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特許7559269乗客コンベアの利用管理装置および乗客コンベアの利用管理方法
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  • 特許-乗客コンベアの利用管理装置および乗客コンベアの利用管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】乗客コンベアの利用管理装置および乗客コンベアの利用管理方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B66B31/00 B
B66B31/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024003858
(22)【出願日】2024-01-15
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】喜田 翔太
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-179976(JP,A)
【文献】特開2017-160026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの乗降口を含むエリアを撮影するカメラ装置と、
前記乗客コンベアの利用者に向けて情報を出力する出力装置と、に通信可能に接続され、
前記乗客コンベア内で飲食物を携行する利用者の属性情報ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する注意喚起情報記憶部と、
前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、飲食物を携行する飲食物携行利用者を検知すると、前記飲食物携行利用者の属性情報を示す情報を取得する第1解析部と、
前記第1解析部が取得した、前記飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を前記注意喚起情報記憶部から取得し、前記出力装置から出力させる出力制御部と、を備える乗客コンベアの利用管理装置。
【請求項2】
前記注意喚起情報記憶部は、前記属性情報ごとの注意喚起情報として、前記飲食物携行利用者が手すり側の手で飲食物を保持しているときの注意喚起情報、前記飲食物携行利用者が子供ではないときの注意喚起情報、前記飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいるときの注意喚起情報、または、前記飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいないときの注意喚起情報の少なくともいずれかを記憶する、請求項1に記載の乗客コンベアの利用管理装置。
【請求項3】
前記第1解析部は、前記飲食物携行利用者の属性情報として、前記飲食物携行利用者が飲食物を保持している手の位置を示す情報、前記飲食物携行利用者が子供であるか否かを示す情報、または前記飲食物携行利用者が子供である場合における大人の同伴者がいるか否かを示す情報の少なくともいずれかを取得する、請求項1に記載の乗客コンベアの利用管理装置。
【請求項4】
前記出力装置はスピーカ装置であり、
前記出力制御部は、予め設定されたアナウンス情報を、所定長の無音時間を挟んで繰り返し出力し、前記注意喚起情報記憶部から取得した注意喚起情報を、前記無音時間内に出力し、
前記無音時間は、前記注意喚起情報の出力に要する時間よりも長い時間で設定される、請求項1に記載の乗客コンベアの利用管理装置。
【請求項5】
前記カメラ装置で撮影された撮像情報に基づいて、前記乗客コンベアの利用者が携行した飲食物が落下して生じた前記乗客コンベア内の汚れを検知する第2解析部と、
前記第2解析部が検知した汚れに関する情報を出力する汚れ情報出力部と、をさらに備える、請求項1に記載の乗客コンベアの利用管理装置。
【請求項6】
乗客コンベアの乗降口を含むエリアを撮影するカメラ装置と、
前記乗客コンベアの利用者に向けて情報を出力する出力装置と、に通信可能に接続され、
前記乗客コンベア内で飲食物を携行する利用者の属性情報ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する注意喚起情報記憶部を備えた利用管理装置が、
前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、飲食物を携行する飲食物携行利用者を検知すると、前記飲食物携行利用者の属性情報を示す情報を取得し、
