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特許7559205携帯型監視デバイスからの監視を用いたユーザの健康状況の予測
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】携帯型監視デバイスからの監視を用いたユーザの健康状況の予測
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240924BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/00 102A
A61B5/00 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023502877
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021024617
(87)【国際公開番号】W WO2021195616
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】63/000,607
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/032,036
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522222744
【氏名又は名称】ウエスト バージニア ユニバーシティー ボード オブ ガバナーズ オン ビハーフ オブ ウエスト バージニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】レザイ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】フィノモア,ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】ダーズ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ,クレイ
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367202(US,A1)
【文献】特開2014-219850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する、ユーザの健康状況を監視するための方法であって、
定められた期間にわたって携帯型デバイスにおける前記ユーザを表す健康状況関連パラメータを監視して、前記健康状況関連パラメータの時系列を作成することと、
前記定められた期間内の対応する第1時間及び第2時間に、前記ユーザについて認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第1セット及び第2セットを取得することと、
前記健康状況関連パラメータの時系列、前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第1セット、および、前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第2セットに基づいて、予測モデルを介して前記ユーザに値を割り当てることと、を含み
前記値は、前記ユーザの予測または予告される感染性、前記ユーザが感染症に感染するまでの予測日数、または鼻、鼻咽頭、口、血液または他の体液中のDNA、RNAまたはタンパク質または抗体測定からの予測される病原体レベルを含む特定の疾患または疾患のクラスによって前記ユーザに与えられる予測リスクを表す、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記健康状況関連パラメータの時系列に基づいて予測モデルを介して前記ユーザに値を割り当てることは、前記健康状況関連パラメータの時系列にウェーブレット分解を実行してウェーブレット係数セットを提供し、少なくとも前記ウェーブレット係数セットに基づいて前記値を割り当てることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェーブレット係数セットの少なくとも1部の加重組合せを生成することをさらに含み、
少なくとも前記ウェーブレット係数セットに基づいて前記値を割り当てることは、少なくとも前記加重組合せに基づいて前記値を割り当てることを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェーブレット係数セットは、第1変数及び第2変数にまたがる二次元配列であり、前記方法は、前記ウェーブレット係数セットに基づいて前記二次元配列の重心を、前記第1変数の第1代表値及び前記第2変数の第2代表値として生成することをさらに含み、
ここで、少なくとも前記ウェーブレット係数セットに基づいて前記値を割り当てることは、少なくとも前記第1代表値及び第2代表値に基づいて前記値を割り当てることを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザに関連する結果を測定することと、
測定された結果を、予測モデルを介して前記ユーザに割り当てられた前記値と比較することと、
前記測定された結果と前記予測モデルを介して前記ユーザに割り当てられた値との比較に基づいて、前記予測モデルに関連するパラメータを変更することとをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記測定された結果と前記予測モデルを介して前記ユーザに割り当てられた前記値との比較に基づいて前記予測モデルに関連するパラメータを変更することは、前記測定された結果と前記ユーザに割り当てられた前記値との類似度に基づいて、強化学習プロセスのための報酬を生成し、前記強化学習プロセスを介して前記パラメータを変更することを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予測モデルに関連する前記パラメータは、前記値を前記予測モデルによって提供された連続インデックスからのカテゴリ値として前記ユーザに割り当てるための決定閾値である、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記予測モデルを介して前記値を前記ユーザに割り当てることは、
前記健康状況関連パラメータの時系列、前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第1セット、及び前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第2セットに基づいて、前記ユーザに前記健康状況関連パラメータの将来値を表す第1値を割り当てることと、
少なくとも前記第1値に基づいて前記値を前記ユーザに割り当てることと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
定められた期間にわたってユーザを表す健康状況関連パラメータを監視して、監視されたパラメータの時系列を作成するウェアラブルデバイスと、
前記定められた期間内の対応する第1時間及び第2時間に、前記ユーザについて認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第1セット及び第2セットを受信する携帯型デバイスと、
前記健康状況関連パラメータの時系列、前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第1セット、及び前記認知的評価データと心理社会的評価データのうちの一つの第2セットに基づいて、前記ユーザに値を割り当てる予測モデルとを含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記予測モデルは、リカレントニューラルネットワークとして実装され、前記リカレントニューラルネットワークは、前記ユーザを表すインデックスと、強化学習モデルとを作成し、前記強化学習モデルは、前記値を前記ユーザの健康状況を表すクラスパラメータとして前記ユーザに割り当てるための決定閾値を連続的に絞り込む、ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年3月27日に提出された米国の仮出願番号63/000,607及び2020年5月29日に提出された米国の仮出願番号63/032,036のそれぞれの優先権を主張し、そのタイトルは、参照により全体がここに結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、携帯型監視デバイスからの監視を用いたユーザの健康状況の予測に関する。
【背景技術】
【0003】
