(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】発泡銅の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/11 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B22F3/11 B
(21)【出願番号】P 2022577436
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2022106643
(87)【国際公開番号】W WO2024000684
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202210765359.2
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522237667
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ (ナンジン) カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Technologies (Nanjing) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】8th Floor, R&D Building, Emerging Industry Incubation Base, Nanda Science Park, Yuanhua road, Xianlin University Town, Qixia district, Nanjing City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110003764
【氏名又は名称】弁理士法人OMNI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 波
(72)【発明者】
【氏名】黄 国▲創▼
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-260071(JP,A)
【文献】特開2014-065968(JP,A)
【文献】国際公開第2018/086522(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00765704(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第103526064(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106180745(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110677783(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114543570(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00,3/00
C22C 1/08,9/00
C22F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡銅の製造方法であって、
銅ペーストを離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに塗布シートを形成する工程と、
前記塗布シートが形成された前記離型フィルムを乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得る工程と、
前記発泡銅プリフォームに対して接着剤排出、焼結を順次行った後、発泡銅を得る工程と、を含み、
前記塗布シートの厚さは、50~200μmであり、前記発泡銅は、厚さが30~120μmであり、空孔率が50~80%であ
り、
前記焼結の焼結温度は、650~1050℃であり、前記接着剤排出の接着剤排出温度は、350~450℃であり、接着剤排出雰囲気は、窒素ガスであり、
前記離型フィルムは、PE及びOPPから選択される一種であり、前記離型フィルムの厚さは、75~120μmであることを特徴とする発泡銅の製造方法。
【請求項2】
前記銅ペーストの粘度は、10000~35000cpsであり、前記銅ペーストは、銅粉、接着剤、造孔剤、溶媒、増粘剤、分散剤、レベリング剤及び酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項3】
前記銅粉は、平均粒径が0.5~10μmであり、メジアン径が3μmであることを特徴とする請求項2に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項4】
前記焼結は
、焼結時間が0.5~24hであり、焼結雰囲気がアンモニアガスであることを特徴とする請求項1に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤は、PVA、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、ヒドロキシメチルセルロース及びエチルセルロースのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.1~30wt%の前記接着剤を含み、
前記造孔剤は、塩化アンモニウム、尿素、硫酸アンモニウム、クエン酸及び安息香酸のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、5~50wt%の前記造孔剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、トルエン、キシレン、テルピネオール、トリエタノールアミン、イソホロン、二価酸エステル及び水のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、1~70wt%の前記溶媒を含み、
前記増粘剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、C5系石油樹脂及びC9系石油樹脂のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~5wt%の前記増粘剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項7】
前記分散剤は、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド及び脂肪酸ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~5wt%の前記分散剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の発泡銅の製造方法。
【請求項8】
前記レベリング剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸ナトリウム、レシチン、トリエタノールアミン、KH550、ポリエチレングリコール及びトリエタノールアミンのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~10wt%の前記レベリング剤を含み、
