(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】内視鏡プロセッサ、内視鏡装置、診断用画像表示方法及び診断用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/045 614
A61B1/045 622
(21)【出願番号】P 2023531333
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2021025205
(87)【国際公開番号】W WO2023276158
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 明広
(72)【発明者】
【氏名】神田 大和
(72)【発明者】
【氏名】森田 恵仁
(72)【発明者】
【氏名】高畑 尚久
(72)【発明者】
【氏名】河野 隆志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 央樹
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/045619(WO,A1)
【文献】特開2008-086605(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163644(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/171615(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/051431(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199509(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別する領域判別部と、
前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、
前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する表示処理部と、を含む
内視鏡プロセッサ。
【請求項2】
前記第1照明光は白色光である、請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項3】
特殊光識別器を含み、
前記
特殊光識別器は、
前記第3領域画像情報に対してAIを
用いて検出した病変候補の信頼度スコアを算出し、
前記算出結果を
前記表示処理部に出力する、請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項4】
前記表示処理部は、
前記第1領域画像情報に対して病変候補を検出し、
前記第3領域画像情報に対して病変候補を検出し、
検出結果を前記部分透過画像に加える、請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項5】
前記領域判別部は、前記第1画像情報を所定の領域に分割し、前記関心物被写体で構成された第1分割画像情報と、前記非関心物被写体で構成された第2分割画像情報とを判別する、請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項6】
前記領域判別部は、前記所定の領域に分割された前記第1画像情報のうち、所定色の割合が所定値未満のものを前記第1分割画像情報、前記所定色の割合が前記所定値以上のものを前記第2分割画像情報と判別する、請求項5に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項7】
特殊光識別器を含み、
前記
特殊光識別器は、
前記第3領域画像情報の病変候補に対し
て信頼度スコアを算出
し、
前記算出結果を前記表示処理部に出力する、請求項4に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項8】
前記表示処理部は、前記病変候補の鑑別情報を取得し、前記病変候補が検出された前記第1画像情報又は前記第2画像情報とともに前記鑑別情報をモニタに表示する、請求項4に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項9】
前記非関心物は、
胆汁、残渣、および血液のうち少なくとも1種である請求項1に記載の内視鏡プロセッサ。
【請求項10】
第1照明光および前記第1照明光とは波長が異なり非関心物被写体を透過する第2照明光を照射可能な光源装置と、
前記光源装置により前記第1照明光を照射して第1画像情報を取得し、前記光源装置により前記第2照明光を照射して第2画像情報を取得する撮像装置を備える内視鏡と、
前記第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、
前記第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、
前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成するプロセッサを備える内視鏡プロセッサと、
前記部分透過画像を表示するモニタと、
を備える内視鏡装置。
【請求項11】
内視鏡プロセッサにおいて、
領域判別部が、第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、
前記領域判別部が、前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、
