(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20240924BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240924BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240924BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240924BHJP
H01M 50/502 20210101ALI20240924BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20240924BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240924BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/209
H01M50/262 S
H01M50/293
H01M50/502
H01G11/12
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2023517160
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013708
(87)【国際公開番号】W WO2022230469
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2021077464
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈幸
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192584(JP,A)
【文献】特開2007-305426(JP,A)
【文献】特開2019-186021(JP,A)
【文献】特開2016-054129(JP,A)
【文献】特開2014-220234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01G 11/12
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールと、
第1方向において前記蓄電モジュール上に積層され、前記蓄電モジュールと電気的に接続された集電板と、
前記第1方向において前記集電板上に積層された絶縁板と、
前記第1方向において前記絶縁板上に積層され、前記蓄電モジュール、前記集電板、及び、前記絶縁板に拘束荷重を付加する拘束板と、
を備え、
前記絶縁板及び前記拘束板は、互いに異なる熱膨張率を有し、
前記絶縁板は、前記拘束板と対向する対向面と、前記対向面上で前記対向面の中央から離間した位置に設けられた第1突起部と、を有し、
前記拘束板には、前記第1突起部が挿入される第1穴部が設けられており、
前記第1突起部は、前記第1方向に交差する第2方向において第1突起と第2突起とに分割されており、
前記第1突起は、前記第2方向において前記対向面の中央寄りに配置されており、
前記第2突起は、前記第2方向において前記対向面の外縁寄りに配置されている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記絶縁板は、樹脂からなり、前記拘束板の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有し、
前記第1突起は、前記第1穴部の内壁に当接する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1突起の剛性は、前記第2突起の剛性よりも低い、
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記対向面は、前記第2方向に沿う一対の短辺と、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に沿う一対の長辺と、を有する長方形状であり、
前記第1穴部は、前記第3方向に延在する長穴である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1突起部は、前記対向面の前記第2方向の中央から離間した位置に設けられている、
請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
複数の前記第1突起部は、前記一対の長辺のそれぞれに沿って配列されている、
請求項4又は5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記絶縁板の厚さは、前記第1突起部の高さよりも薄い、
請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記第1突起及び前記第2突起のそれぞれは、前記第1穴部の内壁に当接している、
請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記絶縁板は、前記拘束板の熱膨張率の2倍以上の熱膨張率を有している、
請求項1~8のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記第1突起部は、スリットにより前記第1突起と前記第2突起とに分割されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
前記第1突起及び前記第2突起のそれぞれは、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向において一対の突起片に分割されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項12】
前記絶縁板は、前記対向面上において前記第1突起部よりも前記第3方向の一端寄りに設けられた第2突起部を更に有し、
前記拘束板には、前記第2突起部が挿入される第2穴部が更に設けられており、
前記第2突起部は、前記第3方向において第3突起と第4突起とに分割されている、
請求項4~6のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項13】
前記第3突起は、前記第4突起よりも前記対向面の中央寄りに配置されており、前記第2穴部の内壁に当接する、
請求項12に記載の蓄電装置。
【請求項14】
前記第3突起の剛性は、前記第4突起の剛性よりも低い、
請求項13に記載の蓄電装置。
【請求項15】
複数の前記第2突起部は、前記第2方向に並んで配置されている、
請求項12~14のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電モジュールと、蓄電モジュール上に積層された集電板と、集電板上に積層された絶縁板と、絶縁板上に積層された拘束板と、を備える蓄電装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モジュールを複数積層する蓄電装置では、絶縁板を拘束板に対して位置決めするために、例えば、絶縁板に突起部を設けると共に、拘束板に突起部が挿入される穴部を設けることが考えられる。しかしながら、絶縁板及び拘束板の面方向の熱膨張率の違いにより、突起部が穴部と干渉し、突起部の根元に応力が集中する結果、絶縁板に厚さ方向の割れ(クラック)が生じるおそれがある。これにより、絶縁不良が生じるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、絶縁板を拘束板に対して位置決めすることができると共に、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる蓄電装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る蓄電装置は、蓄電モジュールと、第1方向において蓄電モジュール上に積層され、蓄電モジュールと電気的に接続された集電板と、第1方向において集電板上に積層された絶縁板と、第1方向において絶縁板上に積層され、蓄電モジュール、集電板、及び、絶縁板に拘束荷重を付加する拘束板と、を備え、絶縁板及び拘束板は、互いに異なる熱膨張率を有し、絶縁板は、拘束板と対向する対向面と、対向面上で対向面の中央から離間した位置に設けられた第1突起部と、を有し、拘束板には、第1突起部が挿入される第1穴部が設けられており、第1突起部は、第1方向に交差する第2方向において第1突起と第2突起とに分割されており、第1突起は、第2方向において対向面の中央寄りに配置されており、第2突起は、第2方向において対向面の外縁寄りに配置されている。
