IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電子機器 図1
  • 特許-電子機器 図2
  • 特許-電子機器 図3
  • 特許-電子機器 図4
  • 特許-電子機器 図5A
  • 特許-電子機器 図5B
  • 特許-電子機器 図6A
  • 特許-電子機器 図6B
  • 特許-電子機器 図7
  • 特許-電子機器 図8A
  • 特許-電子機器 図8B
  • 特許-電子機器 図8C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240924BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
G06F1/16 312S
G06F1/18 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023122752
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中垣 佳士
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-113493(JP,A)
【文献】特開2005-202969(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073224(WO,A1)
【文献】特開2020-013375(JP,A)
【文献】特開2012-226679(JP,A)
【文献】特開2011-118766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16;1/18
H05K5/02
H04M1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラムシェル型の電子機器であって、
ディスプレイを搭載した蓋体と、
前記蓋体が相対的に回動可能に連結された筐体と、
前記筐体の側面に臨む外部インターフェース部と、
を備え、
前記外部インターフェース部は、
入出力ポートと、
前記入出力ポートが表面に臨むように取り付けられ、前記筐体に対してスライド可能に支持されることで前記入出力ポートを前記筐体の側面に向かって進退させるスライドブロックと、
を有し、
前記筐体は、さらに、底面から突出するように設けられ、前記側面に対して直交する該筐体の幅方向に沿って延在する突出部を備え、
前記スライドブロックは、前記突出部の長手方向での一端部から進退するように設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記筐体の側面は、前記筐体の厚み方向に対して略一定の幅を有し、該側面の長手方向に沿って延在する稜線面部を有し、
前記スライドブロックは、前記稜線面部の下面に沿ってスライドする
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記筐体の側面は、さらに、
前記稜線面部の下面から前記筐体の底面側に向かって次第に該筐体の内側へと傾斜するテーパ面部と、
前記テーパ面部の長手方向での一部を切り欠いたように形成された切欠部と、
を有し、
前記スライドブロックは、前記切欠部に挿入されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
さらに、前記突出部の長手方向での他端部に臨むように設けられた第2の外部インターフェース部を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記外部インターフェース部は、さらに、前記表面が前記筐体の側面に向かって前進した位置で前記スライドブロックの移動をロックするロック機構を有する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力ポートを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、例えばキーボードを搭載した筐体の側面に外部機器を接続するための入出力ポートを備える(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6481872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は筐体の薄型化に対する要望が大きい。特に筐体の側面では、稜線の厚みが外観の印象や持ち運び時の携行性を左右する重要な要素となる。通常、稜線の厚みに対しては入出力ポートの厚みが支配的要素となっている。このため入出力ポートはその厚みを抑制することが求められている。