表示処理部が、前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する、
診断用画像表示方法。
【請求項12】
第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、
前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、
前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する、
処理をコンピュータに実行させる診断用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡プロセッサ、内視鏡装置、診断用画像表示方法及び診断用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野や工業分野で内視鏡が広く利用されている。例えば、医療分野では、術者は、表示装置に表示された被検体内の内視鏡画像を見て病変部を発見及び鑑別し、病変部に対する処置具を用いた処置を行うことができる。
【0003】
近年、術者が病変部の見落としを抑制するために、内視鏡の動画画像に対して病変候補の位置を示したり、鑑別情報を表示したりする、コンピュータ支援画像診断(CAD:Computer Aided Detection/Diagnosis)が開発されている。例えば、日本国特許第6246431号公報には、CADにより病変部が発見されると、内視鏡画像上に枠などのマーカによる強調表示を行うことで、病変部が存在する位置を術者に報知する内視鏡装置が提案されている。
【0004】
しかし、日本国特許第6246431号公報に提案されている内視鏡装置は、光源が肉眼で観察する色に近い白色光(通常光)のため、病変上に血液や残渣等があった場合、病変部を発見できない。
【0005】
一方、日本国特開2014-221168号公報には、青味を帯びた特殊光を用いて、 残渣等の非関心物質の下に存在する血管などの各種構造が透けて見えるようにする内視鏡システムが提案されている。
【0006】
しかしながら、日本国特開2014-221168号公報に提案されている内視鏡システムは、非関心物質が血液の場合、血管などの各種構造を見ることができなかった。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、残渣や血液を除去することなく、病変を検出する機能を実現することができる内視鏡プロセッサ、内視鏡装置、診断用画像表示方法及び診断用画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の内視鏡プロセッサは、第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別する領域判別部と、前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する表示処理部とを含む。
【0009】
また、本発明の一態様の内視鏡装置は、第1照明光および前記第1照明光とは波長が異なり非関心物被写体を透過する第2照明光を照射可能な光源装置と、前記光源装置により前記第1照明光を照射して第1画像情報を取得し、前記光源装置により前記第2照明光を照射して第2画像情報を取得する撮像装置を備える内視鏡と、前記第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、前記第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成するプロセッサを備える内視鏡プロセッサと、前記部分透過画像を表示するモニタと、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様の診断用画像表示方法は、内視鏡プロセッサにおいて、領域判別部が、第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、前記領域判別部が、前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、表示処理部が、前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する。
また、本発明の一態様の診断用画像処理プログラムは、第1照明光を照射して取得された第1画像情報のうち、関心物被写体で構成された第1領域画像情報と、非関心物被写体で構成された第2領域画像情報とを判別し、前記第1照明光と異なる波長であり、前記非関心物被写体を透過する第2照明光を照射して取得された第2画像情報のうち、前記第2領域画像情報の領域の少なくとも一部を含む領域の第3領域画像情報を生成し、前記第1領域画像情報と、前記第3領域画像情報とを組み合わせることで前記第1画像情報のうち前記非関心物被写体が透過された部分透過画像を作成する、処理をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】内視鏡装置1の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】内視鏡装置1の他の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】内視鏡プロセッサ4の電気的な構成例を示すブロック図である。
【
図5】識別器43,44の構成例を示すブロック図である。
【
図6】白色光画像に残渣や血液等がある場合の表示処理の一例を示す図である。
【
