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特許7559231溶融炉における金属装入物の供給および予熱のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】溶融炉における金属装入物の供給および予熱のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F27D 13/00 20060101AFI20240924BHJP
   F27B 3/18 20060101ALI20240924BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
F27D13/00 D
F27B3/18
F27D13/00 F
F27D17/00 101G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023519564
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 IT2021050294
(87)【国際公開番号】W WO2022070221
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】102020000022990
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スクーブラ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ロンディニ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ブリン、パオロ
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-502336(JP,A)
【文献】特開昭53-146342(JP,A)
【文献】特表2015-507093(JP,A)
【文献】特表2019-504277(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111174591(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融プラント(100)の溶融炉(110)に向けて金属装入物(S)を供給および予熱するための装置(10)であって、
-少なくとも1つの支持および前進面(25)を画定する、金属装入物(S)のための少なくとも1つのコンベヤチャネル(11)と、
-前記コンベヤチャネル(11)の上方にフード高さ(H)で配置された少なくとも1つのフード(14)であって、金属装入物(S)を加熱するために煙霧(F)の流れが通過できるトンネル(16)を画定する、少なくとも1つのフード(14)と、
-前記コンベヤチャネル(11)に入る金属装入物(S)のプロファイルを識別することができるスクラップ検出手段(43)と、を備えている装置(10)において、
前記少なくとも1つのフード(14)に関連付けられた調整手段(34)であって、少なくとも金属装入物(S)の検出されたプロファイルに応じて前記フード高さ(H)を変化させるために、前記少なくとも1つのフード(14)を前記コンベヤチャネル(11)の少なくとも1つの支持および前進面(25)から離れるように/前記支持および前進面(25)に向かって垂直に移動させるための調整手段(34)をさらに備えていることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフード(14)が、少なくとも、前記フード高さ(H)が最小フード高さ値(H)に等しい下降位置と、前記フード高さ(H)が中間フード高さ値(H0.5)に等しい中間位置と、前記フード高さ(H)が最大フード高さ値(H)に等しい上昇位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
複数のフード(14)であって、それぞれの剛性の機械式ジョイント(18)によって連続して配置および取り付けられるとともに、協調して垂直方向に移動可能である、複数のフード(14)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
複数のフード(14)であって、それぞれの可撓性の機械式ジョイント(19)によって連続して配置および取り付けられており、各フード(14)には、それぞれのフード(14)を互いに独立して移動させるように構成されたそれぞれの複数の調整手段(34)が関連付けられている、複数のフード(14)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項5】
炉の入口側の反対側において、前記少なくとも1つのフード(14)に関連付けられるとともに、前記トンネル(16)の初期区間を画定するために前記コンベヤチャネル(11)と協働する、封止ユニット(54)をさらに備えており、封止ユニット(54)には、
-上壁(56)および2つの対向する側方フランク(57、58)を有するフレーム(55)と、
-前記トンネル(16)内部の金属装入物(S)の進行方向に互いに一定の距離をおいて配置された1つまたは複数の列を形成するために、前記上壁(56)に吊り下げられた形で関連付けられるとともに、隣接する複数のバンド(59)と、が備わっており、
