(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】先端カバーおよび内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240924BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61B1/00 650
A61B1/018 514
(21)【出願番号】P 2023526827
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2021022396
(87)【国際公開番号】W WO2022259549
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山谷 高嗣
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/225103(WO,A1)
【文献】特開平9-299315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0249894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在に配置される先端カバーであって、
起上台と、
前記起上台を回動自在に支持する軸部材と、
前記先端部の先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する所定の装着位置に前記軸部材との前記挿入部の挿入軸方向の距離を保持する規制部材と、
を備え
、
前記規制部材は、前記軸部材と係合する第1係合部および前記先端構成部の被係合部に係合する第2係合部を有することを特徴とする先端カバー。
【請求項2】
被検体に挿入するための挿入部と、
前記挿入部の先端に配設された先端部と、
前記先端部の先端構成部に着脱自在に装着される先端カバーと、
前記先端カバーに設けられた起上台と、
前記先端カバーに設けられ、前記起上台を回動支持する軸部材と、
前記先端カバーが前記先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する前記先端カバーの所定の装着位置で前記軸部材の前記挿入部の挿入軸方向の距離を保持する規制部材と、
を備え
、
前記先端構成部は、前記先端カバーが装着された際に、前記先端カバーに設けられた係止穴と係合し、前記規制部材が引っ掛かることで、前記軸部材との前記挿入軸方向の距離が保持する係止ピンを有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記先端カバーに設けられることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記先端カバーよりも剛性が高いことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記先端構成部に対する前記先端カバーの所定の装着位置において、前記係止ピンに当接することで、前記起上台が前記挿入部の内部に挿通される処置具の押し出しによって前記挿入部の先端方向に作用する応力を受ける方向側への移動を規制する当接面を有することを特徴とする請求項
2に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記規制部材は、両端に設けられ、前記軸部材または前記係止ピンに引っ掛かる鉤状部を有することを特徴とする請求項
2に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記規制部材の前記両端の前記鉤状部は、長手方向に直交し、かつ離反する方向に延出するL字状の係止体であることを特徴とする請求項
6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記先端カバーは、前記先端構成部から取り外す際に破断自在な脆弱部を有し、
前記規制部材は、前記脆弱部が破断される際に、前記係止ピンから外れることを特徴とする請求項
2に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記規制部材は、前記係止ピンと係合し、切り欠き形成された凹部を有していることを特徴とする請求項
2に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
被検体に挿入するための挿入部と、
前記挿入部の先端側を構成する先端部と、
前記先端部に着脱自在に配置される先端カバーと、
前記先端カバーに設けられた起上台と、
前記起上台を前記先端カバーに対して回動自在に支持する軸部材と、
前記先端部の先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する前記先端カバーの所定の装着位置に前記軸部材と係合する第1係合部および前記先端構成部の被係合部に係合する第2係合部を備えた規制部材と、
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
前記規制部材は、前記第1係合部および前記第2係合部が両端に設けられた所定の長さを有するフラットバーであることを特徴とする請求項1
0に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部の先端部に装着される先端カバーおよび内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内から臓器などを観察することができる内視鏡が広く用いられている。このような内視鏡では、操作部に設けられた処置具挿通口から挿通した処置具を、挿入部の先端部から突出させることにより、体腔内における各種処置を行うことが自在となっている。
【0003】
このような内視鏡には、体腔内に突出する処置具の先端を手元側の操作によって所望の方向に偏向させるための起上台が挿入部の先端部に設けられたものが知られている。
【0004】
ところで、内視鏡は、使用後に洗浄する必要があり、特に、起上台を備えた先端部は構造が複雑なため十分に洗浄する必要がある。そのため、従来の内視鏡は、洗浄を容易にすするため先端部に着脱自在なカバー体の先端キャップを備えているものがある。
【0005】
