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のローサイドスイッチのうちの1つを有効化する、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電子プロセッサは、
前記第1のローサイドスイッチのオフ時間の関数としての電流を示す整流モード曲線を受け取ることと、
前記第1のローサイドスイッチに印加されるパルス幅変調信号のパラメータに基づいて前記電流測定値に関連するオフ時間を決定することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より上にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記フリーホイールモードで制御することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より下にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記同期整流モードで制御することと、によって、
前記フリーホイールモード又は前記同期整流モードのうちの1つに従って前記モード閾値を更新し且つ前記電力スイッチングネットワークを制御するように構成されている、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記モータは、第1の巻線を含み、
前記電力スイッチングネットワークは、
前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチであって、ボディダイオードを有する、第2のハイサイドスイッチと、
前記第1の巻線の前記第2の端子に結合された第1のローサイドスイッチと、を含み
前記フリーホイールモードで動作している間、前記電子プロセッサは、前記第1のハイサイドスイッチを有効化し、前記第1のローサイドスイッチを周期的に有効化及び無効化するように構成され、前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中、前記第1の巻線における電流が前記第2のハイサイドスイッチの前記ボディダイオードを通って流れる、
請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記電子プロセッサは、前記フリーホイールモードから前記同期整流モードに及び前記同期整流モードから前記フリーホイールモードに変化させるためのモード閾値にヒステリシスバンドを適用するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
ガスエンジン代替装置を操作するための方法であって、
前記ガスエンジン代替装置は、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルを含むハウジングと、前記ハウジング内に位置するモータと、前記モータからトルクを受け、前記ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、前記バッテリパックから前記モータに電力を可変に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、前記電力スイッチングネットワークに結合され、前記電力スイッチングネットワークを制御して前記モータを回転させるよう構成される電子プロセッサと、を含み、
当該方法は、
前記電子プロセッサにより、前記モータに関連付けられる電流測定値を受け取ることと、
前記電子プロセッサにより、前記電流測定値に基づいてフリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って前記電力スイッチングネットワークを制御することと、を含み、
前記フリーホイールモードにおける制御は、前記電流測定値がモード閾値よりも小さいことに応答し、
前記同期整流モードにおける制御は、前記電流測定値が前記モード閾値
を超えることに応答し、
前記モード閾値は、
前記モータにとって不連続な伝導が生じる電流範囲を上回るように選択され、動作中の前記モータの動作パラメータに基づいて動的に更新され
、前記動作パラメータは、デューティサイクル、スイッチング周波数、及び電流のうちの少なくとも1つを含む、
方法。
【請求項14】
前記モータは、第1の巻線を含み、前記電力スイッチングネットワークは、前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチと、前記第1の巻線の前記第2の端子に結合された第1のローサイドスイッチと、前記第1の巻線の前記第1の端子に結合された第2のローサイドスイッチと、を含み、
当該方法は、前記同期整流モードで動作している間に、
前記第1のハイサイドスイッチ及び前記第1のローサイドスイッチを有効化することと、
前記第1のローサイドスイッチ及び前記第1のハイサイドスイッチのうちの1つを周期的に有効化及び無効化することと、
前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のハイサイドスイッチ、及び前記第1のハイサイドスイッチが無効化されている期間中の前記第2のローサイドスイッチのうちの1つを有効化することと、を更に含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フリーホイールモード又は前記同期整流モードのうちの1つに従って前記モード閾値を動的に更新し且つ前記電力スイッチングネットワークを制御することは、
前記第1のローサイドスイッチのオフ時間の関数としての電流を示す整流モード曲線を受け取ることと、
前記第1のローサイドスイッチに印加されるパルス幅変調信号のパラメータに基づいて前記電流測定値に関連するオフ時間を決定することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より上にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記フリーホイールモードで制御することと、
決定された前記オフ時間の間、前記電流測定値が前記整流モード曲線より下にあることに応答して、前記電力スイッチングネットワークを前記同期整流モードで制御することと、を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モータは、第1の巻線を含み、前記電力スイッチングネットワークは、前記第1の巻線の第1の端子に結合された第1のハイサイドスイッチと、前記第1の巻線の第2の端子に結合された第2のハイサイドスイッチと、を含み、前記第2のハイサイドスイッチはボディダイオードを有し、第1のローサイドスイッチが前記第1の巻線の前記第2の端子に結合され、
当該方法は、前記フリーホイールモードで動作している間に、
前記第1のハイサイドスイッチを有効化し、前記第1のローサイドスイッチを周期的に有効化及び無効化することを更に含み、前記第1のローサイドスイッチが無効化されている期間中、前記第1の巻線における電流が前記第2のハイサイドスイッチの前記ボディダイオードを通って流れる、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記フリーホイールモードから前記同期整流モードに及び前記同期整流モードから前記フリーホイールモードに変化させるために前記モード閾値にヒステリシスバンドを適用することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記フリーホイールモードから前記同期整流モードに及び前記同期整流モードから前記フリーホイールモードに変化させるために前記モード閾値にヒステリシスバンドを適用することを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記モータの前記動作パラメータは、前記モータと関連付けられる前記電流測定値、スイッチング周波数及びデューティサイクルからなる群から選択される1つである、請求項8に記載の装置。