前記フレーム(55)を前記コンベヤチャネル(11)の支持および前進面(25)から離れて/支持および前進面(25)に向かって垂直に移動させて、前記バンド(59)が所望の方法で移送中の金属装入物(S)を封止することができるように、前記バンド(59)の垂直距離を変化させるために、前記フレーム(55)に関連付けられた移動手段(60)をさらに備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記バンド(59)が、前記フレーム(55)に対して独立して移動可能であることを特徴とする、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記コンベヤチャネル(11)が、底壁(20)および2つの側方チャネル壁(21、22)を備えており、前記少なくとも1つのフード(14)が、互いに対向するそれぞれの側方フード壁(23、24)と、上部に位置するカバー壁(26)とを備えており、前記側方フード壁(23、24)が、適合可能な封止手段(27)によって前記側方チャネル壁(21、22)と関連付けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記調整手段(34)が、ジャッキ、リニアアクチュエータ、摺動ガイド、チェーン機構、ラックまたはウォームねじ機構のうちの少なくとも1つを含む群から選択された複数の持ち上げ装置(37)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフード(14)または最後のフード(14)が、前記カバー壁(26)から垂直に突出するとともに、内部に液体冷却回路が設けられたパネル(38)を終端に備えていることを特徴とする、請求項に記載の装置(10)。
【請求項10】
少なくとも金属装入物(S)のプロファイルに関する情報を含む前記スクラップ検出手段(43)からの第1の動作信号を少なくとも受信し、それぞれの制御動作信号を処理するとともに、少なくとも前記調整手段(34)に送信するように構成された処理および制御ユニット(46)を備えていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
金属を溶融するためのプラント(100)であって、金属装入物(S)が連続的に供給される溶融炉(110)と、金属装入物(S)を溶融炉(100)に導入する前に堆積させることができる装入モジュール(112)と、請求項1~10のいずれか一項に記載の金属装入物(S)を供給しおよび予熱するための装置(10)と、を備えていることを特徴とする、プラント(100)。
【請求項12】
溶融プラント(100)の溶融炉(110)に向けて金属装入物(S)を供給および予熱するための方法であって、
-金属装入物(S)が徐々に供給されるときに、金属装入物(S)のプロファイルを連続的に、または予め設定された間隔で検出するステップと、
-金属装入物(S)を溶融炉に向かって移動させるコンベヤチャネル(11)上で利用可能にし、前記コンベヤチャネル(11)と協働して、前記コンベヤチャネル(11)の支持および前進面(25)に対してフード高さ(H)に少なくとも1つのフード(14)が存在する、ステップと、を含む方法において、
少なくとも金属装入物(S)の検出されたプロファイルに応じて前記フード高さ(H)を変化させるために、調整手段(34)によって、前記少なくとも1つのフード(14)を前記支持および前進面(25)から離れるように/前記支持および前進面(25)に向かって垂直方向に移動させるステップも提供することを特徴とする、方法。
【請求項13】
-現在のフード高さ(H)の情報に基づいて、前記コンベヤチャネル(11)および上に配置された前記少なくとも1つのフード(14)によって画定されたトンネル(16)の断面の面積を計算するステップと、
-前記検出されたプロファイルに基づいて、移送中の金属装入物(S)が占める部分の面積に対応する金属装入物(S)の面積を計算するステップと、
-前記トンネル(16)の断面の面積と金属装入物(S)の面積との差として煙霧通路面積を計算するステップと、
-煙霧の平均通過速度を、煙霧移動手段(42)の現在の流量と、前記トンネル(16)の断面の面積と金属装入物(S)の面積との差との比として計算するステップと、
-平均煙霧通過速度を所望の煙霧通過速度値と比較するステップと、
-所望の煙霧通過速度値を得るために、前記少なくとも1つのフード(14)の高さ(H)を動的に修正するステップと、をさらに提供することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも、移送中の金属装入物(S)の平均スクラップ高さ(K)に応じて、前記フード高さ(H)を変化させるステップを提供することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄所の溶融炉に金属装入物(metal charge)を供給しかつ予熱するための装置およびそれに対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料を溶融するためのプラントが知られており、そのようなプラントは、少なくとも1つの容器またはシェルが設けられた溶融炉、例えば電気アーク炉を備えており、その内部で金属装入物が溶融される。
【0003】
電気アーク炉はまた、電気アークを発生させるためにシェル内に入れる電極を通すための開口部(複数)と、金属の溶融によって発生する煙霧を取り出すための開口部(「第4の孔」と呼ぶこともある)とを有するカバールーフを備える。
【0004】
スクラップを溶融炉に投入する方法として、バスケットを使用するなどの非連続的な方法と、コンベヤチャネルを使用するなどの連続的な方法がある。
この2番目の方法では、コンベヤチャネルは供給および予熱装置の一部であり、コンベヤチャネルの移動によって溶融炉に向かって進むスクラップは、溶融炉から出る溶融煙霧(melting fume)によって向流で予熱される。
【0005】
公知の装置では、コンベヤチャネルの少なくとも一部分は、少なくとも1つのフードまたは固定カバーによって上部が覆われている。
公知の装置では、金属装入物の上部層、すなわち煙霧の流れが直接当たる層しか十分に加熱することができないという欠点がある。下側部分は冷たいままであるか、またはいずれにしても上側部分よりも温度が低いままである。したがって、煙霧のエネルギー量のかなりの部分が、金属装入物を加熱するために十分に利用されない。
【0006】
このような装置の別の欠点は、トンネル内の煙霧の通過面積、すなわちフードの内面とスクラップの塊の上部との間に画定される空間が、スクラップの形状およびコンベヤチャネル上のスクラップの分布に依存することである。これはスクラップの不均一な予熱をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することができる、溶融炉内に金属装入物を供給しかつ予熱するための装置および方法を完成させる必要がある。
