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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電動車両充電機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20240924BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240924BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J13/00 311T
H02J7/00 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024044185
(22)【出願日】2024-03-19
【審査請求日】2024-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大久保 里矩
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164699(JP,A)
【文献】特開2012-098798(JP,A)
【文献】特開2018-106569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 13/00
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭内の配線から電気を取るための家庭内コンセントに差し込むプラグと、
電動車両を充電するための充電ケーブルに接続されたプラグを差し込むためのコンセントと、
家庭内の電流値として当該家庭内の電流値を計測する計測器から、現在の電流値である現在電流値を取得する取得部と、
前記電動車両の充電料金を外部サーバにて算出するための情報であり当該電動車両を前記家庭内の配線から充電した際の充電に関する情報である充電量情報を取得する充電量情報取得部と、
前記取得部により取得した前記現在電流値をもとに前記プラグおよび前記コンセントを介した前記電動車両の充電を制御する制御部と、
前記制御部により制御された前記電動車両の充電情報をネットワークを介して前記外部サーバに出力する出力部と、
を有し、
前記制御部は、電力会社と家庭とが契約している契約電流に対して余裕度を加味した目標電流値と前記現在電流値との差から得られる余力電流値を取得し、
前記制御部は、前記余力電流値に対して前記電動車両の充電に必要な電流である充電電流値が小さい場合に充電を行い、当該余力電流値に対して当該充電電流値が大きい場合に充電を行わないことを特徴とする電動車両充電機器。
【請求項2】
前記充電量情報取得部が取得する前記充電情報は、前記電動車両の充電時間、充電電力および充電時間、および充電電力量の少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項に記載の電動車両充電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両充電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、設置場所の自由度を高くするとともに機能の追加に必要な費用及び手間を軽減するために、コンセントを収納する箱形の筐体とを備え、筐体は、造営材若しくは構造物に設けられる収納スペースに収納されることが開示されている。
特許文献2には、複数の電動車両のそれぞれに搭載された蓄電池を複数の充電機器によって適切に充電するため、第1電流値と第2電流値の合計が所定の上限値を超えないように、充電制御装置によって配分を決定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-105375号公報
【文献】特開2022-75347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車両(EV)を社用車として使用している会社では、例えば、従業員が会社に出社せず社用車を用いて自宅から直接目的地に向かい、業務が終わると会社へ戻らず社用車を用いてそのまま自宅に帰る勤務形態がある。この勤務形態では、従業員が、EVの社用車を従業員の家庭で充電することがありうる。この場合、EV用の充電機器を既に従業員が所持しているときは、そのままEVを充電できるが、一般には、EV用の充電機器を従業員が所持していないため、そのときには、家庭用の充電機器とは別に、EV用の充電機器を新たに設置する必要が生じる。また、例えば社用車を家庭で充電する場合には、家庭で用いる他の機器にて消費される電力と社用車のEVの充電にて消費される電力とを区別することが要請されるが、そのままでは社用車のEVの充電にかかる電気料金だけを計測することはできない。
