(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】携帯型モニタリング装置からのパラメータの時系列を介したユーザの疼痛に対する評価
(51)【国際特許分類】
G16H 50/50 20180101AFI20240924BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240924BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240924BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240924BHJP
【FI】
G16H50/50
A61B5/16 200
A61B5/16 110
A61B5/16 130
A61B10/00 X
G16H50/20
(21)【出願番号】P 2023517827
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021035267
(87)【国際公開番号】W WO2021243336
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522222744
【氏名又は名称】ウエスト バージニア ユニバーシティー ボード オブ ガバナーズ オン ビハーフ オブ ウエスト バージニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】レザイ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】フィノモア,ヴィクター
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093095(JP,A)
【文献】特開2011-161137(JP,A)
【文献】特表2018-500068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/16
A61B 10/00
G16H 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの疼痛を評価するための方法であって、
定められた期間に渡って第1疼痛関連パラメータを
前記ユーザによって着用される体内感知装置でモニタリングすることにより、前記第1疼痛関連パラメータの時系列を生成することと、
携帯型計算装置を介して前記定められた期間内の第1時間及び第2時間に前記ユーザから前記ユーザの第2疼痛関連パラメータの値を取得することにより、前記第2疼痛関連パラメータの対応する第1値及び第2値を提供することと、
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることと、を含
み、
前記疼痛スケールの値に関連する値は、前記ユーザが経験した疼痛の現在レベルと、前記ユーザが将来時間に経験する予測の疼痛レベルとのうちの一方を示し、
前記循環型ニューラルネットワークは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶される機械実行可能な命令として実施され、且つ対応するプロセッサによって実行され、
前記プロセッサは、前記第1疼痛関連パラメータの前記時系列、前記第2疼痛関連パラメータの前記第1値及び前記第2疼痛関連パラメータの前記第2値を入力として受信し、前記疼痛スケールの値に関連する値を出力することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1疼痛関連パラメータの前記時系列に基づいて
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに
前記疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることは、
前記第1疼痛関連パラメータの前記時系列に対してウェーブレット分解を実行してウェーブレット係数セットを提供し、かつ少なくとも前記ウェーブレット係数セット、前記第2疼痛関連パラメータの前記第1値及び前記第2疼痛関連パラメータの前記第2値に基づいて前記
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザから自己報告の疼痛レベルを受信することと、
前記
循環型ニューラルネットワークを介して前記自己報告の疼痛レベルを前記ユーザに割り当てられた前記
疼痛スケールの値に関連する値と比較することと、
測定結果と前記
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに割り当てられた前記
疼痛スケールの値に関連する値との比較に基づいて、前記
循環型ニューラルネットワークに関連するパラメータを変更することと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定結果と前記
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに割り当てられた前記
疼痛スケールの値に関連する値との比較に基づいて前記
循環型ニューラルネットワークに関連する前記パラメータを変更することは、
前記測定結果と前記ユーザに割り当てられた前記
疼痛スケールの値に関連する値との類似性に基づいて強化学習プロセスに対する報酬を生成し、かつ前記強化学習プロセスを介して前記パラメータを変更することを含む、ことを特徴とする請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに前記
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることは、
前記第1疼痛関連パラメータの前記時系列、前記第2疼痛関連パラメータの前記第1値及び前記第2疼痛関連パラメータの前記第2値に基づいて、前記第1疼痛関連パラメータの将来値を示す予測値を前記ユーザに割り当てることと、
前記予測値を前記循環型ニューラルネットワークの入力として提供することにより、少なくとも前記予測値に基づいて前記ユーザに前記
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記
循環型ニューラルネットワークを介して前記ユーザに前記
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることは、
少なくとも前記第1疼痛関連パラメータの前記時系列、前記第2疼痛関連パラメータの前記第1値及び前記第2疼痛関連パラメータの前記第2値に基づいて、前記ユーザの全体的な健康を示す健康値のセットである健康値セットを
予測モデルを介して前記ユーザに割り当てることと、
前記健康値セットに基づいて前記ユーザに前記