個人の健康及び健康状況に影響を与える複数の病気は、病気の早期段階で検出することが難しい場合がある。これは、通常、介入が最も効果的な時間である。例えば、感染症は、インキュベーション期間があり、このインキュベーション期間には、個人は、症状が起きることなく、又は比較的に無害な症状のみが起きる同時に他人に感染する可能性がある。同様に、複数の病気では、タイムリーな治療は、個人に症状の中の最も深刻な症状を回避させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、ユーザの健康を監視するための方法を提供する。定められた期間にわたって、携帯型デバイスにおけるユーザの健康状況を表す関連パラメータを監視して、健康状況関連パラメータの時系列を作成する。定められた期間内の対応する第1時間及び第2時間に、ユーザについて認知的評価データ又は心理社会的評価データの第1セット及び第2セットを取得する。健康状況関連パラメータの時系列、認知的評価データ又は心理社会的評価データの第1セット、及び認知的評価データ又は心理社会的評価データの第2セットに基づいて、予測モデルを介してユーザに値を割り当てる。
【0005】
本発明の別の態様によれば、システムは、ウェアラブルデバイスを含み、このウェアラブルデバイスは、定められた期間内にわたってユーザを表す健康状況関連パラメータを監視して、監視されたパラメータの時系列を作成する。携帯型デバイスはそれぞれ、定められた期間内の第1時間及び第2時間に、ユーザについて認知的評価データ又は心理社会的評価データの第1セット及び第2セットを受信する。予測モデルは、健康状況関連パラメータの時系列、認知的評価データ又は心理社会的評価データの第1セット、及び認知的評価データ又は心理社会的評価データの第2セットに基づいて、ユーザに値を割り当てる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、ユーザの健康状況を監視するための方法を提供する。定められた期間内にわたって、ウェアラブルデバイスでユーザを表す複数の健康状況関連パラメータを監視して、監視されたパラメータの対応する時系列を作成する。複数の健康状況関連パラメータの時系列からユーザを表す特徴セットを抽出する。当該特徴セットは、複数の健康状況関連パラメータのうちの少なくとも一つの予測値を含む。当該特徴セットに基づいて、予測モデルを介してユーザに値を割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一態様に係るユーザの健康状況を監視するためのシステムを示す。
図2】複数の携帯型監視デバイスを使用する図1のシステムの概略的な例である。
図3】例示的な認知評価アプリケーションからの反応時間テストのスクリーンショットである。
図4】例示的な認知評価アプリケーションからの注意力テストのスクリーンショットである。
図5】例示的な認知評価アプリケーションからの応答抑制テストのスクリーンショットである。
図6】例示的な認知評価アプリケーションからの応答抑制テストのスクリーンショットである。
図7】例示的な認知評価アプリケーションからの作業記憶(1-back)テストのスクリーンショットである。
図8】例示的な認知評価アプリケーションからの作業記憶(2-back)テストのスクリーンショットである。
図9】COVID-19からの症状の発症を予測するためのシステムの例について、朝に完了する第1調査の例示的な問題を示す。
図10図9の例に対して夜に完了する第2調査の例示的な問題を示す。
図11】ターゲット位置に対して生成され得るリスクスコアのマップの簡略例である。
図12】感染症のアウトブレイク前の期間にわたるいくつかの健康状況関連パラメータのグラフを示す。
図13】アウトブレイク中の図12のパラメータのグラフを示す。
図14】COVID-19に感染した個人の様々な健康状況関連パラメータの平均値を一般人と比較したレーダープロットを示す。
図15】ユーザの健康状況を監視するための方法の一つの例を示す。
図16】ユーザの健康状況を監視するための別の例を示す。
図17】ハードウェア構成要素の例示的なシステムを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用される用語「健康状況」とは、ユーザの精神的、身体的、認知的、社会的及び感情的な健康を指すことを意図しており、ユーザの健康、機能、バランス、回復力、恒常性、疾患、および状態のそれぞれをカバーすると解釈されるべきである。本明細書中の各種例において、ユーザの健康状況は、ユーザが仕事関連機能を実行する準備程度、感染症に対するユーザの感染しやすさ、感染症から回復するユーザの能力、ユーザの表す感染症の症状、ユーザの表す感染症の症状の程度、感染症から回復する能力、使用者に対するワクチン又は他の治療物の影響(有効性及び副作用を含む)、及び以前に罹患した感染症による再感染を回避する能力に関連し得る。
【0009】
「健康状況関連パラメータ」とは、ユーザの健康状況に関連する生理的、認知的、感覚的(例えば、嗅覚、味覚、視覚、発汗、聴覚など)、心理社会的又は行動的パラメータである。
【0010】
「生物リズム」とは、人に影響を及ぼすあらゆる時間生物学的現象であり、概日リズム、超概日リズム、長概日リズム、日周リズム、睡眠/覚醒サイクル、および生活パターンを含むが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用される「携帯型監視デバイス」とは、ユーザによって装着されるか、携帯されるか又はユーザの体内に埋め込まれたデバイスであって、ユーザからの入力を受信するための入力デバイス及びユーザインターフェースのうちの1つ又は2つ、及び健康状況関連パラメータを監視するか又は健康状況関連パラメータを計算又は推定するためのパラメータのセンサを組み込むデバイスを指す。例として、ウェアラブルデバイス(例えばスマートウォッチ、指輪及び類似のデバイスなど)、携帯型デバイス(例えばスマートフォンとタブレットコンピュータ、及びラップトップコンピュータ)を含むことができる。
【0012】
本明細書で使用される「インデックス」とは、一連の観察から得られ、指標または尺度として使用される複合統計およびAI所見を対象とすることを意図している。インデックスは、観察および相関を表す序数値、連続値またはカテゴリ値であると示すことができ、伝統的に「スコア」と呼ばれる統計データおよびインデックスのより多くの技術的な意味を包含すると解釈されるべきである。
【0013】
「心理社会的評価データ」には、ユーザの機能およびストレスレベルを評価するために使用できる心理社会的パラメータ、行動的パラメータおよびストレス性パラメータが含まれる。表3に列挙された各パラメータは、心理社会的評価データの一例である。
【0014】
「認知的評価データ」とは、一つ又は複数の認知テストによって評価される、ユーザの実行機能、意思決定、作業記憶、注意力、及び疲労のいずれかを表す。表2に記載されている各パラメータは、心理社会的評価データの一例である。
【0015】
図1は、本発明に係る一態様のユーザの健康、健康状況及び機能状態を監視するためのシステム100を示す。システム100は、ユーザの健康パラメータを追跡するシステムを監視するためのセンサを含む複数の携帯型監視デバイス102および110を含む。所定の携帯型監視デバイス(例えば、102)は、リモートサーバ120と直接通信してサーバに健康状況関連パラメータを提供し、又は健康状況関連パラメータをサーバに中継する別の携帯型監視デバイス(例えば、110)と通信することができると理解されるべきである。携帯型監視デバイス102及び110を使用することによって、ユーザの自宅、教室、仕事、またはスポーツフィールドのいずれからでも(戦場から会議室までのどこからでも)、測定を連続的に行うことができ、ユーザに対してデジタル個人用保護具を効果的に提供することができる。上述したように、健康状況関連パラメータは、少なくとも生理学的、認知的、心理社会的、感覚的、および行動的パラメータを含むことができる。表1は、測定されることができる生理学的パラメータの非限定的な例、及び生理学的パラメータを測定するための例示的な試験、デバイス、および方法を提供する。
【0016】
【表1】
【0017】
生理学的パラメータは、装着又は埋め込み可能なデバイスを介して測定することができ、或いは、ユーザが携帯型デバイスにおけるアプリケーションを介して自己報告することができ、これは、自然で、非臨床的な環境でこれらの生理学的パラメータを測定することに寄与する。例えば、スマートウォッチは、ユーザの心拍数、心拍数変動性、体温、血中酸素飽和度、運動及び睡眠を測定するために用いることができる。これらの値は、また変動性を推定するために概日分析することができ、生物リズムによる予想される変化及び生物リズムの予想されるパターンからのずれを考慮してこれらの値を審査することができる。例えば、ユーザの生物リズムを所定の期間(例えば、10日間)追跡し、生物リズムの正常なパターンを確立することができる。生物リズムの変動は、このような確立されたパラメータからのずれとして検出することができる。
【0018】
認知的パラメータは、1セットの認知テストにより評価することができ、これらのテストは、例えば実行機能、意思決定、作業記憶、注意力及び疲労を測定する。表IIは、ゲーム化され、測定されることが可能な認知的パラメータの非限定的な例、及びこれらの認知的パラメータを測定するための例示的な方法とテスト/タスクを提供する。
【0019】
【表2】
【0020】