例えば、日本国特開2003-102668号公報には、内視鏡の先端カバーである先端キャップが開示され、内視鏡の使用後に簡単に取り外すことができる技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、先端カバー側に起上台が設けられた内視鏡の場合、内視鏡の使用時において、処置具を起伏して進退移動される際に起上台に負荷がかかり、意図せず先端部から先端カバーが脱落してしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、処置具を使用している際に、先端部からの脱落を防止する内視鏡挿入部の先端カバーおよび内視鏡装置を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の先端カバーは、内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在に配置される先端カバーであって、起上台と、前記起上台を回動自在に支持する軸部材と、前記先端部の先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する所定の装着位置に前記軸部材との前記挿入部の挿入軸方向の距離を保持する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記軸部材と係合する第1係合部および前記先端構成部の被係合部に係合する第2係合部を有している。
【0009】
本発明の一態様の内視鏡装置は、被検体に挿入するための挿入部と、前記挿入部の先端に配設された先端部と、前記先端部の先端構成部に着脱自在に装着される先端カバーと、前記先端カバーに設けられた起上台と、前記先端カバーに設けられ、前記起上台を回動支持する軸部材と、前記先端カバーが前記先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する前記先端カバーの所定の装着位置で前記軸部材の前記挿入部の挿入軸方向の距離を保持する規制部材と、を備え、前記先端構成部は、前記先端カバーが装着された際に、前記先端カバーに設けられた係止穴と係合し、前記規制部材が引っ掛かることで、前記軸部材との前記挿入軸方向の距離が保持する係止ピンを有している。
【0010】
本発明の他の態様の内視鏡装置は、被検体に挿入するための挿入部と、前記挿入部の先端側を構成する先端部と、前記先端部に着脱自在に配置される先端カバーと、前記先端カバーに設けられた起上台と、前記起上台を前記先端カバーに対して回動自在に支持する軸部材と、前記先端部の先端構成部に装着された状態において、前記先端構成部に対する前記先端カバーの所定の装着位置に前記軸部材と係合する第1係合部および前記先端構成部の被係合部に係合する第2係合部を備えた規制部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処置具を使用している際に、先端部からの脱落を防止する内視鏡挿入部の先端カバーおよび内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】同上、側視型内視鏡から先端カバー装置を取り外した状態を示す側面図
【
図3】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図4】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図8】同上、規制部材により先端構成部から先端カバー本体が脱落しない構成を説明する斜視図
【
図9】同上、先端部から先端カバーを取り外す際の状態を示す斜視図
【
図10】本発明の第2の変形例に係り、規制部材を示す斜視図
【
図11】同上、規制部材により先端構成部から先端カバー本体が脱落しない構成を説明する斜視図
【
図12】本発明の第2の変形例に係り、規制部材により先端構成部から先端カバー本体が脱落しない構成を説明する斜視図
【
図13】同上、規制部材の凸部が先端構成部の凹部に嵌め込まれる構成を説明する斜視図
【
図14】本発明の第3の変形例に係り、直視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図15】同上、直視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図18】同上、規制部材により先端構成部から先端カバー本体が脱落しない構成を説明する斜視図
【
図19】本発明の第4の変形例に係り、内視鏡装置の構成を示す側面図
【
図20】同上、側視型内視鏡から先端カバー装置を取り外した状態を示す側面図
【
図21】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図22】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図23】本発明の第5の変形例に係り、内視鏡装置の構成を示す側面図
【
図24】同上、側視型内視鏡から先端カバー装置を取り外した状態を示す側面図
【
図25】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図26】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図28】同上、先端部から先端カバーを取り外す際の状態を示す斜視図
【
図29】同上、直視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図30】同上、直視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図31】本発明の第6の変形例に係り、内視鏡装置の構成を示す側面図
【
図32】同上、側視型内視鏡から先端カバー装置を取り外した状態を示す側面図
【
図33】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図34】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図36】本発明の第7の変形例に係り、内視鏡装置の構成を示す側面図
【
図37】同上、側視型内視鏡から先端カバー装置を取り外した状態を示す側面図
【
図39】同上、起上台がアームに連結する状態を部分的に示す斜視図
【
図41】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着された先端カバーを示す斜視図
【
図42】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバーを示す分解斜視図
【
