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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ガス検知器およびガス検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
G01N27/12 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024062934
(22)【出願日】2024-04-09
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】折田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】北川 靖久
(72)【発明者】
【氏名】三橋 弘和
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-275202(JP,A)
【文献】特開2020-024130(JP,A)
【文献】特開2021-004851(JP,A)
【文献】特開2002-168817(JP,A)
【文献】特開2004-053404(JP,A)
【文献】特開平01-145559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感応部と前記感応部を所定の温度に加熱する加熱部とを含み、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なるMEMS式の半導体ガスセンサと、
所定時間間隔毎に前記加熱部のパルス駆動により前記感応部を第1温度に加熱して前記半導体ガスセンサの前記第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1温度における検知結果としての前記半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、前記第1温度よりも低温域の第2温度における前記半導体ガスセンサの検知を行うように制御し、
前記制御部は、前記第1温度における前記半導体ガスセンサの第1検知結果と前記第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い前記第2温度における前記半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する、ガス検知器。
【請求項2】
前記半導体ガスセンサの前記第2温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比は、前記半導体ガスセンサの前記第1温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比よりも大きい、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項3】
前記第1温度は、450℃以上600℃以下であり、
前記第2温度は、200℃以上400℃以下である、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項4】
前記制御部は、所定時間間隔毎に前記加熱部のパルス駆動により前記感応部を前記第1温度に加熱して前記半導体ガスセンサの前記第1温度における検知を所定時間間隔毎に行うとともに、前記第1検知結果によりメタンガスを検知した場合に、前記加熱部のパルス駆動により前記感応部を前記第2温度に加熱して前記半導体ガスセンサの前記第2温度における検知を前記第1温度における検知に加えて行うように制御する、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1検知結果と前記第2検知結果との比に基づいて、検知したガスが前記第1ガスと前記第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項6】
前記半導体ガスセンサは、基板と、前記基板上に設けられた電極パターンと、前記電極パターンを覆うSnO感応層と、前記SnO感応層を覆うパラジウム触媒層と、を含む、請求項5に記載のガス検知器。
【請求項7】
外部機器と通信可能な通信部をさらに備え、
前記制御部は、検知したガスが前記第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが前記第2ガスであると判定した場合と、において、前記通信部による通信態様が互いに異なる制御を行う、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項8】
報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、検知したガスが前記第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが前記第2ガスであると判定した場合と、において、互いに異なる態様により前記報知部により報知する制御を行う、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項9】
硫化水素ガスを検知可能な硫化水素センサをさらに備え、
前記制御部は、前記第1温度における検知結果としての前記半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、前記硫化水素センサにより硫化水素ガスの検知を行い、検知したガスが硫化水素ガスを含むか否かを判定する、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項10】
前記半導体ガスセンサの前記第1温度におけるエタンガスの検知感度と、前記第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、略同等である、請求項1に記載のガス検知器。
【請求項11】
感応部と前記感応部を所定の温度に加熱する加熱部とを含み、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なるMEMS式の半導体ガスセンサを備えるガス検知器のガス検知方法であって、
所定時間間隔毎に前記加熱部のパルス駆動により前記感応部を第1温度に加熱して前記半導体ガスセンサの前記第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う工程と、
前記第1温度における検知結果としての前記半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、前記加熱部の駆動を変更して前記第1温度よりも低温域に加熱した第2温度における前記半導体ガスセンサの検知を行う工程と、
前記第1温度における前記半導体ガスセンサの第1検知結果と前記第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い前記第2温度における前記半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する工程と、を備える、ガス検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス検知器およびガス検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス検知器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、メタンガスを検知する半導体式ガスセンサを備えるガス検知器が開示されている。このガス検知器では、メタンガスを検知することにより、メタンガスを主成分とする都市ガスを検知して都市ガスの漏洩を検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-009263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたガス検知器では、メタンガスを検知することにより、メタンガスを主成分とする都市ガスの漏洩を検知しているため、地中発生などの都市ガスに由来しないメタンガスを検知した場合でも、都市ガスに由来するメタンガスを検知した場合でも、検知したガスの種類を判定することが困難であり、都市ガスの漏洩を誤検知するおそれがある。