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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023020639
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2018136808の分割
【原出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2023071732
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-045044(JP,U)
【文献】特開2020-010961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
電源部から電力が供給される一対の電極部と、
前記一対の電極部への電力供給を制御する制御部と、を備える電気刺激装置であって、
前記電極部には、足を載置可能な足置き部が設けられ
前記足置き部は、頂部と、前記頂部から周囲に延びる複数の面とを有し、
前記複数の面間には稜部が設けられ、
前記複数の面は、前記足置き部の足幅方向内側の内側部に少なくとも一部が設けられる内側面と、前記足置き部の足幅方向外側の外側部に少なくとも一部が設けられる外側面とを含む電気刺激装置。
【請求項2】
前記内側面は、足幅方向内側に向かうにつれて下方に延びることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記複数の面は、前後方向の後側に向かうにつれて下方に延びる面を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの筋肉に電気刺激を付与するための電気刺激装置が提案されている。電気刺激装置を用いることで、電気刺激により筋肉の収縮と弛緩を伴う運動が促される。
【0003】
特許文献1には、ユーザの足を置いて用いられる足置き型の電気刺激装置が記載される。これを用いて、ユーザの両脚に電気刺激を付与することによって、ユーザの足関節の屈曲及び伸展を伴う足の揺動運動を促すことができる。この電気刺激装置の本体は、このようにユーザの足を揺動させたとき、その揺動に追従して揺動可能に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US2013/0331907
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、特許文献1の電気刺激装置を検討した。この結果、本体とともにユーザの足が揺動するとき、本体の足置き部に対してユーザの足が左右に位置ずれしつつ離れ易くなる問題があるとの認識を得た。このようにユーザの足が位置ずれしてしまうと、ユーザの足に対する電極の接触状態が変化してしまい、脚に対する電極からの通電状態の不安定化を招く。
【0006】
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、足置き型の電気刺激装置でユーザの脚に対する通電状態の安定化を図れる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するための本発明のある態様は、本体と、電源部から電力が供給される一対の電極部と、前記一対の電極部への電力供給を制御する制御部と、を備える電気刺激装置であって、前記電極部には、足を載置可能な凹状面を有する足置き部が設けられる。
【0008】
前述の電気刺激装置によれば、足置き型の電気刺激装置でユーザの脚に対する通電状態の安定化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の電気刺激装置の使用状態を示す側面図である。
図2図1の矢視V1から見た図である。
図3】実施形態の本体が静止姿勢にある状態を示す図である。
図4】実施形態の本体が動作姿勢にある状態を示す図である。
図5】実施形態の電気刺激装置の分解図である。
図6】実施形態の電気刺激装置の部分断面側面図である。
図7図2のA-A線断面の一部を示す図である。
図8図2のB-B線断面の一部を示す図である。
図9図2のC-C線断面の一部を示す図である。
図10図2と同じ視点から電気刺激装置を見た図である。
図11図2のD-D線断面図である。
図12図2のE-E線断面の一部を示す図である。
図13】実施形態の電気刺激装置の操作部材と周辺構造を示す斜視断面図である。
図14】実施形態の電気刺激装置の機能を示すブロック図である。
図15】実施形態の電気刺激装置の表示部の説明図である。
図16】実施形態の電気刺激装置が行うメイン処理を示すフローチャートである。
図17】実施形態の電気刺激装置が行う割込処理を示すフローチャートである。
図18】実施形態のパッド部材の裏面図である。
図19】前足部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略し、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「接触」とは、特に明示がない限り、言及している二者が直接的に言及している条件を満たす場合の他に、他の部材を介して言及している条件を満たす場合も含む。
【0011】
足置き型の電気刺激装置の利用シーンから説明する。図1は、実施形態の電気刺激装置10の使用状態を示す側面図である。図2は、図1の矢視V1から見た図である。電気刺激装置10を用いるとき、ユーザは、腰掛け座位で電気刺激装置10の一対の足置き部12L、12Rのそれぞれに両足を置く。腰掛け座位とは、椅子等の腰掛けや床に腰を掛けた状態で、両足FL、FRを下ろす姿勢をいう。両脚には、一対の電極部14L、14Rを通して、電気刺激を付与するための刺激電流が流れる。この刺激電流は、ユーザの左脚、右脚、電気刺激装置10を通電経路とする。両脚に刺激電流が流れると、前すね、ふくらはぎ、足裏等の筋肉に電気刺激が付与され、これらの収縮及び弛緩を伴う運動が促される。つまり、ひざ下や足の筋肉の運動が促される。
【0012】
ひざ下や足の筋肉が電気刺激により収縮すると、足関節が屈曲するように足FL、FRが方向Pa1に動く。一方、電気刺激の解除により収縮状態にある筋肉が弛緩すると、その足関節が伸展するように足FL、FRが方向Pa2に動く。ひざ下や足の筋肉に対する電気刺激を繰り返すことで、ユーザの足FL、FRがこれら方向Pa1、Pa2に往復する揺動運動が促される。
【0013】
電気刺激装置10の本体16は、その一部が接地した状態で前後両端部の上下動を伴い前後に揺動可能に設けられる。これにより、電気刺激装置10に足FL、FRを置いた状態で、電気刺激により足FL、FRの揺動を促したとき、その揺動に追従して電気刺激装置10を揺動させられる。これに伴い、足FL、FRが揺動したときでも、電気刺激装置10の電極部14L、14Rに足FL、FRが接触した状態を維持でき、電気刺激装置10により継続的に電気刺激を付与できる。この結果、電気刺激装置10により足FL、FRの揺動運動を継続的に促せ、電気刺激により筋肉を鍛えるトレーニング効果を得られる。
【0014】
また、電気刺激により足FL、FRの揺動運動を促すことで、ふくらはぎのポンプ機能により全身の血流をよくでき、足FL、FRの疲労物質の押し流しを促進できる。よって、疲労物質の蓄積を抑えつつ、足FL、FRの揺動運動を長期に促せる。
【0015】
次に、足置き型の電気刺激装置10の概要を説明する。図3は、本体16が静止姿勢Pb1(第1姿勢)にある状態を示し、図4は、本体16が動作姿勢Pb2(第2姿勢)にある状態を示す。電気刺激装置10は、足置き台となる本体16を備える。本体16は、後述するように、その一部が接地した状態で前後に揺動することによって、静止姿勢Pb1と動作姿勢Pb2とを取ることができる。本体16は、たとえば、ABS樹脂等のプラスチックにより構成される。
【0016】
以下、特に明示しない限り、静止姿勢Pb1にある本体16を水平な床面Fs上に配置したときを基準に、電気刺激装置10の各構成要素の位置関係を説明する。また、電気刺激装置10の構成要素の位置関係に関して、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zである。前後方向Y、左右方向Yは水平方向であり、腰掛け座位で電気刺激装置10を用いるユーザの前後左右と対応する。上下方向Zは鉛直方向である。
【0017】