【0005】
ところが入出力ポートに接続される接続プラグは、例え同一規格であっても機種やケーブル種によって大きさが異なる場合がある。従って、入出力ポートは多くの種類のプラグに対応できること、特に各接続規格に対する標準的な大きさのプラグに対応できることが望まれる。一方で稜線を薄くするために入出力ポートの厚みを抑え過ぎると、標準的な大きさのプラグであっても筐体や机に干渉して接続できなくなる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、筐体の外観の薄型化を図りつつ、接続プラグの円滑な接続を可能とする電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電子機器は、クラムシェル型の電子機器であって、ディスプレイを搭載した蓋体と、前記蓋体が相対的に回動可能に連結された筐体と、前記筐体の側面に臨む外部インターフェース部と、を備え、前記外部インターフェース部は、入出力ポートと、前記入出力ポートが表面に臨むように取り付けられ、前記筐体に対してスライド可能に支持されることで前記入出力ポートを前記筐体の側面に向かって進退させるスライドブロックと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、筐体の外観の薄型化を図りつつ、接続プラグの円滑な接続が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器の蓋体を筐体から開いた状態で上から見下ろした平面図である。
図2図2は、蓋体を筐体に対して閉じた状態での電子機器の右側面図である。
図3図3は、図2に示す電子機器の左側面図である。
図4図4は、図2に示す電子機器を底面側から見た斜視図である。
図5A図5Aは、図4に示す外部インターフェース部及びその周辺部の拡大図である。
図5B図5Bは、図5Aに示すスライドブロックを前進位置とした状態を示す斜視図である。
図6A図6Aは、スライドブロックが後退位置にある状態での外部インターフェース部及びその周辺部の底面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すスライドブロックを前進位置とした状態を示す底面図である。
図7図7は、外部インターフェース部2を通過する平面で筐体を切断した模式的な正面断面図である。
図8A図8Aは、図7に示すスライドブロックを後退位置とした状態での外部インターフェース部及びその周辺部の模式的な正面断面図である。
図8B図8Bは、図8Aに示すスライドブロックを前進位置とした直後の状態を示す正面断面図である。
図8C図8Cは、図8Bに示すスライドブロックが前進位置でロックされた状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10の蓋体11を筐体12から開いた状態で上から見下ろした平面図である。図2は、蓋体11を筐体12に対して閉じた状態での電子機器10の右側面図である。図3は、図2に示す電子機器10の左側面図である。図4は、図2に示す電子機器10を底面側から見た斜視図である。
【0012】
図1図4に示すように、電子機器10は、蓋体11と筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。電子機器はノート型PC以外、例えばタブレット型PC等でもよい。
【0013】
蓋体11は扁平な箱体である。蓋体11はディスプレイ16を搭載している。ディスプレイ16は、例えば有機ELや液晶である。ディスプレイ16の周囲はベゼル部材18で囲まれている。ディスプレイ16の上部にはカメラモジュール20が設けられている。図2及び図3中の参照符号20aは、カメラモジュール20とオーバーラップする位置での蓋体11の厚みを背面側に拡大するためのカバー材である。蓋体11は極めて薄型でありながら、カバー材20aで局所的に厚みを増やしたことで、厚みのある高性能なカメラモジュール20の搭載を可能としている。カバー材20aは省略されてもよい。
【0014】
蓋体11は筐体12の後端部(Y2側端部)にヒンジ14で連結されている。本実施形態のヒンジ14は、蓋体11の幅方向(X方向)に延在する長尺な構成、いわゆるワンバーヒンジと呼ばれるものである。ヒンジ14は、例えば左右一対設けられた構成でもよい。
【0015】
