(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240924BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G03G21/16 171
G03G21/16 120
G03G15/16 103
(21)【出願番号】P 2023221608
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2020038853の分割
【原出願日】2020-03-06
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓貴
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028345(JP,A)
【文献】特開2011-064925(JP,A)
【文献】特開2017-120351(JP,A)
【文献】特開平08-101619(JP,A)
【文献】特開2007-213018(JP,A)
【文献】特開2014-119505(JP,A)
【文献】特開2011-118119(JP,A)
【文献】特開2013-246399(JP,A)
【文献】特開2006-065267(JP,A)
【文献】特開2001-034144(JP,A)
【文献】特開2003-195726(JP,A)
【文献】特開2019-124969(JP,A)
【文献】特開2018-205508(JP,A)
【文献】特開2016-075752(JP,A)
【文献】特開2015-163983(JP,A)
【文献】米国特許第05392371(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/02
13/045
13/14-13/16
15/00
15/02
15/045
15/14-15/16
21/00
21/06-21/08
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する装置本体と、
感光体を有し、前記装置本体に引き出し可能に装着された感光体ユニットと、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体に対する前記感光体ユニットの移動をガイドするガイド手段と、
前記感光体ユニットに設けられた装着部に着脱可能に構成される現像カートリッジであって、現像剤を収容する筐体と、前記現像剤を用いて前記感光体上の静電潜像を現像する現像ローラと、現像カートリッジに関する情報を記憶する記憶媒体と、を有する現像カートリッジと、
前記感光体ユニットに設けられ、前記現像カートリッジが前記感光体ユニットに装着された状態で前記記憶媒体と電気的に接続される感光体ユニット側接点部と、
前記装置本体に設けられ、前記制御部と電気的に接続されており、前記感光体ユニットが前記装置本体に装着された状態で前記感光体ユニット側接点部と接触する本体側接点部と、
を備えた画像形成装置であって、
前記感光体ユニットは、前記装置本体に装着される時に、前記現像カートリッジが着脱可能な第1位置から、前記ガイド手段に案内されて第2位置を通過した後に、前記第2位置より下方の第3位置であって画像形成可能な第3位置に移動し、
前記第1位置から前記第2位置に向かう第1方向は、水平方向、又は、前記第2位置から前記第3位置に向かう第2方向の前記水平方向に対する傾きより前記水平方向に対する傾きが小さい方向であり、
前記感光体ユニットが前記ガイド手段に案内されて前記第1方向に移動している間に前記感光体ユニット側接点部と前記本体側接点部との係合が行われ、前記感光体ユニットが前記第2位置から前記第3位置へ移動する間において前記係合が維持されるように前記感光体ユニット側接点部と前記本体側接点部との少なくとも一方が変位する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザービームプリンタやLEDプリンタ等の画像形成装置において、装置本体から引き出し可能なトレイを設け、画像形成プロセスを実行するための複数の部品をトレイに対して着脱可能なカートリッジとして構成したものがある。この構成では、ユーザがトレイを引き出すことで、カートリッジを容易に交換することができる。
【0003】
特許文献1には、トレイ状のドラムユニットに対して現像カートリッジを着脱可能であり、現像カートリッジを収容した状態でドラムユニットを装置本体に装着する構成の画像形成装置が記載されている。この現像カートリッジには、現像カートリッジに関する様々な情報を記憶するための記憶媒体が取り付けられており、現像カートリッジがドラムユニットに装着された場合にドラムユニットの後部に設けられた中継基板と電気的に接続される。そして、ドラムユニットを装置本体に挿入した際に、中継基板と電気的に接続されたドラムユニット側の接点部材が装置本体側の接点部材と接触することで、装置本体の制御部が現像カートリッジの記憶媒体から情報を取得可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献に記載の構成では、ドラムユニットを転写ベルトに沿って略水平に移動させた後、水平方向に対して下方に傾斜した方向(第4方向)に移動させることでドラムユニット及び装置本体の接点部材同士が接触する。