本発明は、家庭用の電源を利用して電動車両の充電を行う際の、利用者の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、家庭内の配線から電気を取るための家庭内コンセントに差し込むプラグと、電動車両を充電するための充電ケーブルに接続されたプラグを差し込むためのコンセントと、家庭内の電流値として当該家庭内の電流値を計測する計測器から、現在の電流値である現在電流値を取得する取得部と、前記電動車両の充電料金を外部サーバにて算出するための情報であり当該電動車両を前記家庭内の配線から充電した際の充電に関する情報である充電量情報を取得する充電量情報取得部と、前記取得部により取得した前記現在電流値をもとに前記プラグおよび前記コンセントを介した前記電動車両の充電を制御する制御部と、前記制御部により制御された前記電動車両の充電情報をネットワークを介して前記外部サーバに出力する出力部と、を有し、前記制御部は、電力会社と家庭とが契約している契約電流に対して余裕度を加味した目標電流値と前記現在電流値との差から得られる余力電流値を取得し、前記制御部は、前記余力電流値に対して前記電動車両の充電に必要な電流である充電電流値が小さい場合に充電を行い、当該余力電流値に対して当該充電電流値が大きい場合に充電を行わないことを特徴とする電動車両充電機器である。
請求項に記載の発明は、前記充電量情報取得部が取得する前記充電情報は、前記電動車両の充電時間、充電電力および充電時間、および充電電力量の少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項に記載の電動車両充電機器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、家庭用の電源を利用して電動車両の充電を行う際の、利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態における充電量把握システムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施の形態における充電機器の外部構造を説明する図である。
図3】本実施の形態における充電機器の機能構成を説明する図である。
図4】本実施の形態における制御部の制御処理の具体例を説明する図である。
図5】本実施の形態における制御部の制御処理のフローチャートである。
図6】充電量把握システムの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
一般に、電動車両を社用車として使用している会社では、例えば、従業員に電動車両を貸与し、従業員が会社に出社せず自宅から直接、電動車両を用いて目的地に向かい、業務が終わると会社へ戻らずそのまま電動車両を用いて自宅に帰る勤務形態がありえる。このとき、従業員宅に電動車両の充電設備がない場合、従業員は勤務時間中に電動車両の充電ステーションに立ち寄り、充電(経路充電)を行う必要があり、業務効率・営業効率が低下する、という問題が生じている。
この問題を解決するために会社として従業員宅に電動車両用の充電設備を設置しようとすると、通常は電気設備工事が発生し、会社側に工事費が発生してしまう。さらに、転勤その他の事由により充電設備が不要となった際にも原状復旧(撤去)工事が発生し、会社側に工事費が発生してしまう。さらに電動車両の充電設備を導入した場合、通常は電動車両の充電電流分だけ電気の契約容量を増加させる必要があり、従業員が電力会社へ支払う電気基本料金が増加してしまう。また、例えば社用車を従業員宅で充電する場合には、従業員宅で用いる他の機器にて消費される電力と社用車の電動車両の充電にて消費される電力とを区別することが要請されるが、そのままでは社用車の電動車両の充電にかかる電気料金だけを計測することはできず、経費立替精算を正確に行うことができない。
これらの課題に対し、本実施の形態では、特別な工事を必要とせずに、電気契約容量の増加も不要で、正確な電動車両の充電料金の精算を可能としている。
【0009】
<充電量把握システムの説明>
図1は、本実施の形態における充電量把握システム1の全体構成例を示す図である。充電量把握システム1は、家庭Aにて用いられ、プラグとコンセントを有し電動車両500を充電するための電動車両充電機器の一例である充電機器100を有する。また、充電量把握システム1は、充電機器100に接続される屋外コンセント200と、分電盤300と、計測器400と、電動車両500と充電機器100とを接続する充電ケーブル600とを有する。さらに、充電量把握システム1は、インターネット等のネットワーク900を介して充電機器100から情報を取得する例えば電力会社の外部サーバ700と、ネットワーク900を介して外部サーバ700と接続される顧客側端末800とを有する。
【0010】