これらの認知テストは、臨床/実験室環境又はユーザが自宅、職場、その他の非臨床環境にいる場合などの自然な非臨床環境で行うことができる。スマートデバイス(例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ又はスマートウォッチ)は、自然な非臨床的な環境でこれらの認知的パラメータを測定することに寄与する。例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ又はスマートウォッチにおけるアプリケーションにより、Erikson側抑制、N-Back及び精神運動覚醒タスクを実行することができる。
【0021】
表IIIは、測定することができる心理社会的、行動的、およびストレス関連パラメータの非限定的な例、及び行動的パラメータを測定するための例示的なテスト、デバイス及び方法を提供する。
【0022】
【表3】
【0023】
行動的および心理社会的パラメータは、ウェアラブルデバイス及び主観的/自己報告アンケートによりユーザの機能性(例えばユーザの運動)を測定することができる。これらのパラメータは、規律的な間隔で更新されるユーザの全体的なストレスレベルを定量化することができる。主観的/自己報告アンケートは、臨床/実験室環境で収集することができ、又はユーザが自宅、職場、または他の非臨床環境にいる場合などの自然環境、野外の非臨床環境で収集することができる。スマートデバイス(例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ又はパーソナルコンピュータ)を使用して主観的/自己報告アンケートを管理することができる。組み込みの加速度計とカメラを使用して、これらのスマートデバイスは、ユーザの動き及び顔面表情分析、以分析ユーザの顔面表情をキャプチャーすることができ、これらの表情は気分、不安、うつ病、興奮及び疲労を示すことができる。
【0024】
生理学的、認知的、心理社会的、および行動的パラメータの一つ以上の組み合わせに加えて、臨床データは、また健康状況の多次元フィードバックアプローチの一部を予測することができる。そのような臨床データは、例えばユーザの臨床状態、ユーザの病歴(家族歴を含む)、雇用情報、および居住状況を含み得る。
【0025】
リモートサーバは、携帯型監視デバイス102及び110によって収集されたデータを分析する。リモートサーバ120は、専用の物理サーバとして、またはクラウドサーバ構成の一部として実装することができる。リモートサーバに加えて、データは、ローカルデバイス自体で、及び/又は連合学習メカニズムで分析することができる。携帯型監視デバイス102及び110から受信された情報は、特徴抽出器122に提供され、当該特徴抽出器は、予測モデル124で使用するために複数の特徴を抽出する。特徴抽出器122は、健康状況関連パラメータを表すクラス及び連続パラメータを決定する。一つの例では、パラメータは、記述統計、例えば監視されるパラメータの時系列の中心傾向の測定値(例えば、中央値、モード、算術平均または幾何平均)と偏差の測定値(例えば、範囲、四分位範囲、分散、標準偏差など)、及び時系列自体を含むことができる。一つの実施形態では、特徴抽出器124は、一つ又は複数のパラメータの値の時系列に対してウェーブレット変換を実行して、1セットのウェーブレット係数を提供する。本明細書で2次元ウェーブレット変換は使用され、これにより、係数は、時間および周波数またはスケールのいずれかにわたる2次元アレイとして想定することができると理解されるべきである。
【0026】
パラメータxiの所定の時系列に対して、ウェーブレット分解で生成されたウェーブレット係数Wa(n)は、次のように定義することができる。
(式3)
【0027】
ただし、ψは、ウェーブレット関数であり、Mは時系列の長さを示し、aとnは係数の計算位置を定義する。
【0028】
ウェーブレット係数は、個々の特徴として使用することができ、また、複合特徴を作るために集約することができると理解されるべきである。一つの例では、時間と周波数またはスケールのいずれかとの順序付けられた対として表される質量の中心を使用して、予測モデル124における特徴を提供することができる。代替的に、ウェーブレット係数の一つ又は複数の重み付けされた組合せを特徴として使用することができ、各組合せに対する重みは、予測モデルの訓練プロセス中に決定される。
【0029】
追加的または代替的に、健康状況関連パラメータは、健康状況関連パラメータの閾値又は健康状況関連パラメータに作用する値(例えば、所定状況又は行動の存在又は不存在)の時系列のルールセットに基づいてユーザに複数のクラスパラメータに割り当てるために使用することができる。予測モデル124は、また、雇用情報(例えば、役職、部門、シフト)、年齢、性別、自宅の郵便番号、ゲノムデータ、栄養情報、薬物摂取、家庭情報(例えば、家の種類、居住者の数および年齢)、社会的および心理社会的、消費支出およびプロフィール、財政的、食品安全、身体的虐待、および関連する病歴を含む、リモートサーバ120に格納されたユーザデータ126を利用することができる。さらに、このモデルは、例えば配偶者、子供、家族、同僚、友人などの社会モデルなどの予測を改良するために、複数のユーザを組み合わせて対話させることができる。
【0030】
予測モデル124は、一つまたは複数のパターン認識アルゴリズムを利用することができ、一つ又は複数のパターン認識アルゴリズムのうちのそれぞれは、抽出された特徴又は抽出された特徴のサブセットを分析して、ユーザに連続的又はクラスパラメータを割り当てる。一つの例では、割り当てられたパラメータは、ユーザの予測された「バーンアウト」、即ち、ストレス、疲労、または疾患に起因する、仕事の成果に実質的に影響する程度までの予測された認知機能の低下を表すことができる。この例では、睡眠及び活動データは、認知評価および気分報告アプリケーションからの結果と共に使用されて、ユーザが経験したバーンアウトの程度を表す連続的なインデックスを提供することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、追加の又は代替の特徴を分析に使用することができ、且つ、例えば、一つ又は複数の決定閾値をこのインデックスに適用することによって、クラス分類(例えば、「ほぼベースライン」、「減少」、「障害」)を利用してこのインデックスを置き換えることができると理解されるべきである。
【0031】
別の例では、予測モデル124を使用して、脳の身体バランス、体内バランス、回復力及び健康状況の内部マーカーを示すインデックスを提供することができる。さらに別の例では、予測モデル124を使用して、ユーザの体内バランスの尺度を表すインデックスを提供するか、または自律神経系の緊張のレベルを予測するか、ならびに種々の身体器官、眼、心血管系、胃腸管、GU、免疫および内分泌系を表す、グルコース、C反応性蛋白、およびIL-6を含む特定のバイオマーカーを予測することができる。さらに別の例では、予測モデル124は、患者の所定の組織または体液中の現在または将来の病原体(例えば、ウイルス、細菌、真菌、プリオン)濃度を予測することができる。別の例では、値が表す予測モデル124は、免疫化によってユーザに提供される期待免疫度を表すことができる。例えば、予測モデルの出力は、免疫化後の所定の期間の後のユーザの血液中の所定のワクチンに関連する抗体の予想される濃度を表すことができる。
【0032】
さらに別の例では、健康状況関連データを使用して、特定の疾患または疾患のクラス(例えば、免疫疾患、サイトカインストーム、癌、および感染症)によってユーザにもたらされるリスクを表す連続的なインデックスを提供することができる。例えば、このインデックスは、感染のリスク、感染されるリスクを表すことができ、例えば、個人が感染性になる予測時間、または鼻咽頭、口および唾液中の予測されるウイルスPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)レベル、または血液検査として表され、症状の発症までの予測時間、潜在的な感染からの回復の確率、またはこれらの因子の2つ以上のブレンドを表す単一の値を表すことができる。免疫疾患には、自己免疫疾患、過敏症症候群、免疫不全疾患、およびそれらの組み合わせが含まれる。このような免疫疾患は、細胞性免疫(Tリンパ球)、体液性免疫(Bリンパ球)および免疫寛容によって引き起こされうる。免疫疾患により、体の組織が破壊されたり、臓器が異常に増殖及び/又は臓器の機能が変化したりすることがある。免疫疾患は、一つまたは複数の臓器または組織の種類に影響を及ぼすことがある。
【0033】
自己免疫疾患とは、正常では体内で免疫反応を引き起こすことのない健康な細胞や組織を標的とした、異常なまたは過剰な適応免疫反応に起因する免疫疾患の一種である。自己免疫疾患にはWitebskyの仮説に沿ったものがあり、これらの疾患には、多発性硬化症、強直性脊椎炎、リウマチ性関節炎、セリアック病、筋炎、重症筋無力症、Addison病、狼瘡、溶血性貧血、白斑、強皮症、乾せん、橋本病、Addison病、グレーブ病、反応性関節炎、シェーグレン症候群、じん炎、慢性Lyme病、血管炎、心内膜炎、円形脱毛症、じんま疹、血管炎、ブドウ膜炎、天疱瘡、線維筋痛症、血栓性静脈炎、結節性紅斑、皮膚炎、湿しん、1型糖尿病、側頭動脈炎、クローン病、ベーチェット病、乾癬性関節炎などが含まれる。