特に、本発明の1つの目的は、スクラップの種類、量、およびコンベヤチャネル上のスクラップの分布にかかわらず、均一な方法で金属装入物を予熱することができる装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、消費を最適化し、下流に位置する溶融炉の性能を最大限に引き出すことができる供給および予熱装置を提供することである。
別の目的は、金属装入物を均一な方法で適切な温度に予熱し、したがって下流に位置する溶融炉の性能を最大限に引き出す方法を完成させることである。
【0009】
本出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的ならびに利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具現化した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、独立請求項に記載されるとともに特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主な発明の概念の変形例を説明する。
上記の目的に従って、金属装入物を溶融炉に供給しかつ予熱するための装置であって、従来技術の限界を克服し、従来技術に存在する欠陥を排除する装置は、
-上記の金属装入物のための支持および前進面を画定する少なくとも1つのコンベヤチャネルと、
-支持および前進面に対して画定された高さでコンベヤチャネルの上方に配置された少なくとも1つのフードであって、金属装入物を加熱するために、スクラップの進行方向に対して向流で煙霧の流れが通過することができるトンネルをコンベヤチャネルとともに画定する、少なくとも1つのフードと、
-コンベヤチャネルに沿って前進する金属装入物のプロファイルを少なくとも特定することができるスクラップ検出手段と、を含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、上記のような装置はまた、少なくとも1つのフードに関連付けられた調整手段を備えており、この調整手段は、少なくとも金属装入物の検出されたプロファイルに応じて(as a function of)フードの高さを変化させるために、少なくとも1つのフードをコンベヤチャネルの支持および前進面から離れるように/支持および前進面に向かって垂直に移動させる。
【0012】
別の態様によれば、本装置は、それぞれの剛性の機械式継手(joint)によって連続して互いに取り付けられるとともに、協調して移動可能な複数のフードを備える。
一変形例によれば、フードは、それぞれの可撓性の機械式継手によって連続して互いに取り付けることができ、各フードには、他のフードから独立して動かすために、それぞれの複数の調整手段が関連付けられている。
【0013】
別の態様によれば、本装置は、溶鉱炉の入口側の反対側に、少なくとも1つのフードに関連付けられるとともに、金属装入物が炉に向かって供給される側から空気が入るのを防止するように構成された封止ユニットを備えることができる。封止ユニットは、フレームと、フレームに関連付けられるとともに、トンネル内に動作可能に配置された複数のバンド、例えば垂直バンドとを備えることができる。
【0014】
一態様によれば、カバーフレームは、少なくとも1つのフードの移動と同様の方法で移動可能であり、垂直バンドはカバーフレームと一体的に移動する。
一変形例によれば、カバーフレームは固定され、垂直バンドは、コンベヤチャネルの支持および前進面に向かって/支持および前進面から離れる方向に移動可能である。
【0015】
別の変形例によれば、支持構造および垂直バンドの両方が、互いに独立して移動可能である。
いくつかの実施形態によれば、金属装入物が連続的に供給される溶融炉と、金属装入物が溶融炉内に導入される前に堆積されることが可能である装入モジュールと、上記のような金属装入物を供給および予熱するための装置とを備える、金属を溶融するためのプラントも提供される。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、溶融プラントの溶融炉に金属装入物を供給および予熱する方法が提供される。この方法は、
-徐々に供給される金属装入物の少なくともプロファイルを連続的に検出するステップと、
-金属装入物を溶融炉に向かって移動させるコンベヤチャネル上で利用可能にし、コンベヤチャネルと協働して、金属装入物の支持および前進面に対して画定された高さに少なくとも1つのフードが存在する、ステップと、を提供する。
【0017】
本発明の一態様によれば、本方法はまた、調整手段によって、少なくとも1つのフードをコンベヤチャネルの支持および前進面から離れるように/支持および前進面に向かって垂直に移動させて、少なくとも金属装入物の検出されたプロファイルに少なくとも応じてそのような支持および前進面に対するフード高さを変化させる、ステップを提供する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本明細書に記載のいくつかの実施形態による、金属装入物を溶融炉に供給しかつ予熱するための装置が挿入された溶融プラントの概略図である。
図2図6の線VI-VIに沿った概略的な横断面図であり、フードが下降位置に配置されている。
図3】フードが中間位置に配置された概略的な横断面図である。
図4図5の線V-Vに沿った概略的な横断面図であり、フードが上昇位置に配置されている。
図5図1の装置の部分拡大図である。
図6】本明細書に記載の装置の部分拡大図であり、フードが下降位置に配置されている。
図7図1の装置の変形例を示しており、フードが互いに独立して動くことができる。
図8図1の拡大詳細断面図である。
図9図2図4において示されている適合可能な封止手段の変形例である。
図10】本明細書に記載の他の実施形態による、金属装入物を溶融炉に供給しかつ予熱するための装置が挿入された溶融プラントの概略図である。
図11図10の線X-Xに沿った概略的な横断面図であり、封止ユニットのカバーフレームが完全に上昇位置に配置されている。
図12】封止ユニットのカバーフレームが部分的に上昇した位置に配置されている概略的な横断面図である。
図13】ラビリンス装置を備える図2の変形例である。
図14図2の別の変形例である。
