(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】熱放出制御された構造体
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20240924BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240924BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20240924BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20240924BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240924BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B9/00 A
B32B27/40
B29C39/24
B29C44/00 A
B29C44/36
(21)【出願番号】P 2023523225
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2021054535
(87)【国際公開番号】W WO2022081550
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-06-12
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516363053
【氏名又は名称】ブライト ライト ストラクチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドドワース アントニー
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/106679(WO,A1)
【文献】特表2022-507755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/18
B32B 9/00
B32B 27/40
B29C 39/24
B29C 44/00
B29C 44/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放出フォームであって、
中間部分を備えるとともに、前記中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定するポリマフォーム本体
を備え、
前記ポリマフォーム本体は、前記1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置するグラフェンフレークを含んだ層
を備え、
前記中間部分がグラフェンフレークを実質的に含まない層
であり、
前記グラフェンフレークを含んだ層は、実質的に平面形状であるグラフェンフレークがポリマフォームに浸透された層である、
熱放出フォーム。
【請求項2】
前記ポリマフォーム本体は、ポリウレタンフォームを含む、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項3】
前記熱放出フォームは、FAR25.853試験条件下
で2分間、50kwMin/m
2未満の熱放出を示す、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項4】
前記グラフェンフレークを含んだ層は
1μm~
100μmの平均フレーク厚さを有するグラフェンフレークを含む、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項5】
前記グラフェンフレークを含んだ層は
50μm~
300μmの平均最大寸法を有するグラフェンフレークを含む、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項6】
前記グラフェンフレークを含んだ層は、複数のランダムに配向されたグラフェンフレークを含む、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項7】
前記グラフェンフレークを含んだ層は、5mm以下の厚さを有する、請求項1に記載の熱放出フォーム。
【請求項8】
熱放出フォームを製造する方法であって、
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することと、
未硬化のポリウレタンフォームを前記金型内に堆積させ
前記グラフェンフレークを前記ポリウレタンフォームの外面に浸透させることと、
前記ポリウレタンフォームを前記金型内で硬化させることと、
を含
み、
複数のグラフェンフレークは、実質的に平面形状であるグラフェンフレークを含む、方法。
【請求項9】
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することは、グラフェンフレークを前記金型の少なくとも1つの成形面に噴霧することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することは、前記複数のグラフェンフレークを溶媒スプレで前記少なくとも1つの成形面に噴霧することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することは、グラフェンフレークを前記金型のすべての成形面に噴霧することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することは、
1μm~
100μmの平均フレーク厚さ、又は
50μm~
300μmの平均最大寸法の1つ以上を有するグラフェンフレークを利用することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
未硬化のポリウレタンフォームを前記金型内に堆積させることは、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの混合物を前記金型の中に堆積させることを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
未硬化のポリウレタンフォームを前記金型内に堆積させることは、前記混合物を前記金型の中に投入することを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリウレタンフォームを前記金型内で硬化させることは、前記ポリウレタンフォームを膨張させて前記金型を充満するのを可能にすることを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリウレタンフォームを前記金型内で硬化させることは、前記金型の温度を硬化温度に制御することを含む、請求項
8に記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月16日に出願された米国仮特許出願第63/092,899号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、この参照によってその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ポリマフォームは、様々な用途、例えば構造用フォーム、断熱材フォーム、家具用フォームなどに使用される。このようなフォームは、発火、有毒な化学物質及び煙の排出、又は熱放出をしやすい可能性がある。したがって、今日の家庭で使用されるほとんどすべてのフォームは難燃性でなければならない。構造用フォームなどの多くのフォームは、厳密に規制された環境、例えば航空宇宙、自動車、船舶、鉄道、又はその他の産業用途において使用が許可されていない場合がある。例えば、厳格な火災、煙、及び毒性の基準では、特定のフォームを列車の座席、商業航空宇宙の座席、自動車パネルなどに使用される複合積層構造体に用いるのを差し止める場合がある。同様に、フォームの熱放出は、多くのフォームが、構成要素の熱放出を厳密に規制する用途において用いられるのを妨げる。
【0003】
通常、難燃材をフォーム全体に利用して、熱放出、発火、又は煙や毒素の排出を防ぐ。例えば、フォームは、そのポリマ全体に分散された難燃性構成要素を用いて製造されてもよい。又は、難燃性ポリマが利用されてもよい。しかしながら、難燃性ポリマは、望ましい機械的特性を、火災、煙、及び毒性(「FST」)基準又は熱放出基準を満たさないポリマフォームほど備えていない可能性がある。例えば、難燃剤又は他の添加剤(複数可)をフォームに添加することにより、フォームの機械的性能が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、グラフェンフレークを少なくとも1つの外面上に有するフォーム、フォームを製造する方法、フォームを有する複合積層構造体、フォームを有する複合積層構造体を製造する方法、グラフェンフレークを少なくとも1つの外面上に有する積層構造体、及びグラフェンフレークを少なくとも1つの外面上に有する積層構造体を製造する方法に関する。
【0006】
一実施形態では、熱放出フォームが開示される。熱放出フォームは、中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定するポリマフォーム本体を含む。熱放出フォームは、1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置するグラフェンフレークを含んだ層を含み、ここで、中間部分はグラフェンフレークを実質的に含まない。
【0007】
一実施形態では、放熱出フォームの製造方法が開示される。方法は、複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布することを含む。方法は、未硬化のポリウレタンフォームを金型内に堆積させることを含む。方法は、ポリウレタンフォームを金型内で硬化させることを含む。
【0008】
一実施形態では、複合構造体が開示される。複合構造体は、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂を有する第1の繊維層を含む。複合構造体は、第1の繊維層の上に配置されたコアを含み、コアは、ポリマフォーム本体とグラフェンフレークを含んだ層とを含み、ポリマフォーム本体は、中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定し、ここで、グラフェンフレークを含んだ層は、1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置し、ここで、中間部分はグラフェンフレークを実質的に含まない。