疼痛スケールの値に関連する値を割り当てることと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記健康値セットは、疲労を示す第1値と、ストレスを示す第2値と、睡眠品質を示す第3値とを含む、ことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1疼痛関連パラメータは、運動パラメータ及び生理パラメータのうちの1つである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願日が2020年5月29日でありかつ出願番号が63/032,095である米国仮特許出願の優先権を要求し、その主題は、引用の方式によってここに全文結合される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、携帯型モニタリング装置から受信したパラメータの時系列を介してユーザの疼痛を評価することに関するものである。
【背景技術】
【0003】
被験者が経験した疼痛を測定することは困難であり、かつ現在被験者の行動の観察及び自己報告に大幅に限定される。しかしながら、観察及び自己報告はいずれも主観的であるため、刺激に応答して経験した疼痛又は疼痛自体の増加の客観的な測定を行うことが困難であり、又は様々な治療の有効性を測定することが困難である。残念ながら、多くの疾患は、慢性疼痛及び疼痛を病状の重要な特徴としているため、介護者は、被験者の疼痛レベル、特に疼痛レベルの変化を客観的に測定することができず、これらの病状と疾患の診断及び管理を複雑化させる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、ユーザの疼痛を評価するための方法を提供する。定められた期間に渡ってユーザを表す第1疼痛関連パラメータを体内感知装置でモニタリングすることにより、第1疼痛関連パラメータの時系列を生成する。携帯型計算装置を介して定められた期間内の第1時間及び第2時間にユーザからユーザの第2疼痛関連パラメータの値を取得することにより、第2疼痛関連パラメータの対応する第1値及び第2値を提供する。第1疼痛関連パラメータの時系列、第2疼痛関連パラメータの第1値及び第2疼痛関連パラメータの第2値に基づいて、予測モデルを介してユーザに値を割り当てる。
【0005】
本発明の別の態様によれば、ユーザの疼痛を評価するためのシステムを提供する。当該システムは体内検知装置を含み、当該体内検知装置は、定められた期間に渡ってユーザを表す第1疼痛関連パラメータをモニタリングすることにより、第1疼痛関連パラメータの時系列を生成する。携帯型計算装置は、定められた期間内の第1時間及び第2時間にユーザの第2疼痛関連パラメータの値を取得することにより、第2疼痛関連パラメータの対応する第1値及び第2値を提供する。予測モデルは、第1疼痛関連パラメータの時系列と、第2疼痛関連パラメータの第1値と、第2疼痛関連パラメータの第2値とに基づいて、ユーザに値を割り当てる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、ユーザの疼痛を評価するためのシステムを提供する。当該システムはウェアラブル装置を含み、当該ウェアラブル装置は、定められた期間に渡ってユーザを表す第1疼痛関連パラメータをモニタリングすることにより、第1疼痛関連パラメータの時系列を生成する。第1疼痛関連パラメータは、運動パラメータ又は生理パラメータである。携帯型計算装置は、定められた期間内の第1時間及び第2時間にユーザの第2疼痛関連パラメータの値を取得することにより、第2疼痛関連パラメータの対応する第1値及び第2値を提供する。第2疼痛関連パラメータは、認知パラメータ、睡眠パラメータ又は社会心理パラメータであり、かつモバイルデバイスのユーザインターフェースを介してユーザの入力から特定される。予測モデルは、第1疼痛関連パラメータの時系列と、第2疼痛関連パラメータの第1値と、第2疼痛関連パラメータの第2値とに基づいて、ユーザに値を割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の態様に係るユーザの疼痛を評価するためのシステムを例示する。
【
図2】複数の携帯型モニタリング装置を用いた
図1のシステムの概略的な例である。
【
図3】例示的な認知評価アプリケーションからの反応時間テストのスクリーンショットである。
【
図4】例示的な認知評価アプリケーションからの注意力テストのスクリーンショットである、
【
図5】例示的な認知評価アプリケーションからの反応抑制テストのスクリーンショットである。
【
図6】例示的な認知評価アプリケーションからの反応抑制テストのスクリーンショットである。
【
図7】例示的な認知評価アプリケーションからの作業記憶(1-back)テストのスクリーンショットである。
【
図8】例示的な認知評価アプリケーションからの作業記憶(2-back)テストのスクリーンショットである。
【
図9】ユーザの疼痛を評価するための方法を例示する。
【
図10】ハードウェア部品のシステムの一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「疼痛関連パラメータ」は、ユーザの疼痛の検出又は予測に関連する生理、認知、感覚、睡眠、運動、遺伝、社会心理又は行動パラメータである。
【0009】
「生体リズム」は、人間に影響を与える如何なる時間生体現象であり、概日リズム、短日リズム、長日リズム、昼夜周期、睡眠/覚醒周期及び生活パターンを含むがこれらに限定されない。
【0010】
本明細書で使用される「携帯型モニタリング装置」は、ユーザが着用したり、携帯したり、またはユーザの体内に埋め込まれたりする装置を指し、それにユーザからの入力を受信するための入力装置とユーザインターフェースのうちのいずれか1つ又は二つ、及び疼痛関連パラメータをモニタリングするかまたは疼痛関連パラメータを計算又は推定するためのパラメータのセンサが結合されている。
【0011】
本明細書で用いられる「指数」は、一連の観察から導出されかつ指示又は測度として用いられる複合統計を含むことが意図される。指数は、観察及び関連性を示す順序値、連続値又は分類値であってもよく、かつ従来の「スコア」と呼ばれる統計及び指数を含むより技術的な意味として解釈されるべきである。
【0012】
本明細書で使用される「体内感知装置」は、疼痛関連パラメータを測定するための埋め込み、摂取又はウェアラブル装置である。
【0013】
本明細書に使用される「携帯型計算装置」は、ユーザが携帯可能な計算装置であり、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ノートパソコン及びラップトップパソコンであり、それは、装置上のセンサ又はユーザとのインタラクションにより疼痛関連パラメータを測定することができる。携帯型計算装置は、例えば、ユーザからの入力を受け付けるためのユーザインターフェース、ユーザの動きを測定するためのモーションセンサ、及び、ユーザの位置を追跡するための位置サービスなどを含んでもよい。
