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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電子素子収容用パッケージ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 5/08 20060101AFI20240924BHJP
   H01P 5/02 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H01P5/08 C
H01P5/02 603C
H01P5/08 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023514618
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2022017091
(87)【国際公開番号】W WO2022220176
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021068471
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】白崎 隆行
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/047172(WO,A1)
【文献】特開2006-246509(JP,A)
【文献】特開2010-028800(JP,A)
【文献】特開2017-069138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/08
H01P 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体と前記壁体に囲まれた収容部とを有する基体と、
前記壁体に位置する同軸線路と、
前記壁体の側方で前記同軸線路に接続される信号線路とを備え、
前記同軸線路は前記壁体から突出したピン端子を有し、
前記信号線路は、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する絶縁板と、前記第1面に位置しかつ前記ピン端子と接続される信号導体と、前記信号導体を挟んで前記第1面に位置する第1接地導体と、前記第2面に位置する第2接地導体と、を含み、
前記信号線路は、前記同軸線路側から第1区間、第2区間及び第3区間を有しており、
前記第2区間における前記信号導体の幅は、一定であり、前記第1区間における前記信号導体の幅以下であり、かつ、前記第3区間の中央部における前記信号導体の幅よりも広く、
前記第2区間において、前記信号導体と前記第1接地導体との間隔は、一定であり、前記第1区間における前記間隔よりも狭く、かつ、前記第3区間の中央部における前記間隔よりも広く、
前記第2区間は、前記第1面に垂直な方向から見て前記ピン端子の先端部が重なる位置から、前記同軸線路とは反対側に前記信号導体と前記第2接地導体との距離Hの1/3倍~3/2倍の長さを有する区間である電子素子収容用パッケージ。
【請求項2】
前記第2区間における前記信号導体の幅は、前記ピン端子の幅よりも狭い、
請求項1記載の電子素子収容用パッケージ。
【請求項3】
前記第2区間における前記信号導体の両側の辺が、前記信号導体の長手方向に平行であり、
前記第2区間における前記第1接地導体の前記信号導体に近い方の辺が、前記信号導体の長手方向に平行である、
請求項記載の電子素子収容用パッケージ。
【請求項4】
前記同軸線路は、更に、前記ピン端子に連続する内部導体と、前記内部導体の周囲に位置する誘電体とを含み、
前記ピン端子の径が、前記内部導体の径よりも大きい、
請求項記載の電子素子収容用パッケージ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子素子収容用パッケージと、
前記収容部に収容された電子素子と、
を備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子素子収容用パッケージ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-123950号公報には、壁体に位置する同軸線路と、壁体の側方で同軸線路と接続された平面基板とを備えた高周波用信号変換器が示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示に係る電子素子収容用パッケージは、