図2を参照する。本体16の上面部にはユーザの両足FL、FRのそれぞれに対応する一対の足置き部12L、12Rが設けられる。一対の足置き部12L、12Rには、左足FLに対応する形状の左足置き部12Lと、右足FRに対応する形状の右足置き部12Rとが含まれる。一対の足置き部12L、12Rは左右に間を置いて設けられる。本実施形態の一対の足置き部12L、12Rは本体16を構成する同一の部材に設けられる。足置き部12L、12Rは、足置き部12L、12Rの周縁に設けられる本体16の周縁面16eより僅かに上方に突き出るように設けられる。本体16の周縁面16eは、後述する第1開口部56の開口縁部を形成する。
【0018】
足置き部12L、12Rは、対応する足FL、FRの少なくとも一部を置くことができる形状である。この足FL、FRの大きさは、たとえば、電気刺激装置10が販売、貸与等される国で平均体格を持つユーザの足の大きさを基準に設定される。本実施形態の足置き部12L、12Rは、足FL、FRの踵側部分と、踵側部分よりつま先側のつま先側部分とを置くことができる形状である。本実施形態の踵側部分には足の踵部が含まれる。本実施形態のつま先側部分には足の前足部が含まれる。ここでの前足部とは、図19に示すように、人体の骨格において、足根骨Baと中足骨Bbの関節Jbからつま先側にかけての各骨Ba、Bcと上下に重なる位置にある足の一部をいう。
【0019】
足置き部12L、12Rには、ユーザの踵部を載置可能な踵載置部分12aと、ユーザの前足部を載置可能な前足部載置部分12bと、踵載置部分12aと前足部載置部分12bとの間に設けられる中間部分12cとが含まれる。
【0020】
足置き部12L、12Rは、足置き部12L、12Rを前後に分割した複数の分割領域18、20を有する。本実施形態の足置き部12L、12Rは二つの分割領域18、20を有する。二つの分割領域18、20には、踵載置部分12aが設けられる踵側分割領域18と、前足部載置部分12bが設けられるつま先側分割領域20とが含まれる。足置き部12L、12Rの中間部分12cはつま先側分割領域20に設けられる。複数の分割領域18、20の境界部22は左右に延びるように設けられる。本実施形態の境界部22は本体16の一部が構成する。
【0021】
電気刺激装置10は、ユーザの両脚に電気刺激を付与するための一対の電極部14L、14Rを備える。一対の電極部14L、14Rには、ユーザの左脚に対応する左電極部14Lと、ユーザの右脚に対応する右電極部14Rとが含まれる。本実施形態の一対の電極部14L、14Rには、一対の足置き部12L、12Rのそれぞれが個別に設けられる。詳しくは、左電極部14Lは左足置き部12Lそのものを構成し、右電極部14Rは右足置き部12Rそのものを構成する。足置き部12L、12Rの踵載置部分12a等の各部分は電極部14L、14Rを構成することになる。一対の電極部14L、14Rには、後述する電源部100(図14参照)から電力が供給される。
【0022】
(第1の工夫点)
本体16の動きに関連する特徴を説明する。図3を参照する。本体16の下面部には前側面部分16aと後側面部分16bが設けられる。前側面部分16aと後側面部分16bは下向きに凸となる角部分16cを介して連ねられる。前側面部分16aは、角部分16cから前方に向かうにつれて本体16の上面部に近づくように設けられる。後側面部分16bは、角部分16cから後方に向かうにつれて本体16の上面部に近づくように設けられる。
【0023】
本体16の下面部には前側接地部24、中間接地部26(第1接地部)及び後側接地部28が設けられる。本体16の前後方向Xにおいて、前側接地部24は中間接地部26より前側に設けられ、後側接地部28は中間接地部26より後側に設けられる。本実施形態の前側接地部24は、本体16の前側面部分16aに取り付けられた第1滑り止め部材が構成する。本実施形態の後側接地部28は、本体16の後側面部分16bに取り付けられた第2滑り止め部材が構成する。本実施形態の中間接地部26は、スタンド34(後述する)に取り付けられた第3滑り止め部材38が構成する。第1滑り止め部材(前側接地部24)や第2滑り止め部材(後側接地部28)は両面テープ40を介して本体16に取り付けられる(図5参照)。
【0024】
本体16を左右方向Yから見たとき、本体16の前端部と後端部を結ぶ線分の中点から延びる、その線分の垂線をLpとする。本例では、説明の便宜のため、この条件を満たす線分を平行移動させた線分Laと、その線分Laの中点Pmを示す。左右方向Yから見るとは図3の視点から見ることと同義である。このとき、本体16の角部分16cや中間接地部26は垂線Lpより本体16の前端部寄りの箇所に設けられる。
【0025】
本体16は、中間接地部26が接地した状態で前後両端部16f、16gの上下動を伴い前後に揺動可能である。本体16が前方に揺動したとき、その前端部16fは下方に移動し、その後端部16gは上方に移動する。本体16が後方に揺動したとき、その前端部16fは上方に移動し、その後端部16gは下方に移動する。本体16は、このように揺動することによって、静止姿勢Pb1と動作姿勢Pb2とを取ることができる。
【0026】
ここでの静止姿勢Pb1とは、本体16の前端部16f及び後端部16gのうち一方の端部16hが他方の端部16iより下方に位置する姿勢をいう。また、動作姿勢Pb2とは、図4に示すように、本体16の前端部16f及び後端部16gのうち他方の端部16iが一方の端部16hより下方に位置する姿勢をいう。本実施形態での一方の端部16hは後端部16gをいい、他方の端部16iは前端部16fをいう。
【0027】
本実施形態の本体16は、静止姿勢Pb1を取るとき、その前後揺動動作の可動域で一方の末端位置にある。ここでの前後揺動動作とは、前述のように、中間接地部26が接地した状態で前後に揺動する動作をいう。この一方の末端位置にあるとき、本体16の前後揺動動作の可動域のなかで、一方の端部16hが最も下方に位置する。また、本実施形態の本体16は、動作姿勢Pb2を取るとき、その前後揺動動作の可動域で他方の末端位置にある。この他方の末端位置にあるとき、本体16の前後揺動動作の可動域のなかで、他方の端部16iが最も下方に位置する。
【0028】
本実施形態の本体16は、静止姿勢Pb1を取るとき、図3に示すように、本体16の前側接地部24及び後側接地部28のうちの一方の接地部30が接地する。また、本実施形態の本体16は、動作姿勢Pb2を取るとき、本体16の前側接地部24及び後側接地部28のうちの他方の接地部32が一方の接地部30より下方に位置する。本実施形態での一方の接地部30は後側接地部28をいい、他方の接地部32は前側接地部24をいう。この一方の接地部30は、中間接地部26に対して、本体16の一方の端部16hが位置する側に設けられる。本実施形態の本体16は、静止姿勢Pb1にあるとき後側接地部28が接地し、動作姿勢Pb2にあるとき前側接地部24が接地する。
【0029】
電気刺激装置10の重心Cgは、図3に示すように、左右方向Yから見て、静止姿勢Pb1及び動作姿勢Pb2のいずれに本体16があるときも、床面Fsに対する中間接地部26の接地箇所26aより本体16の後端部16g側、つまり、一方の端部16h側に位置する。この重心Cgは、本実施形態において、静止姿勢Pb1及び動作姿勢Pb2のいずれに本体16があるときも、中間接地部26の接地箇所26aよりも後側接地部28側、つまり、一方の接地部30側に位置する。ここでの重心Cgとは、電気刺激装置10の質量中心をいう。
【0030】
以上の工夫点に関する作用とともに効果を説明する。
【0031】
(A1)電気刺激装置10の重心Cgは、静止姿勢Pb1と動作姿勢Pb2のいずれに本体16があるときも、中間接地部26より本体16の一方の端部16h(後端部16g)側に位置する。よって、本体16が静止姿勢Pb1から動作姿勢Pb2に動くまでの間、電気刺激装置10の重さがその動きに対する抵抗となるように働かせることができる。これに伴い、本体16が静止姿勢Pb1から動作姿勢Pb2に動くまでの間、電気刺激装置10の重さを負荷にしてユーザの足を揺動させることができる。よって、このようにユーザの足を電気刺激により揺動させるうえで、負荷の増大により筋肉を鍛え易くなることで良好なトレーニング効果を得られる。
【0032】
特に、本体16が静止姿勢Pb1にあるとき、特許文献1の構造と比べて、電気刺激装置10の重心Cgから中間接地部26の接地箇所26aまでの前後方向Xでの距離Lbを大きくできる。これに伴い、その距離Lbの分だけ電気刺激装置10の慣性モーメントを大きくできる。これに伴い、本体16が静止姿勢Pb1から動作姿勢Pb2に動くまでの間、慣性モーメントの増分に応じて、その動きに対する抵抗を大きくでき、筋肉を鍛え易くなることで良好なトレーニング効果を得られる。