【0034】
過敏性症候群は、即時型(I型)過敏反応、抗体媒介型(II型)過敏反応、免疫複合体媒介型(III型)過敏反応及び細胞媒介型(IV型)過敏反応を含む。I型過敏反応障碍の非限定的な例は、慢性または急性のアレルギー、アトピー型の,気管支喘息、およびアナフィラキシーである。II型過敏性症候群の非限定的な例は、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、尋常性天疱瘡、抗好中球細胞質抗体によって引き起こされる血管炎、グッドパスチャー症候群、急性リウマチ熱、重症筋無力症、グレーヴス病、インスリン抵抗性糖尿病、および悪性貧血である。II型過敏性症候群は、非自己抗体に結合する抗体の産生によって引き起こされることがあり、例えば、臓器拒絶をもたらす同種移植後、溶血をもたらす血液型の不一致、例えば、腫瘍随伴症候群、神経障害、およびチャネル病をもたらす腫瘍関連抗原に結合する抗体などである。II型過敏反応はまた、細胞膜に結合した薬物に対する抗体によって引き起こされることもあり、例えば、ヘパリン誘導性血小板減少などの薬物誘導性細胞死滅をもたらす。III型過敏反応病気の非限定的な例は、全身性エリテマトーデス、溶連菌感染後糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、血清病、アルサス反応、反応性関節炎、および結節性多発動脈炎である。IV型過敏性症候群の非限定的な例は、接触皮膚炎、多発性硬化症、1型糖尿病、移植拒絶、関節リウマチ、結核、および末梢神経障害である
【0035】
免疫不全疾患には、原発性免疫不全疾患および続発性免疫不全疾患が含まれる。原発性免疫不全疾患の非限定的な例は、X連鎖アガマグロブリン血症、共通可変免疫不全症、孤立性IgA欠損症、高IgM症候群、DiGeorge症候群、重症複合免疫不全症(SCID)、Wiskott-Aldrich症候群、および補体系の遺伝的欠損である。続発性免疫不全疾患の非限定的な例は、後天性免疫不全症候群(AIDS)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、複合免疫不全症候群(CIDS)、および脊髄損傷誘発性免疫抑制症候群(SCI-IDS)である。
【0036】
感染症の非限定的な例は、アシネトバクター感染症、放線菌症、アフリカ睡眠病(アフリカトリパノゾーマ病)、AIDS(後天性免疫不全症候群)、アメーバ赤痢、アナプラズマ症、アンジオストロンギル症、アニサキス幼虫感染症、炭疽病、溶血性連鎖球菌感染症、アルゼンチン出血熱、回虫症、アスペルギルス症、アストロウイルス症、バベシア症、セレウス菌感染症、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、アストロウイルス症、バベシア症、セレウス菌感染症、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、細菌性膣炎、バクテロイデス感染症、バランチジウム症、バルトネラ症、アライグマ回虫症、感染、BKウイルス症、ブラックピエドラ、ブラストシスチス症、ブラストミセス症、マチュポウイルス、ボツリヌス症(及び乳児ボツリヌス症)、ブラジル出血熱、ブルセラ症、腺ペスト、バークホルデリア症、ブルーリ潰瘍、カリシウイルス症(ノロウイルス・サポウイルス)、カンピロバクター症、カンジダ(モニリア症、鵞口瘡)、カピラリア症、カリオン病、ネコひっかき病、蜂巣炎、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)、軟下疳、水疱瘡、チクングニア、クラミジア、クラミドフィラ肺炎(TWAR:Taiwan acute respiratory agent)、コレラ、染色体ブラストミセス症、ツボカビ症、クロノルキア症、クロストリジウム・ディフィシル、大腸炎、コクシジオイデス真菌症、コロラドダニ熱(CTF)、風邪(急性ウイルス性鼻咽頭炎、急性コリーザ、急性コリーザ)、コロナウイルス症2019、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、クリプトコックス症、クリプトスポリジウム症、皮膚幼虫移行症(CLM)、サイクロスポリア症、システィケルクシス、サイトメガロウイルス感染症、デング熱、デスモデスムス感染症、ジエンタモエビア症、ジフテリア、ジフィロボトリア症、ドラキュラ症、エボラ出血熱、エキノコックス症、エーリキア症、腸管出血症(蟯虫感染)、腸球菌感染症、エンテロウイルス感染症、流行性発疹チフス、感染性紅斑(第五病)、亜毒性発疹(第六病)、筋ジストロフィー症、家族性不眠症(FFI)、フィラリア症、クロストリジウムパーフリンゲンスによる食中毒、遊走性アメーバ感染症、フソバクテリウム感染症、ガス壊疽(クロストリジウム性筋壊死)、ジオトリクム症、Gerstmann-Strussler-Scheinker症候群(GSS)、ジアルジア症、鼻疽、顎口虫症、淋菌感染症、鼠径肉芽腫症(ドノバニア感染症)、A群溶血性連鎖球菌感染症、B群溶血性連鎖球菌感染症、インフルエンザ菌感染症、手足口病、ハンタウイルス肺症候群、ハートランドウイルス病、ヘリコバクター・ピロリ感染症、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腎症候性出血熱(HFRS)、ヘンドラウイルス感染症、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペス、ヒストプラズマ症、鉤虫症、ヒトボカウイルス感染症、ヒトエウィンギーエーリキア症、ヒト顆粒球性アナプラズマ症(HGA)、ヒトメタニューモウイルス感染症、ヒト単球性エーリキア症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、ヒトパラインフルエンザウイルス感染症、ヒメノレピア症、エプスタインバーウイルス感染症(Mono)、インフルエンザ(flu)、イソスポリジウム症、川崎病、角膜炎、キンゲラ菌感染症、クル病、ラッサ熱、レジオネラ症(レジオネラ症)、ポンティアック熱、リーシュマニア症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病(ライムボレリア症)、リンパ系フィラリア症(象皮病)、リンパ球性絨毛膜炎、マラリア、マールブルグ出血熱(MHF)、麻疹、中東呼吸器症候群(MERS)、メリオダイズ症(ホイットモア病)、髄膜炎、髄膜炎菌症、メタゴニミア症、微胞子虫症、感染性軟属腫(MC)、サル痘、おたふくかぜ、流行性耳下腺炎、マイコプラズマ肺炎、マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症、マイケトーマ、ミアシス、新生児結膜炎、ニパウイルス感染症 ノロウイルス(小児・乳児)、「(新)変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD、nvCJD)」、ノカルディ症、オンコセルカ症(河川盲目症)、オピストルキア症、パラコクシジオイデス症(南米ブラストミセス)、パラゴニミア症、パスツレラ症、アタマジラミ症、コロモジラミ症、陰部ジラミ症、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳、ペスト、肺炎球菌感染症、ニューモシスチス肺炎(PCP)、肺炎、ポリオ、プレボテラ感染症、原発性アメーバ髄膜脳炎(PAM)、進行性多巣性白質脳症、鸚鵡病、Q熱、狂犬病、再発熱、呼吸同期ウイルス感染、ライノスポリジウム症、ライノウイルス感染、リケッチア感染、リケッチアポックス、リフトバレー熱(RVF)、ロッキーマウンテン斑熱(RMSF)、ロタウイルス感染症、風疹、サルモネラ症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、疥癬、猩紅熱、住血吸虫症、敗血症、赤痢、帯状疱疹(Shingles又はHerpes zoster)、天然痘(Smallpox又はvariola)、スポロトリコーシス、ブドウ球菌性食中毒、ブドウ球菌感染症、ストロンギロイド症、亜急性硬化性全脳炎、ベヘル、梅毒、ヨーズ、テニアス、破傷風(ロックジョー)、白癬(床屋かゆみ)、頭白癬(頭皮の白癬)、体部白癬(Tinea corporis又はringworm of the body)、股部白癬(Tinea cruris又はJock itch)、手白癬(Tinea manum又はringworm of the hand)、黒癬、足白癬(Tinea pedis又はathlete’s foot)、爪白癬(爪真菌症)、癜風(Tinea versicolor又はPityriasis versicolor))、トキソカリア症(眼幼虫移行症(OLM)、トキソカラ症(内臓幼虫移行症(VLM))、トキソプラズマ症、トラコーマ、トリキン症、トリコモニア症、トリチュリア症(鞭虫症)、結核、野兎病、チフス、発疹チフス、ウレアプラズマ ウレアリティカム感染、バレー熱、ベネズエラウマ脳炎、ベネズエラ出血熱、ビブリオ・バルニフィカス感染症、腸炎ビブリオ、ウイルス性肺炎、ウエストナイル熱、白色ピエドラ(白癬)、エルシニア偽結核感染症、エルシニア症、黄熱、ゼアスポラ、ジカ熱、接合菌感染症である。