【0007】
上記蓄電装置では、絶縁板には第1突起部が設けられ、拘束板には第1穴部が設けられている。したがって、絶縁板の第1突起部を拘束板の第1穴部に挿入することにより、絶縁板を拘束板に対して位置決めすることができる。絶縁板及び拘束板は、互いに異なる熱膨張率を有している。また、第1突起部は、絶縁板の対向面の中央から離間した位置に設けられている。このため、絶縁板及び拘束板が熱膨張及び熱収縮する際、第1突起部は、第1穴部に対して相対的に対向面の中央に向かう方向又は遠ざかる方向に移動する。これにより、第1突起部が第1穴部と干渉し、第1突起部の根元に応力が集中する。第1突起部は、第1方向に交差する第2方向において第1突起と第2突起とに分割され、第1突起は、対向面の中央寄りに配置され、第2突起は対向面の外縁寄りに配置されている。第1突起及び第2突起それぞれの剛性は、分割されていない第1突起部の剛性に比べて小さい。よって、第1突起部が第1穴部と干渉した場合でも、第1突起及び第2突起のいずれか一方のみが第1穴部と干渉し、容易に根元で割れる。これにより、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる。
【0008】
絶縁板は、樹脂からなり、拘束板の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有し、第1突起は、第1穴部の内壁に当接していてもよい。この場合、絶縁板は樹脂からなるので、低温になるほど脆くなる。よって、特に熱収縮する際に絶縁板に割れが生じ易い。また、絶縁板の熱膨張率は、拘束板の熱膨張率よりも高いので、絶縁板及び拘束板が熱収縮する際、第1突起部は、第1穴部に対して相対的に対向面の中央に向かう方向に移動する。対向面の中央寄りに配置された第1突起は、第1穴部の内壁に当接するので、熱収縮による第1突起部の移動で第1突起のみが容易に根元で割れる。これにより、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる。
【0009】
第1突起の剛性は、第2突起の剛性よりも低くてもよい。この場合、第1突起の剛性が第2突起の剛性以上である場合と比べて、第1突起が容易に根元で割れる構成を実現し易い。
【0010】
対向面は、第2方向に沿う一対の短辺と、第1方向及び第2方向に交差する第3方向に沿う一対の長辺と、を有する長方形状であり、第1穴部は、第3方向に延在する長穴であってもよい。この場合、対向面は長方形状であるため、長辺方向である第3方向における絶縁板及び拘束板の寸法公差が大きくなり易い。第1穴部は第3方向に延在する長穴であるため、第3方向における絶縁板及び拘束板の寸法公差が大きな場合でも、第1突起部を第1穴部に確実に挿入することができる。
【0011】
第1突起部は、対向面の第2方向の中央から離間した位置に設けられていてもよい。この場合、第1突起部が第1穴部に対して相対的に移動する移動方向は、第3方向と交差する方向となる。よって、第1突起部が対向面の第2方向の中央に位置し、上記移動方向が第3方向と一致する場合と比べて、第1突起部が第3方向に延在する第1穴部と干渉し易い。よって、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることを抑制する構成が特に有効である。
【0012】
複数の第1突起部は、一対の長辺のそれぞれに沿って配列されていてもよい。この場合、絶縁板を拘束板に対してより正確に位置決めすることができる。
【0013】
絶縁板の厚さは、第1突起部の高さよりも薄くてもよい。この場合、絶縁板が薄いので、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることを抑制する構成が特に有効である。
【0014】
第1突起及び第2突起のそれぞれは、第1穴部の内壁に当接していてもよい。この場合、絶縁板を拘束板に対してより正確に位置決めすることができる。
【0015】
絶縁板は、拘束板の熱膨張率の2倍以上の熱膨張率を有していてもよい。この場合、熱膨張率の差が大きいので、第1突起部が第1穴部に対して相対的に移動する移動量が大きくなる。よって、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることを抑制する構成が特に有効である。
【0016】
第1突起部は、スリットにより第1突起と第2突起とに分割されていてもよい。この場合、第1突起及び第2突起が互いに離間しているので、第1突起及び第2突起のいずれか一方が根元で割れた際に、他方への影響が抑制される。
【0017】
第1突起及び第2突起のそれぞれは、第1方向及び第2方向に交差する第3方向において一対の突起片に分割されていてもよい。この場合、各突起片の剛性は、第1突起及び第2突起それぞれの剛性よりも小さい。よって、第1突起部が第1穴部と干渉した場合でも、第1突起又は第2突起を構成する一対の突起片が容易に根元で割れる。これにより、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることが更に抑制される。この結果、絶縁板の絶縁不良を更に抑制することができる。
【0018】
絶縁板は、対向面上において第1突起部よりも第3方向の一端寄りに設けられた第2突起部を更に有し、拘束板には、第2突起部が挿入される第2穴部が更に設けられており、第2突起部は、第3方向において第3突起と第4突起とに分割されていてもよい。この場合、第2突起部は、対向面上において第1突起部よりも第3方向の一端寄りに設けられている。このため、絶縁板を拘束板に取り付ける際に、まずは第2突起部を第2穴部に挿入すれば、第1突起部を第1穴部に容易に挿入することができる。第3突起及び第4突起それぞれの剛性は、分割されていない第2突起部の剛性に比べて小さい。よって、上述のように絶縁板及び拘束板が熱膨張及び熱収縮し、第2突起部が第2穴部と干渉した場合でも、第3突起及び第4突起のいずれか一方のみが穴部と干渉し、容易に根元で割れる。これにより、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる。
【0019】
第3突起は、第4突起よりも対向面の中央寄りに配置されており、第2穴部の内壁に当接していてもよい。この場合、上述のように、絶縁板は樹脂からなるので、低温になるほど脆くなる。よって、特に熱収縮する際に絶縁板に割れが生じ易い。また、絶縁板の熱膨張率は、拘束板の熱膨張率よりも高いので、絶縁板及び拘束板が熱収縮する際、第2突起部は、第2穴部に対して相対的に対向面の中央に向かう方向に移動する。対向面の中央寄りに配置された第3突起は、第2穴部の内壁に当接するので、熱収縮による第2突起部の移動で第3突起のみが容易に根元で割れる。これにより、絶縁板に厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる。
【0020】
第3突起の剛性は、第4突起の剛性よりも低くてもよい。この場合、第3突起の剛性が第4突起の剛性以上である場合と比べて、第3突起が容易に根元で割れる構成を実現し易い。
