IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図1
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図2
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図3
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図4
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図5
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図6
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図7
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図8
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図9
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図10
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図11
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図12
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図13
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図14
  • 特許-情報処理システムおよびプログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240924BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023180362
(22)【出願日】2023-10-19
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 礼雄
(72)【発明者】
【氏名】堅田 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 将英
(72)【発明者】
【氏名】肥▲高▼ 邦彦
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-093824(JP,A)
【文献】特開2023-069910(JP,A)
【文献】特開2003-296411(JP,A)
【文献】特許第5186691(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得し、
取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価し、
前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを生成するとともに、当該評価結果マップに含まれる情報として、または当該評価結果マップとともに提示される情報として、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報と、事業性の評価に用いられる情報とのうち少なくとも一方を生成し、
生成した前記評価結果マップから、風車を建設可能な面積を有するエリアを候補エリアとして抽出し、
抽出した複数の前記候補エリアから選択された、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返し、
前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示し、さらに、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の位置を示す情報を提示する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
1または複数のプロセッサを備え、
前記1または複数のプロセッサは、
1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得し、
取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価し、
前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを生成するとともに、当該評価結果マップに含まれる情報として、または当該評価結果マップとともに提示される情報として、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報と、事業性の評価に用いられる情報とのうち少なくとも一方を生成し、
生成した前記評価結果マップから、風車を建設可能な面積を有するエリアを候補エリアとして抽出し、
抽出した複数の前記候補エリアから選択された、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返し、
前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示し、さらに、前記1または複数の風車の各々の事業性の評価に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の発電量に関する情報を提示する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
前記1または複数のプロセッサは、抽出可能な前記候補エリアが複数存在する場合には、前記適性の評価結果に基づいて、抽出可能な複数の当該候補エリアのうち1または複数の当該候補エリアを特定して抽出することを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記1または複数のプロセッサは、抽出可能な複数の前記候補エリアのうち、前記適性の評価結果が高い順に予め定められた数の当該候補エリアを抽出することを特徴とする、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記1または複数のプロセッサは、前記位置ごとに前記適性の評価を行う際、当該位置ごとの前記複数のパラメータの各々に重みづけを行うことを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数のパラメータは、地理、地形、法規、土地利用、送電線、道路、および風況の各々に関するパラメータのうち少なくとも1のパラメータを含むことを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記1または複数のプロセッサは、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムを用いて前記配置パターンの生成および評価を行うことを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記1または複数のプロセッサは、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムを用いて前記配置パターンの初期解を生成することを特徴とする、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記1または複数のプロセッサは、前記配置エリアと前記配置パターンとの少なくとも一方を指定する操作を受け付けることを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記1または複数のプロセッサは、前記指定する操作として、画面に表示された地図データ上にて指定する操作と、位置を示す情報を指定する操作との少なくとも一方を受け付けることを特徴とする、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記1または複数のプロセッサは、前記配置パターンの評価を行う際、配置される前記複数の風車の各々のウエイクの影響を考慮することを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記1または複数のプロセッサは、前記複数の風車の各々の配置位置における風向、風速、および頻度に基づいて、前記ウエイクの影響を示す値を算出することを特徴とする、
請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記1または複数のプロセッサは、
前記配置エリアの候補となる複数の候補エリアの各々について前記配置パターンの生成および評価を行い、
