(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及びウィンドウ移動制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240924BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20240924BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240924BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/14 350A
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2023042165
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野村 良太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義従
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0132885(US,A1)
【文献】特開2009-282637(JP,A)
【文献】特表2014-508977(JP,A)
【文献】特開2010-039700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01、3/048-3/04895、3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイにおける表示を制御可能な情報処理装置であって、
各前記ディスプレイについて、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する登録部と、
前記タッチパネルディスプレイ上で所定のジェスチャーが検出された場合に、他の前記ディスプレイと前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる表示制御部と
、
前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する表示判定部と
を具備
し、
前記表示制御部は、
前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていないと判定された場合に、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウをフルスクリーン表示し、
前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていると判定された場合に、前記フォアグランドウィンドウを他の前記ディスプレイに移動させる情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
他の前記ディスプレイから前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウを移動させる場合に、他の前記ディスプレイにおける前記フォアグランドウィンドウの表示位置及び表示サイズを登録し、
前記タッチパネルディスプレイから他の前記ディスプレイに前記フォアグランドウィンドウを移動させる場合に、登録された前記表示位置及び表示サイズに基づいて前記フォアグランドウィンドウを表示させる請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記タッチパネルディスプレイ上において前記ジェスチャーが検出された場合に、フォアグランドウィンドウが移動可能なウィンドウか否かを判定するウィンドウ判定部を備え、
前記表示制御部は、前記移動可能なウィンドウであると判定された場合に、前記フォアグランドウィンドウを移動させる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記登録部は、ディスプレイを識別するためのディスプレイ識別情報に基づいてタッチパネルディスプレイか否かを判定し、その判定結果に基づいて前記ディスプレイ情報を登録する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数のディスプレイ間でフォアグランドウィンドウを移動させるウィンドウ移動制御方法であって、
各前記ディスプレイについて、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する
登録処理と、
前記タッチパネルディスプレイ上で所定のジェスチャーが検出された場合に、他の前記ディスプレイと前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる
表示制御処理と
、
前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する表示判定処理と
をコンピュータが実行
し、
前記表示制御処理は、
前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていないと判定された場合に、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウをフルスクリーン表示し、
前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていると判定された場合に、前記フォアグランドウィンドウを他の前記ディスプレイに移動させるウィンドウ移動制御方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から