取得した前記飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を前記注意喚起情報記憶部から取得し、前記出力装置から出力させる、乗客コンベアの利用管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの利用管理装置および乗客コンベアの利用管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの利用者は、安全に乗客コンベアを利用するために、携行品に応じて様々な注意を払う必要がある。例えば、傘等の長尺物を所持していたり、裾丈の長い衣服を着用していたりする場合には、これらの端部が踏段とスカートガードとの隙間に挟まれないように注意を払って乗車する必要がある。また、ベビーカーやショッピングカートなどを携行しての乗車は危険を伴うため、これらを携行した状態での乗車は避ける必要がある。
【0003】
これらの点に鑑み、乗客コンベアの利用者に対して、携行している物品に応じた注意喚起を促す技術がある。この技術を用いることにより、利用者は注意すべき事項を認識して、安全に乗客コンベアを利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-179976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者が乗客コンベアを利用する際に着目する携行品として、上述した物品の他に飲食物がある。利用者が飲食物を携行して乗客コンベアに乗車した場合、飲食物が他の利用者や踏段等にこぼれると、利用者同士のトラブルが発生したり、エスカレータの外観が損なわれたり、踏段が滑りやすくなったりする可能性がある。
【0006】
しかし、利用者が飲食物を携行して乗客コンベアを利用する際には、その利用状況、例えば乗車位置または同伴者の有無に応じて注意すべき内容が異なる。そのため、飲食物を携行する利用者に対し、その利用状況に応じて適切な内容の注意喚起を行う技術が望まれていた。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、飲食物を携行する乗客コンベアの利用者に対し、利用状況に応じて適切な内容の注意喚起を行うことが可能な、乗客コンベアの利用管理装置および乗客コンベアの利用管理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によれば乗客コンベアの利用管理装置は、乗客コンベアの乗降口を含むエリアを撮影するカメラ装置と、乗客コンベアの利用者に向けて情報を出力する出力装置と、に通信可能に接続され、注意喚起情報記憶部と第1解析部と出力制御部とを備える。注意喚起情報記憶部は、乗客コンベア内で飲食物を携行する利用者の属性情報ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する。第1解析部は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、飲食物を携行する飲食物携行利用者を検知すると、飲食物携行利用者の属性情報を示す情報を取得する。出力制御部は、第1解析部が取得した、飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を注意喚起情報記憶部から取得し、出力装置から出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による乗客コンベアの利用管理装置を用いたエスカレータシステムの構成を示す全体図である。
図2】一実施形態による利用管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態による利用管理装置が各階床に関して実行する注意喚起処理を示すフローチャートである。
図4】一実施形態による利用管理装置が管理する第1および第2エスカレータを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態として、乗客コンベアの一例であるエスカレータに関する管理を行うエスカレータシステムについて説明する。
【0011】
〈一実施形態による利用管理装置を用いたエスカレータシステムの構成〉
図1は、本実施形態によるエスカレータシステム1の構成を示す全体図である。エスカレータシステム1は、第1エスカレータ10と、第1エスカレータ10の近傍に設置された第1カメラ装置101および第1スピーカ装置102と、第2エスカレータ20と、第2エスカレータ20の近傍に設置された第2カメラ装置201および第2スピーカ装置202と、利用管理装置30と、建物監視装置40とを備える。利用管理装置30は、第1カメラ装置101、第1スピーカ装置102、第2カメラ装置201、第2スピーカ装置202、および建物監視装置40に通信可能に接続されている。