【0033】
本体16が静止姿勢Pb1を取るとき本体16の後端部16gが前端部16fより下方に位置し、本体16が動作姿勢Pb2を取るときその前端部16fが後端部16gより下方に位置する。このような構造であれば、ひざ下や足の筋肉に対する電気刺激の付与に伴うユーザの足の揺動に追従して、本体16を揺動させられる。よって、ひざ下や足の筋肉の電気刺激によりユーザの足の揺動が促されるときに、前述のように電気刺激装置10の重さを負荷として利用でき、良好なトレーニング効果を得られる。
【0034】
本体16は、静止姿勢Pb1を取るとき、その前後揺動動作の可動域で一方の末端位置にあり、動作姿勢Pb2を取るとき、その可動域で他方の末端位置にある。このような構造のもとであれば、本体16の前後揺動動作の可動域の全域で電気刺激装置10の重さが抵抗となるように働かせることができ、より良好なトレーニング効果を得られる。
【0035】
第1の工夫点に関連する他の特徴を説明する。図5は、電気刺激装置10の分解図である。図6は、電気刺激装置10の部分断面側面図である。電気刺激装置10は、本体16を静止姿勢Pb1に保持するためのスタンド34を備える。スタンド34は、中間接地部26が設けられる接地部材36の一例となる。接地部材36は、本体16とは別体に設けられる。スタンド34は、左右方向Yに長尺状に延びる第1フレーム部34aと、第1フレーム部34aから延びる一対のアーム部34bと、一対のアーム部34bに接続される第2フレーム部34cと、を有する。
【0036】
本実施形態の第1フレーム部34aや第2フレーム部34cは筒状をなす。第1フレーム部34aの両端部には前述の第3滑り止め部材38が取り付けられる。第3滑り止め部材38は有底筒状をなす。第3滑り止め部材38は、第1フレーム部34aを内側に嵌め込むことで、第1フレーム部34aに取り付けられる。中間接地部26は、スタンド34の第1フレーム部34aの両端部に設けられることになる。
【0037】
中間接地部26は、本体16より摩擦係数の大きい素材の第3滑り止め部材38を用いて構成される。この素材は、たとえば、ゴム等の弾性体である。これにより床面Fsに対する本体16の位置ずれを抑えられ、本体16が揺動するときでもユーザの足FL、FRの位置が安定する。同様の効果を得るうえで、この他にも、中間接地部26には滑り止めとなる凹凸構造が設けられてもよい。この凹凸構造は、たとえば、複数の凸部を二次元的に配列した構造や、線状の凸部と線状の凹部を前後方向に交互に並べた構造である。
【0038】
スタンド34は、一対のアーム部34bのそれぞれに設けられた支軸部34dを介して本体16の軸受部(不図示)に回動可能に支持される。スタンド34は、規制位置Pc1と規制解除位置Pc2の間を移動可能である。本図では、規制位置Pc1にあるスタンド34の中間接地部26のみ示す。スタンド34は、規制位置Pc1に位置するとき、本体16の前側面部分16aの下側に配置される。このとき、スタンド34の中間接地部26が床面Fsに接触することで、静止姿勢Pb1から動作姿勢Pb2に向かう本体16の動きを規制する。このとき、第3滑り止め部材38は本体16の前側接地部24に接触する。
【0039】
本体16の下面部にはスタンド34を収容するスタンド収容部16dが設けられる。スタンド収容部16dは本体16の下面部から上向きに窪む凹部が構成する。スタンド収容部16dは、本体16の左右方向Yでの中間部に設けられる。スタンド収容部16dは、左右方向Yから見て、本体16の角部分16cと重なる位置に設けられる。
【0040】
スタンド34は、規制解除位置Pc2に位置するとき、本体16のスタンド収容部16dに収容される。このとき、本体16は、スタンド34の中間接地部26が接地した状態で揺動できるようになる。スタンド34は、規制解除位置Pc2に位置するとき、本体16の動きの規制を解除することになる。
【0041】
図3を参照する。スタンド34、つまり、接地部材36の大部分は、スタンド34が規制解除位置Pc2にあるとき、本体16を左右方向Yから見て本体16により覆い隠される。これにより、電気刺激装置10を用いるとき、本体16とは別体の接地部材36が見え難くなり、すっきりとした印象を与えることで良好な意匠性を得られる。特に、このような効果をスタンド34を用いる場合に得られる利点がある。
【0042】
足置き部12L、12Rの前足部載置部分12bは、本体16が静止姿勢Pb1、動作姿勢Pb2の何れにあるときも、中間接地部26より前後方向Xで前側に位置するように設けられる。足置き部12L、12Rの踵載置部分12aは、本体16が静止姿勢Pb1、動作姿勢Pb2の何れにあるときも、中間接地部26より前後方向Xで後側に位置するように設けられる。
【0043】
(第2の工夫点)
足置き部12L、12Rに関して説明する。図7は、図2のA-A線断面の一部を示す図である。図2図7に示すように。足置き部12L、12Rは、足FL、FRを載置可能な凹状面42を有する。本実施形態の凹状面42は踵側分割領域18に設けられる。凹状面42は足置き部12L、12Rの踵載置部分12aに設けられる。凹状面42には足の踵部を含む踵側部分を載置可能である。
【0044】
本実施形態の凹状面42は踵側分割領域18の少なくとも大部分に亘って設けられる。本実施形態の凹状面42は踵側分割領域18の全体に亘って設けられる。
【0045】
本実施形態の凹状面42は錐体状をなす。錐体状の凹状面42は、下頂部42aと、下頂部42aから周囲に延びる第1錐面42bとを有する。本実施形態の下頂部42aは尖状をなすが、曲面状をなしてもよい。本実施形態の凹状面42は複数の第1錐面42b、詳しくは4つの第1錐面42bを有する。複数の第1錐面42bの間には稜部が形成される。
【0046】
凹状面42の足幅方向外側の外側面42cは、下頂部42aより足幅方向外側にて第1錐面42bが構成する。ここでの「足幅方向外側」とは左足置き部12Lでいえば図2の左側をいい、右足置き部12Rでいえば図2の右側をいう。外側面42cは、足置き部12Lの足幅方向外側の外側部12dに少なくとも一部が設けられる。この外側部12dは、前後方向Yに直交する断面において足置き部12L、12Rの足幅方向中央部より外側の部分をいう。外側面42cは、下頂部42aから足幅方向外側に向かうにつれて上方に延びるように設けられる。本実施形態の外側面42cは、下頂部42aから足置き部12L、12Rの足幅方向外側の外縁部までの範囲に設けられる。本実施形態の外側面42cは単数の平面状の第1錐面42bが構成するが、曲面状をなしてもよい。
【0047】
凹状面42の足幅方向内側の内側面42dは、下頂部42aより足幅方向内側にて第1錐面42bが構成する。ここでの「足幅方向内側」とは左足置き部12Lでいえば図2の右側をいい、右足置き部12Rでいえば図2の左側をいう。内側面42dは、足置き部12Lの足幅方向内側の内側部12eに少なくとも一部が設けられる。この内側部12eは、前後方向Yに直交する断面において足置き部12L、12Rの足幅方向中央部より内側の部分をいう。内側面42dは、下頂部42aから足幅方向外側に向かうにつれて上方に延びるように設けられる。本実施形態の内側面42dは、下頂部42aから足置き部12Lの足幅方向内側の内縁部までの範囲に設けられる。本実施形態の内側面42dは単数の平面状の第1錐面42bが構成するが、曲面状をなしてもよい。
【0048】
図8は、図2のB-B線断面の一部を示す図である。図9は、図2のC-C線断面の一部を示す図である。足置き部12L、12Rは、足FL、FRの前足部を載置可能な凸状面44を有する。本実施形態の凸状面44はつま先側分割領域20に設けられる。凸状面44は足置き部12L、12Rの前足部載置部分12bや中間部分12cに設けられる。
【0049】
本実施形態の凸状面44はつま先側分割領域20の少なくとも大部分に亘って設けられる。詳しくは、凸状面44は前足部載置部分12bの全体に亘って設けられる。本実施形態の凸状面44はつま先側分割領域20の全体を構成する。
【0050】
本実施形態の凸状面44は錐体状をなす。錐体状の凸状面44は、上頂部44aと、上頂部44aから周囲に延びる第2錐面44bとを有する。本実施形態の上頂部44aは尖状をなすが、曲面状をなしてもよい。凸状面44の上頂部44aは、前足部載置部分12bに設けられる。本実施形態の凸状面44は複数の第2錐面44b、詳しくは5つの第2錐面44bを有する。複数の第2錐面44bの間には稜部が形成される。
【0051】
