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特許7559150需要予測支援システム、需要予測支援プログラム、及び、需要予測支援プログラムが記録された記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】需要予測支援システム、需要予測支援プログラム、及び、需要予測支援プログラムが記録された記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240924BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240924BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023107230
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592048741
【氏名又は名称】鉄道情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】大西 宇宙
【審査官】久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-196278(JP,A)
【文献】特開2019-168868(JP,A)
【文献】特開平09-123913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段の需要予測を補正するための需要予測支援システムであって、
イベントの開催予定日時を含む前記イベントに関する情報であるイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、
前記イベントの開催の影響による前記輸送手段の需要の増加割合を示したイベント影響割合及び前記イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示したイベント影響期間を含む前記イベントの属性に関する情報であるイベント属性情報を前記属性ごとに保持するイベント属性保持部と、
前記イベント情報及び前記イベント属性情報に基づいて、前記イベントの前記属性に対応する前記イベント影響割合である特定影響割合、及び、前記イベントの前記属性に対応し、かつ、前記開催予定日時に対応する前記イベント影響期間である特定影響期間を特定するイベント影響集約部と、
前記特定影響期間に所定の停車場で発着する前記輸送手段であるイベント対象輸送手段を特定する輸送手段特定部と、
前記特定影響割合から前記イベント対象輸送手段の前記需要予測を補正するための予測値を算出する予測値処理部と、を備える需要予測支援システム。
【請求項2】
前記イベント情報が、前記イベントの種類及び集客規模を含み、
前記イベント影響期間が、前記種類及び前記集客規模に対応して設定された、
ことを特徴とする請求項1に記載の需要予測支援システム。
【請求項3】
前記イベント影響割合が、前記種類及び前記集客規模に対応して設定された、
ことを特徴とする請求項2に記載の需要予測支援システム。
【請求項4】
前記イベント影響期間が、前記開催予定日時の前の所定の期間である第1影響期間と、前記開催予定日時の後の所定の期間である第2影響期間とからなり、
前記イベント対象輸送手段が、前記第1影響期間に対応する前記特定影響期間に前記停車場に到着する前記輸送手段である第1イベント対象輸送手段と、前記第2影響期間に対応する前記特定影響期間に前記停車場から出発する前記輸送手段である第2イベント対象輸送手段とからなる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の需要予測支援システム。
【請求項5】
前記イベント属性情報が、前記イベントで想定される想定開催期間を含み、
前記第2影響期間が、前記開催予定日時から前記想定開催期間が経過した後の所定の期間である、
ことを特徴とする請求項4に記載の需要予測支援システム。
【請求項6】
前記イベント情報記憶部が、複数の前記イベントの前記イベント情報を記憶し、
前記イベント影響集約部が、複数の前記イベントについて前記特定影響割合及び前記特定影響期間を特定すると共に、複数の前記イベントの前記第1影響期間に対応する前記特定影響期間において、重複する期間である第1重複期間がある場合、前記第1重複期間における前記特定影響割合を、前記特定影響期間に前記第1重複期間を有する前記イベントごとの前記属性に対応する前記特定影響割合を合算した合計値である第1合計値とし、複数の前記イベントの前記第2影響期間に対応する前記特定影響期間において、重複する期間である第2重複期間がある場合、前記第2重複期間における前記特定影響割合を、前記特定影響期間に前記第2重複期間を有する前記イベントごとの前記属性に対応する前記特定影響割合を合算した合計値である第2合計値とする特定影響割合合算機能を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の需要予測支援システム。
【請求項7】
前記第1合計値及び前記第2合計値それぞれの上限が200%である、
ことを特徴とする請求項6に記載の需要予測支援システム。
【請求項8】
輸送手段の需要予測を補正するための需要予測支援プログラムであって、
イベントの開催予定日時を含む前記イベントに関する情報であるイベント情報を記憶するイベント情報記憶手順と
前記イベントの開催の影響による前記輸送手段の需要の増加割合を示したイベント影響割合及び前記イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示したイベント影響期間を含む前記イベントの属性に関する情報であるイベント属性情報を前記属性ごとに保持するイベント属性保持手順と
前記イベント情報及び前記イベント属性情報に基づいて、前記イベントの前記属性に対応する前記イベント影響割合である特定影響割合、及び、前記イベントの前記属性に対応し、かつ、前記開催予定日時に対応する前記イベント影響期間である特定影響期間を特定するイベント影響集約手順と
前記特定影響期間に所定の停車場で発着する前記輸送手段であるイベント対象輸送手段を特定する輸送手段特定手順と
前記特定影響割合から前記イベント対象輸送手段の前記需要予測を補正するための予測値を算出する予測値処理手順と、をコンピュータに実行させる、
ことを特徴とする需要予測支援プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の需要予測支援プログラムが記録された、
ことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段の需要予測を補正するための需要予測支援システム、需要予測支援プログラム、及び、需要予測支援プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道やバス、航空機等の輸送手段の収益管理においては、予測された需要予測に合わせて、運行(運航)計画や運賃を自動的に算出するイールド管理システムが用いられている。イールド管理システムは、例えば、輸送手段の需要の増減に合わせて最適化された量の輸送手段を供給するために、予測された需要予測に基づいて自動的に運行(運航)計画を算出する。また、例えば、輸送手段あたりの収益を最大化するために、予測された需要予測に基づいて自動的に運賃を算出する。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1には、過去の需要実績値に基づいてイベントの影響を受けた需要実績値を自動で抽出し、このイベントの影響を受けた需要実績値に基づいて需要予測を行う需要予測システムが記載されている。この需要予測システムでは、例えば、過去の需要実績値を基にした基準値との差分がしきい値を超える需要実績値を探し出し、見つけられた需要実績値をイベントの影響を受けた需要実績値とする。そして、このイベントの影響を受けた需要実績値を基にして、イベントの発生の有無や、イベントが需要実績値に与える影響であるイベント効果の予測が行われ、イベントが発生する場合には、このイベント効果に基づいて需要予測が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-168868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された需要予測システムでは、過去の需要実績値に基づく基準値からイベントの影響を受けた需要実績値を特定し、このイベントの影響を受けた需要実績値と基準値との比較から、イベントの発生の有無や、イベントが需要予測に与える影響を予測する。そのため、例えば、毎年の特定の日に発生するイベントのように、周期的に発生するイベントについては、そのイベントの影響を需要予測に反映させることができる。しかし、不定期に開催されるイベントや新規のイベントに関しては、イベントの発生すら予測が困難である。そこで、この需要予測システムでは、上述したように自動での抽出が難しいイベントについては、イベントの予定や規模等の情報を入力して事前登録することで、それらのイベントの影響を需要予測に反映させることができる。しかし、例えば、不定期に開催されるイベントや新規のイベントが確認される度に、当該システムの管理者や利用者がそれらのイベントの情報を入力しなければならないとすると、相当な労力が必要となる上に、イベントの影響を正確に把握することも困難で、イベントの影響を正確に需要予測に反映させることが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、輸送手段の需要予測をより正確に行うために、イベントの開催による影響を需要予測に反映して補正するための予測値を算出する需要予測支援システム、需要予測支援プログラム、及び、需要予測支援プログラムが記録された記録媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る需要予測支援システムは、輸送手段の需要予測を補正するためのものであって、イベントの開催予定日時を含む前記イベントに関する情報であるイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、前記イベントの開催の影響による前記輸送手段の需要の増加割合を示したイベント影響割合及び前記イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示したイベント影響期間を含む前記イベントの属性に関する情報であるイベント属性情報を前記属性ごとに保持するイベント属性保持部と、前記イベント情報及び前記イベント属性情報に基づいて、前記イベントの前記属性に対応する前記イベント影響割合である特定影響割合、及び、前記イベントの前記属性に対応し、かつ、前記開催予定日時に対応する前記イベント影響期間である特定影響期間を特定するイベント影響集約部と、前記特定影響期間に所定の停車場で発着する前記輸送手段であるイベント対象輸送手段を特定する輸送手段特定部と、前記特定影響割合から前記イベント対象輸送手段の前記需要予測を補正するための予測値を算出する予測値処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記発明において、前記イベント情報が、前記イベントの種類及び集客規模を含み、前記イベント影響期間が、前記種類及び前記集客規模に対応して設定されていてもよい。
【0009】
前記発明において、前記イベント影響割合が、前記種類及び前記集客規模に対応して設定されていてもよい。
【0010】