【0009】
一実施形態では、熱放出制御された複合構造体を製造する方法が開示される。この方法は、コア上に配置された第1の繊維層を含むレイアップ成形体を形成することを含み、第1の繊維層は、第1の複数の繊維とその上に第1のポリマ樹脂を有し、コアはポリマフォーム本体とグラフェンフレークを含んだ層とを含み、ポリマフォーム本体は中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定し、ここで、グラフェンフレークを含んだ層は、1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置し、中間部分はグラフェンフレークを実質的に含まない。この方法は、レイアップ成形体を金型内でプレスすることを含む。この方法は、ポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成することを含む。
【0010】
一実施形態では、複合積層構造体が開示される。複合積層構造体は、第1の複数の繊維とその上の第1のポリマ樹脂とを含む第1の繊維層を含む。複合積層構造体は、第2の複数の繊維とその上の第2のポリマ樹脂とを含む第2の繊維層を含む。複合積層構造体は、第1の繊維層上に配置された外側ポリマ層を含み、外側ポリマ層は、複数のグラフェンフレークがその中に配置された外側ポリマ樹脂を含む。
【0011】
一実施形態では、熱放出制御された複合構造体を製造する方法が開示される。この方法は、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂をその上に有する第1の繊維層、第1の繊維層の下に配置された第2の繊維層であって、第2の複数の繊維及び第2のポリマ樹脂をその上に有する第2の繊維層、ならびに第1の繊維層に配置された外側ポリマ層であって、複数のグラフェンフレークをその中に含む外側ポリマ樹脂を有する外側ポリマ層、を含むレイアップ成形体を形成することを含む。方法は、レイアップ成形体を金型内でプレスすることを含む。方法は、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成することを含む。
【0012】
一実施形態では、熱放出制御された構造体が開示される。熱放出制御された構造体は、グラフェンフレークを外面に有し、かつ外面より内側の部分にグラフェンフレークを実質的に含まない少なくとも1つの材料を含む。
【0013】
開示された実施形態のいずれかからの特徴は、限定することなく、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、本開示の別の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本発明のいくつかの実施形態を図示し、同一の参照番号は、図面に示される異なる図又は実施形態において、同一又は類似の要素又は特徴を指す。
【
図1】一実施形態による、熱放出フォームの等角図である。
【
図2】一実施形態による、複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面上に散布するブロックを示す。
【
図3】一実施形態による、
図2の金型に未硬化のポリウレタンフォームを堆積させるブロックを示す。
【
図4】一実施形態による、
図2の金型内でポリウレタンフォームを硬化するブロックを示す。
【
図5】一実施形態による、複合積層構造体の等角図である。
【
図6】一実施形態による、熱放出制御された複合構造体を製造するための方法の流れ図である。
【
図7】一実施形態による、金型内に配置されるレイアップ成形体の等角図である。
【
図8】一実施形態による、
図7の金型内のレイアップ成形体から形成された背もたれを示す。
【
図9】一実施形態による複合積層体の断面図である。
【
図10】一実施形態による、熱放出制御された複合構造体を製造するための方法の流れ図である。
【
図11】実施例Aの熱放出フォーム部品の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、グラフェンフレークをその少なくとも1つの外面上に有する複合構造体及びフォーム、複合フォームを製造する方法、フォームを有する複合積層構造体、フォームを有する複合積層構造体を製造する方法、グラフェンフレークをその少なくとも1つの外面上に有する積層構造体、ならびにグラフェンフレークをその少なくとも1つの外面上に有する積層構造体を製造する方法に関する。ポリウレタンフォームなどのフォームは、自動車、航空機、船舶、鉄道、及びその他の用途の部品の構造構成要素として利用され得る。例えば、複合積層部品は、コアとしてグラフェンフレークを含む外層(複数可)又は他の層(複数可)を有するフォームを利用して、比較的低い熱放出値を達成し得る。
【0016】
グラフェンフレークをフォームの外層に利用することで、フォームが炎に曝されたときに熱放出が下げられ遅延される。本明細書に開示されるグラフェンフレークは、各グラフェンフレークのsp2炭素構造体全体にわたって面内で熱を伝達し、それによって吸収された熱を保持する。グラフェンフレークをフォームの1つ以上の表面のみに位置することにより、フォーム又はフォームを有する複合積層体に対して選択された熱放出値を達成する一方で、フォーム全体にグラフェンを使用することによる高コストを回避し得る。更に、グラフェンは、ポリマフォーム中に均一に分散させるのが困難である。したがって、グラフェンをフォームに分散させるための費用と時間のかかる作業は、結果として生じる、グラフェンフレークを含む外層を有するフォームの熱放出値を犠牲にすることなく回避され得る。
【0017】
図1は、一実施形態による、熱放出フォーム100の等角図である。熱放出フォーム100は、ポリマフォーム本体110を含み、ポリマフォーム本体110は中間部分116の周りに配置された1つ以上の外面118及び119を画定する。例えば、ポリマフォーム本体110は、実質的に平面であり得て、第1の外面118が第2の外面119の実質的に反対側にあり、中間部分116がそれらの間に配置される。熱放出フォーム100は、1つ以上の外面118及び119のうちの少なくとも1つに位置するグラフェンフレークを含んだ少なくとも1つの層を含む。例えば、グラフェンフレークを含んだ少なくとも1つの層は、グラフェンフレークを含む第1の層112で第1の外面118上に配置され得る。必要に応じて、熱放出フォーム100は、グラフェンフレークを含む第2の層114を第2の外面119上に含み得る。中間部分116はグラフェンフレークを実質的に含まない。
【0018】
ポリマフォーム本体110は、1つ以上のポリマのフォームを含み得て、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート(「PIR」)、ポリスチレン(例えば、発泡ポリスチレンフォーム)、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)(「PBT」)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ビニルエステルなどの1つ以上を含み得る。フォーム本体のポリマフォームは、発泡フォームであってもよい。ポリマフォーム本体110は、連続気泡フォーム又は独立気泡フォームであり得る。ポリマフォームの密度は、異なり得る。適切な密度は、約0.25kg/m3~約200kg/m3の範囲であり得る。例えば、ポリマフォーム本体110は、約0.25kg/m3~約20kg/m3、約15kg/m3~約30kg/m3、約30kg/m3~約60kg/m3、約60kg/m3~約100kg/m3、約100kg/m3~約150kg/m3、約150kg/m3~約200kg/m3、約200kg/m3未満、約100kg/m3未満、約75kg/m3未満、約50kg/m3未満、又は約0.25kg/m3を超える密度を有し得る。
【0019】
ポリマフォーム本体110は、実質的に平面シートとして製造又は提供され得る。いくつかの例では、ポリマフォーム本体110は、任意の所望の形状で提供され得る。そのような例では、ポリマフォーム本体110は金型内で形成されてもよく、フォームが金型に挿入されて、(例えば、型の充満又は膨張によって)金型を充満する。
【0020】
ポリマフォーム本体110は、外面118又は119のうちの1つ以上の上に配置されたグラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)を含む。グラフェンフレークを含む第1の層112は、第1の外面118上に配置され得て、グラフェンフレークを含む第2の層114は、第2の外面119上に配置され得る。グラフェンフレークを含んだ層(複数可)は、外面(複数可)でポリマフォーム上にあるか、又はポリマフォームに結合され得る。フォーム本体の1つ以上の外面に位置する「層」として説明されているが、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)中のグラフェンフレーク120は、それぞれの外面(複数可)118及び119から比較的最小の距離でポリマフォームに浸透する。したがって、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)は、ポリマフォーム本体110の一部であるが、グラフェンフレーク120の存在により、ポリマフォーム本体110の他の部分とは組成が異なる。グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)の厚さ、つまりグラフェンフレークが浸透するポリマフォーム本体110の深さは、約1cm未満、約5mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約1μm~約500μm、約1nm~約1mm、約1μm~約2mm、又は約10μmを超えてもよい。このようなグラフェンフレーク120は、本開示の目的のために、ポリマフォーム本体110の外面上又は外面上の層と呼ばれる。したがって、特に明記しない限り、本明細書に開示されるグラフェンフレークの層又はグラフェンフレークを含んだ層は、ポリマフォーム本体に最小限の距離で浸透したグラフェンフレーク120、ポリマフォーム本体に浸透していないグラフェンフレーク120(例えば、外面でポリマ本体に結合されている)、又は両方を含み得る。グラフェンフレークを含んだ層(複数可)の厚さは、グラフェンフレークを含むそれぞれの層(複数可)の1つ以上の部分での、グラフェンフレークの厚さ及び濃度の変動による層(複数可)の平均厚さであり得る。