凸状面44の足幅方向外側の外側面44cは上頂部44aより足幅方向外側にて第2錐面44bが構成する。外側面44cは足置き部12L、12Rの足幅方向外側の外側部12dに少なくとも一部が設けられる。外側面44cは、足幅方向外側に向かうにつれて下方に延びるように設けられる。本実施形態の外側面44cは、上頂部44aから足置き部12L、12Rの足幅方向外側の外縁部までの範囲に設けられる。本実施形態の外側面44cは単数の平面状の第2錐面44bが構成するが、曲面状をなしてもよい。
【0052】
凸状面44の足幅方向内側の内側面44dは、上頂部44aより足幅方向内側にて第2錐面44bが構成する。内側面44dは、足置き部12L、12Rの足幅方向内側の内側部12eに少なくとも一部が設けられる。内側面44dは、上頂部44aから足幅方向内側に向かうにつれて下方に延びるように設けられる。本実施形態の内側面44dは、上頂部44aから足置き部12L、12Rの足幅方向内側の内縁部までの範囲に設けられる。本実施形態の内側面44dは二つの平面状の第2錐面44bが構成するが、曲面状をなしてもよい。
【0053】
以上の工夫点に関する作用とともに効果を説明する。
【0054】
(B1)足置き部12L、12Rは、図7に示すように、足を載置可能な凹状面42を有する。このような構造のもとでは、足置き部12L、12Rに足FL、FRを置いたとき、その足FL、FRに左右両側から凹状面42の両側面42c、42dを当て易くなる。このため、足FL、FRに対する凹状面42の接触面積を確保し易くなり、凹状面42により足置き部12L、12Rに対する足FL、FRの左右への位置ずれを抑え易くなる。この結果、本体16とともに足FL、FRが揺動したときに、足FL、FRの位置が安定し、ユーザの脚に対する電極部14L、14Rからの通電状態の安定化を図れる。
【0055】
なお、ここでの位置ずれとは、たとえば、足のつま先側部分が接触した状態のまま踵側部分が左右に位置ずれしたり、その踵側部分が接触した状態のままつま先側部分が左右に位置ずれすることをいう。
【0056】
特に、凹状面42は足置き部12L、12Rの踵載置部分12aに設けられる。よって、ユーザの踵部のような皮が厚く通電し難い箇所と電極部14L、14Rの接触面積を凹状面42によって確保し易くなる。これに伴い、凹状面42によって、足の位置ずれを抑えつつ、ユーザの脚に対する電極部14L、14Rからの通電状態の安定化を図れる。
【0057】
また、凹状面42は錐体状をなす。よって、足FL、FRに左右両側からのみならず、前後両側からも凹状面42の側面を当て易くなる。これに伴い、足FL、FRに対する凹状面42の接触面積を更に確保し易くなり、足FL、FRの前後左右への位置ずれを抑え易くなる。
【0058】
足置き部12L、12Rは、図8に示すように、足の前足部を載置可能な凸状面44を有する。このような構造のもとでは、足置き部12L、12Rに足FL、FRを置いたとき、その凸状面44の両側面44c、44dに左右両側から広い範囲で足FL、FRを当て易くなる。このため、足FL、FRに対する凸状面44の接触面積を確保し易くなり、凸状面44によっても足置き部12L、12Rに対する足FL、FRの左右への位置ずれを抑え易くなる。
【0059】
図8図9に示すように、凸状面44は錐体状をなす。よって、凸状面44の側面に左右両側からのみならず、前後両側からも足FL、FRを当て易くなる。これに伴い、足FL、FRに対する凸状面44の接触面積を更に確保し易くなり、足FL、FRの前後左右への位置ずれを抑え易くなる。
【0060】
また、このような構造のもとであれば、凸状面44の上頂部44aにより足裏のつぼを押し易くなる。本実施形態の上頂部44aは、足裏の湧泉を押すことを目的としており、その湧泉に対応する箇所に設けられる。
【0061】
錐体状の凸状面44の上頂部44aは、足置き部12L、12Rの前足部載置部分12bに設けられる。このような構造のもとであれば、足の前足部で凸状面44の上頂部44aを握り込むようにした状態で、足を凸状面44に接触させられる。これにより、足FL、FRに対する凸状面44に対する接触面積を更に確保し易くなり、その位置ずれを更に抑え易くなる。
【0062】
なお、電極部14L、14Rは、足FL、FRの踵側部分とつま先側部分の二箇所に接触する。このように二箇所に電極部14L、14Rが接触した状態で刺激電流を通電すると、下腿と足裏の広範囲の筋肉に電気刺激が付与される。この場合、これら二箇所のうちの一箇所が電極部14L、14Rから離れてしまうと、ユーザの脚での通電経路が変化してしまい、所要の位置に所要の電気刺激を付与できない恐れがある。たとえば、ユーザの踵側部分が電極部14L、14Rから離れてしまうと、足裏の筋肉に付与される電気刺激が強くなり過ぎる恐れがある。また、ユーザのつま先側部分が電極部14L、14Rから離れてしまうと、下腿の筋肉に付与される電気刺激が強くなり過ぎる恐れがある。
【0063】
この点、本実施形態によれば、足FL、FRに追従して本体16が揺動できるため、その足FL、FRの二箇所を電極部14L、14Rに接触した状態を維持できる。これに伴い、足FL、FRの揺動運動中、身体のひざ下での通電経路が安定化し、所要の位置に所要の電気刺激を安定して付与でき、電気刺激により筋肉を鍛えるトレーニング効果を安定して得られる。
【0064】
(第3の工夫点)
足置き型の電気刺激装置10には、ユーザの汗等の水分が付着する場合がある。電気刺激装置10の内部に配置される電子部品を保護するうえでは、電気刺激装置10の被水対策が望まれる。この観点から特別の対策を講じた足置き型の電気刺激装置10は未だ提案されていない。
【0065】
以下、このような課題に鑑みてなされた、足置き型の電気刺激装置で被水対策を図るための工夫点を説明する。
【0066】
図10は、図2と同じ視点から電気刺激装置10を見た図である。電気刺激装置10は、本体16の内部に収容される電子部品として主回路基板46及び第1回路基板48を備える。これらの詳細は後述する。
【0067】
図11は、図2のD-D線断面図である。図5図11に示すように、本体16は、複数の本体部材50、52を組み合わせて構成される中空構造である。複数の本体部材50、52には、本体16の上面部を構成する上側本体部材50と、本体16の下面部を構成する下側本体部材52とが含まれる。本実施形態の複数の本体部材50、52は複数のビス54により一体化される。
【0068】
本体16の上面部には、複数の開口部56、58が形成される。複数の開口部56、58には、後述するパッド部材62に対応する第1開口部56と、後述する操作部材72A、72Bに対応する第2開口部58とが含まれる。
【0069】
電気刺激装置10は、足置き部12L、12Rを構成するパッドユニット60を備える。パッドユニット60は、足置き部12L、12Rを構成するパッド部材62と、パッド部材62の下側に配置されるパッドベース64と、パッド部材62とパッドベース64の間に配置されるパッドクッション66とを備える。パッド部材62は、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム基材に、カーボンブラック、金属粉末等の導電性付与剤を混ぜ込んだ導電性ゴムを用いて構成される。パッドベース64は、たとえば、ABS樹脂のような、パッド部材62より硬質な素材を用いて構成される。パッドクッション66は、スポンジ、ゴム等のクッション材を用いて構成される。
【0070】
パッドベース64は、上側本体部材50にビス等の取付具68を用いて取り付けられる。本実施形態の上側本体部材50は、上側本体部材50の内面部から下向きに突き出るビス受け部50aと、第1開口部56の開口縁部から下向きに突き出る押さえ部50bとを有する。パッドベース64は、自らに形成されたビス孔64aに挿通される取付具68をビス受け部50aにねじ込むことで、上側本体部材50に取り付けられる。このとき、パッド部材62は、上側本体部材50の押さえ部50bとパッドベース64の間にパッド部材62の第1液受け部62b(後述する)が挟み込まれることで、上側本体部材50に取り付けられる。
【0071】
パッドユニット60は、本体16の内側から第1開口部56を覆うように設けられた第1内部部品の一例である。パッドユニット60のパッド部材62は、パッド部材62の上面部に上向きに突き出るように設けられ、本体16の第1開口部56に嵌め込まれる第1嵌込凸部62aを有する。本実施形態のパッド部材62は、本体16の二つの第1開口部56のそれぞれに対応する二つの第1嵌込凸部62aを有する。一つの第1嵌込凸部62aの上面部は足置き部12L、12Rの踵側分割領域18を構成し、他の第1嵌込凸部62aの上面部は足置き部12L、12Rのつま先側分割領域20を構成する。