以下、筐体12及びこれに搭載された各構成要素について、筐体12の上面12aに臨むキーボード22を操作するユーザから見た方向を基準とし、筐体12の幅方向(左右方向)をそれぞれX1,X2方向、奥行方向(前後方向)をそれぞれY1,Y2方向、厚み方向(上下方向)をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0016】
筐体12は、扁平な箱体である。筐体12の上面12aには、キーボード22及びタッチパッド23が臨んでいる。キーボード22は上下動可能な複数のキートップを有する機械式である。キーボード22はタッチパネル式のディスプレイに表示されるソフトウェア式でもよい。ソフトウエアキーボードの場合、筐体12の上面12aには、機械式のキーボード22に代えてディスプレイ16と同様な大画面のディスプレイを設けた構成とすることもできる。筐体12の内部には、CPU及びメモリ等を実装したマザーボードの他、バッテリー、CPU等を冷却するための冷却モジュール等が収容されている。
【0017】
図2図4に示すように、筐体12は、上面12aと底面12bとの間で起立する四周の立壁の外面を形成する側面24~27を有する。筐体12は、マグネシウム若しくはアルミニウム等の金属材料、ABS樹脂若しくはガラス繊維強化プラスチック等の樹脂材料、又は、炭素繊維強化プラスチック等のカーボン材料等で形成した2つの筐体部材を着脱可能に連結して構成することができる。
【0018】
筐体12のX2側(右側)でY方向に沿う側面24は、稜線面部24aと、テーパ面部24bとを有する。側面24~27は上記のような筐体部材に形成した所定の板厚を有する立壁の外面を形成する。従って、稜線面部24a及びテーパ面部24bはこのような立壁を形成する一定の板厚の筐体部材によって構成されるものであり、後述する稜線面部25a及びテーパ面部25b等も同様である。
【0019】
稜線面部24aは、側面24において最も外側(X2側)に張り出した稜線を形成する部分である。稜線面部24aは上面12aの外縁からZ2方向に沿って垂下されている。稜線面部24aは筐体12の厚み方向(Z方向)に対して略一定の幅(厚み)を有する。稜線面部24aは側面24の長手方向(Y方向)に沿って延在にその全長に亘っている。稜線面部24aのZ方向幅は、例えば側面24の側面視で半分程度である。
【0020】
テーパ面部24bは、稜線面部24aのZ2側の縁(下面24a1)から筐体12の底面12b側に向かって次第に筐体12の内側(X1方向)へと傾斜する傾斜面である。本実施形態の筐体12は、平面視において底面12bの外形が上面12aの外形よりも小さい。テーパ面部24bは、上面12aの外縁からZ2側に垂下された稜線面部24aの下縁を筐体12の内側に位置する底面12bまで連続させる部分となる。
【0021】
このように、側面24は、最も上部に位置する稜線面部24aが稜線を形成し、稜線面部24aの下には奥側へと退くテーパ面部24bが設けられている。つまり筐体12では、稜線面部24aのZ方向の厚みが側面24の外観(厚み)を印象や人手による側面24の掴み易さ(携行性)に対する重要な要素となっている。そして、筐体12は、稜線面部24aの厚みが全長に亘って側面24の半分程度に設定されることで、外観の薄型化と携行性とを向上させている。側面24には、外部インターフェース部30が臨むように進退可能に設けられるが詳細は後述する。
【0022】
筐体12のX1側(左側)でY方向に沿う側面25は、上記した側面24と略左右対称構造であるため詳細な説明は省略する。すなわち側面25は、側面24の稜線面部24a及びテーパ面部24bと略左右対称構造の稜線面部25a及びテーパ面部25bを有する。稜線面部25aの下面25a1は稜線面部24aの下面24a1とZ方向で同一高さ位置にある。側面25の奥側(Z2側)には、外部インターフェース部30と構造の異なる外部インターフェース部32が臨んでいるが詳細は後述する。
【0023】
筐体12のY1側(前側)でX方向に沿う側面26は、上記した側面24,25と延在方向が直交する以外、基本的な構成は同様であるため詳細な説明は省略する。すなわち側面25は、側面24の稜線面部24a及びテーパ面部24bと同様な稜線面部26a及びテーパ面部26bを有する。稜線面部26aの下面26a1は稜線面部24a,25aの下面24a1,25a1とZ方向で同一高さ位置にある。
【0024】