図43】同上、側視型内視鏡の先端構成部に装着される前の先端カバー本体、リングカバーおよびアームカバーを示す分解斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一態様の作業機器の医療機器について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
また、以下の構成説明における医療機器である内視鏡は、生体の気管支、泌尿器、食道から胃や小腸、大腸などの体腔に挿入するため挿入部が可撓性のある所謂軟性鏡を例示しているが、外科用に用いられる挿入部が硬質な所謂硬性鏡にも適用できるものである。また、以下の説明において、工業用内視鏡にも適用できる技術である。
【0015】
図1および
図2に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、内視鏡2と、内視鏡2に着脱自在に装着される先端カバー装置3と、を備えて構成されている。
【0016】
内視鏡2は、被検体に挿入するための挿入部5と、操作部6と、ユニバーサルケーブル7と、を有している。挿入部5は、細長な長尺部材であり、先端部8と、湾曲部9と、可撓管部10と、を先端側から順に連設して構成されている。
【0017】
先端部8は、ステンレスなどの金属によって形成された先端構成部15を有する。この先端構成部15は、ベース部16と、このベース部16の先端から突出する観察用突起部17と、を有している。
【0018】
湾曲部9は、例えば、挿入部5の長手方向に直交する4方向(上下左右方向)に湾曲自在に構成されている。可撓管部10は、長尺で可撓性を有する管状部材である。なお、ここでの上下方向及び左右方向とは、挿入部5に対して便宜的に定義されるものであり、例えば、観察窓32が設けられた方向を基準(上方向)として各々の方向が定義されている。
【0019】
操作部6は、可撓管部10の基端に連設されている。この操作部6の中途は、術者などが把持するための把持部35が設定されている。この把持部35よりも先端側において、操作部6には、処置具挿通口36が設けられている。
【0020】
処置具挿通口36は、操作部6の内部において処置具チャンネル27の基端側に連結されている。これにより、例えば、処置具挿通口36に挿入された他の挿入装置としての処置具40を先端部8の処置具突出口25から突出させることが自在となっている(
図1参照)。
【0021】
また、把持部35よりも基端側において、操作部6には、例えば、湾曲部9を湾曲動作させるためのアングルノブ37と、先端部8に設けられたノズル29からの送気または送水を行わせるための送気送水ボタン38と、被検体内の吸引対象物を処置具突出口25から吸引させるための吸引ボタン39と、が設けられている。
【0022】
ユニバーサルケーブル7は、操作部6の基端側側面より延出されている。ユニバーサルケーブル7の端部には光源装置(図示せず)に接続される内視鏡コネクタ45が設けられている。この内視鏡コネクタ45は、側部から信号伝達ケーブル46が延設されている。信号伝達ケーブル46の他端側には、ビデオプロセッサ(図示せず)に接続される電気コネクタ47が設けられている。
【0023】
先端カバー装置3は、先端部8に着脱自在に装着される先端カバー50と、先端カバー50の内部に設けられた動作部材(起上部材)としての起上台51と、起上台51を手元側から操作するためのワイヤ機構部52と、を有して構成されている。
【0024】
先端カバー50は、第1のカバーとしての先端カバー本体55と、第2のカバーとしてのリングカバー56と、を有して構成されている。
【0025】
先端カバー本体55は、プラスチック等の硬質且つ絶縁性を有する材料によって形成されており、起上台51が設けられている。この先端カバー本体55は、先端が半球状に閉塞された略円筒形状をなし、主として先端構成部15を覆うように、先端部8の外周に対して着脱自在に固定することが自在となっている。
【0026】
ワイヤ機構部52は、ガイドシース75と、このガイドシース75に挿通された牽引部材としての操作ワイヤ76と、を有して構成されている。
【0027】
ガイドシース75の基端には、ワイヤシャフト79を進退移動自在に支持するシリンダ部78が接続されている。このワイヤシャフト79の先端には、操作ワイヤ76の基端が接続されている。また、ワイヤシャフト79の基端側には、例えば、リング状をなす動作部材操作部としての起上台操作部材79aが連設されている。
【0028】
そして、この起上台操作部材79aに対する操作を通じてワイヤシャフト79を進退移動させることにより、起上台51は、起上位置と倒置位置との間で変位することが自在となっている。即ち、本実施の形態の内視鏡装置1は、起上台51を操作する操作ワイヤ76が内視鏡2の挿入部5内に挿通されていない構成となっている。
【0029】
図3および
図4に示すように、先端部8の先端構成部15の基端側の外周には、絶縁性を有するリング状の絶縁部材20が設けられ、さらに、この絶縁部材20よりも基端には、先端が糸巻接着部21aによって先端構成部15に固定された外皮21が連設されている。
【0030】
ベース部16は、その概略形状が、円柱の略半分を切欠いた形状(即ち、略半円柱形状)となるように形成されている。これにより、ベース部16は、外周に、円弧面部16aと、平面部16bと、を有している。
【0031】
また、観察用突起部17は、その概略形状が、ベース部16と同軸上に配置した円柱の略四分の三を切欠いた形状(即ち、略四半円柱形状)となるように形成されている。これにより、観察用突起部17は、外周に、円弧面部17aと、ベース部16の平面部16bに例えば平行な第1の平面部17bと、第1の平面部17bに例えば直交する第2の平面部17cと、を有している。
【0032】
ベース部16の端面には、観察用突起部17の第2の平面部17cに隣接する位置に、処置具突出口25が設けられている。また、ベース部16の円弧面部16aには、挿入軸Oに直交する方向に突出する係止ピン28が設けられている。
【0033】
さらに、ベース部16には、観察用突起部17に形成された第1の平面部17bに向けて送気或いは送水を行うためのノズル29が突設されている。
【0034】
観察用突起部17の円弧面部17aには、挿入軸Oに沿って延在するキー溝31が設けられている。
【0035】
また、観察用突起部17の第1の平面部17bには、先端構成部15に内蔵される図示しない撮像ユニットの観察窓32と、図示しない照明ユニットの照明窓33と、が設けられている。
【0036】