【0037】
複数の分類または回帰モデルが使用される場合、調停要素を利用して、複数のモデルから一貫性のある結果を提供することができる。所定の分類器の訓練プロセスは、その実装とともに変化するが、訓練は一般に、訓練データを出力クラスに関連付けられた一つまたは複数のパラメータに統計的に集約することを含む。訓練プロセスは、リモートシステム及び/又はローカルデバイスまたはウェアラブルアプリケーション上で達成することができる。訓練プロセスは、連合または非連合方式で達成することができる。決定木などのルールベースのモデルの場合、抽出された特徴を使用してユーザを分類するためのルールを選択する際に、訓練データの代わりに、または訓練データを補足するために、例えば、1人以上の人間の専門家によって提供されるドメイン知識を使用することができる。サポートベクトルマシン、回帰モデル、自己組織化マップ、ファジー論理システム、データ融合プロセス、ブースティングおよびバギング方法、ルールベースシステム、または人工ニューラルネットワークを含む、様々な技術のいずれかを分類アルゴリズムに利用することができる。
【0038】
連合学習(協調学習とも呼ばれる)は、データサンプルを交換することなく、ローカルデータサンプルを保持する複数の分散エッジデバイスまたはサーバ間でアルゴリズムをトレーニングする機械学習技術である。このアプローチは、すべてのデータサンプルが一つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技術とは対照的であり、ローカルデータサンプルが同様に分布することを前提とする従来の分散型アプローチとも対照的である。連合学習により、複数の関係者がデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築できるため、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処できる。その応用は、国防、通信、IoT又は製薬などの多くの業界に広がっている。
【0039】
例えば、SVM分類器は、超平面と呼ばれる複数の関数を利用して、N次元特徴空間における境界を概念的に分割することができ、ここで、N次元のそれぞれは、特徴ベクトルの一つの関連する特徴を表す。境界は、各クラスに関連する特徴値の範囲を定義する。したがって、出力クラスおよび関連する信頼値は、境界に対する特徴空間内の位置に従って、所定の入力特徴ベクトルに対して決定することができる。一つの実施形態では、SVMは、線形または非線形カーネルを使用するカーネル方法を介して実装することができる。
【0040】
ANN分類器は、複数の相互接続を有する複数のノードを含む。特徴ベクトルからの値は、複数の入力ノードに提供される。入力ノードはそれぞれ、これらの入力値を一つまたは複数の中間ノードの層に提供する。所定の中間ノードは、前のノードから一つまたは複数の出力値を受信する。受信した値は、分類器のトレーニング中に確立された一連の重みに基づいて重み付けされる。中間ノードは、そのノードにおける伝達関数に従って、その受信した値を単一の出力に変換する。例えば、中間ノードは、受信した値を合計し、その合計を2進ステップ関数にかけることができる。ノードの最終層は、ANNの出力クラスに対する信頼値を提供し、各ノードは、分類器の関連する出力クラスのうちの一つに対する信頼を表す関連する値を有する。
【0041】
多くのANN分類器は、完全接続、フィードフォワードである。しかしながら、畳み込みニューラルネットワークは、前の層からのノードが畳み込み層のノードのサブセットにのみ接続される畳み込み層を含む。リカレントニューラルネットワークは、ノード間の接続が時系列に沿って有向グラフを形成するニューラルネットワークのクラスである。フィードフォワードネットワークとは異なり、リカレントニューラルネットワークは、以前の入力によって引き起こされた状態からのフィードバックを組み込むことができ、それにより、所定の入力に対するリカレントニューラルネットワークの出力は、この入力の関数だけでなく、一つまたは複数の以前の入力の関数とすることができる。例えば、長短期記憶(Long Short-Term Memory、LSTM)ネットワークは、リカレントニューラルネットワークの修正バージョンであり、メモリ内の過去のデータを記憶しやすくする。
【0042】
ルールベースの分類器は、抽出された特徴に1セットの論理ルールを適用して出力クラスを選択する。一般的に、ルールは順番に適用され、各ステップの論理結果は後のステップの分析に影響する。特定のルールとそのシーケンスは、トレーニングデータ、以前のケースからの類推、または既存のドメイン知識のいずれかまたはすべてから決定することができる。ルールベースの分類器の一つの例は、決定木アルゴリズムであり、このアルゴリズムでは、特徴セット内の特徴の値を階層ツリー構造内の対応する閾値と比較して、特徴ベクトルのクラスが選択される。ランダムフォレスト分類器は、ブートストラップ集約又は「バギング」アプローチを使用した決定木アルゴリズムの改良版である。このアプローチでは、複数の決定木がトレーニングセットのランダムなサンプルでトレーニングされ、複数の決定木にわたる平均(たとえば、平均値、中央値又は最頻値)の結果が返される。分類タスクでは、各ツリーからの結果はカテゴリカルであるため、モーダル結果を使用できる。
【0043】
一つの実施形態では、予測モデル124は、ウェーブレット変換係数の一つ以上の2次元アレイが入力として提供される畳み込みニューラルネットワークなど、健康状況関連パラメータの将来の値を予測する構成要素モデルを含むことができる。ウェーブレット係数は、時間の変化だけでなく、時間パターンの変化も検出し、したがって、ユーザの通常の生体リズムの変化を反映することができる。一つの実施形態では、構成要素モデルによって予測される健康状況関連パラメータは、心拍数、体温、および心拍数変動性などの測定されたパラメータ、ならびに頭痛、疲労、息切れ、咳、および睡眠障害などの症状を含むことができる。所定の構成要素モデルは、これらの予測を提供するために、他の測定された特徴およびユーザデータ126など、ウェーブレット係数に加えてデータを使用することができることが理解されるべきである。
【0044】
予測モデル124の出力は、「感染した」または「感染していない」、「感染性がある」または「感染性がない」、または「回復した」または「回復していない」など、ユーザの状態を表すクラスパラメータとすることができる。一つの例では、クラスパラメータは、例えば、空港のセキュリティおよび医療入院など、感染性がある可能性のある個人のための保護された領域をスクリーニングするために使用され、個人がすぐに入院できるか、入院を拒否できるか、またはさらなるスクリーニングを受けることができるかを表すことができる。クラスパラメータは、現在または予測された状態の可能性の範囲を表すこともできる。別の実施形態では、予測モデル124の出力は、予測された状態または現在の状態の可能性などの連続パラメータとすることができる。一つの例では、予測モデル124は、将来の時間における健康状況関連パラメータの値を予測する一つ以上の構成要素モデルを含むことができる。例えば、所定のモデルは、特徴抽出器122から受信したデータおよび格納されたユーザデータ126に基づいて、将来の時間(例えば、3日後)におけるユーザの心拍数または体温を予測することができる。これらの予測値は、ユーザに提供されるか、または将来の時間におけるユーザの状態を予測するための追加のモデルへの入力として利用されることができる。一つの例では、予測モデル124は、複数の畳み込みニューラルネットワークを含み、それぞれの畳み込みニューラルネットワークは、健康状況関連パラメータの将来の値を予測するように構成され、複数の畳み込みニューラルネットワークからの予測値は、ユーザの将来の状態を予測するために用いられる。
【0045】
]いくつかの実施形態では、予測モデル124は、モデルによって行われた予測の精度に基づいて予測モデル124の様々なパラメータを調整することができるフィードバックコンポーネント128を含むことができる。一つの例では、フィードバックコンポーネント128は、複数の予測モデル124によって共有することができ、各予測モデルに関連付けられたユーザの結果は、モデルの出力によって予測された結果と比較される。クラスの入力または連続値からの出力を生成するための閾値など、モデルに関連付けられたパラメータは、実際の結果と予測された結果の差に従って調整することができる。一つの例では、システムの連続出力を閾値と比較して、患者が感染性であるか非感染性であるかを特定することができる。この閾値は、決定の精度を高めるためにフィードバックモデル128によって変更することができる。
【0046】