【0021】
複数の第2突起部は、第2方向に並んで配置されていてもよい。この場合、複数の第2突起部を対応する第2穴部に挿入することにより、絶縁板を拘束板に対して確実に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、絶縁板を拘束板に対して位置決めすることができると共に、絶縁板の絶縁不良を抑制することができる蓄電装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示される蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、絶縁板及び拘束板の全体構成を示す展開斜視図である。
【
図4】
図4は、拘束板を内面側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、拘束板を外面側から見た一部拡大平面図である。
【
図6】
図6は、比較例に係る蓄電装置の絶縁板及び拘束板の断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る蓄電装置の絶縁板及び拘束板の断面図である。
【
図8】
図8は、第1変形例に係る突起部が設けられた絶縁板の斜視図である。
【
図9】
図9は、第1変形例に係る突起部が設けられた絶縁板の平面図である。
【
図10】
図10は、第2変形例に係る突起部が設けられた絶縁板及び拘束板の全体構成を示す展開斜視図である。
【
図11】
図11は、第2変形例に係る拘束板を内面側から見た平面図である。
【
図12】
図12は、第3変形例に係る突起部が設けられた絶縁板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0025】
図1~
図5を参照して、本実施形態に係る蓄電装置1について説明する。
図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がニッケル水素電池である場合を例示する。
【0026】
蓄電装置1は、モジュール積層体2と、拘束部材4と、一対の絶縁板20と、を備えている。モジュール積層体2は、第1方向D1において積層された複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では8つ)の集電板5と、を含んでいる。
【0027】
図2に示されるように、蓄電モジュール3は、電極積層体51と、電極積層体51を封止する樹脂製の封止体52とを備えている。蓄電モジュール3は、例えば、直方体形状に形成されている。
【0028】
電極積層体51は、セパレータ53を介して積層方向(第1方向D1)に沿って積層された複数の電極と、電極積層体51の積層端に配置された金属板60A,60Bと、を含んでいる。複数の電極は、複数のバイポーラ電極54の積層体と、負極終端電極58と、正極終端電極59とを含む。複数のバイポーラ電極54の積層体は、負極終端電極58及び正極終端電極59の間に設けられている。
【0029】
バイポーラ電極54は、一方面55a及び一方面55aの反対側の他方面55bを含む金属板55と、一方面55aに設けられた正極56と、他方面55bに設けられた負極57とを有している。正極56は、正極活物質が金属板55に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極57は、負極活物質が金属板55に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体51において、一のバイポーラ電極54の正極56は、セパレータ53を挟んで第1方向D1の一方に隣り合う別のバイポーラ電極54の負極57と対向している。電極積層体51において、一のバイポーラ電極54の負極57は、セパレータ53を挟んで第1方向D1の他方に隣り合う別のバイポーラ電極54の正極56と対向している。
【0030】
負極終端電極58は、金属板55と、金属板55の他方面55bに設けられた負極57とを有している。負極終端電極58は、他方面55bが電極積層体51における第1方向D1の中央側を向くように、第1方向D1の一端側に配置されている。負極終端電極58の金属板55の一方面55aには、金属板60Aが更に積層され、この金属板60Aを介して蓄電モジュール3に隣接する一方の集電板5(
図1参照)と電気的に接続されている。負極終端電極58の金属板55の他方面55bに設けられた負極57は、セパレータ53を介して、第1方向D1の一端のバイポーラ電極54の正極56と対向している。
【0031】
正極終端電極59は、金属板55と、金属板55の一方面55aに設けられた正極56とを有している。正極終端電極59は、一方面55aが電極積層体51における第1方向D1の中央側を向くように、第1方向D1の他端側に配置されている。正極終端電極59の金属板55の他方面55bには、金属板60Bが更に積層され、この金属板60Bを介して蓄電モジュール3に隣接する他方の集電板5(
図1参照)と電気的に接続されている。正極終端電極59の金属板55の一方面55aに設けられた正極56は、セパレータ53を介して、第1方向D1の他端のバイポーラ電極54の負極57と対向している。
【0032】
金属板55は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、金属板55は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。各金属板55は、いずれも電極積層体51に含まれる金属板の一つである。金属板55の縁部55cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極56を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極57を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、金属板55の他方面55bにおける負極57の形成領域は、金属板55の一方面55aにおける正極56の形成領域に対して一回り大きくなっている。電極積層体51は、積層された複数の金属板55,60A,60Bを有している。
【0033】
セパレータ53は、金属板55同士の短絡を防止するための部材であり、例えばシート状に形成されている。セパレータ53としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ53は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ53は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0034】
金属板60A,60Bは、金属板55と実質的に同一の部材であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。金属板60A,60Bは、いずれも電極積層体51に含まれる金属板の一つである。一例として、金属板60A,60Bは、ニッケルからなる矩形の金属箔である。金属板60A,60Bは、一方面60a及び他方面60bに正極活物質層及び負極活物質層のいずれもが塗工されていない未塗工電極となっている。すなわち、金属板60A,60Bは、両面に活物質層が設けられていない未塗工電極である。
【0035】
金属板60Aは、電極積層体51の一方の積層端に位置している。金属板60Aにより、負極終端電極58は、第1方向D1に沿って金属板60Aとバイポーラ電極54との間に配置された状態となっている。金属板60Bは、電極積層体51の他方の積層端に位置している。金属板60Bにより、正極終端電極59は、第1方向D1に沿って金属板60Bとバイポーラ電極54との間に配置された状態となっている。電極積層体51では、電極積層体51の中央領域(バイポーラ電極54、負極終端電極58、及び正極終端電極59において活物質層が配置されている領域)が、その周りの領域に比べて第1方向D1に膨らんでいる。このため、金属板60A,60Bは、金属板60A,60Bの中央領域が互いに離間する方向に屈曲している。金属板60Aの一方面60a及び金属板60Bの他方面60bの中央領域は、集電板5と当接(接触)している。すなわち、集電板5は、電極積層体51の積層端の金属板60A,60Bに接触して配置されている。