前記発明において、前記イベント影響期間が、前記開催予定日時の前の所定の期間である第1影響期間と、前記開催予定日時の後の所定の期間である第2影響期間とからなり、前記イベント対象輸送手段が、前記第1影響期間に対応する前記特定影響期間に前記停車場に到着する前記輸送手段である第1イベント対象輸送手段と、前記第2影響期間に対応する前記特定影響期間に前記停車場から出発する前記輸送手段である第2イベント対象輸送手段とからなるものでもよい。
【0011】
前記発明において、前記イベント属性情報が、前記イベントで想定される想定開催期間を含み、前記第2影響期間が、前記開催予定日時から前記想定開催期間が経過した後の所定の期間であってもよい。
【0012】
前記発明において、前記イベント情報記憶部が、複数の前記イベントの前記イベント情報を記憶し、前記イベント影響集約部が、複数の前記イベントについて前記特定影響割合及び前記特定影響期間を特定すると共に、複数の前記イベントの前記第1影響期間に対応する前記特定影響期間において、重複する期間である第1重複期間がある場合、前記第1重複期間における前記特定影響割合を、前記特定影響期間に前記第1重複期間を有する前記イベントごとの前記属性に対応する前記特定影響割合を合算した合計値である第1合計値とし、複数の前記イベントの前記第2影響期間に対応する前記特定影響期間において、重複する期間である第2重複期間がある場合、前記第2重複期間における前記特定影響割合を、前記特定影響期間に前記第2重複期間を有する前記イベントごとの前記属性に対応する前記特定影響割合を合算した合計値である第2合計値とする特定影響割合合算機能を有していてもよい。
【0013】
前記発明において、前記第1合計値及び前記第2合計値それぞれの上限が200パーセントでもよい。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明に係る需要予測支援プログラムは、輸送手段の需要予測を補正するための予測値を算出するものであって、イベントの開催予定日時を含む前記イベントに関する情報であるイベント情報を記憶すると共に、前記イベントの開催の影響による前記輸送手段の需要の増加割合を示したイベント影響割合及び前記イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示したイベント影響期間を含む前記イベントの属性に関する情報であるイベント属性情報を前記属性ごとに保持して、前記イベント情報及び前記イベント属性情報に基づいて、前記イベントの前記属性に対応する前記イベント影響割合である特定影響割合、及び、前記イベントの前記属性に対応し、かつ、前記開催予定日時に対応する前記イベント影響期間である特定影響期間を特定すると共に、前記特定影響期間に所定の停車場で発着する前記輸送手段であるイベント対象輸送手段を特定し、前記特定影響割合から前記イベント対象輸送手段の前記需要予測を補正するための予測値を算出する、ことを特徴とする。
【0015】
前記需要予測支援プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の需要予測支援システムによれば、イベント情報及びイベント属性情報に基づいて、開催予定のイベントの属性に対応するイベント影響割合と、当該イベントの属性及び開催予定日時に対応するイベント影響期間とが特定される。そして、この特定されたイベント影響期間において、所定の停車場で発着する輸送手段であるイベント対象輸送手段が特定され、さらに、このイベント対象輸送手段の需要予測を補正するための予測値が、特定されたイベント影響割合から算出される。言い換えれば、本発明の需要予測支援システムでは、イベントごとに特定されるイベントの属性に基づいてイベント影響割合が特定され、また、イベントごとに特定されるイベントの属性と開催予定日時とに基づいてイベント影響期間が特定される。そして、所定の停車場で発着する輸送手段のうち、特定されたイベント影響期間に発着する輸送手段がイベント対象輸送手段として特定され、また、このイベント対象輸送手段の需要予測を補正するための予測値が、特定されたイベント影響割合に基づいて算出される。
そのため、予測値の算出の基準となるイベント影響割合を、イベントの属性に合わせて変動させ、イベント影響割合を反映させるためのイベント影響期間を、イベントの属性及び開催予定日時に合わせて変動させることができる。また、これらの変動に伴って、イベントの開催の影響による輸送手段の需要の増加に関する予測値や、この予測値を反映させる輸送手段も変動させることができる。そうすると、需要予測支援システムによって算出された予測値を需要予測に適用することで、イベントの属性に合わせたより正確な需要予測ができる。
【0017】
また、本発明の需要予測支援システムによれば、イベントの種類及び集客規模に対応してイベント影響期間が設定されている。したがって、イベント影響割合を反映させるための所定の期間であるイベント影響期間を、イベントの種類(ジャンル)や、そのイベントの集客規模によって変動させることができる。例えば、イベントのジャンルがライブイベントである場合、一般に、ライブイベントの公演時間の前後の数時間に輸送手段の需要が増加する。一方で、例えば、イベントのジャンルがマラソン大会である場合、当日に会場に移動するマラソン大会の参加者や観客に加えて、前日に会場付近の宿泊施設に泊まる参加者や観客も多い。そのため、マラソン大会の開催期間の前後数時間に加えて、前日や翌日にも輸送手段の需要が増加することがある。また、このようなことは、開催されるイベントの集客規模によっても起こり得る。そのため、本発明の需要予測支援システムによれば、イベントの種類及び集客規模に対応してイベント影響期間が設定されるので、上述したような特殊な需要の増加にも対応することができる。
【0018】
さらに、本発明の需要予測支援システムによれば、イベント影響割合が種類及び集客規模に対応して設定されている。そのため、上述したように、イベントの種類及び集客規模に対応して、イベント影響期間を変動させることに加えて、イベント影響割合も変動させることができる。したがって、よりイベントの属性に適した予測値を算出することができる。
【0019】
また、本発明の需要予測支援システムによれば、イベント影響期間が、開催予定日時の前の所定の期間である第1影響期間と、開催予定日時の後の所定の期間である第2影響期間とからなり、また、イベント対象輸送手段が、第1影響期間に対応する特定影響期間に停車場に到着する輸送手段である第1イベント対象輸送手段と、第2影響期間に対応する特定影響期間に停車場から出発する輸送手段である第2イベント対象輸送手段とからなる。そのため、輸送手段特定部によって特定されるイベント対象輸送手段を、開催予定日時の前の所定の期間に停車場に到着する輸送手段と、開催予定日時の後の所定の期間に停車場から出発する輸送手段とに限定できる。したがって、イベント影響割合を反映させる対象であるイベント対象輸送手段から、イベントの開催予定日時の前に停車場から出発する輸送手段や、イベントの開催予定日時の後に停車場に到着する輸送手段を除外できる。
【0020】
また、本発明の需要予測支援システムによれば、イベント属性情報がイベントで想定される想定開催期間を含み、第2影響期間が開催予定日時から想定開催期間が経過した後の所定の期間である。そのため、イベントの開催予定日時から想定開催期間が経過するまでの間に停車場から出発する輸送手段を、イベント影響割合を反映させる対象から除外することができる。したがって、イベントの開催の影響による需要の増加割合を反映させる必要のない輸送手段を除外して、より正確な需要予測を支援することができる。
【0021】
また、本発明の需要予測支援システムによれば、イベント影響集約部の特定影響割合合算機能が、複数のイベントの特定影響期間に第1重複期間がある場合、第1重複期間における特定影響割合を第1合計値とし、複数のイベントの特定影響期間に第2重複期間がある場合、第2重複期間における特定影響割合を第2合計値とする。そのため、複数のイベントが開催されるときに、それらのイベントの間で第1重複期間又は第2重複期間がある場合には、第1重複期間における特定影響割合を第1合計値とし、第2重複期間における特定影響割合を第2合計値として、複数のイベントごとの属性に対応する特定影響割合を合算した合計値から、需要予測を補正するための予測値を算出することができる。したがって、例えば、複数のイベントが、近しい開催予定日時及び近しい開催予定地で開催されるときには、それらのイベントの属性に対応する特定影響割合の合計値から予測値を算出できるので、より正確な需要予測を支援することができる。
【0022】
また、本発明の需要予測支援システムによれば、第1合計値及び第2合計値それぞれの上限が200パーセントである。そのため、多数のイベントが同時期に開催予定であるときに、これらの多数のイベントごとの属性に対応する特定影響割合を合算して、その合計値を第1合計値又は第2合計値とする場合にも、第1合計値又は第2合計値が必要以上に高い数値となることがなく、予測値処理部によって算出される予測値が、イベントの開催の影響による実際の列車の需要の増加割合から掛け離れたものとなることを防止できる。
【0023】
また、本発明の需要予測支援プログラム及び需要予測支援プログラムが記録された記録媒体によれば、上述した需要予測支援システムと同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムと、この需要予測支援システムが一部に組み込まれたイールド管理システムと、イベント情報収集システム及び予約販売システムとの概略を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムのイベント情報の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムのイベント属性情報の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムのイベント影響集約情報の一例を示す図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの特定影響割合において、第1合計値及び第2合計値の算出方法の一例を示す図である。(B)は、本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの特定影響割合において、第1影響期間にイベントの開催予定日の前日が含まれる場合の第1合計値の算出方法の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの運行計画情報の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの対象輸送手段情報の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの予測値変更列車情報の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る需要予測支援システムの算出処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る需要予測支援システムの実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る需要予測支援システムの実施形態として、図1に示す需要予測支援システム1、及び、需要予測支援システム1が組み込まれたイールド管理システム100の概略構成を説明する。また、本実施形態では、輸送手段が列車のうちの新幹線であり、停車場が新幹線の停車駅である場合を例に説明する。なお、需要予測支援システム1は、輸送手段が新幹線ではない在来線の列車で、停車場が在来線の列車の停車駅であるものでもよいし、また、輸送手段が、停車場が停留所であるバス等のその他の輸送手段であるものでもよい。