図15】フードに適用される「直接」型の冷却ユニットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
理解を容易にするため、可能な場合、図面中の同一の共通要素を特定するために同じ参照番号が使用される。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に都合よく組み合わされ得るか、または組み込まれ得ることが理解される。
【0021】
ここで、本発明の可能な実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が、非限定的な例示として添付の図面に示されている。また、ここで使用する表現および用語もまた、非限定的な例を提供するためのものである。
【0022】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、金属装入物Sを供給および予熱するための装置10に関する。
図1を参照すると、装置10は、実質的に既知の種類の溶融プラント100内に設置されており、溶鉱炉110、例えば電気アーク炉を備えており、横方向に、装入開口111から、例えば鉄スクラップ、高温または低温の海綿鉄(DRI)、低温鋳鉄のブロックなどの金属装入物Sが供給される。
【0023】
本発明による装置10は、金属装入物Sを溶融炉110に導入する前に連続的に移送して予熱することができる。
溶融プラント100は、金属装入物Sを堆積させることができる装入モジュール112を備えることができ、その下流に装置10が配置される。
【0024】
したがって、典型的には、装置10は、装入モジュール112と溶融炉110との間に配置される。
装置10は、少なくとも1つのコンベヤチャネル11を備えており、金属装入物Sは、溶融炉110へと送達されるために、コンベヤチャネル11に沿って前進することができる。
【0025】
コンベヤチャネル11は、装入モジュール112と協働するように適合された始端11aと、装入開口部111と協働するように適合された反対側の終端11bとを有する。
金属装入物Sの前進は、この場合、例として矩形で図1に示す既知の種類の振動および移動装置12によって発生する、コンベヤチャネル11の長手方向への振動運動または揺動運動(oscillatory movement)によって行われる。
【0026】
装置10は、コンベヤチャネル11の上方に連続して配置された1つまたは複数のフード14を備えており、図2図4に示すように、予熱トンネル16をコンベヤチャネル11とともに画定し、予熱トンネル16に沿って、溶融炉110から出てくる煙霧Fの少なくとも一部が金属装入物Sに衝突するように前進することができる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、フード14は、コンベヤチャネル11全体に沿って配置される。任意選択で、コンベヤチャネル11は、装入モジュール112と協働して、金属装入物Sを直接受け取ることができる。
【0028】
他の可能な実施形態によれば、フード14は、コンベヤチャネル11の1つの区間(segment)に沿ってのみ配置することができる。したがって、コンベヤチャネル11は、装入モジュール112からの出口において、例えば装入ステップ中に一時的であっても上部が開いている第1の区間と、第1の区間の後の第2の区間とを有することができ、第2の区間の上にフード14が配置される。
【0029】
一態様によれば、少なくとも1つのフード14は、移送中の金属装入物Sの状態に応じてトンネル16の断面を変化させるために、コンベヤチャネル11に向かって/コンベヤチャネル11から離れて垂直方向に移動可能である。少なくとも1つの移動可能なフード14は、例えば、溶融炉110に装入できる金属装入物Sの量を増やし、したがって、その生産性を最大にすることができる。
【0030】
本明細書において、金属装入物Sの条件とは、プロファイル、垂直方向および水平方向の両方における支持面上のスクラップの分布、スクラップの大きさ、材料の種類、例えば、化学組成、寸法、形状、多かれ少なかれ均質な配置などから選択される少なくとも1つの特性を意味する。
【0031】
図2図4に示すいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのフード14は、可能な中間持ち上げ位置を介して、下降位置と上昇位置との間で移動可能である。特に、少なくとも3つの位置を規定することが可能であり、すなわち、
-フード高さHが最小フード高さ値Hに等しい下降位置(図2)、
-フード高さHが中間フード高さ値H0.5に等しい中間位置(図3)、および
-フード高さHが最大フード高さ値Hに等しい上昇位置(図4)、である。
【0032】
装置10が単一のフード14を備えている場合、トンネル16が長手方向に直線的に変化する断面を有するように、コンベヤチャネル11からのフード高さHを調整することが可能である。例えば、フード14の端部を移動させて、その所望の傾斜を画定することが可能である。
【0033】
一方、装置10がいくつかのフード14、すなわち2つ以上のフード14を備えている場合、これらのフード14は、それぞれの機械式継手(joint)17によって連続して配置および取り付けることができる。
【0034】
図1図5および図6に示すいくつかの実施形態では、機械式継手17は、剛性の機械式継手18であってもよい。この場合、フード14の垂直移動は、剛性の機械式継手18への応力および損傷を防止するために、協調して同時に行われる。動作構成は、単一のフード14について説明したものと実質的に同等である。
【0035】
装置10が複数のフード14を備える、図7に示す他の実施形態では、トンネル16が長手方向に区間で直線的に変化する断面を有するように、各フード14の垂直移動を、コンベヤチャネル11からのフード高さHを調整するために独立して指令することができる。
【0036】
隣接するフード14間の接続、および場合によっては装置10の他の構成要素との接続は、2つの隣接するフード14が異なるフード高さHに調整される場合に、トンネル16からの煙霧の望ましくない漏出を防止する可撓性の機械式継手19によって行うことができる。
【0037】
