(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】日付表示デバイス
(51)【国際特許分類】
G04B 19/243 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
G04B19/243 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071349
(22)【出願日】2023-04-25
【審査請求日】2023-04-25
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ハイド
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ストランツル
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・マテ-ドゥ-ランドロワ
(72)【発明者】
【氏名】ルネ・ピゲ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-144585(JP,A)
【文献】特開2012-189398(JP,A)
【文献】特開2012-098286(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02713226(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/243-19/257
G04B 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字(15)の列の形態である日付指示があり、前記日付指示のうちの少なくとも一部が窓(150)の形態である、表盤(11)と、
前記表盤(11)に対して可動な指示子(12)と、
前記指示子(12)が占める各位置が文字(15)のうちの1つを指示するように、前記指示子(12)を1日当たり1ステップ動かすように構成している日付機構と、
前記表盤(11)と前記日付機構の間に配置される可動要素(13)と
を備える日付表示デバイス(10)であって、
前記可動要素(13)には、前記表盤(11)に対向するように配置される面の全部又は一部に、関心部分(131)があり、
前記可動要素(13)は、前記日付機構が前記可動要素(13)を活性位置と休み位置に動かすことができるように、前記日付機構と運動学的に連結され、
前記活性位置においては、前記関心部分(131)を少なくとも1つの所定の窓(150)を通して見ることができ、
前記休み位置においては、前記関心部分(131)が前記少なくとも1つの所定の窓(150)から外れており前記所定の窓(150)を通してマーキング領域(160)を見ることができる
ことを特徴とする表示デバイス(10)。
【請求項2】
前記関心部分(131)は、前記可動要素(13)が活性位置にあるときに前記関心部分(131)を見ることができる前記窓(150)によって形成される文字(15)をユーザーが見えないように、前記表盤(11)の外面(110)と同様な外観を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項3】
前記マーキング領域(160)は、前記可動要素(13)が休み位置にあるときに、少なくとも、29~31の日付を表す文字(15)を形成する前記窓(150)に、対向するように配置され、
前記関心部分(131)は、前記可動要素(13)が活性位置にあるときに29~31の日付を表す前記文字(15)を示すように、前記表盤(11)とも前記マーキング領域(160)とも異なる外観を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項4】
前記可動要素(13)には、その上面(130)上に、前記関心部分(131)に加えて、一又は複数の窓(150)を通して見ることができる
前記マーキング領域(160)の全部又は一部を有する面部分があり、
前記可動要素(13)の前記
面部分は、前記関心部分(131)とは異なる外観を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項5】
前記文字(15)は、少なくとも円弧に沿って分布しており、
前記指示子(12)は、前記表盤(11)に対して動くことができ、
前記可動要素(13)は、前記窓(150)を通して見ることができ、かつ、前記指示子(12)の回転軸と合致する回転軸を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項6】
前記マーキング領域(160)と前記関心部分(131)は、前記可動要素(13)が休み位置にあるときに、前記マーキング領域(160)が前記窓(150)のすべてに対向するように構成し、かつ、前記可動要素(13)が活性位置にあるときに、前記マーキング領域(160)が前記窓(150)の一部に対向するように構成するように、前記可動要素(13)に沿って分布し、
前記関心部分(131)は、
前記窓(150)
の他の一部に対向するように配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項7】
前記可動要素(13)は、閉じた環の形態であり、