壁体と前記壁体に囲まれた収容部とを有する基体と、
前記壁体に位置する同軸線路と、
前記壁体の側方で前記同軸線路に接続される信号線路とを備え、
前記同軸線路は前記壁体から突出したピン端子を有し、
前記信号線路は、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する絶縁板と、前記第1面に位置しかつ前記ピン端子と接続される信号導体と、前記信号導体を挟んで前記第1面に位置する第1接地導体と、前記第2面に位置する第2接地導体と、を含み、
前記信号線路は、前記同軸線路側から第1区間、第2区間及び第3区間を有しており、
前記第2区間における前記信号導体の幅は、一定であり、前記第1区間における前記信号導体の幅以下であり、かつ、前記第3区間の中央部における前記信号導体の幅よりも広く、
前記第2区間において、前記信号導体と前記第1接地導体との間隔は、一定であり、前記第1区間における前記間隔よりも狭く、かつ、前記第3区間の中央部における前記間隔よりも広く、
前記第2区間は、前記第1面に垂直な方向から見て前記ピン端子の先端部が重なる位置から、前記同軸線路とは反対側に前記信号導体と前記第2接地導体との距離Hの1/3倍~3/2倍の長さを有する区間である。
【0004】
本開示に係る電子装置は、
上記の電子素子収容用パッケージと、
前記電子素子収容用パッケージに収容された電子素子と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本開示の実施形態に係る電子素子収容用パッケージ及び電子装置を示す断面図である。
図1B】本開示の実施形態に係る電子素子収容用パッケージ及び電子装置を示す平面図である。
図2】実施形態の電子素子収容用パッケージの伝送路の部分を示す断面斜視図である。
図3】実施形態の伝送路を示す平面図である。
図4A】実施形態及び比較例1~比較例3の伝送路の反射特性を示すグラフである。
図4B】実施形態及び比較例1~比較例3の伝送路の透過特性を示すグラフである。
図5A】比較例1の伝送路を示す平面図である。
図5B】比較例2の伝送路を示す平面図である。
図5C】比較例3の伝送路を示す平面図である。
図6A】第2区間の長さを変えた実施形態の伝送路の第1例を示す平面図である。
図6B】第2区間の長さを変えた実施形態の伝送路の第2例を示す平面図である。
図7A】第2区間を短くした伝送路の反射特性を示すグラフである。
図7B】第2区間を短くした伝送路の透過特性を示すグラフである。
図8A】第2区間を長くした伝送路の反射特性を示すグラフである。
図8B】第2区間を長くした伝送路の透過特性を示すグラフである。
図9A】実施形態の伝送路の変形例1を示す平面図を示す図である。
図9B】実施形態の伝送路の変形例1の反射特性を示すグラフである。
図9C】実施形態の伝送路の変形例1の透過特性を示すグラフである。
図10A】実施形態の伝送路の変形例2を示す断面斜視図である。
図10B】実施形態の伝送路の変形例2の反射特性を示すグラフである。
図10C】実施形態の伝送路の変形例2の透過特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
図1Aは、本開示の実施形態に係る電子素子収容用パッケージ及び電子装置を示す断面図である。図1Bは、本開示の実施形態に係る電子素子収容用パッケージ及び電子装置を示す平面図である。図1A図1Bの矢印A-A線における断面を示す。図1Bは蓋体5を省いた構成を示す。
【0008】
本開示の実施形態に係る電子装置100は、電子素子収容用パッケージ1と、電子素子収容用パッケージ1の収容部3に収容された電子素子6とを備える。電子素子6は、高周波信号の入力及び出力の両方又は一方がなされる素子であり、例えば高周波の電気信号を光信号に変換する半導体レーザ素子である。また、電子素子6は、光導波路を通るレーザ光を高周波の電気信号によって変調するLN(LiNbO3)素子であってもよい。その他、電子素子6は、高周波信号の入力及び出力の両方又は一方がなされる素子であれば、特に限定されない。