【請求項20】
前記モータの前記動作パラメータは、前記モータと関連付けられる前記電流測定値、スイッチング周波数及びデューティサイクルからなる群から選択される1つである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月17日出願の米国仮特許出願第63/040,268号明細書の利益を主張するものであり、この仮特許出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ガスエンジン代替モータユニットに関し、特に、動力機器と共に用いるためのガスエンジン代替モータユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
小型の単気筒又は多気筒ガソリンエンジンを動力機器に取り付けて、動力取出シャフトにより機器を駆動することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載されるガスエンジン代替装置は、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルを含むハウジングと、ハウジング内に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に供給するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、モータに関連する電流測定値を受け取り、電流測定値に基づいてフリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って電力スイッチングネットワークを制御するように構成されている。
【0005】
本明細書に記載される装置は、モータと、モータに電力を選択的に供給するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電力スイッチングネットワークに結合され、モータに関連する電流測定値を受け取り、電流測定値に基づいてフリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って電力スイッチングネットワークを制御するように構成された、電子プロセッサと、を備える。
【0006】
本明細書に記載されるガスエンジン代替装置を操作するための方法が提供され、ガスエンジン代替装置は、ハウジングを含み、ハウジングは、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に供給するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。本方法は、電子プロセッサが、モータに関連する電流測定値を受け取り、電流測定値に基づいてフリーホイールモード又は同期整流モードのうちの1つに従って電力スイッチングネットワークを制御することを含む。
【0007】
いずれかの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その用途において、以下の説明に記載するか、又は以下の図面に示すコンポーネントの構造及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書中に説明する実施形態は、様々な方法において実施又は実行することが可能である。また、本明細書中で用いる表現及び用語は説明のためのものであり、制限するものとして見なしてはならないことを理解されたい。本明細書中での「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びそれらの変形例の使用は、それ以降に挙げる項目及びその均等物並びに追加項目を包含することを意味する。用語「取り付けられる」、「接続される」、及び「結合される」は、広義に用いられ、直接的及び間接的両方の取り付け、接続、及び結合を包含する。更に、「接続される」及び「結合される」は、物理的若しくは機械的な接続或いは結合に限定されず、直接的又は間接的に関わらず、電気的な接続若しくは結合を含むことができる。加えて、項目のリストと共に本明細書中で用いるように、「及び/又は」とは、項目が全て一緒に、サブセットで、又は代替として取られる可能性があることを意味する(例えば、「A、B、及び/又はC」は、A;B;C;A及びB;B及びC;A及びC;又はA、B、及びCを意味する)。
【0008】
複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置、並びに複数の異なる構造的コンポーネントが、本明細書中に説明する実施形態を実装するために利用されてもよいことに留意されたい。更に、後続の段落において説明するように、図面に示す特定の構成は、例示的な実施形態として意図しており、他の代替の構成が可能である。用語「プロセッサ」、「中央処理装置」、及び「CPU」は、特に指定のない限り交換可能である。用語「プロセッサ」又は「中央処理装置」若しくは「CPU」が、特定の機能を実行するユニットを識別するものとして用いられる場合、特に指定のない限り、それらの機能は、単一のプロセッサ、又は並列プロセッサ、直列プロセッサ、タンデムプロセッサ、若しくはクラウド処理/クラウドコンピューティング構成を含む任意の形態で配置される複数のプロセッサによって実行することができることを理解されたい。
【0009】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、及び電子コンポーネント又はモジュールを含んでもよく、これらは、検討の目的のために、コンポーネントの大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明する可能性があることを理解されたい。しかしながら、当業者は、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの1つ又は複数の処理ユニットによって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体に格納される)で実装され得ることを認識するであろう。このため、複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置並びに複数の異なる構造的コンポーネントは、実施形態を実装するために利用され得ることに留意されたい。
【0010】
他の機能及び態様は、以下の詳細な説明及び添付図面の考慮によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるガスエンジン代替装置の斜視図である。
【
図2】
図1のガスエンジン代替装置の平面図である。
【
図3】
図1のガスエンジン代替装置の概略図である。
【
図4】
図1のガスエンジン代替装置のバッテリパックの斜視図である。
【
図6】
図1のガスエンジン代替装置のバッテリレセプタクルの断面図である。
【
図7】
図1のガスエンジン代替装置のモータの断面図である。
【
図8】
図1のガスエンジン代替装置のモータ、歯車列、及び動力取出シャフトの略図である。
【
図9】
図1のガスエンジン代替装置のブロック図である。
【
図10A】フリーホイールモード及び同期整流モード中に、