【0014】
本明細書で使用されるように、「予測モデル」は、パラメータの将来状態を予測し、又は直接測定できないパラメータの現在状態を推定するための数学的モデル又は機械学習モデルである。
【0015】
図1は、本発明の一態様に係るユーザの疼痛を評価するためのシステム100を示す。一実施形態において、システム100は、慢性疼痛を経験する個体の疼痛レベルをモニタリングすることに用いることができる。システム100は、ユーザの疼痛関連パラメータを追跡するシステムをモニタリングするためのセンサを含む、複数の携帯型モニタリング装置102及び110を有する。理解されるように、所定の携帯型モニタリング装置(例えば、102)は、リモートサーバ120と直接通信してサーバに疼痛関連パラメータを提供し、又は疼痛関連パラメータをサーバに中継する別の携帯型モニタリング装置(例えば、110)と通信することができる。一例において、複数の携帯型モニタリング装置は、体内検知装置及び携帯型計算装置を含むことができる。携帯型モニタリング装置102及び110を使用することにより、ユーザの家、教室、仕事又は運動場のうちの任意の場所(ほとんど戦場から役員室までの任意の場所)から連続的に測定することができる。上記したように、疼痛関連パラメータは、少なくとも、生理、認知、運動・筋肉骨格、感覚、睡眠、バイオマーカー及び行動パラメータを含むことができる。表Iは、測定可能な生理パラメータの非限定的な例及び生理パラメータを測定する例示的な試験、装置及び方法を提供している。
(表I)
【0016】
生理パラメータは、着用可能又は埋め込み可能な装置により測定され、またユーザにより移動装置におけるアプリケーションを介して自己報告されてもよく、これは、自然な非臨床環境においてこれらの生理パラメータを測定することに寄与する。例えば、スマートウォッチ、指環又はパッチは、ユーザの心拍数、心拍数変動性、体温、血中酸素飽和度、移動及び睡眠を測定するために用いることができる。これらの値は、昼夜分析によって変動性を推定し、生体リズムによる予想される変化、及び生体リズムの予想されるパターンとの偏差を考慮して検査することもできる。例えば、所定の期間(例えば、十日間)内にユーザの生体リズムを追跡することにより、生体リズムの正常パターンを確立することができる。生体リズムの振動は、このように確立されたパターンからの乖離として検出することができる。IIは、ゲーム化されかつ測定可能な認知パラメータの非限定的な例とそのような認知パラメータを測定する例示的な方法及びテスト/タスクを提供している。認知パラメータは、一連の認知テストにより評価することができ、これらの認知テストは、例えば、実行機能、決定策定、作業記憶、注意力及び疲労を測定する。
(表II)
【0017】
これらの認知テストは、臨床/実験室環境又は自然や非臨床環境(例えばユーザが在宅、仕事又は他の非臨床環境にある場合)において実行することができる。スマートフォン、タブレットコンピュータ又はスマートウォッチのようなスマートデバイスは、自然や非臨床環境においてこれらの認知パラメータを測定することを促進することができる。例えば、エリクセンフランカー、N-Back及び精神運動覚醒性タスクは、スマートフォン、タブレットコンピュータ又はスマートウォッチ上のアプリケーションにより実行することができる。
【0018】
表IIIは、ユーザの移動及び活動に関連するパラメータの非限定的な例及び例示的な試験、装置及び方法を提供し、引用の便宜上、これらのパラメータは、本明細書において代替的に測定可能な「運動パラメータ」と呼ばれる。携帯型モニタリング、体内感知及び携帯型計算装置の使用によっては、運動パラメータを測定することを可能にする。組込型加速度計、GPS及びカメラを使用することにより、ユーザの移動を捕捉して定量化することが可能となり、これによって、疼痛が彼らにどのように影響するのか、および、それに関連する疼痛関連パラメータを確認することができる。
(表III)
【0019】
表IVは、ユーザの感覚感度に関連するパラメータの非限定的な例及び例示的な試験、装置及び方法を提供し、引用の便宜上、これらのパラメータは、本明細書において代替的に測定可能な「感覚パラメータ」と呼ばれる。
(表IV)
【0020】
表Vは、ユーザの睡眠量及び睡眠品質に関連するパラメータの非限定的な例及び例示的な試験、装置及び方法を提供し、引用の便宜上、これらのパラメータは、本明細書において代替的に測定可能な「睡眠パラメータ」と呼ばれる。
(表V)
【0021】
表VIは、ユーザに関連するバイオマーカーを位置決めすることにより抽出されたパラメータの非限定的な例及び例示的な試験、装置及び方法を提供し、引用の便宜上、これらのパラメータは、本明細書において代替的に測定可能な「バイオマーカーパラメータ」と呼ばれる。バイオマーカーには、さらに、慢性疼痛の状態及び慢性疼痛の状態の改善又は悪化に関するイメージング及び生理バイオマーカーが含まれていてもよい。
(表VI)
【0022】
表VIIは、社会心理及び行動パラメータの非限定的な例及び例示的な試験、装置及び方法を提供し、引用の便宜上、これらのパラメータは、本明細書において代替的に測定可能な「社会心理パラメータ」と呼ばれる。
(表VII)
【0023】
行動及び社会心理パラメータは、ユーザの機能及び主観・自己報告アンケートを測定することができる。主観・自己報告アンケートは、臨床/実験室環境、又は自然、野生や非臨床環境(例えばユーザが在宅、仕事又は他の非臨床環境にいる場合)において収集することができる。スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどのスマートデバイスは、主観・自己報告アンケートを実施することに用いることができる。組込型加速度計及びカメラを用いる場合、これらのスマートデバイスは、さらに、顔表情分析を捕捉してユーザの顔表情を分析することに用いることができ、これらの顔表情は、情緒、不安、うつ病、憂慮及び疲労を指すことができる。
【0024】
生理、認知、運動・筋肉骨格、感覚、睡眠、バイオマーカー及び行動パラメータの一種又は複数種の組み合わせ以外に、臨床データは、疼痛を評価する多次元フィードバック方法の一部であってもよい。このような臨床データは、例えば、ユーザの臨床状態、ユーザの病歴(家族歴を含む)、就業情報、住宅状況などを含んでもよい。
【0025】