【0009】
電子素子収容用パッケージ1は、壁体2並びに壁体2に囲まれた収容部3を有する基体4と、壁体2に位置する同軸線路10と、壁体2の側方に位置する信号線路20と、収容部3の開口を塞ぐ蓋体5とを備える。基体4は金属製であってもよい。信号線路20は、壁体2の内側(収容部3側)に位置するが、壁体2の外側に位置してもよい。以下、同軸線路10と信号線路20とを合わせた構成を「伝送路」と呼ぶ。
【0010】
図2は、実施形態の電子素子収容用パッケージの伝送路の部分を示す断面斜視図である。図3は、実施形態の伝送路を示す平面図である。
【0011】
同軸線路10は、図2に示すように、芯線である内部導体11と、内部導体11の周囲に位置する誘電体12と、内部導体11の径方向外方を覆う筒状の外部導体13と、内部導体11に連続しかつ誘電体12から突出するピン端子11aとを有する。ピン端子11aは内部導体11の中心軸に沿って延在する。誘電体12は、内部導体11と外部導体13との間を封止する。
【0012】
同軸線路10は、壁体2(具体的には壁体2の貫通孔2h)に位置し、収容部3の内側と外側との間で高周波信号を伝送する。ピン端子11aは、壁体2から壁体2よりも内方(収容部3側)へ突出する。
【0013】
信号線路20は、図2及び図3に示すように、板状であり、第1面S1及び第2面S2を有する絶縁板21と、第1面S1に位置しピン端子11aに接続される信号導体22と、信号導体22を挟んで第1面S1に位置する第1接地導体23と、第2面S2に位置する第2接地導体24とを有する。第1面S1は第2面S2の反対側に位置する。絶縁板21は、誘電体であり、セラミックであってもよい。信号線路20は、裏面導体付きのコプレーナ線路と呼んでもよい。
【0014】
信号導体22、第1接地導体23及び第2接地導体24は、膜状導体である。第2接地導体24は、信号導体22及び第1接地導体23と対向して第2面S2に広がる。
【0015】
信号線路20は、さらに、第1接地導体23と第2接地導体24とを接続する複数のビア導体25を有する。各ビア導体25は、絶縁板21の第1面S1から第2面S2に渡って延在する。図2では、ビア導体25の上端部を破線で示しているが、ビア導体25は第1面S1に垂直な方向に、第1面S1から第2面S2に渡って延在している。
【0016】
信号導体22の幅と厚み、信号導体22と第1接地導体23との間隔、信号導体22と第2接地導体24との距離、並びに、複数のビア導体25の間隔は、伝送信号の周波数、並びに、絶縁板21の比誘電率に応じて、所定のインピーダンスに整合するように設定される。信号の周波数としては、80GHz帯、あるいは当該周波数以上が想定される。信号導体22と第2接地導体24との距離Hは、高周波信号の実効波長の1/4以下であり、複数のビア導体25の間隔は、高周波信号の実効波長の1/2以下である。
【0017】
一方、信号線路20における同軸線路10の接続部の周辺は、高周波信号の伝送形態が変わる部位であるため、当該部位における信号導体22の寸法及び形状、並びに、信号導体22と第1接地導体23との間隔部分の寸法及び形状は、信号線路20の他の部位と異なる。
【0018】
図3に示すように、信号線路20は、信号導体22に沿った方向において同軸線路10側から第1区間U1、第2区間U2及び第3区間U3を有する。
【0019】
第1区間U1は、信号線路20の壁体2側の端から、第1面S1に垂直な方向から見てピン端子11aの先端部が重なる位置までの区間である。第2区間U2は、第1面S1に垂直な方向から見てピン端子11aの先端部が重なる位置から同軸線路10とは反対側にH/3~3H/2の長さを有する区間である。第3区間U3は、第2区間U2の同軸線路10とは反対側の端から信号線路20の同軸線路10とは反対側の端までの区間である。上記の長さHは、信号導体22と第2接地導体24との距離である。ピン端子11aの先端部とは、ピン端子11aの厳密な先端だけでなく、先端から根元側に僅かな幅を有する部位を意味する。当該僅かな幅は、高周波信号の伝送特性に及ぼされる影響が無視できる程度の長さであってよく、例えば高周波信号の実効波長λの1/16以下の長さに相当する。
【0020】
