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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】データ処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
A61B5/055 376
A61B5/055 311
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023073203
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2019032901の分割
【原出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2023086893
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 秀則
(72)【発明者】
【氏名】油井 正生
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕市
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539722(JP,A)
【文献】Tran Minh, et al.,Compressed Sensing MRI Reconstruction Using a Generative Adversarial Network With a Cycle Loss,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2018年,VOL. 37, NO.6,1488-1497
【文献】J.B.M. Warntjes, et al.,Rapid Magnetic Resonance Quantification on the Brain: Optimization for Clinical Usage,Magnetic Resonance in Medicine,2008年,60,320-329
【文献】A. Hagiwara, et al.,Improving the Quality of Synthetic FLAIR Images with Deep Learning Using a Conditional Generative Adversarial Network for Pixel-by-Pixel Image Translation,AJNR Am J Neuroradiol,2019年,40,224-230
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づき生成された単一のk空間データからなる、処理対象に関する入力データを取得する取得部と、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づき生成された単一のk空間データを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理装置。
【請求項2】
前記第1のパルスシーケンスは、高速スピンエコー法であり、
前記第2のパルスシーケンスは、スピンエコー法であり、
前記入力データは、前記高速スピンエコー法に関し、複数のエコー時間にそれぞれ対応する前記複数のデータセグメントを含み、
前記出力データは、前記スピンエコー法に関し、前記複数のエコー時間のうちの単一のエコー時間に対応するデータセットである、
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記単一のエコー時間は、前記複数のエコー時間のうちのk空間中心に位置するデータセグメントに対応するエコー時間に設定される、請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記単一のエコー時間は、前記複数のエコー時間のうちのk空間中心以外のk空間領域に位置するデータセグメントに対応するエコー時間に設定される、請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記出力データは、一回の励起パルスの印加に続き2以上のMR信号を同一のエンコード且つ異なるエコー時間で収集するマルチエコー法に関する、請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記出力データは、高速スピンエコー法により収集される前記複数のデータセグメントに基づいて生成された、T2値の空間分布を表すT2マップ又はT2値の逆数の空間分布を表すR2マップである、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記入力データは、高速スピンエコー法により収集される第1のデータセットと、他のパルスシーケンス法により収集される第2のデータセットとを含む、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記出力データは、前記複数の撮像コントラストのうちの2以上の撮像コントラストにそれぞれ対応する2以上のデータセットである、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記学習済モデルとして、前記複数の撮像コントラストのうちの2以上の撮像コントラストにそれぞれ対応する2以上の学習済モデルを記憶する記憶部と、
前記2以上の撮像コントラストのうちの画像化対象の撮像コントラストを設定する設定部と、を更に備え、
前記生成部は、前記2以上の学習済モデルの中から、前記画像化対象の撮像コントラストに対応する学習済モデルを選択し、前記選択された学習済モデルを前記処理対象に関する前記入力データに適用して前記処理対象に関する前記出力データを生成する、
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記処理対象に対して磁気共鳴イメージングを実行して前記処理対象に関する前記入力データを取得する、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項11】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づき生成された単一のk空間データからなる、処理対象に関する入力データを取得し、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づき生成された単一のk空間データを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する、ことを具備し、
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理方法。
【請求項12】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、処理対象に関する入力データを取得する取得部と、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むデータを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記学習済モデルは、前記複数のデータセグメントをそれぞれ処理する複数の第1のニューラルネットワーク層と、前記複数の第1のニューラルネットワーク層からの複数の出力を結合する結合層と、前記結合層からの出力を処理する第2のニューラルネットワーク層とを有し、
前記生成部は、前記処理対象に関する前記入力データに前記複数の第1のニューラルネットワーク層、前記結合層及び前記第2のニューラルネットワーク層を適用することにより前記処理対象に関する前記出力データを生成し、
ここで、前記生成部は、前記処理対象に関するk空間データを前記複数のデータセグメントに分割し、前記複数のデータセグメントを、前記入力データとして、それぞれ前記複数の第1のニューラルネットワーク層に入力