前記複数の候補エリアの各々の前記配置パターンの評価結果を比較可能に提示することを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記1または複数のプロセッサは、前記1または複数の前記配置パターンを提示する際、当該配置パターンを構成する前記複数の風車の各々の配置位置を示す情報をさらに提示することを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータに、
1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、当該風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得する機能と、
取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価する機能と、
前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを生成するとともに、当該評価結果マップに含まれる情報として、または当該評価結果マップとともに提示される情報として、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報と、事業性の評価に用いられる情報とのうち少なくとも一方を生成する機能と、
生成した前記評価結果マップから、風車を建設可能な面積を有するエリアを候補エリアとして抽出する機能と、
抽出した複数の前記候補エリアから選択された、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返す機能と、
前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示し、さらに、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の位置を示す情報を提示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、当該風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得する機能と、
取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価する機能と、
前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを生成するとともに、当該評価結果マップに含まれる情報として、または当該評価結果マップとともに提示される情報として、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報と、事業性の評価に用いられる情報とのうち少なくとも一方を生成する機能と、
生成した前記評価結果マップから、風車を建設可能な面積を有するエリアを候補エリアとして抽出する機能と、
抽出した複数の前記候補エリアから選択された、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返す機能と、
前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示し、さらに、前記1または複数の風車の各々の事業性の評価に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の発電量に関する情報を提示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各地点の風速データに基づく発電量を算出し、発電量の優劣を条件として風車を配置する候補地を選択し、トータル発電量の大きい候補地を風車の設置位置として決定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5186691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電に用いられる風車の建設の現場では、例えば、風況、地理、地形、輸送道路、送電線との位置関係、法規制などの各種の条件が考慮され、予定台数の風車を建設可能な面積を有するエリアの選定と、エリア内における風車の配置位置の選定とが行われる。より具体的には、風車の建設コスト(支出)と、風力発電により得られる発電量(収入)とにより示される事業性の最大化を図ることができるエリアの選定と、エリア内における風車の配置位置の選定とが行われる。しかしながら、これらを最適化させるための調整作業は、作業者の人力により行われているため、作業者にとって大きな手間となるだけではなく、時間的にも物理的にも限界がある。さらには、作業者の経験と勘に基づく部分が大きいため、真の最適化を行えない場合もある。
【0005】
本発明の目的は、風車を配置するエリアの選定およびエリア内の風車の配置の選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、1または複数のプロセッサを備え、前記1または複数のプロセッサは、1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得し、取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価し、前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを提示する、ことを特徴とする情報処理システムである。
請求項2に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記評価結果マップに含まれる情報として、または当該評価結果マップとともに、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報と、事業性の評価に用いられる情報とのうち少なくとも一方を提示することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項3に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の位置を示す情報を提示することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理システムである。
請求項4に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記1または複数の風車の各々の事業性の評価に用いられる情報として、当該1または複数の風車の各々の発電量に関する情報を提示することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理システムである。
請求項5に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記評価結果マップから、風車を建設可能な面積を有するエリアを、候補エリアとして抽出して提示することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項6に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、抽出可能な前記候補エリアが複数存在する場合には、前記適性の評価結果に基づいて、抽出可能な複数の当該候補エリアのうち1または複数の当該候補エリアを特定して抽出することを特徴とする、請求項5に記載の情報処理システムである。
請求項7に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、抽出可能な複数の前記候補エリアのうち、前記適性の評価結果が高い順に予め定められた数の当該候補エリアを抽出することを特徴とする、請求項6に記載の情報処理システムである。
請求項8に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記位置ごとに前記適性の評価を行う際、当該位置ごとの前記複数のパラメータの各々に重みづけを行うことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項9に記載された発明は、前記複数のパラメータは、地理、地形、法規、土地利用、送電線、道路、および風況の各々に関するパラメータのうち少なくとも1のパラメータを含むことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システムである。
請求項10に記載された発明は、1または複数のプロセッサを備え、前記1または複数のプロセッサは、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返し、前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示する、ことを特徴とする情報処理システムである。