このように観察窓32および照明窓33が先端構成部15の側面となる円弧面部17aに配置されることにより、本実施形態の内視鏡2は、挿入軸Oに交差する方向に観察視野を有する所謂側視型または斜視型の内視鏡となっている。
【0037】
先端カバー50の先端カバー本体55には、観察窓32および照明窓33を露出するとともに、処置具突出口25から突出された処置具40を導出するための開口部60が設けられている。
【0038】
また、先端カバー本体55には、開口部60の一側に、ワイヤ機構部52を構成するガイドシース75の先端を接続するための固定部としてのシース接続部61が突設されている。
【0039】
また、先端カバー本体55には、開口部60およびシース接続部61の一側であって、且つ、先端カバー本体55の基端側に、係止片62が形成されている。係止片62は先端カバー本体55の外径方向に弾性変形することが自在であり、この係止片62には、先端構成部15のベース部16から突出する係止ピン28(
図4参照)に係止自在な係止部としての係止孔62aが設けられている。
【0040】
先端カバー本体55の内側には、キー溝31に嵌合するキー64が設けられている。そして、このキー64がキー溝31に嵌合することにより、先端カバー本体55を先端構成部15に対して適切な位置に位置決めすることが自在となっている。
【0041】
リングカバー56は、例えば、シリコーンゴム等の弾性且つ絶縁性を有する材料により、先端部8の絶縁部材20及び先端カバー本体55の外径よりも小径なリング状の部材に形成されている。
【0042】
このリングカバー56は、拡径方向に弾性変形させることにより、絶縁部材20が設けられた先端部8の基端側領域と、先端カバー本体55の基端側領域と、を一体的に被覆する位置に配置することが自在となっている。そして、リングカバー56は、その弾性による復元力により、先端部8(絶縁部材20)及び先端カバー本体55の外周に対して全周に渡って密着させることが自在となっている。
【0043】
なお、本実施形態のリングカバー56は、シース接続部61との干渉を防止するための孔部56aおよびブリッジ部56bが設けられている。
【0044】
起上台51は、側面視形状が略三角形をなす金属製の部材によって構成されている。この起上台51の上面には、基端側から先端側に向けて所定の仰角を有して傾斜するガイド溝51aが設けられている。また、起上台51の先端側の側部には、後述するワイヤ機構部52の操作ワイヤ76と接続するためのワイヤ接続部51bが設けられている。
【0045】
さらに、起上台51の基端部には軸挿通孔51cが設けられ、この軸挿通孔51cには連結部材(軸部材)としての軸部70が挿通されている。そして、この軸部70が先端カバー本体55に支持されることにより、起上台51は先端カバー本体55に対して揺動自在(変位自在)に連結されている。
【0046】
なお、先端カバー本体55の一側には、当該先端カバー本体55の内外に貫通するケース側軸受孔71が設けられている。また、軸部70が挿通された後のケース側軸受孔71は、接着剤などの充填剤によって封止されている。
【0047】
また、
図5に示すように、先端カバー本体55には、シース接続部61の他側であって、且つ、開口部60の基端側に、スリット63aが設けられている。そして、このスリット63aにより、先端カバー本体55には、当該先端カバー本体55を拡開径方向に破壊(破断)することが自在な脆弱部63が設定されている。
【0048】
本実施の形態の先端カバー50の先端カバー本体55には、
図6に示す、所定の剛性を備えた金属製の規制部材57が設けられている。この規制部材57は、先端カバー50の先端カバー本体55よりも剛性が高く設定されている。
【0049】
また、規制部材57は、両端部が長手方向に直交し、互いに反対の(離反した)方向に延出するL字状の係合部である鉤状をした係止体58,59を連結する連結部としての所定の長さのフラットバー金具である。なお、規制部材57は、金属製に限定されることなく、先端カバー本体55よりも剛性が高ければよく、弾性変形自在な硬質樹脂、カーボンなど如何なる材質を用いて形成してもよい。
【0050】
この規制部材57は、先端カバー本体55の一方の側部内面に設けられ、先端カバー本体55にインサート成形または接着固定されている。なお、規制部材57は、起上台51を回動支持する軸部70が挿通されるケース側軸受孔71が形成されている先端カバー本体55の一方の側部内面に配設される。
【0051】
なお、規制部材57は、先端カバー本体55において、
図7に示すように、一端である先端に下方へ延設する第1の係合部である鉤状の係止体58の当接面が軸部70の前方に当接して引っ掛かるように配置され、他端である基端に上方へ延設する第2の係合部である鉤状の係止体59の当接面が係止片62の係止孔62aの後部に合わせて突出するように配置される。
【0052】
先端カバー50は、先端構成部15へ先端カバー本体55の装着時に、係止片62が外方に拡がるように弾性変形して先端構成部15の係止ピン28を乗り越えて、係止ピン28が係止孔62aと係合する。
【0053】
このとき、先端カバー本体55に設けられた規制部材57は、係止片62の変形に合わせて基端側の係止体59も外方に弾性変形する。そして、先端構成部15の被係合部となる係止ピン28が係止片62の係止孔62aと係合した状態において、規制部材57の係止体59の当接面が係止ピン28の後方に当接して引っ掛かる。
【0054】
そして、リングカバー56が先端構成部15の基端側領域と、先端カバー本体55の基端側領域と、を一体的に被覆する位置に配置されることで先端カバー本体55の係止片62が内方側へ抑え付けられる。
【0055】
このように、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、
図8に示すように、規制部材57の先端側の係止体58が軸部70に当接して引っ掛かり、基端側の係止体59が先端構成部15の係止ピン28に当接して引っ掛かる状態となる。
【0056】
そのため、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止される。
【0057】
なお、先端カバー50の先端カバー本体55を先端構成部15から取り外す際には、
図9に示すように、親指などの指Fにより、先端カバー本体55の先端側を上から矢印P方向に抑え込むように力を掛けると、脆弱部63が破断するように割れて、先端構成部15の係止ピン28から規制部材57の係止体58が外れる。そして、先端構成部15の係止ピン28と係止片62の係止孔62aとの係合が解かれて、先端構成部15から先端カバー本体55を取り外すことができる。