しかしながら、この構成では、ドラムユニットの挿入を案内するガイドレール等によって移動方向を規制されずに、ドラムユニットが重力に付勢ながら斜め下方に移動している状態で接点部材同士の接続が行われることになり、接続不良が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、接点部材同士の接続不良が発生し難い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、制御部を有する装置本体と、感光体を有し、前記装置本体に引き出し可能に装着された感光体ユニットと、前記装置本体に設けられ、前記装置本体に対する前記感光体ユニットの移動をガイドするガイド手段と、前記感光体ユニットに設けられた装着部に着脱可能に構成される現像カートリッジであって、現像剤を収容する筐体と、前記現像剤を用いて前記感光体上の静電潜像を現像する現像ローラと、現像カートリッジに関する情報を記憶する記憶媒体と、を有する現像カートリッジと、前記感光体ユニットに設けられ、前記現像カートリッジが前記感光体ユニットに装着された状態で前記記憶媒体と電気的に接続される感光体ユニット側接点部と、前記装置本体に設けられ、前記制御部と電気的に接続されており、前記感光体ユニットが前記装置本体に装着された状態で前記感光体ユニット側接点部と接触する本体側接点部と、を備えた画像形成装置であって、前記感光体ユニットは、前記装置本体に装着される時に、前記現像カートリッジが着脱可能な第1位置から、前記ガイド手段に案内されて第2位置を通過した後に、前記第2位置より下方の第3位置であって画像形成可能な第3位置に移動し、前記第1位置から前記第2位置に向かう第1方向は、水平方向、又は、前記第2位置から前記第3位置に向かう第2方向の前記水平方向に対する傾きより前記水平方向に対する傾きが小さい方向であり、前記感光体ユニットが前記ガイド手段に案内されて前記第1方向に移動している間に前記感光体ユニット側接点部と前記本体側接点部との係合が行われ、前記感光体ユニットが前記第2位置から前記第3位置へ移動する間において前記係合が維持されるように前記感光体ユニット側接点部と前記本体側接点部との少なくとも一方が変位することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接点部材同士の接続不良が発生し難い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る画像形成装置の断面構成を表す概略図。
【
図2】実施例1に係るカートリッジトレイの着脱について説明するための画像形成装置の斜視図(a、b)。
【
図3】実施例1に係るカートリッジトレイ(カートリッジ装着状態)の斜視図。
【
図4】実施例1に係るカートリッジトレイ(カートリッジ未装着状態)の斜視図。
【
図5】実施例1に係るカートリッジトレイの挿抜軌跡を説明するための図(a~c)。
【
図6】実施例1に係る本体コネクタの配置を説明するための図(a、b)。
【
図7】実施例1に係る本体コネクタの揺動動作を説明するための図(a、b)。
【
図8】実施例1に係るコネクタの接続を説明するための図(a~c)。
【
図9】実施例1の変形例に係るトレイ側コネクタの斜視図。
【
図10】実施例2に係るカートリッジトレイの斜視図。
【
図11】実施例2に係るコネクタの接続を説明するための図(a~c)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、画像形成装置に関して、ユーザがアクセスする側として想定される方向(前ドアを有する場合は前ドアが設けられた側)を正面側、正面側と反対側を背面側と称する。また、画像形成装置を正面から見て左側を画像形成装置の左側、右側を画像形成装置の右側と称する。
【0011】
また、感光ドラムの軸線が延びる方向(下記の実施例では画像形成装置の右側から左側に向かう方向)をX方向とし、鉛直方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に交差する方向(下記の実施例では画像形成装置の背面方向)をY方向とする。X方向、Y方向、Z方向は、好ましくは互いに直交する直交座標系である。つまり、X方向及びY方向は好ましくはいずれも水平方向である。また、以下の説明において、画像形成装置の構成要素の形状や構成要素間の位置関係について言及するときは、特に断らない限り、各構成要素が画像形成装置に組付けられた状態における位置や姿勢を前提とするものとする。
【実施例1】
【0012】
(1)画像形成装置の概略構成
実施例1に係る画像形成装置1の構成について説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置1の断面構成を表す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、カートリッジトレイ3と、カートリッジトレイに着脱可能に保持される現像カートリッジ8k、8c、8m、8yを有する。画像形成装置1は、電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像を形成する。記録媒体Sとしては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを使用可能である。
【0013】
カートリッジトレイ3は、トレイ枠体30と、トレイ枠体30に回転可能に支持される複数の感光ドラム4k、4c、4m、4yと、現像カートリッジ8k~8yを収容するカートリッジ収容部89k、89c、89m、89y(
図4参照)と、を有する。各感光ドラム4k~4yは、ドラム状に構成された電子写真感光体(像担持体)である。カートリッジトレイ3は、少なくとも1つの感光体を備えた感光体ユニットの例である。各現像カートリッジ8k~8yは、現像剤を収容する筐体7k、7c、7m、7yと、現像剤を用いて現像プロセスを行うための現像ローラ6k、6c、6m、6yと、を有する。また、カートリッジトレイ3には、感光ドラム4k~4yに対応する帯電ローラ5k、5c、5m、5yが設けられている。
【0014】
装置本体2の正面側には前ドア40が開閉可能に設けられており、後述するように前ドア40を開放することでカートリッジトレイ3を装置本体2から引き出し、カートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8k~8yの交換を行うことができる。なお、装置本体2とは、画像形成装置1からカートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8k~8yを除いた部分を指し、例えば画像形成装置1の枠体を含んでいる。