【0036】
封止体52は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体52は、電極積層体51の側面51aを囲むように設けられている。封止体52は、側面51aにおいて縁部55cを保持している。封止体52は、電極積層体51に含まれる金属板の縁部(すなわち、金属板55の縁部55c及び金属板60A,60Bの縁部60c)にそれぞれ設けられた枠状の複数の第1封止部61(樹脂部)と、側面51aに沿って第1封止部61を外側から包囲し、第1封止部61のそれぞれに結合された第2封止部62とを有している。第1封止部61及び第2封止部62は、例えば、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂である。第1封止部61及び第2封止部62の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0037】
第1封止部61は、金属板55の縁部55c又は金属板60A,60Bの縁部60cの全周にわたって連続的に設けられ、第1方向D1から見て矩形枠状をなしている。第1封止部61は、例えば超音波又は熱によって金属板55の縁部55c又は金属板60A,60Bの縁部60cに溶着され、気密に接合されている。第1封止部61は、第1方向D1から見て、金属板55の縁部55c又は金属板60A,60Bの縁部60cよりも外側にまで延びている。第1封止部61は、金属板55又は金属板60A,60Bの縁よりも外側に張り出した外側部分61aと、金属板55又は金属板60A,60Bの縁よりも内側に位置する内側部分61bと、を含む。第1封止部61の外側部分61aの先端部(外縁部)は、溶着層63により第2封止部62に接合されている。溶着層63は、例えば熱板溶着により溶融された第1封止部61の先端部同士が互いに結合して形成される。第1方向D1に沿って互いに隣り合う第1封止部61の外側部分61a同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1方向D1に沿って互いに隣り合う第1封止部61の外側部分61a同士は、例えば熱板溶着などによって互いに結合していてもよい。
【0038】
複数の第1封止部61は、バイポーラ電極54及び正極終端電極59に設けられた複数の第1封止部61Aと、負極終端電極58に設けられた第1封止部61Bと、金属板60Aに設けられた第1封止部61Cと、金属板60Bに設けられた第1封止部61D,61Eと、を有している。
【0039】
第1封止部61Aは、バイポーラ電極54及び正極終端電極59の金属板55の一方面55aに接合されている。第1封止部61Aの内側部分61bは、第1方向D1に互いに隣り合う金属板55の縁部55c同士の間に位置している。金属板55の一方面55aにおける縁部55cと、第1封止部61Aとが重なる領域は、金属板55と第1封止部61Aとの結合領域となっている。
【0040】
本実施形態では、第1封止部61Aは、1枚のフィルムが二つに折りたたまれることによって、二層構造で形成されている。第2封止部62に埋設されている第1封止部61Aの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部61Aを構成する一層目のフィルムは、一方面55aに接合されている。二層目のフィルムの内縁は、一層目のフィルムの内縁よりも外側に位置し、セパレータ53が載置される段差部を形成している。二層目のフィルムの内縁は、金属板55の縁よりも内側に位置している。
【0041】
第1封止部61Bは、負極終端電極58の金属板55の一方面55aに接合されている。第1封止部61Bの内側部分61bは、第1方向D1に互いに隣り合う負極終端電極58の金属板55の縁部55cと、金属板60Aの縁部60cとの間に位置している。金属板55の一方面55aにおける縁部55cと第1封止部61Bの内側部分61bとが重なる領域は、金属板55と第1封止部61Bとの結合領域となっている。第1封止部61Bは、金属板60Aの他方面60bにも接合されている。金属板60Aの他方面60bにおける縁部60cと、第1封止部61Bとが重なる領域は、金属板60Aと第1封止部61Bとの結合領域となっている。本実施形態では、第1封止部61Bは、金属板60Aの他方面60bにおける縁部60cにも接合されている。第1封止部61Bは、負極終端電極58だけでなく、金属板60Aにも設けられていると言える。
【0042】
第1封止部61Cは、金属板60Aの一方面60a(外面)に接合されている。本実施形態では、第1封止部61Cは、複数の第1封止部61のうち、第1方向D1の最も一端側に位置する。金属板60Aの一方面60aにおける縁部60cと、第1封止部61Cとが重なる領域は、金属板60Aと第1封止部61Cとの結合領域となっている。金属板60Aの一方面60aは、第1封止部61Cから露出する露出部60dを有している。集電板5は、露出部60dに当接(接触)して配置されている。
【0043】
本実施形態では、第2封止部62に埋設されている第1封止部61B,61Cの外縁部同士は連続している。すなわち、第1封止部61B,61Cは、1枚のフィルムが金属板60Aの縁部60cを挟んで二つに折りたたまれることによって形成されている。第1封止部61B,61Cの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部61B,61Cを構成するフィルムは、金属板60Aの一方面60a及び他方面60bの両方において縁部60cと接合されている。このように、金属板60Aの両面を第1封止部61B,61Cと接合することで、いわゆるアルカリクリープ現象による電解液の滲み出しを抑制することができる。
【0044】
第1封止部61Dは、金属板60Bの一方面60aに接合されている。第1封止部61Dの内側部分61bは、第1方向D1に互いに隣り合う正極終端電極59の金属板55の縁部55cと、金属板60Bの縁部60cとの間に位置している。金属板60Bの一方面60aにおける縁部60cと、第1封止部61Dとが重なる領域は、金属板60Bと第1封止部61Dとの結合領域となっている。
【0045】
第1封止部61Eは、金属板60Bの他方面60b(外面)における縁部60cに配置されている。本実施形態では、第1封止部61Eは、複数の第1封止部61のうち、第1方向D1の最も他端側に位置する。また、本実施形態では、第1封止部61Eは、金属板60Bに接合されていない。金属板60Bの他方面60bは、第1封止部61Eから露出する露出部60dを有している。集電板5は、露出部60dに当接(接触)して配置されている。
【0046】
本実施形態では、第2封止部62に埋設されている第1封止部61D,61Eの外縁部同士は連続している。すなわち、第1封止部61D,61Eは、1枚のフィルムが金属板60Bの縁部60cを挟んで二つに折りたたまれることにより形成されている。第1封止部61D,61Eの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部61D,61Eを構成するフィルムは、金属板60Bの一方面60aにおいて縁部60cと接合されている。
【0047】
結合領域において、金属板55,60A,60Bの表面は、粗面化されている。粗面化された領域は、結合領域のみでもよいが、本実施形態では金属板55の一方面55aの全体が粗面化されている。また、金属板60Aの一方面60a及び他方面60bの全体が粗面化されている。また、金属板60Bの一方面60aの全体が粗面化されている。