この充電機器100は、例えば、家庭Aに対して電力を提供する電力会社から提供される充電装置である。充電機器100は家庭A内の配線から電気を取るための屋外コンセント200に差し込むプラグ(後述)と、電動車両500を充電するための充電ケーブル600に接続された充電ケーブル側のプラグ(後述)を差し込むコンセント(後述)と、を有する。
【0011】
充電機器100は、電動車両500の充電に関する情報である充電量情報を常時又は必要に応じたタイミングで取得する。充電量情報とは、例えば、電動車両500の充電時間に関する情報や電動車両500の充電電力などであり、家庭A内の他の機器にて消費される電力と区別される情報である。取得した充電量情報は、ネットワーク900を介して、外部サーバ700に出力される。また、充電機器100は、ネットワーク900を介して、制御パラメータの情報を外部サーバ700から取得する。制御パラメータとしては、電動車両500の充電に必要な電流である充電電流値や、電力会社と家庭Aとが契約している契約電流値および目標電流値(後述)を算出するために用いられる余裕度等が挙げられる。
【0012】
なお、充電機器100および屋外コンセント200は、家庭A内の電圧である単相100Vの電圧を受け取るために、例えば定格電圧125V、定格電流15Aの規格で構成される。ただし、単相200Vの電圧を受け取るために、定格電圧250V、定格電流20Aの規格で構成されてもよい。
【0013】
分電盤300は、家庭A内の内部に配置され、電力を家庭A内に分配する設備である。分電盤300は、引込線(図示せず)を介して、電力系統と電気的に接続される主幹ブレーカー310とを有する。また、分電盤300は電圧線R、電圧線Tおよび中性線Nを介して、主幹ブレーカー310と電気的に接続する漏電ブレーカー320とを有する。さらに、分電盤300は、電圧線R、電圧線Tおよび中性線Nを介して、漏電ブレーカー320と電気的に接続する分岐ブレーカー330とを有する。
【0014】
なお、電力系統とは、電力会社が管理する商用交流電源の電力系統である。さらに、なお、電圧線R、電圧線Tおよび中性線Nは、電圧線および中性線の組み合わせで配電するいわゆる単相3線式の電力線である。
【0015】
漏電ブレーカー320は、漏電を検出して、電圧線R、電圧線Tおよび中性線Nを介してなされる主幹ブレーカー310から分岐ブレーカー330への通電を遮断する装置である。
【0016】
分岐ブレーカー330は、電圧線Rおよび中性線Nを介して漏電ブレーカー320と電気的に接続される上段の分岐ブレーカー331を有する。また、電圧線Tおよび中性線Nを介して漏電ブレーカー320と電気的に接続される下段の分岐ブレーカー332を有する。
【0017】
上段の分岐ブレーカー331および下段の分岐ブレーカー332は、家庭内の配線を介して、家庭A内の各部屋の設備やコンセント等に電気的に接続される。例えば、屋外コンセント200は、家庭内の配線である分岐回路L1を介して、上段の分岐ブレーカー331と電気的に接続される。
【0018】
計測器400は、分電盤300の電圧線R上および電圧線T上に備えられ、家庭Aに供給される電流値を測定する装置である。計測器400は、家庭A内の各部屋の設備やコンセント等に供給している現在の電流値である現在電流値を取得する。例えば、電圧線R上の計測器400は、上段の分岐ブレーカー331を介して各設備に供給している現在電流値を取得する。電圧線T上の計測器400は、下段の分岐ブレーカー332を介して各設備に供給している現在電流値を取得する。電圧線R上の計測器400および電圧線T上の計測器400で取得した現在電流値は、常時又は必要に応じ、無線通信(Wi-fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)など)を介して充電機器100に出力される。なお、電圧線R上の計測器400および電圧線T上の計測器400は、分岐回路L1を通信回路として利用する電力線通信によって現在電流値を出力してもよい。
【0019】
なお、電圧線R上の計測器400および電圧線T上の計測器400は、電圧線R上の計測器400で取得した現在電流値と、電圧線T上の計測器400で取得した現在電流値とを合算して家庭A内の現在電流値として出力してもよい。例えば、電圧線R上の計測器400で取得した現在電流値を、電圧線T上の計測器400が取得し、電圧線R上の計測器400で取得した現在電流値と電圧線T上の計測器400で取得した現在電流値とを合わせた値を家庭A内の現在電流値として出力してもよい。
【0020】
さらに、なお、計測器400は複数設けられる必要はなく、電圧線R上および電圧線T上に1つの計測器400が設けられてもよい。
【0021】
なお、本実施の形態においては、例えば、家庭A内の電力量を計算する電力量計(図示せず)に通信機能を持たせたスマートメーターを採用することにより、計測器400の機能を代用させてもよい。
【0022】