第3区間U3の主な範囲においては、信号導体22の幅wa3が一定で、信号導体22と第1接地導体23との間隔wb3が一定である。ただし、信号線路20の端に近い部分では、他の伝送路と接続されるために、信号導体22及び第1接地導体23の形状及び寸法が、第3区間U3の中央部U3cと異なってもよい。また、第3区間U3において、第2区間U2と隣接する部分は、第2区間U2の信号導体22及び第1接地導体23と連続するために、傾斜や丸みが付加されていてもよい。すなわち、第3区間U3の始端部及び終端部では一定とならないが、第3区間U3の中央部U3cにおいては、信号導体22の幅wa3が一定で、信号導体22と第1接地導体23との間隔wb3が一定である。
【0021】
第1区間U1においては、信号導体22の幅wa1が第3区間U3の中央部U3cにおける幅wa3よりも大きく、信号導体22と第1接地導体23との間隔wb1が第3区間U3における間隔wb3よりも大きい。
【0022】
第1区間U1において、信号導体22の左右の辺ha1、hb1は、信号導体22の長手方向と平行である部分を含んでもよい。信号導体22の長手方向とは、信号導体22の幅の中心を通る中心線に沿った方向を意味する。また、第1区間U1において、第1接地導体23の内側(信号導体22に近い側)の2つの辺hc1、hd1は、信号導体22の長手方向と平行である部分を含んでもよい。
【0023】
第2区間U2においては、信号導体22の幅wa2が、一定であり、第1区間U1における幅wa1以下であり、かつ、第3区間U3における幅wa3よりも大きい。また、第2区間U2においては、信号導体22と第1接地導体23との間隔wb2が、一定であり、第1区間U1における上記間隔wb1よりも小さく、第3区間U3の中央部U3cにおける上記間隔wb3よりも大きい。
【0024】
第2区間U2において、信号導体22の左右の辺ha2、hb2は、信号導体22の長手方向に平行である。信号導体22の長手方向とは、信号導体22の幅の中心を通る中心線に沿った方向を意味する。また、第2区間U2において、第1接地導体23の内側(信号導体22に近い側)の2つの辺hc2、hd2は、信号導体22の長手方向と平行である。
【0025】
第2区間U2の信号導体22の幅wa2は、ピン端子11aの径w0よりも小さい。第1区間U1の信号導体22の幅wa1は、ピン端子11aの径w0より小さくてもよく、第2区間U2における幅wa2と一致していてもよい。
【0026】
ピン端子11aは主に第1区間U1における信号導体22に導電性の接合材eを介して接合される。
【0027】
<高周波特性>
図4Aは、実施形態及び比較例1~3の伝送路の反射特性を示すグラフである。図4Bは、実施形態及び比較例1~比較例3の伝送路の透過特性を示すグラフである。図5A図5Cは、比較例1~比較例3の伝送路81~83をそれぞれ示す平面図である。
【0028】
図4の実施形態の特性線に示すように、シミュレーションの結果、本実施形態に係る電子素子収容用パッケージ1の伝送路は、80GHz等の高い周波数領域において、反射損失及び挿入損失が小さい、すなわち反射係数が小さく、透過係数が大きい良好な周波数特性が得られる。
【0029】
板状の信号線路20(裏面導体付きのコプレーナ線路)においては、周波数特性の要求から、始端又は終端に近い区間を除いて、信号導体22の幅及び信号導体22と第1接地導体23との間隔が制約される。また、ピン端子11aが接続される第1区間U1においては、周波数特性及び強度等の要求を満たすために、信号導体22の形状及び寸法、並びに、信号導体22と第1接地導体23との間隔部分の形状及び寸法には制約が生じる。すなわち、第1区間U1の信号導体22の幅は、第3区間U3の中央部U3cにおける幅よりも大きく、第1区間U1における信号導体22と第1接地導体23との間隔は、第3区間U3の中央部U3cにおける間隔よりも大きく設計される。
【0030】
図5A図5Cの比較例の伝送路81~83は、第1区間U1と第3区間U3における信号導体22、並びに、信号導体22と第1接地導体23との間隔部分は、図3の実施形態と同様の形状及び寸法を有する。そして、第2区間U2において、信号導体22並びに信号導体22と第1接地導体23との間隔部分の形状及び寸法を、図3の実施形態から変えている。
【0031】
図5Aの伝送路81は、第2区間U2の信号導体22及び第1接地導体23が、テーパーを有することで、第1区間U1の信号導体22及び第1接地導体23と第3区間U3の信号導体22及び第1接地導体23とを段無しに接続した例である。