図1のガスエンジン代替装置のモータを駆動するための電力スイッチングネットワークの概略図である。
【
図10B】フリーホイールモード及び同期整流モード中に、
図1のガスエンジン代替装置のモータを駆動するための電力スイッチングネットワークの概略図である。
【
図10C】フリーホイールモード及び同期整流モード中に、
図1のガスエンジン代替装置のモータを駆動するための電力スイッチングネットワークの概略図である。
【
図11】フリーホイールモード及び同期整流モードにおける、オン及びオフ期間中のフェーズモータ電流を示す図である。
【
図12】
図1のガスエンジン代替装置のモータの整流モードを制御するための例示的な方法のフロー図である。
【
図13A】
図12の方法を使用した整流モード変更を示すタイミング図である。
【
図13B】
図12の方法を使用した整流モード変更を示すタイミング図である。
【
図14】フリーホイールモード及び同期整流モードを実現するための整流モード曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2に示すように、動力機器と共に用いるためのガスエンジン代替装置10は、第1の側面18と、第1の側面18に隣接する第2の側面22と、第2の側面22の反対側にある第3の側面26と、第1の側面18の反対側にある第4の側面28と、第2の側面22と第3の側面26との間に延びる第5の側面30と、第5の側面30の反対側にある第6の側面32とを有するハウジング14を含む。ガスエンジン代替装置10はまた、第1の側面18でハウジング14に結合されたフランジ34と、ハウジング14内に配置された電気モータ36と、第2の側面22から突出し、且つモータ36からのトルクを受け取る動力取出シャフト38とを含む。以下で更に詳細に説明するように、幾つかの実施形態において、動力取出シャフト38は、第1の側面18及びフランジ34から突出する。
図3に示すように、ガスエンジン代替装置10は、ハウジング14内に配置され、配線及びコントローラ46も含み、モータ36に電気的に接続される制御電子機器42を含む。同様のガスエンジン代替装置10は、2019年8月26日出願の米国特許出願公開公報第2020/0076337号明細書に記載及び図示されており、この特許出願公開の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
図1~
図6に示すように、ガスエンジン代替装置10はまた、ハウジング14内のバッテリパックレセプタクル54に取り外し可能に受け入れられてバッテリパック50から制御電子機器42を介してモータ36に電流を伝達するバッテリパック50も含む。
図4~6を参照すると、バッテリパック50は、支持部62を有するバッテリパックハウジング58と、バッテリパックハウジング58によって支持される複数のバッテリセル68に電気的に接続される第1の端子66とを含んでいる。支持部62は、突出部/凹部70がバッテリパックレセプタクル54の相補突出部/凹部74(
図6に示す)と協働することによりスライドオン構成を提供する。
図4~
図6に示す実施形態において、バッテリパック50の突出部/凹部70は、ガイドレールであり、バッテリパックレセプタクル54の突出部/凹部74は、ガイド凹部である。同様のバッテリパックは、2018年7月2日出願の米国特許出願公開公報第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、この特許出願公開の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、最大約80Vの公称電圧を有する。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、最大約120Vの公称電圧を有する。幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、最大約6lbの重量を有する。幾つかの実施形態において、バッテリセル68のそれぞれは、最大21mmの直径及び最大約71mmの長さを有する。幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、最大20個のバッテリセル68を含む。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は直列に接続される。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、約40A~約60Aの間の持続動作放電電流を出力するように動作可能である。幾つかの実施形態において、バッテリセル68のそれぞれは、約3.0Ah~約5.0Ahの容量を有する。
【0014】
図6は、幾つかの実施形態による、ガスエンジン代替装置10のバッテリパックレセプタクル54を示す。バッテリパックレセプタクル54は、突出部/凹部74と、第2の端子78と、ラッチ機構82と、電力切断スイッチ86とを含む。突出部/凹部74は、バッテリパック50をガスエンジン代替装置10のバッテリパックレセプタクル54に取り付けるようバッテリパック50の突出部/凹部70と協働する。バッテリパック50がガスエンジン代替装置10に取り付けられると、第2の端子78及び第1の端子66は電気的に接続される。ラッチ機構82は、バッテリパックレセプタクル54の表面から突出し、バッテリパック50と係合してバッテリパック50とバッテリパックレセプタクル54との間の係合を維持するように構成される。したがって、バッテリパック50は、バッテリパック50がガスエンジン代替装置10のハウジング14によって支持可能であるように、バッテリパックレセプタクル54に接続可能であり、それによって支持可能である。幾つかの実施形態において、バッテリパックレセプタクル54は、モータ36からバッテリパック50に伝達される振動を抑制するために、モータ36とバッテリパック50との間に最大可能離間距離を生じる位置においてハウジング14上に配置される。幾つかの実施形態において、エラストマー部材が、モータ36からハウジング14を介してバッテリパック50に伝達される振動を抑制するために、バッテリパックレセプタクル54上に配置される。
【0015】
他の実施形態(図示せず)において、ラッチ機構82は、ラッチ機構82がバッテリパック50上の対応する構造と係合してバッテリパック50とバッテリパックレセプタクル54との間の係合を維持するように、様々な位置(例えば、バッテリパックレセプタクル54の側壁、端壁、上端壁等)に配設され得る。ラッチ機構82は、ラッチ部材94と動作可能に係合する枢動自在なアクチュエータ又はハンドル90を含む。ラッチ部材94は、バッテリパックレセプタクル54のボア内に摺動自在に配設され、付勢部材102(例えば、ばね)によってラッチ位置に向かって付勢されて、バッテリパックレセプタクル54の表面を通って、バッテリパック50内のキャビティ内に突出する。
【0016】
ラッチ機構82はまた、ラッチ部材94をバッテリパック50から引き出すハンドル90の作動の間、バッテリパック50をバッテリパックレセプタクル54から電気的に接続/切断することを容易にする電力切断スイッチ86(例えば、マイクロスイッチ)も含む。電力切断スイッチ86は、バッテリパックレセプタクル54からバッテリパック50を取り外す前に、ガスエンジン代替装置10からバッテリパック50を電気的に切断するように作用し得る。電力切断スイッチ86は、ラッチ部材94がラッチ位置(すなわち、ラッチ部材94が完全にバッテリパック50のキャビティ内部にある場合)から中間位置に移動する場合に作動する。電力切断スイッチ86は、コントローラ46に電気的に接続されており、バッテリパック50がガスエンジン代替装置10から切断されていることを示す割込を生成してもよい。コントローラ46が割込を受信すると、コントローラ46は、電源切断動作を開始して、ガスエンジン代替装置10の制御電子機器42を安全に電源切断する。同様のラッチ機構及び切断スイッチは、米国特許出願公開第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、引用して本明細書中に組み込んでいる。