【0015】
装置本体2内における現像カートリッジ8k~8y及びカートリッジトレイ3の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが設けられている。また、装置本体2内における現像カートリッジ8k~8y及びカートリッジトレイ3の下方には、搬送手段としてのベルトユニット11が設けられている。このベルトユニット11は、駆動ローラ13及びテンションローラ14に、可撓性を有する静電吸着ベルト12を張架したものである。静電吸着ベルト12は、記録媒体Sを搬送するベルト部材の一例である。本実施例の静電吸着ベルト12は、駆動ローラ13とテンションローラ14との間で略水平方向に掛け渡されている。
【0016】
静電吸着ベルト12の内側には、感光ドラム4k~4yに対向させて転写ローラ16k、16c、16m、16yを設けている。この感光ドラム4k~4yと転写ローラ16k、16c、16m、16yが対向する箇所(感光ドラム4k~4yと静電吸着ベルト12との間のニップ部)は、転写プロセスが行われる転写部である。
【0017】
ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を設けている。この給送ユニット18は、記録媒体Sが積載されて収納される給送トレイ19と、給送ローラ20と、を有し、記録媒体Sを1枚ずつ給送する。Y方向でベルトユニット11の側方には、定着プロセスを行う定着ユニット21が設けられている。定着ユニット21の上方で装置本体2の上部には、記録媒体Sを装置本体2外に排出する排出ユニット22が設けられている。
【0018】
また、
図1に模式的に示すように、装置本体2には、画像形成装置1を制御する制御部として、制御基板2Cが搭載されている。制御基板2Cは、画像形成装置1の制御プログラムを実行するCPUと、制御プログラム及び画像形成装置1の制御に必要なデータ等を格納するメモリと、を有する。CPUは、メモリから制御プログラムを読み出して実行することで、例えば感光ドラム4k~4y等を駆動するためのモータや帯電ローラ5k~5y等にバイアス電圧を印加するための高圧基板を制御して画像形成動作を実行する。
【0019】
(2)画像形成動作
図1及び
図2を用いて画像形成動作について説明する。フルカラー画像を形成するための動作は次の通りである。現像カートリッジ8k~8yがカートリッジトレイ3に装着された状態でカートリッジトレイ3が装置本体2に挿入された後、前ドア40が閉じられることで、カートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8k~8yの画像形成装置1への装着が完了する。
【0020】
前ドア40が閉じられると、画像形成装置1に設けられた不図示のドラム駆動カップリングが、カートリッジトレイ3に設けられた感光ドラム4に接続されているドラムカップリング54と係合する。画像形成装置1が画像形成の実行指示を受け取ると、装置本体2の不図示の駆動出力モータ及びギアを介して、ドラムカップリング54が回転駆動され、これによって感光ドラム4が所定の速度で回転駆動される。静電吸着ベルト12も感光ドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。このとき、レーザスキャナユニットLBも駆動され、発光する。レーザスキャナユニットLBの発光に同期して、帯電ローラ5k~5yによって感光ドラム4表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。レーザスキャナユニットLBは各感光ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザー光Lで走査露光する。これにより、感光ドラム4の表面(感光体上)に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0021】
この静電潜像は、所定の速度で回転駆動される現像ローラ6k~6yにより現像される。このようなプロセスを経て、第1の感光ドラム4yにはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。同様に、第2~第4の感光ドラム4m、4c、4kにはフルカラー画像のマゼンタ色、シアン色、ブラック色に対応するトナー像が形成される。
【0022】
一方、給送トレイ19からは所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。記録媒体Sが第1~第4の感光ドラム4y、4m、4c、4kを順に通過する間に、記録媒体Sにはイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色のトナー像が重畳転写される。このようにして、記録媒体S上に4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0023】
トナー像を転写された記録媒体Sは、定着ユニット21で定着処理を受ける。定着ユニット21は、記録媒体Sを挟持して搬送するローラ対と、記録媒体S上のトナー像を加熱するための加熱手段(例えば、ハロゲンランプや電磁誘導加熱ユニット)を有し、未定着トナー像に熱及び圧力を加える。これによりトナーが溶融・混色し、その後固着することで、記録媒体Sに定着した定着画像が得られる。定着ユニット21を通過した記録媒体Sは、排出ユニット22によって装置本体2の上面に設けられた排出トレイ23へ排出される。
【0024】
(3)カートリッジトレイの挿抜動作
次に、
図2を用いて装置本体2に対するカートリッジトレイ3の挿抜動作について説明する。
図2(a)は、前ドア40を開いて装置本体2からカートリッジトレイ3を引出位置まで引き出した状態を表している。ただし、引出位置とは、現像カートリッジ8k~8yの着脱を容易に行うことができる程度に現像カートリッジ8k~8yが装置本体2から露出する位置を指す。本実施例では、後述のストッパーによりカートリッジトレイ3の引き出しが規制される位置を引出位置とする。