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理装置。
【請求項13】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、処理対象に関する入力データを取得する取得部と、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むデータを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記生成部は、前記処理対象に関するk空間データを前記複数のデータセグメントに分割し、前記複数のデータセグメントに基づいて複数のMR画像を生成し、前記複数のMR画像を、前記入力データとして、前記学習済モデルに入力し、
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理装置。
【請求項14】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、処理対象に関する入力データを取得し、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むデータを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する、ことを具備し、
前記学習済モデルは、前記複数のデータセグメントをそれぞれ処理する複数の第1のニューラルネットワーク層と、前記複数の第1のニューラルネットワーク層からの複数の出力を結合する結合層と、前記結合層からの出力を処理する第2のニューラルネットワーク層とを有し、
前記生成することは、前記処理対象に関する前記入力データに前記複数の第1のニューラルネットワーク層、前記結合層及び前記第2のニューラルネットワーク層を適用することにより前記処理対象に関する前記出力データを生成し、
ここで、前記生成することは、前記処理対象に関するk空間データを前記複数のデータセグメントに分割し、前記複数のデータセグメントを、前記入力データとして、それぞれ前記複数の第1のニューラルネットワーク層に入力し、
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理方法。
【請求項15】
第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、処理対象に関する入力データを取得し、
前記第1のパルスシーケンスに関する複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むデータを入力とし、第2のパルスシーケンスに関する単一の撮像コントラストに対応するデータを出力とするように機械学習された学習済モデルに、前記処理対象に関する入力データを入力して、前記処理対象に関する出力データを生成する、ことを具備し、
前記生成することは、前記処理対象に関するk空間データを前記複数のデータセグメントに分割し、前記複数のデータセグメントに基づいて複数のMR画像を生成し、前記複数のMR画像を、前記入力データとして、前記学習済モデルに入力し、
前記撮像コントラストは、エコー時間に対応する、
データ処理方法。
【請求項16】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得する取得部と、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記スピンエコー法のエコー時間は、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちのk空間中心の位置を収集する際のエコー時間に設定される、
データ処理装置。
【請求項17】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得する取得部と、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記スピンエコー法のエコー時間は、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちのk空間中心以外の位置を収集する際のエコー時間に設定される、
データ処理装置。
【請求項18】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得する取得部と、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する生成部と、を具備し、
前記出力データは、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちの2以上のエコー時間にそれぞれ対応する2以上のデータセットである、
データ処理装置。
【請求項19】
前記入力データは、k空間データを再構成したMR画像である、請求項16乃至18の何れか一項記載のデータ処理装置。
【請求項20】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得し、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する、ことを具備し、
前記スピンエコー法のエコー時間は、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちのk空間中心の位置を収集する際のエコー時間に設定される、
データ処理方法。
【請求項21】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得し、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する、ことを具備し、
前記スピンエコー法のエコー時間は、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちのk空間中心以外の位置を収集する際のエコー時間に設定される、
データ処理方法。
【請求項22】
高速スピンエコー法で収集されたデータを入力データとして取得し、
高速スピンエコー法に対応するデータを入力とし、スピンエコー法に対応するデータを出力とするように学習された学習済モデルに、前記入力データを入力して、出力データを生成する、ことを具備し、
前記出力データは、前記高速スピンエコー法の複数のエコー時間のうちの2以上のエコー時間にそれぞれ対応する2以上のデータセットである、
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ処理装置及び法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングのデータ収集シーケンスに、従来スピンエコー法(CSE:Conventional Spin Echo)と高速スピンエコー法とがある。従来スピンエコー法は、1回の励起パルスに続き1個のMR信号が収集されるため、撮像時間が比較的長いが、k空間が単一のエコー時間のデータで充填されるため、画質が比較的高い。高速スピンエコー法は、1回の励起パルスに続き複数個のMR信号が異なるエコー時間で収集されるため、撮像時間が比較的短いが、k空間が複数のエコー時間のデータで充填されるため、画質が比較的低い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Garyun B. Blackmon, Nancy M. Major, Clyde A. Helms, “Comparison of Fast Spin-Echo Versus Conventional Spin-Echo MRI for Evaluating Meniscal Tears”, AJR: 184, June 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、短い撮像時間で収集されたデータから高画質のデータを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るデータ処理装置は、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、処理対象に関する入力データを取得する取得部と、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力データと単一の撮像コントラストに対応する出力データとに基づき機械学習された学習済モデルを、前記処理対象に関する入力データに適用して前記処理対象に関する出力データを生成する生成部と、前記処理対象に関する出力データを出力する出力部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成を示す図である。