図7】内視鏡プロセッサ4の処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】内視鏡プロセッサ4Bの処理を示すフローチャートである。
【
図10】第3の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】内視鏡プロセッサ4Cの処理を示すフローチャートである。
【
図12】第4の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】内視鏡プロセッサ4Dの処理を示すフローチャートである。
【
図14】第5の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】表示処理によってモニタに表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図16】表示処理によってモニタに表示される表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。なお、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜、同一の符号を付している。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、内視鏡装置1の構成の一例を示す斜視図である。本実施形態の内視鏡装置1は、内視鏡2と、光源装置3と、内視鏡プロセッサ4と、モニタ5と、を備えている。
【0014】
内視鏡2は、被検体へ挿入される細長の挿入部9と、内視鏡2に係る各種の操作を行うための操作部10と、内視鏡2を光源装置3および内視鏡プロセッサ4へ接続するためのユニバーサルケーブル17と、を備えている。
【0015】
挿入部9は、先端から基端側へ向かって順に、先端部6と、湾曲部7と、可撓管部8と、を備えている。先端部6は、図示を省略するが、照明光を被検体へ出射する照明窓と、被検体からの戻り光が入射される観察窓と、を備えている。本実施形態の内視鏡2は電子内視鏡として構成されており、先端部6に撮像装置21(
図2参照)が設けられている。撮像装置21は、撮像光学系と、撮像素子とを備えている。撮像光学系は、観察窓から入射した光を、被写体像として撮像素子上に結像する。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサである。撮像素子は、被写体像を光電変換して撮像信号を生成し、出力する。撮像信号は、信号線を経由して、内視鏡プロセッサ4へ伝送される。
【0016】
湾曲部7は、先端部6の基端側に連設された湾曲可能な部位であり、湾曲することで先端部6が向く方向を変更する。先端部6の方向を変更することで、被検体の観察部位を変更し、または内視鏡2の挿入性を向上する。
【0017】
可撓管部8は、湾曲部7の基端側に連設された、可能性を有する部位である。
【0018】
挿入部9および操作部10内には、湾曲部7を湾曲するための湾曲ワイヤと、処置具を挿通するための処置具チャンネルと、が配設されている。また、内視鏡2の、挿入部9、操作部10、およびユニバーサルケーブル17内には、撮像素子と接続される上述した信号線と、照明光を伝送するためのライトガイドとが配設されている。
【0019】
操作部10には、湾曲ワイヤを経由して湾曲部7を湾曲操作するための湾曲操作部14、フォーカススイッチ15を含む各種のスイッチ類などが設けられている。湾曲操作部14は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作するためのUD湾曲操作ノブ12と、湾曲部7を左右方向に湾曲操作するためのRL湾曲操作ノブ13とを備える。湾曲部7は、上下方向の湾曲と左右方向の湾曲とを組み合わせることで、斜め方向の湾曲も行える。
【0020】
操作部10の先端側には、術者が手で内視鏡2を把持するための把持部11と、上述した処置具チャネルの基端側の開口となる処置具チャネル挿入口16とが設けられている。
【0021】
ユニバーサルケーブル17は、操作部10の例えば基端側の側面から延出されている。ユニバーサルケーブル17の基端には、スコープコネクタ17aが設けられている。スコープコネクタ17aは、内視鏡2を光源装置3に着脱自在に接続する。スコープコネクタ17aが光源装置3に接続されることで、ライトガイドによる照明光の伝送が可能となる。
【0022】
スコープコネクタ17aは、側面からコイル状のコイルケーブル18が延出されている。コイルケーブル18の延出端に設けられたスコープコネクタ18aは、内視鏡プロセッサ4と着脱自在に接続される。スコープコネクタ18aが内視鏡プロセッサ4と接続されることで、撮像素子が内視鏡プロセッサ4と電気的に接続される。
【0023】
内視鏡プロセッサ4は、表示装置であるモニタ5と電気的に接続されている。内視鏡プロセッサ4は、内視鏡2の撮像素子から出力された撮像信号を処理して、表示用画像情報を生成する。表示用画像情報は、内視鏡プロセッサ4からモニタ5へ出力され、モニタ5に内視鏡画像を含む表示画像として表示される。また、モニタ5は、音声を出力するスピーカ5aを備えている。
【0024】
図2は、内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
内視鏡2は、上述したように、撮像装置21を備えている。撮像装置21は、光源装置3から第1照明光を照射して第1画像情報(後述する白色光画像情報)を取得し、光源装置3から第2照明光を照射して第2画像情報(後述する特殊光画像情報)を取得する。
【0025】