【0021】
グラフェンフレーク120の中間部分116への浸透を制限することによって、グラフェンフレーク120の熱放出特性は、ポリマフォーム本体110の外面(複数可)に集中される。中間部分116は、グラフェンフレーク120を実質的に含まず、例えば、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112又は114)中のグラフェンフレークの量(例えば、濃度)の最大5パーセント未満、例えば、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層中のグラフェンフレークの量の3パーセント未満、1パーセント未満、又は微量のグラフェンフレークのみを有する。
【0022】
グラフェンフレーク120は、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)に位置されるが、グラフェンフレークは、それを通して均一に分布されなくてもよい。例えば、ポリウレタン(又は他のポリマ)樹脂を、グラフェンフレーク120をその上に有する金型の中に流入するのに応じて、グラフェンフレーク120は、フォーム本体110の一部の領域に、他の領域、例えば、フォーム本体の角部、又は熱放出フォーム100を形成するために使用される金型の注入点から離れた領域よりも集中され得る。そのような領域では、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)の厚さ(複数可)は、フォーム本体110の他の領域よりも大きくなり得る。例えば、フォーム本体110のより薄い部分では、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)の厚さは、他のより容積の大きい領域よりも厚くなる場合があり、それはポリマ樹脂の注入中に金型内のより薄い領域に乱流が生じるためである。したがって、熱放出フォーム100の少なくとも一部分は、少なくとも1つ以上の部分を含み得て、その部分では、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)がグラフェンフレーク120を実質的に含まないフォーム本体110の一部分の上に配置される。熱放出フォーム100はまた、1つ以上の部分であって、グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)が、実質的にグラフェンフレークを含まないフォーム本体110の部分の上に配置されない、1つ以上の部分を含んでもよい。グラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(112、114)におけるグラフェンフレークの不均一な分布は、熱放出フォーム100の熱放出特性に実質的に影響を及ぼさない(例えば、フォームを有する複合積層体が、米国連邦航空規則(「FAR」)25.853試験条件の下で少なくとも2分間、約50、40、又は30kwMin/m2未満の熱放出値を生成する)と、現在考えられている。例えば、部品の1つの構成要素(例えば背もたれ)はモノリシックであってもよく、部品の別の構成要素は、内部に熱放出フォームを有する複合積層体(例えばサンドイッチ構造体)であってもよい。そのような例では、部品は、全体として、本明細書に開示されるように、少なくとも2分間、50、40、又は30kwMin/m2未満の熱放出を示し得る。
【0023】
本明細書におけるグラフェンフレーク120は、グラフェンシート、グラフェン粉末、カーボンナノチューブ、フラーレンなどとは異なる。グラフェンフレーク120は、多層グラフェン構造体であり、実質的に平面形状を有し、多数の折り目、不連続性、層の数の違い、又は隆起によって画定される表面と、不規則な側面形状を備え、その結果、朝食用シリアルのフレークに似たグラフェンフレークが小さいスケールで生成される。したがって、グラフェンフレーク120は、グラフェン粉末、カーボンナノチューブ、又はフラーレンであることが多い、グラフェン(グラフェンシート)の複数の層を有する。グラフェンフレークは、接着面などの表面にグラフェンの複数の層を堆積(例えば、成長)させることによって形成され、その後、表面から複数の層を切り離して、1つ以上のグラフェンフレークを生成する。次いで、グラフェンフレークを篩いにかけ、平均寸法又は平均最多(例えば、最大)寸法を有するフレーク群を生成し得る。フレークの厚さは、接着面に堆積されたグラフェン層の数を制御することによって制御され得る。例えば、選択された厚さを有するグラファイトが、第1の接着テープ上に堆積されてもよい。グラファイト中のグラフェンの層の数は、接着テープの後続の層を、第1の接着剤とは反対面でグラファイトに接着させて、テープの後続の層に接着したグラフェン層を除去することにより、グラフェン層を一般的に一度に1つずつ除去することによって、減らすことができる。グラフェンフレークは、グラフェンフレーク(複数可)をテープから取り除くのに十分な力で第1の接着テープを叩くことによって、例えば、指又はその自動化された同等物で素早くスライドさせる(フリックする)ことによって、第1の接着テープから除去され得る。
【0024】
グラフェンフレークの平均フレーク厚さ(第1の主面からそれの反対側の第2の主面まで測定される)は、少なくとも約1μmで、例えば、1μm~約250μm、約1μm~約100μm、約20μm~約100μm、約40μm~約80μm、約60μm~約100μm、約200μm未満、約100μm未満、約80μm未満、約60μm未満、約40μm未満、約20μm未満、約10μm超、約20μm超、約30μm超、又は約40μm超であり得る。上述のように、グラフェンフレークは実質的に平面で、その主面の厚さ、折り目、頂部、及び谷部に変化を有し得る。グラフェンフレークの横方向の寸法は、不規則であってもよい。グラフェンフレークの平均最大主横方向寸法は、少なくとも約20μmで、例えば約20μm~約500μm、約50μm~約300μm、約80μm~約220μm、約100μm~約200μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、約250μm未満、又は約200μm未満であり得る。
【0025】
グラフェンフレークの谷部と頂部は、グラフェンフレークの特定の領域にまたがる複数の層の不連続性から少なくとも部分的に形成されるため、グラフェンフレークは、表面液体ポリマ樹脂に留まるか、浮いていることが分かっている。このような浮遊により、グラフェンフレークが外面(複数可)にのみ位置するポリマフォーム本体が得られる。
【0026】
本発明者は現在、グラフェンフレークは、グラフェンフレークの実質的に平面構造体及びその層間の面内においてグラフェンフレークのグラフェン格子構造体全体に熱を伝達すると考えている。したがって、グラフェンフレークは熱を保持し、ポリマフォーム本体からの熱放出を遅らせて、火炎がポリマフォーム本体110のポリマに点火するのを、グラフェンフレークのないポリマフォーム本体よりも長い時間、防止する。例えば、本明細書に開示される熱放出フォーム100(又は熱放出フォーム100を含む複合積層構造体)は、米国連邦航空規則(「FAR」)25.853試験条件の下で少なくとも2分間、約50kwMin/m2未満、少なくとも2分間、約40kwMin/m2未満、少なくとも2分間、約30kwMin/m2未満、少なくとも3分間、約50kwMin/m2未満、少なくとも3分間、約40kwMin/m2未満、少なくとも3分間、約30kwMin/m2未満、少なくとも4分間、約50kwMin/m2未満、少なくとも4分間、約40kwMin/m2未満、又は少なくとも4分間、約30kwMin/m2未満(上記はすべてFAR25.853試験条件下)の放熱を示す。このような熱放出値は、本明細書に開示されるポリマフォームのいずれか、例えばポリウレタンフォームを利用して達成され得る。
【0027】
グラフェンフレークを含むそれぞれの層(112、114)内の複数のグラフェンフレークの大部分は、それぞれの層内のポリマフォーム本体の外面と実質的に同一平面上にあり得る。グラフェンフレークを含むそれぞれの層内の複数のグラフェンフレークは、層内でランダムに配向され得る。
【0028】
図2~
図4は、一実施形態による、熱放出フォームを製造する方法200を示す。
図2は、複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面上に散布する、方法200のブロック201を示す。
図3は、未硬化のポリウレタンフォームを金型内に堆積させる、方法200のブロック202を示す。
図4は、金型内でポリウレタンフォームを硬化させる、方法200のブロック203を示す。方法200は、ブロック201~203より多い、又は少ないブロックを含んでもよい。例えば、ブロック201~203のうちの1つ以上は他のブロック201~203のいずれかと組み合わせるか、又は更なるブロックに分けられ得る。
【0029】
図2を参照すると、複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面に散布するブロック201は、グラフェンフレーク120を金型205に散布することを含む。金型205は、少なくとも第1の金型部分206(例えば、金型半体)及び少なくとも第2の金型部分207(例えば、第2の金型半体)を含み得る。第1の金型部分206は、第1の成形面208を画定し、第2の金型部分207は、第2の成形面209を画定する。グラフェンフレーク120は、第2の成形面209の第1の成形面208のうちの1つ以上に散布され得る。金型205は、1つ以上の入力ポート211を含み得る。例えば、第1の金型部分206は、1つ以上の入力ポート211を含み得て、第2の金型部分207は、1つ以上の入力ポート211を含み得る。いくつかの例では、入力ポート(複数可)211は、ポリウレタンフォーム樹脂を注入するための入力ノズルを収容するようなサイズと形状に合わせられ得る。いくつかの例(図示せず)では、1つ以上の入力ポート211は、金型の2つ以上の部分に形成されてもよく、例えば、第1の金型部分にスプルの半分を有し、第2の金型部分にスプルの残りの半分を有してもよく、この場合、金型が閉じられると、入口ポート211が金型部分の間の接合部に形成される。