【0032】
図5Bの伝送路82は、信号導体22の幅が、ほぼピン端子11aに接続される部分のみ広く、信号導体22と第1接地導体23との間隔が階段状に狭くなる例である。比較例2では、第1接地導体23における信号導体22に対向する辺の形状及び寸法が、図3の実施形態と同様である。
【0033】
図5Cの伝送路83は、第1区間U1から第2区間U2にかけて信号導体22の幅を、ピン端子11aに接続される部分と同様に広くし、信号導体22と第1接地導体23との間隔も、第2区間U2にかけて第1区間U1と同様に広くした例である。比較例3では、信号導体22の形状及び寸法が、図3の実施形態と同様である。
【0034】
実施形態の電子素子収容用パッケージ1の伝送路は、比較例1~比較例3の伝送路81~83と比べて、第2区間U2における信号導体22の形状及び寸法、並びに、信号導体22と第1接地導体23との間隔部分の形状及び寸法に違いがある。
【0035】
図4A及び図4Bのシミュレーション結果に示されるように、実施形態の電子素子収容用パッケージ1の伝送路は、比較例1~比較例3の伝送路81~83と比べても、80GHz等の高い周波数領域において顕著に良好な周波数特性を有する。
【0036】
<第2区間U2の長さ>
図6Aは、第2区間U2の長さを変えた第1例を示す平面図である。図6Bは、第2区間の長さを変えた実施形態の伝送路の第2例を示す平面図である。図7Aは、第2区間を短くしたときの反射特性を示すグラフである。図7Bは、第2区間を短くした伝送路の透過特性を示すグラフである。図8Aは、第2区間を長くしたときの反射特性を示すグラフである。図8Bは、第2区間を長くした伝送路の透過特性を示すグラフである。
【0037】
図6A及び図6Bに示すように、第2区間U2の長さが異なると、伝送路の周波数特性にも違いが生じる。図7A図7B図8A及び図8Bは、第2区間U2の長さを(1/3)×H、(3/8)×H、(1/2)×H、(3/4)×H、1×H、(5/4)×H、(3/2)×Hとしたときの伝送路の周波数特性を示す。長さHは、信号導体22と第2接地導体24との距離である。
【0038】
図7A図7B図8A及び図8Bに示されるように、第2区間U2の長さは(1/3)×H~(3/2)×Hのときに良好な周波数特性が得られ、また、第2区間U2の長さは(1/2)×H~1×Hのときにより良好な周波数特性が得られる。
【0039】
(変形例1)
図9Aは、実施形態の伝送路の変形例1を示す平面図である。図9Bは、実施形態の伝送路の変形例1の反射特性を示すグラフである。図9Cは、実施形態の伝送路の変形例1の透過特性を示すグラフである。変形例1の信号線路20Aは、図9Aに示すように、第3区間U3の一端部(第2区間U2に近い側)において信号導体22の幅が階段状に狭くなる段部221a、221bを有する。さらに、変形例1の信号線路20Aは、第1接地導体23の内側(信号導体22に近い側)に、信号導体22と第1接地導体23との間隔を階段状に狭くする段部231a、231bを有する。
【0040】
変形例1の信号線路20Aにおいて、第2区間U2は、段部221a、221b、231a、231bを含まずに、(1/3)×H~(3/2)×Hの長さを有する。
【0041】
図9B及び図9Cに示すように、信号線路20Aは、第3区間U3に段部221a、221b、231a、231bを有していても、第2区間U2が(1/3)×H~(3/2)×Hの長さを有することで、上述した実施形態と同様に良好な周波数特性を有する。
【0042】
<変形例2>
図10Aは、実施形態の伝送路の変形例2を示す断面斜視図である。図10Bは、実施形態の伝送路の変形例2の反射特性を示すグラフである。図10Cは、実施形態の伝送路の変形例2の透過特性を示すグラフである。変形例2は、同軸線路10の内部導体11B及びピン端子11Baの径を変更した例である。図10Aの例は、ピン端子11Baを図3の実施形態のピン端子11aと同一径とし、内部導体11Bを図3の実施形態の内部導体11よりも細くした例である。すなわち、ピン端子11Baの径が内部導体11の径より大きい。この構成を変形例2aと記す。また、ピン端子11Ba及び内部導体11Bの両方を、図3の実施形態のピン端子11a及び内部導体11よりも細くした構成を変形例2bと記す。なお、変形例2a、2bでは、内部導体11Bの径の変更に伴って、同軸線路10においてインピーダンスが不整合とならないように、誘電体12の径又は比誘電率を調整している。