【0048】
粗面化は、例えば電解メッキによる複数の突起の形成により実現し得る。結合領域に複数の突起が形成されることにより、結合領域における第1封止部61との接合界面では、溶融状態の樹脂が粗面化により形成された複数の突起間に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、金属板55,60A,60Bと第1封止部61との間の結合強度を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、隣り合う突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果を高めることが可能となる。
【0049】
第2封止部62は、電極積層体51の側面51aを囲むように電極積層体51及び第1封止部61の外側に設けられ、蓄電モジュール3の外壁(筐体)を構成している。第2封止部62は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、第1方向D1に沿って電極積層体51の全長にわたって延在している。第2封止部62は、第1方向D1を軸方向として延在する矩形の枠状を呈している。第2封止部62は、例えば射出成型時の熱によって第1封止部61の外表面に溶着されている。
【0050】
封止体52は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部62は、第1封止部61と共に、第1方向D1に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極54の間、第1方向D1に沿って互いに隣り合う負極終端電極58とバイポーラ電極54との間、及び第1方向D1に沿って互いに隣り合う正極終端電極59とバイポーラ電極54との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極54の間、負極終端電極58とバイポーラ電極54との間、及び正極終端電極59とバイポーラ電極54との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ53、正極56、及び負極57内に含浸されている。封止体52は、金属板60Aと負極終端電極58との間、及び金属板60Bと正極終端電極59との間もそれぞれ封止している。
【0051】
複数の蓄電モジュール3は、集電板5を介して積層されている。第1方向D1に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、集電板5を介して電気的に接続されている。複数の集電板5は、第1方向D1における一端側の集電板5Aと、他端側の集電板5Bと、蓄電モジュール3間に介在する複数(本実施形態では6つ)の集電板5Cと、を含んでいる。集電板5Cは、第1方向D1に互いに隣り合う蓄電モジュール3間に設けられている。第1方向D1に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、集電板5Cは、金属板60Bの他方面60bの露出部60d、及び、金属板60Aの一方面60aの露出部60dのそれぞれに接触配置されている。
【0052】
集電板5A,5Bは、複数の蓄電モジュール3及び複数の集電板5Cを第1方向D1の両側から挟むように配置されている。集電板5A,5Bは、複数の蓄電モジュール3のうち積層端に位置する蓄電モジュール3上に第1方向D1において積層されている。集電板5Aは、第1方向D1において、一方の積層端に位置する蓄電モジュール3上に積層され、少なくとも当該蓄電モジュール3と電気的に接続されている。集電板5Bは、第1方向D1において、他方の積層端に位置する蓄電モジュール3上に積層され、少なくとも当該蓄電モジュール3と電気的に接続されている。一方の集電板5Aには、負極端子7が接続されている。他方の集電板5Bには、正極端子6が接続されている。
【0053】
拘束部材4は、モジュール積層体2を第1方向D1の両側から挟む一対の拘束板8と、一対の拘束板8を連結する複数の連結部材9と、を含む。一対の拘束板8は、負極端子7側の拘束板8A及び正極端子6側の拘束板8Bを含む。一対の拘束板8は、第1方向D1において、モジュール積層体2を挟むように、モジュール積層体2の両側に積層されている。連結部材9は、一対の拘束板8を介して第1方向D1の両側からモジュール積層体2に拘束荷重を付加する。複数の蓄電モジュール3及び複数の集電板5は、一対の拘束板8により挟持されることで、モジュール積層体2としてユニット化されている。本実施形態では、連結部材9は、一対の拘束板8を締結するボルト9a及びナット9bによって構成されている。
【0054】
一対の絶縁板20は、負極端子7側の絶縁板20A及び正極端子6側の絶縁板20Bを含む。集電板5Aと拘束板8Aとの間には、絶縁板20Aが設けられる。絶縁板20Aは、集電板5Aと拘束板8Aとの間の絶縁性を確保するための部材である。絶縁板20Aは、集電板5Aと拘束板8Aとに接触している。絶縁板20Aは、第1方向D1において集電板5A上に積層されている。絶縁板20Aは、第1方向D1から見て、集電板5Aの全域と重なるように配置される。拘束板8Aは、第1方向D1において絶縁板20A上に積層され、少なくとも一方の積層端に位置する蓄電モジュール3、集電板5A、及び、絶縁板20Aに拘束荷重を付加している。
【0055】
集電板5Bと拘束板8Bとの間には、絶縁板20Bが設けられる。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの間の絶縁性を確保するための部材である。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとに接触している。絶縁板20Bは、第1方向D1において集電板5B上に積層されている。絶縁板20Bは、第1方向D1から見て、集電板5Bの全域と重なるように配置される。拘束板8Bは、第1方向D1において絶縁板20B上に積層され、少なくとも他方の積層端に位置する蓄電モジュール3、集電板5B、及び、絶縁板20Bに拘束荷重を付加している。
【0056】
絶縁板20は、絶縁性材料により形成される。絶縁板20は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂からなる。絶縁板20は、拘束板8の熱膨張率と異なる熱膨張率を有している。絶縁板20は、拘束板8の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有している。絶縁板20は、拘束板8の熱膨張率の2倍以上の熱膨張率を有している。絶縁板20は、拘束板8の熱膨張率の5倍以上の熱膨張率を有していてもよい。
【0057】
次に、
図1~
図5を参照して、絶縁板20及び拘束板8の構成について更に説明する。
図3は、絶縁板20B及び拘束板8Bの全体構成を示す展開斜視図である。
図4は、拘束板8Bを内面11b側から見た平面図である。
図5は、拘束板8Bを外面11a側から見た一部拡大平面図である。なお、
図3~
図5では、正極端子6側の絶縁板20B及び拘束板8Bの構成について説明するが、負極端子7側の絶縁板20A及び拘束板8Aも同趣旨の構成を有する。
【0058】
絶縁板20Bは、対向面20a及び複数(本実施形態では6つ)の突起部30を有している。対向面20aは、第1方向D1において拘束板8Bと対向している。対向面20aは、一対の短辺21と、一対の長辺22と、を有する長方形状である。一対の短辺21と、一対の長辺22とは、対向面20aの外縁を構成している。対向面20aの短辺方向を第2方向D2、対向面20aの長辺方向を第3方向D3とする。第1方向D1、第2方向D2、及び、第3方向D3は、互いに交差(本実施形態では直交)している。一対の短辺21は、第3方向D3において互いに対向している。一対の長辺22は、第2方向D2において互いに対向している。