図2~
図4では金型半体として示されるが、いくつかの例では、金型は2つより多くの部品を含んでもよい。実質的に角柱として示されるが、第1及び第2の成形面208及び209は、輪郭、チャネルなどの任意の形状を含んでもよい。例えば、金型205は、フォーム本体の任意の形状及びサイズを生成するように、サイズ及び形状が決められてもよい。金型205は、成形プロセスの圧力及び熱に耐え、グラフェンフレークが少なくとも一時的に金型に付着できるように構成された材料から構築され得る。例えば、金型205は、(例えば、鋼、真鍮、アルミニウムなど)、高温ポリマ(例えば、PEIなど)、セラミック、又はそれらの組み合わせから構築され得る。
【0030】
複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの表面上に散布するブロック201は、グラフェンフレークを金型205の少なくとも1つの成形面上に噴霧することを含み得る。例えば、噴霧器230は、グラフェンフレークの供給源及び流体源に動作可能に結合されて、グラフェンフレークを成形面(複数可)上に推進させ得る。本明細書に開示されたグラフェンフレークのいずれかを金型に散布し得る。いくつかの例では、流体源からの流体は、圧縮ガス、溶媒、高圧ガス(propellant)、又は液体のうちの1つ以上を含み得る。例えば、流体源からの適切な流体は、噴霧器230からグラフェンフレーク120を推進するための圧縮空気、圧縮窒素、又は溶媒を含み得る。溶媒には、水、アルコール、アセトンなどが含まれる。複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面上に散布することは、複数のグラフェンフレークを溶媒スプレで少なくとも1つの成形面上に噴霧することを含み得る。複数のグラフェンフレークを金型の少なくとも1つの成形面上に散布することは、金型205のすべての成形面(208、209)上にグラフェンフレークを噴霧することを含み得る。
【0031】
いくつかの例では、グラフェンフレーク120は、静電相互作用、その上の溶媒の表面張力、又は接着剤を介して成形面(複数可)に一時的に付着され得る。溶媒は、グラフェンフレークを成形面(複数可)208及び/又は209に一時的に付着させるように構成された1つ以上の成分を含み得る。
【0032】
図3を参照すると、未硬化のポリウレタンフォームを金型に堆積させるブロック202は、金型にポリウレタン樹脂を堆積させることを含み得る。例えば、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとを含む混合物は、金型205に、入力ポート(複数可)211などを通して投入され得る。未硬化のポリウレタンフォームを金型に堆積させることは、混合物を金型205に注入することを含み得る。混合すると、混合物中の少なくとも1つのイソシアネート(例えば、ポリイソシアネート)と少なくとも1つのポリオールは、未硬化のポリウレタンフォームを形成し得る。適切なイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、メチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、メチルイソシアネート(「MIC」)、ナフタレンジイソシアネート(「NDI」)、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)などのうちの1つ以上を含み得る。更なるイソシアネートは、限定なしに利用され得る。適切なポリオールには、1つ以上のポリエーテルポリオール、1つ以上のポリエステルポリオールなどのうちの少なくとも1つが含まれ得る。例えば、適切なポリオールは、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、又はそれらの混合物を含み得る。更なるポリオールは、限定なしに利用され得る。例えば、ポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタンフォームの代わりにPIRフォームを形成し得る。イソシアネート成分(複数可)は、未硬化のフォーム混合物の約35重量%~約65重量%であり得て、ポリオール成分(複数可)は、未硬化のフォーム混合物の約35重量%~約65重量%であり得る。
【0033】
1つ以上の発泡剤(例えば、アセトン、水、二酸化炭素、シクロペンタン、イソペンタン、ギ酸、ハイドロフルオロカーボン(複数可)、フッ素化アルケン、ギ酸メチルなど)、触媒、着色剤、難燃剤、安定剤(例えば、ヒドロキシベンゾトリアゾール)、界面活性剤(例えば、シリコーン含有界面活性剤)、又は他の添加剤は、未硬化のポリウレタンの成分とともに投入され得る。例えば、アミン触媒(例えば、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、第三級アミン含有触媒、第四級アミン塩など)又は金属触媒は、ポリオール成分などとともに添加され得る。1つ以上の発泡剤、触媒、着色剤、難燃剤、安定剤、界面活性剤、又は他の添加剤は、個別に、又は集合的に、未硬化のポリウレタンフォームの10重量%未満、例えば未硬化のポリウレタンフォーム(混合物)の0重量%超~3重量%、3重量%~6重量%、6重量%~10重量%、5重量%未満、3重量%未満、又は1重量%未満であってもよい。
【0034】
示されるように、金型205は、1つ以上の注入ライン244に流体接続された1つ以上の注入ノズル240を利用して、未硬化のポリウレタンフォームで充満され得る。例えば、注入ノズル240は、入力ポート211と係合して、金型205(複数のグラフェンフレークをその成形面(複数可)上に有する)のキャビティを充満し得る。
【0035】
ブロック202は、別の未硬化のポリマ、例えば本明細書に開示されたポリマのいずれかを金型内に堆積させることを含み得る。ブロック202は、1つ以上の追加の未硬化のポリマを金型内に堆積させることを含み得て、例えば本明細書に開示される未硬化のポリマのいずれか1つ以上を含む混合物である。そのようなポリマ又はその混合物は、混合されて金型205に投入されると、フォームを形成し得る。混合は、1つ以上の注入ノズル240、1つ以上の注入ライン244、又は1つ以上の注入ライン244の上流、例えば注入ライン(複数可)244に流体接続された流体貯蔵容器内で起こり得る。例えば、フォームの成分を組み合わせて、注入ライン244又は注入ノズル240内で、それに流体接続された別個の供給ラインを介してポリウレタンフォーム混合物を形成し得る。混合は、1つの金型205で生じる場合もあり、例えば個々の成分を金型205の中に、異なる注入ノズル240を通して別々に注入することによる。
【0036】
図4を参照すると、金型内でポリウレタンフォームを硬化させるブロック203は、ポリウレタンフォームを、少なくとも部分的に金型205内で、例えば、金型205が閉じている間に硬化させるのを可能にすることを含み得る。ポリウレタンフォームを金型内で硬化させることは、ポリウレタンフォームを少なくとも部分的に、金型205を閉じている間に硬化させるのを可能にし、また金型を開いて、金型が開口している間にフォームを少なくとも部分的に硬化させることを可能にすることを含み得る。ポリウレタンフォームを金型内で硬化させることは、ポリウレタンフォームを膨張させて金型を充満するのを可能にすることを含み得る。ポリウレタンフォームを金型内で硬化させることは、金型の温度を硬化温度、例えば、150°F(65.5556℃)未満、100°F(37.7778℃)未満、80°F(26.6667℃)未満、50℃6超、約50℃~約150℃、又は約50℃~約100℃に制御することを含み得る。
【0037】
方法200は、少なくとも部分的に硬化したポリウレタンフォームを金型205から取り出すことを更に含み得る。
図4に示すように、得られる熱放出フォーム100は、第1の外面118にグラフェンフレークを含んだ層112を含む。成形面208上に堆積された複数のグラフェンフレークは、ポリウレタンフォームの表面118に付着されて、グラフェンフレークを含む第1の層112を形成し得る。中間部分116はグラフェンフレークを実質的に含まない。いくつかの例では、ポリウレタンフォームは、少なくとも部分的に金型の外側で硬化させることができ、例えば加熱、冷却、又はフォームを金型の外側に一定時間静置することのうちの1つ以上による。いくつかの例では、スプルが第1の外面118に存在し得て、そこに入力ポート211が位置する。スプルは、金型205を開いた後に除去され得る。
【0038】
得られる熱放出フォーム100は、構造用フォーム(例えば、硬質フォーム)、室内装飾用フォーム(例えば、比較的柔軟で弾性のあるフォーム)、又は任意の他のフォームを含み得る。熱放出フォーム100は、モノリシック部品として、又はモノリシック部品内に形成されてもよい。例えば、熱放出フォーム100は、金型(例えば、フォームの形成中に使用されるのと同じ金型、又は別個の金型)内で圧縮されて、モノリシック構造体を形成し得る。熱放出フォーム100は、複合積層(例えば、サンドイッチ)構造体に含まれてもよい。
【0039】
図5は、一実施形態による複合積層構造体500の等角図である。複合積層構造体500は、コア510、第1の繊維層532、及び任意選択で第2の繊維層534を含む。第1の繊維層532は、コア510の第1の外面上に配置されてもよく、第2の繊維層534は、コア510の第2の外面上に配置されてもよく、第1の繊維層532とは実質的に反対側である。コア510は、熱放出フォーム100(
図1)を含み得る。例えば、コア510は、ポリマフォーム本体110、グラフェンフレークを含む第1の層112、中間部分116、及び任意選択で、グラフェンフレークを含む第2の層114を含み得る。
【0040】
ポリマフォーム本体110は、中間部分116の周りに配置された1つ以上の外面(
図1の118、119)を画定し、ここで、グラフェンフレークを含む1つ以上の層(112及び114)は、ポリマフォーム本体110の1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに配置され、中間部分116は、グラフェンフレーク(