そこで、検知したガスを精度よく判定することが可能なガス検知器およびガス検知方法が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検知したガスを精度よく判定することが可能なガス検知器およびガス検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるガス検知器は、感応部と感応部を所定の温度に加熱する加熱部とを含み、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なるMEMS式の半導体ガスセンサと、所定時間間隔毎に加熱部のパルス駆動により感応部を第1温度に加熱して半導体ガスセンサの第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う制御部と、を備え、制御部は、第1温度における検知結果としての半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、第1温度よりも低温域の第2温度における半導体ガスセンサの検知を行うように制御し、制御部は、第1温度における半導体ガスセンサの第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。
【0008】
この発明の第1の局面によるガス検知器では、制御部は、第1温度における半導体ガスセンサの第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。これにより、半導体ガスセンサにより、第1温度および第2温度において、検知結果を得ることにより、メタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスと、を判別することができる。これにより、検知したガスを精度よく判定することができる。その結果、ガスの誤検知を抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、半導体ガスセンサの第2温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比は、半導体ガスセンサの第1温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比よりも大きい。このように構成すれば、第2温度における検知結果に基づいて、検知したガスにエタンガスが含有しているか否かをより容易に判定することができる。その結果、第1ガスおよび第2ガスの判定をより容易に行うことができる。
【0010】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、第1温度は、450℃以上600℃以下であり、第2温度は、200℃以上400℃以下である。このように構成すれば、450℃以上600℃以下の比較的高い温度帯によりメタンガスを検知することができるとともに、200℃以上400℃以下の比較的低い温度帯によりエタンガスを含むか否かを検知することができる。
【0011】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、制御部は、所定時間間隔毎に加熱部のパルス駆動により感応部を第1温度に加熱して半導体ガスセンサの第1温度における検知を所定時間間隔毎に行うとともに、第1検知結果によりメタンガスを検知した場合に、加熱部のパルス駆動により感応部を第2温度に加熱して半導体ガスセンサの第2温度における検知を第1温度における検知に加えて行うように制御する。このように構成すれば、メタンガスを検知しない場合には、パルス駆動により感応部を第2温度に加熱してガスを検知することがないので、メタンガスを検知するまでの処理が煩雑になるのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、制御部は、第1検知結果と第2検知結果との比に基づいて、検知したガスが第1ガスと第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。このように構成すれば、第1検知結果と第2検知結果との比を用いるため、検知ガスの濃度によらず、第1ガスおよび第2ガスの判定を精度よく行うことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、半導体ガスセンサは、基板と、基板上に設けられた電極パターンと、電極パターンを覆うSnO感応層と、SnO感応層を覆うパラジウム触媒層と、を含む。このように構成すれば、パラジウム触媒層を設けることにより、第1ガスを検知した場合の第1検知結果と第2検知結果との比と、第2ガスを検知した場合の第1検知結果と第2検知結果との比と、の差を大きくすることができるので、第1検知結果と第2検知結果との比に基づいて、第1ガスおよび第2ガスの判定をより精度よく行うことができる。
【0014】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、外部機器と通信可能な通信部をさらに備え、制御部は、検知したガスが第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが第2ガスであると判定した場合と、において、通信部による通信態様が互いに異なる制御を行う。このように構成すれば、第1ガスおよび第2ガスの判定により、外部機器に通知する態様を異ならせることができる。たとえば、第1ガスおよび第2ガスのうち一方であると判定した場合に、通信部による通信を行わなかったり、通信する対象を少なくすることができる。また、第1ガスおよび第2ガスのうち他方であると判定した場合に、通信部による通信を行うようにしたり、通信する対象を多くすることができる。
【0015】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、報知を行う報知部をさらに備え、制御部は、検知したガスが第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが第2ガスであると判定した場合と、において、互いに異なる態様により報知部により報知する制御を行う。このように構成すれば、報知部の異なる態様の報知により、第1ガスを検知したのか、第2ガスを検知したのかを、ユーザが容易に認識することができる。たとえば、危険な可能性があるメタンガスを含む第1ガスを検知したことをユーザに通知しつつ、検知したガスが危険度がより高い第2ガス(たとえば、都市ガス)であるかを判別可能なように通知することができる。
【0016】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、硫化水素ガスを検知可能な硫化水素センサをさらに備え、制御部は、第1温度における検知結果としての半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、硫化水素センサにより硫化水素ガスの検知を行い、検知したガスが硫化水素ガスを含むか否かを判定する。このように構成すれば、第1温度における半導体ガスセンサによりガスを検知した場合に、検知したガスに硫化水素ガスが含まれるか否かを硫化水素センサの検知結果により容易に判定することができる。その結果、検知したガスをさらに精度よく判定することができる。
【0017】
上記第1の局面によるガス検知器において、好ましくは、半導体ガスセンサの第1温度におけるエタンガスの検知感度と、第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、略同等である。このように構成すれば、第1温度と第2温度とでは半導体ガスセンサのエタンガスの検知感度が略同等であるとともに、半導体ガスセンサのメタンガスの検知感度が第1温度よりも第2温度の方が低いことにより、第2温度においてエタンガスを検知する精度が相対的に高まるので、第2温度における検知結果に基づいて、検知したガスにエタンガスが含有しているか否かを容易に判定することができる。その結果、第1ガスおよび第2ガスの判定を容易に行うことができる。