【0027】
需要予測支援システム1は、図1に示すように、例えば、イールド管理システム100の一部として組み込まれたシステムとして構成される。
イールド管理システム100は、例えば、プログラムに従って各種処理を行うCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、CPUを動作させるためのプログラムなどの電子情報を記録して、この記録された電子情報の読み出しが可能な記録装置であるROM(Read Only Memory)、電子情報の読み書きが可能な記録装置であるRAM(Random Access Memory)、及び、その他の種々の電子情報の読み書きが可能な記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)を備える。また、イールド管理システム100は、必要な場合には、例えば、キーボード、マウス又はタッチパネル等の入力装置や、液晶ディスプレイ又はプリンター等の出力装置を備えていてもよい。なお、CPUは、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等の他のプロセッサで構成されてもよいし、HDDは、SSD(Solid State Drive)等の他の記憶装置でもよい。
【0028】
イールド管理システム100は、少なくとも、列車の需要を予測して管理する需要処理部101と、イールド管理システム100から独立した他のシステムとの通信を行う管理システム通信部102を備える。
需要処理部101は、列車の需要予測を行い、予測された需要予測に基づいて、列車の運行計画や運賃の変更を行う。需要処理部101は、例えば、列車の定員や予測乗車人数に基づいて需要予測を行うと共に、予測された需要予測に基づいて、列車の運行計画の最適化を行う。具体的には、例えば、列車ごとの乗車率が100パーセント前後となるように列車の運行本数が調整された運行計画を作成する。また、需要処理部101は、例えば、列車の運転本数や定員、予測乗車人数に基づいて需要予測を行うと共に、予測された需要予測に基づいて、列車の運賃の変更を行う。具体的には、例えば、特定の列車の需要が高いと見込まれる場合には、その特定の列車の座席の販売価格を需要に合わせて変更する。
また、需要処理部101は、需要予測値補正機能を有している。そのため、例えば、算出された需要予測に、さらに需要予測支援システム1によって算出された予測値を適用して、より正確な需要予測を行うことができる。
【0029】
管理システム通信部102は、インターネット等の通信ネットワークに接続され、イールド管理システム100から独立したシステムであるイベント情報収集システム200、予約販売システム300及びその他の機器との通信が可能に構成されている。管理システム通信部102は、通信ネットワークを介して、各種情報の送受信を行う。なお、通信ネットワークには、インターネットの他、例えば、専用線により接続されたネットワーク、企業内LAN、企業間LAN又はWAN等のあらゆるネットワークが含まれ、また、通信回線の形態には、例えば、有線通信又は無線通信等のあらゆる通信形態が含まれる。
【0030】
需要予測支援システム1は、イールド管理システム100の一部に組み込まれ、イールド管理システム100が備えるCPU等のプロセッサ、ROM、RAM及びHDD等のハードウェアを共用して構成される。需要予測支援システム1は、需要予測支援システム1によって行われる各種処理を制御する制御部10と、イベント情報を記憶するイベント情報記憶部20、イベント属性情報を保持するイベント属性保持部30と、イベントの特定影響割合及び特定影響期間を特定するイベント影響集約部40と、イベント対象輸送手段を特定する輸送手段特定部50と、特定影響割合から需要予測を補正するための予測値を算出する予測値処理部60と、他のシステムやその他の機器との通信を行う支援システム通信部70とを備える。
【0031】
なお、需要予測支援システム1は、上述したように、イールド管理システム100の一部に組み込まれて、イールド管理システム100が備えるCPU等のプロセッサ、ROM、RAM及びHDD等のハードウェアを共用して構成される以外に、例えば、別途でこれらのハードウェアを備えて独立したシステムとして構成されてもよいし、ハードウェアによる構成の他、ソフトウェアとして実現されるように構成されてよい。ソフトウェアとして実現される場合には、例えば、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM及びHDD等のハードウェアを備えるコンピュータにおいて、ROM及びRAMに記憶されて動作する需要予測支援プログラムとして構成される。この需要予測支援プログラムでは、例えば、イベント情報記憶部20、イベント属性保持部30、イベント影響集約部40、輸送手段特定部50、予測値処理部60、及び、支援システム通信部70の各機能を、イベント情報記憶手順、イベント属性保持手順、イベント影響集約手順、輸送手段特定手順、予測値処理手順、及び、通信手順としてコンピュータが果たすように動作する。したがって、例えば、需要予測支援システム1は、需要予測支援プログラムをCD-ROM等の記録媒体に記録して、この記録媒体をコンピュータに読み込ませることによって実現することもできる。なお、記録媒体には、例えば、CD-ROM、フレキシブルディスク又は光ディスクの他、HDD又はSSD等のあらゆる記憶装置を用いることもできる。
【0032】
さらに、需要予測支援システム1は、記録媒体から需要予測支援プログラムを読み込ませるもの以外に、需要予測支援プログラムをインターネット等の通信ネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせることによっても実現できる。さらに、需要予測支援プログラムをコンピュータにダウンロードさせることなく、ASP(Application Service Provider)によるSaaS(Software as a Service)として実現されるように構成されてもよい。この場合には、通信ネットワークを介して、上述したハードウェア構成又はソフトウェアにアクセス可能に構成されたクラウドサービスとして提供される。
【0033】
制御部10は、イールド管理システム100が備えるCPU等のプロセッサによって実現され、例えば、ROMに格納されたプログラムに従って、一部がRAMに格納されたCPUに実行させるためのOS(Operating System)プログラム又はアプリケーションプログラムを用いて、イベント情報記憶部20、イベント属性保持部30、イベント影響集約部40、輸送手段特定部50、予測値処理部60、及び、支援システム通信部70を制御する。
【0034】
イベント情報記憶部20は、イベントに関する情報であるイベント情報を記憶する。具体的には、図2に示すイベント情報テーブル21において、将来開催される予定のイベントの開催予定に関する情報をイベント情報として記憶する。イベント情報記憶部がイベント情報テーブル21で記憶するイベント情報は、イベント情報収集システム200によって収集されたものが取り込まれる。なお、イベント情報は、イベント情報収集システム200によって収集されたものでもよいし、需要予測支援システム1の管理者や利用者によって登録されるものでもよい。また、需要予測支援システム1が、独自にイベント情報を収集するイベント情報収集部(図示省略)を備え、このイベント情報収集部によって収集されるものでもよい。
イベント情報テーブル21では、特定の一のイベントに関するイベント情報が1レコードに格納されている。したがって、イベント情報テーブル21では、複数のレコードにおいて、複数のイベントに関するイベント情報が集約されている。また、イベント情報テーブル21を構成する各レコードには、例えば、開催日欄22、駅コード欄23、イベント名欄24、ジャンル名欄25、集客規模欄26、開催時刻欄27、及び、会場名欄28がある。
【0035】
イベント情報テーブル21のレコードの説明として、例えば、特定のイベントである「ライブA」のイベント情報を示すレコード21Aを例に説明すると、開催日欄22には、「ライブA」の開催予定日である2022年7月20日を示す「2022-07-20」が格納され、駅コード欄23には、「ライブA」の開催予定地である「長居スタジアム」に対応する停車駅が新大阪駅であるとして、停車駅ごとに予め設定された識別子である駅コードのうち、新大阪駅であることを示す駅コードの「0000001」が格納されている。イベント名欄24には、当該イベントの名称である「ライブA」が格納されている。ジャンル名欄25には、「ライブA」の種類(ジャンル)を示す「ライブイベント」が格納され、集客規模欄26には、イベントの集客規模を示す「大」、「中」又は「小」の指標のうち、「ライブA」の集客規模を示す「中」が格納されている。開催時刻欄27には、「ライブA」の開催予定時刻である17時を示す「17:00」が格納され、会場名欄28には、「ライブA」の開催予定地である会場の名称を示す「長居スタジアム」が格納されている。なお、「ライブA」の開催予定日時は、開催日欄22に格納された開催予定日(「2022-07-20」)と、開催時刻欄27に格納された開催予定時刻(「17:00」)とから、2022年7月20日の17:00となる。
【0036】
また、例えば、別の特定のイベントである「野球B」のイベント情報を示すレコード21Bを例に説明すると、開催日欄22には、「野球B」の開催予定日である2022年7月20日を示す「2022-07-20」が格納され、駅コード欄23には、「野球B」の開催予定地である「京セラドーム」に対応する停車駅が新大阪駅であるとして、新大阪駅であることを示す駅コードの「0000001」が格納され、イベント名欄24には、当該イベントの名称である「野球B」が格納されている。また、ジャンル名欄25には、「野球B」の種類(ジャンル)を示す「野球」が格納され、集客規模欄26には、「野球B」の集客規模を示す指標である「大」が格納されている。開催時刻欄27には、「野球B」の開催予定時刻である15時を示す「15:00」が格納され、会場名欄28には、「野球B」の開催予定地である会場の名称を示す「京セラドーム」が格納されている。なお、「野球B」の開催予定日時は、開催日欄22に格納された開催予定日(「2022-07-20」)と、開催時刻欄27に格納された開催予定時刻(「15:00」)とから、2022年7月20日の15:00となる。
【0037】
なお、イベント情報テーブル21のジャンル名欄25に格納されるイベントの種類(ジャンル)には、上述した「ライブイベント」や「野球」以外に、例えば、アイドルによるコンサートを示す「アイドル」や、演歌歌手によるライブイベントを示す「演歌」、アーティストによる歌謡曲のライブイベントを示す「歌謡曲」、クラシックコンサートを示す「クラシック」、海外アーティストによるライブイベントを示す「洋楽」、種々のスポーツに関するそれぞれの大会を示す「マラソン」、「サッカー」、「テニス」、「ラグビー」、「バレーボール」、「バスケットボール」、「バドミントン」、「自転車」、「卓球」、「水泳」又は「フィギュアスケート」等の種類がある。また、例えば、「ミュージカル」、「展示会」、「学会」又は「文化祭」などのライブイベントやスポーツ大会の以外のイベントの種類も含まれている。そのため、ジャンル名欄25に格納されるイベントの種類には、そのイベントの開催の影響によって列車の需要が増加すると考えられるあらゆるイベントの種類が含まれる。また、同様に、イベント情報記憶部20によって記憶されるイベント情報、言い換えれば、イベント情報テーブル21に集約されるイベント情報もあらゆるイベントに関するものが集約される。