請求項11に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムを用いて前記配置パターンの生成および評価を行うことを特徴とする、請求項10に記載の情報処理システムである。
請求項12に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムを用いて前記配置パターンの初期解を生成することを特徴とする、請求項11に記載の情報処理システムである。
請求項13に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記配置エリアと前記配置パターンとの少なくとも一方を指定する操作を受け付けることを特徴とする、請求項10に記載の情報処理システムである。
請求項14に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記指定する操作として、画面に表示された地図データ上にて指定する操作と、位置を示す情報を指定する操作との少なくとも一方を受け付けることを特徴とする、請求項13に記載の情報処理システムである。
請求項15に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記配置パターンの評価を行う際、配置される前記複数の風車の各々のウエイクの影響を考慮することを特徴とする、請求項10に記載の情報処理システムである。
請求項16に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記複数の風車の各々の配置位置における風向、風速、および頻度に基づいて、前記ウエイクの影響を示す値を算出することを特徴とする、請求項15に記載の情報処理システムである。
請求項17に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記配置エリアの候補となる複数の候補エリアの各々について前記配置パターンの生成および評価を行い、前記複数の候補エリアの各々の前記配置パターンの評価結果を比較可能に提示することを特徴とする、請求項10に記載の情報処理システムである。
請求項18に記載された発明は、前記1または複数のプロセッサは、前記1または複数の前記配置パターンを提示する際、当該配置パターンを構成する前記複数の風車の各々の配置位置を示す情報をさらに提示することを特徴とする、請求項10に記載の情報処理システムである。
請求項19に記載された発明は、コンピュータに、1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、当該風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得する機能と、取得した前記位置ごとの前記複数のパラメータに基づいて、当該位置ごとに前記適性を評価する機能と、前記位置ごとの前記適性の評価結果を示す評価結果マップを提示する機能と、を実現させるためのプログラムである。
請求項20に記載された発明は、コンピュータに、複数の風車が配置される配置エリアにおける、当該複数の風車の各々が配置される配置位置を定めた配置パターンの生成と、当該配置位置の各々の風況に基づく当該配置パターンの評価とを繰り返す機能と、前記配置パターンの評価結果に基づいて、生成した前記配置パターンのうち1または複数の当該配置パターンを提示する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の本発明によれば、風車を配置し得る位置ごとに取得された複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性が評価され、評価結果を示す評価結果マップが提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項2の本発明によれば、評価結果マップに含まれる情報として、または評価結果マップとともに、1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報や、事業性の評価に用いられる情報が提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項3の本発明によれば、1または複数の風車の各々の建設に用いられる情報として、1または複数の風車の各々の位置を示す情報が提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項4の本発明によれば、1または複数の風車の各々の事業性の評価に用いられる情報として、1または複数の風車の各々の発電量に関する情報が提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項5の本発明によれば、評価結果マップから候補エリアが抽出されて提示される。これにより、風車を配置するエリアを選定する作業をより容易化できる。
請求項6の本発明によれば、抽出可能な候補エリアが複数存在する場合には、建設の適正の評価結果に基づき特定された1または複数の候補エリアが抽出されて提示される。これにより、風車を配置するエリアを選定する作業をさらに容易化できる。
請求項7の本発明によれば、抽出可能な複数の候補エリアのうち、建設の適性の評価結果が高い順に予め定められた数の候補エリアが抽出される。これにより、風車を配置するエリアの選定対象を容易に絞り込むことができる。
請求項8の本発明によれば、建設の適性の評価に際して複数のパラメータの各々に重みづけがなされる。これにより、パラメータの重要性に応じた評価が可能となる。
請求項9の本発明によれば、地理、地形、法規、土地利用、送電線、道路、および風況の各々に関するパラメータのうち少なくとも1のパラメータを含む複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性が評価され、評価結果を示す評価結果マップが提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項10の本発明によれば、配置エリアにおける配置パターンの生成と評価とが繰り返された結果に基づいて、1または複数の配置パターンが提示される。これにより、配置エリア内における風車の配置の選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設することができる。
請求項11の本発明によれば、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムにより配置パターンの生成および評価が行われる。例えば、ヒューリスティックの手法を用いた場合には、局所最適解に固定されず、全体の探索空間を広く探索できる。
請求項12の本発明によれば、ヒューリスティックの手法もしくは予め定められたアルゴリズムにより配置パターンの初期解が生成される。例えば、ヒューリスティックの手法を用いた場合には、好適な近似解を素早く得ることができる。
請求項13の本発明によれば、配置エリアと配置パターンとを指定する操作が受け付けられるので、ユーザの意思に基づいた配置エリアの指定と配置パターンの指定とが可能になる。
請求項14の本発明によれば、配置エリアと配置パターンとを指定する操作として、地図データ上で指定する操作と、位置を示す情報を指定する操作とが受け付けられる。これにより、ユーザの意思に基づいた配置エリアの指定と配置パターンの指定とが可能になる。
請求項15の本発明によれば、配置パターンの評価が行われる際、配置される複数の風車の各々のウエイクの影響が考慮される。これにより、実態に即した確度の高い評価が可能となる。
請求項16の本発明によれば、複数の風車の各々の配置位置における風向、風速、および頻度に基づいて、ウエイクの影響を示す値が算出される。これにより、ウエイクの影響の推定が可能となる。
請求項17の本発明によれば、複数の候補エリアの評価結果が比較可能に提示される。これにより、ユーザによる候補エリアの選定作業の容易化が図られる。
請求項18の本発明によれば、最適化された配置パターンを構成する複数の風車の各々の配置位置を示す情報が提示される。これにより、配置パターンを構成する複数の風車の各々の配置位置の特定が容易化される。
請求項19の本発明によれば、風車を配置し得る位置ごとに取得された複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性が評価され、評価結果を示す評価結果マップが提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
請求項20の本発明によれば、風車を配置し得る位置ごとに取得された複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性が評価され、評価結果を示す評価結果マップが提示される。これにより、風車を配置するエリアの選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】管理サーバの制御部の機能構成の一例を示す図である。