【0058】
以上のように構成された内視鏡装置1は、挿入部5の先端部8の先端構成部15に装着される先端カバー50の先端カバー本体55に先端構成部15との挿入軸Oに沿った方向の距離を規制する規制部材57を設けることで、先端カバー50が先端部8からの脱落を防止する構成となっている。即ち、内視鏡装置1は、規制部材57を有することで先端構成部15に対する先端カバー50の所定の装着位置を保持した構成となっている。
【0059】
特に、起上台51付きの先端カバー50は、使用時に起上台51の台上で処置具40の押し出し操作を行うと、その押し出し力量の分力によって先端カバー50自体に挿入軸O方向の先端側に力が働く。即ち、先端カバー50は、処置具40の押し出し操作によって、起上台51に挿入部5の先端方向に作用する応力を受ける。特に、処置具40が太くなればなるほど起上台51を先端側へ押す力が大きくなる。そのため、使用時に意図せず先端カバー50が挿入部5の先端部8から脱落してしまう虞がある。
【0060】
そこで、本実施の形態の内視鏡装置1は、先端カバー50側に起上台51が設けられた構成において、先端カバー50に規制部材57が設けることで、処置具40を起伏(起上と倒置)して進退移動される際、特に処置具40が押込まれるときに起上台51に大きな負荷が掛かっても、意図せず挿入部5の先端部8から先端カバー50が脱落してしまうことを防止することができる。
(第1の変形例)
【0061】
本変形例の規制部材57は、
図10に示すように、先端側の係止体58に孔部58aを有し、基端側の係止体59に上部側から切り欠かれた凹部59aが形成されている。
【0062】
このように構成された規制部材57は、
図11に示すように、先端側の係止体58に孔部58aに起上台51を回動支持する軸部70が挿通されて先端カバー本体55にインサート成形または接着により配設される。
【0063】
そして、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態において、先端構成部15の係止ピン28に基端側の係止体59に形成された凹部59aが係合する。即ち、規制部材57の係止体59は、凹部59aが先端構成部15の係止ピン28に嵌まり込み、係止ピン28に当接するように引っ掛かる。
【0064】
そのため、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離が規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止される。
(第2の変形例)
【0065】
本変形例の規制部材57は、
図12および
図13に示すように、基端側の係止体59に凸部59bが形成されている。なお、ここでは、先端側の係止体58には、第1の変形例に記載の孔部58aが形成された形態を例示しているが、上記実施の形態の下方に延設されたL字形状であってもよい。
【0066】
また、先端構成部15は、係止ピン28を有しておらず、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態において、係止体59の凸部59bが係入する被係合部となる凹部28aが形成されている。即ち、規制部材57の係止体59は、凸部59bが先端構成部15の凹部28aに嵌まり込み、凸部59bが凹部28aの壁面に当接するように引っ掛かる。
【0067】
そのため、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離が規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止される。
【0068】
なお、規制部材57の両端部分の係止体58,59は、上記実施の形態、第1の変形例および第2の変形例に例示した構成に限定されることなく、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態において、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離が規制することができればよい。
【0069】
加えて、先端カバー50の先端カバー本体55を先端構成部15から取り外す際に、親指などの指Fにより、先端カバー本体55を抑え込むように力を掛けることで、脆弱部63が破断するときに、規制部材57の係止体59が先端構成部15の係止ピン28または凹部28aから容易に外れる構成であればよい。
(第3の変形例)
【0070】
次に、
図14から
図18を参照して本発明の第3の変形例として内視鏡装置1の異なる構成について説明する。なお、上記実施の形態が、所謂側視型の内視鏡2に対して先端カバー装置3を適用した構成について説明したものであるのに対し、本変形例では、挿入軸O方向に視野を有する所謂直視型の内視鏡2に対して先端カバーを適用した点が主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0071】
図14から
図16に示すように、本実施形態の先端構成部95は、ベース部96と、このベース部96の先端から挿入軸O方向に突出する観察用突起部97と、を有する。
【0072】
例えば、
図15に示すように、ベース部96は、その概略形状が、円柱の略四分の一を切欠いた形状となるように形成されている。これにより、ベース部96は、外周に、円弧面部96aと、第1の平面部96bと、第1の平面部96bに交差する第2の平面部96cと、を有する。
【0073】
また、観察用突起部97は、その概略形状が、ベース部96と同軸上に配置した円柱の略半分を切欠いた形状(すなわち、略半円柱形状)となるように形成されている。これにより、観察用突起部97は、外周に、円弧面部97aと、ベース部96の第2の平面部96cに平行な平面部97bと、を有する。ベース部96の端面には、観察用突起部97の平面部97bに隣接する位置に、処置具突出口25が設けられている。
【0074】
観察用突起部97の端面には、観察窓32と、照明窓33と、観察窓32に向けて送気或いは送水を行うためのノズル29と、が設けられている。そして、このように観察窓32が配置されることにより、本実施形態の内視鏡2は、挿入軸O方向に観察視野を有する所謂直視型の内視鏡となっている。
【0075】
このように先端構成部95が構成された内視鏡2の先端部8に対しても、上述の第1の実施形態で示した構成と略同様の構成の先端カバー装置3を適用することが可能である。但し、本変形例の先端カバー50は、先端カバー本体55の側部に代えて先端に、開口部98が設けられている。なお、本実施形態の起上台51は、ガイド溝51aに代えてガイド孔51dが設けられている。