前記マーキング領域(160)と前記関心部分(131)はそれぞれ、2つの連続する文字(15)が互いに異なる外観を有するように、互いの後に続くように交互に配置される区画のセットによって形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項8】
前記可動要素(13)には、その上面(130)上に、前記マーキング領域(160)と前記関心部分(131)を形成するものとは異なる外観を有する付加的区画があり、
前記付加的区画は、この付加的区画が指示子(12)を形成するように、この付加的区画の外観とは異なる外観を有する2つの区画の間に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項9】
前記付加的区画が間に配置される前記区画の色は、前記マーキング領域(160)とも前記関心部分(131)とも異なる
ことを特徴とする請求項8に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項10】
前記日付表示デバイス(10)には、
計時器用ムーブメント(16)のプレートの厚みを増加させる厚み増加部分(17)があり、
前記厚み増加部分(17)上に前記マーキング領域(160)が作られ、
前記厚み増加部分(17)は、1~28の日付を表す文字(15)を形成する前記窓(150)のすべてを通して視認可能であるように構成しており、
前記厚み増加部分(17)と前記可動要素(13)は、隣り合うように配置され、前記可動要素(13)の前記上面(130)及び前記厚み増加部分(17)の可視面が実質的に同じ平面内にて延在するような厚みを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項11】
前記日付表示デバイス(10)には、
計時器用ムーブメント(16)のプレートの厚みを増加させる厚み増加部分(17)があり、
前記厚み増加部分(17)上に前記マーキング領域(160)が作られ、
前記厚み増加部分(17)は、1~28の日付を表す文字(15)を形成する前記窓(150)のすべてを通して視認可能であるように構成しており、
前記厚み増加部分(17)と前記可動要素(13)は、隣り合うように配置され、前記可動要素(13)
の上面(130)及び前記厚み増加部分(17)の可視面が実質的に同じ平面内にて延在するような厚みを有し、
前記可動要素(13)は、レバーの形態であり、
前記日付機構は、輪郭にて前記レバーを支持するカムを備え、
前記カムの回転中に、前記カムは、前記レバーを、その活性位置とその休み位置の間で回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項12】
前記マーキング領域(160)と前記関心部分(131)はそれぞれ、2つの連続する文字(15)が互いに異なる外観を有するように、互いの後に続くように交互に配置される区画のセットによって形成され、
前記表示デバイスは、2つの可動要素(13)を備え、
前記2つの可動要素のうちの一方は、閉じた環の形態
の可動要素(13)であり、他方は、レバーの形態の
可動要素(13)である
ことを特徴とする請求項11に記載の日付表示デバイス(10)。
【請求項13】
前記表盤は、光透過性の材料によって作られており、
前記日付機構に対向する前記表盤の面において、不透明な薄い被覆(112)があり、
前記窓(150)は、前記薄い被覆(112)によって形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の日付表示デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の分野に関し、特に、携行型時計のような計時器の時間指示の分野に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、日付表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
日付表示デバイスの中には、携行型時計の表盤の上を動く、可動指示子、典型的には針、によって、この表盤上に設けられた円や円弧に沿って均等に分布する文字の列における当日の日付を指示することを可能にするものがある。これらの文字は日付を表す。
【0004】
時車と噛み合う、当業者によく知られている適当な日付機構によって、針を動かして、針を毎日ジャンプさせて、新しい日付を指示する。
【0005】
この日付機構は、逆行可能であることができる。実際に、日付機構は、月のすべての日付の分を移動した後に、逆方向に針を動かせて、翌月の最初の日付を指示する。
【0006】
日付表示デバイスについては、特に、文献「les montres compliquees」(Francois Lecoultre著、Editions Simonin出版)において詳しく説明されている。
【0007】
この種の日付表示デバイスには、例えば、提供される読みやすさや情報についての制約がある。
【0008】