リモートサーバは、携帯型モニタリング装置102及び110によって収集されたデータを解析する。リモートサーバ120は、専用の物理サーバとして実装されてもよく、クラウドサーバの構成の一部として実装されてもよい。リモートサーバに加えて、ローカル装置自体及び/又は連合学習メカニズムにおいてデータを分析することができる。携帯型モニタリング装置102及び110から受信された情報は、複数の特徴を抽出して予測モデル124における使用に供するための特徴抽出器122に提供される。特徴抽出部122は、疼痛関連パラメータを示す分類および連続パラメータを特定する。一例では、パラメータは、記述的統計、例えば、モニタリングされたパラメータの時系列の集中傾向の測度(例えば、中央値、最頻値、算術平均値又は幾何学的平均値)及び偏差の測度(例えば、極端差、四分位差、分散、標準偏差等)、及び時系列自体を含むことができる。具体的には、予測モデルに提供される特徴セットは、少なくとも1つのパラメータに対して、異なる時間のパラメータ値を示す二つの値又は単一の値、例えば、集中傾向の測度又は複数の時間でのパラメータ値の偏差を示す測度を含むことになる。
【0026】
他の例において、特徴は、患者と特徴に対して確立されたパターンの乖離を表すことができる。例えば、全体的又は特定の期間内において、時間とともに所定のパラメータの値を追跡することができ、かつ集中傾向の測度を確立することができる。収集された特徴は、所定のパラメータと集中傾向の測度の乖離を表すことができる。例えば、モーションセンサ及び全地球測位システム(GPS)追跡のうちの1つ又は両方により測定されたユーザ活動レベルの変化は、疼痛関連パラメータとして用いることができる。モニタリングされた追加要素は、ユーザのスマートフォン、TV、携帯型装置の使用に対するコンプライアンスのモニタリングを含むことができる。例えば、システムによりユーザにメッセージを送信することができ、これらのメッセージは、彼らの疼痛レベル、一般的な情緒、または携帯型計算装置上の如何なる他の疼痛関連パラメータの状態を問い合わせるものである。ユーザが携帯型計算装置上のユーザインターフェースを介して応答するこれらのメッセージの百分率に基づいて、コンプライアンスの測度を特定することができる。
【0027】
一実施形態において、特徴抽出器122は、1つ又は複数のパラメータの値の時系列に対してウェーブレット変換を実行することにより、ウェーブレット係数セットを提供することができる。理解されるように、本明細書で使用されるウェーブレット変換は、二次元であり、それにより係数は、時間及び周波数又はスケールでの二次元アレイとして想定されることを可能にする。
【0028】
所定のパラメータ時系列x
iに対して、ウェーブレット分解において生成されたウェーブレット係数W
a(n)は、以下のように定義されてもよい。
【数1】
(式3)
ただし、ψはウェーブレット関数であり、Mは時系列の長さであり、a及びnは、係数の計算位置を定義する。
【0029】
特徴抽出器122は、さらに顔表情分類器(図示せず)を含むことができ、それは、カメラからの記録データ及び/又は携帯型モニタリング装置102及び110(例えばスマートフォン又は他のモバイルデバイス)のうちの1つからの患者の顔の記録画像又はビデオを評価することにより、一日中の各時間にユーザに情緒状態を割り当てる。抽出された特徴は、カテゴリ(患者の最も可能な情緒状態を示す)又は連続であってもよく、例えば、顔表情分類器により特定された様々な情緒状態(例えば、不安、不快感、怒りなど)の確率値の時系列とする。理解されるように、後述するモデルのうちの1つ又は複数を用いて顔表情分類器を実装して予測モデル124に用いることができる。
【0030】
予測モデル124は、さらにリモートサーバ120に記憶されたユーザデータ126を利用することができ、当該ユーザデータは、例えば、就業情報(例えば、肩書、部門、便)、年齢、性別、家庭郵便番号、ゲノムデータ、栄養情報、薬物摂取、家庭情報(例えば、家庭タイプ、住民の数量及び年齢)、ソーシャル及びソーシャル心理データ、消費者費用及び概要、財務データ、食品安全情報、身体虐待の存在有無、及び関連する病歴を含む。また、モデルは、複数のユーザを組み合わせてインタラクションして予測を細分化することができ、例えば、配偶者、子供、家族、同事、友人及び他の人のソーシャルモデルである。
【0031】
予測モデル124は、1つ又は複数のパターン認識アルゴリズムを利用することができ、各アルゴリズムは、抽出された特徴又は抽出された特徴のサブセットを分析することにより、ユーザに連続又はカテゴリのパラメータを割り当てる。一例において、予測モデル124は、疼痛スケールの値に対応する連続パラメータ、例えばOswestry機能障害指数、数値評価スケール又はMankoski疼痛スケールを割り当てることができる。予測モデル124により提供された連続パラメータは、生理測度に関連し、かつこれらの疼痛スケール又は疼痛の他の主観測度のうちのいずれか1つの代替メトリックとして使用することができる。代替的に、予測モデル124は、疼痛スケール(例えばオウベック(Wong-Baker)顔表情疼痛スケール及びカラーアナログスケール)に関連するカテゴリに対応するカテゴリカルパラメータを割り当てることができる。予測モデル124は、患者の現在の疼痛レベル値を決定するか、又は患者の将来のある時刻での疼痛値を予測することができる。一例において、計算された指数とユーザの自己報告の疼痛及び情緒とを比較することにより、疼痛の災害化を識別することができる。また、自己報告された疼痛レベル(例えば数値疼痛スケールを介する)と予測モデル124により生成された客観的疼痛値とを比較することにより、患者又は被験者の疼痛レベル値は、治療又は臨床試験中にプラセボ効果を定量化することに用いることができる。生成されたパラメータは、非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されてもよく、例えば、電子健康記録データベースにおける記録の一部とし、又は例えばユーザに埋め込まれ、ユーザに着用され、又はユーザに携帯された治療装置によりタイムリーな治療を指導するために用いられる。
【0032】
多分類又は回帰モデルを使用する場合、調停素子を利用して複数のモデルからの一致結果を提供することができる。所定の分類器のトレーニングプロセスは、その実施形態に応じて変化するが、トレーニングは、一般的にトレーニングデータを出力種類に関連する1つ又は複数のパラメータに統計的に集合することに関する。トレーニングプロセスは、遠隔システム及び/又はローカル装置又はウェアラブルアプリケーションで完了することができる。トレーニングプロセスは、連邦又は非連邦の方式で実現することができる。決定木のようなルールベースのモデルに対して、例えば、1つ又は複数の人間の専門家により提供された分野知識は、抽出された特徴を用いてユーザを分類するためのルールを選択するときに、訓練データを代替するか又は訓練データを補充することができる。様々な技術のうちのいずれか1つは、分類アルゴリズムに用いることができ、サポートベクターマシン、回帰モデル、自己組織化マッピング、ファジィ論理システム、データ融合過程、向上及び袋詰め方法、ルールベースのシステム又は人工ニューラルネットワークを含む。