【0017】
図7に示すように、モータ36は、外径97を有するモータハウジング96と、最大約80mmの公称外径100を有する固定子98と、出力シャフト106を有し、固定子98内部で回転するように支持される回転子104と、ファン108とを含む。同様のモータは、米国特許出願公開第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、この特許出願公開は、参照により本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、モータ36は、ブラシレス直流モータである。幾つかの実施形態において、モータ36は、少なくとも約2760Wの電力出力を有する。幾つかの実施形態において、モータ36の電力出力は、動作中に2760W未満に低下する可能性がある。幾つかの実施形態において、ファン108は、モータハウジング96のより大きい直径97である直径109を有する。幾つかの実施形態において、モータ36は、迅速な過負荷制御のために電子クラッチにより停止させることができる。幾つかの実施形態において、モータ36は、最大約443,619mm
3の体積を有する。幾つかの実施形態において、モータは、最大約4.6lbの重量を有する。ハウジング14は、空気が出口ベントを通して排出される前に、モータファン108が、空気を入口ベントを通して制御電子機器42に沿って引き込んで、制御電子機器42を冷却するように、入口ベント及び出口ベントを含んでいる。
図7に示す実施形態において、モータ36は内部回転子モータであるが、他の実施形態において、モータ36は、最大約80mmの公称外径(すなわち、回転子の公称外径)を有する外部回転子モータとすることができる。
【0018】
図8を参照すると、モータ36は、様々な構成で動力取出シャフト38にトルクを伝達することができる。幾つかの実施形態において、出力シャフト106は、モータ36がいかなる中間歯車列も欠いて動力取出シャフト38を直接駆動するような動力取出シャフト38でもある。例えば、モータ36は、直接駆動式多極数モータであり得る。
図8に示すように、他の実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、モータ36から動力取出シャフト38にトルクを伝達する歯車列110を含む。幾つかの実施形態において、歯車列110は、モータ36から動力取出シャフト38へのトルクの伝達を中断する機械クラッチ(図示せず)を含むことができる。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106から動力取出シャフト38にトルクを伝達する遊星トランスミッションを含んでもよく、出力シャフト106の回転軸は、動力取出シャフト38の回転軸と同軸である。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106の回転軸が、動力取出シャフト38の回転軸からオフセットされ、それと平行となるように、回転子の出力シャフト106と係合する平歯車を含んでいる。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106の回転軸が動力取出シャフト38の回転軸に対して垂直となるように、傘歯車を含んでいる。傘歯車を利用する他の実施形態において、出力シャフト106の回転軸は、動力取出シャフト38の回転軸に対して垂直、平行、又は同軸ではなく、動力取出シャフト38はフランジ34から突出している。
【0019】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、オン/オフインジケータを含む。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、空中浮遊デブリをモータ36及び制御電子機器42の中に入れないようにするフィルタを含む。幾つかの実施形態において、フィルタは、汚れフィルタセンサ及び自己洗浄機構を含む。幾つかの実施形態において、モータ36は、減速するか又は動きが取れなくなる等の抵抗に遭遇する場合、ガスエンジン応答を模倣する。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、制御電子機器42(
図1及び
図2)を空冷するためのヒートシンク202をハウジング14内に含む。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は液冷式である。
【0020】
幾つかの実施形態において、回転子104の出力シャフト106は、以下で更に説明するように、前進及び後退の両方の能力を有する。幾つかの実施形態において、前進及び後退能力は、余分な歯車及び時間遅延なしに前進/後退能力を達成することができないガスエンジンと比較して、歯車列110の歯車をシフトすることなく制御可能である。したがって、ガスエンジン代替装置10は、高速化、軽量化、低コスト化をもたらす。ガスエンジン代替装置10は、ガスエンジンと比較して、より少ない可動部品を有し、燃焼システムを持たないため、追加の速度、重量及びコストの利点も提供する。
【0021】
ガスエンジン代替装置10は、長期間にわたって地面に対して任意の向き(垂直、水平、上下逆)で動作することが可能であり、1つの向き及びわずかな傾きで短時間のみ動作することができる4サイクルガスエンジンに優る利点を与える。ガスエンジン代替装置10は、ガス、オイル又は他の流体を必要としないため、漏れ又は溢れを生じることなく、上下逆に又は任意の所与の側面で運転し、輸送し、保管することができる。
【0022】
動作時、ガスエンジンシステムの代替としてガスエンジン代替装置10を用いることができる。具体的には、ガスエンジン代替装置10は、フランジ34内の複数のアパーチャによって画定される第1のボルトパターンを第2のボルトパターンと整列させることにより、第2のボルトパターンを有する動力機器に取り付けることができる。幾つかの実施形態において、フランジ34は、アダプタがフランジ34を動力機器に結合するように、フランジ34自体と第2のボルトパターンを有する動力機器のフランジとの間に配置される1つ又は複数の中間取付部材又はアダプタを含み得る。これらの実施形態において、アダプタは、フランジ34の第1のボルトパターンがアダプタの第1のボルトパターンと整列し、アダプタの第2のボルトパターンが動力機器に画定される第2のボルトパターンと整列し、それによってガスエンジン代替装置10のフランジ34が動力機器に結合されることを可能にするように、第2のボルトパターン及び第1のボルトパターンの両方を含む。
【0023】
代替として、ガスエンジン代替装置10は、動力取出シャフトと機器ビットとを動作可能に接続するベルトを設けることによって、ベルトシステムを用いて動力機器の一部に接続することができる。従って、ガスエンジン代替装置10の動力取出シャフト38は、機器を駆動するために用いることができる。
【0024】
動作中、ガスエンジン代替装置10のハウジング14は、ガスエンジン代替装置10において燃焼がないため、内燃ユニットのハウジングよりも比較的はるかに低温である。具体的には、ガスエンジンユニットの運転時、ガスエンジンユニットのハウジングは220℃以上となる。対照的に、ガスエンジン代替装置10の運転時、ハウジング14の外面の全ては、95℃未満である。以下の表1及び2は、ガスエンジン代替装置10のハウジング14上の種々のコンポーネントの温度限界を更に具体的に列挙している。