特に図7を参照すると、可撓性の機械式継手19は、高温に耐える強化繊維材料で作られたベローズタイプのものである。
図2図4に示すいくつかの実施形態によれば、コンベヤチャネル11は、実質的に水平な底壁20と、この場合は実質的にU字形の断面を画定する2つのチャネル側壁21、22とによって画定される支持および前進面25を備えている。
【0038】
少なくとも1つのフード14は、対向するフード側壁23,24と、上方に位置するカバー壁26とを有している。
したがって、フード高さHは、フード14のカバー壁26とコンベヤチャネル11の底壁20の支持および前進面25との間の距離である。
【0039】
カバー壁26には、酸素がトンネル16に入るように構成された指令式開口部30を有する扉(doors with commanded opening 30)を設けることができる(図5および図6)。
【0040】
特に図2図4を参照すると、各チャネル側壁21、22は、煙霧Fがトンネル16から横方向に漏れ出るのを防止するように構成された適合可能な封止手段27によって、対応するフード側壁23、24と関連付けられている。
【0041】
適合可能な封止手段27は、コンベヤチャネル11および少なくとも1つのフード14に対して平行な長手方向延長部を有する可撓性カバー28として構成されるとともに、高い耐熱性および横方向応力に対する耐性を有する金属メッシュコアを有する繊維材料で作られている。
【0042】
可撓性カバー28は、必要なときに必要なメンテナンスを容易にするために、その長手方向縁部に沿って、チャネル側壁21、22のうちの1つおよび対応するフード側壁23、24に、取り外し可能なタイプの機械式取り付け手段、例えばボルトによってそれぞれ取り付けられる。
【0043】
バラスト29は、フード14の上昇ステップ中および下降ステップ中の両方において、可撓性カバー28を張力下に維持するために、可撓性カバー28と関連付けることができ、可撓性カバー28が皺になって移動の妨げになることを防止する。バラスト29は、例えば、可撓性カバー28の実質的に中央領域(central zone)に沿って取り付けることができる。
【0044】
図9に示す他の実施形態では、適合可能な封止手段27は、フード14とコンベヤチャネル11との液体タイプのシールを構成することができる。
例えば、図9に示すように、装置10は、コンベヤチャネル11の両側に、液体L、例えば水を収容するチャネル31を備えることができる。
【0045】
チャネル31は、上部が開放されており、コンベヤチャネル11に平行な長手方向延長部を有する。
チャネル31は、チャネル側壁21、22の終端部およびフード側壁23、24の終端部の両方を収容するように配置されており、したがって、これらの終端部は、フード14が移動中にどの位置にあろうとも、チャネル31内に存在する液体に常に浸漬されたままである。
【0046】
他の実施形態では、適合可能な封止手段27は、可撓性カバー28、液体タイプのシールを生成するためのチャネル31、またはこれら2つの組み合わせを備えることができる。
【0047】
使用される適合可能な封止手段27の種類にかかわらず、チャネル側壁21、22の端部および対応するフード側壁23、24の端部は、ラビリンス封止装置(以下、ラビリンス47と称する。)を画定するように適合させることができる。ラビリンス47の存在により、トンネル16の内部を外気からより良好に保護することができ、煙霧および塵の漏出を防止することができる。
【0048】
特に図14を参照すると、チャネル側壁21は、好ましくはコンベヤチャネル11の全長にわたってチャネル側壁21を垂直方向に延長する延長部21aを有することができる。
【0049】
この延長部21aは、対応するフード側壁23に向けられた長手方向の終端部分21a’を有することができる。
フード側壁23は、延長部21aに向かって延びる長手方向の縁部23aを有することができる。
【0050】
長手方向の縁部23aおよび長手方向の終端部分21a’は、煙霧および粉塵が例えばチャネル31に到達するために別の移動を完了させる非直線経路を画定する。
同様の考察が、チャネル側壁22およびフード側壁24に適用され、両方とも同様の幾何形状を有することができる。
【0051】
ただし、ラビリンス47が別の形状、構造、および複雑さを持つような解決策も除外しない。
一態様によれば、装置10は、少なくとも1つのフード14の制御された上昇および下降を可能にするために、少なくとも1つのフード14に関連付けられた調整手段34を一方の側および他方の側に備えることができる。
【0052】
調整手段34は、コンベヤチャネル11およびフード14の展開(development)に平行に配置された支持ビーム35、36を備えることができ、フード14は、例えばフード側壁23、24に関して支持ビーム35、36上に載置される。
【0053】
調整手段34はまた、ジャッキ、リニアアクチュエータ、摺動ガイド、チェーン機構、ラックまたはウォームねじ機構などの少なくともいずれか1つからなる群から選択された、支持ビーム35、36を持ち上げることができる、複数の持ち上げ装置37を備えている。
【0054】
他の可能な変形例では、調整手段34は、支持ビーム35、36を設ける必要なく、フード14、例えばフード側壁23、24に直接関連付けることができる。
特に図5図6および図7を参照すると、持ち上げ装置37は、位置変換器または分流器が設けられた複数の油圧シリンダを備えている。
【0055】
フード側壁21、22は、レールとして適合させることができる支持ビーム35、36上でフード14の摺動支持を画定することができる複数の転動要素32を備えることができる。
【0056】
複数のフード14の場合、各フード14に対して一対の支持ビーム35、36が設けられ、支持ビーム35、36の各々に横方向に関連付けられた複数の持ち上げ装置37が設けられる。
【0057】
一方のフード14に関連する調整手段34は、フード14を両側で均一に持ち上げるように調整することができる。
図15に示すいくつかの実施形態によれば、フード14、または少なくともフード14のいくつかとともに、フード14の移動によって引き起こされる機械的応力と組み合わされた過剰な熱が、特にフード14の移動が完全に同期しない方法で行われる場合に、フード14のスリーブに損傷を与えることを防止することができる冷却ユニット48を関連付けることができる。
