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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】作業員体調予測システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240924BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240924BHJP
   G06Q 10/0639 20230101ALI20240924BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/04
G06Q10/0639
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024111161
(22)【出願日】2024-07-10
【審査請求日】2024-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】進藤 匡浩
(72)【発明者】
【氏名】中川 大地
(72)【発明者】
【氏名】福田 純平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 正樹
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/286105(WO,A1)
【文献】特開2022-086699(JP,A)
【文献】特開2017-173899(JP,A)
【文献】特開2022-102456(JP,A)
【文献】特開2022-009097(JP,A)
【文献】特開2020-154569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
G06F 18/00-18/40
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場の作業員に取り付けられた2以上の種類のセンサにより検出された2種類以上のセンサ情報を取得し、取得した前記2種類以上のセンサ情報に応じて、それぞれの前記センサ情報に対して予め設定された前記作業員の状況を示す状況情報をそれぞれ取得する取得手段と、
センサ情報と状況情報とを含む入力データと、作業員の体調を示す体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、前記取得手段により取得された2種類以上のセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力する出力手段とを備えること
を特徴とする作業員体調予測システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記作業員に関する作業員情報又は前記工事現場の環境に関する環境情報の少なくとも何れか一つを取得し、
前記出力手段は、センサ情報と状況情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報と入力データと前記出力データとを学習データとして用いて学習された前記予測モデルを参照し、前記取得手段により取得されたセンサ情報と状況情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つの情報とに基づいて、前記体調予測情報を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の作業員体調予測システム。
【請求項3】
前記出力手段により出力された体調予測情報に基づいて、前記作業員の体調のリスクを示すリスク情報を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の作業員体調予測システム。
【請求項4】
工事現場の作業員に取り付けられた2以上の種類のセンサにより検出された2種類以上のセンサ情報を取得し、取得した前記2種類以上のセンサ情報に応じて、それぞれの前記センサ情報に対して予め設定された前記作業員の状況を示す状況情報をそれぞれ取得する取得ステップと、
センサ情報と状況情報とを含む入力データと、作業員の体調を示す体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、前記取得ステップにより取得された2種類以上のセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする作業員体調予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業員体調予測システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工事現場において、様々なセンサから取得した情報に基づいて、作業員の体調を管理することが求められている。この作業員の体調を管理する技術として、例えば特許文献1に、生体情報測定装置が開示されている。
【0003】