【0012】
本実施形態においては、利用管理装置30が2台のエスカレータに対して設置されたカメラ装置およびスピーカ装置に接続されている場合について説明するが、1台または3台以上のエスカレータに対して設置されたカメラ装置およびスピーカ装置に接続されてもよい。
【0013】
第1エスカレータ10は、建物内の1階から2階に移動するための上り方向のエスカレータであり、1階から2階に移動する第1踏段11と、第1踏段11上に乗車した利用者が掴まる第1手すり12と、1階の第1乗り口13に設置された第1乗降板131と、第1乗降板131と第1踏段11との境界に設置された第1コム132と、2階の第1降り口14に設置された第2乗降板141と、第2乗降板141と第1踏段11との境界に設置された第2コム142とを有する。
【0014】
第1カメラ装置101は、第1エスカレータ10の第1乗り口13を含む第1エリアAR1を撮影する。第1スピーカ装置102は、第1エスカレータ10の利用者に向けて音声情報を出力する。
【0015】
第2エスカレータ20は、建物内の2階から3階に移動するための上り方向のエスカレータであり、2階から3階に移動する第2踏段21と、第2踏段21上に乗車した利用者が掴まる第2手すり22と、2階の第2乗り口23に設置された第3乗降板231と、第3乗降板231と第2踏段21との境界に設置された第3コム232と、3階の第2降り口24に設置された第4乗降板241と、第4乗降板241と第2踏段21との境界に設置された第4コム242とを有する。
【0016】
第2カメラ装置201は、第1エスカレータ10の第1降り口14および第2エスカレータ20の第2乗り口23を含む第2エリアAR2を撮影する。第2スピーカ装置202は、第2エスカレータ20の利用者に向けて音声情報を出力する。
【0017】
図2は、利用管理装置30の詳細な構成を示すブロック図である。利用管理装置30は、記憶部31と、CPU32とを有する。記憶部31は、注意喚起情報記憶部311と、アナウンス情報記憶部312とを有する。注意喚起情報記憶部311は、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20内で飲食物を携行する利用者(以下、「飲食物携行利用者」と記載する)の属性情報ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する。飲食物携行利用者の属性情報の詳細については、後述する。アナウンス情報記憶部312は、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20内において、所定時間間隔で繰り返し出力させるオートアナウンス音声情報を記憶する。
【0018】
CPU32は、例えば汎用のマイクロコンピュータが備えるCPU(中央処理装置)であって、所定のエスカレータ利用管理プログラムをインストールして実行することにより、以下に示す1又は2以上の情報処理部を構成する。CPU32は、撮像情報取得部321と、第1解析部322と、音声出力制御部323と、第2解析部324と、汚れ情報出力部325とを有する。
【0019】
撮像情報取得部321は、第1カメラ装置101で撮影された第1撮像情報および第2カメラ装置201で撮影された第2撮像情報を取得する。
【0020】
第1解析部322は、撮像情報取得部321が取得した第1撮像情報および第2撮像情報を解析して、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20内の飲食物携行利用者を検知する。第1解析部322は、飲食物携行利用者を検知するとさらに、この飲食物携行利用者の属性情報を取得する。
【0021】
音声出力制御部323は、アナウンス情報記憶部312に記憶されたオートアナウンス音声情報を、所定長の無音時間を挟んで第1スピーカ装置102、第2スピーカ装置202から繰り返し出力させる。また音声出力制御部323は、第1解析部322が取得した飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を注意喚起情報記憶部311から取得し、第1スピーカ装置102、第2スピーカ装置202から出力させる。
【0022】
第2解析部324は、第1撮像情報および第2撮像情報を解析して、飲食物携行利用者が携行した飲食物が落下して生じた、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20内の汚れを検知する。