【0018】
この発明の第2の局面によるガス検知方法は、感応部と感応部を所定の温度に加熱する加熱部とを含み、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なるMEMS式の半導体ガスセンサを備えるガス検知器のガス検知方法であって、所定時間間隔毎に加熱部のパルス駆動により感応部を第1温度に加熱して半導体ガスセンサの第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う工程と、第1温度における検知結果としての半導体ガスセンサのセンサ出力値が所定閾値を超えた場合に、加熱部の駆動を変更して第1温度よりも低温域に加熱した第2温度における半導体ガスセンサの検知を行う工程と、第1温度における半導体ガスセンサの第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する工程と、を備える。
【0019】
この発明の第2の局面によるガス検知方法では、第1温度における半導体ガスセンサの第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサの第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。これにより、半導体ガスセンサにより、第1温度および第2温度において、検知結果を得ることにより、メタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスと、を判別することができる。これにより、検知したガスを精度よく判定することが可能なガス検知方法を提供することができる。その結果、ガスの誤検知を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、装置構成が複雑になるのを抑制しながら、検知したガスを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態によるガス検知器の制御的な構成を示したブロック図である。
図2】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの構成例を示した回路図である。
図3】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの構成例を示した模式的な平面図である。
図4】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの構成例を示した模式的な断面図である。
図5】一実施形態によるガス検知器のガスセンサのガス感度と温度との関係の一例を示した図である。
図6】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの300℃におけるガス感度を示した図である。
図7】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの550℃におけるガス感度を示した図である。
図8】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの300℃におけるセンサ抵抗値を示した図である。
図9】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの550℃におけるセンサ抵抗値を示した図である。
図10】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの300℃における動作抵抗比を示した図である。
図11】一実施形態によるガス検知器のガスセンサの550℃における動作抵抗比を示した図である。
図12】一実施形態によるガス検知器の駆動例を説明するための図である。
図13】一実施形態によるガス検知器のガス検知処理を説明するためのフローチャートである。
図14】一実施形態の変形例によるガス検知器の制御的な構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1図13を参照して、一実施形態によるガス検知器100の構成について説明する。
【0024】
(ガス検知器の構成)
本実施形態のガス検知器100は、検知対象ガスを検出する。また、ガス検知器100は、検知対象ガスを検知した場合に、警報を出力することによって、ガス漏れなどをユーザに対して報知する。検知対象ガスとは、ガス検知器100が検知すべきガスである。たとえば、検知対象ガスは、メタンガスを主成分として含む燃料ガス(都市ガス)である。
【0025】
ガス検知器100は、図1に示すように、半導体ガスセンサ1と、制御部2と、報知部3と、通信部4と、を備えている。半導体ガスセンサ1、制御部2、報知部3、および、通信部4は、ガス検知器100の筐体内に収容されている。ガス検知器100は、商用電源から供給される電力、または図示しない電池の電力により動作する。
【0026】
半導体ガスセンサ1は、感応部11と、感応部11を所定の温度に加熱する加熱部12と、を含んでいる。また、半導体ガスセンサ1は、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なる。また、半導体ガスセンサ1は、MEMS式のガスセンサである。つまり、半導体ガスセンサ1は、半導体製造プロセスを用いて半導体基板中に機械的構造を形成するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成されている。たとえば、半導体ガスセンサ1は、一辺の大きさが0.1mm程度のサイズを有している。
【0027】
半導体ガスセンサ1は、図2に示すような、測定回路を含んでいる。測定回路は、センサ部1aと、対辺抵抗R1およびR2と、負荷抵抗R3と、を備えている。センサ部1aと、対辺抵抗R1およびR2と、負荷抵抗R3とには、電源Eから電圧が印加される。また、センサ部1aおよび負荷抵抗R3の間に接続された端子A1と、対辺抵抗R1および対辺抵抗R2の間に接続された端子A2とからセンサ出力値が出力される。
【0028】
半導体ガスセンサ1は、被検知ガスが吸着すると抵抗値が変化する。このため、半導体ガスセンサ1の電気抵抗の変化を偏差電圧として取り出し、これをセンサ出力値とすることで被検知ガスのガス濃度を測定可能なように構成されている。
【0029】
具体的には、半導体ガスセンサ1の感応部11は、加熱部12により所定の温度に加熱されることにより、空気中の酸素を吸着する。また、感応部11に吸着された酸素は、検知対象ガス(メタンガス、エタンガス)がある場合には、反応することにより、感応部11の電気抵抗が変化する。半導体ガスセンサ1では、この電気抵抗の変化を測定することにより、メタンガス、エタンガスを検知する。
【0030】
半導体ガスセンサ1は、共通のガスセンサ素子(感応部11)により、複数種類のガスを検知することが可能である。具体的には、半導体ガスセンサ1は、加熱部12により感応部11を加熱する温度に応じて、ガスの種類毎に感度が変化する。第1実施形態では、半導体ガスセンサ1は、単一のガスセンサ素子(感応部11)が設けられている。つまり、ガス検知器100は、共通の半導体ガスセンサ1により、互いに異なる種類の第1ガスおよび第2ガスを検知する。
【0031】
半導体ガスセンサ1は、図3および図4に示すように、基板13と、絶縁膜13aを介して基板13上に設けられた電極パターン14と、電極パターン14を覆うSnO感応層15と、SnO感応層15を覆うパラジウム触媒層16と、を含んでいる。基板13は、Siにより形成されている。基板13には、キャビティCが形成されている。電極パターン14は、Ptにより形成されている。また、電極パターン14は、感応部11および加熱部12を兼用している。つまり、電極パターン14は、通電することにより所定温度に加温する。また、電極パターン14は、検知対象ガスが存在する場合に、抵抗値が変化することにより、センサ出力値を変化させる。
【0032】