4のいずれかに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及びウィンドウ移動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイとして、タッチペン(ペン型入力デバイス)によるペン入力が可能なタッチパネルディスプレイを備えた情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年、複数のディスプレイを接続し、マルチディスプレイ環境で作業を行う機会が増加している。
【0003】
例えば、タッチパネルディスプレイを備える情報処理装置を外部機器として接続し、キーボードやマウスなどによる入力操作と、タッチペンによる入力操作とをうまく使い分けてコンテンツの編集作業を効率的に行うことが考えられる。キーボードは文字入力を効率的に行うことができ、ペンは手書き入力を効率的に行うことができるため、これらを組み合わせることにより作業効率の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチペンやキーボード等の入力デバイスを使い分けて作業を行う場合、使用する入力デバイスに応じて編集対象であるウィンドウを表示させるディスプレイを切り替える必要がある。例えば、キーボードによってタイピングを行う場合には、ユーザに向き合う画面、換言すると、直立状態の画面が操作しやすく、その一方で、ペン入力の場合には、水平状態に近い画面が操作しやすい。
【0006】
したがって、使用する入力手段に応じて、編集対象であるアプリケーションウィンドウ(以下、「フォアグランドウィンドウ」という。)を複数のディスプレイ間で移動させることが好ましい。しかしながら、マルチディスプレイ環境において、あるディスプレイから他のディスプレイにフォアグランドウィンドウを移動させるためには、移動させるフォアグランドウィンドウのタイトルバー上にマウスカーソルを合わせた状態でドラッグし、その状態で所望のディスプレイまで移動させるという作業が必要となる。更に、タッチペンでは、ディスプレイを跨ぐドラッグアンドドロップができないため、複数のディスプレイ間におけるフォアグランドウィンドウの移動操作は、ペンからマウスへの持ち替えが必要となり、更に煩雑なものとなる。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フォアグランドウィンドウのディスプレイ間の移動を容易な入力操作によって実現することのできる情報処理装置及びウィンドウ移動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、複数のディスプレイにおける表示を制御可能な情報処理装置であって、各前記ディスプレイについて、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する登録部と、前記タッチパネルディスプレイ上で所定のジェスチャーが検出された場合に、他の前記ディスプレイと前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる表示制御部と、前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する表示判定部とを具備し、前記表示制御部は、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていないと判定された場合に、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウをフルスクリーン表示し、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていると判定された場合に、前記フォアグランドウィンドウを他の前記ディスプレイに移動させる情報処理装置である。
【0009】
本開示の一態様は、複数のディスプレイ間でフォアグランドウィンドウを移動させるウィンドウ移動制御方法であって、各前記ディスプレイについて、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する登録処理と、前記タッチパネルディスプレイ上で所定のジェスチャーが検出された場合に、他の前記ディスプレイと前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる表示制御処理と、前記ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する表示判定処理とをコンピュータが実行し、前記表示制御処理は、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていないと判定された場合に、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウをフルスクリーン表示し、前記タッチパネルディスプレイに前記フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていると判定された場合に、前記フォアグランドウィンドウを他の前記ディスプレイに移動させるウィンドウ移動制御方法である。
【0010】
本開示の一態様は、コンピュータを上記情報処理装置として機能させるためのプログラムである。
【0011】