【0025】
図2(b)は、装置本体2からカートリッジトレイ3を取り外した状態を表している。画像形成装置1内部で記録媒体Sの搬送不良(ジャム)が生じた場合、
図2(b)に示すようにカートリッジトレイ3を装置本体2から取り外すことで記録媒体Sの搬送経路の一部が開放され、詰まった記録媒体Sを容易に除去することができる。
【0026】
次に
図3、
図4、
図5(a~c)を用いてカートリッジトレイ3の挿抜を案内するガイド構成の説明をする。
図3は、現像カートリッジ8k~8yを装着したカートリッジ装着状態のカートリッジトレイ3を挿入方向D1の下流側から見た斜視図である。
図4は、現像カートリッジ8k~8yを装着していないカートリッジ未装着状態のカートリッジトレイ3を挿入方向D1の上流側から見た斜視図である。ただし、挿入方向D1(本実施例の第1方向)とは、カートリッジトレイ3を引出位置から装置本体2内に向けて挿入するときのカートリッジトレイ3の移動方向である。本実施例における挿入方向D1は、X方向に見て実質的に水平方向である。
【0027】
カートリッジトレイ3のトレイ枠体30のX方向における両側面には、
図3、
図4に示すように、各側面からトレイ枠体30の外側に突出したトレイガイド49L、49Rが設けられている。また、Y方向におけるトレイガイド49L、49Rの背面側部分には、トレイ枠体30に対して回転可能に支持されたガイドコロ50L、50Rが設けられている。
【0028】
図5(a~c)を用いて詳細なカートリッジトレイ3のガイド構成を説明する。ただし、X方向で一方側のガイド構成と他方側のガイド構成は実質的に対称であるため、
図5に関しては、X方向の一方側と他方側を区別せずに説明し、説明された構成はX方向の両側に設けられているものとする。例えば、トレイガイド49L、49Rを区別せずに「トレイガイド49」とし、X方向の一方側と他方側のガイドコロを区別せずに「ガイドコロ50」とする。
【0029】
図5(a)に示すように、トレイガイド49のZ方向下側の下面49aは、Y方向に延びた面である。また、ガイドコロ50の最下部は、トレイガイド49よりもZ方向で下方に突出している。また、Y方向におけるトレイガイド49の正面側の端部には、トレイガイド傾斜面49bが設けられている。トレイガイド傾斜面49bは、トレイガイド49の正面側の終端に近づくにつれてZ方向上側に向かうように(つまり、挿入方向D1に向かってZ方向下方に)傾斜している。
【0030】
次に装置本体2に設けられたカートリッジトレイ3のガイド構成を説明する。
図2(b)に示すように、装置本体2におけるカートリッジトレイ3の収容部の両側面には、本実施例のガイド手段としてのガイドレール41が設けられている。
図5(a)に示すように、各ガイドレール41は、挿入方向D1に伸びたガイド面41aを有する。さらに、
図5(a)に示すように、各ガイドレール41のY方向における背面側には、ガイド面41aに連続して傾斜面41bが設けられている。傾斜面41bは、背面側の終端に近づくにつれてZ方向下側に向かうように(つまり、挿入方向D1に向かってZ方向下方に)傾斜している。ガイド面41a及び傾斜面41bは、被案内部としてのガイドコロ50と接触することでカートリッジトレイ3の移動方向を規制するガイド形状の一例である。また、ガイドレール41の画像形成装置1における正面側の端部には、ガイドレール41のガイド面41aからZ方向上向きに突出したトレイストッパ41cが形成されている。
【0031】
以下、
図5(b)に示すカートリッジトレイ3の位置を「装着位置」とする。カートリッジトレイ3が装着位置にあるとき、感光ドラム4k~4yは静電吸着ベルト12に当接しており、画像形成装置1が画像形成動作を実行可能(画像形成可能)となる。
図5(c)に示すカートリッジトレイ3の位置を「ドラム離間位置」とする。カートリッジトレイ3がドラム離間位置にあるとき、感光ドラム4k~4yは静電吸着ベルト12から上方に離間する。また、上述した通り、現像カートリッジ8k~8yの着脱が可能となるようにカートリッジトレイ3を引き出したときの位置を「引出位置」とする。
【0032】
引出位置は本実施例の第1位置であり、ドラム離間位置は本実施例の第2位置であり、装着位置は本実施例の第3位置である。Z方向において装着位置はドラム離間位置より下方である。また、本実施例の引出位置は、Z方向においてドラム離間位置と略同じ高さであるが、引出位置とドラム離間位置の高さは異なっていてもよい。
【0033】
以下、装置本体2に対するカートリッジトレイ3の装着動作について説明する。
【0034】
ユーザは、現像カートリッジ8k~8yの交換等を行った後、引出位置にあるカートリッジトレイ3を挿入方向D1に向けて押し込むことで装置本体2に挿入する。
図5(a)は、カートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置に向かって移動している途中の状態を表している。このとき、カートリッジトレイ3は、ガイドレール41に案内されて挿入方向D1に移動する。具体的には、トレイガイド49の下面49aがトレイストッパ41cに対して摺動し、ガイドコロ50がガイドレール41のガイド面41a上を転がる。また、カートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置に向かって移動している間、感光ドラム4k~4yは静電吸着ベルト12から離間している。
【0035】
図5(b)は、カートリッジトレイ3がドラム離間位置に到達した時点の様子を表している。この段階で、トレイガイド49の下面49aがトレイストッパ41cを通過して、トレイガイド傾斜面49bがトレイストッパ41cに接触し始める。また、ガイドコロ50は、挿入方向D1におけるガイド面41aの下流端を通過してトレイガイド傾斜面49bに接触し始める。ただし、この時点では、感光ドラム4k~4yは、まだ静電吸着ベルト12の上方に離間している。