電動車両500は、充電池(図示せず)を用いて走行する車両である。電動車両500は、充電ケーブル600を差し込むための充電口510を有する。
充電ケーブル600は、充電機器100のコンセント(後述)に差し込むための充電ケーブル側のプラグ610を有する。
充電ケーブル600により充電口510と充電機器100とが接続されることで、電動車両500は充電が可能になる。なお、本実施の形態においては、例えば、電圧100V、電流12A、電力1.2kWで、電動車両500が充電される。
【0023】
外部サーバ700は、充電機器100の情報を管理するサーバ装置である。この外部サーバ700は、例えば、電動車両500に対して電力を提供する電力会社にて用いられるサーバ装置である。外部サーバ700は、ネットワーク900を介して充電機器100に制御パラメータの情報を出力する。また、外部サーバ700は、ネットワーク900を介して充電機器100から充電量情報を取得する。
【0024】
また、外部サーバ700は、電動車両500の充電料金を算出するための値を、例えば、電力会社の管理者等の端末(図示せず)から取得する。電動車両500の充電料金を算出するための値としては、例えば、電動車両500の充電電力と1kWhあたりの充電料金と、が挙げられる。また、外部サーバ700は、電動車両500の充電に伴う電気によって排出されるCO2の情報であるCO2情報を算出するための値を保持する。CO2情報を算出するための値としては、電動車両500の充電電力と、1kWhあたりのCO2排出量とが挙げられる。なお、電動車両500の充電電力は、充電機器100から充電情報として取得してもよい。
【0025】
そして、外部サーバ700は、電動車両500の充電時間と、電動車両500の充電電力とを用いて、電動車両500の充電電力量を算出する。例えば、1ヶ月間の充電時間が100時間、電動車両500の充電電力が1.2kWである場合、充電電力量は120kWhとして算出される。
【0026】
さらに、外部サーバ700は、充電電力量と、1kWhあたりの充電料金とを用いて、電動車両500の充電料金を算出する。例えば、電動車両500の充電電力量が120kWh、1kWhあたりの充電料金が31円である場合、電動車両500の充電料金は、3720円として算出される。なお充電電力量は充電機器100から取得してもよい。
【0027】
また、外部サーバ700は、充電電力量と、1kWhあたりのCO2排出量とを用いて、電動車両500のCO2情報を算出する。例えば、電動車両500の充電電力量が120kWh、1kWhあたりのCO2排出量が0.5kg-CO2である場合、CO2情報は、60kg-CO2として算出される。なお、この算出された電動車両500の充電料金およびCO2情報は、ネットワーク900を介して顧客側端末800に出力される。
【0028】
本実施の形態において、電動車両500の充電料金は電動車両500の充電時間に基づいて算出されるが、この電動車両500の充電時間は、家庭A内の他の機器にて消費される電力と区別される情報である。そのため、この充電料金は、家庭A内の他の機器にて消費される電力と区別された料金として顧客に提供される。そして、充電料金は、顧客側端末800にて顧客の経費として電動車両500の利用者である従業員に精算される。
【0029】
<充電機器100の外部構成>
図2は、本実施の形態における充電機器100の外部構造を説明する図である。充電機器100は、屋外コンセント200(図1参照)に差し込むプラグ110と、電動車両500に接続された充電ケーブル側のプラグ610(図1参照)を差し込むコンセント120とを有する。プラグ110は、屋外コンセント200の接地極(不図示)に差し込む接地ピン111を備え、ケーブル112を介して充電機器100の本体側に接続されている。また、コンセント120は、充電ケーブル側のプラグ610における接地ピン(不図示)が差し込まれる接地極121を備えている。
なお、図2に示す例では、ケーブル112が用いられていたが、ケーブル112を介さずに、プラグ110が充電機器100の本体側に直接、設けられていてもよい。この場合、ケーブル112を介さずに、充電機器100のプラグ110を屋外コンセント200に差し込むことができる。
【0030】
<充電機器100の機能構成>
図3は、本実施の形態における充電機器100の機能構成を説明する図である。充電機器100は、プラグ110と、コンセント120と、リレー130とを有する。このリレー130は、制御部140からの指示により、電流経路L2を介してなされるプラグ110からコンセント120への通電及び遮断を切り替える。また、充電機器100は、電動車両500(図1参照)の充電を制御する制御部140と、通信インタフェースを介して外部と通信する通信部150と、を有する。なお、制御部140の機能は、ROMに記憶されたプログラムを、RAMの記憶領域を利用してCPUが実行することにより実現される。また、充電機器100は、各種情報を記憶するメモリ(図示せず)を有する。