図1の120)を実質的に含まない。グラフェンフレークを含んだ層が1つのみの実施形態では、グラフェンフレークを含んだ層は、外向きに面することを意図した複合積層構造体のコア510の表面上に配置され得る。コア510は実質的に平面であってもよい。コア510は、その中に1つ以上の形状、輪郭、折り目、又は他の構造体を有してもよい。例えば、コア510は、その中に1つ以上の輪郭、形状、折り目などを備えて予め成形され得る。そのような例は、鮮明な細部で金型を充満して成形された複合積層体を、金型内に空気を閉じ込めたり、それによる欠陥を生じさせたりすることなく作成するのに役立ち得る。コア510の外面は、少なくとも上面及び下面を含み得る。上面又は下面の1つ以上は、グラフェンフレークを含んだ層(複数可)を含み得る。ポリマフォーム本体110は、ポリウレタンフーム又は本明細書に開示される別のポリマフォームのいずれかを含み得る。
【0041】
第1の繊維層532は、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂を含む。第1の複数の繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリマ繊維(例えば、熱硬化性繊維又は熱可塑性繊維)、炭素繊維などを含み得る。第1の複数の繊維は、繊維のマット、シート、又は織布を含み得て、繊維は例えばランダム配向繊維、織物繊維、二軸配向繊維などである。熱硬化性又は熱可塑性繊維は、以下に開示される熱可塑性又は熱硬化性繊維のいずれかを含み得る。第1の複数の繊維は、その中に少なくとも部分的に分布された第1のポリマ樹脂を含む。
【0042】
第1のポリマ樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物を含み得る。熱硬化性樹脂は、1つ以上の熱硬化性ポリマ、例えば、1つ以上のエポキシ、1つ以上のポリウレタン、フェノール樹脂、ベンゾオキサジンなどを含み得る。熱可塑性樹脂は、1つ以上の熱可塑性ポリマ、例えば、ポリエーテルイミド(「PEI」)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)又は別のポリアリールエーテルケトン、アクリルなどを含み得る。熱可塑性ポリマ及び/又は熱硬化性ポリマを含む適切なポリマ樹脂は、2015年6月3日に出願された国際特許出願第PCT/US2015/034051号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0043】
第1の繊維層532は、第1のポリマ樹脂、又はその間に配置された1つ以上の中間層によってコア510に結合され得る。例えば、第1のポリマ樹脂は、少なくとも部分的にポリマフォームコアの中に浸透し、それによって第1の繊維層532をコア510に結合し得る。第1のポリマ樹脂は、散布、加熱、又は混合されると、マイクロフォームを形成し得る。例えば、第1のポリマ樹脂の成分(例えば、エポキシ)は、1つ以上の追加の成分(例えば、水又はポリウレタン)と混合されると、マイクロフォーム発泡体を形成し得る。マイクロフォームは、コア510への結合を支援し得る。例えば、マイクロフォームはコア510の中に浸透し、コアを硬化時に第1の繊維層に結合し得る。第1の繊維層532は、複合積層構造体の外面であってもよく、(コア510の)グラフェンフレークを含んだ層は、第1の繊維層532に対して配置される。
【0044】
第2の繊維層534は、第2の複数の繊維と、その中に少なくとも部分的に分散された第2のポリマ樹脂とを含む。第2の繊維層534の第2の複数の繊維は、第1の繊維層532について本明細書で開示される第1の複数の繊維と類似又は同一であってもよく、繊維の種類及び層の種類(例えば、織布又はランダムに配向されたマット)のうちの1つ以上が挙げられる。第2のポリマ樹脂は、第1のポリマ樹脂について本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかと類似又は同一であり得る。
【0045】
いくつかの例では、第2の複数の繊維は、1つ以上の態様において第1の複数の繊維と同じであってもよい。いくつかの例では、第2の複数の繊維は、1つ以上の態様において第1の複数の繊維と異なっていてもよい。例えば、第2の複数の繊維はガラス繊維を含み得て、第1の複数の繊維は炭素繊維を含み得る。第2のポリマ樹脂は、第1のポリマ樹脂と同一であってもよい。いくつかの例では、第2のポリマ樹脂は、1つ以上の態様において第1のポリマ樹脂と異なっていてもよい。例えば、第1のポリマ樹脂は、第1の熱硬化性樹脂(例えば、エポキシポリウレタン混合物)を含み得て、第2のポリマ樹脂は、第2の熱硬化性樹脂(例えば、ポリウレタン)又は熱可塑性樹脂(例えば、PEI)を含み得る。いくつかの例では、第1のポリマ樹脂はPEI樹脂を含み得て、第2のポリマ樹脂はエポキシポリウレタン樹脂を含み得る。本明細書に開示されるポリマ樹脂は、充満剤、触媒、発泡剤、硬化剤、又は発泡制御剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0046】
グラフェンフレークを含んだ層を有する複合積層構造体500の部分を外向きに位置することにより、複合積層構造体は、グラフェンフレークを含んだ層(複数可)がない同一の複合積層体と比較して、比較的低い熱放出を有し得る(例えば、FAR25.853試験条件下で少なくとも2分間、50kwMin/m2未満の熱放出を示す)。グラフェンフレークをコアの両方の主面に利用することにより、結果として得られる複合積層構造体は、熱放出が、いずれかの側からも発火源に曝されたときに少なくなる可能性がある。更に、コアの中間部分を実質的にグラフェンフレークのない状態に保つことにより、グラフェンフレークをコア510のフォーム本体110全体にわたって利用する際の非常に高いコストを回避し得る。更に、本明細書に開示されるポリマ樹脂及び繊維を利用することにより、本明細書に開示される複合積層構造体に関して、比較的低い火災、煙、及び毒性値もまた達成され得る。
【0047】
追加の層が、複合積層構造体500で利用されてもよく、例えば追加の繊維層、ポリマ層、追加のコアなどである。例えば、複合積層体500は、第1の繊維層532又は第2の繊維層534のうちの1つ以上の上に配置された少なくとも1つの追加の繊維層を含んでもよい。追加の繊維層は、本明細書に開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。いくつかの例では、追加の層は、第1の繊維層532とコア510、又は第2の繊維層534とコア510の一方又は両方の間に配置され得る。例えば、少なくとも1つの追加の繊維層は、第1の繊維層532とコア510又は第2の繊維層534とコア510のうちの1つ以上の間に配置されてもよい。少なくとも1つの追加の層は、熱硬化性層又は熱可塑性層などの純粋なポリマ層であってもよい。純粋なポリマ層(複数可)は、フェノール樹脂、PEIなどの難燃性又は耐炎性樹脂を含み得る。
【0048】
追加の層を含む複合積層構造体500の層のいずれも、その上、例えばその外向き面又は内向き面上に堆積されたグラフェンフレークを含み得る。例えば、第1の繊維層532又は第2の繊維層534のうちの1つ以上は、その外向き面上にグラフェン粒子を含み得る。そのような例では、得られる複合積層構造体の熱放出は、グラフェンフレークを含んだ層を有するフォームコアにグラフェンフレークのみを有する複合積層構造体よりも更に低いと予想される。
【0049】
繊維層(複数可)のポリマ樹脂を硬化させて、実質的に剛性の複合積層構造体を提供し得る。例えば、第1層及び第2層のポリマ樹脂を硬化させて、熱放出制御されたコアを間に有する剛性複合積層構造体を形成してもよい。
【0050】
複合積層構造体500は、製品の構成要素、例えば自動車(例えば、ボンネット、ドア、フェンダ、屋根など)、航空宇宙(例えば、飛行機のシートバック、頭上の荷物入れ、隔壁など)、船舶(例えば、モールド、ドアなど)、鉄道(例えば、ドア、座席、手荷物入れ、隔壁など)などを形成するように成形され得る。
【0051】
複合積層部品は、成形によって製造され得る。
図6は、一実施形態による、熱放出制御された複合構造体を製造するための方法600の流れ図である。方法600は、コア上に配置された第1の繊維層を含むレイアップ成形体を形成するブロック610を含み、第1の繊維層は、第1の複数の繊維及びその上にポリマ樹脂を有し、コアはポリマフォーム本体及びグラフェンフレークを含んだ層を含み、ポリマフォーム本体は、中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定し、ここで、グラフェンフレークを含んだ層は、1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置し、中間部分はグラフェンフレークを実質的に含まず、また方法600は金型内でレイアップ成形体をプレスするブロック620と、ポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成するブロック630を含む。いくつかの例では、方法600は、ブロック610~630より多い、又は少ないブロックを含み得る。例えば、ブロック620と630は、単一のブロックに結合されてもよい。
【0052】
コア上に配置された第1の繊維層を含むレイアップ成形体を形成するブロック610は、金型の外側又は金型の内側でレイアップ成形体を形成することを含み、第1の繊維層が第1の複数の繊維及びその上にポリマ樹脂を有し、コアがポリマフォーム本体及びグラフェンフレークを含んだ層を含み、ポリマフォーム本体は、中間部分の周りに配置された1つ以上の外面を画定し、ここでグラフェンフレークを含んだ層は、1つ以上の外面のうちの少なくとも1つに位置し、中間部分はグラフェンフレークを実質的に含まない。レイアップ成形体を形成することは、複合積層構造体の構成要素の少なくともいくつかを互いの上に配置することを含み得る。簡単な例では、レイアップ成形体を形成することは、コアを第2の繊維層上に配置し、次いで第1の繊維層をコアの上に配置することを含み得る。レイアップ成形体のコアは、本明細書に開示されるコア又はポリマフォーム本体のいずれかを含み得る。例えば、コアは、フォーム本体の少なくとも1つの外面上に配置されたグラフェンフレークを含む少なくとも1つの層を有するポリマフォーム本体を含み、ポリマフォーム本体は、外面(又はグラフェンフレークを含む少なくとも1つの層(複数可))の間にグラフェンフレークを実質的に含まない中間部分を含む。