前記酸化防止剤は、クエン酸、フィチン酸、ビタミン、シュウ酸、アスコルビン酸及びグルコースのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~10wt%の前記酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の発泡銅の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱材料の製造方法に関し、特に発泡銅の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品及び集積回路技術の高頻度の利用や高速発展により、電子部品の動作中に大量の熱が発生し、例えば、コンピュータのCPUの動作中の熱流密度は、60~100W/cm2に達する。高熱流が電子部品の正常な動作の信頼性を大きく脅かすため、放熱は、電子製品の小型化発展の重要な問題となっている。電子部品が正常に動作することを保証するために、一般的に電子部品に放熱器を増設して放熱するとともに、良好な熱伝導性を有する均温プレートを放熱器と電子部品との間に増設し、電子部品の熱を均一に分散させた後で放熱器を介して放熱する。
【0003】
均温プレートは、自身内部の作動流体の相変化に依存して急速熱伝達を実現する熱伝導アセンブリであり、主に上・下カバープレート又は金属管、シールヘッド、吸液芯及び伝熱作動媒体を含む。ここで、吸液芯の毛細管構造は、均温プレートの性能に直接影響する。毛細管構造は、毛細管力が強く且つ水流抵抗が小さいことが要求される。従来の技術において、毛細管構造を有する吸液芯の種類が多く、例えば発泡銅、銅メッシュ、複合銅メッシュ、エッチング毛細管構造がある。
【0004】
電子製品の小型化への継続的な発展に伴い、他の電子部品のサイズがますます小さくなり、ますます薄くなるように要求されるため、均温プレートの厚さは、より厳しく要求されている。例えば、280μm以下(例えば、240μm)の厚さの極薄均温プレートが誕生する。極薄均温プレートは、伝熱性能を保証する一方、より薄い吸液芯が必要とされ、例えば、80μmひいては50μmの厚さの吸液芯の製造が予定されている。
【0005】
したがって、上記問題を解決するために、極薄発泡銅の製造方法を提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に基づいて、本発明は、厚さが小さく、吸水性能が高い発泡銅を製造する極薄発泡銅の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、発泡銅の製造方法を提供し、前記製造方法は、
銅ペーストを離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに塗布シートを形成する工程と、
前記塗布シートが形成された前記離型フィルムを乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得る工程と、
前記発泡銅プリフォームに対して接着剤排出、焼結を順次行った後、発泡銅を得る工程と、を含み、
前記塗布シートの厚さは、50~200μmであり、前記発泡銅は、厚さが30~120μmであり、空孔率が50~80%であるステップを含む。
【0008】
好ましくは、前記銅ペーストの粘度は、10000~35000cpsであり、前記銅ペーストは、銅粉、接着剤、造孔剤、溶媒、増粘剤、分散剤、レベリング剤及び酸化防止剤を含む。
【0009】
好ましくは、前記銅粉は、平均粒径が0.5~10μmであり、メジアン径が3μmである。
【0010】
好ましくは、前記焼結は、焼結温度が650~1050℃であり、焼結時間が0.5~24hであり、焼結雰囲気がアンモニアガスである。
【0011】
好ましくは、前記接着剤排出の接着剤排出温度は、350~450℃であり、接着剤排出雰囲気は、窒素ガスである。
【0012】
好ましくは、前記離型フィルムは、PET、PE及びOPPから選択される一種であり、前記離型フィルムの厚さは、75~120μmである。
【0013】
好ましくは、前記接着剤は、PVA、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、ヒドロキシメチルセルロース及びエチルセルロースのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.1~30wt%の前記接着剤を含み、
前記造孔剤は、塩化アンモニウム、尿素、硫酸アンモニウム、クエン酸及び安息香酸のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、5~50wt%の前記造孔剤を含む。
【0014】
好ましくは、前記溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、トルエン、キシレン、テルピネオール、トリエタノールアミン、イソホロン、二価酸エステル及び水のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、1~70wt%の前記溶媒を含み、
前記増粘剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、C5系石油樹脂及びC9系石油樹脂のうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~5wt%の前記増粘剤を含む。
【0015】
好ましくは、前記分散剤は、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド及び脂肪酸ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~5wt%の前記分散剤を含む。
【0016】
好ましくは、前記レベリング剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸ナトリウム、レシチン、トリエタノールアミン、KH550、ポリエチレングリコール及びトリエタノールアミンのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~10wt%の前記レベリング剤を含み、
前記酸化防止剤は、クエン酸、フィチン酸、ビタミン、シュウ酸、アスコルビン酸及びグルコースのうちの一種又は複数種を含み、前記銅ペーストは、0.01~10wt%の前記酸化防止剤を含む。
【発明の効果】
【0017】
関連技術に比べて、本発明に係る発泡銅の製造方法は、銅ペーストを離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに厚さが50~200μmの塗布シートを形成し、その後、前記塗布シートが形成された前記離型フィルムを乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得てから、前記発泡銅プリフォームを順次接着剤排出し、焼結した後、厚さが30~120μmであり且つ空孔率が50~80%である発泡銅を得て、発泡銅の厚さを低減するとともに、発泡銅の空孔率と構造強度との間のバランスを保証するため、良好な吸水性能を有し、発泡銅の放熱性能を効果的に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明における発泡銅の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本発明の技術案を明確で、完全に説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明は、発泡銅の製造方法を提供し、前記製造方法は下記の工程を含む。
工程1:銅ペーストを離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに塗布シートを形成する。
工程2:前記塗布シートが形成された前記離型フィルムを乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得る。
工程3:前記発泡銅プリフォームに対して接着剤排出、焼結を順次行った後、発泡銅を得る。
【0021】
工程1において、前記銅ペーストは、銅粉、接着剤、造孔剤、溶媒、増粘剤、分散剤、レベリング剤及び酸化防止剤を含む。