【0031】
制御部140は、電力会社と家庭Aとが契約している契約電流値に対して余裕度を加味した値である目標電流値を算出する目標電流値算出部141と、目標電流値と家庭A内の現在電流値との差から余力電流値を算出する余力電流値算出部142と、目標電流値と余力電流値とを比較し、リレー130を制御するリレー制御部143と、充電機器100の電流経路L2が通電しているときに、充電量情報を取得する充電量情報取得部144と、制御部140の制御処理により発生したエラーをエラーフラグとして取得するエラーフラグ取得部145を有する。
【0032】
目標電流値算出部141は、契約電流値と余裕度とを掛け合わせることで目標電流値を算出する。なおこの余裕度は、例えば、真夏日に余裕度を下げる等、その日の気温に応じて、変化させてもよい。
【0033】
余力電流値算出部142は、家庭A内の現在電流値と目標電流値との差から余力電流値を算出する。なお、電圧線R(図1参照)上の計測器400(図1参照)で取得した現在電流値と目標電流値との差から余力電流値を算出してもよいし、電圧線T(図1参照)上の計測器400で取得した現在電流値と目標電流値との差を余力電流値として算出してもよい。
【0034】
リレー制御部143は、余力電流値に対して電動車両500の充電に必要な電流である充電電流値が小さい場合に電動車両500の充電を行うように制御し、余力電流値に対して充電量電流値が大きい場合に電動車両500の充電を行わないように制御する。つまり、余力電流値が充電電流値より大きい場合に、電流経路L2を通電させるようにリレー130を制御し、余力電流値が充電電流値より小さい場合に、電流経路L2を遮断させるようにリレー130を制御する。
【0035】
充電量情報取得部144は、充電量情報として、例えば、電動車両500の充電時間を取得する。なお、充電量情報として、電動車両500の充電時間と共に電動車両500の充電電力を取得してもよい。また、充電量情報として電動車両500の充電電力量を取得してもよい。
【0036】
エラーフラグ取得部145は、図5で説明する制御部140の制御処理により発生したエラーをエラーフラグとして取得する。制御部140の制御処理により発生したエラーフラグとしては、例えば計測器400との通信エラー等が挙げられる。
【0037】
通信部150は、充電量情報を、ネットワーク900(図1参照)を介して外部サーバ700(図1参照)に出力する充電量情報出力部151を有する。また、家庭A内の現在電流値を、計測器400から無線通信を介して取得する現在電流値情報取得部152を有する。さらに、制御パラメータおよび制御ロジックを、ネットワーク900を介して外部サーバ700から取得する制御情報取得部153を有する。また、ネットワーク900を介してエラーフラグを外部サーバ700に出力するエラーフラグ出力部154を有する。
【0038】
充電量情報出力部151は、充電量情報取得部144によって取得した充電量情報を、常時または必要に応じたタイミングで外部サーバ700に出力する。例えば、前日の17時から当日の17時までにおける電動車両500の充電時間を充電量情報として、1日に1回出力する。
【0039】
現在電流値情報取得部152は、電圧線R上の計測器400および電圧線T上の計測器400から現在電流値を取得する。なお、上述したように、現在電流値として、家庭A内の現在電流値を取得してもよい。また、電圧線R上の計測器400から取得した現在電流値と電圧線T上の計測器400から取得した現在電流値とを合算して、家庭A内の現在電流値としてもよい。
【0040】
制御情報取得部153は、制御パラメータおよび制御ロジックを外部サーバ700から取得する。制御ロジックとは、図5に示す制御部140の制御処理を実現するプログラムである。なお、制御パラメータは、前述した、例えば余裕度等である。なお、制御パラメータおよび制御ロジックは外部サーバ700から取得せずに、予め充電機器100に設けられたメモリに保持していてもよい。
エラーフラグ出力部154は、エラーフラグ取得部145により取得したエラーフラグを外部サーバ700へ出力する。
【0041】
<制御部140の制御処理>
図4は、本実施の形態における制御部140の制御処理の具体例を説明する図である。図4の縦軸は、家庭A内における電流値を示している。図4の横軸は時刻を示している。また、図4には、家庭A内の契約電流値と、家庭A内の目標電流値とが示されている。目標電流値は、契約電流値に対して余裕度を加味した値であり、ここでは、契約電流値と余裕度とを掛け合わせた値である。図4においては、契約電流値40A、余裕度95%として目標電流値は38Aとしている。
【0042】