SnO感応層15は、SnOを含むペーストを焼結させて形成されている。また、SnO感応層15は、SnO(酸化スズ)のSn(スズ)に対して0.05at%(原子パーセント)~0.2at%程度のSb(アンチモン)がドープされている。たとえば、SnO感応層15は、0.1at%のSbをドープして所定の電導度を有する酸化スズ半導体のペーストを、約20~30μmの厚さになるように電極パターン14に塗布して、電気炉にて加熱し焼結させて形成される。ドープするSbは、たとえば、5酸化アンチモン(Sb)である。
【0033】
パラジウム触媒層16は、パラジウムを含むペーストを焼結させて形成されている。たとえば、パラジウム触媒層16は、酸化スズに塩化パラジウムの水溶液を含浸法により10mol%になるように添加した後、電気炉で焼成した後、粉砕し、水で練ってペースト状とし、約20~30μmの膜厚になるようにSnO感応層15上に塗布して、電気炉にて加熱し焼結させて形成される。
【0034】
制御部2は、ガス検知器100の各部(半導体ガスセンサ1、報知部3、通信部4)の制御を行う。また、制御部2は、検知したガスを判別する制御を行う。制御部2は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサと、RAM(ランダムアクセスメモリ)などのメモリとを含んでいる。また、制御部2は、所定のプログラムを実行して制御処理を行う。
【0035】
報知部3は、対象ガスが検知された場合に、音や光などにより報知を行う。また、報知部3は、検知したガスの種類に応じて異なる態様により報知を行う。たとえば、報知部3は、第1ガスを検知した場合と、第2ガスを検知した場合とで、異なる態様により報知を行う。報知部3は、報知する音の種類、大きさ、長さなどを異ならせて報知することが可能である。また、報知部3は、報知する光の色、点滅の有無、発光する場所などを異ならせて報知することが可能である。
【0036】
たとえば、報知部3は、LEDなどの発光によって判定結果を示す場合に、LEDの黄点灯によりメタンガスの検知を報知する。また、その後の検知により、エタンガスを検知した場合には、報知部3は、LEDの黄点灯と並行して別のLEDの赤点灯により報知する。つまり、報知部3は、メタンガスを検知したことを報知し、その後、検知したガスがエタンガスを含む第2ガス(都市ガス)であると判定された場合には、メタンガスを検知したことの報知を残したまま、エタンガスを含む第2ガス(都市ガス)を検知したことを報知する。また、メタンガスを検知後の検知により、エタンガスを検知した場合には、報知部3は、黄点灯していたLEDを赤点灯に変更して報知してもよい。また、たとえば、報知部3は、音声によって判定結果を示す場合に、「ピ、ピ、ピ」という短音によりメタンガスの検知を報知する。また、その後の検知により、エタンガスを検知した場合には、報知部3は、「ピー、ピー、ピー」という長音によりエタンガスの検知を報知する。
【0037】
通信部4は、外部機器5と通信可能である。たとえば、通信部4は、ネットワークを介して外部機器5と通信を行う。また、通信部4は、有線または無線により外部機器5に直接通信接続されて通信を行ってもよい。
【0038】
制御部2は、所定時間間隔毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う。つまり、制御部2は、所定時間間隔毎に、メタンガスを検知可能な第1温度に、感応部11をパルス的に加熱して、メタンガスの検知を所定時間間隔毎に行う。たとえば、制御部2は、約60秒周期により第1温度により半導体ガスセンサ1の検知を行う。また、制御部2は、パルス的に感応部11を加熱したパルスの全期間において検知を行うようにしてもよいし、パルス的に感応部11を加熱したパルスの一部の期間(たとえば、1点の時間)において検知を行うようにしてもよい。
【0039】
また、制御部2は、第1温度における検知結果が所定閾値を超えた場合に、第1温度よりも低温域の第2温度における半導体ガスセンサ1の検知を行うように制御する。つまり、制御部2は、所定時間間隔毎に第1温度においてメタンガスの検知を行い、メタンガスを検知した場合に、低温域の第2温度においてガスの検知を行う。
【0040】
ここで、本実施形態では、制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサ1の第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。
【0041】
つまり、制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の第1検知結果により、メタンガスを含むガスを検知した場合に、検知したガスの種類を判定する制御を行う。制御部2は、検知したガスが、天然ガスなどのエタンガスの含有割合が低いガスである第1ガスであるか、エタンガスの含有割合が所定割合以上である都市ガスである第2ガスであるかを判定する。第1ガスおよび第2ガスを判定することにより、都市ガス(第2ガス)の漏洩であるか否かを識別することが可能である。その結果、検知したメタンガスが天然ガスに由来する場合に、都市ガスの漏洩であると誤検知することを抑制することが可能である。
【0042】
ここで、半導体ガスセンサ1は、図5に示すように、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なる。図5に示す例では、メタンガスおよびエタンガスが各々300ppmの濃度である場合の例について示している。半導体ガスセンサ1のメタンガスの検知感度は、温度が高くなるにしたがって高くなる。半導体ガスセンサ1のエタンガスの検知感度は、400℃~450℃をピークにして、感度が高くなる。
【0043】
また、半導体ガスセンサ1は、300℃において、図6に示すような感度特性を有する。図6に示す例の場合、300℃において、半導体ガスセンサ1は、都市ガスの感度特性の方がメタンガスの感度特性よりも高くなる。都市ガスは、たとえば、体積比率として、メタンが85%~90%、エタンが5~8%、プロパンが2~4%、ブタンが1~2%含まれている。
【0044】
また、半導体ガスセンサ1は、550℃において、図7に示すような感度特性を有する。図7に示す例の場合、550℃において、半導体ガスセンサ1は、メタンガスの感度特性の方が都市ガスの感度特性よりも高くなる。
【0045】
また、半導体ガスセンサ1は、300℃において、図8に示すようなセンサ抵抗値となる。図8に示す例の場合、300℃において、半導体ガスセンサ1は、都市ガスのセンサ抵抗値の方がメタンガスのセンサ抵抗値よりも小さくなる。
【0046】
また、半導体ガスセンサ1は、550℃において、図9に示すようなセンサ抵抗値となる。図9に示す例の場合、550℃において、半導体ガスセンサ1は、メタンガスのセンサ抵抗値の方が都市ガスのセンサ抵抗値よりも小さくなる。
【0047】
また、半導体ガスセンサ1は、300℃において、図10に示すような動作抵抗比となる。動作抵抗比は、空気が存在する場合の抵抗に対する検知ガスが存在する場合の抵抗の比である。図10に示す例の場合、300℃において、半導体ガスセンサ1は、都市ガスの動作抵抗比の方がメタンガスの動作抵抗比よりも小さくなる。
【0048】
また、半導体ガスセンサ1は、550℃において、図11に示すような動作抵抗比となる。図11に示す例の場合、550℃において、半導体ガスセンサ1は、メタンガスの動作抵抗比の方が都市ガスの動作抵抗比よりも小さくなる。
【0049】
本実施形態では、たとえば、第1温度は、450℃以上600℃以下であり、第2温度は、200℃以上400℃以下である。第2温度は、低温であることが好ましい。つまり、低温であるほど、メタンガスと都市ガスとの感度差が大きくなるため、低温の第2温度の検知結果に基づいて、第1ガス(メタンガス)と第2ガス(都市ガス)との判定を精度よく行うことが可能である。ただし、温度が低くなるに従いメタンガスの検知感度が低くなるため、第2温度は、低くなりすぎない温度が好ましい。たとえば、第2温度は、約300℃が好ましい。また、ガスの選択性・耐久性の面から、第2温度は高くなりすぎない温度が好ましく、第2温度は600℃以下であることが好ましい。