【0036】
カートリッジトレイ3がドラム離間位置を通過すると、カートリッジトレイ3は、水平方向に対してY方向の背面側に向かってZ方向下方に傾斜した装着完了方向D2に移動する。具体的には、トレイガイド傾斜面49bがトレイストッパ41cに対して摺動し、ガイドコロ50が傾斜面41b上を転がる。装着完了方向D2は、水平方向に対して挿入方向D1より大きく傾斜している。言い換えると、本実施例において第1位置から第2位置に向かう第1方向(D1)は、実質的に水平方向(Y)である。後述するように、第1方向(D1)は水平方向に限らず、第2位置から第3位置に向かう第2方向(D2)の水平方向(Y)に対する傾きより水平方向(Y)に対する傾きが小さい方向であればよい。
【0037】
これにより、
図5(c)に示すように、カートリッジトレイ3は装着位置に到達し、感光ドラム4k~4yは静電吸着ベルト12に当接する(
図8(c)も参照)。
【0038】
カートリッジトレイ3が装着位置にあるとき、トレイガイド49の下面49aはトレイストッパ41cに対してY方向の背面側に位置する。また、カートリッジトレイ3が装着位置にあるとき、ガイドコロ50はトレイガイド傾斜面49bに対してY方向の背面側(挿入方向D1の下流側)に位置する。このため、カートリッジトレイ3のY方向正面側への移動は規制されている。さらに、カートリッジトレイ3のトレイ枠体30をX方向に貫通する貫通軸55(
図3、
図4も参照)が、装置本体2に設けられた位置決め溝57に嵌合することで、カートリッジトレイ3がY方向に関して位置決めされる。また、このとき、カートリッジトレイ3はY方向の背面側において装置本体2の位置決め部24(
図1)に当接して位置決めされる。そして、前ドア40を閉めることで、画像形成装置1は画像形成動作を実行可能な状態となる。
【0039】
装置本体2からカートリッジトレイ3を引き出す動作は、装着動作の逆順の過程で行われる。
【0040】
即ち、現像カートリッジ8k~8yの交換の際には、ユーザは、画像形成装置1の前ドア40を開け、装着位置にあるカートリッジトレイ3をY方向の正面側に引き出す。すると、カートリッジトレイ3は、装着完了方向D2の反対方向に向かって、
図5(c)の装着位置から
図5(b)のドラム離間位置へ移動する。具体的には、トレイガイド傾斜面49bがトレイストッパ41cに対して摺動し、ガイドコロ50が傾斜面41bを上方に転がる。これにより、感光ドラム4k~4yは静電吸着ベルト12から離間し、以降の引出動作で感光ドラム4k~4yの表面が傷つくことが防がれる。
【0041】
ユーザがカートリッジトレイ3をさらに引き出すと、カートリッジトレイ3は、ガイドレール41に案内されてY方向の正面側(挿入方向D1の反対方向)に移動する。具体的には、トレイガイド49の下面49aがトレイストッパ41cに対して摺動し、ガイドコロ50がガイドレール41のガイド面41aを転がる。
【0042】
カートリッジトレイ3が引出位置(
図2(a))に到達すると、トレイストッパ41cによりカートリッジトレイ3のY方向正面側への移動が規制される。この状態で、ユーザは現像カートリッジ8k~8yをカートリッジトレイ3に対して着脱して交換作業を行うことができる。また、ユーザは、引出位置にあるカートリッジトレイ3を上方に持ち上げることトレイストッパ41cから離脱させて、カートリッジトレイ3を装置本体2から取り外すことができる。これにより、ユーザは感光ドラム4k~4yを含むカートリッジトレイ3の交換又はメンテナンスを行うこともできる。
【0043】
(4)トレイ側コネクタ及び本体側コネクタの構成
次に、現像カートリッジ8k~8yに装着されるメモリを、カートリッジトレイ3を介して装置本体2と電気的に接続するための構成について説明する。
【0044】
図3に示すように、各現像カートリッジ8k~8yには、記憶媒体としてのメモリタグ81k、81c、81m、81yが取り付けられている。各メモリタグ81k~81yは、自身が取り付けられている現像カートリッジ8k~8yに関する情報を格納しているメモリチップと、メモリチップと電気的に接続され現像カートリッジ8k~8yの外部に露出する電気接点部と、を有している。メモリタグ81k~81yには、例えば現像カートリッジ8k~8yの容量、内蔵するトナーの種類、現在のトナー残量、製造ロットといった様々な情報を格納しておくことができる。
【0045】
図3及び
図4に示すように、カートリッジトレイ3には、トレイメモリ接点82k、82c、82m、82y、中継基板84及びトレイ側コネクタ100が設けられている。トレイメモリ接点82k~82yは、現像カートリッジ8k~8yがカートリッジトレイ3に設けられた装着部としてのカートリッジ収容部89k~89yに収容された場合のメモリタグ81k~81yに対応した位置に設けられている。現像カートリッジ8k~8yをカートリッジトレイ3に装着すると、メモリタグ81k~81yの電気接点部は、対応するトレイメモリ接点82k~82yとそれぞれ接触する。
【0046】
中継基板84は、カートリッジトレイ3の背面部(Y方向背面側の側面部)に設けられている(
図4)。カートリッジトレイ3において、トレイメモリ接点82k~82yは配線部83によって中継基板84に接続されている。なお、中継基板84には、感光ドラム4に関する情報を有する記憶媒体である、不図示のドラムメモリタグが設けられている。
【0047】
感光体ユニット側接点部としてのトレイ側コネクタ100も、カートリッジトレイ3の背面部に設けられている。トレイ側コネクタ100は、トレイ枠体30のリアフレーム30Bに対してY方向の背面側(挿入方向D1の下流側)に露出している(
図3)。また、トレイ枠体30には、トレイ側コネクタ100の上方に位置し、Z方向に見てトレイ側コネクタ100の少なくとも一部を覆うコネクタカバー部300が設けられている。
【0048】
トレイ側コネクタ100と中継基板84は、配線部86によって中継基板84と接続されている。従って、現像カートリッジ8k~8yをカートリッジトレイ3に装着すると、メモリタグ81k~81yは、トレイメモリ接点82k~82y、配線部83、中継基板84及び配線部86を介して、トレイ側コネクタ100と電気的に接続される。