図2図2は、従来スピンエコー法及び高速スピンエコー法のパルスシーケンスを示す図である。
図3図3は、図2の場合における、従来スピンエコー法及び高速スピンエコー法のk空間データのデータセグメントを示す図である。
図4図4は、図1の画像生成機能において利用される学習済モデルの入出力の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によるMR検査の典型的な流れを示す図である
図6図6は、サブDNN層を含む学習済モデルの構造及び入出力を模式的に示す図である。
図7図7は、学習済モデルを利用した、SE画像データの生成処理を模式的に示す図である。
図8図8は、SE画像データの表示画面の一例を示す図である。
図9図9は、変形例1に係る学習済モデルの入出力の関係を示す図である。
図10図10は、変形例2に係る学習済モデルの入出力の関係を示す図である。
図11図11は、変形例3に係る学習済モデルの入出力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るデータ処理装置、方法及びプログラムを説明する。
【0008】
本実施形態に係るデータ処理装置は、医用画像診断装置により生成された医用データを処理する装置である。医用画像診断装置は、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、X線診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission CT)装置及び超音波診断装置等の単一モダリティ装置であってもよいし、PET/CT装置、SPECT/CT装置、PET/MRI装置、SPECT/MRI装置等の複合モダリティ装置であってもよい。データ処理装置は、医用画像診断装置とは別体のコンピュータでもよいし、医用画像診断装置に組み込まれたコンピュータでもよい。また、データ処理装置は、演算処理を行うプロセッサでもよい。
【0009】
以下、本実施形態に係るデータ処理装置は、説明を具体的に行うため、磁気共鳴イメージング装置に組み込まれたコンピュータであるとする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の構成を示す図である。図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、架台11、寝台13、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25、寝台駆動装置27、シーケンス制御回路29及びホストコンピュータ(Host Computer)50を有する。ホストコンピュータは、データ処理装置の一例である。
【0011】
架台11は、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とを有する。静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体に収容されている。架台11の筐体には中空形状を有するボアが形成されている。架台11のボア内には送信コイル45と受信コイル47とが配置される。
【0012】
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸に規定し、Z軸に水平に直交する軸をX軸に規定する。X軸、Y軸及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
【0013】
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。より詳細には、傾斜磁場コイル43は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸に対応する3つのコイルを有する。当該3つのコイルは、X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を形成する。X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿う傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコード傾斜磁場Gp及び周波数エンコード傾斜磁場Grが所望の方向に形成される。スライス選択傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面(スライス)を決めるために利用される。位相エンコード傾斜磁場Gpは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)の位相を変化させるために利用される。周波数エンコード傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。なお、以下の説明においてスライス選択傾斜磁場Gsの傾斜方向はZ軸、位相エンコード傾斜磁場Gpの傾斜方向はY軸、周波数エンコード傾斜磁場Grの傾斜方向はX軸であるとする。
【0014】
傾斜磁場電源21は、シーケンス制御回路29からのシーケンス制御信号に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、X軸、Y軸及びZ軸の各軸に沿う傾斜磁場を傾斜磁場コイル43により発生させる。当該傾斜磁場は、静磁場磁石41により形成された静磁場に重畳されて被検体Pに印加される。
【0015】
送信コイル45は、例えば、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23から電流の供給を受けて高周波磁場パルス(以下、RF磁場パルスと呼ぶ)を発生する。
【0016】
送信回路23は、被検体P内に存在する対象プロトンを励起するためのRF磁場パルスを、送信コイル45を介して被検体Pに印加するために、送信コイル45に電流を供給する。RF磁場パルスは、対象プロトンに固有の共鳴周波数で振動し、対象プロトンを励起させる。励起された対象プロトンからMR信号が発生され、受信コイル47により検出される。送信コイル45は、例えば、全身用コイル(WBコイル)である。全身用コイルは、送受信コイルとして使用されても良い。
【0017】
受信コイル47は、RF磁場パルスの作用を受けて被検体P内に存在する対象プロトンから発せられるMR信号を受信する。受信コイル47は、MR信号を受信可能な複数の受信コイルエレメントを有する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。図1に図示しないが、受信コイル47は、並列的に実装された複数の受信チャネルを有している。受信チャネルは、MR信号を受信する受信コイルエレメント及びMR信号を増幅する増幅器等を有している。MR信号は、受信チャネル毎に出力される。受信チャネルの総数と受信コイルエレメントの総数とは同一であっても良いし、受信チャネルの総数が受信コイルエレメントの総数に比して多くても良いし、少なくても良い。
【0018】
受信回路25は、励起された対象プロトンから発生されるMR信号を受信コイル47を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、空間周波数により規定されるk空間にて表現することができる。よって、以下、デジタルのMR信号をk空間データと呼ぶことにする。k空間データは、画像再構成に供される生データの一種である。k空間データは、有線又は無線を介してホストコンピュータ50に供給される。