【0050】
また、半導体ガスセンサ1の第1温度におけるエタンガスの検知感度と、第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、略同等である。たとえば、第1温度が550℃であり、第2温度が300℃である場合、図5に示すように、半導体ガスセンサ1のエタンガスの検知感度は、略同等となる。
【0051】
また、半導体ガスセンサ1の第2温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比は、半導体ガスセンサ1の第1温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比よりも大きい。たとえば、第1温度が550℃であり、第2温度が300℃である場合、図5に示すように、半導体ガスセンサ1のエタンガスの検知感度は、略同等となる。また、半導体ガスセンサ1のメタンガスの検知感度は、第1温度(550℃)の方が第2温度(300℃)よりも高くなる。したがって、半導体ガスセンサ1の第2温度(300℃)におけるエタンガスの検知感度をメタンガスの検知感度で除した値である相対比は、半導体ガスセンサ1の第1温度(550℃)におけるエタンガスの検知感度をメタンガスの検知感度で除した値である相対比よりも大きくなる。
【0052】
また、制御部2は、所定時間間隔毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う。また、制御部2は、第1検知結果によりメタンガスを検知した場合に、加熱部12のパルス駆動により感応部11を第2温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第2温度における検知を第1温度における検知に加えて行うように制御する。
【0053】
たとえば、図12に示すように、制御部2は、所定時間間隔ta毎に第1温度において半導体ガスセンサ1によりガス検知を行う通常駆動(図12(A)参照)と、メタンガスを検知した場合に、第1温度および第2温度の両方において半導体ガスセンサ1によりガス検知を行う複合駆動(図12(B)(C)参照)と、を行うように制御する。
【0054】
図12(A)に示すように、通常時(メタンガスを検知していない場合)には、所定時間間隔ta毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を行う。図12(A)に示す例では、時間t1により第1温度において半導体ガスセンサ1により検知を行う。そして、時間t1から時間間隔ta後の時間t2により第1温度において半導体ガスセンサ1により検知を行う。以降、時間間隔ta毎の時間t3、t4・・・に第1温度において半導体ガスセンサ1により検知を行う。
【0055】
図12(B)に示すように、通常時に行っている第1温度におけるガス検知において、検知結果が所定閾値を超えた場合(所定の濃度を超えるメタンガスを検知した場合)、制御部2は、第1温度および第2温度の両方においてガス検知を行う制御を行う。図12(B)に示す例では、時間t11から時間間隔ta後の時間t12において、メタン警報レベルのメタンガスを検知する。メタンガスを検知したことに基づいて、制御部2は、時間t12から時間間隔taが経過する前のタイミングの時間t13において、加熱部12のパルス駆動により感応部11を第2温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第2温度における検知を行う。たとえば、制御部2は、第1温度における検知を行った時間t12からta/2だけ経過した時間t13において、第2温度における検知を行う。
【0056】
また、制御部2は、時間t12から時間間隔ta後の時間t14により第1温度における検知を行う。時間t14においてもメタンガスを検知していることに基づいて、制御部2は、時間t14から時間間隔taが経過する前のタイミングの時間t15において第2温度における検知を行う。また、制御部2は、時間t14から時間間隔ta後の時間t16により第1温度における検知を行う。
【0057】
また、制御部2は、第1温度および第2温度の両方において交互に検知を行っている場合において、第1温度における検知結果が所定閾値以下である場合(所定の濃度を超えるメタンガスを検知しない場合)、第2温度における検知を停止する。これにより、所定時間間隔ta毎に第1温度において半導体ガスセンサ1によりガス検知を行う通常駆動に戻る。
【0058】
図12(C)に示す例では、時間t21~時間t24までは、第1温度における検知、および、第2温度における検知を交互に行う。時間t25に第1温度における検知結果が所定閾値以下である(所定の濃度を超えるメタンガスを検知しない)。この場合、第2温度における検知を停止する。そして、制御部2は、時間t25から時間間隔ta後の時間t26により第1温度における検知を行う。
【0059】
また、制御部2は、第1検知結果と第2検知結果との比に基づいて、検知したガスが第1ガスと第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。具体的には、制御部2は、第2検知結果(第2温度における値)を、第1検知結果(第1温度における値)で除した判定値を算出する。そして、制御部2は、算出した判定値が設定したしきい値以上である場合に、検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定する。一方、制御部2は、算出した判定値が設定したしきい値未満である場合に、検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定する。
【0060】
たとえば、第1温度を550℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は130mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は123mVである。また、第2温度を300℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は42mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は65mVである。この場合、メタンガスの判定値V11は、42mV/130mV≒0.323となる。また、都市ガスの判定値V12は、65mV/123mV≒0.529となる。この場合、判定値V11と判定値V12との差が、0.206となり、有為な差(0.1以上)がついている。そして、第1温度を550℃とし第2温度を300℃とした場合に、第1ガス(メタンガス)であると判定するしきい値を0.37とし、第2ガス(都市ガス)であると判定するしきい値を0.4としてもよい。つまり、制御部2は、判定値が0.37以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.4以上である場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定する。また、制御部2は、判定値が0.37より大きく0.4未満である場合には、たとえば、判定値が0.37以下または0.4以上となるまで、第2温度における測定および判定を繰り返す。または、第1ガスであると判定する判定値のしきい値と、第2ガスであると判定する判定値のしきい値とを、1つの値としてもよい。たとえば、判定値を0.323と0.529との間の値(たとえば、0.38)としてもよい。この場合、制御部2は、判定値が0.38以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.38より大きい場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定してもよい。また、制御部2は、第1温度および第2温度において、各々複数回測定して算出した判定値の平均を用いて、第1ガスおよび第2ガスの判定を行ってもよい。
【0061】