【0059】
複数の突起部30は、対向面20aを含む絶縁板20Bの本体部と同じ材料からなり、本体部と一体的に形成されている。複数の突起部30は、対向面20aの中央から離間した位置に設けられ、拘束板8Bに向かって突出している。絶縁板20及び拘束板8は、放射状に熱膨張及び熱収縮する。対向面20aの中央とは、絶縁板20が面内方向に熱膨張及び熱収縮する際の中心となる位置であり、熱膨張及び熱収縮によって面内方向に移動しない位置である。対向面20aの中央は、例えば、対向面20aの重心である。絶縁板20Bは薄いので、厚さ方向(第1方向D1)における熱膨張及び熱収縮は、対向面20aの面内方向(第2方向D2及び第3方向D3)における熱膨張及び熱収縮に比べて非常に小さい。
【0060】
複数の突起部30は、一対の長辺22のそれぞれに沿って2列で配列されている。複数の突起部30は、対向面20aの短辺方向(第2方向D2)の中央から離間した位置に設けられている。すなわち、複数の突起部30は、対向面20aの第2方向D2の中心線から離間した位置に設けられている。対向面20aの第2方向D2の中心線とは、一対の長辺22に平行で、一対の長辺22からの距離が等しい直線である。対向面20aの一方の長辺22寄りに配置された複数(本実施形態では3つ)の突起部30は、互いに離間して第3方向D3に並んでいる。対向面20aの他方の長辺22寄りに配置された複数(本実施形態では3つ)の突起部30は、互いに離間して第3方向D3に並んでいる。
【0061】
各突起部30は、対向面20aの面内方向において第1突起31と第2突起32とに分割されている。本実施形態では、各突起部30は、第2方向D2に分割されている。第1突起31は、第2方向D2において対向面20aの中央寄りに配置されている。第2突起32は、第2方向D2において対向面20aの外縁寄りに配置されている。各突起部30では、第2方向D2において、第1突起31が対向面20aの内側に配置され、第2突起32が対向面20aの外側(対応する長辺22寄り)に配置されている。
【0062】
突起部30は、スリット33により第1突起31と第2突起32とに分割されている。スリット33は、第3方向D3に延びている。スリット33は、対向面20aまで至っている。第1突起31及び第2突起32は、スリット33により互いに離間している。突起部30は、第1方向D1に沿う中心軸を有する円筒が、中心軸を通るスリット33により分割された形状を有している。第1突起31及び第2突起32は、第1方向D1から見て、C字形状となる柱形状を有している。第1突起31及び第2突起32は、互いに同形状を有している。第1突起31及び第2突起32は、互いに同じ剛性を有している。
【0063】
絶縁板20Bの厚さは、突起部30の高さ(対向面20aからの突出高さ)よりも薄く、例えば、突起部30の高さの1/2以下である。絶縁板20Bの厚さは、例えば、2.0mmである。突起部30の高さは、例えば、5mmである。
【0064】
拘束板8は、第1方向D1から見て、蓄電モジュール3及び集電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8の短手方向は、第2方向D2と一致している。拘束板8の長手方向は、第3方向D3と一致している。拘束板8は、本体部11及び一対の縁部10を有する。本体部11は、第1方向D1から見てモジュール積層体2と重なる。一対の縁部10は、本体部11から第2方向D2に延在すると共に第1方向D1から見てモジュール積層体2と重ならない。本実施形態では、一対の縁部10は、第2方向D2における本体部11の両側に設けられている。すなわち、本体部11は、第2方向D2において一対の縁部10に挟まれている。
【0065】
縁部10は、第1方向D1の外側(第1方向D1における蓄電モジュール3とは反対側)を向く外面10aと、第1方向D1の内側(第1方向D1における蓄電モジュール3側)を向く内面10bと、を有している。本体部11は、第1方向D1の外側を向く外面11aと、第1方向D1の内側を向く内面11bと、を有している。外面10aは、外面11aよりも第1方向D1の内側に位置している。内面10bは、内面11bよりも第1方向D1の内側に位置している。内面11bは、絶縁板20の対向面20aと対向している。
【0066】
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(第3方向D3)に延在する外縁部分である。縁部10には、ボルト9aが挿通される複数の挿通孔10cが設けられている。なお、
図3では、挿通孔10cの図示が省略されている。
図4に示されるように、各縁部10において、複数の挿通孔10cは、第3方向D3に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。
図1に示されるように、ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。
【0067】
図4及び
図5に示されるように、拘束板8Bの内面11bには、複数の突起部30が挿入される複数の穴部40が設けられている。1つの穴部40には、対応する1つの突起部30、すなわち、1組の第1突起31及び第2突起32が挿入される。穴部40の深さは、突起部30の高さよりも深い。穴部40の深さは、拘束板8Bの厚さよりも浅く、穴部40は拘束板8Bを貫通していない。穴部40の深さは、例えば、10mmである。拘束板8Bの厚さは、例えば、15mmである。
【0068】
穴部40は、第3方向D3に延在する長穴である。穴部40の第3方向D3の長さ(穴部40の長さ)は、穴部40の第2方向D2の長さ(穴部40の幅)よりも長い。複数の穴部40は、互いに同形状を有しているが、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0069】
突起部30は、
図5に示されるように、例えば、第1突起31及び第2突起32のそれぞれが穴部40の内壁40aに当接するように、穴部40に挿入(圧入)される。突起部30はスリット33により分割されているので、穴部40への圧入を容易に行うことができる。
図5では、穴部40及び突起部30が破線で示されている。内壁40aは、第2方向D2において互いに対向し、第1突起31及び第2突起32と当接する一対の平面部を有している。一対の平面部は、第1突起31又は第2突起32を第2方向D2において挟持している。
【0070】
突起部30が穴部40に挿入された状態でも、第1突起31及び第2突起32は、第2方向D2において互いに離間している。突起部30が穴部40に挿入された状態におけるスリット33の間隔は、突起部30が穴部40に挿入されていない状態におけるスリット33の間隔以下である。第1突起31及び第2突起32は、少なくとも絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する際に内壁40aに当接する構成であればよい。本実施形態では、少なくとも第1突起31が内壁40aに当接する構成であればよい。
【0071】
次に、本実施形態に係る蓄電装置1の作用及び効果について説明する。
【0072】
蓄電装置1では、絶縁板20には突起部30が設けられ、拘束板8には突起部30が挿入される穴部40が設けられている。したがって、突起部30を穴部40に挿入することにより、絶縁板20を拘束板8に対して位置決めすることができる。絶縁板20及び拘束板8は、互いに異なる熱膨張率を有している。絶縁板20は、対向面20aの中央から放射線状に熱膨張及び熱収縮する。突起部30は、対向面20a上で対向面20aの中央から離間した位置に設けられている。このため、絶縁板20及び拘束板8が熱膨張及び熱収縮する際、突起部30は、対向面20aの面内方向であって、穴部40に対して相対的に対向面20aの中央に向かう方向又は遠ざかる方向に移動する。
【0073】