【0019】
なお、上記の送信コイル45と受信コイル47とは一例に過ぎない。送信コイル45と受信コイル47との代わりに、送信機能と受信機能とを備えた送受信コイルが用いられても良い。また、送信コイル45、受信コイル47及び送受信コイルが組み合わされても良い。
【0020】
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には被検体Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置27が収容される。寝台駆動装置27は、シーケンス制御回路29からの制御を受けて天板131を移動する。寝台駆動装置27は、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータ等を含んでも良い。
【0021】
シーケンス制御回路29は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。シーケンス制御回路29は、処理回路51の撮像プロトコル設定機能511により決定された撮像プロトコルに基づいて傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該撮像プロトコルに応じたパルスシーケンスに従い被検体Pに磁気共鳴イメージングを実行し、被検体Pに関するk空間データを収集する。
【0022】
図1に示すように、ホストコンピュータ50は、処理回路51、メモリ52、ディスプレイ53、入力インタフェース54及び通信インタフェース55を有するコンピュータである。
【0023】
処理回路51は、ハードウェア資源としてCPU等のプロセッサを有する。処理回路51は、磁気共鳴イメージング装置1の中枢として機能する。例えば、処理回路51は、各種プログラムの実行により撮像プロトコル設定機能511、データ取得機能512、撮像コントラスト設定機能513、画像生成機能514、画像処理機能515、表示制御機能516及び学習機能517を有する。
【0024】
撮像プロトコル設定機能511において処理回路51は、磁気共鳴イメージングに関する撮像プロトコルを、入力インタフェース54を介したユーザ指示又は自動的に設定する。撮像プロトコルは、一の磁気共鳴イメージングに関する各種の撮像パラメータの集合である。撮像パラメータとしては、パルスシーケンスの種別、k空間充填方式の種別、撮像時間、繰り返し時間(TR)、エコー時間(TE)等の磁気共鳴イメージングを行うために直接又は間接に設定される種々のパラメータが適用可能である。
【0025】
データ取得機能512において処理回路51は、被検体P等の処理対象に関する、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むMRデータを取得する。MRデータは、k空間データ、MR画像データ及びハイブリッドデータの総称である。k空間データは、オリジナルのk空間データでもよいし、オリジナルのk空間データに対してデータ圧縮処理や解像度分解処理、データ補間処理、解像度合成処理等の任意のデータ処理がなされたデータであってもよい。ハイブリッドデータは、k空間データの少なくとも1軸に沿ってフーリエ変換又は逆フーリエ変換等が実行されたデータである。データセグメントは、各撮像コントラストに対応するデータの集合である。より詳細には、一の撮像コントラストに対応するデータは、対応するデータセグメントのみに含まれ、他のデータセグメントには含まれないものとする。MR画像は、T1値やT2値等の複合的な要因によりコントラストが決定される。撮像コントラストは、MR画像のコントラストを決定づける因子である、一例として、磁気共鳴イメージングの種々の撮像パラメータのうちの特定の撮像パラメータにより決定づけられる。
【0026】
撮像コントラスト設定機能513において処理回路51は、後述する画像生成機能514による出力対象のMRデータの撮像コントラストを設定する。
【0027】
画像生成機能514において処理回路51は、学習済モデルを、処理対象に関する入力データに適用して、当該処理対象に関する出力データを生成する。学習済モデルは、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力データと単一の撮像コントラストに対応する出力データとに基づき学習された機械学習モデルである。本実施形態に係る機械学習モデルは、典型的には、生物の脳の神経回路を模した多層のネットワークモデルである深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)であるとする。DNNは、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義されるパラメータ付きの合成関数を含む。入力MRデータと出力MRデータとの関係は種々の態様が可能である。例えば、入力と出力との双方にk空間データが設定されてもよいし、入力と出力との双方にMR画像データが設定されてもよいし、入力にk空間データが設定され出力にMR画像データが設定されてもよい。画像生成機能514において処理回路51は、k空間データにフーリエ変換又は逆フーリエ変換を施してMR画像データを生成することも可能である。
【0028】
一例として、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力MRデータを取得するためのパルスシーケンスとして高速スピンエコー法、単一の撮像コントラストに対応する出力MRデータを取得するためのパルスシーケンスとして従来スピンエコー法(CSE)が採用される。高速スピンエコー法は、ファスト・スピンエコー(FSE:Fast Spin Echo)法やターボ・スピンエコー(TSE:Turbo Spin Echo)と呼ばれている。なお、従来スピンエコー法は、単にSEと表記し、高速スピンエコー法はFSEと表記することにする。高速スピンエコー法と従来スピンエコー法とは、シーケンス制御回路29により実行可能である。
【0029】
図2は、従来スピンエコー法及び高速スピンエコー法のパルスシーケンスを示す図である。図2に示すように、従来スピンエコー法は90°励起パルスの印加とそれに後続する180°再収束パルスの印加とにより1個のMR信号(スピンエコー信号)を収集するパルスシーケンスである。90°励起パルスの印加から次の90°励起パルスの印加までの時間は繰り返し時間(TR)と呼ばれる。90°励起パルスの印加からMR信号の発生までの時間はエコー時間(TE)と呼ばれる。エコー時間(TE)は、撮像コントラストを決定づける要因の一つである。従来スピンエコー法では、1回の繰り返し時間において単一のMR信号が収集される。すなわち、k空間が単一のエコー時間(TE)のk空間データで充填されるため、従来スピンエコー法では、画質が比較的高いが、撮像時間が比較的長いといえる。
【0030】
高速スピンエコー法は90°励起パルスの印加とそれに後続する複数の180°再収束パルスの印加とにより複数個のMR信号(スピンエコー信号)を収集するパルスシーケンスである。高速スピンエコー法では、1回の繰り返し時間においてエコー時間が異なる複数のMR信号が収集される。すなわち、k空間が複数のエコー時間のk空間データで充填されるため、高速スピンエコー法では、画質が比較的低いが、撮像時間が比較的短いといえる。
【0031】
ここで、図2に示すように、高速スピンエコー法における、90°励起パルスの印加から初回のMR信号に関するエコー時間を基準TE又は基準TE*1と表記し、n回目(nは整数)のMR信号に関するエコー時間を基準TE*nと表記する。高速スピンエコー法においてk空間中心に相当するMR信号に関するエコー時間は実効エコー時間と称される。図2において実効エコー時間は、一例として、基準TE*3に等しいものとしている。従来スピンエコー法におけるエコー時間を、本実施形態において、ターゲットTEと称することにする。図2において従来スピンエコー法におけるターゲットTEは、高速スピンエコー法における実効エコー時間に等しい基準TE*3としているが、実効エコー時間以外の任意のエコー時間に設定可能である。