また、たとえば、第1温度を550℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は130mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は123mVである。また、第2温度を350℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は60mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は80mVである。この場合、メタンガスの判定値V21は、60mV/130mV≒0.462となる。また、都市ガスの判定値V22は、80mV/123mV≒0.650となる。この場合、判定値V21と判定値V22との差が、0.188となり、有為な差(0.1以上)がついている。そして、第1温度を550℃とし第2温度を350℃とした場合に、第1ガス(メタンガス)であると判定するしきい値を0.5とし、第2ガス(都市ガス)であると判定するしきい値を0.6としてもよい。つまり、制御部2は、判定値が0.5以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.6以上である場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定する。また、制御部2は、判定値が0.5より大きく0.6未満である場合には、たとえば、判定値が0.5以下または0.6以上となるまで、第2温度における測定および判定を繰り返す。または、第1ガスであると判定する判定値のしきい値と、第2ガスであると判定する判定値のしきい値とを、1つの値としてもよい。たとえば、判定値を0.462と0.650との間の値(たとえば、0.55)としてもよい。この場合、制御部2は、判定値が0.55以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.55より大きい場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定してもよい。
【0062】
また、たとえば、第1温度を550℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は130mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は123mVである。また、第2温度を400℃とした場合、3000ppmのメタンガスを検知した場合の値は86mVであり、3000ppmの都市ガスを検知した場合の値は102mVである。この場合、メタンガスの判定値V31は、86mV/130mV≒0.699となる。また、都市ガスの判定値V32は、102mV/123mV≒0.829となる。この場合、判定値V31と判定値V32との差が、0.13となり、有為な差(0.1以上)がついている。そして、第1温度を550℃とし第2温度を400℃とした場合に、第1ガス(メタンガス)であると判定するしきい値を0.75とし、第2ガス(都市ガス)であると判定するしきい値を0.77としてもよい。つまり、制御部2は、判定値が0.75以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.77以上である場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定する。また、制御部2は、判定値が0.75より大きく0.77未満である場合には、たとえば、判定値が0.75以下または0.77以上となるまで、第2温度における測定および判定を繰り返す。または、第1ガスであると判定する判定値のしきい値と、第2ガスであると判定する判定値のしきい値とを、1つの値としてもよい。たとえば、判定値を0.699と0.829との間の値(たとえば、0.76)としてもよい。この場合、制御部2は、判定値が0.76以下である場合に検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定し、判定値が0.77より大きい場合に検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定してもよい。
【0063】
なお、判定のしきい値は、第1温度および第2温度に応じて適宜変更される。また、判定のしきい値は、第1ガスおよび第2ガスがともに同じ値であってもよい。
【0064】
また、制御部2は、検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定した場合と、検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定した場合と、において、通信部4による通信態様が互いに異なる制御を行う。たとえば、制御部2は、第1ガス(メタンガス)と判定した場合には、通信部4による通信は行わない。つまり、第1ガス(メタンガス)と判定した場合には、外部機器5には通知されない。一方、制御部2は、第2ガス(都市ガス)と判定した場合には、通信部4により外部機器5に第2ガス(都市ガス)を検知したことを通知する。また、制御部2は、第1温度における検知結果がしきい値を超えた(所定の濃度を超えるメタンガスを検知した)時点で一旦通信を行ってもよい。この場合、制御部2は、通信部4によりメタンガスを検知したことを外部機器5に通知する通信を行う。また、制御部2は、第2温度における検知を行いガスの判定が出た時点で追加の通信を行ってもよい。この場合、制御部2は、第2ガス(都市ガス)と判定した場合には、通信部4により外部機器5に第2ガス(都市ガス)を検知したことを追加で通知する。一方、制御部2は、第1ガス(メタンガス)と判定した場合には、通信部4による外部機器5への追加の通知を行わない。また、制御部2は、検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定した場合と検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定した場合とにおいて、通信部4により異なる態様により外部機器5に通信を行ってもよい。
【0065】
また、たとえば、制御部2は、メタンガスを検知した段階において、通信部4により外部機器5に通知を行う。また、その後の検知により、エタンガスを検知した場合には、制御部2は、メタンガスを検知したことの通知と並行して通信部4により外部機器5にエタンガスを検知したことの通知を行う。つまり、制御部2は、メタンガスを検知したことを通信部4により外部機器5に通知し、その後、検知したガスがエタンガスを含む第2ガス(都市ガス)であると判定した場合には、メタンガスを検知したことの通知を残したまま、エタンガスを含む第2ガス(都市ガス)を検知したことを通知する。また、メタンガスを検知後の検知により、エタンガスを検知した場合には、制御部2は、メタンガスを検知した通知をエタンガスを含む第2ガス(都市ガス)を検知した通知に変更して通信部4により外部機器5に通知してもよい。
【0066】
また、制御部2は、検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定した場合と、検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定した場合と、において、互いに異なる態様により報知部3により報知する制御を行う。たとえば、制御部2は、第1ガス(メタンガス)と判定した場合と、第2ガス(都市ガス)と判定した場合とで、報知部3による報知する音、光を異ならせて通知を行う。また、制御部2は、第1温度における検知結果がしきい値を超えた(所定の濃度を超えるメタンガスを検知した)時点で一旦報知を行ってもよい。この場合、制御部2は、報知部3によりメタンガスを検知したことを報知する。また、制御部2は、第2温度における検知を行いガスの判定が出た時点で、第1ガス(メタンガス)に対応した報知と、第2ガス(都市ガス)に対応した報知とで、態様を異ならせた状態で報知する。つまり、制御部2は、検知したガスが第1ガス(メタンガス)であると判定した場合に、天然ガス流入の可能性を報知部3により報知する。また、制御部2は、検知したガスが第2ガス(都市ガス)であると判定した場合に、都市ガス漏洩の可能性を報知部3により報知する。