【0025】
以下の表1は、電動工具において通常用いられる種々のコンポーネントの米国保険業者安全試験所(Underwriter’s Laboratories)(UL)の温度限界を、それらのコンポーネントが金属、プラスチック、ゴム、木材、磁器、又はガラス質から形成されているかどうかに関して列挙している。例えば、少なくとも幾つかの実施形態において、プラスチックの定格温度がガスエンジン代替装置10によって超えられることはない。
【0026】
【0027】
以下の表2は、バッテリパック50のバッテリパックハウジング58の種々のコンポーネントのUL温度限界を、それらのコンポーネントが金属、プラスチック、又はゴムから形成されているかどうかに関して列挙している。例えば、少なくとも幾つかの実施形態において、プラスチックの定格温度がガスエンジン代替装置10によって超えられることはない。
【0028】
【0029】
図9は、1つの例示的な実施形態によるガスエンジン代替装置10の簡略化したブロック図を示す。
図9に示すように、ガスエンジン代替装置10は、電子プロセッサ302と、メモリ306と、バッテリパック50と、電力スイッチングネットワーク310と、モータ36と、回転子位置センサ314と、モータ電流センサ318と、ユーザ入力装置322(例えば、スロットル、トリガ、又は電源ボタン)と、トランシーバ326と、インジケータ330(例えば、発光ダイオード)と、バッテリ電流センサ320とを含む。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、
図9に示すものよりも少ない又は追加のコンポーネントを含む。例えば、ガスエンジン代替装置10は、バッテリパック燃料計、作業灯、追加センサ、キルスイッチ、電力切断スイッチ86等を含んでもよい。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302、メモリ306、電力スイッチングネットワーク310、回転子位置センサ314、モータ電流センサ318、ユーザ入力装置322、トランシーバ326、インジケータ330、及びバッテリ電流センサ320のうちの1つ以上を含む
図9に示すガスエンジン代替装置10の要素は、
図3に示す制御電子機器42の少なくとも一部を形成し、電子プロセッサ302及びメモリ306は、
図3に示すコントローラ46の少なくとも一部を形成している。
【0030】
メモリ306は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の非一時的コンピュータ可読媒体又はそれらの組み合わせを含む。電子プロセッサ302は、メモリ306と通信してデータを格納し、格納されたデータを取り出すように構成される。電子プロセッサ302は、メモリ306から命令及びデータを受信し、とりわけ命令を実行するように構成される。特に、電子プロセッサ302は、メモリ306に格納された命令を実行して、本明細書で説明する方法を実行する。
【0031】
上で説明したように、幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、異なるバッテリパック50をガスエンジン代替装置10に着脱して、異なる量の電力をガスエンジン代替装置10に提供してもよいように、ガスエンジン代替装置10のハウジングに着脱自在に取り付けられる。バッテリパック50(例えば、公称電圧、持続動作放電電流、大きさ、セルの数、動作等)、並びにモータ36(例えば、出力、大きさ、動作等)の更なる説明は、
図1~8に関して上で提供されている。
【0032】
電力スイッチングネットワーク310は、電子プロセッサ302がモータ36の動作を制御することを可能にする。一般に、ユーザ入力装置322が押下される(又は他の方法で作動される)場合、電流が、電力スイッチングネットワーク310を介してバッテリパック50からモータ36に供給される。ユーザ入力装置322が押下されていない(又は他の方法で作動していない)場合、電流は、バッテリパック50からモータ36に供給されない。幾つかの実施形態において、ユーザ入力装置322が押下される量は、モータ36の所望の回転速度に関連するか、又はそれに対応している。他の実施形態において、ユーザ入力装置322が押下される量は、所望のトルクに関連するか、又はそれに対応している。他の実施形態において、モータ36に対して所望の回転速度又はトルクを提供するよう電子プロセッサ302と通信する別個の入力装置(例えば、スライダ、又はダイヤル等)がガスエンジン代替装置10に含まれる。
【0033】
電子プロセッサ302がユーザ入力装置322から駆動要求信号を受信したことに応じて、電子プロセッサ302は電力スイッチングネットワーク310を作動させてモータ36に電力を提供する。電力スイッチングネットワーク310を通して、電子プロセッサ302は、モータ36に利用可能な電流の量を制御し、それによってモータ36の速度及びトルク出力を制御する。電力スイッチングネットワーク310は、多数の電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ接合トランジスタ又は他の種類の電気スイッチを含んでもよい。例えば、電力スイッチングネットワーク310は、電子プロセッサ302からパルス幅変調(PWM)信号を受信してモータ36を駆動する6-FETブリッジ(
図10A~
図10Cを参照)を含んでもよい。
【0034】
回転子位置センサ314及びモータ電流センサ318は、電子プロセッサ302に結合され、ガスエンジン代替装置10又はモータ36の異なるパラメータを示す様々な制御信号を電子プロセッサ302に通信する。幾つかの実施形態において、回転子位置センサ314は、1つ又は複数のホールセンサを含む。他の実施形態において、回転子位置センサ314は、モータ36に取り付けられる直角位相エンコーダを含む。回転子位置センサ314は、モータ36の回転子の磁石がホールセンサの面を横切って回転するときの指標(例えば、パルス)等のモータフィードバック情報を電子プロセッサ302に出力する。更に他の実施形態において、回転子位置センサ314は、例えば、モータコイルにおいて生成される逆起電力(逆emf)の指標を提供する電圧又は電流センサを含む。電子プロセッサ302は、回転子位置センサ314、すなわち、電圧又は電流センサから受信する逆起電力信号に基づいて、回転子位置、回転子速度、及び回転子加速度を特定してもよい。回転子位置センサ314は、電流センサ318と組み合わされて、電流及び回転子位置複合センサを形成することができる。この実施例において、複合センサは、モータ36のアクティブフェーズのコイルに流れる電流を提供し、また、モータ36の非アクティブフェーズのコイルのうちの1つ又は複数における電流を提供する。電子プロセッサ302は、アクティブフェーズのコイルに流れる電流に基づいてモータに流れる電流を測定し、非アクティブフェーズのコイルにおける電流に基づいてモータ速度を測定する。
【0035】