【0032】
図3は、図2の場合における、スピンエコー法及び高速スピンエコー法のk空間データのデータセグメントを示す図である。なお、図3では、k空間充填方式の種別は、一例として、2次元のカーテシアンスキャンを想定している。k空間は位相エンコードPEと周波数エンコードREとにより規定される。また、高速スピンエコー法における、1回の90°励起パルスの印加により発生されるMR信号の個数、すなわち、ETL(Echo Train Length)は5であるとする。
【0033】
図3に示すように、従来スピンエコー法では全てのMR信号についてエコー時間が同一であるので、k空間にはターゲットTEである基準TE*3のk空間データのみが充填される。一方、高速スピンエコー法ではk空間には基準TE*1のデータセグメント、基準TE*2のデータセグメント、基準TE*3のデータセグメント、基準TE*4のデータセグメント及び基準TE*5のデータセグメントが充填される。このように、高速スピンエコー法により収集されるk空間データは、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むデータセットである。
【0034】
本実施形態に係る高速スピンエコー法としては、励起パルスの印加とそれに後続する複数の再収束パルスの印加とにより複数個のMR信号(スピンエコー信号)を収集するパルスシーケンスであれば、如何なるパルスシーケンスでもよい。例えば、高速スピンエコー法として、QRAP-MASTER(Quantification of Relaxation Times and Proton Density by Multi-echo Acquisition of Saturation-recovery Using Turbo Spin-echo Readout)等のSynthetic MRIが用いられてもよい。また、k空間充填方式の種別は、2次元のカーテシアンスキャンに限定されず、3次元のカーテシアンスキャンでもよい。更にk空間充填方式の種別としては、2次元又は3次元のラディアルスキャンやスパイラルスキャンでもよいし、PROPELLERやスタック・オブ・スターズ等でもよい。また、高速スピンエコー法は、1セットのk空間データを全て収集するために、複数回の励起パルスを要するマルチショットでもよいし、1回の励起パルスで済むシングルショットでもよい。
【0035】
図4は、画像生成機能514において利用される学習済モデル60の入出力の一例を示す図である。図4に示すように、学習済モデル60は、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力MRデータとして、複数のTEにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む、高速スピンエコー法により収集されたk空間データ又は当該k空間データに基づくMR画像データを入力とする。なお、入力としては、k空間データ及びMR画像データに限定されず、ハイブリッドデータでもよい。以下、高速スピンエコー法により収集されたk空間データ、ハイブリッドデータ又はMR画像データを総称してFSEデータと呼ぶことにする。また、学習済モデル60は、当該複数の撮像コントラストのうちの単一の撮像コントラストに対応する出力MRデータとして、当該複数のTEのうちの単一のTE(ターゲットTE)に対応する、従来スピンエコー法により収集されたk空間データ又は当該k空間データに基づくMR画像データを出力とする。出力としては、k空間データ及びMR画像データに限定されず、ハイブリッドデータでもよい。以下、従来スピンエコー法により収集されたk空間データ、ハイブリッドデータ又はMR画像データを総称してSEデータと呼ぶことにする。
【0036】
例えば、図3に示すFSE及びSEの場合、FSEデータに関する複数のTEとしては、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5の5種に設定される。この場合、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のデータセグメントが混入されたFSEデータが、入力MRデータとして学習済モデル60に入力される。SEデータに関する単一のTEとしては、FSEデータに関する基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のうちの何れか一つに設定される。例えば、5種のTEのうちの実効TEである基準TE*3がターゲットTE(TarTE)に設定されてもよいし、実効TE以外の任意のTEがターゲットTEに設定されてもよい。このように、学習済モデル60の出力データであるSEデータには、入力データであるFSEデータの複数のエコー時間のうちの一部のエコー時間のデータが含まれているので、入力データであるFSEデータと出力データであるSEデータとには相関があるといえる。学習済モデル60は、ターゲットTE毎に生成され、メモリ52に記憶される。
【0037】
本実施形態に係るDNNは、如何なる構造でもよい。例えば、本実施形態に係るDNNは、入力層、出力層及び中間層を含む。中間層としては、少なくとも一以上のCNN(Convolutional Neural Network)層や全結合層、プーリング層等を含む。DNNは、ResNet(Residual Network)やDenseNet(Dense Convolutional Network)、U-Net等のネットワーク構造でもよい。
【0038】
画像処理機能515において処理回路51は、MR画像に種々の画像処理を施す。例えば、処理回路51は、ボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の画像処理を施す。
【0039】
表示制御機能516において処理回路51は、種々の情報をディスプレイ53に表示する。例えば、処理回路51は、画像生成機能514により生成されたMR画像、画像処理機能515により生成されたMR画像、撮像プロトコルの設定画面等をディスプレイ53に表示する。
【0040】
学習機能517において処理回路51は、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力データと当該複数の撮像コントラストのうちの単一の撮像コントラストに対応する出力データとに基づき機械学習された学習済モデルを生成する。例えば、処理回路51は、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力データと当該複数の撮像コントラストのうちの単一の撮像コントラストに対応する出力データとを教師データとして用いる教師付き機械学習により学習済モデルを生成する。教師データは、種々の磁気共鳴イメージング装置により種々の処理対象について多数のセットが収集される。なお、同一の教師データに属する入力データと出力データとの組合せについて処理対象は同一である。例えば、図4の場合、同一被検体に関するFSEデータとSEデータとの組合せが教師データとして用いられる。
【0041】
メモリ52は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ52は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、メモリ52は、学習済モデルやk空間データ、MR画像データ、制御プログラム等を記憶する。
【0042】
ディスプレイ53は、表示制御機能516により種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ53は、画像生成機能514により生成されたMR画像、画像処理機能515により生成されたMR画像、撮像プロトコルの設定画面等を表示する。ディスプレイ53としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0043】