【0072】
図7図9に示すように、パッド部材62は、第1嵌込凸部62aの外周部から外向きに延びる第1液受け部62bと、第1液受け部62bの外周部から上向きに立ち上がる第1立壁部62cとを有する。パッド部材62の第1液受け部62bと第1立壁部62cは下向きに窪む第1溝部62dを構成する。第1溝部62dは、本体16の第1開口部56の内側を通り抜けた液体を誘導可能な第1誘導部70の一部となる第1上流側経路部70aを構成する。第1上流側経路部70aは、パッドユニット60の上面部にて液体を水平方向に誘導する。図10では、第1上流側経路部70aの液体誘導経路Pd1を示す。
【0073】
図11に示すように、第1誘導部70は、第1上流側経路部70aで誘導した液体を滴下させる第1下流側経路部70bを有する。図11では、第1下流側経路部70bの液体誘導経路Pd2を示す。本実施形態の第1下流側経路部70bは、パッド部材62の第1立壁部62cを切り欠いた切欠部62eやパッドベース64のビス孔64aが形成する。液体は、パッドユニット60の第1下流側経路部70bや上側本体部材50との間の隙間を通りつつ誘導される。
【0074】
図2を参照する。電気刺激装置10は、本体16の上面部に設けられる第1操作部材72Aとしてのレベルダウンボタンと、第2操作部材72Bとしてのレベルアップボタンとを備える。操作部材72A、72Bはビス73を用いて上側本体部材50に取り付けられる(図5参照)。本実施形態の操作部材72A、72Bは、ユーザによる押圧操作を受けたときに逆向きの付勢力に抗して移動可能である。
【0075】
図12は、図2のE-E線断面の一部を示す図である。図13は、電気刺激装置10の操作部材と周辺構造を示す斜視断面図である。操作部材72A、72Bは、本体16の内側から第2開口部58を覆うように設けられた第2内部部品の一例である。操作部材72A、72Bは、操作部材72A、72Bの上面部に上向きに突き出るように設けられ、本体16の第2開口部58に嵌め込まれる第2嵌込凸部72aを有する。
【0076】
操作部材72A、72Bは、第2嵌込凸部72aの外周部から外向きに延びる第2液受け部72bと、第2液受け部72bの外周部から上向きに立ち上がる第2立壁部72cとを有する。操作部材72A、72Bの第2液受け部72bと第2立壁部72cは下向きに窪む第2溝部72dを構成する。第2溝部72dは、本体16の第2開口部58の内側を通り抜けた液体を誘導可能な第2誘導部74の一部となる第2上流側経路部74aを構成する。第2上流側経路部74aは、操作部材72A、72Bの上面部にて液体を水平方向に誘導する。図10では、第2上流側経路部74aの液体誘導経路Pe1を示す。
【0077】
図13に示すように、第2誘導部74は、第2上流側経路部74aで誘導した液体を滴下させる第2下流側経路部74bを有する。本実施形態の第2下流側経路部74bは、操作部材72A、72Bの第2液受け部72bから垂下する垂下壁部72eが形成する。
【0078】
本体16の上面部には前端部から後端部に向かうにつれて下方に向かうような下り勾配が設けられる(図3参照)。パッドユニット60や操作部材72A、72Bの上流側経路部70a、74aにも、その下り勾配に従うような下り勾配が設けられる。これにより、上流側経路部70a、74aで受けた液体は、主に、本体16の前端部側から後端部側に向かって誘導される。パッド部材62や操作部材72A、72Bの誘導部70、74は、本体16の内部に配置される電子部品(主回路基板46、第1回路基板48)を避けた箇所にて、本体16の下面部上に液体を誘導する。
【0079】
図11図13に示すように、本体16の下面部上には複数の壁部で囲まれた排液室76が形成される。パッドユニット60や操作部材72A、72Bの下流側経路部70b、74bは排液室76に液体を誘導する。排液室76には、パッドユニット60や操作部材72A、72Bの誘導部70、74により誘導された液体を排出するための排液孔78が形成される(図10参照)。
【0080】
以上の工夫点による作用を効果とともに説明する。本体16の第1開口部56から本体16の内部に液体が浸入すると、パッドユニット60の第1誘導部70により液体が受けられ、その第1誘導部70により液体が誘導される。パッド部材62の第1誘導部70により誘導された液体は、前述の通り、本体16の下面部上に導かれる。本体16の下面部上に導かれた液体は、本体16の下面部の排液孔78を通して外部に排出される。
【0081】
本体16の第2開口部58から本体16の内部に液体が浸入したときも同様である。つまり、このように液体が浸入すると、操作部材72A、72Bの第2誘導部74により液体が受けられ、その第2誘導部74により液体が誘導される。操作部材72A、72Bの第2誘導部74により誘導された液体は、前述の通り、本体16の下面部上に導かれる。本体16の下面部上に導かれた液体は、本体16の下面部の排液孔78を通して外部に排出される。
【0082】
これにより、本体16の開口部56、58を通して水分が入り込んでも、本体16の外部に水分を排出できるようになる。よって、簡易な構成によって、電気刺激装置10に対する被液対策を図れる。
【0083】
(第4の工夫点)
ユーザは、足置き型の電気刺激装置10を腰掛け座位の姿勢で用いる。電気刺激装置10の利用中、ユーザの足FL、FRが電気刺激装置10の足置き部12L、12Rから離れることがある。これは、たとえば、ユーザの足FL、FRにより第1操作部材72Aや第2操作部材72Bを操作する場合である。この他には、電気刺激装置10を用いたトレーニング中、足FL、FRを電極部14L、14Rから離して休憩する場合である。
【0084】
このとき、ユーザの足が足置き部12L、12Rに再び置かれた直後に大きい電圧レベルでEMS電圧が一対の電極部14L、14Rに印加される場合を考える。この場合、電気刺激が強すぎるため、ユーザの姿勢が乱れてしまう恐れがある。この場合、ユーザの姿勢の乱れによって、一対の電極部14L、14Rからユーザの両脚に対する通電状態が安定しなくなり、電気刺激によるトレーニング効果を安定して得られない恐れがある。この観点から特別の対策を講じた足置き型の電気刺激装置10は未だ提案されていない。
【0085】
以下、このような課題に鑑みてなされた、足置き型の電気刺激装置で安定したトレーニング効果を得るための工夫点を説明する。
【0086】
図14は、電気刺激装置10の機能を示すブロック図である。各ブロックは、ハードウェア的には、集積回路をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現される。ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは当業者に容易に理解される。
【0087】
電気刺激装置10は、一対の電極部14L、14R、操作部材72A、72Bの他に、電源部100と、第1検知部102と、第2検知部104と、制御部106と、表示部108と、を備える。制御部106は、電気刺激制御部110と、表示制御部112と、を備える。
【0088】
第1操作部材72Aや第2操作部材72Bは、電気刺激装置10の動作の操作に用いられる。本実施形態の第1操作部材72Aや第2操作部材72Bは、後述の設定電圧レベルを変更するときに操作される。第1操作部材72A(レベルダウンボタン)を押すごとに設定電圧レベルが小さくなり、第2操作部材72B(レベルアップボタン)を押すごとに設定電圧レベルが大きくなる。
【0089】
本実施形態の電源部100は、本体16に収納される。電源部100は、マンガン電池等の交換可能な一次電池であるが、リチウムイオン電池等の二次電池でもよい。電源部100は、制御部106に電気的に接続され、制御部106を介して一対の電極部14L、14Rに電力を供給する。
【0090】
第1検知部102は、一対の足置き部12L、12Rに対するユーザの両足の接触状態を検知する。第2検知部104は、一対の電極部14L、14Rに対するユーザの両脚の接触状態を検知する。本実施形態の第2検知部104は第1検知部102を兼ねている。本実施形態の第1検知部102や第2検知部104は、一対の電極部14L、14Rの間の抵抗値を検出する抵抗検出回路が構成する。
【0091】