本発明は、可動指示子式の日付表示デバイスの美的魅力を向上させ、特に、従来技術の日付表示デバイスに対して付加的な情報を表示することによって、可動指示子式の日付表示デバイスを使いやすくすることを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、文字の列の形態である日付指示があり、前記日付指示のうちの少なくとも一部が窓の形態である、表盤と、前記表盤に対して可動な指示子と、前記指示子が占める各位置が文字のうちの1つを指示するように、前記指示子を1日当たり1ステップ動かすように構成している日付機構と、前記表盤と前記日付機構の間に配置される可動要素とを備える日付表示デバイスであって、前記可動要素には、前記表盤に対向するように配置される面の全部又は一部に、関心部分があり、前記可動要素は、前記日付機構が前記可動要素を活性位置と休み位置に動かすことができるように、前記日付機構と運動学的に連結され、前記活性位置においては、前記関心部分を少なくとも1つの所定の窓を通して見ることができ、前記休み位置においては、前記関心部分が前記少なくとも1つの所定の窓から外れており前記所定の窓を通してマーキング領域を見ることができるもの、を提供することによって、上述の課題を解決する。
【0010】
特定の実施形態において、前記関心部分は、前記可動要素が活性位置にあるときに前記関心部分を見ることができる前記窓によって形成される文字をユーザーが見えないように、前記表盤の外面と同様な外観を有する。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、以下の特徴の1つ又は複数を有することができる。これらの特徴は、単独で、又は技術的に可能なように組み合わさって、考えられるべきである。
【0012】
特定の実施形態において、前記マーキング領域は、前記可動要素が休み位置にあるときに、少なくとも、29~31の日付を表す文字を形成する前記窓に、対向するように配置され、前記関心部分は、前記可動要素が活性位置にあるときに29~31の日付を表す前記文字を示すように、前記表盤とも前記マーキング領域とも異なる外観を有する。
【0013】
特定の実施形態において、前記可動要素には、その上面上に、前記関心部分に加えて、前記マーキング領域の全部又は一部に対応する一又は複数の窓を通して見ることができる面部分があり、前記可動要素の前記マーキング領域は、前記関心部分とは異なる外観を有する。
【0014】
特定の実施形態において、前記文字は、少なくとも円弧に沿って分布しており、前記指示子は、前記表盤に対して動くことができ、前記可動要素は、前記窓を通して見ることができ、かつ、前記指示子の回転軸と合致する回転軸を有する。
【0015】
特定の実施形態において、前記マーキング領域と前記関心部分は、前記可動要素が休み位置にあるときに、前記マーキング領域が前記窓のすべてに対向するように構成し、かつ、前記可動要素が活性位置にあるときに、前記マーキング領域が前記窓の一部に対向するように構成するように、前記可動要素に沿って分布し、前記関心部分は、他の窓に対向するように配置される。
【0016】
特定の実施形態において、前記可動要素は、閉じた環の形態であり、前記マーキング領域と前記関心部分はそれぞれ、2つの連続する文字が互いに異なる外観を有するように、互いの後に続くように交互に配置される区画のセットによって形成される。
【0017】
特定の実施形態において、前記可動要素には、その上面上に、前記マーキング領域と前記関心部分を形成するものとは異なる外観を有する付加的区画があり、前記付加的区画は、この付加的区画が指示子を形成するように、この付加的区画の外観とは異なる外観を有する2つの区画の間に配置される。
【0018】
特定の実施形態において、前記付加的区画が間に配置される前記区画の色は、前記マーキング領域とも前記関心部分とも異なる。
【0019】
特定の実施形態において、前記日付表示デバイスには、厚み増加部分があり、前記厚み増加部分上に前記マーキング領域が作られ、前記厚み増加部分は、1~28の日付を表す文字を形成する前記窓のすべてを通して視認可能であるように構成しており、前記厚み増加部分と前記可動要素は、隣り合うように配置され、前記可動要素の前記上面及び前記厚み増加部分の可視面が実質的に同じ平面内にて延在するような厚みを有する。
【0020】
特定の実施形態において、前記可動要素は、レバーの形態であり、前記日付機構は、輪郭にて前記レバーを支持するカムを備え、前記カムの回転中に、前記カムは、前記レバーを、その活性位置とその休み位置の間で回転させる。
【0021】
特定の実施形態において、前記表示デバイスは、2つの可動要素を備え、そのうちの一方は、閉じた環の形態であり、他方は、レバーの形態である。
【0022】
特定の実施形態において、前記表盤は、光透過性の材料によって作られており、前記日付機構に対向する前記表盤の面において、不透明な薄い被覆があり、前記窓は、前記薄い被覆によって形成される。
【0023】
添付の図面を参照しながら例として与えられる以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1aは、本発明の一実施例に係る日付表示デバイスの分解斜視図である。
図1bは、
図1aの日付表示デバイスの詳細を上から見た図を概略的に示している。
図1cは、
図1bの日付表示デバイスの断面A-Aにおける断面図を概略的に示している。
【
図2】
図2aは、本発明の別の実施例に係る日付表示デバイスの分解斜視図である。
図2bは、
図2aの日付表示デバイスの詳細を上から見た図を概略的に示している。