入力インタフェース54は、ユーザからの各種指令を受け付ける入力機器を含む。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ、タッチスクリーン、タッチパッド等が利用可能である。なお、入力機器は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力インタフェース54の例に含まれる。
【0044】
通信インタフェース55は、LAN(Local Area Network)等を介して磁気共鳴イメージング装置1と、ワークステーションやPACS(Picture Archiving and Communication System)、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)等とを接続するインタフェースである。ネットワークIFは、各種情報を接続先のワークステーション、PACS、HIS及びRISとの間で送受信する。
【0045】
なお、上記の構成は一例であって、これに限定されない。例えば、シーケンス制御回路29は、ホストコンピュータ50に組み込まれても良い。また、シーケンス制御回路29と処理回路51とが同一の基板に実装されても良い。また、学習機能517は、必ずしも磁気共鳴イメージング装置1の処理回路51に実装されている必要性はない。例えば、磁気共鳴イメージング装置1とは別体の、学習済モデルを生成するためのコンピュータに学習機能517が実装されればよい。この場合、当該コンピュータにより生成された学習済モデル60が、ネットワーク又は可搬型記録媒体等を介して磁気共鳴イメージング装置1に供給される。また、メモリ52のうちの学習済モデル60の記憶領域は、磁気共鳴イメージング装置1に実装されている必要はなく、例えば、磁気共鳴イメージング装置1にネットワークを介して接続された記憶装置に実装されてもよい。
【0046】
以下、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1の動作例を説明する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置1によるMR検査の典型的な流れを示す図である。
【0048】
図5に示すように、処理回路51は、撮像コントラスト設定機能513の実現により、画像化対象の撮像コントラストを設定する(ステップS1)。具体的には、処理回路51は、画像化対象の撮像コントラストとして、画像化対象のエコー時間(ターゲットTE)を設定する。画像化対象のエコー時間は、入力インタフェース54を介してユーザにより任意のエコー時間が指定されればよい。
【0049】
ステップS1が行われると処理回路51は、撮像プロトコル設定機能511の実現により、FSE法の撮像パラメータを設定する(ステップS2)。ステップS2において処理回路51は、FSE法の撮像パラメータである、撮像時間、繰り返し時間、エコー時間及びETL等を、入力インタフェース54を介して又は自動的に設定する。エコー時間は、ETLを構成する各MR信号についてエコー時間が設定される。例えば、処理回路51は、ユーザによる入力インタフェース54を介した指示に従い実効エコー時間を直接的に設定してもよいし、基準エコー時間と実効エコー時間に対応する位相エンコードの順位(初回のMR信号から実効エコー時間に対応するMR信号までのエンコード数)とに基づいて実効エコー時間を自動的に設定してもよい。他のエコー時間については、実効エコー時間とETLとに基づいて自動的に設定されればよい。設定された撮像パラメータは、シーケンス制御回路29に供給される。
【0050】
ステップS2が行われるとシーケンス制御回路29は、ステップS2において設定された撮像パラメータに従い、FSE法に基づく磁気共鳴イメージングを実行する(ステップS3)。ステップS3においてシーケンス制御回路29は、被検体PにFSE法に基づく磁気共鳴イメージングを実行する。受信回路25は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のMR信号を受信し、複数のMR信号にそれぞれ対応する複数のデータセグメントが、k空間データとしてメモリ52に記憶される。FSE法により取得されたk空間データは、FSEデータの一種である。例えば、ETLが5である場合、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のデータセグメントを含む少なくとも1セットのk空間データが取得される。
【0051】
ステップS3が行われると処理回路51は、画像生成機能514の実現により、画像化対象の撮像コントラスト(ターゲットTE)に対応する学習済モデル60を選択する(ステップS4)。予め複数のターゲットTEに関する複数の学習済モデル60がメモリ52に記憶されている。例えば、複数の学習済モデル各々にはターゲットTEに関する識別子が関連付けられている。処理回路51は、メモリ52に記憶された複数の学習済モデルのうちの、ステップS1において設定されたターゲットTEに関する識別子に関連付けられた学習済モデル60を選択する。
【0052】
ステップS4が行われると処理回路51は、画像生成機能514の実現により、ステップS5において取得されたFSEデータに、ステップS4において選択された学習済モデル60を適用して、ステップS1において設定されたターゲットTEに関するSEデータを生成する(ステップS5)。まず、FSEデータ及びSEデータが共にk空間データである場合について説明する。FSE法に関するk空間データをFSEk空間データと呼び、SE法に関するk空間データをSEk空間データと呼ぶことにする。
【0053】
ステップS5において処理回路51は、FSEk空間データに学習済モデル60を適用して、ターゲットTEに関するSEk空間データを生成する。例えば、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のデータセグメントが混入された1セットのFSEk空間データから、基準TE*3等のターゲットTEに関する1セットのSEk空間データが生成される。生成されるSEk空間データを構成する全てのデータセグメントは、基準TE*3に相当するk空間データを含むこととなる。その後、処理回路51は、生成されたターゲットTEに関するSEk空間データにフーリエ変換を施して、ターゲットTEに関するMR画像データ(以下、SE画像データと呼ぶ)を生成する。生成されたSE画像データは、学習済モデル60により生成されているのでSE法と略同等の画質を有する。
【0054】
学習済モデル60の構造として種々の変形が可能である。例えば、学習済モデル60は、全てのデータセグメントに対する処理を担当する単一のDNN層を含んでもよい。また、学習済モデル60は、複数のデータセグメントにそれぞれ対応する処理を担当する複数のDNN層を含んでもよい。以下、各データセグメントに対応する処理を担当する個別のDNN層をサブDNN層と呼ぶことにする。
【0055】
図6は、サブDNN層61を含む学習済モデル60の構造及び入出力を模式的に示す図である。学習済モデル60は、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のデータセグメントが混入された1セットのFSEk空間データを入力とし、基準TE*3等のターゲットTEに関する1セットのSEk空間データを出力する。図6に示すように、学習済モデル60は、サブDNN層61、結合層62及び共通DNN層63を含む。サブDNN層61は、n個のk空間データセグメントにそれぞれ対応するn個のサブDNN層61n(nは整数)を含む。サブDNN層61nは、対応するk空間データセグメントに対する処理を実行する。結合層62はn個のサブDNN層61nに接続されている。結合層62は、n個のサブDNN層61nからのnセットの出力データを結合して1セットの出力データを生成する。結合層62は、例えば、Concat型等により実現されればよい。共通DNN層63は、結合層62からの1セットの出力データに対する処理を実行する。
【0056】