【0076】
また、先端カバー50の先端カバー本体55には、
図17に示す、上記実施の形態と略同様に所定の剛性を備えた金属製の規制部材57が設けられている。ここでの規制部材57も、先端カバー50の先端カバー本体55よりも剛性が高く設定されている。
【0077】
規制部材57は、両端部分に離反する側部から切り欠かれた凹部57a,57bが形成されており、両端分が鉤状の係止体となるフラットバー金具でとなっている。なお、この規制部材57も、金属製に限定されることなく、先端カバー本体55よりも剛性が高ければよく、弾性変形自在な硬質樹脂、カーボンなど如何なる材質を用いて形成してもよい。
【0078】
本変形例の規制部材57も、先端カバー本体55の一方の側部内面に設けられ、先端カバー本体55にインサート成形または接着固定されている。そして、規制部材57は、先端側の凹部57aが起上台51を回動支持する軸部70の前方に当接して引っ掛かるように配置されている。
【0079】
ここでの先端カバー50は、
図18に示すように、先端構成部15へ先端カバー本体55の装着時に、先端カバー本体55に設けられた規制部材57の基端側の凹部57bが係止ピン28に嵌め込まれて当接面が係止ピン28の後方に当接して引っ掛かる。
【0080】
なお、リングカバー56が先端構成部15の基端側領域と、先端カバー本体55の基端側領域と、を一体的に被覆する位置に配置されることで先端カバー本体55の係止片62が内方側へ抑え付けられる。
【0081】
このように、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、規制部材57の先端側の凹部57aに嵌め込まれた軸部70に当接して引っ掛かり、基端側の凹部57bが先端構成部15の係止ピン28に嵌め込まれて当接して引っ掛かる状態となる。
【0082】
そのため、本変形例の内視鏡装置1においても、先端部8の先端構成部15と先端カバー50の先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止される構成となる。
(第4の変形例)
【0083】
次に、
図19から
図22を参照して本発明の第4の変形例として内視鏡装置1の異なる構成について説明する。なお、本変形例は、先端カバー装置3の構成が、上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0084】
本変形例の先端カバー装置3は、
図19および
図20に示すように、内視鏡2の操作部6に固定されるワイヤ機構部80を有し、起上台51に対する操作と、内視鏡2に対する各種操作と、を一体的に行うことを可能とするためのものである。
【0085】
このため、本変形例の内視鏡2の操作部6には、ワイヤ機構部80を固定するための固定用溝81が周設されている。さらに、内視鏡2の操作部6には、アングルノブ37と同軸上にて揺動自在な起上台操作ノブ82が設けられている。
【0086】
ワイヤ機構部80は、操作ワイヤ76の基端を操作部6に対して固定するための固定部材85と、この固定部材85に対して相対移動可能なスライダ86と、を有する。
【0087】
図21および
図22に示すように、固定部材85は、固定用溝81に対して着脱自在に装着されるC字クリップ87と、C字クリップ87に一体形成された固定ブロック88と、を有して構成されている。
【0088】
固定ブロック88には一対のスライド孔88aが設けられ、これらスライド孔88aに挟まれた部分に操作ワイヤ76の基端が固定されている。スライダ86は、固定ブロック88の各スライド孔88aに挿通される一対のスライドバー89と、これらスライドバー89の先端側を連結するスライダ先端部90と、これらスライドバー89の基端側を連結するスライダ基端部91と、を有して構成されている。
【0089】
スライダ先端部90には、ガイドシース75の基端が接続されている。また、スライダ先端部90には、固定ブロック88に固定された操作ワイヤ76をガイドシース75内に挿通するための挿通孔が設けられている。
【0090】
さらに、スライドバー89の先端側には、固定ブロック88に対するスライダ86の基端側への相対移動を規制するためのフランジ部90bが設けられている。
【0091】
スライダ基端部91には、当該スライダ基端部91を起上台操作ノブ82に連結するための連結バー92が設けられている。
【0092】
さらに、スライドバー89の基端側には、固定ブロック88に対するスライダ86の先端側への相対移動を規制するためのフランジ部91aが設けられている。
【0093】
このような構成において、操作者が起上台操作ノブ82を操作部6の先端側に傾動させると、固定部材85の先端側におけるスライダ86の突出量が増加する。これにより、固定部材85とシース接続部61との間におけるガイドシース75の実質的な有効長が増加する。その結果、ガイドシース75に対して操作ワイヤ76が牽引されることとなり、起上台51は起上される。
【0094】
一方、操作者が起上台操作ノブ82を操作部6の基端側に傾動させると、固定部材85の先端側におけるスライダ86の突出量が減少する。これにより、固定部材85とシース接続部61との間におけるガイドシース75の実質的な有効長が減少する。その結果、ガイドシース75から操作ワイヤ76が押し出されることとなり、起上台51は倒置(倒伏)される。
【0095】
なお、本変形例の先端カバー装置3の構成においても、
図21および
図22に示すように、先端カバー50の先端カバー本体55に上記実施の形態に記載の規制部材57が設けられている。そのため、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、規制部材57の先端側の係止体58が軸部70に当接して引っ掛かり、基端側の係止体59が先端構成部15の係止ピン28に当接して引っ掛かる状態となっている。
【0096】
これにより、本変形の内視鏡装置1においても、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止された構成となっている。
(第5の変形例)
【0097】
次に、
図23から