【0038】
イベント属性保持部30は、イベントの属性に関する情報であるイベント属性情報を保持する。具体的には、図3に示すイベント属性テーブル31において、例えば、イベントの開催の影響による輸送手段の需要の増加割合を示したイベント影響割合や、イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示したイベント影響期間を、イベント属性情報として保持している。イベント属性テーブル31では、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模に対応して設定されたイベント属性情報が属性ごとに1レコードずつ格納され、複数のイベント属性情報が集約されている。また、イベント属性テーブル31を構成する各レコードには、例えば、ジャンル名欄32、集客規模欄33、イベント影響割合欄34、想定開催期間欄35、及び、イベント影響期間欄36がある。また、イベント影響期間欄36には、第1影響期間欄36A及び第2影響期間欄36Bがあり、さらに、第1影響期間欄36Aには、前泊欄36Cがある。なお、イベント属性情報は、需要予測支援システム1やイールド管理システム100の管理者や利用者によって予め設定されたものでもよいし、需要予測支援システム1が利用される際にその都度設定されるものでもよい。また、需要予測支援システム1やイールド管理システム100の管理者や利用者によるイベント属性情報の変更も任意で行うことができる。
【0039】
イベント属性テーブル31のレコードの説明として、例えば、特定のイベントの属性を示すレコード31Aを例に説明すると、ジャンル名欄32には、イベントの種類(ジャンル)を示す「ライブイベント」が格納され、集客規模欄33には、当該イベントの集客規模を示す「大」、「中」又は「小」の指標から選択された一の指標である「大」が格納されている。したがって、レコード31Aは、複数のイベントの属性のうち、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、イベントの集客規模が「大」であるイベントの属性に関するイベント属性情報であることがわかる。なお、ジャンル名欄32に格納されるイベントの種類(ジャンル)は、イベント情報テーブル21のジャンル名欄25に格納されるものと同一であり、また、集客規模欄33に格納されるイベントの集客規模を示す指標は、イベント情報テーブル21の集客規模欄26に格納されるものと同一である。そのため、イベント情報テーブル21とイベント属性テーブル31とは、イベントの種類(ジャンル)、及び、イベントの集客規模のそれぞれをセットで突き合わせることで、お互いに対応するレコードの特定ができる。
【0040】
イベント影響割合欄34には、イベントの開催の影響による列車の需要の増加割合を示すイベント影響割合が格納されている。イベント影響割合は、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模に対応して設定されている。レコード31Aでは、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合のイベント影響割合として「100」が格納されている。このレコード31Aのイベント影響割合欄34の「100」は、通常の需要予測からさらに100パーセントの割合で列車の需要の増加が見込まれることを示している。想定開催期間欄35には、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模から想定されるイベントの想定開催期間(時間)が格納される。レコード31Aでは、種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、集客規模が「大」であるイベントにおいて想定される想定開催期間(時間)が3時間であることを示す「3」が格納されている。
【0041】
イベント影響期間欄36には、イベント影響割合を反映させるための所定の期間を示すイベント影響期間が格納されている。このイベント影響期間も、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模に対応して設定されている。イベント影響期間欄36には、第1影響期間欄36Aと、第2影響期間欄36Bとがあり、第1影響期間欄36Aに、イベント影響期間のうち、イベントの開催予定日時の前の所定の期間である第1影響期間が格納され、第2影響期間欄36Bに、イベント影響期間のうち、イベントの開催予定日時の後の期間であって、イベントの開催予定日時から想定開催期間が経過した後の所定の期間である第2影響期間が格納されている。レコード31Aでは、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合のイベント影響期間として、第1影響期間欄36Aには、第1影響期間(時間)が5時間であることを示す「5」が格納され、第2影響期間欄36Bには、第2影響期間(時間)が2時間であることを示す「2」が格納されている。
【0042】
以上のことから、レコード31Aでは、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合には、ライブイベントの開催予定日時の前に5時間の第1影響期間があり、その後にライブイベントが3時間開催され、ライブイベントの終了後に2時間の第2影響期間があることが示されている。そして、この場合には、この第1影響期間及び第2影響期間がイベント影響割合を反映させるための所定の期間となり、通常の需要予測からさらに100パーセントの割合で列車の需要の増加が見込まれることになる。
【0043】
また、イベント影響期間欄36には前泊欄36Cがある。前泊欄36Cには、イベントの開催予定日の前日以前からの前泊が想定される場合に、前泊の日数が格納される。この前泊欄36Cに格納される日数は、イベントの開催予定日時の前の所定の期間であるため、イベント影響期間のうちの第1影響期間に含まれる。具体的には、例えば、開催予定日の前日からの前泊が想定される場合には、前泊の日数が1日であることを示す「1」が格納され、第1影響期間には、開催予定日の前日の0時から24時までが含まれることになる。
なお、レコード31Aでは、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合には、前泊が想定されないとして空欄になっている。
【0044】
イベント属性テーブル31のレコードの説明として、例えば、特定のイベントの属性を示すレコード31Dを例に説明すると、ジャンル名欄32には「マラソン」が格納され、集客規模欄33には「大」が格納されている。したがって、レコード31Dは、複数のイベントの属性のうち、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」であるイベントの属性に関するイベント属性情報であることがわかる。そして、イベント影響割合欄34には、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合のイベント影響割合として「200」が格納されている。このレコード31Dのイベント影響割合欄34の「200」は、通常の需要予測からさらに200パーセントの割合で列車の需要の増加が見込まれることを示している。想定開催期間欄35には、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模から想定される想定開催期間(時間)が10時間であることを示す「10」が格納されている。また、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合のイベント影響期間として、第1影響期間欄36Aには、第1影響期間(時間)が2時間であることを示す「2」が格納され、第2影響期間欄36Bには、第2影響期間(時間)が2時間であることを示す「2」が格納されている。さらに、前泊欄36Cには、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合には、開催予定日の前日からの前泊が想定されるとして、前泊の日数が1日であることを示す「1」が格納されている。
【0045】
以上のことから、レコード31Dでは、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合には、マラソン大会の開催予定日時の前に2時間の第1影響期間があり、その後にマラソン大会が10時間開催され、マラソン大会の終了後には2時間の第2影響期間があることが示されている。また、前泊の日数が1日であるため、第1影響期間には、さらに開催予定日の前日の0時から24時までが含まれる。そして、この場合には、これらの第1影響期間及び第2影響期間がイベント影響割合を反映させるための所定の期間となり、通常の需要予測からさらに200パーセントの割合で列車の需要の増加が見込まれることになる。
【0046】
イベント影響集約部40は、イベント情報記憶部20が記憶するイベント情報と、イベント属性保持部30が保持するイベント属性情報とに基づいて、特定影響割合及び特定影響期間を特定する。特定影響割合とは、特定のイベントの属性に対応するイベント影響割合のことであり、特定影響期間とは、特定のイベントの属性及び開催予定日時に対応するイベント影響期間でのことである。また、イベント影響集約部40は、イベント情報とイベント属性情報とから、イベント情報にイベント属性情報を反映させた一時テーブルであるイベント影響集約テーブル41を作成する(図4)。
イベント影響集約部40は、例えば、イベント情報テーブル21のレコード21Aの「ライブA」を例に説明すると、「ライブA」の種類(ジャンル)が「ライブイベント」であり、「ライブA」の集客規模が「中」であるため、イベント属性テーブル31において、イベントの種類(ジャンル)が「ライブイベント」であり、集客規模が「中」であるレコードを特定する。そうすると、イベント属性テーブル31では、レコード31Bが該当する。これにより、まずレコード31Bのイベント影響割合がイベント影響割合欄34に格納された「70」であることから、「ライブA」の属性に対応する特定影響割合が70パーセントであることが特定できる。
【0047】
また、「ライブA」の属性及び開催予定日時に対応する特定影響期間について、レコード31Bの第1影響期間欄36Aの「3」から、第1影響期間が3時間であり、第2影響期間欄36Bの「1」から、第2影響期間が1時間であることを特定する。さらに、イベント情報テーブル21のレコード21Aの開催時刻欄27の「17:00」から、「ライブA」の開催予定時刻が17時であること、そして、イベント属性テーブル31のレコード31Bの想定開催期間欄35の「2」から、「ライブA」で想定される想定開催期間(時間)が2時間であることを特定する。さらに、上述した第1影響期間及び開催予定時刻から、「ライブA」の特定影響期間のうち、第1影響期間に対応する特定影響期間が、「ライブA」の開催予定時刻である17時の前の3時間、すなわち、14時から17時まであることが特定できる(図5)。また、上述した第2影響期間、開催予定時刻及び想定開催期間(時間)から、「ライブA」の特定影響期間のうち、第2影響期間に対応する特定影響期間が、「ライブA」の開催予定時刻から想定開催期間(時間)が経過した後(17時から想定開催期間(時間)の2時間が経過した後)である19時の後の2時間、すなわち、19時から21時まであることが特定できる。