【0023】
汚れ情報出力部325は、第2解析部324が検知した汚れに関する情報を、建物監視装置40に出力する。
【0024】
〈一実施形態によるエスカレータシステムの動作〉
一実施形態によるエスカレータシステム1の動作について、説明する。本実施形態において、利用管理装置30の注意喚起情報記憶部311は、飲食物携行利用者の属性情報ごとの注意喚起情報として、飲食物携行利用者が手すりに近い側の手(以下、「手すり側の手」と記載する)で飲食物を保持しているときの注意喚起情報である第1注意喚起情報、飲食物携行利用者が子供ではないときの注意喚起情報である第2注意喚起情報、飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいるときの注意喚起情報である第3注意喚起情報、および、飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいないときの注意喚起情報である第4注意喚起情報を記憶している。
【0025】
図3は、エスカレータシステム1の稼動中に、利用管理装置30が第1エスカレータ10、第2エスカレータ20それぞれについて実行する注意喚起処理を示すフローチャートである。
【0026】
利用管理装置30が実行する、第1エスカレータ10に関する注意喚起処理について説明する。エスカレータシステム1の稼動中、音声出力制御部323は、アナウンス情報記憶部312に記憶されたオートアナウンス音声情報を、所定長の無音時間を挟んで第1スピーカ装置102、第2スピーカ装置202から繰り返し出力させる。この無音時間は、注意喚起情報記憶部311に記憶された中で、出力に要する時間が最も長い注意喚起情報の出力時間よりも長い時間で設定される。
【0027】
またエスカレータシステム1の稼動中、利用管理装置30の撮像情報取得部321は、第1カメラ装置101で撮影された第1撮像情報を順次取得し、第1解析部322に送出する。第1解析部322は、第1撮像情報を解析して、第1エリアAR1内に飲食物携行利用者がいるか否かを監視する(S1)。
【0028】
第1解析部322は、飲食物携行利用者を検知すると(S1の「YES」)、さらに第1撮像情報を解析して、この飲食物携行利用者の属性情報として、飲食物の持ち手位置が第1手すり12側であるかまたは第1踏段11の中央部側であるかを示す情報を取得する(S2)。
【0029】
ここで第1解析部322が飲食物携行利用者の属性情報として、飲食物の持ち手位置が第1手すり12側であることを示す情報を取得すると(S2の「YES」)、音声出力制御部323が、この属性情報に対応する第1注意喚起情報を注意喚起情報記憶部311から取得して、第1スピーカ装置102から出力させる(S3)。第1注意喚起情報は例えば、飲食物携行利用者に対し、飲食物をこぼさないように注意喚起するための音声情報である。
【0030】
ステップS2において、第1解析部322が、飲食物携行利用者による飲食物の持ち手位置が第1踏段11の中央部側であることを示す情報を取得すると(S2の「NO」)、属性情報としてさらに、この飲食物携行利用者が子供であるか否かを示す情報を取得する(S4)。
【0031】
ここで第1解析部322が、この飲食物携行利用者が子供ではないこと示す属性情報を取得すると(S4の「NO」)、この属性情報に対応する第2注意喚起情報を注意喚起情報記憶部311から取得して、第1スピーカ装置102から出力させる(S5)。第2注意喚起情報は例えば、飲食物携行利用者に対し、周囲の人に飲食物が付着しないように注意喚起するための音声情報である。
【0032】
ステップS4において、第1解析部322が、飲食物携行利用者が子供であることを示す属性情報を取得すると(S4の「YES」)、属性情報としてさらに、この飲食物携行利用者に大人の同伴者がいるか否かを示す情報を取得する(S6)。
【0033】
ここで第1解析部322が、この飲食物携行利用者に大人の同伴者がいることを示す属性情報を取得すると(S6の「YES」)、この属性情報に対応する第3注意喚起情報を注意喚起情報記憶部311から取得して、第1スピーカ装置102から出力させる(S7)。第3注意喚起情報は例えば、この飲食物携行利用者に同伴している大人の利用者に対し、子供から目を離さないように注意喚起するための音声情報である。
【0034】
ステップS6において、第1解析部322が、飲食物携行利用者に大人の同伴者がいないことを示す属性情報を取得すると(S6の「NO」)、この属性情報に対応する第4注意喚起情報を注意喚起情報記憶部311から取得して、第1スピーカ装置102から出力させる(S8)。第4注意喚起情報は例えば、この飲食物携行利用者の周囲の人に対し、飲食物を携行する子供がいるため乗車の際に気を付けることを注意喚起するための音声情報である。