本開示の上記態様において、「タッチパネルディスプレイ上」とは、タッチパネルディスプレイに接触しているか否かを問わない。すなわち、「タッチパネルディスプレイ上」とは、タッチセンサがジェスチャーを検出できる範囲内であればよく、タッチパネルディスプレイに触れてジェスチャーが行われてもよいし、タッチセンサによって検出される程度の近傍であって、タッチパネルディスプレイに接触せずにジェスチャーが行われてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、フォアグランドウィンドウのディスプレイ間の移動を容易な入力操作によって実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムの概略外観図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る情報処理装置が有するウィンドウ移動制御機能の一例を示した機能構成図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理装置によって実行されるウィンドウ移動制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図5】本開示の変形例に係る情報処理システムの概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の一実施形態に係る情報処理装置及びウィンドウ移動制御方法について、図面を参照して説明する。本実施形態では、情報処理装置10の一例としてデスクトップ型PCを例に挙げて説明するが、この例に限られない。情報処理装置10は、例えば、ノートPC、タブレット端末等でもよい。
【0015】
図1は本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の概略外観図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10及び複数のディスプレイ2(2a、2b)を備えている。情報処理装置10は、複数のディスプレイ2の表示を制御可能なマルチディスプレイ機能を備えている。
図1では、2台のディスプレイ2が情報処理装置10と接続されている場合を例示しているが、接続されるディスプレイの台数は、これに限定されない。以下、ディスプレイ2をそれぞれ区別する必要がある場合には、第1ディスプレイ2a、第2ディスプレイ2bと称し、区別する必要がない場合には、単にディスプレイ2と称する。また、
図1では、情報処理装置10と2台のディスプレイ2とが有線で接続されている例を示しているが、接続方式については特に限定されない。これらの機器は、有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(プロセッサ)11、メインメモリ12、二次記憶装置13、通信インターフェース14、外部インターフェース15、等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0017】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置10全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、複数設けられており、互いに協働して処理を実現させてもよい。
【0018】
メインメモリ12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0019】
二次記憶装置13は、非一時的な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置10全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなデータが分割されて格納されていてもよい。
【0020】
通信インターフェース14は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信インターフェース14は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、3G、4G、5G、LTE、無線LANなどの回線を通じた通信が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)などの回線を通じた通信が挙げられる。
【0021】
外部インターフェース15は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部インターフェース15を介して、第1ディスプレイ2a、第2ディスプレイ2b、キーボード3、及びマウス4がCPU11に接続されている。外部インターフェース15は、例えば、接続される機器に応じてそれぞれ適切な入出力端子およびインターフェースを備えている。
【0022】
第1ディスプレイ2aは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される。
第2ディスプレイ2bは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等に複数のタッチセンサが重畳されたタッチパネルを有するタッチパネルディスプレイであり、タッチペン(ペン型入力デバイス:指示体)5や指等の指示体による直接的な入力操作が可能とされている。タッチセンサは、例えば、静電容量式、感圧式等の方式を採用することができる。ペンは、例えば、静電容量式、感圧式、電磁誘導式などの方式を採用することができる。
【0023】
キーボード3及びマウス4は、入力デバイスの一例であり、ユーザが情報処理装置10に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。
また、情報処理装置10には、ユーザがタッチペン5を操作することにより入力された入力情報が第2ディスプレイ2bを介して入力される。
【0024】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10が有するウィンドウ移動制御機能の一例を示した機能構成図である。以下に示す機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、ウィンドウ移動制御プログラム)の形式で二次記憶装置13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0025】