このようにして、「ライブA」の属性に対応するイベント影響割合である特定影響割合と、「ライブA」の属性及び開催予定日時に対応するイベント影響期間である特定影響期間が特定される。
【0048】
また、レコード21Bの「野球B」を例に説明すると、その種類(ジャンル)が「野球」で、集客規模が「大」であるため、イベント属性テーブル31では、レコード31Eが該当する。そこで、「野球B」について、上述した「ライブA」と同様に特定影響割合及び特定影響期間を特定すると、特定影響割合が30パーセントであり、第1影響期間に対応する特定影響期間が、「野球B」の開催予定時刻である15時の前の2時間、すなわち、13時から15時まであり、さらに、第2影響期間に対応する特定影響期間が、「野球B」の開催予定時刻である15時から想定開催期間(時間)である3時間が経過した後の2時間、すなわち、18時から20時まであることが特定できる。
このようにして、「野球B」の属性に対応するイベント影響割合である特定影響割合と、「野球B」の属性及び開催予定日時に対応するイベント影響期間である特定影響期間が特定される。
なお、「ライブA」及び「野球B」では、前泊欄36Cが空欄であるために特定していないが、例えば、レコード31Dでは、上述したように、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」である場合に、前泊が想定されるとして、前泊欄36Cに前泊の日数を示す「1」が格納されている。この場合には、上述した第1影響期間に対応する特定影響期間に加えて、さらに、そのイベントの開催予定日の前日の0時から24時までが第1影響期間に対応する特定影響期間として特定される。
【0049】
また、イベント影響集約部40は、特定影響割合合算機能を有している。この特定影響割合合算機能は、例えば、複数のイベントの第1影響期間に対応する特定影響期間において、重複する期間である第1重複期間がある場合、第1重複期間における特定影響割合を、特定影響期間に第1重複期間を有するイベントごとの属性に対応する特定影響割合を合算した合計値である第1合計値とする。
具体的には、例えば、上述した「ライブA」及び「野球B」は、それぞれ開催予定日が2022年7月20日であるため、それぞれの特定影響期間(第1影響期間及び第2影響期間)を図に示すと、図5(A)のようになる。そうすると、「ライブA」と「野球B」とでは、お互いの第1影響期間に対応する特定影響期間において、14:00から15:00の1時間が重複している。この1時間が、複数のイベントの第1影響期間に対応する特定影響期間において重複する期間である第1重複期間47である。そして、第1重複期間47がある場合、イベント影響集約部40の特定影響割合合算機能は、第1重複期間47における特定影響割合を、特定影響期間に第1重複期間47を有する「ライブA」の属性に対応する特定影響割合である70パーセントと、特定影響期間に第1重複期間47を有する「野球B」の属性に対応する特定影響割合である30パーセントとを合算した合計値である100パーセントとする。したがって、この場合の第1合計値は100パーセントであり、これが第1重複期間47における特定影響割合となる。
【0050】
また、イベント影響集約部40の特定影響割合合算機能は、例えば、複数のイベントの第2影響期間に対応する特定影響期間において、重複する期間である第2重複期間がある場合、第2重複期間における特定影響割合を、特定影響期間に第2重複期間を有するイベントごとの属性に対応する特定影響割合を合算した合計値である第2合計値とする。
例えば、上述した「ライブA」及び「野球B」の例で説明すると、お互いの第2影響期間に対応する特定影響期間において、19:00から20:00の1時間が重複している。この1時間が、複数のイベントの第2影響期間に対応する特定影響期間において重複する期間である第2重複期間48である。そして、第2重複期間48がある場合、イベント影響集約部40の特定影響割合合算機能は、第2重複期間48における特定影響割合を、特定影響期間に第2重複期間48を有する「ライブA」の属性に対応する特定影響割合である70パーセントと、特定影響期間に第2重複期間48を有する「野球B」の属性に対応する特定影響割合である30パーセントとを合算した合計値である100パーセントとする。したがって、この場合の第2合計値は100パーセントであり、これが第2重複期間48における特定影響割合となる。
なお、第1合計値及び第2合計値のそれぞれの上限は、任意で定めることができる。例えば、運行される列車同士の間には一定の時間的な間隔が必要となるため、第1合計値及び第2合計値のそれぞれの上限は200パーセントであることが好ましい。また、多数のイベントが同時期に開催予定であるときに、これらの多数のイベントごとの属性に対応する特定影響割合を合算した合計値を第1合計値又は第2合計値とする場合に、第1合計値又は第2合計値が必要以上に高い数値となることがないように、第1合計値及び第2合計値のそれぞれの上限は200パーセントであることが好ましい。この200パーセントは、通常の需要予測からさらに200パーセントの割合で列車の需要の増加が見込まれることを示しており、言い換えれば、通常の需要予測の3倍の需要があることを示している。
【0051】
さらに、例えば、イベント情報テーブル21のレコード21Cの「ライブC」と、レコード21Dの「マラソンD」との例で説明すると、レコード21Cの「ライブC」は、開催予定日が2022年7月22日であり、レコード21Dの「マラソンD」は、開催予定日が2022年7月23日である。「マラソンD」は、イベントの種類(ジャンル)が「マラソン」で、かつ、イベントの集客規模が「大」であるため、イベント属性情報はイベント属性テーブル31のレコード31Dに該当する。ここで、レコード31Dの前泊欄36Cには、前泊が想定されるとして前泊の日数を示す「1」が格納されている。そのため、「マラソンD」の第1影響期間に対応する特定影響期間には、「マラソンD」の開催予定日(2022年7月23日)の第1影響期間に加えて、「マラソンD」の開催予定日(2022年7月23日)の前日である2022年7月22日の0時から24時までの第1影響期間が、第1影響期間に対応する特定影響期間として特定される。一方、「ライブC」の第1影響期間に対応する特定影響期間は、イベント情報及びイベント属性情報から、2022年7月22日の15時から20時までが特定される。そうすると、図5(B)に示すように、「ライブC」と「マラソンD」とでは、お互いの第1影響期間に対応する特定影響期間において、15:00から20:00の5時間が重複し、この5時間が第1重複期間49となる。そして、この場合には、イベント影響集約部40の特定影響割合合算機能は、特定影響期間に第1重複期間49を有する「ライブC」の属性に対応する特定影響割合である100パーセントと、特定影響期間に第1重複期間49を有する「マラソンD」の属性に対応する特定影響割合である200パーセントとの合計値である300パーセントを特定する。ここで、この300パーセントは、第1合計値の上限である200パーセントを超えているため、第1重複期間49における特定影響割合は、上限の200パーセントとなる。したがって、この場合の第1合計値は200パーセントであり、これが第1重複期間49における特定影響割合となる。
以上のようにして、イベント影響集約部40は、特定影響割合及び特定影響期間を特定する。
【0052】
また、イベント影響集約部40は、イベント情報とイベント属性情報とから、イベント情報にイベント属性情報を反映させた一時テーブルであるイベント影響集約テーブル41を作成する(図4)。このとき、イベント影響集約テーブル41では、イベント影響集約情報として、「開催予定日」、「駅コード」、「特定影響割合」、及び、「特定影響期間」が集約される。そのため、イベント影響集約テーブル41を構成する各レコードには、例えば、開催日欄42、駅コード欄43、特定影響割合欄44、特定影響期間欄45、及び、発着フラグ欄46がある。また、特定影響期間欄45には、特定影響期間を所定の時刻で区切ったときの始まりの時刻を示す時刻From欄45Aと、特定影響期間を所定の時刻で区切ったときの終わりの時刻を示す時刻To欄45Bとがある。なお、所定の時刻は、図4に示すように特定影響割合が変動する時間に合わせて区切られた時間でもよいし、1時間単位で区切られてもよく、任意で定めることができる。
【0053】
イベント影響集約テーブル41のレコードの説明として、例えば、レコード41Aを例に説明すると、開催日欄42には、2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、駅コード欄43には、停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。また、特定影響割合欄44には、「野球B」の属性に対応する特定影響割合が30パーセントであるとして、30パーセントを示す「30」が格納されている。さらに、時刻From欄45Aには、「野球B」の特定影響期間のうち、第1影響期間の一部に対応する特定影響期間が2022年7月20日の13時から始まるとして、2022年7月20日の13時0分0秒を示す「2022-07-20 13:00:00」が格納されている。また、時刻To欄45Bには、「野球B」の特定影響期間のうち、第1影響期間の一部に対応する特定影響期間が2022年7月20日の13時59分59秒に終わるとして、2022年7月20日の13時59分59秒を示す「2022-07-20 13:59:59」が格納されている。
【0054】
また、例えば、レコード41Bを例に説明すると、開催日欄42には、2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、駅コード欄43には、停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。また、特定影響割合欄44には、「ライブA」の属性に対応する特定影響割合と「野球B」の属性に対応する特定影響割合との合計値である第1合計値が100パーセントであるとして、100パーセントを示す「100」が格納されている。さらに、時刻From欄45Aには、「ライブA」の特定影響期間及び「野球B」の特定影響期間のうち、第1重複期間47に対応する特定影響期間が2022年7月20日の14時から始まるとして、2022年7月20日の14時0分0秒を示す「2022-07-20 14:00:00」が格納されている。また、時刻To欄45Bには、「ライブA」の特定影響期間及び「野球B」の特定影響期間のうち、第1重複期間47に対応する特定影響期間が2022年7月20日の14時59分59秒に終わるとして、2022年7月20日の14時59分59秒を示す「2022-07-20 14:59:59」が格納されている。
【0055】
また、例えば、レコード41Cを例に説明すると、開催日欄42には、2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、駅コード欄43には、停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。また、特定影響割合欄44には、「ライブA」の属性に対応する特定影響割合が70パーセントであるとして、70パーセントを示す「70」が格納され、さらに、時刻From欄45Aには、「ライブA」の特定影響期間のうち、第1影響期間の一部に対応する特定影響期間が2022年7月20日の15時から始まるとして、2022年7月20日の15時0分0秒を示す「2022-07-20 15:00:00」が格納されている。また、時刻To欄45Bには、「ライブA」の特定影響期間のうち、第1影響期間の一部に対応する特定影響期間が2022年7月20日の16時59分59秒に終わるとして、2022年7月20日の16時59分59秒を示す「2022-07-20 16:59:59」が格納されている。