【0067】
(ガス検知処理)
次に、図13を参照して、制御部2によるガス検知処理について説明する。
【0068】
図13のステップS1において、制御部2は、所定時間間隔毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う。ステップS2において、制御部2は、第1温度における検知により、検知結果が所定閾値を超えて、所定の濃度を超えるメタンガスを検知したか否かを判断する。メタンガスを検知すればステップS3に進み、メタンガスを検知しなければ、ステップS1に戻り、第1温度における検知を所定間隔毎に行うことを継続する。
【0069】
ステップS3において、制御部2は、メタンガスを検知したことを報知部3により報知する。また、制御部2は、メタンガスを検知したことを通信部4により外部機器に通知する。ステップS4において、制御部2は、第1温度における検知の間で第2温度における検知を行う。つまり、制御部2は、加熱部12のパルス駆動により感応部11を第2温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第2温度における検知を第1温度における検知に加えて行う。ステップS5において、制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサ1の第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。
【0070】
ステップS6において、制御部2は、検知したガスが第1ガス(メタンガス)か第2ガス(都市ガス)かを判断する。第1ガスであれば、ステップS9に進み、第2ガスであれば、ステップS7に進む。ステップS7において、制御部2は、報知部3により第2ガス(都市ガス)用の態様により報知を行う。
【0071】
ステップS8において、制御部2は、通信部4により外部機器に第2ガス(都市ガス)を検知したことを通知する。ステップS9において、制御部2は、報知部3により第1ガス(メタンガス)用の態様により報知を行う。
【0072】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサ1の第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。これにより、半導体ガスセンサ1により、第1温度および第2温度において、検知結果を得ることにより、メタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスと、を判別することができる。これにより、ガスセンサを多く設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。その結果、装置構成が複雑になるのを抑制しながら、検知したガスを判定することができる。その結果、ガスの誤検知を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、半導体ガスセンサ1の第2温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比は、半導体ガスセンサ1の第1温度におけるメタンガスの検知感度に対するエタンガスの検知感度の相対比よりも大きい。これにより、第2温度における検知結果に基づいて、検知したガスにエタンガスが含有しているか否かをより容易に判定することができる。その結果、第1ガスおよび第2ガスの判定をより容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、第1温度は、450℃以上600℃以下であり、第2温度は、200℃以上400℃以下である。これにより、450℃以上600℃以下の比較的高い温度帯によりメタンガスを検知することができるとともに、200℃以上400℃以下の比較的低い温度帯によりエタンガスを含むか否かを検知することができる。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、所定時間間隔毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を所定時間間隔毎に行うとともに、第1検知結果によりメタンガスを検知した場合に、加熱部12のパルス駆動により感応部11を第2温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第2温度における検知を第1温度における検知に加えて行うように制御する。これにより、メタンガスを検知しない場合には、パルス駆動により感応部11を第2温度に加熱してガスを検知することがないので、メタンガスを検知するまでの処理が煩雑になるのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、第1検知結果と第2検知結果との比に基づいて、検知したガスが第1ガスと第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。これにより、第1検知結果と第2検知結果との比を用いるため、検知ガスの濃度によらず、第1ガスおよび第2ガスの判定を精度よく行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、半導体ガスセンサ1は、基板13と、基板13上に設けられた電極パターン14と、電極パターン14を覆うSnO感応層15と、SnO感応層15を覆うパラジウム触媒層16と、を含む。これにより、パラジウム触媒層16を設けることにより、第1ガスを検知した場合の第1検知結果と第2検知結果との比と、第2ガスを検知した場合の第1検知結果と第2検知結果との比と、の差を大きくすることができるので、第1検知結果と第2検知結果との比に基づいて、第1ガスおよび第2ガスの判定をより精度よく行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、検知したガスが第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが第2ガスであると判定した場合と、において、通信部4による通信態様が互いに異なる制御を行う。これにより、第1ガスおよび第2ガスの判定により、外部機器5に通知する態様を異ならせることができる。たとえば、第1ガスおよび第2ガスのうち一方であると判定した場合に、通信部4による通信を行わなかったり、通信する対象を少なくすることができる。また、第1ガスおよび第2ガスのうち他方であると判定した場合に、通信部4による通信を行うようにしたり、通信する対象を多くすることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2は、検知したガスが第1ガスであると判定した場合と、検知したガスが第2ガスであると判定した場合と、において、互いに異なる態様により報知部3により報知する制御を行う。これにより、報知部3の異なる態様の報知により、第1ガスを検知したのか、第2ガスを検知したのかを、ユーザが容易に認識することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、半導体ガスセンサ1の第1温度におけるエタンガスの検知感度と、第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、略同等である。これにより、第1温度と第2温度とでは半導体ガスセンサ1のエタンガスの検知感度が略同等であるとともに、半導体ガスセンサ1のメタンガスの検知感度が第1温度よりも第2温度の方が低いことにより、第2温度においてエタンガスを検知する精度が相対的に高まるので、第2温度における検知結果に基づいて、検知したガスにエタンガスが含有しているか否かを容易に判定することができる。その結果、第1ガスおよび第2ガスの判定を容易に行うことができる。