図2cは、
図2bの日付表示デバイスの断面B-Bにおける断面図を概略的に示している。
【
図3】
図3aは、本発明の別の実施例に係る日付表示デバイスの分解斜視図である。
図3bは、
図3aの日付表示デバイスの詳細を上から見た図を概略的に示している。
図3cは、
図3bの日付表示デバイスの断面C-Cにおける断面図を概略的に示している。
【
図4】
図4aは、本発明の別の実施例に係る日付表示デバイスの分解斜視図である。
図4bは、
図4aの日付表示デバイスの詳細を上から見た図を概略的に示している。
図4cは、
図4bの日付表示デバイスの断面D-Dにおける断面図を概略的に示している。
【
図5】
図5aは、本発明の別の実施例に係る日付表示デバイスの表盤を上から見た図を概略的に示しており、可動要素がなく、表盤にはいくつかの日付指示があり、そのうちの1つが針の形態の指示子によって指されている。
図5bは、
図5aの日付表示デバイスを搭載するように意図された可動要素を上から見た図を概略的に示している。
図5cは、
図5bの可動要素が連係する
図5aの表盤を上から見た図を概略的に示している。
【
図6】本発明の別の実施例における日付表示デバイスの2つの可動要素のセットみ合わせを概略的に示しており、前記可動要素はそれぞれ、
図1a~3c及び5bのいずれかに従うものである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
各図は、明瞭化のために必ずしも縮尺を合わせて描かれているわけではない。
【0026】
図1a~6に概略的に示しているように、本発明は、日付指示を行う、計時器、例えば携行型時計、の表盤11と、当日の日付を示すように意図された表盤11に対して回転可能な指示子12と、一又は複数の日付指示の外観を変化させるように意図された可動要素13とを備える日付表示デバイス10に関する。
【0027】
以下に示しているすべての実施例において、日付指示は、
図1a、1c、2a、2c、3a、3c、4a、4c、5a及び5cに示しているように、31文字の列の形態で配置され、これは、例えば、円弧に沿って分布し、文字の少なくとも一部が窓150の形態である。なお、窓150を通して視認可能な面が表盤11の視認可能な面とは異なる外観を有する場合、その窓150によって形成される文字15は、ユーザーが視認可能であり、窓150を通して視認可能な面が表盤11の視認可能な面の外観と同様である場合、文字15はユーザーの視覚にて認識されない。表盤11の可視面は、外面110における面である。
【0028】
図1a~4cに示している実施例において、1~28の日付を表す文字15は、外観が一定であり、29~31の日付を表す文字15は、当月の持続時間に応じて変わる外観を有する。
【0029】
1~28の日付を表す文字15は、
図1a、2a、4aに示しているように、薄い被覆などによって作られたマーキング領域160を見せる窓150によって形成することができる。また、本発明の理解を容易にするために、
図1b、2b、3b及び4bにおいて、マーキング領域160と可動要素13は、他の要素を透明にして視認可能となっている。しかし、このマーキング領域160は、通常、窓150を通してのみ視認可能であり、薄い被覆112は不透明である。以下に詳細に説明するように、検討される実施例において、可動要素13には、適宜、マーキング領域160があることができる。
【0030】
また、指示子12は、可動であり、例えば、文字15が分布する円弧と同心の軸のまわりを回転して動く。図示している実施例において、指示子12は針によって形成される。
【0031】
好ましくは、
図1c、2c、3c及び4cに示しているように、表盤11は、光透過性の材料によって作られ、例えば、サファイアやガラスによって作られ、表盤11には、内面111の面に、不透明な薄い被覆112があり、好ましくは前記薄い被覆112に窓150が形成される。
【0032】
本発明に係る日付表示デバイス10は、指示子12を1日当たり1ステップ動かして、前記指示子12が占める各位置が当日の日付に対応する文字15のうちの1文字を表すように構成している年次又は永久の日付機構(図示せず)を備える。このような日付機構は当業者によく知られているため、以下においては詳細には説明しない。また、よく知られているように、翌月へと移行する際には、月の末日、例えば、28日、29日、30日、31日の日から、月の最初の日へと、年次又は永久の日付機構によって、指示子12が動く。内面111は、日付機構に対向するように配置される。
【0033】
この日付機構は、
図1a、1c、2a、2c、3a、3c、4a及び4cに概略的に示している計時器用ムーブメント16の一部である。
【0034】
図示している実施例において、表盤11は、計時器用ムーブメント16のプレートに重なり合っており、可動要素13は、前記表盤11と前記プレートの間に配置される。
【0035】
好ましいことに、可動要素13は、表盤11と日付機構の間に配置され、この可動要素13には、「上面」130と呼ばれる、前記表盤11に対向する面、の全部又は一部に、マーキング領域160の外観とは異なる外観を有する関心部分131がある。この関心部分131には、
図1c、2c、3c及び4cに示しているように、可動要素13上に堆積される薄い被覆があることができる。