光源装置3は、第1照明光と、第1照明光とは波長の異なる第2照明光とを照射可能である。本実施形態の光源装置3は、白色光源31と、特殊光源32と、を備えている。白色光源31は、観察用の白色光を発光する。特殊光源32は、白色光とはスペクトルの異なる特殊光を発光する。白色光は第1照明光であり、特殊光は第2照明光である。
【0026】
具体的に、光源装置3は、R(赤)、G(緑)、B(青)、V(バイオレット)、A(アンバー)等の各色光を発光する複数の光源を備え、各色光源を組み合わせることで、上述した白色光源31および特殊光源32が構成される。
【0027】
光源装置3は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、またはLD(Laser Diode)等の発光デバイスを備える。一例として、光源装置3は、中心波長が約405nmの紫色(V)光を発光するV-LEDと、中心波長が約445nmの青色(B)光を発光するB-LEDと、中心波長が約540nmの緑色(G)光を発光するG-LEDと、中心波長が約630nmの赤色(R)光を発光するR-LEDと、を備える。また、光源装置3は、プリズム、ミラー、光ファイバ、または、波長帯域もしくは光量等を調節する光学フィルタ等、を必要に応じて備える。
【0028】
本実施形態の光源装置3は、例えば、白色光、特殊光を、フレーム毎に順次発光するようになっている。これにより、撮像装置21は、白色光画像情報(以下、白色光画像という)、特殊光画像情報(以下、特殊光画像という)を順に取得し、特殊光画像の次はまた白色光画像を取得することを繰り返して行う。
【0029】
内視鏡プロセッサ4は、画像処理部41と、領域判別部42と、白色光識別器43と、特殊光識別器44と、表示処理部46と、バス47と、制御部48と、を備えている。
【0030】
なお、
図2には、白色光識別器43および特殊光識別器44の2つを設けたが、3つ以上であっても構わない。
【0031】
図3は、内視鏡装置1の他の構成の一例を示すブロック図である。
図3の内視鏡プロセッサ4Aは、識別器を3つ設けた構成である。内視鏡プロセッサ4Aは、
図2の特殊光識別器44に代わり、第1特殊光識別器45Aおよび第2特殊光識別器45Bを用いて構成されている。また、光源装置3Aは、
図2の特殊光源32に代わり、第1特殊光を出力する第1特殊光源33、および、第2特殊光を出力する第2特殊光源34を用いて構成されている。
【0032】
また、複数の識別機能を有する識別器を1つ設けて、識別機能を切り替えることで、白色光識別器43および特殊光識別器44の何れとしても機能するように構成しても構わない。
【0033】
図4は、内視鏡プロセッサ4の電気的な構成例を示すブロック図である。
図2には、内視鏡プロセッサ4の機能的な構成を示したが、内視鏡プロセッサ4は、電気的な構成として、例えば、プロセッサ4aと、メモリ4bとを備えている。
【0034】
プロセッサ4aは、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を備えている。メモリ4bは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ディスク記憶媒体などの記憶媒体である。メモリ4bは、処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記憶媒体を含む。
【0035】
プロセッサ4aは、メモリ4bに記憶された処理プログラムを読み込んで実行することにより、
図2に示す各部の機能を果たす。ただし、この構成に限定されるものではなく、プロセッサ4aは、各部の機能を果たす専用の電子回路として構成されていても構わない。
【0036】
また、
図5は、識別器43,44の構成例を示すブロック図である。白色光識別器43および特殊光識別器44は、何れも、照明光を照射して取得された画像情報から病変候補の領域を検出する病変識別器4cを備えている。なお、
図3に示す第1特殊光識別器45Aおよび第2特殊光識別器45Bも同様の構成である。病変識別器4cは、例えば、病変画像を学習した人工知能(AI:Artificial Intelligence)を含む。
【0037】
撮像装置21は、白色光画像情報(以下、白色光画像という)、特殊光画像情報(以下、特殊光画像という)を順に取得し、特殊光画像の次はまた白色光画像を取得することを繰り返して行う。
【0038】
画像処理部41には、撮像装置21により順次取得された白色光画像及び特殊光画像が入力される。画像処理部41は、撮像装置21から出力された画像情報に、デモザイキング、ノイズ補正、色補正、コントラスト補正、ガンマ補正などの各種処理を行い、モニタ5へ出力可能なフォーマットの画像信号(表示用画像情報)に変換する。
【0039】
領域判別部42は、白色光画像の色を判別することで、白色光画像で観察が可能な領域(あるいは画像)か、観察が困難な領域(あるいは画像)かを判別する。ここで、白色光画像で観察が可能な領域は、粘膜、血管、病変等が映っている領域であり、白色光画像で観察が困難な領域は、胆汁・残渣、血液等によって、それらの下の粘膜、血管、病変等が観察できない領域である。
【0040】
具体的には、領域判別部42は、白色光画像の色が黄色又は赤色かを判別することで、白色光画像で観察が可能な粘膜等の領域と、白色光画像で観察が困難な胆汁・残渣、血液等の領域を判別する。より具体的には、領域判別部42は、所定の領域に分割し、所定の領域毎に黄色又は赤色の割合が規定値未満の場合、白色光画像で観察が可能な領域と判別し、所定の領域毎に黄色又は赤色の割合が規定値以上の場合、白色光画像で観察が困難な領域と判別する。
【0041】