【0056】
また、イベント影響集約テーブル41では、上述したレコード41A、レコード41B、及び、レコード43Cのように、第1影響期間に対応するレコード以外にも、例えば、レコード41Dやレコード41Eのように、第2影響期間に対応するレコードについても同様に集約されている。そのため、イベント影響集約部40は、イベント影響集約テーブル41の各レコードに対して、そのレコードが第1影響期間に対応するものか、又は、第2影響期間に対応するものかを識別するための識別子を付与する識別子付与機能を有している。このイベント影響集約部40の識別子付与機能では、識別子として「発着フラグ」を付与する。発着フラグには、第1影響期間に対応するレコードに付与される「着」フラグと、第2影響期間に対応するレコードに付与される「発」フラグとがあり、それらがイベント影響集約テーブル41に設けられた発着フラグ欄46に格納される。具体的には、例えば、第1影響期間に対応するレコード41Aの発着フラグ欄46には「着」フラグが格納され、また、第2影響期間に対応するレコード41Dの発着フラグ欄46には「発」フラグが格納されている。
【0057】
なお、レコード41F及びレコード41Hは、「マラソンD」の第1影響期間(開催予定日の前日の第1影響期間)の一部に対応するレコードであり、レコード41Gは、「ライブC」と「マラソンD」との第1重複期間49に対応するレコードであり、レコード41Jは、「マラソンD」の第1影響期間(開催予定日の第1影響期間)に対応するレコードである。したがって、これらのレコード41F、レコード41G、レコード41H、及び、レコード41Jでは、発着フラグ欄46に「着」フラグが格納されている。
一方、レコード41Iは、「ライブC」の第2影響期間に対応するレコードであり、レコード41Kは、「マラソンD」の第2影響期間に対応するレコードである。したがって、これらのレコード41I、及び、レコード41Kでは、発着フラグ欄46に「発」フラグが格納されている。
以上のようにして、イベント影響集約テーブル41が作成される。
【0058】
輸送手段特定部50は、イベント影響集約テーブル41で集約された情報であるイベント影響集約情報と、列車の運行計画に関する情報である運行計画情報とから、所定の条件に該当する列車を特定する。所定の条件とは、例えば、「特定影響期間に所定の停車駅で発着する列車」であり、より具体的には、「第1影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅に到着する列車」及び「第2影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅から出発する列車」である。なお、所定の停車駅とは、イベント影響集約情報のうち、イベント影響集約テーブル41の駅コード欄43に格納された駅コードで特定される停車駅のことであり、イベントの開催予定地に対応した停車駅、より具体的には、イベントの開催予定地の最寄りの停車駅のことである。
また、特定影響期間に所定の停車駅で発着する列車は、イベント対象輸送手段であり、このイベント対象輸送手段のうち、第1影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅に到着する列車が第1イベント対象輸送手段であり、また、第2影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅から出発する列車が第2イベント対象輸送手段である。
なお、本実施形態では、輸送手段が列車(新幹線)である場合を例に説明するため、以下では、イベント対象輸送手段を「イベント対象列車」とし、第1イベント対象輸送手段を「第1イベント対象列車」とし、第2イベント対象輸送手段を「第2イベント対象列車」として説明する。
【0059】
輸送手段特定部50で用いられる運行計画情報は、例えば、図6に示す運行計画テーブル51に集約された情報である。運行計画テーブル51には、運行計画情報として、例えば、列車の「運行日」、列車番号の「号便」、列車の停車駅を示す「駅コード」、当該停車駅における列車の「到着時刻」、当該停車駅における列車の「出発時刻」が集約されている。そのため、運行計画テーブル51を構成する各レコードには、例えば、運行日欄52、号便欄53、駅コード欄54、着時刻欄55、及び、発時刻欄56がある。
なお、駅コード欄54に格納される駅コードは、イベント情報テーブル21における駅コード欄23の駅コードや、イベント影響集約テーブル41における駅コード欄43の駅コードと同一である。
なお、輸送手段特定部50で用いられる運行計画情報は、イールド管理システム100に記憶されたものでよいし、例えば、輸送手段特定部50が情報記憶機能を有し、この情報記憶機能によって記憶されたものでもよい。また、例えば、輸送手段特定部50が運行計画情報作成機能を有し、この運行計画情報作成機能によって運行計画情報が作成されてもよい。この場合には、例えば、輸送手段特定部50が、鉄道会社が保有する列車情報や停車駅情報等の列車の運行に関する情報から、必要な情報を抽出又は集約して、運行計画情報として運行計画テーブル51を作成する。
【0060】
運行計画テーブル51のレコードの説明として、例えば、レコード51Aを例に説明すると、運行日欄52には、列車の運行日が2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、号便欄53には、当該列車の列車番号を示す「1」が格納されている。また、駅コード欄54には、当該列車の停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。さらに、着時刻欄55には、当該列車の新大阪駅への到着時刻が2022年7月20日の13時50分0秒であるとして、2022年7月20日の13時50分0秒を示す「2022-07-20 13:50:00」が格納され、発時刻欄56には、当該列車の新大阪駅からの出発時刻が2022年7月20日の14時5分0秒であるとして、2022年7月20日の14時5分0秒を示す「2022-07-20 14:05:00」が格納されている。
【0061】
また、運行計画テーブル51のレコードの説明として、例えば、レコード51Bを例に説明すると、運行日欄52には、列車の運行日が2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、号便欄53には、当該列車の列車番号を示す「1」が格納されている。また、駅コード欄54には、当該列車の停車駅である金沢駅を示す駅コードの「0000002」が格納されている。さらに、着時刻欄55には、当該列車の金沢駅への到着時刻が2022年7月20日の14時25分0秒であるとして、2022年7月20日の14時25分0秒を示す「2022-07-20 14:25:00」が格納されている。なお、発時刻欄56には、ブランクを示す「(null)」が格納されている。この場合の「(null)」は、例えば、当該列車が金沢駅からは乗客を乗せて出発しないなど、金沢駅からは利用できない列車であることを示している。
【0062】
続けて、輸送手段特定部50によるイベント対象列車の特定方法について説明する。
輸送手段特定部50は、運行計画テーブル51からイベント対象列車に該当するレコードを特定して、イベント対象列車に関する情報である対象輸送手段情報を集約した一時テーブルであるイベント対象輸送手段テーブル57を作成する(図7)。
輸送手段特定部50は、始めに、イベント影響集約テーブル41における開催日欄42の開催予定日と、運行計画テーブル51における運行日欄52の運行日とを照合して、お互いの日付が一致する列車を運行計画テーブル51のレコードの中から特定する。具体的には、例えば、イベント影響集約テーブル41における開催日欄42の開催予定日のうち、2022年7月20日を示す「2022-07-20」を例にすると、運行計画テーブル51のレコード中から運行日欄52が「2022-07-20」であるものが特定される。図7の運行計画テーブル51は、運行日欄52が「2022-07-20」であるものが特定された状態を示している。
【0063】
次に、日付が一致する列車として特定されたレコードの中から、イベント影響集約テーブル41における駅コード欄43の駅コードと、運行計画テーブル51における駅コード欄54の駅コードとを照合して、所定の停車駅に停車する列車を特定する。
具体的には、例えば、イベント影響集約テーブル41を例にすると、駅コード欄43は全てのレコードで「0000001」であるため、運行計画テーブル51のレコード中から、駅コード欄54が「0000001」であるものが特定される。図7に示す運行計画テーブル51では、例えば、レコード51A、レコード51C、レコード51D及びレコード51Fが該当する。
【0064】
次に、所定の停車駅に停車する列車として特定されたレコードの中から、イベント影響集約テーブル41の特定影響期間欄45の時刻From欄45A及び時刻To欄45Bのそれぞれに格納された時刻によって示される特定影響期間と、イベント影響集約テーブル41の発着フラグ欄46に格納された発着フラグと、運行計画テーブル51の着時刻欄55及び発時刻欄56のそれぞれに格納された到着時刻及び出発時刻とに基づいて、特定影響期間に到着時刻及び出発時刻が含まれる列車を特定する。より具体的には、イベント影響集約テーブル41における発着フラグ欄46に「着」フラグが付与された特定影響期間に到着時刻が含まれる列車、及び、イベント影響集約テーブル41における発着フラグ欄46に「発」フラグが付与された特定影響期間に出発時刻が含まれる列車を特定する。このときに特定される列車が、イベント対象列車である。
なお、このイベント対象列車のうち、「着」フラグが付与された特定影響期間に到着時刻が含まれる列車が、第1影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅に到着する列車であり、第1イベント対象列車である。また、イベント対象列車のうち、「発」フラグが付与された特定影響期間に出発時刻が含まれる列車は、第2影響期間に対応する特定影響期間に所定の停車駅から出発する列車であり、第2イベント対象列車となる。
【0065】
具体的には、例えば、イベント影響集約テーブル41のレコード41Aを例にすると、レコード41Aでは、時刻From欄45Aが「2022-07-20 13:00:00」であり、時刻To欄45Bが「2022-07-20 13:59:59」であるため、特定影響期間は2022年7月20日の13時0分0秒から13時59分59秒までである。また、レコード41Aでは、発着フラグ欄46に「着」が格納されている。そこで、運行計画テーブル51のレコード中から、当該特定影響期間である2022年7月20日の13時0分0秒から13時59分59秒までの間に到着時刻が含まれる列車を特定する。図6に示す運行計画テーブル51では、例えば、レコード51Aの列車が該当する。したがって、レコード51Aの列車が、第1イベント対象列車である。
【0066】