【0058】
冷却ユニット48は、「間接」タイプの冷却を生成することができ、さらに、フード14の外壁と接触して配置されるとともに、冷却流体が通過するパイプのコイルによって画定される複数のパネルを備えることができる。
【0059】
代替的に、図15に示すように、冷却ユニットは、「直接」タイプの冷却を生成することができ、冷却流体L、例えば水をフード14の外面に直接送達することができる複数のノズル49、好ましくは低圧ノズルを備えることができる。
【0060】
この場合、冷却ユニット48は、冷却流体回収回路50を備えることができる。
ノズル49によって送達された冷却流体Lは、フード14の外面に当たり、重力によってカバー壁26からフード側壁23、24に沿って流れ(slide)、可撓性カバー28が存在する場合には可撓性カバー28を冷却するか、または常に正しい充填レベルを維持するためにチャネル31内に注がれる。
【0061】
冷却流体Lがチャネル31内に回収されない場合、またはこの可能性に加えて、冷却流体回収回路50は、排出された冷却流体Lを収集するためにコンベヤチャネル11の下に配置された収集タンク(図示せず)を備えることができる。例えば、そのようなタンクは、床の下に配置され、格子状表面によって覆われてもよい。
【0062】
冷却流体回収回路50はまた、再生された冷却流体Lをノズル49または蓄積タンクに直接移送するために、1つまたは複数の濾過装置51およびポンプ手段52を備えることができる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、溶融炉110の装入開口111と協働するフード14には、溶融炉110に金属装入物Sが供給されている間に煙霧Fが外部に漏出するのを防止することができるパネル38が設けられている。
【0064】
パネル38は、フード14が下降位置にあるときに特に有効であり、フード14が下降位置にある場合には、装入開口111との間隙がより大きいためである。
パネル38は、図8の適切な冷却回路39によって有利に液体冷却することができる。
【0065】
装置10は、場合によっては、溶融炉110をトンネル16と流体的に接続するように配置された煙霧入口ダクト40と、煙霧がトンネル16から排出できるようにように構成された煙霧出口ダクト41とを備えることができる。
【0066】
煙霧入口ダクト40は、好ましくは、溶融炉110に隣接するトンネル16の最終区間に対応して接続され、一方、煙霧出口ダクト41は、装入モジュール112に隣接するトンネル16の先頭区間に関連付けることができる。
【0067】
煙霧入口ダクト40は、最後のフード14、すなわち、溶融炉110に最も近いフード14に流体接続することができる。
煙霧出口ダクト41は、第1のフード14のうちの1つ、すなわち、装入モジュール112に最も近いフードのうちの1つに流体接続することができる。
【0068】
図10の実施形態に示すように、第1のフード14のうちの1つは、有利には、下流に配置された移動可能なフード14の最大高さに対応する高さに固定および配置することができ、前述のように、可撓性の機械式継手19によって次のフードと関連付けることができる。この構成により、煙霧出口ダクト41の区間を可動性/可撓性にする必要がないようにすることができる。
【0069】
可能な実装形態では、煙霧入口ダクト40は、自律ダクトとすることができるか、または装入開口部111およびトンネル16の終端部分によって画定することができる。
煙霧出口ダクト41および/または煙霧入口ダクト40には、煙霧移動手段42が関連付けられており、この煙霧移動手段42は、トンネル16内の煙霧を搬送して、通過中の金属装入物Sに均一かつ所望の速度および温度で衝突させて、下流に配置された適切な濾過装置に向かう煙霧Fの取り出しを促進するように構成されている。
【0070】
有利には、煙霧は、コンベヤチャネル11内の金属装入物Sの進行方向に対して向流でトンネル16内を通過させられる。
可能な実装形態によれば、煙霧移動手段42は、1つまたは複数のファン、バルブ、フィルタ、圧力調整器などを備えることができる。
【0071】
1つの可能な実施形態によれば、煙霧出口ダクト41の煙霧移動手段42は、サイクロン装置53を有利に備えることができ、サイクロン装置53によって、トンネル16から取り出された煙霧Fが通過する。
【0072】
サイクロン装置53は、煙霧Fに含まれる金属粉(metal dust)を減速させるとともに、下流に配置された濾過装置に金属粉が入るのを防いで、濾過装置の損傷を防止することができる。
【0073】
サイクロン装置53内で沈殿する金属粉は、金属装入物Sと一緒に、直接または後でコンベヤチャネル11内に再導入することができ、その収率を増加させる。例えば、図1では、収集された金属粉の排出は、装入モジュール112の内部で直接行われるが、他の構成も可能である。
【0074】
図1に示すいくつかの実施形態によれば、装置10は、金属装入物Sの少なくとも正確なプロファイルを検出するように構成されたスクラップ検出手段43を備えている。例えば、スクラップ検出手段43は、少なくとも、移送中の金属装入物Sの平均スクラップ高さKを検出するように構成される。
【0075】
より具体的には、スクラップ検出手段43は、移送中の金属装入物Sのプロファイル、したがってコンベヤチャネル11内のその高さKを、コンベヤチャネル11の幅上の位置の関数として検出するように構成されている。同じ断面上で検出された全ての高さKによって定義される金属装入物Sのプロファイルの積分によって、金属装入物Sが占める断面に対応する面積を得ることができる。
【0076】
スクラップ検出手段43は、レーザビーム検出システムまたはX線もしくはレーダ検出システムを含むことができる。
特に、レーザビーム検出システムによって、移送中の金属装入物Sの空間特性および分光特性の両方を分析することができる。
【0077】
スクラップ検出手段43は、トンネル16の入口領域(entrance zone)に対応して、またはその上流に、例えば装入モジュール112に隣接する領域に配置することができる。
【0078】