回転子位置センサ314からのモータフィードバック情報に基づいて、電子プロセッサ302は、回転子の位置、速度及び加速度を特定することができる。モータフィードバック情報及びユーザ入力装置322からの信号に応じて、電子プロセッサ302は、制御信号を送信して、電力スイッチングネットワーク310を制御して、モータ36を駆動する。例えば、電力スイッチングネットワーク310のFETを選択的に有効化及び無効化することによって、バッテリパック50から受け取る電力を、モータ36の回転子を回転させるよう、周期的にモータ36の固定子巻線に選択的に印加する。モータフィードバック情報は、電子プロセッサ302によって用いられて、電力スイッチングネットワーク310への制御信号の適切なタイミングを保証し、場合によっては、閉ループフィードバックを提供して、モータ36の速度を所望のレベルになるよう制御する。例えば、モータ36を駆動するため、回転子位置センサ314からのモータ位置決め情報を用いて、電子プロセッサ302は、回転子磁石が固定子巻線に対してどこにあるかを特定し、(a)所定のパターンで次の固定子巻線対(又は複数の対)を励磁して所望の回転方向に回転子磁石に対して磁力を与え、(b)先に励磁された固定子巻線対(又は複数の対)を消磁して回転子の回転方向と反対にある回転子磁石への磁力の印加を防ぐ。
【0036】
モータ電流センサ318は、ガスエンジン代替装置10の動作中にモータ36の電流レベルを監視又は検出し、検出された電流レベルを示す制御信号を電子プロセッサ302に提供する。電子プロセッサ302は、以下でより詳細に説明するように、検出された電流レベルを用いて電力スイッチングネットワーク310を制御してもよい。
【0037】
トランシーバ326は、有線又は無線通信ネットワーク334による電子プロセッサ302と外部装置338(例えば、スマートフォン、タブレット、又はラップトップコンピュータ)との間の通信を可能にする。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、別個の送信及び受信コンポーネントを備えてもよい。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、ガスエンジン代替装置10に取り付けられる無線アダプタを備えてもよい。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、電子プロセッサ302から受信する情報を搬送波無線信号に符号化し、通信ネットワーク334を介して外部装置338に符号化した無線信号を送信する無線トランシーバである。トランシーバ326はまた、通信ネットワーク334を介して外部装置338から受信する無線信号から情報を復号し、復号した情報を電子プロセッサ302に提供する。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、通信ネットワーク334を介して1つ以上の外部センサ340と通信する。例えば、外部センサ340は、ガスエンジン代替装置10が取り付けられる機器に関連付けられてもよい。幾つかの実施形態において、外部センサ340は、速度センサ、位置センサ等である。
【0038】
通信ネットワーク334は、ガスエンジン代替装置10、外部装置338、及び外部センサ340間の有線又は無線接続を提供する。通信ネットワーク334は、近距離ネットワーク、例えばBLUETOOTHネットワーク、Wi-Fiネットワーク等、又は長距離ネットワーク、例えばインターネット、セルラーネットワーク等を含み得る。
【0039】
図9に示すように、インジケータ330は、電子プロセッサ302にも結合され、電子プロセッサ302から制御信号を受信して、ガスエンジン代替装置10の異なる状態に基づいてオン及びオフにするか又は他の場合に情報を伝達する。インジケータ330は、例えば、1つ又は複数の発光ダイオード(「LED」)又は表示画面を含む。インジケータ330は、ガスエンジン代替装置10の状態又はそれに関連する情報を表示するように構成され得る。例えば、インジケータ330は、ガスエンジン代替装置10の測定された電気的特性、ガスエンジン代替装置10の状態、ガスエンジン代替装置10のモード等を示すよう構成される。インジケータ330はまた、可聴又は触覚出力を介してユーザに情報を伝達する要素を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、インジケータ330は、動作中に負荷によって用いられている電力量を示すエコインジケータを含む。
【0040】
ガスエンジン代替装置10のコンポーネント間に示される接続は、
図9では簡略化している。実際には、ガスエンジン代替装置のコンポーネントが電力及び制御信号のための幾つかの配線によって相互接続されるため、ガスエンジン代替装置10の配線はより複雑である。例えば、電力スイッチングネットワーク310の各FETは制御ラインによって電子プロセッサ302に別々に接続され、電力スイッチングネットワーク310の各FETはモータ36の端子に接続され、バッテリパック50から電力スイッチングネットワーク310への電力ラインは正電線及び負/接地電線を含む、等である。加えて、電力線は、増加した電流を処理するよう大きなゲージ/直径を有することができる。更に、図示していないが、追加の制御信号及び電力ラインが、ガスエンジン代替装置10の追加のコンポーネントを相互接続するために用いられる。
【0041】
図10A~
図10Cは、モータ36を駆動するための電力スイッチングネットワーク310の一実施例、及びPWMサイクルの異なる部分の間における電力スイッチングネットワーク310の動作を示す。
図11は、PWMサイクル中のモータ電流を示す。電子プロセッサ302は、電力スイッチングネットワーク310を制御してモータを駆動させる。
【0042】
図10Aに示すように、電力スイッチングネットワーク310は、3つのハイサイドFET UHS、VHS、WHS、及び3つのローサイドFET ULS、VLS、WLSを含み、各々が第1の導通状態及び第2の非電導性状態を有する。モータ36は、巻線M1、M2、M3を有する。電力スイッチングネットワーク210は、バッテリパック50からモータ36に電力を選択的に印加するために用いられる。ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチは、電子プロセッサ302により、パルス幅変調(「PWM」)転流、中心線転流、又は他の転流方式を用いて制御されてもよい。いくつかの実施形態では、PWM転流シーケンスを使用して、モータ36が前進方向に回転するように制御する。ハイサイドFET UHS、VHS、WHSの各々が、転流フェーズの間、周期的に導通する。FET UHS、VHS、及びWHSのうちの1つが導通を停止すると、次のハイサイドFETが導通を開始する。同様に、ローサイドFET ULS、VLS、WLSの各々が、転流フェーズの間、周期的に導通する。FET ULS、VLS、WLSのうちの1つが導通を停止すると、次のローサイドFETが導通を開始する。しかしながら、ハイサイド又はローサイドFETの一方又は両方が、モータ36の所望の速度又はモータ36に対する負荷に基づいて、転流フェーズの期間のみにわたって(例えば、75%、50%、25%、又は別のデューティ比を有するPWM信号により)作動してもよい。モータ36を順方向に駆動するために、ハイサイド及びローサイドFETが所定の対で、且つ所定のシーケンスで作動する。例えば、UHS及びVLSが最初に作動され、その後にVHS及びWLS、その後にWHS及びULSが作動される。このシーケンスは、前進動作におけるモータ36の運転時間の間、継続される。逆方向に回転させるためには、UHS及びWLSが最初に作動され、その後にWHS及びVLS、その後にVHS及びULSが作動される。このシーケンスは、逆動作におけるモータ36の運転時間の間、継続される。幾つかの実施形態において、シーケンスに対する1つ以上の変形例を、所望のモータ動作に基づいて行うことができる。例えば、ハイサイド及びローサイドFETの一方又は両方が、それらの作動フェーズ中に、ある周波数において切り替えられて、モータの速度が制御されてもよい。加えて、ハイサイド及びローサイドFETの作動フェーズは、他の作動との重複を生成するようシフトされて、異なる制御(例えば、フィールド指向制御)を達成してもよい。