【0049】
次に
図6(a、b)、
図7(a、b)を用いて本体側コネクタ200の構成を説明する。
図6(a)はカートリッジトレイ3を取り外した状態の装置本体2を正面側から見た斜視図であり、
図6(b)は
図6(a)の点線で囲った部分を拡大した拡大図である。
図7(a、b)は本体側コネクタ200の支持構成を表す概略図である。
【0050】
図6(a、b)に示すように、本体側コネクタ200は装置本体2に設けられた本体側接点部の一例である。本体側コネクタ200は、不図示の配線部を介して装置本体2の制御基板2C(
図1)と電気的に接続されている。
図6(b)及び
図7(a)に示すように本体側コネクタ200は、挿入方向D1の上流側(Y方向の正面側)に向いた姿勢で、コネクタホルダ201に保持されている。
【0051】
コネクタホルダ201は、装置本体2に固定されたコネクタガイド202により移動可能に保持されている。コネクタガイド202には上下方向(略鉛直方向)に延びるガイドレール202aが設けられ、コネクタホルダ201のガイド突起201aがガイドレール202aに案内される。これにより、コネクタホルダ201の移動方向は略鉛直方向に規制されている。つまり、本実施例の本体側接点部である本体側コネクタ200は、鉛直方向に関して変位可能に構成されている。
【0052】
また、
図7(a、b)に模式的に示すように、コネクタホルダ201は付勢手段としてのバネ部材203によってZ方向上方側に付勢されている。このため、カートリッジトレイ3が装置本体2に装着されていない状態において、本体側コネクタ200は移動可能な範囲の上方位置で待機する構成となっている。本体側コネクタ200の上方位置は、Z方向に関して、カートリッジトレイ3がガイドレール41に案内されて引出位置からドラム離間位置へ向かって移動するときのトレイ側コネクタ100の高さと略一致する。
【0053】
なお、
図6(a、b)ではカートリッジトレイ3が装置本体2に装着されていないが、説明のために本体側コネクタ200が上方位置より下方にある状態で図示している。また、バネ部材203は付勢手段の一例であり、図示した位置以外に設けてもよく、バネ以外の付勢手段を用いてもよい。
【0054】
図8(a~c)を用いて後述するように、本体側コネクタ200は、カートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置に向かって挿入方向D1に移動している間にトレイ側コネクタ100と係合するように構成されている。本体側コネクタ200とトレイ側コネクタ100の「係合」とは、挿入方向D1に交差する方向(特に、Z方向)に関するコネクタ同士の相対移動を規制するように物理的に互いに拘束された状態を指す。ただし、本体側コネクタ200の端子とトレイ側コネクタ100の端子とが接触しているか否かは問わない。例えば、本体側コネクタ200及びトレイ側コネクタ100としてドロワーコネクタを使用する場合、端子同士が接触しておらず、端子を保護する樹脂製のハウジング同士が部分的に嵌合している状態(仮接続状態)も「係合」である。
【0055】
また、本体側コネクタ200の移動範囲は、カートリッジトレイ3がドラム離間位置から装着位置に移動する間、トレイ側コネクタ100との係合状態を維持できるように設定されている。具体的には、本体側コネクタ200のZ方向の移動範囲が、カートリッジトレイ3がドラム離間位置から装着位置に移動するときのトレイ側コネクタ100のZ方向の移動量以上となるように、ガイドレール202aの長さ等が設定されている。また、トレイ側コネクタ100が本体側コネクタ200に対して係合状態を維持したままY方向に移動可能な距離が、カートリッジトレイ3がドラム離間位置から装着位置に移動するときのトレイ側コネクタ100のY方向の移動量以上となるようなコネクタ形状が使用される。
【0056】
なお、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200の少なくとも一方に、
図6(b)に示すように、挿入方向D1に延びるガイド形状200aが設けられたものを好適に用いることができる。
【0057】
(5)トレイ側コネクタと本体側コネクタの接続動作
次に、トレイ側コネクタ100と本体側コネクタ200の接続動作について説明する。
図8(a~c)は、カートリッジトレイ3の装着動作の各段階における、カートリッジトレイ3の位置(左図)と、本体側コネクタ200及びトレイ側コネクタ100の状態(右図)と、を合わせて示したものである。
図8(a)はカートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置へ向けて移動している途中の状態を表し、
図8(b)はカートリッジトレイ3がドラム離間位置にある状態を表し、
図8(c)はカートリッジトレイ3が装着位置にある状態を表す。
【0058】
カートリッジトレイ3がガイドレール41に沿って引出位置からドラム離間位置に向かって挿入方向D1に挿入されていくとき、
図8(a)に示すように、本体側コネクタ200は上述のバネ部材203に付勢されて上方位置に待機している。さらにカートリッジトレイ3を挿入していくと、ドラム離間位置に到達する前にトレイ側コネクタ100の先端が本体側コネクタ200に到達する。そして、少なくとも
図8(b)に示すようにカートリッジトレイ3がドラム離間位置に到達した時点では、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200は係合状態(仮接続状態)となっている。ただし、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200の端子同士は導通していない。
【0059】
カートリッジトレイ3がドラム離間位置から装着位置へ向かって装着完了方向D2に移動すると、