【0053】
レイアップ成形体の繊維層(複数可)は、本明細書に開示された繊維層のいずれかを含み得る。例えば、第1の繊維層は、第1の複数の繊維と、その上にある第1のポリマ樹脂とを含み得る。第1の複数の繊維は、本明細書に開示される複数の繊維のいずれかを含み得る。第1のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。 第1の繊維層は、ポリマ樹脂で予め含浸された繊維層(「プリプレグ」)として提供されてもよい。いくつかの例では、第1の繊維層は乾燥繊維シートとして提供され得て、ポリマ樹脂がその上に、例えばポリマ樹脂を繊維シートに噴霧又は刷毛塗りすることによって散布され得る。少なくとも第2の繊維層は、プリプレグ、又は後にポリマ樹脂が散布される乾燥繊維シートとして提供されてもよい。
【0054】
図7は、一実施形態による、金型705内に配置されるレイアップ成形体700の等角図である。レイアップ成形体は、コア510、第1の繊維層732、及び任意選択で第2の繊維層734を含む。第1の繊維層732は、第1の繊維層532(
図5)などの1つ以上の態様において、本明細書に開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。例えば、第1の繊維層732は、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂を含み得る。第2の繊維層734は、第2の繊維層534(
図5)などの1つ以上の態様において、本明細書で開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。例えば、第2の繊維層734は、第2の複数の繊維及び第2のポリマ樹脂を含み得る。第1の複数の繊維及び/又は第2の複数の繊維は、本明細書に開示される繊維、例えば炭素、アラミド、ガラス、熱硬化性、又は熱可塑性繊維のいずれかを含み得る。第1のポリマ樹脂及び第2のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。
【0055】
繊維層(複数可)732及び/又は734のポリマ樹脂(複数可)は、レイアップ成形体700において未硬化であってもよい。例えば、第1のポリマ樹脂は、第1の複数の繊維に、噴霧器、刷毛、又はローラを介して散布することができ、第2のポリマ樹脂(存在する場合)は第2の複数の繊維(存在する場合)に同様に散布し得る。いくつかの例では、繊維のそれぞれの層のポリマ樹脂は、繊維の層が金型705内に配置された後に繊維の層に噴霧されてもよい。コア510は、繊維層上又は繊維層間に配置され得る。金型705を閉じて圧縮し、複合積層部品を形成し得る。
【0056】
示すように、レイアップ成形体700を形成することは、第1の繊維層732を金型705に、例えば第1の金型半体706内の第1の成形面708上に配置することを含み得る。第1のポリマ樹脂は、第1の繊維層732上に配置され、その後、又はその前に第1の繊維層732は金型705内に配置され得る。コア510は、第1の繊維層732上に配置され得る。いくつかの例では、レイアップ成形体を形成することは、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂をコア上に配置することを含み得る。
【0057】
いくつかの例では、レイアップ成形体700は、第2の繊維層734を含む。例えば、レイアップ成形体700は、コア510の第1の繊維層732とは反対側に配置された少なくとも第2の繊維層734を含み得る。そのような例では、レイアップ成形体を形成することは、第2の複数の繊維をコア上に配置することと、第2のポリマ樹脂を第2の複数の繊維上に配置することを含み得る。第2の繊維層734は、第1の繊維層732とは反対側のコア510上に配置されてもよく、又は第2の金型半体707の金型に、例えば第2の成形面709上に配置されてもよい。第2のポリマ樹脂は、第2の繊維層734上に配置され、その後、又はその前に第2の繊維層734は金型705内に配置され得る。もちろん、いくつかの例では、金型は2つより多い部分を含み得る。
【0058】
コア上に配置された第1の繊維層を含むレイアップ成形体を形成することは、金型内でレイアップ成形体を形成することを含み得る。例えば、第1の繊維層732は、金型705内の第1の成形面708又はコア510に適用され得る。同様に、金型内でレイアップ成形体を形成することは、第2の繊維層734を第1の繊維層732とは反対側のコア510に適用することを含んでもよく、又は第2の繊維層734を第2の成形面709に適用することを含んでもよい。
【0059】
レイアップ成形体を形成することは、レイアップ成形体700の構成要素のうちの1つ以上を互いに接触させて配置することを含み得る。このような形成は、1つ以上の構成要素を互いに直接積み重ねることによって達成され得る。レイアップ成形体を形成することは、レイアップ成形体700の構成要素を金型内の所定の位置に配置することを含むことができ、その結果、金型が閉じられたときに構成要素が選択された順序で積み重ねられる。
【0060】
レイアップ成形体を形成することは、グラフェンフレークをレイアップ成形体の1つ以上の構成要素上に、又は金型の1つ以上の成形面上に堆積させることを含み得る。例えば、レイアップ成形体を形成することは、第1の繊維層732、第2の繊維層734、又は少なくとも1つの成形面のうちの1つ以上の上に、熱放出フォームの形成のために本明細書に開示されるような溶媒などにおいてグラフェンフレークを噴霧することを含み得る。グラフェンフレークを成形面(複数可)に噴霧し、次にポリマ樹脂を含む繊維層(複数可)をグラフェンフレークでコーティングされた表面(複数可)に配置することにより、結果として得られる複合積層体内の繊維層は、更にグラフェンフレークを少なくともその外面に含む。追加的又は代替的に、レイアップ成形体を形成することは、グラフェンフレークを繊維層(複数可)の内向き面に、例えばグラフェンフレークを繊維層(複数可)の内向き面(複数可)に噴霧することよって、堆積させることを含み得る。得られた複合積層体は、グラフェンフレークのない繊維層を有する複合積層構造体よりも低い熱放出値を示し得る。
【0061】
図6に戻ると、金型内でレイアップ成形体をプレスするブロック620は、金型内でレイアップ成形体を閉じることを含み得る。金型内でレイアップ成形体をプレスすることは、それに圧縮力を印加することを含み得て、例えば少なくとも約1kPa、約1kPa~1MPa、1MPa~1GPa、1GPa未満、又は100MPa未満の圧縮力である。金型内でレイアップ成形体をプレスすることは、選択された持続時間、金型に圧力を保持することを含み、例えば少なくとも1秒、約1秒~約1時間、約3秒~約1分、約1分~約5分、約5分~約10分、1時間未満、10分未満、又は30秒超の持続時間である。
【0062】
第1のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化するブロック630は、レイアップにおいて少なくとも第1のポリマ樹脂を(例えば、任意の他のポリマ樹脂を用いて)少なくとも部分的に硬化することを含み得る。例えば、第1のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させることは、少なくとも第2のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させることを含み得る。ポリマ樹脂(複数可)が硬化するにつれて、レイアップ成形体は、少なくとも半剛性の複合積層構造体を提供する形状に硬化する。第1のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化して複合部品を形成することは、第1のポリマ樹脂を金型の内側、金型の外側、又はその両方で少なくとも部分的に硬化することを含み得る。例えば、第1のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させることは、金型内で少なくとも第1のポリマ樹脂を部分的に硬化させ、部分的に硬化した複合積層体を金型から取り出し、金型の外側、例えば冷却面上で、少なくとも第1のポリマ樹脂の硬化を終了することを含み得る。
【0063】
第1のポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成することは、金型を選択された温度で選択された持続時間、例えば金型内でレイアップ成形体をプレスしている間に加熱することを含み得る。選択された持続時間は、少なくとも約5秒、例えば約5秒~約1時間、約10秒~約5分、約5分~約10分、約10分~約1時間、約1時間未満、約30分未満、約1分超、約5分超、約30分超、又は約1時間超であってもよい。選択された温度は、少なくとも約50°F(10℃)、例えば約50°F(10℃)~約300°F(148.889℃)、約50°F(10℃)~約100°F(37.7778℃)、約100°F(37.7778℃)~約150°F(65.5556℃)、約150°F(65.5556℃)~約200°F(93.3333℃)、約200°F(93.3333℃)~約300°F(148.889℃)、約300°F(148.889℃)未満、約200°F(93.3333℃)未満、又は約100°F(37.7778℃)未満であり得る。
【0064】
方法600は、本明細書に開示される熱放出フォームを形成する方法のいずれかを介してフォームコアを形成することを含み得る。方法600は、成形された複合部品(例えば、複合積層構造体)を金型から取り出すことを含み得る。そのような取り出しは、ポリマ樹脂(複数可)の硬化中又は硬化後に行い得る。
【0065】
本明細書に開示され、及び/又は方法600によって形成される複合積層部品又は構造体は、自動車(例えば、ボンネット、ドア、屋根、フェンダなど)、航空機(例えば、飛行機の座席、手荷物入れ、隔壁など)、ボート(例えば、隔壁、座席、モールド、収納庫など)、又は列車の車両(例えば、隔壁、座席、モールド、収納庫など)の1つ以上の構成要素、例えば本明細書に開示されるそれらの種類の任意の部品を含み得る。
図8は、
図7の金型でレイアップ成形体から形成された背もたれ800を示す。図示のように、背もたれ800は、