【0035】
音声出力制御部323は、第1注意喚起情報、第2注意喚起情報、第3注意喚起情報、または第4注意喚起情報を出力する際に、繰り返し出力するオートアナウンス情報間の無音時間内に出力する。
【0036】
利用管理装置30は、エスカレータシステム1が稼動している間、第1エスカレータ10に関してステップS1~S8の処理を繰り返すことで、注意喚起処理を実行する。また利用管理装置30は、第2エスカレータ20に関しても同様に、注意喚起処理を実行する。
【0037】
例えば第1解析部322が、第1撮像情報から飲食物携行利用者である利用者X1を検知し、この利用者X1による飲食物の持ち手位置が第1手すり12側ではなく(S2の「NO」)、利用者X1が子供であり(S4の「YES」)、大人の同伴者である利用者X2がいることを示す属性情報を取得すると(S6の「YES」)、音声出力制御部323が、利用者X2に対し、子供から目を離さないように注意喚起するための音声情報である第3注意喚起情報を、第1スピーカ装置102から出力させる。
【0038】
また第1解析部322が、第1撮像情報から飲食物携行利用者である利用者X3を検知し、この利用者X3による飲食物の持ち手位置が第1手すり12側ではなく(S2の「NO」)、利用者X3が大人であることを示す属性情報を取得すると(S4の「NO」)、音声出力制御部323が、利用者X3に対し、周囲の人に飲食物が付着しないように注意喚起するための音声情報である第2注意喚起情報を、第1スピーカ装置102から出力させる。
【0039】
また第1解析部322が、第2撮像情報から飲食物携行利用者である利用者X4を検知し、この利用者X4による飲食物の持ち手位置が第1手すり12側であることを示す属性情報を取得すると(S2の「NO」)、音声出力制御部323が、利用者X4に対し、飲食物をこぼさないように注意喚起するための音声情報である第1注意喚起情報を、第2スピーカ装置202から出力させる。
【0040】
また第1解析部322が、第2撮像情報から、飲食物携行利用者である利用者X5を検知し、この利用者X5による飲食物の持ち手位置が第1手すり12側ではなく(S2の「NO」)、利用者X5が大人であることを示す属性情報を取得すると(S4の「NO」)、音声出力制御部323が、利用者X5に対し、周囲の人に飲食物が付着しないように注意喚起するための音声情報である第2注意喚起情報を、第2スピーカ装置202から出力させる。
【0041】
これらの飲食物携行利用者が、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20に乗車中に、携行する飲食物を落とし、第1エスカレータ10、第2エスカレータ20内の第1コム132、第2コム142、第3コム232、または第4コム242にこの飲食物の汚れが付着すると外観が損なわれるとともに、踏段11、21の移動により汚れが踏段11、21内に広がって滑りやすくなってしまう。そのため、いずれかのコムに汚れが付着した場合には早急に汚れを除去する対応が必要である。
【0042】
そこで利用管理装置30は、第1コム132、第2コム142、第3コム232、または第4コム242に飲食物による汚れが付着した際に、汚れ通知処理を実行する。利用管理装置30が実行する汚れ通知処理について、説明する。
【0043】
エスカレータシステム1の稼動中、第2解析部324は、第1撮像情報および第2撮像情報を解析して、飲食物携行利用者が携行した飲食物が落下して、第1コム132、第2コム142、第3コム232、または第4コム242の汚れが発生したか否かを監視する。
【0044】
図4は、第1エスカレータ10および第2エスカレータ20を上から見た図である。利用者X1が携行する飲食物を第1踏段11上に落とすと、第1踏段11が上方向に移動することにより第2コム142にこの飲食物の汚れが付着する。第2コム142に汚れが付着すると、第2解析部324が第2撮像情報から、第2コム142の汚れを検知する。
【0045】
第2解析部324が第2コム142の汚れを検知すると、汚れ情報出力部325が、検知された第2コム142の汚れに関する情報を、建物監視装置40に出力する。建物監視装置40が第2コム142の汚れに関する情報を受信して出力することで、管理者がこの情報を認識して、第2コム142の汚れを除去するための対応をとることができる。
【0046】