特許文献1では、人体の上腕部に装着して用いられる生体情報測定装置であって、前記上腕部に巻き付けられるベルト部と、前記人体の心電信号を検出するための複数の電極を備える心電測定手段と、前記人体の脈波を検出するため脈波センサを備える脈波測定手段と、前記人体の心臓の拍動に起因する振動を検出するための振動センサを備える心拍振動測定手段と、前記心電信号の時系列データと前記脈波の時系列データと前記心臓の拍動に起因する振動の時系列データとに基づいて、心臓の前駆出時間及び脈波伝播時間を算出する解析処理部と、を有することを特徴とする生体情報測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-23136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている生体情報測定装置は、センサから取得した情報から一義的に作業員の体調を予測することを前提としており、作業員の状況に応じて、柔軟に体調を予測することを想定していない。このため、特許文献1に開示されている生体情報測定装置では、作業員の状況に応じて、柔軟に体調を予測することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、作業員の状況に応じて、柔軟に体調を予測することができる作業員体調予測システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る作業員体調予測システムは、工事現場の作業員に取り付けられた2以上の種類のセンサにより検出された2種類以上のセンサ情報を取得し、取得した前記2種類以上のセンサ情報に応じて、それぞれの前記センサ情報に対して予め設定された前記作業員の状況を示す状況情報をそれぞれ取得する取得手段と、センサ情報と状況情報とを含む入力データと、作業員の体調を示す体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、前記取得手段により取得された2種類以上のセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る作業員体調予測システムは、第1発明において、前記取得手段は、前記作業員に関する作業員情報又は前記工事現場の環境に関する環境情報の少なくとも何れか一つを取得し、前記出力手段は、センサ情報と状況情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報と入力データと前記出力データとを学習データとして用いて学習された前記予測モデルを参照し、前記取得手段により取得されたセンサ情報と状況情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つの情報とに基づいて、前記体調予測情報を出力することを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る作業員体調予測システムは、第1発明において、前記出力手段により出力された体調予測情報に基づいて、前記作業員の体調のリスクを示すリスク情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る作業員体調予測プログラムは、工事現場の作業員に取り付けられた2以上の種類のセンサにより検出された2種類以上のセンサ情報を取得し、取得した前記2種類以上のセンサ情報に応じて、それぞれの前記センサ情報に対して予め設定された前記作業員の状況を示す状況情報をそれぞれ取得する取得ステップと、センサ情報と状況情報とを含む入力データと、作業員の体調を示す体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、前記取得ステップにより取得された2種類以上のセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明から第発明によれば、本発明の作業員体調予測システム及びプログラムは、予測モデルを参照し、センサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。これにより、学習済みモデルを用いて、作業員の状況に応じて、柔軟に体調を予測することが可能となる。また、本発明の作業員体調予測システムは、2種類以上のセンサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。これにより、複数のセンサから取得した複数のセンサ情報を考慮して、体調を予測することができる。このため、より高精度に体調を予測することが可能となる。また、本発明の作業員体調予測システムは、2種類以上のセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力する。これにより、例えばセンサ情報を取得したセンサに応じて、作業員が重装備をして作業を行っている等の状況情報を取得することができる。このため、作業員の状況に応じて、より柔軟に体調を予測することが可能となる。
【0014】
特に、第2発明によれば、本発明の作業員体調予測システムは、センサ情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報とに基づいて、体調予測情報を出力する。これにより、作業員の状況及び工事現場の環境等を考慮して、柔軟に体調を予測することが可能となる。
【0017】
特に、第発明によれば、本発明の作業員体調予測システムは、体調予測情報に基づいて、リスク情報を算出する。これにより、予測した作業員の体調に応じて、作業員の体調のリスクを算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態を適用した作業員体調予測システムの構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態を適用した作業員体調予測装置の構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態を適用した作業員体調予測装置の機能を示す図である。
図4図4は、本実施形態を適用した作業員体調予測システムの動作についてのフローチャートである。
図5図5は、予測モデルの入出力を示す図である。
図6図6は、作業員情報及び環境情報を用いる場合の予測モデルの入出力を示す図である。