【0022】
前記銅粉は、平均粒径が0.5~10μmであり、メジアン径が3μmである。具体的には、以下のように広分布、細粒径を有する銅粉が焼結過程において十分に接触することができ、製造された発泡銅は、厚さが薄い場合でも高い構造強度を有することを保証する。
【0023】
前記接着剤は、PVA、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、ヒドロキシメチルセルロース及びエチルセルロースのうちの一種又は複数種を含む。
【0024】
前記造孔剤は、塩化アンモニウム、尿素、硫酸アンモニウム、クエン酸及び安息香酸のうちの一種又は複数種を含む。
【0025】
前記溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、トルエン、キシレン、テルピネオール、トリエタノールアミン、イソホロン、二価酸エステル及び水のうちの一種又は複数種を含む。
【0026】
前記増粘剤は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、C5系石油樹脂及びC9系石油樹脂のうちの一種又は複数種を含む。
【0027】
前記分散剤は、メチルペンタノール、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド及び脂肪酸ポリエチレングリコールのうちの一種又は複数種を含む。
【0028】
前記レベリング剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸ナトリウム、レシチン、トリエタノールアミン、KH550、ポリエチレングリコール及びトリエタノールアミンのうちの一種又は複数種を含む。
【0029】
前記酸化防止剤は、クエン酸、フィチン酸、ビタミン、シュウ酸、アスコルビン酸及びグルコースのうちの一種又は複数種を含む。
【0030】
上記原材料を選択した後、前記造孔剤をボールミルに入れて4~24hボールミリングするか又は粉砕機により粉砕し、粒径が20~200μmの前記造孔剤を得て、次に、銅粉と篩分けされた前記造孔剤を材料混合機で1~12h十分に混合して混合粉末材料を取得し、該混合粉末材料に選定された前記溶媒、前記接着剤、前記分散剤、前記レベリング剤、前記増粘剤及び前記酸化防止剤を添加し、材料混合機で0.5~12h十分に撹拌し続け、粘度が10000~35000cpsの前記銅ペーストを取得し、具体的には、前記銅ペーストは、一定量の前記銅粉、0.1~30wt%の前記接着剤、5~50wt%の前記造孔剤、1~70wt%の前記溶媒、0.01~5wt%の前記増粘剤、0.01~5wt%の前記分散剤、0.01~10wt%の前記レベリング剤及び0.01~10wt%の前記酸化防止剤を含む。
【0031】
前記銅ペーストを製造した後、擦り付け又はスクリーン印刷により前記銅ペーストを前記離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに厚さが50~200μmの塗布シートを形成し、具体的には、前記離型フィルムは、PET、PE及びOPPから選択される一種であり、前記離型フィルムの厚さは、75~120μmであることにより、前記塗布シートが塗布された離型フィルムが後続の焼結過程において軟化又は深刻な変形を生じないことを保証し、厚さは、上限値であることが好ましい。
【0032】
工程2において、前記乾燥過程は、一般的にオーブンで行われ、乾燥過程においてプログラム昇降温制御を採用し、前記離型フィルム上の前記塗布シートが乾燥過程及び後続の剥離過程において割れが発生しないことを保証し、それにより完全な発泡銅プリフォームを取得する。具体的には、乾燥過程は、一般的にトンネル炉又はオーブンで行われる。
【0033】
工程3において、前記接着剤排出の接着剤排出温度が350~450℃であり、接着剤排出雰囲気が窒素ガスであり、接着剤排出過程において、接着剤及び造孔剤が揮発することができ、製造された発泡銅構造の均一性を保証するために、接着剤排出過程の温度を同一温度帯に制御する必要がある。また、接着剤排出過程において一定量のガスが生成するため、製造された発泡銅の上下面の均一性が保証されるように、上下面のいずれにも空気が流れる必要がある。したがって、接着剤排出過程において前記発泡銅プリフォームを多孔質構造を有するセラミック又は石英ガラスに配置して接着剤を排出する必要があり、前記発泡銅プリフォームと支持板である多孔質セラミック又は石英ガラスとの接着を回避することもできる。更に、接着剤排出過程において大量の排気ガスが発生するため、接着剤排出用の装置に排気ガス吸収装置を備える必要がある。一般的には、接着剤排出の過程は、一般的に焼結炉で行われる。
【0034】
前記発泡銅プリフォームを接着剤排出した後に焼結し、前記焼結の焼結温度は、650~1050℃であり、焼結時間は、0.5~24hであり、焼結雰囲気は、アンモニアガスである。具体的には、前記焼結温度は、700~900℃であることが好ましく、前記焼結時間は、2~12hであることが好ましく、前記発泡銅プリフォームは、接着剤排出、焼結を経た後、厚さが30~120μmであり且つ空孔率が50~80%の発泡銅を製造した。
【0035】
理解されるように、製造された発泡銅の空孔率及び構造強度の両者のバランスを制御するために、前記焼結温度及び焼結時間を調整してもよい。
【0036】
以下、具体的には、いくつかの実施例により本発明に係る発泡銅の製造方法を更に説明する。
【0037】
実施例1
平均粒径が10μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを3:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が25%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが150μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて20min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に、厚さが90±10μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0038】
実施例2
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを3:1の質量比で混合して混合粉末材料を得て、該混合粉末材料を濃度が25%のキシレン溶液に添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが120μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて30min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で120min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で90min焼結し、最終的に、厚さが75±10μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0039】
実施例3
平均粒径が10μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを2:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が25%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが100μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて20min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に、厚さが70±10μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0040】