さらに、余力電流値として、余力電流値が大きな時点であるa1と、余力電流値が小さな時点であるa2とが例示されている。余力電流値は、目標電流値と家庭A内の現在電流値との差である。a1の時点における余力電流値は、目標電流値38Aと家庭A内の現在電流値5Aとの差であり、33Aである。また、a2の時点における余力電流値は、目標電流値38Aと家庭A内の現在電流値32Aとの差であり、6Aである。
また、電動車両500の充電制御の目安として、目標電流値(38A)と充電電流値(12A)の差である26Aが例示されている。
【0043】
図4に示す例では、時刻が0時から17時までの間では、充電電流値よりも余力電流値の方が大きい。例えば、12時時点では、余力電流値a1は33Aであり、電動車両500の充電電流値である12Aより大きい。そのため、0時から17時までの時間帯では、制御部140が、電動車両500の充電を行うように制御している。
【0044】
次に、17時から20時までの間では、充電電流値よりも余力電流値の方が小さい。例えば、19時時点では、余力電流値a2は6Aであり、電動車両500の充電電流値である12Aより小さい。つまり、17時から20時までの時間帯では、制御部140が、電動車両500の充電を行わないように制御している。
そして、20時から24時までの間では、充電電流値よりも余力電流値が大きい。つまり、20時から24時までの時間帯では、制御部140が、電動車両500の充電を再び行うように制御している。
【0045】
図5は、本実施の形態における制御部140の制御処理のフローチャートである。充電機器100は、家庭Aから電力を供給されると電源がONになる(ステップ501)。なお、この時点では、電流経路L2(図3参照)は遮断されている。そして、制御ロジックおよび制御パラメータがあるか否かを判断する(ステップ502)。制御ロジックおよび制御パラメータがある場合には(ステップ502でYES)、計測器400との通信があるか否かを判断する(ステップ503)。制御ロジックおよび制御パラメータがない場合には(ステップ502でNO)、エラーフラグを出力して制御部140の制御処理を終了する。
【0046】
計測器400との通信がある場合には(ステップ503でYES)、計測器400から取得した現在電流値が予め定められた値Xより大きいか否かを判断する(ステップ504)。なお予め定められた値Xとは例えば、家庭Aの待機電流の値である。計測器400との通信がない場合には(ステップ503でNO)、エラーフラグを取得し、制御部140の制御処理を終了する。
【0047】
現在電流値が予め定められた値Xより大きい場合には(ステップ504でYES)、制御パラメータから目標電流値を算出する(ステップ505)。なお、目標電流値の算出については、図4で説明した。現在電流値が予め定められた値Xより小さい場合には(ステップ504でNO)、エラーフラグを取得し、制御部140の制御処理を終了する。
【0048】
次に、計測器400から現在電流値として家庭A内の現在電流値を取得し(ステップ506)、家庭A内の現在電流値から余力電流値を算出し(ステップ507)、この余力電流値が充電電流値より大きいか否かを判断する(ステップ508)。余力電流値が充電電流値より大きい場合には(ステップ508でYES)、通電をONとし(ステップ509)、電流経路L2が通電されるようにリレーを制御する。余力電流値が充電電流値より小さい場合には(ステップ508でNO)、通電をOFFとし(ステップ510)、リレーを制御して電流経路L2を遮断のままとする。
【0049】
そして、通電をON(ステップ509)および通電OFF(ステップ510)の後、外部サーバ700に充電量情報およびエラーフラグを送信する(ステップ511)。そして、ステップ506からステップ511の処理が繰り返される。なおステップ511は、毎回行われなくてもよく、例えば、予め定められた時間が経った場合に、予め定められた時間が経過するまでに取得された充電量情報を積算して、外部サーバ700に出力してもよい。
【0050】
このように、本実施の形態においては、充電機器100を屋外コンセント200と接続し、家庭A内で使用される一般の電圧である100Vを用いて、電動車両500を充電することで、新たに充電設備の工事を行うことなく、電動車両500の充電を行うことができる。また、制御部140の充電制御により、余力電流値がない場合は、電動車両500の充電を行わないため、電動車両500の充電に際して、家庭A内の契約電流値を変更する必要がない。また、前述したように、電動車両500の充電料金は、家庭A内の他の機器にて消費される電力と区別された料金で顧客に提供される。このようにして、本実施の形態において、家庭A用の電源を利用して電動車両500の充電を行う際の、利用者の利便性を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では電圧線R上の計測器400で取得した現在電流値と電圧線T上の計測器400で取得した現在電流値の和である家庭A内の現在電流値に基づいて制御部140の制御処理を行なっているが、電圧線R上の計測器400で取得した現在電流値に基づいて制御部140の制御処理を行なってもよいし、電圧線T上の計測器400で取得した現在電流値に基づいて制御部140の制御処理を行なってもよい。