筐体12のY2側(後側)でX方向に沿う側面27は、稜線面部27aと、テーパ面部27bと、凹状部27cとを有する。凹状部27cは、側面27の全長のうち、中央を含む大部分をY1側へと切り欠くように凹ませた部分である。凹状部27cは、ヒンジ14の配置及び可動のためのスペースである。側面27の稜線面部27aは、開閉する蓋体11との干渉を避けるため、上面12aの外縁からY2方向に向かってZ2方向に傾斜する短い傾斜面の縁からZ2方向に沿って垂下されている。稜線面部27aの下面27a1は、他の稜線面部24a等の下面24a1等と同一高さ位置にあって互いに連続している。側面27のテーパ面部27bの傾斜角度は、ヒンジ14のシャフト等の収容スペースを確保するため、他のテーパ面部24b,25b,27bよりも急である(図2及び図3参照)。
【0025】
このように、筐体12の側面24~27は、Z方向に略同一幅で同一高さ位置にある稜線面部24a,25a,26a,27aが互いに連続するように配置される。さらにテーパ面部24b等が稜線面部24a等の下縁から底面12bに向かって内側に傾斜することで、全体として先細りするテーパ面を成している。
【0026】
次に、外部インターフェース部30,32の構成について説明する。外部インターフェース部30,32は、モニター、記憶装置及び印刷装置等の外部機器を接続するためのインターフェースである。
【0027】
図5Aは、図4に示す外部インターフェース部30及びその周辺部の拡大図である。図5Aは、スライドブロック34が後退位置にある状態を示している。図5Bは、図5Aに示すスライドブロック34を前進位置とした状態を示す斜視図である。図6Aは、スライドブロック34が後退位置にある状態での外部インターフェース部30及びその周辺部の底面図である。図6Bは、図6Aに示すスライドブロック34を前進位置とした状態を示す底面図である。図7は、外部インターフェース部30,32を通過するYZ平面で筐体12を切断した模式的な正面断面図である。
【0028】
図4図7に示すように、側面24に臨む外部インターフェース部30は、スライドブロック34と、スライドブロック34の表面34aに臨むように取り付けられた入出力ポート(I/Oポート)36,37とを有する。
【0029】
入出力ポート36,37は、任意の接続規格に準拠したレセプタクルで構成することができる。本実施形態では、入出力ポート36はHDMI(登録商標)規格に準拠し、入出力ポート37はUSB3.0通信規格に準拠している。入出力ポート36,37の接続規格は他の規格に準拠したものとしても勿論よい。
【0030】
スライドブロック34は、筐体12の底面12b側でX方向に沿ってスライド可能に支持されている。スライドブロック34は、上面(Z1側面)が稜線面部24aの下面24a1に接し、下面(Z2側面)が底面12bよりも下にある。入出力ポート36,37は、接続口がスライドブロック34のX2側の表面34aに臨ぶようにスライドブロック34に固定されている。これによりスライドブロック34は、表面34aに臨む入出力ポート36,37を側面24に向かって進退させることができる。表面34aのZ方向の幅(厚み)は、例えば図2に示す側面視での側面24全体の厚みよりも多少大きい。
【0031】
筐体12の側面24は、テーパ面部24bの長手方向(Y方向)での一部を切り欠いたように形成された切欠部24cを有する。切欠部24cは稜線面部24aの下面24a1を露出させている。切欠部24cのY方向の幅は、スライドブロック34のY方向の幅より僅かに大きい。切欠部24cはスライドブロック34をX方向に沿って摺動可能に挿入される。これによりスライドブロック34は、切欠部24cによってX方向にガイドされた状態で稜線面部24aの下面24a1に沿ってスライドする。
【0032】
上記の通り、本実施形態のスライドブロック34は、表面34aのZ方向の厚みが側面24の厚みよりも大きい。そこで、図4図5Bに示すように、筐体12は、スライドブロック34とX方向に並ぶ位置に、底面12bから突出するように設けられた突出部38を有することができる。突出部38は、X方向に延在する扁平な棒状或いは両端円弧状の角筒状の部材である。突出部38のX方向の全長は底面12bのX方向の幅よりも短い。これによりスライドブロック34は、突出部38のX2側端部(一端部38a)からX2方向に突き出すように設置されている。
【0033】
突出部38は、筐体12の底面12bの後端部(Y2側端部)近傍に設けられる。これにより突出部38は、載置面(例えば机の上面52)に載置された筐体12の後部を前部よりも持ち上げる後脚部として機能する。つまり突出部38は、底面12bよりも突出することで載置面から底面12bを浮かせる脚部となり、スライドブロック34の上面52等への底付きを防止する。スライドブロック34の厚みが小さい場合等では突出部38は省略されてもよい。突出部38は、キーボード22を前下がりの傾斜姿勢として操作性を向上させる効果も発揮する。突出部38のX方向での両端部にはそれぞれ円形のゴム脚40を設けてもよい。