図7の金型705から取り出され得る。背もたれ800の形状は、成形面708及び709に一致する。グラフェンフレークを含んだ層は、背もたれ800において外向きに面し得る。したがって、座席の後ろに座る乗客に面する表面は、比較的低い熱放出(例えば、本明細書に開示される熱放出値のいずれか)を示し得る。加えて、背もたれは比較的低いFSTスコア(米国又は国際航空管理規制の下で安全であると認定される)を示し得る。グラフェンフレークを有するコアでは、背もたれを、グラフェン粒子が分散しているコアと比較して比較的安価にし得る。
【0066】
いくつかの例では、グラフェンフレークは、フォームのないモノリシック又は積層構成要素で、又はフォームとは別の層で利用され得る。
図9は、一実施形態による、複合積層体900の断面図である。複合積層体900は、複数の繊維層を含み、第1の繊維層932、第2の繊維層934、及び任意に、第1の繊維層932と第2の繊維層934との間に配置された少なくとも1つの追加の繊維層933を含んでいる。任意の数の追加の繊維層は、第1の繊維層932と第2の繊維層934との間に配置され得る。複合積層体900は、第1の繊維層932上に配置された外側ポリマ層936を含む。4つの層を有するように示されるが、いくつかの例ではより多くの、又はより少ない層が含まれていてもよい。
【0067】
第1の繊維層932は、1つ以上の態様において、第1の繊維層532(
図5)などの本明細書に開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。例えば、第1の繊維層932は、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂を含み得る。第2の繊維層934は、1つ以上の態様において、第2の繊維層534(
図5)などの本明細書で開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。例えば、第2の繊維層934は、第2の複数の繊維及び第2のポリマ樹脂を含み得る。任意の少なくとも1つの追加の層933は、例えば追加のポリマ樹脂内に配置された追加の複数の繊維を含むような、本明細書に開示される繊維層のいずれかと類似又は同一であり得る。第1の複数の繊維、第2の複数の繊維、及び/又は少なくとも1つの追加の複数の繊維は、本明細書に開示される繊維、例えば炭素、アラミド、ガラス、熱硬化性、又は熱可塑性繊維のいずれかを含み得る。繊維の種類、厚さ、密度、又は形態のうちの1つ以上は、複合積層体900のそれぞれの繊維層の間で異なっていてもよい。それぞれの繊維層における複数の繊維の密度は、本明細書に開示される密度のいずれか(例えば、50gsm~300gsm)を含み得る。
【0068】
第1のポリマ樹脂、第2のポリマ樹脂、及び少なくとも1つの追加のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得て、例えば、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ、ポリウレタン、エポキシポリウレタン混合物など)、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなど)、又はそれらの混合物である。それぞれの繊維層の密度は、本明細書に開示される密度のいずれか(例えば、50gsm~300gsm)を含み得る。それぞれの繊維層中のポリマ樹脂の量は、繊維層の間で異なっていてもよく、又は繊維層の間で実質的に均一であってもよい。例えば、個々の繊維層は、少なくとも1重量%のポリマ樹脂(例えば、少なくとも10グラム)、例えば、1重量%~80重量%、1重量%~10重量%、10重量%~30重量%、30重量%~60重量%、又は50重量%~80重量%のポリマ樹脂を含み得る。各個々の繊維層の残りは、その中に複数の繊維を含み得る。繊維層の(プレス及び硬化後の)厚さは、様々であり得て、例えば、各層が少なくとも1mmの厚さ、1mm~10mm、1mm~3mm、3mm~6mm、6mm~10mm、10mm未満、3mm未満、又は1mm未満の厚さである。
【0069】
外側ポリマ層936は、第1の繊維層932上に配置され得る。外側ポリマ層936は、外側ポリマ樹脂及びグラフェンフレークを含み得る。外側ポリマ層936内の外側ポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。外側ポリマ樹脂は、グラフェンフレーク、例えば本明細書に開示されるグラフェンフレークのいずれかをその中に含んでもよい。グラフェンフレークは、外側ポリマ層936の少なくとも2重量%、例えば、外側ポリマ層936の2重量%~50重量%、2重量%~10重量%、5重量%~15重量%、10重量%~20重量%、20重量%未満、又は10重量%未満であり得る。グラフェンフレークは、外側ポリマ層936の外面上に配置され得る。例えば、グラフェンフレークは、製造中に外側ポリマ層936の外側ポリマ樹脂の表面に浮遊してもよい。グラフェンフレークは、成形面に散布された後に、外側ポリマ樹脂をそこに散布し、外側ポリマ層936を形成し得る。したがって、外側ポリマ層936は、その外面又は外側領域(例えば、層の最も外側の50%、30%、20%、又は10%の体積)にグラフェンフレークを含み、外側ポリマ層936の残り(例えば、最も内側の体積)にはグラフェンフレークを実質的に含まなくてもよい。いくつかの例では、外側ポリマ層936の厚さは十分に小さく(例えば、1mm~3mm)、グラフェンフレークがそれを通して分散されることを可能にし得る。いずれの場合でも、外側ポリマ層は、その下の繊維層の上に配置されたグラフェンフレークの外側層を提供する。
【0070】
図9に示すように、複合積層体900の最も外側層(例えば外向き面)は、その中にグラフェンフレークを含む。グラフェンフレークを外側のポリマ層936に位置することにより、得られた複合積層体900は、優れた熱放出特性(例えば、FAR25.853試験条件下で少なくとも2分間、50kwMin/m
2未満の熱放出)を提供する。
【0071】
複合積層体900の一例では、外側ポリマ層936は、94重量%のポリマ樹脂及び6重量%のグラフェンフレークを含み、第1の繊維層932は、32グラムのポリマ樹脂を含む80gsmのNCFガラス繊維シートを含み、第2の繊維層934は、32グラムのポリマ樹脂を含む80gsmのNCFガラス繊維シートを含み、少なくとも1つの追加の繊維層933は、32グラムの樹脂を含む80gsmのNCFガラス繊維シートを含む。積層体であると記載されるが、フォームコアは複合積層体900の任意の層の間に配置されて、外側ポリマ層及びフォームコアにグラフェンフレークを有する複合サンドイッチ構造体を形成し得る。
【0072】
複合積層体900は、未硬化の構成要素を中に有するレイアップ成形体から形成され得る。レイアップ成形体は、方法600に関して本明細書に開示されているような金型内などで複合積層体900を形成するために圧縮及び硬化されてもよい。
【0073】
図10は、一実施形態による、熱放出制御された複合構造体を製造するための方法1000の流れ図である。方法1000は、レイアップ成形体を形成するブロック1010であって、レイアップ成形体が、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂をその上に有する第1の繊維層、第1の繊維層の下に配置されて、第2の複数の繊維及び第2のポリマ樹脂をその上に有する第2の繊維層、ならびに第1の繊維層上に配置されて、複数のグラフェンフレークをその中に含む外側ポリマ樹脂を有する外側ポリマ層を含んでいるブロック1010と、レイアップ成形体を金型内でプレスするブロック1020と、レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成するブロック1030と、を含む。いくつかの例では、方法1000は、ブロック1010~1030より多い、又は少ないブロックを含み得る。例えば、ブロック1020及び1030は、単一のブロックに結合され得る。
【0074】
レイアップ成形体を形成するブロック1010であって、レイアップ成形体が、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂をその上に有する第1の繊維層、第1の繊維層の下に配置されて、第2の複数の繊維及び第2のポリマ樹脂をその上に有する第2の繊維層、ならびに第1の繊維層上に配置されて、複数のグラフェンフレークをその中に含む外側ポリマ樹脂を有する外側ポリマ層を含んでいる、ブロック1010は、レイアップ成形体を金型の外側、金型の内側、又は両方の部分で形成することを含み得る。レイアップ成形体を形成することは、複合積層体の未硬化の構成要素の少なくともいくつかを互いの上に配置することを含み得る。簡単な例では、レイアップ成形体を形成することは、第1の繊維層の構成要素(例えば、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂)を第2の繊維層の構成要素上に配置し、次いで複数のグラフェンフレークを有する外側ポリマ層の構成要素(例えば、外側ポリマ樹脂)を第1の繊維層上に配置することを含み得る。
【0075】
レイアップ成形体の繊維層(複数可)は、本明細書に開示された繊維層のいずれかを含み得る。例えば、第1の繊維層は、第1の複数の繊維と、その上にある第1のポリマ樹脂とを含み得る。第1の複数の繊維は、本明細書に開示される複数の繊維のいずれかを含み得る。第1のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。第1の繊維層はプリプレグとして提供されてもよい。いくつかの例では、第1の繊維層が乾燥繊維シートとして提供され、ポリマ樹脂がそこに、例えば第1のポリマ樹脂を第1の繊維シート上に噴霧又は刷毛塗りによって散布されてもよい。第2の繊維層は、第2の複数の繊維及びその上の第2のポリマ樹脂を含み得る。第2の複数の繊維は、本明細書に開示される複数の繊維のいずれかを含み得る。第2のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。例えば、第2の繊維層は、プリプレグ、又は後にポリマ樹脂が散布される乾燥繊維シートとして提供されてもよい。
【0076】