図4】ユーザ端末の制御部の機能構成の一例を示す図である。
図5】管理サーバの全体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】管理サーバの処理のうち、配置最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】ヒューリスティックの手法を用いて配置最適化処理を行う場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】ヒューリスティックの手法を用いて配置最適化処理を行う場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】データベースに記憶されたパラメータの具体例を示す図である。
図10】適地探索処理の結果として生成された評価結果マップの具体例を示す図である。
図11】適地探索処理の結果として生成された評価結果マップの具体例を示す図である。
図12】候補エリアのエリアマップの具体例を示す図である。
図13】配置最適化処理にて行われる配置パターンの最適解の更新の具体例を示す図である。
図14】配置最適化処理にて行われる風車の配置の手順の具体例を示す図である。
図15】2台目以降の風車の配置位置の適正評価の結果が考慮されることなく1台目の風車が配置された場合の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<情報処理システムの構成>
図1は、本実施の形態が適用される情報処理システム1の全体構成の一例を示す図である。
情報処理システム1は、管理サーバ10と、ユーザ端末30-1乃至30-n(nは1以上の整数値)と、情報提供サーバ50-1乃至50-m(mは1以上の整数値)とがネットワーク90を介して接続されることにより構成されている。ネットワーク90は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等である。なお、ユーザ端末30-1乃至30-nの各々を個別に説明する必要がない場合、これらをまとめてユーザ端末30と呼ぶ。また、情報提供サーバ50-1乃至50-mの各々を個別に説明する必要がない場合、これらをまとめて情報提供サーバ50と呼ぶ。
【0010】
(管理サーバ)
情報処理システム1を構成する管理サーバ10は、情報処理システム1の全体を管理するサーバとしての情報処理装置である。管理サーバ10は、ユーザ端末30と、情報提供サーバ50との各々から送信されてくる各種の情報を取得し、各種の処理を行うことを可能とする。また、管理サーバ10は、ユーザ端末30と、情報提供サーバ50との各々に向けて各種の情報を送信し、各種の処理を実行させることを可能とする。
【0011】
〔適地探索処理〕
例えば、管理サーバ10は、風力発電に用いられる風車の建設に適したエリアを探索する処理(以下、「適地探索処理」と呼ぶ。)を行う。具体的には、管理サーバ10は、適地探索処理として、1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、風車の建設の適性に寄与する各種のパラメータに関する情報(以下、単に「パラメータ」と呼ぶ。)を取得する。パラメータは、情報提供サーバ50から提供されるものであってもよいし、管理サーバ10の記憶部13(図2参照)のデータベースに予め記憶されているものであってもよい。
【0012】
パラメータには、例えば、風況、地理、地形、法規、土地利用、送電線、および道路の各々に関するパラメータが含まれる。このうち、風況に関するパラメータとは、例えば、風速、乱流強度などである。また、地理に関するパラメータとは、例えば、海岸線、道路の幅、道路からの距離、送電線との位置関係などである。また、地形に関するパラメータとは、例えば、傾斜、曲率、樹木の有無などである。また、法規に関するパラメータとは、例えば、鳥獣保護区であるため風車を建設できない地域であるかどうかなどである。また、土地利用に関するパラメータとは、例えば、土地ごとの利用状況(田畑、森林、建物用地、鉄道、道路、砂浜等)などである。また、送電線に関するパラメータとは、例えば、送電線の位置を示す情報などである。また、道路に関するパラメータとは、例えば、道路の位置を示す情報、道路の幅、道路の造成に要するコストなどである。
【0013】
また、例えば、パラメータには、上記の他に、田畑や建物(風車を含む)が既に存在するため風車を建設できない地域であるかどうかといったパラメータや、風車に関するパラメータなどが含まれる。風車に関するパラメータには、例えば、建設予定台数、予め決定された配置位置、風車のサイズ(ブレードの直径等)などが含まれる。また、出力される各種のマップの解像度もパラメータの一例である。さらに、既存のパラメータを組み合わせることで新たなパラメータを作成してもよい。例えば、風況と地形などのパラメータを組み合わせることで「風車の耐久性」といった新たなパラメータを作成してもよい。
【0014】
管理サーバ10は、探索の対象として指定された地域の地図データから特定される位置ごとに取得した複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性に関する評価(以下、「適正評価」と呼ぶ。)を位置ごとに行う。適正評価は、例えば、パラメータごとに予め定められた適正評価の基準に基づき点数化された値(以下、「評価スコア」と呼ぶ。)の合計の比較等により行われる。
【0015】
管理サーバ10は、適正評価を行う際、複数のパラメータの各々に重みづけを行うことができる。例えば、パラメータとしての風況は、他のパラメータよりも重要である場合が多いため、他のパラメータよりも重みを大きくするといったことが可能となる。適正評価を行った管理サーバ10は、位置ごとの適性評価の結果を地図上に表したもの(以下、「評価結果マップ」と呼ぶ。)を生成し、ユーザ端末30に提示する。
【0016】
管理サーバ10は、評価結果マップをユーザ端末30に提示する際、評価結果マップから、予め定められた台数(例えば、建設予定台数)の風車を建設可能な面積を有するエリアを、候補エリアとして抽出する。候補エリアは、例えば、数km×数km程度の面積を有するエリアとして抽出される。エリアに関する情報(以下、「エリア情報」と呼ぶ。)は、記憶部13のデータベースに予め記憶されている。管理サーバ10は、抽出可能な候補エリアが複数存在する場合には、各々の候補エリアを構成する位置ごとの評価スコアの合計に基づいて、1または複数の候補エリアを特定して抽出する。管理サーバ10は、抽出した1または複数の候補エリアをユーザ端末30に提示する。候補エリアの提示は、例えば、ユーザ端末30に提示される評価結果マップ上において候補エリアを色分けする等の手法により行われる。
【0017】
また、管理サーバ10は、評価結果マップに含まれる情報として、または評価結果マップとともに、風車の建設に用いられる情報や、風車の事業性の評価に用いられる情報などをユーザ端末30に提示できる。この場合、管理サーバ10は、風車の建設に用いられる情報として、例えば、風車ごとの位置を示す情報を提示できる。また、管理サーバ10は、風車ごとの事業性の評価に用いられる情報として、例えば、風車の発電量に関する情報を提示できる。
【0018】
〔配置最適化処理〕
また、例えば、管理サーバ10は、風車を建設して配置する対象とされたエリア(以下、「配置エリア」と呼ぶ。)内に配置される複数の風車の配置を最適化する処理(以下、「配置最適化処理」と呼ぶ。)を行う。具体的には、管理サーバ10は、配置エリアにおける複数の風車の各々の配置位置を定めた配置パターンの生成と、生成した配置パターンの評価とを繰り返すことにより、配置パターンの最適化を行う。生成され評価された配置パターンは、配置パターン情報として記憶部13のデータベースに記憶される。配置パターンの生成と評価とを繰り返す回数は、人力では時間的にも物理的にも限界があるが、配置最適化処理によれば、例えば、何万回、何十万回といった繰り返しの計算が可能となる。
【0019】
管理サーバ10による配置パターンの評価は、評価対象の配置パターンにて配置エリアに配置される複数の風車の各々の配置位置における風況などに基づいて行う。管理サーバ10は、配置パターンの評価を行う際、評価の対象となる配置パターンにて配置エリアに配置される複数の風車の各々のウエイクの影響を考慮する。「ウエイク」とは、風車のブレードの回転に起因する流入風の風速の減衰および乱れの効果のことをいう。
【0020】
ウエイクの影響を受けた風車からは、意図する発電量が得られないことがある。このため、風車と風車との間にはウエイクの影響を考慮した距離(以下、「離隔距離」と呼ぶ。)が設けられる。離隔距離としては、例えば、風車の半径の3乃至5倍程度の距離が設けられる。以下、風車と風車との間に離隔距離が設けられていることを「離隔制約」と呼ぶ。ウエイクの影響は、主に風下側に配置された風車が受ける。このため、風向の変化を考慮して、風車を中心とする全方位に離隔制約が設定される。なお、離隔距離の具体例については、図14を参照して後述する。