【0052】
<変形例>
図6は、前述した充電量把握システム1の変形例である充電量把握システム2を説明する図である。充電量把握システム2は、外部サーバ700の指示により、電動車両500の充電制御が行われる場合を示している。なお、前述した実施の形態と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその説明を省略する。
【0053】
充電量把握システム2は、電動車両500を充電するための充電機器101を有する。充電機器101は、充電制御に関わる情報に基づいてリレー130を制御する無線通信デバイス10と、電動車両500の充電量情報を測定する充電機器側の計測器20と、を有する。
また充電量把握システム2は、現在電流値を外部サーバ700に出力する分電盤側の無線通信デバイス30を有する。また、外部サーバ700、無線通信デバイス10および分電盤側の無線通信デバイス30と通信するルータ40を有する。
【0054】
無線通信デバイス10は、電動車両500の充電量情報を充電機器側の計測器20から取得する。取得した充電量情報は、無線通信によってルータ40に出力される。
【0055】
無線通信デバイス10は、ルータ40を介して、外部サーバ700から充電制御に関わる情報を取得する。充電制御に関わる情報としては、電動車両500の充電を行うように指示する情報が挙げられる。また、充電制御に関わる情報としては、電動車両500の充電を行わないように指示する情報が挙げられる。
【0056】
そして無線通信デバイス10は、取得した充電制御に関わる情報に基づいて、リレー130を制御する。例えば、電動車両500の充電を行うように指示する情報を無線通信デバイス10が取得した場合、電流経路L2を通電させるようにリレー130を制御する。また、例えば、電動車両500の充電を行わないように指示する情報を無線通信デバイス10が取得した場合、電流経路L2を遮断させるようにリレー130を制御する。
【0057】
分電盤側の無線通信デバイス30は、家庭Aの現在電流値を計測器400から取得する。取得した現在電流値は、無線通信によってルータ40に出力される。
【0058】
ルータ40は、無線通信デバイス10から無線通信を介して充電量情報を取得する。また、ルータ40は、ネットワーク900を介して外部サーバ700に充電量情報を出力する。さらに、ルータ40は、分電盤側の無線通信デバイス30から無線通信を介して現在電流値を取得する。また、ルータ40は、ネットワーク900を介して外部サーバ700に現在電流値を出力する。さらに、ルータ40は、外部サーバ700からネットワーク900を介して充電制御に関わる情報を取得する。また、ルータ40は、無線通信デバイス10に無線通信を介して充電制御に関わる情報を出力する。
【0059】
充電量把握システム2において、外部サーバ700は、ルータ40からネットワーク900を介して、充電量情報および現在電流値を取得する。
また、充電量把握システム2において、外部サーバ700は、制御パラメータおよび現在電流値から目標電流値、余力電流値、充電電流値を算出する。算出方法は、図3の制御部140にて説明した方法と同様である。
そして、外部サーバ700は、余力電流値と充電電流値との差を比較し、充電制御に関わる情報を出力する。例えば、余力電流値が充電電流値より大きい場合に、電動車両500の充電を行うように指示する情報を無線通信デバイス10に出力する。また、例えば、外部サーバ700は、余力電流値が充電電流値より小さい場合に、電動車両500の充電を行わないように指示する情報を無線通信デバイス10に出力する。
【0060】
このように、変形例によれば、家庭A内のルータ40を用いて外部サーバ700との通信を行うことで、充電機器101の構成を簡略化できる。
【符号の説明】
【0061】
100、101…充電機器、400…計測器、500…電動車両、700…外部サーバ、800…顧客側端末
【要約】
【課題】家庭用の電源を利用して電動車両の充電を行う際の、利用者の利便性を向上させる。
【解決手段】電動車両充電機器は、家庭内の配線から電気を取るための家庭内コンセントに差し込むプラグと、電動車両を充電するための充電ケーブルに接続されたプラグを差し込むためのコンセントと、家庭内の電流値に関する情報を取得する取得部と、取得部により取得した電流値に関する情報をもとにプラグおよびコンセントを介した電動車両の充電を制御する制御部と、制御部により制御された電動車両の充電に関する情報を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6