【0034】
図4中の参照符号41は、底面12bのX方向に沿って延在し、Y方向に複数並んだ筋状のゴム脚である。ゴム脚41はデザイン性を考慮して複数筋設けているが、例えば底面12bの前端部のみに設けられてもよいし、X方向に長尺な形状以外でもよい。
【0035】
従って、スライドブロック34は、表面34aが稜線面部24aよりも筐体12の内側(X1側)に引っ込む後退位置(図5A及び図6A参照)と、表面34aが稜線面部24aとZ方向に略面一に配置される前進位置(図5B及び図6B参照)との間で進退できる。なお、後退位置において、表面34aは例えばテーパ面部24bの下端部(X1側端部)とZ方向に略オーバーラップする。これによりスライドブロック34は、入出力ポート36,37を側面24に向かって進退させ、稜線面部24aから奥側に引っ込んだ後退位置と、稜線面部24aと略面一に配置される前進位置とに移動させることができる。
【0036】
スライドブロック34の進退範囲は上記に限定されないが、前進位置では表面34a(入出力ポート36,37)が稜線面部24aとZ方向に略並ぶ位置まで前進できることが望ましい。一方、後退位置では表面34a(入出力ポート36,37)が少なくともテーパ面部24bの下端部と略一致する位置まで後退できることが望ましい。
【0037】
図3図4及び図7に示すように、側面25に臨む外部インターフェース部32は、固定ブロック42と、固定ブロック42の表面42aに臨むように取り付けられた入出力ポート(I/Oポート)44,45とを有する。
【0038】
入出力ポート44,45は、任意の接続規格に準拠したレセプタクルで構成することができる。本実施形態では、入出力ポート44,45はいずれもUSB3.0通信規格に準拠している。入出力ポート44,45の接続規格は他の規格に準拠したものとしても勿論よい。
【0039】
固定ブロック42は、筐体12の底面12b側に固定されている。固定ブロック42は、X1側の表面42aが側面25の奥側(X2側)に位置すると共に側面25を臨むように配置されている。側面25は、側面24の切欠部24cと同様な切欠部25cをテーパ面部25bの一部に有する(図7参照)。固定ブロック42は、切欠部25cの奥側で突出部38のX1側端部(他端部38b)に収容されている。表面42aと稜線面部25aとの間のX方向の距離は、スライドブロック34を後退位置とした状態での表面34aと稜線面部24aとの間のX方向の距離と略同一である。これによりスライドブロック34を後退位置とした状態で、筐体12は、各側面24,25のデザインが略一致し、全体として薄型化と外観品質の向上とが図られている。
【0040】
次に、スライドブロック34の進退機構の構成例を説明する。
【0041】
図8Aは、図7に示すスライドブロック34を後退位置とした状態での外部インターフェース部30及びその周辺部の模式的な正面断面図である。図8Bは、図8Aに示すスライドブロック34を前進位置とした直後の状態を示す正面断面図である。図8Cは、図8Bに示すスライドブロック34が前進位置でロックされた状態を示す正面断面図である。
【0042】
図7図8Cに示すように、外部インターフェース部30は、スライドブロック34を進退させるスライド機構48と、スライドブロック34を前進位置でロックするロック機構50とを有することができる。スライドブロック34の進退構造は以下に説明するスライド機構48及びロック機構50を用いた構造以外を採用しても勿論よい。
【0043】
スライド機構48は、ガイドブロック48aと、ストッパ片48bとを有する(図6A及び図6Bも参照)。
【0044】
ガイドブロック48aは、スライドブロック34の表面34aとは反対側の面から延びるように一体に形成されるか、又はこの面に固定されたブロック状部材である。ガイドブロック48aは、突出部38の内部空間に一端部38aから摺動可能に挿入されている。ガイドブロック48aには、Z2側を向いて開口すると共に、開口部が突出部38の底面プレートで閉塞されたガイド溝48a1が設けられている。ガイド溝48a1はX方向に沿って延在する。ストッパ片48bは、突出部38の底面プレートから内部空間に向かって突出する板片である。ストッパ片48bはガイド溝48a1に対してX方向に摺動可能な状態で挿入される。ガイド溝48a1でのストッパ片48bのX方向の移動ストロークは、スライドブロック34の進退距離と一致する。
【0045】