【0021】
配置エリアは、上述の適地探索処理の結果として抽出されてユーザ端末30に選択可能に提示された複数の候補エリアの中から選択されてもよいし、ユーザ端末30に表示された地図データ上にて指定されもよい。また、ユーザ端末30に入力された、位置を示す情報により特定可能なエリアであってもよい。このうち、「地図データ上にて指定されたエリア」とは、例えば、ユーザが地図上に手書きすることで指定されたエリアなどである。また、「位置を示す情報」とは、例えば、緯度経度を示す値など客観的に特定可能な情報等である。
【0022】
また、管理サーバ10は、配置最適化処理として、配置パターンの評価結果(例えば、配置位置ごとの評価スコアの合計)に基づき生成した配置パターンのうち1または複数の配置パターンをユーザ端末30に提示する。管理サーバ10は、1または複数の配置パターンをユーザ端末30に提示する際、その配置パターンを構成する複数の風車の各々の配置位置を示す情報をさらに提示してもよい。「配置位置を示す情報」とは、例えば、緯度経度を示す値など客観的に特定可能な情報等である。
【0023】
また、管理サーバ10は、複数の候補エリアを対象とする配置最適化処理を行うことができる。この場合、管理サーバ10は、複数の候補エリアの各々について配置パターンの生成および評価を行い、各々の配置パターンの評価結果を比較可能にユーザ端末30に提示する。配置パターンの評価結果には、例えば、配置パターンを構成する複数の風車の各々の配置位置、離隔制約、および評価スコアや、配置パターンを構成する複数の風車の評価スコアの合計値や平均値などの情報が含まれる。複数の候補エリアを対象とする配置最適化処理を行うことにより、例えば、評価スコアの合計値が低いものの、地形等のパラメータの影響により、配置パターンの評価結果が良い候補エリアをピックアップすることができる。
【0024】
ここで、配置パターンの評価結果をどのような態様で比較可能にユーザ端末30に提示するかは特に限定されない。例えば、配置パターンの評価結果を比較可能に一覧化した表をユーザ端末30に提示してもよいし、配置パターンの評価結果を比較可能に可視化したエリアマップをユーザ端末30に提示してもよい。または、表とエリアマップとの組み合わせをユーザ端末30に提示してもよい。
【0025】
また、管理サーバ10は、1または複数の風車の配置パターンを指定する操作が行われた場合には、指定された配置パターンの評価結果をユーザ端末30に提示する。「配置パターンを指定する操作」とは、例えば、配置位置を地図上で指定する操作や、配置位置の緯度経度を示す情報など客観的に特定可能な情報を入力する操作などである。
【0026】
管理サーバ10によるこれらの処理によれば、例えば、地形のように3次元を表すパラメータと、風況のように1次元を表すパラメータとを含む多次元のデータを2次元の評価結果マップに落とし込むことが可能となる。これにより、ユーザの解釈を容易化させるだけでなく、計算コストを削減できるので、最適化させる際の探索を容易化させる。なお、管理サーバ10の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0027】
(ユーザ端末)
情報処理システム1を構成するユーザ端末30は、情報処理システム1が適用されるサービスを利用するユーザが操作するパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置である。ユーザ端末30は、情報処理システム1を利用可能にするアプリケーションプログラムを実行可能とする。ユーザ端末30は、管理サーバ10から送信されてくる各種の情報や、ユーザの操作により入力された各種の情報等に基づいて、各種の処理を行うことを可能とする。また、ユーザ端末30は、管理サーバ10に向けて各種の情報を送信することを可能とする。
【0028】
例えば、ユーザ端末30は、評価結果マップを画面に表示させるための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ10に向けて送信する。また、ユーザ端末30は、候補エリアを指定するための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ10に向けて送信する。また、ユーザ端末30は、配置エリアを指定するための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ10に向けて送信する。また、ユーザ端末30は、配置パターンを指定するための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ10に向けて送信する。また、ユーザ端末30は、配置パターンの評価結果を画面に表示させるための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ10に向けて送信する。
【0029】
また、ユーザ端末30は、管理サーバ10から評価結果マップ、配置パターンの評価結果などの情報が送信されてくると、それらの情報を取得して画面に表示する。なお、ユーザ端末30の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0030】
(情報提供サーバ)
情報処理システム1を構成する情報提供サーバ50は、例えば、データ管理会社、官公庁、各種団体等により管理されるサーバとしての情報処理装置である。情報提供サーバ50は、1または複数の風車を配置し得る位置として探索の対象とされた位置ごとのパラメータを提供する。パラメータは、予め定められたタイミング(随時、定期、リアルタイムなど)で管理サーバ10に提供されてもよいし、管理サーバ10からの要求に応じて提供されてもよい。
【0031】
なお、上述の情報処理システム1の構成は一例であり、情報処理システム1全体として上述の処理を実現させる機能を備えていればよい。このため、上述の処理を実現させる機能のうち、一部または全部を情報処理システム1内の各情報処理装置で分担してもよいし協働してもよい。すなわち、管理サーバ10の機能の一部または全部をユーザ端末30や情報提供サーバ50の機能としてもよいし、ユーザ端末30の機能の一部または全部を管理サーバ10や情報提供サーバ50の機能としてもよい。また、情報提供サーバ50の機能の一部または全部を管理サーバ10やユーザ端末30の機能としてもよい。さらに、情報処理システム1を構成する各情報処理装置の機能の一部または全部を、図示せぬ他のサーバ等に移譲してもよい。これにより、情報処理システム1全体としての処理が促進され、また、処理を補完し合うこともできる。
【0032】
<ハードウェア構成>
(管理サーバのハードウェア構成)
図2は、管理サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
管理サーバ10は、制御部11と、メモリ12と、記憶部13と、通信部14と、操作部15と、表示部16とを有している。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等で接続されている。
【0033】
制御部11は、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションソフトウェア(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアの実行を通じて管理サーバ10の機能の制御を行うプロセッサである。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成される。メモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、演算に際して作業エリアとして用いられる。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0034】
記憶部13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。記憶部13は、例えばプログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等で構成される。記憶部13には、各種情報を記憶するデータベースが格納されている。記憶部13に格納されたデータベースとしては、例えば、地図データが記憶された地図DB131、パラメータが記憶されたパラメータDB132、エリア情報が記憶されたエリアDB133、配置パターン情報が記憶された配置パターンDB134などが挙げられる。
【0035】