【0033】
連合学習(協同学習とも呼ばれる)は予測技術であり、それは、ローカルデータサンプルを保持する複数の分散したエッジ装置又はサーバにアルゴリズムをトレーニングし、それらのデータサンプルを交換しない。このような方法は、従来の集中式予測技術(そのうち全てのデータサンプルが1つのサーバにアップロードされる)及びより古典的な分散式方法(それはローカルデータサンプルが同じ分布であると仮定する)とコントラストが形成される。連合学習によって、複数の参加者は、データを共有せずに共通かつロバストな予測モデルを確立することができ、それにより例えばデータプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権限及び異種データへのアクセスの重要な問題が解決される。それは、国防、電気通信、IoT又は製薬を含む多くの業界に応用される。
【0034】
例えば、SVM分類器は、複数の関数(超平面と呼ばれる)を利用してN次元特徴空間における境界を概念的に分割することができ、ここで、N次元におけるそれぞれは、特徴ベクトルの1つの関連特徴を示す。境界は、各クラスに対応付けられた特徴量の範囲を定義する。したがって、所定の入力特徴ベクトルの特徴空間における境界に対する位置に基づいて所定の入力特徴ベクトルの出力クラス及び関連する信頼度値を特定することができる。一実施形態において、SVMは、線形又は非線形カーネルを用いてカーネル方法により実施することができる。
【0035】
ANN分類器は、複数のインターコネクトを有する複数のノードを含む。特徴ベクトルからの値は、複数の入力ノードに供給される。各入力ノードは、これらの入力値を1つ又は複数の中間ノードの層に提供する。所定の中間ノードは、前のノードからの1つ又は複数の出力値を受信する。受信値は、分類器のトレーニングの期間に確立された一連の重みに応じて重み付けされる。中間ノードは、ノードでの伝達関数に基づいてその受信した値を単一の出力に変換する。例えば、中間ノードは、受信した値を合計し、かつ当該合計をバイナリステップ関数に従わせることができる。最後の層のノードは、ANNの出力クラスの信頼度値を提供し、ここで各ノードは、分類器の関連する出力クラスのうちの1つの信頼度を示す関連値を有する。別の例は、自動エンコーダを利用して疼痛関連パラメータの異常値を異常検出器として検出することにより、何時疼痛の増加又は減少によって様々なパラメータが個体の正常範囲外にあるかを識別することである。
【0036】
多くのANN分類器は、完全接続及びフィードフォワードである。しかしながら、畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層を含み、ここで前の層からのノードは、畳み込み層におけるノードのサブセットのみに接続される。循環型ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークであり、ここでノード間の接続は、時系列に沿って有向グラフを形成する。循環型ニューラルネットワークは、フィードフォワードネットワークと異なり、より早い入力による状態からのフィードバックを結合することができ、それにより所定の入力の循環型ニューラルネットワークの出力は、入力された関数だけでなく、1つ又は複数の前に入力された関数であってもよい。例として、長短期記憶(LSTM)ネットワークは、循環型ニューラルネットワークの修正バージョンであり、それは、記憶中の過去のデータをより覚えやすくする。
【0037】
ルールベースの分類器は、論理ルールセットを抽出された特徴に適用して出力クラスを選択する。一般的に、ルールは順に適用され、ここで各ステップの論理結果は、後続のステップの分析に影響を与える。具体的なルール及びその順序は、トレーニングデータ、前の状況からの類推推論又は従来の分野知識のいずれか又は全部から特定することができる。ルールベースの分類器の一例は決定木アルゴリズムであり、ここで特徴セットにおける特徴の値を階層ツリー構造における対応する閾値と比較して特徴ベクトルのためのクラスを選択する。ランダムフォレスト分類器は、ブートストラップ集合又は「袋詰め」方法を用いた決定木アルゴリズムの修正である。当該方法において、トレーニングセットのランダムサンプルに複数の決定木をトレーニングし、かつ複数の決定木にわたる平均(例えば、平均値、中央値又は最頻値)結果を返す。分類タスクに対して、各ツリーからの結果は分類されるものであり、これによりモード結果を使用することができる。
【0038】
一実施形態において、予測モデル124は、疼痛関連パラメータの将来値を予測する構成モデル、例えば、ウェーブレット変換係数が設定された1つ又は複数の二次元アレイを入力とする畳み込みニューラルネットワークを含むことができる。ウェーブレット係数は、時間上の変化を検出するだけでなく、時間パターン上の変化を検出し、これによりユーザの一般的な生体リズムの変化を反映することができる。1つの実施形態において、構成モデルにより予測された疼痛関連パラメータは、測定されたパラメータ、例えば、心拍数及び心拍数変動性と症状(例えば睡眠中断及び活動減少)を含むことができる。理解されるように、所定の構成モデルは、ウェーブレット係数以外のデータ(例えば他の抽出された特徴及びユーザデータ126)を使用してこれらの予測を提供することができる。
【0039】
また又は代替的に、予測モデルは、全体的な健康のメトリックの現在又は将来値を予測する構成モデルを使用することができ、ここでこれらの測度は、その後に予測モデルの出力を生成するための特徴として用いられる。例えば、これらのメトリックは、疲労、身体ストレス、情緒ストレス、睡眠中断、作業負荷、ストレス負荷及び追加行動を示す値を含むことができる。これらの値を用いてユーザの疼痛レベルの増加を識別又は予測することにより、これらの増加のトリガ要因を識別し、それをより効果的な疼痛治療に用いることができる。逆に、ユーザの疼痛が減少する場合、これらの値を評価して改善又は安定性をこれらのパラメータの変化に関連付けることができる。当該データは、さらに患者とこれらのパラメータに類似して応答する患者をグループ化するために用いられ、ここで所定のグループ内の患者からフィードバックされたデータは、患者にモデルをより良くカスタマイズするために用いられる。当該モデルは、さらに、被験者、参加者、ヘルスケア提供者、ケアチーム及び他のエンティティに対するフィードバックポリシーを促進することにより、慢性疼痛の診断、疼痛の管理、作業及び機能の回復を促進し、かつ薬物、損傷及び他の過程(例えば神経刺激を含む神経調整、脊髄刺激、注入及び他の方法)を含む疼痛の治療の応答を改善することに用いられ得る。
【0040】