ロック機構50は、前進位置にあるスライドブロック34の移動をロックするものである。ロック機構50は、ロックプレート50aと、弾性部材50bとを有する。
【0046】
ロックプレート50aは矩形状のプレートである。ロックプレート50aのY方向長さは、スライドブロック34のY方向長さよりも短い。ロックプレート50aのX方向幅は、前進位置にあるスライドブロック34のX1側端部と突出部38の一端部38aとの間に形成される隙間Gの幅と同一又は僅かに小さい。ロックプレート50aのZ1側面には、X方向の幅を拡大したフランジ部50a1が形成されている。外部インターフェース部30は、例えばガイドブロック48aからスライドブロック34に亘るように設けられ、Z2側を向いて開口する収容溝50cを有する。ロックプレート50aは、収容溝50cに対してZ方向に昇降可能に収容される。収容溝50cはその開口部が隙間Gとなる。この際、フランジ部50a1のX方向の幅は、収容溝50c(隙間G)のX方向の幅よりも大きい。このためロックプレート50aが収容溝50cからZ2方向に抜け止めされている。
【0047】
弾性部材50bは、例えばコイルばねである。弾性部材50bは、収容溝50c内でロックプレート50aのZ1側面を押圧し、ロックプレート50aをZ2方向に常時付勢している。弾性部材50bは、例えばY方向で2個設けられる(図6A及び図6B参照)。
【0048】
次に、スライドブロック34の進退動作と作用効果を説明する。
【0049】
電子機器10は、外部インターフェース部30を使用しない場合又は入出力ポート36,37に接続する外部機器からの接続プラグが小型・薄型の構成である場合には、スライドブロック34を後退位置としておくことができる。
【0050】
図5A図6A及び図8Aに示すように、この状態では、スライドブロック34の表面34aが稜線面部24aからX1側に大きく後退した位置にあり、側面24の外観が薄型化されている。またこの状態では、ロックプレート50aは弾性部材50bの付勢力に抗して収容溝50c内に埋没した位置にあり、突出部38の内部空間に収容されている。
【0051】
続いて、外部インターフェース部30を使用するためにスライドブロック34をスライドさせる際は、ユーザが指先Fでスライドブロック34をX2方向に移動させる(図8B参照)。この際、本実施形態では、後退位置でも隙間Gの幅をゼロとせず、僅かに残しいる。このため、スライドブロック34をスライドさせる際には、指先Fを僅かな隙間Gからスライドブロック34の端部に引っ掛けることができ、高い操作性が得られる(図8A参照)。
【0052】
そして、スライドブロック34が前進位置となると、図8Bに示すように、ガイド溝48a1のX1側内壁がストッパ片48bに当接し、スライドブロック34のそれ以上の前進が規制される。この状態では、収容溝50cの開口が隙間Gと一致するため、ロックプレート50aのZ2方向への移動が許容される。そこで、図8Cに示すように、ロックプレート50aが弾性部材50bの付勢力によって隙間Gを塞ぐ位置に進出する。その結果、ロックプレート50aがスライドブロック34のX1側端部と突出部38の一端部38aとの間に挟まる。これによりスライドブロック34は、前進位置でロックされ、X1方向への移動も規制される。
【0053】
従って、ユーザは、図7に示すように、入出力ポート36,37に対して円滑に接続プラグP1を押し込んで接続することが可能となる。前進位置ではスライドブロック34の表面34a、つまり入出力ポート36,37が側面24の稜線面部24aと略面一に配置される。このため、例えばHDMI規格に準拠する接続プラグのうち、標準的な大きさを有する大型の接続プラグP1を使用する場合であっても、接続プラグP1が稜線面部24aや机の上面52等の載置面に干渉することを回避しつつ、入出力ポート36に対して確実に接続できる。
【0054】
一方、側面25側の外部インターフェース部32は、固定ブロック42に入出力ポート44,45を設けているため、接続プラグP1のような大型プラグの接続に用いることはできない。しかしながら、入出力ポート44,45は小型・薄型の接続プラグP2に対しては有効に利用できる。換言すれば、側面24側の外部インターフェース部30においても、スライドブロック34を後退位置において接続プラグP2のような小型・薄型のプラグであれば有効に利用できる。
【0055】