【0036】
可動要素13は、日付機構と運動学的に連結して、関心部分131が少なくとも1つの所定の窓150を通して視認可能な活性位置に、そして、関心部分131が前記少なくとも1つの所定の窓150から外れるように構成している休み位置に、前記可動要素13を日付機構が動かすことができるようにされる。
【0037】
図1a~4cに示している実施例において、可動要素13が活性位置にあるときに、関心部分131は、2つの連続する月の間で変わることができる日付、すなわち、29~31の日付、を表す文字15を形成する一又は複数の窓150に対向するように配置される。すなわち、可動要素13の活性位置は、そのいくつかの角位置によって定められる。このために、
図1a、1b、2a、2b、3a及び3bに示しているように、可動要素13が活性位置にあるときに、関心部分131には、段付きの輪郭を有する境界があることができ、これは、一又は複数の窓150に対向して、可動要素13の角位置に応じて視認可能であるようにされる。
【0038】
例えば、関心部分131は、マーキング領域160の色とは異なる色を有することができ、特に、表盤11の色と同じ色を有することができる。この特徴には、可動要素13が活性位置にあるときに、関心部分131が対向する文字15を隠す効果がある。
【0039】
代わりに、関心部分131が、表盤11の色、そして、可動要素13が休み位置にあるときに窓150を通して視認可能な面の色、と異なる色を有する場合には、可動要素13が活性位置にあるときに関心部分131を視認可能な窓150によって形成される文字15が、他の文字15に対して示される。
【0040】
したがって、本発明において、関心部分131のおかげで、当月の日数に応じて、可変な日付を、残りの日、すなわち、1から28の日付、に対して、隠したり、又はそれとは逆に示したりすることができる。すなわち、31日未満しか日がない月の間に、29、30及び/又は31の日付を隠したり示したりすることができ、これによって、ユーザーが当月の日数を把握することができる。
【0041】
図1a~1cに示している実施例において、可動要素13が活性位置にあるときに、可動要素13においては関心部分131のみが一又は複数の窓150を通して視認可能である。また、マーキング領域160は、1~31の日付を表す文字15を形成する窓150のすべてに対向する、計時器用ムーブメント16のプレート上に堆積された薄い被覆によって、具現化される。
【0042】
図1a~1cに示している実施例とは異なり、
図2a~3cに示している実施例においては、可動要素13には、一又は複数の窓150を通して視認可能であることができる2つの面部分がある。その一方の面部分は、マーキング領域160の部分に対応し、他方の部分は、関心部分131に対応する。
【0043】
特に、
図2b、3b及び4bに示しているように、可動要素13は、休み位置にあるときに、その可動要素13が見せるマーキング領域160の部分が、29~31の日付を表す文字15のセットの少なくとも1つに対向するように配置されるように構成している。
【0044】
日付表示によって知覚される品質を向上させるために、日付表示デバイス10には、
図2a及び2cに示しているように、計時器用ムーブメント16のプレートに固定される厚み増加部分17があることができ、この厚み増加部分17上に、マーキング領域160が具現化されて、1~28の日付を表す文字15を形成する窓150のセットを通して視認することができるようにする。可動要素13と厚み増加部分17は、互いに隣り合うように配置され、窓150のセットを通して視認可能な前記厚み増加部分17の面と可動要素13の面とが同じ平面内に延在するような厚みを有する。
【0045】
代わりに、
図3a~3cに示しているように、マーキング領域160を表盤11の内面111に直接配置して、1~28の日付などを表す文字15を形成することもできる。この実施例において、窓150は、少なくとも29~31の日付を表す文字15を形成するためにのみ作られる。
【0046】
代わりに、
図4a~4cに示している実施例において、マーキング領域160は、完全に可動要素13上にて具現化される。
【0047】
特に、この実施例において、可動要素13は、開いた環の形態であり、指示子12の軸と合致する軸のまわりに回転可能である。可動要素13は、窓150のセットを通して視認可能である。すなわち、マーキング領域160は、可動要素13が休み位置にあるときに、すべての窓150を通して視認され、可動要素13が活性位置にあるときに、29~31の日付の一又は複数を表す文字15を形成する一又は複数の窓150を通して第2の部分が見え、窓150の残りは、前記マーキング領域160を見せる。
【0048】
図1a~3cに示している実施例において、可動要素13はレバーによって形成される。
【0049】
図1a~4cに示しているすべての実施例において、可動要素13は、その自由端によって、日付機構が備えるカム(図示せず)の輪郭に対向して支持されるように配置され、これによって、このカムが、その回転中に、前記可動要素13をその活性位置とその休み位置の間で回転させる。
【0050】