図8(c)に示すように、トレイ側コネクタ100の装着完了方向D2の移動に伴って本体側コネクタ200はZ方向下方に移動する。また、このとき本体側コネクタ200のY方向の移動は規制されていることから、トレイ側コネクタ100は本体側コネクタ200に対してより深く嵌合し、端子同士が接触する。そして、カートリッジトレイ3が装着位置に到達すると、トレイ側コネクタ100と本体側コネクタ200の接続が完了した状態となっている。
【0060】
このように、カートリッジトレイ3が装着位置にあるとき、現像カートリッジ8k~8yのメモリタグ81k~81yが、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200の接続部を介して装置本体2の制御基板2Cと電気的に接続される。これにより、制御基板2Cは、メモリタグ81k~81kにアクセスして格納されている情報を読み出すことができるようになる。
【0061】
(6)本実施例の作用
以上説明した通り、本実施例では、カートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置へ向けて挿入方向D1に移動している間にトレイ側コネクタ100が本体側コネクタ200と係合する。この構成により、カートリッジトレイ3を装着する際にカートリッジトレイ3と装置本体2を安定して接続することができることを説明する。
【0062】
比較例として、カートリッジトレイ3がドラム離間位置から装着位置へ向かって装着完了方向D2に移動する際にトレイ側コネクタ100が本体側コネクタ200と係合する構成を考える。しかし、この場合、カートリッジトレイ3がガイドレール41のガイド面41aのガイド作用を受けず、カートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8k~8yの重量によって付勢されて斜め下方に移動している状態でコネクタ同士が係合することになる。そのため、接続不良が生じるおそれがある。また、コネクタ同士の位置ずれがあった場合に、コネクタ同士が衝突して破損するおそれがある。
【0063】
これに対し、本実施例では、カートリッジトレイ3がガイドレール41に案内されて装着完了方向D2よりも水平に近い挿入方向D1に移動している間にトレイ側コネクタ100が本体側コネクタ200と係合する。このため、比較例の構成に比べてコネクタ同士をより確実に係合させることができる。
【0064】
また、本実施例では、本体側コネクタ200及びトレイ側コネクタ100を略水平方向である挿入方向D1の上流に向けた姿勢で配置している。これにより、コネクタ内部に埃等の異物が入り込む可能性を低減して、コネクタ同士の安定した接続に貢献する。
【0065】
(7)変形例
上記実施例1では、鉛直方向に変位可能な本体側接点部の例として略鉛直方向にスライドする本体側コネクタ200を例示したが、
図9に示すように、鉛直方向に対して交差する移動方向D3にスライドする本体側コネクタ200を用いてもよい。本変形例における本体側コネクタ200のガイド突起201aは、挿入方向D1に対して下方に傾斜した移動方向D3に延びるガイドレール202aによって案内される。移動方向D3は、装着完了方向D2と略同一方向としてもよいし、装着完了方向D2と鉛直方向(下方向)との間の方向としてもよい。このような構成によっても、カートリッジトレイ3が挿入方向D1に移動している間にトレイ側コネクタ100が本体側コネクタ200と係合する構成とすることで、コネクタ同士の安定した接続を実現できる。
【0066】
また、上記実施例1において、カートリッジトレイ3の挿入方向D1は略水平方向であるものとして説明したが、挿入方向D1が水平方向に対して傾斜していてもよい。例えば、挿入方向D1がY方向の背面側に向かって下方に傾斜しており、装着完了方向D2が、挿入方向D1よりさらに急な角度で下方に傾斜している構成であってもよい。
【0067】
また、上記実施例1では、カートリッジトレイ3の装着動作が挿入方向D1の動きと装着完了方向D2の動きの2段階で構成されるものとして説明した。これに限らず、例えばカートリッジトレイ3の移動方向が挿入方向D1から装着完了方向D2に連続的に変化するようにガイドレール等が形成されていてもよい。その場合、「第2方向」とは、カートリッジトレイ3が装着位置(第3位置)に到達するときの移動方向である。「第1方向」とは、カートリッジトレイ3の移動軌跡において第2方向に移動する部分より上流側で、水平方向に対する傾きが第2方向の水平方向に対する傾きより小さいいずれかの部分である。
【0068】
なお、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200としては、一般にドロワーコネクタとして知られるコネクタ構成を好適に用いることができる。ドロワーコネクタは、端子同士の接続に先立って嵌合するガイド機構を有するコネクタである。
【実施例2】
【0069】
実施例2に係る画像形成装置について、
図10及び
図11(a~c)を用いて説明する。本実施例は、トレイ側コネクタが移動可能で、本体側コネクタの位置が固定されている点で実施例1と異なっている。以下、実施例1と共通の符号を付した要素は実施例1と同様の構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
【0070】
図10は実施例2のカートリッジトレイ3を示す斜視図である。実施例1と同様に、挿入方向D1におけるカートリッジトレイ3の下流側(先端側)にトレイ側コネクタ100が配置されている。カートリッジトレイ3に装着された現像カートリッジ8k~8yのメモリタグ81k~81yは、トレイメモリ接点82k~82y及び不図示の中継基板を介してトレイ側コネクタ100に電気的に接続されている。同様に、カートリッジトレイ3に設けられた不図示のドラムメモリタグもトレイ側コネクタ100に電気的に接続されている。
【0071】