図3に示すように、情報処理装置10は、ウィンドウ移動制御部30を備えている。ウィンドウ移動制御部30は、一例として、登録部31、ジェスチャー判定部32、ウィンドウ判定部33、表示判定部34、表示制御部35、及び記憶部36を備えている。
【0026】
登録部31は、例えば、情報処理装置10によって表示制御が行われる各ディスプレイ2について、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する。例えば、登録部31は、ディスプレイを識別するためのディスプレイ識別情報に基づいてタッチパネルディスプレイか否かを判定し、その判定結果に基づいてディスプレイ情報を作成し、記憶部36に格納する。
【0027】
ディスプレイ識別情報とは、例えば、ディスプレイの製品毎に一意に与えられる識別番号である。ディスプレイ識別情報の一例として、ディスプレイのデバイス名、ディスプレイID等が挙げられる。ディスプレイIDは、ディスプレイの製品固有の番号であり、例えば、サプライヤ、表示パネルの構造等に応じて異なる番号が付与されている。ディスプレイIDによって、タッチパネルディスプレイか否かを容易に判別することが可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では、登録部31がディスプレイ識別情報に基づいてタッチパネルディスプレイか否かを判別することとしたが、これに限られない。例えば、タッチパネルディスプレイか否かについては、ユーザが所定の設定画面から手動で設定する構成としてもよい。
【0029】
また、ディスプレイ情報には、ディスプレイ配置情報が含まれている。このディスプレイ配置情報は、マルチディスプレイ環境を実現するために必要な情報であり、例えば、OSから取得することが可能である。例えば、登録部31は、OSからディスプレイの配置情報を取得し、取得したディスプレイ配置情報をディスプレイ情報に含めて記憶部36に登録する。
これにより、ディスプレイの配置情報(本実施形態においては、第1ディスプレイ2aが左側に配置され、第2ディスプレイ2bが右側に配置されているという情報)と、各ディスプレイ2がタッチパネルディスプレイか否かを示す情報とを含むディスプレイ情報が記憶部36に格納される。
【0030】
ジェスチャー判定部32は、タッチパネルディスプレイで所定のジェスチャーが検出されたか否かを判定する。第2ディスプレイ2b上において、ユーザがペンや指等の指示体による所定のジェスチャーを行った場合、そのジェスチャーはタッチパネルによって検出され、入力情報として情報処理装置10に通知される。ジェスチャー判定部32は、第2ディスプレイ2bからの入力情報に基づいて第2ディスプレイ2bにおいて所定のジェスチャーが検出されたか否かを判定する。所定のジェスチャーの一例として、タッチパネル上の近傍でペンを手前から奥に向けて動かす動作、ペンを左右方向に移動させる動作、所定の記号や文字を描く動作、1本又は複数の指でタッチパネルをタップやスワイプする動作等が挙げられる。このように、所定のジェスチャーは予め登録されているジェスチャーであればよく、任意に選定できる。また、ユーザによる設定が可能な構成とされていてもよい。
【0031】
ウィンドウ判定部33は、第2ディスプレイ2b上で所定のジェスチャーが検出された場合に、フォアグランドウィンドウが移動可能なウィンドウか否かを判定する。例えば、記憶部36には、ディスプレイ間で移動不可能なウィンドウの情報が登録された除外リストが格納されている。ウィンドウ判定部33は、第2ディスプレイ2b上で所定のジェスチャーが検出された場合に、フォアグランドウィンドウが除外リストに登録されているか否かを判定し、登録されていなければ移動可能なウィンドウであると判定する。除外リストには、例えば、デスクトップ、ポップアップ、コンテキストメニュー等が登録されている。
【0032】
表示判定部34は、第2ディスプレイ2b上で所定のジェスチャーが検出された場合に、第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する。ここで、フルスクリーン表示は、タイトルバー等が表示されているか否かを問わない。すなわち、フルスクリーン表示を、タイトルバーを表示させた態様とするか、又は、非表示とした態様とするかといった点については、運用に応じて適宜選定すればよい。
【0033】
表示制御部35は、第2ディスプレイ2b上で所定のジェスチャーが検出された場合に、第1ディスプレイ2aと第2ディスプレイ2bとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる。具体的には、表示制御部35は、表示判定部34によってフォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていないと判定された場合に、第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウを表示する。このとき、表示制御部35は、フォアグランドウィンドウをフルスクリーン表示する。これにより、ユーザがペン入力をしやすい環境を提供することが可能となり、作業効率を向上させることが可能となる。
【0034】
また、表示制御部35は、第1ディスプレイ2aから第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウを移動させる場合に、第1ディスプレイ2aにおけるフォアグランドウィンドウの表示位置及び表示サイズを取得し、ウィンドウ情報として記憶部36に格納することとしてもよい。
【0035】
また、表示制御部35は、表示判定部34によってフォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されていると判定された場合に、フォアグランドウィンドウを第1ディスプレイ2aに移動させる。このとき、表示制御部35は、記憶部36に格納されているウィンドウ情報に基づいてフォアグランドウィンドウを第1ディスプレイ2aに表示させてもよい。これにより、フォアグランドウィンドウを第2ディスプレイ2bから第1ディスプレイ2aに戻す際に、前回(移動前)と同じ位置、かつ、同じサイズで表示させることが可能となる。