【0043】
図10Aは、
図11のインターバルT
ONにより示される巻線M1が電力供給されているPWMサイクル中の、電力スイッチングネットワーク310を示す。トータルPWMサイクルが、
図11のインターバルT
PWMにより示される。FET UHS及びVLSはアクティブであり、
図11の信号500により示されるように、電流が電池から巻線M1に流れる。
図10A~
図10Cの実施例では、VLS制御信号を特定のデューティサイクル及び周波数で有効化及び無効化することにより、PWMがFET VLS制御信号に印加される。
【0044】
電子プロセッサ302は、2つの異なる整流モード、すなわちフリーホイール(「FW」)モード及び同期整流(「SR」)モードを使用して、電力スイッチングネットワーク310を制御する。以下で更に詳細に説明するように、選択される整流モードは、モータ電流、ソース電流、PWM周波数、デューティサイクル等の要因に依存する。
図11のインターバルT
OFFにより示されるようにFET VLSがオフになると、モータ電流は減衰する。電流が減衰する形態は整流モードに依存する。
【0045】
図10Bは、FWモードにある電力スイッチングネットワーク310の構成を示す。
図10Bに示すように、FET UHSは有効化されたままであり、FET VLSはオフである。電流は、
図11のインターバルT
FW中に、FET VHSのボディダイオード400を通って流れてFET UHSとの電流ループを形成することにより減衰する。ボディダイオード400は、信号505により示されるように、フリーホイール電流を伝導し、ダイオードがいったん逆バイアスされるとオフになり、いかなる不連続な電流も遮断される。信号505により示されるように、電流は減衰する。ボディダイオード400全体にわたる電圧降下により、減衰中に電力損失及び加熱が生じる。
【0046】
図10Cは、SRモードにある電力スイッチングネットワーク310の構成を示す。T
OFFインターバル中の電力損失を減らしシステム効率を上げるために同期整流が使用される。FET VHSのON抵抗がボディダイオード400のON抵抗よりも低いので、T
OFFインターバル中にFET VHSを有効化することにより、電力損失及び加熱を減らすことができる(
図10Bと比較して)。
図10Cに示すように、FET UHSは有効化されたままであり、FET VLSはオフにされ、FET VHSは有効化される。電流は、FET UHS、VHSにより定義される電流ループの中を流れることにより減衰する。いくつかの実施形態では、同期整流は、ガスエンジン代替装置以外の装置(例えば、従来はガスエンジンを含まなかった他の可搬式又は類似の電動工具)に適用される。
【0047】
しかしながら、何らかの動作条件下で、例えばT
OFF>T
ONの時に、SRモードが適用される場合、望ましくない影響が存在する場合がある。場合によっては、モータ36は非常に低いインピーダンス、具体的にはインダクタンスを有する。この低いインダクタンスに起因して、モータ36におけるスイッチング電流は急速に減衰する。SRモードが使用される場合、急速に減衰するフェーズ電流が不連続になる可能性がある。この状況が発生すると、
図11の信号510により表されるように、モータ36のバックEMFからエネルギーが除去され、巻線における電流が逆転して、より低いモータ効率及びより大きな加熱に至る。信号510は望ましくなく、以下で詳細に説明するように、電子プロセッサ302が動作モードを制御して不連続な動作を回避することに留意されたい。
【0048】
図10Cの実施例は、PWMデューティサイクルにおいて、FET VLSにPWM信号を印加すること、及びFET VLSが無効化されている時にFET VHSを有効化することを伴う。いくつかの実施形態では、PWMデューティサイクルにおいて、代わりに、FET VLSが有効化されたままである間にFET UHSにPWM信号が印加され、FET VLSが無効化されている時にFET ULSが有効化されて、同期整流が提供される。
【0049】
図12は、
図1のガスエンジン代替装置10のモータ36の整流モードを制御するための例示的な方法600のフロー図である。
図13A及び
図13Bは、
図12の方法600を使用した整流モード変更を示すタイミング図である。
【0050】
図12を参照すると、ブロック605において示すように、電子プロセッサ302は電流測定値を受け取る。いくつかの実施形態では、電子プロセッサ302は、モータ電流センサ318により感知されるモータ電流、又はバッテリ電流センサ320により測定されるソース電流などの、電流測定値に基づいて整流モードを制御する。いくつかの実施形態では、モータ電流測定値は間接的である。例えば、モータトルク又は出力トルクの測定値は、モータ電流の間接的測定値(例えば、モータ電流の推定値)である。
【0051】
ブロック610に示すように、電子プロセッサ302は、電流がモード閾値よりも大きいかどうかを判定する。所与のモータ36に対して、SRモードが使用される場合、経験的に、電流範囲は不連続な伝導が生じる場所で決定できる。モード閾値は、モータ36にとって不連続な伝導が生じる電流範囲を上回るように選択される。
【0052】
ブロック610において、電流がモード閾値よりも大きい場合、電子プロセッサ302はブロック615において同期整流モードを使用する。ブロック610において、電流がモード閾値よりも大きい場合、電子プロセッサ302はブロック620においてフリーホイールモードを使用する。SRモード及びFWモードインターバルが、
図13A及び
図13Bにおいてラベル付けされている。
図13A及び
図13Bで分かるように、SRモードでは、FET VLSがオフの時、FET VHSはオンにされて、
図10Cで説明したアクティブな電流減衰が提供される。
【0053】
いくつかの実施形態では、電流がモード閾値に近い場合、整流モードの振動を回避するためにヒステリシスバンドが使用される。それに応じて、モード閾値は、電流整流モードに応じて調整されてもよい。例えば、15Aの名目上のモード閾値を想定する。モード変更のために、5Aヒステリシスバンドが提供することができる。電子プロセッサ302がFWモードで動作しており、電流が20A(15Aの名目閾値に、ヒステリシスバンドを加えたもの)を超える場合、電子プロセッサ302はSRモードに変化する。
図13Aに示すように、電流はポイント700において20Aを超え、電子プロセッサはFWモードからSRモードに変化する。
【0054】
電子プロセッサ302がSRモードで動作しており、電流が15Aの名目閾値を下回る場合、電子プロセッサ302はFWモードに変化する。
図13Bに示すように、電流はポイント705において15Aを下回り、電子プロセッサはSRモードからFWモードに変化する。
【0055】
図14は、フリーホイールモード及び同期整流モードを実現するための整流モード曲線800を示す図である。いくつかの実施形態では、電流に加えて、他の決定パラメータが含まれてもよい。例えば、モータ36に印加されるPWM信号のデューティサイクル及びスイッチング周波数を使用してT
OFFが計算されてもよい。整流曲線800は、電流をT
OFFの関数として関連させて、不連続な伝導をもたらす所与のT
OFFに対する電流を示すことができる。したがって、曲線800より上の領域でのSRモードの動作は不連続な伝導につながり、一方で、曲線800よりも下の領域でのSRモードの動作は不連続な伝導につながらない。曲線800は、
図12の方法600の処理に組み込まれてもよく、モード閾値はデューティサイクル、スイッチング周波数及び電流などの動作パラメータに基づいて動的に更新される。発振を防止するために、ヒステリシスバンドもまた、上述したように曲線800に組み込まれてもよい。