図7図7は、状況情報を用いる場合の予測モデルの入出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した実施形態における作業員体調予測システムの一例について、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態における作業員体調予測システム100の構成の一例を示す模式図である。作業員体調予測システム100は、例えば図1に示すように、作業員体調予測装置1と、サーバ3と、ユーザ端末2と、センサ5とが公共通信網4を介して接続される。
【0021】
サーバ3は、作業員体調予測装置1、ユーザ端末2及びセンサ5から送信された各種情報を記憶する記憶媒体である。また、サーバ3は、必要に応じて記憶した各種情報を作業員体調予測装置1及びユーザ端末2に送信する。サーバ3は、例えば作業員体調予測装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよく、例えば作業員体調予測装置1の代わりに少なくとも一部の処理を行ってもよい。
【0022】
公共通信網4は、例えば作業員体調予測装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。公共通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、公共通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。
【0023】
ユーザ端末2は、例えば作業員体調予測システム100を用いたサービスの作業員20等のユーザが保有し、公共通信網4を介して作業員体調予測装置1と接続される。ユーザ端末2は、例えばデータベースを生成する電子機器を示してもよい。ユーザ端末2は、例えばパーソナルコンピュータや、タブレット端末等の電子機器が用いられる。また、ユーザ端末2は、ユーザから入力された作業員20に関する作業員情報を取得し、公共通信網4を介して、作業員体調予測装置1等に送信してもよい。ユーザ端末2は、例えば作業員体調予測装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。ユーザ端末2は、ユーザに情報を提示できる図示しないディスプレイ、又はスピーカを備えていてもよい。
【0024】
センサ5は、工事現場等に設けられたセンサである。センサ5は、例えば作業員20の血圧、血中酸素飽和度、脈拍、心拍数、呼吸、酸素摂取量、皮膚及び深部体温、血糖値、脈拍変動等のバイタルを測定するセンサであってもよい。また、センサ5は、作業員20の歩数、消費カロリー、位置、睡眠時間等を測定するセンサであってもよい。センサ5は、例えば工事現場の作業員20に取り付けられるヘルメット型センサ21、シャツ型センサ22、指輪型センサ23、及び腕時計型センサ24等の種類であってもよい。作業員20に取り付けられるセンサ5は、ヘルメット型センサ21、シャツ型センサ22、指輪型センサ23、及び腕時計型センサ24等の2種類以上のものであってもよい。
【0025】
また、センサ5は、工事現場の環境を示す環境情報を測定するセンサであってもよい。センサ5は、例えば温度、湿度、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)、風速、照度、気圧、降水量、降雪量等を測定するセンサであってもよい。
【0026】
作業員体調予測装置1は、センサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。作業員体調予測装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよい。
【0027】
次に、図2、3を参照して、第1実施形態における作業員体調予測装置1の一例を説明する。図2は、第1実施形態における作業員体調予測装置1の構成の一例を示す模式図であり、図3は、第1実施形態における作業員体調予測装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0028】
作業員体調予測装置1は、例えば図2に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。CPU101と、ROM102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とは、内部バス110により接続される。
【0029】
CPU101は、作業員体調予測装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、センサ情報、予測モデル等の各種情報が保存される。保存部104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やSDカード、miniSDカード等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば作業員体調予測装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0030】
I/F105は、公共通信網4を介して各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、作業員体調予測装置1を利用するユーザ等は、入力部108を介して、各種情報又は作業員体調予測装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された劣化情報等の各種情報、又は作業員体調予測装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0031】