図6に示すように、処理回路51は、FSEk空間データセットを、基準TE*1、基準TE*2、基準TE*3、基準TE*4及び基準TE*5のk空間データセグメントに分割する。処理回路51は、基準TE*nのk空間データセグメントを、サブDNN層61n、結合層62及び共通DNN層63に順伝播し、基準TE*3等のターゲットTEに関する1セットのSEk空間データを生成する。このように、学習済モデル60によるFSEk空間デーセットからSEk空間データセットへの変換処理をサブDNN層61と共通DNN層63とに分担することにより、SEk空間データセットの精度向上や学習効率の向上が期待できる。
【0057】
次に、FSEデータ及びSEデータが共にMR画像データである場合について説明する。FSE法に関するMR画像データをFSE画像データと呼ぶことにする。
【0058】
図7は、学習済モデル65を利用した、SE画像データの生成処理を模式的に示す図である。学習済モデル65は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のMR画像データセグメントを含む入力データと当該複数のエコー時間のうちの単一のエコー時間(ターゲットTE)に対応するMR画像データセグメントとに基づき機械学習された機械学習モデルである。
【0059】
図7に示すように、まず処理回路51は、処理回路51は、FSEk空間データセットDFSEをETLの数だけ複製し、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のk空間データセグメントを生成する。次に処理回路51は、各k空間データセグメントにマスク処理を施し、各エコー時間に対応するk空間データセグメントDkn(nはエコー時間を識別する整数)以外のエコー時間に対応するk空間データセグメントにマスクMn(nはエコー時間を識別する整数)を施す。マスクMnは、マスク対象のk空間データセグメントの各サンプル点にゼロ等の所定値を割り当てることにより行われる。次に処理回路51は、各k空間データセグメントDknにFFT等の再構成処理を施して各エコー時間に対応するFSE画像データISn(nはエコー時間を識別する整数)を生成する。次に処理回路51は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のFSE画像データISnに学習済モデル65を適用して、当該複数のエコー時間のうちのターゲットTEに対応するSE画像データISEを生成する。
【0060】
ステップS5が行われると処理回路51は、ステップS5において生成されたSEデータを出力する(ステップS6)。例えば、処理回路51は、表示制御機能516の実現により、SEデータとして、SE画像データをディスプレイ53に表示する。
【0061】
図8は、SE画像データの表示画面I1の一例を示す図である。図8に示すように、表示画面I1には、FSE画像データI2とSE画像データI3とが並べて表示される。FSE画像データI2には実効エコー時間が、SE画像データI3にはターゲットTEが並べて表示されるとよい。なお、FSE法として3次元撮像が行われた場合、FSE画像データとSE画像データとは3次元画像データとなる。この場合、処理回路51は、3次元のFSE画像データにレンダリング処理を施して2次元のFSE画像データを生成してディスプレイ53に表示し、3次元のSE画像データにレンダリング処理を施して2次元のSE画像データを生成してディスプレイ53に表示する。
【0062】
ステップS6における他の出力態様として、処理回路51は、SEデータを、磁気共鳴イメージング装置1に接続された他のコンピュータに通信インタフェース55を介して転送してもよいし、メモリ52に保存してもよい。
【0063】
以上により、磁気共鳴イメージング装置1によるMR検査が終了する。
【0064】
なお、図5に示す処理の流れは適宜変更可能である。例えば、学習済モデルの選択処理(ステップS4)は、撮像パラメータの設定処理(ステップS2)や磁気共鳴イメージング(ステップS3)の前に行われてもよい。
【0065】
また、ステップS2において処理回路51は、ターゲットTEに応じて自動的に実効エコー時間を設定してもよい。例えば、ターゲットTEが基準TE*8である場合、基準TE*8がFSE法の実効エコー時間に設定されてもよい。
【0066】
上記の説明の通り、磁気共鳴イメージング装置1は、磁気共鳴イメージング段階においては、高速スピンエコー法のような複数の撮像コントラストが混入したデータを収集可能な高速撮像を行い、画像生成段階においては、当該混入データに基づいて単一の撮像コントラストに関する高画質のデータを生成する。すなわち、本動作例によれば、高速スピンエコー法の高速撮像と従来スピンエコー法の高画質との双方の利益を享受することができる。
【0067】
次に、処理回路51の学習機能517について説明する。処理回路51は、複数の撮像コントラストにそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む入力データと単一の撮像コントラストに対応する出力データとを教師データとして用いる教師付き機械学習により学習済モデル等を生成する。例えば、処理回路51は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むFSEデータとターゲットTEに対応する正解SEデータとを教師データとして用いる教師付き機械学習により学習済モデル60を生成する。教師データとして用いるFSEデータとSEデータとは、磁気共鳴イメージング装置1により収集されてもよいし、他の磁気共鳴イメージング装置により収集されてもよい。なお、同一の教師データに属する入力データと出力データとの組合せについて処理対象は同一である。例えば、同一被検体に関するFSEデータと正解SEデータとの組合せが教師データとして用いられる。
【0068】
学習機能517において処理回路51は、FSEデータに機械学習モデルを適用して順伝播処理を行い、推定SEデータを出力する。次に処理回路51は、推定SEデータと正解SEデータとの差分(誤差)に当該機械学習モデルを適用して逆伝播処理を行い、勾配ベクトルを計算する。次に処理回路51は、勾配ベクトルに基づいて当該機械学習モデルの重み付き行列やバイアス等のパラメータを更新する。多数の教師データについて順伝播処理及び逆伝播処理を繰り返してパラメータを更新することにより学習済モデルが完成する。
【0069】
SEデータは、図3に示すようなシングルエコー法により収集されてもよいし、マルチエコー法により収集されてもよい。なお、シングルエコー法は、一回の励起パルスの印加に続き一回の再収束パルスの印加をして一のMR信号を収集する方法である。シングルエコー法では、エンコードを変えながら同一のエコー時間で複数回MR信号が収集される。マルチエコー法は、一回の励起パルスの印加に続き複数回の再収束パルスの印加をしてエコー時間の異なる複数のMR信号を同一エンコードで収集する方法である。マルチエコー法を使用することにより、異なるエコー時間のSEデータを短時間で収集することが可能になる。FSEデータは、図3に示すようなFSE法により収集されればよい。
【0070】
なお、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Nets)やpix2pix等の手法を利用して学習済モデルが生成されてもよい。
【0071】
本実施形態は、高速撮像と高画質との双方の利益を享受するという観点から逸脱しない限り、種々の変形が可能である。以下、種々の変形例について説明する。
【0072】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る学習済モデル71の入出力の関係を示す図である。図9に示すように、学習済モデル71は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むFSEデータを入力データとし、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づくT2マップを出力データとして機械学習された機械学習モデルである。T2マップは、T2値の空間分布を表す画像である。