予測モデル124の出力は、ユーザの状態を示すカテゴリカルパラメータ、例えば、疼痛スケール又は疼痛災害状態上のカテゴリ、又は現在又は予測状態の可能性の範囲であってもよい。別の実施形態において、予測モデル124の出力は、連続的なパラメータ、例えば予測又は現在の状態の可能性、又は現在の疼痛レベルを示す値であってもよい。一例において、予測モデル124は、将来時間の疼痛関連パラメータの値を予測する1つ又は複数の構成モデルを含むことができる。例えば、所定のモデルは、特徴抽出器122から受信されたデータ及び記憶されたユーザデータ126に基づいてユーザの将来時間(例えば、3日間内)での心拍数又は心拍数変動性を予測することができる。これらの予測値は、ユーザに提供され、又は追加モデルの入力として、ユーザの将来時間の状態を予測してもよい。一例において、予測モデル124は、複数の畳み込みニューラルネットワークを含み、各畳み込みニューラルネットワークは、疼痛関連パラメータの将来値を予測するように配置され、ここで複数の畳み込みニューラルネットワークからの予測値は、ユーザの将来状態(例えば、疼痛レベル、活動レベル又は睡眠品質)を予測するために用いられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、予測モデル124は、フィードバック部品128を含むことができ、それは、モデルによる予測の正確性に基づいて予測モデル124の様々なパラメータを調整することができる。一例において、フィードバック部品128は、複数の予測モデル124により共有することができ、ここで各予測モデルに関連するユーザの結果とモデルの出力により予測された結果とを比較する。連続値からカテゴリカル入力または出力を生成するための閾値などのモデルに関連するパラメータは、実際と予測結果の違いに応じて調整することができる。一例において、システムの連続出力を閾値と比較することにより、患者が疼痛関連パラメータの方面で増大するのか減少するのかを特定することができる。この閾値は、判定の精度を向上させるために、フィードバックモデル128により変更することができる。
【0042】
代替的に、予測モデル124は、個別モデルのレベルでフィードバックを取得することができる。例えば、構成モデルを用いて疼痛関連パラメータの将来値を予測する予測モデル124において、疼痛関連パラメータを測定すると、モデルがこれらの予測の正確性に関する一致フィードバックを受信する。当該フィードバックは、当該ユーザが連続値からカテゴリカル入力又は出力を生成するための個人化閾値又は患者に関連する生体リズムのベースライン値を含むモデルのパラメータを調整することに用いることができる。代替的に、モデルの最終的な出力からフィードバックを提供し、それをユーザが報告した状態(例えば、疼痛レベル)のような他のデータと比較することにより、モデルにフィードバックを提供することができる。一実施形態において、強化学習方法を用いて予測モデル124の中間段階の疼痛関連パラメータの予測将来値又は予測モデルの出力の正確性に基づいてモデルパラメータを調整することができる。例えば、予測モデル124により生成された連続指標からカテゴリカル出力を生成するための決定閾値は、前のユーザからの複数のモデルからのフィードバックに基づいて初期値に設定され、かつ強化モデルにより調整されてユーザに固有の決定閾値を生成することができる。
【0043】
図2は、複数の携帯型モニタリング装置152、154、160を用いた
図1のシステムの概略例150である。例示された実施形態において、第1携帯型モニタリング装置152及び第2携帯型モニタリング装置(携帯型モニタリング装置)154は、それぞれ手首及び指に装着されたウェアラブル装置である。第1携帯型モニタリング装置152および第2携帯型モニタリング装置154によりモニタリングされる疼痛関連パラメータは、例えば、心拍数、心拍変動性、睡眠品質のメトリック、生体および概日リズムの変化、睡眠量のメトリック、ユーザの身体活動、身体方位、移動、動脈血圧、呼吸数、パルスオキシメトリーなどにより測定される末梢動脈オキシヘモグロビン飽和度、最大酸素消費量、温度および温度変化などを含むことができる。本明細書に使用されるウェアラブル装置は、適切なセンサを利用して実施される如何なるウェアラブル物品を含むことができ、腕時計、リストバンド、指輪、ヘッドバンド、および、センサを適切な位置に保持して疼痛関連パラメータをモニタリングするための他のウェアラブル物品を含む。理解すべきことは、所定のウェアラブル装置152及び154は、大きな頻度(例えば、5分間ごとに1回)でこれらのパラメータのうちの多くのパラメータをモニタリングすることができ、それにより詳細なデータの時系列を生成することを可能にする。
【0044】
システム150は、さらに、ローカル送受信器162を介して第1携帯型モニタリング装置152及び第2携帯型モニタリング装置154と通信するモバイルデバイス160を含むことができる。モバイルデバイス160は、さらにグラフィカルユーザインターフェース164を含むことができ、このグラフィカルユーザインターフェースは、ユーザが基本ユニットに記憶された1つ又は複数のデータ収集アプリケーション166とインタラクションを行うことを可能にする。可能なデータ収集アプリケーションの一例は、認知機能の様々な測度をテストする認知評価アプリケーションを含むことができる。これらの測度は、作業記憶、注意力及び反応抑制、疲労、認知を含むことができる。さらに、これらのメトリックは、確立されたベースラインと比較してユーザの疲労測度を推定することができる。例示的な認知評価アプリケーションからのスクリーンショットは、
図3~
図8に示される。別のデータ収集アプリケーションは、アンケートアプリケーションを含むことができ、このアンケートアプリケーションは、ユーザが疼痛、気分、精神、身体及び感情状態、及びストレスを自己報告することを可能にする。一般的に、データ収集アプリケーション166は、以下の各項のそれぞれをモニタリングするように選択して配置することができる。
1.注意力、覚醒及び疲労
2.記憶
3.精神的柔軟性
4.気分&情緒
5.感知処理
6.感覚鋭敏さ
7.運動機能
8.神経能力
9.ソーシャルネットワーク
10.ソーシャルシステム
11.疼痛評価
12.疼痛位置
13.健康
14.警覚
15.病歴及び治療歴
16.仕事に復帰、認知、運動、感覚及び行動機能の生活及び機能品質を改善
【0045】
モバイルデバイス160は、さらにネットワーク送受信器168を含み、システム150は、当該ネットワーク送受信器によってローカルエリアネットワーク又はインターネット接続を介してリモートサーバ170と通信する。当該例において、リモートサーバ170は、循環型ニューラルネットワーク(具体的には、長短期記憶アーキテクチャを有するネットワーク)として実装される予測モデルを含む。当該例において、ウェアラブル装置152及び154からの疼痛関連パラメータ(例えば心拍変動性及び呼吸率)とアンケート応答及び認知評価を結合して時系列として他の関連データと共に予測モデルに提供することができる。モデルの出力は、患者が経験した疼痛の現在レベルを示す指数である。