作業員体調予測装置1は、図3に示すように、取得部11と、取得部11に接続された抽出部12と、取得部11と抽出部12とに接続された出力部13と、出力部13に接続された算出部14と、各機能に接続された記憶部15とを備える。なお、この各種構成は、例えばCPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0032】
取得部11は、各種情報を取得する。取得部11は、例えばセンサ5により測定されたセンサ情報、環境情報、及び作業員情報を取得する。また、取得部11は、例えばユーザ端末2等から公共通信網4を介して、作業員情報を取得してもよい。取得部11は、取得した各種情報を抽出部12及び出力部13等に出力してもよい。
【0033】
抽出部12は、取得部11から出力されたセンサ情報に基づいて、作業員20の状況を示す状況情報を抽出する。抽出部12は、例えば記憶部15に記憶されている、センサ情報と状況情報とが紐づけて記憶されているデータベースを参照し、センサ情報を測定したセンサ5に基づいて、状況情報を抽出してもよい。抽出部12は、抽出した状況情報を出力部13に出力する。
【0034】
出力部13は、出力された各種情報に基づいて、作業員20の体調を示す体調予測情報を出力する。出力部13は、例えば記憶部15に記憶されている予測モデルを参照し、センサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。出力部13は、出力した体調予測情報を算出部14に出力する。
【0035】
算出部14は、出力部13から出力された体調予測情報に基づいて、作業員20の体調のリスクを示すリスク情報を算出する。
【0036】
次に、本発明の本実施形態を適用した作業員体調予測システム100の動作について説明をする。図4は、本実施形態を適用した作業員体調予測システム100の動作についてのフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS11において、取得部11は、各種情報を取得する。取得部11は、例えばセンサ5により測定されたセンサ情報を、公共通信網4を介して取得する。センサ情報は、工事現場の作業員20に取り付けられたセンサ5により検出された情報である。センサ情報は、例えばセンサ5により検出された作業員20の血圧、血中酸素飽和度、脈拍、心拍数、呼吸、酸素摂取量、皮膚及び深部体温、血糖値、脈拍変動等のバイタルを示す情報である。また、センサ情報は、作業員20のバイタルの時間変化を示す情報であってもよい。また、センサ情報は、作業員20の歩数、消費カロリー、位置、睡眠時間等の情報であってもよい。また、センサ情報は、作業員20のバイタルを測定したセンサ5を識別する識別情報であってもよい。識別情報は、例えばバイタルを測定したセンサ5の名前、ID、型番、種類等の情報であってもよい。また、センサ5の種類は、例えばヘルメット型センサ21、シャツ型センサ22、指輪型センサ23、及び腕時計型センサ24等であってもよい。
【0038】
また、ステップS11において、取得部11は、2種類以上のセンサ5により検出された2種類以上のセンサ情報を取得してもよい。かかる場合、例えば取得部11は、作業員20が身に着けたシャツ型センサ22により検出されたセンサ情報と、ヘルメット型センサ21により検出されたセンサ情報とを取得してもよい。
【0039】
また、ステップS11において、取得部11は、環境情報を取得してもよい。環境情報は、工事現場の環境を示す情報であり、例えば工事現場の温度、湿度、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)、風速、照度、気圧、降水量、降雪量等を示す情報であってもよい。また、環境情報は、天気を示す情報であってもよい。ステップS11において、取得部11は、センサ5により検出された環境情報を取得してもよい。また、ステップS11において、取得部11は、任意の端末から公共通信網4を介して送信された環境情報を取得してもよい。
【0040】
また、ステップS11において、取得部11は、作業員情報を取得してもよい。作業員情報は、作業員20に関する情報である。作業員情報は、作業員20の定性的なデータであり、例えば作業員20が記入した作業振り返り表等の、作業員20の作業に関する情報であってもよい。また、作業員情報は、作業員20の持病や過去の事故の記録等であってもよい。また、作業員情報は、例えば予め作業員20により入力された作業員20の体調チェックの記録等であってもよい。また、作業員情報は、作業員20が睡眠不足か否か、二日酔いか否か、飲酒量、喫煙量等を示す情報であってもよい。また、作業員情報は、作業の長さ、作業の過酷さ等を示す情報であってもよい。また、作業員情報は、作業員20が、高所が苦手か否か等を示す情報であってもよい。また、作業員情報は、予め測定された作業員20のバイタルを示す情報であってもよい。ステップS11において、取得部11は、任意の端末から公共通信網4を介して送信された作業者情報を取得してもよい。
【0041】
次に、ステップS12において、抽出部12は、ステップS11において取得したセンサ情報に基づいて、状況情報を抽出する。状況情報は、作業員20の状況を示す情報である。状況情報は、例えば作業員20の装備を示す情報であってもよい。状況情報は、例えば作業員20が特定のシャツ型センサ22を装備している等の情報であってもよい。状況情報は、例えば作業員20が重装備をしていること、又は作業員20が、マスク等で表面が覆われていることを示す情報であってもよい。また、状況情報は、作業員20が特定の装備を装着して行っている作業を示す情報であってもよい。抽出部12は、センサ情報が示す作業員20のバイタルを測定したセンサ5の情報から、状況情報を抽出する。かかる場合、抽出部12は、センサ5に対してそれぞれ状況情報が紐づけて記憶されているデータベースを参照し、センサ情報が示す作業員20のバイタルを測定したセンサ5の識別情報から、状況情報を抽出する。