また、例えば、イベント影響集約テーブル41のレコード41Bを例にすると、レコード41Bでは、時刻From欄45Aが「2022-07-20 14:00:00」であり、時刻To欄45Bが「2022-07-20 14:59:59」であるため、特定影響期間は2022年7月20日の14時0分0秒から14時59分59秒までである。また、レコード41Bでは、発着フラグ欄46に「着」が格納されている。そこで、運行計画テーブル51のレコード中から、当該特定影響期間である2022年7月20日の14時0分0秒から14時59分59秒までの間に到着時刻が含まれる列車を特定する。図6に示す運行計画テーブル51では、例えば、レコード51Cの列車が該当する。したがって、レコード51Cの列車も、第1イベント対象列車である。
以上のようにして、第1イベント対象列車が特定され、同様に、第2イベント対象列車が特定される。これにより、イベント対象列車の特定ができる。
【0067】
そして、輸送手段特定部50は、特定された第1イベント対象列車及び第2イベント対象列車に該当するレコードを運行計画テーブル51から抽出して、必要な情報を集約してイベント対象輸送手段テーブル57を作成する(図7)。イベント対象輸送手段テーブル57では、例えば、運行計画テーブル51における運行計画情報から、列車の「運行日」、列車番号の「号便」、列車の停車駅を示す「駅コード」、当該停車駅における列車の「到着時刻」、及び、当該停車駅における列車の「出発時刻」が、第1イベント対象列車及び第2イベント対象列車に関する対象輸送手段情報として集約される。そのため、イベント対象輸送手段テーブル57を構成する各レコードには、運行計画テーブル51と同様に、運行日欄52、号便欄53、駅コード欄54、着時刻欄55、及び、発時刻欄56がある。また、輸送手段特定部50は、イベント対象輸送手段テーブル57を作成する際に、イベント影響集約テーブル41のイベント影響集約情報から特定影響割合を参照して、イベント対象輸送手段テーブル57の各レコードに対応する特定影響割合を集約する。そのため、イベント対象輸送手段テーブル57では、特定影響割合欄58が設けられ、この特定影響割合欄58に各レコードに対応する特定影響割合が格納される。
【0068】
イベント対象輸送手段テーブル57のレコードの説明として、例えば、レコード57Aを例に説明すると、レコード57Aは、イベント影響集約テーブル41のレコード41A、及び、運行計画テーブル51のレコード51Aに対応するものである。より具体的には、レコード57Aに示された列車は、「野球B」の第1影響期間の一部に対応する特定影響期間(2022年7月20日の13時0分0秒から13時59分59秒)に、「野球B」の開催予定地(京セラドーム)の最寄りの新幹線の停車駅である新大阪駅に到着する。そこで、レコード57Aには、運行日欄52に列車の運行日が2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、号便欄53に当該列車の列車番号を示す「1」が格納され、駅コード欄54には停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納され、着時刻欄55には新大阪駅への到着時刻である2022年7月20日の13時50分0秒を示す「2022-07-20 13:50:00」が格納されている。
一方で、発時刻欄56には、「(null)」が格納されている。これは、当該列車の新大阪駅からの出発時刻が14時5分0秒であるが(図6)、この出発時刻が「発」フラグが付与された特定影響期間に含まれていないことを示している。そのため、レコード57Aでは、当該列車の出発時刻は不要な情報であるとして抽出されていない。また、レコード57Aでは、着時刻欄55又は発時刻欄56のうち、着時刻欄55のみに到着時刻が格納されている。そのため、レコード57Aの列車が、新大阪駅に到着する第1イベント対象列車であることがわかる。
また、レコード57Aでは、このレコードがイベント影響集約テーブル41のレコード41Aに対応するものであるため、特定影響割合欄58には特定影響割合が30パーセントであることを示す「30」が格納される。
【0069】
また、イベント対象輸送手段テーブル57のレコードの説明として、例えば、レコード57Bを例に説明すると、レコード57Bは、イベント影響集約テーブル41のレコード41B、及び、運行計画テーブル51のレコード51Cに対応するものである。より具体的には、レコード57Bに示された列車は、「ライブA」及び「野球B」の第1重複期間47に対応する特定影響期間(2022年7月20日の14時0分0秒から14時59分59秒)に、「ライブA」の開催予定地(長居スタジアム)及び「野球B」の開催予定地(京セラドーム)のそれぞれの最寄りの新幹線の停車駅である新大阪駅に到着する。そこで、レコード57Bには、運行日欄52に列車の運行日が2022年7月20日であることを示す「2022-07-20」が格納され、号便欄53に当該列車の列車番号を示す「2」が格納され、駅コード欄54には停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納され、着時刻欄55には、新大阪駅への到着時刻である2022年7月20日の14時10分0秒を示す「2022-07-20 14:10:00」が格納されている。
一方で、発時刻欄56には、「(null)」が格納されている。これは、当該列車の新大阪駅からの出発時刻が14時20分0秒であるが(図6)、この出発時刻が「発」フラグが付与された特定影響期間に含まれていないことを示している。そのため、レコード57Bでも、当該列車の出発時刻は不要な情報であるとして抽出されていない。また、レコード57Bでも、着時刻欄55又は発時刻欄56のうち、着時刻欄55のみに到着時刻が格納されているため、レコード57Bの列車が、新大阪駅に到着する第1イベント対象列車であることがわかる。
また、レコード57Bは、このレコードがイベント影響集約テーブル41のレコード41Bに対応するものであるため、特定影響割合欄58には特定影響割合が100パーセントであることを示す「100」が格納されている。
以上のようにして、図7に示すイベント対象輸送手段テーブル57が作成される。
【0070】
予測値処理部60は、特定影響割合からイベント対象列車の需要予測を補正するための予測値を算出する。具体的には、予測値処理部60は、輸送手段特定部50によって作成されたイベント対象輸送手段テーブル57から、必要な情報を抽出すると共に、特定影響割合に基づいてイベント対象列車ごとの予測値を算出して、図8に示す予測値テーブル61に集約する。予測値テーブル61では、例えば、予測値変更列車情報として、予測値変更列車ID欄62に格納されるレコード(列車)ごとの通し番号や、号便欄64に格納される列車番号の「号便」、駅コード欄65に格納される列車の停車駅を示す「駅コード」、そして、予測比率欄66に格納される需要予測を補正するための予測値を示す「予測比率」等の情報が集約される。そのため、予測値テーブル61を構成する各レコードには、例えば、予測値変更列車ID欄62、予測値変更ID欄63、号便欄64、駅コード欄65、及び、予測比率欄66がある。
また、駅コード欄65には、出発駅コード欄65Aと、到着駅コード欄65Bとがあり、列車が所定の停車駅から出発する列車である場合には、出発駅コード欄65Aに「駅コード」が格納され、列車が所定の停車駅に到着する列車である場合には到着駅コード欄65Bに「駅コード」が格納される。そのため、出発駅コード欄65Aに「駅コード」が格納されている場合には、所定の停車駅が出発駅であることが示されており、また、到着駅コード欄65Bに「駅コード」が格納されている場合には、所定の停車駅が到着駅であることが示されている。
【0071】
予測値テーブル61のレコードの説明として、例えば、レコード61Aを例に説明すると、予測値変更列車ID欄62には、予測値テーブル61における通し番号のうち、レコード61Aの通し番号を示す「1」が格納され、出発駅コード欄65Aにはブランクを示す「null」が格納され、到着駅コード欄65Bには、停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。そのため、この列車は、新大阪駅に到着する列車であることがわかる。
また、予測比率欄66には、需要予測を補正するための予測値として、「予測比率」が130パーセントであることを示す「130」が格納されている。この「予測比率」は、予測値処理部60によって算出されたものであり、予測値処理部60は、例えば、イベント対象輸送手段テーブル57の各レコードの特定影響割合を参照して、この特定影響割合に100パーセントを加算した数値を「予測比率」として算出する。具体的には、例えば、レコード61Aは、イベント対象輸送手段テーブル57のレコード57Aに対応しているため、レコード57Aの特定影響割合が参照され、レコード57Aの特定影響割合欄58に格納された「30」に「100」が加算され、「130」が算出される。このようにして、予測値処理部60によって予測比率欄66の「予測比率」が算出される。
【0072】
予測値テーブル61のレコードの説明として、例えば、レコード61Bを例に説明すると、予測値変更列車ID欄62には、予測値テーブル61におけるレコード61Bの通し番号を示す「2」が格納され、出発駅コード欄65Aにはブランクを示す「null」が格納され、到着駅コード欄65Bには、停車駅である新大阪駅を示す駅コードの「0000001」が格納されている。そのため、この列車も、新大阪駅に到着する列車であることがわかる。
また、予測比率欄66には、「予測比率」が200パーセントであることを示す「200」が格納されている。この「200」は、レコード61Bがイベント対象輸送手段テーブル57のレコード57Bに対応しているため、レコード57Bの特定影響割合が参照されて、レコード57Bの特定影響割合欄58に格納された「100」に「100」が加算されて算出されたものである。
以上のようにして算出された「予測比率」は、イールド管理システム100によって予測される通常の需要予測を100パーセントとしている。そのため、この「予測比率」をイールド管理システム100によって予測される需要予測に乗算することで、イベントの開催の影響による列車の需要の増加を反映して、需要予測を補正することができる。
【0073】
なお、予測値変更ID欄63には、例えば、予測値テーブル61における各レコードに示された列車を管理する管理会社ごとの固有の識別番号が格納される。予測値テーブル61のレコード61A、レコード61B及びレコード61Cのそれぞれでは、予測値変更ID欄63に「1」が格納され、レコード61Dでは、予測値変更ID欄63に「2」が格納されている。これはレコード61A、レコード61B及びレコード61Cで示された列車はすべて同じ管理会社で管理されていることを示しており、レコード61Dで示された列車は別の管理会社で管理されていることを示している。そのため、例えば、管理会社ごとに需要予測を補正するための予測値を提供する必要がある場合には、予測値変更ID欄63の識別番号に基づいて予測値変更列車情報を集約して、管理会社ごとに提供することもできる。
また、予測値処理部60は、予測値テーブル61に集約された予測値変更列車情報をイールド管理システム100に向けて送信する。
【0074】
支援システム通信部70は、イールド管理システム100から独立したシステムであるイベント情報収集システム200及び予約販売システム300との通信が可能に構成され、通信ネットワークを介して各種情報の送受信を行う。本実施形態では、需要予測支援システム1は、イールド管理システム100の一部として構成されているため、支援システム通信部70は、イールド管理システム100の管理システム通信部102と共用で構成される。なお、需要予測支援システム1が、イールド管理システム100から独立したシステムとして構成される場合には、支援システム通信部70自体が、イールド管理システム100、イベント情報収集システム200及び予約販売システム300との通信が可能に構成され、通信ネットワークを介して各種情報の送受信を行う。