【0046】
理解されるように、当該指数は、臨床研究に用いられて疼痛治療に対する反応又は刺激に対する反応を特定することができる。さらに、医療専門家が使用する指数を提供し、又は自動的に閾値を満たす指数に応答することで輸液ポンプ、脊髄刺激器又は他の装置を作動させることにより、指数は、患者に薬物又は他の治療介入を配分して疼痛を治療するために用いることができる。
【0047】
図9は、ユーザの疼痛を評価する方法180を示している。この方法の結果は、ユーザの現在または予測の疼痛レベルを示す値である。182において、定められた期間に渡ってユーザを表す第1疼痛関連パラメータを体内感知装置でモニタリングすることにより、第1疼痛関連パラメータの時系列を生成する。一例において、第1疼痛関連パラメータは、運動パラメータ及び生理パラメータのうちの1つであり、例えば、ユーザの活動の測度、ユーザの呼吸数、ユーザの心拍数又はユーザの心拍数変動性である。
【0048】
184において、携帯型計算装置により一定期間内の第1時間及び第2時間にユーザからユーザの第2疼痛関連パラメータの値を取得することにより、第2疼痛関連パラメータの対応する第1値及び第2値を提供する。一例において、第2疼痛関連パラメータはユーザの携帯型計算装置のユーザインターフェースでの入力に基づいて決定された認知パラメータ、睡眠パラメータ及び社会心理パラメータのうちの1つであり、例えば、注意力の測度、疲労の測定、睡眠品質の測度、又は患者の情緒を示すメトリックである。
【0049】
186において、第1疼痛関連パラメータの時系列、第2疼痛関連パラメータの第1値及び第2疼痛関連パラメータの第2値に基づいて、予測モデルによりユーザに値を割り当てる。一例において、第1疼痛関連パラメータの時系列に対してウェーブレット分解を実行してウェーブレット係数セットを提供し、かつウェーブレット係数セット又はウェーブレット係数セットから導出された1つ又は複数の値は、予測モデルに提供され得る。また又は代替的に、第1疼痛関連パラメータ及び第2疼痛関連パラメータの値に基づいて、ユーザに第1疼痛関連パラメータの将来値を示す予測値を割り当てることができ、かつ予測値に基づいてユーザに割り当てられた値を割り当てることができる。
【0050】
また又は代替的に、第1疼痛関連パラメータ及び第2疼痛関連パラメータの値に基づいてユーザにユーザの全体的な健康を示す健康値セットを割り当て、かつ健康値セットに基づいてユーザに割り当てられた値を割り当てることができる。健康値セットは、例えば、疲労を示す第1値と、情緒ストレスを示す第2値と、身体ストレスを示す第3値と、睡眠品質を示す第4値とを含み得る。1つの実施形態において、フィードバックは、ユーザからの自己報告の疼痛レベルの形式で、予測モデルを改善することに用いることができる。例えば、予測モデルにより自己報告の疼痛レベルとユーザに割り当てられた値とを比較し、かつ当該比較に基づいて予測モデルに関連するパラメータを変更することができる。一例において、これは、測定結果とユーザに割り当てられた値との類似性に基づいて強化学習プロセスに対する報酬を生成し、かつ強化学習プロセスによりパラメータを変更することにより実現することができる。
【0051】
理解されるように、例えば、健康値及びユーザに割り当てられた値のそれぞれは、ユーザインターフェース又はネットワークインターフェースを介してユーザ、ユーザの健康ケア提供者、ユーザのケアチーム、研究チーム、ユーザの職場又は他の興味のあるエンティティのうちの1つ又は複数に提供することができる。これは、当該値を使用してユーザのケア及び活動に関する決定を行うことを可能にし、慢性疼痛及び疼痛の深刻性の診断の改善又は最適化、疼痛管理、回復作業、表現及び機能に関する決定、及び薬物、損傷及び他の過程(例えば神経刺激を含む神経調整、脊髄刺激、注入及び他の方法)を含む疼痛の指導治療を含む。ユーザに提供されたフィードバックは、ユーザが全体的な積極的(例えば、減少した疼痛)及び消極(例えば、増加した疼痛)状態にあることに対する意識、感知及び解釈を改善することに用いることができ、それによりユーザが消極状態を回避しかつ積極的な状態を引き起こすためのポリシーを学習することを可能にする。提供された健康データは、さらに、認知、運動、感覚及び行動機能を改善又は最適化しかつ一般的にユーザの生活品質を改善しようとすることに用いることができる。
【0052】
図10は、本明細書に開示されたシステム及び方法の例を実現可能なハードウェア部品の例示的なシステム200を例示する概略的なブロック図である。システム200は、様々なシステム及びサブシステムを含むことができる。システム200は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、ワークステーション、コンピュータシステム、電気機器、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、サーバ、サーバブレードセンタ、サーバフィールドなどであってよい。
【0053】
システム200は、システムバス202、処理ユニット204、システムメモリ206、記憶装置208及び210、通信インターフェース212(例えば、ネットワークインターフェース)、通信リンク214、ディスプレイ216(例えば、ビデオスクリーン)及び入力装置218(例えば、キーボード、タッチスクリーン及び/又はマウス)を含むことができる。システムバス202は、処理ユニット204及びシステムメモリ206と通信可能である。また、ハードディスクドライブ、サーバ、独自データベース、その他の不揮発性メモリなどの追加記憶装置208及び210も、システムバス202と通信可能である。システムバス202は、処理ユニット204、記憶装置206~210、通信インターフェース212、ディスプレイ216、および入力装置218を相互に接続する。いくつかの例において、システムバス202は、さらに追加ポート(図示せず)、例えばユニバーサルシリアルバス(USB)ポートを相互接続する。
【0054】
処理ユニット204は、計算装置であってもよく、かつ特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。処理ユニット204は、命令セットを実行することによって、本開示の例の動作を実現する。処理ユニットは、処理コアを含んでもよい。
【0055】