代替的に、予測モデル124は、個々のモデルのレベルでフィードバックを得ることができる。例えば、構成要素モデルを使用して健康状況関連パラメータの将来の値を予測する予測モデル124において、健康状況関連パラメータが測定されると、モデルは、これらの予測の精度に関して一貫したフィードバックを受ける。このフィードバックは、モデルのパラメータを調整するために使用することができ、該ユーザが連続値又は患者に関連する生体リズムの基準値に基づいてクラス入力又は出力の個別の閾値を生成する。代替的に、モデルの最終出力からフィードバックを提供し、ユーザが報告した状態(例えば、所定の状態について症候性または無症候性)などの他のデータと比較して、モデルへのフィードバックを提供することができる。一つの実施形態では、強化学習アプローチを用いて、予測モデル124の中間段階における健康状況関連パラメータの将来の予測値または予測モデルの出力のいずれかの精度に基づいて、モデルパラメータを調整することができる。例えば、予測モデル124によって生成された連続指標からクラス出力を生成するために使用される決定閾値は、以前のユーザからの複数のモデルからのフィードバックに基づいて初期値に設定され、ユーザに特有の決定閾値を生成するために強化モデルを介して調整され得る。
【0047】
図2は、複数の携帯型監視デバイス152、154及び160を使用する図1のシステムの概略的な例150である。図示された実施形態では、第1および第2携帯型監視デバイス152および154は、それぞれ手首および指に装着されるウェアラブルデバイスである。第1および第2携帯型監視デバイス152および154によって監視される健康状況関連パラメータには、例えば、心拍数、心拍数変動、睡眠の質の指標、生物リズム変動、睡眠量の指標、ユーザの身体活動、身体の向き、運動、動脈血圧、呼吸速度、パルスオキシメトリーによって測定される末梢動脈オキシヘモグロビン飽和度、最大酸素消費量、温度、および温度変動が含まれ得る。本明細書で使用されるウェアラブルデバイスは、健康状況関連パラメータを監視するためにセンサを適切な位置に維持することができる時計、リストバンド、指輪、ヘッドバンド、ヘッドバンド、および他のウェアラブルアイテムを含む。所定のウェアラブルデバイス152および154は、これらのパラメータの多くを高い頻度(例えば、5分ごと)で監視することができ、詳細な時系列のデータを生成することができることが理解されるべきである。
【0048】
システム150は、さらに、ローカルトランシーバ162を介して第1および第2携帯型監視デバイス152および154と通信する携帯型デバイス160を含むことができる。携帯型デバイス160はまた、ベースユニットに格納された一つ以上のデータ収集アプリケーション166とユーザが対話することを可能にするグラフィカルユーザインターフェース164を含むことができる。可能なデータ収集アプリケーションの一つの例は、作業記憶、注意力、および応答抑制、疲労、認知を含む、認知機能の様々な尺度をテストする認知評価アプリケーションを含むことができる。さらに、これらの尺度は、ユーザの疲労の尺度を推定するために、確立されたベースラインと比較することができる。例示的な認知評価アプリケーションからのスクリーンショットは、図3~8のように提供される。別のデータ収集アプリケーションは、ユーザが症状、気分、精神的、身体的、および感情的状態、ならびにストレスを自己報告することを可能にするアンケートアプリケーションを含むことができる。図9は、COVID-19からの症状の発症を予測するために使用されるシステムの例について、朝に完了する第1調査のための例示的な質問を示す。図10は、この例について、夜に完了する第2調査のための例示的な質問を示す。一般に、データ収集アプリケーション166は、以下の各項目のそれぞれを監視するように選択および構成することができる。
【0049】
1. 注意力、覚醒力、疲労-神経心理学者-精神的過負荷の測定、意思決定、集中力、注意散漫、抑制制御、フランカータスク、反応時間、ライトを当てる回数及び加湿、選択反応タスクとその他の注意要素、注意散漫、焦点、連続的認識、ストループの他のタスク
2. 記憶-SAGE-自己管理の認知、陳述性記憶
3. 言語-
4. 気分と感情-CES-D、うつ病と気分のプロファイル
5. 報酬及びリスクテイク-遅延割引、報酬学習、
6. 知覚処理-視覚、聴覚、嗅覚、体性感覚/マルチモーダル
7. 疲労-精神運動覚醒タスク及びその他の注意力タスク
8. 感覚-システム、例えば嗅覚、味覚、視覚、聴覚、触覚
9. 運動
10. 神経能力
11. 社会システム
12. 社会的ネットワーク
【0050】
携帯型デバイス160は、さらに、ネットワークトランシーバ168を備え、このネットワークトランシーバを介して、システム150は、ローカルエリアネットワークまたはインターネット接続を介してリモートサーバ170と通信する。この例では、リモートサーバ170は、リカレントニューラルネットワークとして実装された予測モデル、特に、長期短期記憶アーキテクチャを有するネットワークを含む。この例では、ウェアラブルデバイス152および154からの温度などの健康状況関連パラメータを、アンケート回答および認知評価と組み合わせて、他の関連データとともに時系列として予測モデルに提供することができる。モデルの出力は、COVID-19によってユーザにもたらされるリスクを表すインデックスである。
【0051】
データは、例えば、家族、同僚、または友人として、社会的につながっている可能性のある複数のユーザから収集することができることが理解されるであろう。一つの例として、個人の周囲の社会的文脈として計算される「集団免疫」の概念が挙げられる。ユーザ間の社会的つながりは、自己報告されるか、または自己報告されたデータから導出されるか、または、一つの例として、監視されたユーザの携帯型デバイスからの位置履歴の分析を通じて決定され得る。位置データまたは、閾値の距離内にある他のユーザと関連付けられた携帯型監視デバイスを検出する近接センサの使用は、意図的な社会的接触(例えば、公共交通機関のために共通の車両を共有すること)ではない頻繁な空間的近接の事例を可能にすることができる。一つの例では、ユーザによって携帯される携帯型デバイス間のBluetoothまたは類似の短距離通信を使用して、ユーザが空間的に近接していることを決定することができる。感染症に対する感受性または感染力を示す指数は、他の関連する個人の予測因子の一部として使用することができる。これらのデータは、病気が蔓延する可能性のある場所を予測するために使用することもでき、これにより、AI主導のスマートソーシャルディスタンシングが可能になる。ユーザから収集された情報は、暗号化された形式で保存され、ユーザのプライバシーを保護すると理解されるべきである。
【0052】
一つの例では、例えば小売店、空港、大学のキャンパス、学校、病院などのトラフィックの多い場所では、既知の場所に多数のブルートゥースビーコンが存在する場合がある。ユーザがビーコンを通過すると、それが有する携帯型デバイス内のブルートゥーストランシーバは、ビーコンと対話するとともに、対話ごとにユーザの識別子および時間を記憶する。これらの値及びアプリケーションによって収集された他の位置情報と近接情報は、接触者の追跡や様々な場所に関連する感染のリスクを判断するために使用することができる。同様のプロセスは、GPS受信機によって収集された地理位置データを使用して実行することができる。この場合、ユーザは、記録された特定の場所に関連付けられたジオフェンス領域を通過するか、または記録された各デバイスに関連付けられた動的なジオフェンスを通過する感染ユーザまたは感染性を有するユーザの存在が記録される。
【0053】
ユーザデバイス及び/又は設計されたブルートゥースビーコンからの位置データを使用して、対象領域にわたる感染リスクのマッピングを生成することができる。一つの例では、データ収集アプリケーション166の一つを介して特定の感染症に関連する症状を報告するユーザの存在を特定の場所に割り当てることができる。別の例では、報告された症状を有するユーザと予測モデル124から感染性があると予測されたユーザの両方を使用して、リスクスコアを生成することができる。一つの実施形態では、感染性があると予測されたユーザのリスクスコアへの寄与は、感染性の予測に関連する確率または信頼値に従って重み付けすることができる。
【0054】
このマップを調整して、感染の記号、色またはその他のインディケータを表示し、リスクスコアを生成することができる。リスクスコアは、特定の感染症についてその場所で報告された感染の合計数、定義された期間にその場所で報告された感染の数、またはその場所で報告された感染の数を表し、合計数または定義された期間にその場所で報告された感染の数をその場所の面積で除算して、その場所での感染の密度を表す値を生成する。各場所のリスクスコアはマップに表示することができる。
【0055】
図11は、ターゲット位置について生成され得るリスクスコア180のマップの簡略例を示す。簡略例では、位置に対するリスクスコアは3つのカテゴリ値として示され、第1カテゴリは感染の既知のリスクがないことを表し、第2カテゴリは低いレベルの感染リスクを表し、第3カテゴリは高いレベルの感染リスクを表す。図示されたマップ180では、第1レベルの感染リスクは陰影なしの位置として表され、第2レベルの感染リスクは明るい陰影182の位置として表され、第3レベルの感染リスクは暗い陰影184の位置として表される。各カテゴリ値は、各位置に対して生成された連続的なリスクスコアに定義された閾値または動的閾値を適用することによって提供することができることが理解されるべきである。