【0036】
なお、表示制御部35は、ウィンドウ判定部33によってフォアグランドウィンドウが移動不可能なウィンドウであると判定された場合には、フォアグランドウィンドウの移動は行わない。
【0037】
記憶部36には、上述したウィンドウ移動制御方法を実現するために必要な各種データが格納される。例えば、記憶部36には、登録部31によって登録されるディスプレイ情報、ウィンドウ判定部33によって用いられる除外リスト、表示制御部35によって格納される第1ディスプレイ2aにおけるウィンドウ情報等が格納される。
【0038】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10によって実行されるウィンドウ移動制御方法について、
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置10によって実行されるウィンドウ移動制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下の一連の処理は、二次記憶装置13に記憶されているプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実行される。
また、以下の処理は、マルチディスプレイ環境で使用されている場合に実行される。
【0039】
まず、接続されているディスプレイ2のディスプレイ情報を記憶部36に格納する(SA1)。具体的には、OSからディスプレイ配置情報を取得するとともに、各ディスプレイ2のディスプレイIDに基づいて各ディスプレイ2がタッチパネルディスプレイか否かを判別する。そして、この判別結果とディスプレイ配置情報とに基づいてディスプレイ情報を作成し、記憶部36に格納する。これにより、第1ディスプレイ2aが左側、第2ディスプレイ2bが右側に配置されているとのディスプレイ配置情報及び第1ディスプレイ2aが非タッチパネルディスプレイであり、第2ディスプレイ2bがタッチパネルディスプレイであることを示す情報がディスプレイ情報として記憶部36に格納される。
【0040】
続いて、第2ディスプレイ2b上で所定のジェスチャーが検出されたか否かを判定する(SA2)。この結果、所定のジェスチャーが検出されていなければ(SA2:NO)、所定のジェスチャーが検出されるまで当該処理を繰り返し行う。一方、所定のジェスチャーが検出された場合には(SA2:YES)、フォアグランドウィンドウが移動可能なウィンドウであるか否かを判定する(SA3)。この結果、移動可能なウィンドウでなければ(SA3:NO)、ステップSA2に戻る。
【0041】
一方、フォアグランドウィンドウが移動可能なウィンドウである場合には(SA3:YES)、第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されているか否かを判定する(SA4)。
この結果、フルスクリーン表示されていない場合には(SA4:NO)、フォアグランドウィンドウを第2ディスプレイ2bにフルスクリーン表示させ(SA5)、ステップSA2に戻る。これにより、例えば、フォアグランドウィンドウが第1ディスプレイ2aに表示されている場合には、当該フォアグランドウィンドウが第1ディスプレイ2aから第2ディスプレイに移動されるとともに、フルスクリーンで表示されることとなる。なお、このとき、第1ディスプレイ2aにおけるフォアグランドウィンドウの表示位置及び表示サイズを取得し、ウィンドウ情報として記憶部36に格納してもよい。
なお、第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウがフルスクリーン状態以外の態様で表示されている場合には、フォアグランドウィンドウのディスプレイ間の移動されずに、第2ディスプレイ2bに表示されているフォアグランドウィンドウのサイズが拡大されてフルスクリーン状態で表示されることとなる。
【0042】
一方、ステップSA4において、フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されている場合には(SA4:YES)、第2ディスプレイ2bから第1ディスプレイ2aにフォアグランドウィンドウを移動させて表示させ(SA6)、ステップSA2に戻る。このとき、記憶部36に格納されているウィンドウ情報に基づいて第1ディスプレイ2aにフォアグランドウィンドウを表示させることとしてもよい。
【0043】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、情報処理装置10は、各ディスプレイ2について、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する登録部31と、第2ディスプレイ(タッチパネルディスプレイ)2b上で所定のジェスチャーが検出された場合に、第1ディスプレイ(他のディスプレイ)2aと第2ディスプレイ(ジェスチャーが検出されたタッチパネルディスプレイ)2bとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる表示制御部35とを備えている。
【0044】