領域判別部42は、白色光画像で観察が可能な領域の画像情報を白色光識別器43に出力する。一方、領域判別部42は、白色光画像で観察が困難な領域については、特殊光画像のうち、白色光画像で観察が困難な領域と同じ領域の画像情報を生成し、特殊光識別器44に出力する。
【0042】
第1識別器を構成する白色光識別器43は、白色光により撮像された白色光画像から病変を検出する識別器である。白色光識別器43は、白色光画像として撮像された病変画像を、機械学習、ディープラーニング等により学習したAIを含む。白色光識別器43は、白色光画像のうち、領域判別部42により白色光画像で観察が可能な粘膜領域と判別された領域に病変候補(あるいは病変)があるか否かを検出する。また、白色光識別器43は、検出した病変候補の信頼度スコアを算出する。信頼度スコアは、病変候補が実際に病変である確度(確信度)を示す。
【0043】
第2識別器を構成する特殊光識別器44は、白色光画像で観察が困難な胆汁・残渣、血液等を透過する(光が吸収されない)特殊光により撮像された特殊光画像から病変を検出する識別器である。特殊光識別器44は、特殊光画像として撮像された病変画像を、機械学習、ディープラーニング等により学習したAIを含む。特殊光識別器44は、特殊光画像のうち、白色で観察が困難な領域に病変候補(あるいは病変)があるか否かを検出する。また、特殊光識別器44は、検出した病変候補の信頼度スコアを算出する。
【0044】
なお、胆汁・残渣と血液とでは透過する特殊光が違うため学習データも違う。そのため、特殊光識別器44は、胆汁・残渣と血液とで適応的に学習データを切り替えて学習している。なお、
図3の構成のように、特殊光毎に識別器を持つようにしてもよい。
【0045】
具体的には、内視鏡プロセッサ4Aは、胆汁・残渣を透過する第1特殊光源33から出射された第1特殊光により撮像された第1特殊光画像から病変を検出する識別器として第1特殊光識別器45A、血液を透過する第2特殊光源34から出射された第2特殊光により撮像された第2特殊光画像から病変を検出する識別器として第2特殊光識別器45Bを設けている。
【0046】
この場合、第1特殊光識別器45Aは、胆汁・残渣を透過する第1特殊光(青色帯域の光を除く、緑色帯域と赤色帯域の光のみを用いることで、胆汁・残渣を透過して粘膜を観察することができる)画像から病変を検出する識別器である。第1特殊光識別器45Aは、胆汁・残渣が透過された第1特殊光画像として撮像された病変画像を、機械学習、ディープラーニング等により学習したAIを含む。
【0047】
第2特殊光識別器45Bは、血液を透過する第2特殊光(600nm付近にピークを有するアンバー光と赤色帯域の光を用いることで薄い血液を透過して、粘膜を観察することができる)画像から病変を検出する識別器である。第2特殊光識別器45Bは、血液が透過された第2特殊光画像として撮像された病変画像を、機械学習、ディープラーニング等により学習したAIを含む。
【0048】
表示処理部46は、白色光識別器43および特殊光識別器44を経由して入力された画像情報を組み合わせることで後述する部分透過画像を作成し、モニタ5に映像信号を出力する。また、表示処理部46は、部分透過画像に白色光識別器43及び/又は特殊光識別器44により検出された病変情報(病変の有無、位置)を表示する画像合成処理を行いモニタ5に映像信号を出力する。
【0049】
バス47は、内視鏡プロセッサ4内の各部が命令や情報の送受信を行う伝送路である。
【0050】
制御部48は、バス47を経由して、画像処理部41、領域判別部42、白色光識別器43、特殊光識別器44、及び、表示処理部46と接続されており、これらを制御する。
【0051】
次に、
図6を用いて、内視鏡プロセッサ4の表示処理について説明する。
図6は、白色光画像に残渣や血液等がある場合の表示処理の一例を示す図である。
【0052】
領域判別部42は、第1照明光である白色光を照射して取得された白色光画像60のうち、粘膜、血管、病変等の関心物被写体が映っている第1領域画像情報(以下、第1領域画像という)80と、残渣や血液等の非関心物被写体が映っている第2領域画像情報(以下、第2領域画像という)81とを判別する。すなわち、第1領域画像80は、白色光によって粘膜、血管、病変等を観察することができる領域画像であり、第2領域画像81は、白色光によって粘膜、血管、病変等を観察することができない領域画像である。領域判別部42は、白色光によって観察することができる第1領域画像80を白色光識別器43に出力する。
【0053】
また、領域判別部42は、第2照明光である特殊光を照射して取得された特殊光画像70のうち、第2領域画像と同じ領域にある第3領域画像情報(以下、第3領域画像という)82を生成する。領域判別部42は、特殊光によって残渣や血液等が透過された第3領域画像82を特殊光識別器44に出力する。
【0054】
白色光識別器43は、第1領域画像80についてAIを用いて病変候補および信頼度スコアを検出および算出する。白色光識別器43は、検出した病変候補、算出した信頼度スコアに加え、第1領域画像80を表示処理部46に出力する。
【0055】
また、特殊光識別器44は、第3領域画像についてAIを用いて病変候補および信頼度スコアを検出および算出する。特殊光識別器44は、検出した病変候補、算出した信頼度スコアに加え、第3領域画像82を表示処理部46に出力する。
【0056】
表示処理部46は、第1領域画像80と第3領域画像82とを組み合わせて、白色光画像60のうち、非関心物被写体である残渣や血液等が透過された部分透過画像情報(以下、部分透過画像という)90を生成する。また、表示処理部46は、第1領域画像80において病変候補83が検出され、第3領域画像82において病変候補84が検出された場合、病変候補83および84に位置や大きさ等を示すマーカ85および86を表示する。