【0056】
一つの実施形態では、各カテゴリを定義するために使用される閾値は、例えば、ユーザデータ126によって表されるようにユーザの特徴に従って定義することができ、または予測モデル124で決定された感染に対するユーザの回復力の決定によって定義することができる。例えば、ユーザが感染の高リスクカテゴリ(例えば、高齢、免疫不全、または併存疾患)にある場合、閾値は、ユーザの増加した感染のリスクを表すために低下させることができる。同様に、ユーザの回復力が所定の時点で低下すると決定された場合、閾値は、ユーザの減少した感染に抵抗する能力を表すために一時的に低下させることができる。したがって、このマップは、所定のユーザに対して個人用にすることができるだけでなく、特定の時間におけるユーザに対するリスクを表すように調整することができる。
【0057】
さらに、生成されたインデックスは、感染を受けやすい個人に対して、社会的接触を避けるように助言したり、感染性を予測したりすることによって、予防措置として使用できる。例えば、特定の感染症にかかりやすい、または感染する可能性があることが知られている個人は、その状態が改善するまで、社会的距離を強化することに従事する可能性がある。同様に、上司は、特に医療現場において、顧客との直接接触から特に影響を受けやすい、または感染する可能性が高い従業員を排除することができる。集団内で感受性と予測される感染性の両方が得られる場合、感染性が予測される個人は、ソーシャルネットワーク内の影響を受けやすい個人との接触に対して警告され、脆弱な集団間での疾患の蔓延を減少させることができる。
【0058】
回復力または回復の可能性を測定するインデックスは、限られた医療資源を配分するために使用することができる。例えば、回復力の高い個人は、少なくとも最初は、病院での治療を必要とする症状を発症する可能性が低いため、外来患者として疾患を治療するように指示することができる。同様に、薬物または人工呼吸器などの医療機器が不足している場合、医療資源の有効性を最大化するために、回復の必要性または可能性が高い患者にそれらを投与することができる。他の場合では、これらのインデックスは、全体的な身体の回復力を考慮することによって、診断および医学的状態の分類および治療の選択肢がより効果的になるように導くことができる。
【0059】
最後に、特定の関心のある場所のデータを使用して、感染が広がり始める可能性のある領域を検出することができる。図12は、感染症のアウトブレイク前の期間にわたるいくつかの健康状況関連パラメータを示す。図13は、アウトブレイク中の同じパラメータを示す。関心のある場所における平均体温および心拍数変動性は低下するが、心拍数の平均及び準備状態と活動の尺度は、アウトブレイクが進行するにつれて低下することに留意されたい。しかしながら、図12から、これらの傾向のそれぞれは、アウトブレイクが進行する前に明らかであり、予測モデル140の使用、特にリカレントネットワーク(例えば、LSTM)におけるこれらの値の時系列の評価は、その重症度を低下させるための措置を講じるのに間に合うように、アウトブレイクの予測を可能にすることが理解されるであろう。
【0060】
図14は、COVID-19 192に感染した個人の様々な健康状況関連パラメータのセットの平均値と、一般集団194の様々な健康状況関連パラメータのセットの平均値とを比較するレーダープロット190を示す。グラフからわかるように、COVID-19に感染した人は、睡眠の質と睡眠時間が中程度に低下し、注意力、報告された健康状況、および心拍数変動性が著しく低下する。患者の安静時心拍数も著しく増加する。患者はまた、「作業負荷」、すなわち、追加的なストレスおよび疲労の形で、日常業務を遂行するためのコストがわずかに増加する。これらの健康状況関連パラメータは、無症状のユーザにおけるCOVID-19感染の発症を特定する上で特に有用であり得ることが理解されるであろう。
【0061】
上述の構造的および機能的特徴を考慮すると、本発明の様々な態様による方法は、図15および16を参照してよりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、図15および16の方法は、順に実行するものとして示され、説明されるが、本発明は、いくつかの態様が、本発明に従って、本明細書に示され、説明されるものとは異なる順序で、及び/又は他の態様と同時に生じ得るので、示された順序によって制限されないことが理解されるべきである。さらに、本発明の態様による方法を実施するために、図示された全ての特徴が必要とされるわけではない。
【0062】
図15は、ユーザの健康状況を監視するための方法の一つの例を示す。202では、ユーザを表す健康状況関連パラメータが、健康状況関連パラメータの時系列を生成するために、定められた期間にわたって携帯型デバイスで監視される。健康状況関連パラメータの例には、例えば、ウェアラブルデバイスで監視され得る心拍変動および体温が含まれ得る。204では、ユーザについて認知的評価データおよび心理社会的評価データのいずれかまたは両方の第1セットおよび第2セットが、定められた期間内の対応する第1および第2時間に取得される。一つの例では、ユーザは、評価データの第1および第2セットを提供するために、携帯型デバイスに関連付けられた携帯型デバイスなどの基本ユニットで認知評価アプリケーションまたは心理社会的評価アプリケーションと対話するように促される。
【0063】
206では、健康状況関連パラメータの時系列と、第1および第2セットの認知的評価データまたは心理社会的評価データのいずれかに従って、予測モデルを介してユーザに値を割り当てる。一つの例では、値は、例えば、ユーザの予測または予告される感染性、ユーザが感染症に感染するまでの予測日数、または鼻、鼻咽頭、口、血液または他の体液中のDNA、RNAまたはタンパク質または抗体測定からの予測される病原体レベルなど、特定の疾患または疾患のクラスによってユーザに与えられる予測リスクを表す。
【0064】
一つの実施形態では、予測モデルは、健康状況関連パラメータの時系列に対してウェーブレット分解を実行して、ウェーブレット係数のセットを提供する。ウェーブレット係数は、それ自体を予測モデルの特徴として使用することもでき、あるいは、一つ以上の複合特徴に集約することもできる。例えば、のウェーブレット係数のセットの少なくとも一部の重み付けされた組み合わせは、予測モデルのトレーニングプロセス中に割り当てられた重みを使用して、生成することができる。代替的に、予測モデルの特徴を提供するために、ウェーブレット係数のセットに基づく2次元配列の重心を生成することができる。予測モデルは、値を割り当てる際の特徴として中間予測を使用することもできる。たとえば、一つ以上の健康状況関連パラメータの将来の値を監視データから予測し、予測モデルの特徴として使用することができる。
【0065】
一つの例では、予測モデルは、フィードバックを利用して、予測モデルに関連付けられたパラメータを調整することができる。例えば、モデルを再トレーニングするか、連続出力からカテゴリ値を生成するための決定閾値などの一つ以上の特定のパラメータに対して強化学習プロセスを使用する。この実施形態では、ユーザに関連付けられた結果が測定され、予測モデルを介してユーザに割り当てられた値と比較される。予測モデルに関連付けられたパラメータは、この比較に従って変更される。
【0066】
図16は、ユーザの健康状況を監視するための方法の別の例を示す。302では、ユーザを表す複数の健康状況関連パラメータが、定められた期間にわたってウェアラブルデバイスで監視され、監視されたパラメータの対応する時系列を生成する。304では、ユーザを表す特徴セットが、複数の健康状況関連パラメータの時系列から抽出される。特徴セットは、心拍数変動または体温などの複数の健康状況関連パラメータのうちの少なくとも一つの予測値を含む。306では、この特徴セットに基づいて、予測モデルを介して値をユーザに割り当てる。
【0067】
図17は、本明細書に開示されたシステムおよび方法の例を実施することができるハードウェアコンポーネントの例示的なシステム400を示す概略ブロック図である。システム400は、様々なシステムおよびサブシステムを含むことができる。システム400は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、コンピュータシステム、機器、特定用途向け集積回路(ASIC)、サーバ、サーバBladeCenter、サーバ群などであり得る。
【0068】