次に、外部インターフェース部30の使用が完了し、スライドブロック34を後退位置に戻す際は、底面12b側に露出するロックプレート50aを弾性部材50bの付勢力に抗して指先でZ1側に押し込む。そして、スライドブロック34をX1側に押し込むことで容易にスライドブロック34を後退位置とすることができる。なお、ロックプレート50aの表面は、例えば筐体12の底面12b等の色(通常は黒やグレー等のダーク色)に対して目立つ色(例えば赤色)に着色しておくとよい。そうすると、ユーザはスライドブロック34を後退させる際、円滑にロックプレート50aを押圧することができる。またユーザはスライドブロック34が前進位置でロックされていることをロック機構50によって容易に視認することもできる。
【0056】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、筐体12の側面24に臨む外部インターフェース部30を備える。そして、外部インターフェース部30は、入出力ポート36,37と、入出力ポート36,37が表面34aに臨むように取り付けられ、筐体12に対してスライド可能に支持されることで入出力ポート36,37を筐体12の側面24に向かって進退させるスライドブロック34とを有する。
【0057】
従って、当該電子機器10は、入出力ポート36,37をスライドブロック34に設けたことで入出力ポート36,37の厚みに応じて側面24の厚みを増大させる必要がない。このため、電子機器10は筐体12の外観の薄型化を図ることができる。しかも電子機器10は、スライドブロック34を介して入出力ポート36,37を側面24側に進出させることができる。これにより電子機器10は、例えばHDMI(登録商標)の標準的な大きさである大型の接続プラグP1であっても側面24や載置面に干渉することを回避して入出力ポート36に円滑に接続することができる。
【0058】
電子機器10では、側面24は筐体12の厚み方向に対して略一定の幅を有し、側面24の長手方向に沿って延在する稜線面部24aを有する。そして、スライドブロック34は稜線面部24aの下面24a1に沿ってスライドする。これにより筐体12の側面24は、スライドブロック34を後退させた状態での外形面を実質的に幅狭な稜線面部24aのみで形成することができる。このため、筐体12の外観の一層の薄型化が図られる。
【0059】
側面24は、稜線面部24aの下面24a1から筐体12の底面12b側に向かって次第に筐体12の内側へと傾斜するテーパ面部24bを有することができる。そうすると、筐体12は稜線面部24aとテーパ面部24bの厚みの合計厚み分の内部機器の収容空間を十分に確保しつつ、外観の薄型化を両立することができる。この際、スライドブロック34はテーパ面部24bの長手方向での一部を切り欠いたように形成された切欠部24cに挿入されるとよい。そうすると、後退位置としたスライドブロック34がテーパ面部24bの内側に埋没して目立たなくなり、外観の薄型化に一層貢献する。
【0060】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0061】
上記では筐体12の右側の側面24にスライドブロック34を備える外部インターフェース部30を設けた構成を例示したが、このような外部インターフェース部30は左側又は前側の側面24,26に対して設置してもよい。また例えば側面25の外部インターフェース部32も外部インターフェース部30と同様な進退構造としてもよい。外部インターフェース部30,32の入出力ポートの設置数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 電子機器
11 蓋体
12 筐体
14 ヒンジ
24~27 側面
24a,25a,26a,27a 稜線面部
24b,25b,26b,27b テーパ面部
30,32 外部インターフェース部
34 スライドブロック
36,37,44,45 入出力ポート
38 突出部
48 スライド機構
50 ロック機構
【要約】
【課題】筐体の外観の薄型化を図りつつ、接続プラグの円滑な接続を可能とする電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、クラムシェル型の電子機器であって、ディスプレイを搭載した蓋体と、前記蓋体が相対的に回動可能に連結された筐体と、前記筐体の側面に臨む外部インターフェース部と、を備え、前記外部インターフェース部は、入出力ポートと、前記入出力ポートが表面に臨むように取り付けられ、前記筐体に対してスライド可能に支持されることで前記入出力ポートを前記筐体の側面に向かって進退させるスライドブロックと、を有する。
【選択図】図5B
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C