【0043】
図10B及び図10Cに示すように、ピン端子11Ba及び内部導体11Bの径を小さくした変形例2bにおいても、80GHz等の高周波領域で良好な周波数特性が得られる。また、変形例2aのように、ピン端子11Baの径を内部導体11Bの径よりも大きくすることで、80GHz等の高周波領域で、図3の実施形態及び変形例2bと比較してより良好な周波数特性が得られる。
【0044】
以上のように、本実施形態の電子素子収容用パッケージ1によれば、信号線路20は、同軸線路10側から第1区間U1、第2区間U2及び第3区間U3を有しており、第2区間U2における信号導体22の幅wa2が、一定であり、第1区間U1における信号導体22の幅wa1以下であり、かつ、第3区間U3における信号導体22の幅wa3よりも広い。さらに、第2区間U2における信号導体22と第1接地導体23との間隔wb2は、一定であり、第1区間U1における間隔wb1よりも狭く、かつ、第3区間U3の中央部U3cにおける間隔wb3よりも広い。そして、第2区間U2は、絶縁板21の第1面S1に垂直な方向から見て、同軸線路10のピン端子11aの先端部が重なる位置から同軸線路10とは反対側に(1/3)×H~(3/2)×Hの長さを有する。このような構成によれば、80GHz等の高い周波数領域において、反射係数が小さく、透過係数が大きい良好な周波数特性を実現することができる。
【0045】
さらに、本実施形態の電子素子収容用パッケージ1によれば、第2区間U2における信号導体22の幅が、ピン端子11aの幅(径w0)よりも狭い。このような構成によれば、80GHz等の高い周波数領域において、より良好な周波数特性を実現することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の電子素子収容用パッケージ1によれば、第2区間U2における信号導体22の両側の辺ha2、hb2が、信号導体22の長手方向に平行である。加えて、第1接地導体23の信号導体22に近い方の辺hc2、hd2が、信号導体22の長手方向に平行である。このような構成によれば、80GHz等の高い周波数領域において、より良好な周波数特性を実現することができる。なお、信号導体22は、カーブしている構成であってもよく、その場合、第2区間U2における信号導体22の両側の辺、並びに、第1接地導体23の信号導体22に近い方の辺は、信号導体22と同様にカーブした構成としてもよい。
【0047】
さらに、変形例2aの電子素子収容用パッケージ1によれば、同軸線路10のピン端子11Baの径が内部導体11Bの径よりも大きい。このような構成により、80GHz等の高い周波数領域において、より良好な周波数特性を実現することができる。
【0048】
さらに、本実施形態の電子装置100によれば、電子素子収容用パッケージ1が適用されることで、80GHz等の高い周波数領域において良好な周波数特性を実現することができる。
【0049】
以上、本開示の実施形態について説明した。しかし、本開示の電子素子収容用パッケージ及び電子装置は、上記実施形態に限られるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、電子素子収容用パッケージ及び電子装置に利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子素子収容用パッケージ
2 壁体
3 収容部
4 基体
5 蓋体
6 電子素子
10 同軸線路
11、11B 内部導体
12 誘電体
13 外部導体
11a、11Ba ピン端子
w0 ピン端子の径
20 信号線路
21 絶縁板
S1 第1面
S2 第2面
22 信号導体
23 第1接地導体
24 第2接地導体
25 ビア導体
e 接合材
U1 第1区間
U2 第2区間
U3 第3区間
wa1、wa2、wa3 信号導体の幅
wb1、wb2、wb3 信号導体と第1接地導体との間隔
ha1、hb1、hc1、hd1、ha2、hb2、hc2、hd2 辺
100 電子装置
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C