図30を参照して本発明の第5の変形例として内視鏡装置1の異なる構成について説明する。なお、本変形例は、先端カバー装置3の構成が、上述の第1の実施形態および第2~第4の変形例に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態および第2~第4の変形例と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0098】
本変形例の先端カバー装置3は、起上台制御部105aと、起上台先端側構成部105bと、を備えている。内視鏡2に先端カバー装置3を取り付ける前は、起上台制御部105aと起上台先端側構成部105bとが分離されている。
【0099】
内視鏡2に、起上台制御部105aと起上台先端側構成部105bとをそれぞれ取り付けてから、起上台制御部105aと起上台先端側構成部105bとを連結することで、一体化された先端カバー装置3が構成される。
【0100】
起上台制御部105aは、操作ノブ取付部151と、制御部本体152と、操作部取付部153と、係止ボタン154と、圧縮バネ155と、締め付け環156と、を備えている。
【0101】
操作ノブ取付部151は、例えば、剛性がある線状部材の両端をL字状に折曲して構成されている。操作ノブ取付部151の具体例は、操作棹、リンク棒(棒状のリンク部)などである。起上台制御部105aを内視鏡2に取り付ける際に、操作ノブ取付部151の基端側の折曲部が、起上台操作ノブ82に取り外し自在に接続される。
【0102】
起上台操作ノブ82の操作に応じて挿入軸方向に移動する連結部材は、操作ノブ取付部151と制御部本体152と(さらに締め付け環156を含めても構わない)を有して構成されている。
【0103】
制御部本体152の外周面側に、円筒状をなすワイヤ固定部153aが取り付けられている。言い換えれば、円筒状をなすワイヤ固定部153a内に、円柱状をなす制御部本体152が挿通されている。
【0104】
ワイヤ固定部153aは、操作部取付部153と一体的に構成された固定部材である。操作部取付部153は、Cリング状をしており、取り外し自在に固定用溝81と嵌合して、操作部6の把持部35に対して位置を固定される。従って、操作部取付部153が把持部35に固定されると、ワイヤ固定部153aも把持部35に対して固定される。
【0105】
起上台先端側構成部105bは、操作ワイヤ76が挿通されたガイドシース75を有し、先端に起上台51が設けられた先端カバー50が配設されている。即ち、先端カバー50は、起上台51を備える処置具起上台付き先端カバーとなっている。
【0106】
起上台先端側構成部105bのガイドシース75は、内視鏡2の先端部8から挿入部5内に導入されて、把持部35に設けられたガイドシース挿通口36aから基端側が延設される。即ち、挿入部5内へ挿入された操作ワイヤ76およびガイドシース75は、把持部35のガイドシース挿通口36aから取り出され、把持部35の外部へ導かれる。
【0107】
ガイドシース挿通口36aから延出された操作ワイヤ76およびガイドシース75の基端部分は、余長を有して起上台制御部105aに取り付けられる。このとき、ガイドシース75が締め付け環156の操作により制御部本体152に固定され、操作ワイヤ76が係止ボタン154の操作によりワイヤ固定部153aに接続される。このような構成において、操作者が起上台操作ノブ82を傾動させることで、起上台51を起伏操作することができる。
【0108】
なお、本変形例の先端カバー装置3の構成においても、
図25から
図27に示すように、先端カバー50の先端カバー本体55に上記実施の形態に記載の規制部材57が設けられている。そのため、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、規制部材57の先端側の係止体58が軸部70に当接して引っ掛かり、基端側の係止体59が先端構成部15の係止ピン28に当接して引っ掛かる状態となっている。
【0109】
これにより、本変形の内視鏡装置1においても、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止された構成となっている。
【0110】
さらに、本変形例においても、先端カバー50の先端カバー本体55を先端構成部15から取り外す際には、
図28に示すように、親指などの指Fにより、先端カバー本体55の先端側を上から矢印P方向に抑え込むように力を掛けると、脆弱部63が破断するように割れて、先端構成部15の係止ピン28から規制部材57の係止体59が外れる。そして、先端構成部15の係止ピン28と係止片62の係止孔62aとの係合が解かれて、先端構成部15から先端カバー本体55を取り外すことができる。
【0111】
なお、
図29および
図30に示すように、第3の変形例に記載した挿入軸O方向に視野を有する所謂直視型の内視鏡2にも適用できる。そして、先端カバー50の先端カバー本体55に上記第3の変形例に記載の規制部材57を設けて、この規制部材57により先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制することで、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することを防止することができる。
(第6の変形例)
【0112】
次に、
図31から
図35を参照して本発明の第6の変形例として内視鏡装置1の異なる構成について説明する。なお、本変形例は、先端カバー装置3の構成が、上述の第1の実施形態および第2~第5の変形例に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態および第2~第5の変形例と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0113】
本変形例の先端カバー装置3は、起上台制御部110が操作部6の上端(基端)に配設されている。また、内視鏡2に、起上台先端側構成部120を取り付けてから、起上台制御部110に起上台先端側構成部120を連結することで、一体化された先端カバー装置3が構成される。
【0114】
なお、操作部6には、起上台操作ノブ82に連結されたリンク機構111が設けられている。このリンク機構111は、起上台制御部110にも連結されている。
【0115】
起上台先端側構成部120は、操作ワイヤ76を有し、この操作ワイヤ76の先端に起上台51が設けられた先端カバー50が配設されている。即ち、先端カバー50は、起上台51を備える処置具起上台付き先端カバーとなっている。
【0116】
起上台先端側構成部105の操作ワイヤ76は、内視鏡2の先端部8から挿入部5内に導入されて、基端部分が起上台制御部110に接続される。即ち、挿入部5内へ挿入された操作ワイヤ76は、挿入部5および操作部6の内部に挿入されて、起上台制御部110に連結される。