追加記憶装置206、208及び210は、テキスト又はコンパイル形式のデータ、プログラム、命令、データベース検索及びコンピュータの操作に必要な任意の他の情報を記憶することができる。メモリ206、208及び210は、コンピュータ読み取り可能な媒体(集積又は取り外し可能)、例えばメモリカード、磁気ディスクドライブ、光ディスク(CD)又はネットワークを介してアクセス可能なサーバとして実装されてもよい。いくつかの例において、メモリ206、208及び210は、テキスト、画像、ビデオ及び/又はオーディオを含むことができ、その部分は、人間の理解可能なフォーマットで取得することができる。
【0056】
また又は代替的に、システム200は、通信インターフェース212を介して外部データソース又は照会ソースにアクセスすることができ、通信インターフェースは、システムバス202及び通信リンク214と通信可能である。
【0057】
操作において、システム200は、本発明に係るユーザの疼痛を評価するためのシステムの1つ又は複数の部分を実施するために用いることができる。いくつかの例によれば、システムを実施するためのコンピュータ実行可能な論理は、システムメモリ206と記憶装置208及び210のうちの1つ又は複数に常駐することができる。処理ユニット204は、システムメモリ206及び記憶装置208、210からのコンピュータ実行可能な命令を実行する。なお、本明細書において使用された「コンピュータ読み取り可能な媒体」とは、処理ユニット204に命令を提供して実行させることに参加する媒体を指す。当該媒体は、複数のディスクリートコンポーネントに分布することができ、これらのディスクリートコンポーネントは、いずれも共通プロセッサ又は関連プロセッサグループに操作可能に接続される。以上の説明において具体的な詳細を与えて実施例に対する完全な理解を提供する。しかしながら、これらの具体的な詳細がない場合に実施例を実施することができると理解すべきである。例えば、不必要な詳細に実施例を混同することを回避するために、ブロック図に物理的な部品を示すことができる。他の場合に、実施例をぼかすことを回避するために、公知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造及び技術を、不必要な詳細をせずに示すことができる。
【0058】
上記技術、ブロック、ステップ及び装置の実施形態は、様々な形態で完了することができる。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせで実施することができる。ハードウェア実施形態に対して、処理ユニットは、1つ又は複数の専用集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上記機能を実行するように設計された他の電子ユニット及び/又はそれらの組み合わせ内で実施することができる。
【0059】
そして、注意すべき点として、実施例をフローチャート、フロー図、データフロー図、構造図又はブロック図として描画されたプロセスとして記述することができる。フローチャートは、操作をシーケンスプロセスとして記述することができるが、多くの操作は、並列又は同時に実行することができる。また、操作の順序を再配列することができる。その操作が完了すると、プロセスが終了するが、図に含まれない追加ステップを有することができる。プロセスは、方法、関数、プロスィージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、関数が呼び出し関数又は主関数に戻ることに対応する。
【0060】
また、実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語及び/又はその任意の組み合わせで実施することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語及び/又はマイクロコードで実施する場合、必要なタスクを実行するプログラムコード又はコードセグメントを記憶媒体のような機械可読媒体に記憶することができる。コードセグメント又は機械実行可能な命令は、プロスィージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラス、又は命令、データ構造及び/又はプログラム言語の任意の組み合わせを示すことができる。情報、データ、引数、パラメータ及び/又は記憶内容を伝達及び/又は受信することにより、コードセグメントは、別のコードセグメント又はハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、任意の適切な手段により伝達、転送又は伝送することができ、これらの手段は、メモリ共有、メッセージ伝達、手形伝達、ネットワーク伝送などを含む。
【0061】
ファームウェア及び/又はソフトウェア実施形態について、方法は、本明細書に記載された機能を実行するモジュール(例えばプロスィージャ、関数等)で実施することができる。命令を有形に具体化するための如何なる機械可読媒体は、本明細書に記載された方法を実施するために用いることができる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリに記憶可能である。メモリは、プロセッサ内部又はプロセッサ外部で実施することができる。本明細書で使用されるように、用語「メモリ」は、如何なるタイプの長期、短期、揮発性、不揮発性又は他の記憶媒体を指し、かつ任意の特定のタイプのメモリ、又は任意の特定の数のメモリ、又はそれにメモリが記憶された媒体タイプに限定されない。
【0062】
そして、本明細書に開示されたように、用語「記憶媒体」は、データを記憶するための1つ又は複数のメモリを示すことができ、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置及び/又は情報を記憶するための他の機械可読媒体を含む。用語「機械可読媒体」は、携帯型又は固定記憶装置、光記憶装置、無線チャネル及び/又は記憶可能なコマンド及び/又はデータを含むか又は運搬する様々な他の記憶媒体を含むがこれらに限定されない。
【0063】
上述したのは例示である。当然のことながら、部品又は方法のそれぞれの考えられる組み合わせを記述することができないが、当業者であれば、多くの他の組み合わせ及び配列が可能であることが理解され得る。したがって、本開示は、本出願の範囲内にある全てのこのような変更、修正及び変化を含むことを意図し、本出願の範囲は、添付の請求項を含む。本明細書で使用されるように、用語「含む」は、含むがこれらに限定されないことを指し、用語「含み」は、含むがこれらに限定されないことを指す。用語「ベース」や「基づく」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。また、本開示又は特許請求の範囲において「1」、「1つ」、「第1」又は「他」素子又はその同等物を記述する場合、それは、1つ以上のこのような素子を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のこのような素子を排除する必要がないものとする。