【0042】
データベースは、センサ情報と状況情報とが紐づいて記憶されている。データベースは、例えばセンサ5の名前、ID、型番、種類等の識別情報と、状況情報とが紐づけて記憶されている。データベースは、例えばシャツ型センサ22と作業員20が重装備であることを示す状況情報とを紐づけて記憶してもよい。また、データベースは、例えば複数のセンサ情報と一つの状況情報とを紐づけて記憶してもよい。また、データベースは、例えばセンサ情報が示す作業員20の位置の情報と状況情報とを紐づけて記憶してもよい。
【0043】
抽出部12は、データベースを参照し、センサ情報が示す作業員20のバイタルを測定したセンサ5の情報から、状況情報を抽出する。これにより、抽出部12は、例えばステップS11において取得したシャツ型センサ22により検出されたセンサ情報から、データベースを参照し、作業員20が重装備であることを示す状況情報を取得することが可能となる。また、抽出部12は、例えばステップS11において取得した安全帯又はフルハーネス付きのシャツ型センサ22により検出されたセンサ情報から、データベースを参照し、作業員20が高所での作業を行っていることを示す状況情報を取得することが可能となる。このため、センサ情報から自動的に、作業員20の装備等の状況を示す情報を抽出することが可能となる。
【0044】
また、抽出部12は、例えば複数のセンサ情報から一つの状況情報を抽出してもよい。かかる場合、抽出部12は、例えば防塵服に取り付けられたシャツ型センサ22と、防護マスクが取り付けられたヘルメット型センサ21とを示す識別情報を含むセンサ情報から、データベースを参照し、作業員20が精密作業を行っていることを示す状況情報を抽出してもよい。また、抽出部12は、例えば工具付きのシャツ型センサ22と、呼吸器具付きのヘルメット型センサ21とを示す識別情報を含むセンサ情報から、データベースを参照し、作業員20が呼気用ガスの供給を受けながら工具で重機のメンテナンスや解体作業を行っていることを示す状況情報を抽出してもよい。
【0045】
次に、ステップS13において、出力部13は、センサ情報を含む入力データと、体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、ステップS11において取得されたセンサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。体調予測情報は、作業員20の体調を示す情報である。体調予測情報は、例えば体調が良い、普通、悪い等を示す情報であってもよい。また、体調予測情報は、体調の良さを百分率で示す情報であってもよい。体調予測情報は、例えば減圧症、熱中症、心筋梗塞等の特定疾病に関する前兆を示す情報であってもよい。また、体調予測情報は、作業員20の作業によるストレス等を示す情報であってもよい。
【0046】
予測モデルは、例えばセンサ情報と体調予測情報とを学習データとして学習された学習済みモデルである。
【0047】
予測モデルの生成方法として、例えばニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて、予測モデルを生成してもよい。予測モデルはマルチモーダルを用いたモデルであってもよい。予測モデルは、例えばCNN(Convolution Neural Network)等のニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて学習されるほか、任意のモデルが用いられてもよい。また、予測モデルの生成方法として、例えば検索拡張生成(RAG:Retrieval-Augmented Generation)、seq2seq(Sequence To Sequence)線形判別、サポートベクターマシン、k-近傍法、ランダムフォレスト、ディープラーニング等を用いて、予測モデルを生成してもよい。
【0048】
かかる場合、予測モデルには、例えば図5のように、入力データであるセンサ情報と出力データである体調予測情報とからなる学習データが記憶される。また、かかる場合、センサ情報に含まれる形態素又は単語等を入力データとし、体調予測情報に含まれる形態素又は単語等を出力データとしてもよい。予測モデルは、学習データを用いて、学習データ間の関係性、繋がりの度合い、重み変数又はニューラルネットワーク層の伝搬係数等を学習する。また、学習に用いられるセンサ情報及び体調予測情報は、例えば予め取得した学習データに用いるためのセンサ情報及び体調予測情報であるがこれに限らず、任意のタイミングで取得した情報を用いてもよい。
【0049】
例えば予測モデルは、機械学習の過程で適宜更新され、例えば複数の入力データ、及び複数の出力データに基づいて最適化された関数を用いた分類器を学習する。これにより、入力データに対して多角的な出力データの選択を実現することができる。また、入力データ及び出力データは、これに限らず、任意の種類の情報がさらに用いられてもよい。また、入力データは、例えばセンサ情報に含まれるテキスト情報及び/又は画像情報であってもよい。
【0050】
また、予測モデルは、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数を学習することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0051】
また、予測モデルは、入力データと出力データとの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力データ又は隠れ層データの何れか一方又は両方において重みづけが設定され、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この重み付けがある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