【0117】
このような構成において、操作者が起上台操作ノブ82を傾動させることで、リンク機構111によって起上台制御部110が稼働し、起上台51を起伏操作することができる。
【0118】
また、本変形例の先端カバー装置3の構成においても、
図33から
図35に示すように、先端カバー50の先端カバー本体55に上記実施の形態に記載の規制部材57が設けられている。そのため、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、規制部材57の先端側の係止体58が軸部70に当接して引っ掛かり、基端側の係止体59が先端構成部15の係止ピン28に当接して引っ掛かる状態となっている。
【0119】
これにより、本変形の内視鏡装置1においても、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止された構成となっている。
(第7の変形例)
【0120】
次に、
図36から
図43を参照して本発明の第7の変形例として内視鏡装置1の異なる構成について説明する。なお、本変形例は、先端カバー装置3の構成が、上述の第1の実施形態および第2~第6の変形例に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態および第2~第6の変形例と同様の構成については、適宜同符号を付して説明を省略する。
【0121】
図36および
図37に示すように、本変形例の先端カバー装置3は、起上台51が設けられた先端カバー50が内視鏡2の挿入部5の先端部8に装着自在となった構成である。
【0122】
なお、起上台51を起伏操作するための操作ワイヤ76は、挿入部5内に配置されている。そして、内視鏡2の操作部6に設けられた起上台操作ノブ82を傾動させることで、リンク機構111によって操作ワイヤ76が牽引弛緩されて、起上台51を起伏動作させる構成となっている。
【0123】
先端カバー50の先端カバー本体55に設けられる起上台51は、
図38および
図39に示すように、基端に他側に突出する軸部材としての軸部51eが一体形成されている。そして、この軸部51eが先端カバー本体55に支持されることにより、起上台51は先端カバー本体55に対して揺動可能(変位可能)に連結されている。
【0124】
先端カバー本体55の内部には、ケース側軸受用突起72が設けられ、このケース側軸受用突起72に設けられたケース側軸受孔に軸部51eが支持されることにより、起上台51は先端カバー本体55に対して揺動可能に支持されている。また、起上台51の一側には、後述する嵌合凸部115aと嵌合可能な嵌合凹部51fが、軸部51eと同軸上に設けられている。
【0125】
先端構成部15のベース部16には、隔壁111が設けられている(
図43参照)。また、隔壁111の外面側には、アームカバー112が液密に取り付けられ、この隔壁111とアームカバー112とによって形成されたアーム収容室内に、アーム114が収容されている。また、隔壁111には、駆動軸115が回動自在に支持されている。
【0126】
この駆動軸115の一端はアーム収容室内に突出され、アーム114に固定されている。また、アーム収容室内には、挿入部5内に挿通された操作ワイヤ76の先端が導出され、この操作ワイヤ76がワイヤ端末部材116を介してアーム114に回動自在に連結されている。
【0127】
これにより、アーム114は、操作ワイヤ76の進退移動に連動して駆動軸115を回動させることが可能となっている。
【0128】
また、駆動軸115の他端側は、隔壁111から起上台収容室側に突出されている。この隔壁111から突出された駆動軸115の他端部は、複数の嵌合面を有する嵌合凸部115aとして設定されている。
【0129】
そして、先端カバー本体55が先端部8に装着される際に、嵌合凹部51fに嵌合凸部115aが嵌合されることにより、軸部51eは、駆動軸115によっても支持される。このように、駆動軸115は支持部としての機能を実現することができる。
【0130】
さらに、起上台51の軸部51eには、操作ワイヤ76の進退移動に伴う駆動力が駆動軸115を介して伝達され、起上台51が起上位置と倒置位置との間で揺動する。
【0131】
また、本変形例の先端カバー装置3の構成においても、
図40に示す、規制部材57が先端カバー本体55に配設されている。この規制部材57は、先端側に略円弧状に側部方向に延設された延出部57cを有している。
【0132】
この延出部57cの側端部には、起上台51の軸部51eの先端側に当接して引っ掛かる係止体58が延出部57cから立ち上がるように設けられている。
【0133】
そのため、
図41から
図43に示すように、先端カバー50の先端カバー本体55に上記実施の形態に記載の規制部材57が設けられている。そのため、先端カバー50の先端カバー本体55が先端構成部15に装着された状態では、規制部材57の先端側の係止体58が軸部51eに当接して引っ掛かり、基端側の係止体59が先端構成部15の係止ピン28に当接して引っ掛かる状態となっている。
【0134】
これにより、本変形の内視鏡装置1においても、先端構成部15と先端カバー本体55との挿入軸Oに沿った方向の距離を保持するように規制されて、先端構成部15から先端カバー本体55が脱落することが防止された構成となっている。
【0135】
以上に記載の実施の形態および各変形例の内視鏡装置1は、先端カバー50の内側に規制部材57を設け、起上台51の軸部51eと係止ピン28の挿入軸O方向の距離が一定に保持される。
【0136】
これにより、内視鏡装置1は、起上台51上で処置具40を進退しても、起上台51の軸部51eが規制部材57によって内視鏡2の先端部8にしっかり保持され、先端カバー50が脱落することを防止する。さらに、軸部51eと係止ピン28とを固定することで、先端カバー50の脱落防止だけでなく、起上台51の先端カバー50からの脱落も防止できる。
【0137】
以上の実施の形態および変形例に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが自在である。さらに、上記実施の形態および変形例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0138】
例えば、実施の形態および変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。