通信部14は、ネットワーク90を介して管理サーバ10および外部との間でデータの送受信を行う。操作部15は、例えばキーボード、マウス、機械式のボタン、スイッチで構成され、入力操作を受け付ける。操作部15には、表示部16と一体的にタッチパネルを構成するタッチセンサも含まれる。表示部16は、例えば情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成され、画像やテキストのデータなどを表示する。表示部16にはユーザインターフェース等が表示される。
【0036】
(ユーザ端末のハードウェア構成)
ユーザ端末30のハードウェア構成は、図2に示す管理サーバ10のハードウェア構成と同様の構成を備えている。すなわち、ユーザ端末30は、図2の制御部11、メモリ12、記憶部13、通信部14、操作部15、および表示部16の各々と同様の機能を有する、制御部、メモリ、記憶部、通信部、操作部、および表示部の各々を備えている。このため、ユーザ端末30のハードウェア構成の図示および説明を省略する。
【0037】
<機能構成>
(管理サーバの制御部の機能構成)
図3は、管理サーバ10の制御部11の機能構成の一例を示す図である。
管理サーバ10の制御部11では、取得部101と、管理部102と、評価部103と、生成部104と、抽出部105と、最適化部106と、送信制御部107とが機能する。
【0038】
取得部101は、通信部14(図2参照)を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部101は、ユーザ端末30および情報提供サーバ50の各々から送信されてくる各種の情報を取得する。取得部101が取得する各種の情報のうち、情報提供サーバ50から送信されてくる情報としては、例えば、1または複数の風車を配置し得る位置ごとのパラメータなどが挙げられる。
【0039】
また、取得部101が取得する各種の情報のうち、ユーザ端末30から送信されてくる情報としては、例えば、探索の対象とする地域を指定するために入力された情報(以下、「地域指定情報」と呼ぶ。)、複数のパラメータの重みづけをするために入力された情報(以下、「重みづけ指定情報」と呼ぶ。)、評価結果マップを画面に表示させるために入力された情報、候補エリアを指定するために入力された情報(以下、「候補エリア指定情報」と呼ぶ。)、配置エリアを指定するために入力された情報(以下、「配置エリア指定情報」と呼ぶ。)、配置パターンを指定するために入力された情報(以下、「配置パターン指定情報」と呼ぶ。)、配置パターンの評価結果を画面に表示させるために入力された情報などが挙げられる。
【0040】
管理部102は、取得部101により取得された各種の情報を、記憶部13(図2参照)のデータベースに記憶させて管理する。例えば、管理部102は、地図データ、パラメータ、エリア情報、および配置パターン情報の各々を、地図DB131、パラメータDB132、エリアDB133、および配置パターンDB134の各々に記憶させて管理する。
【0041】
評価部103は、取得部101により取得された、位置の複数のパラメータに基づいて、位置ごとに適正評価を行う。適正評価はAI(人工知能)により行われてもよい。評価部103による位置の適正評価は、例えば、以下のように行われる。すなわち、風力発電の収支により示される事業性を高めることを目的とする場合には、収支の適正化に寄与するパラメータとして、収入の増減に寄与するパラメータと、支出の増減に寄与するパラメータとに基づいて、位置の適正評価が行われる。この場合、収入の増減に寄与するパラメータとしては、例えば、風況、風車の台数などが挙げられる。また、支出の増減に寄与するパラメータとしては、例えば、道路からの距離、風車の建設資材の輸送コスト、風車の建設地の地形、風車の耐久性などが挙げられる。
【0042】
評価部103は、位置の適正評価を行う際、複数のパラメータの各々に重みづけを行うことができる。重みづけは、例えば、重みを示す値に基づいて行われてもよいし、重みを示す具体的な金額に基づいて行われてもよい。重みを示す値や金額は、ユーザが設定できるようにしてもよい。重みを示す具体的な金額に基づいて重みづけが行われる場合には、評価結果マップから経済性の比較が可能となる。
【0043】
また、評価部103は、後述する生成部104により生成された配置パターンの評価を行う。具体的には、評価部103は、評価対象の配置パターンにて配置エリアに配置される複数の風車の各々の配置位置における風況に基づいて、その配置パターンの評価を行う。
【0044】
生成部104は、評価部103により位置ごとに行われた適性評価の結果を地図上に表した評価結果マップを生成する。また、生成部104は、配置エリアまたは候補エリアにおける複数の風車の各々の配置パターンを生成する。
【0045】
抽出部105は、生成部104により生成された評価結果マップから候補エリアを抽出する。候補エリアの抽出はAI(人工知能)により行われてもよい。抽出部105は、抽出可能な候補エリアが複数存在する場合には、位置ごとの適性評価の結果に基づいて、1または複数の候補エリアを特定して抽出する。抽出部105は、予め定められた数の候補エリアを抽出することができる。例えば、抽出可能な複数の候補エリアを、位置の適性評価の結果が高い順にソートし、位置の適性評価の結果が高い方から予め定められた数の候補エリアが抽出されるようにしてもよい。
【0046】
最適化部106は、生成部104と評価部103との各々に、配置パターンの生成とその配置パターンの評価との各々を繰り返し行わせることで、配置パターンを最適化させる。具体的には、例えば、最適化部106は、ヒューリスティックの手法を用いて配置パターンを最適化させる。ヒューリスティックの手法としては、例えば、Greedy法、Simulated Annealing法、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。なお、ヒューリスティックの手法を用いた配置パターンの最適化の流れについては、図7および図8を参照して後述する。
【0047】
最適化部106は、配置パターンの評価を行う際、評価の対象となる配置パターンにて配置エリアに配置される複数の風車の各々のウエイクの影響を考慮することができる。この場合、最適化部106は、配置エリアに配置される複数の風車の各々の配置位置における風向、風速、および頻度に基づいて、ウエイクの影響を示す値を算出する。例えば、最適化部106は、配置エリアに配置される複数の風車の各々の配置位置における風向および風速を頻度で重みづけすることで、ウエイクの影響を示す値を算出する。
【0048】
送信制御部107は、通信部14を介して各種の情報を送信するための制御を行う。例えば、送信制御部107は、ユーザ端末30に向けて、評価結果マップや、配置パターンの評価結果を送信するための制御を行う。また、例えば、送信制御部107は、情報提供サーバ50に向けて、位置のパラメータの提供を要求するための情報(以下、「パラメータ要求情報」と呼ぶ。)を送信するための制御を行う。また、送信制御部107は、ユーザ端末30に向けて、風車ごとの建設に用いられる情報や、風車ごとの事業性の評価に用いられる情報などを送信するための制御を行う。
【0049】
(ユーザ端末の制御部の機能構成)
図4は、ユーザ端末30の制御部の機能構成の一例を示す図である。
ユーザ端末30の制御部では、取得部301と、表示制御部302と、送信制御部303とが機能する。
【0050】
取得部301は、通信部を介して各種の情報を取得する。取得部301により取得される情報としては、例えば、管理サーバ10から送信されてきた、評価結果マップ、配置パターンの評価結果、風車ごとの建設に用いられる情報、風車ごとの事業性の評価に用いられる情報などが挙げられる。
【0051】
表示制御部302は、表示部に各種の情報を表示させるための制御を行う。例えば、表示制御部302は、評価結果マップや、配置パターンの評価結果を表示部に表示させるための制御を行う。なお、表示部に表示された各種の情報の具体例については、図10以降の図を参照して後述する。
【0052】
送信制御部303は、通信部を介して各種の情報を送信するための制御を行う。送信制御部303により送信が制御される情報としては、例えば、地域指定情報、重みづけ指定情報、評価結果マップを表示部に表示させるために入力された情報、候補エリア指定情報、配置エリア指定情報、配置パターン指定情報、配置パターンの評価結果を表示部に表示させるために入力された情報などが挙げられる。
【0053】
<管理サーバの処理の流れ>
図5は、管理サーバ10の全体的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
管理サーバ10は、ユーザ端末30から地域指定情報が送信されてくると(ステップ501でYES)、送信されてきた地域指定情報を取得し(ステップ502)、地域指定情報から特定される地域の地図情報を取得する(ステップ503)。これに対して、地域指定情報が送信されてきていない場合(ステップ501でNO)、管理サーバ10は、地域指定情報が送信されてくるまでステップ501の判断処理を繰り返す。