レイアップ成形体を形成することは、少なくとも1つの追加の繊維層(の構成要素)を、第1の繊維層(の構成要素)と第2の繊維層(の構成要素)との間に配置することを含み、例えば、1つの追加の繊維層、2つの追加の繊維層、3つの追加の繊維層、4つの追加の繊維層、又は5つの追加の繊維層であり得る。各追加の繊維層は、追加の複数の繊維とその上に追加のポリマ樹脂を含み得る。追加の複数の繊維は、本明細書で開示される複数の繊維のいずれかを含み得る。追加のポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。
【0077】
ポリマ樹脂(複数可)は、金型内にそれぞれの繊維層(複数可)を配置する前又は後に、それぞれの繊維層上に配置され得る。それぞれの繊維層(複数可)のポリマ樹脂(複数可)は、レイアップ成形体内で未硬化であってもよい。例えば、第1のポリマ樹脂は、噴霧器、刷毛、又はローラによって第1の複数の繊維に散布され得て、第2のポリマ樹脂は、第2の複数の繊維に同様に散布され得て、追加のポリマ樹脂(存在する場合)は、追加の複数の繊維(存在する場合)に同様に散布され得る。例えば、それぞれの繊維層のポリマ樹脂は、繊維層が金型内に配置された後、繊維層上に噴霧されてもよい。
【0078】
レイアップ成形体を形成することは、第2の複数の繊維を成形面上に配置することと、第2のポリマ樹脂を第2の複数の繊維上に配置することを含み得る。第1の繊維層は、第2の繊維層上に配置され得る。例えば、レイアップ成形体を形成することは、第1の複数の繊維及び第1のポリマ樹脂を第2の繊維層上に配置することを含み得る。レイアップ成形体を形成することは、金型内でレイアップ成形体を形成することが、第1の繊維層を第2の繊維層(又は存在する場合は少なくとも1つの追加の繊維層)上に適用することを含み得る、ことを含んでもよい。
【0079】
レイアップ成形体を形成することは、外側ポリマ層(の構成要素)を第1の繊維層上に金型内又は金型の外で配置することを含み得る。例えば、外側ポリマ層を第1の繊維層上に配置することは、外側ポリマ樹脂を形成することを含み得る。そのような例では、外側ポリマ層は、グラフェンフレークをその中に有するポリマ樹脂を含む。グラフェンフレークは、金型内で第1の繊維層の反対側の成形面に、流体流の噴霧などによって堆積され得る。流体流は、ガス又は溶媒を含んでもよい。溶媒は、表面張力を介して成形面に対してグラフェンフレークを一時的に保持するのに役立ち得る。いくつかの例では、静電相互作用を利用して、グラフェンフレークを成形面に保持することができ、例えば、成形面を帯電させた後にグラフェンフレークを成形面に散布することによる。外側ポリマ樹脂は、成形面へグラフェンフレークの上に散布され、未硬化の外側ポリマ層(例えば、グラフェンフレークを含む外側ポリマ樹脂)を形成し得る。代替的又は追加的に、外側ポリマ樹脂を第1の繊維層に散布する前に、金型を閉じて、グラフェンフレークを外側ポリマ樹脂(反対側の金型半体に配置されたレイアップ成形体上)と接触させて、未硬化の外側ポリマ層を形成し得る。外側ポリマ樹脂は、本明細書に開示されるポリマ樹脂のいずれかを含み得る。
【0080】
いくつかの例では、グラフェンフレークは、外側ポリマ層の未硬化のポリマ樹脂の外面上に直接散布され得る。そのような例では、外側ポリマ層の樹脂は、第1の繊維層に、噴霧、塗装、流し込み、刷毛塗りなどによって散布され、グラフェンフレークはその上に噴霧され得る。グラフェンフレークは、外側ポリマ層(第1の繊維層の上に配置される)の未硬化の樹脂上に、選択された速度で(例えば、ガス流において)噴霧され、外側ポリマ層のグラフェンフレークの量を制御し得る。そのような例では、グラフェンフレークは、外側ポリマ層の外面、又はその最も外側の部分(例えば、体積)、例えば、外側ポリマ層の外側半分、外側3分の1、又は外側4分の1に限定され得る。
【0081】
いくつかの例では、グラフェンフレークは、外側ポリマ層の外側ポリマ樹脂と混合された後に、レイアップ成形体に適用し得る。例えば、グラフェンフレークを含むポリマ樹脂を第1の繊維層上に適用して外側ポリマ層を形成し得る。
【0082】
レイアップ成形体を形成することは、レイアップ成形体の構成要素のうちの1つ以上を互いに接触させて配置することを含み得る。このような形成は、構成要素の1つ以上を互いに直接積み重ねることによって達成され得る。レイアップ成形体を形成することは、レイアップ成形体の構成要素を金型内の所定の位置に配置することを含み得て、その結果、金型が閉じられたときに構成要素が選択された順序で積み重ねられる。例えば、レイアップ成形体を形成することは、グラフェンフレークを、レイアップ成形体の1つ以上の構成要素上、又は金型の1つ以上の成形面上に配置することを含み得る。
【0083】
図10に戻ると、金型内でレイアップ成形体をプレスするブロック1020は、金型内でレイアップ成形体を閉じることを含み得る。金型内でレイアップ成形体をプレスすることは、圧縮力を、例えば、少なくとも約1kPa、約1kPa~1MPa、1MPa~1GPa、1GPa未満、又は100MPa未満で印加することを含み得る。金型内でレイアップ成形体をプレスすることは、金型に圧力を選択された期間、例えば、少なくとも1秒、約1秒~約1時間、約3秒~約1分、約1分~約5分、約5分~約10分、1時間未満、10分未満、又は30秒を超えて保持することを含み得る。
【0084】
レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化するブロック1030は、レイアップ成形体において少なくとも第1のポリマ樹脂、第2のポリマ樹脂、及び外側ポリマ樹脂を(例えば、任意の他のポリマ樹脂を用いて)少なくとも部分的に硬化することを含み得る。ポリマ樹脂(複数可)が硬化するにつれて、レイアップ成形体はある形状に硬化し、少なくとも半剛性の複合積層構造体を提供する。レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化して複合部品を形成することは、ポリマ樹脂(複数可)を金型の内側、金型の外側、又はその両方で少なくとも部分的に硬化することを含み得る。例えば、レイアップ成形体においてポリマ樹脂を少なくとも部分的に硬化させることは、金型内で少なくともポリマ樹脂を部分的に硬化させ、部分的に硬化した複合積層体を金型から取り出し、金型の外側、例えば冷却面上で、少なくともポリマ樹脂の硬化を終了することを含み得る。
【0085】
レイアップ成形体を少なくとも部分的に硬化させて複合部品を形成することは、金型を選択された温度で選択された持続時間、例えば金型内でレイアップ成形体をプレスしている間に加熱することを含み得る。選択された持続時間は、少なくとも約5秒、例えば約5秒~約1時間、約10秒~約5分、約5分~約10分、約10分~約1時間、約1時間未満、約30分未満、約1分超、約5分超、約30分超、又は約1時間超であってもよい。選択された温度は、少なくとも約50°F(10℃)、例えば約50°F(10℃)~約300°F(148.889℃)、約50°F(10℃)~約100°F(37.7778℃)、約100°F(37.7778℃)~約150°F(65.5556℃)、約150°F(65.5556℃)~約200°F(93.3333℃)、約200°F(93.3333℃)~約300°F(148.889℃)、約300°F(148.889℃)未満、約200°F(93.3333℃)未満、又は約100°F(37.7778℃)未満であり得る。
【0086】
方法1000は、形成された複合部品(例えば、複合積層構造体)を金型から取り出すことを含み得る。そのような取り出しは、ポリマ樹脂(複数可)の硬化中又は硬化後に行い得る。
【0087】
本明細書に開示され、及び/又は方法1000によって形成される複合積層部品又は構造体は、自動車(例えば、ボンネット、ドア、屋根、フェンダなど)、航空機(例えば、飛行機の座席、手荷物入れ、隔壁など)、ボート(例えば、隔壁、座席、モールド、収納庫など)、又は列車の車両(例えば、隔壁、座席、モールド、収納庫など)の1つ以上の構成要素、例えば本明細書に開示されるそれらの種類の任意の部品を含み得る。
【実施例1】
【0088】
実施例Aの熱放出フォーム部品は、MDIベースのポリウレタンフォームとして形成した。水中のグラフェンフレークは、金型の成形面に噴霧した。グラフェンフレークは、表面張力によって成形面に付着させた。金型を閉じ、ポリウレタンフォーム成形成分を、ポートを介して金型に注入した。ポリウレタンフォーム成形成分を反応させ、膨張させてポリウレタンフォームを形成した。グラフェンフレークを、成形面でフォームに付着させた。金型を開き、ポリウレタンフォームを冷却させて実施例Aを形成した。実施例Aは、断面を切開し、ポリマフォーム本体の内部を露出させた。
【0089】
図11は、実施例Aの熱放出フォーム部品1100の写真である。実施例Aの熱放出フォーム部品1100は、ポリウレタンフォーム本体1110を含み、ポリウレタンフォーム本体1110は中間部分1116と、中間部分1116を取り囲むグラフェンフレークを含んだ層1112とを有する。グラフェンフレークを含んだ層1112は、フォーム本体1110の中にその外面から最小距離で浸透したグラフェンフレークを含む。図示のように、グラフェンフレークを含んだ層1112は、完全に均一な厚さではないが、外面から実質的に一貫した平均厚さを有する。更に示すように、中間部分1116は、グラフェンフレークを含んだ層1112よりも明らかに軽く、それは中間部分1116がグラフェンフレークを実質的に含まないためである。
【0090】
本明細書で使用される場合、「約」又は「実質的に」という用語は、「約」によって修飾された用語の±10%又は±5%の許容変動を指す。更に、用語「未満」、「又は小さい」、「より大きい」、「を超える」、又は「又は以上」は、用語「未満」、「又は小さい」、「より大きい」、「を超える」、又は「又は以上」によって修飾される値をエンドポイントとして含む。
【0091】
様々な態様及び実施形態が本明細書で開示される一方で、別の態様及び実施形態が企図される。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例示を目的としており、限定を意図するものではない。更に、「含んでいる(including)」、「有している(having)」、及びその変形(例えば、「含む(includes)」及び「有する(has)」)という用語は、特許請求の範囲を含め、本明細書で使用される場合、非限定的であり、「含んで(comprising)」という単語及びその変形(「含む(comprise)」と「含む(comprises)」など)と同じ意味であると見なされる。