【0082】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記実施形態では、ガス検知器に1つの半導体ガスセンサが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、他のガスを検知するためのガスセンサが設けられていてもよい。たとえば、一酸化炭素ガスを検知するためのガスセンサが別途設けられていてもよい。また、硫化水素ガスを検知するためのガスセンサが別途設けられていてもよい。
【0084】
図14に示す変形例のように、ガス検知器200は、半導体ガスセンサ1と、制御部2と、報知部3と、通信部4と、硫化水素センサ6と、を備えていてもよい。また、この場合、制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の検知結果が所定閾値を超えた場合に、硫化水素センサ6により硫化水素ガスの検知を行い、検知したガスが硫化水素ガスを含むか否かを判定してもよい。このように構成することにより、第1温度における半導体ガスセンサ1によりガスを検知した場合に、検知したガスに硫化水素ガスが含まれるか否かを硫化水素センサの検知結果により容易に判定することができる。その結果、検知したガスをさらに精度よく判定することができる。つまり、検知したガスが、下水などから発生する硫化水素ガスおよびメタンガスを含むガスであるかを判定することができる。
【0085】
硫化水素センサ6は、半導体式ガスセンサである。硫化水素センサ6は、半導体製造プロセスを用いて半導体基板中に機械的構造を形成するMEMS技術により形成されている。たとえば、硫化水素センサ6は、一辺の大きさが0.1mm程度のサイズを有している。また、硫化水素センサ6は、基板と、基板上に設けられた電極パターンと、電極パターンを覆うZnO感応層と、を含む。また、ZnO感応層には、ガリウムが含有されている。たとえば、ZnO感応層は、ZnO(酸化亜鉛)のZn(亜鉛)に対して0.1at%(原子パーセント)~1at%程度のGa(ガリウム)がドープされている。たとえば、ZnO感応層は、0.2at%のGaがドープされている。ドープするGaは、たとえば、酸化ガリウム(Ga)である。硫化水素センサ6は、パルス駆動によりZnO感応層を所定の温度に加熱してガスを検知する。
【0086】
この場合、制御部2は、検知したガスが、第1ガス(メタンガス)であるか、第2ガス(都市ガス)であるか、の判定に加えて、下水から発生するメタンガスおよび硫化水素ガスを含む第3ガスであるかを判定する。また、第1ガスおよび第2ガスの判定に加えて第3ガスまで判定する場合において、一連の判定を行った後に最終的な結果を通信および報知してもよいし、各判定ごとに適宜通信および報知してもよい。また、判定結果に応じて、通信および報知する態様について適宜変更してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、約60秒の所定時間間隔毎に第1温度におけるガスの検知を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、60秒以外の所定時間間隔毎に第1温度におけるガスの検知を行ってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、第1ガスがメタンガスであり、第2ガスが都市ガスである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2ガスが都市ガス以外のメタンガスおよびエタンガスを含むガスであってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、半導体ガスセンサの第1温度におけるエタンガスの検知感度と、第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、略同等である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体ガスセンサの第1温度におけるエタンガスの検知感度と、第2温度におけるエタンガスの検知感度とは、互いに異なっていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、半導体ガスセンサは、電極パターンを覆うSnO感応層と、SnO感応層を覆うパラジウム触媒層を含んでいる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半導体ガスセンサがSnO感応層を覆うパラジウム触媒層を含んでいなくてもよい。また、電極パターンを覆う感応層は、SnO以外の感応層であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第1温度におけるガスの検知と、第2温度におけるガスの検知とを、互いに別のパルス駆動により行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1回の加熱において、第2温度まで上昇した際にガスを検知するとともに、さらに温度が上昇して第1温度になった際にガスを検知するようにしてもよい。また、1回の加熱において、第1温度まで上昇した際にガスを検知するとともに、温度が下降して第2温度になった際にガスを検知するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ガス検知器が通信部および報知部を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス検知器に通信部および報知部のうち一方のみを設けてもよい。たとえば、ガス検知器に通信部が設けられていなくてもよい。また、ガス検知器に報知部が設けられなくてもよい。この場合、報知部をガス検知器と別体で設けてもよい。また、ガス検知器に報知部を設けた場合でも、ガス検知器の外部の機器により報知を行ってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、第1温度における検知結果が所定閾値を超えた場合に、第1温度における検知と第2温度における検知とを交互に行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1温度における検知結果が所定閾値を超えた場合に、第1温度における検知を複数回行う毎に第2温度における検知を1回行ってもよいし、第2温度における検知を複数回行う毎に第1温度における検知を1回行ってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、第1温度における検知および第2温度における検知を行っている場合に、第1温度における検知結果が所定閾値以下となった場合に、第2温度における検知を停止する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1温度における検知および第2温度における検知を行っている場合に、第1温度における検知結果が複数回所定閾値以下となった場合に、第2温度における検知を停止してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 半導体ガスセンサ
2 制御部
3 報知部
4 通信部
5 外部機器
6 硫化水素センサ
11 感応部
12 加熱部
13 基板
14 電極パターン
15 SnO感応層
16 パラジウム触媒層
100 ガス検知器
【要約】
【課題】検知したガスを精度よく判定することが可能なガス検知器を提供する。
【解決手段】このガス検知器100は、感応部11と加熱部12とを含み、温度に応じてメタンガスおよびエタンガスの各々の検知感度が異なるMEMS式の半導体ガスセンサ1と、所定時間間隔毎に加熱部12のパルス駆動により感応部11を第1温度に加熱して半導体ガスセンサ1の第1温度における検知を所定時間間隔毎に行う制御部2と、を備える。制御部2は、第1温度における半導体ガスセンサ1の第1検知結果と第1温度よりもメタンガスの検知感度が低い第2温度における半導体ガスセンサ1の第2検知結果とに基づいて、検知したガスがメタンガスを含みエタンガスの含有割合が所定割合未満の第1ガスとメタンガスおよび所定割合以上のエタンガスを含む第2ガスとのうちいずれのガスであるかを判定する。
【選択図】図1
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