【0054】
管理サーバ10は、適地探索処理として、地域指定情報から特定される地域に含まれる位置ごとのパラメータ情報を取得する(ステップ504)。具体的には、例えば、管理サーバ10は、情報提供サーバ50に向けてパラメータ要求情報を送信した後に情報提供サーバ50から送信されてきたパラメータ情報を取得する。また、例えば、管理サーバ10は、パラメータDB132に予め記憶されているパラメータ情報を取得する。
【0055】
管理サーバ10は、ユーザ端末30から重みづけ指定情報が送信されてくると(ステップ505でYES)、送信されてきた重みづけ指定情報を取得し(ステップ506)、重みづけ指定情報から特定される重みづけの内容に基づいて、パラメータに重みづけをする(ステップ507)。そして、管理サーバ10は、適地探索処理として、位置ごとに建設の適性評価を行い(ステップ508)、評価結果マップを生成する(ステップ509)。これに対して、重みづけ指定情報が送信されてきていない場合(ステップ505でNO)、管理サーバ10は、適地探索処理として、パラメータに重みづけをすることなく位置ごとの適性評価を行い(ステップ508)、評価結果マップを生成する(ステップ509)。
【0056】
評価結果マップを生成した管理サーバ10は、適地探索処理として、評価結果マップから候補エリアを抽出する(ステップ510)。このとき、抽出可能な候補エリアが複数存在する場合には(ステップ511でYES)、管理サーバ10は、位置ごとの適性評価の結果に基づいて、1または複数の候補エリアを特定して抽出する(ステップ512)。例えば、管理サーバ10は、位置ごとの適正評価の結果を示す値の合計値または平均値が高い順に予め定められた数の候補エリアを特定して抽出する。管理サーバ10により特定された1または複数の候補エリアは、評価結果マップに反映される。
【0057】
これに対して、抽出可能な候補エリアが複数ではなく1つである場合には(ステップ511でNO)、管理サーバ10は、後述する図6に示す配置最適化処理を行う(ステップ513)。配置最適化処理を行った管理サーバ10は、ユーザ端末30に評価結果マップを提示する(ステップ514)。具体的には、管理サーバ10は、ユーザ端末30に向けて評価結果マップを送信するための制御を行う。
【0058】
図6は、管理サーバ10の処理のうち、配置最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
管理サーバ10は、上述の図5のステップ512の処理で1または複数の候補エリアを抽出すると(ステップ601でYES)、抽出した1または複数の候補エリアの各々の配置パターンを生成し(ステップ602)、生成した配置パターンを評価する(ステップ603)。具体的には、配置パターンの生成と、生成した配置パターンの評価とを繰り返すことで配置パターンの最適化を行う。管理サーバ10は、上述の図5のステップ512の処理で1または複数の候補エリアを抽出していない場合には(ステップ601でNO)、ステップ601の判断処理を繰り返す。
【0059】
管理サーバ10は、配置パターンが最適化されると(ステップ604でYES)、最適化された配置パターンを評価結果マップに反映させる(ステップ605)。これに対して、配置パターンが最適化されていない場合(ステップ604でNO)、管理サーバ10の処理はステップ602に戻る。
【0060】
図7および図8は、ヒューリスティックの手法を用いて配置最適化処理を行う場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7には、ヒューリスティックの手法であるGreedy法を用いて、予想される発電量に対する適正評価の結果が高くなるように配置パターンの初期解を生成する処理の流れの一例が示されている。なお、Greedy法を用いた配置パターンの初期解の生成は必須ではなく、例えば、ユーザが初期解となる配置パターンを指定してもよい。ただし、Greedy法を用いることで、ユーザの作業の手間が削減される。また、Greedy法を用いて生成された初期解を、後述するSimulated Annealing法により最適化を行う際の初期解とすることで、Simulated Annealing法の解の質を高めることができる。
【0061】
図7に示すように、管理サーバ10は、上述の適地探索処理の結果として生成した評価結果マップをソートする(ステップ701)。具体的には、評価結果マップにおいて、位置の適正評価の結果が高い順にエリアをソートする。そして、管理サーバ10は、初期解となる配置パターンが指定されている場合には(ステップ702でYES)、指定された配置パターンに従って配置する(ステップ703)。これに対して、初期解となる配置パターンが指定されていない場合には(ステップ702でNO)、ステップ704の判断処理に進む。
【0062】
管理サーバ10は、予め定められた台数の風車を配置できた場合には(ステップ704でYES)、配置最適化処理を終了させる(END)。「予め定められた台数」とは、例えば、建設予定台数などである。これに対して、予め定められた台数の風車を配置できなかった場合(ステップ704でNO)、管理サーバ10は、位置の評価結果が高い順に候補エリアを抽出する(ステップ705)。
【0063】
管理サーバ10は、ステップ705で抽出した候補エリアが離隔制約を満たす場合には(ステップ706でYES)、その候補エリアに複数の風車を配置し(ステップ707)、ステップ704の判断処理に戻る。これに対して、ステップ705で抽出した候補エリアが離隔制約を満たさない場合には(ステップ706でNO)、ステップ705の処理に戻り、評価結果が次に高い候補エリアを抽出し、ステップ706の判断処理を行う。
【0064】
図8には、ヒューリスティックの手法であるSimulated Annealing法を用いて、予想発電量に対する適正評価の結果が高くなるように配置パターンの最適解を生成する処理の流れの一例が示されている。図8に示すように、管理サーバ10は、配置パターンの初期解に基づいて、変更解を生成する(ステップ801)。配置パターンの初期解は、例えば、上述の図7に示すGreedy法を用いて生成されたものであってもよいし、ユーザにより指定されたものであってもよい。
【0065】
管理サーバ10は、配置パターンの現在解(始めは初期解)および変更解の各々の評価を行う(ステップ802)。そして、管理サーバ10は、更新条件を満たす場合には(ステップ803でYES)、配置パターンの変更解を現在解に更新する(ステップ804)。「更新条件」とは、例えば、現在解よりも変更解の方が評価の結果がよいという条件や、確率的な遷移条件を充足したという条件などである。これに対して、更新条件を満たない場合(ステップ803でNO)、管理サーバ10の処理はステップ806に進む。
【0066】
管理サーバ10は、配置パターンの現在解および最適解の各々の評価を行う(ステップ805)。「最適解」は、管理サーバ10が最適な配置パターンの解として予め保持している解であり、現在解と最適解とは必ずしも一致しない。管理サーバ10は、予想発電量に対する適正評価の結果が高くなるように、パラメータの修正と解の更新とを繰り返す(ステップ806)。そして、その反復回数が予め規定された回数(以下、「規程反復回数」と呼ぶ。)に達すると(ステップ807でYES)、そのときの解を最適解として決定する(ステップ808)。これに対して、反復回数が規程反復回数に達していない場合(ステップ807でNO)、管理サーバ10の処理はステップ801に戻る。
【0067】
なお、図8の例では、反復回数が規程反復回数に達したことで最適解を決定しているが、これに限定されない。例えば、解の評価結果の変動が予め定められた範囲に収まるなど最適解の評価結果が収束したことで最適解を決定してもよいし、確率的な遷移条件の充足による解の更新の回数が予め定められた回数に達したことで最適解を決定してもよい。また、これらの組み合わせにより最適解を決定してもよい。なお、Simulated Annealing法を用いることで真の最適解を得られる保証はないが、作業者が人力で行うよりも試行回数を稼げるため、より良質な解を得ることができる。また、上述のようにGreedy法により生成された初期解を用いることで、解の質を高めることができる。
【0068】
<具体例>
図9は、データベースに記憶されたパラメータの具体例を示す図である。
記憶部13(図2参照)のパラメータDB132には、パラメータと、適正評価の基準と、重みづけの値とが対応付けられて記憶されている。図9には、その具体例として、パラメータとしての「風況」、「傾斜角」、「地形曲率」、「道路からの距離」、および「海岸からの距離」の各々に、適正評価の基準(1乃至5の5段階評価)と、重みづけの値(「重み」と表記)とが対応付けられている。
【0069】