本実施例のトレイ側コネクタ100は、カートリッジトレイ3のトレイ枠体30に対してZ方向に揺動可能に設けられている。具体的には、トレイ側コネクタ100はコネクタホルダ302に取り付けられており、コネクタホルダ302は、移動方向を略鉛直方向に規制された状態でトレイ枠体30のリアフレーム301に支持されている。コネクタホルダ302とリアフレーム301の間には、付勢手段としてのバネ部材303が配置されており、コネクタホルダ302はバネ部材303によって下方に付勢されている。このため、カートリッジトレイ3が引出位置にあるとき、トレイ側コネクタ100は移動範囲の下方位置で待機する。
【0072】
一方、
図11のように本体側コネクタ200は装置本体2の枠体に固定されたコネクタ固定ホルダ304に取り付けられており、装置本体2に対する位置が固定されている。また、配線部材を介して装置本体2の制御基板2Cと電気的に接続されている。Z方向における本体側コネクタ200の高さは、下方位置にあるトレイ側コネクタ100の高さと略一致する。
【0073】
本実施例におけるコネクタの接続動作を説明する。
図11(a)はカートリッジトレイ3が引出位置からドラム離間位置へ向けて移動している途中の状態を表し、
図11(b)はカートリッジトレイ3がドラム離間位置にある状態を表し、
図11(c)はカートリッジトレイ3が装着位置にある状態を表す。
【0074】
カートリッジトレイ3がガイドレール41に沿って引出位置からドラム離間位置に向かって挿入方向D1に挿入されていくとき、
図11(a)に示すように、トレイ側コネクタ100は上述のバネ部材303に付勢されて下方位置に待機している。さらにカートリッジトレイ3を挿入していくと、ドラム離間位置に到達する前にトレイ側コネクタ100の先端が本体側コネクタ200に到達する。そして、少なくとも
図11(b)に示すようにカートリッジトレイ3がドラム離間位置に到達した時点では、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200は係合状態(仮接続状態)となっている。ただし、トレイ側コネクタ100及び本体側コネクタ200の端子同士は導通していない。また、引出位置からドラム離間位置までは、感光ドラム4k~4yが静電吸着ベルト12から離間した状態のまま、カートリッジトレイ3が略水平方向である挿入方向D1に移動する。
【0075】
カートリッジトレイ3がさらに挿入されると、
図11(c)に示すように、トレイ側コネクタ100と本体側コネクタ200の係合状態が維持されたまま、カートリッジトレイ3はドラム離間位置から装着位置へ装着完了方向D2に移動する。このとき、トレイ側コネクタ100は、カートリッジトレイ3のリアフレーム301に対してZ方向上方に相対移動する。また、カートリッジトレイ3は、Y方向の背面側に向かって下方に傾斜した装着完了方向D2に移動するため、トレイ側コネクタ100はY方向の背面側に移動して、本体側コネクタ200とより深く嵌合し、端子同士が接触する。そして、カートリッジトレイ3が装着位置に到達すると、トレイ側コネクタ100と本体側コネクタ200の接続が完了した状態となっている。
【0076】
以上説明したように、実施例2においても、カートリッジトレイ3が挿入方向D1に移動している間にトレイ側コネクタ100と本体側コネクタ200が係合する構成としたため、コネクタ同士の安定した接続を実現することができる。また、本実施例においても、コネクタ同士は略水平方向を向いて配置されるため、コネクタ内部への埃等の異物の侵入を低減してより安定した接続を実現することができる。
【0077】
(変形例)
なお、実施例2では付勢手段としてのバネ部材303によってトレイ側コネクタ100を下方に付勢しているが、例えば、本体側コネクタ200から離脱したトレイ側コネクタ100が自重によって下方位置に待機する構成としてもよい。
【0078】
(その他の実施形態)
上記実施例1、2では、現像カートリッジが感光ドラムを有するカートリッジトレイに着脱される構成を例示した。これに限らず、感光ドラム及びドラムメモリタグを有するカートリッジ(現像カートリッジと一体化されたプロセスカートリッジや現像カートリッジとは別の感光体カートリッジ)が、感光ドラムを有していないトレイに着脱される構成としてもよい。
【0079】
また、上記実施例1、2における静電吸着ベルト12は画像形成装置が備えるベルト部材の一例であり、例えば中間転写体である中間転写ベルトを備える画像形成装置に本技術を適用してもよい。この場合、カートリッジトレイ3が装着位置にあるときは感光ドラムが中間転写ベルトに接触し、カートリッジトレイ3がドラム離間位置と引出位置との間で移動するときは感光ドラムが中間転写ベルトから離間するようにすると好適である。
【0080】
また、上記実施例1、2では、カートリッジトレイ3がガイドレール41の傾斜面41b等に沿って装着位置(第3位置)に到達した時点で感光ドラム4k~4yが静電吸着ベルト12と接触するものとして説明した。これに代えて、例えばカートリッジトレイ3が装着位置に到達した時点では感光ドラムが静電吸着ベルト12と接触せず、前ドア40を閉じる動作に連動してカートリッジトレイ3又は静電吸着ベルト12が移動することで感光ドラムと静電吸着ベルト12が接触するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置/2…装置本体/2C…制御部(制御基板)/3…感光体ユニット(カートリッジトレイ)/4k、4c、4m、4y…感光体(感光ドラム)/6k、6c、6m、6y…現像ローラ/8k、8c、8m、8y…現像カートリッジ/12…ベルト部材(静電吸着ベルト)/41…ガイド手段(ガイドレール)/41a…ガイド面/41b…傾斜面/50…被案内部(ガイドコロ)/81k、81c、81m、81c…記憶媒体(メモリタグ)/89k、89c、89m、89y…装着部(カートリッジ収容部)/100…感光体ユニット側接点部(トレイ側コネクタ)/200…本体側接点部(本体側コネクタ)/203…付勢手段(バネ部材)/D1…第1方向(挿入方向)/D2…第2方向(装着完了方向)