第1検知部102は、検出した抵抗値が閾値未満の場合、ユーザや一対の電極部14L、14Rを通電経路とする閉回路が形成されているとみなし、一対の足置き部12L、12Rに両足が接触していると検知する。このとき、本実施形態の第2検知部104は、一対の電極部14L、14Rに両脚が接触していると検知することにもなる。第1検知部102は、検出した抵抗値が閾値以上の場合、ユーザや一対の電極部14L、14Rを通電経路とする閉回路が形成されていないとみなし、一対の足置き部12L、12Rに足が接触していないと検知する。このとき、第2検知部104は、一対の電極部14L、14Rに両脚が接触していないと検知することにもなる。
【0092】
電気刺激制御部110は、電源部100から一対の電極部14L、14Rへの電力供給を制御する。詳しくは、電気刺激制御部110は、ユーザの両脚に電気刺激を付与するためのEMS電圧を一対の電極部14L、14Rに印加する電気刺激制御を行う。電気刺激制御では、予め設定された設定動作時間(たとえば、10分)、予め設定された周期(たとえば、周波数が20Hzとなる周期)で、一対の電極部14L、14Rに交流電圧を印加する。電気刺激制御部110は、電源部100から供給される電力を用いてEMS電圧を生成し、その生成したEMS電圧を一対の電極部14L、14Rに印加することで電気刺激制御を行う。
【0093】
本実施形態の電気刺激制御部110は、電気刺激制御を開始するとき、予め定められた設定電圧レベルでEMS電圧の印加を開始する。設定電圧レベルは、交流電圧を用いる場合、そのピーク値又は実効値のいずれかをいう。設定電圧レベルは、第1操作部材72Aや第2操作部材72Bに対する操作を通じて設定されるが、外部の情報処理端末に対する操作を通じて設定されてもよい。この場合、情報処理端末から無線通信又は有線通信により設定電圧レベルを示す情報を受信し、その情報に基づいて設定電圧レベルを設定する。この場合、電気刺激装置10に専用の情報処理端末が用いられてもよいし、汎用の情報処理端末にアプリケーションを組み込み、そのアプリケーションを利用してもよい。
【0094】
電気刺激制御部110は、電気刺激制御を行っている途中に、予め定められた通電許容条件を満たさなくなった場合、電気刺激制御を中断する。ここでの通電許容条件は、一対の電極部14L、14RにEMS電圧を印加することを許容するための条件をいう。本実施形態の通電許容条件は、一対の足置き部12L、12Rに両足が接触している状態にあると第1検知部102により検知され、かつ、一対の電極部14L、14Rに両脚が接触している状態にあると第2検知部104により検知されることである。また、電気刺激制御部110は、電気刺激制御を中断した状態にあるときに通電許容条件を満たした場合、電気刺激制御を再開する。
【0095】
電気刺激制御部110は、電気刺激制御を再開するとき、電気刺激制御の一部として、ソフトスタート制御を行う。ソフトスタート制御では、予め定められた設定電圧レベルより小さい低電圧レベルでEMS電圧の印加を開始し、低電圧レベルから設定電圧レベルに近づくようにEMS電圧を変化させる。電気刺激制御部110は、予め定められた動作時間(たとえば、5秒)が経過した時点で設定電圧レベルとなるようにEMS電圧を変化させる。低電圧レベルは、たとえば、設定電圧レベルの半分の大きさに設定される。電気刺激制御部110は、たとえば、EMS電圧の印加を開始してから連続的にEMS電圧を変化させてもよいし、段階的にEMS電圧を変化させてもよい。
【0096】
電気刺激制御部110は、電気刺激制御を開始してから終了するまでの間に電気刺激制御で電気刺激を付与すべき時間である設定動作時間を保持する。電気刺激制御部110は、電気刺激制御を中断した後に電気刺激制御を再開するとき、電気刺激制御を開始してから中断するまでの時間を設定動作時間から引いた残時間を求める。電気刺激制御部110は、その残時間に応じて、再開した電気刺激制御で電気刺激を付与すべき動作時間を再設定し、その再設定した動作時間の分だけ再開した電気刺激制御を行う。本実施形態では、残時間と同じ時間を動作時間として再設定する。これにより、電気刺激制御を中断しても、実際の動作時間の合計が設定動作時間と同じとなる。
【0097】
図15は、電気刺激装置10の表示部108の説明図である。表示部108は、本体16の上面部に設けられる(図2参照)。表示部108は、たとえば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成される。表示部108は、電気刺激装置10の動作に関する情報を表示する。本実施形態の表示部108は、設定電圧レベル113と、足アイコン114とを表示可能である。足アイコン114は、ユーザの両足を一対の足置き部12L、12Rに置くとともに、ユーザの両脚を一対の電極部14L、14Rに接触すべきことを促す役割を持つ。表示部108は、表示制御部112による制御のもと、表示すべき内容を表示する。
【0098】
電気刺激装置10の動作を説明する。図16は、電気刺激装置10が行うメイン処理を示すフローチャートである。制御部106は、メイン処理開始条件を満たしたときにメイン処理を開始する。メイン処理開始条件は、たとえば、電源部がオフの状態にある電気刺激装置10の第2操作部材72Bを所定の時間(たとえば、1.5秒)に亘り押し下げることである。
【0099】
電気刺激装置10は、表示制御部112によって、表示部108の足アイコン114を表示させる(S10)。表示制御部112は、継続点灯又は点滅の態様により足アイコン114を表示する。
【0100】
この状態で、電気刺激制御部110は、前述の通電許容条件を満たしているか否かを判定する判定処理を行う(S12)。通電許容条件を満たしていると判定した場合(S12のY)、表示制御部112は、表示部108の足アイコン114を消灯する(S14)。この後、電気刺激制御部110は、電気刺激制御を開始するためのユーザによる開始操作を受け付ける受付処理を開始する(S16)。この開始操作は、たとえば、第2操作部材72Bを押し下げることである。開始操作があった場合(S16のY)、電気刺激制御部110は、前述の電気刺激制御を開始する(S18)。電気刺激制御部110は、設定動作時間に亘り電気刺激制御を行った後(S20)、メイン処理を終了する。
【0101】
電気刺激制御部110は、S12において、判定処理を開始してから所定の時間(たとえば、120秒)が経過するまでの間、前述の通電許容条件を満たしていないと判定した場合(S12のN)、表示制御部112によって、表示部108の足アイコンを消灯する(S22)。この後にメイン処理を終了する。また、電気刺激制御部110は、S18において、受付処理を開始してから所定の時間(たとえば、300秒)が経過するまでの間、ユーザによる開始操作がなかった場合(S18のN)、メイン処理を終了する。
【0102】
図17は、電気刺激装置10が行う割込処理を示すフローチャートである。割込処理は、メイン処理のS20においてメイン処理より優先的に処理される。割込処理は、電気刺激制御の途中で通電許容条件を満たさなくなった場合に行う処理である。つまり、電気刺激制御の途中で一対の足置き部12L、12Rから足が離れたり、一対の電極部14L、14Rから脚が離れた場合に行う処理である。制御部106は、割込処理開始条件を満たしたときに割込処理を開始する。割込処理開始条件は、電気刺激制御部110によって、電気刺激制御の途中に通電許容条件を満たしていないと判定することである。
【0103】
まず、電気刺激制御部110は、表示制御部112によって、表示部108の足アイコン114を表示する(S30)。電気刺激制御部110は、所定の第1待機時間(たとえば、30秒)の間、通電許容条件を満たしているか再判定する(S32)。電気刺激制御部110は、通電許容条件を満たさないと判定されてから、つまり、割込処理を開始してから第1待機時間のカウントを開始する。この第1待機時間内に通電許容条件を満たしていると判定された場合(S32のY)、表示制御部112は、表示部108の足アイコン114を消灯する(S33)。この後、電気刺激制御部110は、ソフトスタート制御を伴い電気刺激制御を再開する(S34)。このとき、電気刺激制御部110は、前述のように動作時間を再設定し、その再設定した動作時間の分だけ再開した電気刺激制御を行う。この後、割込処理を終了する。
【0104】
一方、第1待機時間内に通電許容条件を満たしていると判定されなかった場合(S32のN)、電気刺激制御部110は、第1待機時間より長い第2待機時間(たとえば、90秒)の間、通電許容条件を満たしているか再判定する(S36)。電気刺激制御部110は、通電許容条件を満たさないと判定されてから、つまり、割込処理を開始してから第2待機時間のカウントを開始する。
【0105】