【0057】
図7は、内視鏡プロセッサ4の処理を示すフローチャートである。なお、
図7の処理は撮像装置21によって撮像された画像が内視鏡プロセッサ4に入力されている間は、繰り返し実行される。
【0058】
光源装置3が白色光と特殊光を順次切り替えて発光することで、白色光画像と特殊光画像とが撮像装置21によって交互に撮像され、内視鏡プロセッサ4の画像処理部41に入力される。そして、画像処理部41により画像処理が施され、白色光画像と特殊光画像が領域判別部42に入力される。
【0059】
領域判別部42は、白色光画像を所定の領域に分割し(S1)、分割した白色光画像の所定の領域毎の色を判別する(S2)。
【0060】
次に、領域判別部42は、所定の領域毎に黄色又は赤色が規定値以上か否かを判別する(S3)。領域判別部42は、所定の領域毎に黄色又は赤色が規定値以上であると判別した場合、特殊光画像のうち、規定値以上と判別した領域と同じ領域の領域画像を生成し、特殊光識別器44に出力する(S4)。特殊光識別器44は、所定の領域毎に病変候補を検出する(S5)。特殊光識別器44は、入力された領域画像と検出した病変候補とを表示処理部46に出力する。
【0061】
一方、領域判別部42は、黄色又は赤色が規定値以上でないと判別した場合、白色光画像のうち、黄色又は赤色が規定値以上でないと判別した領域画像を白色光識別器43に出力する(S6)。白色光識別器43は、所定の領域毎に病変候補を検出する(S7)。白色光識別器43は、入力された領域画像と検出した病変候補とを表示処理部46に出力する。
【0062】
表示処理部46は、各領域画像を組み合わせた部分透過画像を生成し、モニタ5に表示する表示処理を行う(S8)。これにより、残渣や血液等が透過された部分透過画像がモニタ5に表示される。また、表示処理部46は、S8の処理において、S5及び/又はS7の処理によって病変候補が検出された場合、病変候補にマーカを表示する表示処理を行う。
【0063】
以上のように、内視鏡プロセッサ4は、黄色又は赤色が規定値以上含まれていない領域画像(第1領域画像)については、白色光画像を白色光識別器43に入力して病変を検出し、黄色又は赤色が規定値以上含まれている領域画像(第2領域画像)については、特殊光画像のうち第2領域画像と同じ領域に存在する領域画像(第3領域画像)を特殊光識別器44に入力して病変を検出する。
【0064】
そして、内視鏡プロセッサ4は、第1領域画像と第3領域画像とを組み合わせることで、白色光画像のうち残渣や血液等が透過された部分透過画像を作成する。この結果、内視鏡プロセッサ4は、残渣や血液を除去することなく、病変を検出する機能を実現することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、白色光と特殊光を交互に発光し、白色光画像と特殊光画像を取得していた。これに対し、第2の実施形態では、白色光画像で観察が困難と判断されたときに特殊光を発光して特殊光画像を取得する点が異なっている。
【0066】
図8は、第2の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図8において、
図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
内視鏡プロセッサ4Bは、
図2の領域判別部42及び制御部48に代わり、領域判別部42A及び制御部48Aを用いて構成されている。領域判別部42Aは、白色光により撮像された白色光画像で残渣や血液等により病変等の検出が困難な第2領域画像81があると判別した場合、判別結果を制御部48Aに出力する。具体的には、領域判別部42Aは、白色光画像を所定の領域に分割し、所定の領域毎に黄色又は赤色が規定値以上か否かを判別し、黄色又は赤色が規定値以上と判別した場合、病変等の検出が困難な第2領域画像があることを示す判別結果を制御部48Aに出力する。このとき、領域判別部42Aは、第2領域画像がある場合、白色光画像で病変等の検出ができる第1領域画像を白色光識別器43に出力する。
【0068】
制御部48Aは、第2領域画像があることを示す判別結果を受けると、特殊光を発光するように光源装置3を制御する。すなわち、制御部48Aは、通常状態では白色光を発光するように光源装置3を制御し、領域判別部42Aから第2領域画像があることを示す判別結果を受けた場合、特殊光を発光するように光源装置3を制御する。
【0069】
光源装置3は、制御部48Aからの制御に応じて、白色光から特殊光に切り替えて発光する。これにより、プロセッサ4Aには、撮像装置21により撮像された特殊光画像が入力される。領域判別部42Aは、入力された特殊光画像のうち、第2領域画像と同じ領域にある第3領域画像を生成し、特殊光識別器44に出力する。
【0070】
白色光識別器43、特殊光識別器44及び表示処理部46の動作は第1の実施形態と同様であり、モニタ5には
図6に示す部分透過画像90が表示される。
【0071】
図9は、内視鏡プロセッサ4Bの処理を示すフローチャートである。
図9の処理は撮像装置21によって撮像された画像が内視鏡プロセッサ4Bに入力されている間は、繰り返し実行される。
【0072】
光源装置3が白色光を発光することで、白色光画像が撮像装置21によって撮像され、内視鏡プロセッサ4Bの画像処理部41に入力される。そして、画像処理部41により画像処理が施され、白色光画像が領域判別部42Aに入力される。
【0073】
領域判別部42Aは、白色光画像を所定の領域に分割し(S11)、分割した白色光画像の所定の領域毎の色を判別する(S12)。
【0074】
次に、領域判別部42Aは、所定の領域毎に黄色又は赤色が規定値以上か否かを判別する(S13)。領域判別部42Aは、所定の領域毎に黄色又は赤色が規定値以上であると判別した場合、判別結果を制御部48Aに出力し、特殊光画像を取得する(S14)。領域判別部42Aは、取得した特殊光画像のうち、規定値以上と判別した領域と同じ領域の領域画像を生成し、特殊光識別器44に出力する(S15)。特殊光識別器44は、所定の領域毎に病変候補を検出する(S16)。特殊光識別器44は、入力された領域画像と検出した病変候補とを表示処理部46に出力する。
【0075】
一方、領域判別部42Aは、黄色又は赤色が規定値以上でないと判別した場合、白色光画像のうち、黄色又は赤色が規定値以上でないと判別した領域画像を白色光識別器43に出力する(S17)。白色光識別器43は、所定の領域毎に病変候補を検出する(S18)。白色光識別器43は、入力された領域画像と検出した病変候補とを表示処理部46に出力する。
【0076】
表示処理部46は、各領域画像を組み合わせた部分透過画像を生成し、モニタ5に表示する表示処理を行う(S19)。また、表示処理部46は、S19の処理において、S16及び/又はS18の処理によって病変候補が検出された場合、病変候補にマーカを表示する表示処理を行う。
【0077】
以上の処理により、内視鏡プロセッサ4Bは、第1の実施形態と同様に、残渣や血液等が透過された部分透過画像をモニタ5に表示することができる。
【0078】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、領域判別部42及び42Aは白色光画像の所定の領域毎の色を判別することで、観察が困難な領域画像か否かを判別していた。これに対し、第3の実施形態では、白色光識別器43、特殊光識別器44の病変判別の信頼度スコア(確信度)で判別する点が異なっている。
【0079】
図10は、第3の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図10において、
図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0080】
内視鏡プロセッサ4Cは、
図2の領域判別部42及び表示処理部46に代わり、領域判別部42B及び表示処理部46Aを用いて構成されている。領域判別部42Bには白色光画像、特殊光画像が入力される。領域判別部42Bは、白色光画像を所定の領域に分割して白色光識別器43に出力し、特殊光画像を所定の領域に分割して特殊光識別器44に出力する。
【0081】
白色光識別器43は分割された白色光画像の所定の領域毎に病変候補を検出および信頼度スコアを算出する。白色光識別器43は、病変候補の検出結果および信頼度スコアの算出結果を表示処理部46Aに出力する。特殊光識別器44は分割された特殊光画像の所定の領域毎に病変候補を検出および信頼度スコアを算出する。特殊光識別器44は、病変候補の検出結果および信頼度スコアの算出結果を表示処理部46Aに出力する。
【0082】
表示処理部46Aは、所定の領域に分割された白色光画像及び特殊光画像の同じ領域毎に信頼度スコアを比較し、信頼度スコアが高い領域を表示する。
【0083】
図11は、内視鏡プロセッサ4Cの処理を示すフローチャートである。
図11の処理は撮像装置21によって撮像された画像が内視鏡プロセッサ4Cに入力されている間は、繰り返し実行される。
【0084】
光源装置3が白色光と特殊光を順次切り替えて発光することで、白色光画像と特殊光画像とが撮像装置21によって交互に撮像され、内視鏡プロセッサ4Cの画像処理部41に入力される。そして、画像処理部41により画像処理が施され、白色光画像と特殊光画像が領域判別部42Bに入力される。
【0085】
領域判別部42Bは、白色光画像を所定の領域に分割し(S21)、白色光識別器43に出力する。白色光識別器43は、所定の領域毎に病変候補を検出及び信頼度スコアを算出する(S22)。病変候補及び信頼度スコアの情報は、表示処理部46Aに入力される。
【0086】
また、領域判別部42Bは、特殊光画像を所定の領域に分割し(S23)、特殊光識別器44に出力する。特殊光識別器44は、所定の領域毎に病変候補を検出及び信頼度スコアを算出する(S24)。病変候補及び信頼度スコアの情報は、表示処理部46Aに入力される。
【0087】
表示処理部46Aは、特殊光識別器44の信頼度スコアが高いか否かを判定する(S25)。表示処理部46Aは、特殊光識別器44の信頼度スコアが高いと判定した場合、特殊光画像の所定の領域を選択し、特殊光識別器44の信頼度スコアが高くないと判定した場合、白色光画像の所定の領域を選択して表示するように表示処理を行う(S26)。また、表示処理部46Aは、S26の処理において、S22及び/又はS24の処理によって病変候補が検出された場合、病変候補にマーカを表示する表示処理を行う。
【0088】
以上の処理により、内視鏡プロセッサ4Cは、第1の実施形態と同様に、残渣や血液等が透過された部分透過画像をモニタ5に表示することができる。
【0089】
(第4の実施形態)
第1~第3の実施形態では、1枚の画像を分割して領域毎に判別していた。これに対して、第4の実施形態では、画像単位で判別する。
【0090】
図12は、第4の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図12において、
図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0091】
内視鏡プロセッサ4Dは、
図2の領域判別部42が削除されるとともに、表示処理部46に代わり、表示処理部46Bを用いて構成されている。
【0092】
画像処理部41は、白色光画像及び特殊光画像を白色光識別器43及び特殊光識別器44に出力する。白色光識別器43は、白色光画像から病変候補を検出及び信頼度スコアを算出し、表示処理部46Bに出力する。特殊光識別器44は、特殊光画像から病変候補を検出及び信頼度スコアを算出し、表示処理部46Bに出力する。
【0093】
表示処理部46Bは、特殊光識別器44での信頼度スコアが高いか否かを判定する。表示処理部46Bは、特殊光識別器44でのスコアが高いと判定した場合、特殊光画像をモニタ5に表示するように表示処理する。一方、表示処理部46Bは、特殊光識別器44でのスコアが高くないと判定した場合、白色光画像をモニタ5に表示するように表示処理する。
【0094】
図13は、内視鏡プロセッサ4Dの処理を示すフローチャートである。
図13の処理は撮像装置21によって撮像された画像が内視鏡プロセッサ4Dに入力されている間は、繰り返し実行される。
【0095】
光源装置3が白色光と特殊光を順次切り替えて発光することで、白色光画像と特殊光画像とが撮像装置21によって交互に撮像され、内視鏡プロセッサ4の画像処理部41に入力される。そして、画像処理部41により画像処理が施され、白色光画像および特殊光画像が白色光識別器43および特殊光識別器44に入力される。
【0096】
白色光識別器43は、白色光画像から病変候補を検出及び信頼度スコアを算出する(S31)。病変候補及び信頼度スコアの情報は、表示処理部46Bに入力される。特殊光識別器44は、特殊光画像から病変候補を検出及び信頼度スコアを算出する(S32)。病変候補及び信頼度スコアの情報は、表示処理部46Bに入力される。
【0097】
表示処理部46Bは、特殊光識別器44の信頼度スコアが高いか否かを判定する(S33)。表示処理部46Bは、特殊光識別器44の信頼度スコアが高いと判定した場合、特殊光画像を表示する表示処理を行う(S34)。また、表示処理部46Bは、S34の処理において、S32の処理によって病変候補が検出された場合、病変候補にマーカを表示する表示処理を行う。
【0098】
一方、表示処理部46Bは、特殊光識別器44の信頼度スコアが高くない判定した場合、白色光画像を表示する表示処理を行う(S35)。また、表示処理部46Bは、S35の処理において、S31の処理によって病変候補が検出された場合、病変候補にマーカを表示する表示処理を行う。
【0099】
以上の処理により、内視鏡プロセッサ4Dは、白色光画像及び特殊光画像のうち、病変候補が観察できる可能性が高い一方の画像をモニタ5に表示することができる。
【0100】
(第5の実施形態)
第1~第4の実施形態では、病変位置の検出および表示を行っていた。これに対し、第5の実施形態では、病変の鑑別結果を表示する点が異なっている。
【0101】
図14は、第5の実施形態に係わる内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図14において、
図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0102】
内視鏡プロセッサ4Eは、
図2の白色光識別器43、特殊光識別器44および表示処理部46に代わり、それぞれ白色光識別器43A、特殊光識別器44Aおよび表示処理部46Cを用いて構成されている。
【0103】
白色光識別器43A及び特殊光識別器44Aは、病変画像とともに鑑別情報を学習させる。これにより、白色光識別器43A及び特殊光識別器44Aは、病変候補の検出に加え、信頼度スコア(確信度)の高い順に鑑別情報(鑑別結果)を出力することができる。
【0104】
図15は、表示処理によってモニタに表示される表示画面の一例を示す図であり、
図16は、表示処理によってモニタに表示される表示画面の他の例を示す図である。
【0105】
表示処理部46Cは、病変を観察できる画像とともに鑑別情報を表示する。表示処理部46Cは、
図15に示すように、病変候補を検出した画像(白色光画像又は特殊光画像)と、その画像に隣接して信頼度スコアの高い鑑別情報91を表示する。なお、表示処理部46Cは、
図15の例では、鑑別情報91として1つの病名を表示しているが、これに限定されることなく、複数の病名と各病名の確率等を表示してもよい。また、表示処理部46Cは、鑑別情報91として病名を表示することに限定されることなく、例えば病気の進行度を表示するようにしてもよい。
【0106】
また、表示処理部46Cは、白色光画像と、病変が観察された画像とを表示してもよい。表示処理部46Cは、例えば
図16に示すように、メイン画面に白色光画像101と病変候補の位置及び大きさ等を示すマーカ102及び103を表示し、病変候補を検出した特殊光画像104をメイン画面より小さいサブ画面に表示する。なお、表示処理部46Cは、病変候補を検出した画像が白色光画像101の場合、サブ画面には特殊光画像104を表示しなくてもよい。
【0107】
以上の処理により、内視鏡プロセッサ4Eは、病変候補の位置の検出及び表示に加え、鑑別情報をモニタ5に表示するができる。
【0108】
なお、本明細書におけるフローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0109】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせや応用が可能であることは勿論である。