【0073】
学習済モデル71の生成段階において、T2マップは、如何なる手法により計算されてもよい。例えば、処理回路51は、高速スピンエコー法により収集された入力データである、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントに基づいてT2マップを生成すればよい。T2値は、データセグメント(又はMR画像)のエコー時間に対する信号値(又は画素値)の傾きにより算出される。正確なT2値を算出するため、多数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを使用するとよい。学習済モデル71の出力データであるT2マップは入力データであるFSEデータの複数のエコー時間のデータに基づいて算出されているので、入力データであるFSEデータと出力データであるT2マップとには相関があるといえる。
【0074】
なお、学習済モデル71は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むFSEデータを入力データとし、R2マップを出力データとして機械学習された機械学習モデルである。R2マップは、T2値の逆数であるR2値の空間分布を表す画像である。この場合も同様に、学習済モデル71の出力データであるR2マップは入力データであるFSEデータの複数のエコー時間のデータに基づいて算出されているので、入力データであるFSEデータと出力データであるR2マップとには相関があるといえる。
【0075】
なお、機械学習によりT2値を学習してその逆数を得る場合と、R2値を学習した場合とでは結果が一致しないのが一般的である。T2及びR2の評価が行われてもよい。具体的には、T2のロス関数とR2のロス関数とに基づいてT2マップとR2マップとが生成されてもよい。ロス関数は、L1正則化関数やL2正則化関数、GANロス関数等の如何なるものでもよい。例えば、|y-y’|と|1/y-1/y’|とにより規定される。yは算出又は計測されたT2値であり、y’は機械学習モデルにより得られたT2値のベクトル又は行列である。ベクトル又は行列の要素がゼロ又はゼロに近い値であると学習に支障があるため、これらの値の逆数は微小な正の数値ε等の所定値に置換されてもよい。
【0076】
変形例1によれば、磁気共鳴イメージング段階においては、FSE法のような複数の撮像コントラストが混入したデータを収集可能な高速撮像を行い、画像生成段階においては、当該混入データに基づいて高画質のT2マップ又はR2マップを短時間に生成することができる。
【0077】
(変形例2)
図10は、変形例2に係る学習済モデル72の入出力の関係を示す図である。図10に示すように、学習済モデル72は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む第1のFSEデータと複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含む第2のFSEデータとを含む入力データとし、当該複数のエコー時間のうちの単一のエコー時間(ターゲットTE)に対応するSEデータとを出力データとして機械学習された機械学習モデルである。
【0078】
第1のFSEデータと第2のFSEデータとは実効エコー時間が異なる。SEデータのターゲットTEは、第1のFSEデータ又は第2のFSEデータの実効エコー時間に設定されるとよい。例えば、第1のFSEデータの実効エコー時間は基準TE*3に設定され、第2のFSEデータの実効エコー時間は基準TE*4に設定され、SEデータのターゲットTEは基準TE*3に設定される。なお、SEデータのターゲットTEは、第1のFSEデータ及び第2のFSEデータの実効エコー時間とは異なるエコー時間に設定されてもよい。なお、出力データのSEデータは、変形例1のようにT2マップ又はR2マップでもよい。
【0079】
第2のFSEデータは、グラジェントエコー(GRE:Gradient Echo)法又はフィールドエコー(FE:Field Echo)法等の、高速スピンエコー法以外の高速撮像法により収集されたデータでもよい。GRE法又はFE法は、一回の励起パルスとそれに続く傾斜磁場の極性の反転とによりMR信号(グラジェントエコー信号)を収集する手法である。また、第2のFSEデータとして、GRASS(Gradient Recalled Acquisition in the Steady State)、FISP(Fast Imaging with Steady State Precession)、SPGR(Spoiled GRASS)、FLASH(Fast Low-angle Shot)等の、GRE法又はFE法の発展型により収集されたデータでもよい。
【0080】
また、入力データは、2回の高速撮像により収集された2セットのデータに限定されず、3回以上の高速撮像により収集された3セット以上のデータが用いられてもよい。
【0081】
変形例2によれば、2以上の高速撮像により収集された2以上のデータに基づいて、単一の撮像コントラストに関するSEデータ、T2マップ又はR2マップを生成することができる。これにより、出力データの精度の向上が期待される。
【0082】
(変形例3)
図11は、変形例3に係る学習済モデル73の入出力の関係を示す図である。図11に示すように、学習済モデル73は、複数のエコー時間にそれぞれ対応する複数のデータセグメントを含むFSEデータを入力データとし、当該複数のエコー時間のうちの単一の第1のエコー時間(ターゲットTE)に対応する第1のSEデータと当該複数のエコー時間のうちの単一の第2のエコー時間(ターゲットTE)に対応する第2のSEデータとを出力データとして機械学習された機械学習モデルである。
【0083】
教師データの収集段階において第1のターゲットTEに関する第1のSEデータと第2のターゲットTEに関する第2のSEデータとは、シングルエコー法により別々に収集されてもよいし、マルチエコー法により並列して収集されてもよい。マルチエコー法を使用することにより、第1のSEデータと第2のSEデータとを短時間で収集することが可能になる。
【0084】
なお、第1のSEデータ又は第2のSEデータがT2マップ又はR2マップでもよい。第1のSEデータ及び第2のSEデータがT2マップ及びR2マップでもよい。入力データは、変形例2のように、2以上の高速撮像により収集された2以上のデータでもよい。また、出力データは、2セットのデータに限定されず、3セット以上のデータでもよい。
【0085】
(その他の例)
上記の種々の実施形態において一の撮像コントラストに対応するデータは、対応するデータセグメントのみに含まれ、他のデータセグメントには含まれないようにデータセグメントが切り分けられるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。一の撮像コントラストのデータは、2以上のデータセグメントに亘るようにデータセグメントが切り分けられてもよい。
【0086】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、短い撮像時間で収集されたデータから高画質のデータを得ることができる。
【0087】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 磁気共鳴イメージング装置
11 架台
13 寝台
21 傾斜磁場電源
23 送信回路
25 受信回路
27 寝台駆動装置
29 シーケンス制御回路
41 静磁場磁石
43 傾斜磁場コイル
45 送信コイル
47 受信コイル
50 信号データ処理装置
51 処理回路
52 メモリ
53 ディスプレイ
54 入力インタフェース
55 通信インタフェース
131 天板
133 基台
511 撮像プロトコル設定機能
512 データ取得機能
513 撮像コントラスト設定機能
514 画像生成機能
515 画像処理機能
516 表示制御機能
517 学習機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11