【0075】
<イベント情報収集システム200の構成>
イベント情報収集システム200は、CPU等のプロセッサやROM、RAM及びHDD等の記憶装置を備えて構成され、少なくとも、イベント情報を収集する情報収集部201と、収集されたイベント情報をファイルとして出力する情報処理部202と、イベント情報収集システム200から独立した他のシステムとの通信を行う収集システム通信部203を備えている。情報収集部201は、インターネット上に公開されたウェブページから、イベントの開催予定に関する情報を収集するウェブスクレイピングを行い、収集された情報をイベント情報として記憶する。また、情報処理部202は、情報収集部201によって収集された情報を、需要予測支援システム1が取り込むことができる形式、例えば、CSV(Comma Separated Values)等の形式のファイルに変換して出力する。収集システム通信部203は、情報処理部202によって出力されたイベント情報に関するファイルを、通信ネットワークを介して需要予測支援システム1(イールド管理システム100)に送信する。
【0076】
<予約販売システム300の構成>
予約販売システム300は、CPU等のプロセッサやROM、RAM及びHDD等の記憶装置を備えて構成され、少なくとも、列車の座席の予約販売に関する情報を管理する予約販売管理部301と、イールド管理システム100によって予測された需要予測に基づいて、列車の座席の商品情報を生成する商品情報生成部302と、予約販売システム300から独立した他のシステムや、列車の座席の予約購入を希望する購入希望者の携帯端末等の通信端末との通信を行う予約販売システム通信部303を備えている。予約販売管理部301は、購入希望者からの予約購入要求に応じて、列車の座席の予約販売を行うと共に、予約販売に関する情報を管理する。商品情報生成部302は、イールド管理システム100によって予測された需要予測を受信して、受信された需要予測に基づいて列車の座席を販売するための商品情報、例えば、列車の運行日程や座席の種別、座席の販売価格等の商品情報を生成する。予約販売システム通信部303は、例えば、通信ネットワークを介して、イールド管理システム100によって予測された需要予測の受信や、購入希望者の通信端末との間で列車の座席の予約購入に必要な情報の送受信を行う。
【0077】
次に、図9に示すフロー図に基づいて、需要予測支援システム1が予測値を算出して、ファイルとして出力するまでの算出処理について説明する。
【0078】
始めに、イベント情報収集システム200によって収集されたイベント情報が、需要予測支援システム1の支援システム通信部70を介して受信され、イベント情報記憶部20に取り込まれる(S400)。そして、イベント情報がイベント情報記憶部20によって記憶される(S401)。
次に、イベント情報記憶部20によって記憶されたイベント情報と、イベント属性保持部30によって保持されるイベント属性情報とに基づいて、イベント影響集約部40が特定影響割合及び特定影響期間を特定する(S402)。続けて、イベント影響集約部40は、イベント情報にイベント属性情報を反映させ、特定影響割合及び特定影響期間を含むイベント影響集約情報の集合であるイベント影響集約テーブル41を作成する(S403)。
【0079】
次に、輸送手段特定部50が、イベント影響集約テーブル41に集約されたイベント影響集約情報と、列車の運行計画情報とから、特定影響期間に所定の停車駅で発着する列車であるイベント対象列車(イベント対象輸送手段)を特定する(S404)。このとき、輸送手段特定部50は、特定影響期間のうちの第1影響期間に対応する特定影響期間に、所定の停車駅に到着する列車である第1イベント対象列車(第1イベント対象輸送手段)と、特定影響期間のうちの第2影響期間に対応する特定影響期間に、所定の停車駅から出発する列車である第2イベント対象列車(第2イベント対象輸送手段)とを特定する。続けて、輸送手段特定部50は、特定された第1イベント対象列車及び第2イベント対象列車に関する情報である対象輸送手段情報の集合であるイベント対象輸送手段テーブル57を作成する(S405)。
【0080】
次に、予測値処理部60が、特定影響割合からイベント対象列車(イベント対象輸送手段)の需要予測を補正するための予測値を算出する(S406)。このとき、予測値処理部60は、輸送手段特定部50によって作成されたイベント対象輸送手段テーブル57の特定影響割合に基づいて予測値を算出する。続けて、予測値処理部60は、イベント対象輸送手段テーブル57から必要な情報を抽出すると共に、特定影響割合に基づいて算出されたイベント対象列車ごとの「予測比率」を含む予測値変更列車情報の集合である予測値テーブル61を作成する(S407)。この予測値テーブル61に含まれる「予測比率」は、イールド管理システム100によって予測された需要予測を補正するための予測値である。そして、予測値処理部60は、作成された予測値テーブル61に集約された予測値変更列車情報を、イールド管理システム100が取り込むことができる形式のファイルに変換して、イールド管理システム100に向けて出力する(S408)。
以上のようにして、需要予測支援システム1によって、イールド管理システム100が予測した需要予測を補正するための予測値が算出されて出力される。
なお、イールド管理システム100は、この需要予測支援システム1から出力された予測値を需要予測に反映して、より正確な需要予測値を算出すると共に、予測値が反映された新たな需要予測値に基づいて、列車の運行計画や運賃の変更を行う。そして、イールド管理システム100は、新たな需要予測に基づく列車の運行計画や運賃を予約販売システム300に送信する。
【0081】
以上の通り、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0082】
例えば、本発明の実施形態では、イベント影響期間及びイベント影響割合が、イベントの種類(ジャンル)及び集客規模に対応して設定されている例を示したが、イベント影響期間及びイベント影響割合は、種類(ジャンル)及び集客規模に対応して設定されていなくてもよく、例えば、イベントの開催予定地である会場等、他の情報に対応して設定されてもよい。
【0083】
また、例えば、本発明の実施形態では、イベント影響期間が第1影響期間と第2影響期間とからなる例を示したが、イベント影響期間は第1影響期間と第2影響期間とに分けられていなくてもよい。また、同様に、本発明の実施形態では、イベント対象列車(イベント対象輸送手段)が第1イベント対象列車(第1イベント対象輸送手段)と第2イベント対象列車(第2イベント対象輸送手段)とからなる例を示したが、イベント対象列車は第1イベント対象列車と第2イベント対象列車と分けられていなくてもよいし、その場合には、輸送手段特定部50によって、特定影響期間に所定の停車駅で発着する全ての列車、言い換えれば、特定影響期間に所定の停車駅における到着時刻又は出発時刻が含まれる全ての列車がイベント対象列車として特定される。
【0084】
さらに、例えば、本発明の実施形態では、開催予定日の前日以前からの前泊が想定される場合に、前泊の日数に合わせて、開催予定日の前日以前の日付の0時から24時までが第1影響期間に含まれる例を示したが、開催予定日以降の後泊が想定される場合には、後泊の日数に合わせて、開催予定日の翌日以降の日付の0時から24時までが第2影響期間に含まれるように構成されてもよい。この場合には、例えば、イベント影響期間欄36に後泊欄が設けられ、この後泊欄に後泊の日数が格納される。また、前泊又は後泊が想定される場合に、第1影響期間又は第2影響期間に含まれる時間は、0時から24時に限定されず、任意の時間を設定することができる。
また、本発明の実施形態では、第2影響期間が開催予定日時から想定開催期間が経過した後の所定の期間である例を示したが、第2影響期間は開催予定日時の後であれば、想定開催期間が経過した後でなくてもよい。
【0085】
また、例えば、本発明の実施形態では、同時期に開催が予定される複数のイベントに対応して予測値を算出する需要予測支援システム1を例に説明したが、需要予測支援システム1は、1つの特定のイベントについて、イベント情報記憶部20がイベント情報を記憶して、イベント影響集約部40が特定影響割合及び特定影響期間を特定すると共に、この特定された特定影響割合及び特定影響期間に基づいて、イベント対象列車の予測値を算出するものでもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 需要予測支援システム
10 制御部
20 イベント情報記憶部
21 イベント情報テーブル
21A~21E レコード(イベント情報テーブル)
22 開催日欄
23 駅コード欄
24 イベント名欄
25 ジャンル名欄
26 集客規模欄
27 開催時刻欄
28 会場名欄
30 イベント属性保持部
31 イベント属性テーブル
31A~31E レコード(イベント属性テーブル)
32 ジャンル名欄
33 集客規模欄
34 イベント影響割合欄
35 想定開催期間欄
36 イベント影響期間欄
36A 第1影響期間欄
36B 第2影響期間欄
36C 前泊欄
40 イベント影響集約部
41 イベント影響集約テーブル
41A~41K レコード(イベント影響集約テーブル)
42 開催日欄
43 駅コード欄
44 特定影響割合欄
45 特定影響期間欄
45A 時刻From欄
45B 時刻To欄
46 発着フラグ欄
47 第1重複期間
48 第2重複期間
49 第1重複期間
50 輸送手段特定部
51 運行計画テーブル
51A~51F レコード(運行計画テーブル)
52 運行日欄
53 号便欄
54 駅コード欄
55 着時刻欄
56 発時刻欄
57 イベント対象輸送手段テーブル
57A~57D レコード(イベント対象輸送手段テーブル)
58 特定影響割合欄
60 予測値処理部
61 予測値テーブル
61A~61D レコード(予測値テーブル)
62 予測値変更列車ID欄
63 予測値変更ID欄
64 号便欄
65 駅コード欄
65A 出発駅コード欄
65B 到着駅コード欄
66 予測比率欄
70 支援システム通信部
100 イールド管理システム
101 需要処理部
102 管理システム通信部
200 イベント情報収集システム
201 情報収集部
202 情報処理部
203 収集システム通信部
300 予約販売システム
301 予約販売管理部
302 商品情報生成部
303 予約販売システム通信部
【要約】
【課題】輸送手段の需要予測をより正確に行うために、イベントの開催による影響を需要予測に反映して補正するための予測値を算出する需要予測支援システムを提供する。
【解決手段】需要予測支援システム1は、イベントの属性からイベント影響割合を特定し、イベントの属性と開催予定日時とからイベント影響期間を特定する。また、特定されたイベント影響期間に所定の停車場で発着する輸送手段を特定し、この輸送手段の需要予測を補正するための予測値を特定されたイベント影響割合から算出する。そのため、予測値の算出の基準となるイベント影響割合や、イベント影響割合を反映させるためのイベント影響期間がイベントの属性に合わせて変動し、これらの変動に伴って、算出される予測値やこの予測値を反映させる輸送手段も変動する。したがって、算出された予測値を需要予測に適用することで、イベントの属性に合わせたより正確な需要予測ができる。
【選択図】図1
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