特に、カムは、専用のギア列によって月当たり1/12回転し、このカムの輪郭には、異なる半径を有するいくつかの部分があり、その部分の一部は、可動要素13が休み位置となるように、可動要素13を受けて支持するように意図されており、前記部分の一部は、可動要素13の活性位置に対応する異なる角位置となるように、可動要素13を受けて支持するように意図されている。
【0051】
本発明のこれらの実施例の目的は、当月の日数に対応する日付の番号を表示するように、可動要素13を動かすことである。
【0052】
代わりに、別の実施例において、
図5bに示しているように、可動要素13は、閉じた環の形態であることができる。可動要素13の関心部分131とマーキング領域160にはそれぞれ、複数の区画がある。前記関心部分131の区画と前記マーキング領域160の区画は、互いの後に続くように交互に配置され、各区画は、1つの文字15に対向するように配置されるような寸法構成を有する。したがって、
図5cに示しているように、連続する2つの文字15は互いに異なる外観を有する。
【0053】
本発明のこの実施例において、可動要素13は、日付機構によって1日当たり1ステップ駆動されるように構成しており、この1ステップは、2つの連続する窓150を隔てる角度値に対応する。
【0054】
したがって、表示デバイス10は、関心部分131の外観に応じて、当日の日付が偶数であるか奇数であるかに応じて、偶数又は奇数の日付を表す文字15を表示又は非表示にすることができる。この特徴は、日付、特に当日の日付、の読み取りを容易にすることに貢献することができる。
【0055】
例えば、可動要素13には、指示子駆動車12のフィンガーと運動学的に連結される内側又は外側の歯列があることができる。すなわち、この実施例において、可動指示子13は、好ましくは、回転するように指示子12に堅く接続される。
【0056】
まとめると、この実施例の目的は、当日の日付が偶数であるか奇数であるかに応じて、偶数又は奇数の日付のみを表示するように可動要素13を動かすことである。
【0057】
この実施例において、好ましくは、文字15は、1から31までの一連の数によって形成される。好ましいことに、可動要素13が配置されていない
図5aと可動要素13が配置されている
図5cを比較するとわかるように、たとえ文字15どうしが非常に近くに配置されていても、本発明はこれらの文字15を容易に読み取ることを可能にする。
【0058】
ここで、可動要素13は、所与の窓において、活性位置と休み位置を交互に占める。
【0059】
好ましいことに、可動要素13には、さらに、マーキング領域160の外観とも関心部分131の外観とも異なる外観を有する付加的区画があることができ、この付加的区画は、前記マーキング領域160の2つの区画の間、前記関心部分131の2つの区画の間、又は互いに同じ2つの他の区画であるが前記付加的区画の外観とは異なる外観を有する2つの他の区画の間に、配置することができる。この付加的区画は、単一の窓150を通してのみ視認可能であるような寸法構成を有しており、指示子12を形成することを可能にし、したがって、付加的部品によって形成される針又は他の指示子の必要性をなくすことができる。したがって、この付加的区画は、当日の日付を表す文字15を形成する窓150を通してユーザーが視認可能である。
【0060】
代わりに、可動要素13のマーキング領域160が、当日の日付を示すように、窓150のうちの1つのみを通して視認可能な1つの区画を形成し、関心部分131が、前記マーキング領域160の両側に延在している2つの区画を形成して、マーキング領域160の区画が視認可能な窓を除いたすべての窓150を通して視認可能なようにすることを考えることができる。
【0061】
図示していないこの実施例において、指示子12は、マーキング領域160によって形成される前記1つの区画からなる。したがって、ユーザーは、表盤11上にて当日の日付を容易かつ迅速に識別することができる。
【0062】
本発明の別の実施例において、
図6に示しているように、表示デバイス10は、2つの可動要素13を備えることができ、その可動要素13の一方は、閉じた環の形態であり、これは、例えば、
図5bに示している実施例において上述した可動要素13と同様のものであり、前記可動要素13の他方は、レバーの形態であり、これは、例えば、
図1aに示している実施例において上述した可動要素13と同様のものである。
【0063】
本発明のこの実施例において、可動要素13の動作は、
図1a及び5a~5cに示している実施例の説明においてそれぞれ説明した動作と同じであり、したがって、この日付表示デバイスの例は、それらの利点の組み合わせの利点を享受することができる。
【0064】
一般的には、上で考察した実装例と実施形態は、例として説明しており、したがって、他の代替形態が可能である。
【0065】
特に、
図1a、2a、3a、4a及び5aに示している実施例において、文字15の列は、半円分の円弧に沿って延在している。当然、文字15の列は、これよりも大きかったり小さかったりする角度を形成する円弧に沿って延在していることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 日付表示デバイス
11 表盤
12 指示子
13 可動要素
15 文字
16 計時器用ムーブメント
17 厚み増加部分
110 外面
112 薄い被覆
130 上面
131 関心部分
150 窓
160 マーキング領域