第2待機時間の間に通電許容条件を満たしていると判定された場合(S36のY)、表示制御部112は、表示部108の足アイコン114を消灯する(S37)。この後、電気刺激制御部110は、電気刺激制御を再開するためのユーザによる開始操作を受け付ける受付処理を開始する(S38)。この開始操作は、たとえば、第2操作部材72Bを押し下げることである。開始操作があった場合(S40のY)、電気刺激制御部110は、電気刺激制御を再開する(S42)。このとき、ソフトスタート制御を伴わない。このとき、電気刺激制御部110は、前述のように動作時間を再設定し、その再設定した動作時間の分だけ電気刺激制御を行う。この後、制御部106は割込処理を終了する。
【0106】
第2待機時間の間に通電許容条件を満たしていると判定されなかった場合(S36のN)、表示制御部112は、表示部108の足アイコン114を消灯する(S39)。この後、制御部106は割込処理を終了する。制御部106は、S40において、受付処理を開始してから所定の時間(たとえば、300秒)が経過するまでの間、ユーザによる開始操作がなかった場合(S40のN)、電気刺激制御を終了する(S44)。この後、割込処理を終了する。
【0107】
以上の工夫点による効果を説明する。電気刺激制御を中断してから再開した直後は、一対の足置き部12L、12Rに足が置かれた直後であったり、一対の電極部14L、14Rに両脚が接触した直後であり、ユーザの姿勢が安定になっていない。この状態のときに設定電圧レベルのEMS電圧が一対の電極部14L、14Rに印加されると、電気刺激が強すぎることで、ユーザの姿勢が乱れ易くなる。
【0108】
これに対して、本実施形態によれば、電気刺激制御を中断してから再開した直後のように、ユーザの姿勢が安定になっていない状態のとき、設定電圧レベルより小さい小電圧レベルでEMS電圧が印加される。よって、ユーザの姿勢が安定になっていないときには電気刺激を適度に弱くし、ユーザの姿勢が安定になってから強い電気刺激を付与できるようになる。このため、電気刺激制御を再開した直後にユーザの姿勢の乱れを抑えることで、安定したトレーニング効果を得やすくなる。
【0109】
なお、電気刺激制御部110は、電気刺激制御を中断してから再開するときにソフトスタート制御を行う例を説明した。この他にも、電気刺激制御を開始するときにソフトスタート制御を行ってもよい。
【0110】
第1検知部102は第2検知部104を兼ねる例を説明したが、これらは別体に設けられてもよい。たとえば、第1検知部102は、一対の足置き部12L、12Rに対するユーザの両足の接触状態を検知する荷重センサ、タッチセンサ等とし、第2検知部104は抵抗検出回路等でもよい。また、第2検知部104に荷重センサ、タッチセンサ等を用いてもよい。
【0111】
電気刺激制御の途中で電圧レベルが変更された場合、電気刺激制御部110は、その電圧レベルが変更されたタイミングでソフトスタート制御を開始してもよい。この場合、所定の動作時間の間はソフトスタート制御を行い、その動作時間の経過後に設定電圧レベルでEMS電圧を印加するように電気刺激制御を行う。
【0112】
(その他)
図5を参照する。本体16の上面部には、外部から表示部108を視認可能とするための第3開口部120が形成される。電気刺激装置10は、本体16の第3開口部120を表側から覆うように配置される透明パネル122と、透明パネル122を本体16に水密的に取り付ける防水性を持つ両面テープ124と、本体16の第3開口部120の裏側周縁部と表示部108の間に挟み込まれる弾性部材126と、を備える。
【0113】
電気刺激装置10は、表示部108や制御部106を搭載する主回路基板46と、操作部材72A、72Bの下側に配置される第1回路基板48とを備える。主回路基板46と第1回路基板48は第1ハーネス128を介して電気的に接続される。主回路基板46や第1回路基板48はビス130を介して上側本体部材50に接続される。主回路基板46とパッド部材62は第2ハーネス132を介して電気的に接続される。主回路基板46は、第3ハーネス134を介して無線通信回路を実装する第2回路基板136に電気的に接続される。主回路基板46には接地用ターミナル138が接続される。
【0114】
図18は、パッド部材62の裏面図である。第2ハーネス132の末端部には第1貫通孔が形成された導電性を持つ端子部材140が取り付けられる。パッド部材62の内面側には第2貫通孔が形成された端子接続部142が設けられる。端子部材140と端子接続部142は第1貫通孔や第2貫通孔を貫通する導電性を持つねじ部材144にナット146を締め付けることで一体化される。
【0115】
図9図18に示すように、端子接続部142の第2貫通孔とねじ部材144の間には導電性スリーブ148が配置される。導電性スリーブ148はねじ部材144に対するナット146の締め付けにより軸方向に圧縮変形している。導電性スリーブ148は、その変形により第2貫通孔の内周面とねじ部材144の軸部の外周面に密着している。これにより、端子部材140は、ねじ部材144、導電性スリーブ148を介して端子接続部142に電気的に接続される。
【0116】
図5図6に示すように、本体16の下面部には、電源部100を構成する電池150を出し入れ自在に収容する電池収容部152が設けられる。電気刺激装置10は、電池収容部152を覆うと共に本体16に着脱可能に取り付けられる電池カバー154を備える。電池カバー154の裏面には電池150と接触する電池クッション155が取り付けられる。電気刺激装置10は主回路基板46と電池150とを電気的に接続する第4ハーネス156を備える。第4ハーネス156の末端部には電池150と接触する電池端子158が取り付けられる。
【0117】
本体16の側面部には、ロックスイッチ160がスライド可能に取り付けられる。本体16の内部には、ロックスイッチ160に連動してスライドするスライド部材162が取り付けられる。スライド部材162は、電源部100から制御部106に電力を供給する電源部回路の接点となり、そのスライドにより電源部100のオンオフを切替可能である。ロックスイッチ160とスライド部材162は電源部100のオンオフを切り替えるチャイルドロック機構を構成する。
【0118】
スタンド34は、スタンド34のアーム部34bや第2フレーム部34cを左右方向の外側から覆う一対のアームカバー164と、一つの支軸部34d(不図示)が設けられる軸部材166とを有する。一対のアームカバー164は、第2フレーム部34cにビス168により取り付けられる。一方のアームカバー164(図中の右下のアームカバー164)には支軸部34dが設けられる。軸部材166は第2フレーム部34cの内側にスライド可能に支持される。スタンド34は、軸部材166を左右方向外側に付勢するコイルスプリング等の付勢部材170を備える。軸部材166は、付勢部材170の付勢力に抗して、本体16の軸受部(不図示)に支持される支持位置から、支持位置より左右方向内側に位置する待避位置に移動可能である。
【0119】
これにより、スタンド34の軸部材166を待避位置に配置した状態で、本体16との干渉を招くことなく、本体16の一対の軸受部間に一対のアーム部34bを配置できる。また、本体16の一対の軸受部間に一対のアーム部34bを配置してから、スタンド34の軸部材166を待避位置から支持位置に復帰させることで、スタンド34の一対の支軸部34dを一対の軸受部により支持させることができる。
【0120】
なお、電気刺激装置10を用いるとき、足置き電極部14L、14Rの上に導電性を持つ導電シートを配置してもよい。導電シートは、たとえば、レーヨン、ポリエステル等の繊維シートに水等の導電用液体を含浸して構成されるウェットシートである。
【0121】
電気刺激装置10を用いるとき、導電繊維等の導電性素材を用いた靴下等の履き物を着用のうえ、足置き電極部14L、14Rの上に足を置いてもよい。この履き物は、たとえば、足裏の接触箇所に導電性素材が用いられていればよく、他の箇所には非導電性素材が用いられていてもよい。これにより、裸足になることなく電気刺激装置10をユーザが利用できる。
【0122】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。次に、各構成要素の変形例を説明する。
【0123】
一対の足置き部12L、12Rは本体16を構成する同一の部材に設けられる例を説明したが、本体16を構成する別個の部材に個別に設けられてもよい。
【0124】