図6は、比較例に係る蓄電装置の絶縁板20B及び拘束板8Bの断面図である。
図7は、蓄電装置1の絶縁板20B及び拘束板8Bの断面図である。
図6及び
図7では、正極端子6側の絶縁板20B及び拘束板8Bの構成について説明するが、負極端子7側の絶縁板20A及び拘束板8Aも同趣旨の構成を有する。
図6及び
図7では、対向面20a及び内面11bは互いに離間しているが、実際は接触している。
【0074】
図6に示される比較例に係る蓄電装置は、絶縁板20Bが分割されていない突起部130を有する点で、
図7に示される蓄電装置1と相違している。
図6の(a)には、絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する前の状態が示されている。
図6の(b)には、絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する際に、突起部130が穴部40に対して相対的に移動する様子が示されている。
図6では、紙面左側が対向面20aの中央寄りである。比較例に係る蓄電装置では、突起部130が移動することにより、突起部130が穴部40の内壁40aと干渉し、突起部130の根元に応力が集中する。突起部130は、太く剛性が高いので根元で割れ難い。その結果、絶縁板20Bに厚さ方向の割れが生じる。
【0075】
図7の(a)には、絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する前の状態が示されている。
図7の(b)には、絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する際に、突起部30が穴部40に対して相対的に移動する様子が示されている。蓄電装置1では、突起部30は第1突起31及び第2突起32に分割され、第1突起31は対向面20aの中央寄りに配置され、第2突起32は対向面20aの外縁寄りに配置されている。第1突起31及び第2突起32のそれぞれは、分割されていない突起部130と比べて細く、剛性が低くなる。よって、突起部30が移動することにより、突起部30が穴部40と干渉した場合でも、第1突起31及び第2突起32のいずれか一方のみが穴部40と干渉し、容易に根元で割れる。ここでは、第1突起31のみが根元で割れる。これにより、絶縁板20Bに厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板20Bの絶縁不良を抑制することができる。また、第1突起31が割れた後も、第2突起32は割れずに残っているので、第2突起32により、絶縁板20Bを拘束板8Bに対して位置決めする機能を維持できる。
【0076】
蓄電装置1では、絶縁板20は、樹脂からなるので、低温になるほど脆くなる。このため、特に熱収縮する際に絶縁板20に割れが生じ易い。拘束板8の熱膨張率よりも高い熱膨張率を有する。このため、絶縁板20及び拘束板8が熱収縮する際、突起部30は、穴部40に対して相対的に対向面20aの中央に向かう方向に移動する。対向面20aの中央寄りに配置された第1突起31は、穴部40の内壁40aに当接するので、熱収縮による突起部30の移動で第1突起31のみが容易に根元で割れる。
【0077】
対向面20aは、第2方向D2に沿う一対の短辺21と、第3方向D3に沿う一対の長辺22と、を有する長方形状である。このため、長辺方向である第3方向D3における絶縁板20及び拘束板8の寸法公差が大きくなり易い。穴部40は第3方向D3に延在する長穴であるため、第3方向D3における絶縁板20及び拘束板8の寸法公差が大きな場合でも、突起部30を穴部40に確実に挿入することができる。穴部40の長さは、絶縁板20及び拘束板8の寸法公差に応じて設定され得る。絶縁板20及び拘束板8の寸法公差は、例えば最大で3mmである。
【0078】
突起部30が対向面20aの第2方向D2の中央に設けられる場合、突起部30が穴部40に対して相対的に移動する移動方向は、長穴である穴部40が延在する第3方向D3と一致する。よって、突起部30が移動しても穴部40と干渉し難い。これに対し、本実施形態では、突起部30は、対向面20aの第2方向D2の中央から離間した位置に設けられている。このため、突起部30が穴部40に対して相対的に移動する移動方向は、対向面20aの面内方向であって、第3方向D3と交差する方向となる。したがって、突起部30が穴部40と干渉し易い。よって、絶縁板20に厚さ方向の割れが生じることを抑制する本実施形態の構成が特に有効である。
【0079】
複数の突起部30は、一対の長辺22のそれぞれに沿って配列されている。このため、絶縁板20を拘束板8に対してより正確に位置決めすることができる。
【0080】
絶縁板20の厚さは、突起部30の高さよりも薄い。このように絶縁板20が薄いので、絶縁板20に厚さ方向の割れが生じることを抑制する本実施形態の構成が特に有効である。
【0081】
第1突起31及び第2突起32のそれぞれは、穴部40の内壁40aに当接している。このため、絶縁板20を拘束板8に対してより正確に位置決めすることができる。
【0082】
絶縁板20は、拘束板8の熱膨張率の2倍以上の熱膨張率を有している。このように、熱膨張率の差が大きいので、突起部30が穴部40に対して相対的に移動する移動量が大きくなる。よって、絶縁板20に厚さ方向の割れが生じることを抑制する本実施形態の構成が特に有効である。
【0083】
突起部30は、スリット33により第1突起31と第2突起32とに分割されている。このように、第1突起31及び第2突起32がスリット33により互いに離間しているので、第1突起31及び第2突起32のいずれか一方が根元で割れた際に、他方への影響が抑制される。
【0084】
本開示は上記実施形態に限定されない。
【0085】
上記実施形態では、第1突起31及び第2突起32は、第1方向D1から見て、C字形状となる柱形状を有しているが、第1突起31及び第2突起32は、第1方向D1から見て、例えば、半円状、円状、又は、多角形状となる柱形状であってもよい。第1突起31及び第2突起32は、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0086】
上記実施形態では、第1突起31及び第2突起32は、互いに同じ剛性を有しているが、第1突起31の剛性は、第2突起32の剛性よりも低くてもよい。この場合、第1突起31の剛性が第2突起32の剛性以上である場合と比べて、第1突起31が容易に根元で割れる構成を実現し易い。
【0087】
上記実施形態では、突起部30は、スリット33により第2方向D2において第1突起31及び第2突起32に2分割されているが、突起部30は更に分割されていてもよい。
図8は、第1変形例に係る突起部30Aが設けられた絶縁板20Bの斜視図である。
図9は、第1変形例に係る突起部30Aが設けられた絶縁板20Bの平面図である。
図8及び
図9では、正極端子6側の絶縁板20Bの構成について説明するが、負極端子7側の絶縁板20Aも同趣旨の構成を有してもよい。
図8及び
図9に示されるように、突起部30Aは、例えば、更に第3方向D3において分割されることにより、4分割されていてもよい。この場合、突起部30Aは、互いに離間している4つの突起を含んで構成される。
【0088】
第1突起31は、第3方向D3において一対の突起片34に分割されているとも言える。第2突起32は、第3方向D3において一対の突起片35に分割されているとも言える。第1突起31及び第2突起32のそれぞれは、第2方向D2に延びるスリット36により、第3方向D3に分割されている。スリット36は、対向面20aまで至っている。一対の突起片34は、スリット36により互いに離間している。一対の突起片35は、スリット36により互いに離間している。各突起片34,35は、第1方向D1から見て、中心角90度の扇形状を有していてもよい。4つの突起片34,35は、互いに同形状を有している。各突起片34,35は、第1方向D1から見て、例えば、円状、又は、多角形状となる柱形状であってもよい。4つの突起片34,35は、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0089】