【0052】
このような学習データを予め学習し、実際にステップS13において、出力部13は、センサ情報と体調予測情報とを学習データとして学習された予測モデルを参照し、ステップS11により取得したセンサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。出力の際には、例えば予め取得した重み付けを参照する。例えば、新たに取得したセンサ情報が「センサ情報A」と同一かこれに類似するものである場合には、重みを介して「体調予測情報A」との間の重みAA「73%」、「体調予測情報B」との間の重みAB「12%」で関連付けられている。この場合には、重みの最も高い「センサ情報A」を最適解として選択する。但し、最も重みの高いものを最適解として選択することは必須ではなく、「体調予測情報B」を最適解として選択するようにしてもよい。
【0053】
このような予測モデルを参照することにより、センサ情報が、入力データと同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、入力データに適した出力データを定量的に選択することができる。
【0054】
また、ステップS13において、出力部13は、センサ情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報と入力データと体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、ステップS11により取得されたセンサ情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報とに基づいて、体調予測情報を出力してもよい。また、かかる場合、出力部13は、図6に示すような入力データをセンサ情報と作業員情報又は環境情報の少なくとも何れか一つを含む情報とし、出力データを体調予測情報とする学習データを用いて生成された予測モデルを参照してもよい。
【0055】
また、ステップS13において、出力部13は、予測モデルを参照し、ステップS11により取得された2種類以上のセンサ情報に基づいて、体調予測情報を出力してもよい。かかる場合、出力部13は、2種類以上のセンサ情報を含む入力データと、体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて生成された予測モデルを参照してもよい。
【0056】
また、ステップS13において、出力部13は、センサ情報と状況情報とを含む入力データと体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、ステップS11により取得されたセンサ情報と状況情報とに基づいて、体調予測情報を出力してもよい。かかる場合、出力部13は、図7に示すような入力データをセンサ情報と状況情報とし、出力データを体調予測情報とする学習データを用いて生成された予測モデルを参照してもよい。
【0057】
次に、ステップS14において、算出部14は、ステップS13により出力された体調予測情報に基づいて、作業員20の体調のリスクを示すリスク情報を算出する。リスク情報は、例えば減圧症、熱中症、心筋梗塞等の特定疾病の発症の可能性を示す情報である。リスク情報は、例えば特定疾病の発症の可能性を百分率で示す情報であってもよい。ステップS14において、算出部14は、例えば予め取得した体調予測情報とリスク情報とを紐づけて記憶した対応関係を用いて、ステップS13により出力された体調予測情報に基づいて、リスク情報を算出してもよい。また、算出部14は、例えば体調予測情報を含む入力データとリスク情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習されたリスクモデルを参照し、ステップS13により出力された体調予測情報に基づいて、リスク情報を算出してもよい。
【0058】
これにより、本実施形態における作業員体調予測システム100の動作が終了する。本発明の作業員体調予測システム100は、予測モデルを参照し、センサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する。これにより、学習済みモデルを用いて、作業員20の状況に応じて、柔軟に体調を予測することが可能となる。
【0059】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 作業員体調予測装置
2 ユーザ端末
3 サーバ
4 公共通信網
5 センサ
10 筐体
11 取得部
12 抽出部
13 出力部
14 算出部
15 記憶部
20 作業員
21 ヘルメット型センサ
22 シャツ型センサ
23 指輪型センサ
24 腕時計型センサ
100 作業員体調予測システム
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 保存部
105 I/F
106 I/F
107 I/F
108 入力部
109 表示部
110 内部バス
【要約】
【課題】作業員の状況に応じて、柔軟に体調を予測することができる作業員体調予測システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る作業員体調予測システムは、工事現場の作業員に取り付けられたセンサにより検出されたセンサ情報を取得する取得手段と、センサ情報を含む入力データと、作業員の体調を示す体調予測情報を含む出力データとを学習データとして用いて学習された予測モデルを参照し、前記取得手段により取得されたセンサ情報に基づいて、体調予測情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7