X線またはレーダ検出システムと組み合わせて、スクラップ検出手段43には、トンネル16内部の煙霧Fの過剰な通過速度によって引き起こされるスクラップの不要な引きずり(dragging)を検出するために、ビデオカメラおよび/または写真カメラを設けることができる。
【0079】
図10に示すいくつかの実施形態によれば、第1のフード14の上流に、すなわち、装入モジュール112と第1のフード14との間に、装置10は、スクラップ供給領域から、この特定の場合には装入モジュール112からの空気の進入を防止するように構成された封止ユニット54を備えることができる。
【0080】
封止ユニット54は、フード14に相当するカバーとして構成され、封止ユニット54が上方に配置されるコンベヤチャネル11の部分と共に、トンネル16の第1の区間を画定する。
【0081】
図11および図12を参照すると、封止ユニット54は、上壁または屋根56と、上壁56に横方向に関連付けられた2つの対向する側方フランク57、58とによって画定されたカバーフレーム55を備えている。
【0082】
封止ユニット54は、図10に破線で示すように、金属装入物Sの進行方向に互いに一定の距離をおいて配置された1つ以上の列を形成するように並んで配置された複数の垂直な金属バンド59を含む。
【0083】
垂直バンド59は、そのほぼ全長にわたってトンネル16内部に配置されている。
垂直バンド59は、上壁56の内面またはそれに関連付けられた支持構造61に直接取り付けることができる(例えば、図13を参照)。任意選択的に、上壁56に、垂直バンド59が貫通するスリットを設けることができる。
【0084】
少なくとも1つのフード14の移動と同様に、封止ユニット54は、移送中の金属装入物Sの状態および必要とされる封止の必要性に応じてトンネル16の断面を変化させるために、コンベアチャネル11から離れる/コンベアチャネル11に向かって垂直に移動可能である。
【0085】
例えば、封止ユニット54またはフレーム55を下げることにより、移送中の金属装入物Sを均一にし、より良好に分布させるか、または移送中の装入物Sを「封止」して、そこから空気が装入領域(図12)から入ることができる過剰な間隙の存在を防止する必要性に対応することができる。溶融炉110(図11)の生産性を高めるためにスクラップの進入を最大にすることが望まれる場合には、封止ユニット54またはフレーム55の上昇が必要となる場合がある。
【0086】
封止ユニット54の移動は、フード14を参照して説明した調整手段34と実質的に同様の、適切な移動手段60によって行うことができる。
移動手段60は、フレーム55と、例えば2つの対向する側方フランク57、58と横方向に関連付けることができる。
【0087】
さらに、フード14について説明したものと同様に、煙霧Fおよび金属粉の横方向の封じ込めを確実にするために、封止ユニット54には、可撓性カバー28または液体タイプの適合可能な封止手段27が設けられる(図11および図12)。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、垂直バンド59は、フレーム55と一体であり、すなわち、フレーム55と一体的に可動である(図11および図12)。
図13に示す一変形例によれば、フレーム55はコンベヤチャネル11に対して固定することができるが、垂直バンド59はフレーム55に対して、例えば上壁56に対して移動可能である。
【0089】
この場合、下にある金属装入物Sの表面に対する垂直バンド59の高さと、金属装入物Sに加えられる前進に対する抵抗との両方を較正することが可能である。
特に図13を参照すると、垂直バンド59は、トンネル16の外側の上壁56に関連付けられたガイド62上を摺動する支持構造61に関連付けられている。
【0090】
別の変形例によれば、フレーム55および垂直バンド59の両方を互いに独立して移動させることが可能である。
封止ユニットには、補助吸引ダクト63を関連付けることができ、この補助吸引ダクトには、下流に配置された煙霧出口ダクト41によって捕捉されなかった煙霧Fと、上流から入る垂直バンド59間で濾過される空気とを排出するために、煙霧抽出手段64が関連付けられている。
【0091】
装置10はまた、トンネル16の内部、好ましくは少なくともその終端領域に配置された、1つ以上の温度検出装置44および1つ以上の一酸化炭素検出装置45を備えている。
【0092】
装置10は、少なくとも以下を受信するように構成された処理および制御ユニット46を備えている。
-金属装入物Sの状態に関する情報、例えばプロファイルを含むスクラップ検出手段43からの第1の動作信号、
-調整手段34からの、例えば、調整手段34に関連付けられた位置変換器からの、フード高さに関する情報を含む第2の動作信号、および
-煙霧移動手段42からの、例えば、現在の吸引流量に関する情報を含むファンからの第3の動作信号、
そして、少なくとも、
-フード高さを必要とされるかまたは得ようとする動作条件に適合させるために、調整手段34に指令動作信号を送る。
【0093】
さらに、処理および制御ユニット46は、移動手段60の上昇/下降を調整することによって封止ユニット54の移動を制御することができ、または直接、上記のようにスクラップ検出手段43からの第1の動作信号によって垂直バンド59の移動のみを制御することができる。
【0094】
処理および制御ユニット46はまた、煙霧移動手段42および煙霧抽出手段64の流量変更、ならびに指令式開口部30を有する扉の駆動を指令することができる。
加えて、処理および制御ユニット46は、1つ以上の温度検出デバイス44から、および1つ以上の一酸化炭素検出デバイス45からそれぞれの信号を受信し、それらの信号を煙霧通過速度パラメータと組み合わせて、含まれる情報を処理することができる。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、処理および制御ユニット46は、コンピュータプログラム47でプログラムされる。コンピュータプログラム47は、処理および制御ユニット46によって実行可能な機械コード48を含む。処理および制御ユニット46による機械コード48の実行によって、処理および制御ユニット46は人工知能49を作動させる。
【0096】