図10は、第2変形例に係る突起部70が設けられた絶縁板20B及び拘束板8Bの全体構成を示す展開斜視図である。
図11は、第2変形例に係る拘束板を内面側から見た平面図である。
図10及び
図11では、正極端子6側の絶縁板20B及び拘束板8Bの構成について説明するが、負極端子7側の絶縁板20A及び拘束板8Aも同趣旨の構成を有してもよい。
図10及び
図11に示されるように、絶縁板20Bは、対向面20a上に設けられた複数(本変形例では4つ)の突起部70を更に有している。複数の突起部70は、互いに同じ形状を有しているが、互いに異なる形状を有していてもよい。複数の突起部70は、絶縁板20Bの本体部と同じ材料からなり、本体部と一体的に形成されている。複数の突起部70は、対向面20aの中央から離間した位置に設けられ、拘束板8Bに向かって突出している。突起部70の高さは、例えば、突起部30の高さと同等である。
【0090】
複数の突起部70は、一方の短辺21に沿って1列で配列されている。複数の突起部70は、対向面20aの長辺方向(第3方向D3)の中央から離間した位置に設けられている。すなわち、複数の突起部70は、対向面20aの第3方向D3の中心線から離間した位置に設けられている。対向面20aの第3方向D3の中心線とは、一対の短辺21に平行で、一対の短辺21からの距離が等しい直線である。複数の突起部70は、対向面20aにおいて複数の突起部30よりも第3方向D3の一端寄りに設けられている。複数の突起部70は、第2方向D2に並んで配置されている。
【0091】
各突起部70は、対向面20aの面内方向において第1突起71と第2突起72とに分割されている。各突起部70は、第3方向D3に分割されている。第1突起71は、第3方向D3において対向面20aの中央寄りに配置されている。第2突起72は、第3方向D3において対向面20aの外縁寄りに配置されている。各突起部70では、第3方向D3において、第1突起71が対向面20aの内側に配置され、第2突起72が対向面20aの外側(一方の短辺21寄り)に配置されている。
【0092】
突起部70は、第2方向D2に延びるスリット73により、第1突起71と第2突起72とに分割されている。スリット73は、対向面20aまで至っている。第1突起71及び第2突起72は、スリット73により互いに離間している。突起部70は、第1方向D1を高さ方向、第2方向D2を長辺方向、第3方向D3を短辺方向とする角筒が、スリット73により分割された形状を有している。第1突起71及び第2突起72は、第1方向D1から見て、U字状の柱形状を有している。第1突起71及び第2突起72は、互いに同形状を有している。第1突起71及び第2突起72は、互いに同じ剛性を有している。
【0093】
拘束板8Bの内面11bには、複数の突起部70が挿入される複数(本変形例では2つ)の穴部80が設けられている。1つの穴部80には、対応する2つの突起部70、すなわち、2組の第1突起71及び第2突起72が挿入される。1つの穴部80には、対応する1つの突起部70が挿入されてもよいし、1つの穴部80に全ての突起部70が挿入されてもよい。穴部80の深さは、突起部70の高さよりも深い。穴部80の深さは、拘束板8Bの厚さよりも浅く、穴部80は拘束板8Bを貫通していない。穴部80の深さは、穴部40の深さと同等である。
【0094】
穴部80は、第2方向D2に延在する長穴である。穴部80の第2方向D2の長さ(穴部80の長さ)は、穴部80の第3方向D3の長さ(穴部80の幅)よりも長い。複数の穴部80は、互いに同形状を有しているが、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0095】
突起部70は、例えば、第1突起71及び第2突起72のそれぞれが穴部80の内壁80aに当接するように、穴部80に挿入(圧入)される。突起部70はスリット73により分割されているので、穴部80への圧入を容易に行うことができる。内壁80aは、第3方向D3において互いに対向し、第1突起71及び第2突起72と当接する一対の平面部を有している。一対の平面部は、第1突起71又は第2突起72を第3方向D3において挟持する。
【0096】
突起部70が穴部80に挿入された状態でも、第1突起71及び第2突起72は、第3方向D3において互いに離間する。突起部70が穴部80に挿入された状態におけるスリット73の間隔は、突起部70が穴部80に挿入されていない状態におけるスリット73の間隔以下である。第1突起71及び第2突起72は、少なくとも絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張又は熱収縮する際に内壁80aに当接する構成であればよい。本変形例では、少なくとも第1突起71が内壁80aに当接する構成であればよい。
【0097】
第2変形例に係る突起部70を穴部80に挿入することによっても、絶縁板20Bを拘束板8Bに対して位置決めすることができる。特に、突起部70は、対向面20a上において突起部30よりも第3方向D3の一端寄りに設けられている。このため、絶縁板20Bを拘束板8Bに取り付ける際に、まずは突起部70を穴部80に挿入すれば、突起部30を穴部40に容易に挿入することができる。複数の突起部70は、第2方向D2に並んで配置されている。複数の突起部70を対応する穴部80に挿入することにより、絶縁板20Bを拘束板8Bに対して確実に位置決めすることができる。
【0098】
第1突起71及び第2突起72それぞれの剛性は、分割されていない突起部70の剛性に比べて小さい。よって、上述のように絶縁板20B及び拘束板8Bが熱膨張及び熱収縮し、突起部70が穴部80と干渉した場合でも、第1突起71及び第2突起72のいずれか一方のみが穴部80と干渉し、容易に根元で割れる。これにより、絶縁板20Bに厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板20Bの絶縁不良を抑制することができる。
【0099】
第1突起71は、第2突起72よりも対向面20aの中央寄りに配置されており、穴部80の内壁80aに当接している。よって、絶縁板20B及び拘束板8Bが熱収縮する際、第1突起71のみが容易に根元で割れる。これにより、絶縁板20Bに厚さ方向の割れが生じることが抑制される。この結果、絶縁板20Bの絶縁不良を抑制することができる。
【0100】
上記第2変形例では、第1突起71及び第2突起72は、互いに同じ剛性を有しているが、第1突起71の剛性は、第2突起72の剛性よりも低くてもよい。この場合、第1突起71の剛性が第2突起72の剛性以上である場合と比べて、第1突起71が容易に根元で割れる構成を実現し易い。
【0101】
図12は、第3変形例に係る突起部70Aが設けられた絶縁板20Bの平面図である
。図12では、正極端子6側の絶縁板20Bの構成について説明するが、負極端子7側の絶縁板20Aも同趣旨の構成を有してもよい。
図12に示されるように、突起部70Aは、第2突起72がリブ74を有している。リブ74によれば、第2突起72の剛性を高め、第2突起72が割れることを抑制できる。
【0102】
上記実施形態及び上記変形例は、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…蓄電装置、3…蓄電モジュール、5,5A,5B,5C…集電板、8,8A,8B…拘束板、20,20A,20B…絶縁板、20a…対向面、21…短辺、22…長辺、30,30A…突起部、31…第1突起、32…第2突起、33…スリット、34,35…突起片、36…スリット、40…穴部、40a…内壁、70,70A…突起部、71…第1突起、72…第2突起、73…スリット、80…穴部、80a…内壁。