実施例4
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを2:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が25%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが80μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて20min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に厚さが50±8μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0041】
実施例5
平均粒径が10μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを1:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が25%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが70μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて20min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、450℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に厚さが45±5μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0042】
実施例6
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを1:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が25%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが60μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて20min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、450℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に、厚さが40±5μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0043】
実施例7
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを3:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が20%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが50μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて30min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームを焼結炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で90min接着剤排出を行い、次にアンモニアガスを導入し、且つ700~850℃で120min焼結し、最終的に、厚さが30±8μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0044】
実施例8
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを5:2の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が20%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが50μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて30min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームをゴム排出炉に入れ、まずN2を導入し、400℃で90min接着剤排出を行い、次に焼結炉に入れてアンモニアガスを導入し、且つ850~900℃で120min焼結し、最終的に、厚さが30±5μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0045】
実施例9
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを2:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が20%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが60μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて30min乾燥させ、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームをゴム排出炉に入れ、まずN2を導入し、450℃で90min接着剤排出を行い、次に焼結炉に入れてアンモニアガスを導入し、且つ850~900℃で120min焼結し、最終的に、厚さが40±5μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0046】
実施例10
平均粒径が1μmの銅粉とボールミル又は粉砕により篩分けして得られた粒径が70~100μmの塩化アンモニウム粒子とを2.5:1の質量比で混合して混合粉末を得て、該混合粉末に濃度が20%のキシレン溶液を添加した後に混合し、且つ順に0.5%の増粘剤、0.5%の分散剤、1%の酸化防止剤及び一定量のレベリング剤を添加し、且つ0.5~6h撹拌し続け、銅ペーストを得る。銅ペーストを厚さが60μmのPET離型フィルムに塗布して塗布シートを形成した後、90~110℃のオーブンに入れて30min乾燥し、PET離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得て、得られた発泡銅プリフォームをゴム排出炉に入れ、まずN2を導入し、450℃で90min接着剤排出を行い、次に焼結炉に入れてアンモニアガスを導入し、且つ850~900℃で120min焼結し、最終的に、厚さが45±5μmの、多孔質毛細管構造を有する発泡銅を得る。
【0047】
関連技術に比べて、本発明に係る発泡銅の製造方法は、銅ペーストを離型フィルムに塗布することにより、前記離型フィルムに厚さが50~200μmの塗布シートを形成し、その後に前記塗布シートが形成された前記離型フィルムを乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離して発泡銅プリフォームを得てから、前記発泡銅プリフォームを順次接着剤排出し、焼結した後、厚さが30~120μmであり且つ空孔率が50~80%の発泡銅を得て、発泡銅の厚さを低減するとともに、発泡銅の空孔率と構造強度との間のバランスを保証するため、良好な吸水性能を有し、発泡銅の放熱性能を効果的に向上させる。
【0048】
以上は本発明の実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれる。