(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
H05K13/08 B
(21)【出願番号】P 2023539956
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2022038791
(87)【国際公開番号】W WO2024084588
(87)【国際公開日】2024-04-25
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】井本 卓哉
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/003772(WO,A1)
【文献】特許第4514230(JP,B2)
【文献】特開平07-285087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をノズルにより吸着して基板に実装する実装部と、基板または前記部品を撮像して認識画像を取得するための撮像部とを含む部品実装装置と、
前記部品実装装置により部品が実装された基板の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、前記第1部品の実装に関連する第1認識画像と、検査において実装が正常と判定された前記第1部品と同じ品種の第2部品の実装に関する第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業を特定する制御を行う制御装置とを備える、部品実装システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記撮像部により前記第1部品を撮像した第1部品認識画像を前記第1部品を実装する際の前記ノズルによる実装位置の補正量に基づいて補正するとともに、前記第1部品の寸法に合わせた部品寸法枠に基づいて切り出した前記第1認識画像と、前記撮像部による撮像に基づく前記第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記撮像部は、前記ノズルに吸着された前記部品を撮像する部品撮像部を有し、
前記制御装置は、前記部品撮像部により撮像された前記第1部品認識画像を補正して切り出した前記第1認識画像と、前記部品撮像部による撮像に基づく前記第2認識画像との比較に基づいて、基板の前記実装位置に前記部品を実装する際の前記ノズルによる前記実装位置の補正量が正常か否かを判定するとともに、前記ノズルによる前記実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因が部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記撮像部は、前記ノズルに吸着された前記部品を撮像する部品撮像部を有し、
前記制御装置は、前記部品撮像部により撮像された前記第1部品認識画像を補正して切り出した前記第1認識画像と、前記部品撮像部による撮像に基づく前記第2認識画像との比較に基づいて、前記ノズルにより前記部品を吸着した際に前記部品を反転した状態で吸着したか否かを判定するとともに、前記部品を反転した状態で吸着していた場合、実装不良の原因が部品供給作業または部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記撮像部は、基板の位置を調整するための基板認識マークを撮像する基板撮像部を含み、
前記制御装置は、前記基板撮像部により撮像された基板認識画像を前記基板認識マークの位置ずれ量に基づく補正量に基づいて補正するとともに、前記基板認識マークに合わせたマーク寸法枠に基づいて切り出した前記第1認識画像と、前記基板撮像部による撮像に基づく前記第2認識画像との比較に基づいて、前記基板認識マークの位置ずれ量に基づく補正量が正常か否かを判定するとともに、前記ノズルによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因を前記基板認識マークの認識作業と特定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記制御装置は、基板の検査において部品の実装が不良と判定された場合、および、基板の検査において部品の実装が正常と判定された場合の各々の、前記ノズルにより前記部品を吸着した際の吸着位置、および、前記ノズルの負圧の計測値に基づいて、前記ノズルの吸着状態が正常か否かを判定するとともに、前記ノズルの吸着状態が不良である場合、実装不良の原因を吸着作業と特定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記撮像部は、前記ノズルに吸着された前記部品を撮像する部品撮像部を有し、
前記制御装置は、前記部品実装装置において前記部品を基板に実装している際、実装中の前記部品を前記部品撮像部により撮像した第2部品認識画像に基づく前記ノズルによる実装位置の補正量および前記第2部品認識画像を前記部品実装装置から取得したことに基づいて、前記ノズルによる前記実装位置の補正量が適切か否かを判定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記部品撮像部により撮像された前記第2部品認識画像に基づく第3認識画像と、前記ノズルによる実装位置の補正量および前記第2部品認識画像を取得するために前記部品撮像部により撮像された前記部品と同品種の前記第1部品の前記第1認識画像との差分画像に基づいて、前記ノズルによる前記実装位置の補正量が適切か否かを判定するとともに、前記ノズルによる前記実装位置の補正量が適切でない場合、前記部品実装装置を停止する制御を行うように構成されている、請求項7に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第2認識画像を複数取得するとともに
、複数の
前記第2認識画像を学習したことに基づく学習結果を前記部品実装装置に送信する制御を行うように構成されており、
前記部品実装装置は、取得した前記学習結果および前記撮像部により撮像された前記認識画像に基づいて、実装不良が発生するか否かを予測し、実装不良の発生が予測される場合、前記部品実装装置を停止する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1部品の基板の実装位置と実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業とを関連付けて表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記表示部に表示された前記第1部品の前記実装位置を選択する操作を受け付けたことに基づいて、前記第1認識画像、前記第2認識画像、および、実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業を含む不良情報表示画面を前記表示部に表示する制御を行うように構成されている、請求項10に記載の部品実装システム。
【請求項12】
前記部品実装装置よりも下流に配置され、前記部品実装装置により部品が実装された基板の検査を行う検査装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記検査装置の検査において実装不良と判定された前記第1部品がある場合、前記第1認識画像と前記第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項13】
部品実装装置の実装部により基板に部品を実装するステップと、
前記実装部により前記部品を実装した基板を検査するステップと、
基板の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、前記第1部品の実装に関連する第1認識画像と、検査において実装が正常と判定された前記第1部品と同じ品種の第2部品の実装に関する第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった前記部品実装装置の作業を特定するステップとを備える、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装システムおよび部品実装方法に関し、特に、部品実装装置を備える部品実装システムおよび部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置を備える部品実装システムが知られている。このような部品実装システムは、たとえば、特開2021-153184号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2021-153184号公報には、部品実装機(部品実装装置)を備える生産管理システム(部品実装システム)が開示されている。
【0004】
上記特開2021-153184号公報の生産管理システムは、上記部品実装機と、検査機と、生産管理用コンピュータとを備えている。部品実装機は、実装ヘッドと、部品認識用カメラとを含んでいる。実装ヘッドは、部品を吸着ノズルに吸着させて部品を基板に実装するように構成されている。部品認識カメラは、実装ヘッドの吸着ノズルに吸着した部品を撮像して撮像画像を取得するように構成されている。検査機は、基板に実装された部品の実装不良を検出するように構成されている。生産管理用コンピュータは、実装不良と判定された部品の基板に実装された状態の画像と、部品認識カメラにより実装ヘッドの吸着ノズルに吸着した部品を撮像した画像である撮像画像とをモニタに比較表示するように構成されている。
【0005】
上記特開2021-153184号公報の生産管理システムでは、モニタに表示された、実装不良と判定された部品の基板に実装された状態の画像と、部品認識カメラにより実装ヘッドの吸着ノズルに吸着した部品を撮像した画像である撮像画像とにより、作業者が実装不良の原因を調査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特開2021-153184号公報の生産管理システムでは、モニタに表示された、実装不良と判定された部品の基板に実装された状態の画像と、部品認識カメラにより実装ヘッドの吸着ノズルに吸着した部品を撮像した画像である撮像画像とにより、作業者が、実装不良の原因を特定する。この際、モニタに表示された、実装不良と判定された部品の基板に実装された状態の画像と、上記撮像画像とを確認しながら実装不良の原因を特定する際の作業者による作業が煩雑であるので、作業者に対する作業負担が大きい。そこで、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することが望まれている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な部品実装システムおよび部品実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の局面による部品実装システムは、部品をノズルにより吸着して基板に実装する実装部と、基板または部品を撮像して認識画像を取得するための撮像部とを含む部品実装装置と、部品実装装置により部品が実装された基板の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、第1部品の実装に関連する第1認識画像と、検査において実装が正常と判定された第1部品と同じ品種の第2部品の実装に関する第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行う制御装置とを備える。
【0010】
この発明の第1の局面による部品実装システムでは、上記のように、第1認識画像と、第2認識画像との比較に基づいて、不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行う制御装置を設ける。これにより、制御装置により自動で実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定することができるので、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することができる。また、制御装置において自動で実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定することができるので、作業者により実装不良の原因を特定する作業を行う場合と比べて、実装不良の原因の特定に要する時間を短縮することができる。また、制御装置において自動で実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定することにより、作業者が実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する場合と異なり、作業者毎に判断が異なることがないので実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する際の判断のばらつきを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御装置は、撮像部により第1部品を撮像した第1部品認識画像を第1部品を実装する際のノズルによる実装位置の補正量に基づいて補正するとともに、第1部品の寸法に合わせた部品寸法枠に基づいて切り出した第1認識画像と、撮像部による撮像に基づく第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1部品認識画像を補正することにより、第1認識画像と第2認識画像との位置合わせを行うことができるので、第1認識画像と第2認識画像との比較を容易に行うことができる。その結果、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を効率的に行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、撮像部は、ノズルに吸着された部品を撮像する部品撮像部を有し、制御装置は、部品撮像部により撮像された第1部品認識画像を補正して切り出した第1認識画像と、部品撮像部による撮像に基づく第2認識画像との比較に基づいて、基板の実装位置に部品を実装する際のノズルによる実装位置の補正量が正常か否かを判定するとともに、ノズルによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因が部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因が部品撮像部により撮像された部品の認識不良に起因してノズルによる実装位置の補正が正しくできないという部品認識作業である場合に、実装不良の原因を部品認識作業であると容易に特定することができる。
【0013】
上記制御装置が第1部品認識画像を補正した第1認識画像と、第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成された部品実装システムにおいて、好ましくは、撮像部は、ノズルに吸着された部品を撮像する部品撮像部を有し、制御装置は、部品撮像部により撮像された第1部品認識画像を補正して切り出した第1認識画像と、部品撮像部による撮像に基づく第2認識画像との比較に基づいて、ノズルにより部品を吸着した際に部品を反転した状態で吸着したか否かを判定するとともに、部品を反転した状態で吸着していた場合、実装不良の原因が部品供給作業または部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因が部品を供給する際に部品が反転した状態で供給されたという部品供給作業、または、反転された状態の部品を正常な部品として誤って認識した部品認識作業である場合に、実装不良の原因を部品供給作業または部品認識作業であると容易に特定することができる。
【0014】
上記制御装置が第1部品認識画像を補正した第1認識画像と、第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成された部品実装システムにおいて、好ましくは、撮像部は、基板の位置を調整するための基板認識マークを撮像する基板撮像部を含み、制御装置は、基板撮像部により撮像された基板認識画像を基板認識マークの位置ずれ量に基づく補正量に基づいて補正するとともに、基板認識マークに合わせたマーク寸法枠に基づいて切り出した第1認識画像と、基板撮像部による撮像に基づく第2認識画像との比較に基づいて、基板認識マークの位置ずれ量に基づく補正量が正常か否かを判定するとともに、ノズルによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因を基板認識マークの認識作業と特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因が基板認識マークが位置ずれしているにも関わらず正常であると誤って認識した基板認識マークの認識作業である場合に、実装不良の原因を基板認識マークの認識作業に容易に特定することができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御装置は、基板の検査において部品の実装が不良と判定された場合、および、基板の検査において部品の実装が正常と判定された場合の各々の、ノズルにより部品を吸着した際の吸着位置、および、ノズルの負圧の計測値に基づいて、ノズルの吸着状態が正常か否かを判定するとともに、ノズルの吸着状態が不良である場合、実装不良の原因を吸着作業と特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因が口径が合っていないノズルで部品を吸着したことに起因してノズルの負圧の計測値が不良であるという吸着作業である場合に、実装不良の原因を吸着作業であると容易に特定することができる。
【0016】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、撮像部は、ノズルに吸着された部品を撮像する部品撮像部を有し、制御装置は、部品実装装置において部品を基板に実装している際、実装中の部品を部品撮像部により撮像した第2部品認識画像に基づくノズルによる実装位置の補正量および第2部品認識画像を部品実装装置から取得したことに基づいて、ノズルによる実装位置の補正量が適切か否かを判定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する際の処理を利用して、部品実装装置において部品を基板に実装している最中に取得された実装位置の補正量および部品認識画像に基づいて、ノズルによる実装位置の補正量が適切でない場合を判定することにより、実装不良の発生のおそれがあることを予測することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、制御装置は、部品撮像部により撮像された第2部品認識画像に基づく第3認識画像と、ノズルによる実装位置の補正量および第2部品認識画像を取得するために部品撮像部により撮像された部品と同品種の第1部品の第1認識画像との差分画像に基づいて、ノズルによる実装位置の補正量が適切か否かを判定するとともに、ノズルによる実装位置の補正量が適切でない場合、部品実装装置を停止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する際の処理を利用して、基板に部品を実装している最中にノズルによる実装位置の補正量が適切か否かを判定することにより、実装不良が発生するか否かを予測することができる。その結果、実装不良のおそれがあると予測される場合には部品実装装置を停止することができるので、実装不良の発生を抑制することができる。
【0018】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御装置は、第2認識画像を複数取得するとともに、複数の第2認識画像を学習したことに基づく学習結果を部品実装装置に送信する制御を行うように構成されており、部品実装装置は、取得した学習結果および撮像部により撮像された認識画像に基づいて、実装不良が発生するか否かを予測し、実装不良の発生が予測される場合、部品実装装置を停止する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、学習結果および認識画像に基づいて実装不良のおそれがあると予測される場合には部品実装装置を停止することができるので、実装不良の発生を抑制することができる。
【0019】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御装置は、第1部品の基板の実装位置と不良の原因となった部品実装装置の作業とを関連付けて表示部に表示する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1部品の基板の実装位置に対応する不良の原因となった部品実装装置の作業を表示部において視覚的に表示することができるので、作業者が第1部品の基板の実装位置に対応する不良の原因となった部品実装装置の作業を容易に確認することができる。
【0020】
この場合、好ましくは、制御装置は、表示部に表示された第1部品の実装位置を選択する操作を受け付けたことに基づいて、第1認識画像、第2認識画像、および、不良の原因となった部品実装装置の作業を含む不良情報表示画面を表示部に表示する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、作業者が表示部に表示された不良情報表示画面を確認することにより、作業者は第1認識画像、第2認識画像、および、不良の原因となった部品実装装置の作業を確認することができるので、不良の原因となった部品実装装置の作業に関連する記録を容易に確認することができる。
【0021】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置よりも下流に配置され、部品実装装置により部品が実装された基板の検査を行う検査装置をさらに備え、制御装置は、検査装置の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、第1認識画像と第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検査装置の検査を利用して実装不良の原因となった部品実装装置の作業の特定を行うことが可能な部品実装システムを実現することができる。
【0022】
この発明の第2の局面による部品実装方法は、部品実装装置の実装部により基板に部品を実装するステップと、実装部により部品を実装した基板を検査するステップと、基板の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、第1部品の実装に関連する第1認識画像と、検査において実装が正常と判定された第1部品と同じ品種の第2部品の実装に関する第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定するステップとを備える。
【0023】
この発明の第2の局面による部品実装方法では、上記のように、基板の検査において実装不良と判定された第1部品がある場合、第1認識画像と、第2認識画像との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定するステップを設ける。これにより、自動で実装不良の原因となった部品実装装置の作業を特定することができるので、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な部品実装方法を提供できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の部品実装システムを示した模式図である。
【
図2】第1実施形態の部品実装システムの印刷装置の構成を示した模式図である。
【
図3】第1実施形態の部品実装システムの部品実装装置の構成を示した模式図である。
【
図4】第1実施形態の部品実装システムの第1検査装置の構成を示した模式図である。
【
図5】第1実施形態の部品実装システムの第2検査装置の構成を示した模式図である。
【
図6】第1実施形態の部品実装システムの画像サーバの構成を示した模式図である。
【
図7】第1実施形態の部品実装システムの装置データサーバの構成を示した模式図である。
【
図8】第1実施形態の部品実装システムの検査データサーバの構成を示した模式図である。
【
図9】第1実施形態の部品実装システムの制御装置の構成を示した模式図である。
【
図10】第1実施形態の部品実装システムのクライアント端末の構成を示した模式図である。
【
図11】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により作成された第1リストを示した模式図である。
【
図12】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により作成された第2リストを示した模式図である。
【
図13】第1実施形態の部品実装システムの第1基板認識画像に基づく第1認識画像を示した模式図である。
【
図14】第1実施形態の部品実装システムの第2基板認識画像に基づく第2認識画像を示した模式図である。
【
図15】第1実施形態の部品実装システムの第1部品認識画像に基づく第1認識画像を示した模式図である。
【
図16】第1実施形態の部品実装システムの第2部品認識画像に基づく第2認識画像を示した模式図である。
【
図17】第1実施形態の部品実装システムの第1部品認識画像に基づく反転した第1認識画像を示した模式図である。
【
図18】第1実施形態の部品実装システムの第2部品認識画像に基づく反転していない第2認識画像を示した模式図である。
【
図19】第1実施形態の部品実装システムの制御装置による不良情報表示画面を示した模式図である。
【
図20】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により作成された第3リストを示した模式図である。
【
図21】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により作成された第4リストを示した模式図である。
【
図22】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により作成されたパレート図である。
【
図23】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法を示したフローチャートである。
【
図24】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法のFIマーク認識画像判定を示したフローチャートである。
【
図25】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の部品認識画像判定を示したフローチャートである。
【
図26】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の部品反転認識画像判定を示したフローチャートである。
【
図27】第1実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の吸着位置ずれ量判定を示したフローチャートである。
【
図28】第2実施形態の部品実装システムを示した模式図である。
【
図29】第2実施形態の部品実装システムの第1部品認識画像に基づく第1認識画像を示した模式図である。
【
図30】第2実施形態の部品実装システムの第2部品認識画像に基づく第2認識画像を示した模式図である。
【
図31】第2実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される実装不良予測方法を示したフローチャートである。
【
図32】第3実施形態の部品実装システムを示した模式図である。
【
図33】第3実施形態の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の部品認識画像判定を示したフローチャートである。
【
図34】第1実施形態の第1変形例の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の部品認識画像判定を示したフローチャートである。
【
図35】第1実施形態の第2変形例の部品実装システムの制御装置により実施される部品実装方法の部品認識画像判定を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1~
図27を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0028】
(部品実装システムの構成)
図1に示すように、部品実装システム100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)をプリント基板Pbなどに実装して、部品Eが実装された基板Pを製造するシステムである。
【0029】
部品実装システム100は、印刷装置1と、部品実装装置2と、第1検査装置3と、リフロー炉4と、第2検査装置5と、画像サーバ6と、装置データサーバ7と、検査データサーバ8と、制御装置9と、クライアント端末10とを備えている。
【0030】
(印刷装置)
図1および
図2に示すように、印刷装置1は、プリント基板Pbにはんだをスクリーン印刷する印刷作業を行う装置である。印刷装置1は、スクリーンマスク11と、スキージ12と、マスク撮像部13と、印刷検査撮像部14と、通信部15と、CPU(Central Processing Unit)16と、記憶部17とを含んでいる。
【0031】
スキージ12は、プリント基板Pbに押し付けられたスクリーンマスク11上に乗せたはんだを塗り広げるように構成されている。これにより、所定パターンのはんだがプリント基板Pbに印刷(転写)される。
【0032】
マスク撮像部13は、スクリーンマスク11の撮像画像を撮像するように構成されている。印刷装置1では、スクリーンマスク11の撮像画像に基づいて、スクリーンマスク11を検査が行われる。これにより、たとえば、スクリーンマスク11の目詰まりを検出可能である。
【0033】
印刷検査撮像部14は、はんだが印刷された印刷作業後のプリント基板Pbの撮像画像を撮像するように構成されている。印刷装置1では、印刷作業後のプリント基板Pbの撮像画像に基づいて、プリント基板Pb上のはんだの検査が行われる。これにより、たとえば、プリント基板Pb上のはんだのにじみ、かすれ、位置ずれ量などが検査可能である。また、印刷装置1では、プリント基板Pb上のはんだの検査結果に基づいて、プリント基板Pb上のはんだが良か不良かの判断が行われる。
【0034】
通信部15は、印刷装置1以外の他の装置(部品実装装置2、第1検査装置3、リフロー炉4、および、第2検査装置5)と通信を行うように構成されている。
【0035】
記憶部17には、マスク撮像部13により撮像された撮像画像および印刷検査撮像部14により撮像された撮像画像が画像データとして記憶される。
【0036】
(部品実装装置)
図1および
図3に示すように、部品実装装置2は、はんだが印刷されたプリント基板Pbに部品Eを実装する実装作業を行う装置である。部品実装装置2は、実装部21と、部品撮像部22と、基板撮像部23と、テープフィーダ24と、通信部25と、CPU26と、記憶部27とを含んでいる。なお、部品撮像部22および基板撮像部23の各々は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0037】
実装部21は、実装ヘッド21aと、負圧計測部21bとを含んでいる。実装ヘッド21aは、部品EをノズルNにより吸着してプリント基板Pbに実装するように構成されている。実装ヘッド21aには、部品Eをプリント基板Pbに実装する際に部品Eを吸着するノズルNが着脱可能に取り付けられる。負圧計測部21bは、実装ヘッド21aの負圧を計測するように構成されている。負圧計測部21bは、実装ヘッド21aの負圧を計測するセンサである。
【0038】
部品撮像部22は、実装ヘッド21aのノズルNに吸着された部品Eを下側から撮像するように構成されている。これにより、部品撮像部22により部品Eを撮像した部品認識画像Gc(
図15および
図16を参照)が取得される。部品実装装置2は、部品撮像部22により撮像された部品認識画像Gcに基づいて、実装ヘッド21aのノズルNに吸着された部品Eを検査するように構成されている。これにより、たとえば、部品Eの下側から見た吸着状態、部品EのノズルNの中心位置に対する位置ずれ量、部品Eのサイズ(奥行および幅)などが検査可能である。また、部品実装装置2では、部品EのノズルNの中心位置に対する位置ずれ量を取得した場合、部品Eを実装する際のノズルNによる実装位置を補正する補正量が取得される。
【0039】
基板撮像部23は、プリント基板Pbへの部品Eの実装に先立って、プリント基板Pbの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク))Fi1(Fi2)(
図13および
図14を参照)を撮像するように構成されている。これにより、基板撮像部23によりプリント基板PbのFIマークFi1(Fi2)を撮像した基板認識画像Gs(
図13および
図14を参照)が取得される。FIマークFi1(Fi2)は、基板の位置を調整するためのマークである。部品実装装置2は、基板撮像部23により撮像された基板認識画像Gsに基づいて、プリント基板Pbの位置を検査するように構成されている。これにより、たとえば、プリント基板Pbの基板搬送方向における位置ずれなどを調整可能である。なお、FIマークFi1およびFIマークFi2は、請求の範囲の「基板認識マーク」の一例である。
【0040】
テープフィーダ24は、部品実装装置2のフィーダ配置部に複数配置されている。テープフィーダ24は、プリント基板Pbに実装される部品Eを供給するように構成されている。テープフィーダ24は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープを巻き回したリール(図示せず)を保持している。
【0041】
通信部25は、部品実装装置2以外の他の装置(印刷装置1、第1検査装置3、リフロー炉4、および、第2検査装置5)と通信を行うように構成されている。部品実装装置2では、通信部25によりテープフィーダ24のID(Identification)であるフィーダ番号が装置データサーバ7に送信される。部品実装装置2では、通信部25によりノズルNのIDであるノズル番号が装置データサーバ7に送信される。部品実装装置2では、通信部25により実装ヘッド21aのIDであるヘッド番号が装置データサーバ7に送信される。部品実装装置2では、通信部25により部品撮像部22のIDである第1カメラ番号が装置データサーバ7に送信される。部品実装装置2では、通信部25により基板撮像部23のIDである第2カメラ番号が装置データサーバ7に送信される。
【0042】
記憶部27には、部品撮像部22により撮像された撮像画像および基板撮像部23により撮像された撮像画像が画像データとして記憶される。
【0043】
(第1検査装置)
図1および
図4に示すように、第1検査装置3は、部品実装装置2により部品Eが実装された基板P上の部品Eの検査する装置である。第1検査装置3は、部品実装装置2よりも基板搬送方向の下流に配置されている。第1検査装置3は、検査撮像部31と、通信部32と、CPU33と、記憶部34とを含んでいる。
【0044】
検査撮像部31は、プリント基板Pb上の実装位置の部品Eを撮像するように構成されている。第1検査装置3は、実装作業後のプリント基板Pb上の部品Eの撮像画像に基づいて、プリント基板Pb上の部品Eを検査するように構成されている。これにより、たとえば、プリント基板Pb上のはんだの不足、部品Eの位置ずれ量、部品Eの浮きなどを検査可能である。また、第1検査装置3では、プリント基板Pb上の部品Eの検査結果に基づいて、プリント基板Pb上の部品Eの実装が正常かまたは不良かの判定が行われる。
【0045】
通信部32は、第1検査装置3以外の他の装置(印刷装置1、部品実装装置2、リフロー炉4、第2検査装置5および検査データサーバ8)と通信を行うように構成されている。
【0046】
記憶部34には、検査撮像部31により撮像された撮像画像が画像データとして記憶される。
【0047】
(リフロー炉)
図1に示すように、リフロー炉4は、部品Eを実装した基板Pを製造するための基板製造作業として、プリント基板Pbに印刷されたはんだを溶融させて固化させることにより、部品Eをプリント基板Pbに接合するリフロー作業を行う。リフロー炉4は、図示しないが、リフロー炉4以外の他の装置(印刷装置1、部品実装装置2、第1検査装置3、および、第2検査装置5)と通信を行うことが可能な通信部を含んでいる。
【0048】
(第2検査装置)
図1および
図5に示すように、第2検査装置5は、リフロー作業後のプリント基板Pb上の部品Eを検査する装置である。第2検査装置5は、部品実装装置2よりも基板搬送方向の下流に配置されている。第2検査装置5は、検査撮像部51と、通信部52と、CPU53と、記憶部54とを含んでいる。
【0049】
検査撮像部51は、プリント基板Pb上の実装位置の部品Eを撮像するように構成されている。第2検査装置5は、リフロー作業後のプリント基板Pb上の部品Eの撮像画像に基づいて、プリント基板Pb上の部品Eを検査するように構成されている。これにより、たとえば、プリント基板Pb上のはんだの不足、部品Eの位置ずれ量および部品Eの浮きなどを検査可能である。また、第2検査装置5では、プリント基板Pb上の部品Eの検査結果に基づいて、プリント基板Pb上の部品Eの実装が正常かまたは不良かの判定が行われる。
【0050】
通信部52は、第2検査装置5以外の他の装置(印刷装置1、部品実装装置2、第1検査装置3、リフロー炉4および検査データサーバ8)と通信を行うように構成されている。
【0051】
記憶部54には、検査撮像部51により撮像された撮像画像が画像データとして記憶される。
【0052】
(画像サーバ)
図1および
図6に示すように、画像サーバ6は、部品撮像部22により撮像された部品Eの部品認識画像Gc、および、基板撮像部23により撮像されたFIマークFi1(Fi2)の基板認識画像Gsを管理するサーバである。画像サーバ6は、通信部61と、CPU62と、記憶部63となどを含んでいる。通信部61は、部品実装装置2と通信を行うように構成されている。記憶部63には、部品認識画像Gcおよび基板認識画像Gsが記憶されている。画像サーバ6は、部品実装装置2において部品撮像部22により部品認識画像Gcが撮像される毎に、部品認識画像Gcを部品実装装置2から受信する。画像サーバ6は、部品実装装置2において基板撮像部23により基板認識画像Gsが撮像される毎に、基板認識画像Gsを部品実装装置2から受信する。
【0053】
(装置データサーバ)
図1および
図7に示すように、装置データサーバ7は、部品撮像部22により撮像された部品認識画像Gcに基づく部品EのノズルNの中心位置に対する吸着位置ずれ量Vp、および、負圧計測部21bにより計測された実装ヘッド21aの負圧計測値Prなどを管理するサーバである。装置データサーバ7は、通信部71と、CPU72と、記憶部73となどを含んでいる。通信部71は、部品実装装置2と通信を行うように構成されている。記憶部73には、吸着位置ずれ量Vpおよび負圧計測値Prが記憶されている。記憶部73には、吸着位置ずれ量Vpおよび負圧計測値Prの他に、フィーダ番号、基板識別番号、ライン番号、ノズル番号、フィーダ番号、および、部品番号などが記憶されている。
【0054】
(検査データサーバ)
図1および
図8に示すように、検査データサーバ8は、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常かまたは不良かの第1検査装置3における第1判定結果R1、および、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常かまたは不良かの第2検査装置5における第2判定結果R2を管理するサーバである。検査データサーバ8は、通信部81と、CPU82と、記憶部83となどを含んでいる。通信部71は、部品実装装置2と通信を行うように構成されている。記憶部73には、第1判定結果R1および第2判定結果R2が記憶されている。記憶部73には、第1判定結果R1に関連付けられた第1検査画像および第2判定結果R2に関連付けられた第2検査画像が記憶されている。検査データサーバ8は、基板Pが1枚製造される毎に、第1判定結果R1、第1検査画像、第2判定結果R2および第2検査画像を取得するように構成されている。
【0055】
(制御装置)
図1および
図7に示すように、制御装置9は、画像サーバ6に記憶された情報、装置データサーバ7に記憶された情報および検査データサーバ8に記憶された情報に基づいて、第1判定結果R1および第2判定結果R2の各々に含まれる実装不良の原因を特定する制御を行うように構成されている。制御装置9は、表示部91と、通信部92と、CPU93と、記憶部94とを含んでいる。表示部91は、液晶画面により構成されている。通信部92は、画像サーバ6、装置データサーバ7および検査データサーバの各々と通信を行うように構成されている。記憶部94には、実装不良の原因を特定する不良原因特定プログラムPgが記憶されている。不良原因特定プログラムPgについては、後に詳細に説明する。
【0056】
(クライアント端末)
図1および
図10に示すように、クライアント端末10は、作業者が操作する据置型のパーソナルコンピュータなどの端末である。クライアント端末10は、表示部101と、通信部102と、CPU103と、記憶部104とを含んでいる。表示部101は、液晶画面により構成されている。表示部101は、制御装置9から送信された情報を画面に表示するように構成されている。通信部102は、制御装置9と通信を行うように構成されている。
【0057】
(不良原因特定プログラム)
図11および
図12に示すように、第1実施形態の制御装置9は、部品実装装置2により部品Eが実装された基板の検査において実装不良と判定された第1部品E1がある場合、第1部品E1の実装に関連する第1認識画像Gr1と、検査において実装が正常と判定された第1部品E1と同じ品種の第2部品E2の実装に関する第2認識画像Gr2との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行うように構成されている。すなわち、制御装置9は、第1検査装置3および第2検査装置5の各々の検査において実装不良と判定された第1部品E1がある場合、第1認識画像Gr1と第2認識画像Gr2との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行うように構成されている。
【0058】
図11には、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定した結果の一例が示されている。すなわち、実装位置番号2に実装された部品Eの実装不良の原因は、FIマークFi1の誤認識であると特定されている。実装位置番号13に実装された部品Eの実装不良の原因は、部品誤認識であると特定されている。実装位置番号23に実装された部品Eの実装不良の原因は、部品反転であると特定されている。実装位置番号24に実装された部品Eの実装不良の原因は、不明であるので、特定されていない。実装位置番号30に実装された部品Eの実装不良の原因は、吸着姿勢であると特定されている。
【0059】
図12には、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定するために実施した判定の判定結果および関連する数値の一例が示されている。実装位置番号2、実装位置番号13、実装位置番号23、実装位置番号24および実装位置番号30の各々の実装不良の原因の特定のために、上記判定が行われている。
【0060】
図11および
図12を参照して、実装位置番号2の部品Eの実装不良の原因の特定を一例として以下に記載する。
【0061】
〈FIマーク認識画像判定〉
まず、FIマーク認識画像判定が行われる。すなわち、制御装置9は、FIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量およびFIマークFi1に合わせたマーク寸法枠Fsに基づいて基板認識画像Gsを変換した第1認識画像Gr1(
図13を参照)と、第2認識画像Gr2(
図14を参照)との比較に基づいて、FIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量が正常か否かを判定する制御を行うように構成されている。制御装置9は、FIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量が不良である場合、実装不良の原因をFIマークFi1の認識作業と特定する制御を行うように構成されている。
【0062】
具体的には、制御装置9は、検査データサーバ8から部品Eの実装が不良と判断された第1部品E1の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた第1基板認識画像Gs1を画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、FIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量に基づいて基板撮像部23によりFIマークFi1を撮像した第1基板認識画像Gs1を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、FIマークFi1の寸法に合わせたマーク寸法枠Fsに基づいて、移動させた第1基板認識画像Gs1のうちのマーク寸法枠Fsの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第1認識画像Gr1(
図13を参照)である。
【0063】
制御装置9は、検査データサーバ8から第1部品E1と同じ品種の実装が正常と判断された第2部品E2の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた第2基板認識画像Gs2を画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、FIマークFi2の位置ずれ量に基づく補正量に基づいて基板撮像部23によりFIマークFi2を撮像した第2基板認識画像Gs2を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、FIマークFi2の寸法に合わせたマーク寸法枠Fsに基づいて、移動させた第2基板認識画像Gs2のうちのマーク寸法枠Fsの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第2認識画像Gr2である。ここで、第2認識画像Gr2は、複数取得される。
【0064】
制御装置9は、正常実装時の画像である複数の第2認識画像Gr2に基づいて、第2認識画像Gr2が部品Eの実装が正常となる画像であると機械学習を実施することにより、FIマーク認識画像学習データを取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、FIマーク認識画像学習データに含まれる画素値の情報(ヒストグラム)と第1認識画像Gr1の画素値の情報(ヒストグラム)とに基づいて、FIマーク認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値を取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、FIマーク認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値が第1類似範囲内か否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0065】
ここで、実装位置番号2では、取得した類似度を示す数値が第1類似範囲外であるので、FIマークFi1を認識したことに基づく、部品EのノズルNによる実装位置の補正量が不良であると制御装置9により判定される。これにより、FIマークFi1の認識が誤っており、部品EのノズルNによる実装位置の補正量が誤ってしまったことが実装不良の原因だと制御装置9により判定される。また、この実装不良を解消するための対処法としては、制御装置9により、基板撮像部23によりFIマークFi1を撮像する際の基板撮像部23の移動量などを含む基板認識パラメータの確認が示される。
【0066】
〈部品認識画像判定〉
次に、
図11および
図12に示すように、部品認識画像判定が行われる。すなわち、制御装置9は、第1部品E1を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量および第1部品E1の寸法に合わせた部品寸法枠Fcに基づいて第1部品認識画像Gc1を変換した第1認識画像Gr1(
図15を参照)と、第2部品E2を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量および部品寸法枠Fcに基づいて第2部品認識画像Gc2を変換した第2認識画像Gr2との比較に基づいて、基板の実装位置に部品Eを実装する際のノズルNによる実装位置の補正量が正常か否かを判定する制御を行うように構成されている。また、制御装置9は、ノズルNによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因が部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。
【0067】
具体的には、制御装置9は、検査データサーバ8から部品Eの実装が不良と判断された第1部品E1の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた第1部品認識画像Gc1を画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第1部品E1を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて部品撮像部22により第1部品E1を撮像した第1部品認識画像Gc1を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、第1部品E1の寸法に合わせた部品寸法枠Fcに基づいて、移動させた第1部品認識画像Gc1のうちの部品寸法枠Fcの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第1認識画像Gr1(
図15を参照)である。
【0068】
制御装置9は、検査データサーバ8から第1部品E1と同じ品種の実装が正常と判断された第2部品E2の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた基板認識画像Gsを画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第2部品E2を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて部品撮像部22により第2部品E2を撮像した第2部品認識画像Gc2を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、部品寸法枠Fcに基づいて、移動させた第2部品認識画像Gc2のうちの部品寸法枠Fcの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第2認識画像Gr2(
図16を参照)である。ここで、第2認識画像Gr2は、複数取得される。
【0069】
制御装置9は、正常実装時の画像である複数の第2認識画像Gr2に基づいて、第2認識画像Gr2が部品Eの実装が正常となる画像であると機械学習を実施することにより、部品認識画像学習データを取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、部品認識画像学習データに含まれる画素値の情報(ヒストグラム)と第1認識画像Gr1の画素値の情報(ヒストグラム)とに基づいて、部品認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値を取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、部品認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値が第2類似範囲内か否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0070】
ここで、実装位置番号2では、取得した類似度を示す数値が第2類似範囲内である。これにより、実装位置番号2では、部品認識画像判定は正常であると制御装置9により判定される。
【0071】
〈部品反転認識画像判定〉
また、部品反転認識画像判定として部品Eが反転したか否かの判定が行われる。すなわち、制御装置9は、第1部品認識画像Gc1を変換した第1認識画像Gr1と、第2部品認識画像Gc2を変換した第2認識画像Gr2との比較に基づいて、ノズルNにより部品Eを吸着した際に部品Eを反転した状態で吸着したか否かを判定する制御を行うように構成されている。また、制御装置9は、部品Eを反転した状態で吸着していた場合、実装不良の原因が部品供給作業または部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。
【0072】
具体的には、制御装置9は、検査データサーバ8から部品Eの実装が不良と判断された第1部品E1の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた第1部品認識画像Gc1を画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第1部品E1を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて部品撮像部22により第1部品E1を撮像した第1部品認識画像Gc1を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、第1部品E1の寸法に合わせた部品寸法枠Fcに基づいて、移動させた第1部品認識画像Gc1のうちの部品寸法枠Fcの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第1認識画像Gr1(
図17を参照)である。
【0073】
制御装置9は、検査データサーバ8から第1部品E1と同じ品種の実装が正常と判断された第2部品E2の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた基板認識画像Gsを画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第2部品E2を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて部品撮像部22により第2部品E2を撮像した第2部品認識画像Gc2を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。ここで、補正量は、装置データサーバ7に記憶されている。制御装置9は、部品寸法枠Fcに基づいて、移動させた第2部品認識画像Gc2のうちの部品寸法枠Fcの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第2認識画像Gr2(
図18を参照)である。ここで、第2認識画像Gr2は、複数取得される。
【0074】
制御装置9は、正常実装時の画像である複数の第2認識画像Gr2に基づいて、第2認識画像Gr2が部品Eの実装が正常となる画像であると機械学習を実施することにより、部品反転認識画像学習データを取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、部品反転認識画像学習データに含まれる画素値の情報(ヒストグラム)と第1認識画像Gr1の画素値の情報(ヒストグラム)とに基づいて、部品反転認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値を取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、部品反転認識画像学習データと第1認識画像Gr1との類似度を示す数値が第3類似範囲内か否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0075】
ここで、実装位置番号2では、取得した類似度を示す数値が第3類似範囲内である。これらにより、実装位置番号2では、部品反転認識画像判定は正常であると制御装置9により判定される。
【0076】
〈吸着位置ずれ量判定〉
次に、
図11および
図12に示すように、吸着位置ずれ量判定が行われる。すなわち、制御装置9は、基板の検査において部品Eの実装が不良と判定された場合、および、基板の検査において部品Eの実装が正常と判定された場合の各々の、ノズルNにより部品Eを吸着した際の吸着位置、および、ノズルNの負圧の計測値に基づいて、ノズルNの吸着状態が正常か否かを判定する制御を行うように構成されている。また、制御装置9は、ノズルNの吸着状態が不良である場合、実装不良の原因を吸着作業と特定する制御を行うように構成されている。
【0077】
具体的には、制御装置9は、検査データサーバ8から部品Eの実装が不良と判断された第1部品E1の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた吸着位置ずれ量Vpおよび負圧計測値Prを装置データサーバ7から取得する制御を行うように構成されている。
【0078】
制御装置9は、検査データサーバ8から第1部品E1と同じ品種の実装が正常と判断された第2部品E2の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた吸着位置ずれ量Vpおよび負圧計測値Prを装置データサーバ7から取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpに基づいて、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値および標準偏差を取得する制御を行うように構成されている。制御装置9は、正常実装時の負圧計測値Prに基づいて、正常実装時の負圧計測値Prの平均値および標準偏差を取得する制御を行うように構成されている。
【0079】
制御装置9は、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値および標準偏差に基づいて、実装不良時の吸着位置ずれ量Vpが、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値から正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの標準偏差の3倍を減算した数値と、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値から正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの標準偏差の3倍を加算した数値との間(第1所定範囲)にあるか否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0080】
制御装置9は、正常実装時の負圧計測値Prの平均値および標準偏差に基づいて、実装不良時の負圧計測値Prが、正常実装時の負圧計測値Prの平均値から正常実装時の負圧計測値Prの標準偏差の3倍を減算した数値と、正常実装時の負圧計測値Prの平均値から正常実装時の負圧計測値Prの標準偏差の3倍を加算した数値との間(第2所定範囲)にあるか否かを判定する制御を行うように構成されている。
【0081】
ここで、実装位置番号2では、実装不良時の吸着位置ずれ量Vpは第1所定範囲内であるとともに、実装不良時の負圧計測値Prは第2所定範囲内であるので、吸着位置ずれ量判定は正常であると判定される。
【0082】
〈不良情報表示画面〉
また、
図11、
図12および
図19に示すように、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置と実装不良の原因となった部品実装装置2の作業とを関連付けて表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0083】
具体的には、
図11に示すように、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置と実装不良の原因となった部品実装装置2の作業とに基づいて、第1部品E1の基板の実装位置と基板製造作業の不良の原因とを関連付けた第1リストL1を作成して表示部101に表示する制御を行うように構成されている。また、
図12に示すように、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置および実装不良の原因を特定するために行われた判定の判定結果に基づいて、第1部品E1の基板の実装位置と判定結果とを関連付けた第2リストL2を作成して表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0084】
図19に示すように、制御装置9は、表示部101に表示された第1リストL1または第2リストL2における第1部品E1の実装位置を選択する操作を受け付けたことに基づいて、第1認識画像Gr1、第2認識画像Gr2、および、不良の原因となった部品実装装置2の作業を含む不良情報表示画面Gfを表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0085】
図19に示す不良情報表示画面Gfには、吸着位置ずれ量判定において、部品Eの吸着時の位置ずれ量に起因して部品Eの実装不良が発生した場合を一例として示されている。
図19の不良情報表示画面Gfには、一例として、原因が吸着位置ずれ量Vpであることが示されている。
図19の不良情報表示画面Gfには、一例として、第1検査装置3の実装位置の位置ずれ量の検査結果が不良であることが示されている。
図19の不良情報表示画面Gfには、一例として、部品認識画像判定の判定結果、吸着位置ずれ量判定の判定結果が示されている。
図19の不良情報表示画面Gfには、一例として、ノズルNによる第1部品E1の吸着後の第1部品認識画像Gc1、第1検査装置3において撮像された第1部品E1の第1検査画像Gh1、第2検査装置5において撮像された第1部品E1の第2検査画像Gh2、ノズルNによる第2部品E2の吸着後の第2部品認識画像Gc2、および、基板撮像部23により撮像されたFIマークFi1の第1基板認識画像Gs1が示されている。
図19の不良情報表示画面Gfには、一例として、実装ヘッド21aの番号およびノズルNの番号を含む関連部位情報が示されている。
【0086】
図20に示すように、制御装置9は、制御装置9において第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因を自動で特定した結果と、作業者により第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因を手動で特定した結果とを並べた第3リストL3を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。これにより、作業者は、自動で特定した結果と手動で特定した結果とが不一致の項目に関して、一致するように、制御装置9において第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因を自動で特定するためのアルゴリズムの改良を行う機会を得ることが可能となる。なお、
図20において不一致の項目にはハッチングを付している。
【0087】
図21に示すように、制御装置9は、
図19に示す不良情報表示画面Gfに表示された関連部位情報の第4リストL4を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0088】
図22に示すように、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因別に件数を集計した集計情報に基づいて、件数が多いものから順に並べたパレート図を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。これにより、作業者は、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因を解消するための作業の優先度を決定しやすくなる。
【0089】
また、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の原因を可視化するために、第1リストL1、第2リストL2、第3リストL3、第4リストL4、および、不良情報表示画面Gfを表示部101に表示する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第4リストL4に表示された生産機種名、および、実装位置番号の各々における、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の発生数を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0090】
制御装置9は、第4リストL4に表示されたライン番号毎の、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の発生数を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第4リストL4に表示されたノズル番号毎の、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の発生数を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。制御装置9は、第4リストL4に表示された部品番号毎の、第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の発生数を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0091】
制御装置9は、たとえば、第4リストL4に表示された部品番号とライン番号とを掛け合わせて第1部品E1の基板の実装位置の実装不良の発生数を集計するクロス集計の集計結果を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。制御装置9は、原因が不明と特定された件数を実装不良の発生数の総数で除算した判定率を表示部101に表示する制御を行うように構成されている。
【0092】
(部品実装方法)
図23~
図27を参照して、制御装置9おいて実施される部品実装方法について以下に説明する。部品実装方法は、請求の範囲の「部品実装方法」の一例である。
【0093】
図23に示すように、ステップS1において、FIマーク画像認識判定が行われる。FIマーク画像認識判定については、後に詳細に説明する。ステップS2において、部品認識画像判定が行われる。部品認識画像判定については、後に詳細に説明する。ステップS3において、部品反転認識画像判定が行われる。部品反転認識画像判定については、後に詳細に説明する。ステップS4において、吸着位置ずれ量判定が行われた後、部品実装方法が終了する。吸着位置ずれ量判定については、後に詳細に説明する。
【0094】
〈FIマーク画像認識判定〉
図24を参照して、制御装置9において行われるFIマーク画像認識判定について説明する。
【0095】
図24に示すように、ステップS11において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が不良であると判定された第1部品E1の実装位置、および、第1部品E1の実装位置に関連付けられた第1基板認識画像Gs1が取得される。ステップS12において、第1基板認識画像Gs1に基づいて、第1基板認識画像Gs1に上記変換を行うことにより第1認識画像Gr1が取得される。ステップS13において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常であると判定された第2部品E2の実装位置、および、第2部品E2の実装位置に関連付けられた第2基板認識画像Gs2が取得される。ステップS14において、第2基板認識画像Gs2に基づいて、第2基板認識画像Gs2に上記変換を行うことにより第2認識画像Gr2が取得される。
【0096】
ステップS15において、機械学習により第2認識画像Gr2を学習して、FIマーク認識画像学習データが取得される。ステップS16において、FIマーク認識画像学習データと第1認識画像Gr1とを比較して類似度の数値が実施される。ステップS17において、類似度の数値が第1類似範囲内か否かが判断される。類似度の数値が第1類似範囲内である場合にはステップS18に進み、FIマークFi1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常であると判定された後、FIマーク認識画像判定が終了する。また、類似度の数値が第1類似範囲外である場合にはステップS19に進み、FIマークFi1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良であると判定された後、FIマーク認識画像判定が終了する。
【0097】
〈部品認識画像判定〉
図25を参照して、制御装置9において行われる部品認識画像判定について説明する。
【0098】
図25に示すように、ステップS21において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が不良であると判定された第1部品E1の実装位置、および、第1部品E1の実装位置に関連付けられた第1部品認識画像Gc1が取得される。ステップS22において、第1部品認識画像Gc1に基づいて、第1部品認識画像Gc1に上記変換を行うことにより第1認識画像Gr1が取得される。ステップS23において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常であると判定された第2部品E2の実装位置、および、第2部品E2の実装位置に関連付けられた第2部品認識画像Gc2が取得される。ステップS24において、第2部品認識画像Gc2に基づいて、第2部品認識画像Gc2に上記変換を行うことにより第2認識画像Gr2が取得される。
【0099】
ステップS25において、機械学習により第2認識画像Gr2を学習して、部品認識画像学習データが取得される。ステップS26において、部品認識画像学習データと第1認識画像Gr1とを比較して類似度の数値が実施される。ステップS27において、類似度の数値が第2類似範囲内か否かが判断される。類似度の数値が第2類似範囲内である場合にはステップS28に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常であると判定された後、部品認識画像判定が終了する。また、類似度の数値が第2類似範囲外である場合にはステップS29に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良であると判定された後、部品認識画像判定が終了する。
【0100】
〈部品反転認識画像判定〉
図26を参照して、制御装置9において行われる部品反転認識画像判定について説明する。
【0101】
図26に示すように、ステップS31において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が不良であると判定された第1部品E1の実装位置、および、第1部品E1の実装位置に関連付けられた第1部品認識画像Gc1が取得される。ステップS32において、第1部品認識画像Gc1に基づいて、第1部品認識画像Gc1に上記変換を行うことにより第1認識画像Gr1が取得される。ステップS33において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常であると判定された第2部品E2の実装位置、および、第2部品E2の実装位置に関連付けられた第2部品認識画像Gc2が取得される。ステップS34において、第2部品認識画像Gc2に基づいて、第2部品認識画像Gc2に上記変換を行うことにより第2認識画像Gr2が取得される。
【0102】
ステップS35において、機械学習により第2認識画像Gr2を学習して、部品反転認識画像学習データが取得される。ステップS36において、部品反転認識画像学習データと第1認識画像Gr1とを比較して類似度の数値が実施される。ステップS37において、類似度の数値が第3類似範囲内か否かが判断される。類似度の数値が第3類似範囲内である場合にはステップS38に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1の吸着姿勢が正常であると判定された後、部品反転認識画像判定が終了する。また、類似度の数値が第3類似範囲外である場合にはステップS39に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1が反転していたので、第1部品E1の吸着姿勢が不良であると判定された後、部品反転認識画像判定が終了する。
【0103】
〈吸着位置ずれ量判定〉
図27を参照して、制御装置9において行われる吸着位置ずれ量判定について説明する。
【0104】
図27に示すように、ステップS41において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が不良であると判定された第1部品E1の実装位置、負圧計測値Prおよび吸着位置ずれ量Vpが取得される。ステップS42において、プリント基板Pb上の実装位置に実装された部品Eの実装が正常であると判定された第2部品E2の実装位置、負圧計測値Prおよび吸着位置ずれ量Vpが取得される。ステップS43において、第2部品E2の負圧計測値Prの平均値および標準偏差が取得されるとともに、第2部品E2の吸着位置ずれ量Vpの平均値および標準偏差が取得される。
【0105】
ステップS44において、第1部品E1の吸着位置ずれ量Vpが上記第1所定範囲内であり、かつ、第1部品E1の負圧計測値Prが上記第2所定範囲内であるかが判定される。なお、第1所定範囲とは、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値から正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの標準偏差の3倍を減算した数値と、正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの平均値から正常実装時の吸着位置ずれ量Vpの標準偏差の3倍を加算した数値との間の範囲である。また、第2所定範囲とは、正常実装時の負圧計測値Prの平均値から正常実装時の負圧計測値Prの標準偏差の3倍を減算した数値と、正常実装時の負圧計測値Prの平均値から正常実装時の負圧計測値Prの標準偏差の3倍を加算した数値との間の範囲である。
【0106】
ステップS45において、第1部品E1の吸着位置ずれ量Vpが第1所定範囲内であり、かつ、第1部品E1の負圧計測値Prが第2所定範囲内であるか否かが判断される。第1部品E1の吸着位置ずれ量Vpが第1所定範囲内であり、かつ、第1部品E1の負圧計測値Prが第2所定範囲内である場合にはステップS46に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1の吸着姿勢が正常であると判定された後、吸着位置ずれ量判定が終了する。また、1部品E1の吸着位置ずれ量Vpが第1所定範囲外、および、第1部品E1の負圧計測値Prが第2所定範囲外の少なくともいずれかである場合にはステップS47に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1の吸着姿勢が不良であると判定された後、吸着位置ずれ量判定が終了する。
【0107】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
第1実施形態では、上記のように、部品実装システム100は、第1認識画像Gr1と、第2認識画像Gr2との比較に基づいて、不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行う制御装置9を備えている。これにより、制御装置9により自動で実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定することができるので、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することができる。また、制御装置9において自動で実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定することができるので、作業者により実装不良の原因を特定する作業を行う場合と比べて、実装不良の原因の特定に要する時間を短縮することができる。また、制御装置9において自動で実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定することにより、作業者が実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する場合と異なり、作業者毎に判断が異なることがないので実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する際の判断のばらつきを抑制することができる。また、特定された部品実装装置2の作業を記憶部94に記録することができるので、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業のデータを蓄積することができる。
【0109】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置9は、撮像部により第1部品E1を撮像した第1部品認識画像Gc1を第1部品E1を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて補正するとともに、第1部品E1の寸法に合わせた部品寸法枠Fcに基づいて切り出した第1認識画像Gr1と、撮像部による撮像に基づく第2認識画像Gr2との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行うように構成されている。これにより、第1部品認識画像Gc1を補正することにより、第1認識画像Gr1と第2認識画像Gr2との位置合わせを行うことができるので、第1認識画像Gr1と第2認識画像Gr2との比較を容易に行うことができる。この結果、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を効率的に行うことができる。
【0110】
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部は、ノズルNに吸着された部品Eを撮像する部品撮像部22を有している。制御装置9は、部品撮像部22により撮像された第1部品認識画像Gc1を補正して切り出した第1認識画像Gr1と、部品撮像部22による撮像に基づく第2認識画像Gr2との比較に基づいて、プリント基板Pbの実装位置に部品Eを実装する際のノズルNによる実装位置の補正量が正常か否かを判定するとともに、ノズルNによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因が部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因が部品撮像部22により撮像された部品Eの認識不良に起因してノズルNによる実装位置の補正が正しくできないという部品認識作業である場合に、実装不良の原因を部品認識作業であると容易に特定することができる。
【0111】
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部は、ノズルNに吸着された部品Eを撮像する部品撮像部22を有している。制御装置9は、部品撮像部22により撮像された第1部品認識画像Gc1を補正して切り出した第1認識画像Gr1と、部品撮像部22による撮像に基づく第2認識画像Gr2との比較に基づいて、ノズルNにより部品Eを吸着した際に部品Eを反転した状態で吸着したか否かを判定するとともに、部品Eを反転した状態で吸着していた場合、実装不良の原因が部品供給作業または部品認識作業であると特定する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因が部品Eを供給する際に部品Eが反転した状態で供給されたという部品供給作業、または、反転された状態の部品Eを正常な部品Eとして誤って認識した部品認識作業である場合に、実装不良の原因を部品供給作業または部品認識作業であると容易に特定することができる。
【0112】
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部は、基板の位置を調整するためのFIマークFi1(Fi2)を撮像する基板撮像部23を含んでいる。制御装置9は、基板撮像部23により撮像された第1基板認識画像Gs1をFIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量に基づいて補正するとともに、FIマークFi1に合わせたマーク寸法枠Fsに基づいて切り出した第1認識画像Gr1と、基板撮像部23による撮像に基づく第2認識画像Gr2との比較に基づいて、FIマークFi1の位置ずれ量に基づく補正量が正常か否かを判定するとともに、ノズルNによる実装位置の補正量が不良である場合、実装不良の原因をFIマークFi1の認識作業と特定する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因がFIマークFi1が位置ずれしているにも関わらず正常であると誤って認識したFIマークFi1の認識作業である場合に、実装不良の原因をFIマークFi1の認識作業に容易に特定することができる。
【0113】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置9は、基板の検査において部品Eの実装が不良と判定された場合、および、基板の検査において部品Eの実装が正常と判定された場合の各々の、ノズルNにより部品Eを吸着した際の吸着位置、および、ノズルNの負圧の計測値に基づいて、ノズルNの吸着状態が正常か否かを判定するとともに、ノズルNの吸着状態が不良である場合、実装不良の原因を吸着作業と特定する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因が口径が合っていないノズルNで部品Eを吸着したことに起因してノズルNの負圧の計測値が不良であるという吸着作業である場合に、実装不良の原因を吸着作業であると容易に特定することができる。
【0114】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置9は、第1部品E1の基板の実装位置と不良の原因となった部品実装装置2の作業とを関連付けて表示部101に表示する制御を行うように構成されている。これにより、第1部品E1の基板の実装位置に対応する不良の原因となった部品実装装置2の作業を表示部101において視覚的に表示することができるので、作業者が第1部品E1の基板の実装位置に対応する不良の原因となった部品実装装置2の作業を容易に確認することができる。
【0115】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置9は、表示部101に表示された第1部品E1の実装位置を選択する操作を受け付けたことに基づいて、第1認識画像Gr1、第2認識画像Gr2、および、不良の原因となった部品実装装置2の作業を含む不良情報表示画面Gfを表示部101に表示する制御を行うように構成されている。これにより、作業者が表示部101に表示された不良情報表示画面Gfを確認することにより、作業者は第1認識画像Gr1、第2認識画像Gr2、および、不良の原因となった部品実装装置2の作業を確認することができるので、不良の原因となった部品実装装置2の作業に関連する記録を容易に確認することができる。
【0116】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装システム100は、部品実装装置2よりも下流に配置され、部品実装装置2により部品Eが実装された基板の検査を行う第1検査装置3(第2検査装置5)を備えている。制御装置9は、第1検査装置3(第2検査装置5)の検査において実装不良と判定された第1部品E1がある場合、第1認識画像Gr1と第2認識画像Gr2との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行うように構成されている。これにより、第1検査装置3(第2検査装置5)の検査を利用して実装不良の原因となった部品実装装置2の作業の特定を行うことが可能な部品実装システム100を実現することができる。
【0117】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装方法は、基板の検査において実装不良と判定された第1部品E1がある場合、第1認識画像Gr1と、第2認識画像Gr2との比較に基づいて、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定するステップS1~S3を備えている。これにより、自動で実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定することができるので、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することが可能な部品実装方法を提供できる。
【0118】
[第2実施形態]
図28~
図31を参照して、第2実施形態による部品実装システム200の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、制御装置209において、部品実装装置2の部品撮像部22により撮像された部品認識画像Gcに基づいて実装不良が発生するか否かが予測される。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0119】
図28~
図30を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム200の構成について説明する。
【0120】
(部品実装システムの構成)
図28に示すように、部品実装システム200は、印刷装置1と、部品実装装置2と、第1検査装置3と、リフロー炉4と、第2検査装置5と、画像サーバ6と、装置データサーバ7と、検査データサーバ8と、制御装置209と、クライアント端末10とを備えている。部品実装装置2は、制御装置209と通信可能な通信部25を含んでいる。
【0121】
(制御装置)
図28に示すように、制御装置209は、部品実装装置2において部品Eをプリント基板Pbに実装している際、実装中の部品Eを部品撮像部22により撮像した第3部品認識画像Gc3に基づくノズルNによる実装位置の補正量および第3部品認識画像Gc3を部品実装装置2から取得したことに基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切か否かを判定する制御を行うように構成されている。また、制御装置209は、部品撮像部22により撮像された第3部品認識画像Gc3に基づく第3認識画像Gr3と、ノズルNによる実装位置の補正量および第3部品認識画像Gc3を取得するために部品撮像部22により撮像された部品Eと同品種の第1部品E1の第1認識画像Gr1との差分画像に基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切か否かを判定するとともに、ノズルNによる実装位置の補正量が適切でない場合、部品実装装置2を停止する制御を行うように構成されている。なお、第3部品認識画像Gc3は、請求の範囲の「第2部品認識画像」の一例である。
【0122】
具体的には、
図29に示すように、制御装置209は、第3部品認識画像Gc3を補正量に基づいて補正するとともに、補正量および第3部品認識画像Gc3を取得するために部品撮像部22により撮像した部品Eと同品種の第1部品E1の寸法に合わせた部品寸法枠Fcに基づいて切り出した第3認識画像Gr3を取得する制御を行うように構成されている。
【0123】
また、
図30に示すように、制御装置209は、検査データサーバ8から同品種の第1部品E1の実装位置を取得するとともに、実装位置に関連付けられた第1部品認識画像Gc1を画像サーバ6から取得する制御を行うように構成されている。制御装置209は、第1部品E1を実装する際のノズルNによる実装位置の補正量に基づいて第1部品認識画像Gc1を移動させる(補正する)制御を行うように構成されている。制御装置209は、部品寸法枠Fcに基づいて、移動させた第1基板認識画像Gs1のうちの部品寸法枠Fcの部分を切り出す制御を行うように構成されている。この切り出した画像が、変換した第1認識画像Gr1である。
【0124】
制御装置209は、第3認識画像Gr3と第1認識画像Gr1との比較に基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切であるか否かを判定する制御を行うように構成されている。ここで、第3認識画像Gr3と第1認識画像Gr1とが一致する場合、ノズルNによる実装位置の補正量が適切ではないので、部品Eの実装不良が発生すると予測される。この場合、制御装置209は、ノズルNによる実装位置の補正量が適切でない場合、部品実装装置2を停止する制御を行うように構成されている。ここで、第3認識画像Gr3と第1認識画像Gr1とが一致しない場合、ノズルNによる実装位置の補正量が適切である。このような判定は、第1実施形態の部品実装方法のFIマーク認識画像判定、部品認識画像判定、および、吸着位置ずれ量判定を実施しながら、部品実装装置2から第3部品認識画像Gc3を取得した毎に実施される。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0125】
(実装不良予測方法)
図31を参照して、制御装置209おいて実施される実装不良予測方法について以下に説明する。
【0126】
図31に示すように、ステップS201において、部品実装装置2から第3部品認識画像Gc3と第3部品認識画像Gc3に基づく補正量とが取得される。ステップS202において、第3部品認識画像Gc3に基づいて、第3部品認識画像Gc3を補正量により移動させた(補正した)後、部品寸法枠Fcに基づいて移動した第3部品認識画像Gc3を切り出すことにより第3認識画像Gr3が取得される。ステップS203において、同品種の第1部品E1の第1部品認識画像Gc1と第1部品認識画像Gc1に基づく補正量が検査データサーバ8から取得される。ステップS204において、第1部品認識画像Gc1に基づいて、第1部品認識画像Gc1を補正量により移動させた(補正した)後、部品寸法枠Fcに基づいて移動した第1部品認識画像Gc1を切り出すことにより第1認識画像Gr1が取得される。
【0127】
ステップS205において、第3認識画像Gr3と第1認識画像Gr1との差分画像が作成される。ステップS206において、差分画像において差分が発生しているピクセル数が所定範囲内か否かが判断される。
【0128】