電極部14L、14Rは、足置き部12L、12Rが構成する例を説明したが、足置き部12L、12Rとは別体に設けられてもよい。たとえば、足置き部12L、12Rの上方に足の甲を覆う甲パッドを本体16に設け、その甲パッドに電極部14L、14Rを設けてもよい。この他にも足置き部12L、12Rの後方に足の踵を後側から覆う踵パッドを本体16に設け、その踵パッドに電極部14L、14Rを設けてもよい。また、電極部14L、14Rは、足置き部12L、12Rの全体ではなく一部が構成していてもよい。これらの場合でも前述の効果(B1)を得ることができる。また、甲パッドは、足の甲の足置き部12L、12Rからの離脱を規制する機能を持ってもよい。
【0125】
電源部100は、本体16に収納される例を説明したが、本体16の外部に設けられてもよい。この他にも電源部100は、電気刺激装置10とは別に設けられる商用電源等の外部電源が構成していてもよい。
【0126】
(第1の工夫点)
本体16が静止姿勢Pb1にあるとき、相対的に下方に位置する一方の端部16hは後端部16g、上方に位置する他方の端部16iは前端部16fである例を説明したが、その一方の端部16hは前端部16fであってもよい。この場合、前述の(A1)の効果を得る観点から、電気刺激装置10の重心Cgは、静止姿勢Pb1と動作姿勢Pb2のいずれにあるときも、中間接地部26より前端部16f(一方の端部16h)側に位置していればよい。これにより、本体16が静止姿勢Pb1から動作姿勢Pb2に動くまでの間、電気刺激装置10の重心を負荷にしてユーザの足を揺動させることができ、良好なトレーニング効果を得られる。この(A1)の効果を得るうえで、ふくらはぎの電気刺激によるユーザの足の揺動を促さなくともよい。
【0127】
本体16は、静止姿勢Pb1や動作姿勢Pb2にあるとき、その前後揺動動作の可動域で末端位置になくともよい。詳しくは、前述の(A1)の効果を得るうえで、静止姿勢Pb1にあるとき一方の端部16hが他方の端部16iより下方に位置し、動作姿勢Pb2にあるとき他方の端部16iが一方の端部16hより下方に位置していればよい。また、静止姿勢Pb1にあるときのみ、その可動域の末端位置にあってもよいし、動作姿勢Pb2にあるときのみ、その可動域の末端位置にあってもよい。別の観点から見ると、静止姿勢Pb1や動作姿勢Pb2にあるとき、本体16は中間接地部26(第1接地部)以外の箇所で接地していなくともよい。また、本体16には、前側接地部24や後側接地部28が設けられていなくともよい。
【0128】
中間接地部26が設けられる接地部材36はスタンド34である例を説明したが、これに限定されない。たとえば、接地部材36は、本体16に揺動可能に支持される足部材でもよい。接地部材36の大部分は、本体16を左右方向から見て本体16により覆い隠される例を説明したが、外部に露出していてもよい。
【0129】
(第2の工夫点)
足置き部12L、12Rの凹状面42は踵載置部分12aに設けられる例を説明したが、その位置は特に限定されない。たとえば、前足部載置部分12bに設けられてもよい。
【0130】
凹状面42の形状は、足置き部12L、12Rの左側部に外側面42c、足置き部12L、12Rの右側部に内側面42dが設けられていれば、特に限定されない。凹状面42が錐体状をなす場合、その下頂部42aは点状をなすが、下頂部42aは稜状に延びていてもよいということである。
【0131】
凸状面44の形状は、足置き部12L、12Rの外側部12dに外側面44c、足置き部12L、12Rの内側部12eに内側面44dが設けられていれば、特に限定されない。凸状面44が錐体状をなす場合、その上頂部44aは点状をなすが、上頂部44aは稜状に延びていてもよいということである。
【0132】
足置き部12L、12Rには凹状面42及び凸状面44の一方又は両方が設けられていなくともよい。
【0133】
足置き部12L、12Rの複数の分割領域18、20には踵側分割領域18とつま先側分割領域20が含まれる例を説明した。この他にも、これらの間に配置される単数又は複数の中間分割領域が含まれてもよい。複数の分割領域18、20は本体16の一部を間に挟まずに前後に連続していてもよい。
【0134】
(その他)
実施形態では、左足置き部12Lの踵側分割領域18及びつま先側分割領域20の両方により第1極性の電極部14Lを構成し、右足置き部12Rの踵側分割領域18及びつま先側分割領域20の両方により第2極性の電極部14Rを構成する例を説明した。ここでの極性とは正極及び負極のうちの何れかをいう。
【0135】
この他にも、左足置き部12Lの踵側分割領域18及びつま先側分割領域20のそれぞれが異なる極性の電極部を構成し、かつ、右脚置き部12Rの踵側分割領域18及びつま先側分割領域20のそれぞれが異なる極性の電極部を構成してもよい。これにより、左足置き部12Lが構成する電極部によって左足を通る通電経路を形成しつつ、右足置き部12Rが構成する電極によって右足を通る他の通電経路を形成できる。つまり、左足と右足で個別の通電経路を形成できる。よって、足裏等に特化した電気刺激を左足と右足で個別に付与でき、その左足と右足に付与される電気刺激のレベルを個別に調整できる。
【0136】
この他にも、ひざ上等の足より上方で脚の一部に足上電極部を取り付け、電気刺激装置10の足が接触する足用電極部と足上電極部で異なる極性を構成してもよい。これにより、足用電極部と足上電極部の間で片足を通る通電経路を形成できる。また、足上電極部の取り付け位置を変えることで、電気刺激を付与したい箇所を調整できる。
【0137】
また、左右の両脚に対応する個別の足用電極部及び足上電極部を用いることで、左足と右足で個別の通電経路を形成できる。よって、左足と右足で個別に電気刺激を付与でき、その左足と右足に付与される電気刺激のレベルを個別に調整することで、左右の足で筋肉バランスを整えるようにトレーニングできる。
【0138】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0139】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の項目に記載の発明が含まれているともいえる。
(第1項目)
電気刺激装置であって、
足置き部が設けられるとともに開口部が形成される中空構造の本体と、
前記本体の内側から前記開口部を覆うように設けられた少なくとも一つの内部部品と、を備え、
前記内部部品は、前記開口部の内側を通り抜けた液体を誘導可能な誘導部を有し、
前記本体の下面部には、前記誘導部により誘導された液体を排出可能な排液孔が形成される電気刺激装置。
(第2項目)
前記誘導部は、前記本体の内側にて前記内部部品に形成される溝部を有する第1項目に記載の電気刺激装置。
(第3項目)
前記少なくとも一つの内部部品には、足置き部を構成するパッドユニットが含まれる第1項目または第2項目に記載の電気刺激装置。
(第4項目)
前記少なくとも一つの内部部品には、ユーザにより操作される操作部材が含まれる第1項目から第2項目に記載の電気刺激装置。
【0140】
また、以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、次の項目に記載の発明が含まれているともいえる。
(第1項目)
電気刺激装置であって、
足置き部が設けられる本体と、
ユーザの両脚に電気刺激を付与するための一対の電極部と、
電源部から供給される電力を用いて前記一対の電極部に前記電気刺激を付与するためのEMS電圧を印加する電気刺激制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電気刺激制御を開始するとき、又は、前記電気刺激制御を中断してから再開するとき、予め定められた設定電圧レベルより小さい低電圧レベルで前記EMS電圧の印加を開始し、前記低電圧レベルから前記設定電圧レベルに近づくように前記EMS電圧を変化させる電気刺激装置。
(第2項目)
前記電気刺激制御を再開したとき、前記電気刺激制御を開始してから中断するまでの時間を前記設定動作時間から引いた残時間に応じて、再開した前記電気刺激制御で電気刺激を付与すべき時間を再設定し、その再設定した時間の分だけ前記電気刺激制御を行う第1項目に記載の電気刺激装置。
【符号の説明】
【0141】
10…電気刺激装置、12L,12R…足置き部、12d…外側部、12e…内側部、14L…電極部、16…本体、24…前側接地部(第2接地部)、26…中間接地部(第1接地部)、26a…接地箇所、28…後側接地部(第3接地部)、30…一方の接地部、32…他方の接地部、34…スタンド、36…接地部材、42…凹状面、42c…外側面、42d…内側面、44…凸状面、44a…上頂部、44c…左側面、44d…右側面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19