システム400は、システムバス402、処理ユニット404、システムメモリ406、メモリデバイス408および410、通信インターフェース412(例えば、ネットワークインターフェース)、通信リンク414、ディスプレイ416(例えば、ビデオスクリーン)、および入力デバイス418(例えば、キーボード、タッチスクリーン、及び/又はマウス)を含むことができる。システムバス402は、処理ユニット404およびシステムメモリ406と通信することができる。ハードディスクドライブ、サーバ、スタンドアロンデータベース、または他の不揮発性メモリなどの追加のメモリデバイス408および410も、システムバス402と通信することができる。システムバス402は、処理ユニット404、メモリデバイス406~410、通信インターフェース412、ディスプレイ416、および入力デバイス418を相互接続する。いくつかの例では、システムバス402は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポートなどの追加のポート(図示せず)をも相互接続する。
【0069】
処理ユニット404は、コンピューティングデバイスとすることができ、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。処理ユニット404は、本明細書に開示された例の動作を実施するために、一組の命令を実行する。処理ユニットは、処理コアを含むことができる。
【0070】
追加のメモリデバイス406、408及び410は、データ、プログラム、命令、テキストまたはコンパイルされた形式のデータベースクエリ、およびコンピュータを操作するために必要とされ得る任意の他の情報を格納することができる。メモリ406、408及び410は、例えばメモリカード、ディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、またはネットワークを介してアクセス可能なサーバなどのコンピュータ可読媒体(一体型または取り外し可能)として実装することができる。特定の例では、メモリ406、408及び410は、テキスト、画像、ビデオ、及び/又はオーディオを含むことができ、その一部は、人間が理解可能なフォーマットで利用可能である。
【0071】
追加的または代替的に、システム400は、システムバス402および通信リンク414と通信可能な通信インターフェース412を介して外部データソースまたはクエリソースにアクセスすることができる。
【0072】
操作中では、システム400は、本発明に従って、ユーザの健康状況を監視するためのシステムの一つまたは複数の部分を実装するために使用することができる。監視システムを実装するためのコンピュータ実行可能ロジックは、特定の例に従って、システムメモリ406の一つまたは複数、およびメモリデバイス408および410上に存在する。処理ユニット404は、システムメモリ406およびメモリデバイス408および410から発生する一つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を実行する。本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のために処理ユニット404に命令を提供することに関与する媒体を指す。この媒体は、共通のプロセッサまたは関連するプロセッサのセットにすべて動作可能に接続された複数の別個のアセンブリにわたって分散されてもよい。上記の説明では、実施例を完全に理解するために具体的な詳細を示したが、これらの具体的な詳細なしに実施できることが理解されるべきである。例えば、実施例を不必要に詳細に不明瞭にしないために、物理的構成要素をブロック図で示してもよい。他の例では、実施例を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術を不必要に詳細なく示してもよい。
【0073】
上述した技術、ブロック、ステップ、および手段の実装は、様々な形態で行うことができる。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装することができる。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、一つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、デジタル信号処理デバイス(digital signal processing device、DSPD)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上述の機能を実行するように設計された他の電子ユニット、及び/又はそれらの組み合わせ内で実装することができる。
【0074】
また、実施例は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明することができることに留意されたい。フローチャートは、動作をシーケンシャルなプロセスとして説明することができるが、動作の多くは、並列または同時に実行することができる。さらに、動作の順序は、再配置することができる。プロセスは、その動作が完了したときに終了するが、図に含まれていない追加のステップを有することができる。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し元の関数またはメイン関数への関数のリターンに対応する。
【0075】
また、実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、及び/又はそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語、及び/又はマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に格納することができる。コードセグメントまたは機械実行可能な命令は、プロシージャ(procedure)、関数、サブプログラム、プログラム(program)、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、または命令、データ構造、及び/又はプログラムステートメントの任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、及び/又はメモリ内容を伝達及び/又は受信することによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージパッシング、チケットパッシング、ネットワーク伝送などを含む任意の適切な手段を介して、伝達し、転送し、または伝送することができる。
【0076】
ファームウェア及び/又はソフトウェアの実装では、本明細書中に記載される機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能など)を用いて方法を実施することができる。本明細書中に記載される方法を実施する際には、命令を有形的に具体化する任意の機械可読媒体を使用することができる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリに格納することができる。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサ外に実装することができる。本明細書中で使用される場合、用語「メモリ」は、任意のタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性、または他の記憶媒体を指し、任意の特定のタイプのメモリまたはメモリの数、またはメモリが記憶される媒体のタイプに限定されない。
【0077】
さらに、本明細書で開示されるように、用語「記憶媒体」は、データを記憶するための一つまたは複数のメモリを表すことができ、これには、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、及び/又は情報を記憶するための他の機械可読媒体が含まれる。用語「機械可読媒体」には、携帯型または固定記憶デバイス、光記憶デバイス、無線チャネル、及び/又は命令及び/又はデータを含むまたは運ぶことができる記憶可能な様々な他の記憶媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
上述したものは一例である。もちろん、構成要素または方法の考えられるすべての組合せを説明することは不可能であるが、当業者は、多くのさらなる組合せおよび置換が可能であることを認識できるであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に入る全てのそのような変更、修正、および変形を包含することが意図される。本明細書中で使用される場合、用語「含む(includes)」は、限定されるものではないが、含むことを意味し、用語「含む(including)」は、限定されるものではないが、含むことを意味する。用語「基づく」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。さらに、開示または請求項が「1」、「一つ」、「第1」、または「別の」要素、またはその等価物を記載する場合、一つ以上のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を要求しないかまたは排除しないとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17