図9に示すパラメータのうち、例えば、風況は、風速を示す値が大きくなるほど評価が高くなり、風速を示す値が「8~10m/s未満」のときに最も高い評価値「5」を示している。また、風況の重みづけの値(「3」)は、他のパラメータの重みづけの値(「1」)よりも大きくなっている。重みづけの値は、重みづけ指定情報に基づいて設定されてもよいし、予め設定されていてもよい。
【0070】
図9に示すパラメータのうち、風況以外のパラメータ(傾斜角、地形曲率、道路からの距離、および海岸からの距離)の各々の適正評価の基準の具体例については、図9に示すとおりである。すなわち、傾斜角は、小さくなるほど評価が高くなり、「0~5°未満」のときに最も高い評価値「5」を示している。また、地形曲率は、大きくなるほど評価が高くなり、「1°以上」のときに最も高い評価値「5」を示している。また、道路からの距離は、短いほど評価が高くなり、「0~100m未満」のときに最も高い評価値「5」を示している。また、海岸からの距離も、短いほど評価が高くなり、「0~2km未満」のときに最も高い評価値「5」を示している。
【0071】
図10および図11は、適地探索処理の結果として生成された評価結果マップの具体例を示す図である。
図10には、位置ごとの適正評価の結果が反映された評価結果マップの具体例が示されている。図10に示す評価結果マップでは、適正評価の結果が高い位置と、適正評価の結果が低い位置とを示す「開発適正度(開発可能地)」が識別可能な態様により表されている。ユーザは、評価結果マップを見ることで、位置ごとの適正評価の結果の差異を一見して把握できる。図10の評価結果マップでは、海岸に近いエリアの開発適正度(開発可能地)が高くなっている。
【0072】
図11には、候補エリアが反映された評価結果マップの具体例が示されている。図11に示す評価結果マップでは、破線で囲まれた候補エリアが識別可能な態様で示されている。ユーザは、図11に示す評価結果マップを見ることで、複数の候補エリアを一見して把握できる。
【0073】
図12は、候補エリアのエリアマップの具体例を示す図である。
図12には、上述の図11の評価結果マップに表示された複数の候補エリアのうち、1の候補エリアのエリアマップの具体例が示されている。図12に示すエリアマップには、約8km×約15kmの候補エリアが示されている。また、図12では、パラメータのうち風速(Wind speed[m/s])の違いが識別可能な態様により示されている。エリアマップが読み込まれると、配置最適化処理が開始される。ここで、例えば、風況と、風車のブレードの直径(112m)と、台数(14台)とを含む複数のパラメータが設定され、配置最適化処理が開始されたとする。
【0074】
図13は、配置最適化処理にて行われる配置パターンの最適解の更新の具体例を示す図である。
上述のように、管理サーバ10は、配置最適化処理において、配置パターンの現在解および最適解の各々について適正評価を行う。そして、管理サーバ10は、現在解の適正評価の結果と、最適解の適正評価の結果とを比較し、最適解の適正評価の結果よりも現在解の適正評価の結果の方が高ければ、現在解を最適解とする更新を行い保存する。
【0075】
例えば、図13には、上述の図12のエリアマップに14台の風車を配置した配置パターンが示されている。図13において、複数の黒点は風車の配置パターンを示し、破線はウエイクが影響する範囲を示している。このうち、左側に示す配置パターンが最適解であり、右側に示す配置パターンが現在解であったとする。この場合、最適解(左側)の適正評価の結果を示す値(96.92)よりも、現在解(右側)の適正評価の結果を示す値(96.94)の方が高いので、最適解が更新される。
【0076】
図14は、配置最適化処理にて行われる風車の配置の手順の具体例を示す図である。
配置エリアあるいは候補エリアは、面積や形状に制限があるため、複数の風車を配置する手順が重要になる。特に1台目の風車の配置位置は評価スコアの合計値に大きく影響する。
【0077】
例えば、図14に示すように、評価スコアが「5」である領域901と、「9」である領域902と、「10」である領域903とで構成された配置エリア900に2台の風車201および202を配置するための配置最適化処理が行われたとする。この場合、2台の風車201および202を配置する手順として、1台目の風車201を配置する際、2台目の風車202の配置位置が考慮される。具体的には、1台目の風車201の配置位置の評価スコアが、配置エリア内の最高値にならなかったとしても、2台目の風車202の配置位置の評価スコアとの合計値がより高くなるように、離隔距離1000を考慮しながら1台目の風車201が配置される。
【0078】
例えば、図14の例では、1台目の風車201と2台目の風車202とがいずれも領域902に配置することで評価スコアの合計値が「18」になる。このように、管理サーバ10は、配置最適化処理において、複数の風車を配置する際、2台目以降の風車の配置位置の適正評価の結果も考慮して1台目の風車を配置する。
【0079】
図15は、2台目以降の風車の配置位置の適正評価の結果が考慮されることなく1台目の風車が配置された場合の具体例を示す図である。すなわち、図15には、上述の図14に示す配置エリア900に、上述の配置最適化処理が行われることなく2台の風車201および202が配置された例が示されている。図15の例では、2台の風車201および202を配置する手順として、1台目の風車201を配置する際、2台目の風車202の配置位置が考慮されない。
【0080】
具体的には、1台目の風車201は、配置位置の評価スコアが配置エリア内の最高値「10」になるように領域903に配置される。この場合、2台目の風車202は、離隔距離1000の影響を受けるため、評価スコアがエリア内の最低値「5」である領域901に配置せざるを得ない。その結果、評価スコアの合計値は「15」になり、配置最適化処理が行われた場合に比べて低くなる。
【0081】
<他の実施の形態>
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上述した本実施の形態に限るものではない。また、本発明による効果も、上述した本実施の形態に記載されたものに限定されない。例えば、図1に示す情報処理システム1の構成、図2に示す管理サーバ10のハードウェア構成、図3の管理サーバ10の制御部11の機能構成、および図4のユーザ端末30の制御部の機能構成は、いずれも本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した処理を全体として実行できる機能を図1の情報処理システム1が備えていれば足り、この機能を実現するためにどのようなハードウェア構成および機能構成を用いるかは上述の例に限定されない。
【0082】
また、図5乃至図8の各々に示す管理サーバ10の処理のステップの順序も例示に過ぎず、特に限定されない。図示されたステップの順序に沿って時系列的に行われる処理だけではなく、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別的に行われてもよい。また、図9乃至図14に示す具体例も一例に過ぎず、特に限定されない。
【0083】
例えば、上述の実施の形態に示されたパラメータは例示に過ぎない。風車の建設の適正に寄与し得るあらゆる情報をパラメータとすることができる。
【0084】
また、上述の実施の形態では、ヒューリスティックの手法としてのGreedy法、Simulated Annealing法、またはこれらの組み合わせを用いて配置パターンの生成や評価が行われるが、これに限定されない。Greedy法、Simulated Annealing法、線形プログラミング、強化学習、遺伝的アルゴリズム、スワーム最適化、またはこれらの組み合わせ以外の手法を用いて配置パターンの生成や評価が行われてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…情報処理システム、10…管理サーバ、30…ユーザ端末、50…情報提供サーバ、11…制御部、12…メモリ、13…記憶部、14…通信部、15…操作部、16…表示部、101…取得部、102…管理部、103…評価部、104…生成部、105…抽出部、106…最適化部、107…送信制御部、301…取得部、302…表示制御部、303…送信制御部、90…ネットワーク
【要約】
【課題】風車を配置するエリアの選定、およびエリア内の風車の配置の選定を作業者が人力で行う場合と比較して、作業者の手間を削減し、かつ、事業性の高い風力発電所を建設できるようにする。
【解決手段】情報処理システムを構成する管理サーバ10の制御部11では、取得部101が、1または複数の風車を配置し得る位置ごとに、風車の建設の適性に寄与するパラメータとして、少なくとも風況を含む複数のパラメータを取得し、評価部103が、複数のパラメータに基づいて、風車の建設の適性を位置ごとに評価し、送信制御部107が、評価結果を示す評価結果マップを送信するための制御を行う。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15