以上の実施形態によれば利用管理装置は、乗客コンベアの乗降口を含むエリアを撮影するカメラ装置と、乗客コンベアの利用者に向けて情報を出力する出力装置とに通信可能に接続され、乗客コンベア内で飲食物を携行する利用者の状況ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する注意喚起情報記憶部と、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、飲食物を携行する利用者を検知すると、検知した利用者である飲食物携行利用者の属性情報を取得する第1解析部と、第1解析部が取得した、飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を注意喚起情報記憶部から取得し、出力装置から出力させる出力制御部とを備える。
【0047】
これにより、飲食物を携行する乗客コンベアの利用者に対し、利用状況に応じて適切な内容の注意喚起を行うことができる。
【0048】
また注意喚起情報記憶部は、注意喚起情報として、飲食物携行利用者が手すり側の手で飲食物を保持しているときの注意喚起情報、飲食物携行利用者が子供ではないときの注意喚起情報、飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいるときの注意喚起情報、または、飲食物携行利用者が子供であり、大人の同伴者がいないときの注意喚起情報の少なくともいずれかを記憶する。
【0049】
また第1解析部は、飲食物携行利用者の属性情報として、飲食物携行利用者が飲食物を保持している手の位置を示す情報、飲食物携行利用者が子供であるか否かを示す情報、または飲食物携行利用者が子供である場合における大人の同伴者がいるか否かを示す情報の少なくともいずれかを取得する。
【0050】
これにより、飲食物携行利用者の状況に応じて、詳細に適正な注意喚起情報を特定して出力することができる。
【0051】
また出力制御部は、予め設定されたアナウンス情報を所定長の無音時間を挟んで繰り返し出力し、注意喚起情報記憶部から取得した注意喚起情報を無音時間内に出力する。また、この無音時間は、注意喚起情報の出力に要する時間よりも長い時間で設定される。
【0052】
これにより、オートアナウンス情報と注意喚起情報とを適正なタイミングで出力して、利用者に情報内容を認識させることができる。
【0053】
また、利用管理装置は、カメラ装置で撮影された撮像情報に基づいて、乗客コンベアの利用者が携行した飲食物が落下して生じた乗客コンベア内の汚れを検知する第2解析部と、第2解析部が検知した汚れに関する情報を出力する汚れ情報出力部とをさらに備える。
【0054】
これにより、乗客コンベア内で発生した汚れの情報を建物監視装置等に通知し、汚れの除去のための対応に用いることができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1…エスカレータシステム、10…第1エスカレータ、11…第1踏段、12…第1手すり、13…第1乗り口、14…第1降り口、20…第2エスカレータ、21…第2踏段、22…第2手すり、23…第2乗り口、24…第2降り口、30…利用管理装置、31…記憶部、32…CPU、40…建物監視装置、101…第1カメラ装置、102…第1スピーカ装置、131…第1乗降板、132…第1コム、141…第2乗降板、142…第2コム、201…第2カメラ装置、202…第2スピーカ装置、231…第3乗降板、232…第3コム、241…第4乗降板、242…第4コム、311…注意喚起情報記憶部、312…アナウンス情報記憶部、321…撮像情報取得部、322…第1解析部、323…音声出力制御部、324…第2解析部、325…汚れ情報出力部
【要約】
【課題】飲食物を携行する乗客コンベアの利用者に対し、利用状況に応じて適切な内容の注意喚起を行うことが可能な、乗客コンベアの利用管理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば乗客コンベアの利用管理装置は、乗客コンベアの乗降口を含むエリアを撮影するカメラ装置と、乗客コンベアの利用者に向けて情報を出力する出力装置と、に通信可能に接続され、注意喚起情報記憶部と第1解析部と出力制御部とを備える。注意喚起情報記憶部は、乗客コンベア内で飲食物を携行する利用者の属性情報ごとに予め設定された注意喚起情報を記憶する。第1解析部は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析して、飲食物を携行する飲食物携行利用者を検知すると、飲食物携行利用者の属性情報を示す情報を取得する。出力制御部は、第1解析部が取得した、飲食物携行利用者の属性情報に対応する注意喚起情報を注意喚起情報記憶部から取得し、出力装置から出力させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4