ピクセル数が所定範囲内の場合にはステップS207に進む。そして、ステップS207において、部品Eの認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良であると判定される。これにより、実装不良が発生する可能性が高いので、ステップS208において、部品実装装置2を停止させた後、実装不良予測方法が終了する。
【0129】
ピクセル数が所定範囲外の場合にはステップS209に進み、部品Eの認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常であると判定された後、実装不良予測方法が終了する。
【0130】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、部品実装システム200は、第1認識画像Gr1と、第2認識画像Gr2との比較に基づいて、不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行う制御装置209を備えている。これにより、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することができる。
【0131】
また、第2実施形態では、上記のように、撮像部は、ノズルNに吸着された部品Eを撮像する部品撮像部22を有している。制御装置209は、部品実装装置2において部品Eをプリント基板Pbに実装している際、実装中の部品Eを部品撮像部22により撮像した第3部品認識画像Gc3に基づくノズルNによる実装位置の補正量および第3部品認識画像Gc3を部品実装装置2から取得したことに基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切か否かを判定する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する際の処理を利用して、部品実装装置2において部品Eを基板に実装している最中に取得された実装位置の補正量および部品認識画像Gcに基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切でない場合を判定することにより、実装不良の発生のおそれがあることを予測することができる。
【0132】
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置209は、部品撮像部22により撮像された第3部品認識画像Gc3に基づく第3認識画像Gr3と、ノズルNによる実装位置の補正量および第3部品認識画像Gc3を取得するために部品撮像部22により撮像された部品Eと同品種の第1部品E1の第1認識画像Gr1との差分画像に基づいて、ノズルNによる実装位置の補正量が適切か否かを判定するとともに、ノズルNによる実装位置の補正量が適切でない場合、部品実装装置2を停止する制御を行うように構成されている。これにより、実装不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する際の処理を利用して、基板に部品Eを実装している最中にノズルNによる実装位置の補正量が適切か否かを判定することにより、実装不良が発生するか否かを予測することができる。この結果、実装不良のおそれがあると予測される場合には部品実装装置2を停止することができるので、実装不良の発生を抑制することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0133】
[第3実施形態]
図32および
図33を参照して、第3実施形態の部品実装システム300の構成について説明する。第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、制御装置309は、不一致ピクセル数に基づいて、実装不良の原因を判定する制御を行うように構成されている。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0134】
部品実装システム300は、印刷装置1と、部品実装装置2と、第1検査装置3と、リフロー炉4と、第2検査装置5と、画像サーバ6と、装置データサーバ7と、検査データサーバ8と、制御装置309と、クライアント端末10とを備えている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0135】
(部品認識画像判定)
図33を参照して、制御装置309おいて実施される部品認識画像判定について以下に説明する。
【0136】
図33に示すように、ステップS321~ステップS324は、第1実施形態のステップS21~S24と同じであるので、説明を省略する。ステップS25において、正常実装時の予め設定された部品認識基準画像に対する第2認識画像Gr2の差分画像を作成する。ここで、第2認識画像Gr2は複数あるので、差分画像は複数取得される。ステップS326において、差分画像の差分発生ピクセル数の平均と標準偏差とが取得される。ステップS327において、部品認識基準画像に対する第1認識画像Gr1の差分画像を作成する。ステップS328において、この差分画像を二値化した後、不一致ピクセル(1となったピクセル)数が取得される。
【0137】
ステップS329において、不一致ピクセル数が所定範囲内か否かが判定される。ここで、所定範囲とは、差分発生ピクセル数の平均値から差分発生ピクセル数の標準偏差の3倍を減算した数値と、差分発生ピクセル数の平均値から差分発生ピクセル数の標準偏差の3倍を加算した数値との間である。ステップS330において、不一致ピクセル数が所定範囲内か否かが判断される。不一致ピクセル数が所定範囲内である場合にはステップS331に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常であると判定された後、部品認識画像判定が終了する。また、不一致ピクセル数が所定範囲外である場合にはステップS332に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良であると判定された後、部品認識画像判定が終了する。
【0138】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、部品実装システム300は、第1認識画像Gr1と、第2認識画像Gr2との比較に基づいて、不良の原因となった部品実装装置2の作業を特定する制御を行う制御装置309を備えている。これにより、実装不良の原因を特定する際の作業者の作業負担を軽減することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0139】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0140】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、部品認識画像判定と部品反転認識画像判定とが別の判定である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品認識画像判定と部品反転認識画像判定と組み合わせて1つの判定として行ってもよい。
【0141】
すなわち、
図34に示す第1変形例のような部品認識画像判定を行ってもよい。
【0142】
具体的には、ステップS421~ステップS424は、第1実施形態の部品認識画像判定のステップS21~ステップS24と同じであるので、説明を省略する。ステップS425において、機械学習により第2認識画像Gr2を学習して、学習した第2認識画像Gr2の階調が平均化(平坦化)される。ステップS426において、平均化した第2認識画像Gr2と第1認識画像Gr1とを比較して、差のある画素数の割合である差分画素割合が取得される。ステップS427において、差分画素割合が第1しきい値以下か否かが判断される。差分画素割合が第1しきい値以下の場合にはステップS428に進み、第1部品の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常と判断された後、部品画像認識判定が終了する。差分画素割合が第1しきい値以下の場合にはステップS429に進む。ステップS429において、差分画素割合が第2しきい値を超えているか否かが判断される。差分画素割合が第2しきい値を超えている場合にはステップS430に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1が反転していたので、第1部品E1の吸着姿勢が不良と判断された後、部品画像認識判定が終了する。差分画素割合が第2しきい値以下の場合にはステップS431に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良と判断された後、部品画像認識判定が終了する。
【0143】
また、
図35に示す第2変形例のような部品認識画像判定を行ってもよい。
【0144】
具体的には、ステップS521~ステップS524は、第1実施形態の部品認識画像判定のステップS21~ステップS24と同じであるので、説明を省略する。ステップS525において、機械学習により第2認識画像Gr2を学習して、学習した第2認識画像Gr2の階調が平均化(平坦化)される。ステップS526において、平均化した第2認識画像Gr2のハッシュ値と第1認識画像Gr1のハッシュ値とが取得される。ステップS527において、取得された平均化した第2認識画像Gr2のハッシュ値と第1認識画像Gr1のハッシュ値とに基づいて、ハミング距離が取得される。ステップS528において、ハミング距離が第1しきい値以下か否かが判断される。ハミング距離が第1しきい値以下の場合にはステップS529に進み、第1部品の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が正常と判断された後、部品画像認識判定が終了する。差分画素割合が第1しきい値以下の場合にはステップS429に進む。ステップS429において、ハミング距離が第1しきい値を超えている場合にはステップS530に進む。ステップS530において、第2認識画像Gr2のハッシュ値と第1認識画像Gr1のハッシュ値との差分であるハッシュ値ビットパターンが第1パターンか否かが判断される。ハッシュ値ビットパターンが第1パターンである場合にはステップS531に進み、ノズルNにより吸着された第1部品E1が反転していたので、第1部品E1の吸着姿勢が不良と判断された後、部品画像認識判定が終了する。ハッシュ値ビットパターンが第1パターンでない場合にはステップS532に進み、第1部品E1の認識に基づくノズルNによる実装位置の補正量が不良と判断された後、部品画像認識判定が終了する。
【0145】
また、上記第3実施形態では、部品認識画像判定においてピクセル数に基づいて判定を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、FIマーク認識画像判定、および、部品反転認識画像判定の各々においても、ピクセル数に基づいて判定を行ってもよい。
【0146】
また、上記第2実施形態では、制御装置209において、部品実装装置2の部品撮像部22により撮像された部品認識画像Gcに基づいて実装不良となることが予測されるか否かが判定される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、部品撮像部により撮像された部品認識画像に基づいて実装不良が発生するか否かを判定してもよい。すなわち、制御装置は、第2認識画像を複数取得するとともに、複数の第2認識画像を学習したことに基づく学習結果を部品実装装置に送信する制御を行うように構成されている。また、部品実装装置は、取得した学習結果および撮像部により撮像された認識画像に基づいて、実装不良が発生するか否かを予測し、実装不良の発生が予測される場合、部品実装装置を停止する制御を行うように構成されている。これにより、学習結果および認識画像に基づいて実装不良のおそれがあると予測される場合には部品実装装置を停止することができるので、実装不良の発生を抑制することができる。なお、画像サーバが、部品撮像部により撮像された部品認識画像に基づいて実装不良となることが予測されるか否かを判定してもよい。
【0147】
また、上記第1~第3実施形態では、説明の便宜上、制御装置9(209、309)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0148】
2 部品実装装置
3 第1検査装置(検査装置)
5 第2検査装置(検査装置)
9、209、309 制御装置
21 実装部
22 部品撮像部(撮像部)
23 基板撮像部(撮像部)
100、200、300 部品実装システム
101 表示部
E 部品
E1 第1部品
E2 第2部品
Fc 部品寸法枠
Fi1 FIマーク(基板認識マーク)
Fi2 FIマーク(基板認識マーク)
Fs マーク寸法枠
Gc 部品認識画像
Gc1 第1部品認識画像
Gc2 第2部品認識画像
Gc3 第3部品認識画像(第2部品認識画像)
Gf 不良情報表示画面
Gr1 第1認識画像
Gr2 第2認識画像
Gr3 第3認識画像
Gs 基板認識画像
Gs1 第1基板認識画像
Gs2 第2基板認識画像
N ノズル
P 基板