このような構成によれば、ユーザは、タッチパネルディスプレイである第2ディスプレイ2b上において所定のジェスチャーを行うことにより、フォアグランドウィンドウを第1ディスプレイと第2ディスプレイとの間で移動させることが可能となる。これにより、タッチペン5を用いたフォアグランドウィンドウの移動操作が可能になり、従来のようにタッチペン5とマウス4の持ち替えが不要となる。この結果、フォアグランドウィンドウのディスプレイ間の移動を容易な入力操作によって実現することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、第2ディスプレイにフォアグランドウィンドウを移動させる際には、フォアグランドウィンドウがフルスクリーン表示されるので、ユーザがフォアグランドウィンドウを拡大する手間を省略でき、ユーザが入力操作を行いやすい環境を提供することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、第1ディスプレイ2aから第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウを移動させる際に、第1ディスプレイ2aにおけるフォアグランドウィンドウの表示位置及び表示サイズを登録しておき、第2ディスプレイ2bから第1ディスプレイ2aにフォアグランドウィンドウを移動させる場合には、登録しておいた表示位置及び表示サイズに基づいてフォアグランドウィンドウを表示させる。これにより、ユーザは違和感なく、コンテンツの編集作業を継続して行うことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、フォアグランドウィンドウが移動可能なウィンドウか否かを判定するウィンドウ判定部を備えており、表示制御部35は、移動可能なウィンドウであると判定された場合に限ってフォアグランドウィンドウを移動させる。これにより、ウィンドウの不必要な移動を回避することが可能となる。
【0048】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態で説明した処理手順も一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0049】
例えば、上述した実施形態において、第2ディスプレイ2bは、情報処理装置に搭載されたディスプレイであってもよい。この場合、第2ディスプレイ2bを有する情報処置装置にジェスチャー判定部の機能が搭載されていてもよい。すなわち、この場合には、第2ディスプレイ2bを有する情報処理装置において、所定のジェスチャーが行われたか否かを判定することとし、その判定結果を情報処理装置10に通知するような構成としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、情報処理装置10としてデスクトップ型PCを例示して説明したが、この例に限られない。例えば、情報処理装置10は、ノートPC、タブレット端末等であってもよく、情報処理装置10が第1ディスプレイ2aを備える態様としてもよい。例えば、情報処理装置10がタッチパネルディスプレイを備える情報処理装置であり、第2ディスプレイ2bが非タッチパネル型の外部モニタであってもよい。このように、第1ディスプレイ、第2ディスプレイの組み合わせは自由であり、また、3台以上のディスプレイがマルチモニタとして使用される態様としてもよい。
【0051】
また、例えば、
図5に示すように、第1ディスプレイ2a及び第2ディスプレイ2bは、いずれもタッチパネルディスプレイとされ、更に、情報処理装置10に搭載されていてもよい。また、この場合、キーボード等の文字入力に適したキーボード3等の入力デバイスが外部機器として情報処理装置10に接続されていてもよい。そして、第2ディスプレイ2bにフォアグランドウィンドウが表示されているときには、ユーザはタッチペン5を用いた入力操作を行い、第1ディスプレイ2aにフォアグランドウィンドウが表示されているときには、ユーザはキーボード3やマウス4を用いた入力操作を行うこととしてもよい。また、この場合において、キーボード3は、第2ディスプレイ2bに表示されるソフトウェアキーボードであってもよい。この場合には、第1ディスプレイ2aと第2ディスプレイ2bとの間におけるフォアグランドウィンドウの移動に連動してソフトウェアキーボードの表示/非表示を制御することとしてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、フォアグランドウィンドウを第1ディスプレイ2aから第2ディスプレイ2bへ移動させるときのジェスチャーと、第2ディスプレイ2bから第1ディスプレイ2aへ移動させるときのジェスチャーとを同じジェスチャーとしていたが、これに限られない。例えば、フォアグランドウィンドウを第2ディスプレイに移動させるための呼び込みジェスチャーと、フォアグランドウィンドウを第1ディスプレイに移動させるための送り出しジェスチャーとをそれぞれ登録しておき、表示制御部35が、検出されたジェスチャーに応じてフォアグランドウィンドウを移動させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 :情報処理システム
2 :ディスプレイ
2a :第1ディスプレイ
2b :第2ディスプレイ
3 :キーボード
4 :マウス
5 :タッチペン
10 :情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :二次記憶装置
14 :通信インターフェース
15 :外部インターフェース
30 :ウィンドウ移動制御部
31 :登録部
32 :ジェスチャー判定部
33 :ウィンドウ判定部
34 :表示判定部
35 :表示制御部
36 :記憶部
【要約】
【課題】フォアグランドウィンドウのディスプレイ間の移動を容易な入力操作によって実現すること。
【解決手段】情報処理装置は、複数のディスプレイにおける表示を制御可能な情報処理装置であって、各ディスプレイについて、タッチパネルディスプレイであるか否かを示すディスプレイ情報を登録する登録部31と、第2ディスプレイ上で所定のジェスチャーが検出された場合に、第1ディスプレイと第2ディスプレイとの間でフォアグランドウィンドウを移動させる表示制御部35とを備える。
【選択図】
図3