【0056】
本明細書で説明されるように整流モードを制御することが、電力消費を減らし、熱発生を減らし、効率を改善する。
【0057】
ガスエンジン代替装置10によって駆動される、上で説明した機械システムは、内燃機関によって駆動される従来の機器に勝る多くの利点を含み、その幾つかを以下に説明する。
【0058】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、新しい機器と嵌合することができ、メモリ306は、新しい機器との動作のためにガスエンジン代替装置10を最適化するよう再プログラムすることができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン代替装置10がどの種類の新しい機器と嵌合しているかを自動的に認識し、それに応じてガスエンジン代替装置10の動作を管理する。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、新しい機器との無線周波数識別(RFID)通信を介して、ガスエンジン代替装置10がどの機器と嵌合しているかを自動的に検出することができる。
【0059】
幾つかの実施形態において、メモリ306は、BLUETOOTH又はWi-Fi通信プロトコルのどちらか一方を介して再プログラム可能である。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、同じ機器の異なる使用のための制御モードを有する。制御モードは、プリセット又はユーザプログラム可能であってもよく、BLUETOOTH又はWi-Fiを介して遠隔でプログラムされてもよい。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン代替装置10が機器に対して一方向制御を行うことができるように、又はオペレータがスマートフォンアプリケーションを用いてガスエンジン代替装置10に対して一方向制御を行うことができるように、マスター/スレーブ機器間通信及び連携を利用する。
【0060】
幾つかの実施形態において、オペレータ又は相手先商標製造会社(「OEM」)は、例えば、コントローラエリアネットワーク(「CAN」)のようなインターフェースを介して電子プロセッサ302を通じてガスエンジン代替装置10の速度を制御する限定されたアクセスを許可される。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、歯車列110内の単一の歯車セットにより、ガソリンエンジンよりも広範囲の速度選択が可能である。例えば、制御電子機器42は、2,000RPM未満でモータ36を駆動するよう構成され、これは、ガソリンエンジンが可能ないかなる速度よりも低く、これにより、関連する機器が、バッテリパック50の全放電にわたってガソリンエンジンよりも大きな全実行時間を有することが可能になる。加えて、制御電子機器42は、3,600RPMを超えてモータを駆動するよう構成され、これは、ガソリンエンジンが可能ないかなる速度よりも高く、より多くのトルクを出力する能力を有する。モータ36のより広い速度範囲は、ガソリンエンジンよりも高い効率及び能力を提供する。幾つかの実施形態において、オペレータは、速度に加えてモータ36によって引き出される電流を制御するアクセスを有することができる。
【0061】
幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、データを記録し、報告するよう構成される。例えば、電子プロセッサ302は、ガスエンジン代替装置10の状態を監視し、読み取るための有線又は無線診断を提供するよう構成される。例えば、電子プロセッサ302は、例えばレンタルシナリオにおいて、ガスエンジン代替装置10の実行時間を監視し、記録することができる。幾つかの実施形態において、モータ36及び電子プロセッサ302は、バッテリパック50を充電するために回生制動を用いる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、照明又は付属品のためのDC出力を含む。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、電圧、電流、動き、速度、及び/又は熱電対を介してガスエンジン代替装置10の異常又は動作不良を検出することができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン代替装置10の意図しない使用又は停止を検出することができる。ガスエンジン代替装置10によって駆動される機器が意図した特性で動作していない場合、又は正しく若しくは安全に用いられていない場合、電子プロセッサ302は、異常を検出し、ガスエンジン代替装置10を停止させることができる。例えば、ガスエンジン代替装置10は、ガスエンジン代替装置10及び機器が意図した向きにあるかどうかを感知する1つ以上の加速度計を含むことができる。また、ガスエンジン代替装置10が意図した向きにない(すなわち、機器が転倒した)と電子プロセッサ302が特定した場合、電子プロセッサ302は、ガスエンジン代替装置10を停止させることができる。
【0062】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、加速度計、ジャイロスコープ、GPSユニット、又はリアルタイムクロック等の、動力機器の一部と共に用いるためのユーザ選択センサと電気的に接続するアクセス可能なセンサポート(図示せず)を含み、オペレータが、電子プロセッサ302によって感知及び検出される変数をカスタマイズすることを可能にする。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、視覚的、聴覚的、又は触覚的通知を介して、バッテリが消耗している場合等のバッテリパック50の状態をオペレータに示すことができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ウインチ等の補助装置を駆動するよう、モータ36とは別個の補助モータを動作させることができる。補助モータは、ガスエンジン代替装置10の内部又は外部にあってもよい。
【0063】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、タッチディスプレイ又はノブ及びボタンの組み合わせ等のカスタマイズ可能なユーザインターフェース上のデジタル制御を含むことができる。対照的に、アナログガソリンエンジンは、かかるデジタル制御を含んでいない。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10のためのユーザインターフェースは、モジュール式、有線式、又は無線式とすることができ、ガスエンジン代替装置10に取り付け可能であるか、又は手持ち式とすることができる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、バッテリパック50の充電及び温度等のガスエンジン代替装置10のある特定の特性のための状態インジケータを含む、遠隔制御により制御することができる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン代替装置10は、遠隔のプログラム可能な装置により状態表示を提供することができる。
【0064】
したがって、本明細書で説明される実施形態は、とりわけ、同期整流を含むガスエンジン代替装置を提供する。様々な特徴及び利点は、後述の特許請求の範囲に示されている。