人工知能49はニューラルネットワークであってもよい。ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network、DNN)、または畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)であってもよい。人工知能49は、異なる種類の複数のニューラルネットワークを含むことも可能である。
【0097】
さらに、または代替として、人工知能49は、個別にまたは組み合わせて、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、決定木、ベイジアンネットワーク、自己組織化マップ、ケースベース推論、インスタンスベース学習、またはその他を含むことができる。
【0098】
一実施形態によれば、コンベヤチャネル11からの少なくとも1つのフード14のフード高さHは、連続的にまたは所定の時間間隔で検出された金属装入物Sのプロファイルに応じて変化することができる。
【0099】
別の実施形態によれば、コンベヤチャネル11からの少なくとも1つのフード14のフード高さHは、平均スクラップ高さKおよび場合によっては金属装入物Sの種類に応じて変化することができる。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、金属装入物Sを溶融炉110に供給しかつ予熱する方法が提供される。この方法は、
-金属装入物Sが徐々に供給されるときに、金属装入物Sのプロファイルを連続的に、または予め設定された間隔で検出するステップと、
-金属装入物Sを溶融炉110に向かって移動させるコンベヤチャネル11上で利用可能にし、コンベヤチャネル11と協働して、コンベヤチャネル11の支持および前進面25に対してフード高さHに少なくとも1つのフード14が存在する、ステップと、を提供する。
【0101】
一態様によれば、本方法はまた、調整手段34によって、少なくとも1つのフード14を支持および前進面25から離れるように/支持および前進面25に向かって垂直に移動させて、少なくとも金属装入物Sの検出されたプロファイルに少なくとも応じてフード高さを変化させる、ステップを提供する。
【0102】
この方法はまた、
-現在のフード高さHの情報に基づいてトンネル16の各断面の面積を計算するステップと、
-金属装入物Sの検出されたプロファイルに基づいて、金属装入物Sによって占有される部分に対応する面積を計算するステップと、
-トンネル16の断面の面積と金属装入物Sの面積との差として煙霧通過面積を計算するステップと、
-煙霧の平均通過速度を、煙霧移動手段42、例えば吸引ファンの吸引流量と、トンネル16の断面の面積と金属装入物Sの面積との差との比として計算するステップと、
-平均煙霧通過速度を、例えば熱交換を最大化する所望の煙霧通過速度値と比較するステップと、
-所望の煙霧通過速度値を得るためにフード(複数可)14の高さHを動的に修正するステップと、を提供する。
【0103】
特に、フード14の現在の高さHは、調整手段34の持ち上げ装置37に関連付けられた位置変換器によって検出された測定値から得ることができる。
煙霧の速度が大きいほど、金属装入物Sに衝突する乱流が大きくなるので、高い熱交換を達成するために、煙霧の通過速度を高く保つことが望ましい。
【0104】
しかしながら、煙霧の過度に高い速度は、表面スクラップ片を引きずる危険性を伴い、表面スクラップ片は、例えば煙霧出口ダクト41を通して吸い込まれた場合に破損の原因となる。煙霧の過度に低い速度は、金属装入物Sの最適かつ均一な加熱を妨げ、溶融炉110の収率を低下させる。
【0105】
フード(複数可)14の動的な動きによって、最適/所望の煙霧通過速度に「追従」することができ、それによって、いかなる状態においても溶融炉110の収率を最大にすることができる。
【0106】
平均スクラップ高さKを考慮する別の可能な動作モードによれば、以下の通りである。
-金属装入物Sの平均スクラップ高さKが基準平均スクラップ高さKにほぼ等しい場合、少なくとも1つのフード14は、フード高さHが最小フード高さ値Hに等しい下降位置に移動する(図2)。さらに、指令式開口部30を有する扉を閉じる。この場合、運用上の目的は、例えば移送中の金属装入物Sの1トン当たりのkWhで測定されるエネルギー消費を最小にすることである。
【0107】
-金属装入物Sの平均スクラップ高さKが基準平均スクラップ高さKよりも例えば約10%大きい場合、少なくとも1つのフード14は、フード高さHが中間フード高さ値H0.5に等しい中間位置に移動する(図3)。さらに、指令式開口部30を有する扉を少なくとも部分的に開放する。この場合、運用上の目的は、エネルギー消費の最小化と、移送中の金属装入物Sの流量の最大化とのトレードオフとなる。
【0108】
-金属装入物Sの平均スクラップ高さKが基準平均スクラップ高さKよりも例えば約20%大きい場合、少なくとも1つのフード14は、フード高さHが最大フード高さ値Hに等しい上昇位置に移動する(図4)。さらに、指令式開口部30を有する扉を少なくとも部分的に開放する。この場合、運用上の目的は、溶融炉110に入る金属装入物Sの流量を最大にすることであり、例えば、1時間に移送する金属装入物Sのトン数で測定する。
【0109】
金属装入物Sとの熱交換を増加させる必要がある場合、少なくとも1つのフード14を下げることが可能であり、その結果、煙霧通過面積が減少し、このようにしてトンネル16内の煙霧の通過速度が増加する。
【0110】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまで説明した溶融炉に金属装入物を供給しかつ予熱するための装置および方法に対して、部品またはステップの修正および/または追加を行うことができることは明らかである。
【0111】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照符号の唯一の目的は、解釈を容易にすることであり、それらの参照符号は、特定の請求項において特許請求される保護の分野に関する限定的な要因とみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15